(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】増強された抗HVEM抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20240322BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240322BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240322BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240322BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240322BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240322BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240322BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K14/705
A61K39/395 N
A61P37/04
A61P31/00
A61P35/00
A61P43/00 121
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561005
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 IL2022050348
(87)【国際公開番号】W WO2022208505
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521473310
【氏名又は名称】4シー バイオメッド リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523374138
【氏名又は名称】シバ インパクト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバーグ,エヤル
(72)【発明者】
【氏名】ガロア-ハスケル,ジリ
(72)【発明者】
【氏名】メルハヴィ-ショハム,エフラット
(72)【発明者】
【氏名】マーケル,ガル
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
HVEMを結合し、HVEM-BTLA相互作用を阻害し、かつLIGHTへの結合を可能にする、抗体又はその抗原結合断片が提供される。これらの抗体又はその抗原結合断片、これらの抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子及びこれらの抗体又はその抗原結合断片を含むキットを用いて疾患を治療する方法もまた提供される。
【選択図】
図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの重鎖CDR(CDR-H)及び3つの軽鎖CDR(CDR-L)を含む、抗体又はその抗原結合断片であって、CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含み、CDR-H2が、配列番号49に記載のアミノ酸配列(X
1IX
2X
3X
4X
5X
18X
7X
19YYADSVX
20G)を含みその配列中X
1が、A、G又はNであり、X
2が、S、N、G又はYであり、X
3が、G又はSであり、X
4が、S、N又はPであり、X
5が、G又はPであり、X
18が、C以外の任意のアミノ酸であり、X
7が、S、Y、G又はRであり、X
19が、S又はC以外の任意のアミノ酸であり、かつX
20が、任意のアミノ酸であり、かつCDR-H3が、配列番号18に記載のアミノ酸配列(AX
9X
10X
11X
12X
13X
14YX
15DY)を含みその配列中X
9が、P又はSであり、X
10が、G又はYであり、X
11が、D又はRであり、X
12が、Y、N、P又はSであり、X
13が、T又はYであり、X
14が、A又はNであり、X
15が、F、G又はYであり、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含み、かつCDR-L3が、配列番号19に記載のアミノ酸配列(QQYGSX
16PPX
17T)を含みその配列中X
16が、S又はYでありかつX
17が、Y又はLであり;ならびに配列番号2に記載のアミノ酸配列(AISGSGGSTYYADSVKG)を含むCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列(APGDYTAYFDY)を含むCDR-H3及び配列番号6に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)を含むCDR-L3の全てを含まない、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
CDR-H2が、配列番号17に記載のアミノ酸配列(X
1IX
2X
3X
4X
5X
6X
7X
21YYADSVX
8G)を含みその配列中X
1が、A、G又はNであり、X
2が、S、N、G又はYであり、X
3が、G又はSであり、X
4が、S、N又はPであり、X
5が、G又はPであり、X
6が、G、D、S、E、Q又はNであり、X
7が、S、Y、G又はRであり、X
21が、T、A、E、G又はNでありかつX
8が、E又はKである、請求項1に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項3】
X
20が、C又はS以外の任意のアミノ酸である、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
X
20が、任意の正に荷電していないアミノ酸である、請求項1又は3に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
X
20が、K又はEである、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
CDR-H2が、NIYSNPNRX
23YYADSVEG(配列番号107)を含みその配列中X
23が、S、T及びC以外の任意のアミノ酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
CDR-H2が、配列番号2、配列番号20(GINGNGDYTYYADSVKG)、配列番号21(AIGGSGSGTYYADSVKG)、配列番号22(NIYSNPNRTYYADSVEG)、配列番号23(NINGPGNGTYYADSVEG)、配列番号47(NIYSNPNRTYYADSVKG)、配列番号48(AISGSGGSTYYADSVEG)、配列番号57(NIYSNPDRTYYADSVEG)、配列番号58(NIYSNPERTYYADSVEG)、配列番号59(NIYSNPGRTYYADSVEG)、配列番号60(NIYSNPQRTYYADSVEG)、配列番号61(NIYSNPSRTYYADSVEG)、配列番号62(NIYSNPNRAYYADSVEG)、配列番号63(NIYSNPNREYYADSVEG)、配列番号64(NIYSNPNRGYYADSVEG)及び配列番号65(NIYSNPNRNYYADSVEG)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
CDR-H3が、配列番号3、配列番号24(ASYRNYNYGDY)、配列番号25(ASYDPTNYYDY)及び配列番号26(ASYRSTNYFDY)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
CDR-L3が、配列番号6及び配列番号27(QQYGSYPPLT)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2が、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64及び配列番号65を含み、CDR-H3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3が、配列番号24、配列番号25及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号7)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGINGNGDYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号28)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGSGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号29)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号30)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNINGPGNGTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号31)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号50)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号51)、
VQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPDRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号66)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPERTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号67)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPGRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号68)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPQRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号69)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPSRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号70)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRAYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号71)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNREYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号72)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRGYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号73)、
VQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRNYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号74)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRNYNYGDYWGQGTLVTVSS(配列番号32)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYDPTNYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号33)、及び
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRSTNYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号34)
から選択される配列を含む重鎖を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPPYTFGQGTKVEIK(配列番号8)及び
ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSYPPLTFGQGTKVEIK(配列番号35)
から選択される配列を含む軽鎖を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
配列番号85~103から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
配列番号104及び配列番号105から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号97を含む重鎖及び配列番号104を含む軽鎖を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片及び医薬として許容される担体、賦形剤又はアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項19】
それを必要とする対象においてHVEM陽性細胞により特徴づけられる疾患又は状態を治療する方法であって、請求項18に記載の医薬組成物又は請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片を対象に投与することを含み、それにより前記疾患又は状態を治療する、方法。
【請求項20】
非HVEM免疫チェックポイントタンパク質の阻害又は阻止をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法を施すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
養子細胞療法を施すことをさらに含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記養子細胞療法が、養子TIL療法を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記養子細胞療法が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞を投与することを含み、前記CARが、前記HVEMを発現する細胞の表面上の非HVEMタンパク質を標的とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患又は状態が、HVEM陽性の癌又は前癌病変である、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患又は状態が、感染性疾患でありかつ前記感染細胞が、HVEM発現を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項19~26のいずれか一項に記載の方法により治療される対象の適合性を決定する方法であって、前記対象から疾患試料を取得することおよび前記試料中のHVEMレベルを決定することを含み、HVEMの陽性発現が、前記対象が請求項19~26のいずれか一項に記載の治療方法に適していることを示す、方法。
【請求項28】
HVEMの陽性発現が、健常試料又は所定の閾値と比較して上昇されたHVEMレベルを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
試料中のHVEMを検出する方法であって、前記試料を請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させることを含み、それによりHVEMを検出する、方法。
【請求項30】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子。
【請求項31】
請求項18に記載の医薬組成物並びに
a.抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法;
b.本発明の医薬組成物が抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法との使用のためであることを示すラベル;及び
c.請求項1~17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を検出するための二次検出分子
の少なくとも1つを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/169,335号の優先権の恩恵を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は免疫療法の分野にある。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
免疫応答を増強するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法と見なされ、癌治療の最前線にある。現在、免疫チェックポイント遮断療法は、進行性非小細胞肺癌(NSCLC)、転移性黒色腫、進行性腎細胞癌(RCC)、転移性尿路上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、MSI高腫瘍、メルケル細胞癌及び多くの他のものの治療にうまく使用されている。異なる企業によって開発及び製造されたいくつかのそのような薬物は、免疫チェックポイントプログラム細胞死タンパク質1受容体(PD1)、プログラム細胞死タンパク質1リガンド(PDL1)及び細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に対する抗体を含み、異なる癌種で大きな期待が寄せられており、FDAに承認されている。患者の奏効率は、しかし、治療を受けた患者の10%~40%のみが通常恩恵を受け、かつ同時に患者は免疫療法後の治療の副作用に苦しむ可能性があるので、まだ最適ではない。加えて、これらの抗体又はその抗原結合断片による治療は、さらなる免疫チェックポイントのアップレギュレーションを介して耐性を誘導し得る。黒色腫患者における抗PD1と抗CTLA-4の併用療法は、単一の抗体又はその抗原結合断片と比較して高い奏効率(60%)を実証したが、この併用療法は重篤な治療関連副作用も伴う。そのため、新たな抗腫瘍免疫活性化抗体又はその抗原結合断片に対する明確な必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)は、造血細胞及び非造血細胞を含む様々な細胞型の表面に見出されるタンパク質である。HVEMは、LIGHT及びLTαなどの標準的なTNF関連リガンドの受容体として作用し、そのためシグナル伝達受容体として機能する。しかし、それは、阻害性受容体BTLA及びCD160などの免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー分子のリガンドとしても機能する。したがって、双方向シグナル伝達が、HVEM媒介シグナル伝達ネットワークで可能であり、それは、異なる状況下で正又は負の免疫応答に関与できる。このネットワークの調節不全は、自己免疫疾患、炎症性疾患及び癌の病因に関与し、HVEMを免疫療法の標的にする。シグナル伝達の活性化を維持しながら、特にBTLA相互作用を介してHVEM阻害性シグナル伝達を阻止できる抗体又はその抗原結合断片が、大いに必要とされている。
【0005】
本発明は、HVEMを結合し、HVEM-BTLA相互作用を阻害し、下流のBTLAシグナル伝達を阻害する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。これらの抗体又はその抗原結合断片、これらの抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子及びこれらの抗体又はその抗原結合断片を含むキットを用いて疾患を治療する方法もまた、提供される。
【0006】
第1の態様によれば、抗体又はその抗原結合断片であって、3つの重鎖CDR(CDR-H)及び3つの軽鎖CDR(CDR-L)を含み、CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含み、CDR-H2が、配列番号49に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X18X7X19YYADSVX20G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X18が、C以外の任意のアミノ酸であり、X7が、S、Y、G又はRであり、X19が、S又はC以外の任意のアミノ酸であり、かつX20が、任意のアミノ酸であり、かつCDR-H3が、配列番号18に記載のアミノ酸配列(AX9X10X11X12X13X14YX15DY)を含み、その中でX9が、P又はSであり、X10が、G又はYであり、X11が、D又はRであり、X12が、Y、N、P又はSであり、X13が、T又はYであり、X14が、A又はNであり、X15が、F、G又はYであり、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含み、かつCDR-L3が、配列番号19に記載のアミノ酸配列(QQYGSX16PPX17T)を含み、その中でX16が、S又はYであり、X17が、Y又はLであり;配列番号2に記載のアミノ酸配列(AISGSGGSTYYADSVKG)を含むCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列(APGDYTAYFDY)を含むCDR-H3及び配列番号6に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)を含むCDR-L3の全てを含まない、抗体又はその抗原結合断片が提供される。
【0007】
別の態様によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片及び医薬として許容される担体、賦形剤又はアジュバントを含む医薬組成物が、提供される。
【0008】
別の態様によれば、それを必要とする対象においてHVEM陽性細胞を特徴とする疾患又は状態を治療する方法が提供され、方法は、本発明の医薬組成物又は本発明の抗体もしくは抗原結合断片を対象に投与すること、それにより疾患又は状態を治療することを含む。
【0009】
別の態様によれば、対象から疾患試料を取得することおよび試料中のHVEMレベルを決定することを含む、本発明の方法により治療される対象の適合性を決定する方法が提供され、HVEMの陽性発現は、対象が本発明の治療方法に適していることを示す。
【0010】
別の態様によれば、試料中のHVEMを検出する方法が提供され、方法は、試料を本発明の抗体又は抗原結合断片と接触させること、それによりHVEMを検出することを含む。
【0011】
別の態様によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片をコードする核酸分子が、提供される。
【0012】
別の態様によれば、本発明の医薬組成物並びに
a.抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法;
b.本発明の医薬組成物が抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法との使用のためであることを示すラベル;及び
c.本発明の少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を検出するための二次検出分子
の少なくとも1つを含むキットが、提供される。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H2は、配列番号17に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X6X7X21YYADSVX8G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X6が、G、D、S、E、Q又はNであり、X7が、S、Y、G又はRであり、X21が、T、A、E、G又はNであり、かつX8が、E又はKである。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、X20は、C又はS以外の任意のアミノ酸である。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、X20は、任意の正に荷電していないアミノ酸である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、X20は、K又はEである。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H2は、配列番号2、配列番号20(GINGNGDYTYYADSVKG)、配列番号21(AIGGSGSGTYYADSVKG)、配列番号22(NIYSNPNRTYYADSVEG)、配列番号23(NINGPGNGTYYADSVEG)、配列番号47(NIYSNPNRTYYADSVKG)、配列番号48(AISGSGGSTYYADSVEG)、配列番号57(NIYSNPDRTYYADSVEG)、配列番号58(NIYSNPERTYYADSVEG)、配列番号59(NIYSNPGRTYYADSVEG)、配列番号60(NIYSNPQRTYYADSVEG)、配列番号61(NIYSNPSRTYYADSVEG)、配列番号62(NIYSNPNRAYYADSVEG)、配列番号63(NIYSNPNREYYADSVEG)、配列番号64(NIYSNPNRGYYADSVEG)及び配列番号65(NIYSNPNRNYYADSVEG)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H3は、配列番号3、配列番号24(ASYRNYNYGDY)、配列番号25(ASYDPTNYYDY)及び配列番号26(ASYRSTNYFDY)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、CDR-L3は、配列番号6及び配列番号27(QQYGSYPPLT)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64及び配列番号65を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号24、配列番号25及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片は、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号7)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGINGNGDYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号28)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGSGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号29)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号30)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNINGPGNGTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号31)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号50)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号51)、
VQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPDRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号66)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPERTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号67)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPGRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号68)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPQRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号69)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPSRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号70)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRAYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号71)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNREYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号72)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRGYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号73)、
VQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRNYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号74)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRNYNYGDYWGQGTLVTVSS(配列番号32)、
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYDPTNYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号33)、及び
QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRSTNYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号34)
から選択される配列を含む重鎖を含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片は、
ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPPYTFGQGTKVEIK(配列番号8)及び
ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSYPPLTFGQGTKVEIK(配列番号35)
から選択される配列を含む軽鎖を含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片は、配列番号85~103から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体又は抗原結合断片は、配列番号104及び配列番号105から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体又はその抗原結合断片は、配列番号97を含む重鎖及び配列番号104を含む軽鎖を含む。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、非HVEM免疫チェックポイントタンパク質の阻害又は阻止をさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、抗PD-1/PD-L1ベースの免疫療法を施すことをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、本発明の方法は、養子細胞療法を施すことをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、養子細胞療法は、養子TIL療法を含む。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、養子細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞を投与することを含み、CARは、HVEM発現細胞の表面上の非HVEMタンパク質を標的とする。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、疾患又は状態は、HVEM陽性の癌又は前癌病変である。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、疾患又は状態は、感染性疾患であり、感染した細胞は、HVEM発現を含む。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、HVEMの陽性発現は、健常試料又は所定の閾値と比較して上昇されたHVEMレベルを含む。
【0036】
本発明のさらなる実施形態及び適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1:非還元条件下及び還元条件下における様々な精製抗体のSDS-PAGEの写真。H4抗体の重鎖バンドは、グリコシル化により高い位置に移動し、グリコシル化は、NXS/Tグリコシル化部位が除去された3つの変異体抗体では失われる。
【
図2】
図2:本発明の2つの抗体(H4及びPar-K64E)、並びに陰性対照としてのアイソタイプ対照及び陽性対照としての親抗体によるhHVEMコートされたプレートへの結合の棒グラフ。
【
図3】
図3A~3D:(3A~3B)Biacore(3A)マルチサイクルカイネティクス及び(3B)シングルサイクルカイネティクスの生のセンサーグラムおよび(3A)SEC精製抗体H4、H4 T57A、H4 T57G、H4 T57Nと親抗体、及び(3B)H4 N55G、H4 N55S、H4 N55D、H4 N55Q、H4N55E、H4T57Eの上清と親抗体のhHVEMへの結合について1:1モデルで適合させた曲線。(3C)CHO細胞表面のhHVEMへの4つの抗体の結合のヒストグラムのオーバーレイ。(3D)様々な濃度で親抗体又はH4 T57A抗体を使用するフローサイトメトリーにより検出されたCHO細胞上のhHVEM発現の棒グラフ。
【
図4】
図4A~4H:(4A~4E)(4A)親、H4 T57A、H4 T57G及びH4 T57Nの抗-HVEM抗体、(4B)親、H4 T57A、H4 T57G及びH4 T57Nの抗-HVEM抗体と組換えhBTLA、(4C)親、H4 T57A、H4 T57G及びH4 T57Nの抗-HVEM抗体と組換えhLIGHT、(4D)親、H4及びPar-K64Eの抗-HVEM抗体と組換えhBTLA、(4E)親、H4及びPar-K64Eの抗-HVEM抗体と組換えhLIGHTの存在下での組換えhHVEMでコートされたプレート、又は(4F~4G)(4F)親、H4 T57A、H4 T57G及びH4 T57Nの抗-HVEM抗体並びに(4G)親、H4 T57A、H4 T57G及びH4 T57Nの抗-HVEM抗体と組換えcBTLAの存在下での組換えcHVEMでコートされたプレート上でのELISAの450nm及び570nmにおける吸光度の読み取りの棒グラフ。4A及び4Fでは抗体の検出。4B、4D及び4GではBTLAの検出。4C及び4EではLIGHTの検出。(4H)組換えhBTLAの存在下での抗体の漸増濃度での吸光度の折れ線グラフ。
【
図5】
図5A~5B:(5A)抗HVEM抗体又は(5B)抗PD-1抗体と組み合わせた抗HVEM抗体とのプレインキュベーション後に、TILと共培養した黒色腫細胞の特異的細胞死の折れ線グラフ。
**=p<0.01、
***=p<0.001。
【
図6】
図6A~6B:(6A)第1のHVEM陽性黒色腫細胞株のM-001及び(6B)第2のHVEM陽性黒色腫細胞株のM-004と共培養したCD107a陽性TILの折れ線グラフ。
*=p<0.05、
**=p<0.01、
***=p<0.001。
【
図7】
図7A~7B:(7A)抗HVEM抗体もしくは抗PD1抗体、又は(7B)抗PD-1抗体と組み合わせた抗HVEM抗体の存在下で自己PBMCと共培養した原発卵巣癌細胞の特異的細胞死の折れ線グラフ。
【
図8】
図8:親抗体(左)又はH4 T57A抗体(右)及び二次Cy3抗体(赤色蛍光)で蛍光染色した、hHVEMを過剰発現するFFPE CHO細胞の顕微鏡写真(倍率 63倍、ズーム 1.5)。核はDAPIで青色に対比染色されている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は、いくつかの実施形態において、HVEMを結合し、HVEM-BTLA相互作用を阻害し、かつHVEM-LIGHT相互作用を顕著に阻害しない、抗体又はその抗原結合断片を提供する。本発明はさらに、これらの抗体又はその抗原結合断片、これらの抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子、並びにこれらの抗体又はその抗原結合断片を含むキットを投与することにより、それを必要とする対象におけるHVEM陽性疾患を治療する方法に関する。
【0039】
HVEM陽性癌が免疫細胞の表面上のBTLAを結合することにより免疫監視を回避できることは、よく知られている。BTLAの結合は、免疫細胞内で阻害シグナルを生成し、それは、T細胞の活性化を低下させ、癌の生存率を高める。HVEMを結合する抗体又はBTLAを結合する抗体によりこのシグナル伝達を阻害することが、知られている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許公開WO2020222235は、HVEMを特異的に結合し、かつLIGHTなどの他のHVEMリガンドの結合を阻害しない抗体を提供する。HVEMは、免疫細胞の表面でも発現し、それは、状況に応じて阻害と活性化の両方の役割を担う。それらの抗体は、病原性細胞上でHVEM上に結合することによりHVEM-BTLA相互作用を阻止し従って免疫細胞を阻害から解放するだけでなく、HVEMが活性化リガンド(例えば、LIGHT)を結合することを可能にする。本発明は、WO2020222235で提示されたものよりも優れた抗体の発見に基づく。本発明の抗体は、既に知られている抗HVEM抗体よりも高い強度(より低いKD)でHVEMに結合する。
【0040】
第1の態様により、3つの重鎖CDR(CDR-H)及び3つの軽鎖CDR(CDR-L)を含む、抗体又はその抗原結合断片が提供され、CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含み、CDR-H2が、配列番号17に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X6X7X21YYADSVX8G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X6が、G、D、S、E、Q又はNであり、X7が、S、Y、G又はRであり、X21が、T、A、E、G又はNであり、かつX8が、E又はKであり、CDR-H3が、配列番号18に記載のアミノ酸配列(AX9X10X11X12X13X14YX15DY)を含み、その中でX9が、P又はSであり、X10が、G又はYであり、X11が、D又はRであり、X12が、Y、N、P又はSであり、X13が、T又はYであり、X14が、A又はNであり、X15が、F、G又はYであり、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含み、かつCDR-L3が、配列番号19に記載のアミノ酸配列(QQYGSX16PPX17T)を含み、その中でX16が、S又はYであり、X17が、Y又はLである。
【0041】
別の態様により、3つの重鎖CDR(CDR-H)及び3つの軽鎖CDR(CDR-L)を含む、抗体又はその抗原結合断片が提供され、CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含み、CDR-H2が、配列番号49に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X18X7X19YYADSVX20G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X18が、C以外の任意のアミノ酸であり、X7が、S、Y、G又はRであり、X19が、S又はC以外の任意のアミノ酸であり、かつX20が、任意のアミノ酸であり、かつCDR-H3が、配列番号18に記載のアミノ酸配列(AX9X10X11X12X13X14YX15DY)を含み、その中でX9が、P又はSであり、X10が、G又はYであり、X11が、D又はRであり、X12が、Y、N、P又はSであり、X13が、T又はYであり、X14が、A又はNであり、X15が、F、G又はYであり、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含み、かつCDR-L3が、配列番号19に記載のアミノ酸配列(QQYGSX16PPX17T)を含み、その中でX16が、S又はYであり、X17が、Y又はLである。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMに結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野において公知の抗体と比較して優れたHVEM結合を有する。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の抗体は、親抗体である。いくつかの実施形態では、当分野で公知の抗体は、3つの重鎖CDR(CDR-H)及び3つの軽鎖CDR(CDR-L)を含む抗体であり、CDR-H1が、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含み、CDR-H2が、配列番号2に記載のアミノ酸配列(AISGSGGSTYYADSVKG)を含み、CDR-H3が、配列番号3に記載のアミノ酸配列(APGDYTAYFDY)を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含み、かつCDR-L3が、配列番号6に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)を含む。当業者なら、CDRを計算する方法が複数あることは理解するであろう。配列番号1~3の重鎖CDR及び配列番号4~6の軽鎖CDRは、KABATナンバリングシステムによる。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の抗体は、以下のCDRを含む:CDR-H1が、配列番号11に記載のアミノ酸配列(GFTFSSYA)を含み、CDR-H2が、配列番号12に記載のアミノ酸配列(ISGSGGST)を含み、CDR-H3が、配列番号13に記載のアミノ酸配列(AKAPGDYTAYFDY)を含み、CDR-L1が、配列番号14に記載のアミノ酸配列(QSVSSY)を含み、CDR-L2が、配列番号15に記載のアミノ酸配列(GAS)を含み、かつCDR-L3が、配列番号16に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)を含む。配列番号11~13の重鎖CDR及び配列番号14~16の軽鎖CDRは、IMGTナンバリングシステムによる。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の抗体は、配列番号7を含むか又はそれからなる重鎖可変領域及び配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む抗体である。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の抗体は、配列番号9の重鎖と配列番号10の軽鎖を有する抗体である。
【0043】
いくつかの実施形態では、優れた結合は、より強い結合である。いくつかの実施形態では、優れた結合は、より高い親和性を有する結合である。いくつかの実施形態では、優れた結合は、より低いKDを有する結合である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗HVEM抗体である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMをブロックする抗体である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとBTLAの間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れた阻止能を有する。いくつかの実施形態では、優れているとは、より強いことである。いくつかの実施形態では、優れているとは、より長く持続することである。いくつかの実施形態では、優れているとは、より特異的であることである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを介して下流のシグナル伝達を活性化する。いくつかの実施形態は、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れた活性化を有する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、BTLAを介して下流のシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れた阻害作用を有する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを介して下流のシグナル伝達を活性化し、かつBTLAを介して下流のシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、HVEMとBTLAの間の相互作用の阻害は、BTLAを介して下流のシグナル伝達を阻害する。
【0044】
いくつかの実施形態では、HVEMは、哺乳動物のHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、げっ歯類のHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、サルのHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、ヒトのHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、マウス、サル及びヒトのHVEMのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、HVEMは、膜結合HVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、細胞上のHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、細胞表面上のHVEMである。いくつかの実施形態では、HVEMは、可溶性HVEMである。
【0045】
いくつかの実施形態では、細胞は、病原性細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、癌性細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、病原体の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、真菌細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、病原体が感染した真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、細菌が感染した細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスが感染した細胞である。いくつかの実施形態では、病原体は、細菌、ウイルス及び真菌から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、造血細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8陽性T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、細胞傷害性CD8陽性T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4陽性T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4陽性ヘルパーT細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8陽性T細胞及びCD4陽性T細胞から選択される。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞又はその両方である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ガンマ/デルタT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、末梢血免疫細胞ではない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、B細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、好中球である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、マクロファージである。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)である。いくつかの実施形態では、細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、樹状細胞、MDSC及びマクロファージから選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、樹状細胞、及びマクロファージから選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞である。いくつかの実施形態では、CARは、CAR-T細胞である。いくつかの実施形態では、CARは、CAR-NK細胞である。本明細書で使用する場合、用語「CAR」は、目的の少なくとも1つのタンパク質(例えば、HVEM発現細胞により発現されるタンパク質)に対する特異性を有しかつ免疫エフェクター細胞(T細胞又はNK細胞など)に移植される、操作された受容体を指す。いくつかの実施形態では、CAR-T細胞は、T細胞に移植されたモノクローナル抗体の特異性を有する。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞は、NK細胞に移植されたモノクローナル抗体の特異性を有する。いくつかの実施形態では、T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球及び制御性T細胞から選択される。MART1は、標的細胞上でHVEMと共発現される標的タンパク質の一例である。いくつかの実施形態では、CARは、HVEM発現細胞により発現されるタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態では、タンパク質は、HVEMではない。いくつかの実施形態では、CARは、HVEMを発現する細胞の表面上のタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態では、タンパク質は、抗体である。いくつかの実施形態では、CARは、抗体を標的とする。いくつかの実施形態では、CARは、本発明の抗体を標的とする。いくつかの実施形態では、CARは、細胞傷害性抗体を標的とする。いくつかの実施形態では、CARは、抗体定常ドメインを標的とする。いくつかの実施形態では、CARは、Fcドメインを標的とする。いくつかの実施形態では、CAR療法は、HVEMを発現する細胞を標的とする抗体を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、CARにより標的とされる抗体は、本発明の抗体ではない。
【0048】
CAR-T及びCAR-NK細胞並びにそれらのベクターは、当技術分野において周知である。そのような細胞は、受容体が結合するタンパク質を標的とし、それに対し細胞傷害性である。いくつかの実施形態では、CAR-T又はCAR-NK細胞は、少なくとも1つの癌タンパク質を標的とする。いくつかの実施形態では、CAR-T又はCAR-NK細胞は、複数の癌タンパク質を標的とする。
【0049】
CAR-T細胞の構築は、当技術分野において周知である。1つの非限定的な例では、癌タンパク質に対するモノクローナル抗体が、作製され得、次いでその抗体をコードするベクターが、構築される。そのベクターはまた、共刺激シグナル領域も含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル領域は、既知のT細胞又はNK細胞刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、以下の:CD3Z、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD38に特異的に結合するリガンド、の少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態では、ベクターはまた、CD3Zシグナル伝達ドメインも含む。このベクターは次いで、例えばレンチウイルス感染により、T細胞中にトランスフェクトされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、HVEMは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)である。いくつかの実施形態では、HVEMは、CD270である。いくつかの実施形態では、HVEMは、BTLAの受容体である。いくつかの実施形態では、HVEMは、BTLAのリガンドである。いくつかの実施形態では、BTLAは、CD272である。いくつかの実施形態では、HVEMは、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の受容体である。いくつかの実施形態では、HVEMは、TNFSF14のリガンドである。いくつかの実施形態では、TNFSF14は、LIGHTである。いくつかの実施形態では、TNFSF14は、CD258である。いくつかの実施形態では、HVEMは、CD160の受容体である。いくつかの実施形態では、HVEMは、CD160のリガンドである。いくつかの実施形態では、HVEMは、リンホトキシンアルファ(LTα)の受容体である。いくつかの実施形態では、HVEMは、LTαのリガンドである。いくつかの実施形態では、LTαは、TNF-βである。いくつかの実施形態では、HVEMは、SALM5の受容体である。いくつかの実施形態では、HVEMは、SALM5のリガンドである。
【0051】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEM以外の他のタンパク質を結合しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMの細胞外ドメインを結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMのリガンド結合ドメインで結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMのBTLA結合ドメインで結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMのBTLA結合ドメインを閉塞する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとBTLAの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとBTLAの間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMに媒介され、BTLAに誘導される免疫抑制を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを結合し、結合されたHVEMがBTLAをさらに結合することを妨げる。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、BTLAを介して下流のシグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、BTLAを介して下流のシグナル伝達を低下させた。
【0052】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとTNFSF14の間の相互作用を阻害しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとTNFSF14の間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、TNFSF14は、膜TNFSF14(mTNFS14)である。いくつかの実施形態では、TNFSF14は、可溶性TNFSF14(sTNFS14)である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、mTNFS14及びsTNFS14の一方とHVEMの間の相互作用を阻害しないが、他方との相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、mTNFS14とsTNFS14の両方とHVEMの間の相互作用を阻害しない。いくつかの実施形態では、阻害は、実質的な阻害である。いくつかの実施形態では、阻害は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99又は100%の低下である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとTNFSF14の間の相互作用を阻止しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとTNFSF14の間の相互作用を実質的に阻止しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、TNFSF14媒介シグナル伝達を阻止/阻害しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、TNFSF14媒介性細胞生存を阻止/阻害しない。
【0053】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを介してシグナル伝達を活性化する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れた活性化を誘導する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMアゴニストである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れたアゴニストである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを介してシグナル伝達を誘導する。いくつかの実施形態では、HVEMを介するシグナル伝達は、HVEM下流のシグナル伝達である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、細胞上のHVEMを結合し、細胞中のHVEMシグナル伝達を活性化/誘導する。いくつかの実施形態では、HVEMシグナル伝達は、活性化B細胞の核因子κ軽鎖エンハンサー(NF-κB)シグナル伝達の活性化を含む。いくつかの実施形態では、NF-κBシグナル伝達は、それらのプロモーター中にNF-κB応答エレメントを有する遺伝子の制御を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達は、細胞の増加された細胞傷害性を含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達は、抗体又はその抗原結合断片により接触されたHVEMを発現する細胞の増加された細胞傷害性を含む。いくつかの実施形態では、増加された細胞傷害性は、増加された炎症性サイトカインの分泌を含む。いくつかの実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1、IL-1B、IL-4、IL-6、TNFα、IFNγ、MCP1、IL-12、IL-18、IL-23及びCM-CSFから選択される。いくつかの実施形態では、炎症性サイトカインは、IFNγである。いくつかの実施形態では、増加は、本発明の抗体又はその抗原結合断片により接触されない細胞と比較したものである。いくつかの実施形態では、増加は、少なくとも10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、95、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400、450、又は500%の増加である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0054】
いくつかの実施形態では、細胞は、免疫細胞であり、シグナル伝達は、免疫活性化を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD4+ T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ガンマ/デルタT細胞ではない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ガンマ/デルタT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態では、HVEMシグナル伝達の活性化は、免疫細胞の活性化を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、増殖の増加を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、増加された細胞傷害性を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、増加された遊走を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、増加されたホーミングを含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、増加された細胞クラスタリングを含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、T細胞活性化である。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、Th1 T細胞の数の増加を含む。いくつかの実施形態では、増加は、Th2 T細胞と比較した相対的増加である。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、CD8+ T細胞の増加を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、制御性T細胞の減少を含む。いくつかの実施形態では、免疫活性化は、41BB、CD69、CD25、CD107a、HLA-DRから選択されるマーカーの発現及びサイトカインの分泌の増加を含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、炎症性サイトカインである。いくつかの実施形態では、T細胞活性化は、増加されたT細胞クラスタリングを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、細胞は、癌性細胞であり、シグナル伝達は、抗腫瘍効果を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、増加されたアポトーシスを含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、減少された増殖を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、増加された化学療法感受性を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、減少された運動性を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、減少された浸潤を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、減少された転移を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍効果は、減少された自己複製を含む。いくつかの実施形態では、効果は、本発明の抗体又はその抗原結合断片により接触されなかった癌細胞と比較したものである。いくつかの実施形態では、減少は、少なくとも10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、95、97、99又は100%の減少である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0056】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、アポトーシスを誘導しない。いくつかの実施形態では、アポトーシスの誘導は、直接的なアポトーシス誘導である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、アポトーシスを直接誘導しない。本明細書で使用する場合、「直接誘導」は、抗体又はその抗原結合断片の結合の即時の結果として生じる結果を指し、結合された細胞内の下流シグナル伝達を特徴としない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、細胞傷害性ではない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、それ自体細胞傷害性ではない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、抗体指向性細胞傷害(antibody-directed cell cytotoxicity)(ADCC)を誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、細胞傷害性部分を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、細胞により発現されるHVEMの結合時に、HVEMを発現する細胞のアポトーシスを誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、別の細胞との相互作用を介するアポトーシスを誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMを発現する細胞の死を直接誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、殺傷のために細胞を標的としない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、間接的にアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、間接的アポトーシスは、アポトーシスをもたらすHVEM受容体を介する下流シグナル伝達により誘導されるアポトーシスである。いくつかの実施形態では、間接的アポトーシスは、シグナル伝達を必要とするアポトーシスである。いくつかの実施形態では、間接的アポトーシスは、第2の細胞の関与を必要としないアポトーシスである。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、免疫細胞中でアポトーシスを誘導しない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、癌細胞中でアポトーシスを誘導する。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとCD160の間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の抗体と比較して優れた阻害を誘導する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとLTαの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMと単純ヘルペスウイルス1型糖タンパク質D(HSV1-gD)の間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、CD160、HSV1-gD及びLTαの少なくとも2つとHVEMの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとCD160の間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとLTαの間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、HVEMとHSV1-gDの間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、CD160、HSV1-gD及びLTαの少なくとも2つとHVEMの間の相互作用を阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、CD160、HSV1-gD及びLTαの全てとHVEMの間の相互作用を阻害/阻止する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、CD160、HSV1-gD及びLTαの少なくとも1つとHVEMの間の相互作用を阻害又は阻止しない。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗体又はその断片は、fab断片である。いくつかの実施形態では、抗体又はその断片は、一本鎖抗体(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体又はその断片は、単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ブロッキング抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、親和性成熟抗体である。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、抗原の抗原決定基の特徴に相補的な内部表面形状及び電荷分布を有する三次元の結合空間を有するポリペプチド鎖の折り畳みから形成される少なくとも1つの結合ドメインを含む、ポリペプチド又はポリペプチドのグループを指す。抗体は典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアを含む四量体形態を有し、各ペアは1つの「軽」鎖と1つの「重」鎖を有する。各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。抗体は、オリゴクローナル抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ラクダ抗体、CDR移植抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体、触媒抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、抗イディオタイプ抗体及び可溶性形態又は結合された形態で標識され得る抗体並びに断片であってよく、単独で又は他のアミノ酸配列と組み合わせて、エピトープ結合断片、その変異体もしくは誘導体を含む。抗体は、任意の種由来であり得る。抗体という用語は、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体(svFC)、二量体可変領域(ダイアボディy)及びジスルフィド結合可変領域(dsFv)を含むが、これらに限定されない、結合断片も含む。特に、抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫学的に活性な免疫グロブリン分子の断片、すなわち、抗原結合部位を含有する分子、を含む。抗体断片は、Fc領域又はその断片を含むがこれらに限定されない別の免疫グロブリンドメインに融合されてよく、又はされなくてもよい。当業者であれば、scFv-Fc融合物、可変領域(例えば、VL及びVH)~Fc融合物並びにscFv-scFv-Fc融合物を含むが、これらに限定されない他の融合生成物が生成され得ることを、さらに認識するであろう。
【0060】
免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl及びIgA2)又はサブクラスのものであり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2又はIgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG3を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、低減された毒性を有する改変されたIgG1又はIgG3を含む。
【0061】
天然に存在する抗体構造の基本単位は、非共有結合及びジスルフィド結合の両方によって互いに連結された、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質複合体である。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。5つのヒト抗体クラス(IgG、IgA、IgM、IgD及びIgE)が存在し、これらのクラス内では、様々なサブクラスが、単一抗体分子中の免疫グロブリン単位の数、個々の単位のジスルフィド架橋構造、並びに鎖の長さ及び配列の違いなどの構造の違いに基づき認識される。抗体のクラスとサブクラスは、そのアイソタイプである。
【0062】
重鎖及び軽鎖のアミノ末端領域は、カルボキシ末端領域よりも配列が多様であり、したがって可変ドメインと呼ばれる。抗体構造のこの部分は、抗体の抗原結合特異性を付与する。重可変(VH)ドメインと軽可変(VL)ドメインは、一緒になって単一抗原結合部位を形成し、そのため、基本の免疫グロブリン単位は、2つの抗原結合部位を有する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられている(Chothiaら,J.Mol.Biol.186,651-63(1985);Novotny及びHaber,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82 4592-4596)。
【0063】
重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端部分は、定常ドメイン、すなわち、CH1、CH2、CH3、CLを形成する。これらのドメインでは多様性はずっと低いが、動物種ごとに差があり、さらに、同じ個体内にいくつかの異なる抗体のアイソタイプがあり、各々が異なる機能を有する。
【0064】
用語「フレームワーク領域」又は「FR」は、抗体の可変ドメイン中のアミノ酸残基を指し、それらは、本明細書で定義される超可変領域のアミノ酸残基以外である。本明細書で使用される用語「超可変領域」は、抗原結合を担う、抗体の可変ドメイン中のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。CDRは主に、抗原のエピトープへの結合に関与する。FRとCDRの範囲は、正確に定義されている(Kabatらを参照されたい)。いくつかの実施形態では、CDRの位置は、ナンバリングシステムによって決定される。いくつかの実施形態では、CDRの位置は、EUナンバリングシステムによって決定される。
【0065】
免疫グロブリン可変ドメインは、CDRを含む可変領域セグメントを同定するために、IMGT情報システム(www://imgt.cines.fr/)(IMGT(登録商標)/V-Quest)を使用して分析することもできる。例えば、Brochet,X.ら,Nucl.Acids Res.J6:W503-508(2008)を参照されたい。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体との類似性を高めるためにそのタンパク質配列が改変された、非ヒト種由来の抗体を指す。ヒト化抗体は、ヒト抗体に類似した配列で囲まれた非ヒト抗体のCDRをコードする組換えDNAの生成により生成され得る。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化は、ヒト抗体の足場又は骨格中への本発明のCDRの挿入を含む。ヒト化抗体は、当技術分野で周知であり、本発明のCDRを保持する抗体を生成する任意の方法が採用されてよい。
【0067】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」又は「mAb」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、モノクローナル抗体の生成中に生じ得る可能性のある変異体を除き、同一であり、かつ/又は同じエピトープを結合し、そのような変異体は一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらに他の免疫グロブリンが夾雑していないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の調製方法により生成されると解釈されるべきではない。本明細書に提供される方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら,Nature 256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法により作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら,Nature 352:624-628(1991)及びMarksら,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載される技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0068】
本発明のmAbは、IgG、IgM、IgD、IgE又はIgAを含む任意の免疫グロブリンクラスのものであり得る。mAbを生成するハイブリドーマは、インビトロ又はインビボで培養され得る。高力価のmAbは、個々のハイブリドーマ由来の細胞を、プリスティン刺激したBalb/cマウスに腹腔内注射して、高濃度の所望のmAbを含有する腹水を生成する、インビボ生成で取得できる。アイソタイプIgM又はIgGのmAbは、そのような腹水から、又は培養上清から、当業者に周知のカラムクロマトグラフィー法を使用して精製され得る。
【0069】
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディ(taDb)、線状抗体(例えば、米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapataら,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995));片腕抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、一本鎖抗体分子;抗体断片から形成された多重特異性抗体(例えば、Db-Fc、taDb-Fc、taDb-CH3、(scFv)4-Fc、ジ-scFv、bi-scFv、又はタンデム(ジ、トリ)-scFvを含むが、これらに限定されない);及び二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE)を含む。
【0070】
抗体のパパイン消化は、各々が単一抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる、2つの同一な抗原結合断片と、その名前が容易に結晶化するその能力を反映する、残りの「Fc」断片を生成する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、かつなお抗原を架橋できる、F(ab')2断片を生じる。
【0071】
「Fv」は、完全な抗原認識部位と抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、密接な非共有結合での1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。VH-VL二量体の3つの面は、この構成である。共同で、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識し結合する能力を有する。
【0072】
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数残基が付加されている点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を保有するFab'の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab'断片のペアとして生成された。抗体断片の他の化学的カップリングもまた、公知である。
【0073】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類の1つに割り当てることができる。
【0074】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体は、異なるクラスに割り当てることができる。インタクトな抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分類され得る。異なるクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、それぞれa、デルタ、e、ガンマ、及びマイクロと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元立体配置は、周知である。
【0075】
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、その中でこれらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、scFvが抗原結合のために望まれる構造を形成することを可能にする。scFvの概要については、Pluckthun、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies),113巻,Rosenburg及びMoore(編),Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0076】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖(VH-VL)中の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対を形成するように強制され、2つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディ生成は、当技術分野で公知であり、Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に記載されている。
【0077】
本発明のモノクローナル抗体は、当技術分野において周知の方法を使用して調製され得る。例は、Kohler,G.及びMilstein,C,Nature 256:495-497(1975);Kozborら,Immunology Today 4:72(1983);Coleら,モノクローナル抗体と癌治療(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY)の中のpg.77-96,Alan R.Liss,Inc.(1985)の技術などの、様々な技術を含む。
【0078】
抗体をインビボで作る従来の方法に加えて、抗体を、ファージディスプレイ技術を使用してインビトロで作製できる。このような組換え抗体の生成は、従来の抗体生成と比較してはるかに速く、それらを、膨大な数の抗原に対し作製できる。さらに、従来の方法を使用した場合、多くの抗原は、非免疫原性か又は非常に毒性が高いことが判明しており、そのため動物での抗体作製には使用できない。さらに、組換え抗体の親和性成熟(すなわち、親和性及び特異性の増加)は、非常に単純で、比較的速い。最後に、特定の抗原に対する多数の異なる抗体を、1つの選択手順で作製できる。組換えモノクローナル抗体を作製するために、ディスプレイライブラリに基づく様々な方法全てを使用して、異なる抗原認識部位を有する抗体の大規模なプールを作製できる。このようなライブラリーは、いくつかの方法で作成できる:重鎖生殖細胞系列遺伝子のプールに合成CDR3領域をクローニングし、従って大きな抗体レパートリーを作製することにより、合成レパートリーを作製でき、そこから様々な特異性を有する組換え抗体断片を、選択できる。ヒトのリンパ球プールを、抗体ライブラリー構築の出発物質として使用できる。ヒトIgM抗体のナイーブレパートリーを構築し、従って多様性の高いヒトライブラリーを作成することが可能である。この方法は、異なる抗原に対する多数の抗体を選択するためにうまく広く使用されている。バクテリオファージライブラリの構築と組換え抗体の選択のためのプロトコルは、周知の参考文献である免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology),Colliganら(編),John Wiley & Sons社(1992-2000),17章,第17.1節に記載されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、抗体及びその部分は、抗体、抗体の断片、Fab及びF(ab’)2、単一ドメイン抗原結合組換え断片及び天然ナノボディを含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fv、Fab、F(ab’)2、scFv、scFv2又はscFv4断片からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合部分をコードする核酸配列を提供する。
【0081】
例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖又は重鎖などの免疫グロブリン分子鎖全体をコードし得る。完全な重鎖は、重鎖可変領域(VH)だけでなく、通常、CH1、CH2及びCH3の3つの定常ドメインを含む重鎖定常領域(CH);並びに「ヒンジ」領域も含む。場合によって、定常領域の存在が望ましい。
【0082】
ポリヌクレオチドによってコードされ得る他のポリペプチドは、単一ドメイン抗体(「dAb」)、Fv、scFv、Fab'及びCHIなどの抗原結合抗体断片を含み、CK又はCLドメインは、切除されている。ミニボディは従来の抗体よりも小さいため、それらは、臨床/診断用途でより良好な組織浸透を達成するはずであるが、二価であるため、それらはdAbなどの一価抗体断片よりも高い結合親和性を保持するはずである。したがって、文脈が別段の指示をしない限り、本明細書で使用される用語「抗体」は、抗体分子全体だけでなく、上で論じた種類の抗原結合抗体断片も包含する。コードされたポリペプチド中に存在する各フレームワーク領域は、対応するヒトアクセプターフレームワークに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。そのため、例えば、フレームワーク領域は、アクセプターフレームワーク領域に対して、合計で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含み得る。開示されるタンパク質生成物を含む個々のアミノ酸の特性を考慮して、いくつかの合理的な置換が当業者によって認識されるであろう。アミノ酸置換、すなわち「保存的置換」は、例えば、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の性質における類似性に基づいて行われ得る。
【0083】
適切には、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、単離及び/又は精製され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「天然に存在しない」物質、組成物、実体、及び/又は物質、組成物、もしくは実体の任意の組み合わせ、又はそれらの文法的変形は、当業者によって「天然に存在する」と十分に理解されている物質、組成物、もしくは実体、及び/又は物質、組成物、もしくは実体の任意の組み合わせのそれらの形態を明示的に除外するが、除外するだけの条件付き用語であるか、又は裁判官もしくは行政機関もしくは司法機関によって「天然に存在する」と決定もしくは解釈される、又はいつでも決定もしくは解釈される可能性がある条件付き用語である。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2又はIgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1を含まない。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG3を含まない。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1又はIgG3を含まない。いくつかの実施形態では、抗体は、変異されたIgG1及び/又はIgG3を含み、変異は、ADCC、CDC又はその両方の誘導を阻害する。いくつかの実施形態では、変異は、FcRガンマ結合モチーフにある。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、WO2020222235に存在する抗体ではない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)を含むCDR-H1、配列番号2に記載のアミノ酸配列(AISGSGGSTYYADSVKG)を含むCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列(APGDYTAYFDY)を含むCDR-H3、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)を含むCDR-L1、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)を含むCDR-L2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)を含むCDR-L3の全てを含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3の全てを含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2と配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3の両方を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1に記載のアミノ酸配列(SYAMS)からなるCDR-H1、配列番号2に記載のアミノ酸配列(AISGSGGSTYYADSVKG)からなるCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列(APGDYTAYFDY)からなるCDR-H3、配列番号4に記載のアミノ酸配列(RASQSVSSYLA)からなるCDR-L1、配列番号5に記載のアミノ酸配列(GASSRAT)からなるCDR-L2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列(QQYGSSPPYT)からなるCDR-L3の全てを含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H2、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H3、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるCDR-L3の全てを含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H2と配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H3の両方を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H2を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるCDR-H3を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるCDR-L3を含まない。
【0087】
いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号17に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X6X7X21YYADSVX8G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X6が、G、D、S、E、Q又はNであり、X7が、S、Y、G又はRであり、X21が、T、A、E、G又はNであり、かつX8が、E又はKである。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号49に記載のアミノ酸配列(X1IX2X3X4X5X18X7X19YYADSVX20G)を含み、その中でX1が、A、G又はNであり、X2が、S、N、G又はYであり、X3が、G又はSであり、X4が、S、N又はPであり、X5が、G又はPであり、X18が、C以外の任意のアミノ酸であり、X7が、S、Y、G又はRであり、X19が、S又はC以外の任意のアミノ酸であり、かつX20が、任意のアミノ酸である。
【0088】
いくつかの実施形態では、X18は、C以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X18は、C以外の任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X18は、X6である。いくつかの実施形態では、X18は、G、D、S、又はNである。いくつかの実施形態では、X18は、G以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X18は、G以外の任意のアミノ酸から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、X19は、C以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X19は、C以外の任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X19は、S以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X19は、S以外の任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X19は、C及びS以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X19は、C及びS以外の任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X19は、T以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X19は、T以外の任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X19は、Tである。
【0090】
いくつかの実施形態では、X20は、任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X20は、任意のアミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、X20は、K以外のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X20は、C又はS以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X20は、K、C又はS以外のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X20は、正に荷電していないアミノ酸である。いくつかの実施形態では、正に荷電したアミノ酸は、K、R又はHである。いくつかの実施形態では、正に荷電したアミノ酸は、K、R及びHのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、荷電は、pH7.0で荷電される。いくつかの実施形態では、荷電は、中性pHで荷電され
る。いくつかの実施形態では、荷電は、荷電された側鎖を含んでいる。いくつかの実施形態では、X20は、負に荷電したアミノ酸である。いくつかの実施形態では、負に荷電したアミノ酸は、E又はDである。いくつかの実施形態では、負に荷電したアミノ酸は、E及びDから選択される。いくつかの実施形態では、X20は、K又はEである。いくつかの実施形態では、X20は、K及びEから選択される。いくつかの実施形態では、X20は、負に荷電したアミノ酸又は極性アミノ酸である。いくつかの実施形態では、X20は、負に荷電したアミノ酸及び極性アミノ酸から選択される。いくつかの実施形態では、極性アミノ酸は、Y、S、T、N又はQである。いくつかの実施形態では、極性アミノ酸は、Y、S、T、N及びQから選択される。いくつかの実施形態では、X20は、Kである。いくつかの実施形態では、X20は、Eである。
【0091】
いくつかの実施形態では、X1は、A、G又はNである。いくつかの実施形態では、X1は、A、G及びNから選択される。いくつかの実施形態では、X2は、S、N、G又はYである。いくつかの実施形態では、X2は、S、N、G及びYから選択される。いくつかの実施形態では、X3は、G又はSである。いくつかの実施形態では、X3は、G及びSから選択される。いくつかの実施形態では、X4はS、N又はPである。いくつかの実施形態では、X4は、S、N及びPから選択される。いくつかの実施形態では、X5は、G又はPである。いくつかの実施形態では、X5は、G及びPから選択される。いくつかの実施形態では、X6は、G、D、S、又はNである。いくつかの実施形態では、X6は、G、D、S、及びNから選択される。いくつかの実施形態では、X7は、S、Y、G又はRである。いくつかの実施形態では、X7は、S、Y、G及びRから選択される。いくつかの実施形態では、X8は、E又はKである。いくつかの実施形態では、X8は、E及びKから選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号2、配列番号20(GINGNGDYTYYADSVKG)、配列番号21(AIGGSGSGTYYADSVKG)、配列番号22(NIYSNPNRTYYADSVEG)、配列番号23(NINGPGNGTYYADSVEG)、配列番号47(NIYSNPNRTYYADSVKG)、配列番号48(AISGSGGSTYYADSVEG)、配列番号57(NIYSNPDRTYYADSVEG)、配列番号58(NIYSNPERTYYADSVEG)、配列番号59(NIYSNPGRTYYADSVEG)、配列番号60(NIYSNPQRTYYADSVEG)、配列番号61(NIYSNPSRTYYADSVEG)、配列番号62(NIYSNPNRAYYADSVEG)、配列番号63(NIYSNPNREYYADSVEG)、配列番号64(NIYSNPNRGYYADSVEG)及び配列番号65(NIYSNPNRNYYADSVEG)から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号2を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号20を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号20からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号21を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号21からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号22を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号22からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号23を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号23からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号17である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号17を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号17からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号47を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号47からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号48を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号48からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号57を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号57からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号58を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号58からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号59を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号59からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号60を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号60からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号61を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号61からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号62を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号62からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号63を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号63からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号64を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号64からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号65を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号65からなる。
【0093】
いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号3、配列番号24(ASYRNYNYGDY)、配列番号25(ASYDPTNYYDY)及び配列番号26(ASYRSTNYFDY)から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号3からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号24を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号24からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号25を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号25からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号26を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号26からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H3は、配列番号18である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号18を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号18からなる。
【0094】
いくつか実施形態では、CDR-L3は、配列番号6及び配列番号27(QQYGSYPPLT)から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-L3は、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、CDR-L3は、配列番号6からなる。いくつかの実施形態では、CDR-L3は、配列番号27を含む。いくつかの実施形態では、CDR-L3は、配列番号27からなる。いくつかの実施形態では、CDR-L3は、配列番号19である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号19を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号19からなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、CDRは、不安定性傾向が無い。いくつかの実施形態では、CDR(複数)は、不安定性傾向が無い。いくつかの実施形態では、不安定性傾向は、酸不安定性傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、劣化への傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、切断への傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、DPジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、X11X12は、DPではない。いくつかの実施形態では、X11がDである場合、X12は、P、G、D、S、T又はHではない。いくつかの実施形態では、X11がDである場合、X12は、Pではない。いくつかの実施形態では、傾向は、アスパラギン酸異性化への傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、DGジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、DTジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、DSジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、DDジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、DHジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、脱アミノ化への傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、NGジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、NSジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、NTジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、NHジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、NNジアミノ酸である。いくつかの実施形態では、傾向は、N結合グリコシル化への傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、NXS/T(配列番号84)である。いくつかの実施形態では、傾向は、NXSである。いくつかの実施形態では、傾向は、NXTである。これらの傾向配列におけるXは、任意のアミノ酸であり得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、傾向は、遊離システイン残基である。いくつかの実施形態では、全てのCDRは、遊離システイン残基が無い。いくつかの実施形態では、傾向は、酸化傾向である。いくつかの実施形態では、傾向は、表面に露出したメチオニン又はトリプトファン残基である。いくつかの実施形態では、傾向は、表面に露出したメチオニン残基である。いくつかの実施形態では、傾向は、表面に露出したトリプトファン残基である。いくつかの実施形態では、CDRは、傾向を消失させる単一のアミノ酸変化を含む。いくつかの実施形態では、CDRは、ジアミノ酸配列を消失させる単一のアミノ酸変化を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、CDR-H2は、N-グリコシル化部位が無い。いくつかの実施形態では、N-グリコシル化部位は、NXS/Tを含み、Xは、任意のアミノ酸であり、第3のアミノ酸は、S又はTである。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号106(NIYSNPNRX22YYADSVEG)を含む。いくつかの実施形態では、X22は、S及びT以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号107(NIYSNPNRX23YYADSVEG)を含む。いくつかの実施形態では、X23は、S、T及びC以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号106からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号107からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号112(NIYSNPX24RTYYADSVEG)を含む。いくつかの実施形態では、X24は、N以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号113(NIYSNPX25RTYYADSVEG)を含む。いくつかの実施形態では、X25は、N及びC以外の任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号114(NIYSNPX26RTYYADSVEG)を含む。いくつかの実施形態では、X26は、G、D、S、E、Q又はNである。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号112からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号113からなる。いくつかの実施形態では、CDR-H2は、配列番号114からなる。
【0097】
いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号47、配列番号48、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64及び配列番号65を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号63に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号24、配列番号25及び配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、CDR-H1は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-H2は、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22及び配列番号23から選択されるアミノ酸配列を含み、CDR-H3は、配列番号3、配列番号24、配列番号25及び配列番号26から選択されるアミノ酸配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6及び配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号7)を含む重鎖を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7を含むか又はそれからなる重鎖可変領域を含まない。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7を含む重鎖及び配列番号27を含むCDR-L3を含む軽鎖を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGINGNGDYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号28)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGSGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号29)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号30)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNINGPGNGTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号31)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号50)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号51)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPDRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号66)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPERTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号67)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPGRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号68)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPQRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号69)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPSRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号70)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRAYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号71)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNREYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号72)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRGYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号73)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRNYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号74)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRNYNYGDYWGQGTLVTVSS(配列番号32)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYDPTNYYDYWGQGTLVTVSS(配列番号33)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRSTNYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号34)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号28~34、50~51及び66~74から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7、28~34、50~51及び66~74から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号28~34、50~51及び66~74から選択される配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7、28~34、50~51及び66~74から選択される配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号28~34、50~51及び66~74から選択される配列からなる重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号7、28~34、50~51及び66~74から選択される配列からなる重鎖可変領域を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPPYTFGQGTKVEIK(配列番号8)及びELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSYPPLTFGQGTKVEIK(配列番号35)から選択される配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号8及び配列番号35から選択される配列を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号8を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号35を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号8及び35から選択される配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号35を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号8及び35から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号35からなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号8及び35から選択される配列からなる軽鎖可変領域を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、重鎖は、MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号36)を含むN末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号36からなるN末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号36のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号7、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号50、配列番号51、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73及び配列番号74のいずれか1つのN末端に配列番号36のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、N末端ペプチドは、シグナルペプチドである。いくつかの実施形態では、重鎖は、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、シグナルペプチドが無い。いくつかの実施形態では、重鎖は、シグナルペプチドを欠く。いくつかの実施形態では、重鎖は、細胞中で最初に発現されるときにシグナルペプチドを含み、シグナルペプチドは、切断され、分泌される重鎖は、シグナルペプチドを欠く。シグナルペプチドは、当技術分野において周知であり、抗体鎖の分泌をもたらすように機能する任意のシグナルペプチドが、使用され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、重鎖は、ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号37)を含むC末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号37からなるC末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、重鎖定常領域である。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号37のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号7、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号50、配列番号51、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73及び配列番号74のいずれか1つのC末端に配列番号37のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、IgG骨格である。一実施形態は、抗原結合断片は、C末端ペプチドを欠く。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、C末端ペプチドが無い。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、細胞傷害性ではない。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、細胞傷害性を低下させるために変異される。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、抗体ヒンジドメインを含む。重鎖のヒンジドメインに存在するジスルフィド架橋が重鎖二量体化のために十分であることは、当業者なら理解するであろう。ヒンジ領域自体は、細胞傷害性を付与しない。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、CH1ドメインを含む。重鎖のCH1ドメインと軽鎖のCLドメインの間に形成されるジスルフィド架橋が、重鎖-軽鎖二量体化及び機能抗体又は抗原結合断片の形成のために十分であることは、当業者なら理解するであろう。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、二量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、2つの重鎖間の二量体化を誘導するのに十分である。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、重鎖と軽鎖の間で二量体化を誘導するのに十分である。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、2つの重鎖間の二量体化を誘導するのに十分な第1の二量体化ドメインと、重鎖と軽鎖の間の二量体化を誘導するのに十分な第2の二量体化ドメインの2つの二量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、二量体化は、ジスルフィド結合を形成することである。
【0106】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号9)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号9の配列からなる。配列番号9はまた、シグナルペプチド(配列番号36)を欠いてよく、それはQVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号85)を生成すること、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSX1IX2X3X4X5X6X7TYYADSVX8GRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号54)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号54の配列からなる。配列番号54はまた、本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSX1IX2X3X4X5X18X7X19YYADSVX20GRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号55)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号55の配列からなる。配列番号55はまた、本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAX9X10X11X12X13X14YX15DYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号56)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、配列番号56の配列からなる。配列番号56はまた、本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSGINGNGDYTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号86)を含む重鎖を含む。配列番号86はまた、配列番号39を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号86又は39からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGSGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号87)を含む重鎖を含む。配列番号87はまた、配列番号40を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号87又は40からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号88)を含む重鎖を含む。配列番号88はまた、配列番号41を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号88又は41からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNINGPGNGTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号89)を含む重鎖を含む。配列番号89はまた、配列番号42を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号89又は42からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号90)を含む重鎖を含む。配列番号90はまた、配列番号52を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号90又は52からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号91)を含む重鎖を含む。配列番号91はまた、配列番号53を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号91又は53からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPDRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号92)を含む重鎖を含む。配列番号92はまた、配列番号75を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号92又は75からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPERTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号93)を含む重鎖を含む。配列番号93はまた、配列番号76を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号93又は76からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPGRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGL
YSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号94)を含む重鎖を含む。配列番号94はまた、配列番号77を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号94又は77からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPQRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号95)を含む重鎖を含む。配列番号95はまた、配列番号78を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号95又は78からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPSRTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号96)を含む重鎖を含む。配列番号96はまた、配列番号79を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号96又は79からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRAYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号97)を含む重鎖を含む。配列番号97はまた、配列番号80を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号97又は80からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNREYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号98)を含む重鎖を含む。配列番号98はまた、配列番号81を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号98又は81からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRGYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号99)を含む重鎖を含む。配列番号99はまた、配列番号82を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解される。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号99又は82からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRNYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号100)を含む重鎖を含む。配列番号100はまた、配列番号83を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号100又は83からなる重鎖を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRNYNYGDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号101)を含む重鎖を含む。配列番号101はまた、配列番号43を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号101又は43からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYDPTNYYDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号102)を含む重鎖を含む。配列番号102はまた、配列番号44を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号102又は44からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKASYRSTNYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号103)を含む重鎖を含む。配列番号103はまた、配列番号45を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号103又は45からなる重鎖を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRX22YYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号108)を含む重鎖を含み、その中でX22は、S及びT以外の任意のアミノ酸である。配列番号108はまた、配列番号109を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPNRX23YYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号110)を含む重鎖を含み、その中でX23は、S、T及びC以外の任意のアミノ酸である。配列番号110はまた、配列番号111を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPX24RTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号115)を含む重鎖を含み、その中でX24は、N以外の任意のアミノ酸である。配列番号115はまた、配列番号116を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPX25RTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号117)を含む重鎖を含み、その中でX25は、N及びC以外の任意のアミノ酸である。配列番号117はまた、配列番号118を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、QVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSNIYSNPX26RTYYADSVEGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAPGDYTAYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号119)を含む重鎖を含み、その中でX26は、G、D、S、E、Q又はNである。配列番号119はまた、配列番号120を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号108~111のいずれか1つからなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号108~111のいずれか1つからなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号115~120のいずれか1つからなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号108~111及び115~120のいずれか1つからなる重鎖を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39~45、52~53及び75~83から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号86~103から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号9、39~45、52~53及び75~83から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号85~103から選択される配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39~45、52~53及び75~83から選択される配列からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号86~103から選択される配列からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号9、39~45、52~53及び75~83から選択される配列からなる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号85~103から選択される配列からなる重鎖を含む。
【0114】
いくつか実施形態では、軽鎖は、配列番号36を含むN末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号36からなるN末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号36のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号8及び配列番号35のいずれか1つのN末端に配列番号36のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、N末端ペプチドは、シグナルペプチドである。いくつかの実施形態では、軽鎖は、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、シグナルペプチドが無い。いくつかの実施形態では、軽鎖は、シグナルペプチドを欠く。いくつかの実施形態では、軽鎖は、細胞中で最初に発現されるときにシグナルペプチドを含み、シグナルペプチドは、切断され、分泌される軽鎖は、シグナルペプチドを欠く。
【0115】
いくつか実施形態では、軽鎖は、RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号38)を含むC末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号38からなるC末端ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、軽鎖定常領域である。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号38のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖は、配列番号8、及び配列番号35のいずれか1つのC末端に配列番号38のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、CLドメインを含む。いくつかの実施形態では、CLは、カッパCLドメインである。いくつかの実施形態では、CLは、ラムダCLドメインである。重鎖のCH1ドメインと軽鎖のCLドメインの間に形成されるジスルフィド架橋が、重鎖-軽鎖二量体化及び機能抗体又は抗原結合断片の形成のために十分であることは、当業者なら理解するであろう。いくつかの実施形態では、C末端ペプチドは、二量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、二量体化ドメインは、重鎖と軽鎖の間の二量体化を誘導するのに十分である。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号104)を含む軽鎖を含む。配列番号104はまた、配列番号10を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ELVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSYPPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号105)を含む軽鎖を含む。配列番号105はまた、配列番号46を生成する本発明のシグナルペプチド(配列番号36)を含むか、又は異なるシグナルペプチドを含有できることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号104又は10からなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号105又は46からなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号10及び配列番号46から選択される配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号104及び配列番号105から選択される配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号10及び配列番号46から選択される配列からなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、配列番号104及び配列番号105から選択される配列からなる軽鎖を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、重鎖と軽鎖は、リンカーによって結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、最長1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24又は25アミノ酸長である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24又は25アミノ酸長である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~25、5~25、10~25、15~25、20~25、1~20、5~20、10~20、15~20、1~15、5~15、10~15、1~10、5~10又は1~5アミノ酸長である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表1に提供されるものから選択される。
表1:本発明の抗体
【表1】
【0119】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号32を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号101を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号43を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号33を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号102を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号44を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号34を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号103を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号45を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号30を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号88を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号41を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号50を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号90を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号52を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号66を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号92を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号75を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号67を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号93を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号76を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号68を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号94を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号77を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号69を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号95を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号78を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号70を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号96を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号79を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号71を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号97を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号80を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号72を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号98を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号81を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号73を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号99を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号82を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号74を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号100を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号83を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号31を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号89を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号42を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号28を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号86を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号39を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号29を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号87を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号40を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号51を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号8を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号91を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号104を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号53を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号10を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号7を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号35を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号85を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号105を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号9を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号46を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号30を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号35を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号88を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号105を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号41を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号46を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号31を含むか又はそれからなる重鎖可変領域と、配列番号35を含むか又はそれからなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号89を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号105を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号42を含むか又はそれからなる重鎖と、配列番号46を含むか又はそれからなる軽鎖を含む。
【0140】
別の態様により、表1に提供される抗体又は抗原結合断片に対して少なくとも70%のアミノ酸同一性を含み、かつその抗体と同じCDRを含む抗体又は抗原結合断片が、提供される。
【0141】
CDRが抗体/結合断片の結合特異性を規定し、そのためCDRが保持される限り、CDRの周囲の配列が改変/変更されてよいことを、当業者なら理解するであろう。いくつかの実施形態では、少なくとも70%は、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、99%又は100%である。各可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、少なくとも70%は、少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、少なくとも70%は、少なくとも90%である。
【0142】
本発明の操作された抗体は、例えば、抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に対し修飾が行われたものを含む。通常、このようなフレームワークの修飾は、抗体の免疫原性を減少させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系列配列に「逆変異」させることである。より具体的には、体細胞変異を受けた抗体は、抗体が由来する生殖細胞系列配列とは異なるフレームワーク残基を含有できる。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞系列配列と比較することにより同定できる。
【0143】
例えば、4C7VH領域において、25、68及び82a位のフレームワークアミノ酸は全て、生殖細胞系列と異なり、それぞれ、H25S、S68T及びT82aTの置換により生殖細胞系列に逆変異させることができる。
【0144】
別の種類のフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内の、又はさらに1以上のCDR領域内の1以上の残基を変異させて、T細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的な免疫原性を低下させることを含む。このアプローチはまた、「脱免疫化」とも呼ばれ、米国特許公開第20030153043号にさらに詳細に記載される。
【0145】
フレームワークもしくはCDR領域内で行われる修飾に加えて、又はその代替として、本発明の抗体は、通常、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害性などの、抗体の1以上の機能的特性を変更するために、Fc領域内に修飾を含むように操作できる。さらに、本発明の抗体は、化学的に修飾できる(例えば、1以上の化学的部分が抗体に付着されてよい)か、又はそのグリコシル化を変更し、再び抗体の1以上の機能的特性を変更するように修飾できる。これらの実施形態の各々は、以下でさらに詳細に説明される。Fc領域の残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのナンバリングである。
【0146】
好ましい実施形態では、抗体は、重鎖定常領域のヒンジ領域内の228位に対応する位置でセリンからプロリンへの変異(S228P;EUインデックス)を含むIgG4アイソタイプ抗体である。この変異は、ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド架橋の不均一性を消失させると報告されている(Angalら 上述;241位は、Kabatナンバリングシステムに基づく)。
【0147】
一実施形態では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が変更される、例えば、増加又は減少されるように修飾される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号にさらに記載される。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖と重鎖のアセンブリを容易にするか、又は抗体の安定性を増加又は減少させるために変更される。
【0148】
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるために変異される。より具体的には、1以上のアミノ酸変異が、抗体が天然のFcヒンジドメインSpA結合に対し損なわれたブドウ球菌プロテインA(SpA)結合を有するように、Fc-ヒンジ断片のCH2-CH3ドメインインターフェース領域中に導入される。このアプローチは、米国特許第6,165,745号にさらに詳細に記載される。
【0149】
別の実施形態では、抗体は、その生物学的半減期を増加させるように修飾される。様々なアプローチが、可能である。例えば、米国特許第6,277,375号に記載されるように、以下の変異:T252L、T254S、T256Fの1以上を、導入できる。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、抗体を、米国特許第5,869,046号及び第6,121,022号に記載されるように、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取得したサルベージ受容体結合エピトープを含有するように、CH1又はCL領域内で変更できる。
【0150】
さらに他の実施形態では、Fc領域が、抗体のエフェクター機能(複数可)を変更するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換することにより変更される。例えば、抗体がエフェクターリガンドに対する変更された親和性を有するが親抗体の抗原結合能を保持するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1以上のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基と置換できる。それに対する親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1構成成分であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号にさらに詳細に記載される。
【0151】
別の例では、抗体が変更されたC1q結合かつ/又は低下もしくは消失された補体依存性細胞傷害(CDC)を有するように、アミノ酸残基329、331及び322から選択される1以上のアミノ酸を、異なるアミノ酸残基と置換できる。このアプローチは、米国特許第6,194,551号にさらに詳細に記載される。
【0152】
別の例では、アミノ酸位置231から239内の1以上のアミノ酸残基を変更し、それにより補体を固定する抗体の能力を変更する。このアプローチは、PCT公開WO 94/29351にさらに記載される。
【0153】
さらに別の例では、Fc領域は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する抗体の能力を増大させるように、かつ/又は以下の位置:238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438又は439における1以上のアミノ酸を修飾することによりFcγ受容体に対する抗体の親和性を増加させるように修飾される。このアプローチは、PCT公開WO 00/42072にさらに記載される。さらに、FcγR1、FcγRII、FcγRIII及びFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位が、マッピングされており、結合が改善された変異体が、記載されている(Shieldsら(2001) J.Biol.Chem.276:6591-6604を参照されたい)。256、290、298、333、334及び339位での特定の変異は、FcγRIIIへの結合を改善することが示された。さらに、以下の組み合わせ変異体:T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224A及びS298A/E333A/K334Aは、FcγRIII結合を改善することが示された。
【0154】
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化が、変更される。例えば、非グリコシル化抗体を、作製できる(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を高めるように変更できる。そのような糖修飾は、例えば、抗体配列内の1以上のグリコシル化部位を変更することによって達成できる。例えば、1以上の可変領域フレームワークのグリコシル化部位の排除をもたらす1以上のアミノ酸置換を行い、それによりその部位でのグリコシル化を排除できる。このような非グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増強し得る。例えば、米国特許第5,714,350号及び同第6,350,861号を参照されたい。
【0155】
さらに、又は代替的に、変更された種類のグリコシル化を有する抗体、例えば、低減された量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体、又は増加されたGlcNac二分構造を有する抗体を、作製できる。このような変更されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能を高めることが実証されている。このような糖修飾は、例えば、変更されたグリコシル化機構を有する宿主細胞中で抗体を発現させることにより達成できる。変更されたグリコシル化機構を有する細胞は、当技術分野で説明されており、本発明の組換え抗体を発現させそれによりグリコシル化が変更された抗体を生成するための宿主細胞として使用できる。例えば、細胞株Ms704、Ms705、及びMs709は、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8(α(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ)を欠き、そのためMs704、Ms705、及びMs709細胞株で発現される抗体は、その糖にフコースを欠く。Ms704、Ms705、及びMs709 FUT8-/-細胞株は、2つの置換ベクターを使用するCHO/DG44細胞におけるFUT8遺伝子の標的破壊によって作製された(米国特許公開第20040110704号及びYamane-Ohnukiら(2004)Biotechnol Bioeng 87:614-22を参照されたい)。別の例として、EP1,176,195は、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を機能的に破壊した細胞株を記載し、そのような細胞株で発現される抗体は、α-1,6結合関連酵素を低下させるか又は排除することによる低フコシル化を呈する。EP1,176,195もまた、抗体のFc領域に結合するN-アセチルグルコサミンにフコースを付加する活性が低い酵素を有する細胞株、又は酵素活性を有しない細胞株、例えば、ラット骨髄腫細胞株YB2/0(ATCC(登録商標)CRL 1662)を記載する。PCT公開WO 03/035835は、Asn(297)結合糖にフコースを付着させる能力が低下され、その宿主細胞で発現される抗体の低フコシル化ももたらす、変異型CHO細胞株のLec13細胞を記載する(Shieldsら(2002)J.Biol.Chem.277:26733-26740も参照されたい)。グリコシル化プロファイルが変更された抗体は、PCT公開WO 06/089231に記載されるように、ニワトリの卵の中で生成することもできる。あるいは、グリコシル化プロファイルが変更された抗体は、Lemnaなどの植物細胞中で生成できる(米国特許第7,632,983号)。植物系での抗体の生成のための方法は、米国特許第6,998,267号及び同第7,388,081号に開示されている。PCT公開WO 99/54342は、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株について記載しており、その操作された細胞株で発現される抗体は、GlcNacの二分構造が増加しており、それは、抗体の増強されたADCC活性をもたらす(Umanaら(1999)Nat.Biotech.17:176-180も参照されたい)。あるいは、抗体のフコース残基を、フコシダーゼ酵素を使用して切断できる。例えば、フコシダーゼのα-L-フコシダーゼは、抗体からフコシル残基を除去する(Tarentinoら(1975)Biochem.14:5516-23)。
【0156】
本開示によって企図される本明細書の抗体の別の修飾は、ペグ化である。抗体は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるためにペグ化できる。抗体をペグ化するために、抗体又はその断片を通常、1以上のPEG基が抗体又は抗体断片に付着するようになる条件下で、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体などの、ポリエチレングリコール(PEG)と反応させる。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して行われる。本明細書で使用する場合、用語「ポリエチレングリコール」は、モノ(C1~C10)アルコキシ又はアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドなどの、他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの任意の形態を包含することを意図する。特定の実施形態では、ペグ化される抗体は、非グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化するための方法は、当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用できる。例えば、EP 0154316及びEP 0401384を参照されたい。
【0157】
別の態様により、本発明の抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物が、提供される。
【0158】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、医薬として許容される担体、賦形剤又はアジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本発明の抗体又はその抗原結合断片の治療的有効量を含む。
【0159】
本明細書で使用する場合、用語「担体」、「賦形剤」、又は「アジュバント」は、活性抗体又はその抗原結合断片ではない医薬組成物の任意の成分を指す。本明細書で使用する場合、用語「医薬として許容される担体」は、非毒性、不活性固体、半固体液体充填剤、希釈剤、封入材料、任意の種類の製剤補助剤、又は生理食塩水などの、単に滅菌水性媒体を指す。医薬として許容される担体として機能できる物質のいくつかの例は、糖類、例えばラクトース、グルコース及びスクロース、デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽、ゼラチン、タルク;賦形剤、例えばカカオバター及び坐剤ワックス;油類、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油;グリコール類、例えばプロピレングリコール、ポリオール類、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、寒天;抗体又はその抗原結合断片の緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水、リンゲル溶液;エチルアルコール及びリン酸緩衝液、並びに医薬製剤に使用される他の無毒の適合性物質である。本明細書において担体として機能できる物質のいくつかの非限定的な例は、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、粉末トラガント、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油類、ポリオール類、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リン酸緩衝液、カカオ脂(坐剤基剤)、乳化剤並びに他の医薬製剤において使用される他の非毒性の医薬として適合性のある物質を含む。湿潤抗体又はその抗原結合断片及びラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、並びに抗体又はその抗原結合断片の着色剤、抗体又はその抗原結合断片の香味剤、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、及び保存剤も、存在し得る。任意の非毒性で、不活性で、かつ有効な担体を使用して、本明細書で企図される組成物を製剤化できる。この点に関して、適切な医薬として許容される担体、賦形剤、及び希釈剤、例えば、The Merck Index,第13版,Budavariら(編),Merck & Co.社,Rahway,N.J.(2001);the CTFA(化粧品・トイレタリー・フレグランス協会(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association))国際化粧品成分辞典及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook),第10版(2004);及び「不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)」米国食品医薬品局(FDA)医薬品評価研究センター(CDER)管理局に記載されたものなどは、当業者に周知であり、これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本組成物において有用な医薬として許容される賦形剤、担体及び希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、ハンクス液、及びDMSOを含む。これらの追加の不活性成分、並びに有効な製剤及び投与手順は、当技術分野において周知であり、標準的なテキストブック、例えば、Goodman及びGillman:治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Bases of Therapeutics),第8版,Gilmanら(編)Pergamon Press(1990);レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990);及びレミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy),第21版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物はまた、リポソーム、ISCOMS、徐放性粒子、及び血清中のペプチド又はポリペプチドの半減期を増加させる他のビヒクルなどの人工的に作成された構造中に含有され得る。リポソームは、エマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などを含む。本明細書に記載のペプチドと共に使用するためのリポソームは、中性及び負に荷電したリン脂質及びコレステロールなどのステロールを一般に含む標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は一般に、リポソームのサイズや血中の安定性などの考慮事項によって決定される。様々な方法が、例えば、Coligan,J.E.ら,タンパク質科学の最新プロトコル(Current Protocols in Protein Science),1999,John Wiley & Sons社,New Yorkにより概説されるように、リポソームを調製するために利用可能であり、米国特許第4,235,871号,同第4,501,728号,同第4,837,028号,及び同第5,019,369号も参照されたい。
【0160】
担体は、合計で、本明細書に提示される医薬組成物の約0.1重量%~約99.99999重量%を含み得る。
【0161】
用語「治療的有効量」は、哺乳動物における疾患又は障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。いくつかの実施形態では、治療的有効量は、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な投薬量及び期間で有効な量である。正確な剤形及び投薬計画は、患者の状態に応じて医師により決定される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本発明の抗体又は抗原結合断片の治療的有効量を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療用組成物である。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、疾患又は状態を処置する際に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、疾患又は状態を治療する際に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、HVEMを発現する細胞を特徴とする。いくつかの実施形態では、細胞は、HVEMを発現することを特徴とする疾患細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、HVEMを過剰発現することを特徴とする。いくつかの実施形態では、過剰発現は、健常細胞と比較したものである。いくつかの実施形態では、健常細胞は、非罹患細胞である。いくつかの実施形態では、過剰発現は、増加された発現である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、HVEM陽性の疾患又は状態である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、BTLA陽性の疾患又は状態である。
【0163】
いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、HVEM陽性癌である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、BTLA陽性常在細胞を含む癌である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、HVEM陽性の前癌性病変である。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、腎細胞癌である。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫、腎癌、子宮頸癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、結腸癌、乳癌、肝細胞癌、胆管癌、胸腺腫及び頭頸部癌から選択される。いくつかの実施形態では、腎癌は、腎細胞癌である。当業者は、HVEMを発現するあらゆる癌が治療標的であり得ることを認識するだろう。いくつかの実施形態では、疾患は、感染性疾患である。いくつかの実施形態では、感染の細胞は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、感染細胞は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、細菌感染症であり、細菌細胞は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、真菌感染症であり、真菌細胞は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、感染性疾患は、ウイルス感染症であり、ウイルス感染した対象の細胞は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスは、ヘルペスウイルスである。いくつかの実施形態では、HVEM発現は、HVEM過剰発現である。いくつかの実施形態では、HVEM発現は、増加されたHVEM発現である。
【0164】
別の態様により、それを必要とする対象におけるHVEM陽性の疾患又は状態を治療する方法が提供され、方法は、本発明の抗体又はその抗原結合断片を対象に投与すること、それにより対象を治療することを含む。
【0165】
別の態様により、それを必要とする対象におけるHVEM陽性の疾患又は状態を治療する方法が提供され、方法は、本発明の医薬組成物を対象に投与すること、それにより対象を治療することを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、本方法は、HVEM-TNFSF14相互作用を阻害しないことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、HVEM-TNFSF14相互作用を実質的に阻害しないことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、HVEM-TNFSF14相互作用を完全に阻害しないことをさらに含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、本方法は、非HVEMチェックポイントタンパク質の免疫チェックポイント阻害をさらに含む。いくつかの実施形態では、非HVEMチェックポイントタンパク質は、PD-1である。いくつかの実施形態では、本方法は、非HVEMチェックポイントタンパク質の免疫チェックポイント阻止をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、PD-1とそのリガンドの1つの間の相互作用を阻害することをさらに含む。いくつかの実施形態では、PD-1リガンドは、PD-L1及びPD-L2から選択される。いくつかの実施形態では、本方法は、PD-1、PD-L1又はPD-L2を阻害することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、PD-1対PD-L1の相互作用を阻害することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、PD-1対PD-L2の相互作用を阻害することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、PD-1対PD-L1又はPD-L2の相互作用を阻害することをさらに含む。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、PD-1対PD-L1の相互作用又はPD-1対PD-L2の相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、PD-1とそのリガンドの少なくとも1つの間の相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリガンドは、2つのリガンドである。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、PD-1/PD-L1阻止を含む。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、PD-1/PD-L1又はPD-L2阻止を含む。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、抗PD-1/PD-L1療法を含む。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害することは、抗PD-1/PD-L1又はPD-L2療法を含む。いくつかの実施形態では、療法は、免疫療法である。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片は、抗PD-1、抗PD-L1又は抗PD-L2抗体である。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片は、PD-1/PD-L1阻害剤である。いくつかの実施形態では、相互作用を阻害する抗体又はその抗原結合断片は、PD-1/PD-L1/PD-L2阻害剤である。いくつかの実施形態では、抗体は、ブロッキング抗体である。PD-L1/L2及びPD-1療法は、当技術分野で周知であり、ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ(リブタヨ)、ピディリズマブ、AMP-224、AMP-514及びPDR001を含むが、これらに限定されない。
【0168】
いくつかの実施形態では、治療の方法は、HVEM発現細胞に対し別の治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、他の治療薬は、抗癌治療薬である。いくつかの実施形態では、治療薬は、非自己免疫細胞である。いくつかの実施形態では、他の治療薬は、自己免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CAR発現免疫細胞である。いくつかの実施形態では、CARは、CAR-Tである。いくつかの実施形態では、CARは、CAR-NKである。いくつかの実施形態では、自己免疫細胞は、TIL療法である。いくつかの実施形態では、非自己免疫細胞は、養子細胞療法である。いくつかの実施形態では、自己免疫細胞は、養子細胞療法である。いくつかの実施形態では、養子細胞は、CAR細胞である。いくつかの実施形態では、養子細胞は、TILである。
【0169】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物と別の治療薬は、同時に投与される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、別の治療薬の前に、後で又は同時に投与される。
【0170】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、HVEM陽性の疾患又は状態に罹患している対象である。いくつかの実施形態では、対象は、HVEM陽性細胞によって特徴付けられる疾患に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、癌に罹患している。いくつかの実施形態では、癌は、HVEM陽性癌である。いくつかの実施形態では、対象は、療法を経験していない。いくつかの実施形態では、対象は、抗HVEM療法を経験していない。いくつかの実施形態では、対象は、免疫療法を経験していない。
【0171】
本明細書で使用する場合、用語「投与する」、「投与」、及び同様の用語は、健全な医療行為において、治療効果を提供するように、活性剤を含有する組成物を対象に送達する任意の方法を指す。本主題の一態様は、それを必要とする患者への、本主題の組成物の治療的有効量の静脈内投与を提供する。他の適切な投与経路は、非経口、皮下、経口、筋肉内、髄腔内、又は腹腔内を含み得る。
【0172】
投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康状態、及び体重、同時治療の種類、もしあれば、治療の頻度、及び所望される効果の性質に依存する。
【0173】
別の態様により、本発明の方法により治療される対象の適合性を決定する方法が提供され、方法は、対象から試料を取得すること、および試料中のHVEMレベルを決定することを含み、HVEMの陽性発現は、対象が本発明の治療方法に適していることを示す。
【0174】
別の態様により、試料中のHVEMを検出する方法が提供され、方法は、試料を本発明の抗体もしくはその抗原結合断片と接触させること、それによりHVEMを検出することを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、HVEMレベルを決定することは、HVEMを検出することを含む。いくつかの実施形態では、検出することは、HVEMの量を定量化することを含む。いくつかの実施形態では、接触させることは、抗体もしくは抗原結合断片がHVEMに結合するのに適する条件下で行われる。いくつかの実施形態では、条件は、HVEMへの特異的結合に適する。いくつかの実施形態では、結合することは、ハイブリダイズすることである。抗体/抗体又はその抗原結合断片が結合する条件は、試料に依存する。当業者なら、組織試料への結合に必要な条件(固定の方法/種類に依存する)が、細胞可溶化物全体などの溶液中での結合の条件とは異なることを認識するであろう。このような結合条件は、当技術分野で周知であり、当業者は、所与の試料に対して適切な条件を選択できる。
【0176】
いくつかの実施形態では、試料は、組織試料である。いくつかの実施形態では、試料は、パラフィン包埋された試料である。いくつかの実施形態では、試料は、灌流された試料である。いくつかの実施形態では、試料は、対象由来である。いくつかの実施形態では、試料は、健常試料である。いくつかの実施形態では、試料は、罹患試料である。いくつかの実施形態では、試料は、診断用試料である。
【0177】
いくつかの実施形態では、本方法は、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、検出は、免疫組織化学的検出である。いくつかの実施形態では、検出は、免疫蛍光検出である。いくつかの実施形態では、検出は、FACS検出である。いくつかの実施形態では、検出は、本発明の抗体もしくはその抗原結合断片を認識した二次抗体と試料を接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、検出は、二次抗体を検出することを含む。いくつかの実施形態では、検出は、顕微鏡観察を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、疾患又は状態に罹患していると疑われる。一実施形態は、対象は、疾患又は状態を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、増加されたHVEM発現を含み得る疾患又は状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、増加されたHVEM発現により特徴付けられ得る疾患又は状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、癌に罹患している。いくつかの実施形態では、癌は、第一選択治療に応答しなかった癌である。いくつかの実施形態では、癌は、癌再発である。いくつかの実施形態では、癌は、PD-1/PD-L1療法に応答しなかった癌である。
【0179】
いくつかの実施形態では、試料は、疾患試料である。いくつかの実施形態では、試料は、生体液である。いくつかの実施形態では、生体液は、血液、血清、血漿、尿、糞便、胆汁、精液、腫瘍液、及び脳脊髄液から選択される。いくつかの実施形態では、試料は、血液試料である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞試料である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞を含む。いくつかの実施形態では、試料は、疾患細胞を含む。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍試料である。いくつかの実施形態では、試料は、生検試料である。
【0180】
いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、HVEM発現を含む。いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、上昇されたHVEMレベルを含む。いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、増加されたHVEMレベルを含む。いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、HVEMの過剰発現を含む。いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、健常試料と比較したものある。いくつかの実施形態では、健常試料は、疾患組織及び/又は疾患細胞に隣接する健常組織及び/又は健常細胞由来のものである。いくつかの実施形態では、健常試料は、非感染細胞を含む。いくつかの実施形態では、健常試料は、健常ドナーについてである。いくつかの実施形態では、HVEMの陽性発現は、所定の閾値と比較したものある。
【0181】
別の態様により、本発明の医薬組成物、又は本発明の抗体もしくはその抗原結合断片を含むキットが提供される。
【0182】
いくつかの実施形態では、キットは、PD-1ベースの療法をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、PD-L1ベースの療法をさらに含む。いくつかの実施形態では、療法は、免疫療法である。いくつかの実施形態では、療法は、抗PD-1療法である。いくつかの実施形態では、療法は、抗PD-L1療法である。いくつかの実施形態では、療法は、PD-1/PD-L1阻止療法である。いくつかの実施形態では、療法は、ブロッキング抗体である。いくつかの実施形態では、療法は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、療法は、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ブロッキング抗体である。
【0183】
いくつかの実施形態では、キットは、本発明の医薬組成物がPD-1及び/又はPD-L1ベースの療法との使用のためであることを示す標識をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、本発明の抗体又はその抗原結合断片がPD-1及び/又はPD-L1ベースの療法との使用のためであることを示す標識をさらに含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、キットは、二次検出分子をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出分子は、本発明の抗体又はその抗原結合断片を検出するためのものである。いくつかの実施形態では、二次検出分子は、本発明の抗体又はその抗原結合断片に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、検出分子は、検出可能な部分を含む。検出可能な部分の例は、蛍光部分、タグ、放射標識、色素及び化学発光部分を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、蛍光部分である。蛍光部分の例は、GFP、RFP、YFP、APC、CY5、CY7、及びパシフィックブルーを含むが、これらに限定されない。二次検出分子は、当技術分野で周知であり、本発明の抗体又はその抗原結合断片を検出するであろう任意のそのような分子が、使用され得る。
【0185】
別の態様により、本発明の抗体又は抗原結合断片をコードする核酸分子が、提供される。
【0186】
別の態様により、本発明の抗体又は抗原結合断片の重鎖をコードする核酸分子、及び本発明の抗体又は抗原結合断片の軽鎖をコードする核酸分子が、提供される。
【0187】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、発現用に構成される。いくつかの実施形態では、発現は、細胞における発現である。いくつかの実施形態では、発現は、インビトロ発現系における発現である。本明細書で使用される用語「発現」は、コード領域の転写及び/又は翻訳を含むコード領域の生合成を指す。そのため、核酸分子の発現は、核酸断片の転写(例えば、mRNA又は他の機能的RNAをもたらす転写)及び/又は前駆体又は成熟タンパク質(ポリペプチド)へのRNAの翻訳を指し得る。いくつかの実施形態では、コード領域は、本発明の抗体又は抗原結合断片をコードする。いくつかの実施形態では、コード領域は、重鎖をコードする。いくつかの実施形態では、コード領域は、軽鎖をコードする。
【0188】
細胞内でのコード領域の発現は、当業者に周知である。これは、多くの方法の中で、トランスフェクション、ウイルス感染、又は細胞のゲノムの直接的な変更によって行われ得る。いくつかの実施形態では、コード領域は、プラスミド又はウイルスベクターなどの発現ベクター中にある。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。
【0189】
ベクターの核酸配列は一般に、少なくとも細胞における増殖のための複製起点、及び任意に異種ポリヌクレオチド配列、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー)、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性)、ポリアデニン配列などの、追加のエレメントを含有する。
【0190】
ベクターは、非ウイルス法を介して、又はウイルス法を介して送達されるDNAプラスミドであり得る。ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター又はポックスウイルスベクターであり得る。プロモーターは、哺乳動物細胞中で活性であり得る。プロモーターは、ウイルスプロモーターであり得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、コード領域は、調節エレメントに作用可能に連結される。いくつかの実施形態では、コード領域は、プロモーターに作用可能に連結される。いくつかの実施形態では、調節エレメントは、タンパク質である。いくつかの実施形態では、調節エレメントは、エンハンサーである。用語「作用可能に連結される」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にするように(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、又はベクターが宿主細胞中に導入される場合宿主細胞中で)、調節エレメント又は複数のエレメントに連結されることを意味すると意図される。
【0192】
いくつかの実施形態では、ベクターは、エレクトロポレーション(例えば、Fromら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,5824(1985)に記載されている)、熱ショック、ウイルスベクターによる感染、小ビーズ又は粒子のマトリックス内で、又は表面上(Kleinら,Nature 327.70-73(1987))のいずれかで核酸を有する小粒子による高速弾道貫通などを含む標準的な方法により細胞内に導入される。
【0193】
本明細書で使用される用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼ、すなわち、RNAポリメラーゼIIの開始部位の周りにクラスター化される一群の転写制御モジュールを指す。プロモーターは、各々が約7~20bpのDNAからなり、かつ転写活性化因子又は抑制因子のタンパク質の1以上の認識部位を含有する、個別の機能モジュールで構成される。
【0194】
いくつかの実施形態では、核酸配列は、RNAポリメラーゼII(RNAP II及びPol II)により転写される。RNAP IIは、真核細胞で見出される酵素である。それは、DNAの転写を触媒して、mRNA及びほとんどのsnRNA及びマイクロRNAの前駆体を合成する。
【0195】
いくつかの実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、Invitrogen社から入手可能であるpcDNA3、pcDNA3.1(±)、pGL3、pZeoSV2(±)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myC/cyto、pCMV/myC/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26s、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81、Promega社から入手可能であるpCI、Strategene社から入手可能であるpMbac、pPbac、pBK-RSV及びpBK-CMV、Clontech社から入手可能であるpTRES、並びにそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0196】
いくつかの実施形態では、レトロウイルスなどの真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含有する発現ベクターを、本発明で使用する。SV40ベクターは、pSVT7及びpMT2を含む。いくつかの実施形態では、ウシ乳頭腫ウイルス由来のベクターは、pBV-1MTHAを含み、エプスタインバーウイルス由来のベクターは、pHEBO、及びp2O5を含む。他の例示的なベクターは、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、及びSV-40初期プロモーター、SV-40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、又は真核細胞内での発現に有効であることが示された他のプロモーターの指示の下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、側方感染及び標的化特異性などの利点を提供する組換えウイルスベクターが、インビボ発現のために使用される。一実施形態では、側方感染は、例えば、レトロウイルスの生活環に固有であり、それにより単一の感染細胞が多くの子孫ビリオンを生成し、それが発芽して隣接細胞に感染する、プロセスである。一実施形態では、その結果、広い領域が急速に感染するようになり、そのほとんどは、元のウイルス粒子により最初に感染されたものではなかった。一実施形態では、側方に広がることができないウイルスベクターが、生成される。一実施形態では、この特徴は、所望の目的が限局した数の標的細胞のみへと特定の遺伝子を導入することである場合、有用であり得る。
【0198】
様々な方法が、本発明の発現ベクターを細胞に導入するために使用できる。このような方法は、一般に、Sambrookら,分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual),Cold Springs Harbor Laboratory,New York(1989,1992)、Ausubelら,分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology),John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1989),Changら,Somatic Gene Therapy,CRC Press,Ann Arbor,Mich.(1995),Vegaら,遺伝子ターゲティング(Gene Targeting),CRC Press,Ann Arbor Mich.(1995),Vectors:分子クローニングベクターの概要及びその使用(A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses),Butterworths,Boston Mass.(1988)及びGilboaら[Biotechniques 4(6):504-512,1986]に記載されており、例えば、安定な又は一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション及び組換えウイルスベクターによる感染を含む。加えて、ポジティブ-ネガティブ選択方法については、米国特許第5,464,764号及び同第5,487,992号を参照されたい。
【0199】
一実施形態では、植物発現ベクターが、使用される。一実施形態では、ポリペプチドコード配列の発現は、多数のプロモーターによって促進される。いくつかの実施形態では、CaMVの35S RNA及び19S RNAプロモーターなどのウイルスプロモーター[Brissonら,Nature 310:511-514(1984)]、又はTMVに対するコートタンパク質プロモーター[Takamatsuら,EMBO J.6:307-311(1987)]が、使用される。別の実施形態では、例えば、RUBISCOの小サブユニット[Coruzziら,EMBO J.3:1671-1680(1984);及びBrogliら,Science 224:838-843(1984)]又は熱ショックプロモーター、例えば、ダイズhsp17.5-E又はhsp17.3-B[Gurleyら,Mol.Cell.Biol.6:559-565(1986)]などの植物プロモーターが、使用される。一実施形態では、コンストラクトは、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、ダイレクトDNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション及び当業者に周知の他の技術を使用して植物細胞に導入される。例えば、Weissbach & Weissbach[植物分子生物学の方法(Methods for Plant Molecular Biology),Academic Press,NY,第VIII節,pp421-463(1988)]を参照されたい。当技術分野で周知である昆虫及び哺乳動物宿主細胞系などの他の発現系も、本発明により使用され得る。
【0200】
挿入されるコード配列(ポリペプチドをコードする)の転写及び翻訳に必要なエレメントを含有すること以外に、本発明の発現コンストラクトは、発現されるポリペプチドの安定性、生成、精製、収率又は活性を最適化するように操作された配列も含んでよいことが認識されるであろう。
【0201】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、値と組み合わされる場合、基準値のプラスマイナス10%を指す。例えば、約1000ナノメートル(nm)の長さは、1000nm±100nmの長さを指す。
【0202】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。そのため、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は、複数のそのようなポリヌクレオチドを含み、「ポリペプチド」への言及は、当業者に公知の1以上のポリペプチド及びその等価物などへの言及を含む。さらに、特許請求の範囲は、いずれの任意のエレメントも除外するように起草され得ることに留意されたい。そのため、この声明は、特許請求の範囲の要素の列挙、又は「否定的な」制限の使用に関連して、「単独で」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行根拠として機能することを意図する。
【0203】
「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される場合、一般にそのような構成は、当業者が慣例を理解する意味で意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの併用、AとCの併用、BとCの併用、及び/又はA、B、とCの併用などを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、又は図面の中にかかわらず、2以上の代替用語を提示する事実上任意の選言的な単語及び/又は語句は、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることは、当業者ならさらに理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0204】
本発明の特定の特徴は、明確にするために、別々の実施形態の文脈で説明され、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが認識される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別々に又は任意の適切なサブコンビネーションでも提供され得る。本発明に関連する実施形態の全ての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、各々及び全ての組み合わせが個々にかつ明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態及びその要素の全てのサブコンビネーションも、本発明によって具体的に包含され、そのようなサブコンビネーションの各々及び全てが個々にかつ明示的に本明細書に開示されたかのように本明細書に開示される。
【0205】
本発明のさらなる目的、利点、及び新たな特徴は、限定することを意図するものではない、以下の実施例の検討の際に、当業者に明らかになるであろう。さらに、本明細書の上で描写され、かつ以下の特許請求の範囲の項において請求される本発明の様々な実施形態及び態様の各々は、以下の実施例において実験により支持される。
【0206】
さらに、本明細書の上で描写され、かつ以下の特許請求の範囲の節において請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験により支持される。
【0207】
実施例
一般に、本明細書で使用される命名法及び本発明で利用される実験室手順は、分子的、生化学的、微生物学的及び組換えDNA技術を含む。そのような技術は文献で完全に説明されている。例えば、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」 Sambrookら,(1989);「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、I~III巻、Ausubel,R.M.,(編)(1994);Ausubelら,「(分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,「分子クローニングの実践ガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning)」,John Wiley & Sons,New York(1988);Watsonら,「組換えDNA(Recombinant DNA)」,Scientific American Books,New York;Birrenら(編) 「ゲノム分析:実験室マニュアルシリーズ(Genome Analysis: A Laboratory Manual Series)」,1~4巻,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号;及び同第5,272,057号に記載の方法論;「細胞生物学:実験室ハンドブック(Cell Biology: A Laboratory Handbook)」,I~III巻 Cellis,J.E.,(編)(1994);「動物細胞の培養-基本技術のマニュアル(Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique)Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),第3版;「免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)」I~III巻 Coligan J.E.,(編)(1994);Stitesら(編),「基礎免疫学及び臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(第8版),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell及びShiigi(編),「タンパク質の精製と特性評価のための戦略-実験コースマニュアル(Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual)」 CSHL Press(1996)を参照されたく;これら全ては参照により組み込まれる。他の一般的な参考資料は、この文章全体に提供されている。
【0208】
材料と方法
親和性成熟:結合親和性を改善するために、親抗体を、ファージディスプレイを使用して親和性成熟させた。可変ドメイン領域の重鎖及び/又は軽鎖CDRを、オリゴヌクレオチド変異誘発を使用して半ランダム化した。選択を、別々の重鎖ファージライブラリーと軽鎖ファージライブラリーを使用して、かつビオチン化Hisタグ付きHVEM標的の濃度を下げて行って、各ライブラリーから最も親和性の高いバインダーを選択した。4ラウンドの選択の後、個々のクローンを、結合ELISAにおいてscFv上清としてスクリーニングして、同じアッセイで発現された親scFvよりも高いシグナルを有するリード候補を同定した。同定したヒットを、IgGに変換し、哺乳類発現ベクター中にクローニングした。適切な親の重鎖又は軽鎖で対を形成させ親和性を向上させた変異体、及び親抗体をコードするプラスミドを、HEK EBNA接着細胞(LGC Standards,Teddington,UK)中に小規模で一過的にトランスフェクトした。トランスフェクション後の5日目に、上清を、回収し、Octet(シリアル番号FB-30203)で定量化し、Biacoreシングルサイクルカイネティクスにより分析した。
【0209】
シングルサイクルカイネティクス:親和性成熟IgGの結合を評価するために、シングルサイクルカイネティクス分析を、Biacore T200(シリアル番号1909913)を使用して上清について行った。カイネティクス実験を、25℃で稼働するBiacore T200にてコントロールソフトウェアV2.0.1及び評価ソフトウェアV3.0(Cytiva,Marlborough,USA)を用いて行った。抗体を、1mg/mlのBSAを含有するHBS-P+(Cytiva,Marlborough,USA)で、最終濃度1.0μg/mlに希釈した。抗体を、プロテインA捕捉センサーチップ(Cytiva,Marlborough,USA)のFc2、Fc3及びFc4上にロードした。IgGを、10μl/分の流速で捕捉して、約50RUの固定化レベル(RL)を得た。表面を次いで、安定化させた。シングルサイクルカイネティクスデータを、40μL/分の流速で分析物としてHisタグ付きHVEM(Acro Biosystems,Newark,USA)を用いて取得した。各濃度間で再生なしに、6.125nM~100nMの範囲の2倍希釈Hisタグ付き抗原を、使用した。
【0210】
マルチサイクルカイネティクス:マルチサイクルカイネティクス分析を、精製抗体にて行った。カイネティクス実験を、Biacore 8Kにて、25℃で行った。HBS-P+ 0.1% BSA(Cytiva,Marlborough,USA)を、ランニング緩衝液として使用した。精製抗体を、ランニング緩衝液で1.0μg/mLに希釈し、各サイクルの開始時に、プロテインAセンサーチップ(Cytiva,Marlborough,USA)のFc2、Fc3、及びFc4上にロードした。抗体を、10μl/分の流速で捕捉して、約100RUの固定化レベル(RL)を得た。表面を次いで、安定化させた。マルチサイクルカイネティクスデータを、50μl/分の流速で注入される分析物としてHisタグ付きヒトHVEMを使用して取得した。0.78nM~100nMの範囲で8点の2倍希釈抗原を、ランニング緩衝液中で調製した。各濃度について、会合相を、180秒間モニターし、解離相を、300秒間測定した。センサーチップ表面の再生を、10mMのGlycine-HCl、pH1.5の2回の注入を使用してサイクル間で実施した。
【0211】
細胞傷害性アッセイ:核RFP染色した黒色腫細胞を、一晩のインキュベーションのために播種して、それらを付着させた。次いで、黒色腫細胞を、20μg/mlの本発明の親mAb又は親和性成熟mAb又はhIgG4アイソタイプ対照抗体(Invivogen,France)とプレインキュベートし、TILを、20μg/mlの抗PD1 mAb(ニボルマブ、BMS)又はhIgG4アイソタイプ対照抗体(Invivogen,France)と又はそれらを含まずプレインキュベートした。プレインキュベートしたTIL又は抗PD1又はhIgG4アイソタイプ対照mAbのみを有する培地を、CellEventカスパーゼ-3/7緑色検出試薬(Invivogen、USA)と共に黒色腫細胞に添加した。プレートを、Incucyte ZOOMシステム(ESSEN Bioscience,USA)に入れ、1時間ごとにスキャンした。黒色腫の特異的殺傷を反映する、カスパーゼ3/7陽性事象を、計数した。
【0212】
Incucyte ZOOMシステムによるT細胞活性化アッセイ:核RFP染色黒色腫細胞を、一晩のインキュベーションのために播種して、それらを付着させた。一晩インキュベーションした後に、黒色腫細胞を、20μg/mlの本発明のmAb、親mAb又はhIgG4アイソタイプ対照と37℃で1時間インキュベートした。次いで、TIL又は培地を、コンジュゲートCD107a抗体と共に黒色腫細胞に添加した。プレートを、Incucyte ZOOMシステムに入れ、1時間ごとにスキャンした。
【0213】
実施例1:抗HVEM抗体の親和性成熟
WO2020222235のリード抗体は、配列番号9で提供される重鎖と、配列番号10で提供される軽鎖からなった。CDRは、S228P変異を保有するIgG4骨格を含むヒト骨格に存在した。この抗体は、ヒトHVEM、並びにマウス及びカニクイザルHVEMに結合し、かつ溶液中及び細胞表面上のタンパク質を結合できた。抗体は、HVEMへのBTLAの結合を阻害したが、HVEMへのLIGHTの結合を阻害しなかった。さらに、抗体自体は、低レベルの活性化効果を有し、その結合によりHVEMを介してシグナル伝達を誘導した。最も重要なことに、抗体は、癌に対する免疫細胞の細胞傷害性を増強し、かつ非自己免疫細胞の細胞傷害性を高めることができ、したがって標準的な養子免疫細胞療法を強化できた。
【0214】
この抗体の機能を改善するために、親和性成熟手順を、抗体のCDR領域に対し行った。親和性成熟は、親和性を改善し、免疫原性を低下させ、構造における傾向を克服し、かつ上記の任意の組み合わせを行うことが知られている。
【0215】
親和性成熟を、VH及びVLのCDR領域にて行った。生成したクローンを、配列決定し、HVEM細胞外ドメインペプチドに対するそれらのKDについてアッセイした。親抗体で観察されるKDに対する改善倍数を、表2に提示する。親和性成熟クローンは、親抗体と比較して増強された結合を示し、それらの優位性を示した。様々な変異型CDRを組み合わせて、改善されたCDRを組み合わせた抗体を作成する。これらの組み合わせ抗体の結合親和性を、評価する。
【0216】
H4抗体は、親抗体と比較して最高の改善を有することが判明した(9.57倍の増加)。しかし、このCDR2は、最終抗体ではグリコシル化されていることが判明したN結合グリコシル化部位(NXS/Tグリコシル化部位)を含有する(
図1)。グリコシル化は、抗体のバッチ生成にばらつきをもたらし、機能に影響を与える可能性がある。したがって、いくつかの変異体を、特異的に作製し、そこで55位のアスパラギン又は57位のスレオニンを異なるアミノ酸に変異させた。予想通り、H4のこれらの変異体は、もはやグリコシル化されなかった(
図1)。特に、これらの抗体の2つT57A及びT57Nは、非修飾H4よりもさらに優れた結合(親と比較して20.66及び23.51倍の増加)を有した。
【0217】
【0218】
実施例2:親和性成熟抗体のさらなる特性評価
新たに作製した抗体を、それらの機能性をさらに評価するために親抗体と比較した。プレートを、4℃で一晩インキュベートすることにより、タンパク質なしでコートするか、又はPBS中で希釈した2.5μg/mlのヒト組換えHVEM(hHVEM)でコートした。プレートを、洗浄し、室温で1時間、2%BSAでブロックし、再度洗浄した。次に、4つの抗体:アイソタイプ対照、親、H4及びPar-K64Eを、プレートへの結合について別々に試験した。抗体を、ブロッキング緩衝液中で10μg/mlの濃度に希釈し、室温で1時間インキュベートした。プレートを次いで、洗浄し、ペルオキシダーゼ及び抗ヒトFcと共に室温で30分間インキュベートした。再度洗浄した後、TMBを、停止液と共に添加した。吸光度を、450nm及び570nmで読み取った。改変された抗体の両方は、親抗体より優れた結合を示した(
図2)。実際に、H4は、大幅に増強された結合を示し、明らかに優れたオプションである。
【0219】
実施例3:H4抗体及びH4誘導体抗体の特性評価
最高のHVEM結合を示したH4抗体、特に推定グリコシル化部位(NRT)を除去した変異体を用いて進めることを、決定した。最初に、マルチサイクルカイネティクスBiacore親和性アッセイを実施して、H4、T57A、T57G及びT57N抗体の改善された結合を確認した(
図3A)。精製した各抗体を、漸増濃度の抗原(hHVEM)を注入する前にプロテインAセンサーチップに捕捉させた。親和性の改善倍数を、親抗体の平均K
Dを各変異体抗体の平均K
Dで割ることにより計算した。K
D値及び改善倍数を、表3に要約する。見てわかるように、H4抗体は確かに、親抗体よりも優れており、T57A及びT57N変異体の両方は、H4よりもさらに優れたバインダーである。シングルサイクルカイネティクスBiacoreアッセイをまた、H4 N55G、H4 N55S、H4 N55D、H4 N55Q、H4 N55E、及びH4 T57E抗体を使用して実施した(
図3B)。これらの抗体についてのK
D値及び改善倍数を、表4に要約する。これらの抗体もまた、親抗体よりも優れていることが判明した。
【0220】
表3:マルチサイクルカイネティクスBiacore結合アッセイ
【表3】
【0221】
表4:シングルサイクルカイネティクスBiacore結合アッセイ
【表4】
【0222】
次に、細胞の表面上のHVEMへの結合を、調べた。CHO-K1細胞を、ヒトHVEM(hHVEM)を過剰発現するように作製した。細胞を次いで、20μg/mlの抗体と氷上で1時間インキュベートし、次いで抗ヒトIgG Fcビオチン及び抗ビオチンFITCで染色した。発現を、フローサイトメトリーにより解析した。4つの抗体全てが、hHVEMに結合でき、重要なことに表面発現を検出した(
図3C)。このような高濃度(20μg/ml)は親抗体と親和性成熟抗体の間の結合における違いを隠すと仮定し、それにより結合を、様々な抗体濃度で親抗体とT57A抗体の間で比較した。T57A抗体は、確かに親より強く、より低い濃度で結合することが判明し、それが、表面hHVEMの優れたバインダーであることを示す(
図3D)。
【0223】
次に、BTLAとの相互作用を阻止する抗体の能力を、評価した。この目的のために、結合ELISAシステムを、設定した。プレートを、4℃で一晩、PBSで希釈した2.5μg/mlの組換えhHVEMでコートした。プレートを、洗浄し、室温で1時間、2%BSAでブロックした。様々な抗体及びアイソタイプ対照を、ブロッキング緩衝液で10μg/mlの濃度に希釈した。最初に、この系における結合を、評価した。抗体を、室温で1時間インキュベートし、続いて洗浄し、ペルオキシダーゼ抗ヒトFCと室温で30分間さらにインキュベートした。最後に、さらに洗浄した後、TMBを、添加し、続いて停止液を添加した。最後に、吸光度を、450nm及び570nmにて読み取った。
【0224】
図4Aに見られるように、4つの抗体全てが、この設定でhHVEMを結合する。さらに、4つの抗体全ては、hBTLAとhHVEMの相互作用を阻止することが判明し(
図4B)、hLIGHTとの相互作用を実質的に阻止しなかった(
図4C)(hBTLA-Fc及びhLIGHT-His並びに抗BTLAビオチン又は抗LIGHTをそれぞれ使用して実施したアッセイ)。同様の結果が、元のH4抗体及びPar-K64E抗体についても見られた(
図4D~4E)。興味深いことに、サルHVEM(cHVEM)を評価したところ、全ての試験された抗体は、組換えタンパク質への結合を示した(
図4F)が、親抗体は、cHVEM-cBTLA相互作用の阻止に乏しく、全ての親和性成熟抗体は、より優れた阻止を示した(
図4G)。
【0225】
親抗体及び親和性成熟抗体の間のBTLA阻止における類似性は、高い抗体濃度によるものであると仮定した。そのため、hHVEM及びhBTLA相互作用の阻止のIC50を、親抗体及びH4 T57A抗体の段階希釈によって計算した。
図4Hに見られるように、親和性成熟変異体は実際に、親と比較してhBTLAの優れたブロッカーであった。IC50を、他の変異体抗体について段階希釈により計算し、同様の結果が、他の親和性成熟抗体についても観察される。
【0226】
実施例4:H4抗体及びH4誘導体抗体の機能評価
HVEM-BTLA T細胞阻害軸を緩和することは、T細胞による癌細胞殺傷を促進する。親和性成熟抗体の細胞傷害性効果を試験するために、RFP陽性黒色腫細胞(HVEM陽性)を、一晩培養し、次いで抗HVEM抗体(20μg/ml)と37℃で1時間インキュベートした。その時間の終わりに、自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、黒色腫細胞に添加し、細胞死事象を、1時間ごとにCellEventカスパーゼ3/7検出試薬及びIncucyte ZOOMシステムスキャニングを使用して計数した。9時間の共培養後、親抗体は、アイソタイプ対照と比較して、癌細胞において特異的殺傷事象を9%増加させた(
図5A)。H4-T57N変異体は親と同様の殺傷を示した(9%増加)が、T57AとT57G抗体の両方は、著しく多くの殺傷事象(19%増加、p<0.01)を示し、優れた細胞傷害性効果を示した(
図5A)。
【0227】
T57A変異体はグリコシル化部位を欠き、H4の2倍以上強くhHVEMに結合すること(T57Gと比較しても優れた結合)が判明し、かつ親と比較して増加された割合で細胞殺傷を誘導すること(T57Nと比較しても優れた殺傷)が判明したので、この変異体抗体を、全てのさらなる試験のために選択した。
【0228】
親抗体が抗PD-1媒介T細胞活性化を増強し、かつそれにより癌細胞殺傷を増強できることが、知られている。したがって、上記の殺傷アッセイを、抗PD-1抗体の存在下でも実施した。再び、H4 T57A抗体は親抗体よりも優れていることが判明し、親の増加がわずか44%なのに対し、アイソタイプ対照と比較して特異的細胞殺傷を64%増加させた(
図5B)。抗PD-1抗体の存在下での特異的殺傷を、他の親和性成熟抗体についても測定し、同様の優位性が、観察される。
【0229】
抗HVEM抗体によって引き起こされるTILにおける活性化をより良好に定量化するために、活性化マーカーCD107aを、アイソタイプ対照、親抗HVEM抗体又はH4 T57A変異体抗体の存在下で黒色腫細胞と共培養してこれらの細胞において測定した。両方の抗HVEM抗体は、アイソタイプ対照と比較してより多くのCD107a陽性細胞を生成したが、親和性成熟抗体は、著しく多くの活性化細胞を生成した(
図6A)。第2の黒色腫細胞株を試験すると、同じ傾向が、しかし変異体抗体と親抗体の間にさらに大きな差を有して観察された(
図6B)。CD107aレベルによって評価される活性化をまた、他の親和性成熟抗体の存在下でも測定し、類似の優位性が、観察される。
【0230】
最後に、エクスビボ殺傷アッセイも、細胞株にて実施したのと同様の方法で初代癌細胞を用いて実施した。卵巣癌から新たに単離した細胞を、アイソタイプ対照、抗PD1抗体、親mAb又はH4 T57A変異体抗体の存在下で自己PBMCと共培養した。特異的癌細胞殺傷を、55時間にわたってモニターした。抗PD-1抗体は、アイソタイプ対照と比較して非常に軽微な改善(55時間で9%の改善)をもたらしたのに対し、親抗体は、48%の改善をもたらし、H4 T57A抗体は、68%の改善をもたらした(
図7A)。これもまた、親和性成熟抗体の優位性を実証する。細胞殺傷は親抗体との共培養ではほぼ横ばいであったが、着実かつ継続的な増加が、変異体抗体で観察された。同じアッセイを実施したが、抗PD-1を親抗体及び変異体抗体と組み合わせて用いた。以前と同様に、抗PD-1の含有は、親抗体と変異体の違いを高めた。抗PD-1と親抗体の組み合わせは、抗PD-1及びアイソタイプ対照と比較して特異的殺傷にわずかな増加しか生じなかった(55時間で13%の増加)が、抗PD-1とH4 T57A抗体の組み合わせは、79%の強力な増加を生じた(
図7B)。そのため、変異体抗体は、親抗体と比較して、単独でも、かつ抗PD-1と組み合わせても、優れた治療効果を有することが明らかである。
【0231】
本発明の他の親和性成熟抗体もまた、上と同様の方法で試験される。親抗体と比較して改善された結合及び有効性を示す、同様の結果が、観察される。
【0232】
加えて、ヒトHVEMを発現するマウス癌細胞を、ヒトBTLAを発現するトランスジェニック免疫コンピテントマウスに移植し、増殖させて腫瘍を形成させる。親和性成熟抗体、抗PD-1抗体、それらの組み合わせ又はIgGアイソタイプ対照を、投与する。腫瘍増殖阻害を、測定する。新しい抗体は、親よりも優れており、癌の成長を阻害する点で少なくともPD-1単独に匹敵すると見出される。さらに、新しい抗体は、抗PD-1との高められた相乗効果を生じた。
【0233】
実施例5:変異体抗体の診断的及び実験室での使用
H4抗体及びその誘導体は組換えHVEM及び細胞表面上に結合したHVEMに対する優れたバインダーであることが判明したので、親和性成熟抗体を、HVEMの臨床評価並びに実験室での染色/検出に使用できると仮定した。hHVEMを過剰発現するCHO細胞のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)細胞ブロックを、スライスし、免疫蛍光検出のためにスライドにマウントした。親抗体及びH4 T57A抗体を、Cy3(赤色シグナル)二次抗体と共に使用した。顕著により陽性に染色された細胞とより強い染色が、変異体抗体を使用した場合に観察され、それが診断/検査目的のためにも優れた抗体であることを示している(
図8)。
【0234】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正及び変形が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれる全てのそのような代替、修正及び変形を包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】