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特表2024-514249フィーチャー付きセラミック物品、例えばセラミックミラーブランクを形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】フィーチャー付きセラミック物品、例えばセラミックミラーブランクを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/645 20060101AFI20240322BHJP
   C04B 35/622 20060101ALI20240322BHJP
   B28B 3/00 20060101ALI20240322BHJP
   B28B 1/26 20060101ALI20240322BHJP
   C04B 35/565 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
C04B35/645
C04B35/622
B28B3/00 Z
B28B3/00 C
B28B1/26 101
C04B35/565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560858
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022022442
(87)【国際公開番号】W WO2022212437
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/167,717
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ,ベサニー ローズ
(72)【発明者】
【氏名】フォース,ロビン メイ
(72)【発明者】
【氏名】サザーランド,ジェイムズ スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,ジェイムズ ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4G052
4G054
【Fターム(参考)】
4G052CB01
4G052CB16
4G052CC05
4G052CC07
4G052CC08
4G052CC11
4G054AA05
4G054BB00
4G054BB03
4G054BB06
4G054BE02
4G054BE13
4G054BE15
(57)【要約】
本開示は、セラミック構造体を作製する方法に関し、より詳細には、異形成形された表面を有するセラミック構造体(100)を作製する方法に関し、より詳細には、セラミックミラーブランクを作製する方法に関する。一実施形態では、成形されたセラミック物品を形成する方法は、常温プレスプロセス(202A~202E)または加圧鋳込みプロセスのうちの1つを介して、第1の表面(104)と、反対側の第2の表面(108)と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つの高アスペクト比フィーチャー(106)とを含む未加工のプレス成形体(314)を形成すること(202)と、未加工のフィーチャー付き本体(314)を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品(600)を形成すること(204)と、無加圧焼結プロセスまたはホットプレスプロセス(206A~206F)のうちの1つを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品(600)を緻密化すること(206)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーチャー付きセラミック物品を形成する方法であって、
第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップであって、
少なくとも1つのフィーチャーを有する第1のワックスモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置するステップと、
セラミック粉末を前記キャビティ内に流し込むステップであって、前記セラミック粉末が前記第1のワックスモールドを少なくとも完全に覆う、ステップと、
前記キャビティ内の前記セラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、前記未加工のプレス成形体を形成するステップと、
前記キャビティから前記ワックスモールドと未加工のプレス成形体とを取り出すステップと、
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップと、
を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップと、
前記未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
ホットプレスプロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記ホットプレスプロセスは、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入するステップと、
充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップであって、前記充填材料の第1の層は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、前記充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを完全に埋め尽くす、ステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えるステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の圧力を加えながら、前記第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えるステップと、
前記第1の圧力および前記第2の圧力を加えながら、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、前記フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮するステップと、
焼結された前記フィーチャー付きセラミック部品を前記ホットプレスダイから取り出すステップと、
前記充填材料の粉末を除去して、前記少なくとも1つのフィーチャーを露出させるステップと、
を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ホットプレスプロセスが、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入した後に、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の前記第1の表面上に離型層を堆積させるステップをさらに含み、前記離型層は、液体バインダーおよび充填材料を含み、任意選択で、前記充填材料がセラミック粉末である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップが、
前記未加工のプレス成形体を約60℃~約130℃の温度に加熱して前記ワックスモールドを溶融させるステップと、加熱中に前記未加工のプレス成形体の少なくとも1つの外面に外圧を加えて亀裂形成を防止するステップと、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
成形されたセラミック物品を形成する方法であって、
加圧鋳込みプロセスを介して、第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミック本体を形成するステップであって、前記加圧鋳込みプロセスは、
液体成分と固体成分とを含むセラミック溶液を、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を含むモールドキャビティ内に圧送するステップであって、前記モールドキャビティは、多孔質の上面壁と、多孔質の下面壁と、多孔質の側壁とによって画定され、前記セラミック溶液の前記液体成分は、前記モールドキャビティの前記多孔質壁を通って流れ、前記固体成分は、前記モールドキャビティ内に残って、前記未加工のフィーチャー付きセラミック本体を加圧鋳込みする、ステップと、
前記モールドキャビティから前記未加工のセラミック本体を取り出すステップと、
を含む、未加工のセラミック本体を形成するステップと、
前記未加工のセラミック本体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
ホットプレスプロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記ホットプレスプロセスは、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入するステップと、
充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップであって、前記充填材料は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、前記充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを埋め尽くす、ステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えるステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の圧力を加えながら、前記第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えるステップと、
前記第1の圧力および第2の圧力を加えながら、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、前記フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮するステップと、
焼結された前記フィーチャー付きセラミック部品を前記ホットプレスダイから取り出すステップと、
前記充填材料の粉末を除去して、前記セラミック部品の前記フィーチャーを露出させるステップと、
を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記モールドキャビティが、第1のフィーチャー付き表面と、反対側の第2のフィーチャー付き表面とを含み、前記ホットプレスプロセスが、充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込む前に、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の前記第1の表面上に離型層を堆積させるステップをさらに含み、前記離型層は、液体バインダーおよび充填材料を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1のワックスモールドと前記未加工のセラミック本体とを分離するステップが、
前記未加工の本体を約60℃~約130℃の温度に加熱して前記ワックスモールドを溶融させるステップと、加熱中に前記未加工のプレス成形体の少なくとも1つの外面に外圧を加えて亀裂形成を防止するステップと、
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
成形されたセラミック物品を形成する方法であって、
第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップであって、
少なくともフィーチャーを有する第1のワックスモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置するステップと、
セラミック粉末を前記キャビティ内に流し込むステップであって、前記セラミック粉末が前記第1のワックスモールドを少なくとも完全に覆う、ステップと、
前記キャビティ内の前記セラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、未加工のプレス成形体を形成するステップと、
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップと、
を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップと、
前記未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
無加圧焼結プロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記無加圧焼結プロセスは、不活性ガス雰囲気中、約2000℃~約2400℃の温度で、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱するステップを含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記プレス成形ダイのキャビティ内の前記セラミック粉末の上に、少なくとも1つのフィーチャーを有する第2のワックスモールドを配置して、前記第1の表面に少なくとも1つのフィーチャーと、前記第2の表面に少なくとも1つのフィーチャーとを有する未加工のプレス成形体を形成するステップをさらに含む、請求項1または7記載の方法。
【請求項9】
前記ホットプレスプロセスが、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入する前に、充填材料の第2の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップをさらに含み、前記充填材料の第2の層は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有する、請求項1または7記載の方法。
【請求項10】
前記離型層が、約1mm~2mmの厚さを有する、請求項2または5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第120条のもと、2021年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/167,717号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、セラミック構造体を作製する方法に関し、より詳細には、異形成形された表面を有するセラミック構造体を作製する方法に関し、より詳細には、セラミックミラーブランクを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
炭化ケイ素または炭化ホウ素などのセラミックは、様々な産業において、異形成形された形状を有する複雑な部品を形成するために所望される材料である。例えば、SiCは、比較的高い弾性モジュール、高い熱伝導性、吸熱反応または発熱反応の実行および制御に有用であること、ならびに優れた物理的耐久性、耐熱衝撃性および耐薬品腐食性を有する。これらの性質は、例えば、高周波ミラースキャニングおよび低重量の空中・宇宙イメージングシステム用の高剛性で軽量なミラーブランクを必要とする航空宇宙・防衛用途に有用である。しかしながら、これらの性質はまた、高い硬度および摩損性と相まって、複雑な異形成形されたセラミック構造体の実用的な製造を困難なものにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、異形成形された表面を有する高剛性で軽量なセラミック構造体を製造するための改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの態様によれば、フィーチャー付きセラミック物品を形成する方法は、第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成することであって、少なくとも1つのフィーチャーを有する第1のモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置することと、セラミック粉末をキャビティ内に流し込むことであって、セラミック粉末が第1のモールドを少なくとも完全に覆う、ことと、キャビティ内のセラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、未加工のプレス成形体を形成することと、キャビティからモールドと未加工のプレス成形体とを取り出すことと、第1のモールドと未加工のプレス成形体とを分離することと、を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成することと、未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成することと、ホットプレスプロセスを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することであって、ホットプレスプロセスは、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入することと、充填材料の第1の層をホットプレスダイ内に流し込むことであって、充填材料の第1の層は、ホットプレス中、隣接する脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを完全に埋め尽くす、ことと、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えることと、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、第1の圧力を加えながら、第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えることと、第1の圧力および第2の圧力を加えながら、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮することと、焼結されたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイから取り出すことと、充填材料の粉末を除去して、少なくとも1つのフィーチャーを露出させることと、を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することと、を含む。
【0006】
成形されたセラミック物品を形成する方法は、加圧鋳込みプロセスを介して、第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミック本体を形成することであって、加圧鋳込みプロセスは、液体成分と固体成分とを含むセラミック溶液を、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を含むモールドキャビティ内に圧送することであって、モールドキャビティは、多孔質の上面壁と、多孔質の下面壁と、多孔質の側壁とによって画定され、セラミック溶液の液体成分は、モールドキャビティの多孔質壁を通って流れ、固体成分は、モールドキャビティ内に残って、未加工のフィーチャー付きセラミック本体を加圧鋳込みする、ことと、モールドキャビティから未加工のセラミック本体を取り出すことと、を含む、未加工のセラミック本体を形成することと、未加工のセラミック本体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成することと、ホットプレスプロセスを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することであって、ホットプレスプロセスは、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入することと、充填材料の第1の層をホットプレスダイ内に流し込むことであって、充填材料は、ホットプレス中、隣接する脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを埋め尽くす、ことと、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えることと、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、第1の圧力を加えながら、第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えることと、第1の圧力および第2の圧力を加えながら、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮することと、焼結されたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイから取り出すことと、充填材料の粉末を除去して、セラミック部品のフィーチャーを露出させることと、を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することと、を含む。
【0007】
本開示のいくつかの追加的な態様によれば、成形されたセラミック物品を形成する方法は、第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成することであって、少なくともフィーチャーを有する第1のモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置することと、セラミック粉末をキャビティ内に流し込むことであって、セラミック粉末が第1のモールドを少なくとも完全に覆う、ことと、キャビティ内のセラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、未加工のプレス成形体を形成することと、第1のモールドと未加工のプレス成形体とを分離することと、を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成することと、未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成することと、無加圧焼結プロセスを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することであって、無加圧焼結プロセスは、不活性ガス雰囲気中、約2000℃~約2400℃の温度で、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱することを含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化することと、を含む。
【0008】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、当業者にはその説明から容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0009】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明とはいずれも、単に例示的なものであり、本開示および添付の特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。
【0010】
添付の図面は、本開示の原理の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理および動作を例として説明するのに役立つ。本明細書および図面に開示された本開示の様々な特徴は、あらゆる組み合わせで使用できることを理解されたい。非限定的な例として、本開示の様々な特徴は、以下の実施形態に従って互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付図面の図について説明する。図は必ずしも縮尺どおりではなく、図の特定の特徴および特定の図は、明瞭性および簡潔性の観点から、縮尺的または概略的に誇張して示されている場合がある。
図1A】本開示のいくつかの実施形態に従った、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を有する例示的なセラミック物品の透視外観図を示す。
図1B】本開示のいくつかの実施形態に従った、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を有する例示的なセラミック物品の透視外観図を示す。
図2A】本開示のいくつかの実施形態に従った、フィーチャー付きセラミック物品を形成するための例示的なプロセスのフローチャートを示す図である。
図2B】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミックプレス成形体を形成するための例示的なプロセスのフローチャートを示す図である。
図2C】本開示のいくつかの実施形態に従った、ホットプレスプロセスを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なプロセスのフローチャートを示す図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示す図である。
図3B】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示す図である。
図3C】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示す図である。
図3D】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示す図である。
図3E】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示す図である。
図4A】本開示のいくつかの実施形態に従った、モールドの溶融による膨張から未加工のプレス成形体に亀裂が形成されるのを防止するための例示的なプロセスのフローを示す図である。
図4B】本開示のいくつかの実施形態に従った、モールドの溶融による膨張から未加工のプレス成形体に亀裂が形成されるのを防止するための例示的なプロセスのフローを示す図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態に従った、モールドの溶融による膨張から未加工のプレス成形体に亀裂が形成されるのを防止するための代替的な例示的なプロセスを示す図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態に従った、第1の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーを有する例示的な脱バインダーされたセラミック部品を示す図である。
図7A】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7B】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7C】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7D】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7E】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7F】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図7G】本開示のいくつかの実施形態に従った、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示す図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態に従った、未加工のセラミックプレス成形物品を形成するための加圧鋳込みプロセスを示す図である。
図9】本開示の方法を実施する際に有用な圧縮解放曲線(compression release curves)を示すグラフである。
図10】本開示の方法を実施する際に有用なモールドの候補材料の圧縮および/または解放曲線を示すグラフである。
図11】本開示の方法を実施する際に有用なモールドの候補材料の圧縮および/または解放曲線を示すグラフである。
図12】本開示の方法を実施する際に有用なモールドの候補材料の圧縮および/または解放曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、当業者にはその説明から容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0013】
本明細書で使用される場合、「および(ならびに)/または(もしくは)」という用語は、2つ以上の項目のリストで使用される場合、リストされた項目のいずれか1つを単独で採用することができるか、またはリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせを採用することができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、組成物は、A単独;B単独;C単独;AおよびBの組み合わせ;AおよびCの組み合わせ;BおよびCの組み合わせ;またはA、B、およびCの組み合わせを含むことができる。
【0014】
本明細書において、第1および第2、上位および下位などの関係用語は、1つの実体または行為を別の実体または行為から区別するためにのみ使用され、そのような実体または行為間の実際のそのような関係または順序を必ずしも要求または暗示するものではない。
【0015】
当業者および本開示を作成または使用する者は、本開示の修正を思いつくであろう。したがって、図面に示され、上で説明された実施形態は、単に例示を目的としており、均等論を含む特許法の原則に従って解釈されるように、以下の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0016】
本開示の目的上、「結合された(coupled)」(結合(couple)、結合(coupling)、結合された(coupled)などのそのすべての形態)は、一般に、2つの構成要素が互いに直接的または間接的に接合することを意味する。このような接合は、本質的に静止していてもよいし、可動であってもよい。このような接合は、2つの構成要素と、互いにまたは2つの構成要素と一体的に単一のユニット本体として形成される任意の追加的な中間部材とで達成され得る。このような接合は、特に明記しない限り、本質的に永久的であってもよいし、本質的に取り外し可能または解放可能であってもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメーター、ならびに他の量および特性が正確ではなく、また正確である必要はないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に知られている他の要因を反映して、所望に応じて近似値および/またはより大きい値もしくはより小さい値になり得ることを意味する。「約」という用語が、値または範囲の終点を説明する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または終点を含むと理解されるべきである。本明細書における数値または範囲の端点が「約」を記載しているか否かにかかわらず、数値または範囲の端点は、「約」によって修飾されたものと、「約」によって修飾されていないものとの2つの実施形態を含むことを意図している。さらに、各範囲の端点は、他の端点との関係においても、他の端点とは独立しても重量であることが理解されるであろう。
【0018】
本明細書で使用される「実質的な」、「実質的に」という用語、およびそれらの変形は、記載された特徴が値または記述と等しいか、またはほぼ等しいことを示すことを意図している。例えば、「実質的に平坦な」表面は、平面であるか、またはほぼ平面である表面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいか、またはほぼ等しいことを示すことを意図している。いくつかの実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば互いの約5%以内、または互いの約2%以内の値を示すことができる。
【0019】
本明細書で使用される方向に関する用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上位、下位、上方、下方などは、描写された図を参照することによってのみ作成されるものであり、絶対的な方向を暗示することを意図するものではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「the」、「a」、または「an」という用語は、「少なくとも1つ」を意味し、明示的にそうでないことが示されない限り、「1つだけ」に限定されるべきではない。したがって、例えば、「構成要素」への言及は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0021】
図1A図1Bは、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を有する例示的なセラミック物品100を示している。物品100は、本体102の第1の表面104に成形された複数のフィーチャー106を有する第1の表面104を備えたモノリシックな閉気孔性のセラミック本体102を含む。本明細書において定義される「モノリシックな」という用語は、セラミック構造体であって、その中に1つ以上のフィーチャーを有し、セラミック構造体中に(フィーチャー以外の)不均一性、開口部、または相互接続された空隙が存在しないセラミック構造体を指す。本明細書で使用される「モノリシックな」とは、上記で提供される意味を有する。しかしながら、出願人は、特許請求の範囲に明示的に記載されている場合など、モノリシックを別様に定義する権利を留保し、モノリシックは、代替的に、互いにイオン結合または共有結合された結晶粒の連続鎖を有する多結晶セラミック材料の焼結体として定義することもでき、ここで、本体は、結晶粒間に内部通路および間隙孔を含むことができ、任意選択で、ほとんどの間隙孔が、1μm未満、例えば0.5μm未満の最大横寸法を有し、かつ/または本体は、ファンデルワールス力によって互いに結合された構成要素(例えば、本体の半分)を含まない。図1A図1Bの実施形態は、6つのフィーチャー106を有する本体102を示しているが、本体102は、図1Aに示されるよりも多い、または少ないフィーチャーを有してもよい。複数のフィーチャー106は、物品が機械的剛性の要件を満たすために必要とされない材料を排除することによって重量を低減することを目的とする任意のパターンで分布されてよい。図1Bは、本体102の第1の表面104と反対側の第2の表面108を示している。図1Bに示される実施形態では、第2の表面108は、その中にいかなるフィーチャーも形成されていない平坦な表面である。いくつかの実施形態では、第2の表面108にもフィーチャーが形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の表面108は、凹状の表面フィーチャー、凸状の表面フィーチャー、または放物線状のプロファイルを有してもよい。
【0022】
更なる実施形態によれば、例示的なセラミック物品100は、選択されたセラミック材料の理論最大密度の90%~99%、または好ましくは選択されたセラミック材料の理論最大密度の92%~97%、または好ましくは選択されたセラミック材料の理論最大密度の95%~97%の密度を有する。SiCなどの多結晶材料の理論最大密度(最大理論密度、理論密度、結晶密度、またはX線密度としても知られている)は、焼結材料の完全な単結晶の密度である。したがって、理論的最大密度は、焼結材料の所与の構造相について達成可能な最大密度である。
【0023】
例示的な実施形態では、セラミック材料は六方晶6H構造を有するα-SiCである。焼結SiC(6H)の理論的最大密度は、3.214±0.001g/cmである。Munro, Ronald G., “Material Properties of a Sintered α-SiC,” Journal of Physical and Chemical Reference Data, 26, 1195 (1997)。他の実施形態におけるセラミック材料は、SiCの異なる結晶形態または全く異なるセラミックを含む。焼結SiCの他の結晶形態の理論最大密度は、例えば3.166~3.214g/cmの範囲内で、焼結SiC(6H)の理論最大密度と異なることがある。同様に、他の焼結セラミックの理論最大密度も焼結SiC(6H)の理論最大密度とは異なる。本明細書で使用される場合、「高密度」セラミック本体とは、セラミック本体の焼結セラミック材料が、セラミック材料の理論最大密度の少なくとも95%の密度を有するセラミック本体である。
【0024】
図1Aに示されるようないくつかの実施形態によるフィーチャー106は、陥凹した床110と、床108に繋がる複数の側壁112とを含む。側壁112の上部は、陥凹した床110の上の高さhを有する。側壁112は、高さhに対して垂直に測定された幅wだけ分離されている。さらに、幅wは、高さhの2分の1に対応する位置で測定される。側壁112は、1~5°などの抜き勾配を含んでもよい。実施形態では、側壁112は、側壁112が陥凹した床110に接する場所にフィレットを含み、フィレット半径は、例えば、側壁高さhの10%~100%である。実施形態では、フィレットはまた、側壁112が互いに接する場所および周壁に設けられてもよく、フィレットは、例えば、半径方向側壁の長さの1%~30%である半径を有する。いくつかの実施形態では、フィーチャーは、フィーチャーの幅に対する高さ(または深さ)の比が2:1、または4:1、または8:1、または12:1である高アスペクト比フィーチャーであってもよい。
【0025】
図2Aは、フィーチャー付きセラミック物品を形成するための例示的なプロセス200のフローチャートを示している。いくつかの実施形態では、プロセス200は、ステップ202で、第1の表面と、反対側の第2の表面と、本体の少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを有する未加工のセラミックプレス成形体を形成することから始まる。次に、ステップ204で、未加工のプレス成形体は加熱され、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品が形成される。次にステップ206で、ホットプレスプロセスまたは無加圧焼結プロセスを介して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品が緻密化される。
【0026】
いくつかの実施形態では、未加工のセラミックプレス成形物品は、常温プレスプロセスを介して形成される。図2Bは、未加工のセラミックプレス成形体を形成するためのプロセスステップ202の例示的なフローチャートを示している。図3A図3Eは、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な常温プレスプロセスのフローを示している。プロセス202は、図3Aに示されているように、セラミック物品の外面にフィーチャーを形成するための第1のモールド300が、プレス成形ダイ304のキャビティ302内に配置されるステップ202Aから始まる。プレス成形ダイ304は、プラグ306で閉じられる。次に、ステップ202Bで、図3Bに示されているように、セラミック粉末308が第1のモールド300の上に流し込まれて、第1のモールド300を少なくとも完全に覆う。キャビティ302内に流し込まれるセラミック粉末の量は、目標とするセラミック物品の所望の厚さに基づいて変えることができる。いくつかの実施形態では、セラミック粉末は、有機バインダー材料、例えば、フェノール樹脂またはポリビニルアルコール(PVA)でコーティングされた、例えば、炭化ホウ素(BC)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al)、またはジルコニア(ZrO)などのセラミック粒子を含む。次に、ステップ202Cで、図3Cに示されているように、ピストンまたはラム310がキャビティ302内に挿入され、一軸力(AF)312が上方から加えられて、モールド300が中にあるセラミック粉末308を圧縮して、プレス成形体が形成される。このステップの間、プラグ306に反力または同等の反作用力AF(図示せず)が供給される。いくつかの実施形態では、約30MPa~約130MPaの圧力がセラミック粉末308に加えられて、未加工のプレス成形体314が形成される。いくつかの実施形態では、約30MPa~約50MPaの圧力がセラミック粉末308に加えられて、未加工のプレス成形体314が形成される。いくつかの実施形態では、約70MPa~約130MPaの圧力がセラミック粉末308に加えられて、未加工のプレス成形体314が形成される。いくつかの実施形態では、セラミック粉末を圧縮する力を加える前に、第2のモールド(図示せず)をキャビティ302内に挿入し、それによってセラミック物品の両表面にフィーチャーを形成してもよい。次に、ステップ202Dで、図3Eに示されているように、モールド300および未加工のプレス成形体314がキャビティ302から取り出される。
【0027】
次に、ステップ202Eで、モールド300と未加工のプレス成形体314とが分離される。いくつかの実施形態では、加熱する前に、モールド300の少なくとも一部を、例えば機械加工を介してキャビティから除去することができる。好ましくは比較的高い速度で、未加工のプレス成形体314を加熱することで、モールド300が溶融し、未加工のプレス成形体314から流出することによって、かつ/またはさらに吹き出されことおよび/または吸い出されることによって、未加工のプレス成形体314から除去されるようにする。代替的な実施形態では、このステップ202Eを2つの部分に分けることができ、この場合、最初に未加工のプレス成形体314を加熱し、次に、別個に、モールドが本体から流出することができる。必要に応じて、加熱は部分的な真空下で行ってもよい。加熱中、モールド300は、溶融するにつれて膨張する。その結果生じる膨張力により、周囲の未加工のプレス成形体314に亀裂が生じる可能性がある。一実施形態では、亀裂を防止するために、未加工のプレス成形体314の1つ以上の外面に外力を加えることができる。図4Aおよび図4Bは、溶融モールド材料の膨張から未加工のプレス成形体314に亀裂が形成されるのを防止する一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、モールドを、約60℃~約130℃の温度に加熱してモールド300を溶融させる。図4A図4Bに示されているように、クランプ400が未加工のプレス成形体314の外周に配置される。クランプは、溶融最大(melting max)の膨張力に対抗する外力を提供する。溶融したモールド402は、未加工のプレス成形体314のキャビティ404から流出する。
【0028】
代替的な実施形態では、未加工のプレス成形体314は、流体密閉バッグ520内にシールされる。図5に見られるように、バッグ520は、ポリマーで形成することができる上位層522および下位層524を一緒につまんで加熱することなどによって、シール領域526で一緒にシールされた上位層522および下位層524を含むことができる。必要に応じて、複数の列の熱的に製造されたシールをシール領域526で使用することができる。真空シールを使用することができ、好ましいが必須ではない-真空シールの有無にかかわらず、試験は成功した。バッグは、チャンバー550内の流体540に対して流体密閉されており、例えば、それは水であり得る。
【0029】
さらに図5において、プレスチャンバー550は、望ましくはモールドを溶融するための目標温度(例えば、ワックスベースのモールドの場合は50℃まで)に予熱された流体を保持する。未加工のセラミックプレス成形体314を中にシールしたバッグ520を、次いで、静水圧プレスチャンバー流体540内に降下させる。静水圧プレスチャンバー550は閉じられ、シールされ、チャンバー流体に圧力が加えられ(例えば、100~600PSI(約0.6895MPa~約4.1369MPa)の範囲)、本体314の全表面に実質的に静水圧を生じさせる。圧力および温度を90分などの一定時間維持し、モールド300の材料を溶融させる。
【0030】
未加工のプレス成形体314が高温流体によって加熱されると、モールド300も加熱され、モールド材料が、膨張、軟化、および溶融し始める。膨張は、本体314内の通路の内壁に外向きの力を生じさせる。この外向きの力は、少なくとも部分的には、バッグ520を通して本体314の外面に加えられる、矢印528で表される静水圧プレス力によって打ち消され、かつ/または平衡される。いくつかの実施形態では、未加工のプレス成形体314は、流体密閉バッグ520内にシールされる前に、金属支持体または担体上に配置することができ、モールド300が金属支持体に面し、両方の部品がバッグ内にシールされるようにする。支持体は、モールド300の形状を保持し、加熱中およびチャンバー550の加圧中のキャビティの歪みおよび崩壊を防止するのに役立つ。
【0031】
モールド300の材料を溶融させる時間が終了した後、チャンバー550内の圧力を大気圧まで下げ、チャンバーを開いてバッグ520および本体314を取り出し、バッグ520を本体314から取り出す。本体は、好ましくは、オーブン(例えば、空気中175℃)で本体314を加熱するなどして、残存するモールド材料が完全に除去されるまで、モールド材料の再凝固を防ぐために十分に保温される(例えば、50℃以上)。加熱中、本体は、モールド材料が本体314から流出できるように向きを変えることができる。
【0032】
代替的な実施形態では、未加工のセラミックプレス成形物品は、加圧鋳込みプロセスを介して形成される。図8は、未加工のセラミック物品を形成するための例示的な加圧鋳込みモールド800を示している。加圧鋳込みプロセスは、液体成分と固体成分とを含むセラミック溶液812をモールドキャビティ802内に圧送することを含む。いくつかの実施形態では、セラミック溶液は、25体積%の固形分と75体積%の水(10%~50体積%)とを含む。いくつかの実施形態では、セラミック溶液は、25体積%の固形分と75体積%の水(10%~40体積%)とを含む。いくつかの実施形態では、セラミック溶液は、25体積%の固形分と75体積%の水(10%~30体積%)とを含む。いくつかの実施形態では、固形分は、95質量%~99質量%の炭化ホウ素と1質量%~5質量%の非晶質ホウ素とを含む。
【0033】
モールドキャビティ802は、多孔質の上面壁806と、多孔質の下面壁808と、多孔質の側壁810とによって画定される。加圧されたセラミック溶液800は、上面壁806の開口部を介してモールドキャビティ802に流体接続された入口管814を介してモールドキャビティ802内に圧送される。圧力818は、例えば、鋳込みモールド800の外側上面および下面のクランプを介して鋳込みモールド800に加えられる。セラミック溶液の液体成分816はモールドキャビティ802の多孔質壁806,808,810を通って流れ、固体成分はモールドキャビティ802内に留まり、液体成分が除去されるにつれて緻密化する。モールドキャビティ802は、少なくとも1つのフィーチャー付き表面804を含む。図8に示されている実施形態では、フィーチャー付き表面804は下面壁808に形成される。代替的に、または組み合わせて、フィーチャー付き表面は、上面壁806に形成されてもよい。モールドキャビティ802が充填された後、未加工のセラミック本体がモールドキャビティから取り出される。上述の加圧鋳込みプロセスに続いて、下記のステップ204で説明するように、セラミック粒子からポリマーバインダー材料を除去するために、未加工のセラミック本体314は脱バインダーされる。
【0034】
図2Aを参照すると、モールド300を除去後、ステップ204で、未加工のプレス成形体314が、セラミック粒子からポリマーバインダー材料を除去するために脱バインダーされる。いくつかの実施形態では、未加工のプレス成形体314は、窒素雰囲気中、約500℃~約600℃の温度で加熱される。
【0035】
次に、ステップ206で、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品は、ホットプレスプロセスまたは無加圧焼結プロセスを介して緻密化される。焼結は、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を高温および選択された雰囲気(例えば、還元雰囲気)に供することにより、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱により凝集塊にするプロセスである。一実施形態では、無加圧焼結プロセスは、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、約2000℃~約2400℃、好ましくは約2100℃~約2300℃、より好ましくは約2150℃~約2250℃で加熱する。無加圧焼結に続いて、炭化ホウ素(BC)の例示的なセラミック物品は、選択されたセラミック材料の理論的な最大密度の92%~100%、実施形態では92%~98%、実施形態では94%~98%、または実施形態では92%~96%の密度を有し、炭化ケイ素(SiC)の例示的なセラミック物品は、選択されたセラミック材料の理論的な最大密度の92%~100%、実施形態では92%~96%、または実施形態では92%~98%、または実施形態では96%~100%の密度を有する。図6は、第1の表面604に成形された少なくとも1つのフィーチャー602を有する例示的な脱バインダーされたセラミック部品600を示している。図6に示されている実施形態は、平坦な(すなわちフィーチャーのない)第2の表面606を有する。いくつかの実施形態では、第2の表面は、凹面または凸面である。
【0036】
図2Cは、ホットプレスプロセスを介して脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するためのプロセスステップ206の例示的なフローチャートを示す。緻密化とは、セラミック部品の結晶粒間の空隙を減少させて、均等に(すなわち均一に)緻密化された材料の体積を有する物品を形成するプロセスである。ホットプレスプロセスに続いて、炭化ホウ素(BC)の例示的なセラミック物品は、選択されたセラミック材料の理論的な最大密度の99%を超える密度を有し、炭化ケイ素(SiC)の例示的なセラミック物品は、選択されたセラミック材料の理論的な最大密度の99.5%を超える密度を有する。図7A図7Dは、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するための例示的なホットプレスプロセスのフローを示している。プロセス206はステップ206Aから始まり、図7Aに示されているように、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品600はホットプレスダイ700に挿入される。図7Aに示されている実施形態では、脱バインダーされた部品は、下部グラファイトラム706によって支持されているグラフォイル離型シート702およびグラファイトスペーサー704上に静止600している。図7Aは、グラファイトダイに位置決めされた脱バインダーされた部品600を示しており、その平坦面(第2の表面606)は下向き(グラフォイル離型シート702上に静止)であり、その異形成形された表面(第1の表面604)は上向きである。次に、ステップ206Bで、図7Bに示されているように、充填材料708の第1の層がホットプレスダイ内に流し込まれる。ホットプレスプロセス中、脱バインダーされた部品600と充填材料708との両方が圧縮される。したがって、プレス成形中の充填材料708の圧縮特性(すなわち、同じ力の量によって材料に付与される圧縮の量)は、脱バインダーされた部品600の圧縮特性に密接に一致するように(例えば、約10%以内に)選択される。その結果、脱バインダーされた部品600は、その異形成形された表面にわたって、任意の亀裂または密度の大きな変動なしにプレス成形することができる。いくつかの実施形態では、充填材料は、ホットプレス中、隣接する脱バインダーされた部品600の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有する。いくつかの実施形態では、充填材料の第1の層はグラファイト粉末である。いくつかの実施形態では、適切な圧縮特性を有する例示的なグラファイト粉末は、150μmの平均粒径d50を有するグラファイト粉末である。d50は、成分の50質量%がd50と等しいかまたはそれ以下の直径を有する粒子に存在し、成分の50質量%弱がd50より大きい直径を有する粒子に存在する直径である。いくつかの実施形態では、充填材料は、少なくとも1つのフィーチャー602を完全に埋め尽くし、図7Bに示されているように、いくつかの実施形態では、脱バインダーされた部品600を完全に覆うことができる。
【0037】
次に、図7Cに示されているように、ステップ206C,206Dおよび206Eで、第1の圧力を、第1の表面に対して垂直な方向で、脱バインダーされた部品600に加え(206C)、第2の圧力を、第1の圧力を加えながら、第2の表面に対して垂直な方向で、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に加え(206D)、第1の圧力および第2の圧力を加えながら脱バインダーされた部品を加熱して(206E)、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮する。第2のグラフォイル離型シート710および第2のグラファイトスペーサー712がグラファイト粉末708の上に配置される。上部グラファイトラム714をダイ内に挿入することで、第1の表面604に対して垂直な方向で、第1の圧力を脱バインダーされた部品600に加える一方、下部グラファイトラム706は、第2の圧力を、第2の表面606に対して垂直な方向で、脱バインダーされた部品600に加える。脱バインダーされた部品600に一軸圧縮を加えながらダイを加熱する。
【0038】
次に、図7Dに示されているように、ステップ206Fで、その異形成形された表面(第1の表面604)上に充填された充填材料708を有する焼結セラミック部品716が、ホットプレスダイ700から取り出される。ホットプレス後、焼結セラミック部品716は、その厚さの方向718に圧縮されるが、その直径720は、グラファイトダイの内径に密接に一致するその元の直径から比較的変化しないままである。次に、ステップ206Fで、少なくとも1つのフィーチャー602を露出させるために、掻き取りまたはサンドブラストなどの機械的処理によって充填材料粉末を除去する。
【0039】
代替的なホットプレスの実施形態では、ステップ206Bで、図7Eおよび図7Fに示されているように、充填材料は、ポリマーバインダー(例えば、水中メチルセルロース)または接着剤(例えば、水性接着剤)などの液体バインダーと混合されて、離型層722を形成する。離型層722の薄い層は、例えば、スプレーコーティング、刷毛塗り、または類似の塗布プロセスを介して、脱バインダーされた部品600の第1の表面604上に均一な厚さで塗布される。離型層の厚さは、脱バインダーされた部品600の第1の表面604を覆うのに十分であるが、少なくとも1つのフィーチャー602を埋め尽くさない。いくつかの実施形態では、離型層722は、約1mm~約2mmの厚さを有する。離型層の塗布に続いて、少なくとも1つのフィーチャー602は、未加工のプレス成形体314を形成するために使用されるセラミック粉末308で埋め尽くされる。次に、ステップ206C,206Dおよび206Eが上述のように適用され、その結果、脱バインダー部品600とセラミック粉末308との両方が緻密化される。セラミック粉末308は、ホットプレスされた犠牲形体724を形成する。ホットプレス後、図7Gに示されているように、焼結セラミック部品716と犠牲形体724との両方は、離型層722によって結合されたままダイ700から排出される。離型層722はホットプレス中に焼結しないので、焼結セラミック部品716と犠牲形体724とは容易に分離される。離型層722は、機械的摩耗(例えば、ブラッシングまたはサンドブラスト)によってホットプレスされた部品から除去することができる。
【0040】
モールドの材料は、有機熱可塑性プラスチックなどの有機材料とすることができる。モールド材料は、加熱/溶融中の膨張を減少させる1つの方法として、材料内に懸濁または他の方法で分散された有機もしくは無機の粒子を含むことができる。前述のように、通路モールドの材料は、望ましくは、比較的非圧縮性の材料-具体的には、圧縮後のプレスされるセラミック粉末の反発に対して圧縮後の反発が低い材料-である。粒子を装填したモールド材料は、圧縮後により低い反発を示すことができる。圧縮下である程度の非弾性変形が可能なモールド材料も、当然、低い反発を示す傾向がある(例えば、高い損失弾性率を有する材料)。例えば、架橋がほとんどない、または全くないポリマー物質、および/または圧縮時に局所的な破壊または微小破壊を可能にする局所的な硬度または脆性をいくらか有する材料は、低い反発を示すことができる。有用なモールド材料としては、炭素および/または無機粒子などの懸濁粒子を有するワックス、ロジン含有ワックス、高弾性率の脆い熱可塑性プラスチック、さらにはココアバター中のココア粉末などの有機脂肪中に懸濁する有機固形分-またはこれらの組み合わせ-を挙げることができる。低融点金属合金もモールド材料として有用であり得、特に溶融時の膨張が小さいか、あるいは全くない合金が有用であり得る。
【0041】
モールドを加熱して溶融し除去する際、モールド材料が十分に低粘度になってモールド材料が流出し、膨張圧力が緩和される前に、モールド材料が望ましいものよりも膨張する可能性がある。モールドの除去中に発生する圧力が過大な場合、形成される通路が損傷する可能性がある。この潜在的な問題に対処する追加の代替実施形態として、モールドの残りの部分または内側部分よりも融点の低い材料の外層を有するモールドを使用することができる。モールドの残りの部分よりも十分に低い融点を有する低融点材料を選択することによって、モールドを除去するためにモールドを加熱する際に、モールド全体が著しく膨張する前に外層が低粘度に移行することができ、次いで、モールドの残りの部分がさらに加熱されて膨張し、次いで溶融するにつれて外層が流出し、さもなければ望ましくないほど高くなる可能性のある圧力を緩和することができる。低融点材料の融点とモールドの残りの部分の融点との間の融点分離は、望ましくは少なくとも5℃、さらには20℃、さらには40℃であるが、一般的には80℃以下である。外層は、二次モールド成形またはディップ成形などによって形成することができる。
【0042】
図9は、本開示の方法を実施する際に有用な圧縮解放曲線を示すグラフである。グラフの曲線は、SiC粉末の第1の安定特性とモールド300の第2の安定特性との間の望ましい関係を示している。実際には、圧縮解放曲線は、セラミック粉末またはモールドのそれぞれのサンプルを、測定された最大力までプレスでプレス成形し、次いで、サンプルによって生成される反力を測定し続けながらプレスの変位を減少させることによって、実験的に生成することができる。このような実験のいくつかについては、図10図12を参照して後述する。第1の安定特性の結果として、SiC粉末は、図9の圧縮解放曲線900に従った変位にわたる最大圧縮状態から膨張または反発して、第1の解放変位を規定する。同様に、第2の安定特性の結果として、モールド300は、図9の圧縮解除曲線902に従った変位にわたる最大圧縮状態から膨張または反発して、第2の解除変位を規定する。圧縮解放曲線900および902は、距離(x軸)対力(y軸)の単位でグラフ化されている。
【0043】
力-変位曲線が低下するにつれて左へ湾曲していくのは、解放段階中にサンプルからどれだけの蓄積エネルギーが解放されたかを示している。サンプルの比較を簡単にするために、各サンプルの力-変位曲線は、解放段階の曲線が初期解放時に揃うようにシフトされている。曲線の左向きの傾向は、プレスの上向きの動きと、プレスにかかる反力が同時に減少することとに対応している。圧縮解放曲線900に沿ったSiC粉末材料の第1の解放変位は、圧縮解放曲線902に沿ったモールド300の材料の第2の解放変位よりも大きいことが好ましい。第1の解放変位は、好ましくは、圧縮解放曲線900および902の全体に沿って第2の解放変位よりも大きい。第1の解放変位と第2の解放変位との間のこのような関係は、プレス成形後、加熱中、またはプレス成形後および加熱中のプレスされる本体における亀裂などの不連続性を防止するのに有益である。
【0044】
圧縮曲線に沿った圧縮変位(図示せず)は特に重要ではない。しかしながら、SiC解放変位がモールド解放変位よりも大きくなるように、比較的非圧縮性のモールド材料を使用することは、プレス成形後のステップ中にプレスされる本体の構造的完全性を維持するのに役立つ。さらに、平滑な通路内壁を達成するためには、一般により小さい粒子サイズを有するコーティングされたSiC粉末が好ましく、一般により大きい硬度を有するモールド材料も同様に好ましい。
【0045】
更なる実施形態では、モールドの材料の第2の解放変位は、圧縮解放曲線900および902の一部または全体に沿って、SiC粉末の第1の解放変位よりも大きくなり得る。第1の解放変位と第2の解放変位との間のこの関係により、モールドの材料は、モールドがその周囲のプレスされるSiC本体に力を及ぼすように、プレス成形後にSiC粉末よりも大きく膨張することができる。モールド300の膨張がSiC粉末の膨張よりも大きい場合、SiC粉末に引張歪みが生じることがある。引張歪みが未加工のプレスされるSiC粉末の極限引張強度を超えると、モールド300に隣接するSiC粉末に亀裂が現れることがある。
【0046】
この望ましくない結果に対処するために、SiC粉末の第1の安定特性は、プレス成形後のモールドの解放力に対抗するように構成されたバインダー強度をさらに含むことができる。バインダーでコーティングされたSiC粉末は、バインダーによって囲まれた六方晶6H構造を有するα-SiCの粒子を含む。バインダーのバインダー強度は、バインダーの種類および量に関係する。使用することができるバインダーの非網羅的なリストには、フェノール樹脂、フェノール、ポリビニルアルコール(PVA)、ホルムアルデヒド、コールタールピッチ、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ワックス、ポリエチレングリコール、酢酸、エテニルエステル、カーボンブラック、およびトリエタノールアミンが含まれる。一実施形態では、SiC(6H)粒子はフェノール樹脂バインダーでコーティングされる。バインダーの量は、焼結後に高密度で閉気孔性のセラミック本体を実現するのに十分な程度に少ない。
【0047】
図10図12は、様々な材料の圧縮および/または解放曲線の実験的決定のグラフである。インストロン測定システムを使用して、様々な材料の弾性率および損失弾性率を特徴付けるための試験を実施した。インストロンは、ダイに保持されたサンプル材料に既知の圧縮変位を加え、次いでサンプルによって発生する反力を測定するように構成された。結果として生じる荷重-変位の関係は、各サンプルが制御可能に圧縮され(圧縮段階)、次いで制御可能に圧縮から解放される(解放段階)際に評価された。インストロンの測定は、より大きいSiC流体デバイスがプレス成形中に被る力を模倣するように構成された力条件下で実施された。インストロンが発生させることができ、ロードセルが維持できる最大力は1200Nに制限されているため、直径0.75インチ(1.905cm)のダイを使用して材料サンプルを準備した。レッドワックス(red wax)、積層ワックス(stacking wax)(Universal Photonics #444)、蜜蝋、ベイワックス(bay wax)、およびギラデリ100%カカオチョコレートを含む、公称厚さ8mmおよび直径0.75インチ(1.905cm)の数種類のワックスサンプルを準備した。各サンプルを直径0.75インチ(1.905cm)のダイに入れ、インストロンにより一定速度で圧縮し、サンプルから発生する反力が1200Nに達した時点で圧縮を終了した。最大1200Nまで圧縮した後、変位を減少させながら、サンプルから発生する反力を測定し続けた。
【0048】
図10は、これらの注目したサンプルの力-変位曲線のグラフである。様々なサンプルの比較を簡単にするために、各サンプルの力-変位曲線は、すべての解放相曲線が最初の解放の時点で互いに並ぶようにシフトされた。各サンプルとも、変位が小さくなるにつれて反力は劇的に低下したが、瞬間的にゼロになったわけではない。力-変位曲線が低下するにつれて左へ湾曲していくのは、解放段階中にサンプルからどれだけの蓄積エネルギーが解放されたかを示している。圧縮の負の値は、ピストンの上昇運動に対応している。このプロットは、サンプルによって解放段階中での反応が大きく異なることを示している。レッドワックスやベイワックスなど、解放段階中に大きな変位距離にわたって反力を提供するサンプルもあれば、チョコレートおよび積層ワックスなど、変位に伴って反力が急速に減少するサンプルもある。
【0049】
解放段階の力-変位曲線下の面積は、解放段階中にサンプルによってどれだけの蓄積エネルギーが解放されたかを示している。力-変位曲線が水平の荷重=0Nの線に到達する点は、サンプルによって提供されるスプリングバックの指標となる。例えば、チョコレートおよび積層ワックスのサンプルのスプリングバックは、約0.07mmであった。サンプルの厚さは10~12mmであったため、これはサンプルの厚さ1mmあたり約7μmのスプリングバックに相当する。
【0050】
亀裂の形成は、SiC粉末のスプリングバック膨張の関数でもある。解放段階中のSiC粉末サンプルの反力対圧縮変位の測定も行った。実験では、力-変位曲線は、約-0.13mmの圧縮で荷重=0Nの線に合致することが判明した。サンプルの厚さは10mmであったため、これはサンプルの厚さ1mmあたり約13μmのスプリングバックに相当する。SiC粉末サンプルの力-変位曲線は、図10のグラフで、様々な材料サンプルの力-変位曲線上にプロットされる。
【0051】
図11は、異なるタイプの積層ワックスの力-変位曲線のグラフである。この追加研究の1つの目的は、周囲のSiC粉末に亀裂を発生させることなくプレス成形できる硬質ワックス(平滑な内部チャネル側壁用)を特定することであった。ワックスは、図10を参照して上述したアプローチに従ってインストロンで特性評価された。図11は、圧縮段階および解放段階の両方における力-変位曲線を示している。圧縮段階中の傾斜が急なサンプルはより硬く、平滑な内部チャンネル側壁表面を提供することが期待される。力-変位曲線は、解放段階の開始時にすべての曲線が重なるように左にシフトされた。ユニボンド5.0接着剤およびPX-15 B&Lピッチを除くすべてのサンプルの力-変位曲線は、SiC粉末の力-変位曲線のかなり下に位置している。
【0052】
いくつかの実施形態では、モールド300の材料は以下の性質を有する。第1に、モールド材料は高損失弾性率(G’’)を有し、剛性バネ状本体のようにエネルギーを蓄積する代わりに、エネルギーは本体の物理的再編成によって失われる。多くの高損失弾性材料は液体のような性質を持ち、再編成によってエネルギーを放散させることができる。バルク流動ができないように材料が物理的に拘束されている場合、高損失弾性材料は分子スケールの再編成および発熱によってエネルギーを放散する。第2に、モールド材料は、プレス成形後の過度のスプリングバックおよび亀裂を防止するのに十分な低さの弾性率(または貯蔵弾性率)(G’)を有する。モールド材料が弾性率G’の優先度を満たす場合、モールド材料は、プレス成形後に平滑な側壁の形成を可能にするために高い硬度も有していることが好ましく、これは、できるだけ高い弾性率G’と直接相関する傾向がある。高い弾性率(例えば、硬度)の材料は、プレス成形中にSiC顆粒の侵入を防止することによって平滑な側壁を生成する。
【0053】
図12は、最大変位における変位保持の影響を示すグラフである。インストロンによるワックスサンプルの特性評価には、最大変位での変位保持を含めることができる。測定は、この一定の変位構成では、サンプル反力が時間の経過とともに急速に低下することを示している。これは、サンプルに蓄積されたエネルギーが失われつつあることを示している。図12は、一定の変位で保持している間の力-時間曲線を提供し、反力の減少率がサンプルによってどのように劇的に変化するかを示している。
【0054】
例示的な実施形態および実施例は、説明の目的で記載されているが、前述の説明は、開示の範囲および添付の特許請求の範囲を限定することを何ら意図するものではない。したがって、本開示の精神および様々な原則から実質的に逸脱することなく、上記の実施形態および実施例に変形および修正を加えることができる。すべてのそのような修正および変形は、本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0055】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0056】
実施形態1
フィーチャー付きセラミック物品を形成する方法であって、
第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップであって、
少なくとも1つのフィーチャーを有する第1のワックスモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置するステップと、
セラミック粉末を前記キャビティ内に流し込むステップであって、前記セラミック粉末が前記第1のワックスモールドを少なくとも完全に覆う、ステップと、
前記キャビティ内の前記セラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、前記未加工のプレス成形体を形成するステップと、
前記キャビティから前記ワックスモールドと未加工のプレス成形体とを取り出すステップと、
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップと、
を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップと、
前記未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
ホットプレスプロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記ホットプレスプロセスは、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入するステップと、
充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップであって、前記充填材料の第1の層は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、前記充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを完全に埋め尽くす、ステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えるステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の圧力を加えながら、前記第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えるステップと、
前記第1の圧力および前記第2の圧力を加えながら、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、前記フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮するステップと、
焼結された前記フィーチャー付きセラミック部品を前記ホットプレスダイから取り出すステップと、
前記充填材料の粉末を除去して、前記少なくとも1つのフィーチャーを露出させるステップと、
を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【0057】
実施形態2
前記プレス成形ダイの前記キャビティ内の前記セラミック粉末の上に、少なくとも1つのフィーチャーを有する第2のワックスモールドを配置して、前記第1の表面に少なくとも1つのフィーチャーと、前記第2の表面に少なくとも1つのフィーチャーとを有する未加工のプレス成形体を形成するステップをさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0058】
実施形態3
前記ホットプレスプロセスが、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入する前に、充填材料の第2の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップをさらに含み、前記充填材料の第2の層は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有する、実施形態2記載の方法。
【0059】
実施形態4
前記ホットプレスプロセスが、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入した後に、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の前記第1の表面上に離型層を堆積させるステップをさらに含み、前記離型層は、液体バインダーおよび充填材料を含む、実施形態1記載の方法。
【0060】
実施形態5
前記離型層が、約1mm~2mmの厚さを有する、実施形態4記載の方法。
【0061】
実施形態6
前記充填材料がセラミック粉末である、実施形態4記載の方法。
【0062】
実施形態7
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップが、
前記未加工のプレス成形体を約60℃~約130℃の温度に加熱して前記ワックスモールドを溶融させるステップと、加熱中に前記未加工のプレス成形体の少なくとも1つの外面に外圧を加えて亀裂形成を防止するステップと、
を含む、実施形態1記載の方法。
【0063】
実施形態8
成形されたセラミック物品を形成する方法であって、
加圧鋳込みプロセスを介して、第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミック本体を形成するステップであって、前記加圧鋳込みプロセスは、
液体成分と固体成分とを含むセラミック溶液を、少なくとも1つのフィーチャー付き表面を含むモールドキャビティ内に圧送するステップであって、前記モールドキャビティは、多孔質の上面壁と、多孔質の下面壁と、多孔質の側壁とによって画定され、前記セラミック溶液の前記液体成分は、前記モールドキャビティの前記多孔質壁を通って流れ、前記固体成分は、前記モールドキャビティ内に残って、前記未加工のフィーチャー付きセラミック本体を加圧鋳込みする、ステップと、
前記モールドキャビティから前記未加工のセラミック本体を取り出すステップと、
を含む、未加工のセラミック本体を形成するステップと、
前記未加工のセラミック本体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
ホットプレスプロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記ホットプレスプロセスは、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入するステップと、
充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップであって、前記充填材料は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有し、前記充填材料は少なくとも1つのフィーチャーを埋め尽くす、ステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の表面に対して垂直な方向で第1の圧力を加えるステップと、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品に、前記第1の圧力を加えながら、前記第2の表面に対して垂直な方向で第2の圧力を加えるステップと、
前記第1の圧力および第2の圧力を加えながら、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を、前記フィーチャー付きセラミック部品の厚さの方向で圧縮するステップと、
焼結された前記フィーチャー付きセラミック部品を前記ホットプレスダイから取り出すステップと、
前記充填材料の粉末を除去して、前記セラミック部品の前記フィーチャーを露出させるステップと、
を含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【0064】
実施形態9
前記モールドキャビティが、第1のフィーチャー付き表面と、反対側の第2のフィーチャー付き表面とを含む、実施形態8記載の方法。
【0065】
実施形態10
前記ホットプレスプロセスが、
充填材料の第1の層を前記ホットプレスダイ内に流し込む前に、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の前記第1の表面上に離型層を堆積させるステップをさらに含み、前記離型層は、液体バインダーおよび充填材料を含む、実施形態8記載の方法。
【0066】
実施形態11
前記離型層が、約1mm~2mmの厚さを有する、実施形態10記載の方法。
【0067】
実施形態12
前記第1のワックスモールドと前記未加工のセラミック本体とを分離するステップが、
前記未加工の本体を約60℃~約130℃の温度に加熱して前記ワックスモールドを溶融させるステップと、加熱中に前記未加工のプレス成形体の少なくとも1つの外面に外圧を加えて亀裂形成を防止するステップと、
を含む、実施形態8記載の方法。
【0068】
実施形態13
成形されたセラミック物品を形成する方法であって、
第1の表面と、反対側の第2の表面と、少なくとも一方の表面に成形された少なくとも1つのフィーチャーとを含む未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップであって、
少なくともフィーチャーを有する第1のワックスモールドをプレス成形ダイのキャビティ内に配置するステップと、
セラミック粉末を前記キャビティ内に流し込むステップであって、前記セラミック粉末が前記第1のワックスモールドを少なくとも完全に覆う、ステップと、
前記キャビティ内の前記セラミック粉末に約30MPa~約130MPaの圧力を加えて、未加工のプレス成形体を形成するステップと、
前記第1のワックスモールドと前記未加工のプレス成形体とを分離するステップと、
を含む、未加工のセラミックプレス成形体を形成するステップと、
前記未加工のプレス成形体を加熱して、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を形成するステップと、
無加圧焼結プロセスを介して、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップであって、前記無加圧焼結プロセスは、不活性ガス雰囲気中、約2000℃~約2400℃の温度で、前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を加熱するステップを含む、脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品を緻密化するステップと、
を含む、方法。
【0069】
実施形態14
前記プレス成形ダイの前記キャビティ内の前記セラミック粉末の上に、少なくとも1つのフィーチャーを有する第2のワックスモールドを配置して、前記第1の表面に少なくとも1つのフィーチャーと、前記第2の表面に少なくとも1つのフィーチャーとを有する未加工のプレス成形体を形成するステップをさらに含む、実施形態12記載の方法。
【0070】
実施形態15
前記ホットプレスプロセスが、
前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品をホットプレスダイ内に挿入する前に、充填材料の第2の層を前記ホットプレスダイ内に流し込むステップをさらに含み、前記充填材料の第2の層は、ホットプレス中、隣接する前記脱バインダーされたフィーチャー付きセラミック部品の圧縮特性の約10%以内である圧縮特性を有する、実施形態12記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】