(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】調節可能なシャントシステム並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
A61M1/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560574
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 US2021049140
(87)【国際公開番号】W WO2022220861
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】サポジニコフ, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ソール, トム
(72)【発明者】
【氏名】ドリューズ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, レティシア マルケス
(72)【発明者】
【氏名】リリー, リチャード
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA16
4C077EE04
(57)【要約】
本技術は、第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムを対象とし、シャント要素と、シャント要素内の開口部と、開口部を通る流体の流動を選択的に制御するためのアクチュエータと、を含むことができる。アクチュエータは、開口部を通る流体流動と実質的に干渉しない第1の位置と、開口部を通る流体流動を少なくとも部分的に遮断する第2の位置との間で移動可能なゲート要素と、作動されるときにゲート要素を第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かって移動させるように構成された形状記憶作動要素と、を含むことができる。システムは、形状記憶作動要素の作動後、ゲート要素を第2の位置において、及び/又は第2の位置に近接して解放可能に保持するために、ゲート要素と摩擦係合するように構成された摩擦要素を更に含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
前記第1の身体領域と前記第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
前記シャント要素の外部を前記シャント要素の内部に流体接続する開口部と、
前記開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
前記開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、前記開口部を通る流体流動を少なくとも部分的に遮断する第2の位置との間で移動可能なゲート要素、並びに
作動されるとき、前記ゲート要素を、前記第1の位置から前記第2の位置に、及び/又は前記第2の位置に向かって移動させるように構成された形状記憶作動要素を有するアクチュエータと、
前記形状記憶作動要素の作動後、前記ゲート要素を前記第2の位置において、及び/又は前記第2の位置に近接して解放可能に保持するために、前記ゲート要素と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備える、調節可能なシャントシステム。
【請求項2】
前記摩擦要素が、前記ゲート要素と摩擦係合するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記形状記憶作動要素が、第1の形状記憶作動要素であり、前記システムが、作動されるとき、前記ゲート要素を前記第2の位置から前記第1の位置に、及び/又は前記第1の位置に向かって移動させるように構成された第2の形状記憶作動要素を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の形状記憶作動要素が、前記ゲート要素と前記摩擦要素との間の力に打ち勝って、前記ゲート要素を前記第2の位置から前記第1の位置に、及び/又は前記第1の位置に向かって移動させるように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記摩擦要素が、第1の摩擦要素であり、前記システムが、前記第2の形状記憶要素の作動後、前記ゲート要素を前記第1の位置において、及び/又は前記第1の位置に近接して保持するために前記ゲート要素と係合するように構成された第2の摩擦要素を更に備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記開口部を有する第1の表面と前記摩擦要素を有する第2の表面との間のチャンバ内に位置決めされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記摩擦要素が、前記第2の表面上にレッジを含み、前記レッジが、前記開口部を通って延在する軸と位置合わせされている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ゲート要素が、前記第2の位置にあるときに前記開口部と係合するように構成された第1の表面と、前記第2の位置にあるときに前記レッジと係合するように構成された第2の表面と、を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記レッジが、前記ゲート要素が前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動する際、前記ゲート要素を前記開口部に向かって方向付けて、前記ゲート要素の上部表面と前記開口部との間の接触を改善するように更に構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記レッジが、くさび形状である、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記レッジが、テクスチャ化されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが、プレートアセンブリを含み、前記プレートアセンブリが、前記開口部、前記アクチュエータ、及び前記摩擦要素を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記プレートアセンブリが、複数のシートを含み、前記摩擦要素が、前記複数のシートのうちの1つと一体化されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記形状記憶作動要素が、作動後に回復運動を呈するように構成されており、前記摩擦要素が、前記形状記憶作動要素の前記回復運動中に前記ゲート要素のいかなる所望されない運動も低減するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、眼内シャントシステムであり、前記第1の身体領域が、患者の眼の前房であり、前記第2の身体領域が、所望の流出場所である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ゲート要素が、前記開口部の流体封止を改善するために前記第2の位置にあるとき、前記ゲート要素が、前記開口部に当接する、及び/又は前記開口部を部分的に占有するように構成された封止要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記封止要素が、少なくとも部分的に潤滑性材料から構成され、及び/又は潤滑性コーティングを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記封止要素が、少なくとも部分的にシリコンから構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記封止要素が、疎水性材料と親水性材料との組み合わせから構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の位置にあるとき、前記ゲート要素が、入口に面する第1の表面、及び入口から離れる方向に面する第2の表面を有し、前記封止要素が、前記第1の表面上に位置決めされ、前記開口部に当接し、及び/又は前記開口部を部分的に占有するように構成された第1の部分と、前記第2の表面上に位置決めされ、前記摩擦要素と係合するように構成された第2の部分と、を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記封止要素の前記第1の部分が、潤滑性材料から構成され、及び/又は潤滑性コーティングを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記封止要素の前記第2の部分が、非潤滑性材料から構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記開口部が、第1の開口部であり、前記システムが、
前記第1の開口部に流体結合された第1のチャネルと、
前記シャント要素の前記外部を前記シャント要素の前記内部に流体接続する第2の開口部と、
前記第2の開口部に流体的に結合された第2のチャネルであって、前記第2のチャネルが、前記第1のチャネルから実質的に流体的に分離され、前記第2の開口部が、いかなる対応するアクチュエータも含まず、前記システムが埋め込まれたときに実質的に開放されたままであるように構成されている、第2のチャネルと、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
前記第1の身体領域と前記第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
前記シャント要素の外部を前記シャント要素の内部に流体接続する開口部と、
前記開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素であって、前記ゲート要素の第1の端部部分が、前記開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、前記ゲート要素の前記第1の端部部分が、前記開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間で移動可能な、ゲート要素、
作動されるとき、前記ゲート要素を前記第1の位置から前記第2の位置に、及び/又は前記第2の位置に向かって移動させるように構成された第1の形状記憶作動要素、並びに
作動されるとき、前記ゲート要素を前記第2の位置から前記第1の位置に、及び/又は前記第1の位置に向かって移動させるように構成された第2の形状記憶作動要素を有する、アクチュエータと、
前記ゲート要素の前記第1の端部部分と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備え、
(a)前記ゲート要素が、前記第1の位置にあるとき、前記摩擦要素が、前記ゲート要素を前記第1の位置に向かって付勢し、及び/又は前記ゲート要素を前記第1の位置に解放可能に保持し、(b)前記ゲート要素が、前記第2の位置にあるとき、前記摩擦要素が、前記ゲート要素を前記第2の位置に向かって付勢し、及び/又は前記ゲート要素を前記第2の位置に解放可能に保持する、調節可能なシャントシステム。
【請求項25】
前記摩擦要素が、
前記第1の形状記憶作動要素の作動時に、前記第1の位置から前記第2の位置に、及び/又は前記第2の位置に向かう前記ゲート要素の移動を可能にすることと、
前記第1の形状記憶作動要素の作動後に、前記第2の位置から前記第1の位置に向かう前記ゲート要素の移動を阻止することと、
前記第2の形状記憶作動要素の作動時に、前記第2の位置から前記第1の位置に、及び/又は前記第1の位置に向かう前記ゲート要素の移動を可能にすることと、
前記第2の形状記憶作動要素の作動後に、前記第1の位置から前記第2の位置に向かう前記ゲート要素の移動を阻止することと、を行うように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の形状記憶作動要素及び前記第2の形状記憶作動要素が、作動後に回復運動を呈するように構成されており、前記摩擦要素が、前記第1の作動要素の作動後及び前記第2の作動要素の作動後の前記ゲート要素のいかなる所望されない運動も低減及び/又は防止するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の形状記憶作動要素が、作動されるとき、前記第2の位置に向かう回転力を前記ゲート要素に付与するように構成されており、前記回転力が、前記ゲート要素と前記摩擦要素との間の静止摩擦力よりも大きく、そのため前記ゲート要素が、前記摩擦要素を通過して前記第2の位置に向かって摺動する、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記第2の形状記憶作動要素が、作動されるとき、前記第1の位置に向かう回転力を前記ゲート要素に付与するように構成されており、前記回転力が、前記ゲート要素と前記摩擦要素との間の静止摩擦力よりも大きく、そのため前記ゲート要素が、前記第1の位置に向かって前記摩擦要素を通過して摺動する、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記摩擦要素が、前記アクチュエータと一体化されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記摩擦要素が、タブ、塊、突起、又は隆起である、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
前記第1の身体領域と前記第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
前記シャント要素の外部を前記シャント要素の内部に流体接続する開口部と、
前記開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素であって、前記ゲート要素の第1の端部部分が、前記開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、前記ゲート要素の前記第1の端部部分が、前記開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間で移動可能な、ゲート要素、
(1)前記ゲート要素を前記第1の位置から前記第2の位置に、及び/又は前記第2の位置に向かって移動させる、作動されるときに好ましい幾何学形状に向かう一次移動を呈することと、(2)作動後にその好ましい幾何学形状から離れる二次移動を呈することと、を行うように構成された第1の形状記憶作動要素、
(1)前記ゲート要素を前記第2の位置から前記第1の位置に、及び/又は前記第1の位置に向かって移動させる、作動されるときに好ましい幾何形状に向かう一次移動を呈することと、(2)作動後にその好ましい幾何形状から離れる二次移動を呈することと、を行うように構成された第2の形状記憶作動要素、を有する、アクチュエータと、
前記ゲート要素の前記第1の端部部分と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備え、
前記摩擦要素が、前記第1の作動要素の二次移動中及び前記第2の作動要素の二次移動中に、前記ゲート要素の所望されない運動を低減するように構成されている、調節可能なシャントシステム。
【請求項32】
前記第1の作動要素の前記二次移動が、前記第2の作動要素によって少なくとも部分的に引き起こされる回復運動であり、前記第2の作動要素の前記二次移動が、前記第1の作動要素によって少なくとも部分的に引き起こされる回復運動である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
前記第1の身体領域と前記第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
前記シャント要素の外部を前記シャント要素の内部に流体接続する開口部と、
前記開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素、
前記ゲート要素の第1の部分に結合された第1の形状記憶作動要素、及び
前記ゲート要素の第2の部分に結合された第2の形状記憶作動要素を有する、アクチュエータと、を備え、
前記第1の形状記憶作動要素が、前記ゲート要素を、前記ゲート要素が前記開口部を通る流体流動と干渉しない第1の低エネルギー位置から、中間高エネルギー位置を通って、前記ゲート要素が前記開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の低エネルギー位置に移動させるように構成されており、
前記第2の形状記憶作動要素が、前記ゲート要素を、前記第2の低エネルギー位置から、前記中間高エネルギー位置を通って、前記第1の低エネルギー位置に移動させるように構成されている、調節可能なシャントシステム。
【請求項34】
前記アクチュエータが、前記中間高エネルギー位置によって、前記第1又は第2の形状記憶作動要素の回復運動中の前記ゲート要素の所望されない運動を低減及び/又は防止するように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記アクチュエータが、
前記第1の形状記憶作動要素の作動中に、前記第1の形状記憶作動要素によって前記ゲート要素に及ぼされる第1の力が、前記中間高エネルギー位置を通して前記ゲート要素を移動させるのに十分であり、
前記第1の形状記憶作動要素の回復運動中に、前記第1の形状記憶作動要素によって前記ゲート要素に及ぼされる第2の力が、前記中間高エネルギー位置を通して前記ゲート要素を移動させるのに十分ではないように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記ゲート要素が、前記第1の低エネルギー位置における第1の内部応力分布と、前記第2の低エネルギー位置における第2の内部応力分布と、前記中間高エネルギー位置における第3の内部応力分布と、を有し、前記ゲート要素が、前記第1の内部応力分布及び/又は前記第2の内部応力分布に向かって付勢されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の内部応力分布及び前記第2の内部応力分布が、およそ等しい、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
シャントの開口部を通る流体流動を調節する方法であって、
形状記憶アクチュエータを作動させて、(a)前記開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、(b)前記開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間でゲート要素を移動させることであって、
前記ゲート要素を前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させることが、前記ゲート要素を前記第1の位置に向けて方向付ける第1の付勢力に打ち勝つことを含む、移動させることと、
前記形状記憶アクチュエータの回復移動中に、前記ゲート要素を前記第2の位置に解放可能に保持することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記ゲート要素を前記第2の位置に解放可能に保持することが、前記形状記憶アクチュエータの前記回復動作中、前記ゲート要素の前記第2の位置から前記第1の位置に向かう移動を防止することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ゲート要素を前記第2の位置に解放可能に保持することが、前記ゲート要素を摩擦要素と係合させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記摩擦要素が、前記付勢力を生成する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ゲート要素が、前記第1の位置及び前記第2の位置において第1の貯蔵エネルギーを有し、前記ゲート要素を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させることが、前記ゲート要素を、前記第1の貯蔵エネルギーよりも大きい第2の貯蔵エネルギーを有する中間位置を通って遷移させることを含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月15日に出願された米国仮特許出願第63/175,147号、及び2021年6月30日に出願された同第63/216,801号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示は、両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して、埋め込み可能な医療デバイスに関し、具体的には、患者の第1の身体領域と第2の身体領域との間の流体流動を選択的に制御するためのシャントシステム及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能なシャントシステムは、第1の身体領域/腔から第2の身体領域/腔に流体をシャントすることによって様々な患者の状態を治療するために広く使用されている。シャントシステムを通る流体の流動は、シャントにわたる圧力勾配及びシャントを通して画定される流路の物理的特性(例えば、シャント管腔の抵抗)によって主に制御される。しかしながら、ほとんどのシャントシステムは、調節可能でない単一の静的流路を有する。したがって、従来のシャントシステムに関する1つの課題は、特定の患者に対して適切なサイズのシャントを選択することである。シャントが小さすぎると、患者に十分な療法を提供できない場合があり、シャントが大きすぎると、患者に新たな問題が生じる場合がある。これにもかかわらず、ほとんどの従来のシャントは、埋め込み後に調節することができず、したがって、患者の個々の様々な必要性を満たすために調節されるか又は滴定することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術は、流体を患者の第1の身体領域から第2の身体領域に排出するための調節可能なシャントシステムを対象とする。調節可能なシャントシステムは、第1の身体領域と第2の身体領域との間に延在するように構成されたシャント要素と、シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する開口部と、開口部を通る流体の流動を選択的に制御するためのアクチュエータと、を含むことができる。そうするために、アクチュエータは、(a)開口部を通る流体流動と実質的に干渉しない第1の位置と、開口部を通る流体流動を少なくとも部分的に遮断する第2の位置との間で移動可能なゲート要素と、(b)作動されるときにゲート要素を第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かって移動させるように構成された形状記憶作動要素と、を含むことができる。システムは、形状記憶作動要素の作動後、ゲート要素を第2の位置において、及び/又は第2の位置に近接して解放可能に保持するために、ゲート要素に摩擦的に又は別様に機械的に係合するように構成された摩擦要素を更に含むことができる。例えば、摩擦要素は、ゲート要素の端部部分を、作動要素の作動中に端部部分の並進を可能にするのに十分低いが、作動事象後に端部部分の並進を防止するか又は少なくとも低減させるために十分高い力と係合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、(1)作動要素の作動中にゲート要素に付与される第1の並進(例えば、回転)力は、ゲート要素と摩擦要素との間の静摩擦及び動摩擦よりも大きく、(2)作動要素の作動後にゲート要素に付与される第2の並進(例えば、回転)力は、ゲート要素と摩擦要素との間の静摩擦未満である。いくつかの実施形態では、システムはまた、ゲート要素が第2の位置にあるとき、開口部における封止を改善するために、ゲート要素上に封止要素を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本技術の多くの態様は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描画されていない。代わりに、本技術の原理を明確に例示することに、重点がおかれている。更に、構成要素は、例示を明瞭にするだけのために特定の図において透明として示される場合があり、図示された構成要素が必ずしも透明であることを示すものではない。また、構成要素が概略的に示されている場合もある。
【0006】
【
図1A】本技術の選択された実施形態に従って構成された調節可能なシャントシステムを例解する。
【
図1B】
図1Aに示され、本技術の選択された実施形態に従って構成されたシステムのプレートアセンブリの拡大図である。
【
図1C】
図2に示され、本技術の選択された実施形態に従って構成されたプレートアセンブリの一部分の拡大図である。
【
図2A】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された、アクチュエータを例解する。
【
図2B】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された、アクチュエータを例解する。
【
図2C】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された、アクチュエータを例解する。
【
図2D】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された、アクチュエータを例解する。
【
図3A】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図3B】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図3C】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図4A】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図4B】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図4C】調節可能なシャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータを例解する。
【
図5】眼内シャントシステムとともに使用され、本技術の選択された実施形態に従って構成されたアクチュエータを例解する。
【
図6A】本技術の選択された実施形態に従って構成された別の調節可能なシャントシステムを例解する。
【
図6B】
図5Aに示され、本技術の選択された実施形態に従って構成された調節可能なシャントシステムの一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
調節可能なシャントシステムのための形状記憶アクチュエータは、米国特許出願第17/175,332号などにおいて前述されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。形状記憶アクチュエータの構造、製造プロセス、微細構造、及び/又は動作条件に応じて、形状記憶アクチュエータは、アクチュエータに幾何学的変化を付与する作動事象後、アクチュエータがその作動前の幾何学的構成に向かって少なくともわずかに戻るように移動する、回復効果を受け得る。例えば、2つの対向するが、結合された作動要素を有する形状記憶アクチュエータでは、第1の作動要素の作動は、第1の作動要素を作動構成(例えば、その好ましい幾何学形状)に向かって移動させるが、概して、第2の作動要素をその好ましい幾何学形状に対して変形させる。しかしながら、作動後、第1の作動要素は、その好ましい幾何学形状から離れるようにそれを押す外部(例えば、機械的)応力(例えば、その好ましい幾何学形状に対して更に変形される第2の作動要素によって付与される応力)との平衡を求めるので、その作動前構成に向かって少なくともわずかに戻るように移動し得る。作動後にその作動前構成に向かって戻るこの移動は、本明細書において、「回復運動」、「回復移動」、「反作用運動」、「反動」、又は「平衡化移動」と称される。形状記憶アクチュエータを利用して、開口部を通る流体流動を制御するゲート要素を移動させるとき、この回復運動は、(例えば、作動後にゲート要素を所望の位置から離れるように移動させることによって)アクチュエータによって付与される流動制御のレベルを低減させる、ゲート要素の所望されない運動を引き起こす可能性がある。本技術は、ゲート要素に対する回復運動の影響を低減するか又は排除する、摩擦要素などの特徴を含むことによって、ゲート要素に対する回復運動の影響に対処し、それによってアクチュエータによって付与される制御を改善することが期待される。本技術はまた、流体がシャントシステムを通って流動することを防止するために、開口部との部分的又は完全な流体封止部を選択的に形成することができる封止要素を含むことによって、流体制御を改善することが期待される。
【0008】
以下に提示される説明内で使用される専門用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されている場合であっても、その最も広い合理的な方法で解釈されることを意図している。特定の用語は、以下で強調されることさえあり得、しかしながら、任意の限定された方法で解釈されることが意図される任意の用語は、この詳細な説明のセクションにおいてそのように明白かつ具体的に定義される。追加的に、本技術は、実施例の範囲内であるが、
図1A~
図6Bに関して詳細に説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【0009】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「ある実施形態」と言及するとき、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態のことを言っている訳ではない。また、特定の特徴又は特性は、1つ以上の実施形態においていかなる適した方法で組み合わされてもよい。
【0010】
本明細書全体を通して、例えば「概して」、「およそ」、及び「約」などの相対的な用語に言及する場合、本明細書では、記載された値プラス又はマイナス10%を意味するために使用される。本明細書全体を通して「抵抗」という用語への言及は、文脈が他に明確に規定しない限り、流体抵抗を指す。「排出率」、「流量」、及び「流動」という用語は、構造を通る流体の運動を説明するために交換可能に使用される。
【0011】
本明細書において使用される際、「摩擦要素」及び「摩擦的要素」という用語は、第2の構造に物理的に接触/係合するように構成された第1の構造を説明するために互換的に使用される。これらの用語は、第1及び第2の構造の平行な表面の間で接触が生じる構成、又は接触が生じるように構成される構成に限定されない。むしろ、「摩擦要素」及び「摩擦的要素」という用語は、構造間の係合の配向にかかわらず、第2の構造の一部分と物理的に係合/接触して、第2の構造の運動に少なくとも部分的に抵抗するように構成された第1の構造を含む。
【0012】
本明細書の特定の実施形態は、眼の前房からの流体のシャントに関して説明されているが、当業者は、本技術が、眼の他の部分から、及び/若しくは眼の他の部分の間で、より一般的には、第1の身体領域及び第2の身体領域から、並びに/又は第1の身体領域と第2の身体領域との間で流体をシャントするように容易に適合することができることを理解するであろう。更に、本明細書の特定の実施形態は、緑内障治療の文脈で説明されているが、「緑内障シャント」又は「緑内障デバイス」と称されるものを含む、本明細書の任意の実施形態は、それにもかかわらず、眼又は他の身体領域の他の疾患又は状態を含む、他の疾患若しくは状態を治療するために使用及び/又は修正され得る。例えば、本明細書において説明されるシステムは、限定されるものではないが、心不全(例えば、駆出率を維持する心不全、駆出率が低下した心不全など)、肺不全、腎不全、水頭症などを含む、圧力の増加及び/又は流体の蓄積を特徴とする疾患を治療するために使用することができる。更に、概して、水をシャントすることに関して説明されているが、本明細書において説明されるシステムは、第1の身体領域と第2の身体領域との間で、血液又は脳脊髄液などの他の流体をシャントするために等しく適用され得る。
【0013】
図1Aは、本技術の選択された実施形態に従って構成されたシャントシステム100(「システム100」)を例解する。以下でより詳細に説明されるように、システム100は、患者の眼の前房から房水を排出するなど、第1の身体領域から流体を排出するための調節可能な療法を提供するように構成される。
【0014】
システム100は、概して、細長いハウジング102及びプレートアセンブリ120を含む。細長いハウジング102(ケーシング、膜、シャント要素などとも称され得る)は、第1の端部部分102aと第2の端部部分102bとの間に延在する。細長いハウジング102は、第1の端部部分102aにおいて、若しくは第1の端部部分102aに近接して、プレートアセンブリ120を実質的に及び/又は完全に包み込む。例解された実施形態では、細長いハウジング102は、
図1Bに関して以下で更に詳細に説明されるように、プレートアセンブリ120内のそれぞれの流体入口と位置合わせされる3つの開口104(例えば、第1の開口104a、第2の開口104b、及び第3の開口104c)を含む。細長いハウジング102は、細長いハウジング102の第2の端部102bに近接して位置決めされた1つ以上の流体出口106にプレートアセンブリ120を流体結合する主流体導管110を更に含む。いくつかの実施形態では、細長いハウジング102は、わずかに弾性又は可撓性の生体適合性材料(例えば、シリコンなど)から構成される。細長いハウジング102はまた、任意選択的に、細長いハウジング102を所望の位置に固定するための穴(例えば、縫合穴)を有する1つ以上のウイング又は付属物112を含むことができる。
【0015】
プレートアセンブリ120(流動制御プレート、流動制御カートリッジ、プレート構造などとも称され得る)は、細長いハウジング102内に位置決めされ、システム100を通る流体の流動を制御するように構成される。例えば、
図1Bに最もよく示されているように、プレートアセンブリ120は、細長いハウジング102内の対応する開口104a~cと位置合わせされる1つ以上の流体開口部又は入口124(例えば、第1の流体入口124a、第2の流体入口124b、及び第3の流体入口124c)を含む。流体入口124は、流体が、システム100の外部の環境からプレートアセンブリ120の内部(このため、細長いハウジング102の内部)に進入することを可能にする。いくつかの実施形態では、流体がシステム100に進入する唯一の経路が流体入口124を通るように、プレートアセンブリ120の上部表面は、第1の端部部分102aにおいて細長いハウジング102の内部表面と実質的な流体封止部を形成する。したがって、流体がシステム100を通って流動するためには、概して、流体はプレートアセンブリ120を通って流動しなければならない。
【0016】
プレートアセンブリ120を通る流体経路は、流体がどの流体入口124を通って進入するかに依存する。例えば、第1の流体入口124aを介してシステム100に進入する流体は、プレートアセンブリ120の第1のチャンバ121aに流入し、第1のチャネル136aを介して主流体導管110に排出される。第2の流体入口124bを介してシステム100に進入する流体は、プレートアセンブリ120の第2のチャンバ121bに流入し、第2のチャネル136bを介して主流体導管110に排出される。第3の流体入口124cを介してシステム100に進入する流体は、プレートアセンブリの第3のチャンバ121cに流入し、第3のチャネル136cを介して主流体導管110に排出される。チャンバ121a~cは、プレートアセンブリ120を通る3つの別個の流路が存在するように、流体的に分離され得る。チャネル136a~cはまた、それらが異なる流体抵抗を有し、このため所与の圧力に対して異なる流量を提供するように、互いに対して異なる幾何学的構成(例えば、長さ)を有することができる。各流体経路によって提供される療法の相対的レベルは、以下に説明されるように、ユーザが、様々な流体経路を選択的に開放及び/又は閉鎖することによって(例えば、個々の流体入口124を通る流動を選択的に妨害又は可能にすることによって)、システム100によって提供される療法のレベルを調節し得るように、異なり得る。例えば、所与の圧力下で、流体が主に第1の流体入口124aを通って進入するとき、システム100は、第1の排出速度を提供することができ、流体が主に第2の流体入口124bを通って進入するとき、システム100は、第1の排出速度未満の第2の排出速度を提供することができ、流体が主に第3の流体入口124cを通って進入するとき、システム100は、第1の排出速度未満の第3の排出速度を提供することができる。他の実施形態では、チャネル136a~cは、同じ又は概して同じ流体抵抗を有し、このため、所与の圧力に対して同様の流量を提供するように、同じ又は概して同じ幾何学的構成を有し得る。
【0017】
プレートアセンブリ120は、システム100に進入する流体の流動を選択的に制御するように構成される。具体的には、プレートアセンブリ120は、第1のチャンバ121a内に位置決めされ、第1の流体入口124aを通る流体の流動を制御するように構成された第1のアクチュエータ130aと、第2チャンバ121b内に位置決めされ、第2の流体入口124bを通る流体の流動を制御するように構成された第2のアクチュエータ130bと、第3のチャンバ121c内に位置決めされ、第3の流体入口124cを通る流体の流動を制御するように構成された第3のアクチュエータ130cと、を含む。第1のアクチュエータ130aは、例えば、ゲート要素134aが(例えば、第1の流体入口124aと干渉しないことによって)第1の流体入口124aを通って流体が流動するのを実質的に防止しない第1の(例えば、「開」)位置と、ゲート要素134aが(例えば、第1の流体入口124aを遮断することによって)第1の流体入口124aを通って流体が流動するのを実質的に防止する第2の(例えば、「閉」)位置との間で移動するように、第1の流体入口124aと移動可能にインターフェース接続するように構成された第1の突起又はゲート要素134aを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータ130aは、第2の(例えば、「閉」)位置において、第1の流体入口124aを通る意図的な漏出が存在するように設計される(例えば、ゲート要素134aは、第1の流体入口124aを通る流体流動を完全に遮断しない)。いくつかの実施形態では、ゲート要素134aは、第1の(例えば、開)位置と第2の(例えば、閉)位置との間の1つ以上の中間位置に移動するように構成することができる。第2のアクチュエータ130bは、第2のゲート要素134bを含むことができ、第3のアクチュエータ130cは、ゲート要素134aと同様の様式で動作する(例えば、第2の流体入口124b及び第3の流体入口124cに対して開位置と閉位置との間で移動可能である)第3のゲート要素134cを含むことができる。
【0018】
第1のアクチュエータ130aは、第1の(例えば、開)位置と第2の(例えば、閉)位置との間のゲート要素134aの移動を駆動する、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2を更に含むことができる。第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、少なくとも部分的に形状記憶材料又は合金(例えば、ニチノール)から構成することができる。したがって、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、少なくとも第1の材料相又は状態(例えば、マルテンサイト状態、R相、マルテンサイトとR相との間の複合状態など)と、第2の材料相又は状態(例えば、オーステナイト状態、R相状態、オーステナイトとR相との間の複合状態など)との間で遷移可能であり得る。第1の材料状態では、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、作動要素が第1の材料状態にあるときに対して作動要素をより容易に変形可能にする(例えば、圧縮可能、拡張可能など)低減された(例えば、相対的に剛性が低い)機械的特性を有し得る。第2の材料状態では、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、第1の材料状態に対して増加した(例えば、相対的により剛性の)機械的特性を有してもよく、特定の好ましい幾何学形状(例えば、元の幾何学形状、製造された又は作製された幾何学形状、ヒートセット幾何学形状など)に対する増加した選好を引き起こす。第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、エネルギー(例えば、レーザエネルギー、電気エネルギーなど)を第1の作動要素132a1又は第2の作動要素132a2に印加して、遷移温度を超えて(例えば、概して、体温よりも高いオーステナイト終了温度(Af)を超えて)加熱することによって、第1の材料状態と第2の材料状態との間で選択的かつ独立して遷移することができる。遷移温度を超えて加熱されたときに、第1の作動要素132a1(又は第2の作動要素132a2)がその好ましい幾何学形状に対して変形される場合、第1の作動要素132a1(又は第2の作動要素132a2)は、その好ましい幾何学形状に、及び/又はその好ましい幾何学形状に向かって移動する。いくつかの実施形態では、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、作動した作動要素(例えば、第1の作動要素132a1)がその好ましい幾何学形状に向かって遷移するとき、非作動の作動要素(例えば、第2の作動要素132a2)がその好ましい幾何学形状に対して更に変形されるように、動作可能に結合される。
【0019】
温度が遷移温度を下回って下がると(例えば、エネルギー印加の停止後)、作動した作動要素(例えば、第1の作動要素132a
1)は、その第1の材料状態に、及び/又はその第1の材料状態に向かって遷移し、作動要素をその好ましい幾何学形状から離れるように押す外部(例えば、機械的)応力(例えば、その好ましい幾何学形状に対して更に変形している非作動の作動要素によって付与される応力)との平衡を求めるので、作動前幾何学形状に向かって戻るいくらかの回復又は反応運動を呈し得る。作動前の作動要素における変形の程度及び作動要素に作用する外部応力の程度に応じて、回復運動は、概して、作動要素をその作動前の幾何学形状に完全に戻らせるのではなく、むしろ好ましい幾何学形状と作動前の幾何学形状との間の中間幾何学形状に戻らせる。作動要素はゲート要素134aに結合されているので、作動要素における回復運動はまた、最小限の相変態しか生じない、及び/又は相変態が生じない場合であっても、ゲート要素134aにおいて対応する運動を引き起こし得る。しかしながら、
図1Cに関して以下に説明されるように、プレートアセンブリ120は、作動要素の回復運動がゲート要素134aの対応する運動を引き起こすことを低減及び/若しくは防止する、並びに/又は作動要素自体の回復運動を低減及び/若しくは防止する、1つ以上の特徴を含むことができる。
【0020】
第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、概して、反対に作用する。例えば、第1の作動要素132a1は、ゲート要素134aを第1の(例えば、開)位置に、及び/又は第1の(例えば、開)位置に向かって移動させるように作動させることができ、第2の作動要素132a2は、ゲート要素134aを第2の(例えば、閉)位置に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって移動させるように作動させることができる。追加的に、上で説明したように、第1の作動要素132a1及び第2の作動要素132a2は、材料の相遷移時に一方がその好ましい幾何学形状に向かって移動すると、他方がその好ましい幾何学形状に対して変形するように結合され得る。これは、作動要素132aが繰り返し作動され、ゲート要素134aが第1の(例えば、開)位置と第2の(例えば、閉)位置との間で繰り返し循環されることを可能にする。しかしながら、第1の作動要素132a1と第2の作動要素132a2とが結合されているので、第1の作動要素132a1内の応力は、第2の作動要素132a2の作動後、第2の作動要素132a2において回復運動を引き起こすことができ、第2の作動要素132a2内の応力は、第1の作動要素132a1の作動後、第1の作動要素132a1において回復運動を引き起こすことができる。
【0021】
第2のアクチュエータ130b及び第3のアクチュエータ130cもまた、各々、一対の対向する形状記憶アクチュエータを含み、第1のアクチュエータ130aと同一又は同様の様式で動作することができる。形状記憶アクチュエータの動作、並びに調節可能な緑内障シャントに関する追加の詳細は、米国特許出願第17/175,332号、米国特許出願公開第2020/0229982号、並びに国際特許出願第PCT/US20/55144号、同第PCT/US20/55141号、同第PCT/US21/14774号、同第PCT/US21/18601号、同第PCT/US21/23238号、及び同第PCT/US21/27742号において記載され、その開示は、参照によりその全体が、全ての目的に対して本明細書に組み込まれる。
【0022】
いくつかの実施形態では、プレートアセンブリ120は、(例えば、化学結合、溶接、接着などを介して)ともに結合された複数の別個のシート(例えば、ガラスシート)によって部分的に形成される。複数の別個のシートは、チャネル136a~c及びチャンバ121a~cを形成するように設計することができる。プレートアセンブリ120と同様の態様を有するプレートアセンブリの製造を含む追加の詳細は、米国仮特許出願第63/140,655号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
図1Cは、明確にするために第1のアクチュエータ130aが省略された第1のチャンバ121aを例解するプレートアセンブリ120の一部分の拡大図である。例解されるように、プレートアセンブリ120は、ゲート要素134aが第1の(例えば、開)位置から第2の(例えば、閉)位置に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって移動する際に、ゲート要素134a(
図1B)に係合する第1のチャンバ121a内の停止要素127a(例えば、壁)を含むことができる。これは、第2の作動要素132a
2(
図1B)が作動されるときに、ゲート要素134aが第2の(例えば、閉)位置を通過して移動することを防止する。
【0024】
プレートアセンブリ120はまた、概して、第1の流体入口124aの略下に位置決めされる(例えば、第1の流体入口124aの中心を通って延在する軸がまたレッジ125aも通って延在するように位置決めされる)隆起部分又はレッジ125aを含む。レッジ125aは、第1のチャンバ121aの「床」を形成するプレートアセンブリの部分に対して隆起している。レッジ125aは、
図1Cに平坦なステップ断面プロファイルで示されているが、レッジ断面プロファイルは、三角形、円形、正弦波形、放物線形、双曲線形、球形、円錐形などを含む、床に対して隆起した任意の形状であり得る。レッジ125aは、以下で説明される第1のアクチュエータ130aの動作を改善することが期待されるいくつかの目的を果たすことができる。
【0025】
レッジ125aは、ゲート要素134aが第1の(例えば、開)位置から第2の(例えば、閉)位置に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって移動する際に、(例えば、ゲート要素134aに対する回復運動の影響を低減することによって)ゲート要素134aの所望されない運動を低減することができる。
図1Bを参照して前述したように、ゲート要素134aが第1の(例えば、開)位置にある場合、第2の作動要素132a
2を作動させることは、ゲート要素134aを、(例えば、ゲート要素134aが、概して第1の流体入口124aの下に位置決めされるように)第2の(例えば、閉)位置に向かって移動させる。しかしながら、熱が第2の作動要素132a
2から除去されると、それは、その第1の材料状態に向かって戻るように遷移する際、回復運動を呈し得る。第2の作動要素132a
2がゲート要素134aに接続されているので、この回復運動はまた、第1の(例えば、開)位置に向かって戻るゲート要素134a内の対応する(かつ所望されない)運動を引き起こす可能性があり、それによって、ゲート要素134aを所望の停止位置から離れるように移動させ、第1の流体入口124aを部分的に又は完全に遮断解除し得る。これは、ユーザが第1の流体入口124aを「閉鎖する」ことを望む場合であっても、第1の流体入口124aを介してプレートアセンブリ120に流体が進入することを可能にし得る、及び/又は進入する流体の量を増加させ得るので、不利である。ゲート要素134aのこの所望されない運動を防止するか又は低減するために、レッジ125aは、ゲート要素134aが第2の(例えば、閉)位置にあるときにゲート要素134aの第1の(例えば、下部)表面と摩擦界面を形成するように構成される。したがって、レッジ125aはまた、「摩擦要素」と称され得る。摩擦界面の力は、ゲート要素134aが選択された作動方向に移動することを可能にするのに十分に弱く、一方で、第1のアクチュエータ130aが回復運動を呈する場合、ゲート要素134aが開位置に向かって戻ることを防止するか、又は少なくとも妨げるのに十分に強くすることができる。このため、レッジ125aは、ゲート要素134aを閉位置に「保持」するのに役立つ。摩擦界面の力は、ユーザが第1の流体入口124aを「開放」することを所望する場合に、第1の作動要素132a
1を作動させて、ゲート要素134aを意図的に開位置に戻すことによって打ち勝つことができるほど十分に弱い。
【0026】
レッジ125aはまた、ゲート要素134aが閉位置にあるとき、ゲート要素134aと第1の流体入口124aとの間の封止を改善することができる。例えば、レッジ125aは、ゲート要素の第2の(例えば、上部)表面が第1の流体入口124aの下側に接触するように、ゲート要素134aを第1の流体入口124aに向かって上向きに方向付けることができる。この接触は、流体が第1の流体入口124aを介してプレートアセンブリ120に流入することを防止するか、又は少なくとも実質的に防止することができる。もちろん、ゲート要素134aが閉位置にある場合であっても、いくらかの小さい漏出が依然として存在し得る。しかしながら、レッジ125aの組み込みは、任意の漏出を有利に低減させることが期待される。レッジ125aはまた、第1の流体入口124aの外部の環境における圧力上昇に応答して、ゲート要素134aが第1の流体入口124aから下方に離れるように偏向することを防止し得る。
【0027】
したがって、レッジ125aは、(1)ゲート要素134aの下部表面と摩擦界面を形成することと、(2)ゲート要素134aの上面と第1の流体入口124aとの間の接触(したがって、封止)を改善することと、を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、レッジ125aは、プラトー状構造であり、レッジの平面は、第1のチャンバ121aの下部表面の平面に対してほぼ平行である。他の実施形態では、レッジ125aは、第1のチャンバ121aの下部表面の平面と非平行な表面を有する傾斜部を形成するくさび形状の構造であり得る。いくつかの実施形態では、レッジ125aは、ゲート要素134aとの摩擦干渉を改善するために、テクスチャ加工されるか、又は他の表面特徴を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、レッジ125aは、プレートアセンブリ120を形成する複数のシートのうちの1つ上に形成される。例えば、レッジ125aは、第1のチャンバ121aの下部表面を形成するシートと一体化することができる。したがって、レッジ125aは、シートと同じ材料(例えば、ガラス)から構成され得る。他の実施形態では、レッジ125aは、第1のチャンバ121aの下部表面に接着された(例えば、溶接されるか、糊付けされるか、又は別様に固定された)別個の特徴であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、レッジ125aは、第1のレッジであり、第1のチャンバ121aは、第2のレッジ(図示せず)を更に含む。第2のレッジはまた、第1のチャンバ121aの「床」を形成するプレートアセンブリの表面上に位置決めすることもできる。しかしながら、レッジ125aとは異なり、第2のレッジは、ゲート要素134aが開位置に移動されたときに第2のレッジと摩擦係合するように位置決めされ得る。したがって、第2のレッジは、ゲート要素134aを閉位置から開位置に移動させるための第1の作動要素132a1の作動後、ゲート要素134aが閉位置に向かって戻る、所望されない移動を防止することができる。
【0030】
簡潔にするために説明しないが、プレートアセンブリ120はまた、第2のアクチュエータ130bの作動中の回復運動の影響を低減するための第2のチャンバ121b内の1つ以上のレッジ(図示せず)と、第3のアクチュエータ130cの作動中の回復運動の影響を低減するための第3のチャンバ121c内の1つ以上のレッジ(図示せず)と、であり得る。これらの追加のレッジは、本明細書において説明されるレッジ125aと実質的に同様の様式で動作し得る。更に、3つの入口124及び3つのアクチュエータ130を有するとして説明されているが、プレートアセンブリ120は、より多くの又はより少ない入口124及びアクチュエータ130を有することができる。例えば、プレートアセンブリ120は、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の入口124と、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のアクチュエータ130と、を有することができる。
【0031】
システム100は、多数の患者の状態を治療するために使用することができる。例えば、システム100は、緑内障を治療するために眼の前房から房水を排出するために使用することができる。したがって、システム100が緑内障を治療するために眼内に埋め込まれるとき、細長いハウジング102の第1の端部部分102aは、流体入口124が前房と流体連通するように、患者の眼の前房内に位置決めされ得、第2の端部部分102bは、流体出口106が標的流出場所と流体連通するように、結膜下ブレブ空間などの標的流出場所内に位置決めされ得る。房水は、流体入口124を介して細長いハウジングに流入し、プレートアセンブリ120を通って、主流体導管110に流入し、流体出口106を介して流出することができる。
【0032】
上記で説明されたレッジ125に加えて、又はその代わりに、本明細書において説明されるシステムは、作動要素の作動後、作動要素の回復運動によって引き起こされるゲート要素の所望されない運動を低減するか、又は別様に抑制する他の特徴を含むことができる。例えば、
図2A~
図2Dは、調節可能なシャントシステム(例えば、
図1A~
図1Cのシステム100)とともに使用するための、本技術の選択された実施形態に従って構成されたアクチュエータ230を例解する。アクチュエータ230は、概して、
図1A~
図1Cに関して上記で説明されたアクチュエータ130と同様であり得る。例えば、
図2A~
図2Dを概して参照すると、アクチュエータ230は、第1の作動要素232aと第2の作動要素232bとの間に位置決めされたゲート要素234を含むことができる。ゲート要素234は、シャントシステムの対応する流体入口又は開口部(例えば、システム100の流体入口124、
図2A~
図2Dには示されていない)、及び第1の端部部分234aの反対側の第2の(例えば、近位)端部部分234bとインターフェース接続するように構成された第1の(例えば、遠位)端部部分234aを含むことができる。第1の作動要素232aは、ゲート要素234の第1の端部部分234aを第1の方向に、及び/又は第1の(例えば、開)位置に向かって移動させる(例えば、
図1A~
図1Cに示す流体入口124を遮断解除する)ように構成することができ、第2の作動要素232bは、ゲート要素234の第1の端部部分234aを第2の方向に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって(例えば、
図1A~
図1Cに示される流体入口124と干渉する)ように構成することができる。アクチュエータ230は、任意選択的に、ゲート要素234、第1の作動要素232a、及び第2の作動要素232bを取り囲むか、又は少なくとも部分的に取り囲む外周238を含むことができる。
【0033】
図2Aは、歪んでいない構成(例えば、「製造時」又は「切断時」の構成)におけるアクチュエータ230を例解する。歪んでいない構成では、第1の作動要素232a及び第2の作動要素232bは、両方とも、それらの好ましい幾何学形状を占有する。
図2Bは、歪んだ構成(例えば、「負荷のかかった」又は「引っ張られた」構成)におけるアクチュエータ230を例解する。歪んだ構成では、第1の作動要素232a及び第2の作動要素232bの両方が、それらの好ましい幾何学形状に対して変形され(例えば、伸長される、引っ張られるなど)、第1の作動要素232a及び第2の作動要素232bの両方に応力を生じさせる。例解された実施形態では、アクチュエータ230は、
図2Bに示されるように、ゲート要素234の第2の端部部分234bを外周238に固定することによって、歪んでいない構成及び歪んだ構成との間で遷移され得る。しかしながら、他の実施形態では、アクチュエータ230は、別様に第1及び第2の作動要素を変形させ、固定することによって、歪み構成に遷移されることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ230は、概して、以前に参照により本明細書に組み込まれた、米国特許出願第17/175,332号に記載された形状記憶アクチュエータと同様であり得る。
【0034】
図2C及び
図2Dは、アクチュエータ230の動作を例解する。アクチュエータ230に加えて、
図2C及び
図2Dはまた、摩擦要素225(ラッチ要素又は保持要素とも称され得る)を例解する。
図1Cに関して説明したレッジ125と同様に、摩擦要素225は、アクチュエータ230を収容するプレートアセンブリ(例えば、
図1A~
図1Cに示される、プレートアセンブリ120)を形成する複数のシートのうちの1つ上に形成及び/又は結合することができる。摩擦要素225はまた、シャントシステムの別の好適な部分に固定され得る。摩擦要素225は、ピン、タブ、塊、隆起、突起などとすることができ、任意の好適な形状/幾何形状(例えば、円筒形、立方形、長方形、ピラミッド形など)を有することができる。いくつかの実施形態では、摩擦要素225は、アクチュエータ230の厚さ以上の高さを有する。
【0035】
図2C及び
図2Dに示されるように、摩擦要素225は、ゲート要素234の第1の端部部分234aと干渉すること、及び/又は係合すること(例えば、物理的に、機械的に、摩擦で、など)を行うように構成される。このようにして、以下でより詳細に説明されるように、摩擦要素225は、ゲート要素234の第1の端部部分234aを特定の位置に向かって付勢することができ、及び/又は第1の端部部分234aが(例えば、静止摩擦を介して)特定の位置から離れるように移動するのを阻止することができる。例えば、
図2Cに示されるように、第1の端部部分234aが第1の位置(例えば、開位置)にあるとき、摩擦要素225は、ゲート要素234の第1の端部部分234aを第1の位置に向けて付勢し、かつ/又は第1の端部部分234aを第1の位置において維持/保持することができる。
図2Dに示されるように、第1の端部部分234aが第2の位置(例えば、閉位置)にあるとき、摩擦要素225は、ゲート要素234の第1の端部部分234aを第2の位置に向けて付勢し、かつ/又は第1の端部部分234aを第2の位置に維持/保持することができる。このため、摩擦要素225は、概して、任意の所与の時間において占有する位置から離れる第1の端部部分234aの移動に少なくとも部分的に抵抗する。
【0036】
ゲート要素234と摩擦要素225との係合によって生成される付勢力(例えば、静止摩擦)は、作動要素232のうちの1つを作動させることによって打ち勝つことができる。例えば、ゲート要素234を
図2Cに示される第1の(例えば、開)位置から
図2Dに示す第2の(例えば、閉)位置に移動させるために、第2の作動要素232bは、第2の作動要素232bをその遷移温度を超えて加熱することなどによって作動させることができる。第2の作動要素232bが第1の材料状態(例えば、マルテンサイト)から第2の材料状態(例えば、オーステナイト)に遷移する際、第2の作動要素232b内の増加した機械的特性(例えば、増加した剛性)は、第2の作動要素232bをその好ましい幾何学形状に遷移させ、第2の作動要素232bを収縮させる。第2の作動要素232bの収縮は、第2の(例えば、閉)位置に向かう第1の回転力をゲート要素234に付与する。この第1の回転力は、最初に、摩擦要素225とゲート要素234の第1の端部部分234aとの間の静止摩擦によって抵抗される。しかしながら、第2の作動要素232bがその好ましい幾何学形状に向かって更に収縮する際に、第1の回転力が増加すると、第1の回転力は、最終的に、摩擦要素225とゲート要素234の第1の端部部分234aとの間の摩擦力又は他の機械的付勢力に打ち勝つ(例えば、それよりも大きくなる)。例えば、第1の回転力は、ゲート要素234と摩擦要素225との間の静的及び動的摩擦力よりも大きくすることができる。その結果、第1の端部部分234aは、摩擦要素225を通過して「スリップ」するか又は「摺動」して、
図2Dに示されるように(例えば、ラチェットの歯の上を摺動する爪と同様に)第2の(例えば、閉)位置を占有する。したがって、いくつかの実施形態では、アクチュエータ230は、摩擦要素225の結果としてヒステリシスを明示する。
【0037】
エネルギー送達が終了し、第2の作動要素232bが冷却した後、第2の作動要素232bは、第2の作動要素232bをその好ましい幾何学形状から離れるように押圧する外部(例えば、機械的)応力(例えば、その好ましい幾何学形状に対して更に変形される第1の作動要素232aによって付与される応力)との平衡を求めるので、その第1の材料状態に向かって戻るように遷移する際に、回復運動を呈し得る。第2の作動要素232bはゲート要素234に接続されているので、この回復運動はまた、(例えば、第1の回転力とは反対の)ゲート要素234に対する第2の回転力を第1の(例えば、開)位置に向かって戻すことができる。しかしながら、ゲート要素234が第2の(例えば、閉)位置にあると、摩擦要素225は、ゲート要素234の第1の端部部分234aに対して、回復運動によって引き起こされる第2の回転力よりも大きい摩擦力又は他の機械的付勢力を付与する。例えば、第2の回転力は、ゲート要素234と摩擦要素225との間の静止摩擦力未満である。このため、摩擦要素225は、第2の作動要素232bが第1の材料状態に戻るように遷移し(それによって、第1の作動要素232aと同様の剛性に戻る)、回復運動を呈する際であっても、第1の端部部分234aを
図2Dに示される第2の(例えば、閉)位置に保持する。
【0038】
したがって、摩擦要素225は、
図1Cに関して説明したレッジ125と同様に、アクチュエータ230を使用して流体流動を選択的に滴定する能力に対する回復運動の影響を低減するか、又は緩和するのに役立つことが期待される。しかしながら、レッジ125に対して、摩擦要素225は、第1の作動要素232a及び第2の作動要素232bの両方の作動後に回復運動の影響を低減及び/又は緩和するのに役立つ。例えば、
図2C及び
図2Dに関して上で説明した動作は、第1の作動要素232aを加熱して、ゲート要素234を
図2Cに示される第2の(例えば、閉)位置から
図2Dに示される第1の(例えば、開)位置に移動させるためにエネルギーを供給することによって逆にすることができる。かかる動作中、摩擦要素225は、第1の作動要素232aの作動後にゲート要素234を第1の(例えば、開)位置に保持するのに役立つ。したがって、摩擦要素225は、(例えば、ゲート要素234に対する任意の回復運動の影響を減少させることによって)ゲート要素234における運動の一貫性を増加させ、このため、アクチュエータ230を使用して達成可能な流体制御を増加させることが期待される。
【0039】
図3A~
図3Cは、調節可能なシャントシステム(例えば、
図1A~
図1Cのシステム100)とともに使用するための、本技術の選択された実施形態に従って構成された別のアクチュエータ330を例解する。
図3A~
図3Cを概して参照すると、アクチュエータ330は、上で説明されたアクチュエータ130及び230とほぼ同様の様式で作動させることができる。例えば、アクチュエータ330は、シャントシステム内の入口(図示せず)を通る流体流動を制御するように構成された第1の端部部分334a及び第2の端部部分334bを有するゲート要素334を含むことができる。アクチュエータ330はまた、第1の作動要素332a、第2の作動要素332b、及び外周338を含むことができる。
【0040】
図3Aは、第1の作動要素332a及び第2の作動要素332bがそれらの好ましい幾何学形状をとる、歪んでいない(例えば、「製造時」又は「切断時」構成)状態にあるアクチュエータ330を例解する。
図3Bは、少なくとも第2の作動要素332bがその好ましい幾何学形状に対して変形され(例えば、圧縮され)、ゲート要素334が、対応する流体入口(図示せず)と干渉しない第1の(例えば、開)位置にある、第1の歪み構成にあるアクチュエータ330を例解する。
図3Cは、少なくとも第1の作動要素332aがその好ましい幾何学形状に対して変形され(例えば、圧縮され)、ゲート要素334が、対応する流体入口(図示せず)とインターフェース接続するように構成された第2の(例えば、閉)位置にある、第2の歪み構成にあるアクチュエータ330を例解する。したがって、アクチュエータ230に対して、作動要素332は、歪んだ構成にあるとき、それらの好ましい幾何学形状に対して圧縮されるように構成される。
【0041】
アクチュエータ330の外周338は、第1のフィンガ337a及び第2のフィンガ337b(集合的にフィンガ337と称される)を含むことができる。第1のフィンガ337a及び第2のフィンガ337bは、それぞれ、第1の作動要素332a及び第2の作動要素332bの作動中に、第1の端部部分334aと第2の端部部分334bとの間のゲート要素334の中間部分と係合する枢動点を形成することができる。結果として、第1の作動要素332aを作動させることは、ゲート要素334を第1のフィンガ337aの周りで枢動させるか、又は別様に屈曲させ、これが、第1の端部部分334aを
図3Cに示される第2の(例えば、閉)構成から
図3Bに示される第1の(例えば、開)位置に、及び/又は第1の(例えば、開)位置に向かって移動させる。第2の作動要素332bを作動させることは、ゲート要素334を第2のフィンガ337bの周りで枢動させるか、又は別様に屈曲させ、それは、第1の端部部分334aを
図3Bに示される第1の(例えば、開)位置から
図3Aに示される第2の(例えば、閉)位置に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって移動させる。理論に束縛されるものではないが、枢動点としてのフィンガ337の使用は、ゲート要素334がより短い長さを有することを可能にし得る一方で、第1の端部部分334aを第1の位置と第2の位置との間でトグルするのに十分な運動の範囲を依然として達成する。
【0042】
アクチュエータ330はまた、第1の作動要素332aの作動後及び第2の作動要素332bの作動後のアクチュエータ330における回復運動の影響を低減及び/又は緩和するように構成された摩擦要素325を含む。摩擦要素325は、
図2C及び
図2Dに関して説明した摩擦要素225と同様の様式で動作することができる。例えば、摩擦要素225は、作動要素の作動中に第1の端部部分334aの並進を可能にするのに十分低いが、作動事象後に第1の端部部分334aの並進を防止するか、又は少なくとも低減するのに十分高い力で、ゲート要素334の第1の端部部分334aに係合することができる。しかしながら、摩擦要素225に対して、摩擦要素325は、アクチュエータ330と一体化され、したがって、アクチュエータの他の構成要素とともに作製することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは、摩擦要素を使用することなく、作動要素における回復運動によって引き起こされるゲート要素の所望されない運動を低減するか、又は別様に抑制するように構成され得る。例えば、
図4A~
図4Cは、調節可能なシャントシステム(例えば、
図1A~
図1Cのシステム100)とともに使用するための、本技術の選択された実施形態に従って構成されたアクチュエータ430を例解する。アクチュエータ430は、以前に説明されたアクチュエータ130、230、及び330とほぼ同様の特定の特徴を含むことができる。例えば、アクチュエータ430は、第1の端部部分434a及び第2の端部部分434bを有するゲート要素434と、第1の作動要素432aと、第2の作動要素432bと、外周438と、を含むことができる。しかしながら、前に説明されたアクチュエータ230及び330に対して、ゲート要素の第1の端部部分434aは、シャントシステム内の入口(図示せず)を通る流体流動を制御するように構成されていない。むしろ、第1の端部部分434aは、周囲438内の受容特徴部436(例えば、溝、切り欠きなど)において周囲438に結合され、ゲート要素434は、シャントシステム内の入口(図示せず)を通る流体流動を制御するように構成された中間部分434cを更に含む。
【0044】
図4Aは、第1の作動要素432a及び第2の作動要素432bがそれらの好ましい幾何学形状をとる、歪んでいない(例えば、「製造時」又は「切断時」構成)にあるアクチュエータ430を例解する。
図4Bは、少なくとも第1の作動要素432aがその好ましい幾何学形状に対して変形され(例えば、圧縮され)、ゲート要素434が、対応する流体入口(図示せず)と干渉しない第1の(例えば、開)位置にある、歪んだ構成にあるアクチュエータ430を例解する。
図4Cは、少なくとも第2の作動要素432bがその好ましい幾何学形状に対して変形され(例えば、圧縮され)、ゲート要素434が対応する流体入口(図示せず)とインターフェース接続するように構成された第2の(例えば、閉)位置にある、歪んだ構成にあるアクチュエータ430を例解する。ゲート要素434の第1及び第2の位置は、相対的に低い内部エネルギー状態(例えば、ゲート要素434内に相対的に低い貯蔵エネルギーを有する状態)を表し、したがって、本明細書では、それぞれ「第1の平衡位置又は状態」及び「第2の平衡位置又は状態」と称することができる。以下で詳細に説明するように、ゲート要素434は、第1の位置又は第2の位置のいずれかに優先的に存在する(例えば、第1の位置又は第2の位置のいずれかに向かって付勢される)。
【0045】
アクチュエータ430は、アクチュエータ430を歪んだ(例えば、圧縮された)構成に保持するのに役立つ保持要素428内に第2の端部部分434bを配置することによって、
図4Aに示される、歪んでいない構成と
図4B及び
図4Cに示される歪んだ構成との間で遷移され得る。保持要素428は、アクチュエータ430を収容するプレートアセンブリ(例えば、
図1A~
図1Cに示されるプレートアセンブリ120)を形成する複数のシートのうちの1つに形成及び/又は結合することができる。保持要素428は、シャントシステムの別の好適な部分に固定することもできる。
図4Bに示されるように、アクチュエータ430を歪んでいない構成から歪んだ構成に移動させることは、ゲート要素434がその長手方向軸に対して外向きに曲がることを引き起こす。いくつかの実施形態では、ゲート要素434は、(第2の端部部分434bと係合する)保持要素428と(第1の端部部分434aに係合する)受容特徴部436との間の距離がゲート要素434の長さ未満であるため、外向きに曲がる。このため、
図4B及び
図4Cに示される曲げられた構成は、ゲート要素434の低エネルギー状態を描写する。
【0046】
動作中、ゲート要素434は、第1又は第2の作動要素432を作動させることによって、
図4Bに示される第1の(例えば、開)位置と
図4Cに示される第2の(例えば、閉)位置との間で選択的に遷移され得る。例えば、ゲート要素434を開位置から閉位置に遷移させるために、第1の作動要素432aは、第1の作動要素432aをその遷移温度を上回って加熱することなどによって作動させることができる。第1の作動要素432aが第1の材料状態(例えば、マルテンサイト)から第2の材料状態(例えば、オーステナイト)に遷移する際、第1の作動要素432a内の増加した機械的特性(例えば、増加した剛性)は、第1の作動要素432aをその好ましい幾何学形状に遷移させ、第1の作動要素432aを伸長させる。第1の作動要素432aを伸長させることは、アクチュエータ230及び330に関して前に説明したように、第2の(例えば、閉)位置に向かう第1の回転力をゲート要素434に付与する。
【0047】
この第1の回転力は、最初にゲート要素434によって抵抗される。前に説明されたように、ゲート要素434は、
図4Bに示される第1の位置にあるとき、第1の平衡又は低エネルギー状態で存在する。したがって、いくつかの実施形態では、ゲート要素434は、概して、ゲート要素434の他の潜在的な構成と比較して、第1の位置にあるときに相対的に低い内部応力を有する。しかしながら、ゲート要素434を開位置(例えば、第1の低エネルギー状態)から閉位置(例えば、第2の低エネルギー状態)に向かって移動させることは、
図4B及び
図4Cに示される低エネルギー状態にある低い内部応力と比較して、概して相対的に高い内部応力を有するより高いエネルギー遷移状態において少なくとも一時的に存在する中間位置(図示せず)を通して、ゲート要素434を遷移させることを必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、ゲート要素434は、中間位置/より高いエネルギー遷移状態においてs字形状又は他の高エネルギー構成を一時的にとる/通過するが、他の構成も可能である。このため、ゲート要素434aを
図4Bに示される第1の位置から
図4Cに示される第2の位置に移動させるために、ゲート要素434は、相対的に高いエネルギー(及び高い応力)状態を少なくとも一時的に通過しなければならない(本明細書では「エネルギー勾配」又は「応力勾配」を通って移動すると称される)。したがって、このエネルギー勾配は、少なくとも最初は、開位置から閉位置に向かうゲート要素434の運動に抵抗し、したがって、少なくとも最初は、第1の作動要素432aの作動によって付与される第1の回転力に応答するゲート要素434の移動に抵抗する。しかしながら、第1の作動要素434aがその好ましい幾何学形状に向かって更に長くなると、第1の回転力は、エネルギー勾配の付勢力に打ち勝ち、したがって、ゲート要素434は、相対的に低い内部応力を有する第1の低エネルギー状態で存在する第1の位置から、相対的に高い内部応力を有する相対的に高いエネルギー状態で少なくとも一時的に存在する中間位置を通って、再び相対的に低い内部応力を有する第2の低エネルギー状態で存在する第2の位置まで移動する。注目すべきことに、第1及び第2の位置は、ゲート要素434が付勢される低エネルギー状態を表すので、ゲート要素434は、作動時に第1の位置と第2の位置との間で一貫して迅速に移動する。したがって、ゲート要素434は、第1の位置と第2の位置との間の任意の中間高エネルギー状態を迅速に通過する。このため、ゲート要素434は、本明細書では、開位置及び閉位置の両方がゲート要素434の最低エネルギー状態を表すので、アクチュエータの作動時に第1の位置と第2の位置との間で「スナップ」するものとして説明することができる。
【0048】
エネルギー送達が終了し、第1の作動要素432aが冷却された後、それは、前に説明されたように、その第1の材料状態に向かって戻るように遷移する際、回復運動を呈し得る。例えば、第1の作動要素432aは、第1の作動要素432aをその好ましい幾何学形状から離れるように押圧する外部(例えば、機械的)応力(例えば、その好ましい幾何学形状に対して更に変形される第2の作動要素432bによって付与される応力)との平衡を求め得る。第1の作動要素432aがゲート要素434に接続されているので、この回復運動はまた、(例えば、第1の回転力とは反対の)ゲート要素434に対する第2の回転力を第1の(例えば、開)位置に向かって戻すことができる。しかしながら、第2の位置に向かってゲート要素434を付勢するエネルギー勾配は、(例えば、エネルギー勾配によって生成される付勢力が第2の回転力よりも大きいため)第1の作動要素434aの回復運動中に第2の位置から離れるゲート要素434のいかなる所望されない運動も防止するか又は低減する。
【0049】
したがって、アクチュエータ430は、アクチュエータ430を使用して流体流動を選択的に滴定する能力に対する回復運動の影響を低減又は緩和するのに役立つように設計される。より具体的には、これは、ゲート要素434が、第1の相対的に低エネルギーの低応力構成(例えば、第1の位置)と第2の相対的に低エネルギーの低応力構成(例えば、第2の位置)との間で移動するときに、相対的に高エネルギーの高応力中間構成を通って移動するように、アクチュエータ430を設計することによって達成される。注目すべきことに、これは、ゲート要素434に作用する外部摩擦要素を必要とせずに達成することができる。かかる構成はまた、第1及び第2の位置が、ゲート要素434が占有することができる2つの「安定」(例えば、低エネルギー)位置を表すので、(例えば、ゲート要素が他の位置を占有する時間量を最小限に抑えることによって)第1及び第2の位置の間でゲート要素434を移動させる一貫性及び反復性を改善することが期待される。
【0050】
第1の低エネルギー状態から、相対的に高いエネルギーの中間状態を通り、第2の低エネルギー状態への遷移に関して説明されているが、アクチュエータ430の動作は、他の用語で説明することができる。例えば、ゲート要素は、第1の低エネルギー状態にあるときに第1の内部応力及び/又は歪み分布若しくは場を有し、第2の低エネルギー状態にあるときに第2の内部応力及び/又は歪み分布を有し、中間の高エネルギー状態にあるときに第3の内部応力及び/又は歪み分布を有し得る。かかる実施形態では、アクチュエータ430は、(例えば、これらの分布が最低エネルギー状態を表すことによって)第1及び第2の応力分布に向かって付勢され得る。
【0051】
本明細書において説明されるアクチュエータは、シャントシステムの機能を改善する追加の特徴を含むことができる。例えば、
図5は、調節可能なシャントシステム(例えば、
図1A~
図1Cのシステム100)とともに使用するための、本技術の選択された実施形態に従って構成されたアクチュエータ530を例解する。アクチュエータ530は、
図1A~
図4Cを参照して説明されたアクチュエータ130、230、330、及び430とほぼ同様であり得る。例えば、アクチュエータ530は、シャントシステムの対応する流体入口又は開口部(例えば、システム100の流体入口124)とインターフェース接続するように構成されたゲート要素534と、(例えば、流体入口124を遮断解除するために)ゲート要素534を第1の方向において第1の(例えば、開)位置に、及び/又は第1の(例えば、開)位置に向かって移動させるための第1の作動要素532aと、(例えば、流体入口124を遮断するために)ゲート要素534を第1の方向とほぼ反対の第2の方向において第2の(例えば、閉)位置に、及び/又は第2の(例えば、閉)位置に向かって移動させるための第2の作動要素532bと、を含むことができる。
【0052】
図1A~
図4Cに示されるアクチュエータに対して、アクチュエータ530は、ゲート要素534の第1の端部領域534aに結合された封止要素540を更に含む。封止要素540は、第1の端部領域534aの第1の(例えば、上部)表面上に位置決めされた第1の部分542を含み、少なくともいくつかの実施形態では、任意選択的に、第1の端部領域534aの第2の(例えば、下部)表面上に位置決めされた第2の部分544を含む。いくつかの実施形態では、第1の部分542及び第2の部分544は、第1の端部領域534a内の開口部を通って延在する中間部分(図示せず)によって接続され、それによって、封止要素540を第1の端部領域534aに固定する。封止要素540はまた、機械的テザー、バンド、バーブ、ステープル、縫合糸などの他の好適な技術を介してゲート要素534に固定され得る。いくつかの実施形態では、封止要素540は、(例えば、第1の端部領域534aを完全に又は少なくとも部分的に取り囲む)ゲート要素534の表面上のコーティング又は他の材料であり、したがって、必ずしも第1の端部領域534a内の開口部を通って延在しない。
【0053】
いくつかの実施形態では、封止要素540は、ゲート要素534が第2の(例えば、閉)位置にあるとき、流体入口124(
図1B)を通る流体抵抗を増加させることによって、ゲート要素534の流動遮断効果を改善することが期待される。例えば、封止要素540は、ゲート要素534が第2の位置にあるときに、ゲート要素534の第1の端部部分534aと流体入口124との間の封止を改善し、流体入口124を通る漏出を阻止するか、低減するか、又は別様に制御するのに役立つことができる。特に、ゲート要素534が第2の位置にあるとき、封止要素540の第1の部分542は、流体入口124を通る流体の流動を低減及び/又は排除するために、流体入口124に当接し、適合し、及び/又は部分的に挿入され得る。いくつかの実施形態では、封止要素540は、流体入口124を通る漏出を排除せず、むしろ、ゲート要素534が第2の(例えば、閉)位置にあるときに流体入口124を通る一貫した流体抵抗を提供して、既知の漏出を提供する。封止要素540が第1の端部領域534aの下に位置決めされた第2の部分544を含む実施形態では、第2の部分544は、ゲート要素534の下の表面(例えば、
図1Cに示されるレッジ125a)に接触することによって、ゲート要素534を流体入口124に向かって更に方向付けることができる。
【0054】
その封止剤効果を更に改善するために、封止要素540は、ゲート要素534が第2の位置にあるときに流体入口124に少なくとも部分的に適合することができる、不透過性で部分的に圧縮可能な又は可撓性の材料(例えば、エラストマー材料、低いデュロメータを有する材料など)から少なくとも部分的に構成され得る。例えば、封止要素540は、シリコンなどの疎水性材料から構成することができる。別の例では、封止要素540は、親水性材料、又は疎水性材料と親水性材料の組み合わせから構成することができる。いくつかの実施形態では、封止要素540又は少なくともその一部分は、潤滑性材料、コーティング、又はゲルから構成される。例えば、いくつかの実施形態では、封止要素540の第1の部分542は、潤滑性材料から構成されるか、又は潤滑性コーティングを含み、第2の部分544は、非潤滑性材料又はコーティングから構成される。別の例として、(第1の部分542及び第2の部分544を含む)封止要素540全体は、潤滑性材料から構成され、及び/又は潤滑性コーティングを含むことができる。
【0055】
ゲート要素534と流体入口124との間の封止を改善することに加えて、いくつかの実施形態では、封止要素540はまた、ゲート要素534を第2の(例えば、閉)位置に、又は第2の(例えば、閉)位置に近接して保持する摩擦干渉を増加させることができる。例えば、封止要素540の第1の部分542と流体入口124を画定する表面との間の接触は、レッジ125a(
図1Cに示される)又は摩擦特徴部225、325(
図2C~
図3Cに示される)と併せて、アクチュエータ530の作動後のゲート要素534の所望されない運動を防止するか又は低減するのに役立ち得る摩擦力を引き起こすことができる。同様に、封止要素540の第2の部分544とアクチュエータ530の下の表面との間の接触は、アクチュエータ530の作動後のゲート要素534の所望されない運動を防止するか又は低減するのに更に役立つ摩擦力を引き起こし得る。他の実施形態では、封止要素540は、ゲート要素534を第2の位置において、又は第2の位置に近接して保持する摩擦力に実質的に寄与しない(例えば、封止要素が親水性及び潤滑性のコーティング又はゲルである実施形態)。ゲート要素534に結合されるものとして説明されているが、他の実施形態では、本明細書において説明されるシステムは、ゲート要素に結合される封止要素の代わりに、又はそれに加えて、流体入口を画定する表面に結合される封止要素を含むことができる。例えば、本技術に従って構成されるいくつかのシステムは、ゲート要素が第1の(例えば、開)位置にあるとき、ゲート要素が流体入口から少なくとも部分的に離間され、したがって、流体がシステムに進入することを可能にするように、流体入口に隣接して位置決めされる不透過性及び可撓性膜を含むことができる。ゲート要素が第2の(例えば、閉)位置にあるとき、ゲート要素は、膜に接触し、それを流体入口に対して、及び/又は流体入口に押圧して、流体入口において流体封止を形成することができる。したがって、本技術は、本明細書において描写及び説明される明示的な実施形態に限定されず、代わりに、本明細書に説明されるものに関する実施形態を包含する。
【0056】
図6A及び
図6Bは、本技術の選択した実施形態に従って構成された別のシャントシステム600(「システム600」)を例解する。システム600は、概して、システム100と同様であり得る。例えば、システム600は、概して細長いハウジング602と、患者の眼の前房から房水を排出するためなど、第1の身体領域から流体を排出するための調節可能な療法を提供するように構成されたプレートアセンブリ620と、を含むことができる。
【0057】
図6Bに最もよく示されるように、システム100と同様に、システム600は、流体をプレートアセンブリ620を通って細長いハウジング602の主流体導管310に排出するための3つの流路を含む。例えば、プレートアセンブリ620は、第1の流体入口624a、第2の流体入口624b、及び第3の流体入口624cを含む。第1の流体入口624aは、第1のチャネル636aに流体結合され、第2の流体入口624bは、第2のチャネル636bに流体結合され、第3の流体入口624cは、第3のチャネル636cに流体結合される。システム100と同様に、プレートアセンブリ620は、第1の流体入口624aを通る流体の流動を選択的に制御するように構成された第1のアクチュエータ630aと、第2の流体入口624bを通る流体の流動を選択的に制御するように構成された第2のアクチュエータ630bと、を含む。
【0058】
システム100とは異なり、プレートアセンブリ620は、第3の流体入口624cを通る流体の流動(このため、第3のチャネル636cを通る流体の流動)を選択的に制御するためのアクチュエータを含まない。代わりに、第3の流体入口624cは、システム600が埋め込まれるときに解放されたままである/アクセス可能なままであるように構成される。したがって、流体は、システム600が埋め込まれるとき、第3の流体入口624c及び第3のチャネル636cを介して、プレートアセンブリ620を通して連続的に排出することができる。理論に束縛されるものではないが、ベースレベルの連続療法(例えば、流動)を確実にすることは、例えば、少なくとも最小レベルの療法が提供されることを確実にするためなど、特定の状況において有利であり得る。療法のレベルは、その後、
図1A~
図5に関して上で詳細に説明されるように、第1のアクチュエータ630a及び/又は第2のアクチュエータ630bを選択的に作動させることによって、ベースレベルに対して増加するか又は別様に変化することができる。
【0059】
例解される実施形態などのいくつかの実施形態では、対応するアクチュエータを有せず、したがって、連続的に開放したままであるように構成されるチャネルは、チャネルのうちのいずれかの中で最も高い流体抵抗を有する。例えば、第3のチャネル636cは、第1のチャネル636a及び第2のチャネル636bよりも長い長さを有し、したがって、より大きい抵抗を有する。他の実施形態では、対応するアクチュエータを有しないチャネルは、対応するアクチュエータを有するチャネルと等しいか、又はそれよりも低い流体抵抗を有することができる。
【0060】
当業者には理解されるように、システム600は、第1のアクチュエータ630a及び/若しくは第2のアクチュエータ630bの回復運動の影響を低減するための1つ以上の摩擦要素若しくはレッジ、並びに/又は第1のアクチュエータ630aと第1の流体入口624aとの間及び/若しくは第2のアクチュエータ630bと第2の流体入口624bとの間の封止を改善するための1つ以上の封止要素など、システム100に関して説明した特徴のうちのいずれかを含むことができる。システム100はまた、2つ、4つ、5つ、6つ、若しくはそれ以上など、プレートアセンブリ620を通るより多くの、又はより少ないチャネルを含むことができる。
【0061】
本開示は、形状記憶作動要素における回復運動を説明するが、当業者は、この現象が代替的な様式で説明され得ることを理解するであろう。例えば、作動事象中の作動要素の運動(例えば、作動要素の好ましい幾何学形状に向かう運動)は、作動要素の一次移動として説明することができる。作動事象後の同じ作動要素の「回復運動」は、概して、一次移動に続いて(例えば、一次移動の後に)生じるので、作動要素の二次移動として説明することができる。同様に、作動事象中のゲート要素の移動(例えば、作動要素の一次移動中のゲート要素の移動)は、ゲート要素の「所望の移動」又は一次移動として説明することができる。作動事象後のゲート要素の移動(例えば、作動要素の二次移動によって引き起こされるゲート要素の移動)は、ゲート要素の一次移動に続いて(例えば、その後に)生じるので、「所望されない移動」、「間接移動」、及び/又はゲート要素の二次若しくは三次移動と呼ぶことができる。したがって、当業者は、本明細書において説明されるアクチュエータが、作動事象中及び作動事象後に経時的に一連の移動を実証することができることを理解するであろう。本明細書に説明される摩擦特徴は、他のものを緩和(及び/又はその影響を緩和)しながら、それらの移動のうちのいくつかを可能にすることが期待される。例えば、摩擦特徴は、概して、作動要素及びゲート要素の両方の一次移動を可能にする一方で、通常、作動要素の二次移動によって引き起こされ得るゲート要素の二次移動を阻止する。
【0062】
実施例
本技術のいくつかの態様を以下の実施例に記載する。
1.第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
第1の身体領域と第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する開口部と、
開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、開口部を通る流体流動を少なくとも部分的に遮断する第2の位置との間で移動可能なゲート要素、並びに
作動されるときにゲート要素を、第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かって移動させるように構成された形状記憶作動要素を有するアクチュエータと、
形状記憶作動要素の作動後、ゲート要素を第2の位置において、及び/又は第2の位置に近接して解放可能に保持するために、ゲート要素と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備える、調節可能なシャントシステム。
2.摩擦要素が、ゲート要素と摩擦係合するように構成される、実施例1に記載のシステム。
3.形状記憶作動要素が、第1の形状記憶作動要素であり、システムが、作動されるとき、ゲート要素を第2の位置から第1の位置に、及び/又は第1の位置に向かって移動させるように構成された第2の形状記憶作動要素を更に備える、実施例1又は2に記載のシステム。
4.第2の形状記憶作動要素が、ゲート要素と摩擦要素との間の力に打ち勝って、ゲート要素を第2の位置から第1の位置に、及び/又は第1の位置に向かって移動させるように構成される、実施例3に記載のシステム。
5.摩擦要素が、第1の摩擦要素であり、システムが、第2の形状記憶要素の作動後、ゲート要素を第1の位置において、及び/又は第1の位置に近接して保持するためにゲート要素と係合するように構成された第2の摩擦要素を更に備える、実施例3又は実施例4に記載のシステム。
6.アクチュエータが、開口部を有する第1の表面と摩擦要素を有する第2の表面との間のチャンバ内に位置決めされる、実施例1~5のいずれか1つに記載のシステム。
7.摩擦要素が、第2の表面上にレッジを含み、レッジが、開口部を通って延在する軸と位置合わせされる、実施例6に記載のシステム。
8.ゲート要素が、第2の位置にあるときに開口部と係合するように構成された第1の表面と、第2の位置にあるときにレッジと係合するように構成された第2の表面と、を含む、実施例7に記載のシステム。
9.レッジが、ゲート要素が第1の位置から第2の位置に向かって移動する際、ゲート要素を開口部に向かって方向付けて、ゲート要素の上部表面と開口部との間の接触を改善するように更に構成される、実施例8に記載のシステム。
10.レッジが、くさび形状である、実施例7~9のいずれか1つに記載のシステム。
11.レッジが、テクスチャ化される、実施例7~10のいずれか1つに記載のシステム。
12.システムが、プレートアセンブリを含み、プレートアセンブリが、開口部、アクチュエータ、及び摩擦要素を有する、実施例1~11のいずれか1つに記載のシステム。
13.プレートアセンブリが、複数のシートを含み、摩擦要素が、複数のシートのうちの1つと一体化される、実施例12に記載のシステム。
14.形状記憶作動要素が、作動後に回復運動を呈するように構成され、摩擦要素は、形状記憶作動要素の回復運動中にゲート要素のいかなる所望されない運動も低減するように構成される、実施例1~13のいずれか1つに記載のシステム。
15.システムが、眼内シャントシステムであり、第1の身体領域が、患者の眼の前房であり、第2の身体領域が、所望の流出場所である、実施例1~14のいずれか1つに記載のシステム。
16.ゲート要素が、開口部の流体封止を改善するために第2の位置にあるとき、ゲート要素が、開口部に当接する及び/又は開口部を部分的に占有するように構成された封止要素を含む、実施例1~15のいずれか1つに記載のシステム。
17.封止要素が、少なくとも部分的に潤滑性材料から構成され、及び/又は潤滑性コーティングを含む、実施例16に記載のシステム。
18.封止要素が、少なくとも部分的にシリコンから構成される、実施例16又は実施例17に記載のシステム。
19.封止要素が、疎水性材料と親水性材料との組み合わせから構成される、実施例16~18のいずれか1つに記載のシステム。
20.第2の位置にあるとき、ゲート要素が、入口に面する第1の表面、及び入口から離れる方向に面する第2の表面を有し、封止要素が、第1の表面上に位置決めされ、開口部に当接し、及び/又は開口部を部分的に占有するように構成された第1の部分と、第2の表面上に位置決めされ、摩擦要素と係合するように構成された第2の部分と、を含む、実施例16~19のいずれか1つに記載のシステム。
21.封止要素の第1の部分が、潤滑性材料から構成され、及び/又は潤滑性コーティングを含む、実施例20に記載のシステム。
22.封止要素の第2の部分が、非潤滑性材料から構成される、実施例21に記載のシステム。
23.開口部が、第1の開口部であり、システムが、
シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する第2の開口部と、
第1の開口部に流体結合された第1のチャネルと、
第2の開口部に流体的に結合された第2のチャネルであって、第2のチャネルが、第1のチャネルから実質的に流体的に分離され、第2の開口部が、いかなる対応するアクチュエータも含まず、システムが埋め込まれたときに実質的に開放されたままであるように構成された、第2のチャネルと、を更に備える、実施例1~22のいずれか1つに記載のシステム。
24.第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
第1の身体領域と第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する開口部と、
開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素であって、ゲート要素の第1の端部部分が、開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、ゲート要素の第1の端部部分が開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間で移動可能な、ゲート要素、
作動されるとき、ゲート要素を第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かって移動させるように構成された第1の形状記憶作動要素、並びに
作動されるとき、ゲート要素を第2の位置から第1の位置に、及び/又は第1の位置に向かって移動させるように構成された第2の形状記憶作動要素を有する、アクチュエータと、
ゲート要素の第1の端部部分と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備え、
(a)ゲート要素が、第1の位置にあるとき、摩擦要素が、ゲート要素を第1の位置に向かって付勢し、及び/又はゲート要素を第1の位置に解放可能に保持し、(b)ゲート要素が第2の位置にあるとき、摩擦要素が、ゲート要素を第2の位置に向かって付勢し、及び/又はゲート要素を第2の位置に解放可能に保持する、調節可能なシャントシステム。
25.摩擦要素が、
第1の形状記憶作動要素の作動時に、第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かうゲート要素の移動を可能にすることと、
第1の形状記憶作動要素の作動後に、第2の位置から第1の位置に向かうゲート要素の移動を阻止することと、
第2の形状記憶作動要素の作動時に、第2の位置から第1の位置に、及び/又は第1の位置に向かうゲート要素の移動を可能にすることと、
第2の形状記憶作動要素の作動後に、第1の位置から第2の位置に向かうゲート要素の移動を阻止することと、を行うように構成される、実施例24に記載のシステム。
26.第1の形状記憶作動要素及び第2の形状記憶作動要素が、作動後に回復運動を呈するように構成され、摩擦要素が、第1の作動要素の作動後及び第2の作動要素の作動後のゲート要素のいかなる所望されない運動も低減及び/又は防止するように構成される、実施例24又は25に記載のシステム。
27.第1の形状記憶作動要素が、作動されるとき、第2の位置に向かう回転力をゲート要素に付与するように構成され、回転力が、ゲート要素と摩擦要素との間の静止摩擦力よりも大きく、そのためゲート要素が、第2の位置に向かって摩擦要素を通過して摺動する、実施例24~26のいずれか1つに記載のシステム。
28.第2の形状記憶作動要素が、作動されるとき、第1の位置に向かう回転力をゲート要素に付与するように構成され、回転力が、ゲート要素と摩擦要素との間の静止摩擦力よりも大きく、そのためゲート要素が、第1の位置に向かって摩擦要素を通過して摺動する、実施例24~27のいずれか1つに記載のシステム。
29.摩擦要素が、アクチュエータと一体化される、実施例24~28のいずれか1つに記載のシステム。
30.摩擦要素が、タブ、塊、突起、又は隆起である、実施例24~28のいずれか1つに記載のシステム。
31.第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
第1の身体領域と第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する開口部と、
開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素であって、ゲート要素の第1の端部部分が、開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、ゲート要素の第1の端部部分が開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間で移動可能な、ゲート要素、
(1)ゲート要素を第1の位置から第2の位置に、及び/又は第2の位置に向かって移動させる、作動されるときに好ましい幾何学形状に向かう一次移動を呈することと、(2)作動後にその好ましい幾何学形状から離れる二次移動を呈することと、を行うように構成された第1の形状記憶作動要素、
(1)ゲート要素を第2の位置から第1の位置に、及び/又は第1の位置に向かって移動させる、作動されるときに好ましい幾何形状に向かう一次移動を呈することと、(2)作動後にその好ましい幾何形状から離れる二次移動を呈することと、を行うように構成された第2の形状記憶作動要素、を有する、アクチュエータと、
ゲート要素の第1の端部部分と物理的に係合するように構成された摩擦要素と、を備え、
前記摩擦要素が、第1の作動要素の二次移動中及び第2の作動要素の二次移動中に、ゲート要素の所望されない運動を低減するように構成される、調節可能なシャントシステム。
32.第1の作動要素の二次移動が、第2の作動要素によって少なくとも部分的に引き起こされた回復運動であり、第2の作動要素の二次移動が、第1の作動要素によって少なくとも部分的に引き起こされる回復運動である、実施例31に記載のシステム。
33.第1の身体領域から第2の身体領域に流体を排出するための調節可能なシャントシステムであって、
第1の身体領域と第2の身体領域との間に少なくとも部分的に延在するように構成されたシャント要素と、
シャント要素の外部をシャント要素の内部に流体接続する開口部と、
開口部を通る流体流動を選択的に制御するように構成されたアクチュエータであって、
ゲート要素、
ゲート要素の第1の部分に結合された第1の形状記憶作動要素、及び
ゲート要素の第2の部分に結合された第2の形状記憶作動要素を有する、アクチュエータと、を備え、
第1の形状記憶作動要素が、ゲート要素を、ゲート要素が開口部を通る流体流動と干渉しない第1の低エネルギー位置から、中間高エネルギー位置を通って、ゲート要素が開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の低エネルギー位置まで移動させるように構成され、
第2の形状記憶作動要素が、ゲート要素を、第2の低エネルギー位置から、中間高エネルギー位置を通って、第1の低エネルギー位置に移動させるように構成された、調節可能なシャントシステム。
34.アクチュエータが、中間高エネルギー位置によって、第1又は第2の形状記憶作動要素の回復運動中に、ゲート要素の所望されない運動を低減及び/又は防止するように構成される、実施例33に記載のシステム。
35.アクチュエータが、
第1の形状記憶作動要素の作動中に、第1の形状記憶作動要素によってゲート要素に及ぼされる第1の力が、中間高エネルギー位置を通してゲート要素を移動させるのに十分であり、
第1の形状記憶作動要素の回復運動中に、第1の形状記憶作動要素によってゲート要素に及ぼされる第2の力が、中間高エネルギー位置を通してゲート要素を移動させるのに十分ではないように構成される、実施例34に記載のシステム。
36.ゲート要素が、第1の低エネルギー位置における第1の内部応力分布と、第2の低エネルギー位置における第2の内部応力分布と、中間高エネルギー位置における第3の内部応力分布と、を有し、ゲート要素が、第1の内部応力分布及び/又は第2の内部応力分布に向かって付勢される、実施例33又は実施例34に記載のシステム。
37.第1の内部応力分布及び第2の内部応力分布が、ほぼ等しい、実施例36に記載のシステム。
38.シャントの開口部を通る流体流動を調節する方法であって、
形状記憶アクチュエータを作動させて、(a)開口部を通る流体流動と干渉しない第1の位置と、(b)開口部を通る流体流動と少なくとも部分的に干渉する第2の位置との間でゲート要素を移動させることであって、
ゲート要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させることが、ゲート要素を第1の位置に向けて方向付ける第1の付勢力に打ち勝つことを含む、移動させることと、
形状記憶アクチュエータの回復移動中に、ゲート要素を第2の位置に解放可能に保持することと、を含む、方法。
39.ゲート要素を第2の位置に解放可能に保持することが、形状記憶アクチュエータの回復運動中、ゲート要素の第2の位置から第1の位置に向かう移動を防止することを含む、実施例38に記載の方法。
40.ゲート要素を第2の位置に解放可能に保持することが、ゲート要素を摩擦要素と係合させることを含む、実施例38に記載の方法。
41.摩擦要素が、付勢力を生成する、実施例40に記載の方法。
42.ゲート要素が、第1の位置及び第2の位置において第1の貯蔵エネルギーを有し、ゲート要素を第1の位置から第2の位置に移動させることが、第1の貯蔵エネルギーよりも大きい第2の貯蔵エネルギーを有する中間位置を通ってゲート要素を移行させることを含む、実施例38~41のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
結論
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、又は本技術を上記で開示された詳細な形態に限定することを意図していない。本技術の特定の実施形態及び例が例示の目的で上に説明されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、本明細書において説明される眼内シャントの特徴のいずれかを、本明細書において説明される他の眼内シャントの特徴のいずれかと組み合わせることができ、またその逆も可能である。更に、所与の順序でステップが提示されているが、代替的な実施形態では、異なる順序でステップが実施され得る。本明細書において説明された様々な実施形態はまた、組み合わせて、更なる実施形態を提供し得る。
【0064】
上述のことから、本技術の特定の実施形態が例示の目的で本明細書において説明されてきたが、眼内シャントと関連付けられた周知の構造及び機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されるか又は説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含み得る。
【0065】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、説明及び例全体を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味である。本明細書で使用される際、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はそれらのいかなる変形も、2つ以上の要素間の直接的又は間接的ないかなる接続又は結合も意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、又はそれらの組み合わせであってもよい。追加的に、「本明細書」、「上記」、「下記」という語、また同様の意味の語は、本出願に使用される際、本出願を全体として言うものとし、本出願のいかなる特定の部分のことを言うものではない。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数であることも単数であることもある。本明細書に使用される際、「A及び/又はB」に見られる語句「及び/又は」は、Aのみを言うことも、Bのみを言うことも、またA及びBを言うこともある。追加的に、「備える(comprising)」という用語は、いかなるより多くの同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないような少なくとも挙げた特徴を含むことを意味するように全体を通して使用される。特定の実施形態が例解の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることも理解されるであろう。更に、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示す場合があり、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に図示又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】