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特表2024-514312分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G21C 13/00 20060101AFI20240325BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G21C13/00 759
G21C13/00 200
G21C13/00 300
G21D1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561094
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022024379
(87)【国際公開番号】W WO2022221252
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,355
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】バス,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネケ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】カービー,タチアナ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】トドロフスキ,ルベン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】エンドレ,マーク ジェー.
(57)【要約】
原子力発電プラントは、原子炉構造体、フロントライン支援機器、および支持構造体を含む。原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含み、損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成される。フロントライン支援機器は、基本安全機能を実行するように構成される。支持構造体は、原子炉構造体から空間的に分離されており、基本安全機能がトリガ後に始動支援機器とは無関係に実行されるように、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成される始動支援機器を含む。支持構造体は、損傷事象に起因する損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電プラントであって、
原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体であって、前記原子炉または前記核燃料貯蔵部のうちの前記少なくとも1つを損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成された保護された構造体であり、前記損傷事象は、前記保護された構造体の外部で発生し、損傷に関連する前記損傷事象は、前記原子力発電プラントの少なくとも一部によって受ける、原子炉構造体と、
基本安全機能を実行するように構成されたフロントライン支援機器であって、前記基本安全機能は、前記原子炉の反応性を制御すること、前記原子炉内の原子炉放射性物質を冷却すること、前記核燃料貯蔵部に貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために前記コンテナのエンクロージャの内部に前記特定の放射性物質を封じ込めることのうちの少なくとも1つを含む、フロントライン支援機器と、
前記保護された構造体から空間的に分離されている支持構造体であって、始動支援機器を含み、前記始動支援機器は、前記基本安全機能がトリガ後に前記始動支援機器とは無関係に実行されるように、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガするように構成されている、支持構造体と、
を備える、原子力発電プラント。
【請求項2】
前記支持構造体は、前記損傷事象に起因する損傷を受けることから前記始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体である、
請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項3】
前記始動支援機器は、前記損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されておらず、
前記始動支援機器は、前記基本安全機能が前記始動支援機器によって前記損傷事象に起因して受ける損傷とは無関係に実行されるように、前記損傷事象の検出に応答して、かつ前記始動支援機器が前記損傷事象に起因して損傷を受ける前に、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガするように構成されている、
請求項2に記載の原子力発電プラント。
【請求項4】
前記原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構成され、
前記支持構造体は、前記第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構成される、
請求項2に記載の原子力発電プラント。
【請求項5】
前記第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つである、
請求項4に記載の原子力発電プラント。
【請求項6】
機械的機器に関連する構造体の第1のクラスタであって、前記第1のクラスタは前記原子炉構造体を含む、第1のクラスタと、
電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器と関連付けられた構造体の第2のクラスタであって、前記支持構造体を含む第2のクラスタと、
をさらに備え、
前記原子力発電プラントの機械的機器の大部分が前記構造体の第1のクラスタの内部に位置し、前記原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の大部分が前記構造体の第2のクラスタの内部に位置し、
前記第1および第2のクラスタは、前記第1のクラスタの構造体と前記第2のクラスタの構造体との間の最短の距離が、前記第1のクラスタの隣接構造体間の第1の平均距離および前記第2のクラスタの隣接構造体間の第2の平均距離の両方よりも大きくなるように、互いに空間的に分離されている、請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項7】
前記原子力発電プラントのすべての機械的機器の少なくとも80%は、前記構造体の第1クラスタの内部に位置し、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の少なくとも80%は、前記構造体の第2クラスタの内部に位置する、請求項6に記載の原子力発電プラント。
【請求項8】
前記基本安全機能は、前記コンテナからの前記特定の放射性物質の放出を抑制するために前記コンテナの前記エンクロージャの内部に前記特定の放射性物質を封じ込めることを含み、
前記フロントライン支援機器は、前記コンテナの前記エンクロージャを前記コンテナの外部から選択的に隔離するように作動するように構成された弁であり、
前記始動支援機器は、前記弁を作動させるように構成されたアクチュエータを含む、
請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項9】
前記コンテナは、前記支持構造体の内部に配置され、前記コンテナは、前記損傷事象による破損から前記エンクロージャを保護するように構成される、請求項8に記載の原子力発電プラント。
【請求項10】
前記始動支援機器は、前記損傷事象を検出するように構成された検出機器を含む、請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項11】
前記フロントライン支援機器は、前記原子炉構造体の内部に配置される、
請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項12】
前記損傷事象が、地震設計事象、設計異常気象事象、前記原子力発電プラントに対する悪意のある行為、または前記原子炉構造体の特定の近接範囲内の火災のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項13】
原子力発電プラントの動作の方法であって、前記原子力発電プラントは原子炉構造体を含み、前記原子炉構造体は原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を含み、前記方法が、
前記原子炉構造体の外部から発生し、前記原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出することであって、前記原子炉構造体は、前記損傷事象による損傷を受けることから前記原子炉または前記核燃料貯蔵部の前記少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出することと、
前記損傷事象を前記検出することに応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、前記基本安全機能が前記トリガに続いて前記始動支援機器とは独立して実行され、前記始動支援機器が前記原子炉構造体から空間的に分離された支持構造体に配置される、制御することと、
を含み
前記基本安全機能は、前記原子炉の反応性を制御すること、前記原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、前記核燃料貯蔵部の貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために前記コンテナのエンクロージャの内部に前記特定の放射性物質を封じ込めることのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項14】
前記支持構造体または前記始動支援機器の少なくとも一方は、前記損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されておらず、
前記方法は、前記基本安全機能が、前記損傷事象に起因して前記支持構造体および/または前記始動支援機器によって受ける損傷とは無関係に実行されるように、前記支持構造体および前記始動支援機器のうちの少なくともいずれか一方が前記損傷事象に起因して損傷を受ける前に、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガする前記始動支援機器を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを構築するための方法であって、
原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体を構築することであって、前記原子炉構造体は、前記原子炉または前記核燃料貯蔵部のうちの前記少なくとも1つを損傷事象の発生による損傷を受けることから保護するように構成された保護された構造体であり、前記損傷事象は、前記保護された構造体の外部から発生し、損傷に関連する前記損傷事象は、前記原子力発電プラントの少なくとも一部によって発生する、構築することと、
前記保護された構造体から空間的に分離された支持構造体を構築することであって、前記支持構造体は、始動支援機器を含み、前記始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、前記基本安全機能は、前記トリガの後に前記始動支援機器とは独立して実行され、前記基本安全機能は、前記原子炉の反応性を制御すること、前記原子炉内の原子炉放射性物質を冷却すること、前記核燃料貯蔵部の貯蔵放射性物質を冷却すること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために前記コンテナのエンクロージャの内部に前記特定の放射性物質を封じ込めることのうちの少なくとも1つを含む、構築することと、
を含み
前記原子炉構造体および前記支持構造体は、少なくとも部分的に同時に構築される、方法。
【請求項16】
前記支持構造体は、前記損傷事象の発生に起因する損傷を受けることから前記始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フロントライン支援機器は、前記原子炉構造体の内部に配置される、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構築され、
前記支持構造体は、前記第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構築される、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つである、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
原子力発電プラントであって、
核燃料取扱いに関連する第1の組の隣接構造体であって、核燃料貯蔵部を格納する燃料取扱建屋と、前記核燃料貯蔵部に関連する補助構造体と、前記核燃料貯蔵部に関連する付属構造体とを含む前記第1の組の隣接構造体と、
前記第1の組の隣接構造体から空間的に分離された第2の組の隣接構造体であって、前記第2の組の隣接構造体は原子炉に関連付けられており、前記第2の組の隣接構造体は、前記原子炉を含む原子炉建屋と、前記原子炉に関連付けられた補助構造体と、前記原子炉に関連付けられた付属構造体とを含む、第2の組の隣接構造体と、
を備える、原子力発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月13日に出願された米国仮出願第63/174,355号の優先権を主張し、その内容全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、一般に、原子力発電プラントに関し、特に、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の原子炉建屋は、多くの補助原子炉支持システム(例えば、冷却剤浄化機器、非常用炉心冷却システム、残留熱除去システム、非常用電源など)が原子炉容器に近接している、および/または原子炉と共通している(「同じ」)構造体(「建屋」)の内部にある(例えば、原子炉格納建屋とも呼ばれる原子炉建屋)モノリシックなモジュール式アーキテクチャを使用する。これは、従来、補助的な核支援システムのいくつかが、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分(例えば、原子炉および/または核燃料貯蔵部を含む)が受ける損傷に関連する外部または特定の内的事象の間およびその後に基本安全機能を実行することに依存しているために行われる。そのような事象は、本明細書では「損傷事象」と呼ばれることがある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは、原子炉構造体、フロントライン支援機器、および支持構造体を含むことができる。原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり得る。損傷事象は、保護された構造体の外部から発生する可能性がある。損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部が受ける損傷に関連し得る。フロントライン支援機器は、基本安全機能を実行するように構成され得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部に貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために適切に濾過することのうちの少なくとも1つを含むことができる。支持構造体は、保護された構造体から空間的に分離していてもよい。支持構造体は、始動支援機器を含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能がトリガ後に始動支援機器とは無関係に実行されるように、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0005】
支持構造体は、損傷事象に起因する損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体であり得る。
【0006】
始動支援機器は、損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されなくてもよい。始動支援機器は、基本安全機能が始動支援機器によって損傷事象に起因して受ける損傷とは無関係に実行されるように、損傷事象の検出に応答して、かつ始動支援機器が損傷事象に起因して損傷を受ける前に、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0007】
原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16に従って、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構成することができる。支持構造体は、第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構成され得る。第2の階層の耐震設計カテゴリは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0008】
原子力発電プラントは、機械的機器に関連する構造体の第1のクラスタをさらに含むことができ、第1のクラスタは、原子炉構造体を含む。原子力発電プラントは、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する構造体の第2のクラスタをさらに含むことができ、第2のクラスタは支持構造体を含む。原子力発電プラントの機械的機器の大部分は、構造体の第1クラスタの内部に配置されてもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の大部分は、構造体の第2クラスタの内部に配置され得る。第1および第2クラスタは、第1クラスタの構造体と第2クラスタの構造体との間での最短の距離が、第1クラスタの隣接構造体間の第1平均距離および第2クラスタの隣接構造体間の第2平均距離の両方よりも大きくなるように、互いに空間的に離れていてもよい。
【0009】
原子力発電プラントの機械的機器の少なくとも80%は、構造体の第1クラスタの内部に配置されてもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の少なくとも80%は、構造体の第2クラスタの内部に配置され得る。
【0010】
基本安全機能は、コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために、コンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めることを含むことができる。フロントライン支援機器は、コンテナのエンクロージャをコンテナの外部から選択的に隔離するように作動するように構成された弁であってもよい。始動支援機器は、弁を作動させるように構成されたアクチュエータを含むことができる。
【0011】
コンテナは、支持構造体の内部に配置されてもよく、コンテナは、損傷事象による破損からエンクロージャを保護するように構成され得る。
【0012】
始動支援機器は、損傷事象を検出するように構成された検出機器を含むことができる。
【0013】
フロントライン支援機器は、原子炉構造体の内部に配置され得る。
【0014】
損傷事象が、地震事象、気象事象、原子力発電プラントに対する悪意のある行為、または原子炉構造体の特定の近接範囲内の火災のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは原子炉構造体を含み、原子炉構造体は原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を含む、原子力発電プラントの動作の方法が、原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出することであって、原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出することを含み得る。方法は、損傷事象を検出することに応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、基本安全機能がトリガに続いて始動支援機器とは独立して実行され、始動支援機器が原子炉構造体から空間的に分離された支持構造体に配置される、制御すること、を含み得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部の貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めて、コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制することのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
支持構造体または始動支援機器の少なくとも一方は、損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されなくてもよい。方法は、基本安全機能が、損傷事象に起因して支持構造体および/または始動支援機器によって受ける損傷とは無関係に実行されるように、支持構造体および/または始動支援機器が損傷事象に起因して損傷を受ける前に、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガする始動支援機器を含むことができる。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態によれば、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを構築する方法は、原子炉構造体を構築することを含むことができる。原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体は、損傷事象の発生による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり得る。損傷事象は、保護された構造体の外部から発生する可能性がある。損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部が受ける損傷に関連し得る。本方法は、保護された構造体から空間的に分離した支持構造体を構築することを含むことができる。支持構造体は、始動支援機器を含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能がトリガ後に始動支援機器と無関係に実行されるように、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部に貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために適切に濾過することのうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体および支持構造体は、少なくとも部分的に同時に構築され得る。
【0018】
支持構造体は、損傷事象の発生に起因する損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体であり得る。
【0019】
フロントライン支援機器は、原子炉構造体の内部に配置され得る。
【0020】
原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16に従って、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層のSDCの要件を満たすように構築することができる。支持構造体は、第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように、構築することができる。第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは、空間的に分離された第1および第2の組の隣接構造体を含むことができる。第1の組の隣接構造体は、核燃料取扱いに関連付けられてもよく、核燃料貯蔵部を格納する燃料取扱建屋、核燃料貯蔵部に関連付けられた補助構造体、および核燃料貯蔵部に関連付けられた付属構造体を含んでもよい。第2の組の隣接構造体は、原子炉に関連付けられてもよく、原子炉を含む原子炉建屋、原子炉に関連付けられた補助構造体、および原子炉に関連付けられた付属構造体を含んでもよい。
【0022】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を検討すると、より明らかになる。添付の図面は、単に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付の図面は、特に明記しない限り、縮尺に比例して描かれていると見なされるべきではない。明確にするために、図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図1B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図2】いくつかの例示的な実施形態による、特にモジュール式電気および制御構造体を示す、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの斜視図である。
図3A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの1つまたは複数の構造体の断面図である。
図3B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図4】いくつかの例示的な実施形態による、基本安全機能、および基本安全機能を満たすために使用され得る特徴を示すブロック図である。
図5A】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図5B】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図6A】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図6B】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図7】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して1つまたは複数の基本安全機能を実行させるための原子力発電プラントの動作の方法を示すフローチャートである。
図8A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの構築方法を示すフローチャートである。
図8B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを示す概略図である。
図9】いくつかの例示的な実施形態による電子デバイスおよび/または機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
要素または層が別の要素または層「にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される場合、それは他の要素または層の直接上にある、それに接続される、それに結合される、またはそれを覆うことができ、あるいは介在する要素または層が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、要素が別の要素または層「の直接上にある」、「に直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合、介在する要素または層は存在しない。同様の番号は、本明細書全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0025】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と呼ぶことができる。
【0026】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上部」などである)は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上方に」配向される。したがって、「下方」という用語は、上方および下方の両方の向きを包含し得る。デバイスは、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は相応に解釈される。
【0027】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0028】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。したがって、例えば製造技術および/または公差の結果として図解されている形状からの変形が予想される。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に示される領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差を含む可能性がある。例えば、長方形として示されている注入領域は、典型的には、注入領域から非注入領域へのバイナリな変化ではなく、その縁部に丸みを帯びたまたは湾曲した特徴および/または注入の濃度の勾配を有する。同様に、注入によって形成された埋め込み領域は、埋め込み領域と注入が行われる表面との間の領域にいくらかの注入をもたらすことができる。したがって、図に示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているものを含む用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0030】
具体的な例および図面を参照して説明したが、例示的な実施形態の修正、追加、および置換は、当業者による説明に従って様々に行うことができる。例えば、記載された技術は、記載された方法の順序とは異なる順序で実行されてもよく、および/または記載されたシステム、アーキテクチャ、デバイス、回路などの構成要素は、上記の方法とは異なるように接続または結合されてもよく、または結果は、他の構成要素または等価物によって適切に達成されてもよい。
【0031】
「約」または「実質的に」という用語が数値に関連して本明細書で使用される場合、関連する数値は、記載された数値の周りに±10%の公差を含むことが意図される。範囲が指定される場合、範囲は、0.1%の増分など、その間のすべての値を含む。
【0032】
分散モジュール式レイアウトアーキテクチャ
いくつかの例示的な実施形態は、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有し、モノリシックモジュール方式に従って配置されていない原子力発電プラントに関する。より分散されたモジュール式建屋アーキテクチャは、総合的な物品が幾分増加しているにもかかわらず、モノリシックモジュール方式よりも構築が速く、コスト安であり得る。コスト削減の主な推進要因は、レイアウトが、より速い構築スケジュール(例えば、プラントのより迅速な構築)およびより低い全体的な人件費を可能にするように特に設計されていることであり、構築の人件費のため、構築中の金銭および利益の時間的な価値が、通常、物品の量(例えば、コンクリートの体積、補強する鋼の重量、設置されるパイプの長さ、設置されるケーブルの長さなど)に関連するコストより多く占める。
【0033】
いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、互いにさらに離間した構造体、すなわち「分散型」を含む。例えば、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、少なくとも15メートル、および/または少なくとも20メートル離間した構造体を含むことができる。
【0034】
構造体間の間隔は、構築中の労力および材料の流れを容易にする。余分な空間は、材料のレイダウンにおいて、より多大な柔軟性をもたらす。材料およびコンポーネントは、それらが使用される場所の近くに貯蔵することができる。アクセス道路がより多いことは、比較的狭い構造体によっても促進されるそれらの到達範囲がより小さいので、より小さい容量のクレーンによって設置することができる大型のコンポーネントの近接した地上での送達を可能にする。最後に、アクセスがより多いことがより多くの作業面を作り出し、より大きな並列作業をもたらし、これはおそらく原子力発電プラントの構築時間を短縮するための最も強力なスケジュールアクセラレータである。作業面は、現場で他の構築と同時に構築が行われる領域として定義される。例えば、多くのフロアを有する設計では、機械的機器の重要な設置が下のフロアで完了するまで、上のフロアが構築を開始するのを待たなければならない。同様の問題は、隣接する部屋が側面から同時にアクセス可能な設計に対して、最も内側の部屋を最初に完成させなければならない、非常に広く高度に区画化された建屋についても生じる。これらの例は、モノリシック設計に広く普及しており、分散させる設計では著しく少ない。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉(例えば、原子炉容器)および補助核支援システムは、損傷事象に起因して補助核支援システムによって少なくとも開始される基本安全機能の喪失から保護するために、1つまたは複数の「特別に保護された構造体」(本明細書では単に「保護された構造体」とも呼ばれる)に配置される。
【0036】
原子力発電プラントの1つまたは複数の保護された構造体の外部から発生し得る損傷事象は、損傷を受ける原子力発電プラントの1つまたは複数の部分に関連し得る。原子力発電プラントの1つまたは複数の構造体の構成(設計を含む)に関して、「損傷設計事象」、「設計損傷事象」、「損傷設計レベル事象」、「設計損傷レベル事象」などとも呼ばれ得る損傷事象は、外的事象(「設計外部事象」)および/または特定の内的事象(「設計内部事象」)を含み得る。外的事象には、本明細書では地震設計事象とも呼ばれる地震事象(例えば、地震)、本明細書では設計気象事象とも呼ばれる気象事象(例えば、竜巻、洪水などを含む設計上の極端な風および洪水の事象)、本明細書では設計悪意行為とも呼ばれる、原子力発電プラントの少なくとも一部の特定の近接範囲の中で発生しているおよび/または生じている原子力発電プラントなどへの攻撃(例えば、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体)を含む、原子力発電プラントへの悪意のある行為(例えば、テロ攻撃)が含まれる。当該の特定の近接範囲は、例えば、1km、2km、5km、10km、20km、50kmなどであってもよい。特定の内的事象(例えば、設計内部事象)は、原子力発電プラントの内部の火災、原子力発電プラントの1つまたは複数の特定の機器の誤動作および/または故障などを含むことができる。
【0037】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるような事象(例えば、損傷事象)は、例えば本明細書に記載されるような任意の規制上の指針または基準などを含む規制上の指針、基準、および/または法令に従って定義され得る設計事象(例えば、設計損傷事象)であり得ることが理解されよう。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、損傷事象(例えば、損傷設計事象)は、ASCE/SEI 43-16または他の関連する規制上のガイダンスに従って定義された地震設計事象(例えば、「地震事象」)、米国NRC規制ガイド(RG)1.76または他の関連する規制上のガイダンスに従って定義された異常風・洪水設計事象(例えば、「天候事象」、「天候設計事象」など)、関連する規制上のガイダンスに従って定義された原子力発電プラントに対する設計悪意行為(例えば、攻撃、テロ攻撃など)、および/または関連する規制上のガイダンスに従って定義された原子炉構造体の特定の近接範囲(例えば、1km、2km、5km、10km、20km、50km以内など)内の火災のうちの少なくとも1つを含む、損傷性の外的な低確率大規模設計事象を含むことができる。
【0039】
規定の分離
図1A図3Bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントはまた、そのレイアウト設計に物理的な「規定の分離」の実施を組み込む。「分散」または「モノリシック」なレイアウト手法が使用されるかどうかにかかわらず、規定による構築/設置の順序は、通常、1)一般的、2)構造的、3)機械的、4)電気的、および最後に5)制御の順序である。「分散」アプローチでは、より速い構築スケジュールを容易にするために、機械的スコープの大部分は、電気的スコープおよび制御スコープの大部分からプラント領域(すなわち、電気機器から位置において分離してグループ化された機械的機器)に、位置として分離される。
【0040】
原子力発電プラントにおけるほとんどの機械的スコープ(例えば、機械的機器)は、典型的には、原子炉容器、燃料貯蔵プール、他の容器、タンク、ポンプ、ファン、圧縮機、熱交換器、弁、管などを指し、一方、原子力発電プラントにおける電気/制御スコープは、制御キャビネット、開閉装置、変電所、モータ制御センター、保護リレー、電池システム、無停電電源装置、インバータなどを含むプラントの電気および制御機器を含むことができる。分離は、構築スケジュールを短縮するために実施することができる。それは、典型的には機械式コンポーネントであるより大きなクリティカルパス駆動部に関連する民生および構造範囲の優先順位付けを可能にする。
【0041】
一方、電気および制御分野に関連するプラントの電気および制御機器の大部分は、機械的スコープの大部分から離れた少数の場所または単一の場所に統合され得る。電気および制御機器は、通常、原子力発電プラントを構築する間、機械的機器の後に設置されるため、この機器を分離することにより、原子力発電プラントを構築するためのより並列的な構築作業が可能になる(例えば、電気/制御機器は、機械的機器の構築/設置と少なくとも一部に同時に構築/設置され得る)。
【0042】
その結果、少なくとも図1A図3Bに示すように、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント100は、機械的機器(例えば、「大部分の機械的スコープ」)に関連する構造体の第1クラスタ110であって、例えば原子炉構造体(例えば、原子炉建屋(RXB)112、燃料取扱建屋(FHB)114、原子炉付属建屋(RAB)116、および/または燃料付属建屋(FAB)117)を含む第1クラスタ110と、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器(例えば、「大部分の電気的および制御スコープ」)に関連する構造体(例えば、電気およびI&Cモジュール(eルームモジュール)122、モジュール式制御室および/またはeルームモジュールに含まれ得る原子力島制御建屋(NCB)124、および/または変圧器126)の第2クラスタ120とを含むことができる。当該の第2クラスタ120は、本明細書に記載の1つ以上の支持構造体を含んでもよく、これは1つ以上の始動支援機器を含んでもよい。原子力発電プラントの機械的機器の大部分は、構造体の第1クラスタ110(例えば、図1Bに示すような「大半の機械的なスコープ」の構造体)の内部に位置してもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の大部分は、構造体の第2クラスタ120(例えば、図1Bに示すような「大半の電気および制御スコープ」構造体)の内部に位置してもよい。図1Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120は、第1クラスタ110の構造体と第2クラスタ120の構造体との間での最短の距離(例えば、図1Bに示すような距離138)が、第1クラスタ110の隣接構造体間の第1平均距離(例えば、図1Bに示すような距離118)および第2クラスタ120の隣接構造体間の第2平均距離128(例えば、図1Bに示すような距離128)の両方よりも大きくなるように、互いに空間的に離れていてもよい。当該の最短の距離は、例えば、少なくとも5メートルであってもよい。図1A図1Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120の1つまたは複数の構造体/建屋は、プラント(BOP)のバランスおよび/またはBOP(地下)184からの電力供給からパイプラック182に接続され得る。図示するように、電源(地下)186は、異なるスコープ(例えば、機械的または電気的/制御スコープ)の異なる構造体/建屋を含む原子力発電プラント100の異なる構造体/建屋の間に延在し、それらを電気的に接続することができ、したがって、異なるクラスタ110および/または120の異なる構造体/建屋の間に延在し、それらを電気的に接続することができる。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100のすべての機械的機器の少なくとも80%は、構造体の第1クラスタ110の内部に位置し、原子力発電プラント100の電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の少なくとも80%は、構造体の第2クラスタ120の内部に位置する。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、様々な機器に関連する様々な量の構造体のクラスタを含むことができる。原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する1つまたは複数の構造体の第1クラスタ110と、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する1つまたは複数の構造体の第2クラスタ120とを含むことができ、機械的機器に関連する1つまたは複数の構造体の第1クラスタ110は、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する1つまたは複数の構造体の第2クラスタ120から空間的に分離されている。例えば、原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する1つの構造体の第1クラスタ110と、電気/制御機器に関連する3つの構造体の第2クラスタ120とを含むことができ、これらは1つの構造体の第1クラスタ110から空間的に分離されている(例えば、少なくとも5メートル離れている)。別の例では、原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する2つの構造体の第1クラスタ110と、2つの構造体の第1クラスタ110から空間的に分離された(例えば、少なくとも5メートル離れている)、電気/制御機器に関連する1つの構造体の第2クラスタ120とを含んでもよい。
【0045】
少なくとも図3Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120のうちの少なくともいずれか一方はそれぞれ、1つ以上の保護された構造体(例えば、以下でさらに説明するように、SDC-5およびSDC-3として分類される構造体)および/または1つ以上の保護されていない構造体(例えば、以下でさらに説明するように、SDC-1およびSDC-2として分類される構造体)を含んでもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、構造体の第1クラスタ110および第2クラスタ120は、互いに構造的に独立しており(例えば、空間的に分離している)、それにより、第2クラスタ120の構造体は、第1クラスタ110の構造体、およびそれらがホストし、支持し、保護する(例えば、損傷事象)機器の完全性および安全機能に影響を及ぼし得る設計事象の間、第1クラスタ110の構造体との有害な相互作用を防止するように構成および設計される。
【0047】
図2に示すように、いくつかの例示的な実施形態では、ひと際迅速な構築を容易にするために、これらの電気および制御機器は、オフサイト工場のモジュール式電気機器ハウス「eルーム」に組み込むことができる。本明細書においてeルーム建屋、eルームモジュールなどとも称されるこれらのeルーム122は、制御キャビネット、開閉装置、ユニット変電所、モータ制御センター、保護リレー、バッテリシステム、無停電電源装置、インバータなどのアイテムを含む。モジュール式建屋は、道路または鉄道出荷可能であってもよい。工場で組み立てられたモジュールは、ほとんどの機器が既に試験された状態で現場に到着することができる。これにより、プラントの試運転が加速される。工場で組み立てられたモジュールを構築現場に配送する際に、構築は、モジュール(例えば、ボルトを介して)のコンクリートスラブへの機械的固定と、再ランディングの電気的相互接続(すなわち、機械的スコープエリアからのケーブル配線は、電気的スコープエリア内の電気および制御機器にリンクされる)とを含むことができる。
【0048】
分散構造体
従来式の原子力発電プラントは、基本安全機能(例えば、支援機器)を設ける核支援システムが原子炉容器または燃料貯蔵領域をはるかに超えて拡張されたため、分散モジュール式アーキテクチャを追求することを控えていた。例えば、原子力発電プラントは、冷却材の損失事故を軽減するために、パイプライン破損の場合に冷却材在庫制御を設けるように構成された支援機器を含むことができる。この冷却剤在庫制御は、通常、弁を最小限に制御するためにDC電力および関連する制御装置およびヒューマンマシンインターフェースを必要とする。これらのシステム、構造、および構成要素は、損傷事象によって原子炉が停止した後も長い間、基本安全機能を果たす信頼性があり、したがって、これらのシステム、構造、および構成要素を「特別に保護された構造」に配置する必要性が増した。本明細書では交換可能に「保護された構造体」とも呼ばれる特別に保護された構造体は、ASME BPVC、ACI 349、ANSI/AISC N690などであるがこれらに限定されないより厳格な核の規格および基準を満たす(「従う」)ように設計および構築(「構成」)され、構造、したがって内部のシステムおよびコンポーネントが基本安全機能を満たす事象を乗り越えるはるかに高い確率を保証する。米国以外の国は、同等のコードを使用する。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、複数の分散構造体を有することができ、少なくとも1つのそのような構造(例えば、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体)は保護された構造体であり、1つまたは複数の基本安全機能を実行させるように構成された少なくともいくつかの支援機器を含む支持構造体であり得る別のそのような構造体は、保護された構造体または保護されていない構造体であり得る。
【0050】
本明細書で説明するように、保護された構造体は、損傷事象の発生による原子炉への損傷、核燃料への損傷、放射性物質の放出などからの保護に関連する1つまたは複数の特定の核安全要件を満たす(例えば、従う)ように保護された構造体を構成する構造的特徴を含むことができる。
【0051】
いくつかの例示的な実施形態では、「特定の核安全要件」は、例えば、本明細書でANSI/ANS-2.26-2004,DOE-Standard(STD)1189-2008,ASCE/SEI 43-16,NRC Regulatory Guide 1.29とも呼ばれるAmerican National Standards Institute(ANSI)/American Nuclear Society(ANS)2.26-2004,Categorization of Nuclear Facility Structures,Systems,and Components for Seismic Designによって定義された地震設計基準、管理する核に関する規定と基準、例えばASME BPVC,ACI 349,ANSI/AISC N690などを含む1つまたは複数の設計基準を含むことができる。例えば、ANSI/ANS-2.26-2004は、原子力発電プラントの構造体の地震設計基準(SDB)をそれぞれ定義することができる様々なSDCを示すことができる。SDCは、SDC-1~SDC-5の範囲であり得る。特定の核安全要件を満たす保護された構造体は、例えば、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである耐震設計カテゴリを満たす(例えば、満足させる)ように構成することができる。
【0052】
別の例では、「特定の核安全要件」は、竜巻、洪水、ハリケーン、火災などを含む様々な自然災害に関連する1つまたは複数の設計基準を含むことができる。例えば、「特定の核安全要件」は、一般設計基準(GDC)2、付属書Aの「Design Bases for Protection Against Natural Phenomena」、連邦規則集(10 CFR Part 50)の第10編第50部、「General Design Criteria for Nuclear Power Plants」、「Domestic Licensing of Production and Utilization Facilities」、GDC4、付属書Aから10 CFR Part 50、10 CFR Part 100の「Environmental and Dynamic Effects Design Bases」、NRC Regulatory Guide 1.76の「Design-Basis Tornado And Tornado Missiles For Nuclear Power Plants」、ANSI/ANS-2.8-2019、「Probabilistic Evaluation of External Flood Hazards for Nuclear Facilities」などの少なくとも1つに関連付けられ、かつ/またはそれらに含まれる1つ以上の設計基準を含むことができ、特定の核の安全要件を満たす保護された構造体は、例えば、それらのいずれかに関連付けられたおよび/またはそれらに含まれる当該設計基準のいずれかのうちの1つまたは複数を満たすように構成され得る。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態では、「特定の核安全要件」は、特定の核安全要件を満たす保護された構造体、したがって(例えば、原子炉、核燃料、構造体内の補助原子炉支援システムなど)内部のシステムおよび構成要素が損傷事象を乗り越えるはるかに高い確率を与えるために1つまたは複数の厳格な核の規格を含むことができ、それによって当該補助核支援システムが1つまたは複数の基本安全機能を正常に実行する(例えば、「満たす」)ことを可能にする。「特定の原子力安全要件」は、米国外の国が特定の核安全要件を満たし得る同等の規約を使用することができるため、上記の規格および規約に限定されないことが理解されよう。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、保護された構造体は、本明細書では単に「ベースマット」とも呼ばれる原子力島ベースマット構造体によって支持されることによって構造的に区別されてもよく、その結果、当該原子力島ベースマット構造体は、特定の核安全要件を満たすように特別に保護された構造体を少なくとも部分的に構成する特別に保護された構造体の1つまたは複数の特徴であってもよい。原子力島ベースマット構造体は、補強されたコンクリートの基礎(例えば、約6フィート(約1.83m)の厚さ)を含むことができ、損傷事象(例えば、地震などの地震事象)の発生中および発生後であっても、保護された構造体(例えば、原子炉、核燃料貯蔵部など)内の機器が基本安全機能を満たし続けることを保証するように構造的に構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、保護されていない構造体は、単純なコンクリートスラブ構造において支持されてもよく、またはスラブにいっさい支持されなくてもよい(例えば、裸地または岩材に支持される)。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む機器、システム、および構成要素をホスト、支持、および保護する構造体であると理解されてもよく、事象(例えば、外部および/または内部の設計事象)の最中および後に損傷すると、ASME BPVC、ACI 349、およびANSI/AISC N690などの管理用の原子力の規約および規格に従って設計されたANSI/ANS-2.26-2004によって定義されるように、環境および公衆に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態では、補助的な核安全システムを原子炉と同じ建屋、または同等の核の質の隣接する補助建屋(例えば、原子炉建屋とベースマットを共有してもしなくてもよい別の保護された構造体)に配置することによって、特定の原子力発電プラントの総合的な物品(例えば、コンクリートの体積、補強用の鋼の重量、設置されたパイプの長さ、設置されたケーブルの長さなど)は、複数の分散した「特別に保護された構造体」を有することに対して削減され得る。ほとんどの内的事象(例えば、不慮の弁閉鎖、電力バスの喪失など)は、保護された構造体を必要としない場合がある。なぜなら、そのような事象は、典型的には、この保護を設けるために構造体に依存することによって外力からシステムおよび構成要素を保護することに関連しないからである。「原子力の質」という用語は、米国の10 CFR Part 50付表Bに準拠したものまたは他の国の同等のものなど、はるかに厳しい品質保証レベルに保持されている活動を総称的に指すために使用される。
【0057】
本明細書で説明するように、保護された構造体ではない原子力発電プラントの建屋は、本明細書では「保護されていない構造体」と呼ばれることがある。
【0058】
本明細書で説明するように、原子力発電プラント100は、単一の保護された構造体の一部であるか、または別々のそれぞれの保護された構造体に配置された原子炉建屋(RXB)112(例えば、原子炉格納建屋)および燃料取扱建屋(FHB)114(本明細書では燃料貯蔵設備とも呼ばれる)を含むことができる。そのような1つまたは複数の構造体は、本明細書では「原子炉構造体」と呼ばれることがある。例えば、原子力発電プラント100は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも一方を含む原子炉構造体を含むことができ、原子炉構造体は、損傷事象により損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり、損傷事象は、保護された構造体の外部で発生し、損傷に関連する損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部によって受ける。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、保護された構造体であり、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体に隣接する(例えば、特定の近傍、例えば5メートル以内に直接隣接する、またはその中にある)1つまたは複数の「補助」建屋を含むことができるが、原子炉建屋(RXB)112および/または燃料貯蔵建屋(例えば、燃料取扱建屋(FHB)114)である/画定する特別な保護された構造体と同じベースマットを共有してもしなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの補助的な建屋(例えば、安全関連の残留熱除去システムを含む補助建屋)は、原子炉建屋とは別個のベースマットを含むことができる。したがって、原子力発電プラントの1つまたは複数の補助建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体から「地震的に切り離され」ていると理解することができ、地震的に切り離された構造体は、構造体が地震事象(例えば、地震)に応答して互いに相互作用しないように構成されるように離間される。いくつかの例示的な実施形態では、地震によって分離された補助建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する当該の特別に保護された構造体と同様または同じ核安全要件(例えば、地震標準)を満たすように構成され得る。
【0060】
原子力発電プラント100は、原子力発電プラントの保護された構造体に直接隣接する(例えば、5メートル以内の近接)1つまたは複数の「付属」建屋(例えば、原子炉付属建屋(RAB)116および/または燃料付属建屋(FAB)117などの付属構造体)を含むことができる。付属建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する特別に保護された構造体のベースマットから物理的に分離(例えば、単離)されてもよく、したがって、保護された構造体のベースマットから地震に関して切り離されると理解され得る。したがって、付属建屋は、保護された構造体とは異なる耐震基準を満たすように構成され得、したがって、保護された構造体によって満たされる同じ核安全要件を満たさなくてもよい。付属構造体は、保護された構造体でなくてもよく(例えば、保護されていない構造体であってもよい)、したがって、付属構造体の内部に位置する機器を、損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの保護された構造体が、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つを満たすように構成されている場合、原子力発電プラントの付属建屋は、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5の一部またはいずれかを満たすように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの付属建屋は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つを満たし、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のいずれも満たさないように構成することができる。
【0061】
原子力発電プラントは、保護された構造体であるが、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋に直接隣接していない(例えば、これらから6メートルを超える隔たりから12メートルを超える隔たりなど)1つまたは複数の「衛星」建屋(本明細書では衛星構造体とも呼ばれる)を含むことができる。
【0062】
原子力発電プラントは、原子力発電プラントの保護された構造体から空間的に分離された1つまたは複数の「支持」建屋(本明細書では支持構造体とも呼ばれる)を含むことができる。支持構造体は、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉構造体(例えば、原子炉建屋および/または燃料取扱建屋)が「保護された構造体」から著しく離れていてもよい(例えば、それから6メートルを超える隔たり、12メートルを超える隔たり)。支持構造体は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体のベースマットから物理的に分離(例えば、単離)されてもよく、したがって、支持構造体から地震に関して切り離されると理解され得る。したがって、支持構造体は、保護された構造体とは異なる耐震基準を満たすように構成され得、したがって、保護された構造体によって満たされる同じ核安全要件を満たさなくてもよい。支持構造体は、保護された構造体でなくてもよく(例えば、保護されていない構造体であってもよい)、したがって、支持構造体の内部に位置する機器を、損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの保護された構造体が、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つを満たすように構成されている場合、原子力発電プラントの支持構造体は、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5の一部またはいずれかを満たすように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの支持構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つを満たし、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のいずれも満たさないように構成することができる。
【0063】
本明細書で説明するように、「空間的に別個の構造体」は、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの「衛星」および/または「支持」構造体のいずれかを指すことができる。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラントの保護されていない構造体(例えば、支持構造体、付属構造体、またはそれらの組み合わせ)は、IBC、ACI 318、AISC 360、それらのいくつかの組み合わせなどを含む1つまたは複数の様々な非原子力産業規約に従って設計された(例えば、満たすよう構成された)構造であってもよい。
【0065】
いくつかの例示的な実施形態では、損傷事象に関して構成された(例えば、損傷事象による損傷を受けないように内部に配置された機器を保護するように構成された)構造体は、損傷事象に関して設計されている(例えば、損傷事象による損傷を受けないように内部の機器を保護するように設計されている)と理解することができる。例えば、内部に位置する始動支援機器を損傷事象(例えば、設計損害事象)により受ける損傷から保護するように構成されていない支持構造体は、内部に位置する始動支援機器を損傷事象(例えば、設計損害事象)により受ける損傷から保護するように設計されていない場合がある。
【0066】
構築作業
いくつかの例示的な実施形態では、少なくともいくつかの補助安全システムが別個の構造体に分散されている分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、設置された物品数の削減が実現されているにもかかわらず、当該補助安全システムのほとんどすべて、および原子炉を、同じ構造体に組み込む大きなモノリシックモジュール構造体を有する原子力プラントと比較して、構築コストを削減することができる。モノリシックモジュール構造による保護を必要とする機器の広がりがモノリシックモジュール構造内の複数のフロアおよび部屋の必要性を増やし、原子力発電プラントの構築中に並列作業ではなくより連続的な作業をもたらすので、「保護された構造体」に対するモノリシック手法は、作業面をほとんどもたらさない可能性がある。作業面は、現場で他の構築と同時に構築が行われる領域として定義される。例えば、大型のモノリシックモジュール構造体の設置面積が大きいと、より長距離のクレーンの使用が促進され、したがって典型的には構築中のクレーンが少なくなるため、構築中の大型のモノリシックモジュール構造である原子炉建屋の部分へのクレーンのアクセスは限定される。別の例では、モノリシックモジュール構造体を有する原子力発電プラントの構築中の労働者の生産性は、大規模なモノリシックモジュール構造体の内部の相互依存型安全関連機器に関連する密集および広大なスコープの現場での核の品質保証(米国の10 CFR Part 50付表Bまたは他国の同等なものに基づいて現場で管理される構築活動)のために、分散モジュール式のレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの構築中よりも低くなり得、それによって構築のタイムラインを延長する。さらに、ほとんどの従来の軽水原子炉は、原子炉自体の原子炉容器よりもはるかに大きい容積を有する圧力保持格納構造体を使用する。この特定の格納構造体の設計は、大型のモノリシックモジュール式構造体である原子炉建屋の設置面積をさらに拡大し、原子力発電プラントのコストを悪化させ、原子炉建屋の構築予定を延ばす。
【0067】
図8Aを参照すると、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント800を構築する方法は、S802において、衛星および支持(S804)構造体822および824と高度に並列に構築された隣接構造体810(例えば、原子炉建屋812および/または燃料取扱建屋814であり、これらは、1つ以上の原子炉構造体と称され得る)を構築することを含むことができ、隣接構造体ならびに衛星および支持構造体822および824(例えば、空間的に分離した構造)は、当該構造体が離間している(「分散している」)ことに少なくとも部分的に基づいて少なくとも部分的に同時に構築される。S802で構築された隣接構造体810は、原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、原子炉建屋812および/または燃料取扱建屋814であってもよい)の少なくとも一方を含んでもよく、および/または補助建屋816(原子炉建屋812、燃料取扱建屋814、および/または補助建屋816は、本明細書では原子炉構造体と呼ぶことができる)であってもよく、損傷事象の発生による損傷から原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であってもよく、損傷事象は、保護された構造体の外部で発生し、損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部によって損傷を受ける。保護された構造体(例えば、原子炉構造体)は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む機器、システム、および構成要素を収容、支持、および保護することができ、これらは、事象(例えば、外部または内部の事故設計事象、損傷設計事象など)がANSI/ANS-2.26-2004によって定義されるように、環境および公衆に重大な悪影響を及ぼす可能性がある間および後に、損傷を受ける。支持構造体824は、保護された構造体から空間的に分離されていてもよく、始動支援機器を含むように構築されてもよく、始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、基本安全機能は、トリガの後に始動支援機器とは独立して実行され、基本安全機能は、原子炉の反応性の制御、原子炉の原子炉放射性物質の冷却、核燃料貯蔵部の貯蔵放射性物質の冷却、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に(例えば、環境または公衆に対して)特定の放射性物質を封じ込めることのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの例示的な実施形態では、S804で構築された構造体は、損傷事象の発生による損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない保護されていない構造体(すなわち、支持構造体824)である。そのような保護されていない構造体は、IBC、ACI 318、および/またはAISC 360を含む1つまたは複数の非原子力産業規約に従って(例えば、満たすよう構成され)設計することができる。フロントライン支援機器は、原子炉構造体および/または支持構造体の内部に設置され得る。保護された構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の耐震設計カテゴリ(例えば、第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC))を満たす(例えば、要件を満たす)構造体を構築することを含むことができる。保護されていない構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16に従って、Non-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであり得る第2の耐震設計カテゴリ(例えば、第2の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)構造体を構築することを含むことができる。
【0068】
保護されていない構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004による、SDC-1またはSDC-2の組み合わせである第2の耐震設計カテゴリを満たす構造体を構築することを含むことができる。
【0069】
また、図8Aでは、保護された構造体である衛星構造体822は、他の保護された構造体(例えば、建屋812、814、および816)から空間的に分離されてもよく、始動支援機器を含むように構築されてもよく、衛星構造体822の内部の始動支援機器は、基本安全機能を実行するためにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、基本安全機能は、トリガの後に衛星構造体822の内部に配置された始動支援機器とは独立して実行され、基本安全機能は、原子炉の反応性の制御(例えば、原子炉建屋812)、原子炉の原子炉放射性物質の冷却、核燃料貯蔵部(例えば、燃料取扱建屋814)の貯蔵されている放射性物質の冷却、または(例えば、環境または公衆に対して)コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためのコンテナのエンクロージャの内部の特定の放射性物質の封じ込めのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態では、図8Bに示すように、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント850は、原子炉(例えば、原子炉建屋872ならびにそれに関連する補助構造体874および付属構造体876)に関連する構造体(例えば、第2組の隣接構造体870)から空間的に分離された(例えば、少なくとも6メートル離れている、少なくとも12メートル離れているなど)燃料取扱い(例えば、核燃料貯蔵部と、それに関連する補助構造体864および付属構造体866とを含む燃料取扱建屋862)に関連する構造体(例えば、第1組の隣接構造体860)を含むことができる。これは、並列構築の程度をさらに高め、燃料取扱建屋862をいくつかの他の原子炉と共有することも容易にするために行うことができる。隣接構造体(例えば、第1組の隣接構造体860の構造体および/または第2組の隣接構造体870の構造体)は、5メートル未満、4メートル未満、3メートル未満、2メートル未満、1メートル未満など、互いに6メートル未満離れていてもよい。
【0071】
原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、補助構造体864および/または874、集合的に補助構造体884)に関連する補助構造体は、本明細書に記載の補助構造体(例えば、原子炉建屋872または燃料取扱建屋862に隣接する保護された構造体)であってもよい。原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、付属構造体866および/または866、集合的に付属構造体886)に関連する付属構造体は、本明細書に記載の付属構造体(例えば、原子炉建屋872または燃料取扱建屋862に隣接する保護されていない構造体)であってもよい。
【0072】
核燃料貯蔵部に関連する構造体は、核燃料貯蔵部の動作および/または機能(例えば、基本安全機能)を支援するように構成された機器を含む(例えば、格納する)ことができる。そのような機器は、例えば、核燃料貯蔵部、燃料プール浄化機器、待機電源、制御機器、冷却剤浄化機器、緊急プール冷却システム、残留熱除去システム、緊急電源、それらの任意の組み合わせなどと熱を輸送し合う熱輸送システム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)を含むことができる。
【0073】
原子炉に関連する構造体は、原子炉の動作および/または機能(例えば、基本安全機能)を支援するように構成された機器を含む(例えば、格納する)ことができる。そのような機器は、例えば、原子炉(例えば、有用な作業(例えば、電気を発生させる、または化学プロセスを加熱する)を実行するために)との間で熱(例えば、蒸気、溶融塩、ナトリウム、ガスなど)を輸送する熱輸送システム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)、待機電源、制御機器、冷却剤浄化機器、緊急炉心冷却システム、残留熱除去システム、緊急電源、それらの任意の組み合わせなどを含むことができる。
【0074】
基本安全機能および支援機器
図1A図7を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、基本安全機能が実行/満たされることを可能にするように構成された支援機器を含むことができる。
【0075】
本明細書に記載されるように、「基本安全機能」は、正常に実行されると(例えば、満たされると)、1)原子炉の反応性を制御すること(例えば、損傷事象の間および後に、原子炉を安全に停止し、原子炉を安全な停止状態(ゼロ出力の臨界状態または亜臨界状態を含む)に維持すること)、2)原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること(例えば、残留熱の除去)(例えば、原子炉停止後)、3)核燃料貯蔵部の貯蔵されている放射性物質を冷却すること(例えば、残留熱の除去)、および/または4)コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること(例えば、原子力発電プラントから環境または公衆への放射性物質の放出の可能性を低減および/または防止し、あらゆる放出が所定の制限された範囲にあることを確実にすること)のうちの少なくとも1つを達成する機能を含むことができる。
【0076】
本明細書で説明するように、1つまたは複数の「基本安全機能」を実行させるように構成された原子力発電プラントの支援機器(「補助支援システム」)は、基本安全機能を実行するフロントライン支援機器と、フロントライン支援機器をトリガして基本安全機能を実行させる始動支援機器とを含むことができる。フロントライン支援機器は、例えば、緊急炉心冷却機器、残留熱除去機器、緊急電源などを含むことができる。フロントライン支援機器の例は、原子炉のスクラムを発生させるように構成された支援機器、および/または原子炉および/または核燃料貯蔵部の1つまたは複数の部分を隔離するように、および/またはコンテナのエンクロージャを隔離してエンクロージャからの放射性物質の放出を抑制するように構成された支援機器を含む原子炉保護システムを含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするために、「トリガ」制御信号をフロントライン支援機器へ選択的に生成および/または送信するように構成された処理回路を含み得る。当該処理回路は、命令のプログラムを記憶するメモリと、命令のプログラムを実行して、損傷事象が検出されたという判定に応答して「トリガ」制御信号を生成および/または送信するように構成されたプロセッサとを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器は、損傷事象の発生を検出するように構成された検出機器(例えば、センサ、通信インターフェースなど)を含む。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器は、計装機器(例えば、センサデバイス、信号送信機)、電気機器(例えば、変圧器、開閉装置など)、通信機器(例えば、無線通信送受信機)、および/または制御機器(例えば、処理回路、ユーザインターフェースなど)を含む。当該始動支援機器がトリガするように構成された始動支援機器およびフロントライン支援機器は、別個の構造体に配置されてもよく、および/または有線または無線通信接続を介して通信可能にリンクされ得る。
【0077】
始動支援機器は、(例えば、始動支援機器が、処理回路と、制御信号を生成し、通信リンクを介してフロントライン支援機器へ送信するように構成された送信機とを含む場合)フロントライン支援機器への「トリガ」制御信号の送信、(例えば、始動支援機器が、アクチュエータおよび/またはフロントライン支援機器の少なくとも一部を作動させてフロントライン支援機器に基本安全機能を実行させるように動作するように構成されたばね、電磁石などの他のデバイスを含む場合)作動動作の実行、またはこれら任意の組み合わせに基づいて、フロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態では、U.S.10 CFR Part 50または他の国の法律における同等の分類に基づいて「安全と関連」と分類されていても、基本安全機能を実行させるように構成された少なくともいくつかの支援機器は、保護された構造体に配置される必要がない場合がある。
【0079】
例えば、フロントライン支援機器は、始動支援機器によってトリガされたことに応答して、トリガ後、始動支援機器とは無関係に、基本安全機能を実行/満たすように構成され得る。結果として、基本支援機能の実行は、基本支援機能を実行するためのフロントライン支援機器のトリガ後の始動支援機器の継続的な動作、存続、および/または存在とは無関係に継続することができるため、始動支援機器は、保護された構造体に位置する必要がない場合がある。
【0080】
これは、保護された構造体に配置される必要がないシステム(例えば、支援機器)が、保護された構造体に配置される必要があるシステム(例えば、原子炉)を収容する構造から空間的に分離された支持構造体(例えば、保護されていない構造体)に配置されるように分散される分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャの採用を容易にする、というのも、そのような分散は、そのような分散を有する原子力発電プラントを、より経済的に魅力のあるものにし得るからである。例えば、始動支援機器は、支持構造体に配置されてもよく、始動支援機器によってトリガされて基本安全機能を実行することができるフロントライン支援機器は、保護された構造体(例えば、原子炉建屋、燃料取扱建屋、補助建屋、衛星構造体、またはそれらの何らかの組み合わせを含む原子炉構造体)に配置され得る。
【0081】
基本安全機能が実行/満たされる動作の概要は、少なくとも図4図7を参照して以下に提供される。
【0082】
基本安全機能の始動/トリガ
任意の例示的な実施形態(例えば、図5A図5Bおよび/または図6A図6Bに示すように)による任意の原子力プラント、始動および/またはフロントライン支援機器などに関して実行され得る方法である図7を参照すると、事象(例えば、損傷事象)は、検出されると(例えば、検出機器によるステップS702)、始動支援機器に、ステップS704でのトリガに続く始動支援機器とは独立して、基本安全機能を実行する(例えば、ステップS706)ようにフロントライン支援機器をトリガする(例えば、ステップS704)ように促し、その結果、始動支援機器が、(例えば、ステップS710において)トリガに続く損傷を受けるおよび/または損傷事象に起因して動作不能になる場合であっても、基本安全機能(例えば、図4に示す基本安全機能のうちの1つまたは複数)が実行され(例えば、ステップS706において)、満たされ(例えば、ステップS708A、ステップS708B、またはステップS708Cのうちの1つまたは複数)得る。
【0083】
換言すると、図7に示す方法は、ステップS702において、原子力発電プラントの原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出することであって、原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出すること、およびステップS704において、ステップS702において損傷事象を検出することに応答してステップS706において基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、基本安全機能がトリガに続いて始動支援機器とは独立して実行され、始動支援機器が原子炉構造体から空間的に分離された(本明細書では互換的に「構造的に独立」とも呼ばれる)支持構造体に配置される、制御すること、を含み得、基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること(ステップS706において基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Aで満たすことができる)、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること(ステップS706において基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Bで満たすことができる)、核燃料貯蔵部の貯蔵された放射性物質を冷却すること(ステップS706で基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Bで満たすことができる)、またはコンテナからの特定の放射性物質の例えば環境または公衆への放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること(ステップS706で基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Cで満たすことができる)のうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
ステップS702の検出することは、原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分が受ける損傷に関連する損傷事象を検出することを含むことができ、原子炉構造体は、損傷設計レベル事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護構造体であり、そのような検出に応答してステップS704でトリガすることが(例えば、始動支援機器によって)実行されるように、ANSI/ANS-2.26-2004によって定義された、環境および公衆に対する重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
【0085】
図5A図6Bを参照すると、原子力発電プラント500は、損傷事象518を検出するように構成された検出機器(DE)514を含む、および/またはそれに通信可能に結合することができる始動支援機器(ISE)512を含むことができる。検出機器(DE)514は、例えば、地震事象を検出するように構成された既知の地震トリップシステム、気象事象につきローカルの気象を監視するように構成された既知のシステム、原子力発電プラントに対する攻撃を検出するように構成された既知の侵入検出システムなどを含むことができる。
【0086】
さらに図5A図6Bを参照すると、支援機器は、例えば、「トリガ」制御信号(516)をフロントライン支援機器522に送信すること、および/またはフロントライン支援機器522を作動させることに基づいて、損傷事象518の検出(例えば、DE514による)に応答して、フロントライン支援機器(FSE)522を「トリガ」する(516)ように構成された始動支援機器(ISE)512を含むことができる。始動支援機器ISE512は、原子炉、核燃料貯蔵部、および/または放射性物質(例えば、構造体524)、または損傷事象518に起因して原子力発電プラント500の1つまたは複数の部分が影響を受ける(例えば、損傷)前に、FSE522をトリガ516して基本安全機能526を実行するように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器512は、損傷事象518に起因する損傷532を受けることから始動支援機器512を保護するように構成されていない保護されていない構造体であり得る支持構造体510に配置される。検出機器(DE)514は、損傷事象518によってISE512が損傷532を受け得るよりも前に、十分な事前のタイミング(例えば、少なくとも5秒、10~20秒など)で損傷事象518を検出するように構成することができ、ISE512は、当該事前タイミング内に1つまたは複数の基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器(FSE)522をトリガするように構成することができ、その結果、ISE512は、1つまたは複数の基本安全機能(FSF)526を実行するように、フロントライン支援機器(FSE)522をトリガ516することができ、そのようなトリガ516は、ISE512(および/またはFSE522、原子炉、核燃料貯蔵部など)が当該トリガ516を実行することを妨げる(534)損傷事象に起因してISE512が損傷532を受ける前に完了することができる。換言すると、図5A図6B(特に図5Bおよび図6B)に示すように、始動支援機器ISE512は、損傷事象518に起因して損傷532を受けるのを耐えるように構成されなくてもよく、始動支援機器ISE512は、損傷事象518の検出に応答して(例えば、検出機器DE514によって)、始動支援機器ISE512が損傷事象に起因して損傷532を受ける前に、基本安全機能FSF526をフロントライン支援機器FSE522が実行するのをトリガする516するように構成され得て、基本安全機能FSF526が、損傷事象518に起因して始動支援機器ISE512によって受ける損傷532とは無関係に実行/満たされるようにする。フロントライン支援機器FSE522は、ISE512とは無関係に基本安全機能526を実行し続け、その後にISE512によってトリガ516され得るため、トリガ516に続いてISE512によって受ける損傷532は、基本安全機能526の実行/満足に影響を与えない可能性がある。換言すれば、フロントライン支援機器FSE522は、ISE512によるトリガ516の後に基本安全機能526が満たされることを保証するように構成され得るので、ISE512は、別個の保護されていない支持構造体510に配置されてもよく、ここで、ISE512にトリガ516の実行を促す検出された損傷事象518に起因して、損傷532を受ける前に、ISE512がFSE522をトリガ516するように構成されている限り、ISE512は、ISE512がさらなるトリガ516を実行することを妨げる534ことができる損傷532を受けることが可能となる。
【0087】
結果として、図5A図6Bに示すように、ISE512は、保護されておらず、損傷事象518による損傷を受けないように構成することができる付属または支持構造体510に配置することができる。例えば、原子力発電プラント500の原子炉構造体520(例えば、RXB、FHBなど)は、第1の耐震設計カテゴリ(例えば、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)ように構成されてもよく、始動支援機器512が配置される支持構造体510は、第1の耐震設計カテゴリとは異なる第2の耐震設計カテゴリ(例えば、第2の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)ように構成され得る。例えば、第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-16によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。原子炉構造体520は、ASME BPVC、ACI 349およびANSI/AISC N690などの管理用の核に関する規定と基準に従って設計された(例えば、満たすよう構成されて)保護された構造体であってもよい。支持構造体510は、IBC、ACI 318、および/またはAISC 360などの非原子力産業規定に従って設計された(例えば、満たすよう構成された)、保護されていない構造体であってもよい。
【0088】
図5A図6Bに示すように、ISE512は、フロントライン支援機器522を「トリガする」516に基づいて、損傷事象518に起因するISE512への損傷532の発生前に基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522を作動させることができ、これにより、ISE512がさらなるトリガ516を実行することを妨げる534ことができるISE512を抑制する534ことができる。
【0089】
いくつかの例示的な実施形態では、ISE512は、処理回路(例えば、命令のプログラムを記憶するソリッドステートドライブ(SSD)などのメモリ、および命令のプログラムを実行して、損傷事象518の検出に応答してフロントライン支援機器522をトリガ516する「トリガ」信号を生成するように構成されたプロセッサ)、通信インターフェース(例えば、トリガ信号をフロントライン支援機器522へ送信するように構成される)などを含むことができる。
【0090】
いくつかの例示的な実施形態では、ISE512は、手動停止デバイス、スイッチギア(例えば、電気式および/または機械式開閉装置)、アクチュエータ(例えば、弁アクチュエータ)を含むことができる。ISE512は、フロントライン支援機器FSE522の少なくとも一部を作動させてFSE522をトリガ516し、トリガ516の後ISE512とは独立した方法でFSE522に基本安全機能526を実行させるように構成することができる。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態では、FSE522は、損傷事象518による損傷から保護されるように、保護された構造体(例えば、原子炉構造体520)の内部に配置されるように構成された機器、損傷事象518による損傷を受けるのに耐えるように構成された機器などを含むことができる。例えば、FSE522は、支持構造体510に配置され得るISE512から受信したトリガ信号および/または作動に応答して、原子炉(例えば、524)の反応性(例えば、スクラムを実行することによって)を制御するように構成された制御ロッドアセンブリを含むことができる。トリガに応答して、またはその一部として、電磁石の励磁解除に基づいてスクラムを実行するために、制御ロッドを原子炉(例えば、524)内に下降させることができるので、スクラムの基本安全機能526は、トリガ516(例えば、図5A図5Bに示すように)に続いてISE512の状況/状態とは無関係に実行することができる。
【0092】
別の例では、FSE522は、システムが基本安全機能526(例えば、無停電電源装置(UPS))を実行することを可能にする、重力、ばね、アキュムレータ、コンデンサ、またはバッテリを作動させるために動力源を断つなどの1つまたは複数の蓄積エネルギー供給方法を実施するように構成された蓄積エネルギー機器を含むことができる。
【0093】
図9は、いくつかの例示的な実施形態による電子デバイスおよび/または機器のブロック図である。当該電子デバイスおよび/または機器は、始動支援機器(ISE)512、フロントライン支援機器(FSE)522などのいずれかを含む、例示的な実施形態のいずれかに含まれるデバイス、機器、システム、ユニット、コントローラ、および/または回路のいずれかを含むおよび/または実装することができる。当該電子デバイスおよび/または機器(本明細書では単に「デバイス」と呼ばれる)は、図5A図5B図6A図6B図7図8A、および/または図8Bに示される方法のいずれかまたはすべての動作のいずれかまたはすべてを含むがこれらに限定されない、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかの動作のいずれかまたはすべてを実行するように構成され得る。
【0094】
図9を参照すると、デバイス900(これは、例えば、始動支援機器(ISE)および/またはフロントライン支援機器(FSE)を含む、例示的な実施形態のいずれかによる電子機器および/または機器することができる)は、バス910を介して互いに電気的に結合されたプロセッサ920、メモリ930、およびインターフェース940を含むことができる。インターフェース940は、通信インターフェース(例えば、有線または無線通信トランシーバ)であってもよい。
【0095】
図9に示すように、デバイス900が例示的な実施形態のいずれかによる方法の1つ以上の動作を実行するように構成される場合、インターフェース940は外部デバイスに通信可能に結合され得る。例えば、デバイス900が始動支援機器(ISE)512を含むおよび/または実装する場合、インターフェース940は、検出機器514に通信可能に結合されてもよく、さらに、フロントライン支援機器(FSE)522に通信可能に結合されてもよく、その結果、デバイス900は、インターフェース940を介して検出機器514のデータから損傷事象518の発生を示す情報/信号を受信し、受信した情報/信号を処理し、トリガ信号を生成/送信して、フロントライン支援機器(FSE)522に、受信した情報/信号を処理することに基づいてインターフェース940を介してFSE522を「トリガ」516し、FSE522が損傷事象518の検出に応答して作動されるべきであると判定することができる。
【0096】
メモリ930は、非一時的コンピュータ可読媒体であってもよく、命令のプログラムおよび/または他の情報を記憶してもよい。メモリ930は、フラッシュメモリ、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗RAM(ReRAM)、もしくは強誘電体RAM(FRAM)などの不揮発性メモリ、またはスタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、もしくはシンクロナスDRAM(SDRAM)などの揮発性メモリであってもよい。プロセッサ920は、格納された命令のプログラムを実行して、1つまたは複数の機能を実行することができる。例えば、デバイス900が始動支援機器(ISE)512に含まれ、かつ/またはこれを実装する場合、プロセッサ920は、インターフェース940を介して検出機器から受信した信号/情報を処理し、1つまたは複数の方法の結果に基づいて(例えば、受信した情報/信号に基づいて、例えば損傷事象518の発生を判定すること)、インターフェース940を介してフロントライン支援機器(FSE)522にコマンドを選択的に送信して、フロントライン支援機器522をトリガし516、1つまたは複数の基本安全機能526を実行するように作動させるように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、検出機器514は、デバイス900の一部(例えば、デバイス900の内部のバス910に接続されたセンサデバイス)として含まれてもよいことが理解されよう。別の例では、デバイス900がフロントライン支援機器(FSE)522を含み、かつ/または実装する場合、プロセッサ920は、インターフェース940を介して始動支援機器(ISE)512からデバイス900において受信されたトリガ信号を処理することに応答して、メモリ930に格納された命令のプログラムを実行して、FSE522の1つまたは複数の部分(例えば、弁アクチュエータ)を制御し、したがって、1つまたは複数の基本安全機能526を実行することができる。
【0097】
プロセッサ920は、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路を含むことができる。例えば、処理回路は、より具体的には、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含み得るが、これらに限定されない。プロセッサ920は、そのような処理に基づいて出力(例えば、コマンド信号、例えばインターフェース940を介して外部デバイスに送信される信号、例えば、基本安全機能(FSF)を実行するようにフロントライン支援機器(FSE)をトリガするトリガ信号、FSFを実行するデバイスを作動させるためにフロントライン支援機器(FSE)によって送信される基本安全機能など)を生成するように構成され得る。
【0098】
プロセッサ920、メモリ930、および/またはインターフェース940のうちの1つまたは複数は、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路の1つまたは複数の例に含まれ、それを含み、および/またはそれを実装することができる。いくつかの例示的な実施形態では、処理回路の当該の1つまたは複数の例は、限定はしないが、中央処理装置(CPU)、アプリケーションプロセッサ(AP)、算術論理演算ユニット(ALU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)などを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載のメモリ、画像センサ、メモリユニットなどのいずれかは、命令のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶装置、例えばソリッドステートドライブ(SSD)を含むことができ、処理回路の1つまたは複数のインスタンスは、命令のプログラムを実行して、本明細書に記載の例示的な実施形態のいずれかによるプロセッサ920、メモリ930、インターフェース940などのいずれかの一部またはすべての機能を実装するよう構成され得、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかを実行することを含む。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態では、図面のいずれかを参照して本明細書で説明されるシステム、ユニット、モジュール、デバイス、機器、回路、コントローラ、および/またはそれらの要素の一部またはすべては、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路の1つまたは複数の例を含んでもよく、それらに含まれてもよく、および/またはそれらによって実装され得る。例えば、処理回路は、より具体的には、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、アプリケーションプロセッサ(AP)、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ニューラルネットワーク処理装置(NPU)、および電子制御装置(ECU)などを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、処理回路は、命令のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶装置、例えばソリッドステートドライブ(SSD)と、命令のプログラムを実行して、例示的な実施形態のいずれかによる試験システム、試験装置、インターフェースボード、被試験デバイス、画像センサ、電子デバイスなどの任意の部分の機能を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載のシステム、デバイス、および/またはそれらの要素の任意の機能を実装するように構成されたプロセッサ(例えば、CPU)とを含むことができる。処理回路は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するように構成されてもよく、例えば、非一時的コンピュータ可読記憶デバイス、例えばソリッドステートドライブ(SSD)を含むことと、命令のプログラムを記憶することと、命令のプログラムを実行して、図5A図5B図6A図6B図7図8A、および/または図8Bに示す方法のいずれかまたはすべての動作のいずれかまたはすべてを含むが、これらに限定されない、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかまたはすべての動作を実施する(「実行する」)ように構成されたプロセッサ(例えば、CPU)とを含むことに基づいてもよいことがさらに理解されよう。
【0100】
図5A図6Bに示すように、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントでは、保護された構造体520の外側の(例えば、分離されている)建屋(例えば、支持構造体510)は、損傷設計事象に耐える必要も構成もされる必要がなく、したがって、損傷事象に起因する損傷(例えば、532)を受けるのに耐える構造上の構成にされなくてもよい(例えば、原子炉構造体として地震または「竜巻」と認定されるように構成されていなくてもよい)。これは、そのような構造体が基本安全機能526を実行させるように構成された支援機器を含む場合(例えば、ISE512)、当該基本安全機能526は、支持構造体および/またはその中に含まれる機器に発生する損傷の前に、またはそれとは無関係に実行されることがあるためであり得る。例えば、損傷事象に耐えるように構造的に構成されていない支持構造体および/または付属構造体は、安全な停止機器を収容することができる。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉建屋および燃料取扱建屋の外部の建屋は、依然として地震または「竜巻」の資格を有するように構成されてもよく、したがって損傷事象に耐えるように構成され得ることが理解されよう。
【0101】
基本安全機能の制御
図4図5A図5B、および図7のステップS708Aを参照すると、原子力発電プラント500は、原子炉(例えば、524)の反応性を制御する制御基本安全機能526を実行/満たすように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができ、例えば、電磁石、ばねの力、重力、浮力、または熱膨張の断絶の任意の組み合わせによって受動的に原子炉の停止を作動させる。これらの作動は、中性子吸収体を炉心(「原子炉炉心」)に挿入するか、炉心内に既に存在する材料を介した中性子吸収率を増加させるか、または炉心からの中性子の漏れを増加させる(例えば、熱膨張は、分裂速度を低下させるかまたは分裂を停止させる分裂材料の密度を減少させることができる)かのいずれかに作用する。そのようなフロントライン支援機器522は、原子炉を含む原子炉構造体520の内部に少なくとも部分的に配置され得る。
【0102】
そのような制御基本安全機能526(例えば、反応性の制御)は、損傷事象518による支援機器および/または原子炉への損傷の開始前に、中性子の吸収または増強された漏れシャットダウンの方法に基づいて、原子炉にゼロ出力臨界状態または亜臨界状態を達成させることができる。ゼロ出力臨界状態では、分裂は自立しているが、分裂からの熱発生率が即時放射性崩壊熱発生率と比較して無視できるほど十分なレベルに抑制される。亜臨界状態では、核分裂は自立していないため、分裂発熱率は実質的にゼロであり、放射性崩壊からの発熱のみが、冷却のための基本安全機能526をもたらす(例えば、実行する)システムおよび構成要素(例えば、フロントライン支援機器522)によって除去され得る。
【0103】
原子炉停止(ゼロ出力臨界状態または亜臨界状態)を引き起こすように構成されたフロントライン支援機器522は、電力、人、または制御システムの動作なしに原子炉停止が一度開始されると無限に維持されるように構成することができ、それによって原子炉を保護する制御基本安全機能526をもたらす。
【0104】
フロントライン支援機器522は、始動支援機器512(例えば、処理回路および通信インターフェースまたはトランシーバ、アクチュエータなど)によって制御基本安全機能526を実行させる(例えば、トリガ516される)ことができ、フロントライン支援機器522は、始動支援機器512から受信した制御信号および/または作動によってトリガ516されると、始動支援機器512の継続動作および/または存在とは無関係に基本安全機能526を実行し、満たすことができる。したがって、始動支援機器512は、損傷事象518に起因して損傷532を受ける可能性がある空間的に別個の(例えば、構造的に独立している)構造体(例えば、支持構造体510)に位置することができ、検出されると、損傷事象518に起因して抑制534を引き起こし得る損傷532を受ける前に、始動支援機器512に、制御基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522をトリガ516する。
【0105】
基本安全機能の冷却
さらに図4図5A図5B、および図7のステップS708Bを参照すると、原子力発電プラント500は、燃料貯蔵部(「核燃料貯蔵部」)または原子炉内の燃料(例えば、524)の長期冷却をもたらし、それによって原子炉および/または核燃料貯蔵部を保護する冷却基本安全機能526をもたらすように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができる。当該フロントライン支援機器522は、さらなる電力、人、または制御システムの動作なしに、始動支援機器512によってトリガされる516と、冷却を無期限にもたらすように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、長期冷却をもたらすフロントライン支援機器522は、常に受動的に動作しているため、始動を必要としない場合がある。
【0106】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500が原子炉内側の核燃料貯蔵部または燃料の短期間の冷却を必要とすることに応答して、原子力発電プラント500のフロントライン支援機器522は、例えば、損傷事象518の検出に応答して、したがって損傷事象518に起因する原子炉、燃料貯蔵部、および/または支援機器への損傷の開始前に、始動支援機器512によって、フロントライン支援機器522のトリガ516の直後またはほぼ直後に(例えば、1~5秒)、冷却基本安全機能をもたらすように構成され得る。
【0107】
原子炉(例えば、互いに物理的に隔離されており、例えば別々の建屋にある)内側の燃料貯蔵部または燃料の長期冷却をもたらすように構成されたそのようなフロントライン支援機器522の冗長かつ位置的に(「物理的に」)分離されたコピーをまた使用して、原子力発電プラント500の内部の爆発または保守での事故(クレーンの崩壊)などの内的事象による基本安全機能526の阻害から保護することもできる。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500の冷却システム(例えば、原子炉および/または燃料貯蔵部の冷却をもたらすように構成されたフロントライン支援機器522)は、例えば、長期冷却を保証するために開閉しないかまたは受動的に不具合のある弁を有する冷却システムとは対照的に、初期冷却システム作動後に隔離される必要はないが、事故の後または他の事象の間に、冷却剤の事故の損失を防止するために閉じられる必要があり、したがって冷却基本安全機能526を満たすことができない。
【0109】
フロントライン支援機器522は、始動支援機器512(例えば、処理回路および通信インターフェースまたはトランシーバ、アクチュエータなど)によって制御基本安全機能526を実行させるようトリガ516され得、フロントライン支援機器522は、始動支援機器512によってトリガ516されると、始動支援機器512の継続動作および/または存在(例えば、状況および/または状態)とは無関係に基本安全機能526を実行し、満たすことができる。したがって、始動支援機器512は、損傷事象518に起因して損傷を受ける可能性がある空間的に別個の(例えば、構造的に独立している)構造体(例えば、支持構造体510)に位置することができ、検出されると、損傷事象518に起因して抑制534を引き起こし得る損傷532を受ける前に、始動支援機器512に、冷却基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522をトリガする。
【0110】
基本安全機能の格納
さらに図4図6A図6B、および図7のステップS708Cを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500は、基本安全機能526を実行して、例えば放出限界を超える可能性がある分散可能な形態の高放射性核種量を受動的に格納する(例えば、単離する)ように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができる。換言すれば、例えば、フロントライン支援機器522は、基本安全機能526を実行して、コンテナ612のエンクロージャ614の内部に特定の放射性物質を封じ込めて、コンテナ612からの特定の放射性物質の(例えば、環境または公衆への)放出を抑制するように構成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、コンテナ612は原子炉容器である。いくつかの例示的な実施形態では、コンテナ612は、原子炉構造体の外部にあり、付属構造体または支持構造体610に配置された別個のコンテナである。例えば、コンテナ612は、コンテナ612のエンクロージャ614がコンテナ612の外部から隔離されている場合にコンテナ612の完全性が放射性物質の放出を抑制するのに十分であるように、コンテナ612自体が損傷事象518による損傷(例えば、コンテナ612上への支持構造体610の崩壊)を受けるのに耐えるように構成されている高放射性核種放射線廃棄物システムの一部であってもよい。したがって、フロントライン支援機器522は、コンテナ612のエンクロージャ614をコンテナ612の外部から選択的に隔離し、それによってコンテナ612からの放射性物質の放出を抑制するように作動させることができる弁を含むことができる。始動支援機器512は、アクチュエータを含むことができ、および/または弁を作動させて、したがってコンテナ612からの放射性物質の放出を抑制するための格納基本安全機能526を実行するために、フロントライン支援機器522の弁を「トリガ」516するように構成することができる。コンテナ612は、損傷事象518による損傷(例えば、エンクロージャ614の破損)に耐えるようにそれ自体構成され得るので、コンテナ612および関連するフロントライン支援機器522(例えば、弁)は、損傷事象518からコンテナ612をさらに保護するために付属構造体または支持構造体610が必要とされないので、保護されていない構造体である付属構造体または支持構造体610に配置され得る。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラントは、高い固有の放射性核種保持率で大気圧で動作する一次核冷却剤を含むことができ、その結果、原子力発電プラントは、圧力保持である格納構造体を省くことができる。結果として、原子炉関連の支援機器は、安全上の重要性が排除/省略または低減される可能性があり、その結果、当該支持システムは、原子炉を収容する構造体に存在しないことを含む「特別に保護された構造体」に存在しない可能性がある。
【0112】
例示的な実施形態
分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャのコストおよびスケジュールの利点を実現するために、いくつかの例示的な実施形態による原子力発電プラントは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0113】
図1A図1Bおよび図2を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉建屋112(原子炉を含む)および燃料取扱/燃料貯蔵建屋114(本明細書では単に核燃料貯蔵部と呼ばれ、貯蔵された核燃料要素を含む)は、これらが重要な放射性核種を格納するため、原子力発電プラント100の主要な「保護された構造体」であり、したがって、基本安全機能は、放射性核種の放出を規制頻度結果目標未満のレベルに制限するように保証されなければならない。
【0114】
さらに図1A図1Bおよび図2を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、従来は原子炉建屋112の内部または燃料取扱建屋114の内部に配置されていた原子力発電プラントの一部、大部分、またはすべての熱輸送、補助および付随システムおよび構成要素を含むことができる支援機器を含むことができ、これらは通常の保護されていない構造体(例えば、付属または支持構造体116、117など)に移動される。熱輸送システムは、有用な仕事(例えば、電気を発生させる、または化学プロセスを加熱する)を実行するために熱(例えば、蒸気、溶融塩、ナトリウム、ガスなど)を輸送する主要なシステム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)である。補助および付随機器(「支援機器」は、フロントライン支援機器522および/または始動支援機器512を含む)の例は、冷却剤浄化機器、待機電源、および制御機器を含むことができる。
【0115】
さらに図1A図1Bを参照すると、また図2に示すように、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100の電気および制御機器の一部、大部分、またはすべてを含む支援機器(例えば、始動支援機器)は、機械的スコープの大部分から(例えば、クラスタ110の)距離にある少数の場所または単一の場所(例えば、クラスタ120)に統合される。ほとんどの機械的スコープは、典型的には、原子炉容器、燃料貯蔵プール、他の容器、タンク、ポンプ、ファン、圧縮機、熱交換器、弁、管などを指す。少なくとも図5A図6Bに示すように、安全関連の電気および制御機器(例えば、始動支援機器512)が、損傷事象518の検出に応答して、かつ損傷事象518によって引き起こされる当該安全関連の電気および制御機器の損傷532の開始前および/または開始とは無関係に、満たされ得る(例えば、正常に実行され得る)基本安全機能526のパフォーマンスを引き起こすように構成されている場合、安全関連の電気および制御機器(例えば、始動支援機器512)は、保護された構造体(例えば、保護された建屋、例えば、原子炉建屋112、燃料取扱建屋114、および/または、図3Bに示されるような特定のeルーム122を含み得る、または含まれ得る原子炉構造体520ではなく通常の産業構造体(例えば、支持構造体510および/またはコンテナ612は、保護されていない構造体、例えば、図3Bに示すように、原子炉付属建屋116、燃料付属建屋117、制御室124、および/または特定のeルーム122を含むか、それらに含まれてもよい)に配置することさえできる。
【0116】
いくつかの例示的な実施形態では、例えば図6A図6Bに示すように、原子力発電プラント500は、放出限界を超える可能性がある分散可能な形態の十分な放射性核種量を格納するように構成された放射性廃棄物システムを含む支援機器を含むことができ、これは特別に保護された構造体(例えば、「コンテナ」612)に配置される。いくつかの例示的な実施形態では、当該放射性廃棄物システム(例えば、木炭遅延床を使用する気体廃棄物処理、フィルタおよび脱塩装置を使用する液体放射性廃棄物(「放射性廃棄物」)システム、活性ナトリウムから酸化物を除去する液体廃棄物システム)は、通常の産業用(「保護されていない」)構造体(例えば、支持構造体610)の内部に配置され、モジュール式の「非破壊」格納構造体、または「コンテナ」612(航空機のブラックボックスと同様)の内部にさらに格納され得る。
【0117】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100は、原子力発電プラント100の構造体の一部または全部に大きな構成要素を近接して送達することを可能にするために設けられたアクセス道路140および構築レイダウンゾーン150を含み、それによって材料の流れを向上させる。
【0118】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100は、クレーン/作業面のアクセスを可能にするために、アクセス道路140からスタンドオフ距離142(例えば、5メートル)を有する構造体を含む。いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100のいくつかまたはすべての構造体(例えば、建屋)は、原子力発電プラント100の構築中により小さい容量のクレーンを使用することを可能にするために、閾値寸法値(例えば、30メートル)以下の幅、長さなど(「寸法」144)を有する。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1B図2、および図3A図3Bに示すように、原子力発電プラントの一部または(例えば、建屋)は、連続的なモノリシック構造体の一部ではなく隣接している場合でも、必要に応じて異なる地震標準の使用を可能にするために、例えば距離118、128および/または138を介して地震で分離される(例えば、地震に関して切り離される)。これはまた、隣接する建屋がモノリシック構造体として結合されないため、それらを大幅に再解析する必要がないため、将来の設計の強化を容易にする。
【0120】
いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載の原子炉は、限定はしないが、液体金属冷却型反応器(例えば、ナトリウム冷却高速反応器を含むナトリウム冷却反応器)を含む原子炉の任意の例示的な実施形態を含み得る。
【0121】
図3A図3Bに示すように、原子炉を含む保護された建屋(例えば、SDC-3、SDC-5を満たす)(「原子炉建屋」(RXB)112)であって、支援機器が保護されていない建屋(例えば、原子炉付属建屋(RAB)116、特定のeルーム122など、SDC-1、SDC-2を満たす)に配置され、原子力発電プラント100の構築中に保護された建屋を完成するために必要な掘削を低減または最小化することができる。図示されているように、原子炉建屋112は、他の別個の(例えば、保護されていない)建屋に配置されるいくつかまたはすべての他の支援機器(例えば、その中の限られた放射性核種含有量に関連する一部または全部の支援機器)を除いて、原子炉自体に最小限に抑えることができる。原子炉建屋112は、原子炉自体、一次ナトリウム精製システムなどを含む、放射性核種の重要な供給源を提示する機器に限定されてもよく、(例えば、保護されていない)建屋を分離するために、その中の低い放射性核種含有量に関連する支援機器(例えば、一次カバーガス精製システム)を除外してもよい。
【0122】
図3Aに示すように、建屋の別個の部分は、同じまたは異なる原子力安全要件、設計基準、規格などを満たすように構成することができる。例えば、図3Aに示すように、グレード300よりも低い原子炉建屋(RXB)112のグレードよりも低い部分302は、SDC-5を満たす(例えば、設計される)ように構成されてもよく、一方でグレード300よりも高い、グレードより高い部分304は、それほどストリンジェントではないSDC-3を満たすがSDC-5を満たさないように構成され得る。別の例では、図3Aに示すように、グレード300よりも低い原子炉付属物建屋(RAB)116のグレードより低い部分312は、SDC-2を満たすように構成することができ、一方でグレード300よりも高いグレードより高い部分314は、それほどストリンジェントではないSDC-1を満たすが、SDC-2を満たさないように構成することができる。別の例では、図3Aに示すように、燃料取扱建屋(FHB)114)の低いグレード部分322および高いグレード部分324の両方は、SDC-3を満たすように構成することができ、したがって、同じ規格を満たすように構成することができる。
【0123】
図3A図3Bに示すように、核燃料貯蔵部(例えば、燃料取扱建屋(FHB)114)を含む保護された建屋(例えば、SDC-3、SDC-5を満たす)は、取扱いおよび貯蔵まで最小限に抑えることができ、燃料プール浄化機器は、例えば、燃料プール浄化機器が内部の低放射性核種含有量に関連しているため、別個の(例えば、保護されていない)建屋(例えば、燃料付属建屋(FAB)117)にあってもよい。
【0124】
本明細書で言及されるように、有意な放射性核種含有量は、NRC要件あたり25rem(10 CFR 50.34または52.79)などの規制限度を超えるサイトの境界での個体への線量放出をもたらすことができる供給源であり、制限された放射性核種含有量は、NRC線量限度(10 CFR 20.1301)などの通常のプラント運転の規制限度を超える個体への線量放出をもたらすことができない供給源である。
【0125】
始動支援機器512は、本明細書では支持構造体に含まれるものとして説明され、図5A図6Bでは支持構造体510、610に含まれるものとして示されているが、始動支援機器512および/またはフロントライン支援機器522は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む原子力発電プラント100の任意の構造に含まれてもよいことが理解されよう。したがって、1つまたは複数の支持構造体に配置された始動支援機器に関して実行される構造および/または動作に関する本明細書の説明は、いくつかの例示的な実施形態に適用することができ、始動支援機器512は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント100、500、800、850などの任意の構造体に配置されることが理解されよう。さらに、フロントライン支援機器522に関して実行される構造および/または動作に関する本明細書の説明は、いくつかの例示的な実施形態に適用することができ、フロントライン支援機器522は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの任意の構造体に配置されることが理解されよう。
【0126】
いくつかの例示的な実施形態が本明細書に開示されているが、他の変形形態も可能であり得ることを理解されたい。そのような変形は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるようなすべてのそのような修正は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書ではプロセスが開示されているが、プロセスの記載された要素は、要素の異なる選択、それらの何らかの組み合わせなどを使用して、異なる順序で実装され得ることを理解されたい。例えば、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示および記載されたプロセスのものよりも少ない要素を使用して実装されてもよく、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示および記載されたプロセスのものよりも多い要素を使用して実装され得る。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月13日に出願された米国仮出願第63/174,355号の優先権を主張し、その内容全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、一般に、原子力発電プラントに関し、特に、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の原子炉建屋は、多くの補助原子炉支持システム(例えば、冷却剤浄化機器、非常用炉心冷却システム、残留熱除去システム、非常用電源など)が原子炉容器に近接している、および/または原子炉と共通している(「同じ」)構造体(「建屋」)の内部にある(例えば、原子炉格納建屋とも呼ばれる原子炉建屋)モノリシックなモジュール式アーキテクチャを使用する。これは、従来、補助的な核支援システムのいくつかが、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分(例えば、原子炉および/または核燃料貯蔵部を含む)が受ける損傷に関連する外部または特定の内的事象の間およびその後に基本安全機能を実行することに依存しているために行われる。そのような事象は、本明細書では「損傷事象」と呼ばれることがある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは、原子炉構造体、フロントライン支援機器、および支持構造体を含むことができる。原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり得る。損傷事象は、保護された構造体の外部から発生する可能性がある。損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部が受ける損傷に関連し得る。フロントライン支援機器は、基本安全機能を実行するように構成され得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部に貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために適切に濾過することのうちの少なくとも1つを含むことができる。支持構造体は、保護された構造体から空間的に分離していてもよい。支持構造体は、始動支援機器を含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能がトリガ後に始動支援機器とは無関係に実行されるように、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0005】
支持構造体は、損傷事象に起因する損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体であり得る。
【0006】
始動支援機器は、損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されなくてもよい。始動支援機器は、基本安全機能が始動支援機器によって損傷事象に起因して受ける損傷とは無関係に実行されるように、損傷事象の検出に応答して、かつ始動支援機器が損傷事象に起因して損傷を受ける前に、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0007】
原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1に従って、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構成することができる。支持構造体は、第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構成され得る。第2の階層の耐震設計カテゴリは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0008】
原子力発電プラントは、機械的機器に関連する構造体の第1のクラスタをさらに含むことができ、第1のクラスタは、原子炉構造体を含む。原子力発電プラントは、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する構造体の第2のクラスタをさらに含むことができ、第2のクラスタは支持構造体を含む。原子力発電プラントの機械的機器の大部分は、構造体の第1クラスタの内部に配置されてもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の大部分は、構造体の第2クラスタの内部に配置され得る。第1および第2クラスタは、第1クラスタの構造体と第2クラスタの構造体との間での最短の距離が、第1クラスタの隣接構造体間の第1平均距離および第2クラスタの隣接構造体間の第2平均距離の両方よりも大きくなるように、互いに空間的に離れていてもよい。
【0009】
原子力発電プラントの機械的機器の少なくとも80%は、構造体の第1クラスタの内部に配置されてもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の少なくとも80%は、構造体の第2クラスタの内部に配置され得る。
【0010】
基本安全機能は、コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために、コンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めることを含むことができる。フロントライン支援機器は、コンテナのエンクロージャをコンテナの外部から選択的に隔離するように作動するように構成された弁であってもよい。始動支援機器は、弁を作動させるように構成されたアクチュエータを含むことができる。
【0011】
コンテナは、支持構造体の内部に配置されてもよく、コンテナは、損傷事象による破損からエンクロージャを保護するように構成され得る。
【0012】
始動支援機器は、損傷事象を検出するように構成された検出機器を含むことができる。
【0013】
フロントライン支援機器は、原子炉構造体の内部に配置され得る。
【0014】
損傷事象が、地震事象、気象事象、原子力発電プラントに対する悪意のある行為、または原子炉構造体の特定の近接範囲内の火災のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは原子炉構造体を含み、原子炉構造体は原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を含む、原子力発電プラントの動作の方法が、原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出することであって、原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出することを含み得る。方法は、損傷事象を検出することに応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、基本安全機能がトリガに続いて始動支援機器とは独立して実行され、始動支援機器が原子炉構造体から空間的に分離された支持構造体に配置される、制御すること、を含み得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部の貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めて、コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制することのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
支持構造体または始動支援機器の少なくとも一方は、損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されなくてもよい。方法は、基本安全機能が、損傷事象に起因して支持構造体および/または始動支援機器によって受ける損傷とは無関係に実行されるように、支持構造体および/または始動支援機器が損傷事象に起因して損傷を受ける前に、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガする始動支援機器を含むことができる。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態によれば、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを構築する方法は、原子炉構造体を構築することを含むことができる。原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体は、損傷事象の発生による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり得る。損傷事象は、保護された構造体の外部から発生する可能性がある。損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部が受ける損傷に関連し得る。本方法は、保護された構造体から空間的に分離した支持構造体を構築することを含むことができる。支持構造体は、始動支援機器を含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能がトリガ後に始動支援機器と無関係に実行されるように、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること、核燃料貯蔵部に貯蔵された放射性物質を冷却すること、またはコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するために適切に濾過することのうちの少なくとも1つを含むことができる。原子炉構造体および支持構造体は、少なくとも部分的に同時に構築され得る。
【0018】
支持構造体は、損傷事象の発生に起因する損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない、保護されていない構造体であり得る。
【0019】
フロントライン支援機器は、原子炉構造体の内部に配置され得る。
【0020】
原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1に従って、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層のSDCの要件を満たすように構築することができる。支持構造体は、第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように、構築することができる。第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態によれば、原子力発電プラントは、空間的に分離された第1および第2の組の隣接構造体を含むことができる。第1の組の隣接構造体は、核燃料取扱いに関連付けられてもよく、核燃料貯蔵部を格納する燃料取扱建屋、核燃料貯蔵部に関連付けられた補助構造体、および核燃料貯蔵部に関連付けられた付属構造体を含んでもよい。第2の組の隣接構造体は、原子炉に関連付けられてもよく、原子炉を含む原子炉建屋、原子炉に関連付けられた補助構造体、および原子炉に関連付けられた付属構造体を含んでもよい。
【0022】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を検討すると、より明らかになる。添付の図面は、単に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付の図面は、特に明記しない限り、縮尺に比例して描かれていると見なされるべきではない。明確にするために、図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図1B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図2】いくつかの例示的な実施形態による、特にモジュール式電気および制御構造体を示す、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの斜視図である。
図3A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの1つまたは複数の構造体の断面図である。
図3B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトを有する原子力発電プラントの平面の概略図である。
図4】いくつかの例示的な実施形態による、基本安全機能、および基本安全機能を満たすために使用され得る特徴を示すブロック図である。
図5A】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図5B】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図6A】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図6B】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするための始動支援機器の動作を示す。
図7】いくつかの例示的な実施形態による、損傷事象の検出に応答して1つまたは複数の基本安全機能を実行させるための原子力発電プラントの動作の方法を示すフローチャートである。
図8A】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの構築方法を示すフローチャートである。
図8B】いくつかの例示的な実施形態による、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを示す概略図である。
図9】いくつかの例示的な実施形態による電子デバイスおよび/または機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
要素または層が別の要素または層「にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される場合、それは他の要素または層の直接上にある、それに接続される、それに結合される、またはそれを覆うことができ、あるいは介在する要素または層が存在してもよいことを理解されたい。対照的に、要素が別の要素または層「の直接上にある」、「に直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合、介在する要素または層は存在しない。同様の番号は、本明細書全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0025】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と呼ぶことができる。
【0026】
空間的に相対的な用語(例えば、「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上部」などである)は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上方に」配向される。したがって、「下方」という用語は、上方および下方の両方の向きを包含し得る。デバイスは、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は相応に解釈される。
【0027】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0028】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。したがって、例えば製造技術および/または公差の結果として図解されている形状からの変形が予想される。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に示される領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差を含む可能性がある。例えば、長方形として示されている注入領域は、典型的には、注入領域から非注入領域へのバイナリな変化ではなく、その縁部に丸みを帯びたまたは湾曲した特徴および/または注入の濃度の勾配を有する。同様に、注入によって形成された埋め込み領域は、埋め込み領域と注入が行われる表面との間の領域にいくらかの注入をもたらすことができる。したがって、図に示される領域は、本質的に概略的であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0029】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているものを含む用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0030】
具体的な例および図面を参照して説明したが、例示的な実施形態の修正、追加、および置換は、当業者による説明に従って様々に行うことができる。例えば、記載された技術は、記載された方法の順序とは異なる順序で実行されてもよく、および/または記載されたシステム、アーキテクチャ、デバイス、回路などの構成要素は、上記の方法とは異なるように接続または結合されてもよく、または結果は、他の構成要素または等価物によって適切に達成されてもよい。
【0031】
「約」または「実質的に」という用語が数値に関連して本明細書で使用される場合、関連する数値は、記載された数値の周りに±10%の公差を含むことが意図される。範囲が指定される場合、範囲は、0.1%の増分など、その間のすべての値を含む。
【0032】
分散モジュール式レイアウトアーキテクチャ
いくつかの例示的な実施形態は、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有し、モノリシックモジュール方式に従って配置されていない原子力発電プラントに関する。より分散されたモジュール式建屋アーキテクチャは、総合的な物品が幾分増加しているにもかかわらず、モノリシックモジュール方式よりも構築が速く、コスト安であり得る。コスト削減の主な推進要因は、レイアウトが、より速い構築スケジュール(例えば、プラントのより迅速な構築)およびより低い全体的な人件費を可能にするように特に設計されていることであり、構築の人件費のため、構築中の金銭および利益の時間的な価値が、通常、物品の量(例えば、コンクリートの体積、補強する鋼の重量、設置されるパイプの長さ、設置されるケーブルの長さなど)に関連するコストより多く占める。
【0033】
いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、互いにさらに離間した構造体、すなわち「分散型」を含む。例えば、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、少なくとも15メートル、および/または少なくとも20メートル離間した構造体を含むことができる。
【0034】
構造体間の間隔は、構築中の労力および材料の流れを容易にする。余分な空間は、材料のレイダウンにおいて、より多大な柔軟性をもたらす。材料およびコンポーネントは、それらが使用される場所の近くに貯蔵することができる。アクセス道路がより多いことは、比較的狭い構造体によっても促進されるそれらの到達範囲がより小さいので、より小さい容量のクレーンによって設置することができる大型のコンポーネントの近接した地上での送達を可能にする。最後に、アクセスがより多いことがより多くの作業面を作り出し、より大きな並列作業をもたらし、これはおそらく原子力発電プラントの構築時間を短縮するための最も強力なスケジュールアクセラレータである。作業面は、現場で他の構築と同時に構築が行われる領域として定義される。例えば、多くのフロアを有する設計では、機械的機器の重要な設置が下のフロアで完了するまで、上のフロアが構築を開始するのを待たなければならない。同様の問題は、隣接する部屋が側面から同時にアクセス可能な設計に対して、最も内側の部屋を最初に完成させなければならない、非常に広く高度に区画化された建屋についても生じる。これらの例は、モノリシック設計に広く普及しており、分散させる設計では著しく少ない。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉(例えば、原子炉容器)および補助核支援システムは、損傷事象に起因して補助核支援システムによって少なくとも開始される基本安全機能の喪失から保護するために、1つまたは複数の「特別に保護された構造体」(本明細書では単に「保護された構造体」とも呼ばれる)に配置される。
【0036】
原子力発電プラントの1つまたは複数の保護された構造体の外部から発生し得る損傷事象は、損傷を受ける原子力発電プラントの1つまたは複数の部分に関連し得る。原子力発電プラントの1つまたは複数の構造体の構成(設計を含む)に関して、「損傷設計事象」、「設計損傷事象」、「損傷設計レベル事象」、「設計損傷レベル事象」などとも呼ばれ得る損傷事象は、外的事象(「設計外部事象」)および/または特定の内的事象(「設計内部事象」)を含み得る。外的事象には、本明細書では地震設計事象とも呼ばれる地震事象(例えば、地震)、本明細書では設計気象事象とも呼ばれる気象事象(例えば、竜巻、洪水などを含む設計上の極端な風および洪水の事象)、本明細書では設計悪意行為とも呼ばれる、原子力発電プラントの少なくとも一部の特定の近接範囲の中で発生しているおよび/または生じている原子力発電プラントなどへの攻撃(例えば、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体)を含む、原子力発電プラントへの悪意のある行為(例えば、テロ攻撃)が含まれる。当該の特定の近接範囲は、例えば、1km、2km、5km、10km、20km、50kmなどであってもよい。特定の内的事象(例えば、設計内部事象)は、原子力発電プラントの内部の火災、原子力発電プラントの1つまたは複数の特定の機器の誤動作および/または故障などを含むことができる。
【0037】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるような事象(例えば、損傷事象)は、例えば本明細書に記載されるような任意の規制上の指針または基準などを含む規制上の指針、基準、および/または法令に従って定義され得る設計事象(例えば、設計損傷事象)であり得ることが理解されよう。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、損傷事象(例えば、損傷設計事象)は、ASCE/SEI 43-1または他の関連する規制上のガイダンスに従って定義された地震設計事象(例えば、「地震事象」)、米国NRC規制ガイド(RG)1.76または他の関連する規制上のガイダンスに従って定義された異常風・洪水設計事象(例えば、「天候事象」、「天候設計事象」など)、関連する規制上のガイダンスに従って定義された原子力発電プラントに対する設計悪意行為(例えば、攻撃、テロ攻撃など)、および/または関連する規制上のガイダンスに従って定義された原子炉構造体の特定の近接範囲(例えば、1km、2km、5km、10km、20km、50km以内など)内の火災のうちの少なくとも1つを含む、損傷性の外的な低確率大規模設計事象を含むことができる。
【0039】
規定の分離
図1A図3Bを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントはまた、そのレイアウト設計に物理的な「規定の分離」の実施を組み込む。「分散」または「モノリシック」なレイアウト手法が使用されるかどうかにかかわらず、規定による構築/設置の順序は、通常、1)一般的、2)構造的、3)機械的、4)電気的、および最後に5)制御の順序である。「分散」アプローチでは、より速い構築スケジュールを容易にするために、機械的スコープの大部分は、電気的スコープおよび制御スコープの大部分からプラント領域(すなわち、電気機器から位置において分離してグループ化された機械的機器)に、位置として分離される。
【0040】
原子力発電プラントにおけるほとんどの機械的スコープ(例えば、機械的機器)は、典型的には、原子炉容器、燃料貯蔵プール、他の容器、タンク、ポンプ、ファン、圧縮機、熱交換器、弁、管などを指し、一方、原子力発電プラントにおける電気/制御スコープは、制御キャビネット、開閉装置、変電所、モータ制御センター、保護リレー、電池システム、無停電電源装置、インバータなどを含むプラントの電気および制御機器を含むことができる。分離は、構築スケジュールを短縮するために実施することができる。それは、典型的には機械式コンポーネントであるより大きなクリティカルパス駆動部に関連する民生および構造範囲の優先順位付けを可能にする。
【0041】
一方、電気および制御分野に関連するプラントの電気および制御機器の大部分は、機械的スコープの大部分から離れた少数の場所または単一の場所に統合され得る。電気および制御機器は、通常、原子力発電プラントを構築する間、機械的機器の後に設置されるため、この機器を分離することにより、原子力発電プラントを構築するためのより並列的な構築作業が可能になる(例えば、電気/制御機器は、機械的機器の構築/設置と少なくとも一部に同時に構築/設置され得る)。
【0042】
その結果、少なくとも図1A図3Bに示すように、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント100は、機械的機器(例えば、「大部分の機械的スコープ」)に関連する構造体の第1クラスタ110であって、例えば原子炉構造体(例えば、原子炉建屋(RXB)112、燃料取扱建屋(FHB)114、原子炉付属建屋(RAB)116、および/または燃料付属建屋(FAB)117)を含む第1クラスタ110と、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器(例えば、「大部分の電気的および制御スコープ」)に関連する構造体(例えば、電気およびI&Cモジュール(eルームモジュール)122、モジュール式制御室および/またはeルームモジュールに含まれ得る原子力島制御建屋(NCB)124、および/または変圧器126)の第2クラスタ120とを含むことができる。当該の第2クラスタ120は、本明細書に記載の1つ以上の支持構造体を含んでもよく、これは1つ以上の始動支援機器を含んでもよい。原子力発電プラントの機械的機器の大部分は、構造体の第1クラスタ110(例えば、図1Bに示すような「大半の機械的なスコープ」の構造体)の内部に位置してもよく、原子力発電プラントの電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の大部分は、構造体の第2クラスタ120(例えば、図1Bに示すような「大半の電気および制御スコープ」構造体)の内部に位置してもよい。図1Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120は、第1クラスタ110の構造体と第2クラスタ120の構造体との間での最短の距離(例えば、図1Bに示すような距離138)が、第1クラスタ110の隣接構造体間の第1平均距離(例えば、図1Bに示すような距離118)および第2クラスタ120の隣接構造体間の第2平均距離128(例えば、図1Bに示すような距離128)の両方よりも大きくなるように、互いに空間的に離れていてもよい。当該の最短の距離は、例えば、少なくとも5メートルであってもよい。図1A図1Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120の1つまたは複数の構造体/建屋は、プラント(BOP)のバランスおよび/またはBOP(地下)184からの電力供給からパイプラック182に接続され得る。図示するように、電源(地下)186は、異なるスコープ(例えば、機械的または電気的/制御スコープ)の異なる構造体/建屋を含む原子力発電プラント100の異なる構造体/建屋の間に延在し、それらを電気的に接続することができ、したがって、異なるクラスタ110および/または120の異なる構造体/建屋の間に延在し、それらを電気的に接続することができる。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100のすべての機械的機器の少なくとも80%は、構造体の第1クラスタ110の内部に位置し、原子力発電プラント100の電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器の少なくとも80%は、構造体の第2クラスタ120の内部に位置する。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、様々な機器に関連する様々な量の構造体のクラスタを含むことができる。原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する1つまたは複数の構造体の第1クラスタ110と、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する1つまたは複数の構造体の第2クラスタ120とを含むことができ、機械的機器に関連する1つまたは複数の構造体の第1クラスタ110は、電気機器、計装機器、制御機器、および/または通信機器に関連する1つまたは複数の構造体の第2クラスタ120から空間的に分離されている。例えば、原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する1つの構造体の第1クラスタ110と、電気/制御機器に関連する3つの構造体の第2クラスタ120とを含むことができ、これらは1つの構造体の第1クラスタ110から空間的に分離されている(例えば、少なくとも5メートル離れている)。別の例では、原子力発電プラント100は、機械的機器に関連する2つの構造体の第1クラスタ110と、2つの構造体の第1クラスタ110から空間的に分離された(例えば、少なくとも5メートル離れている)、電気/制御機器に関連する1つの構造体の第2クラスタ120とを含んでもよい。
【0045】
少なくとも図3Bに示すように、第1クラスタ110および第2クラスタ120のうちの少なくともいずれか一方はそれぞれ、1つ以上の保護された構造体(例えば、以下でさらに説明するように、SDC-5およびSDC-3として分類される構造体)および/または1つ以上の保護されていない構造体(例えば、以下でさらに説明するように、SDC-1およびSDC-2として分類される構造体)を含んでもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、構造体の第1クラスタ110および第2クラスタ120は、互いに構造的に独立しており(例えば、空間的に分離している)、それにより、第2クラスタ120の構造体は、第1クラスタ110の構造体、およびそれらがホストし、支持し、保護する(例えば、損傷事象)機器の完全性および安全機能に影響を及ぼし得る設計事象の間、第1クラスタ110の構造体との有害な相互作用を防止するように構成および設計される。
【0047】
図2に示すように、いくつかの例示的な実施形態では、ひと際迅速な構築を容易にするために、これらの電気および制御機器は、オフサイト工場のモジュール式電気機器ハウス「eルーム」に組み込むことができる。本明細書においてeルーム建屋、eルームモジュールなどとも称されるこれらのeルーム122は、制御キャビネット、開閉装置、ユニット変電所、モータ制御センター、保護リレー、バッテリシステム、無停電電源装置、インバータなどのアイテムを含む。モジュール式建屋は、道路または鉄道出荷可能であってもよい。工場で組み立てられたモジュールは、ほとんどの機器が既に試験された状態で現場に到着することができる。これにより、プラントの試運転が加速される。工場で組み立てられたモジュールを構築現場に配送する際に、構築は、モジュール(例えば、ボルトを介して)のコンクリートスラブへの機械的固定と、再ランディングの電気的相互接続(すなわち、機械的スコープエリアからのケーブル配線は、電気的スコープエリア内の電気および制御機器にリンクされる)とを含むことができる。
【0048】
分散構造体
従来式の原子力発電プラントは、基本安全機能(例えば、支援機器)を設ける核支援システムが原子炉容器または燃料貯蔵領域をはるかに超えて拡張されたため、分散モジュール式アーキテクチャを追求することを控えていた。例えば、原子力発電プラントは、冷却材の損失事故を軽減するために、パイプライン破損の場合に冷却材在庫制御を設けるように構成された支援機器を含むことができる。この冷却剤在庫制御は、通常、弁を最小限に制御するためにDC電力および関連する制御装置およびヒューマンマシンインターフェースを必要とする。これらのシステム、構造、および構成要素は、損傷事象によって原子炉が停止した後も長い間、基本安全機能を果たす信頼性があり、したがって、これらのシステム、構造、および構成要素を「特別に保護された構造」に配置する必要性が増した。本明細書では交換可能に「保護された構造体」とも呼ばれる特別に保護された構造体は、ASME BPVC、ACI 349、ANSI/AISC N690などであるがこれらに限定されないより厳格な核の規格および基準を満たす(「従う」)ように設計および構築(「構成」)され、構造、したがって内部のシステムおよびコンポーネントが基本安全機能を満たす事象を乗り越えるはるかに高い確率を保証する。米国以外の国は、同等のコードを使用する。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、複数の分散構造体を有することができ、少なくとも1つのそのような構造(例えば、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体)は保護された構造体であり、1つまたは複数の基本安全機能を実行させるように構成された少なくともいくつかの支援機器を含む支持構造体であり得る別のそのような構造体は、保護された構造体または保護されていない構造体であり得る。
【0050】
本明細書で説明するように、保護された構造体は、損傷事象の発生による原子炉への損傷、核燃料への損傷、放射性物質の放出などからの保護に関連する1つまたは複数の特定の核安全要件を満たす(例えば、従う)ように保護された構造体を構成する構造的特徴を含むことができる。
【0051】
いくつかの例示的な実施形態では、「特定の核安全要件」は、例えば、本明細書でANSI/ANS-2.26-2004,DOE-Standard(STD)1189-2008,ASCE/SEI 43-1,NRC Regulatory Guide 1.29とも呼ばれるAmerican National Standards Institute(ANSI)/American Nuclear Society(ANS)2.26-2004,Categorization of Nuclear Facility Structures,Systems,and Components for Seismic Designによって定義された地震設計基準、管理する核に関する規定と基準、例えばASME BPVC,ACI 349,ANSI/AISC N690などを含む1つまたは複数の設計基準を含むことができる。例えば、ANSI/ANS-2.26-2004は、原子力発電プラントの構造体の地震設計基準(SDB)をそれぞれ定義することができる様々なSDCを示すことができる。SDCは、SDC-1~SDC-5の範囲であり得る。特定の核安全要件を満たす保護された構造体は、例えば、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである耐震設計カテゴリを満たす(例えば、満足させる)ように構成することができる。
【0052】
別の例では、「特定の核安全要件」は、竜巻、洪水、ハリケーン、火災などを含む様々な自然災害に関連する1つまたは複数の設計基準を含むことができる。例えば、「特定の核安全要件」は、一般設計基準(GDC)2、付属書Aの「Design Bases for Protection Against Natural Phenomena」、連邦規則集(10 CFR Part 50)の第10編第50部、「General Design Criteria for Nuclear Power Plants」、「Domestic Licensing of Production and Utilization Facilities」、GDC4、付属書Aから10 CFR Part 50、10 CFR Part 100の「Environmental and Dynamic Effects Design Bases」、NRC Regulatory Guide 1.76の「Design-Basis Tornado And Tornado Missiles For Nuclear Power Plants」、ANSI/ANS-2.8-2019、「Probabilistic Evaluation of External Flood Hazards for Nuclear Facilities」などの少なくとも1つに関連付けられ、かつ/またはそれらに含まれる1つ以上の設計基準を含むことができ、特定の核の安全要件を満たす保護された構造体は、例えば、それらのいずれかに関連付けられたおよび/またはそれらに含まれる当該設計基準のいずれかのうちの1つまたは複数を満たすように構成され得る。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態では、「特定の核安全要件」は、特定の核安全要件を満たす保護された構造体、したがって(例えば、原子炉、核燃料、構造体内の補助原子炉支援システムなど)内部のシステムおよび構成要素が損傷事象を乗り越えるはるかに高い確率を与えるために1つまたは複数の厳格な核の規格を含むことができ、それによって当該補助核支援システムが1つまたは複数の基本安全機能を正常に実行する(例えば、「満たす」)ことを可能にする。「特定の原子力安全要件」は、米国外の国が特定の核安全要件を満たし得る同等の規約を使用することができるため、上記の規格および規約に限定されないことが理解されよう。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、保護された構造体は、本明細書では単に「ベースマット」とも呼ばれる原子力島ベースマット構造体によって支持されることによって構造的に区別されてもよく、その結果、当該原子力島ベースマット構造体は、特定の核安全要件を満たすように特別に保護された構造体を少なくとも部分的に構成する特別に保護された構造体の1つまたは複数の特徴であってもよい。原子力島ベースマット構造体は、補強されたコンクリートの基礎(例えば、約6フィート(約1.83m)の厚さ)を含むことができ、損傷事象(例えば、地震などの地震事象)の発生中および発生後であっても、保護された構造体(例えば、原子炉、核燃料貯蔵部など)内の機器が基本安全機能を満たし続けることを保証するように構造的に構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、保護されていない構造体は、単純なコンクリートスラブ構造において支持されてもよく、またはスラブにいっさい支持されなくてもよい(例えば、裸地または岩材に支持される)。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、原子炉構造体は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む機器、システム、および構成要素をホスト、支持、および保護する構造体であると理解されてもよく、事象(例えば、外部および/または内部の設計事象)の最中および後に損傷すると、ASME BPVC、ACI 349、およびANSI/AISC N690などの管理用の原子力の規約および規格に従って設計されたANSI/ANS-2.26-2004によって定義されるように、環境および公衆に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態では、補助的な核安全システムを原子炉と同じ建屋、または同等の核の質の隣接する補助建屋(例えば、原子炉建屋とベースマットを共有してもしなくてもよい別の保護された構造体)に配置することによって、特定の原子力発電プラントの総合的な物品(例えば、コンクリートの体積、補強用の鋼の重量、設置されたパイプの長さ、設置されたケーブルの長さなど)は、複数の分散した「特別に保護された構造体」を有することに対して削減され得る。ほとんどの内的事象(例えば、不慮の弁閉鎖、電力バスの喪失など)は、保護された構造体を必要としない場合がある。なぜなら、そのような事象は、典型的には、この保護を設けるために構造体に依存することによって外力からシステムおよび構成要素を保護することに関連しないからである。「原子力の質」という用語は、米国の10 CFR Part 50付表Bに準拠したものまたは他の国の同等のものなど、はるかに厳しい品質保証レベルに保持されている活動を総称的に指すために使用される。
【0057】
本明細書で説明するように、保護された構造体ではない原子力発電プラントの建屋は、本明細書では「保護されていない構造体」と呼ばれることがある。
【0058】
本明細書で説明するように、原子力発電プラント100は、単一の保護された構造体の一部であるか、または別々のそれぞれの保護された構造体に配置された原子炉建屋(RXB)112(例えば、原子炉格納建屋)および燃料取扱建屋(FHB)114(本明細書では燃料貯蔵設備とも呼ばれる)を含むことができる。そのような1つまたは複数の構造体は、本明細書では「原子炉構造体」と呼ばれることがある。例えば、原子力発電プラント100は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも一方を含む原子炉構造体を含むことができ、原子炉構造体は、損傷事象により損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であり、損傷事象は、保護された構造体の外部で発生し、損傷に関連する損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部によって受ける。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、保護された構造体であり、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体に隣接する(例えば、特定の近傍、例えば5メートル以内に直接隣接する、またはその中にある)1つまたは複数の「補助」建屋を含むことができるが、原子炉建屋(RXB)112および/または燃料貯蔵建屋(例えば、燃料取扱建屋(FHB)114)である/画定する特別な保護された構造体と同じベースマットを共有してもしなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの補助的な建屋(例えば、安全関連の残留熱除去システムを含む補助建屋)は、原子炉建屋とは別個のベースマットを含むことができる。したがって、原子力発電プラントの1つまたは複数の補助建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体から「地震的に切り離され」ていると理解することができ、地震的に切り離された構造体は、構造体が地震事象(例えば、地震)に応答して互いに相互作用しないように構成されるように離間される。いくつかの例示的な実施形態では、地震によって分離された補助建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する当該の特別に保護された構造体と同様または同じ核安全要件(例えば、地震標準)を満たすように構成され得る。
【0060】
原子力発電プラント100は、原子力発電プラントの保護された構造体に直接隣接する(例えば、5メートル以内の近接)1つまたは複数の「付属」建屋(例えば、原子炉付属建屋(RAB)116および/または燃料付属建屋(FAB)117などの付属構造体)を含むことができる。付属建屋は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する特別に保護された構造体のベースマットから物理的に分離(例えば、単離)されてもよく、したがって、保護された構造体のベースマットから地震に関して切り離されると理解され得る。したがって、付属建屋は、保護された構造体とは異なる耐震基準を満たすように構成され得、したがって、保護された構造体によって満たされる同じ核安全要件を満たさなくてもよい。付属構造体は、保護された構造体でなくてもよく(例えば、保護されていない構造体であってもよい)、したがって、付属構造体の内部に位置する機器を、損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの保護された構造体が、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つを満たすように構成されている場合、原子力発電プラントの付属建屋は、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5の一部またはいずれかを満たすように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの付属建屋は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つを満たし、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のいずれも満たさないように構成することができる。
【0061】
原子力発電プラントは、保護された構造体であるが、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋に直接隣接していない(例えば、これらから6メートルを超える隔たりから12メートルを超える隔たりなど)1つまたは複数の「衛星」建屋(本明細書では衛星構造体とも呼ばれる)を含むことができる。
【0062】
原子力発電プラントは、原子力発電プラントの保護された構造体から空間的に分離された1つまたは複数の「支持」建屋(本明細書では支持構造体とも呼ばれる)を含むことができる。支持構造体は、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉構造体(例えば、原子炉建屋および/または燃料取扱建屋)が「保護された構造体」から著しく離れていてもよい(例えば、それから6メートルを超える隔たり、12メートルを超える隔たり)。支持構造体は、原子炉建屋および/または燃料貯蔵建屋である/画定する保護された構造体のベースマットから物理的に分離(例えば、単離)されてもよく、したがって、支持構造体から地震に関して切り離されると理解され得る。したがって、支持構造体は、保護された構造体とは異なる耐震基準を満たすように構成され得、したがって、保護された構造体によって満たされる同じ核安全要件を満たさなくてもよい。支持構造体は、保護された構造体でなくてもよく(例えば、保護されていない構造体であってもよい)、したがって、支持構造体の内部に位置する機器を、損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの保護された構造体が、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つを満たすように構成されている場合、原子力発電プラントの支持構造体は、SDC-3、SDC-4、またはSDC-5の一部またはいずれかを満たすように構成されなくてもよい。例えば、原子力発電プラントの支持構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つを満たし、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によって定義されたSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のいずれも満たさないように構成することができる。
【0063】
本明細書で説明するように、「空間的に別個の構造体」は、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの「衛星」および/または「支持」構造体のいずれかを指すことができる。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラントの保護されていない構造体(例えば、支持構造体、付属構造体、またはそれらの組み合わせ)は、IBC、ACI 318、AISC 360、それらのいくつかの組み合わせなどを含む1つまたは複数の様々な非原子力産業規約に従って設計された(例えば、満たすよう構成された)構造であってもよい。
【0065】
いくつかの例示的な実施形態では、損傷事象に関して構成された(例えば、損傷事象による損傷を受けないように内部に配置された機器を保護するように構成された)構造体は、損傷事象に関して設計されている(例えば、損傷事象による損傷を受けないように内部の機器を保護するように設計されている)と理解することができる。例えば、内部に位置する始動支援機器を損傷事象(例えば、設計損害事象)により受ける損傷から保護するように構成されていない支持構造体は、内部に位置する始動支援機器を損傷事象(例えば、設計損害事象)により受ける損傷から保護するように設計されていない場合がある。
【0066】
構築作業
いくつかの例示的な実施形態では、少なくともいくつかの補助安全システムが別個の構造体に分散されている分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、設置された物品数の削減が実現されているにもかかわらず、当該補助安全システムのほとんどすべて、および原子炉を、同じ構造体に組み込む大きなモノリシックモジュール構造体を有する原子力プラントと比較して、構築コストを削減することができる。モノリシックモジュール構造による保護を必要とする機器の広がりがモノリシックモジュール構造内の複数のフロアおよび部屋の必要性を増やし、原子力発電プラントの構築中に並列作業ではなくより連続的な作業をもたらすので、「保護された構造体」に対するモノリシック手法は、作業面をほとんどもたらさない可能性がある。作業面は、現場で他の構築と同時に構築が行われる領域として定義される。例えば、大型のモノリシックモジュール構造体の設置面積が大きいと、より長距離のクレーンの使用が促進され、したがって典型的には構築中のクレーンが少なくなるため、構築中の大型のモノリシックモジュール構造である原子炉建屋の部分へのクレーンのアクセスは限定される。別の例では、モノリシックモジュール構造体を有する原子力発電プラントの構築中の労働者の生産性は、大規模なモノリシックモジュール構造体の内部の相互依存型安全関連機器に関連する密集および広大なスコープの現場での核の品質保証(米国の10 CFR Part 50付表Bまたは他国の同等なものに基づいて現場で管理される構築活動)のために、分散モジュール式のレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの構築中よりも低くなり得、それによって構築のタイムラインを延長する。さらに、ほとんどの従来の軽水原子炉は、原子炉自体の原子炉容器よりもはるかに大きい容積を有する圧力保持格納構造体を使用する。この特定の格納構造体の設計は、大型のモノリシックモジュール式構造体である原子炉建屋の設置面積をさらに拡大し、原子力発電プラントのコストを悪化させ、原子炉建屋の構築予定を延ばす。
【0067】
図8Aを参照すると、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント800を構築する方法は、S802において、衛星および支持(S804)構造体822および824と高度に並列に構築された隣接構造体810(例えば、原子炉建屋812および/または燃料取扱建屋814であり、これらは、1つ以上の原子炉構造体と称され得る)を構築することを含むことができ、隣接構造体ならびに衛星および支持構造体822および824(例えば、空間的に分離した構造)は、当該構造体が離間している(「分散している」)ことに少なくとも部分的に基づいて少なくとも部分的に同時に構築される。S802で構築された隣接構造体810は、原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、原子炉建屋812および/または燃料取扱建屋814であってもよい)の少なくとも一方を含んでもよく、および/または補助建屋816(原子炉建屋812、燃料取扱建屋814、および/または補助建屋816は、本明細書では原子炉構造体と呼ぶことができる)であってもよく、損傷事象の発生による損傷から原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体であってもよく、損傷事象は、保護された構造体の外部で発生し、損傷事象は、原子力発電プラントの少なくとも一部によって損傷を受ける。保護された構造体(例えば、原子炉構造体)は、原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む機器、システム、および構成要素を収容、支持、および保護することができ、これらは、事象(例えば、外部または内部の事故設計事象、損傷設計事象など)がANSI/ANS-2.26-2004によって定義されるように、環境および公衆に重大な悪影響を及ぼす可能性がある間および後に、損傷を受ける。支持構造体824は、保護された構造体から空間的に分離されていてもよく、始動支援機器を含むように構築されてもよく、始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、基本安全機能は、トリガの後に始動支援機器とは独立して実行され、基本安全機能は、原子炉の反応性の制御、原子炉の原子炉放射性物質の冷却、核燃料貯蔵部の貯蔵放射性物質の冷却、またはコンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に(例えば、環境または公衆に対して)特定の放射性物質を封じ込めることのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの例示的な実施形態では、S804で構築された構造体は、損傷事象の発生による損傷を受けることから始動支援機器を保護するように構成されていない保護されていない構造体(すなわち、支持構造体824)である。そのような保護されていない構造体は、IBC、ACI 318、および/またはAISC 360を含む1つまたは複数の非原子力産業規約に従って(例えば、満たすよう構成され)設計することができる。フロントライン支援機器は、原子炉構造体および/または支持構造体の内部に設置され得る。保護された構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の耐震設計カテゴリ(例えば、第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC))を満たす(例えば、要件を満たす)構造体を構築することを含むことができる。保護されていない構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1に従って、Non-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであり得る第2の耐震設計カテゴリ(例えば、第2の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)構造体を構築することを含むことができる。
【0068】
保護されていない構造体の構築は、ANSI/ANS-2.26-2004による、SDC-1またはSDC-2の組み合わせである第2の耐震設計カテゴリを満たす構造体を構築することを含むことができる。
【0069】
また、図8Aでは、保護された構造体である衛星構造体822は、他の保護された構造体(例えば、建屋812、814、および816)から空間的に分離されてもよく、始動支援機器を含むように構築されてもよく、衛星構造体822の内部の始動支援機器は、基本安全機能を実行するためにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、基本安全機能は、トリガの後に衛星構造体822の内部に配置された始動支援機器とは独立して実行され、基本安全機能は、原子炉の反応性の制御(例えば、原子炉建屋812)、原子炉の原子炉放射性物質の冷却、核燃料貯蔵部(例えば、燃料取扱建屋814)の貯蔵されている放射性物質の冷却、または(例えば、環境または公衆に対して)コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためのコンテナのエンクロージャの内部の特定の放射性物質の封じ込めのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態では、図8Bに示すように、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント850は、原子炉(例えば、原子炉建屋872ならびにそれに関連する補助構造体874および付属構造体876)に関連する構造体(例えば、第2組の隣接構造体870)から空間的に分離された(例えば、少なくとも6メートル離れている、少なくとも12メートル離れているなど)燃料取扱い(例えば、核燃料貯蔵部と、それに関連する補助構造体864および付属構造体866とを含む燃料取扱建屋862)に関連する構造体(例えば、第1組の隣接構造体860)を含むことができる。これは、並列構築の程度をさらに高め、燃料取扱建屋862をいくつかの他の原子炉と共有することも容易にするために行うことができる。隣接構造体(例えば、第1組の隣接構造体860の構造体および/または第2組の隣接構造体870の構造体)は、5メートル未満、4メートル未満、3メートル未満、2メートル未満、1メートル未満など、互いに6メートル未満離れていてもよい。
【0071】
原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、補助構造体864および/または874、集合的に補助構造体884)に関連する補助構造体は、本明細書に記載の補助構造体(例えば、原子炉建屋872または燃料取扱建屋862に隣接する保護された構造体)であってもよい。原子炉または核燃料貯蔵部(例えば、付属構造体866および/または866、集合的に付属構造体886)に関連する付属構造体は、本明細書に記載の付属構造体(例えば、原子炉建屋872または燃料取扱建屋862に隣接する保護されていない構造体)であってもよい。
【0072】
核燃料貯蔵部に関連する構造体は、核燃料貯蔵部の動作および/または機能(例えば、基本安全機能)を支援するように構成された機器を含む(例えば、格納する)ことができる。そのような機器は、例えば、核燃料貯蔵部、燃料プール浄化機器、待機電源、制御機器、冷却剤浄化機器、緊急プール冷却システム、残留熱除去システム、緊急電源、それらの任意の組み合わせなどと熱を輸送し合う熱輸送システム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)を含むことができる。
【0073】
原子炉に関連する構造体は、原子炉の動作および/または機能(例えば、基本安全機能)を支援するように構成された機器を含む(例えば、格納する)ことができる。そのような機器は、例えば、原子炉(例えば、有用な作業(例えば、電気を発生させる、または化学プロセスを加熱する)を実行するために)との間で熱(例えば、蒸気、溶融塩、ナトリウム、ガスなど)を輸送する熱輸送システム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)、待機電源、制御機器、冷却剤浄化機器、緊急炉心冷却システム、残留熱除去システム、緊急電源、それらの任意の組み合わせなどを含むことができる。
【0074】
基本安全機能および支援機器
図1A図7を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントは、基本安全機能が実行/満たされることを可能にするように構成された支援機器を含むことができる。
【0075】
本明細書に記載されるように、「基本安全機能」は、正常に実行されると(例えば、満たされると)、1)原子炉の反応性を制御すること(例えば、損傷事象の間および後に、原子炉を安全に停止し、原子炉を安全な停止状態(ゼロ出力の臨界状態または亜臨界状態を含む)に維持すること)、2)原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること(例えば、残留熱の除去)(例えば、原子炉停止後)、3)核燃料貯蔵部の貯蔵されている放射性物質を冷却すること(例えば、残留熱の除去)、および/または4)コンテナからの特定の放射性物質の放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること(例えば、原子力発電プラントから環境または公衆への放射性物質の放出の可能性を低減および/または防止し、あらゆる放出が所定の制限された範囲にあることを確実にすること)のうちの少なくとも1つを達成する機能を含むことができる。
【0076】
本明細書で説明するように、1つまたは複数の「基本安全機能」を実行させるように構成された原子力発電プラントの支援機器(「補助支援システム」)は、基本安全機能を実行するフロントライン支援機器と、フロントライン支援機器をトリガして基本安全機能を実行させる始動支援機器とを含むことができる。フロントライン支援機器は、例えば、緊急炉心冷却機器、残留熱除去機器、緊急電源などを含むことができる。フロントライン支援機器の例は、原子炉のスクラムを発生させるように構成された支援機器、および/または原子炉および/または核燃料貯蔵部の1つまたは複数の部分を隔離するように、および/またはコンテナのエンクロージャを隔離してエンクロージャからの放射性物質の放出を抑制するように構成された支援機器を含む原子炉保護システムを含むことができる。始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするために、「トリガ」制御信号をフロントライン支援機器へ選択的に生成および/または送信するように構成された処理回路を含み得る。当該処理回路は、命令のプログラムを記憶するメモリと、命令のプログラムを実行して、損傷事象が検出されたという判定に応答して「トリガ」制御信号を生成および/または送信するように構成されたプロセッサとを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器は、損傷事象の発生を検出するように構成された検出機器(例えば、センサ、通信インターフェースなど)を含む。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器は、計装機器(例えば、センサデバイス、信号送信機)、電気機器(例えば、変圧器、開閉装置など)、通信機器(例えば、無線通信送受信機)、および/または制御機器(例えば、処理回路、ユーザインターフェースなど)を含む。当該始動支援機器がトリガするように構成された始動支援機器およびフロントライン支援機器は、別個の構造体に配置されてもよく、および/または有線または無線通信接続を介して通信可能にリンクされ得る。
【0077】
始動支援機器は、(例えば、始動支援機器が、処理回路と、制御信号を生成し、通信リンクを介してフロントライン支援機器へ送信するように構成された送信機とを含む場合)フロントライン支援機器への「トリガ」制御信号の送信、(例えば、始動支援機器が、アクチュエータおよび/またはフロントライン支援機器の少なくとも一部を作動させてフロントライン支援機器に基本安全機能を実行させるように動作するように構成されたばね、電磁石などの他のデバイスを含む場合)作動動作の実行、またはこれら任意の組み合わせに基づいて、フロントライン支援機器をトリガするように構成され得る。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態では、U.S.10 CFR Part 50または他の国の法律における同等の分類に基づいて「安全と関連」と分類されていても、基本安全機能を実行させるように構成された少なくともいくつかの支援機器は、保護された構造体に配置される必要がない場合がある。
【0079】
例えば、フロントライン支援機器は、始動支援機器によってトリガされたことに応答して、トリガ後、始動支援機器とは無関係に、基本安全機能を実行/満たすように構成され得る。結果として、基本支援機能の実行は、基本支援機能を実行するためのフロントライン支援機器のトリガ後の始動支援機器の継続的な動作、存続、および/または存在とは無関係に継続することができるため、始動支援機器は、保護された構造体に位置する必要がない場合がある。
【0080】
これは、保護された構造体に配置される必要がないシステム(例えば、支援機器)が、保護された構造体に配置される必要があるシステム(例えば、原子炉)を収容する構造から空間的に分離された支持構造体(例えば、保護されていない構造体)に配置されるように分散される分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャの採用を容易にする、というのも、そのような分散は、そのような分散を有する原子力発電プラントを、より経済的に魅力のあるものにし得るからである。例えば、始動支援機器は、支持構造体に配置されてもよく、始動支援機器によってトリガされて基本安全機能を実行することができるフロントライン支援機器は、保護された構造体(例えば、原子炉建屋、燃料取扱建屋、補助建屋、衛星構造体、またはそれらの何らかの組み合わせを含む原子炉構造体)に配置され得る。
【0081】
基本安全機能が実行/満たされる動作の概要は、少なくとも図4図7を参照して以下に提供される。
【0082】
基本安全機能の始動/トリガ
任意の例示的な実施形態(例えば、図5A図5Bおよび/または図6A図6Bに示すように)による任意の原子力プラント、始動および/またはフロントライン支援機器などに関して実行され得る方法である図7を参照すると、事象(例えば、損傷事象)は、検出されると(例えば、検出機器によるステップS702)、始動支援機器に、ステップS704でのトリガに続く始動支援機器とは独立して、基本安全機能を実行する(例えば、ステップS706)ようにフロントライン支援機器をトリガする(例えば、ステップS704)ように促し、その結果、始動支援機器が、(例えば、ステップS710において)トリガに続く損傷を受けるおよび/または損傷事象に起因して動作不能になる場合であっても、基本安全機能(例えば、図4に示す基本安全機能のうちの1つまたは複数)が実行され(例えば、ステップS706において)、満たされ(例えば、ステップS708A、ステップS708B、またはステップS708Cのうちの1つまたは複数)得る。
【0083】
換言すると、図7に示す方法は、ステップS702において、原子力発電プラントの原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出することであって、原子炉構造体は、損傷事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出すること、およびステップS704において、ステップS702において損傷事象を検出することに応答してステップS706において基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、基本安全機能がトリガに続いて始動支援機器とは独立して実行され、始動支援機器が原子炉構造体から空間的に分離された(本明細書では互換的に「構造的に独立」とも呼ばれる)支持構造体に配置される、制御すること、を含み得、基本安全機能は、原子炉の反応性を制御すること(ステップS706において基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Aで満たすことができる)、原子炉の原子炉放射性物質を冷却すること(ステップS706において基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Bで満たすことができる)、核燃料貯蔵部の貯蔵された放射性物質を冷却すること(ステップS706で基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Bで満たすことができる)、またはコンテナからの特定の放射性物質の例えば環境または公衆への放出を抑制するためにコンテナのエンクロージャの内部に特定の放射性物質を封じ込めること(ステップS706で基本安全機能を実行するフロントライン支援機器に基づいてステップS708Cで満たすことができる)のうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
ステップS702の検出することは、原子炉構造体の外部から発生し、原子力発電プラントの1つまたは複数の部分が受ける損傷に関連する損傷事象を検出することを含むことができ、原子炉構造体は、損傷設計レベル事象による損傷を受けることから原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を保護するように構成された保護構造体であり、そのような検出に応答してステップS704でトリガすることが(例えば、始動支援機器によって)実行されるように、ANSI/ANS-2.26-2004によって定義された、環境および公衆に対する重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
【0085】
図5A図6Bを参照すると、原子力発電プラント500は、損傷事象518を検出するように構成された検出機器(DE)514を含む、および/またはそれに通信可能に結合することができる始動支援機器(ISE)512を含むことができる。検出機器(DE)514は、例えば、地震事象を検出するように構成された既知の地震トリップシステム、気象事象につきローカルの気象を監視するように構成された既知のシステム、原子力発電プラントに対する攻撃を検出するように構成された既知の侵入検出システムなどを含むことができる。
【0086】
さらに図5A図6Bを参照すると、支援機器は、例えば、「トリガ」制御信号(516)をフロントライン支援機器522に送信すること、および/またはフロントライン支援機器522を作動させることに基づいて、損傷事象518の検出(例えば、DE514による)に応答して、フロントライン支援機器(FSE)522を「トリガ」する(516)ように構成された始動支援機器(ISE)512を含むことができる。始動支援機器ISE512は、原子炉、核燃料貯蔵部、および/または放射性物質(例えば、構造体524)、または損傷事象518に起因して原子力発電プラント500の1つまたは複数の部分が影響を受ける(例えば、損傷)前に、FSE522をトリガ516して基本安全機能526を実行するように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、始動支援機器512は、損傷事象518に起因する損傷532を受けることから始動支援機器512を保護するように構成されていない保護されていない構造体であり得る支持構造体510に配置される。検出機器(DE)514は、損傷事象518によってISE512が損傷532を受け得るよりも前に、十分な事前のタイミング(例えば、少なくとも5秒、10~20秒など)で損傷事象518を検出するように構成することができ、ISE512は、当該事前タイミング内に1つまたは複数の基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器(FSE)522をトリガするように構成することができ、その結果、ISE512は、1つまたは複数の基本安全機能(FSF)526を実行するように、フロントライン支援機器(FSE)522をトリガ516することができ、そのようなトリガ516は、ISE512(および/またはFSE522、原子炉、核燃料貯蔵部など)が当該トリガ516を実行することを妨げる(534)損傷事象に起因してISE512が損傷532を受ける前に完了することができる。換言すると、図5A図6B(特に図5Bおよび図6B)に示すように、始動支援機器ISE512は、損傷事象518に起因して損傷532を受けるのを耐えるように構成されなくてもよく、始動支援機器ISE512は、損傷事象518の検出に応答して(例えば、検出機器DE514によって)、始動支援機器ISE512が損傷事象に起因して損傷532を受ける前に、基本安全機能FSF526をフロントライン支援機器FSE522が実行するのをトリガする516するように構成され得て、基本安全機能FSF526が、損傷事象518に起因して始動支援機器ISE512によって受ける損傷532とは無関係に実行/満たされるようにする。フロントライン支援機器FSE522は、ISE512とは無関係に基本安全機能526を実行し続け、その後にISE512によってトリガ516され得るため、トリガ516に続いてISE512によって受ける損傷532は、基本安全機能526の実行/満足に影響を与えない可能性がある。換言すれば、フロントライン支援機器FSE522は、ISE512によるトリガ516の後に基本安全機能526が満たされることを保証するように構成され得るので、ISE512は、別個の保護されていない支持構造体510に配置されてもよく、ここで、ISE512にトリガ516の実行を促す検出された損傷事象518に起因して、損傷532を受ける前に、ISE512がFSE522をトリガ516するように構成されている限り、ISE512は、ISE512がさらなるトリガ516を実行することを妨げる534ことができる損傷532を受けることが可能となる。
【0087】
結果として、図5A図6Bに示すように、ISE512は、保護されておらず、損傷事象518による損傷を受けないように構成することができる付属または支持構造体510に配置することができる。例えば、原子力発電プラント500の原子炉構造体520(例えば、RXB、FHBなど)は、第1の耐震設計カテゴリ(例えば、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)ように構成されてもよく、始動支援機器512が配置される支持構造体510は、第1の耐震設計カテゴリとは異なる第2の耐震設計カテゴリ(例えば、第2の階層のSDC)を満たす(例えば、要件を満たす)ように構成され得る。例えば、第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つであってもよい。原子炉構造体520は、ASME BPVC、ACI 349およびANSI/AISC N690などの管理用の核に関する規定と基準に従って設計された(例えば、満たすよう構成されて)保護された構造体であってもよい。支持構造体510は、IBC、ACI 318、および/またはAISC 360などの非原子力産業規定に従って設計された(例えば、満たすよう構成された)、保護されていない構造体であってもよい。
【0088】
図5A図6Bに示すように、ISE512は、フロントライン支援機器522を「トリガする」516に基づいて、損傷事象518に起因するISE512への損傷532の発生前に基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522を作動させることができ、これにより、ISE512がさらなるトリガ516を実行することを妨げる534ことができるISE512を抑制する534ことができる。
【0089】
いくつかの例示的な実施形態では、ISE512は、処理回路(例えば、命令のプログラムを記憶するソリッドステートドライブ(SSD)などのメモリ、および命令のプログラムを実行して、損傷事象518の検出に応答してフロントライン支援機器522をトリガ516する「トリガ」信号を生成するように構成されたプロセッサ)、通信インターフェース(例えば、トリガ信号をフロントライン支援機器522へ送信するように構成される)などを含むことができる。
【0090】
いくつかの例示的な実施形態では、ISE512は、手動停止デバイス、スイッチギア(例えば、電気式および/または機械式開閉装置)、アクチュエータ(例えば、弁アクチュエータ)を含むことができる。ISE512は、フロントライン支援機器FSE522の少なくとも一部を作動させてFSE522をトリガ516し、トリガ516の後ISE512とは独立した方法でFSE522に基本安全機能526を実行させるように構成することができる。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態では、FSE522は、損傷事象518による損傷から保護されるように、保護された構造体(例えば、原子炉構造体520)の内部に配置されるように構成された機器、損傷事象518による損傷を受けるのに耐えるように構成された機器などを含むことができる。例えば、FSE522は、支持構造体510に配置され得るISE512から受信したトリガ信号および/または作動に応答して、原子炉(例えば、524)の反応性(例えば、スクラムを実行することによって)を制御するように構成された制御ロッドアセンブリを含むことができる。トリガに応答して、またはその一部として、電磁石の励磁解除に基づいてスクラムを実行するために、制御ロッドを原子炉(例えば、524)内に下降させることができるので、スクラムの基本安全機能526は、トリガ516(例えば、図5A図5Bに示すように)に続いてISE512の状況/状態とは無関係に実行することができる。
【0092】
別の例では、FSE522は、システムが基本安全機能526(例えば、無停電電源装置(UPS))を実行することを可能にする、重力、ばね、アキュムレータ、コンデンサ、またはバッテリを作動させるために動力源を断つなどの1つまたは複数の蓄積エネルギー供給方法を実施するように構成された蓄積エネルギー機器を含むことができる。
【0093】
図9は、いくつかの例示的な実施形態による電子デバイスおよび/または機器のブロック図である。当該電子デバイスおよび/または機器は、始動支援機器(ISE)512、フロントライン支援機器(FSE)522などのいずれかを含む、例示的な実施形態のいずれかに含まれるデバイス、機器、システム、ユニット、コントローラ、および/または回路のいずれかを含むおよび/または実装することができる。当該電子デバイスおよび/または機器(本明細書では単に「デバイス」と呼ばれる)は、図5A図5B図6A図6B図7図8A、および/または図8Bに示される方法のいずれかまたはすべての動作のいずれかまたはすべてを含むがこれらに限定されない、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかの動作のいずれかまたはすべてを実行するように構成され得る。
【0094】
図9を参照すると、デバイス900(これは、例えば、始動支援機器(ISE)および/またはフロントライン支援機器(FSE)を含む、例示的な実施形態のいずれかによる電子機器および/または機器することができる)は、バス910を介して互いに電気的に結合されたプロセッサ920、メモリ930、およびインターフェース940を含むことができる。インターフェース940は、通信インターフェース(例えば、有線または無線通信トランシーバ)であってもよい。
【0095】
図9に示すように、デバイス900が例示的な実施形態のいずれかによる方法の1つ以上の動作を実行するように構成される場合、インターフェース940は外部デバイスに通信可能に結合され得る。例えば、デバイス900が始動支援機器(ISE)512を含むおよび/または実装する場合、インターフェース940は、検出機器514に通信可能に結合されてもよく、さらに、フロントライン支援機器(FSE)522に通信可能に結合されてもよく、その結果、デバイス900は、インターフェース940を介して検出機器514のデータから損傷事象518の発生を示す情報/信号を受信し、受信した情報/信号を処理し、トリガ信号を生成/送信して、フロントライン支援機器(FSE)522に、受信した情報/信号を処理することに基づいてインターフェース940を介してFSE522を「トリガ」516し、FSE522が損傷事象518の検出に応答して作動されるべきであると判定することができる。
【0096】
メモリ930は、非一時的コンピュータ可読媒体であってもよく、命令のプログラムおよび/または他の情報を記憶してもよい。メモリ930は、フラッシュメモリ、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗RAM(ReRAM)、もしくは強誘電体RAM(FRAM(登録商標))などの不揮発性メモリ、またはスタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、もしくはシンクロナスDRAM(SDRAM)などの揮発性メモリであってもよい。プロセッサ920は、格納された命令のプログラムを実行して、1つまたは複数の機能を実行することができる。例えば、デバイス900が始動支援機器(ISE)512に含まれ、かつ/またはこれを実装する場合、プロセッサ920は、インターフェース940を介して検出機器から受信した信号/情報を処理し、1つまたは複数の方法の結果に基づいて(例えば、受信した情報/信号に基づいて、例えば損傷事象518の発生を判定すること)、インターフェース940を介してフロントライン支援機器(FSE)522にコマンドを選択的に送信して、フロントライン支援機器522をトリガし516、1つまたは複数の基本安全機能526を実行するように作動させるように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、検出機器514は、デバイス900の一部(例えば、デバイス900の内部のバス910に接続されたセンサデバイス)として含まれてもよいことが理解されよう。別の例では、デバイス900がフロントライン支援機器(FSE)522を含み、かつ/または実装する場合、プロセッサ920は、インターフェース940を介して始動支援機器(ISE)512からデバイス900において受信されたトリガ信号を処理することに応答して、メモリ930に格納された命令のプログラムを実行して、FSE522の1つまたは複数の部分(例えば、弁アクチュエータ)を制御し、したがって、1つまたは複数の基本安全機能526を実行することができる。
【0097】
プロセッサ920は、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路を含むことができる。例えば、処理回路は、より具体的には、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含み得るが、これらに限定されない。プロセッサ920は、そのような処理に基づいて出力(例えば、コマンド信号、例えばインターフェース940を介して外部デバイスに送信される信号、例えば、基本安全機能(FSF)を実行するようにフロントライン支援機器(FSE)をトリガするトリガ信号、FSFを実行するデバイスを作動させるためにフロントライン支援機器(FSE)によって送信される基本安全機能など)を生成するように構成され得る。
【0098】
プロセッサ920、メモリ930、および/またはインターフェース940のうちの1つまたは複数は、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路の1つまたは複数の例に含まれ、それを含み、および/またはそれを実装することができる。いくつかの例示的な実施形態では、処理回路の当該の1つまたは複数の例は、限定はしないが、中央処理装置(CPU)、アプリケーションプロセッサ(AP)、算術論理演算ユニット(ALU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)などを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載のメモリ、画像センサ、メモリユニットなどのいずれかは、命令のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶装置、例えばソリッドステートドライブ(SSD)を含むことができ、処理回路の1つまたは複数のインスタンスは、命令のプログラムを実行して、本明細書に記載の例示的な実施形態のいずれかによるプロセッサ920、メモリ930、インターフェース940などのいずれかの一部またはすべての機能を実装するよう構成され得、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかを実行することを含む。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態では、図面のいずれかを参照して本明細書で説明されるシステム、ユニット、モジュール、デバイス、機器、回路、コントローラ、および/またはそれらの要素の一部またはすべては、論理回路を含むハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの処理回路の1つまたは複数の例を含んでもよく、それらに含まれてもよく、および/またはそれらによって実装され得る。例えば、処理回路は、より具体的には、中央処理装置(CPU)、算術論理演算装置(ALU)、アプリケーションプロセッサ(AP)、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ニューラルネットワーク処理装置(NPU)、および電子制御装置(ECU)などを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、処理回路は、命令のプログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶装置、例えばソリッドステートドライブ(SSD)と、命令のプログラムを実行して、例示的な実施形態のいずれかによる試験システム、試験装置、インターフェースボード、被試験デバイス、画像センサ、電子デバイスなどの任意の部分の機能を含むが、これらに限定されない、本明細書に記載のシステム、デバイス、および/またはそれらの要素の任意の機能を実装するように構成されたプロセッサ(例えば、CPU)とを含むことができる。処理回路は、本明細書に記載の方法のいずれかを実行するように構成されてもよく、例えば、非一時的コンピュータ可読記憶デバイス、例えばソリッドステートドライブ(SSD)を含むことと、命令のプログラムを記憶することと、命令のプログラムを実行して、図5A図5B図6A図6B図7図8A、および/または図8Bに示す方法のいずれかまたはすべての動作のいずれかまたはすべてを含むが、これらに限定されない、例示的な実施形態のいずれかによる方法のいずれかまたはすべての動作を実施する(「実行する」)ように構成されたプロセッサ(例えば、CPU)とを含むことに基づいてもよいことがさらに理解されよう。
【0100】
図5A図6Bに示すように、いくつかの例示的な実施形態では、分散モジュール式レイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントでは、保護された構造体520の外側の(例えば、分離されている)建屋(例えば、支持構造体510)は、損傷設計事象に耐える必要も構成もされる必要がなく、したがって、損傷事象に起因する損傷(例えば、532)を受けるのに耐える構造上の構成にされなくてもよい(例えば、原子炉構造体として地震または「竜巻」と認定されるように構成されていなくてもよい)。これは、そのような構造体が基本安全機能526を実行させるように構成された支援機器を含む場合(例えば、ISE512)、当該基本安全機能526は、支持構造体および/またはその中に含まれる機器に発生する損傷の前に、またはそれとは無関係に実行されることがあるためであり得る。例えば、損傷事象に耐えるように構造的に構成されていない支持構造体および/または付属構造体は、安全な停止機器を収容することができる。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉建屋および燃料取扱建屋の外部の建屋は、依然として地震または「竜巻」の資格を有するように構成されてもよく、したがって損傷事象に耐えるように構成され得ることが理解されよう。
【0101】
基本安全機能の制御
図4図5A図5B、および図7のステップS708Aを参照すると、原子力発電プラント500は、原子炉(例えば、524)の反応性を制御する制御基本安全機能526を実行/満たすように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができ、例えば、電磁石、ばねの力、重力、浮力、または熱膨張の断絶の任意の組み合わせによって受動的に原子炉の停止を作動させる。これらの作動は、中性子吸収体を炉心(「原子炉炉心」)に挿入するか、炉心内に既に存在する材料を介した中性子吸収率を増加させるか、または炉心からの中性子の漏れを増加させる(例えば、熱膨張は、分裂速度を低下させるかまたは分裂を停止させる分裂材料の密度を減少させることができる)かのいずれかに作用する。そのようなフロントライン支援機器522は、原子炉を含む原子炉構造体520の内部に少なくとも部分的に配置され得る。
【0102】
そのような制御基本安全機能526(例えば、反応性の制御)は、損傷事象518による支援機器および/または原子炉への損傷の開始前に、中性子の吸収または増強された漏れシャットダウンの方法に基づいて、原子炉にゼロ出力臨界状態または亜臨界状態を達成させることができる。ゼロ出力臨界状態では、分裂は自立しているが、分裂からの熱発生率が即時放射性崩壊熱発生率と比較して無視できるほど十分なレベルに抑制される。亜臨界状態では、核分裂は自立していないため、分裂発熱率は実質的にゼロであり、放射性崩壊からの発熱のみが、冷却のための基本安全機能526をもたらす(例えば、実行する)システムおよび構成要素(例えば、フロントライン支援機器522)によって除去され得る。
【0103】
原子炉停止(ゼロ出力臨界状態または亜臨界状態)を引き起こすように構成されたフロントライン支援機器522は、電力、人、または制御システムの動作なしに原子炉停止が一度開始されると無限に維持されるように構成することができ、それによって原子炉を保護する制御基本安全機能526をもたらす。
【0104】
フロントライン支援機器522は、始動支援機器512(例えば、処理回路および通信インターフェースまたはトランシーバ、アクチュエータなど)によって制御基本安全機能526を実行させる(例えば、トリガ516される)ことができ、フロントライン支援機器522は、始動支援機器512から受信した制御信号および/または作動によってトリガ516されると、始動支援機器512の継続動作および/または存在とは無関係に基本安全機能526を実行し、満たすことができる。したがって、始動支援機器512は、損傷事象518に起因して損傷532を受ける可能性がある空間的に別個の(例えば、構造的に独立している)構造体(例えば、支持構造体510)に位置することができ、検出されると、損傷事象518に起因して抑制534を引き起こし得る損傷532を受ける前に、始動支援機器512に、制御基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522をトリガ516する。
【0105】
基本安全機能の冷却
さらに図4図5A図5B、および図7のステップS708Bを参照すると、原子力発電プラント500は、燃料貯蔵部(「核燃料貯蔵部」)または原子炉内の燃料(例えば、524)の長期冷却をもたらし、それによって原子炉および/または核燃料貯蔵部を保護する冷却基本安全機能526をもたらすように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができる。当該フロントライン支援機器522は、さらなる電力、人、または制御システムの動作なしに、始動支援機器512によってトリガされる516と、冷却を無期限にもたらすように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、長期冷却をもたらすフロントライン支援機器522は、常に受動的に動作しているため、始動を必要としない場合がある。
【0106】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500が原子炉内側の核燃料貯蔵部または燃料の短期間の冷却を必要とすることに応答して、原子力発電プラント500のフロントライン支援機器522は、例えば、損傷事象518の検出に応答して、したがって損傷事象518に起因する原子炉、燃料貯蔵部、および/または支援機器への損傷の開始前に、始動支援機器512によって、フロントライン支援機器522のトリガ516の直後またはほぼ直後に(例えば、1~5秒)、冷却基本安全機能をもたらすように構成され得る。
【0107】
原子炉(例えば、互いに物理的に隔離されており、例えば別々の建屋にある)内側の燃料貯蔵部または燃料の長期冷却をもたらすように構成されたそのようなフロントライン支援機器522の冗長かつ位置的に(「物理的に」)分離されたコピーをまた使用して、原子力発電プラント500の内部の爆発または保守での事故(クレーンの崩壊)などの内的事象による基本安全機能526の阻害から保護することもできる。
【0108】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500の冷却システム(例えば、原子炉および/または燃料貯蔵部の冷却をもたらすように構成されたフロントライン支援機器522)は、例えば、長期冷却を保証するために開閉しないかまたは受動的に不具合のある弁を有する冷却システムとは対照的に、初期冷却システム作動後に隔離される必要はないが、事故の後または他の事象の間に、冷却剤の事故の損失を防止するために閉じられる必要があり、したがって冷却基本安全機能526を満たすことができない。
【0109】
フロントライン支援機器522は、始動支援機器512(例えば、処理回路および通信インターフェースまたはトランシーバ、アクチュエータなど)によって制御基本安全機能526を実行させるようトリガ516され得、フロントライン支援機器522は、始動支援機器512によってトリガ516されると、始動支援機器512の継続動作および/または存在(例えば、状況および/または状態)とは無関係に基本安全機能526を実行し、満たすことができる。したがって、始動支援機器512は、損傷事象518に起因して損傷を受ける可能性がある空間的に別個の(例えば、構造的に独立している)構造体(例えば、支持構造体510)に位置することができ、検出されると、損傷事象518に起因して抑制534を引き起こし得る損傷532を受ける前に、始動支援機器512に、冷却基本安全機能526を実行するようにフロントライン支援機器522をトリガする。
【0110】
基本安全機能の格納
さらに図4図6A図6B、および図7のステップS708Cを参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント500は、基本安全機能526を実行して、例えば放出限界を超える可能性がある分散可能な形態の高放射性核種量を受動的に格納する(例えば、単離する)ように構成されたフロントライン支援機器522を含むことができる。換言すれば、例えば、フロントライン支援機器522は、基本安全機能526を実行して、コンテナ612のエンクロージャ614の内部に特定の放射性物質を封じ込めて、コンテナ612からの特定の放射性物質の(例えば、環境または公衆への)放出を抑制するように構成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、コンテナ612は原子炉容器である。いくつかの例示的な実施形態では、コンテナ612は、原子炉構造体の外部にあり、付属構造体または支持構造体610に配置された別個のコンテナである。例えば、コンテナ612は、コンテナ612のエンクロージャ614がコンテナ612の外部から隔離されている場合にコンテナ612の完全性が放射性物質の放出を抑制するのに十分であるように、コンテナ612自体が損傷事象518による損傷(例えば、コンテナ612上への支持構造体610の崩壊)を受けるのに耐えるように構成されている高放射性核種放射線廃棄物システムの一部であってもよい。したがって、フロントライン支援機器522は、コンテナ612のエンクロージャ614をコンテナ612の外部から選択的に隔離し、それによってコンテナ612からの放射性物質の放出を抑制するように作動させることができる弁を含むことができる。始動支援機器512は、アクチュエータを含むことができ、および/または弁を作動させて、したがってコンテナ612からの放射性物質の放出を抑制するための格納基本安全機能526を実行するために、フロントライン支援機器522の弁を「トリガ」516するように構成することができる。コンテナ612は、損傷事象518による損傷(例えば、エンクロージャ614の破損)に耐えるようにそれ自体構成され得るので、コンテナ612および関連するフロントライン支援機器522(例えば、弁)は、損傷事象518からコンテナ612をさらに保護するために付属構造体または支持構造体610が必要とされないので、保護されていない構造体である付属構造体または支持構造体610に配置され得る。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラントは、高い固有の放射性核種保持率で大気圧で動作する一次核冷却剤を含むことができ、その結果、原子力発電プラントは、圧力保持である格納構造体を省くことができる。結果として、原子炉関連の支援機器は、安全上の重要性が排除/省略または低減される可能性があり、その結果、当該支持システムは、原子炉を収容する構造体に存在しないことを含む「特別に保護された構造体」に存在しない可能性がある。
【0112】
例示的な実施形態
分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャのコストおよびスケジュールの利点を実現するために、いくつかの例示的な実施形態による原子力発電プラントは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0113】
図1A図1Bおよび図2を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子炉建屋112(原子炉を含む)および燃料取扱/燃料貯蔵建屋114(本明細書では単に核燃料貯蔵部と呼ばれ、貯蔵された核燃料要素を含む)は、これらが重要な放射性核種を格納するため、原子力発電プラント100の主要な「保護された構造体」であり、したがって、基本安全機能は、放射性核種の放出を規制頻度結果目標未満のレベルに制限するように保証されなければならない。
【0114】
さらに図1A図1Bおよび図2を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100は、従来は原子炉建屋112の内部または燃料取扱建屋114の内部に配置されていた原子力発電プラントの一部、大部分、またはすべての熱輸送、補助および付随システムおよび構成要素を含むことができる支援機器を含むことができ、これらは通常の保護されていない構造体(例えば、付属または支持構造体116、117など)に移動される。熱輸送システムは、有用な仕事(例えば、電気を発生させる、または化学プロセスを加熱する)を実行するために熱(例えば、蒸気、溶融塩、ナトリウム、ガスなど)を輸送する主要なシステム(例えば、熱交換器、導管、パイプなど)である。補助および付随機器(「支援機器」は、フロントライン支援機器522および/または始動支援機器512を含む)の例は、冷却剤浄化機器、待機電源、および制御機器を含むことができる。
【0115】
さらに図1A図1Bを参照すると、また図2に示すように、いくつかの例示的な実施形態では、原子力発電プラント100の電気および制御機器の一部、大部分、またはすべてを含む支援機器(例えば、始動支援機器)は、機械的スコープの大部分から(例えば、クラスタ110の)距離にある少数の場所または単一の場所(例えば、クラスタ120)に統合される。ほとんどの機械的スコープは、典型的には、原子炉容器、燃料貯蔵プール、他の容器、タンク、ポンプ、ファン、圧縮機、熱交換器、弁、管などを指す。少なくとも図5A図6Bに示すように、安全関連の電気および制御機器(例えば、始動支援機器512)が、損傷事象518の検出に応答して、かつ損傷事象518によって引き起こされる当該安全関連の電気および制御機器の損傷532の開始前および/または開始とは無関係に、満たされ得る(例えば、正常に実行され得る)基本安全機能526のパフォーマンスを引き起こすように構成されている場合、安全関連の電気および制御機器(例えば、始動支援機器512)は、保護された構造体(例えば、保護された建屋、例えば、原子炉建屋112、燃料取扱建屋114、および/または、図3Bに示されるような特定のeルーム122を含み得る、または含まれ得る原子炉構造体520ではなく通常の産業構造体(例えば、支持構造体510および/またはコンテナ612は、保護されていない構造体、例えば、図3Bに示すように、原子炉付属建屋116、燃料付属建屋117、制御室124、および/または特定のeルーム122を含むか、それらに含まれてもよい)に配置することさえできる。
【0116】
いくつかの例示的な実施形態では、例えば図6A図6Bに示すように、原子力発電プラント500は、放出限界を超える可能性がある分散可能な形態の十分な放射性核種量を格納するように構成された放射性廃棄物システムを含む支援機器を含むことができ、これは特別に保護された構造体(例えば、「コンテナ」612)に配置される。いくつかの例示的な実施形態では、当該放射性廃棄物システム(例えば、木炭遅延床を使用する気体廃棄物処理、フィルタおよび脱塩装置を使用する液体放射性廃棄物(「放射性廃棄物」)システム、活性ナトリウムから酸化物を除去する液体廃棄物システム)は、通常の産業用(「保護されていない」)構造体(例えば、支持構造体610)の内部に配置され、モジュール式の「非破壊」格納構造体、または「コンテナ」612(航空機のブラックボックスと同様)の内部にさらに格納され得る。
【0117】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100は、原子力発電プラント100の構造体の一部または全部に大きな構成要素を近接して送達することを可能にするために設けられたアクセス道路140および構築レイダウンゾーン150を含み、それによって材料の流れを向上させる。
【0118】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100は、クレーン/作業面のアクセスを可能にするために、アクセス道路140からスタンドオフ距離142(例えば、5メートル)を有する構造体を含む。いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1Bおよび図2に示すように、原子力発電プラント100のいくつかまたはすべての構造体(例えば、建屋)は、原子力発電プラント100の構築中により小さい容量のクレーンを使用することを可能にするために、閾値寸法値(例えば、30メートル)以下の幅、長さなど(「寸法」144)を有する。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態では、図1A図1B図2、および図3A図3Bに示すように、原子力発電プラントの一部または(例えば、建屋)は、連続的なモノリシック構造体の一部ではなく隣接している場合でも、必要に応じて異なる地震標準の使用を可能にするために、例えば距離118、128および/または138を介して地震で分離される(例えば、地震に関して切り離される)。これはまた、隣接する建屋がモノリシック構造体として結合されないため、それらを大幅に再解析する必要がないため、将来の設計の強化を容易にする。
【0120】
いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載の原子炉は、限定はしないが、液体金属冷却型反応器(例えば、ナトリウム冷却高速反応器を含むナトリウム冷却反応器)を含む原子炉の任意の例示的な実施形態を含み得る。
【0121】
図3A図3Bに示すように、原子炉を含む保護された建屋(例えば、SDC-3、SDC-5を満たす)(「原子炉建屋」(RXB)112)であって、支援機器が保護されていない建屋(例えば、原子炉付属建屋(RAB)116、特定のeルーム122など、SDC-1、SDC-2を満たす)に配置され、原子力発電プラント100の構築中に保護された建屋を完成するために必要な掘削を低減または最小化することができる。図示されているように、原子炉建屋112は、他の別個の(例えば、保護されていない)建屋に配置されるいくつかまたはすべての他の支援機器(例えば、その中の限られた放射性核種含有量に関連する一部または全部の支援機器)を除いて、原子炉自体に最小限に抑えることができる。原子炉建屋112は、原子炉自体、一次ナトリウム精製システムなどを含む、放射性核種の重要な供給源を提示する機器に限定されてもよく、(例えば、保護されていない)建屋を分離するために、その中の低い放射性核種含有量に関連する支援機器(例えば、一次カバーガス精製システム)を除外してもよい。
【0122】
図3Aに示すように、建屋の別個の部分は、同じまたは異なる原子力安全要件、設計基準、規格などを満たすように構成することができる。例えば、図3Aに示すように、グレード300よりも低い原子炉建屋(RXB)112のグレードよりも低い部分302は、SDC-5を満たす(例えば、設計される)ように構成されてもよく、一方でグレード300よりも高い、グレードより高い部分304は、それほどストリンジェントではないSDC-3を満たすがSDC-5を満たさないように構成され得る。別の例では、図3Aに示すように、グレード300よりも低い原子炉付属物建屋(RAB)116のグレードより低い部分312は、SDC-2を満たすように構成することができ、一方でグレード300よりも高いグレードより高い部分314は、それほどストリンジェントではないSDC-1を満たすが、SDC-2を満たさないように構成することができる。別の例では、図3Aに示すように、燃料取扱建屋(FHB)114)の低いグレード部分322および高いグレード部分324の両方は、SDC-3を満たすように構成することができ、したがって、同じ規格を満たすように構成することができる。
【0123】
図3A図3Bに示すように、核燃料貯蔵部(例えば、燃料取扱建屋(FHB)114)を含む保護された建屋(例えば、SDC-3、SDC-5を満たす)は、取扱いおよび貯蔵まで最小限に抑えることができ、燃料プール浄化機器は、例えば、燃料プール浄化機器が内部の低放射性核種含有量に関連しているため、別個の(例えば、保護されていない)建屋(例えば、燃料付属建屋(FAB)117)にあってもよい。
【0124】
本明細書で言及されるように、有意な放射性核種含有量は、NRC要件あたり25rem(10 CFR 50.34または52.79)などの規制限度を超えるサイトの境界での個体への線量放出をもたらすことができる供給源であり、制限された放射性核種含有量は、NRC線量限度(10 CFR 20.1301)などの通常のプラント運転の規制限度を超える個体への線量放出をもたらすことができない供給源である。
【0125】
始動支援機器512は、本明細書では支持構造体に含まれるものとして説明され、図5A図6Bでは支持構造体510、610に含まれるものとして示されているが、始動支援機器512および/またはフロントライン支援機器522は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む原子力発電プラント100の任意の構造に含まれてもよいことが理解されよう。したがって、1つまたは複数の支持構造体に配置された始動支援機器に関して実行される構造および/または動作に関する本明細書の説明は、いくつかの例示的な実施形態に適用することができ、始動支援機器512は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラント100、500、800、850などの任意の構造体に配置されることが理解されよう。さらに、フロントライン支援機器522に関して実行される構造および/または動作に関する本明細書の説明は、いくつかの例示的な実施形態に適用することができ、フロントライン支援機器522は、1つまたは複数の支持構造体、付属構造体、衛星構造体、原子炉構造体および/または補助構造体を含む、分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントの任意の構造体に配置されることが理解されよう。
【0126】
いくつかの例示的な実施形態が本明細書に開示されているが、他の変形形態も可能であり得ることを理解されたい。そのような変形は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるようなすべてのそのような修正は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書ではプロセスが開示されているが、プロセスの記載された要素は、要素の異なる選択、それらの何らかの組み合わせなどを使用して、異なる順序で実装され得ることを理解されたい。例えば、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示および記載されたプロセスのものよりも少ない要素を使用して実装されてもよく、開示されたプロセスのいくつかの例示的な実施形態は、図示および記載されたプロセスのものよりも多い要素を使用して実装され得る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電プラントであって、
原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体であって、前記原子炉または前記核燃料貯蔵部のうちの前記少なくとも1つを損傷事象による損傷を受けることから保護するように構成された保護された構造体であり、前記損傷事象は、前記保護された構造体の外部で発生し、損傷に関連する前記損傷事象は、前記原子力発電プラントの少なくとも一部によって受ける、原子炉構造体と、
基本安全機能を実行するように構成されるとともに前記原子炉構造体に配置されるフロントライン支援機器と、
前記保護された構造体から空間的に分離されている支持構造体であって、始動支援機器を含み、前記始動支援機器は、前記基本安全機能がトリガ後に前記始動支援機器とは無関係に実行されるように、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガするように構成されている、支持構造体と、
を備え
前記始動支援機器が、前記始動支援機器が検出機器から前記検出機器における前記損傷事象の検出を示す信号を受信したことに応答して、前記フロントライン支援機器に前記基本安全機能を実行させるようにトリガするように構成され、
前記フロントライン支援機器は、
前記原子炉の反応性を制御するように構成された制御ロッドアセンブリであって、前記基本安全機能が、前記制御ロッドアセンブリが前記原子炉に制御ロッドを挿入することに基づいて前記原子炉の反応性を制御することを含む、制御ロッドアセンブリ、
前記基本安全機能が前記原子炉内の原子炉放射性物質を冷却することを含むように、前記原子炉から熱を除去するように構成された熱輸送システム、
前記基本安全機能が前記核燃料貯蔵部内の貯蔵された放射性物質の冷却を含むように、前記核燃料貯蔵部から熱を除去するように構成された熱輸送システム、または
特定の放射性物質を含むコンテナのエンクロージャを隔離するように作動するように構成された弁であって、前記基本安全機能が、前記コンテナからの前記特定の放射性物質の放出を抑制するために、前記特定の放射性物質を前記コンテナの前記エンクロージャ内に封じ込めることを含むように構成された弁、
のうちの少なくとも1つであり、
前記始動支援機器が、前記検出機器からの前記信号の受信に応答して、前記フロントライン支援機器にトリガ制御信号を送信すること、または前記フロントライン支援機器の少なくとも一部を作動させることの少なくとも一方に基づいて、前記フロントライン支援機器に前記基本安全機能を実行させるように、前記フロントライン支援機器をトリガするように構成される、原子力発電プラント。
【請求項2】
前記原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004およびASCE/SEI 43-19のうちの少なくともいずれか一方によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構成され、
前記支持構造体は、前記第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構成される、
請求項1に記載の原子力発電プラント。
【請求項3】
前記始動支援機器は、前記基本安全機能が前記始動支援機器によって前記損傷事象に起因して受ける損傷とは無関係に実行されるように、前記検出機器における前記損傷事象の前記検出を示す前記信号を前記始動支援機器が受信することに応答して、かつ前記始動支援機器が前記検出機器における前記損傷事象に起因して損傷を受ける前に、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガするように構成されている、
請求項2に記載の原子力発電プラント。
【請求項4】
前記第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004またはASCE/SEI 43-19のうちの少なくともいずれか一方によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つである、
請求項に記載の原子力発電プラント。
【請求項5】
原子力発電プラントの動作の方法であって、前記原子力発電プラントは原子炉構造体を含み、前記原子炉構造体は原子炉または核燃料貯蔵部の少なくとも一方を含み、前記方法が、
前記原子炉構造体の外部から発生し、前記原子力発電プラントの1つまたは複数の部分によって受けられる損傷に関連する損傷事象を検出機器にて検出することであって、前記原子炉構造体は、前記損傷事象による損傷を受けることから前記原子炉または前記核燃料貯蔵部の前記少なくとも一方を保護するように構成された保護された構造体である、検出することと、
前記検出機器における前記損傷事象の前記検出を示す信号を前記検出機器から始動支援機器が受信することに応答して基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように始動支援機器を制御することであって、前記基本安全機能が前記トリガに続いて前記始動支援機器とは独立して実行され、前記フロントライン支援機器が前記原子炉構造体に配置され、前記始動支援機器が前記原子炉構造体から空間的に分離された支持構造体に配置される、制御することと、
を含み
前記フロントライン支援機器は、
前記原子炉の反応性を制御するように構成された制御ロッドアセンブリであって、前記基本安全機能が、前記制御ロッドアセンブリが前記原子炉に制御ロッドを挿入することに基づいて前記原子炉の反応性を制御することを含む、制御ロッドアセンブリ、
前記基本安全機能が前記原子炉内の原子炉放射性物質を冷却することを含むように、前記原子炉から熱を除去するように構成された熱輸送システム、
前記基本安全機能が前記核燃料貯蔵部内の貯蔵された放射性物質の冷却を含むように、前記核燃料貯蔵部から熱を除去するように構成された熱輸送システム、または
特定の放射性物質を含むコンテナのエンクロージャを前記コンテナの外部から選択的に隔離するように作動するように構成された弁であって、前記基本安全機能が、前記コンテナからの前記特定の放射性物質の放出を抑制するために、前記特定の放射性物質を前記コンテナの前記エンクロージャ内に封じ込めることを含むように構成された弁、
のうちの少なくとも1つであり、
前記始動支援機器が、前記検出機器からの前記信号の受信に応答して、前記フロントライン支援機器にトリガ制御信号を送信すること、または前記フロントライン支援機器の少なくとも一部を作動させることの少なくとも一方に基づいて、前記フロントライン支援機器に前記基本安全機能を実行させるように、前記フロントライン支援機器をトリガするように構成される、方法。
【請求項6】
前記支持構造体または前記始動支援機器の少なくとも一方は、前記損傷事象による損傷を受けることに耐えるように構成されておらず、
前記方法は、前記基本安全機能が、前記検出機器において検出された前記損傷事象に起因して前記支持構造体または前記始動支援機器のうちの少なくともいずれか一方によって受ける損傷とは無関係に実行されるように、前記検出機器における前記損傷事象の前記検出を示す前記信号を前記始動支援機器が受信することに応答して、かつ前記支持構造体および前記始動支援機器のうちの少なくともいずれか一方が前記損傷事象に起因して損傷を受ける前に、前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガする前記始動支援機器を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
分散モジュール式原子力発電プラントのレイアウトアーキテクチャを有する原子力発電プラントを構築するための方法であって、
原子炉または核燃料貯蔵部のうちの少なくとも1つを含む原子炉構造体を構築することであって、前記原子炉構造体は、前記原子炉または前記核燃料貯蔵部のうちの前記少なくとも1つを損傷事象の発生による損傷を受けることから保護するように構成された保護された構造体であり、前記損傷事象は、前記保護された構造体の外部から発生し、損傷に関連する前記損傷事象は、前記原子力発電プラントの少なくとも一部によって発生する、構築することと、
前記保護された構造体から空間的に分離された支持構造体を構築することであって、前記支持構造体は、始動支援機器を含み、前記始動支援機器は、基本安全機能を実行するようにフロントライン支援機器をトリガするように構成され、その結果、前記基本安全機能は、前記トリガの後に前記始動支援機器とは独立して実行され、前記フロントライン支援機器が前記原子炉構造体に配置される、構築することと、
を含み
前記原子炉構造体および前記支持構造体は、少なくとも部分的に同時に構築され
前記始動支援機器は、検出機器における前記損傷事象の検出を示す信号を前記検出機器から前記始動支援機器が受信することに応答して前記基本安全機能を実行するように前記フロントライン支援機器をトリガするように構成され、
前記フロントライン支援機器は、
前記原子炉の反応性を制御するように構成された制御ロッドアセンブリであって、前記基本安全機能が、前記制御ロッドアセンブリが前記原子炉に制御ロッドを挿入することに基づいて前記原子炉の反応性を制御することを含む、制御ロッドアセンブリ、
前記基本安全機能が前記原子炉内の原子炉放射性物質を冷却することを含むように、前記原子炉から熱を除去するように構成された熱輸送システム、
前記基本安全機能が前記核燃料貯蔵部内の貯蔵された放射性物質の冷却を含むように、前記核燃料貯蔵部から熱を除去するように構成された熱輸送システム、または
特定の放射性物質を含むコンテナのエンクロージャを隔離するように作動するように構成された弁であって、前記基本安全機能が、前記コンテナからの前記特定の放射性物質の放出を抑制するために、前記特定の放射性物質を前記コンテナの前記エンクロージャ内に封じ込めることを含むように構成された弁、
のうちの少なくとも1つであり、
前記始動支援機器が、前記検出機器からの前記信号の受信に応答して、前記フロントライン支援機器にトリガ制御信号を送信すること、または前記フロントライン支援機器の少なくとも一部を作動させることの少なくとも一方に基づいて、前記フロントライン支援機器に前記基本安全機能を実行させるように、前記フロントライン支援機器をトリガするように構成される、方法。
【請求項8】
前記原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004およびASCE/SEI 43-19のうちの少なくともいずれか一方によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構成され、
前記支持構造体は、前記第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構成される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004またはASCE/SEI 43-19のうちの少なくともいずれか一方によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つである、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記原子炉構造体は、ANSI/ANS-2.26-2004および/またはASCE/SEI 43-1によるSDC-3、SDC-4、またはSDC-5のうちの少なくとも1つである第1の階層の耐震設計カテゴリ(SDC)の要件を満たすように構築され、
前記支持構造体は、前記第1の階層のSDCとは異なる第2の階層のSDCの要件を満たすように構築される、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の階層のSDCは、ANSI/ANS-2.26-2004およびASCE/SEI 43-19のうちの少なくともいずれか一方によるNon-Seismic、SDC-1、またはSDC-2のうちの少なくとも1つである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フロントライン支援機器は、前記基本安全機能が、前記コンテナからの前記特定の放射性物質の前記放出を抑制するために前記コンテナの前記エンクロージャの内部に前記特定の放射性物質を封じ込めることを含むような、前記弁であり、
前記始動支援機器は、前記弁を作動させるように構成されたアクチュエータを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記コンテナは、前記支持構造体の内部に配置され、前記コンテナは、前記損傷事象による破損から前記エンクロージャを保護するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記始動支援機器は、前記検出機器を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記損傷事象が、設計異常気象事象、前記原子力発電プラントに対する悪意のある行為、または前記原子炉構造体の特定の近接範囲内の火災のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【国際調査報告】