(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電気的トラクションシステム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240322BHJP
【FI】
H02M7/48 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560996
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2021104289
(87)【国際公開番号】W WO2022205654
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110355484.1
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523373887
【氏名又は名称】チュージョウ・シーアールアールシー・タイムズ・エレクトリック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Zhuzhou CRRC Times Electric Co., Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】523373898
【氏名又は名称】シーアールアールシー・チュージョウ・インスティテュート・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CRRC Zhuzhou Institute Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】チィ,ユィ
(72)【発明者】
【氏名】メイ,ウェンチン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,リアンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ドウ,ゼチュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シオン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ユエチョン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ビン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770CA02
5H770CA08
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA27
5H770DA41
5H770FA03
5H770JA10W
5H770JA10X
(57)【要約】
電気的トラクションシステム1は、AC電源40に動作可能に接続される一次巻線36と、一次巻線36に誘導的に結合された二次巻線37とを備える降圧変圧器35と、二次巻線37に動作可能に接続された第1の入力端子4及び第2の入力端子6と、複数のAC/AC電力変換器11とを備えるトラクションコンバータモジュール2とを備える。複数のAC/AC電力変換器11のそれぞれは、AC電力を受けるように構成された第1及び第2の入力ノード3、5と、AC電力を供給するように構成された出力ノード9とを備える。複数のAC/AC電力変換器11の第1及び第2の入力ノード3、5は、第1の入力端子4及び第2の入力端子6の間において直列に、電気的に接続される。電気的トラクションシステム1は、トラクションコンバータモジュール2によって駆動されるように構成された少なくとも1つの電気モータ25を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的トラクションシステムであって、上記電気的トラクションシステムは、
AC電源に動作可能に接続される一次巻線と、上記一次巻線に誘導的に結合された二次巻線とを備える降圧変圧器と、
上記二次巻線に動作可能に接続された第1の入力端子及び第2の入力端子と、複数のAC/AC電力変換器とを備えるトラクションコンバータモジュールとを備え、
上記複数のAC/AC電力変換器のそれぞれは、AC電力を受けるように構成された第1及び第2の入力ノードと、AC電力を供給するように構成された出力ノードとを備え、
上記複数のAC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードは、上記第1の入力端子及び上記第2の入力端子の間において直列に、電気的に接続され、
上記電気的トラクションシステムは、上記トラクションコンバータモジュールによって駆動されるように構成された少なくとも1つの電気モータを備える、
電気的トラクションシステム。
【請求項2】
上記少なくとも1つの電気モータは多相電気モータを備える、
請求項1記載の電気的トラクションシステム。
【請求項3】
上記複数のAC/AC電力変換器は、第1のAC/AC電力変換器及び第2のAC/AC電力変換器を備え、
上記第1及び第2のAC/AC電力変換器の出力ノードは、上記多相電気モータにAC電力を供給して上記多相電気モータを駆動するように構成される、
請求項2記載の電気的トラクションシステム。
【請求項4】
上記第1及び第2のAC/AC電力変換器は同一の回路トポロジーを有する、
請求項3記載の電気的トラクションシステム。
【請求項5】
上記多相電気モータは、固定子巻線の第1の集合と、固定子巻線の第2の集合とを備え、
上記第1のAC/AC電力変換器の出力ノードは、上記固定子巻線の第1の集合に電気的に接続され、上記第2のAC/AC電力変換器の出力ノードは、上記固定子巻線の第2の集合に電気的に接続される、
請求項3又は4記載の電気的トラクションシステム。
【請求項6】
上記固定子巻線の第1の集合と、上記固定子巻線の第2の集合とは、電気的に互いに隔離される、
請求項5記載の電気的トラクションシステム。
【請求項7】
上記第1のAC/AC電力変換器は、その出力ノードにおいて、AC電力の第1の個数の相を出力するように構成され、
上記相の第1の個数は、上記固定子巻線の第1の集合の相の個数と同一である、
請求項5又は6記載の電気的トラクションシステム。
【請求項8】
上記複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つは、整流器、DCリンクキャパシタ、及び電力インバータを備える、
請求項1~7のうちの1つに記載の電気的トラクションシステム。
【請求項9】
上記整流器及び上記電力インバータの各々は、少なくとも1つの電力半導体デバイスを備える、
請求項8記載の電気的トラクションシステム。
【請求項10】
上記電力インバータは、上記DCリンクキャパシタの2つの端部の間に接続された複数のインバータレッグを備え、
上記複数のインバータレッグは、上記各AC/AC電力変換器の出力ノードを提供する、
請求項8又は9記載の電気的トラクションシステム。
【請求項11】
上記トラクションシステムのトラクションモードの間に、上記各AC/AC電力変換器の入力ノードにおいて受けたAC電力をその出力ノードにおいてAC電力に変換するように、上記少なくとも1つの電力半導体デバイスのオン及びオフ状態を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、
請求項9記載の、又は、請求項9に従属する請求項10記載の電気的トラクションシステム。
【請求項12】
上記コントローラは、上記トラクションシステムの制動モードの間に、上記少なくとも1つの電気モータの力学的エネルギーを上記二次巻線における電気的エネルギーに変換するように、上記各AC/AC電力変換器の電力半導体デバイスのオン及びオフ状態を制御するようにさらに構成される、
請求項11記載の電気的トラクションシステム。
【請求項13】
上記複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つは、上記各AC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードの間に接続されたバイパススイッチをさらに備える、
請求項1~12のうちの1つに記載の電気的トラクションシステム。
【請求項14】
上記複数のAC/AC電力変換器は、予備AC/AC電力変換器をさらに備え、上記予備AC/AC電力変換器は、その第1及び第2の入力ノードの間に接続されたバイパススイッチを備える、
請求項1~13のうちの1つに記載の電気的トラクションシステム。
【請求項15】
上記多相電気モータは、予備固定子巻線の集合を備え、
上記予備AC/AC電力変換器の出力ノードは、上記予備固定子巻線の集合に電気的に接続される、
請求項2に従属する請求項13記載の電気的トラクションシステム。
【請求項16】
上記コントローラは、上記バイパススイッチのオン及びオフ状態を制御するように構成される、
請求項11に従属する請求項13又は14記載の電気的トラクションシステム。
【請求項17】
上記二次巻線及び上記トラクションコンバータモジュールの間に電気的に接続されたプリチャージ回路をさらに備え、
上記プリチャージ回路は、上記トラクションコンバータモジュールの通常動作の前に、上記DCリンクキャパシタを充電するように構成される、
請求項8に従属する請求項9~16のうちの1つに記載の電気的トラクションシステム。
【請求項18】
上記変圧器はライン周波数変圧器を備える、
請求項1~17のうちの1つに記載の電気的トラクションシステム。
【請求項19】
請求項1~18のうちの1つに記載の電気的トラクションシステムを備える電気的マシン。
【請求項20】
上記電気的マシンは乗物を含む、
請求項19記載の電気的マシン。
【請求項21】
AC電源と、
請求項1~18のうちの1つに記載の電気的トラクションシステムとを備え、
上記一次巻線は上記AC電源に動作可能に接続される、
パワーエレクトロニクスシステム。
【請求項22】
AC電源と、
請求項1~18のうちの1つに記載の電気的トラクションシステムを備える乗物とを備え、
上記電気的トラクションシステムの一次巻線は上記AC電源に動作可能に接続される、
レール輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気的トラクションシステムに関する。より詳しくは、ただし排他的でなく、本開示は、交流(AC)電力を受けて電気モータ負荷を駆動する電気的トラクションシステムに関する。そのような電気的トラクションシステムは、レール輸送システムのような、様々なパワーエレクトロニクスアプリケーションで使用するに適している。
【背景技術】
【0002】
電気的トラクションシステムは、電気的エネルギーを用いて電気モータを駆動することで電気的エネルギーを力学的エネルギーに変換し、それによって、電気的マシンの推進を引き起こす牽引力を発生する。電気的マシンの典型例は、乗物(例えば、機関車、電気又は水素乗物、エレベータ、又は動力分散方式電車(electric multiple unit))である。電気モータはトラクションモータと呼ばれることもある。
【0003】
電気的トラクションシステムは、直流(DC)及びAC電源のいずれかを使用してもよい。概して、電気機関車及び長距離高速列車(例えば動力分散方式列車)は、AC電力が供給されるトラクションシステムを採用する。AC電力は、典型的には、電力グリッドによって高架線を介して供給され、パンタグラフを介して機関車又は列車によって受けられる。
【0004】
近年、レール輸送システムの電化が進展し続けた。現在、3300~6500Vの高い電圧定格を有するSiベースの絶縁ゲートバイポーラートランジスター(IGBT)の継続的な向上によって、Si-IGBT装置に基づくトラクションコンバータは、電気機関車及び高速動力分散方式列車の電気的トラクションシステムにおいて広く使用されている。しかしながら、高い信頼性を有し、低コストであり、高効率であり、軽量であり、かつ小型化されたトラクションシステムに対する需要が増大し続けている。しかしながら、既存の電気的トラクションシステムが基礎とするSiベースのIGBTの発展はゆるやかになっている。従って、電気的トラクションシステムのさらなる改善の余地は比較的限定されている。
【0005】
図1は、電気機関車及び高速列車において一般的に使用される従来の電気的トラクションシステム100を概略的に示す。従来のトラクションシステム100は、変圧器135、トラクションコンバータ102、及び電気モータ125を備える。変圧器135は、電力グリッド140に接続された一次巻線136と、二次巻線137とを有する。トラクションコンバータ102は、プリチャージ回路130を介して二次巻線137の2つの端部に電気的に接続された単相AC入力端子104、106と、トラクションモータ125を駆動する三相AC出力ノード109とを有する。トラクションモータ125は、一般に、三相非同期モータ又は三相の永久磁石同期電動機である。トラクションコンバータ102は、受けた単相AC電力をDC電力に変換する整流器113と、DC電力を蓄えるDCリンクキャパシタ114と、DC電力を三相AC電力に変換する電力インバータ115とを備える。
【0006】
一実施例では、電力グリッド140は25kVのAC電力を供給し、変圧器140は、グリッドによって供給される25kVを950Vにステップダウンする。二次巻線137にわたる950Vの定格を有するAC電圧は、DCリンクキャパシタ114にわたる約1800Vの定格を有する中間DC電圧に対応する。この電圧方式において、トラクションコンバータ102の整流器113及びインバータ115において使用される電力半導体デバイスは、概して、3300Vの定格を有する、SiベースのIGBTである。
【0007】
さらなる実施例では、電力グリッド140はなおも25kVのAC電力を供給するが、変圧器140は、電圧を約1900Vにステップダウンする。1900Vの定格を有するAC電圧は、DCリンクキャパシタ114にわたる約3600Vの定格を有する中間DC電圧に対応する。この電圧方式において、トラクションコンバータ102の整流器113及びインバータ115において使用される電力半導体デバイスは、概して、6600Vの定格を有する、SiベースのIGBTである。レール乗物のための少数のトラクションコンバータはまた、4500VのSiベースのIGBTを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高効率、軽量、及び小型化は、常に、レール移動アプリケーションのトラクションシステムの開発における主な目標であった。さらに、そのようなトラクションシステムのコストを下げることもまた望ましい。
【0009】
3300V~6500Vの定格を有するSiベースのIGBTを用いるトラクションコンバータは十分に発達し、軽量化、小型化、及びコスト削減のための限られた余地しかない。特に、3300V~6500Vの定格を有するSiベースのIGBTは、典型的には、大型のパッケージ、高いコスト、比較的低い信頼性、比較的高い損失、及び低い動作周波数を有する。さらに、従来のトラクションコンバータ102の回路トポロジーには柔軟性がなく、さらなるシステム最適化を困難にする。さらに、トラクションコンバータ102、特に電力インバータ115は、トラクションモータ125によって必要とされる電力のすべてを出力する。従って、トラクションコンバータ102には高い出力電力要件が課され、このことは、次いで、高い電力定格を有する電力半導体デバイスの使用を必要とする。
【0010】
3300V以上の定格電圧を有する最新の炭化ケイ素(SiC)ベースの電力用半導体デバイスは、同じ定格電圧を有するSiベースのIGBTを置き換えることができる。整流器113及び電力インバータ115の内部のSiCベースのデバイスを用いることは、スイッチング周波数を適度に増大させることで、損失を低減し、効率を向上させ、トラクションコンバータ102の軽量化及び小型化に寄与しうる。しかしながら、SiCベースのデバイスのコストは非常に高く、同じ定格電圧を有するSiベースのIGBTのそれに対して約十倍になり、そのような高電圧のSiCベースのデバイスの信頼性はまだ検証されていない。従って、トラクションコンバータ102内においてSiCデバイスを使用することは、まだ試作及び実験段階にある。
【0011】
本開示の目的は、とりわけ、既知のトラクションシステムに対する改善をもたらす電気的トラクションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の態様によれば、電気的トラクションシステムが提供され、
電気的トラクションシステムは、
AC電源に動作可能に接続される一次巻線と、一次巻線に誘導的に結合された二次巻線とを備える降圧変圧器と、
二次巻線に動作可能に接続された第1の入力端子及び第2の入力端子と、複数のAC/AC電力変換器とを備えるトラクションコンバータモジュールとを備え、
複数のAC/AC電力変換器のそれぞれは、AC電力を受けるように構成された第1及び第2の入力ノードと、AC電力を供給するように構成された出力ノードとを備え、
複数のAC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードは、第1の入力端子及び第2の入力端子の間において直列に、電気的に接続され、
電気的トラクションシステムは、トラクションコンバータモジュールによって駆動されるように構成された少なくとも1つの電気モータを備える。
【0013】
第1の入力端子及び第2の入力端子の間において直列に、複数のAC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードを電気的に接続することによって、複数のAC/AC電力変換器の入力側は、ともに、変圧器の二次巻線によって出力されるAC電圧を共用する。その結果、AC/AC電力変換器の各々は、その第1及び第2の入力ノードの間において、AC電圧の大きさの数分の1を受ける。従って、AC/AC電力変換器は、低減された定格電圧を有する電力半導体デバイスを使用できるようになる。
【0014】
降圧変圧器の場合、二次巻線は一次巻線より少数の巻線を有し、これにより、出力される電力ストリームの電圧を低下させる。降圧変圧器の使用は、各AC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードの間におけるAC電圧をさらに低減し、それによって、AC/AC電力変換器が、さらに低減された定格電圧を有する電力半導体デバイスを使用することを可能にする。
【0015】
より低い定格電圧を有する電力半導体デバイスは、典型的には、より高い定格電圧を有する電力半導体デバイスよりも、小さなパッケージ寸法、低い価格、及び高い成熟度を有する。さらに、低電圧の電力半導体デバイスは、高電圧の電力半導体デバイスよりも低いスイッチング損失かつ高い効率を提供する。さらに、低電圧の電力半導体デバイスは、冷却及び熱交換要件を緩和し、これにより、トラクションシステムが低減された重さ、体積、及びコストを有することを可能にする。
【0016】
従って、本開示の電気的トラクションシステムは、従来の電気的トラクションシステムに比べて、より高い効率、低減された重さ及び体積と、低減されたコストとを有する。
【0017】
さらに、トラクションコンバータモジュールの回路トポロジーは、拡張及び再構成のための大きな柔軟性を有する。特に、従来の電気的トラクションシステムに比べて、第1及び第2の入力端子の間において直列に接続されたAC/AC電力変換器の個数を変更すること、及び/又は、本開示に係るトラクションシステムのトラクションコンバータモジュールによって駆動される電気モータの個数を変更することは、ずっと簡単である。
【0018】
電気モータは、トラクションモータと呼ばれてもよい(これは、電気的マシンの推進を引き起こす牽引力を発生する)。電気モータがACモータであることもまた理解されるであろう。
【0019】
「複数のAC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードが、第1の入力端子及び上記第2の入力端子の間において直列に、電気的に接続される」という表現により、電力変換器の第2の入力ノードが、後段に隣接する電力変換器の第1の入力ノードに電気的に接続され、及び/又は、電力変換器の第1の入力ノードが、前段に隣接する電力変換器の第2の入力ノードに電気的に接続されることを意味する。
【0020】
「トラクションコンバータモジュールによって駆動されるように構成された少なくとも1つの電気モータ」という表現により、AC/AC電力変換器の少なくとも1つが、少なくとも1つの電気モータにAC電力を供給して少なくとも1つの電気モータを駆動するように構成されることを意味する。
【0021】
本開示において使用される「動作可能に接続される」又は「動作可能に接続する」という用語は、接続された素子の間において、1つ又は複数の介在素子が接続されている可能性があることを意味する。
【0022】
「AC電源に動作可能に接続するための一次巻線」という表現により、AC電源が電気的トラクションシステムの一部ではない可能性があることを意味する。
【0023】
複数のAC/AC電力変換器が、2つ以上のAC/AC電力変換器を含むことが認識されるだろう。
【0024】
複数のAC/AC電力変換器の各々は、入力ノードにおいて、単相AC電力を受けるように構成されてもよい。
【0025】
複数のAC/AC電力変換器のうちの1つ又は複数は、出力ノードにおいて、三相以上のAC電力を供給するように構成されてもよい。
【0026】
少なくとも1つの電気モータは多相電気モータを含んでもよい。
【0027】
多相電気モータが三相以上を含む単一のモータであり、多相電気モータが複数のAC/AC電力変換器のうちの1つ又は複数によって駆動されうることが認識されるであろう。従来の三相電気モータに比べて、多相電気モータは、それが相冗長性を提供して相オープン故障の間に動作可能であるので、より大きな障害耐性を有する。従って、多相電気モータの使用は、電気的トラクションシステムの信頼性を向上させる。さらに、多相電気モータは、従来の三相モータに比べて、より高いトルク密度、トルク鼓動の低減した振幅及び増大した周波数、より高い効率、より低いDCリンク電流高調波、及びより良好なノイズ及び振動特性を達成する。なおさらに、多相電気モータは、従来の三相電気的モータよりも大きな自由度で制御可能であり、それによって、多相電気モータがトルク及びシャフト電圧のより大きな調節を達成することを可能にする。
【0028】
複数のAC/AC電力変換器は、第1のAC/AC電力変換器及び第2のAC/AC電力変換器を備えてもよい。第1及び第2のAC/AC電力変換器の出力ノードは、多相電気モータにAC電力を供給して多相電気モータを駆動するように構成されてもよい。
【0029】
優位点として、第1及び第2のAC/AC電力変換器によりともに多相電気モータを駆動させることによって、第1及び第2のAC/AC電力変換器の各々は、多相電気モータによって必要とされる合計の電力の数分の1を供給する。従って、各AC/AC電力変換器の必要な電力定格と、そこで使用される半導体デバイスの必要な電力定格とが低減されうる。
【0030】
複数のAC/AC電力変換器が、第1及び第2のAC/AC電力変換器に加えて、さらなる1つ又は複数の電力変換器を含んでもよいことが認識されるであろう。用語「第1」及び「第2」は、説明の便宜上、AC/AC電力変換器に単にラベル付けするために使用され、トラクションコンバータモジュール内のコンバータのシーケンス又は位置に対するいかなる限定を意味しないこともまた理解されるであろう。第1のAC/AC電力変換器は、第2のAC/AC電力変換器に対して直に隣接していても、隣接していなくてもよい。
【0031】
第1及び第2のAC/AC電力変換器は同一の回路トポロジーを有してもよい。優位点として、同一の回路トポロジーは、第1及び第2のAC/AC電力変換器が、多相電気モータに等量の電力を供給することによって電力整合を達成することを可能にする。
【0032】
多相電気モータは、固定子巻線の第1の集合と、固定子巻線の第2の集合とを備えてもよい。第1のAC/AC電力変換器の出力ノードは、固定子巻線の第1の集合に電気的に接続されてもよく、第2のAC/AC電力変換器の出力ノードは、固定子巻線の第2の集合に電気的に接続されてもよい。
【0033】
本開示において使用される用語「電気的に接続される」は、接続される素子の間において、1つ又は複数の介在素子(例えば電気的接点)が接続される可能性があることを意味する。
【0034】
多相電気モータが、固定子巻線の1つ又は複数のさらなる集合を含んでもよいことが認識されるであろう。
【0035】
固定子巻線の第1の集合と、固定子巻線の第2の集合とは、電気的に互いに隔離されてもよい。優位点として、固定子巻線の集合間の電気的絶縁はシステムの信頼性を向上させる。
【0036】
第1のAC/AC電力変換器は、その出力ノードにおいて、AC電力の第1の個数の相を出力するように構成されてもよい。相の第1の個数は、固定子巻線の第1の集合の相の個数と同一であってもよい。
【0037】
相の第1の個数は三相以上であってもよい。
【0038】
第1のAC/AC電力変換器の出力ノードの個数は、相の第1の個数と同一であってもよい。
【0039】
代替として、第1のAC/AC電力変換器の出力ノードの個数は、相の第1の個数の2倍であってもよい。この装置は、オープンエンドの固定子巻線を駆動する場合に危険になりうる。
【0040】
固定子巻線の第1の集合は、Y又はΔ構成で接続されてもよい。代替として、固定子巻線の第1の集合は、両端から電力供給されることを必要とするオープンエンドの固定子巻線であってもよい。
【0041】
第2のAC/AC電力変換器と、固定子巻線の第2の集合とは、第1のAC/AC電力変換器と、固定子巻線の第1の集合に関して上述したものと同様の特徴を有してもよい。
【0042】
複数のAC/AC電力変換器は同一の回路トポロジーを有してもよい。優位点として、同一の回路トポロジーは、複数のAC/AC電力変換器がAC電源の電圧を等しく共用することを可能にする。
【0043】
複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つは、整流器、DCリンクキャパシタ、及び電力インバータを備えてもよい。複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つも、間接型電力変換器又はAC-DC-AC電力変換器と呼ばれることもある。
【0044】
整流器及び電力インバータの各々は、少なくとも1つの電力半導体デバイスを備えてもよい。
【0045】
少なくとも1つの電力半導体デバイスは、Siベースの電力半導体デバイス、SiCベースの電力半導体デバイス、及びGaNベースの電力半導体デバイスのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0046】
電力インバータは、DCリンクキャパシタの2つの端部の間に接続された複数のインバータレッグを備えてもよい。複数のインバータレッグは、各AC/AC電力変換器の出力ノードを提供してもよい。
【0047】
各インバータレッグは、少なくとも1つの電力半導体デバイスを備えてもよい。
【0048】
電気的トラクションシステムは、上記トラクションシステムのトラクションモードの間に、上記各AC/AC電力変換器の入力ノードにおいて受けたAC電力をその出力ノードにおいてAC電力に変換するように、上記少なくとも1つの電力半導体デバイスのオン及びオフ状態を制御するように構成されたコントローラをさらに備えてもよい。
【0049】
コントローラは、トラクションシステムの制動モードの間に、少なくとも1つの電気モータの力学的エネルギーを上記二次巻線における電気的エネルギーに変換するように、各AC/AC電力変換器の電力半導体デバイスのオン及びオフ状態を制御するようにさらに構成されてもよい。電気的エネルギーは、一次巻線に、及びさらにAC電源に戻されてもよい。
【0050】
複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つは、各AC/AC電力変換器の第1及び第2の入力ノードの間に接続されたバイパススイッチをさらに備えてもよい。
【0051】
複数のAC/AC電力変換器のうちの少なくとも1つは、バイパススイッチがOFF状態(すなわち開)にある場合、各コンバータが動作状態にされ、上記バイパススイッチがON状態(すなわち閉)にある場合、各コンバータが非動作状態にされるように構成されてもよい。
【0052】
複数のAC/AC電力変換器は、予備AC/AC電力変換器をさらに備えてもよい。予備AC/AC電力変換器は、その第1及び第2の入力ノードの間に接続されたバイパススイッチを備えてもよい。
【0053】
多相電気モータは、予備固定子巻線の集合を備えてもよく、予備AC/AC電力変換器の出力ノードは、予備固定子巻線の集合に電気的に接続されてもよい。
【0054】
予備AC/AC電力変換器は、複数のAC/AC電力変換器のうちの故障した1つを置き換えるように構成されてもよい。
【0055】
トラクションコンバータモジュールは、複数のAC/AC電力変換器に故障が発生していない場合、予備AC/AC電力変換器のバイパススイッチはON状態(すなわち閉)になり、かつ、他の電力変換器のバイパススイッチはOFF状態(すなわち開)になるように、また、故障が発生した場合、故障したAC/AC電力変換器のバイパススイッチはON状態に切り換えられ、かつ、予備AC/AC電力変換器のバイパススイッチはOFF状態に切り換えられるように構成されてもよい。
【0056】
コントローラは、バイパススイッチのオン及びオフ状態を制御するように構成されてもよい。
【0057】
電気的トラクションシステムは、二次巻線及びトラクションコンバータモジュールの間に電気的に接続されたプリチャージ回路をさらに備えてもよい。プリチャージ回路は、トラクションコンバータモジュールの通常動作の前に、DCリンクキャパシタを充電するように構成されてもよい。
【0058】
プリチャージ回路は、充電抵抗を備えてもよく、充電抵抗を介してDCリンクキャパシタを充電するように構成されてもよい。
【0059】
プリチャージ回路は、第1のスイッチ及び第2のスイッチをさらに備えてもよい。第2のスイッチは、上記充電抵抗に対して直列に接続されてもよい。第1のスイッチは、第2のスイッチ及び充電抵抗に対して並列に接続されてもよい。
【0060】
変圧器はライン周波数変圧器を含んでもよい。
【0061】
ライン周波数変圧器は、ライン周波数(これらはユーティリティ周波数とも呼ばれてもよく、例えば50Hz又は60Hz)において動作する変圧器であることが理解されるであろう。
【0062】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る電気的トラクションシステムを備える電気的マシンが提供される。
【0063】
電気的マシンは乗物を含んでもよい。乗物は、電気機関車、電車(列車)、及び動力分散方式電車からなるグループから選択されてもよい。
【0064】
代替として、電気的マシンは産業用装置を含んでもよい。
【0065】
本開示の第3の態様によれば、パワーエレクトロニクスシステムが提供され、パワーエレクトロニクスシステムは、AC電源と、第1の態様に係る電気的トラクションシステムとを備え、一次巻線はAC電源に動作可能に接続される。
【0066】
本開示の第4の態様によれば、レール輸送システムが提供され、レール輸送システムは、AC電源と、第1の態様に係る電気的トラクションシステムを備える乗物とを備え、電気的トラクションシステムの一次巻線はAC電源に動作可能に接続される。
【0067】
適切な場合には、本開示の態様のうちの1つに関して上述したオプション機能のうちの任意のものが、本開示の態様の他の1つに適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】従来の電気的トラクションシステムの概略的な回路図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る電気的トラクションシステムの概略的な回路図である。
【
図3】本開示の第2の実施形態に係る電気的トラクションシステムの概略的な回路図である。
【
図4】
図2又は
図3の電気的トラクションシステムにおいて使用されうるAC/AC電力変換器の概略的な回路図である。
【
図5】
図2又は
図3の電気的トラクションシステムにおいて使用されうる他のAC/AC電力変換器の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本開示をより十分に理解しうるようにするために、本願では、添付図面を例示としてのみ参照して本開示の多数の実施形態について説明する。
【0070】
図面において、同様の部分は同じ参照符号によって示される。
【0071】
図面が例示のみを目的とし、縮尺どおりに示していないことが認識されるであろう。
【0072】
好ましい実施形態の詳細な説明
図2は、本開示の第1の実施形態に係る電気的トラクションシステム1(以下、「トラクションシステム」とも呼ぶ)の回路図を概略的に示す。トラクションシステム1は、従来のトラクションシステム100において使用されるトラクションコンバータ102に代えて、トラクションコンバータモジュール2を使用する。トラクションコンバータモジュール2は、電気モータ25を駆動するために、単相AC電力を多相AC電力に変換する。トラクションシステム1は、使用時にAC電源40に電気的に接続される一次巻線36と、一次巻線36より少ない巻数を有する二次巻線37とを有する降圧変圧器35をさらに備える。したがって、変圧器35は、AC電源40によって供給される高電圧を、より低い電圧に降圧する。AC電源40は電力グリッドであってもよい。電力グリッドによって供給されるAC電力は、典型的には、50Hz又は60Hzの周波数、すなわち、ライン周波数又はユーティリティ周波数を有する。従って、降圧変圧器35はライン周波数変圧器であってもよく、このことは、それがライン周波数(すなわち50Hz又は60Hz)において動作することを意味する。AC電源40が、トラクションシステム1の特定のアプリケーションに依存して異なる形式をとってもよく、また、変圧器35が異なる周波数において動作してもよいことが認識されるであろう。降圧することとは別に、変圧器35は、電力又はAC電源40に対する供給電力を取得し、トラクションコンバータモジュール2及びAC電源40の間の電気的絶縁を提供する。
【0073】
トラクションコンバータモジュール2は、第1の入力端子4及び第2の入力端子6を含み、それらは、二次巻線37の2つ端部にそれぞれ電気的に接続される。プリチャージ回路30は、第1の入力端子4と二次巻線37の一方の端部との間に直列に、電気的に接続される。
図2を参照すると、トラクションコンバータモジュール2は、4つのAC/AC電力変換器(以下では「AC/ACコンバータ」と呼ぶ)11
1、…11
4(これらをまとめて11と呼ぶ)を含み、これらのそれぞれはトラクションコンバータ102に類似している。各AC/ACコンバータ11
i(i=1、…4)は、単相AC電力を受ける第1の入力ノード3
i及び第2の入力ノード5
iと、入力ノード間に接続されたスイッチ7
iと、三相AC電力を駆動モータ負荷に供給する3つの出力ノード9iとを含む。
【0074】
AC/AC変換器11の第1及び第2の入力ノード3、5は、第1の入力端子4及び第2の入力端子6の間において直列に、電気的に接続される。特に、AC/ACコンバータ11iの第2の入力ノード5i(i=2又は3)は、後段のAC/ACコンバータ11i+1の第1の入力ノード3i+1に電気的に接続され、AC/ACコンバータ11iの第1の入力ノード3iは、前段のAC/ACコンバータ11i-1の第2の入力ノード5i-1に電気的に接続される。AC/ACコンバータ11のアレイの前方におけるAC/ACコンバータ111は、第1の入力端子4に電気的に接続されたその第1の入力ノード31を有する。AC/ACコンバータ11のアレイの後方におけるAC/ACコンバータ114は、第2の入力端子6に電気的に接続されたその第2の入力ノード54を有する。
【0075】
スイッチ7は、スイッチをバイパスするように機能し、対応するAC/ACコンバータ11を動作状態又は非動作状態にするために使用されうる。スイッチ7
i(例えば
図2の7
4)が閉じている場合(すなわちON状態にある場合)、対応するAC/ACコンバータ11
iの第1及び第2の入力ノード3
i及び5
iは、電気的に互いに短絡される。その結果、AC/ACコンバータ11
iはAC電力を受けず、したがって非動作状態にされる。逆に、開いた(すなわちOFFの)スイッチ7
i(例えば、
図2の7
1、7
2、又は7
3)は、対応するAC/ACコンバータ11
iがアクティブなコンバータとして通常通り機能することを可能にする。一実施例では、AC/ACコンバータ11
4は、通常は閉じているバイパススイッチ7
4を有する予備コンバータであり、残りの3つのAC/ACコンバータ11
1~11
3は、通常は開いているバイパススイッチを有するアクティブなコンバータである。
【0076】
図2に示すように、AC/ACコンバータ11の各々は、整流器13、DCリンクキャパシタ14、及び電力インバータ15を備える。整流器13は、4つの電力半導体デバイス(スイッチとして示す)T1~T4を備える。デバイスT1及びT4がオンされることで、入力AC波の正の半波がDCリンクキャパシタ14を充電することを可能にしてもよく、一方、デバイスT2及びT3がオンされることで、入力ACの負の半波がDCリンクキャパシタ14を充電することを可能にしてもよい。整流器13は、単相の2レベルのフルブリッジ4象限整流器として図示されているが、整流器13は、
図2に示す実施例に限定されない任意の適切な形式をとってもよい。電力インバータ15は、出力ノードをそれぞれ提供する3つのインバータレッグを備える。3つのインバータレッグは同じ構造を有する。簡単化のために、下記の説明は、第1のインバータレッグのみの構造を述べる。第1のインバータレッグは、DCリンクキャパシタ14の2つの端部(すなわち、V
DD、V
SS)の間に接続された2つの電力半導体デバイスT5及びT6を備え、その出力ノードは2つのデバイスT5、T6の間にある。異なる時間にオン及びオフを切り換えるように3つのインバータレッグの電力半導体デバイスを制御することによって、3つの出力ノード9において供給されるAC電力は、3つの異なる相を有する。さらに、電力インバータ15は、2レベルの三相のフルブリッジインバータとして図示されているが、インバータ15は、例えば、3レベル、マルチレベル、ハーフブリッジなどのような、異なる回路トポロジーを用いて実装されてもよい。さらに、インバータ15の相の個数は、インバータレッグの個数を調整することで、3個とは異なってもよい。
図2は、単一の電力半導体デバイスが、一方では各入力ノード3
i、5
i及び各出力ノード9
iと、他方では電圧ノードV
DD、V
SSとの間に設けられることを示す。このことは単に概念の明確性のためであり、1つよりも多くの電力半導体デバイスが設けられてもよく、各入力/出力ノードと電圧ノードV
DD、V
SSの各々との間に直列又は並列に、電気的に接続されてもよいことが理解されるであろう。
【0077】
図2のトラクションシステム1を参照すると、開いたスイッチ7を有するアクティブなAC/ACコンバータ11は、第1及び第2の入力端子4、6の間で受けたAC電圧をともに共用する。各アクティブなAC/ACコンバータ11
iの入力ノード3
i、5
iにわたる電圧降下は、単に、端子4、6の間で受けたAC電圧の数分の1である。従来のコンバータ102と比べて、AC/ACコンバータ11の各々は、ずっと低い定格電圧を有する電力半導体デバイスを用いることで構成可能である。このことはまた、電力半導体デバイスの選択を、SiベースのIGBT及びSiCベースのデバイスを超えて拡大する。例えば、AC/ACコンバータ11を構成するために、Siベースの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)及び窒化ガリウム(GaN)ベースのMOSFETが使用されてもよい。
【0078】
一実施例では、AC電源40は25kVのAC電力を供給し、変圧器35は、AC電源40によって供給される高電圧を、二次巻線37にわたる950Vの定格を有するAC電圧に降圧する。予備AC/ACコンバータ114がバイパスされる場合、各アクティブなAC/ACコンバータ111~113の定格AC入力電圧は316.7Vであり、これは、DCリンクキャパシタ14にわたる約750Vの定格を有する中間DC電圧に対応する。この電圧方式において、アクティブなAC/ACコンバータ111~113において使用される電力半導体デバイスは、従来のトラクションシステム100において使用される3300Vの定格を有するデバイスではなく、概して、1200Vの定格を有するデバイスである。1200Vの定格を有する電力デバイスの例は、SiベースのIGBT、SiベースのMOSFET、SiCベースのMOSFET、GaNベースのMOSFET、又は他の半導体ベースの電力デバイスを含む。
【0079】
入力端子4、6の間に直列に電気的に接続された2つのアクティブなAC/ACコンバータのみが存在する場合、各アクティブなAC/ACコンバータの定格AC入力電圧は475Vになり、これは、DCリンクキャパシタ14にわたる約1050Vの定格を有する中間DC電圧に対応する。この電圧方式において、アクティブなAC/ACコンバータにおいて使用される電力半導体デバイスは、従来のトラクションシステム100において使用される3300Vの定格を有するSiベースのIGBTとは対照的に、概して、1700Vの定格を有するデバイスである。1700Vの定格を有する電力デバイスの例は、SiベースのIGBT、SiベースのMOSFET、SiCベースのMOSFET、GaNベースのMOSFET、又は他の半導体ベースの電力デバイスを含む。
【0080】
より低い定格電圧を有する電力半導体デバイスは、典型的には、より高い定格電圧を有する電力半導体デバイスよりも、小さなパッケージ寸法、低い価格、及び高い成熟度を有する。さらに、低電圧の電力半導体デバイスは、高電圧の電力半導体デバイスよりも低いスイッチング損失かつ高い効率を提供する。さらに、低電圧の電力半導体デバイスは、冷却及び熱交換要件を緩和し、これにより、トラクションシステム1が低減された重さ、体積、及びコストを有することを可能にする。
【0081】
トラクションシステム1が、より低い定格を有するAC電源を必要とするのではなく、回路構造を改善することでより低い定格を有する電力半導体デバイスの使用を可能にするので、トラクションシステム1は、従来のトラクションシステム100と同じAC電源を使用しうる。従って、トラクションシステム1は、レール輸送アプリケーションにおける既存のトラクションシステム100を直接に置き換えてもよい。
【0082】
トラクションシステム1は、コントローラ20をさらに含む。コントローラ20は、信号ライン21を用いて、バイパススイッチ7のオン/オフスイッチングを制御する。コントローラ20はまた、信号ライン22を用いて、各AC/ACコンバータ11内の電力半導体デバイスのオン/オフスイッチングを制御する。その結果、各AC/ACコンバータ11の機能は、コントローラ20によって独立に制御されてもよい。スイッチ7は、ゲート制御型の電力スイッチ、例えばMOSFET又はIGBTとして、又は、電流コントローラ電力スイッチ、例えばサイリスタとして実装されてもよい。コントローラ20は、制御装置(例えば、プロセッサ、プログラム可能論理回路、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)など)と、制御装置によって出力された小電流制御信号をより大きい電流制御信号に変換するドライバ回路とを備えてもよい。
図2は、コントローラ20がトラクションシステム1の一部であることを示すが、代替として、コントローラ20がトラクションシステム1の外部構成要素であってもよいことが認識されるであろう。
【0083】
プリチャージ回路30は、二次巻線37の端部と第1の入力端子4との間に直列に電気的に接続される。プリチャージ回路30は、第1のスイッチ33と、プリチャージ抵抗32に直列に接続された第2のスイッチ31とを含む。第1のスイッチ33は、第2のスイッチ31及び抵抗32と並列に接続される。トラクションコンバータモジュール2の通常動作の前に、第1のスイッチ33が開けたままにされている間に第2のスイッチ31は閉じられる。このように、AC/ACコンバータ11のDCリンクキャパシタ14は、プリチャージ抵抗32を介して充電することができる。いったんDCリンクキャパシタ14のプリチャージが完了すると、プリチャージ抵抗32は、第1のスイッチ33を閉じて第2のスイッチ31を開くことでバイパスされる。第1のスイッチ33にわたる電圧降下は無視できる。従って、第1及び第2の入力端子4、6にわたるAC電圧の大きさは、二次巻線37によって供給されるAC電圧の大きさと実質的に同一である。DCリンクキャパシタ14のプリチャージは、AC/ACコンバータ11のDCリンクキャパシタ14及び電力半導体デバイス(例えばT1~T4)に損害を与えうる、システム始動時の過大な突入電流を防ぐために有用である。
【0084】
トラクションシステム1はまた電気モータ25を含み、それはACモータである。モータ25の固定子巻線は、AC/ACコンバータ11の出力ノード9に電気的に接続される。その結果、トラクションコンバータモジュール2は、AC電力をモータ25に供給することでモータ25を駆動する。モータ25は、典型的には、電気的マシン(例えば、乗物、産業用機械など)の推進を引き起こす牽引力を生成し、したがって、トラクションモータと呼ばれることもある。モータ25は、非同期モータ又は永久磁石同期電動機の形式をとってもよい。
【0085】
相の個数に関して、電気モータ25は多相電気モータである。多相モータは、概して、3つよりも多くの相(例えば5~12相)を有する。(モータ125のような)従来の三相モータでは、相のうちの1つが失われる場合、モータ内の回転磁界も消滅し、モータは動作を停止するであろう。従来の三相モータと比べて、多相モータ25は、それが相冗長性を提供して相オープン故障の間に動作できるので、より大きな障害耐性を有する。従って、多相モータ25の使用は、トラクションシステム1がより高い信頼性を有することを可能にする。さらに、多相モータ25は、従来の三相モータに比べて、より高いトルク密度、トルク鼓動の低減した振幅及び増大した周波数、より高い効率、より低いDCリンク電流高調波、及びより良好なノイズ及び振動特性を達成する。さらに、多相電気モータ25は、従来の三相電気的モータよりも大きな自由度で制御可能であり、それによって、モータ25がトルク及びシャフト電圧のより大きな調節を達成することを可能にする。
【0086】
トラクションコンバータモジュール2の回路トポロジーは、多相電気モータ25を駆動するのに特に適している。AC/ACコンバータ114が、通常閉である バイパススイッチ74を有する予備コンバータである場合、3つのアクティブなAC/ACコンバータ111~113がモータ25をともに駆動する。このことは、各アクティブなAC/ACコンバータが固定子巻線の各集合を駆動するように、各アクティブなAC/ACコンバータの出力ノード91、92、93を、モータ25の固定子巻線の各集合(例えば三相以上)に電気的に接続することで達成されてもよい。各アクティブなAC/AC電力変換器は、その出力ノードにおいて、所定個数の相のAC電力を出力する。好ましくは、AC/ACコンバータによって出力される相の個数(例えば3以上)は、それによって駆動される固定子巻線の集合の相の個数と同一である。従って、各AC/ACコンバータ111~113は、モータ25によって必要とされる合計電力の数分の1を供給する。モータ25を駆動する複数のAC/ACコンバータに同一の回路トポロジーをもたせることによって、AC/ACコンバータの各々は、モータ25の固定子巻線の各集合に等量の電力(例えば、モータ25によって必要とされる合計電力の3分の1)を供給し、したがって、互いに電力整合を達成する。
【0087】
モータ25内の固定子巻線の複数の集合は、例えば互いに分離された中性点を有することにより、電気的に互いに絶縁されてもよい。固定子巻線の集合間の電気的絶縁は、システムの信頼性を向上させるために有用である。代替として、モータ25内の固定子巻線の集合は同じ中性点を共用してもよい。固定子巻線の複数の集合は独立に制御されてもよく、したがって、モータ25のトルク及びシャフト電圧を最適化するために高い制御自由度を可能にしうる。
【0088】
前述したように、AC/ACコンバータ11
4は、通常は非動作状態にされている予備冗長なコンバータであってもよい。多相電気モータ25もまた冗長性を有して構成されてもよい。
図2を参照すると、モータ25は、予備AC/ACコンバータ11
4の出力ノード9
4に電気的に接続された予備固定子巻線の集合を含む。通常動作中に、AC/ACコンバータ11
4のバイパススイッチ7
4は、予備AC/ACコンバータ11
4を非動作状態にするように、コントローラ20によって閉じたままにされる。一方、AC/ACコンバータ11
1~11
3のスイッチ7
1~7
3は、コントローラ20によって開いたままにされる。このように、AC/ACコンバータ11
1~11
3はモータ25をともに駆動する。AC/ACコンバータ11
1~11
3のうちの1つ又はそれによって駆動される固定子巻線に故障が生じた場合、コントローラ20は、故障した分岐のスイッチ7
j(j=1、2、又は3)を閉じて、予備AC/ACコンバータ11
4を動作状態にするように予備AC/ACコンバータ11
4のスイッチ7
4を開く。したがって、予備AC/ACコンバータ11
4は、他の2つのアクティブなインバータを用いてモータ25を駆動する。多相電気モータ25及びトラクションコンバータモジュール2によって提供されるこの冗長機構は、モータ25の固定子巻線又はAC/ACコンバータ11に故障が生じる場合にトラクションシステム1が機能し続けることを可能にし、それによって、トラクションシステム1の信頼性を著しく向上させる。
【0089】
一実施例では、モータ25は12相モータとして設計されるが、9相モータとして動作し、3つの相は予備の相になる。モータ25は、600kWの定格電力を有してもよい。通常動作下では、アクティブなAC/ACコンバータ111~113の各々は、200kWの電力をモータ25に供給する。特に、各整流器13は、各アクティブなAC/ACコンバータによって受けたAC入力電力を約1.0の力率で整流し、750VのDCリンク電圧を達成する。DCリンク電圧はそれぞれ、各インバータ15によって、可変な周波数及び可変な基本量を有する三相AC電力に変換され、モータ25の三相固定子巻線の集合を駆動する。この過程において、電力は力学的パワーに変換される。トラクションシステム1のこの動作モードは、トラクションモードと呼ばれることもある。
【0090】
トラクションシステム1はまた、制御された方法でモータ25の力学的パワーが電力に変換される制動モードを有してもよい。特に、モータ25は、AC電力を発生する発電機として機能し、発生されたAC電力は、トラクションコンバータモジュール2のノード9へフィードバックされる。トラクションコンバータモジュール2のAC/ACコンバータ11は、ノード9において受けたAC電力を、ノード3、5において出力するためのAC電力に変換するように、コントローラ20によって制御される。この過程の間に、インバータ15は整流器として機能し、一方、整流器13はインバータとして機能する。ノード3、5によって出力されるAC電力は、次いで、二次巻線37に移動され、一次巻線を介してAC電源40に約-1.0の力率で戻される。
【0091】
トラクションモード及び制動モードの間に、電力はAC/ACコンバータ11を介して逆方向に流れることが理解されるであろう。コントローラ20は、AC/ACコンバータ11の動作モードを制御し、また、AC/ACコンバータ11を介する電力フローの方向を制御する。AC/ACコンバータ11の各々は、コンバータに電気的に接続された固定子巻線の各集合への/からの電力フローを独立に制御する。
【0092】
図2には図示していないが、少なくとも1つのAC/ACコンバータ11の1つ又は複数の出力ノード9と、モータ25の1つ又は複数の各固定子巻線との間に、電気的接点が接続されてもよい。電気的接点は、電気的スイッチ、リレー、コネクタ、及び回路遮断器において一般的に見られる電気回路構成要素である。各接点は1個の導電性材料、典型的には金属である。一対の電気的接点が接触する場合、それらは電流を通過させ、対応する出力ノード9及び固定子巻線を電気的に接続させうる。
【0093】
図2は、トラクションコンバータモジュール2が4つのAC/ACコンバータ11を含み、それらの入力側において直列に電気的に接続されることを示しているが、このことは単に例示を目的とし、AC/ACコンバータ11の個数に対するいかなる限定も意味しないことが理解されるであろう。実際に、入力側において直列に接続された少なくとも2つのAC/ACコンバータ11を有することは、トラクションコンバータモジュール2が上述した優位点を達成することを可能にするであろう。
【0094】
図2は、
図2のトラクションシステムが単一のモータ25を含むことを示しているが、1つ又は複数のさらなるモータが使用されてもよいことが認識されるであろう。1つ又は複数のさらなるモータは、トラクションコンバータモジュール2の余分な1つ又は複数のAC/ACコンバータによって駆動されてもよい。1つ又は複数のさらなるモータは、単一のAC/ACコンバータによって駆動される従来の三相モータを含んでもよく、又は、1つ又は複数のAC/ACコンバータによって駆動される、モータ25に類似した多相電気モータを含んでもよい。
【0095】
AC/ACコンバータ11のすべてがアクティブなAC/ACコンバータになるように、バイパススイッチ7が省略されてもよいこともまた理解されるであろう。
【0096】
アクティブなAC/ACコンバータ11が、第1の入力端子4、6の間におけるAC電圧を等しく共用し、出力ノードにおいて同じAC電流を出力するように、トラクションコンバータモジュール2内の複数のAC/ACコンバータ11が互いに同一である(すなわち、同一のデバイスパラメータとともに同一の回路トポロジーを有する)ことが好ましい。しかしながら、この構成が必須ではないことが認識されるであろう。
【0097】
図2に示すAC/ACコンバータ11は、入力AC電力を中間DC電力に変換し、次いでそれが出力のためのAC電力に変換される、AC-DC-ACコンバータである。AC/ACコンバータ11は、それらが出力AC電力を生成する際に入力AC電力の位相、周波数、及び大きさのうちの1つ又は複数を調整する限り、任意の適切な回路トポロジーも有してもよいことが認識されるであろう。例えば、AC/ACコンバータ11は、中間DC電力へのいかなる変換も必要とすることなく、入力AC電力を出力AC電力に直接に変換してもよい。代替として、AC/ACコンバータ11は、1回よりも多くのAC-DC-AC変換を実行してもよい。
【0098】
図2のトラクションシステム1は、例えば、入力端子4、6の間に直列に接続されたAC/ACコンバータの個数を変更すること、及び/又は、トラクションコンバータモジュールによって駆動されるモータの個数を変更することによって、柔軟な拡張性を有する。
図3は、本開示の第2の実施形態に係る電気的トラクションシステム1Aの回路図を概略的に示す。トラクションシステム1のものと同じトラクションシステム1Aの構成要素は、同じ符号を用いて識別される。トラクションシステム1のものに対応するが異なるトラクションシステム1Aの構成要素は、同じ数字を用いて、ただし区別のために文字「A」を付加してラベル付けされる。第1の実施形態を参照して上述した特徴及び優位点は、概して、第2の実施形態に適用可能である。
【0099】
トラクションシステム1Aは、トラクションコンバータモジュール2が2つの多相電動機25
1及び25
2を駆動し、これらのそれぞれが6相モータ(例えば、デュアル三相モータ)であるという点で、トラクションシステム1とは異なる。AC/ACコンバータ11
1及び11
2はモータ25
1をともに駆動する。AC/ACコンバータ11
3及び11
4はモータ25
2をともに駆動する。トラクションシステム1Aにおいて、AC/ACコンバータのすべてはアクティブなコンバータである。したがって、バイパススイッチは
図3から除去される。
【0100】
図2及び
図3によって提供される例は、少なくとも2つのAC/ACコンバータによってそれぞれ駆動される1つ又は複数の多相モータ25を含むが、多相モータのうちの1つ又は複数は、代替として、AC電力の複数の相を出力する単一のAC/ACコンバータによって駆動されてもよいことが認識されるであろう。トラクションコンバータモジュール2は、1つ又は複数の従来の三相モータを駆動するために使用されてもよく、また、各三相モータが単一のAC/ACコンバータによって駆動されてもよいこともまた認識されるであろう。
【0101】
図2及び
図3によって提供される例において、トラクションモータの三相固定子巻線の集合を駆動するために、各AC/ACコンバータは、AC電力の1つの相をトラクションモータの対応する相にそれぞれ供給する3つの出力ノードを有する。この構成は、モータ巻線がスター型(すなわちY)又はΔ構成で接続される場合に適切である可能性がある。トラクションモータがオープンエンドの固定子巻線を有する場合、
図2及び
図3のAC/ACコンバータ11の各々を置き換えるために、
図4及び
図5に示すようなAC/ACコンバータ11A又は11Bが使用されてもよい。
【0102】
図4に示すように、AC/ACコンバータ11Aは、第1の入力ノード3、第2の入力ノード5、整流器13、DCリンクキャパシタ14、及び電力インバータ15Aを備える。AC/ACコンバータ11Aは、電力インバータ15Aの構成においてコンバータ11とは異なる。より具体的には、電力インバータ15Aは、同じ構造を有する3対のインバータレッグを含む。簡単化のために、下記の説明は、第1のペアのインバータレッグの構造のみについて述べる。第1のペアのインバータレッグは、DCリンクキャパシタ14の2つの端部の間に直列に接続された2つの電力半導体デバイスG
3T及びG
3Bと、デバイスG
3T及びG
3Bの間の出力ノード9u-lと、DCリンクキャパシタ14の2つの端部の間に直列に接続された2つさらなる電力半導体デバイスG
6T及びG
6Bと、デバイスG
6T及びG
6Bの間の出力ノード9u-rとを含む。固定子巻線は、一対の出力ノード9u-l、9u-rの間に接続され、それは、AC電力を固定子巻線の両端に供給する。
図4は、一組の三相固定子巻線26を示す。三相固定子巻線26を駆動するために、3ペアのインバータレッグが使用され、3ペアの出力ノードを生じる。
【0103】
電力インバータ15Aは、固定子巻線26の逆側に接続された2つの電力インバータ15A-L、15A-Rの組み合わせとみなされてもよい。2つの電力インバータ15A-L、15A-Rは、同じDCリンクキャパシタ14を共用する。インバータの各々は、
図2の電力インバータ15と同様である、2レベルの三相フルブリッジ電力インバータである。
【0104】
図5を参照すると、AC/ACコンバータ11Bは、電力インバータ15Bの構成においてコンバータ11とは異なる。電力インバータ15Aと同様に、電力インバータ15Bは、固定子巻線26の逆側に配置された2つの電力インバータ15BA-L、15B-Rの組み合わせとみなされてもよい。しかしながら、インバータ15B-Rの3つのインバータレッグは、DCリンクキャパシタ14ではなく、フローティングキャパシタ17の2つの端部に接続される。
【0105】
本開示のトラクションシステム1、1Aは、電気的マシンの一部であってもよい。電気的マシンの典型例は、乗物(例えば、電気機関車又は動力分散方式電車)及び産業用装置を含む。AC電源40がトラクションシステム1、1A又は電気的マシンの一部でなくてもよいことが理解されるであろう。
【0106】
本開示のトラクションシステム1、1Aは、レール輸送アプリケーションでの使用に特に適しているが、それらはまた、AC電源を用いてAC電気モータ負荷を駆動する任意のパワーエレクトロニクストラクションシステムにおいて使用されてもよい。
【0107】
用語「有する」、「包含する」、「含む」、「備える」などはオープンであり、これらの用語は、明示された構造、構成要素、又は特徴の存在を示すが、追加の構成要素又は特徴の存在を妨げない。語句「1つの」及び「その」は、文脈が他の意図を明示しない限り、単数に加えて複数も含むことを意図する。
【0108】
本開示を上述した好ましい実施形態に関して説明したが、これらの実施形態が単なる例示であり、特許請求の範囲がそれらの実施形態に限定されないことは理解されるべきである。当業者は、添付した特許請求の範囲内にあると企図される、本開示に関する変更及び置換を行うことができる。本明細書に開示及び例示した各特徴は、単独でも、また、本願で開示又は例示した他の任意の特徴との任意の適切な組み合わせでも、本開示に組み込まれてもよい。
【国際調査報告】