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特表2024-514257サーモトロピック液晶構造を有する化合物及びそのポリエチレングリコールポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(54)【発明の名称】サーモトロピック液晶構造を有する化合物及びそのポリエチレングリコールポリマー
(51)【国際特許分類】
   C07D 303/24 20060101AFI20240322BHJP
   C07D 303/20 20060101ALI20240322BHJP
   C08G 65/08 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
C07D303/24 CSP
C07D303/20
C08G65/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561313
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 KR2022004891
(87)【国際公開番号】W WO2022216015
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0045178
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041487
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520422072
【氏名又は名称】慶北大学校 産学連携財団
【氏名又は名称原語表記】KYUNGPOOK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヨ、ヒョン ウク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ク、ギョ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、イェ ジ
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005BB02
(57)【要約】
サーモトロピック液晶分子にエポキシド官能基を修飾して得られるサーモトロピック液晶構造を有する化合物、及びそれを開環重合して得られるポリエチレングリコール重合体に関し、さらに詳しくは、薄膜、バルク、繊維状に成形しやすく、熱伝導率が高いため、放熱高分子として単独で使用してもよいし、複合材料の形態で使用してもよいポリエチレングリコール主鎖のポリマー(重合体)に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I):
【化1】
(式中、nは1~30の整数である)
で表される
ことを特徴とする側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物。
【請求項2】
下記化学式(II):
【化2】
(式中、nは1~30の整数である)。
で表される
ことを特徴とする側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を開環重合して得られる
ことを特徴とするポリエチレングリコールポリマー。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物を開環重合して得られる
ことを特徴とするポリエチレングリコールポリマー。
【請求項5】
下記化学式(III):
【化3】
(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、請求項1に記載の化合物または請求項2に記載の化合物から選択される)
で表され、
請求項1または2に記載の化合物を開環重合して得られる
ことを特徴とするポリエチレングリコールポリマー。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールポリマーは、
基板、コンパウンド、接着剤、パッド、ヒートスプレッド、およびヒートシンクに使用される
請求項3ないし5のいずれかに記載のポリエチレングリコールポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモトロピック液晶分子にエポキシド官能基を修飾して得られるサーモトロピック液晶構造を有する化合物、及びそれを開環重合して得られるポリエチレングリコール重合体に関し、さらに詳しくは、薄膜、バルク、繊維状に成形しやすく、熱伝導率が高いため、放熱ポリマーとして単独で使用してよいし、複合材料の形態で使用してもよいポリエチレングリコール主鎖のポリマー(重合体)に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリマー(Liquid crystalline polymer、LCP)は、溶融状態または溶液状態で液晶相を示すポリマー(高分子)であり、一般的にメソゲンユニット(mesogenic unit)を含む構造を有する。サーモトロピック液晶ポリマー(Thermotropic liquid crystalline polymer、TLCP)の場合、温度変化に反応して液晶挙動を示し、その特性はメソゲンユニットの位置、形態、構造によって大きく変化する。高い耐熱性と耐薬品性に加え、優れた機械的物性を示すことから、高性能複合体やエンジニアリングプラスチックなどの分野に応用され、学術的・産業的な研究が盛んに行われてきた。
【0003】
しかし、これまでに報告されているサーモトロピック液晶ポリマーの場合、高い溶融温度と耐薬品性のため、高温または強酸及び有機溶媒の溶液状態で合成、加工しなければならないという欠点がある。ほとんどの液晶ポリマーの場合、溶媒を使用して合成されており、代表的に特許文献1-3:米国登録特許第04954606号、米国登録特許第05109100号及び米国登録特許第04912193号に詳細に記載されているが、この場合、液晶ポリマーの製造後に溶媒を除去する工程が必要であり、溶融状態での加工が困難であるという欠点がある。重合温度及び加工温度を下げるために、側鎖(side chain)に嵩高い分子を配置したり、主鎖内に長い柔軟な鎖を導入したりするなどの方法が用いられており、このような従来技術としては、非特許文献1-6:Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol.19,(8),1901(1981);Macromolecular Chemistry and Physics,Vol.192,(2),201(1991);Polymer Journal,Vol.17,(1),105(1985);Polymer,Vol.32,(9),1703(1991);Polymer Preprint(American Chemical Society),Vol.27,(1),369(1986):Polymer Journal,Vol.17,(1),277(1985);Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol.21,(11),3313(1983)などがある。しかし、このような構造のある重合温度及び加工温度ではある程度性能低下が起こり
、新しい工程や反応物の投入はコスト上昇をもたらし、製造された液晶ポリマーを加工するために追加の工程が必要となるという限界がある。
【0004】
したがって、上記の問題を補完するために、本発明者は、成形が容易な熱可塑性液晶ポリマーを開発するために、サーモトロピック液晶構造を有する化合物及びそのポリエチレングリコールポリマーの開発が急務であると認識し、本発明を完成させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国登録特許第04954606号
【特許文献2】米国登録特許第05109100号
【特許文献3】米国登録特許第04912193号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol.19,(8),1901(1981)
【非特許文献2】Macromolecular Chemistry and Physics,Vol.192,(2),201(1991)
【非特許文献3】Polymer Journal,Vol.17,(1),105(1985)
【非特許文献4】Polymer,Vol.32,(9),1703(1991)
【非特許文献5】Polymer Preprint(American Chemical Society),Vol.27,(1),369(1986):Polymer Journal,Vol.17,(1),277(1985)
【非特許文献6】Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Vol.21,(11),3313(1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、サーモトロピック液晶分子にエポキシド官能基を修飾して得られるサーモトロピック液晶構造を有する化合物、及びそれを開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、薄膜、バルク、繊維状に成形しやすく、熱伝導率が高いため、放熱ポリマーや複合材料として使用可能なポリエチレングリコールポリマーを提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上記の技術的課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題も、本発明の記載から、当該分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、下記化学式(I)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、nは1~30の整数である)。
【0013】
本発明は、下記化学式(II)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を提供する。
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、nは1~30の整数である)。
【0016】
本発明は、前記化学式(I)で表される化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0017】
本発明は、前記化学式(II)で表される化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0018】
また、本発明は、下記化学式(III)で表され、前記化学式(I)または化学式(II)で表される化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、請求項1に記載の化合物または請求項2に記載の化合物から選択される)。
【0021】
前記ポリエチレングリコールポリマーは、基板、コンパウンド、接着剤、パッド、ヒートスプレッド及びヒートシンクなど、各種電子部品類を主軸とした汎用物質として使用できる。
【0022】
前記サーモトロピック液晶構造を有する化合物及びそのポリエチレングリコールポリマーに関する言及は、矛盾しない限りすべて同様に適用される。
【発明の効果】
【0023】
本発明により製造された新規なポリエチレングリコールポリマーは、薄膜、バルク、繊維状に成形しやすく、熱伝導率が向上して、様々な電子部品類に使用することができる。
【0024】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、言及されていない他の効果も特許請求の範囲の記載から当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態により合成されたEPCNn(4-(n-(オキシラン-2-イルメトキシ)アルキルオキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル)のH-NMRスペクトルであり、(a)はEPCN4のスペクトルであり、(b)はEPCN5のスペクトルであり、(c)はEPCN6のスペクトルであり、(d)はEPCN7のスペクトルであり、(e)はEPCN8のスペクトルであり、(f)はEPCN9のスペクトルである。
図2】前記EPCNnの13C-NMRスペクトルであり、(a)はEPCN4のスペクトルであり、(b)はEPCN5のスペクトルであり、(c)はEPCN6のスペクトルであり、(d)はEPCN7のスペクトルであり、(e)はEPCN8のスペクトルであり、(f)はEPCN9のスペクトルである。
図3】本発明の他の実施形態により合成されたP-EPCNnのH-NMRスペクトルであり、(a)はP-EPCN4のスペクトルであり、(b)はP-EPCN5のスペクトルであり、(c)はP-EPCN6のスペクトルであり、(d)はP-EPCN7のスペクトルであり、(e)はP-EPCN8のスペクトルであり、(f)はP-EPCN9のスペクトルである。
図4】前記P-EPCNnのFT-IRスペクトルである。
図5】前記P-EPCNnのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析結果である。
図6】示差走査熱量計(DSC)により分析した相転移図である。
図7】2℃/分の加熱及び冷却速度で分析された前記EPCNnのDSC分析グラフであり、(a)はEPCN4のスペクトルであり、(b)はEPCN5のスペクトルであり、(c)はEPCN6のスペクトルであり、(d)はEPCN7のスペクトルであり、(e)はEPCN8のスペクトルであり、(f)はEPCN9のグラフである。
図8】前記EPCNnの偏光光学顕微鏡(POM)画像である(スケールバー=50μm)。
図9】5℃/分の加熱及び冷却速度で分析された前記P-EPCNnのDSC分析グラフである。
図10】前記P-EPCNnのPOM画像である(スケールバー=50μm)。
図11】熱伝導率評価用に製造されたP-EPCNnのバルク試験片である。
図12】室温におけるP-EPCNnのX線回折分析(XRD)グラフである。
図13】B3LYP/6-31Gレベルの密度汎関数理論(density functional theory、DFT)によって計算されたP-EPCNnモデル化合物の最適化された分子構造を示したものである。
図14】本発明の他の実施形態により合成されたOMPBn(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル4-アルコキシベンゾエート)のH-NMRスペクトルであり、(a)はOMPB4のスペクトルであり、(b)はOMPB6のスペクトルであり、(c)はOMPB8のスペクトルであり、(d)はOMPB10のスペクトルである。
図15】前記OMPBnの13C-NMRスペクトルであり、(a)はOMPB4のスペクトルであり、(b)はOMPB6のスペクトルであり、(c)はOMPB8のスペクトルであり、(d)はOMPB10のスペクトルである。
図16】本発明の他の実施形態により合成されたP-OMPBnのH-NMRスペクトルであり、(a)はP-OMPB4のスペクトルであり、(b)はP-OMPB6のスペクトルであり、(c)はP-OMPB8のスペクトルであり、(d)はP-OMPB10のスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用されている用語は、本発明での機能を考慮しながら、可能な限り現在広く使用される一般的な用語を選択しているが、それは、当分野の当業者の意図、判例、または新たな技術の出現などによって異なりもする。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、当該発明の説明部分で、詳細にその意味を記載する。したがって、本発明で使用される用語は、単純な用語の名称ではない、その用語が有する意味と、本発明の全般にわたる内容とを基に定義される。
【0027】
別段の定義がない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味として解釈されない。
【0028】
数値の範囲は、前記範囲に定義された数値を含む。本明細書において与えられたすべての最大の数値制限は、低い数値制限が明確に述べられているように、すべてのさらに低い数値制限を含む。本明細書において与えられたすべての最小の数値制限は、さらに高い数値制限が明確に述べられているように、すべてのさらに高い数値制限を含む。本明細書において与えられたすべての数値制限は、さらに狭い数値制限が明確に述べられているように、さらに広い数値範囲内のさらに良いすべての数値範囲を含む。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明は、下記化学式(I)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を提供する。
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、nは1~30の整数である)。
【0033】
前記化学式(I)の化合物は、4-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボニトリル(4-hydroxy-4-biphenylcarbonitrile)を出発物質として、ジブロモアルカン(dibromoalkane)との反応により4-(4-ブロモアルコキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル(4-(4-bromoalkoxy)-4-biphenylcarbonitrile、BRCNn)を合成することができ、その後、4-(4-ブロモアルコキシ)-4-ビフェニルカルボニトリルを再び開始物質として、グリシドール(glycidol)との反応により前記化合物を合成することができる。
【0034】
前記化合物は、4-(n-(オキシラン-2-イルメトキシ)アルキルオキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル(4-(n-(oxiran-2-ylmethoxy)alkyloxy)-4-biphenylcarbonitrile)であってもよい。
【0035】
前記化学式(I)の化合物の製造は、塩基性条件下、例えば水酸化ナトリウムの存在下で行われてもよい。
【0036】
前記化学式(I)の化合物の製造において、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、メタクレゾール(m-クレゾール)またはこれらの混合物などを溶媒として使用することができる。
【0037】
前記化学式(I)の化合物の製造反応は、20~45℃の温度、好ましくは30~45℃の温度で行われてもよい。
【0038】
前記化学式(I)の化合物の製造時間は、36~48時間、好ましくは36~42時間であってもよい。
【0039】
本発明は、下記化学式(II)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を提供する。
【0040】
【化5】
【0041】
(式中、nは1~30の整数である)。
【0042】
前記化学式(II)の化合物は、4-(アルコキシ)安息香酸(4-(alkoxy)benzoic acid)を出発物質として、ヒドロキノン(hydroquinone)との反応により4-ヒドロキシフェニル-4-アルコキシベンゾエート(4-hydroxyphenyl-4-alkoxybenzoate、HPBn)を合成し、その後、4-ヒドロキシフェニル4-アルコキシベンゾエートを開始物質として、エピクロロヒドリンとの反応により前記化合物を合成することができる。
【0043】
前記化合物は、4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル-4-ブトキシベンゾエート(4-(oxiran-2-ylmethoxy)phenyl-4-butoxybenzoate)であってもよい。
【0044】
前記化学式(II)の化合物の製造は、塩基性条件下、例えば水酸化ナトリウムの存在下で行われてもよい。
【0045】
前記化学式(II)の化合物の製造反応は、65~95℃の温度、好ましくは70~85℃の温度で行われてもよい。
【0046】
前記化学式(II)の化合物の製造時間は、0.5~4時間、好ましくは0.5~2時間であってもよい。
【0047】
本発明は、前記化学式(I)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0048】
本発明は、前記化学式(II)で表される、側鎖にサーモトロピック液晶構造を有する化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0049】
また、本発明は、下記化学式(III)で表され、前記化学式(I)または化学式(II)で表される、サーモトロピック液晶構造を有する化合物を開環重合して得られるポリエチレングリコールポリマーを提供する。
【0050】
前記開環重合は、アニオン性開環重合、カチオン性開環重合およびラジカル開環重合から選択されるいずれか1つであってもよいが、これらに限定されない。
【0051】
【化6】
【0052】
(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、請求項1に記載の化合物または請求項2に記載の化合物から選択される)。
【0053】
前記化学式(III)は、ホモポリマー(単独重合体)またはコポリマー(共重合体)であってもよい。
【0054】
前記開環重合は、開始剤の存在下で行われてもよく、前記開始剤は、カリウムtert-ブトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムエトキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシドなどの金属アルコキシドであってもよく、当業者に公知の開始剤が使用されてもよい。
【0055】
前記開環重合は、触媒の存在下で行われてもよく、前記触媒は、18-クラウン-6-エーテル、15-クラウン-5-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、およびテトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC)などの触媒であってもよく、当業者に公知の触媒が使用されてもよい。
【0056】
前記開環重合は、溶媒の存在下で行われてもよく、前記溶媒は、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、キシレン、エチルベンゼンなどの溶媒であってもよく、当業者に公知の溶媒が使用されてもよい。
【0057】
前記開環重合において、全モノマー100重量部に対して、開始剤は、1~45重量部、好ましくは5~45重量部、より好ましくは10~45重量部で含まれてもよい。
【0058】
前記開始剤の添加量が1重量部未満では、未重合の問題が生じる場合があり、前記開始剤の添加量が45重量部を超えると、低分子量ポリマーの生成の問題が生じる場合がある。
【0059】
前記開環重合において、全モノマー100重量部に対して、触媒は0.1~15重量部、好ましくは0.5~15重量部、より好ましくは1~15重量部で含まれてもよい。
【0060】
前記触媒の添加量が0.1重量部未満では、未重合または反応速度低下の問題が生じる場合があり、前記触媒の添加量が15重量部を超えると、低分子量ポリマーの生成の問題が生じる場合がある。
【0061】
前記開環重合は、50~70℃の温度、好ましくは55~65℃の温度で行われてもよい。
【0062】
前記開環重合は、72~84時間、好ましくは72~80時間行われてもよい。
【0063】
前記開環重合は、非反応性ガス条件下で置換により行われてもよく、前記非反応性ガスは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素、好ましくは、アルゴンまたは窒素、最も好ましくはアルゴンであってもよい。
【0064】
前記開環重合後、重合溶液をアルコールに沈殿させることができる。
【0065】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びヘプタノールなどのアルコールであってもよく、当業者に公知のアルコールが使用されてもよい。
【0066】
前記沈殿は、2~5回、好ましくは2~4回行われてもよい。
【0067】
前記化学式(III)のポリエチレングリコールポリマーは、熱伝導率が0.30(W/m.K)以上、例えば0.30~0.45(W/m.K)であってもよい。
【0068】
前記化学式(III)のポリエチレングリコールポリマーは、ガラス転移温度が10℃以上、例えば10~60℃、好ましくは10~55℃であってもよい。
【0069】
前記化学式(III)のポリエチレングリコールポリマーは、融点が85℃以上、例えば85~200℃、好ましくは88~200℃であってもよい。
【0070】
本発明のポリエチレングリコールポリマーは、エレクトロニクス産業(電子産業)において、例えば基板、コンパウンド、接着剤、パッド、ヒートスプレッド、およびヒートシンクに使用されてもよい。
<実施例>
【0071】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の内容を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が以下の実施例によって限定されるものではない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0072】
<使用物質及び分析方法>
1.使用物質
4-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボニトリル(4-hydroxy-4-biphenylcarbonitrile)及び6種類のジブロモアルカン(dibromoalkanes)は、TCI(日本)から購入した。炭酸カリウム(potassium carbonate)、無水トルエン(anhydrous toluene)、18-クラウン-6(18-crown-6)、およびカリウム-tert-ブトキシド(potassium tert-butoxide)は、Alfa Aesar(米国)から入手した。硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウムなどの一般化学物質および一般有機溶剤は、Duksan及びDaejung Chemicals(韓国)から購入した。無水トルエン、無水アセトン(anhydrous acetone)、無水DMF、およびシリカゲルはWako Pure Chemical(日本)から購入した。すべての化学物質は追加精製せずに使用し、すべての反応はアルゴン(Ar)雰囲気下で行った。
【0073】
2.分析方法
合成された物質の化学構造は、慶北(キョンブク)国立大学校の機器分析センターで、核磁気共鳴分光器(NMR、AVANCE III 500、Bruker)を用いて、CDCLまたはDMSO-dを溶媒として、H NMR(500MHz)および13C NMR(125MHz)により決定し、内部標準物質としてテトラメチルシラン(tetramethylsilane、TMS)を使用した。
【0074】
合成されたポリマー(高分子)の官能基を調べるためにフーリエ変換赤外線分光法(FT-IR、FT/IR-4100、Jasco社製)を行い、高分解能質量分析スペクトル(HRMS)は韓国基礎科学研究院大邱(テグ)センターから入手した。
【0075】
相転移挙動を含む熱特性は、N雰囲気下で、示差走査熱量計(DSC、Q2000、TA Instruments社製、およびDSC4000、PerkinElmer社製)で調べた。DSC測定には約5.0mgのサンプルを使用し、空のアルミニウムパンを基準として使用した。DSC測定の加熱および冷却速度は、毎分2℃または5℃であり、少なくとも2回の繰り返しサイクル測定により、臨界差がないことが確認された。
【0076】
メソモルフィック特性(mesomorphic property)は、Linkam stage(LTS420)を持つ偏光光学顕微鏡(POM、BX53M、Olympus)を使用して分析した。POM観察には、下記のように製作した厚さ20μmの液晶(liquid crystals、LC)セルを用いた。
【0077】
ガラス板(2.5×2.5cm)及び洗浄済みガラス板(7.0×5.0cm)を、水、蒸留水、及び2-プロパノールに1.0重量%の中性洗剤を使用して、連続3段階で超音波洗浄した。前記板表面を120℃で1時間乾燥させた後、スペーサーとエポキシ接着剤で一対のガラス板を組み立て、セル間隔20μmのLCセルを形成した。LC物質は、LC状態で毛細管力によってセルに注入された。
【0078】
ポリマーの分子量は、50mM LiBr溶離液とジメチルホルムアミド(DMF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、AS-4050、Jasco)により測定し、ポリスチレン(PS)で補正した。
【0079】
熱伝導率(thermal conductivity、TC)は、円形試験片(直径:10mm、厚さ:約3mm)でTC測定システム(TPS3500S、Hot Disk)を用いて記録した。
【0080】
バルク状態のポリマーの微細構造は、X線回折計(XRD、Empyrean、Malvern Panalytical社製)を用いて調査した。
【0081】
<実施例1>EPCNn:4-(n-(オキシラン-2-イルメトキシ)アルキルオキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル(4-(n-(oxiran-2-ylmethoxy)alkyloxy)-4-biphenylcarbonitrile))モノマーの合成
【0082】
下記反応式1は、側鎖にサーモトロピック液晶構造であるシアノビフェニル(cyanobiphenyl)を有するエポキシドモノマーEPCNnの合成過程を示したものであり、4-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボニトリル(4-hydroxy-4-biphenylcarbonitrile)を出発物質として、ジブロモアルカン(dibromoalkane)との反応によりBRCNnを合成し、その後、グリシドール(glycidol)との反応によりEPCNnを得た。
【0083】
【化7】
【0084】
1)BRCNn:4-(4-ブロモアルコキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル(4-(4-bromoalkoxy)-4-biphenylcarbonitrile)の合成
A)n=4(BRCN4)
三口丸底フラスコに炭酸カリウム(3.19g、23.1mmol)と4-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボニトリル(3.00g、15.4mmol)を入れ、アルゴン雰囲気に置換した後、アセトン45mlを加えて溶質を溶解させた。その後、1,4-ジブロモブタン(1,4-dibromobutane)(2.80ml、23.1mmol)をフラスコに投入し、60℃で24時間攪拌した。得られた物質をジエチルエーテルを用いて抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ヘキサン:酢酸エチル(エチルアセテート)の体積比8:1の溶液を展開液とするシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。収率は57%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.51(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.07(t,J=6.0Hz,2H),3.52(t,J=6.5Hz,2H),2.13-2.08(m,2H),2.01-1.96(m,2H)ppm.
【0085】
B)n=5(BRCN5)
1,5-ジブロモペンタン(1,5-dibromopentane)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は42%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.04(t,J=6.5Hz,2H),3.47(t,J=7.0Hz,2H),1.99-1.93(m,2H),1.88-1.83(m,2H),1.69-1.64(m,2H)ppm.
【0086】
C)n=6(BRCN6)
1,6-ジブロモヘキサン(1,6-dibromohexane)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は53%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=9.0Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.03(t,J=6.0Hz,2H),3.45(t,J=7.0Hz,2H),1.93-1.90(m,2H),1.85-1.82(m,2H),1.53-1.52(m,4H)ppm
【0087】
D)n=7(BRCN7)
1,7-ジブロモヘプタン(1,7-dibromoheptane)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は24%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.58(d,J=8.5Hz,2H),7.47(d,J=9.0Hz,2H),6.93(d,J=9.0Hz,2H),3.95(t,J=6.5Hz,2H),3.37(t,J=6.5Hz,2H),1.91-1.79(m,4H),1.51-1.40(m,6H)ppm.
【0088】
E)n=8(BRCN8)
1,8-ジブロモオクタン(1,8-dibromooctane)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は34%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=9.0Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=9.0Hz,2H),4.02(t,J=6.5Hz,2H),3.43(t,J=6.5Hz,2H),1.90-1.79(m,4H),1.53-1.34(m,8H)ppm.
【0089】
F)n=9(BRCN9)
1,9-ジブロモノナン(1,9-dibromononane)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は51%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.50(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,2H),4.02(t,J=6.5Hz,2H),3.43(t,J=6.5Hz,2H),1.89-1.78(m,4H),1.51-1.31(m,10H)ppm.
【0090】
2)EPCNn:4-(n-(オキシラン-2-イルメトキシ)アルキルオキシ)-4-ビフェニルカルボニトリル(4-(n-(oxiran-2-ylmethoxy)alkyloxy)-4-biphenylcarbonitrile)の合成
G)n=4(EPCN4)
前記BRCN4(1.94g、5.87mmol)と水酸化ナトリウム(0.352g、8.81mmol)を三口丸底フラスコに入れ、アルゴン雰囲気に置換した後、グリシドール(1.00ml、11.6mmol)とジメチルホルムアミド35.0mlを加えた。30℃で3日間反応を行い、得られた物質を酢酸エチルを用いて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ヘキサン:酢酸エチルの体積比4:1の溶液を展開液とするシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。収率は51%であった。物質の確認は、H NMR、13C NMR、高分解能質量分析によって行われ、分析結果は以下の通りである。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),6.99(d,J=8.5Hz,2H),4.04(t,J=6.5Hz,2H),3.77(dd,J=11.5,3Hz,1H),3.60(m,2H),3.39(dd,J=11.5,6Hz,1H),3.16(m,1H),2.80(dd,J=5,4.5Hz,1H),2.61(dd,J=5,3Hz,1H),1.90(m,2H),1.81(m,2H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ=159.7,145.3,132.6,131.4,128.3,127.1,119.1,115.1,110.1,71.5,71.1,67.8,50.9,44.2,26.3,26.0ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2021NO:m/z323.1521;found:m/z323.1522(図1(a)及び図2(a)).
【0091】
H)n=5(EPCN5)
前記BRCN5を使用した以外は、G)と同じ手順で合成した。収率は35%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.53(d,J=9Hz,2H),6.99(d,J=9Hz,2H),4.02(t,J=6Hz,2H),3.77(dd,J=11.5,3Hz,1H),3.55(m,2H),3.40(dd,J=11.5,6Hz,1H),3.15(m,1H),2.80(dd,J=5,4Hz,1H),2.62(dd,J=5,2.5Hz,1H),1.84(m,2H),1.68(m,2H),1.56(m,2H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ=159.7,145.3,132.6,131.3,128.3,127.1,119.1,115.1,110.0,71.6,71.4,68.0,50.9,44.3,29.5,29.0,22.7ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2123NO:m/z337.1678;found:m/z337.1680(図1(b)及び図2(b)).
【0092】
I)n=6(EPCN6)
前記BRCN6を使用した以外は、G)と同様の手順で合成した。収率は47%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8Hz,2H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),6.99(d,J=9Hz,2H),4.01(t,J=6.5Hz,2H),3.74(dd,J=11.5,3Hz,1H),3.52(m,2H),3.38(dd,J=11.5,6Hz,1H),3.15(m,1H),2.80(dd,J=5,4.5Hz,1H),2.61(dd,J=5,3Hz,1H),1.82(m,2H),1.64(m,2H),1.50(m,4H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ=159.8,145.3,132.6,131.3,128.3,127.1,119.1,115.1,110.0,71.5,71.5,68.0,50.9,44.3,29.6,29.7,25.9ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2225NO:m/z351.1834;found:m/z351.1832(図1(c)及び図2(c)).
【0093】
J)n=7(EPCN7)
前記BRCN7を使用した以外は、G)と同じ手順で合成した。収率は33%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=9Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.53(d,J=9Hz,2H),6.99(d,J=8.5Hz,2H),4.00(t,J=6.5Hz,2H),3.73(dd,J =11.5,3Hz,1H),3.51(m,2H),3.39(dd,J =11.5,5.5Hz,1H),3.14(m,1H),2.80(dd,J =5,4Hz,1H),2.61(dd,J=5,2.5Hz,1H),1.81(m,2H),1.61(m,2H),1.50(m,2H),1.39(m,4H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ= 159.8,145.3,132.6,131.3,128.3,127.1,119.1,115.1,110.0,71.6,71.5,68.1,50.9,44.3,29.6,29.2,29.1,26.0,25.9ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2327NO:m/z365.1991;found:m/z365.1992(図1(d)及び図2(d)).
【0094】
K)n=8(EPCN8)
前記BRCN8を使用した以外は、G)と同様の手順で合成した。収率は44%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),6.99(d,J=9Hz,2H),4.00(t,J=6.5Hz,2H),3.73(dd,J=11.5,3Hz,1H),3.50(m,2H),3.39(dd,J=11.5,5.5Hz,1H),3.15(m,1H),2.80(dd,J=5,4.5Hz,1H),2.61(dd,J=5,3Hz,1H),1.80(m,2H),1.60(m,2H),1.47(m,2H),1.36(m,6H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ=159.8,145.3,132.6,131.3,128.3,127.1,119.1,115.1,110.0,71.7,71.5,68.1,50.9,44.3,29.7,29.4,29.3,29.2,26.0,25.9ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2429NO:m/z379.2147;found:m/z379.2145(図1(e)及び図2(e)).
【0095】
L)n=9(EPCN9)
前記BRCN9を使用した以外は、G)と同じ手順で合成した。収率は38%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.70(d,J=8.5Hz,2H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.53(d,J=9Hz,2H),6.99(d,J=8.5Hz,2H),4.00(t,J=6.5Hz,2H),3.72(dd,J=11.5,3Hz,1H),3.50(m,2H),3.37(dd,J=11.5,6Hz,1H),3.15(m,1H),2.79(dd,J=5,4Hz,1H),2.61(dd,J=5,2.5Hz,1H),1.80(m,2H),1.59(m,2H),1.47(m,2H),1.33(m,8H)ppm.13C NMR(125MHz,CDCl):δ=159.8,145.3,132.6,131.3,128.3,127.1,119.1,115.1,110.0,71.7,71.5,68.2,50.9,44.3,29.7,29.5,29.4,29.3,29.2,26.1,26.0ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2531NO:m/z393.2304;found:m/z393.2304(図1(f)及び図2(f)).
【0096】
<実施例2>EPCNnポリマー(P-EPCNn)の合成
下記反応式2は、側鎖に液晶構造であるシアノビフェニルを有するポリエチレングリコール誘導体であるP-EPCNnの合成過程を示したものであり、下記反応式2に示すように、ポリエチレングリコール主鎖を形成するためのエポキシドモノマーEPCNnのアニオン性開環重合により合成された。
【0097】
【化8】
【0098】
A)n=4(P-EPCN4)
EPCN4(1.34mmol)、カリウムtert-ブトキシド(potassium tert-butoxide)(50.5mg、500μmol)、18-クラウン-6(18-crown-6)(28.0mg、100μmol)をシュレンク管に入れ、アルゴン雰囲気に置換した後、トルエン3mlを加えた。重合溶液を60℃で3日間攪拌した後、メタノール50mlに注いで沈殿させ、沈殿物を回収した。沈殿過程を2回繰り返し、淡黄色の固体を61%の収率で得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.63-7.45(m,6H),6.93-6.92(m,2H),3.98-3.95(m,2H),3.76-3.39(m,7H),1.83-1.40(m,4H),1.09(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3365,3184,2940,2867,2225,1651,1603,1495,1250,1110,822,770cm-1(図3(a)).
【0099】
B)n=5(P-EPCN5)
前記EPCN5を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は72%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.67-7.66(m,2H),7.62-7.61(m,2H),7.50-7.49(m,2H),6.96-6.95(m,2H),3.98-3.97(m,2H),3.80-3.41(m,7H),1.80-1.42(m,6H),1.11(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3360,3181,2937,2865,2224,1657,1602,1494,1248,1110,821,771cm-1図3(b)).
【0100】
C)n=6(P-EPCN6)
前記EPCN6を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は71%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.66(s,2H),7.62-7.61(m,2H),7.50-7.49(m,2H),6.96-6.95(m,2H),3.98-3.97(m,2H),3.77-3.41(m,7H),1.80-1.42(m,8H),1.11(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3362,3176,2935,2863,2224,1656,1603,1495,1250,1111,822,770cm-1図3(c)).
【0101】
D)n=7(P-EPCN7)
前記EPCN7を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は71%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.66(s,2H),7.62(s,2H),7.50(s,2H),6.97(s,2H),3.98-3.97(m,2H),3.78-3.43(m,7H),1.79-1.37(m,10H),1.11(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3675,3364,3184,2989,2990,2225,1653,1603,1495,1393,1249,1065,822,771cm-1図3(d)).
【0102】
E)n=8(P-EPCN8)
前記EPCN8を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は71%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.68-7.67(m,2H),7.63-7.62(m,2H),7.52-7.50(m,2H),6.97-6.96(m,2H),3.98-3.96(m,2H),3.74-3.42(m,7H),1.79-1.34(m,12H),1.11(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3675,3364,3185,2930,2859,2224,1652,1603,1495,1250,1111,1077,822,770cm-1図3(e)).
【0103】
F)n=9(P-EPCN9)
前記EPCN9を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は71%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.68-7.67(m,2H),7.65-7.62(m,2H),7.53-7.51(m,2H),6.98-6.97(m,2H),4.00-3.94(m,2H),3.73-3.41(m,7H),1.79-1.31(m,14H),1.11(s,terminal-9H)ppm.FT-IR(ATR):3675,3380,3192,2931,2854,2225,1650,1603,1495,1394,1251,1110,1077,823,770cm-1図3(f)).
【0104】
上記により得られたP-EPCNnのFT-IR(Fourier transform infrared、フーリエ変換赤外線分光法)スペクトルである図4を参照すると、ポリエチレングリコール(PEG)骨格ポリマーが、エポキシド部分(epoxide moiety)を残さず合成されたことがわかる。
【0105】
下記表1は、上記により得られたP-EPCNnの分子量を示し(図5)、下記表2は、P-EPCNnの物性を示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
上記により合成された物質のメソフェーズ及び相転移挙動を示差走査熱量計(DSC)及び偏光光学顕微鏡(POM)によって分析したところ、図6図10に示すように、POMで観察された相転移挙動はDSC結果と同じ傾向を示していることがわかる。
【0109】
モノマー(単量体)状態では、代表的なサーモトロピック(thermotropic)液晶であるシアノビフェニル(cyanobiphenyl、CB)構造が透明な液晶相を形成するが、アルキル連結鎖の長さによって若干の多様化が観察された。具体的には、図7を参照すると、EPCN5、EPCN6、およびEPCN8はエナンチオトロピックメソフェーズを示し、EPCN4、EPCN7、およびEPCN9は冷却中にモノトロピック液晶を示した。EPCN5は室温以下で比較的広い範囲で液晶相(LC相)を示したのに対し、EPCN7は室温以上でかなり狭い領域でメソフェーズを示した。さらに、POM観察により、すべてのモノマーの液晶相が透明なネマチック(nematic)相であることが確認された。全体として、EPCNシリーズは、室温よりやや高い、約40℃~15℃の範囲のメソフェーズを有するサーモトロピックLCであった。
【0110】
図9を参照すると、P-EPCNnはポリマー(高分子)状態でEPCNnとは独立した相転移挙動を示すことがわかる。モノマーの構造を維持したままポリエチレングリコール(PEG)主鎖ポリマー(主鎖重合体)を形成していることから、ポリマーの構造には何らかの傾向があることが予想されたが、結果はそれを示さなかった。
【0111】
P-EPCN4を除き、ガラス転移温度(T)は室温よりやや低い15℃~20℃の間で観察されたが、P-EPCN4のTは室温よりやや高い32.6℃で観察された。
【0112】
溶融温度(T)の場合、鎖間スペーサー数が奇数のP-EPCN5、P-EPCN7、およびP-EPCN9の吸熱ピークが100℃以下で観察されたのに対し、鎖間スペーサー数が偶数のP-EPCN4、P-EPCN6、およびP-EPCN8の吸熱ピークは100℃以上で観察された。
【0113】
ガラス転移挙動とは異なり、溶融挙動には、アルキルスペーサー結晶構造の形成に関連すると考えられる、奇数-偶数効果に関連するある傾向が観察された。
【0114】
前記表1および表2に示すように、P-EPCNnはアルキルスペーサーによって明確な奇数-偶数効果を示した。このような結果は、メソゲン基(mesogenic group)の相対的な配向が側鎖の平均形態変化およびスペーサー部分の当量変化に影響したためと考えられる。奇数メンバーの場合、メソゲンユニットは骨格に対して直交していたのに対し、偶数メンバーの場合、メソゲンユニットは骨格に対して特定の角度に位置することに制限されていた。さらに、鎖長の影響は奇数メンバーでは有意であるが、偶数メンバーでは有意ではないことがわかる。これらの結果は、対称性の効果によって制限される偶数リンカーが、鎖長よりも大きな角度制限があることを示唆している。
【0115】
全体として、P-EPCN4の相転移温度は他のポリマー(高分子)に比べやや高く、他のポリマー(高分子)の挙動は類似していた。これは、分子量及び重合度が類似に調節された結果であると考えられる。P-EPCNnは主鎖型ではなく側鎖液晶ポリマー(side-chain liquid crystal polymer、SCLCP)であったため、相互作用が可能なリンカーの長さがある程度確保されたときに類似の相転移挙動が観察されたと推定される。特に、T以上の温度では高粘度の半透明の液相が得られ、T以下の温度では不透明な固相が維持された。
【0116】
熱伝導率(TC)を評価するために、溶融工程によりP-EPCNnバルク試験片を製造した。P-EPCNnをポリマーのT以上の温度でそれぞれ溶融し、直径1cmの円形チップに加工した。厚さはサンプルの量によって異なるが、約3mmに固定した(図11)。重合後のサンプルの色は完全に白色であったが、加工後に淡黄色に変化した。これは芳香族成分の相互作用によるものと考えられる。TC値は前記表2から確認できる。
【0117】
液晶ポリマーは、分子が特定の方向に配列されているため、異方性熱伝導特性を示す。特に、この分子配向は、特定の方向への均一な配列によるフォノン散乱(phonon scattering)を減少させることで熱伝導特性を改善させ、次元によって異なるフォノン経路を誘導する。しかし、この実験では、P-EPCNnは、バルク材料準備過程で配列過程を行わなかったため、次元的異方性を示さなかった。ミクロなスケールでは異方性を示すが、マクロなスケールでは等方性を示すと予想される。それにもかかわらず、P-EPCN4以外のすべてのP-EPCNnは、0.42-0.46Wm-1-1という有意に高いTCを示した。P-EPCN4は0.32Wm-1-1のTCを示したが、これもPEGの値を考慮すると高い。主鎖がP-EPCNnと類似しているPEGでは、分子量によって若干の変化が観察されたが、TCは約0.2~0.3Wm-1-1であった。したがって、ペンダント鎖におけるシアノビフェニルメソゲンの相互作用により、P-EPCNnが2倍高いTCを有することは明らかである。
【0118】
分子間相互作用を確認するために、X線回折(XRD)測定によりバルク試験片の結晶構造を分析したところ、図12に示すように、回折曲線には2θが10°未満の低角度領域のピーク(淡黄色で示す)、20°付近のピーク(淡青色で示す)および25°以上のピーク(淡緑色で示す)の3種類の特定のピークが観察された。分子量の違いにもかかわらず、高結晶度の半結晶性ポリマー(半結晶性高分子)である純粋な線状PEGは、20°前後で2つの明確なピークを示し、25°以上で複数のピークを示したことから、P-EPCNnは類似の骨格構造を持つSCLCPであることが示唆された。P-EPCN6~P-EPCN8の場合、PEG骨格に由来するピークが2θ=20°領域付近で明確に識別され、それ以外は曖昧ではあるが類似の形状を示した。
【0119】
しかし、ピークの鋭さ(sharpness)は、ランダムなLC配列によるメソゲンの界面距離を表しており、PEGサンプルでは異なっていた。これはと推測された。
しかしながら、ピークの鋭さ(sharpness)は、ランダムなLC配列によるメソゲンの面間距離を表すと仮定されたPEGサンプルでは異なっていた。このような幅広いピークは、典型的なメソゲン間距離に相当する約4~5Åであった。特に、メソゲンの自己組織化の明らかな証拠は、10°未満の低角度領域で観察された。鎖スペーサーの長さによって、約4°のピークと7~8°のピークにわずかな違いが見られた。約4°のピークは20~25Åに相当し、7~8°のピークは11~13Åに相当して、比較的長距離の規則性を示している。
【0120】
P-EPCN5~P-EPCN9では長距離相互作用が観察されたが、室温で液晶相(LC相)を示すP-EPCN4では弱い相互作用が観察された。その結果、P-EPCN4の配列品質は相互作用によって劣化し、他のサンプルよりも熱伝導率が低かった。また、P-EPCNnの液晶相は、光学的観察によりすべてのP-EPCNnでネマチック相であることが確認されたが、構造分析によりP-EPCN5~P-EPCN9はスメティック相(smectic phase)ではなく、室温で比較的強い秩序を持つことが示唆された。
【0121】
また、XRDの結果からも、P-EPCN5~P-EPCN9は分子配列レベルが類似しており、TCにおいても同様の傾向を示すことが確認された。一方、XRDで分子配列レベルに差を示したP-EPCN4は、TCでも大きな差を示した。このような結果は、ポリマーネットワークにおける分子配列レベルがTC値に大きな影響を与えることを示している。
【0122】
B3LYP/6-31Gレベルでの密度汎関数理論(DFT)により計算されたP-EPCNnモデル化合物の最適化された分子構造は、図13に示すように、P-EPCNnのCB分子の長軸長さが、7~8°領域に見られるピークに対応する約11Åであることがわかった。また、同じDFT計算結果から、側鎖全体の長軸長さは、P-EPCN4で17Å、P-EPCN9で23Åであり、ペンダント基の規則性は4°付近で確認された。ピークがシャープでないため、P-EPCNnが高い結晶性を有するとは考えにくいが、それらが高分子物質であることを考えると、P-EPCNnはメソゲンの自己組織化に由来する十分に高度な結晶構造を持つ。
【0123】
さらに、他のP-EPCNnとは異なり、P-EPCN4で観察されたTCが低い理由は、結晶構造とTCの相関から確認できる。他のP-EPCNnとは異なり、P-EPCN4の低角度領域ではピークがほとんど観察されず、これはメソゲンの自己組織化が十分に行われていないことを示しており、これがP-EPCN4のTCが低い理由である。
【0124】
また、主鎖から4つの炭素アルキル結合を介して位置するP-EPCN4のメソゲンは、他の長いスペーサーのP-EPCNnとは異なり、相互作用に十分な距離を確保することが困難であった。さらに、室温ガラス質相のため、P-EPCN4以外のP-EPCNnは、室温のゴム質領域で液晶相(LC相)を形成することができる。この結果、P-EPCN4の結晶化度とTCは低くなった。逆に、P-EPCNnは室温で液晶相を示し、高いTCをもたらした。
【0125】
<実施例3>OMPBn:4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル-4-ブトキシベンゾエート(4-(oxiran-2-ylmethoxy)phenyl-4-butoxybenzoate)モノマーの合成
下記反応式3は、側鎖にサーモトロピック液晶構造であるフェニルベンゾエート(phenyl benzoate)を有するエポキシドモノマーOMPBnの合成過程を示すものであり、4-(アルコキシ)安息香酸(4-(alkoxy)benzoic acid)を出発物質として、ヒドロキノン(hydroquinone)との反応によりHPBnを合成し、その後、エピクロロヒドリンとの反応によりOMPBnを得た。
【0126】
【化9】
【0127】
1)HPBn:4-ヒドロキシフェニル-4-アルコキシベンゾエート(4-hydroxyphenyl-4-alkoxybenzoate)の合成
A)n=4(HPB4)
三口丸底フラスコに4-ブトキシ安息香酸(4-butoxybenzoic acid)(3.00g、15.4mmol)、ヒドロキノン(6.80g、61.7mmol)およびBH(0.0318g)を入れ、アルゴン雰囲気に置換した。その後、トルエン120mlと硫酸0.1mlを加え、130℃で12時間攪拌した。得られた溶液を、ロータリーエバポレーター(回転式蒸発装置)を用いて濃縮した後、ジエチルエーテルで有機物を抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ヘキサン:酢酸エチルの体積比7:1の溶液を展開液とするシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。収率は24%であった。
H NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.13(d,J=9.0Hz,2H),7.06(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),6.85(d,J=9.0Hz,2H),4.87(s,1H),4.06(t,J=6.5Hz,2H),1.84-1.78(m,2H),1.54-1.48(m,2H),1.00(t,J=7.5Hz,3H)ppm.
【0128】
B)n=6(HPB6)
4-ブトキシ安息香酸の代わりに4-(ヘキシルオキシ)安息香酸(4-(hexyloxy)benzoic acid)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は58%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.13(d,J=9.0Hz,2H),7.07(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.86(d,J=9.0Hz,2H),4.87(s,1H),4.05(t,J=6.5Hz,2H),1.85-1.79(m,2H),1.52-1.45(m,2H),1.37-1.34(m,4H),0.93(t,J=7.0Hz,3H)ppm.
【0129】
C)n=8(HPB8)
4-ブトキシ安息香酸の代わりに4-(オクチルオキシ)安息香酸(4-(octyloxy)benzoic acid)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は57%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.13(d,J=9.0Hz,2H),7.07(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.86(d,J=9.0Hz,2H),4.88(s,1H),4.05(t,J=6.5Hz,2H),1.86-1.79(m,2H),1.50-1.44(m,2H),1.38-1.29(m,8H),0.91(t,J=7.0Hz,3H)ppm.
【0130】
D)n=10(HPB10)
4-ブトキシ安息香酸の代わりに4-(デシルオキシ)安息香酸(4-(decyloxy)benzoic acid)を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は59%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.13(d,J=9.0Hz,2H),7.07(d,J=8.5Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),6.86(d,J=9.0Hz,2H),4.80(s,1H),4.05(t,J=6.5Hz,2H),1.85-1.79(m,2H),1.51-1.44(m,2H),1.38-1.27(m,10H),0.90(t,J=7.0Hz,3H)ppm.
【0131】
2)OMPBn:4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル-4-アルコキシベンゾエート(4-(oxiran-2-ylmethoxy)phenyl-4-alkoxybenzoate)の合成
E)n=4(OMPB4)
三口フラスコに、4-ヒドロキシフェニル4-ブトキシベンゾエート(4-hydroxyphenyl-4-butoxybenzoate、HPB4)(0.50g、1.74mmol)、NaOH(0.0701g、1.74mmol)及びベンジルトリメチルアンモニウムブロミド(benzyl trimethyl ammonium bromide)(0.401g、1.74mmol)を入れ、アルゴン雰囲気に置換した後、エピクロロヒドリン10ml及び水1mlを加え、70℃で1時間攪拌した。得られた溶液を溶媒除去後、ヘキサン:酢酸エチルの体積比5:1の溶液を展開液とするシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。収率は29%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.13(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.5Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),4.22(dd,J=11,3.0Hz,1H),4.05(t,J=6.5Hz,2H),3.98(dd,J=11,5.5Hz,1H),3.38-3.35(m,1H),2.91(dd,J=5.0,4.5Hz,1H),2.77(dd,J=5.0,2.5Hz,1H),1.84-1.78(m,2H),1.53-1.48(m,2H),0.99(t,J=7.0Hz,3H)ppm.13C(125MHz,CDCl):δ=165.3,163.5,156.1,145.0,132.2,122.6,121.6,115.3,114.3,69.2,68.0,50.1,44.7,31.1,19.2,13.8 ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2022:342.1467;found:342.1467(図14(a)及び図15(a)).
【0132】
F)n=6(OMPB6)
前記HPB6を使用した以外は、E)と同じ手順で合成した。収率は40%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.11(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),4.22(dd,J=11,3.0Hz,1H),4.04(t,J=6.5Hz,2H),3.97(dd,J=11,5.5Hz,1H),3.38-3.35(m,1H),2.91(dd,J=5.0,4.5Hz,1H),2.77(dd,J=5.0,2.5Hz,1H),1.85-1.79(m,2H),1.52-1.45(m,2H),1.37-1.34(m,4H),0.91(t,J=7.0Hz,3H)ppm.13C(125MHz,CDCl):δ=165.3,163.5,156.1,145.0,132.2,122.6,121.6,115.3,114.3,69.3,68.3,50.1,44.7,31.6,29.1,25.7,22.6,14.0ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2226:370.1780;found:370.1779(図14(b)及び図15(b)).
【0133】
G)n=8(OMPB8)
前記HPB8を使用した以外は、E)と同じ手順で合成した。収率は35%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.11(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.5Hz,2H),6.97(d,J=9.0Hz,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),4.22(dd,J=11,3.0Hz,1H),4.04(t,J=6.5Hz,2H),3.97(dd,J=11,5.5Hz,1H),3.38-3.34(m,1H),2.91(dd,J=5.0,4.5Hz,1H),2.77(dd,J=5.0,2.5Hz,1H),1.85-1.79(m,2H),1.50-1.44(m,2H),1.38-1.29(m,8H),0.89(t,J=7.0Hz,3H)ppm.13C(125MHz,CDCl):δ=165.3,163.5,156.1,145.0,132.2,122.6,121.6,115.3,114.3,69.3,68.3,50.1,44.7,31.8,29.3,29.2,29.1,26.025.7,14.1ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2430:398.2093;found:398.2094(図14(c)及び図15(c)).
【0134】
H)n=10(OMPB10)
前記HPB10を使用した以外は、E)と同じ手順で合成した。収率は36%であった。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.11(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),4.22(dd,J=11,3.0Hz,1H),4.04(t,J=6.5Hz,2H),3.97(dd,J=11,5.5Hz,1H),3.39-3.35(m,1H),2.91(dd,J=5.0,4.5Hz,1H),2.77(dd,J=5.0,2.5Hz,1H),1.85-1.79(m,2H),1.50-1.44(m,2H),1.39-1.28(m,12H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm.13C(125MHz,CDCl):δ=165.3,163.5,156.1,145.0,132.2,122.7,121.6,115.4,114.3,69.3,68.3,50.1,44.7,31.9,29.6,29.6,29.4,29.3,29.1,26.0,25.7,14.1ppm.HRMS(+EI):calcd for[C2634:426.2406;found:426.2409(図14(d)及び図15(d)).
【0135】
<実施例4>OMPBnポリマー(P-OMPBn)の合成
下記反応式4は、側鎖に液晶構造であるフェニルベンゾエートを有するポリエチレングリコール誘導体であるP-OMPBnの合成過程を示したものであり、下記反応式4に示すように、ポリエチレングリコール主鎖を形成するためにエポキシドモノマーOMPBnのアニオン性開環重合により合成された。
【0136】
【化10】
【0137】
A)n=4(P-OMPB4)
OMPB4(0.300g、0.876mmol)、カリウムtert-ブトキシド(39.0mg、327μmol)、18-クラウン-6(18.0mg、65.0μmol)をシュレンク管に入れ、アルゴン雰囲気に置換した後、トルエン3 mlを加え、室温で3日間攪拌して重合を行った。その後、重合溶液をメタノール50mlに沈殿させた後、沈殿物を回収した。沈殿工程を2回繰り返し、褐色の固体を81%の収率で得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ=8.02-7.96(m,2H),6.91-6.82(m,6H),4.29-4.28(m,2H),4.08-3.64(m,5H),1.81-1.26(m,4H),1.11(s,9H),0.10-0.81(m,3H)ppm(図16(a)).
【0138】
B)n=6(P-OMPB6)
前記OMPB6を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は82%であった。
H NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.02-7.96(m,2H),6.91-6.82(m,6H),4.29-4.28(m,2H),4.08-3.63(m,5H),1.82-1.26(m,8H),1.11(s,9H),0.10-0.81(m,3H)ppm(図16(b)).
【0139】
C)n=8(P-OMPB8)
前記OMPB8を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は82%であった。
H NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.02-7.96(m,2H),6.91-6.82(m,6H),4.29-4.28(m,2H),4.08-3.63(m,5H),1.82-1.26(m,8H),1.11(s,9H),0.10-0.81(m,3H)ppm(図16(c)).
【0140】
D)n=10(P-OMPB10)
前記OMPB10を使用した以外は、A)と同じ手順で合成した。収率は92%であった。
H NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.02-7.94(m,2H),7.12-6.86(m,6H),4.37-4.28(m,2H),4.05-3.97(m,5H),1.82-1.26(m,16H),1.11(s,9H),0.89-0.87(m,3H)ppm(図16(d)).
【0141】
下記表3は、上記により得られたP-OMPBnの分子量を示し、下記表4は、P-OMPBnの物性を示す。
【0142】
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
以上、本発明の特定の部分を詳細に説明したが、当業者にとって、これらの具体的な技術は単なる好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲が限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物によって定義されるといえる。本発明の範囲は後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】