(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】神経学的活動データ分析のためのシステム、方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/372 20210101AFI20240322BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20240322BHJP
【FI】
A61B5/372
G16H10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553428
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022018559
(87)【国際公開番号】W WO2022187388
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519211513
【氏名又は名称】エルビス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LVIS Corporation
【住所又は居所原語表記】2600 E Bayshore Road, Palo Alto, CA 94303, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジン ヒュン リー
(72)【発明者】
【氏名】チョンナン ファン
【テーマコード(参考)】
4C127
5L099
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127HH13
4C127HH16
5L099AA03
(57)【要約】
様々なメトリック、たとえば最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、および/またはノード遷移極性を計算するために、脳波検査(EEG)データが分析されてよい。幾つかの例では、計算されたメトリックが図解で提供されてよい。幾つかの例では、メトリックが、未加工EEGトレースなどの他のデータと組み合わせて図解で提供されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサにアクセス可能なメモリとを備えており、前記メモリはコンピュータ可読命令で符号化され、前記コンピュータ可読命令は、実行されると、前記システムに、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、ノード遷移極性またはそれらの組み合わせを備えている少なくとも1つのメトリックを神経学的活動データから計算させる、
システム。
【請求項2】
前記神経学的活動データは、脳波検査データを備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたディスプレイをさらに備えており、前記コンピュータ可読命令は、実行されると、さらに、前記システムに、前記ディスプレイ上に前記少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現を提供させる、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのメトリックの前記グラフィック表現は、脳の画像にオーバーレイされる3次元ソースローカリゼーションのノードを備える、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたディスプレイをさらに備えており、前記コンピュータ可読命令は、実行されると、さらに、前記システムに、前記ディスプレイ上にレポートを提供させ、前記レポートは、前記少なくとも1つのメトリックの1つまたは複数のグラフィック表現を備えている複数のコンテンツを備え、前記神経学的活動データのタイムライン、1つもしくは複数の統計値、1つもしくは複数の付加的なパラメータ、またはそれらの組み合わせをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、ユーザ入力を受け取るように構成されている入力装置をさらに備えており、前記ユーザ入力は、前記複数のコンテンツのうちのどのコンテンツが前記レポートに含まれているかを示す、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
神経学的活動データを受け取ることと、
前記神経学的活動データから、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、ノード遷移極性、またはそれらの組み合わせを備えている少なくとも1つのメトリックを計算することと、
を備える、方法。
【請求項8】
前記神経学的活動データは、複数のノードを備えている3次元(3D)ソースローカリゼーションを備えており、前記複数のノードのうちの個々のノードは、脳の一部に対応する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記複数のノードのうちの1つのノードの前記最大振幅投影を計算することは、
前記複数のノードのうちの前記ノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を見出すことと、
前記複数のノードのうちの前記ノードが局所的な極大としてラベル付けされた前記回数から前記局所的な極大の極大値を決定することと、
を備える、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記複数のノードのうちの1つのノードに対する前記ノード訪問頻度を計算することは、
前記複数のノードのうちの前記ノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を計数することと、
前記回数を前記分析時間窓の持続時間によって除算することと、
を備える、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記ノード遷移頻度を計算することは、
分析時間窓内の前記複数のノードの第1のノードと第2のノードとの間の局所的な極大遷移の回数を計数することと、
前記回数を前記分析時間窓の持続時間で除算することと、
を備える、請求項8記載の方法。
【請求項12】
複数のノードの1つのノードに対する前記ノード遷移極性を計算することは、
前記複数のノードのうちの1つまたは複数のノードから、前記複数のノードのうちの前記ノードに遷移した局所的な極大の第1の回数を計数することと、
前記複数のノードのうちの前記ノードから、前記複数のノードのうちの1つまたは複数のノードに遷移した前記局所的な極大の第2の回数を計数することと、
前記第1の回数と前記第2の回数との差を取ることと、
を備える、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記複数のノードうちの前記ノードは、前記第1の回数が前記第2の回数よりも多いときに内向き極性を有し、前記複数のノードのうちの前記ノードは、前記第2の回数が前記第1の回数よりも多いときに外向き極性を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記神経学的活動データの値を閾値と比較することによって、
前記神経学的活動データの前記値のうちの1つまたは複数を前記比較、破棄または無視することに基づいて、
かつ前記神経学的活動データの残りの値から少なくとも1つの局所的な極大を計算することによって、
前記神経学的データを前処理することをさらに備える、請求項7記載の方法。
【請求項15】
ディスプレイ上に前記少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現を提供することをさらに備える、請求項7記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのメトリックの前記グラフィック表現は、脳の画像にオーバーレイされる3次元(3D)ソースローカリゼーションのノードを備える、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ノードのサイズは、前記最大振幅投影の値または前記ノードに対する前記ノード訪問頻度の値に比例する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ノードの陰影、色またはそれらの組み合わせは、前記ノードの前記最大振幅投影、前記ノード訪問頻度、または前記ノード遷移極性の値を示す、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記グラフィック表現は、前記3Dソースローカリゼーションの第2のノードと、前記ノードと前記第2のノードとの間の矢印とをさらに備え、前記矢印の方向は、前記ノードと前記第2のノードとの間の局所的な極大の遷移を示す、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記矢印の陰影、色またはそれらの組み合わせは、分析時間窓にわたる前記遷移の頻度を示す、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、ディスプレイ上にレポートを提供することをさらに備えており、前記レポートは、前記少なくとも1つのメトリックの1つまたは複数のグラフィック表現を備えている複数のコンテンツを備えており、前記神経学的活動データのタイムライン、1つもしくは複数の統計値、1つもしくは複数の付加的なパラメータ、またはそれらの組み合わせをさらに備えている、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮出願第63/156,040号の優先権を主張するものであり、この仮出願は、任意の目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書に記述される例は、概して、神経学的活動データの処理、分析および提供に関する。
【0003】
背景
神経学的活動に関するデータは、様々な方法によって被験者から収集され得る。たとえば、複数のプローブ(たとえば、電極)を被験者の頭皮に適用することによって、脳波検査(EEG)データを取得することができる。幾つかの用途においては、電極(たとえば、チャネル)の数は19であってよい。しかし、他の用途では他の数のプローブが使用されてよい。被験者の脳内の電気信号が、プローブによって測定されてよい。電気信号は、神経学的活動を示すことができる。幾つかの用途において、電気信号は、経時的に測定されてよい。
【0004】
EEGデータは、2次元(2D)でプロットされてよい。たとえば、各プローブによって測定された電気信号が経時的にプロットされてよい。各プロットは、トレースと称され得る。2DのEEGトレースの例が、
図1の画像Aに示されている。発作を認識し、発作の特徴を決定するために、2DのEEGトレース(たとえば、経時的な電気信号の大きさのプロット)を読むこと、たとえば発作の基礎となる神経活動を推定することは、数年の訓練を要する。専門家であっても、典型的には、EEGデータのみから神経活動(たとえば、発作)の正確な場所を特定することはできない。これによって、EEGトレースの診断および検査値が制限される。
【0005】
概要
本明細書で開示される例によれば、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度および/またはノード遷移極性などの様々なメトリック(パラメータとも称される)を計算するために、脳波検査データが分析されてよい。これらのメトリックを表示、格納ならびに/または患者の診断、治療計画の決定もしくは調整および/もしくは他の行動を取るために利用することができる。
【0006】
本開示の例によれば、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサにアクセス可能なメモリとを含むことができ、メモリはコンピュータ可読命令で符号化され、コンピュータ可読命令は、実行されると、システムに、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、ノード遷移極性またはそれらの組み合わせを備えている少なくとも1つのメトリックを神経学的活動データから計算させる。幾つかの例では、神経学的活動データは、脳波検査データを備える。
【0007】
幾つかの例では、システムは、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたディスプレイをさらに含んでいてよく、コンピュータ可読命令は、実行されると、さらに、システムに、ディスプレイ上に少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現を提供させる。幾つかの例では、少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現は、脳の画像にオーバーレイされる3次元ソースローカリゼーションのノードを備える。
【0008】
幾つかの例では、システムは、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたディスプレイをさらに含んでいてよく、コンピュータ可読命令は、実行されると、さらに、システムに、ディスプレイ上にレポートを提供させる。ここで、このレポートは、少なくとも1つのメトリックの1つまたは複数のグラフィック表現を備えている複数のコンテンツを備え、神経学的活動データのタイムライン、1つもしくは複数の統計値、1つもしくは複数の付加的なパラメータまたはそれらの組み合わせをさらに備える。幾つかの例では、システムは、ユーザ入力を受け取るように構成されている入力装置をさらに含んでいてよく、ユーザ入力は、複数のコンテンツのうちのどのコンテンツがレポートに含まれているかを示す。
【0009】
幾つかの例では、方法は、神経学的活動データを受け取ること、および神経学的活動データから、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、ノード遷移極性またはそれらの組み合わせを備えている少なくとも1つのメトリックを計算することを含んでいてよい。幾つかの例では、神経学的活動データは、複数のノードを備えている3次元(3D)ソースローカリゼーションを備えており、複数のノードのうちの個々のノードは、脳の一部に対応する。
【0010】
幾つかの例では、複数のノードのうちの1つのノードの最大振幅投影を計算することは、複数のノードのうちのこのノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を見出すこと、および複数のノードのうちのこのノードが局所的な極大としてラベル付けされた回数から局所的な極大の極大値を決定することを含んでいてよい。
【0011】
幾つかの例では、複数のノードのうちの1つのノードに対するノード訪問頻度を計算することは、複数のノードのうちのこのノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を計数すること、およびこの回数を分析時間窓の持続時間によって除算することを含む。
【0012】
幾つかの例では、ノード遷移頻度を計算することは、分析時間窓内の複数のノードの第1の局所的な極大ノードと第2の局所的な極大ノードとの間の遷移の数を計数し、この回数を分析時間窓の持続時間で除算することを含む。
【0013】
幾つかの例では、複数のノードの1つのノードに対するノード遷移極性を計算することは、複数のノードのうちの1つまたは複数のノードから、複数のノードのうちのこのノードに遷移した局所的な極大の第1の回数を計数すること、複数のノードのうちのこのノードから、複数のノードのうちの1つまたは複数のノードに遷移した局所的な極大の第2の回数を計数すること、および第1の回数と第2の回数との差を取ることを含む。幾つかの例では、複数のノードうちのこのノードは、第1の回数が第2の回数よりも多いときに内向き極性を有し、複数のノードのうちのこのノードは、第2の回数が第1の回数よりも多いときに外向き極性を有する。
【0014】
幾つかの例では、この方法は、神経学的活動データの値を閾値と比較することによって、神経学的活動データの値のうちの1つまたは複数を比較、破棄または無視することに基づいて、かつ神経学的活動データの残りの値から少なくとも1つの局所的な極大を計算することによって、神経学的データを前処理することをさらに含んでいてよい。
【0015】
幾つかの例では、この方法は、ディスプレイ上に少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現を提供することをさらに含んでいてよい。幾つかの例では、少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現は、脳の画像にオーバーレイされる3次元(3D)ソースローカリゼーションのノードを備える。幾つかの例では、ノードのサイズは、最大振幅投影の値またはノードに対するノード訪問頻度の値に比例する。幾つかの例では、ノードの陰影、色またはそれらの組み合わせは、ノードの最大振幅投影、ノード訪問頻度またはノード遷移極性の値を示す。幾つかの例では、グラフィック表現は、3Dソースローカリゼーションの第2のノードと、上述のノードと第2のノードとの間の矢印とをさらに備え、矢印の方向は、上述のノードと第2のノードとの間の局所的な極大の遷移を示す。幾つかの例では、矢印の陰影、色またはそれらの組み合わせは、分析時間窓にわたる遷移の頻度を示す。
【0016】
幾つかの例では、この方法は、ディスプレイ上にレポートを提供することをさらに含んでいてよく、このレポートは、少なくとも1つのメトリックの1つまたは複数のグラフィック表現を備えている複数のコンテンツを備えており、神経学的活動データのタイムライン、1つもしくは複数の統計値、1つもしくは複数の付加的なパラメータ、またはそれらの組み合わせをさらに備えている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本開示の例によるEEGデータの視覚化の例を示す図である。
【
図1B】本開示の例によるEEGデータの視覚化の例を示す図である。
【
図1C】本開示の例によるEEGデータの視覚化の例を示す図である。
【
図2】本開示の例による、種々の時点における同じ被験者からの2つの例示的な3Dソースローカリゼーションを示す図である。
【
図3】本開示の例による、閾値が設定された3Dソースローカリゼーションの例を示す図である。
【
図4】本開示の例による、3Dソースローカリゼーションにおいて識別された局所的な極大の例を示す図である。
【
図5】本開示の例による、ノードの最大振幅投影の例示的な計算を図解で示す図である。
【
図6】本開示の例による、発作の最大振幅投影の結果の例を示す図である。
【
図7】本開示の例による、ノードのノード訪問頻度の例示的な計算を図解で示す図である。
【
図8】開示の例による、発作の例示的なノード訪問頻度の結果を示す図である。
【
図9】本開示の例による、3つのノードについてのノード遷移頻度の例示的な計算を図解で示す図である。
【
図10】開示の例による、発作の例示的なノード遷移頻度の結果を示す図である。
【
図11A】本開示の例による、ノードについてのノード遷移極性の例示的な計算を図解で示す図である。
【
図11B】本開示の例による、ノードについてのノード遷移極性の例示的な計算を図解で示す図である。
【
図12】開示の例による発作の例示的なノード遷移極性の結果を示す図である。
【
図13】本開示の例による、EEGデータと共に示されたソースローカリゼーションデータを表示する例示的なユーザインタフェースを示す図である。
【
図14】本開示の例による、EEGデータと共に示された最大振幅投影を表示する例示的なユーザインタフェースを示す図である。
【
図15】本開示の例による、EEGデータと共に示されたノード訪問頻度を表示する例示的なユーザインタフェースを示す図である。
【
図16】本開示の例による、EEGデータと共に示されたノード遷移頻度を表示する例示的なユーザインタフェースを示す図である。
【
図17】本開示の例による、レポートにおける発作分析概要を表示する例示的なユーザインタフェースを示す図である。
【
図18】本開示の例に従って配置されたシステムを概略的に示す図である。
【
図19】本開示の例にしたがった方法のフローチャートを示す図である。
【0018】
詳細な説明
記述された実施形態の十分な理解を提供するために、特定の詳細を以降に記載する。ただし、それらの特定の詳細がなくても実施形態を実行することができることは当業者に自明であろう。幾つかの事例では、記述された実施形態が不必要に目立たなくなることを回避するために、よく知られているEEG技術およびシステム、回路、コントロール信号、タイミングプロトコルならびに/またはソフトウェアオペレーションは、詳細には示されていない。
【0019】
上述のように、複数のプローブ(たとえば、電極)を被験者の頭皮に適用することによって、脳波検査(EEG)データを取得することができる。幾つかの用途では、被験者の脳および/または他のプローブに対する、これらのプローブの場所が既知であり得る。これらのプローブによってEEGデータとして記録された電気信号は、神経学的活動(たとえば、脳における電気的活動または電気化学的活動)を示し得る。次いで、収集されたEEGデータが、様々な技術によって視覚化され得る。
【0020】
図1は、本開示の例による、EEGデータの視覚化の例を示す。最初に、上述のように複数のプローブからEEGデータを取得する。EEGデータは、各プローブによって経時的に取得された電気信号を含む。各プローブによって検出および記録された電気信号の2Dプロット100の例が、
図1の画像Aに示されている。しかし、上述のように、基礎となる神経学的活動を理解するためのプロット100のEEGトレースの読み取りは困難であり、時間を要する。
【0021】
各プローブによって記録された電気信号は、様々な領域における電気信号の強度を示す頭皮の輪郭マップを生成するために使用されてよい。例示的な輪郭マップ104が、
図1の画像Bに示されている。輪郭マップ104は、鉛直線102によって示された時点で、プロット100におけるEEGデータから生成されたものである。点106は、被験者の頭皮上のプローブの場所を示す。輪郭線108は、高さの変化の勾配を示すトポグラフィカルマップの上の輪郭と同様に、電気信号の強度の変化の勾配を示す。幾つかの輪郭マップ、たとえば輪郭マップ104では、記録された電気信号の強度および/または極性を示すために、種々の色調および/または色における陰影が使用されてよい。輪郭マップ104は、被験者の頭部の表面に外挿される、プロット100におけるデータの直感的なビューを提供するが、電気的活動に関与する脳の部分の一般的な理解しか得られないだろう。
【0022】
電気信号(たとえば、プロット100に示された電気信号)および場所に少なくとも部分的に基づいて、電気信号が、脳内の1つまたは複数の場所に局在化されてよい(たとえば、脳信号の起源の場所が決定されてよい、かつ/または推定されてよい)。これらの場所を、ソースローカリゼーションノードまたは単にノードと称することができる。たとえば、ノードは脳の一部に関するものであってよい。任意のサイズ部分を使用してノードを構成することができる。これらのノードは、被験者の脳内の場所に対応する3次元(3D)グリッドを形成し得る。幾つかの例では、3Dグリッドは、場所が3つの軸線(たとえば、x軸線、y軸線、z軸線)を参照して記述されるデカルトグリッドであってよい。しかし、他の例では、他のグリッド/座標系が使用可能である。3Dグリッドにおけるノードのサイズ、ノードの数および/またはノード間の距離は、1つまたは複数の要因に基づいていてよい。例示的な要因として、EEGプローブの感度および/または特異性、EEGプローブの数、ならびにEEGデータの信号対雑音比が挙げられるが、これらに限定されない。3Dグリッドの各ノードは、3D(ボリューム)EEGデータセットを形成するために、このノードに帰属する電気信号(たとえば、大きさ、極性)に関連付けられた1つまたは複数の値を有し得る。
【0023】
3Dデータセットは、視覚化のための画像としてレンダリングされてよい。3Dデータセットおよび/または結果として生じる画像は、3Dソースローカリゼーションと称され得る。幾つかの例では、3Dソースローカリゼーションは、脳の画像上のオーバーレイとしてレンダリングされてよい。これによって、どのノードが脳のどの領域に対応するかについての視覚的なガイドを提供することができる。幾つかの例では、3Dソースローカリゼーションの視覚化を可能にするために、脳が半透明にレンダリングされてよい。幾つかの例では、脳の画像は、モデルから、または被験者から取得した画像(たとえば、コンピュータ断層撮影、MRI)からレンダリングされてよい。ソースローカリゼーション110の例が、
図1の画像Cに示されている。ソースローカリゼーション110は、鉛直線102によって示された時点で、プロット100におけるEEGデータから生成されたものである。ノード112は、個々の立方体によって示されている。しかし、他の例では、他の形状を使用して、ノード112が視覚化されてよい(たとえば、球体、不規則な形状の体積体)。幾つかの例では、記録された電気信号の強度および/または極性を示すために、ノード112に種々の色調および/または色が使用されてよい。
図1に示されているソースローカリゼーション110は上から見た図であるが、ソースローカリゼーション110は、複数の角度および/または場所から見ることができる3Dデータセットであってよい(たとえば、3Dデータセットのより近くまたはより遠くに生成されたビュー、3Dデータセット内から生成されたビュー、3Dデータセットの体積体の「切片」のビューなど)。
【0024】
4次元(4D)のEEGデータは、3DのEEGデータの経時的な観察に関するものである。たとえば、3D画像は、1つの時点に対する各ノードにおける電気信号を示していてよく、4DのEEGデータは一連の3D画像であってよく、各3D画像は、種々の時点における電気的活動を表す。幾つかの例では、各時点は、各ノードに対する電気信号が合計される、平均されるまたはその他の方法で組み合わされる期間(たとえば、マイクロ秒、ミリ秒、秒)であってよい。4DのEEGデータによって、ソースローカリゼーション(たとえば、4Dソースローカリゼーション)、たとえば発作源ローカリゼーションを視覚化することができ、これは、発作が始まり、脳内を移動する場所を記述する。
図2は、本開示の例による、種々の時点における同じ被験者からの2つの例示的な3Dソースローカリゼーションを示す。時点0および時点1における2つの3Dソースローカリゼーション200,202は、それぞれ、4D発作源ローカリゼーションまたは4D発作源ローカリゼーションの一部を表すことができる。
図2に示されている例では、種々の陰影が、個々のノードに属する電気信号を示すために使用されている。複数のノードの陰影は時点0から時点1まで変化し、これは、脳内の種々の場所における電気的活動が経時的にどのように変化するかを示す。
【0025】
4D発作源ローカリゼーションは、2DのEEGトレースと比べて、より直感的で理解しやすい場合がある。しかし、理解可能な4D視覚化を生成するためには、時間範囲、画角、視距離および表示閾値に対する適切な値が必要となる。幾つかの用途では、ユーザが適切な値を経験的に見出すことが必要となる場合がある。これによって、4D発作源ローカリゼーションデータの準備および読み出しに時間かかることがある。
【0026】
本開示の実施形態によれば、4D発作源ローカリゼーションを要約する1つまたは複数のメトリックが計算されてよい。幾つかの用途では、これによって、4D発作源ローカリゼーションを生成する、かつ/または解釈するのに要する時間を短縮することができる。本明細書に開示される例によれば、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度および/またはノード遷移極性などの1つまたは複数のメトリックを計算するために、被験者から取得されたEEGデータ(たとえば、経時的に1つまたは複数の電極によって記録された電気信号のトレース)が分析されてよい。次いで、これらのメトリックが、テキスト、チャート、生成された画像、またはそれらの組み合わせなどによって様々なフォーマットで提供されてよい。メトリックは、診断のため、治療を決定および/もしくは調整するため、ならびに/または他の措置を講じるために使用されてよい。
【0027】
本明細書に開示されている例はEEGデータに関するものであるが、これは単に例示のためのものであり、実施形態はEEGデータに限定されない。本明細書に開示されている技術の一部または全部を、脳内の場所に関連付け可能な他の神経学的活動データ、たとえば、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)データ、皮質脳波検査データ、脳磁図データ、近赤外分光法データ、および事象関連光信号データに適用することができる。さらに、本明細書に開示されている例は、発作のローカリゼーションに関するものであるが、本明細書に開示されている技術の一部または全部は、他の神経活動(たとえば、刺激に対する応答、治療に対する応答)のローカリゼーションに適用され得る。
【0028】
幾つかの例では、4D発作源ローカリゼーションのデータ、すなわち、各時点に対する3Dデータセットが前処理されてよい。前処理は、幾つかの例では、複数の時点での個々のソースローカリゼーションに対する局所的な極大の計算を含んでいてよく、幾つかの例では、個々の時点での個々のソースローカリゼーションに対して、複数の局所的な極大が存在していてよい。幾つかの例では、局所的な極大は、ノードにおける電気信号の振幅、大きさ、極性、頻度またはそれらの組み合わせに基づいていてよい。幾つかの例では、ユーザが、局所的な極大の極小値に対する閾値を設定してよい。換言すれば、神経学的データは、神経学的データの値を閾値と比較することによって前処理されてよい。この比較に基づいて、神経学的データの一部が破棄または無視されてよい。残りの(廃棄または無視されていない)データから、神経学的データの局所的な極大が計算され得る。
【0029】
図3は、本開示の例による、閾値が設定された3Dソースローカリゼーションの例を示す。閾値が設定された3Dソースローカリゼーション300,302は、それぞれ、局所的な極大の極小値に基づいて、
図2に示されている3Dソースローカリゼーション200,202から生成される。
図3に示されている例では、3Dソースローカリゼーション300は、局所的な極大の極小値を満たすかまたはそれを上回る領域304を含んでおり、3Dソースローカリゼーション302は、陰影が付けられた部分によって示されている局所的な極大の極小値を満たすかまたはそれを上回る領域306および308を含んでいる。幾つかの例では、局所的な極大の極小値を満たしていないまたはそれを上回っていない局所的な極大に関連するデータが、さらなる計算において廃棄または無視されてよい。
【0030】
図4は、本開示の例による、3Dソースローカリゼーションにおいて識別された局所的な極大の例を示す。3Dソースローカリゼーション400,402は、それぞれ、
図3に示されている、閾値が設定されている3Dソースローカリゼーション300,302から生成される。強調表示されたノード404は領域304の局所的な極大を示し、強調表示されたノード406および408はそれぞれ領域306および308の局所的な極大を示す。
【0031】
幾つかの例では、
図3および
図4を参照して記述された前処理などの前処理の後、様々なメトリックが計算されてよい。メトリックの計算の結果のグラフィック表現は、1つまたは複数の画像として表示されてよい。たとえば、4Dソースローカリゼーションのノードに対応する1つまたは複数のノードを、球体、立方体または画像における他のグラフィック表現として提供することができる。ノードは、ソースローカリゼーションの3Dグリッド全体と共に表示される場合には、ノードの場所に対応する場所で、画像内に位置していてよい。幾つかの例では、ノードは、脳の画像上にオーバーレイされてよい。脳の画像は、被験者の脳または脳モデルのレンダリングであってよい。
【0032】
幾つかの例では、4Dソースローカリゼーションのために最大振幅投影が計算されてよい。最大振幅投影は、たとえば発作中の様々な時点にわたり、大きな振幅の電気信号を有する脳の領域を示すことができる。最大振幅投影は、時間にわたる3Dソースローカリゼーションの個々のソースローカリゼーションノードを分析することによって計算されてよい。3Dソースローカリゼーションを分析する期間(たとえば、分析時間窓)は、4Dソースローカリゼーションによってカバーされる期間の全体(たとえば、EEGトレースが取得された期間の全体)またはこの期間のサブセットに及んでいてよい。分析時間窓の例には、1ミリ秒、5ミリ秒、10ミリ秒、20ミリ秒、50ミリ秒、100ミリ秒、1秒および30秒が含まれる。他の例では、他の分析時間窓が使用されてよい。
【0033】
ノードが、分析時間窓内で少なくとも1回、局所的な極大点としてラベル付けされた場合(たとえば、ノード404,406,408)、最大振幅投影は、分析窓内のこのノードの最大ソースローカリゼーション振幅を出力するだろう。ノードが分析時間窓内で局所的な極大として一回もラベル付けされなかった場合、このノードには出力は提供されないだろう。幾つかの実施形態では、最大振幅投影の出力は、3Dソースローカリゼーションに使用される単位と同じ単位を有していてよい(たとえば、標準化された低解像度脳電磁トモグラフィ(sLORETA)ソースローカリゼーションに対する任意単位、ミニマルノルム推定(MNE)ソースローカリゼーションに対するピコアンペア-メータ(pA-m))。
【0034】
図5は、本開示の例による、ノードの最大振幅投影の例示的な計算を図解で示す。ノード500は、分析時間窓内の時点0ミリ秒、10ミリ秒、15ミリ秒および20ミリ秒で、局所的な極大としてラベル付けされている。局所的な極大の場合のノード500の値は、それぞれ0.5、1.5、0.9および1.2である。分析時間窓内のノード500の極大値は、時点10ミリ秒で生じる1.5である。したがって、ノード500に対する最大振幅投影の出力は、1.5である。
図5の例示的な計算は1つのノードに対するものであるが、示された手順が、分析時間窓内で少なくとも1回、全てのノード、または局所的な極大としてラベル付けされた全てのノードに対して実行されることが理解される。
【0035】
図6は、本開示の例による、発作の最大振幅投影の結果の例である。結果600は、同じ脳の左面、右面、後面、前面、下面および上面のビューに示されている(L:脳の左側、R:脳の右側)。
図6に示されている例では、ノード602のサイズは、その値(たとえば、最大振幅)に二次的に比例しており、ノード602の陰影は、凡例604によって示されたその値に対応している。しかし、他の例においては、最大振幅投影の値を伝えるための他の視覚化技術が使用されてよい(たとえば、色、形状、数値を示すテキスト)。
【0036】
最大振幅が記述されているが、(たとえば、ユーザが選択した閾値に基づいて)他の振幅投影を同様に計算することができる。最大振幅投影は、特定の神経事象(たとえば、発作)の間の、強さおよび/または最も反応性の高い脳領域に関する情報を提供することができる。
【0037】
幾つかの例では、4Dソースローカリゼーションのために、ノード訪問頻度を計算することができる。ノード訪問頻度は、ある期間中に頻繁にアクティブである脳領域を示すことができる。ノード訪問頻度は、神経学的事象中に脳のどの領域が最も頻繁に活動しているかについて洞察を提供することができる。ノード訪問頻度は、局所的な極大に関連付けられているソースローカリゼーションノードなどのソースローカリゼーションノードに対して、与えられた分析時間窓全体にわたって、計算されてよい。個々のソースローカリゼーションノードに対して、このノードが局所的な極大としてラベル付けされている回数を計数することができる。幾つかの例では、出力は、計数(たとえば、訪問)の数であってよい。幾つかの例では、この数は、次に、分析時間窓の持続時間によって除算されてよい。これらの例では、出力は、単位時間(たとえば、ミリ秒、秒)あたりの計数の単位を有していてよい。
【0038】
図7は、本開示の例による、ノードのノード訪問頻度の例示的な計算を図解で示す。ノード700は、20ミリ秒の持続時間を有する分析時間窓内で、時点0ミリ秒、10ミリ秒、15ミリ秒および20ミリ秒で、局所的な極大として4回ラベル付けされている。回数(4)は、200計数/秒のノード訪問頻度に対して、分析時間窓の持続時間(0.02秒)で除算される。
【0039】
図8は、開示の例による、発作の例示的なノード訪問頻度の結果を示す。例示的な結果800を生成するために使用される発作は、例示的な結果600を生成するために使用される発作と同じである。結果800は、同じ脳の左面、右面、後面、前面、下面および上面のビューに示されている。ノード802のサイズは、その値(たとえば、計数/秒)に二次的に比例しており、ノード802の陰影は、凡例804によって示されたその値に対応している。しかし、他の例においては、ノード訪問頻度の値を伝えるための他の視覚化技術が使用されてよい。たとえば、値を示すテキストが、ノードの中にまたはノードの隣に提供されてよい。
【0040】
幾つかの例では、ノード遷移頻度を、4Dソースローカリゼーションに対して計算することができる。ノード遷移頻度は、ノード、特に頻繁にアクティブになるノードがアクティブになる順序を示し得る。ノードがアクティブになるシーケンスは、種々の脳領域がどのように相互作用し、かつ/または接続されているかに関する情報を提供することができる。たとえば、発作および/もしくは他の望ましくない神経学的事象の強さの抑制または低減のための2つの領域間のコミュニケーションの中断など、潜在的な治療目標に関する洞察を提供することもできる。ノード遷移頻度は、分析時間窓にわたって、ソースローカリゼーションノード、たとえば局所的な極大に対して計算されてよい。
【0041】
特性が複数の時点の間にあるノードから別のノードへと変化する場合はノード遷移である。たとえば、ある時点での局所的な極大ノードが、異なる時点での局所的な極大ノードと異なる場合、この局所的な極大に関連付けられている活動は、あるノードから別のノードへの「遷移」と言われる。ノード遷移接続は、第1の時点のあるノード(たとえば、ある局所的な極大ノード)から第2の時点の別のノード(たとえば、別の局所的な極大ノード)への遷移である。この接続は、矢印によって示され、この矢印は第1の時点のノードで始まり、第2の時点のノードで終わる。1つまたは複数の時点で複数のノード(たとえば、複数の局所的な極大)が存在する場合、最短のユークリッド距離を有する2つのノードが接続されるだろう。たとえば、ノードAおよびノードBは、時点0における局所的な極大であり、ノードCおよびノードDは、時点1における局所的な極大である。ノードAが(ユークリッド距離に基づいて)ノードDよりもノードCに近く、かつノードAがノードBよりもノードCに近い場合、ノードAとノードCとの間に矢印が引かれるだろう。同じノードが両方の時点で存在する場合(たとえば、両方の時点での複数の局所的な極大である場合)、このノードと別のノードとの間に矢印は引かれないだろう。
【0042】
遷移を示す矢印を提供する他に、ノード遷移頻度の数値結果が提供されてよい。分析時間窓の全ての時点を分析した後、分析時間窓内であるノードから別のノードへの遷移が発生した回数が計数される。結果は、計数(たとえば、遷移)の数であってよい。幾つかの例では、この回数が、分析時間窓の持続時間によって除算されてよく、この結果は、時間によって除算された計数の数であってよい(計数/秒)。
【0043】
図9は、本開示の例による、3つのノードについてのノード遷移頻度の例示的な計算を図解で示す。
図9に示されている例は、3つのノードを含んでいるが、他の例では、他の数のノードが使用されてよい(たとえば、2つ、4つ、5つなど)。第1のノード900は、時点0ミリ秒および10ミリ秒において局所的な極大としてラベル付けされている。ノード900とは異なる脳領域に対応する第2のノード902は、時点15ミリ秒で局所的な極大としてラベル付けされている。ノード900および902とは異なる脳領域に対応する第3のノード904は、時点20ミリ秒で局所的な極大としてラベル付けされている。図解による結果と数値的結果との両方が、ノード遷移頻度に対して提供され得る。画像910に示されているように、矢印906は、時点10ミリ秒~15ミリ秒の間のノード900からノード902への局所的な極大の遷移を示しており、矢印908は、時点15ミリ秒~20ミリ秒の間のノード902から904への局所的な極大の遷移を示している。矢印の方向は、遷移の時間的順序を示す。たとえば、初期の局所的な極大はノード900であり、その後、局所的な極大はノード902であった。したがって、矢印の起点はノード900にあり、矢印の先端はノード902にある。
【0044】
付加的に、ノード900とノード902との間の遷移の数が計数され(1)、分析時間窓(0.02秒)で除算されて、ノード遷移頻度の数値(100計数/秒)が提供される。この数値は、ノード902とノード904との間のノード遷移頻度に対しても提供され、これは、この例では、偶然にも、ノード900とノード902とのノード遷移頻度と同じである(100計数/秒)。しかし、別の例では、異なるノード間でのノード遷移頻度は異なっていてよい。
【0045】
図10は、開示の例による、発作の例示的なノード遷移頻度の結果を示す。例示的な結果1000を生成するために使用される発作は、例示的な結果600を生成するために使用される発作と同じである。結果1000は、同じ脳の左面、右面、後面、前面、下面および上面のビューに示されている。矢印1002は、1つまたは複数の遷移に関与するノードを示しており、矢印の方向は、ノード遷移の時間的順序を示している。
図10に示されている例では、矢印の陰影は、凡例1004によって示されたノード遷移頻度の数値を示す。しかし、他の例においては、ノード遷移頻度の値を伝えるための他の視覚化技術が使用されてよい。たとえば、頻度が、矢印の上にテキストとして提供されてよい。
【0046】
幾つかの例では、ノード遷移極性が、4Dソースローカリゼーションに対して計算されてよい。ノード遷移極性は、少なくとも部分的にノード遷移頻度に基づいていてよい。ノード遷移極性は、活動遷移中の脳領域の平均内向き極性/外向き極性に関する情報を提供し得る。すなわち、ノード遷移極性は、脳領域が他の脳領域からの入力の「受け取り側」であることがより多いのか、または他の脳領域への出力の「送り側」であることがより多いのかを示すことができる。幾つかの事例では、この脳領域が送り側である場合、他の脳領域において活動がトリガされてよく、この脳領域が受け取り側である場合、他の脳領域からの入力に応答して活動が示されてよい。また、たとえば、脳領域が発作および/もしくは他の望ましくない神経学的事象の強さの抑制または低減のための信号を送信および/または受信することを防止する、潜在的な治療目標に関する洞察が提供されてよい。
【0047】
図9および
図10を参照して記述されたような、ノード遷移頻度計算の計算中に矢印によって別のノードに接続された各ノードについて、このノードへの矢印(たとえば、別のノードからこのノードへ遷移した活動)の回数が計数されてよく、かつこのノードからの矢印(たとえば、このノードから別のノードへ遷移した活動)の回数が計数されてよい。正または負の値を矢印の方向に割り当てることができる。たとえば、このノードへの矢印は正であってよく、このノードからの矢印は負であってよい。矢印(たとえば、接続)の総数を合計することができる。このノードの全ての接続の合計が正である(たとえば、このノードへの矢印がより多い)場合、このノードの極性は内向きであってよい。このノードの全ての接続の合計が負である(たとえば、このノードからの矢印がより多い)場合、このノードの極性は外向きであってよい。
【0048】
図11は、本開示の例による、2つのノードについてのノード遷移極性の例示的な計算を図解で示す。ノード1100が、ノード遷移頻度の以前の計算の間に、あるノード(図示せず)に12回遷移し、ノード遷移頻度の以前の計算の間に、3つのノード(図示せず)から1回、5回および10回遷移したことが見出された。したがって、ノード1100は、合計12個の出発接続および16個の到来接続を有していた。12から16を減算すると-4になる。したがって、ノード1100は、大きさ4の内向き極性を有する。
【0049】
ノード1102が、ノード遷移頻度の以前の計算の間に、あるノード(図示せず)に12回遷移し、別のノード(図示せず)に3回遷移し、ノード遷移頻度の以前の計算の間に、2つのノード(図示せず)から1回および4回遷移したことが見出された。したがって、ノード1102は、合計で15個の出発接続および5個の到来接続を有していた。15から5を減算すると10になる。したがって、ノード1102は、10の大きさの外向き極性を有する。
【0050】
図12は、本開示の例による発作の例示的なノード遷移極性の結果を示す。例示的な結果1200を生成するために使用される発作は、例示的な結果600を生成するために使用される発作と同じである。結果1200は、同じ脳の左面、右面、後面、前面、下面および上面のビューに示されている。
図12に示されている例では、ノードの陰影は、凡例1204に従った、その極性および大きさを示す。しかし、他の例においては、ノード遷移極性の値を伝えるための他の視覚化技術が使用されてよい。たとえば、異なる極性および/または大きさのために、異なる色が使用されてよい。別の例では、異なる極性に対して異なる形状が使用されてよい(たとえば、内向き極性については「×」、外向き極性については「〇」)。
【0051】
最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度および/またはノード遷移極性などの様々なメトリックを、4Dソースローカリゼーションから計算することができ、その結果を、数値的に、かつ/または
図5~
図12を参照して記述したように、画像として提供することができる。メトリックおよびその視覚化からのデータが、ユーザインタフェースを介して提供され得る。幾つかの例では、メトリックのデータおよび視覚化が、2DのEEGプロット(たとえば、プロット100)、輪郭マップ(たとえば、輪郭マップ104)、3Dソースローカリゼーション(たとえば、3Dソースローカリゼーション110)、4Dソースローカリゼーション(たとえば、ソースローカリゼーション200,202)またはこれらの組み合わせなどの他のデータと同時に、ユーザインタフェース上に表示されてよい。ユーザインタフェースは、コンピューティング装置と共に含まれていてよい、かつ/またはコンピューティング装置と通信してよい。たとえば、ユーザインタフェースは、コンピューティング装置のスクリーンまたはタッチスクリーン上に提供されてよい。
【0052】
図13は、本開示の例による、EEGデータと共に示されたソースローカリゼーションデータを表示する例示的なユーザインタフェースである。ユーザインタフェース1300は、経時的なEEGトレースのプロット1302ならびに被験者の頭皮のグラフィック描画1304を提供し、このグラフィック描画1304には、頭皮での、種々の期間(たとえば、1秒ごと)にわたる電気信号の最大偏差および/または標準偏差を示す色勾配がオーバーレイされている。このグラフィック描画1304は、
図1の輪郭マップ104と類似している。ボックス1306において、モデル脳の3Dレンダリングが、3Dソースローカリゼーションがオーバーレイされて示されており、これは、様々なユーザコントロールに加えて、脳の表面上の脳の電気的活動のソースローカリゼーション推定を示すために色勾配を有している。これは、
図1の3Dソースローカリゼーション110、
図2のソースローカリゼーション200および202と類似している。色勾配は、脳内の電気的活動が変化するのに応じて、種々の時点で変化し得る。したがって、3Dレンダリングは、幾つかの事例では、静的な画像ではなく、4Dソースローカリゼーションを提供するために、経時的な一連の画像(たとえば、シーケンス、動画)であってよい。ユーザコントロールによって、ユーザは様々な表示機能、たとえば動画の速度、表示されるソース値の閾値、脳の透明度、表示ボクセルサイズなどをコントロールすることができる。ボックス1306の下方には、最大振幅投影1308の視覚化が提供されている。最大振幅投影1308は、ノードを表す円がオーバーレイされて示されたモデル脳の付加的な3Dレンダリングを含んでおり、ここでこれらのノードは、様々なノードに対する最大振幅投影のために計算された値を定性的に示すために色分けされている。ソースローカリゼーション推定と同様に、ノードおよび/またはそれらの色分けは、種々の持続時間(たとえば、1秒ごと、発作全体またはユーザが選択した関心時間範囲中)の間に変化する可能性があり、動画として提供されてもよい。最大振幅投影1308は、幾つかの例では、
図5および
図6を参照して記述したように生成されてよい。
【0053】
ユーザは、ユーザインタフェースを介して入力を提供することによって、提供されたデータの一部または全部を選択することができる。
【0054】
図14は、本開示の例による、EEGデータと共に示された最大振幅投影を表示する例示的なユーザインタフェースである。
図13と同様に、ユーザインタフェース1400は、経時的なEEGトレースのプロット1402ならびに被験者の頭皮のグラフィック描画1404を提供し、このグラフィック描画1404には、頭皮での、種々の期間にわたる電気信号の最大偏差および/または標準偏差を示す色勾配がオーバーレイされている。ボックス1408によって示されているように、モデル脳の3Dレンダリングが、ノードを表す円によってオーバーレイされて示されており、ここでこれらのノードは、様々なノードに対する最大振幅投影のために計算された値を定性的に示すために色分けされている。ノードおよび/またはそれらの色分けは、種々の時点に対して変化する可能性があり、したがって3Dレンダリングは、フレームごとに、かつ/または動画として観察される、経時的な一連の画像であってよい。ユーザコントロールによって、ユーザは様々な表示機能、たとえば動画の速度、表示される最大振幅値の閾値、脳の透明度、ボクセルサイズなどをコントロールすることができる。
【0055】
図15は、本開示の例による、EEGデータと共に示されたノード訪問頻度を表示する例示的なユーザインタフェースを示す。ユーザインタフェース1500は、
図13および
図14と同様に、経時的なEEGトレースのプロット1502ならびに被験者の頭皮のグラフィック描画1504を提供し、このグラフィック描画1504には、頭皮での、種々の期間にわたる電気信号の最大偏差および/または標準偏差を示す色勾配がオーバーレイされている。ボックス1508によって示されているように、モデル脳の3Dレンダリングが、ノードを表す円によってオーバーレイされて示されており、ここでこれらのノードは、様々なノードに対するノード訪問頻度のために計算された値を定性的に示すために色分けされている。ノードおよび/またはそれらの色分けは、種々の時点に対して変化する可能性があり、したがって3Dレンダリングは、フレームごと、かつ/または動画としての観察のために提供され得る、経時的な一連の画像であってよい。幾つかの例では、
図7および
図8を参照して記述したようにノード訪問頻度が計算されていてよい。ユーザコントロールによって、ユーザは様々な表示機能、たとえば動画の速度、表示されるノード訪問頻度(計数/秒)の閾値、脳の透明度、ボクセルサイズなどをコントロールすることができる。
【0056】
図16は、本開示の例による、EEGデータと共に示されたノード遷移頻度を表示する例示的なユーザインタフェースである。ユーザインタフェース1600は、
図13~
図15と同様に、経時的なEEGトレースのプロット1602ならびに被験者の頭皮のグラフィック描画1604を提供し、このグラフィック描画1604には、頭皮での、種々の期間にわたる平均/最大電気信号を示す色勾配がオーバーレイされている。ボックス1608によって示されているように、モデル脳の3Dレンダリングが、ベクトルによってオーバーレイされて示されており、ここでこれらのベクトルは、様々なノード(たとえば、ノードの対)に対するノード遷移頻度のために計算された値を定性的に示すために色分けされている。ベクトルおよび/またはそれらの色分けは、種々の時点に対して変化する可能性があり、したがって3Dレンダリングは、フレームごと、かつ/または動画としての観察のために提供され得る、経時的な一連の画像であってよい。幾つかの例では、
図9および
図10を参照して記述したようにノード遷移頻度が計算されていてよい。ユーザコントロールによって、ユーザは様々な表示機能、たとえば動画の速度、ノード訪問極性の閾値(計数/秒)、脳の透明度、ボクセルサイズなどをコントロールすることができる。
【0057】
図13~
図16は、計算されたパラメータ(たとえば、メトリック)の1つのグラフィック表現のみを示しているが、他の例では、ユーザインタフェースは、ユーザが複数のパラメータを同時に視覚化することを可能にしてよい(たとえば、最大振幅投影とノード訪問頻度との両方のグラフィック表現がユーザインタフェース上に提供されてよい)。さらに、幾つかの例では、ユーザインタフェースは、計算されたパラメータを要約するレポートを提供してよい。
【0058】
図17は、本開示の例による、レポートにおける発作分析概要を表示する例示的なユーザインタフェースを示す。ユーザインタフェース1700は、EEGトレースから計算された1つまたは複数のパラメータの概要をレポート1702として提供する。レポート1702は、てんかん様活動のタイムライン1704、様々な数値統計1706(たとえば、発作の数、平均持続時間、スパイクの数など)、脳の画像にオーバーレイされた、メトリック(たとえば、最大振幅投影、ノード訪問頻度、スパイクグループ)の1つもしくは複数のグラフィック表現1708、他のパラメータ(たとえば、スパイク分布)の1つもしくは複数のチャート1710および/またはそれらの組み合わせを含んでいてよい。幾つかの例では、ユーザは、レポート1702の内容を選択可能であり得る。たとえば、ユーザは、どのコンテンツをレポート1702に含めるかを示すために、1つまたは複数の入力装置を介して入力を提供することができる。
【0059】
幾つかの例では、EEGデータは、コンピューティングシステムによって受け取られ、分析され得る。コンピューティングシステムは、様々なメトリックを計算することができ、計算されたメトリックなどの様々な出力を、コンピューティングシステムに通信可能に結合されたディスプレイに提供することができる。
【0060】
図18は、本開示の例に従って配置されたシステムを概略的に示す図である。システム1800は、コンピューティングシステム1806と、プロセッサ1808と、メトリック/パラメータを計算し、ディスプレイ情報を生成するための実行可能な命令1810と、メモリ1812と、ディスプレイ1814と、ネットワークインタフェース1816とを含む。システム1800は、EEGデータ1802(たとえば、プロット100に示されているようなEEG)を受け取ることができる。他の例では、システム1800に、付加的なコンポーネント、より少ない数のコンポーネントおよび/または他のコンポーネントが含まれていてよい。たとえば、幾つかの例では、システム1800は、EEGデータ1802を取得するためのEEGシステムを含んでいてよい。他の実施形態では、EEGデータ1802は、さらにまたは代替的に、fMRIデータなどの1つまたは複数の他のタイプの神経学的活動データを含んでいてよい。
【0061】
コンピューティングシステム1806は、
図3~
図17を参照して記述したように、1つまたは複数のメトリックを計算するために、かつ/またはたとえば、ディスプレイ1814にメトリックを提供するための表示情報を生成するために、EEGデータ1802を分析してよい。幾つかの例では、メモリ1812は、メトリックを計算し、かつ/またはメトリックの表示情報を生成するための実行可能な命令1810によって符号化されてよい。幾つかの例では、メモリ1812は、テキスト、グラフィックおよび/または他の視覚的情報をディスプレイ1814上に提供することができるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供するための実行可能な命令1810によってさらに符号化されてよい。
【0062】
コンピューティングシステム1806は、1つまたは複数のプロセッサ1808を含んでいてよい。プロセッサ1808をたとえば、1つまたは複数の中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプロセッサ回路を用いて実装することができる。幾つかの例では、プロセッサ1808は、実行可能な命令1810の一部または全部を実行することができる。プロセッサ1808は、メモリ1812と通信することができる。メモリ1812は、一般的に、任意の非一時的なコンピュータ可読媒体(たとえば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュ、ソリッドステートドライブなど)によって実装されてよい。1つのメモリ1812が示されているが、任意の数を使用することができ、これらは、プロセッサ1808と共に、1つのコンピューティングシステム1806に統合されてよい、かつ/または別のコンピューティングシステム内に、プロセッサ1808と通信するように配置されてよい。たとえば、EEGデータ1802は、メモリ1812の1つのコンピュータ可読媒体に含まれていてよく、実行可能な命令1810は、メモリ1812の別のコンピュータ可読媒体に含まれてよい。メモリ1812に含まれる媒体の一部または全部は、プロセッサ1808にアクセス可能であってよい。
【0063】
幾つかの例では、システム1800は、(たとえば、有線接続および/または無線接続を使用して)コンピューティングシステム1806と通信することができるディスプレイ1814を含んでいてよい、またはディスプレイ1814はコンピューティングシステム1806と共に統合されてよい。ディスプレイ1814は、コンピューティングシステムによって計算された1つもしくは複数のメトリック/パラメータ、メトリック/パラメータに基づく1つもしくは複数のグラフィック、EEGデータ1802、および/または1つもしくは複数のGUI要素を表示することができる。たとえば、
図1~
図4、
図6、
図8、
図10および/もしくは
図12~
図17に示したような画像、データおよび/または表示が、ディスプレイ1814に提供されてよい。1つもしくは複数のLED、LCD、プラズマまたは他のディスプレイ装置を含む任意の数のディスプレイまたは様々なディスプレイが存在していてよい。
【0064】
幾つかの例では、システム1800は、ネットワークインタフェース1816を含んでいてよい。ネットワークインタフェース1816は、任意のネットワーク(たとえば、LAN、WAN、インターネット)への通信インタフェースを提供することができる。ネットワークインタフェース1816は、有線および/または無線インタフェース(たとえば、Wi-Fi、BlueTooth、HDMI、USBなど)を使用して実装されてよい。ネットワークインタフェース1816は、EEGデータ1802および/またはコンピューティングシステム1806によって計算されたメトリックを含み得るデータを通信することができる。
【0065】
幾つかの例では、システム1800は、ユーザからの入力を受信するように構成可能な様々な入力装置1818を含んでいてよい。入力装置の例には、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッドおよびタッチスクリーンが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの例では、ディスプレイ1814は、(たとえば、ディスプレイ1814がタッチスクリーンである場合)入力装置であり得る。幾つかの例では、入力装置1818および/またはディスプレイ1814は、ユーザインタフェース1820に含まれていてよく、ユーザインタフェース1820は、少なくとも部分的にグラフィカルユーザインタフェースであってよい。幾つかの例では、ユーザは、入力装置1818のうちの1つまたは複数を介して、コンピューティングシステム1806によって実行されるアクションに入力を提供することが可能であり得る。たとえば、ユーザは、どのメトリックが計算され、かつ/またはディスプレイ1814上にどのようなメトリックが提供されるかを決定するための入力を提供することができる。
【0066】
図19は、本開示の例にしたがった方法のフローチャートである。幾つかの例では、フローチャート1900に示されている方法を、コンピューティングシステム1800などのようなコンピューティングシステムによって、全体的または部分的に実施することができる。
【0067】
ブロック1902では、「神経学的活動データを受け取ること」が実行され得る。幾つかの例では、神経学的活動データは、EEG装置から受け取ったEEGデータであってよい。他の実施形態では、神経学的活動データは、MRIシステムから受け取ったfMRIデータであってよい。他の例では、他のデータタイプを他の装置から受け取ってよい。幾つかの実施形態では、神経学的活動データは、複数のノードを含む3次元(3D)ソースローカリゼーションを含んでいてよく、複数のノードのうちの個々のノードは、脳の一部に対応する。
【0068】
ブロック1904では、「神経学的活動データから少なくとも1つのメトリックを計算すること」が実行され得る。幾つかの例では、少なくとも1つのメトリックは、最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度、ノード遷移極性またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0069】
ブロック1906および1908によって示されているように、複数のノードのうちの1つのノードの最大振幅投影を計算することは、「複数のノードのうちのこのノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を見出すこと」および「複数のノードのうちのこのノードが局所的な極大としてラベル付けされた回数から局所的な極大の極大値を決定すること」を含むことができる。
【0070】
ブロック1910および1912によって示されているように、複数のノードのうちの1つのノードに関するノード訪問頻度を計算することは、「複数のノードのうちのこのノードが分析時間窓内で局所的な極大としてラベル付けされた回数を計数すること」および「この回数を分析時間窓の持続時間によって除算すること」を含むことができる。
【0071】
ブロック1914および1916によって示されているように、ノード遷移頻度を計算することは、「分析時間窓内の複数のノードのうちの第1のノードと第2のノードとの間の局所的な極大遷移の回数を計数すること」および「この回数を分析時間窓の持続時間によって除算すること」を含むことができる。
【0072】
ブロック1918,1920および1922によって示されているように、複数のノードのうちの1つのノードに対するノード遷移極性を計算することは、「複数のノードのうちの1つまたは複数のノードから複数のノードのうちのこのノードに遷移した局所的な極大の第1の回数を計数すること」、「複数のノードのうちのこのノードから複数のノードうちの1つまたは複数のノードに遷移した局所的な極大の第2の回数を計数すること」および「第1の回数と第2の回数との差を取ること」を含んでいてよい。幾つかの例では、複数のノードうちのこのノードは、第1の回数が第2の回数よりも多いときに内向き極性を有し、複数のノードのうちのこのノードは、第2の回数が第1の回数よりも多いときに外向き極性を有する。
【0073】
ブロック1924では、「ディスプレイに少なくとも1つのメトリックのグラフィック表現を提供すること」が実行され得る。たとえば、グラフィック表現は、
図6、
図8、
図10および/または
図12~
図17に示したようなメトリックのグラフィック表現を含んでいてよい。
【0074】
幾つかの例では、フローチャート1900に示された方法は、神経学的活動を前処理することをさらに含んでいてよく、この前処理は、神経学的活動データの値を閾値と比較すること、この比較に基づいて、神経学的活動データの値のうちの1つもしくは複数を破棄または無視すること、および神経学的活動データの残りの値から少なくとも1つの局所的な極大を計算することを含んでいてよい。
【0075】
4Dソースローカリゼーション、たとえば4D発作源ローカリゼーションを要約するために、1つまたは複数のメトリックを、本明細書に開示されるように計算することができる。幾つかの用途では、これによって、4Dソースローカリゼーションの生成および/または解釈に必要とされる時間を短縮することができる。最大振幅投影、ノード訪問頻度、ノード遷移頻度および/またはノード遷移極性などのメトリックを、本明細書で開示されているように計算することができる。次いで、これらのメトリックが、テキスト、チャート、生成された画像またはそれらの組み合わせなどによって様々なフォーマットで提供されてよい。メトリックは、診断のため、治療を決定および/もしくは調整するため、ならびに/または他の措置を講じるために使用されてよい。
【0076】
以上の説明から、特定の実施形態が説明の目的で本明細書に記載されているが、特許請求の範囲に記載された技術の範囲内で様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。
【国際調査報告】