(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】無線トランシーバのためのマルチビームフォーミングフロントエンドアーキテクチャのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/26 20060101AFI20240322BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20240322BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240322BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20240322BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20240322BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q3/24
H01Q21/06
H04B1/38
H04B7/06 950
H04B7/08 800
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576822
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021037057
(87)【国際公開番号】W WO2021252928
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482566
【氏名又は名称】スカイギグ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SKYGIG, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ジャム, アーミン
(72)【発明者】
【氏名】クーチャック, コサリ, アヴィッシュ
【テーマコード(参考)】
5J021
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB05
5J021AB06
5J021CA06
5J021DB02
5J021DB03
5J021DB05
5J021EA02
5J021FA06
5J021FA10
5J021FA17
5J021FA26
5J021FA29
5J021FA31
5J021GA02
5J021GA03
5J021HA02
5J021JA05
5K011DA02
5K011JA01
5K011KA18
(57)【要約】
無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージの少なくとも1つを含む、1つ以上のビームを送受信するためのフロントエンドアンテナシステムであって、1つ以上のビームに1つ以上の信号ストリームを形成するように構成された1つ以上のビームネットワークを含み、1つ以上のビームネットワークの各ビームネットワークが、ビームフォーマネットワーク、スイッチングネットワーク、又はこれらの組み合わせを備える、フロントエンドアンテナシステム。フロントエンドアンテナシステムは、複数の空間領域の中から選択された空間領域においてビームのそれぞれを出力するように構成されたアンテナのアレイを含み、アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナはマルチポートアンテナである。フロントエンドアンテナシステムは、アンテナのアレイと1つ以上のビームネットワークとを電気的に結合する複数のトランシーバを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージのうちの少なくとも1つを含む、1つ以上のビームを送受信するためのフロントエンドアンテナシステムであって、
該1つ以上のビーム上に1つ以上の信号ストリームを形成するように構成された1つ以上のビームネットワークであって、該1つ以上のビームネットワークの各ビームネットワークが、ビームフォーマネットワーク、スイッチングネットワーク、又はそれらの組み合わせを備える、1つ以上のビームネットワークと、
複数の空間領域の中から選択された空間領域において該ビームの各々を出力するように構成されたアンテナのアレイであって、該アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナがマルチポートアンテナである、アンテナのアレイと、
該アンテナのアレイと該1つ以上のビームネットワークとを電気的に結合する複数のトランシーバと、
を備える、フロントエンドアンテナシステム。
【請求項2】
該1つ以上のビームの放射パラメータ及びビームタイプを独立して制御するように構成されたコントローラをさらに備え、
該放射パラメータは、方向、パターン、パワー、偏波、位相角、周波数帯域、又はそれらの組み合わせを有し、
該ビームタイプは、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームのうちの1つを含む、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項3】
該1つ以上のビームは、複数のビームを含み、
該マルチポートアンテナは、該複数のビームが同じ偏波、同じ周波数帯、又はそれらの組み合わせを有するように、該複数のビームの送信、該複数のビームの受信、又はそれらの組み合わせを行なうように動作可能である、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項4】
該1つ以上のビームネットワークは、該ビームフォーマネットワークを含み、
該ビームフォーマネットワークは、1つ以上の位相シフター、1つ以上の時間遅延回路、1つ以上の結合器、1つ以上の可変利得アンプ、1つ以上のスプリッタ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項5】
該1つ以上のビームネットワークは、該RFステージ、該IFステージ、該デジタルステージ、局部発振器ステージ、又はそれらの組み合わせにおいて、該1つ以上のビームを形成するようにされた、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項6】
該1つ以上のビームネットワークは、該スイッチングネットワークを含み、
該スイッチングネットワークは、該アンテナのアレイ及び該複数のトランシーバに電気的に結合され、該1つ以上の信号ストリームを該マルチポートアンテナの1つ以上のポートに選択的に提供するように構成された、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項7】
該1つ以上のビームネットワークは、複数の該スイッチングネットワークを含み、
該複数のトランシーバの数は、該マルチポートアンテナのポートの数より少ない、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項8】
該1つ以上のビームネットワークは、該スイッチングネットワークを含み、
該スイッチングネットワークは、1つ以上のスイッチ、1つ以上の結合器、1つ以上のスプリッタ、1つ以上の結合線路、1つ以上のフィルタ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項9】
該1つ以上のビームは、少なくとも2つのビームを含み、
該1つ以上のビームネットワークは、複数の該ビームフォーマネットワークを含み、
該複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む少なくとも2つの遅延素子を含み、;
該マルチポートアンテナの各アンテナポートは、該複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの該少なくとも2つの遅延素子に結合される、請求項1にフロントエンドアンテナシステム。
【請求項10】
該ビームネットワークは、アナログビームネットワーク部とデジタルビームネットワーク部とを有するハイブリッドビームネットワークであり、
該複数のトランシーバは、アナログ・デジタル変換器及びデジタル・アナログ変換器を含み、
送信モードにおいて、(i)該デジタルビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを分割するように構成され、(ii)該デジタルビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを選択するように構成され、(iii)該デジタル・アナログ変換器は、該1つ以上の信号ストリームを1つ以上のアナログ信号ストリームに変換するように構成され、該アナログビームネットワーク部は、該1つ以上の信号ストリームを分割し、該1つ以上の信号ストリームを選択し、若しくはその組み合わせを行い、(iv)又は(i)、(ii)、(iii)の組み合わせを行うように構成され;
受信モードにおいて、(v)該アナログビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを結合するように構成され、(vi)該アナログビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを選択するように構成され、(vii)該アナログ・デジタル変換器は、1つ以上の信号ストリームを1つ以上のデジタル信号ストリームに変換し、該デジタルビームネットワーク部は、該1つ以上の信号ストリームを結合し、該1つ以上の信号ストリームを選択し、若しくはその組み合わせを行い、(viii)又は(v)、(vi)、(vii)の組み合わせを行うように構成されている、
請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項11】
複数のサブアレイをさらに備え、
該複数のサブアレイの各サブアレイは、
1つ以上の基板層、1つ以上の電子チップ、又はそれらの組み合わせと、
該アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナと、
該複数のトランシーバのうちの1組のトランシーバと、を有し、
該複数のサブアレイは、信号分配ネットワーク、該1つ以上のビームネットワーク、該複数のトランシーバ、又はそれらの組み合わせを介して、互いに結合されている、請求項1に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項12】
該複数のサブアレイは、平面的な配置と非平面的な配置のうちの1つを有し、
該複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイは、第1の幾何学的パラメータのセットを有し、
該複数のサブアレイのうちの第2のサブアレイは、第2の幾何学的パラメータのセットを有し、
該第1の幾何学的パラメータのセットのうちの少なくとも1つの幾何学的パラメータは、該第2の幾何学的パラメータのセットのうちの少なくとも1つの幾何学的パラメータと異なるようにされている、請求項11に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項13】
該複数のサブアレイは、平面的な配置と非平面的な配置のうちの1つを有し、
該複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイは、第1の幾何学的パラメータのセットを有し、
該複数のサブアレイのうちの第2のサブアレイは、第2の幾何学的パラメータのセットを有し、
該第1の幾何学的パラメータのセットの各幾何学的パラメータは、該第2の幾何学的パラメータのセットの各幾何学的パラメータと同じであるようにされている、請求項11に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項14】
無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージのうちの少なくとも1つを含む、1つ以上のビームを送受信するためのフロントエンドアンテナシステムであって、
該1つ以上のビーム上に1つ以上の信号ストリームを形成するように構成された1つ以上のビームネットワークであって、該1つ以上のビームネットワークの各ビームネットワークが、ビームフォーマネットワーク、スイッチングネットワーク、又はそれらの組み合わせを含む、1つ以上のビームネットワークと、
複数の空間領域の中から選択された空間領域において該ビームの各々を出力するように構成されたアンテナのアレイであって、該アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナがシングルポートアンテナである、アンテナのアレイと、
該アンテナのアレイと該1つ以上のビームネットワークとを電気的に結合する複数のトランシーバと、
を備える、フロントエンドアンテナシステム。
【請求項15】
該シングルポートアンテナは、パッシブアンテナであり、
該1つ以上のビームは、少なくとも2つのビームを含み、
該1つ以上のビームネットワークは、複数の該ビームフォーマネットワークを含み、
該複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む少なくとも2つの遅延素子を含、;
該シングルポートアンテナは、該複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの該少なくとも2つの遅延素子に結合されている、請求項14に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項16】
該シングルポートアンテナは、1つ以上の同調可能なコンポーネントを備えるアクティブアンテナである、請求項14に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項17】
該1つ以上のビームは、少なくとも2つのビームを含み、
該1つ以上のビームネットワークは、複数の該ビームフォーマネットワークを含み、
該複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む少なくとも2つの遅延素子を含み、
該シングルポートアンテナは、該複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの該少なくとも2つの遅延素子に結合されている、請求項16に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項18】
該複数のビームの放射パラメータ及びビームタイプを独立して制御するように構成されたコントローラをさらに備え、
該放射パラメータは、方向、パターン、パワー、偏波、位相角、周波数帯域、又はそれらの組み合わせを有し、
該ビームタイプは、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームのうちの1つを含む、請求項14に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項19】
該1つ以上のビームネットワークは、該スイッチングネットワークを含み、
該スイッチングネットワークは、1つ以上のスイッチ、1つ以上の結合器、1つ以上のスプリッタ、1つ以上の結合線路、1つ以上のフィルタ、又はそれらの組み合わせを含むようにされた、請求項14に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【請求項20】
該1つ以上のビームネットワークは、該RFステージ、該IFステージ、該デジタルステージ、局部発振器ステージ、又はそれらの組み合わせにおいて該1つ以上のビームを形成するように構成されている、請求項14に記載のフロントエンドアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月11日に出願された米国仮出願第63/038,043号の優先権及びその利益を享受するものである。上記出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、「ANTENNA SYSTEM FOR A MULTI-BEAM BEAMFORMING FRONT-END WIRELESS TRANSCEIVER」と題する本出願と同時に提出され且つ本願と同一出願人による米国出願に関連し、その内容は参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、無線電波トランシーバに関し、より具体的には、マルチビームビームフォーミングフロントエンドアンテナシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
本節の記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0004】
電波無線技術はユビキタスであり、以下のものを含むがこれらに限定されない様々な用途で使用されている:電気通信及び衛星通信産業、モバイルプラットフォームにおけるセンサ及びナビゲーションシステム(例えば、自動車産業における自動運転車)、等々。
【0005】
無線通信技術は、より高いミリ波周波数帯に移行している。これらの周波数帯は、より広い帯域を利用できるため、通信速度を向上させることができるという利点がある。しかしながら、これらの利点にもかかわらず、現在の無線技術は、従来の無線技術と比較して、高度なアプローチ及びアーキテクチャを実装する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、電波無線装置は、アンテナ、無線周波数(RF)回路、アナログ回路及びデジタル回路、並びに様々なコンポーネントの動作及び接続を制御するシステムアーキテクチャを含む場合がある。無線フロントエンドシステムは、無線デバイスの性能と機能を規定する。特にミリ波帯のような高データレートの無線通信では、実用的な範囲での信号の伝播損失を補償するために、ビームが狭く、送信時のパワーレベルが高く、受信時の感度レベルが高い高利得フロントエンドシステムが必要とされることが多い。そのため、この無線通信技術を可能にするために、高度なビームフォーミング機構を有する高利得フロントエンドシステムが必要とされる場合がある。
【0007】
無線フロントエンドにビームフォーミングを実装するアプローチは数多くあり、一般的なアプローチとしてフェーズドアレイシステムと同調可能(tunable)メタマテリアルアンテナがよく検討される。どちらのアプローチも、所望のビームフォーミング特性を作り出すために、個々の素子の位相及び/又は振幅を制御して、開口部上に放射素子を分布させることに基づくものである。しかしながら、フェーズドアレイ及びメタマテリアル技術は、特に、高いスペクトル非効率性、限られた容量、及び高いパワー非効率性(特に、大きな開口及び/又は多数の素子を有する場合)を有する場合がある。より具体的には、現在のアナログフェーズドアレイ及びメタマテリアルのアプローチは、信号の伝送及び/又は受信のためのシングルビーム動作にしばしば制限され、これは、それらの容量、(通信システム用の)集約スループット、及び全体的性能を阻害する。さらに、大口径の場合、高いRF損失(特に高利得フロントエンドの素子数が多い場合)により、これらのシステムのパワー効率は悪くなる。一方、デジタルビームフォーミングのアプローチは、マルチビーム動作が可能である。しかし、素子数が多く、動作帯域が広い場合(特にミリ波周波数帯)、デジタル回路やRF/アナログ回路(DACやADCなど)の過剰なパワー消費とパワー効率の悪さから、これらのアプローチは実装できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本節は、本開示の一般的な概要を提示するものであり、その全範囲又はその特徴のすべてを包括的に開示するものではない。
【0009】
本開示は、1つ以上のビームを送受信するためのフロントエンドアンテナシステムであって、無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージのうちの少なくとも1つを含む、フロントエンドアンテナシステムを提供する。フロントエンドアンテナシステムは、1つ以上のビームに1つ以上の信号ストリームを形成するように構成された1つ以上のビームネットワークを備え、1つ以上のビームネットワークの各ビームネットワークは、ビームフォーマネットワーク、スイッチングネットワーク、又はそれらの組み合わせから構成される。フロントエンドアンテナシステムは、複数の空間領域の中から選択された空間領域においてビームのそれぞれを出力するように構成されたアンテナのアレイを備え、アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナは、マルチポートアンテナである。フロントエンドアンテナシステムは、アンテナのアレイと1つ以上のビームネットワークとを電気的に結合する複数のトランシーバを備える。
【0010】
一態様では、フロントエンドアンテナシステムは、放射パラメータ及び1つ以上のビームのビームタイプを独立して制御するように構成されたコントローラを更に備える。放射パラメータは、方向、パターン、パワー、偏波、位相角、周波数帯域、又はそれらの組み合わせを含む。ビームタイプは、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームのうちの1つを含む。
【0011】
一態様では、1つ以上のビームは複数のビームを含み、マルチポートアンテナは、複数のビームが同じ偏波、同じ周波数帯、又はそれらの組み合わせを有するように、複数のビームの送信、複数のビームの受信、又はそれらの組み合わせを行うように動作可能である。
【0012】
一態様では、1つ以上のビームネットワークはビームフォーマネットワークを含み、ビームフォーマネットワークは、1つ以上の位相シフター、1つ以上の時間遅延回路、1つ以上の結合器、1つ以上の可変利得アンプ、1つ以上のスプリッタ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0013】
一形態では、1つ以上のビームネットワークは、RFステージ、IFステージ、デジタルステージ、局部発振器ステージ、又はそれらの組み合わせにおいて、1つ以上のビームを形成するように構成される。
【0014】
一態様では、1つ以上のビームネットワークは、スイッチングネットワークを含む。スイッチングネットワークは、アンテナのアレイ及び複数のトランシーバに電気的に結合され、同スイッチングネットワークは、1つ以上の信号ストリームをマルチポートアンテナの1つ以上のポートに選択的に提供するように構成される。
【0015】
一形態では、1つ以上のビームネットワークは、複数のスイッチングネットワークを含み、複数のトランシーバの数は、マルチポートアンテナのポートの数より少ない。
【0016】
一態様では、1つ以上のビームネットワークは、スイッチングネットワークを含む。スイッチングネットワークは、1つ以上のスイッチ、1つ以上の結合器、1つ以上のスプリッタ、1つ以上の結合線路、1つ以上のフィルタ、又はそれらの組み合わせを含む。
【0017】
一態様では、1つ以上のビームは少なくとも2つのビームを含み、1つ以上のビームネットワークは複数のビームフォーマネットワークを含む。複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、少なくとも2つの遅延素子を含み、少なくとも2つの遅延素子は、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む。マルチポートアンテナの各アンテナポートは、複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの少なくとも2つの遅延素子に結合される。
【0018】
一形態では、ビームネットワークは、アナログビームネットワーク部とデジタルビームネットワーク部とを有するハイブリッドビームネットワークであり、複数のトランシーバは、アナログ・デジタル変換器とデジタル・アナログ変換器とを含む。送信モードにおいて、(i)デジタルビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを分割するように構成され、(ii)デジタルビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを選択するように構成され、(iii)デジタル・アナログ変換器は、1つ以上の信号ストリームを1つ以上のアナログ信号ストリームに変換するように構成され、アナログビームネットワークは、1つ以上の信号ストリームを分割し、1つ以上の信号ストリームを選択し、若しくはそれらの組み合わせを行なうようにされ、(iv)又は(i),(ii),(iii)の組み合わせを行なうように構成される。受信モードにおいて、(v)アナログビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを結合するように構成され、(vi)アナログビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを選択するように構成され、(vii)アナログ・デジタル変換器は、1つ以上の信号ストリームを1つ以上のデジタル信号ストリームに変換するように構成され、デジタルビームネットワーク部は、1つ以上の信号ストリームを結合し、1つ以上の信号ストリームを選択し、若しくはその組み合わせを行い、(viii)又は(v),(vi),(vii)の組み合わせを行うように構成されている。
【0019】
一態様では、フロントエンドアンテナシステムは、複数のサブアレイをさらに備える。複数のサブアレイの各サブアレイは、1つ以上の基板層、1つ以上の電子チップ、又はそれらの組み合わせと、アンテナのアレイの中からの1つ以上のアンテナと、複数のトランシーバのうちの1組のトランシーバとを有する。複数のサブアレイは、信号分配ネットワーク、1つ以上のビームネットワーク、複数のトランシーバ、又はそれらの組み合わせを介して互いに結合されている。
【0020】
一態様では、複数のサブアレイは、平面的な配置と非平面的な配置のうちの1つを有する。複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイは、第1の幾何学的パラメータのセットを有し、複数のサブアレイのうちの第2のサブアレイは、第2の幾何学的パラメータのセットを有し、第1の幾何学的パラメータのセットのうちの少なくとも1つの幾何学的パラメータは、第2の幾何学的パラメータのセットのうちの少なくとも1つの幾何学的パラメータと異なる。
【0021】
一態様では、複数のサブアレイは、平面的な配置及び非平面的な配置のうちの1つを有する。複数のサブアレイのうちの第1のサブアレイは、第1の幾何学的パラメータのセットを有し、複数のサブアレイのうちの第2のサブアレイは、第2の幾何学的パラメータのセットを有し、第1の幾何学的パラメータのセットの各幾何学的パラメータは、第2の幾何学的パラメータのセットの各幾何学的パラメータと同じである。
【0022】
本開示は、1つ以上のビームを送受信するためのフロントエンドアンテナシステムであって、無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージのうちの少なくとも1つを含む、フロントエンドアンテナシステムを提供する。フロントエンドアンテナシステムは、1つ以上のビーム上で1つ以上の信号ストリームを形成するように構成された1つ以上のビームネットワークであって、各ビームネットワークがビームフォーマネットワーク、スイッチングネットワーク、又はそれらの組み合わせを含む、1つ以上のビームネットワークを備える。フロントエンドアンテナシステムは、複数の空間領域の中から選択された空間領域においてビームのそれぞれを出力するように構成されたアンテナのアレイを備え、アンテナのアレイのうちの1つ以上のアンテナは、シングルポートアンテナである。フロントエンドアンテナシステムは、アンテナのアレイと1つ以上のビームネットワークとを電気的に結合する複数のトランシーバを備える。
【0023】
一態様では、シングルポートアンテナはパッシブアンテナであり、1つ以上のビームは少なくとも2つのビームを含み、1つ以上のビームネットワークは複数のビームフォーマネットワークを含む。複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、少なくとも2つの遅延素子を含み、この少なくとも2つの遅延素子は、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む。シングルポートアンテナは、複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの少なくとも2つの遅延素子に結合される。
【0024】
一形態では、シングルポートアンテナは、1つ以上の同調可能なコンポーネントからなるアクティブアンテナである。
【0025】
一形態において、1つ以上のビームは少なくとも2つのビームを含み、1つ以上のビームネットワークは複数の該ビームフォーマネットワークを含む。複数のビームフォーマネットワークの各ビームフォーマネットワークは、少なくとも2つの遅延素子を含み、この少なくとも2つの遅延素子は、位相シフター、時間遅延回路、又はそれらの組み合わせを含む。シングルポートアンテナは、複数のビームフォーマネットワークのうちの対応するビームフォーマネットワークの少なくとも2つの遅延素子に結合される。
【0026】
一態様では、フロントエンドアンテナシステムは、1つ以上のビームの放射パラメータ及びビームタイプを独立して制御するように構成されたコントローラを更に備える。放射パラメータは、方向、パターン、パワー、偏波、位相角、周波数帯域、又はそれらの組み合わせを含む。ビームタイプは、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームのうちの1つを含む。
【0027】
一態様では、1つ以上のビームネットワークは、スイッチングネットワークを含み、スイッチングネットワークは、1つ以上のスイッチ、1つ以上の結合器、1つ以上のスプリッタ、1つ以上の結合線路、1つ以上のフィルタ、又はそれらの組み合わせを含む。
【0028】
一態様では、1つ以上のビームネットワークは、RFステージ、IFステージ、デジタルステージ、局部発振器ステージ、又はそれらの組み合わせにおいて1つ以上のビームを形成するように構成される。
【0029】
適用可能性のさらなる領域は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0030】
次に、本開示がよく理解されるように、以下に簡単に説明する添付の図面を参照しながら、例として与えられるその様々な形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の教示による例示的な実施形態のフロントエンドアンテナシステムの概略図である。
【0032】
【
図2】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステムのサブアレイの概略図である。
【0033】
【
図3】本開示の教示による別の例示的なフロントエンドアンテナシステムの概略図である。
【0034】
【
図4】本開示の教示による1組のビームフォーマに接続される例示的なスイッチングネットワークの概略図である。
【0035】
【
図5】本開示の教示による無線周波数集積回路の概略図である。
【0036】
【
図6】本開示の教示による例示的なマルチポートアンテナの概略図である。
【0037】
【
図7】本開示の教示による例示的なアクティブアンテナの概略図である。
【0038】
【
図8A】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステムの概略図である。
【0039】
【
図8B】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステムの別の概略図である。
【0040】
【
図8C】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステムの別の概略図である。
【0041】
【
図9A】本開示の教示によるアンテナの例示的なセットの概略図である。
【0042】
【
図9B】本開示の教示によるアンテナの別の例示的なセットの概略図である。
【0043】
【
図9C】本開示の教示によるアンテナのさらに別の例示的なセットの概略図である。
【0044】
【
図10】本開示の教示によるマルチポートアンテナのセットを含むフロントエンドアンテナシステムの概略図である。
【0045】
【
図11】本開示の教示による1組のアンテナを含むシステムの概略図である。
【0046】
【
図12A】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステムの機能ブロック図である。
【0047】
【
図12B】本開示の教示による別のフロントエンドアンテナシステムの機能ブロック図である。
【0048】
【
図12C】本開示の教示によるさらに別のフロントエンドアンテナシステムの機能ブロック図である。
【0049】
【
図13】本開示の教示によるフロントエンドアンテナシステム及びコントローラの機能ブロック図である。
【0050】
本明細書に記載された図面は、説明のためだけのものであり、本開示の範囲をいかなる形でも制限することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明は、単に例示的なものであり、本開示、適用、又は用途を限定することを意図していない。図面全体を通して、対応する参照数字は、同様な又は対応する部品及び特徴を示すことを理解されたい。
【0052】
本開示は、マルチビームのビームフォーミング、高パワー効率、高スペクトル効率、及び動作周波数とサイズにおけるスケーラビリティの独自の組み合わせを提供する無線フロントエンドトランシーバのためのフロントエンドアンテナシステムアーキテクチャ技術を提供するものである。フロントエンドアンテナシステムは、ビームの生成及び/又は受信と、ビームの方向、パターン、パワー、偏波、及び/又は位相角などの様々な放射パラメータの高精度かつ独立した制御による無線周波数(RF)パターン及びビームの電子制御とを可能にする無線フロントエンドシステムとして動作する。一形態では、フロントエンドアンテナシステムは、1つのビーム(例えば、シングルビーム動作/モード)以上の同時ビーム(例えば、マルチビーム動作/モード)を送信、受信、又は同時送信・受信を行う。一態様では、フロントエンドアンテナシステムは、無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、及びデジタルステージのうちの少なくとも1つを含む。特定のステージが提供されているが、フロントエンドアンテナシステムは局部発振器ステージのような他のステージを有していてもよい。
【0053】
本開示のフロントエンドアンテナシステムは、特に、フロントエンドアンテナシステム、無線センシング及び画像システム、並びに無線パワー伝送システムなどの様々なタイプの信号又はパワー電波の送信及び/又は受信のために実装され得る。フロントエンドアンテナシステムの例としては、衛星信号、ネットワーク事業者及びインターネットサービスプロバイダ(ISP)のための無線通信、ブロードバンド、及び/又は一般的な電気通信が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な無線センシング及び画像センシングシステムには、自動車レーダーセンサシステム、セキュリティ及び安全画像及びスクリーニングセンサシステム、医療画像システム等が含まれるが、これらに限定されるものではない。例示的な無線パワー伝送システムには、電子及び電気装置の無線充電のために電力/エネルギーを伝送するために電波を使用するシステムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
一形態では、フロントエンドアンテナシステムは、ミリ波周波数帯通信(例えば、5G/6G通信)のために実装されて、大きな開口及び/又は多数の放射素子(及び関連トランシーバ及びビームフォーミング回路)により、過度の信号伝播損失が軽減されるようにし得る。多数の放射素子の結果として、従来のフロントエンドアンテナシステムは、過剰な電力を消費(例えば、デジタルビームフォーミング方法に起因する電力消費)し、その機能(例えば、とりわけ、ビームの数、アンテナ利得、ビームフォーミング能力)が制限され、及び/又は開口サイズを制限する複雑なビームフォーミングネットワーク(例えば、とりわけ、大きなダイサイズ及び数、素子間の複雑な配線及び同期)が必要である。
【0055】
本開示のフロントエンドアンテナシステムは、ミッドバンド及び/又はローバンド5G信号帯を含む電気通信周波数帯、衛星通信帯(例えば、X-帯(バンド)、Ku-帯、Ka-帯、V-帯、W-帯)、自動車レーダー帯(例えば、W-帯)、又は他の認可周波数帯又は無認可周波数帯(例えば、60GHz)でさらに実装され得る。また、フロントエンドアンテナシステムは、他の周波数帯(例えば、とりわけ、RF、マイクロ波、ミリ波、サブミリ波、テラヘルツ)において実装され得る。
【0056】
マルチビームモードでは、フェーズドアレイフロントエンドアンテナシステムは、複数のRFビームの同時かつ連続的な送信(及び/又は受信)を可能にするマルチ入力/マルチ出力(MIMO)信号システムとして機能し得るものであり、各ビームは、強化された通信及び/又は検出目的のために独立した又は相関した信号を含むことが可能である。また、複数のビームは、無線電力伝送システムにおいて、複数の充電装置に電力を伝送することができる。アンテナシステムは、各ビームの形状(例えば、パターン)、ポインティング方向、パワーレベル、偏波などの、高精度の成形及び制御を提供し、それによってオペレータが所望の特性を独自に規定することを可能にする。
【0057】
フロントエンドアンテナシステムは、様々な利点を提供し得る。システム及び方法は、常にそのような利点を提供することに限定されず、システム及び方法がどのように使用され得るかについての例示的な表現としてのみ提示される。利点のリストは、網羅的であることを意図しておらず、他の利点が追加的に又は代替的に存在し得る。
【0058】
一例として、フロントエンドアンテナシステムは、無線通信における情報負荷容量(例えば、集約スループット又はデータレート)の増加を提供する。複数のビームは、特定の周波数帯域上の情報伝送の増加を提供し、それによって、スペクトル効率及びパワー効率を増加させることができる。
【0059】
別の例として、フロントエンドアンテナシステムは、複数のノードとの連続的かつ同時的な接続を提供し、それによって速度を向上させ、複雑なマルチノード通信又はより効率的な無線通信トポロジを可能にし得る複数のビームを提供する。
【0060】
さらに別の例として、フロントエンドアンテナシステムは、通信のためのマルチビームMIMO動作を提供し、それによって、フロントエンドアンテナシステムにおいて、周波数再利用、無線リンクの容量増加、及び改善されたスペクトル効率のための空間多重化方法を可能にする。
【0061】
さらに、従来のフェーズドアレイアンテナは、ビームホッピングを必要とする複数の場所とのシングルビーム信号伝達しか持っていない。本開示のフェーズドアレイアンテナが提供するマルチビーム機能は、複数の場所との連続的な接続を提供し、それによって、ビームホッピングを不要とする。
【0062】
本開示のフロントエンドアンテナシステムは、携帯電話ユーザ、飛行機、衛星、及び車などの移動する信号源を追跡することも提供する。本開示のフロントエンドアンテナシステムによって提供される連続接続は、連続的な信号追跡を可能にし、任意の信号を追跡するために必要な遅延を除去し、それによって接続待ち時間を最小にすることができる。
【0063】
本開示のフロントエンドアンテナシステムは、さらに、通信ネットワーク内の所定の方向又は所定のノード間でオーバーラップする信号ビームを提供し得る。従って、フロントエンドアンテナシステムは、通信ネットワークにおいて付加的な冗長性を提供する。
【0064】
別の例として、フロントエンドアンテナシステムは、1つ以上のノードに同時送受信を提供し、その結果、通信システムのレイテンシーを低減し、通信ネットワークのデータレートを増加させる。
【0065】
撮像システムの場合、本開示のフロントエンドアンテナシステムは、検出分解能(例えば、角度及び/又は範囲の分解能)を増加させる。さらに、フロントエンドアンテナシステムのマルチビーム動作は、例えば、シングルビームのビームステアリングシステムとは対照的に、より高速な撮像及び検出を可能にする。
【0066】
無線電力伝送システムに対しては、本開示のフロントエンドアンテナシステムは、複数の無線デバイスの同時充電のための複数のビームの生成を提供する。従って、フロントエンドアンテナシステムは、充電時間を短縮し、各デバイスの効率を向上させる。
【0067】
別の例として、本開示のフロントエンドアンテナシステムは、任意の所与の開口サイズに対して、またシングルビーム及びマルチビーム動作の両方に対して、複雑さ、サイズ、及びパワーを低減させる。さらに、本開示のフロントエンドアンテナシステムは、所与の開口寸法に対する全体的なダイ回路サイズ及びカウント要件を低減させる。その結果、フロントエンドアンテナシステムは、システムの小型化、軽量化、及び電力消費量の低減化を提供する。
【0068】
一態様では、
図1に示すように、フロントエンドアンテナシステム1は、複数のアンテナ10と、複数のトランシーバ30と、複数のビームネットワーク50とを含む。一形態では、トランシーバ30は、アンテナ10をビームネットワーク50に電気的に結合する。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、複数の同時ビームを提供するマルチ入力/マルチ出力(MIMO)システムとして動作可能であり、またビームの方向、パターン、パワー、偏波、及び位相角などの信号ビーム放射パラメータを独立して制御するように動作可能である。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームなどのビームのビームタイプを独立して制御するように動作可能であり、ビームタイプは、送信タイプビーム、受信タイプビーム、及び同時受信・送信タイプビームのうちの一つを含む。一態様では、フロントエンドアンテナシステム1は、デジタル信号とアナログ信号の両用とすることができる。
【0069】
一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、電波のビームを送信及び受信するように構成される。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、ビーム管理制御ルーチンによって規定される他の放射パラメータのうちのとりわけ、様々な方向、パターン、パワーレベルを有する複数の電波のビームを送信及び/又は受信する。一つの形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、1つ以上の電波のビームを同時に送信及び受信する。
【0070】
一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、アレイ(例えば、特に、ダイナミックアレイ、固定アレイ、アクティブアレイ、パッシブアレイ、デジタルアレイ、アナログアレイ、又はハイブリッドアレイ)として実装され得る。一例として、また
図2に示すように、フロントエンドアンテナシステム1は、集合的にアレイ2を形成する1つ以上のサブアレイ70-1、70-2、70-3、70-4、70-5、70-6(ここではサブアレイ70と総称する)を含み得る。サブアレイ70の各々は、複数のアンテナ10のうちの1つ以上のアンテナ10のセットを含む。一例として、サブアレイ70-1は、複数のアンテナ10のうちのアンテナ10-1、10-2、10-3、10-4を含むアンテナのセットを含み得る。一形態において、サブアレイ70は、信号分配ネットワーク(詳細は後述する)、複数のビームネットワーク50、複数のトランシーバ30、又はそれらの組み合わせを介して互いに結合される。
【0071】
一態様では、1つ以上のサブアレイ70は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。一例として、各サブアレイ70は、
図2Bに示すように、同じ幾何学的パラメータ(例えば、形状、サイズ、向き、長さ、幅、深さなど)を有し得る。別の例として、アレイ70の2つ以上は、
図2Aに示すように、互いに異なる幾何学的パラメータのセットを有し得る。一形態では、サブアレイ70は、ランダムに配置されるか、又は格子状又は線状に配置される。一形態では、1つ以上のサブアレイ70は、様々な平面、非平面、又はコンフォーマル形状(例えば、長方形、円形、六角形など)を有していてもよい。さらに、1つ以上のサブアレイ70は、平面的な形態、非平面的な形態、又はコンフォーマルな形態で互いに一体化されてもよい。一態様では、1つ以上のサブアレイ70は、互いにインターリーブ又はオーバーラップしていてもよい。一形態では、1つ以上のサブアレイ70は、フロントエンド開口を拡大するためにスパース構成を形成し、また1つ以上のサブアレイ70は、サイドローブを抑制するために互いに対して回転及びシフトされ得る。
【0072】
一形態では、フロントエンドアンテナシステム1のサイズ及びジオメトリは、アレイアンテナの数、各アンテナの素子数、及び/又は連続開口アンテナの寸法に基き得る。一態様では、フロントエンドアンテナシステム1のサイズ及びジオメトリは、信号送信及び/又は受信パラメータのうちの特に、所望の信号強度、周波数帯域幅、信号負荷容量、着信/発信信号の数に基づくものである。一例として、5G実装では、フロントエンドアンテナシステム1は、236個の素子(例えば、16×16アレイ)又は1024個の素子(32×32アレイ)を有するアレイ2を含む。別の例として、長距離通信の実装では、アレイ2は、2000個の素子(又は、アンテナ10が連続開口アンテナサブアレイによって実装される場合の2000個の素子のサイズに相当するもの)を含む。
【0073】
図1~
図2を参照すると、アンテナ10は、放射パラメータのうち特に、波/信号ビームパターンや方向などのフロントエンドアンテナシステム1の放射パラメータを制御するように構成される。例示的なアンテナ10には、平面アンテナ(パッチ、スロット、リング、スパイラル、ボウタイなど)、キャビティバックアンテナ、及び膜面アンテナが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
一形態では、サブアレイ70の1組のアンテナ10は、単一のアンテナ素子、放射素子のセット、又は連続的な放射開口部を含み得る。一例として、1組のアンテナ10は、開口アンテナ、連続開口アンテナ、平面アンテナ、レンズアンテナ(例えば、楕円レンズ、ルネンベルグ(Lunenberg)レンズ等)、平面レンズアンテナ(例えば、ロットマン(Rotman)レンズ)、ワイヤアンテナ、及び/又は反射器アンテナを含む。別の例として、メタマテリアルアンテナ、リーキー波アンテナ、ファブリペローアンテナ、スロットアレイアンテナ、導波路アンテナなどを含み得る。具体例として、グループ化された素子は、各サブセットアンテナに対して所望のパターン及び放射特性を生成するように配置されたメタマテリアル素子又はメタピクセルを有するメタマテリアルアンテナを含み得る。
【0075】
一態様では、1組のアンテナ10は、信号分配ネットワークをさらに含む。例示的な信号分配ネットワークには、漏れ波又はスロットカップル導波路構造(例えば、空気で満たされた導波路、基板集積導波路など)、(例えば、カスタム形状を有する空気で満たされた又は誘電体で満たされた)キャビティ構造体、ビームフォーミングマトリクス構造(例えば、バトラーマトリクス、ハイブリッドカプラー、直交カプラー、ブラズマトリクス、ビームスイッチマトリクスなど)、マイクロストリップ構造、Hツリー構造などがあるが、それだけに限られるわけではない。
【0076】
一形態では、1組のアンテナ10は、シングルポートアンテナ又はマルチポートアンテナを含み得るものであり、また、シングルポートアンテナ及びマルチポートアンテナの任意の数/組み合わせを含んでもよい。一例として、アンテナ10のマルチポート実装の場合、各ポートは、特定の領域においてビームを励起して生成し、ビームが集合的に選択された3D視野(FoV)空間にまたがるようにし得る。一態様では、マルチポートアンテナのビームは、オーバーラップする領域/パターンを有し得る。フロントエンドアンテナシステム1のマルチビームパターンの生成は、ビームネットワーク50を介して、1組のマルチポートアンテナ、1組のアンテナのアレイ、又はそれらの組み合わせによって実施し得る。
【0077】
一態様では、アンテナ10は、パッシブアンテナ又はアクティブアンテナであり得る。一例として、アンテナ10は、所定のアンテナ特性(例えば、アンテナパターン、ビームパターンなど)の動的制御のために、そこに統合された同調可能なコンポーネント(バラクタ、ダイオードなど)及び/又は同調可能な材料、(例えば、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、液晶など)を有するアクティブアンテナを含み得る。ある形態では、アクティブアンテナは、さらに詳細に後述するように、所望の放射特性をもたらすために、コントローラによって電子的に制御される。
【0078】
一形態では、アンテナ10は、追加のビームフォーミング動作を実行するように構成され得る。一例として、アンテナ10がマルチポートアンテナである場合、フロントエンドアンテナシステム1は、アンテナのセットや他のシステムコンポーネントを接続する少なくとも1組のスイッチングネットワークを含み、それによって、以下にさらに詳細に説明するように、マルチポートアンテナのポートの制御機能性を可能にすることができる。一例として、マルチポートアンテナは、複数のビームが同じ偏波、同じ周波数帯域、又はそれらの組み合わせを有するように、複数のビームの送信、複数のビームの受信、又はそれらの組み合わせを行なうように動作可能である。アンテナ10の例は、「ANTENNA SYSTEM FOR A MULTI-BEAM BEAMFORMING FRONT-END WIRELESS TRANSCEIVER」と題する本出願人の同時係属米国出願に提供されており、その内容は参照によりその全体が本書に組み込まれるものとする。
【0079】
図1を参照すると、トランシーバ30は、アンテナ10をビームネットワーク50に接続することによって、アンテナ10が信号、指向性ビーム、及び/又は多次元ビームを送信/受信することを選択的に可能にするように構成される。一形態では、トランシーバ30は、1組のトランシーバ30として実装され、所与の1組のトランシーバのうちの少なくとも1つのトランシーバ30が、1組のアンテナうちの1つのアンテナ10を1組のビームネットワーク50に接続する。一形態では、所与の1組のトランシーバのうちの少なくとも1つのトランシーバ30は、1組のアンテナのうちの1つのアンテナ10を1組のビームネットワーク50に接続する。一態様では、各アンテナ10に接続するトランシーバ30の数は、アンテナ10のポートの数に等しい。一変形例では、各アンテナ10に接続するトランシーバ30の数は、アンテナ10のポートの数に等しくないようにできる。
【0080】
一形態では、トランシーバ30はそれぞれ、パワーアンプ32及び低ノイズアンプ34などの、入出力の信号を増幅する2つ以上のアンプを含む。一形態の変形例では、トランシーバ30は、パワーアンプ32と低ノイズアンプ34との間の切り替えを可能にし、よって信号の受信と送信との間の切り替えを可能にする1つ以上のスイッチ36を含み得る。あるいは、パワーアンプ32及び低ノイズアンプ34は、同時Tx/Rxを可能にするため、及び/又はスイッチ36に関連する損失を除外するために、スイッチ36を用いずにアンテナ10のアンテナポートに接続され得る。
【0081】
一形態では、低ノイズアンプ34は、最小限のノイズ/歪みを加えながら、アンテナ10によって受信された信号を増幅するように構成される。低ノイズアンプ34は、様々な利得、ノイズ指数、線形性、及びインピーダンス整合特性を有することができる。一形態では、パワーアンプ32は、アンテナポートに対して所定のパワーレベルまで信号を増幅するように構成される。従って、パワーアンプ32は、所与の方向/ビームにおける所望の等価等方放射電力(EIRP)に従って所与のパワーレベルまで信号を増幅するための利得及びパワー特性を有し得る。ある形態では、パワーアンプ32は、直交周波数分割多重変調などの様々な変調信号をサポートするために高い線形性及びパワー効率を有する。ある形態では、パワーアンプ32による出力は、インピーダンス変換アプローチ、パワー結合技術、及びトランジスタ積層を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して強化され得る。これらの技法は、高度なシリコンベースのプロセス(例えば、バルクCMOSサブミクロン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、及び/又はSiGe BiCMOS技法)などのオフチップ又はオンチップで実装され得る。
【0082】
一例として、パワーアンプ32は、ドハーティ(Doherty)パワーアンプ、アウトフェージング(outphasing)パワーアンプ、チアレックスアウトフェージング(Chireix outphasing)パワーアンプ、又はそれらの組み合わせであり得る。別の例として、パワーアンプ32は、線形タイプのパワーアンプ(例えば、A級アンプ、B級アンプ)又はスイッチングタイプのパワーアンプ(例えば、E級アンプ、F-1級アンプ)であり得る。追加の例として、パワーアンプ32は、例えば高周波ミリ波システム(すなわち、高周波は30~300ギガヘルツを含む)で実施される場合に、フロントエンドアンテナシステム1の信号伝播減衰損失及び高いRF損失を補償する高パワーアンプである。
【0083】
一形態では、パワーアンプ32は、出力信号の線形性を改善するためにプレディストーション回路を含み得る。プレディストーション回路は、デジタルステージ、アナログステージ、又はそれらの組み合わせに実装され得る。一例では、プレディストーション回路は、デジタルステージに実装されたデジタルプレディストーション回路(DPD回路)である。一形態では、DPD回路は、メモリレスモデル(例えば、メモリレス多項式アルゴリズム及び/又はルックアップテーブル(LUT)ベースのアルゴリズム)又はメモリを有するモデル(例えば、メモリ多項式モデル)に基づくことができる。別の例では、DPD回路は、各パワーアンプ32からの情報ではなく、フロントエンドアンテナシステム1の1つ以上のビームからの情報に基づいて実装される。
【0084】
一形態では、ビームネットワーク50は、アンテナ10への又はアンテナ10からの信号の建設的及び破壊的な組み合わせ、選択、及び/又は操作によって信号ストリーム(入出力の両方)を生成、提供、及び変更するように構成されたビームフォーマネットワーク51及び/又はスイッチングネットワーク58を含んでいる。ビームネットワーク50は、所望の信号ストリーム/ビームのためのビームフォーミング結合/処理のために、各アンテナ10及び/又は1組のアンテナ10からの各信号経路における特定の信号位相、振幅、及び/又は選択交替を指定するように構成される。ビームネットワーク50は、ビームフォーマネットワーク51及びスイッチングネットワーク58の両方を含むものとして示されているが、いくつかの変形例においてはビームフォーマネットワーク51とスイッチングネットワーク58のうちの一方のみを含み得ることが理解されるべきである。
【0085】
一形態では、ビームネットワーク50はセットで提供される。ビームネットワーク50の各セットは、マルチビーム、マルチストリーム信号の送信及び/又は受信のための多方向及び/又は多次元ビームを生成するように構成される。ビームネットワーク50のセットは、トランシーバ30を介して所定のセットの各アンテナ10に接続される。ある形態では、ビームネットワーク50及び/又はそのコンポーネントは、RFステージ、IFステージ、ベースバンドステージ、デジタルステージ、又はそれらの組み合わせを含む様々なステージで実装され得る。ある形態では、アンテナ10がアクティブアンテナを含む場合、ビームネットワーク50は、ハイブリッドビームネットワークのためのアンテナ10と組み合わされ得る。
【0086】
ある形態では、ビームフォーマネットワーク51は、位相シフター(PS)回路52のネットワーク、時間遅延回路54のネットワーク、アンプネットワーク56、スプリッタ、結合器、又はそれらの組み合わせを含む。一形態では、位相シフター回路52のネットワーク(以下、「位相シフター52」と称する)は、入力信号を受信し、入力信号に関連するビームの位相及び振幅を変更するように構成される。一形態では、位相シフター52は、アナログ回路、デジタル回路、又はそれらの組み合わせ(例えば、ハイブリッドモデル)により実装され得る。位相シフター52は、アクティブ部品(例えば、ベクトル変調器ベースの位相シフター52)、パッシブ部品、又はそれらの組み合わせを含み得る。一例として、位相シフター52は、反射型位相シフター(RTPS:reflection-type phase shifter)、スイッチ伝送線位相シフター(STPS:switched-transmission line phase shifter)、負荷線ベースのパッシブ位相シフター、又はこれらの組み合わせを含み得る。一態様では、遅延変動キャンセル技術は、所定の比帯域幅(例えば、20%以上の比帯域幅)以上の遅延変動を抑制するように実装され得る。
【0087】
一形態では、時間遅延回路54(以下、「時間遅延器54」と称する)のネットワークは、入力信号を受信し、入力信号に関連するビームの位相を変更するようにも構成される。一例として、時間遅延器54は、コントローラによって規定及び/又は動的に調整される制御可能な時間遅延によって信号を遅延させるように構成される。一形態では、時間遅延器54は、アナログ回路、デジタル回路、又はそれらの組み合わせ(例えば、ハイブリッドモデル)により実装され得る。
【0088】
一形態では、位相シフター52及び/又は時間遅延器54は、ビームフォーマネットワーク51のビームスクイント又はビーム歪みを最小化するために、実時間遅延(TTD)として実装される。一形態では、位相シフター52及び時間遅延器54は、本明細書において、「遅延素子」と総称されることがある。
【0089】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51は、ビームフォーマネットワーク51がアナログ回路によって実装される場合、アンプネットワーク56を含む。アンプネットワーク56は、信号結合、分割、及び/又は操作が行われる前/後に、信号が所定の強度になるように、受信又は送信信号の振幅を変更するように構成される。一例として、アンプネットワーク56は、アナログ回路、デジタル回路、又はそれらの組み合わせ(例えば、ハイブリッドモデル)として実装される1つ以上の可変利得アンプを含み得る。
【0090】
いくつかの形態では、ビームネットワーク50は、例えば、アンテナ10がマルチポートアンテナを含む場合に、スイッチングネットワーク58を含む。一例として、各マルチポートアンテナについて、フロントエンドアンテナシステム1は、マルチポートアンテナポートのサブセットを1組のトランシーバ30に接続するスイッチングネットワーク58を含む。さらに、又は代替的に、フロントエンドアンテナシステム1は、1組のトランシーバのセットを1組のビームフォーマネットワーク51に接続するスイッチングネットワーク58を含み得る。いくつかの形態では、スイッチングネットワーク58は、スイッチング回路なしに、シングルポート/マルチポートアンテナの全てのポートをトランシーバ30に接続する。スイッチングネットワーク58は、異なるレベルのコンポーネント接続性/活性を提供するように構成され、それによって、ビームを統合又は分割し、ビーム方向を制御する。スイッチングネットワーク58は、ビームフォーマの複雑さを単純化し、及び/又はフロントエンドアンテナシステム1のビームフォーミングマルチビーム、マルチストリーム機能を大幅に増加させることができる。スイッチングネットワーク58は、RFステージ、IFステージ、ベースバンドステージ、デジタルステージ、又はそれらの組み合わせなどの、様々なステージに実装され得る。一形態では、スイッチングネットワーク58は、1つ以上のスイッチ、1つ以上の結合器、1つ以上のスプリッタ、1つ以上のフィルタ、1つ以上の結合線路、又はそれらの組み合わせを含む。
【0091】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51は、アナログビームフォーマ、デジタルビームフォーマ、又はそれらの組み合わせ(例えば、ハイブリッドビームフォーマ)であり得る。一例として、多数のアンテナ素子/セットを有する大きなアンテナ開口の場合、ビームフォーマネットワーク51は、デジタルビームフォーマでは過剰な電力消費量となるので、アナログビームフォーマ又はハイブリッドビームフォーマとされ得る。別の例として、より高い周波数帯(例えば、ミリ波帯)では、ビームフォーマネットワーク51は、より高い周波数帯でのRFコンポーネント及び分配/結合ネットワークの損失及び/又はRFコンポーネントのサイズを抑制するためにIFステージに設けられたアナログビームフォーマを含み得る。IF実装又はデジタルビームフォーマが採用されるいくつかの形態では、1組のアンテナ及び/又はサブセットレベルにミキサーの実装がなされ、局部発振器(LO)信号の同期がすべてのアンテナ素子及び/又は1組のアンテナにおいて実行され得る。いくつかの形態では、LO信号の同期は、アンテナ素子、1組のアンテナ、及び/又はアンテナサブセットレベルで実装される基準信号、位相同期ループ(PLL)回路、増幅回路、ミキサー、又はそれらの組み合わせによって実行され得る。
【0092】
いくつかの態様において、フロントエンドアンテナシステム1は、コントローラ90を含み得る。コントローラ90は、所望の出力を達成するためにフロントエンドアンテナシステム1のコンポーネントを動作させるように構成される。ある形態では、コントローラ90は、全てのアクティブなコンポーネントに接続され、特に、ビーム管理制御ルーチン、ビーム追跡ルーチン、ユーザ管理ルーチンを実行するように構成されている。一例として、コントローラ90は、ビームの1つ以上について、特に、パワーレベル、帯域幅、ビーム方向、ビーム幅、偏波、ストリーム/ユーザの数、通信範囲、及び変調を独立して設定し得る。一形態では、コントローラ90は、システムがフロントエンドアンテナシステム1との間の入力信号及び出力信号に特定の方法で応答するように自動化され得る。一形態では、コントローラ90は、任意の及び/又は全ての所望のフロントエンドアンテナシステムパラメータ(例えば、信号増幅のレベル、設定ビーム形態、及び方向)のユーザ管理を可能にする。一形態では、コントローラ90は、通信ネットワークにおける信号の流れの管理を可能にする。
【0093】
例示的な変形例では、フロントエンドアンテナシステム1のコンポーネント(例えば、アンテナ10、トランシーバ30、ビームネットワーク50、及び/又はコントローラ90)は、1以上の電子チップ(例えば、集積回路(IC)チップ)及び/又はその1以上の基板層上に配設される。ICチップは、本明細書に記載される機能を実行するためのシステム・オン・チップ(SoC)構成において、ベースバンド、デジタル、モデム、及び/又は制御回路を含み得る。一形態では、各ICチップは、単一のアンテナ素子及び/又は1組のアンテナ10と関連付けられる。一形態では、各ICチップは、複数のアンテナ素子又はサブアレイ70と関連付けられる。一態様では、1つのICチップが、全てのアンテナ素子又は1組のアンテナ10と関連付けられる。
【0094】
図3を参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-1が示されている。フロントエンドアンテナシステム1-1は、フロントエンドアンテナシステム1と同様であるが、この変形例では、フロントエンドアンテナシステム1-1は、トランシーバ30-1、30-2、・・・30-k’のセットに接続されたポート16-1、16-2、・・・16-kを有するマルチポートアンテナ10-1を含む1以上のサブアレイ72を含んでいる。したがって、各サブアレイ72は、k個のポートを有するマルチポートアンテナ10-5を含み、各サブアレイ72は、k’個のトランシーバのセットを含む。
【0095】
一形態では、各サブアレイ72は、ビームネットワーク50のビームフォーマネットワーク51-1、51-2、・・・51-Mに接続される。一形態では、1組のトランシーバ30は、M個の信号ストリームを生成するためにスイッチングネットワーク58を介してビームフォーマネットワーク51の各々に接続され、それによって、フロントエンドアンテナシステム1-1は、ビーム結合、分割、及びスイッチングルーチンを実行することが可能である。一形態では、マルチポートアンテナ10-5は、スイッチングネットワーク58と同様のスイッチングネットワーク110によって1組のトランシーバ30に接続されてもよく、それによって、フロントエンドアンテナシステム1-1は、マルチポートアンテナ10-5のアクティブポートを切り替えること(例えば、ビームの方向を選択すること)を可能とする。
【0096】
一形態では、各サブアレイ72は、アンテナのタイプ(例えば、メタマテリアルアンテナ又は連続開口アンテナ)に基づきn個の素子又はその等価物を含む。各サブアレイ72が同一の場合、フロントエンドアンテナシステム1-1は、N=n×m個の素子の合計サイズ(又はN個の素子と等価なアレイシステム)を有し、ここでmはフロントエンドアンテナシステム1-1のサブアレイ72又は1組のアンテナの数を表す。換言するならば、N個の素子のアレイは、n素子ずつのサブアレイ72にグループ化され得る。これらのサブアレイ72は、システム製造のためにアレイコンポーネントに例示的なグループ化を追加する機能を有し得る。例えば、いくつかの例示的な変形例では、サブアレイ72のためのドライバは、単一のRFIC又はRFICのセットに組み立てられ得る。
【0097】
一形態では、マルチポートアンテナ10-5(又はシングルポートアンテナ)は、様々な機能性(例えば、アクティブ、パッシブ、高利得又は低利得、ペンシルビーム又はファンビーム又はブロードビームなど)及び/又はタイプ(例えば、メタマテリアルアンテナ)を有している。マルチポートアンテナ10-5(又はシングルポートアンテナ)がパッシブアンテナである場合、各アレイの素子数nはアンテナポート数kに対応してもよく、一例として、n及びkは等しいか又は同じ桁数であってもよい。別の例として、kは、√nのオーダーであってもよい。
【0098】
ある形態では、フロントエンドアンテナシステム1-1の1組のトランシーバ30は、1つ以上のトランシーバ30を含む。いくつかの形態では、トランシーバ30の数は、アンテナポートkの数以下である。
【0099】
図4を参照すると、ビームフォーマネットワーク51及びスイッチングネットワーク58-1、58-2、・・・58-M(「スイッチングネットワーク58」と総称する)が示されている。一形態では、ビームフォーマネットワーク51及びスイッチングネットワーク58は、k’個のトランシーバ30に接続される。一形態では、M個のビームとk’個のトランシーバ30に対して、スイッチングネットワーク58はそれぞれ、スイッチ60-1、60-2、・・・60-k’(「スイッチ60」と総称する)を含む。一形態では、各ビームは、スイッチングネットワーク58の1つに接続され、1つのスイッチングネットワーク58は、スイッチ60を介してk’個のトランシーバ30の各々に接続される。一例として、スイッチングネットワーク58-1のスイッチ60-1はトランシーバ30-1に接続され、スイッチングネットワーク58-1のスイッチ60-2はトランシーバ30-2に接続され、スイッチングネットワーク58-1のスイッチ60-k’は、トランシーバ30-k’に接続される。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1は、それぞれがM個のスイッチ60を有するk’個のスイッチングネットワーク58を含み、スイッチングネットワーク58のそれぞれは、トランシーバ30の1つに接続され、その中に位置するスイッチによってすべての位相シフター52に接続される。
【0100】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51は、異なるステージで異なる特性を有し、特定の周波数帯域(例えば、ミリ波帯)に対して特定の適用性を有することができる。一例として、アナログビームフォーマは、無線周波数(RF)ステージ、中間周波数(IF)ステージ、LOステージ、又はそれらの組み合わせで実装され得る。
【0101】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51がRFステージ(すなわち、RFビームフォーミング)で実装される場合、位相シフター52、時間遅延回路54、可変利得アンプ62、及び信号結合器64のうちの1つが、各信号経路の各ビームに対して提供され得る。一形態では、各位相シフター52及び可変利得アンプ62は、RF信号をRF帯域内で所望の位相及び振幅に変化させる。それから、信号結合器64が、各ビーム及びポートの変えられた信号を結合する。
【0102】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51がIFステージ(すなわち、IFビームフォーミング)で実装される場合、位相シフター52、時間遅延回路54、可変利得アンプ62、信号結合器64、及びミキサー66の1つが、各信号経路の各ビームに提供され得る。位相シフター52及び可変利得アンプ62は、RF信号をIF帯に変換して生成されたIF信号を所望の位相及び振幅に変化させる。そして、信号結合器64は、各ビームとポートの変えられた信号を結合し、ミキサー66は、入力信号とLO信号を結合して、その信号をIF帯に変換する。LO信号は、全てのアンテナ及び/又はビームフォーマに対して分配され、同期される。
【0103】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51がLOステージ(すなわち、LOビームフォーミング)で実装される場合、位相シフター52(例えば、位相回転器又はベクトル変調器ベースの位相シフター)、時間遅延回路54、可変利得アンプ62、及びミキサー66の1つが各信号経路の各ビームに対して提供され得る。位相シフター52及び可変利得アンプ62は、各ポートの各ビームについてLO信号の位相及び/又は振幅を変更し、ミキサー66は、RF信号と変更後のLO信号とを混合して所望の位相及び振幅にしたがってIF帯域に変換する。一形態では、可変利得アンプ62は、IF経路又はLO経路に設けられる。一形態では、位相シフター52は、ミキサー66と一体化され得る。
【0104】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51がデジタルステージ(すなわち、デジタルビームフォーミング)で実装される場合、位相シフター52、時間遅延回路54、可変利得アンプ62、信号結合器64、ミキサー66、デジタル・アナログ変換器(DAC)68、及びアナログ・デジタル変換器(ADC)69の1つが、それぞれの信号経路のそれぞれのビームに対して提供され得る。一形態では、IF信号が、受信モード中にADC69を用いてアナログ信号からデジタル信号に変換され、位相シフター52、時間遅延回路54、及び可変利得アンプ62は、デジタル信号の位相、時間遅延、及び/又は振幅のうちの少なくとも1つを変化させる。その後、信号結合器64が、各ビーム及びポートの変えられたデジタル信号を結合する。同様に、送信モードの間、DAC68が、デジタル信号をアナログ信号に変換し、位相シフター52、時間遅延回路54、及び可変利得アンプ62が、アナログ信号の位相、時間遅延、及び/又は振幅のうちの少なくとも1つを変化させる。次いで、信号結合器64は、各ビーム及びポートの変更されたアナログ信号を結合する。
【0105】
一形態では、ビームフォーマネットワーク51がハイブリッドビームフォーマのIFステージとデジタルステージの組み合わせで実装される場合、位相シフター52、時間遅延回路54、可変利得アンプ62、信号結合器64、及びミキサー66の1つが、IFステージにおける各信号パスの各ビームに提供され得る。IFビームフォーマからの入出力が、デジタルビームフォーマに接続され、DAC68、ADC69、位相シフター52、可変利得アンプ62、及び/又は信号結合器64のうちの1つが、各信号経路の各ビームに対して提供され得る。ハイブリッドビームフォーマの各ステージにおいて、位相シフター52及び可変利得アンプ62が、信号の位相、時間遅延、及び/又は振幅のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される。次いで、信号結合器64が、各ビーム及びポートの変えられた信号を結合する。
【0106】
図5を参照すると、M個のビームネットワーク50及びk’個のトランシーバ30’を含むRFIC100が示されている。一形態では、RFIC100は、N個の素子(又はフロントエンドアンテナシステム1のN個の素子に相当するもの)を含む。一形態では、M個のビームネットワーク50は、サブアレイ70のアンテナのポート及び/又は素子に接続され、それによって、カスタマイズ可能で、複雑さとコストを抑制する、モジュール式でタイリング可能なフロントエンドアンテナシステムを提供する。
【0107】
図6を参照すると、ポート16-1、16-2~16-k(集合的に「ポート16」と称する)を有するパッシブマルチポートアンテナであり得るアンテナ10-6によって出力されるビーム18、20、22の概略図が示されている。一形態では、ポート16の1つを励起すると、パターン及び方向などの所定の放射パラメータを有する対応するビームが生成される。一形態では、ビーム18、20、22は重なり、他の形態では、ビーム18、20、22は重ならない。一形態では、ビーム18、20、22は、所望の空間領域(例えば、2D又は3D FOV)にまたがる。一形態では、ビーム18、20、22の放射パラメータは、ビームネットワーク50及び/又はコントローラ90によって独立して制御される。アンテナ10-6は、他の形態において、特定の放射パラメータを有するシングルビームを常に生成するシングルポートアンテナであってもよい。
【0108】
図7を参照すると、ポート17-1、17-2~17-k(集合的に「ポート17」と称する)を有するアクティブマルチポートアンテナであり得るアンテナ10-7によって出力されるビーム24、26、28の概略図が示されている。一形態では、アンテナ10-7は、電気的に制御される調整可能な機構を含み、コントローラ90は、アンテナ10-7の調整可能な機構を調整することによってビーム24、26、28の放射パラメータを変更するように構成される。従って、コントローラ90は、本明細書に記載される機能を実行するための外部及び/又はデジタル制御回路を含み得る。一形態では、アンテナ10-7は、統合されたアクティブ素子を含み、それによって、コントローラ90がビーム修正及び制御ルーチンを実行することを可能にする。1つのコントローラ90が示されているが、フロントエンドアンテナシステム1は、他の形態で複数のコントローラ90(例えば、アンテナ10の各々に対して1つのコントローラ90)を含み得る。
【0109】
図8A~8Cを参照すると、フロントエンドアンテナシステムの様々な例示的なビームネットワーク50が示されている。具体的には、
図8Aは、フロントエンドアンテナシステム1-2の、ビームネットワーク50としてのデジタルビームネットワークを示し、
図8Bは、フロントエンドアンテナシステム1-3の、ビームネットワーク50としてのハイブリッドビームネットワーク(例えば、アナログビームネットワークとデジタルビームネットワーク)を示し、
図8Cは、フロントエンドアンテナシステム1-4の、ビームネットワーク50としてのハイブリッドビームネットワーク(例えば、アナログビームネットワークとデジタルビームネットワーク)を示している。
【0110】
図8Aを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-2は、1組の(ビームネットワーク50としての)デジタルビームネットワーク200、コンバータネットワーク202(例えば、DAC68及び/又はADC69)、中間周波数(IF)コンバータネットワーク204、1組のトランシーバ30、並びにアンテナ10のアレイを含む。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1-2は、k個のビーム(各ビームは1つ以上の信号ストリームを含む)、k個のデジタルビームネットワーク200、及びN個のアンテナ10のアレイを含む。デジタルビームネットワーク200は、コンバータネットワーク202に結合され、コンバータネットワーク202は、ビームをIF帯域の所望の周波数に変換するためのIFコンバータネットワーク204(例えば、1組のアップ/ダウン周波数コンバータ)に結合される。本明細書で説明するIFステージは、IFコンバータネットワーク204に対応してもよく、本明細書で説明するデジタルビームネットワーク200は、デジタルステージに対応してもよく、RFステージはコンバータネットワーク202に対応してもよい。
【0111】
図8Bを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-3は、1組の(ビームネットワーク50として)アナログビームネットワーク206を含む。フロントエンドアンテナシステム1-3は、コンバータネットワーク202と、IFコンバータネットワーク204と、1組のトランシーバ30と、アンテナ10のアレイとをさらに含む。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1-3は、k個のビーム(各ビームは1つ以上の信号ストリームを含む)、k個のアナログビームネットワーク206、及びN個のアンテナ10のアレイを含む。コンバータネットワーク202は、アナログ信号を生成するためにアナログビームネットワーク206に結合される。アナログビームネットワーク206は、ビームをIF帯域の所望の周波数に変換するためにIFコンバータネットワーク204(例えば、1組のアップ/ダウン周波数コンバータ)に結合される。フロントエンドアンテナシステム1-3のコンポーネントは、他の形態で異なる配置を有し得る。一例として、コンバータネットワーク202は、ビームをRF帯域の所望の周波数に変換するためにIFコンバータネットワーク204に結合され、IFコンバータネットワーク204は、RF信号を生成するためにアナログビームネットワーク206の集合に結合され得る。
【0112】
図8Cを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-4は、1組の(ビームフォーマネットワーク50として)デジタルビームネットワーク200と、1組のアナログビームネットワーク206とを含む。フロントエンドアンテナシステム1-4は、コンバータネットワーク202と、IFコンバータネットワーク204と、1組のトランシーバ30と、アンテナ10のアレイと、アンテナ208のアレイ(例えば、アクティブアンテナのアレイ)とを更に含む。一形態では、フロントエンドアンテナシステム1―4は、k個のビーム(各ビームは1つ以上の信号ストリームを含む)、k個のデジタルビームネットワーク200、M個のアナログビームネットワーク206、N個のアンテナ208のアレイ、及びアンテナ208のN’個の接続ポートを含む。一形態では、N’個の接続ポートは、
図9A~9Cを参照してさらに詳細に後述するように、1組のマルチポートアンテナ又は1組のシングルポートアンテナのポートへの接続を含み得る。一態様では、接続ポートの数(N’)は、アレイのアンテナ208の数(N)以下である。一形態では、ビームの数(k)は、アナログビームネットワーク206の数(M)以下である。
【0113】
一形態では、デジタルビームネットワーク200はコンバータネットワーク202に結合され、コンバータネットワーク202はアナログ信号を生成するためにアナログビームネットワーク206に結合される。アナログビームネットワーク206は、ビームをIF帯域の所望の周波数に変換するためにIFコンバータネットワーク204(例えば、1組のアップ/ダウン周波数コンバータ)に結合される。フロントエンドアンテナシステム1-4のコンポーネントは、他の形態で異なる配置を有し得ることが理解されるべきである。一例として、コンバータネットワーク202は、ビームをRF帯域の所望の周波数に変換するためにIFコンバータネットワーク204に結合され、IFコンバータネットワーク204は、RF信号を生成するために1組のアナログビームネットワーク206に結合され得る。
【0114】
一形態では、フロントエンドアンテナシステム1-4は、送信モード、受信モード、又は送信モード及び受信モードで同時に動作可能である。一例として、送信モードでは、デジタルビームネットワーク200は、1つ以上の信号ストリームを分割及び/又は選択するように構成され、DAC68は、1つ以上の信号ストリームを1つ以上のアナログ信号ストリームに変換するように構成され、アナログビームネットワーク206は、1つ以上の信号ストリーム、又はそれらの組み合わせを分割及び/若しくは選択するように構成される。別の例として、受信モードにおいて、アナログビームネットワーク206は、1つ以上の信号ストリームを結合及び/又は選択するように構成され、ADC69は、1つ以上の信号ストリームを1つ以上のデジタル信号ストリームに変換するように構成され、デジタルビームネットワーク200は、1つ以上の信号ストリーム又はそれらの組み合わせを結合及び/又は選択するように構成される。
【0115】
図9Aを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-4の1組の(アンテナ208としての)アンテナ208-1の一例が示されている。一形態では、1組のアンテナ208-1は、x’個のポートを有するマルチポートアンテナ210を含み、スイッチングネットワーク58に結合し得る。一形態では、スイッチングネットワーク58は、マルチポートアンテナ210のx’個のポートを独立して制御し、ビーム方向、偏波、パワーなどのマルチポートアンテナ210の様々な放射パラメータを制御するように構成される。スイッチングネットワーク58は、デジタルステージ、IFステージ、RFステージ、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1-4の1つ以上のステージで実装され得る。一態様では、1組のビームフォーマネットワーク51は、デジタルステージ(DBF)、アナログステージ(ABF)、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1―4の1つ以上のステージで実装され得る。
【0116】
図9Bを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-4の1組の(アンテナ208としての)アンテナ208-2の例が示されている。一形態では、1組のアンテナ208-2は、集合的にy’個のポートを形成する複数のマルチポートアンテナ212-1、・・・212-n(マルチポートアンテナ212と総称する)を含む。マルチポートアンテナ212の各々は、同じ数のポートを有してもよいし、異なる数のポートを有してもよいことが理解されるべきである。一形態では、ポートの数(y’)は、アンテナ208-2への接続の数(J)に等しい。1組のアンテナ208-2は、マルチポートアンテナ212のy’個のポートを独立して制御して、ビーム方向、偏波、パワーなどのマルチポートアンテナ212の様々な放射パラメータを制御するために、スイッチングネットワーク58に結合し得ることが理解されるべきである。一形態では、1組のスイッチングネットワーク58は、デジタルステージ、IFステージ、RFステージ、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1-4の1つ以上のステージで実装され得る。同様に、1組のビームフォーマネットワーク51は、DBF、ABF、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1―4の1つ以上のステージで実装され得る。
【0117】
図9Cを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1-4の1組の(アンテナ208としての)アンテナ208-3の例が示されている。一形態では、1組のアンテナ208-3は、スイッチングネットワーク58に結合し得るz’個のポートを集合的に形成する複数のアクティブアンテナ214-1、・・・214-n(アクティブアンテナ214と総称する)を含み、スイッチングネットワーク58は、多数のスイッチ60を有する。スイッチングネットワーク58は、アクティブアンテナ214のz’個のポートを独立して制御して、ビーム方向、パワー、偏波、ビーム形態などの様々な放射パラメータを制御するように構成される。一形態では、1組のスイッチングネットワーク58は、デジタルステージ、IFステージ、RFステージ、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1-4の1つ以上のステージで実装され得る。同様に、1組のビームフォーマネットワーク51は、DBF、ABF、又はそれらの組み合わせなどの、フロントエンドアンテナシステム1―4の1つ以上のステージで実装され得る。
【0118】
図10を参照すると、(
図9A~9Bに示すマルチポートアンテナ210、212の1つとしての)例示的なマルチポートアンテナ220-1、220-2、・・・220-n(「マルチポートアンテナ220」と総称する)が示されている。一形態では、各マルチポートアンテナ220は、k’個のポートを含み、1組のk”個のビームフォーマネットワーク51に接続される。一形態では、各マルチポートアンテナ220は、所定のトランシーバ30に接続されるが、各マルチポートアンテナ220は、1組のトランシーバ30のうちの複数のトランシーバ30に接続され得る。一形態では、1組のトランシーバ30は、1組のk”個のビームフォーマネットワーク51に接続される。従って、k”個のビームフォーマネットワーク51は、k個のビームを形成することができ、ここでk=k’×k”である。一形態では、マルチポートアンテナ220の各アンテナポートは、所定のビームフォーマネットワーク51の少なくとも2つの遅延素子(すなわち、位相シフター52及び/又は時間遅延回路54)に結合される。
【0119】
図11を参照すると、N’個の(アンテナ208としての)アクティブアンテナ214が示されている。一形態では、アクティブアンテナ214は、シングルポートアンテナ、マルチポートアンテナ、又はそれらの組み合わせを含み、アクティブアンテナ214は、集合的にk’個のポートを形成する。一形態では、各アクティブアンテナ214は、1組のk”個のビームフォーマネットワーク51と、所定の1つのトランシーバ30とに接続されるが、各アクティブアンテナ214は、1組のトランシーバ30のうちの複数のトランシーバ30に接続され得ることが理解されるべきである。一形態では、1組のトランシーバ30は、1組のk”個のビームフォーマネットワーク51に接続される。従って、k”個のビームフォーマネットワーク51はk個のビームを形成し、ここでk=k”、k=k’×k”、又はk”≦k≦k’×k”である。一形態では、アクティブアンテナ214の各アンテナポートは、所定のビームフォーマネットワーク51の少なくとも2つの遅延素子(すなわち、位相シフター52及び/又は時間遅延回路54)に結合される。
【0120】
図12Aを参照すると、ハイブリッドビームネットワーク処理を行うように構成されたフロントエンドアンテナシステム(例えば、フロントエンドアンテナシステム1―4)の機能ブロック図の一例が示されている。一態様では、機能ブロック図の層は、フロントエンドアンテナシステム1―4の様々なステージ/機能に対応する。層は個別に示されているが、層のうちのいずれかを他の形態で互いに組み合わせてもよく、本明細書に記載されている配置に限定されないことが理解されるべきである。
【0121】
一形態では、フロントエンドアンテナシステム1-4は、アンテナ層300、アナログ層310(本明細書では交換可能にRF層310とも呼ぶ)、及びデジタル層320を含む。一形態では、アンテナ層300は、アンテナインターフェース/ポートを含む分配ネットワーク層302と、アンテナ構造を含むフィード層304と、アンテナ10の同調可能なコンポーネントを含む放射層306とを含む。一形態では、アナログ層310は、本明細書に記載される機能を実行するためのIFビームネットワーク層312、RFビームネットワーク層314、及びTRX層316を含む。一形態では、デジタル層320は、ベースバンド処理を行うためのベースバンド層322と、デジタルビームネットワーク層324と、アナログ・デジタル変換/デジタル・アナログ変換を行うためのDAC/ADC層326と、を含んでいる。デジタル層320は、モデム及び他のデジタルシステムコンポーネントを含み得ることが理解されるべきである。一態様では、アナロググループとデジタルグループの分離は、アナログ回路と、同じ技術ノードを有する単一のダイ、又はダイのセット上のブロックとの統合を提供することができる。
【0122】
図12Bを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1―4の別の例示的な機能ブロック図が示されている。
図12Bに示される機能ブロック図は、IFビームフォーミング層312がデジタル層320内に設けられることを除いて、
図12Aに示される機能ブロック図と同様である。
【0123】
図12Cを参照すると、フロントエンドアンテナシステム1―4の追加の例示的な機能ブロック図が示されている。
図12Cに図示された機能ブロック図は、RF層310及びデジタル層320が集積回路層330内に提供されることを除いて、
図12Cに図示された機能ブロック図と同様である。
【0124】
一態様では、アンテナ層300、アナログ層310、デジタル層320、及び/又は集積回路層330は、以下のものの上に設けられ及び/又はそれらを含むことができる:すなわち、とりわけ、プリント回路基板(PCB)、3D又は2.5D成形及び/又は機械加工された構造体;誘電体、金属、及び/又は空気で満たされた構造体及び材料;パッシブ及び又はアクティブ電子デバイス(例えば、バラクタ、ダイオード、トランジスタ、薄膜トランジスタ(TFT)など)、同調可能な材料(例えば、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)ベース材料、液晶など)及び/又は構造体。一態様では、アンテナ層300、アナログ層310、デジタル層320、及び/又は集積回路層330は、以下のものの上に設けられ及び/又はそれらを含むことができる:すなわち、RFIC、特定用途向け集積回路(ASIC)、SoC及び/又はPCB上に集積されたそのようなブロック(特に、コンポーネント、接続線など)のセット。
【0125】
図13を参照すると、コンピューティングシステム1000及びフロントエンドアンテナシステム1の1つの実装の例示的なコンピュータアーキテクチャ図が示されている。いくつかの実装では、コンピューティングシステム1000は、通信チャネル及び/又はネットワークを介して通信可能に結合された複数のデバイスに実装される。いくつかの形態では、コンピューティングシステム1000のコンポーネントは、別々のコンピューティングデバイス及び/又はセンサデバイスに実装される。いくつかの形態では、コンピューティングシステム1000の2つ以上のコンポーネントは、同じデバイスに実装される。コンピューティングシステム1000及びその一部は、コンピューティング及び/又は無線デバイスに統合され得る。
【0126】
ある形態では、通信チャネル1001は、プロセッサ1002A~1002N、メモリコンポーネント(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)1003、リードオンリーメモリ(ROM)1004、及び/又はプロセッサ可読記憶媒体1005)、表示装置1006、ユーザ入力装置1007、ネットワーク装置1008、本明細書で説明したフロントエンドアンテナシステム1、及び/又は他の適切なコンピューティング装置とインターフェースで接続される。
【0127】
一形態では、プロセッサ1002A~1002Nは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロプロセッサ、機械学習/深層学習(ML/DL)処理装置(例えば、テンソル処理装置)、FPGA(Field Programmable Gate Arrays)、カスタムプロセッサ、及び/又は任意の適したタイプのプロセッサを含み得る。
【0128】
一形態では、プロセッサ1002A~1002N及びメモリコンポーネント1003は、集合的に処理ユニット1010を形成する。いくつかの実施形態では、処理ユニット1010は、メモリコンポーネント1003、ROM1004、及びプロセッサ可読記憶媒体1005のうちの1つ以上にバスを介して通信可能に結合されて、そこに記憶された命令を実行する1つ以上のプロセッサを含む。一態様では、処理ユニット1010は、ASIC、SoC、又はそれらの組み合わせである。
【0129】
一形態では、ネットワーク装置1008は、コンピューティングシステム1000及び/又は外部デバイスなどの他のデバイス間で情報を交換するための1つ以上の有線又は無線インターフェースを提供する。例示的なネットワーク装置1008は、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、BLUETOOTH(登録商標)インターフェース、無線フィデリティ(Wi-Fi)インターフェース、イーサネットインターフェース、近距離無線通信(NFC)インターフェース、セルラーインターフェースなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0130】
一形態では、プロセッサ読み取り可能な記憶媒体1005は、ハードドライブ、フラッシュドライブ、DVD、CD、光ディスク、フロッピーディスク、フラッシュストレージ、ソリッドステートドライブ、ROM、EEPROM、電子回路、半導体メモリデバイス、又はこれらの組み合わせである。プロセッサ可読記憶媒体1005は、オペレーティングシステム、ソフトウェアプログラム、デバイスドライバ、及び/又は他の適切なサブシステム又はソフトウェアを含み得る。
【0131】
本明細書で特に明示しない限り、機械的/熱的特性、組成割合、寸法及び/又は公差、又は他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」又は「およそ」という言葉によって修飾されるものとして理解されるべきものである。この修飾は、工業的慣行、材料、製造、及び組立の公差、並びに試験能力を含む様々な理由から望まれるものである。
【0132】
本明細書で使用されるように、フレーズ「A、B、及びCの少なくとも1つ」、及び「それらの組み合わせ」は、非排他的論理和を用いた論理(A OR B OR C)を意味すると解釈すべきであり、「Aの少なくとも一つ、Bの少なくとも一つ、及びCの少なくとも一つ」を意味すると解釈してはならない。
【0133】
本願において、「コントローラ」及び/又は「モジュール」という用語は、以下を指すか、その一部であるか、又は含み得る:ASIC(特定用途向け集積回路);デジタル、アナログ、又はアナログ・デジタルの混合ディスクリート回路;デジタル、アナログ、又はアナログ・デジタルの混合集積回路;組み合わせ論理回路;FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ);コードを実行する(共有、専用、又はグループ)プロセッサ回路;プロセッサ回路によって実行されるコードを格納する(共有、専用、又はグループ)メモリ回路;本明細書に記載の機能をもたらす他の適切なハードウェアコンポーネント;又はシステム・オン・チップのように上記の一部又は全ての組み合わせ。
【0134】
メモリという用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本明細書で使用されるように、コンピュータ可読媒体という用語は、媒体(搬送波上など)を伝播する一過性の電気信号又は電磁信号を包含しない;したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形かつ非一時的であり得る。非一時的で有形のコンピュータ可読媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリ回路(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ回路、又はマスク読み取り専用回路など)、揮発性メモリ回路(静的ランダムアクセスメモリ回路又は動的ランダムアクセスメモリ回路など)、磁気ストレージ媒体(アナログ又はデジタル磁気テープ又はハードディスクドライブなど)及び光ストレージ媒体(CD、DVD又はブルーレイディスクなど)である。
【0135】
本願で説明する装置及び方法は、コンピュータプログラムに具現化された1つ以上の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作製された特殊目的コンピュータによって部分的又は完全に実施され得る。上述した機能ブロック、フローチャートコンポーネント、及び他の要素は、ソフトウェア仕様として機能し、熟練技術者又はプログラマーの日常作業によってコンピュータプログラムに変換され得る。
【0136】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の本質から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあることが意図される。そのような変形は、本開示の精神及び範囲から逸脱するものとはみなされない。