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特表2024-514300ヘビーデューティの高出力の複数のパルス作動X線源を用いる動き補償高スループット高速3D X線撮影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ヘビーデューティの高出力の複数のパルス作動X線源を用いる動き補償高スループット高速3D X線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20240325BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240325BHJP
【FI】
A61B6/02 501H
A61B6/02 503A
A61B6/50 500E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560316
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022020135
(87)【国際公開番号】W WO2022212013
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/170,288
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/175,952
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/182,426
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/188,919
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/194,071
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/209,498
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/214,913
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/220,924
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/222,847
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/224,521
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/225,194
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,508
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/692,087
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300662
【氏名又は名称】アイクススキャン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオリンベイ,マナト
(72)【発明者】
【氏名】ク,チュン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リンボ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアンチアン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093EA06
(57)【要約】
運動している複数のパルス作動X線源対を使用して高効率かつ超高速の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムが提示される。線源は、グループとして一定速度で、弧状軌道上で、同時に移動する。個々の各線源はまた、小距離にある線源の静止位置の周りを迅速に移動するが、一方が他方と反対方向に移動して、直線運動量を相殺する。軌道を、水平にリング構造で配置することもできる。X線源対では、各々が別のものと反対角度方向に移動して、角運動量を相殺する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の直線方向又は角度方向の速度を有するときに、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。これにより、線源が作動中に相対的に静止したままになることを可能にする。3Dデータをより短時間でより広い視野で取得することができ、画像分析は、リアルタイムである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘビーデューティのX線源対を使用して高速3D X線撮影を提供するためのトモシンセシスイメージングシステムであって、
所定の半径を有する一次モータ回転アームステージと、
前記一次モータ回転アームステージと係合し、前記一次モータ回転アームステージの速度を制御する一次モータと、
前記一次モータアームステージに連結されており、弧状軌道の方向に沿って移動する1つ又は複数の二次モータステージと、
1つ又は複数の二次モータであって、各々が、1つの二次モータステージ又は複数の二次モータステージの対と係合し、二次モータステージの速度を制御する、1つ又は複数の二次モータと、
1つのX線源対又は複数のX線源対であって、各々が、二次モータステージによって移動される、1つのX線源対又は複数のX線源対と、
前記一次モータアームステージ、二次モータステージ、及びX線源のためのハウジングを提供する支持フレーム構造と、
走査被写体のための支持テーブルと、
X線イメージングデータを受容するための剛性又は可撓性パネルX線検出器と、を備える、システム。
【請求項2】
X線検出器が、湾曲したパネル検出器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出器を露出するための機械的に同期された動きを有する2つの移動可能なX線源を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
機械的に同期された線源移動を有する2つの移動可能なX線源を移動させるための、2つのギア駆動装置を介して連結された駆動モータを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記X線源が、2つの駆動ゲートを介して前記2つのギア駆動装置に接続された2つのX線管取り付けブラケットを介して接続されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
重量を均衡させるように、前記X線源と対向する剛性フレーム上に取り付けられたオイルタンク及び高電圧発生器を備え、前記検出器が、別個のフレーム上に位置付けられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記X線源が、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、被写体に対して同時に移動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、前記個々のX線源及びX線検出器が、外部露出制御ユニットを介して作動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記X線源が、線源のアレイを形成するように回転アームステージ上に配置されており、個々の各X線源が、静止位置の周りで移動し、前記X線源がX線パルストリガ露出持続時間中に静止したままであることを可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記一次モータアームステージ及び前記二次モータステージが、位置付けシステムを使用して所定の初期の場所に前記モータによって移動され、前記一次モータアームステージが、一次モータによって所定の一定速度で掃引され、二次モータステージが、所定のシーケンスで二次モータによって振動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
動き補償された複数のパルス作動X線源対を用いる高速3D X線トモシンセシス撮影の方法であって、
一次モータアームステージ及び1つ以上の二次モータステージを所定の初期の場所に位置付けることと、
前記一次モータアームステージを一次モータによって所定の一定速度で掃引することと、
二次モータステージにおけるX線源対の一方が他方と反対方向に振動するように、対応する二次モータによって前記二次モータステージの各々を振動させることと、
X線源が前記一次モータ回転アームステージの方向と反対方向に、かつ前記一次モータ回転アームステージの選択された速度で移動する場合、前記X線源及び可撓性の湾曲したパネル検出器を電気的に作動させることと、
剛性パネル検出器又は可撓性の湾曲したパネル検出器を用いて、前記X線源から被写体画像データを取得することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記パネル検出器を用いて、動き補償された複数のパルス作動X線源対からX線を捕捉することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
機械的に同期された動きを有する2つの移動可能なX線源を移動させて、前記検出器を露出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
2つのギア駆動装置を介して連結された駆動モータを使用して、機械的に同期された管移動を伴って2つのX線源を移動させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記X線源が、2つの駆動ゲートを介して前記2つのギア駆動装置に接続された2つの管取り付けブラケットを介して接続されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
重量を均衡させるように、前記X線源と対向する剛性フレーム上に取り付けられたオイルタンク及び高電圧発生器を備え、前記検出器が、別個のフレーム上に位置付けられている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記X線源を、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、被写体に対して同時に移動させる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
グループ速度と等しいが反対の移動方向の速度で個々のX線源を移動させることと、外部露出制御ユニットを介して前記個々のX線源及び検出器を作動させることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記X線源が、線源のアレイを形成するように回転アームステージ上に配置されており、個々の各X線源が、静止位置の周りで移動し、前記X線源がX線パルストリガ露出持続時間中に静止したままであることを可能にする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
位置付けシステムを使用して、前記一次モータアームステージ及び前記二次モータステージを所定の初期の場所に移動させることと、前記一次モータアームステージを所定の一定速度で掃引し、かつ前記二次モータステージを所定のシーケンスで振動させることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
複数のヘビーデューティのX線源対を使用して高速3D X線撮影を提供するためのX線イメージングシステムであって、
所定の半径を有する一次モータ回転ステージと、
前記一次モータ回転ステージと係合し、前記一次モータ回転ステージの回転速度を制御する一次モータと、
前記一次回転モータステージに連結された1つ又は複数の二次モータステージと、
1つ又は複数の二次モータであって、各々が、二次モータステージと係合し、二次モータステージの速度を制御する、1つ又は複数の二次モータと、
1つ又は複数のX線源対であって、各X線源が、第2のモータステージに取り付けられており、二次モータステージによって移動される、1つ又は複数のX線源対と、
前記一次モータ、一次モータ回転ステージ、二次モータ、二次モータステージ、及びX線源のためのハウジングを提供する支持円形構造と、
X線イメージングデータを受容するためのX線フラットパネル検出器と、を備える、システム。
【請求項22】
複数のヘビーデューティのX線源対を使用して高速3D X線撮影を提供するためのX線イメージングシステムであって、
所定の半径を有する一次モータ回転ステージと、
前記一次モータ回転ステージと係合し、前記一次モータ回転ステージの速度を制御する一次モータと、
1つ以上のX線源対であって、各X線源が、前記一次モータ回転ステージに取り付けられており、前記一次モータによって移動される、1つ以上のX線源対と、
前記一次モータステージ及びX線源のためのハウジングを提供する支持円形構造と、
X線イメージングデータを受容するためのX線フラットパネル検出器と、を備える、システム。
【請求項23】
動き補償された複数のパルス作動X線源対を用いる高速3D X線撮影の方法であって、
一次モータ回転ステージを支持円形構造に取り付けることと、
前記一次モータ回転ステージに1つ以上の二次モータステージを取り付けることと、
二次モータステージの各々にX線源を取り付けることと、
一次モータ回転ステージ及び1つ以上の二次モータステージを所定の初期の場所に位置付けることと、
前記一次モータステージを一次モータによって所定の一定角速度で回転させることと、
二次モータステージにおけるX線源対の一方が他方と反対角度方向に振動するように、前記二次モータステージの各々を対応する二次モータによって振動させることと、
X線源が前記一次モータ回転ステージの方向と反対方向に、かつ前記一次モータ回転ステージの選択された速度で移動する場合、前記X線源及びX線フラットパネル検出器を電気的に作動させることと、
X線フラットパネル検出器を用いて前記X線源から被写体画像データを取得することと、を含む、方法。
【請求項24】
複数のパルス作動X線源対を用いる高速3D X線撮影の方法であって、
支持円形構造に一次モータ回転ステージを取り付けることと、
一次モータステージに1つ以上のX線源を取り付けることと、
一次モータステージを所定の初期の場所に位置付けることと、
前記一次モータステージを一次モータによって所定の一定角速度で回転させることと、
X線フラットパネル検出器の上で1つ以上のX線源を電気的に作動させることと、
X線フラットパネル検出器を用いて前記1つ以上のX線源から被写体画像データを取得することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記X線源が、前記X線フラットパネル検出器の上方で円形動きで移動される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年4月30日に出願された仮出願第63182426号、2021年7月28日に出願された仮出願第63226508号、2021年4月2日に出願された仮出願第63170288号、2021年4月16日に出願された仮出願第63175952号、2021年5月27日に出願された仮出願第63194071号、2021年5月14日に出願された仮出願第63188919号、2021年7月23日に出願された仮出願第63225194号、2021年6月11日に出願された仮出願第63209498号、2021年6月25日に出願された仮出願第63214913号、2021年7月12日に出願された仮出願第63220924号、2021年7月16日に出願された仮出願第63222847号、2021年7月22日に出願された仮出願第63224521号、及び2021年1月24日に出願された米国出願第17149133号(当該出願は、2020年1月29日に出願された仮出願第62967325号の優先権を主張し、2021年12月30日に出願された米国特許出願第17/566,652号の一部継続出願である)の優先権を主張し、その内容は、参照により組み込まれる。
本特許明細書は、3D X線撮影システム及び方法の分野におけるものであり、特に、高出力パルス作動X線源及び広視野のデジタル剛性又は可撓性パネルX線検出器を使用する高速トモシンセシスシステムに対するものである。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィのような一種のデジタルX線3D撮影があり、デジタル(DTS)は、従来のX線撮影と同程度の放射線量レベルで高分解能の限定角度トモグラフィを実行するための方法である。これらのデジタルトモシンセシスシステムは、典型的には、回転可能なCアームアセンブリの一方の端部に取り付けられたX線源と、他方の端部のデジタルフラットパネル検出器と、を使用する。X線源と検出器との間には、乳房を圧縮及び固定することができるデバイスがある。乳房の圧縮は、X線散乱の低減、放射線量の低減、検出器全体のより均一な光学密度、及び解剖学的構造の視覚化の改善の理由で必要である。トモシンセシスを使用して、症状のない女性における乳がんの早期徴候をスクリーニングすることができる。このタイプのイメージングを、乳がん症状を有する女性の診断ツールとして使用することもできる。トモシンセシスは、マンモグラフィの高度なタイプのトモシンセシスである。デジタル乳房トモシンセシス(DBT)は、2Dマンモグラフィよりも、多くのがんを検出し、偽陽性再現数が少なく、かつ正確な病変の位置特定を行う。トモシンセシスが実行されるときに、X線源は、乳房の周りで円弧状に移動する必要がある。X線源が乳房の周りで移動する間、一連の低線量X線画像が、異なる角度で取得される。収集されたデータセットは、平行な平面の再構成を可能にする。各平面は、合焦しており、平面外の組織画像であるものは、ぼけている。通常、掃引角度をより広くすれば、より多くのデータ投影を生成し、より良好な3D分解能をもたらすであろうが、それには時間がかかる。データ処理は、種々の再構成アルゴリズムが使用され得るため、製造元固有である。COVID用のX線3D胸部診断システム、X線3D非破壊検査(NDT)システム、及びX線3Dセキュリティ検査システムなどの他のX線3D撮影用途に、これらの種類のデジタルトモシンセシスシステム及び方法を適用することができることを強調せねばなるまい。X線3Dトモシンセシス撮影を実行するために単一のX線源及び単一のX線フラットパネル検出器を用いる先行技術がある。しかしながら、高出力のヘビーデューティのX線源について、線源を移動させることはより困難であり、掃引の動きは、より遅くなるであろう。本発明は、動き補償技法を使用して、弧状の動き軌道を有するデジタルトモシンセシスシステムのスループットを増加させる。更に、被写体3Dイメージングを上半球の360度の視野から実行することができるように、X線源の動き軌道をリング構造で配置することもできる。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、運動している複数のパルス作動X線源を、所定の半径を有して回転する一次モータアームステージ、当該一次モータアームステージと係合し、一次モータステージの速度を制御する一次モータ、動き対を作成し、弧の方向に沿って移動するように、当該一次モータアームステージに結合された1つ又は複数の二次モータステージ、1つ又は複数の二次モータであって、各々が、二次モータステージと係合し、二次モータステージの速度を制御する、1つ又は複数の二次モータ、二次モータステージによって移動される複数のX線源、一次モータアームステージ及び二次モータステージのためのハウジングを提供する支持フレーム構造、X線源及びX線イメージングデータを受容するためのフラットパネル検出器、とともに使用する高速3DトモシンセシスX線撮影を提供するためのシステム。
【0004】
第2の態様では、運動している複数のパルス作動X線源を使用する高速3D X線撮影の方法は、一次モータアームステージ及び1つ以上の二次モータステージ対を所定の初期の場所に位置付けることと、一次モータステージを当該一次モータによって所定の一定速度で掃引することと、二次モータステージ対の各々を反対方向に振動させることと、X線源が一次モータアームステージの方向とは反対方向に、かつ一次モータステージの選択された速度で移動するときに、X線源及びフラットパネル検出器を電気的に作動させることと、フラットパネル検出器を用いてX線源から画像データを取得することと、を含む。
【0005】
別の態様では、運動している複数のパルス作動X線源対を使用して高効率、超高速の3D X線撮影を実行するX線イメージングシステムは、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源を含む。複数のX線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、被写体に対して同時に移動する。1つの対では、一方の個々のX線源は、小距離にあるX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、他方と反対方向を有する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、個々のX線源及びX線検出器は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。X線受容器は、X線フラットパネル検出器である。複数のX線源イン動き動作は、個々のX線源の線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。3D X線撮影画像データを、はるかに短い時間で全体的により広い掃引角度で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をほぼリアルタイムで行うこともできる。
【0006】
別の態様では、剛性フラットパネル検出器に加えて、又は可撓性X線検出器であれば、歪みが最小限になるように、湾曲した幾何学形状を有することを可能にするであろう。3D X線撮影画像は、X線露出源の角度付き幾何学配置を有する各画像に基づいて再構成される。より広範な用途としては、3Dマンモグラフィ若しくはトモシンセシス、COVID用の胸部3D X線撮影、又は3D NDT、高速3D X線セキュリティ検査が挙げられる。
【0007】
別の態様では、被写体3Dイメージングを被写体の上半球の360度の視野から実行することができるように、X線源の動き軌道をリング構造で配置することもできる。X線源のアレイは、一定のグループ速度で、あらかじめ定められた円形軌道上で、撮像されている走査被写体の周りで同時に移動する。1つの対のX線源について、個々のX線源は、小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、一方は、角運動量が常に相殺されるように、他方と反対の角度方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。
【0008】
しかしながら、従来技術の中には欠点がある。主な欠点は、単一のX線源が良好なデータ投影を取得するのに非常に長い時間がかかることである。第2の欠点は、万事があまりにも低速であるため、リアルタイムの再構成が困難であることである。第3の欠点は、剛性X線フラットパネル検出器を使用することが幾何学的歪みを悪化させることである。
【0009】
本発明におけるこれらのシステムの利点としては、以下のうちの1つ以上が挙げられ得る。運動している複数のX線源の様々な実施形態は、新規な超高速3D X線撮影システムで使用される。第1の利点は、システム全体が、使用されるX線源対の数に応じてより高速であることである。各X線源は、弧状軌道で全距離のほんの一部を機械的に移動するだけでよいこととなろう。それにより、X線診断機で被写体に必要とされるデータ取得時間が大幅に短縮される。第2の利点は、走査が進行する際に画像分析をほぼリアルタイムで行うこともできることである。撮影された画像に対する判断は、次の撮影に対するX線源位置に影響を与えることとなる。階層化された画像再構成を行うために、画像全体の取得が終了するまで待つ必要はない。
【0010】
第3の利点は、動きアーチファクトの低減に起因して、高分解能かつ高コントラストの画像を取得することが可能であることである。各X線源はまた、X線源の原点の周りで線源を振動させるサブ構造上に取り付けられている。振動速度及び軌道速度の合成は、個々のX線源が作動される瞬間におけるX線源の相対的な静止位置をもたらす。第4の利点は、システムがはるかに広い掃引を進行させて、より高速により多くのデータ投影を取得することができることである。より多くのデータ投影は、誤診率の低減をもたらす、より良好な画像構成を意味する。
【0011】
第5の利点は、より広い角度及びより速いイメージング取得であるがために、3D空間イメージングに時間成分を追加して、4Dイメージングデータセットを形成することが可能であることである。第6の利点は、可撓性の湾曲したX線検出器の幾何学形状が、画像の歪みをはるかに小さくすることとなることである。技術が日々進歩していることに起因して、今日のエレクトロニクスは、可撓性があり、より高速で、よりコンパクトで、より効率的であるようになり得る。丁度可撓性のソーラーパネル充電器のように、X線検出器も、実際に、可撓性になり得る。典型的な最新のX線パネル検出器は、薄膜トランジスタ(TFT)、X線シンチレータの層、及び読み出し電子機器などを備える。現在の技術では読み出し電子基板を可撓性にすることはできないが、TFTベースの検出器を、可撓性基板を使用して可撓性にすることができる。Gd2O2S:Tb(GOS又はGADOX)などのシンチレーション材料の層が、既に、何十年も前に、X線イメージング目的で可撓性フィルムに取り付けるために、ある程度可撓性であるように作製されている。
【0012】
第7の利点は、線源の対が反対方向に移動して運動量を相殺する配置が、高出力のヘビーデューティのX線源を使用することを可能にすることである。本発明では、動き補償されたヘビーデューティの高出力多パルス作動X線源デジタル断層撮影システムが導入される。このシステムは、高速に稼働するだけでなく、重負荷のX線源を搬送することもできる。X線源が強力になるにつれて、X線源自体が重くなることとなる。産業用非破壊評価(NDE)は、通常、高スループット、及び高kV、高mAを必要とする。したがって、本発明であれは、3D検査用途を、医療デジタルトモシンセシスシステム用途を超えて産業検査及びセキュリティ検査に拡張することを可能にするであろう。
【0013】
本発明は、好ましい実施形態の観点で記載されており、明示的に述べられたもの以外の、均等物、代替物、及び修正が可能であり、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内であると認識される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ヘビーデューティの複数のX線源対を有する、動き補償されたデジタルトモシンセシスシステムを例示する。
【0015】
図2】走査被写体が中心にある剛性支持回転アームステージを有するデュアルX線源システムを例示する。
【0016】
図3】中央の走査テーブル上に走査被写体を有する動き補償デジタルトモシンセシスシステムを例示する。
【0017】
図4】運動量を相殺するために機械的に同期された動きを有するX線源の対を示す。
【0018】
図5】X線源の対が円形に取り付けられた放射線システムの構成を示す。
【0019】
図6】上面図からの、円形ガントリに取り付けられた3対のX線源を示す。
【0020】
図7】画像下治療中の外科的活動のための、上面図からの、6対のX線源が円形ガントリに取り付けられていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の段落では、添付の図面を参照して、本発明を例として詳細に記載する。この記載全体を通して、示される好ましい実施形態及び実施例は、本発明の限定ではなく例と見なされるべきである。本明細書で使用される場合、「本発明」は、本明細書に記載の本発明の実施形態のうちのいずれか1つ及び任意の均等物を指す。更に、本明細書を通して「本発明」の様々な特徴(複数可)を参照することは、全ての特許請求される実施形態又は方法が参照される特徴(複数可)を含まなければならないことを意味しない。
【0022】
しかしながら、この発明を、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に詳述される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供される。更に、本発明の実施形態を列挙する本明細書の全ての記述、及びその具体例は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図されている。追加的に、そのような均等物は、現在知られている均等物、及び将来開発される均等物(すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する、開発される任意の要素)の両方を含むことが意図されている。
【0023】
それゆえ、例えば、図、概略図、図解などが、この発明を具現化するシステム及び方法を例示する概念図又はプロセスを表すことは、当業者によって理解されるであろう。図に示される様々な要素の機能は、専用ハードウェア、及び関連付けられたソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供され得る。同様に、図に示される任意のスイッチは、概念的であるにすぎない。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、又は更には手動で実行され、この特定の技法は、本発明を実装したエンティティによって選択可能であってもよい。当業者は、本明細書に記載の例示的なハードウェア、ソフトウェア、プロセス、方法、及び/又はオペレーティングシステムが例示の目的のためであり、それゆえ、任意の特定の名称の製造元に限定されることを意図されていないことを更に理解する。
【0024】
図1において、大重量を有する2つのX線源1がある。それらは、対をなしている。各X線源1は、二次モータステージ6に取り付けられている。各二次モータ7は、二次動きステージ6に係合している。全ての二次動きステージ6は、一次モータ5によって制御される回転アームステージの一端部に取り付けられている。全てのモータが、プログラム可能な動き制御ハードウェアによって制御され、モータステージを所定の速度で前後に移動させることができる。結果として、全てのX線源1が、一次モータ回転アームステージ4とともに移動する。1つの対では、個々の各X線源1は、二次モータステージ6とともに個々に移動することもでき、一方のモータステージは、他方のステージと反対の動き方向を有する。X線走査被写体2は、回転中心の近くに位置する。同様の構成を使用して、X線源1の総数は、2つの対、3つの対などに容易になり得る。
【0025】
一次モータ5は、ヘビーデューティのアームを回転させる。一次モータ5は、任意の高速モータであり得る。一次モータ5が一方の方向に回転すると、二次モータステージ6は、それぞれ、二次モータステージ6の対応する二次モータ7の各々と係合することによって、弧状軌道に沿って反対方向に移動される。1つ以上のX線源が、アレイを形成するように二次モータステージ6によって移動される。二次モータステージ6はまた、フレーム支持体と係合し、これが、フレーム支持体及びモータアセンブリを支持する。フレーム支持体は、全てのモータアセンブリ、モータコントローラ、モータドライバ、及びフラットパネル検出器のためのハウジングを提供する。二次モータステージ6の各々は、選択された周波数ではあるが反対方向で振動することができる。
【0026】
一次モータステージは、一次モータ5によって制御される。一次モータアームステージ4に連結された二次モータステージ6の1つ以上の対があり、二次モータステージ6の各々は、一次モータステージに対して移動可能である。二次モータステージ6の各々は、対応する二次モータステージ6を駆動する二次モータ7を有する。X線源1の1つ以上の対がまた、線源のアレイを形成するように、運動している構造に取り付けられている。X線源1の各々は、対応する二次モータステージ6に取り付けられており、弧状軌道上の所定の経路に沿って一定速度で撮像される走査被写体2に対して同時に移動される。X線源のアレイは、一定のグループ速度で、あらかじめ定められた軌道上で、撮像されている走査被写体2の周りで同時に移動する。1つの対では、個々のX線源は、小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、一方は、他方と反対方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。
【0027】
二次モータステージ6は、一次モータアームステージ4の一端部に取り付けられている。二次モータステージ上に取り付けられたX線源は、移動被写体のX線画像を撮影するために使用される。二次モータステージ6のアレイは、各二次モータステージ6の速度を制御する対応する二次モータ7によって、一次モータ回転アームステージ4に連結されている。各二次モータステージ6は、少なくとも1つのX線源を含む。個々の各X線源は、二次モータステージ6上に取り付けられている。各X線源は、任意の所与の時点にあらかじめ定められた最大範囲で二次モータステージ6上のX線源の静止位置の周りで独立して移動することができるが、一方は、これらのX線源が対で移動するように他方と反対方向に移動し、2つのモータからの動き運動量は、相殺される。このことは、結果として総回転トルクが相殺されるようにプロペラ回転方向が反対である複数のプロペラエンジンを有する飛行機のものと同様である。
【0028】
複数のパルス作動X線源は、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられている。複数のX線源1は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、走査被写体2に対して同時に移動する。1つの対では、個々のX線源は、小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、一方は、他方と反対方向に移動する。個々のX線源がグループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、個々のX線源及びX線検出器は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。X線受容器は、X線フラットパネル検出器3である。したがって、複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。結果として、三次元X線撮影画像データを、はるかに短い時間で全体的により広い掃引角度で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0029】
剛性又は可撓性の湾曲したX線パネル検出器3が、X線源のアレイの前に位置付けられている。X線源のアレイは、弧状軌道に沿って掃引する移動構造に取り付けられている。X線源は、トリガ露出中に瞬間的にX線源を静止させるために、個々の線源がグループ又は掃引移動と同じ速度で反対方向に移動すると、トリガされる。この原理に従った様々な実施形態がある。1つの対では、個々のX線源は、小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、一方は、他方と反対方向に移動する。個々のX線源がグループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源1及びX線検出器3は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。全てのX線源1が作動される場合、X線フラットパネル検出器3によって取得されるデータは、単一のX線源動作のデータよりも数倍大きいであろう。
【0030】
対照的に、ヘビーデューティの高出力の複数のパルス作動X線源を有する動き補償トモシンセシスシステムは、通常の単一X線源デジタルトモシンセシスシステムよりも高速に稼働する。一般に、多くのX線源が多いほど、はるかに短い走査時間をもたらすこととなる。例えば、並列の線源の対は、半分の総走査時間を有することとなり、並列の線源の2つの対は、1/4の走査時間を有することとなる、などである。業界用途では、生産性が重要である。生産性が2倍、又は4倍になれば、大きな違いが生じるであろう。
【0031】
高出力の複数のパルス作動X線源を有する動き補償システムは、通常のトモシンセシスシステムの取得時間のほんの一部がかかるだけで、より高速であるという第1の利点を有する。これにより、より高速でありながらより多くのデータ投影が可能になるであろう。したがって、動き補償システムは、より少ない動きアーチファクトを有することとなり、それゆえ、より良い診断結果を伴うより高分解能の画像が可能である。第2の利点は、個々の各X線源1についての移動時間がないことから、走査が進行するにつれて画像分析をほぼリアルタイムで行うことができることである。これにより、追加の3D投影を取得し続けるか否かに関するより良い判断が可能になるであろう。このことはまた、各画像の取得中の露出時間の調整を可能にするであろう。第3の利点は、本明細書に記載の画像データ収集方法であれば、X線源1の最小の全体的な移動距離に起因して、より少ない量の動きアーチファクトにつながることとなるであろうことである。動き補償された高出力の複数のパルス作動X線源の高速3D X線取得のこれら3つの利点は、より良い診断結果、侵襲的手術の必要性の低減、及びがんに起因する合併症のリスクの低減をもたらす。
【0032】
図2は、剛性支持回転アームステージを有する例示的なデュアルX線源システムを示す。X線ビーム10は、走査被写体2を覆うこととなろう。この設計の支持フレーム構造9はまた、高出力X線源を搬送することを可能にする。いくつかのヘビーデューティのX線源の重量は、10キログラムを超え得る。強力な回転アームは、より高い精度で重荷重を容易に取り扱うことができる。同回転アームは、2対のX線源1を搬送することもできる。図4において、駆動モータが、2つのX線管を移動させるために2つのギア8駆動装置を介して連結されている。管は、2つの駆動ゲートを介して2つのギア8駆動装置に接続された2つの管取り付けブラケットを介して接続されている。高電圧発生器11を有する移動可能なオイルタンクが、重量を均衡させるために、管モジュールの反対側の検出器側に取り付けられている。剛性フレームが、オイルタンク及び高電圧発生器11とデュアル管モジュールとを一緒に保持する。フラットな又は湾曲したX線パネル検出器3は、別個のフレーム上に位置付けられている。モータは、機械的に同期された管の移動を提供する。回転中、X線ビーム10は、依然として走査被写体2を覆うこととなろう。
【0033】
デュアルX線源は、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられており、当該線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で走査被写体2に対して同時に移動する。1つの対では、個々の各X線源は、小距離にあるX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもでき、一方の個々の線源は、他方と反対方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、個々のX線源1及びX線検出器3は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源1が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。剛性フラットパネル検出器に加えて、可撓性X線検出器であれば、歪みが最小限になるように、湾曲した幾何学形状を有することを可能にするであろう。2つの線源をグループ内で一定速度で患者に対して移動させ、各線源を振動モードで取り付けた。これらのX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらした。2つの場所の間で振動する、小距離にあるデュアルX線源を使用して三次元患者を走査することによって、ある範囲の画像を撮影した。
【0034】
剛性支持回転アーム構造は、放射線源位置付け機構及びX線検出器に回転支持を提供する。放射線源位置付け機構が上から下へ垂直方向に沿って一定速度で円形軌道に沿って移動すると、単一又は複数のパルス作動X線源を回転させて弧状形状の経路を掃引するための回転アームを有するパルスX線源位置付け機構。パルスX線源位置付け機構は、モータ駆動のリニアステージタイプ、又は手動操作の機械式アクチュエータタイプであり得る。複数のパルス作動X線源は、水平方向に沿った円形軌道上で一次モータの速度に等しい速度で移動する。少なくとも1つのX線検出器が、複数のパルス作動X線源がX線検出器の視野を通過するときにに、複数のパルス作動X線源からX線投影データを受容するための回転アーム構造の一部であるプラットフォームに取り付けられている。X線検出器は、単一のフラットパネルX線検出器3、又は大面積検出器を形成することができる複数のフラットパネルX線検出器3のセットであり得る。
【0035】
図3は、走査テーブル12の中央に被写体2を有する、X線源の対を使用する動き補償デジタルトモシンセシスシステムを例示している。この設計は、3D産業及びセキュリティ検査で、高kV、高mA、1000ワット超のX線源で重い高密度材料を検査することを目的としている。回転アームは、被写体走査テーブル12とは独立している。この構成を、生産ラインでのX線検査で簡単に使用することができる。図3の実施形態では、X線検出器3は、静止ガントリを有する1つのプラットフォームに接続されている一方、別のプラットフォームでは、高電圧発生器11及びシステムコントローラが対向して取り付けられており、それらは、機械的に同期した動きで移動して、それらの間に検出器を露出する。2つのギア8駆動装置を介して連結された駆動モータが、機械的に同期された管移動で2つの移動可能なX線管を移動させる。X線源は、2つの駆動ゲートを介して2つのギア8駆動装置に接続された2つの管取り付けブラケットを介して接続されている。オイルタンク及び高電圧発生器11は、重量を均衡させるために、X線源1に対向する剛性フレーム上に取り付けられ、検出器は、別個のフレーム上に位置付けられている。X線源1は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、被写体2に対して同時に移動し、個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、個々のX線源及びX線検出器3は、外部露出制御ユニットを介して作動される。X線源は、対をなす線源のアレイを形成するように、回転ステージ上に配置されている。個々のX線源は、静止位置の周りで移動するが、一方は、他方と反対方向に移動して、運動量を相殺する。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が静止したままであることを可能にする。一展開では、一次モータステージ及び二次モータステージ6は、位置付けシステムを使用して、モータによって所定の初期の場所に移動され、一次モータステージは、一次モータによって所定の一定速度で掃引され、二次モータステージ6は、二次モータ7によって振動される。二次モータステージ6の対は、常に、互いに反対方向に移動している。
【0036】
被写体を、以下のステップによって3D画像を生成する三次元X線撮影で走査することができる。複数のX線源が、グループとして一定速度で、所定の弧状軌道上で、被写体2に対して移動する。1つの対では、個々の各X線源1は、小距離にあるX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。一方の線源は、他方の線源と反対方向に移動する。個々のX線源1が、グループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するときに、個々のX線源及びX線検出器は、外部露出制御ユニットを介して作動される。この配置は、X線源が、X線源作動及びX線検出器露出中に相対的に静止したままであることを可能にする。個々のX線源が、グループと同じ速度であるが反対方向に移動するとき、フラットパネル検出器が作動され、X線検出データを蓄積する。この作動ステップは、信号のバーストを形成するためにフラットパネル検出器によってパルスが発生することを含む。
【0037】
走査テーブル12は、好ましくは、X線源を有するガントリに配置され、フラットパネル検出器3は、走査テーブル12の平面に概して平行な角度で検査中の被写体2に照射を行うように配置されている。テーブル、したがってフラットパネル検出器のサイズ及び形状は、最小限の弧状の動きで、実質的に直線経路で移動する。より具体的には、走査テーブル12は、ガントリの長手方向軸に沿ったあらかじめ定められた軌道で、走査テーブル12上の被写体2に対して直線的にかつ最小限の弧状の動きで移動する。
【0038】
本発明の主要構成要素のうちの1つは、一次モータ回転アームステージ4及び二次モータステージ6のためのハウジングを提供する支持アーム構造である。システムは、被写体2の周りに3軸の所定の移動を有する。複数のパルス作動X線源は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状軌道上で、被写体2に対して同時に移動する。個々の各X線源はまた、小距離にあるX線源の静止位置の周りで迅速に移動することができる。1つの対では、一方の個々の線源は、他方の線源と反対方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対的に静止したままであることを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。実装態様では、フラットパネル検出器を、画像上の位置不整合、歪み、及びノイズを低減することができる湾曲した検出器に置き換えることができる。
【0039】
本発明は、運動している複数のパルス作動X線源を使用して、超高速、高効率の3D X線撮影を実行することに関する。このシステムでは、複数のパルス作動X線源が、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられている。複数のX線源は、一定のグループ速度で、あらかじめ定められた軌道上で、被写体2の周りで同時に移動する。個々の各X線源は、小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。1つの対では、一方の個々の線源は、他方の線源と反対方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源1は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。この配置は、X線パルストリガ露出持続時間中、X線源が相対的に静止したままであることを可能にする。複数のX線源は、個々のX線源についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。X線受容器は、X線フラットパネル検出器3である。結果として、3D X線撮影画像投影データを、はるかに短い期間で全体的にはるかに広い掃引で取得することができ、走査が進行する間、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。
【0040】
運動している複数のパルス作動X線源の様々な実施形態が、新規な超高速3D X線撮影システムで使用される。この高速3D X線撮影システムは、以下の主要構成要素を含む。一次モータステージ及び二次モータステージ6のためのハウジングを提供する支持アーム構造。軌道に沿って移動する構造上に取り付けられた複数のパルス作動X線源を有するあらかじめ定められた弧状軌道。個々の各X線源は、外部露出制御ユニットによって作動されながら、X線源の静止位置の周りで相対的に静止して移動する。支持フレーム構造9は、この構造を所定位置にしっかりと保持するための支持ベース構造上に取り付けられている。弧状軌道で一次モータアームステージ4を駆動するためのエンコーダを有する少なくとも1つの駆動モータ又は駆動エンジンを有する駆動ユニット。一次モータアームステージ4の移動に対する各X線源の作動時間を制御するための電子ユニット。各X線源の作動時間は、弧状軌道での一次モータアームステージ4の移動と同期している。
【0041】
運動している複数のパルス作動X線源を使用する超高速三次元X線イメージングシステムのいくつかの利点がある。第1に、システムは、既存のシステムよりも数倍高速である。各X線源は、弧状軌道で全距離のほんの一部を機械的に移動するだけでよいこととなる。それにより、X線診断機で患者に必要とされるデータ取得時間が大幅に短縮される。第2に、走査が進行する際に画像分析をリアルタイムで行うこともできる。撮影された画像に対する判断は、次のショットについてのX線源位置に影響を与えることとなる。階層化された画像再構成を行うために、画像全体の取得が終了するまで待つ必要はない。第3に、動きアーチファクトの低減に起因して、高分解能かつ高コントラストの画像の取得が可能である。各対のX線源はまた、X線源の原点の周りで線源を振動させるサブ構造上に取り付けられている。振動速度及び軌道速度の合成は、個々のX線源が作動される瞬間におけるX線源の相対的な静止位置をもたらす。第4に、システムは、はるかに広い掃引を進行させて、より高速でありながらより多くのデータ投影を取得することができる。より多くのデータ投影は、誤診率の低減をもたらす、より良好な画像構成を意味する。第五に、より広い角度及びより高速のイメージング取得であるがために、時間成分を三次元空間イメージングに追加して四次元イメージングデータセットを形成することが可能である。
【0042】
本発明は、パルス作動X線イメージングシステムを、運動している複数のX線源を駆動する特殊な機械的ハードウェアと組み合わせることによって、超高速三次元X線画像を得る方法を提示する。この3Dパルス作動X線イメージングシステムは、移動ステージ上に取り付けられた複数のX線源と連結された、弧状を掃引するための1つ以上のモータステージ対を備え、これらの全てはまた、外部コンピュータ制御によって制御される。パルス作動X線イメージングシステムの設計は、最新の電子機器の高速スイッチング特性を利用して、様々な形状及びサイズの3D X線画像を得るためのデータ取得時間を改善する。これらの画像のデータ分析を、X線露出中にリアルタイムで行うことができる。より重要なことに、アレイ内の個々のX線源の線源場所の拡張されたトラッキングは、再構成された画像におけるより少ない人工ノイズ成分を含め、再構成された3D画像における誤差の低減をもたらす。画像再構成の大部分は、走査の完了後に実行される。
【0043】
一実施形態では、図5は、X線源1の対が円形に取り付けられていることを示す。円形ガントリ15には、上側円形トラック13及び下側円形トラック14がある。上側円形トラック13と下側円形トラック14との間に取り付けられたX線源1の対。X線源1は、グループとして連続的な円形回転上にある。X線源の対について、一方の線源は、円形直径の一方の端部にあり、他方の線源は、円形直径の他方の端部にある。X線源の対は、各々振動するが、反対の角運動量を有し得る。円形の動きは、一次モータで動力を供給され、円形の動きステージは、連続的に回転する一次モータステージである。二次モータステージは、一次モータステージ上に取り付けられている。ガントリ一次モータステージが回転すると、データ取得は連続的に起こり得る。X線ビーム10は、走査テーブル上にある走査被写体2の上のリング構造からのものである。X線フラットパネル検出器3は、走査被写体2の下にある。被写体を、走査被写体2の上半球から360度、X線で見ることができる。X線源管対からの角運動量は相殺して、ガントリシステムの不必要な全体的な振動を回避する。十分な線源管により、動き補償は、必要とされない。
【0044】
X線源のアレイは、一定のグループ速度で、円形軌道上で、撮像されている走査被写体2の周りで同時に移動する。1つの対について、個々のX線源は、二次モータステージによって小距離のX線源の静止位置の周りで迅速に移動することもできるが、個々のX線源の移動の角運動量が常に相殺されてシステム全体の安定性を最大化するように、一方は、他方と反対の角度方向に移動する。個々のX線源が、グループ速度に等しいが反対の移動方向の速度を有するときに、個々のX線源は、外部露出制御ユニットを介してトリガされる。円形の上側トラック13が回転して、固定されたフラットパネル検出器3で線源を露出することができるか、又は代替的に、上側トラック13が固定されていながら、下側円形トラック14を回転させることができるかのいずれかである。このシステムは、医師が定期的に露出制御ユニットを作動させ、かつ外科手術中に必要に応じて患者のX線画像を捕捉することができるように、画像誘導手術を可能にする。放射線量が低いため、医師及びスタッフは、高レベルの放射線に露出されず、画像誘導手術が可能になる。
【0045】
図6は、均等に分布し、かつ円形ガントリに取り付けられた、3対のX線源の上面図を示す。X線源1は、グループとして回転する。上側円形トラック13と下側円形トラック14との間に取り付けられた3対のX線源1。各線源は、ある位置の周りで振動することができる。X線源は、一次円形モータステージが反対の速度を有するときにトリガされる。X線源1が回転し回転し続けると、X線画像を、種々のビューからリアルタイムで連続的に生成することができる。介入放射線医学では、医師は、要求に応じて、画像誘導外科手術中にリアルタイムで種々の角度からのビューを選択することができる。3対のX線源1について、各X線源1は、完全な上半球角度カバレッジに対して60度のみ移動する。手術上の便宜で、ガントリ全体を実際に部屋の天井から吊り下げることができる。イメージングシステムガントリは回転し続け、データ取得は稼働し続け、被写体の画像をリアルタイムで種々の角度から見ることができる。蛍光透視法は、リアルタイムのX線イメージングを提供する方法である。これは、多様な診断及び介入処置を誘導するために特に有用である。動きを表示するX線蛍光透視法の能力は、毎秒最大数十の画像の速度で生成された連続した一連の画像によって提供される。
【0046】
図7は、介入放射線治療中の外科活動のために円形ガントリに取り付けられた6対のX線源を有する上面図を示す。6対のX線源1について、各X線源1は、円形ガントリ15での完全なカバレッジに対して30度のみ移動する。実際のヒトの被写体16を、外科用ベッド12上に置くことができる。円形ガントリに十分な数のX線源1が分布しており、かつX線フラットパネル検出器3が十分に速く稼働している場合には、動き補償は、必要でない場合がある。このことは、この場合に、振動移動のための二次モータ及び二次モータステージを実際には省略することができることを意味する。この特別な場合、X線源1は、円形ガントリでより低い速度で回転し、実際のヒトの被写体16の背面でのX線フラットパネル検出器3の露出は、相対的に短く、検出器の読み出しは、はるかに高速である。高い費用対効果の観点から、動き補償技法は、少数の高コストX線源1が非常に短い時間で大きな視野角をカバーする必要がある場合に主に使用される。リアルタイムビュー3D X線蛍光透視法を使用することによって、介入放射線治療において、介入放射線科医は、疾患を診断及び治療するために低侵襲、画像誘導手順を使用する。これは、多様な診断及び介入処置を指導するために特に有用である。
【0047】
本発明の様々な修正及び変更が、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。以下の任意の方法の請求項に列挙されたステップは、必ずしもそれらが列挙された順序で実行される必要はないことに留意されたい。当業者は、ステップを実行する際に、列挙されたものとは異なる、順序の変形を認識するであろう。加えて、特徴、ステップ、又は構成要素の言及又は説明の欠如は、存在しない特徴、又は構成要素が但し書き若しくは同様の請求項の文言によって除外される、請求項の基礎を提供する。
【0048】
本発明は、様々な例示的な実施形態及び実装態様の観点で上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載の様々な特徴、態様、及び機能性は、それらが記載されている特定の実施形態への適用に限定されず、代わりに、そのような実施形態が記載されているかどうか、及び記載された実施形態の一部としてそのような特徴が提示されているかどうかにかかわらず、単独で又は様々な組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用され得ることを理解されたい。したがって、本実施形態の広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0049】
この文書において使用される用語及び語句、並びにその変化形は、別途明示的に記載されない限り、限定的であるのとは反対に、オープンエンドであると解釈されるべきである。前述の例として、「含む」という用語は、「含むが、これに限定されない」などの意味として解釈されるべきであり、「例」という用語は、その網羅的又は限定的なリストではなく、議論中の項目の例示的な事例を提供するために使用されるべきであり、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」などを意味するものとして解釈されるべきであり、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「知られている」などの形容詞及び同様の意味の用語は、所与の期間に又は所与の時点で利用可能な項目に記載された項目を限定するものと解釈されるべきではなく、代わりに、現在又は将来の任意の時点で利用可能か又は知られ得る従来の、伝統的な、通常の、又は標準の技術を包含するように解釈されるべきである。これゆえ、この文書が、当業者に明らかであるか、又は知られている技術に言及する場合、そのような技術は、現在又は将来の任意の時点で当業者に明らかであるか、又は知られている技術を包含する。
【0050】
いくつかの事例では、「1つ以上」、「少なくとも」、「であるがこれらに限定されない」などの広義の語及び語句、又は語句などの他のもの存在は、そのような広義の語句が存在しないことがある場合に、より狭い場合が意図されるか、又は必要とされることを意味すると解釈されないものとする。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記載又は特許請求される構成要素又は機能性が全て共通のパッケージ内に構成されていることを含意しない。実際、制御ロジック又は他の構成要素にかかわらず、モジュールの様々な構成要素のいずれか又は全ては、単一のパッケージに組み合わされてもよいし、別個に維持されてもよく、複数の場所にわたって更に分散されてもよい。
【0051】
開示される実施形態の先の説明は、当業者が本発明を作成又は使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態の様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で定義される一般原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。それゆえ、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】