(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】映像生成方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240325BHJP
A61B 17/128 20060101ALI20240325BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/128
A61B17/94
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562302
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022038705
(87)【国際公開番号】W WO2023022869
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アディカラス バラン、アルン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジブクマール
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】シャイク、ジュナイド モハンマド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD02
4C160DD19
4C160DD29
4C160MM43
4C160NN04
(57)【要約】
組織を処置するためのシステムは、内視鏡の遠位端上に取り付けられるキャップと、キャップ上に取付可能であり、かつ第1および第2の顎状部を含むクリップとを含み、第1および第2の顎状部は、第1および第2の顎状部がキャップ上に延在して、それらの間に標的組織を受容する挿入形態と、クリップの少なくとも一部が内視鏡の光学系の視野内に延在する点検形態と、クリップがキャップから離れて遠位に移動されて、第1および第2の顎状部が互いに向かって引き寄せられる展開形態との間で相互に移動可能に連結されている。制御エレメントは、キャップを通した近位への第1の距離の移動により、クリップを挿入形態から点検形態に移動させ、第2の距離により、クリップを点検形態から展開形態に移動させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
内視鏡の遠位端上に取り付けられるように構成されたキャップであって、前記キャップは、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、かつ生体内の標的組織に隣接して配置され得るようにその内部を通って延在するチャネルを含む、前記キャップと、
前記キャップ上に取り付けられるように構成されたクリップであって、前記クリップは、ヒンジを介して互いに移動可能に接続された第1の顎状部および第2の顎状部を含んでおり、前記ヒンジは、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部を互いに向かって引き寄せるように付勢されており、前記クリップは、(a)前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記キャップ上に延在して、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が互いに離間してそれらの間に前記標的組織を受容し、かつ前記キャップが取り付けられる前記内視鏡の光学系の障害物が最小限に抑えられる挿入形態と、(b)前記クリップが前記キャップに対して遠位に移動されて、前記クリップの少なくとも一部が前記キャップが取り付けられる前記光学系の視野内に延在するまで、前記クリップの一部が遠位に延在する点検形態と、(c)前記クリップが前記キャップから離れて遠位に移動されて、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記ヒンジの付勢下で互いに向かって引き寄せられて閉じて、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部の間に受容された組織をクリップする展開形態と、の間で前記キャップに対して移動可能である、前記クリップと、
前記クリップに解放可能に連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記キャップが連結される前記内視鏡を通って近位端まで延在し、使用時には、前記キャップが前記標的組織に隣接している間、生体の外側に留まる制御エレメントであって、前記制御エレメントは、前記キャップを通した前記制御エレメントの近位への移動により、前記クリップを前記キャップに対して遠位に移動させるように構成され、前記制御エレメントは、前記制御エレメントの前記キャップを通した近位への第1の距離の移動により、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に移動させ、前記制御エレメントの前記キャップを通した近位への第2の距離の移動により、前記クリップを前記点検形態から前記展開形態に移動させるように構成される、前記制御エレメントと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記制御エレメントの近位端に連結された作動アセンブリをさらに備え、前記作動アセンブリは、作動時に、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して前記第1の距離だけ近位に移動されて、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に移動させるように構成された第1のアクチュエータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータは、互いに枢動可能に連結された第1の長尺状部材および第2の長尺状部材を含んでおり、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材の近位部分が互いに向かって引き寄せられると、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材の遠位部分が対応して互いに引き寄せられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記作動アセンブリは、作動時に、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して前記第2の距離だけ近位に移動されて、前記クリップを前記点検形態から前記展開形態に移動させるように構成された第2のアクチュエータをさらに含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記作動アセンブリは、移動エレメントおよびプーリ機構をさらに備え、前記制御エレメントは、前記移動エレメントに連結されるべく前記プーリ機構を通るように経路指定されており、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材が互いに向かって引き寄せられるときに、前記移動エレメントが前記作動アセンブリのハウジングに対して近位位置から遠位位置に向かって移動して、前記内視鏡を通って前記制御エレメントを近位に引っ張り、それにより、前記クリップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータは、前記作動アセンブリのハウジング内に延在するタブを含む押しボタンを含んでおり、前記クリップが前記点検形態にあるとき、前記押しボタンを押すことで、追加の張力が前記制御エレメントに沿って加えられて、前記クリップが前記点検形態から前記展開形態に向かって移動するように、前記タブが前記制御エレメントの一部に係合している、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記作動アセンブリは、前記第1のアクチュエータを前記挿入形態に向かって付勢する付勢エレメントをさらに備える、請求項2乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動アセンブリは、前記点検形態に向かって前記クリップをロックするためのロック機構を含む、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータは、前記システムの操作者により把持されるように構成されたハンドル部と、前記ハンドル部に移動可能に連結されたレバーとを含み、前記制御エレメントの前記近位端は、前記レバーに連結されており、前記レバーが前記ハンドル部に対して押されると、前記制御エレメントは、前記内視鏡を通して前記第1の距離だけ近位に移動して、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動させる、請求項2乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のアクチュエータは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に連結された回転ハンドルとを含み、前記制御エレメントの前記近位端は、前記回転ハンドルの一部にねじ連結された移動エレメントに接続されており、前記回転ハンドルの前記ハウジングに対する回転により、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して近位に移動する、請求項2乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡と、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するキャップであって、前記キャップが前記内視鏡の前記シャフトの遠位部分上に摺動可能に取り付けられるように、前記キャップを通って延在するチャネルを含む、前記キャップと、
複数のヒンジを介して互いに移動可能に連結された第1の顎状部および第2の顎状部を含むクリップであって、前記複数のヒンジの少なくとも1つが、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部を互いに引き寄せるように付勢されており、前記クリップは、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部がそれらの間に標的組織を受容するために互いに離間するようにして前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記キャップの両側の上に延在するように前記キャップ上に取付可能であり、前記内視鏡に沿った近位位置から前記内視鏡に沿った遠位位置への前記キャップの前記内視鏡に対する遠位への移動により、前記クリップが、挿入形態から点検形態に向かって移動し、前記点検形態では、前記クリップの少なくとも一部が前記内視鏡の光学系の視野内に延在するまで前記クリップが遠位に延在し、前記クリップの前記キャップに対する遠位への移動により、前記クリップが前記点検形態から展開形態に向かって移動し、前記展開形態では、前記クリップが、前記クリップから離れて遠位に移動して、前記少なくとも1つのヒンジの付勢下で前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が互いに引き寄せられて、それらの間に受容された組織上で閉じる、前記クリップと、
前記キャップに連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記内視鏡を通って近位端まで延在する再位置決めエレメントであって、使用時には、前記再位置決めエレメントは、生体の外側に留まっており、前記再位置決めエレメントを前記内視鏡を通って近位に移動させることにより、前記キャップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって前記内視鏡に沿って遠位に移動するように構成されている、前記再位置決めエレメントと、
前記クリップに解放可能に連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記内視鏡を通って近位端まで延在する展開エレメントであって、使用時には、前記展開エレメントは、生体の外側に留まっており、前記展開エレメントは、前記展開エレメントの前記内視鏡を通した近位への移動により、前記クリップが前記展開形態に向かって前記キャップに対して遠位に移動するように構成されている、前記展開エレメントと、
前記再位置決めエレメントの移動を制御するように構成された第1のアクチュエータと、前記展開エレメントの移動を制御するように構成された第2のアクチュエータとを含む作動アセンブリと、を備えるシステム。
【請求項12】
前記作動アセンブリは、前記再位置決めエレメントおよび前記展開エレメントの前記近位端が前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに連結されるように延在するハウジングをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータは、ハンドルに枢動可能に連結されたレバーを含み、前記再位置決めエレメントの前記近位端は、前記ハンドルの一部に連結されており、それにより、前記レバーが前記ハウジングに向かって移動すると、前記再位置決めエレメントが前記内視鏡を通って近位に移動して、前記キャップおよび前記クリップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のアクチュエータは、前記ハウジング内に延在し、かつ前記展開エレメントの前記近位端に連結された押しボタンを含んでおり、前記押しボタンが前記ハウジング内にさらに押し込まれると、前記展開エレメントが前記内視鏡を通って近位に移動して、前記クリップが前記点検形態から前記展開形態に向かって前記キャップに対して遠位に移動する、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記キャップの遠位端と、前記キャップが取り付けられる前記内視鏡の最遠位端にある止め具との間に延在する付勢エレメントをさらに備え、前記付勢エレメントは、前記キャップを前記挿入形態に向かって付勢し、前記キャップ上に取り付けられた前記クリップの全体は、前記内視鏡の前記最遠位端の近位にあり、それにより、前記レバーが解放されると、前記キャップおよび前記クリップは、前記挿入形態に向かって戻る、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡デバイスに関し、特に、胃腸管に沿って組織を処置するための内視鏡クリッピングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、積極的な介入的および治療的内視鏡胃腸(GI)処置をより進んで実行するようになってきており、このことは、GI管の壁を穿孔するリスクを増加させ得るか、または処置の一部としてGI管壁の閉鎖を必要とし得る。そのような処置は、例えば、大きな病変の除去、粘膜の下の組織を治療するためのGI管の粘膜層の下のトンネリング、組織の全層除去、GI管を介して身体に進入し、組織を貫通してGI管から出てGI管の外側の組織を手術すること、ならびに手術後の問題(例えば、手術後漏出、手術ステープルラインの機能停止、および吻合部漏出)の内視鏡的治療/修復を含み得る。
【0003】
現在、組織は、スルーザスコープ(through-the-scope)クリップまたはオーバーザスコープ(over-the-scope)クリップを含む内視鏡用閉鎖デバイスを介して処置され得る。オーバーザスコープクリップは、より大きな組織欠損の閉鎖を達成するために特に有用であり得る。これらの内視鏡用閉鎖デバイスは、病院の費用を節約することができ、患者に利益を提供し得る。しかしながら、場合によっては、現在の内視鏡用閉鎖デバイスは、使用が困難であるか、位置決めに時間がかかるか、または特定の穿孔、状態、および解剖学的形状に対して不十分である可能性がある。例えば、現在のオーバーザスコープクリップは、概して、クリップ自体が操作者に視認不可能な位置からクリップを送り出す必要がある。即ち、クリッピングに先立って、操作者は、クリッピングされる標的組織を視認し得、標的組織のこの可視化に基づいて、デバイスの遠位端およびクリップが標的組織に対して所望の位置にあることを判断し得る。次いで、標的組織の観察に基づいて、操作者は、クリップが展開するまで、クリップ自体を確認することができない状態でクリップを展開する。
【発明の概要】
【0004】
本実施形態は、キャップを含む、組織を処置するためのクリッピングシステムに関する。キャップは、内視鏡の遠位端上に取り付けられるように構成され、キャップは、近位端から遠位端まで長手方向に延在しており、かつ生体内の標的組織に隣接して配置され得るように、その内部を通って延在するチャネルを含む。クリップは、キャップ上に取り付けられるように構成されており、クリップは、第1の顎状部および第2の顎状部を含み、第1の顎状部および第2の顎状部は、第1の顎状部および第2の顎状部を互いに向かって引き寄せるように付勢されたヒンジを介して互いに移動可能に連結されており、クリップは、(a)第1の顎状部および第2の顎状部がキャップ上に延在して、第1の顎状部および第2の顎状部が互いに離間して、それらの間に標的組織を受容し、かつキャップが取り付けられる内視鏡の光学系の障害物が最小限に抑えられる挿入形態と、(b)クリップがキャップに対して遠位に移動されて、クリップの少なくとも一部が、キャップが取り付けられる内視鏡の光学系の視野内に延在するまで、クリップの一部が遠位に延在する点検形態と、(c)クリップがキャップから離れて遠位に移動されて、第1の顎状部および第2の顎状部がヒンジの付勢下で互いに向かって引き寄せられて閉じて、第1の顎状部および第2の顎状部の間に受容された組織をクリップする展開形態と、の間でキャップに対して移動可能である。制御エレメントは、クリップに解放可能に連結される遠位端から、キャップのチャネルおよびそれが連結される内視鏡を通って近位端まで延在しており、使用時には、制御エレメントは、キャップが標的組織に隣接している間、生体の外側に留まっている。制御エレメントは、キャップを通した制御エレメントの近位への移動により、クリップをキャップに対して遠位に移動させるように構成されており、制御エレメントは、制御エレメントのキャップを通した近位への第1の距離の移動により、クリップを挿入形態から点検形態に移動させ、制御エレメントのキャップを通した近位への第2の距離の移動により、クリップを点検形態から展開形態に移動させるように構成される。
【0005】
一実施形態において、システムは、制御エレメントの近位端に連結された作動アセンブリをさらに備え得、作動アセンブリは、作動時に、制御エレメントが内視鏡を通して第1の距離だけ近位に移動されて、クリップを挿入形態から点検形態に移動させるように構成された第1のアクチュエータを含む。
【0006】
一実施形態において、第1のアクチュエータは、互いに枢動可能に連結された第1の長尺状部材および第2の長尺状部材を含み得、第1の長尺状部材および第2の長尺状部材の近位部分が互いに向かって引き寄せられると、第1の長尺状部材および第2の長尺状部材の遠位部分が対応して互いに引き寄せられる。
【0007】
一実施形態において、作動アセンブリは、作動時に、制御エレメントが内視鏡を通して第2の距離だけ近位に移動されて、クリップを点検形態から展開形態に移動させるように構成された第2のアクチュエータをさらに含み得る。
【0008】
一実施形態において、作動アセンブリは、移動エレメントおよびプーリ機構をさらに備え得、制御エレメントは、移動エレメントに連結されるべくプーリ機構を通るように経路指定されており、第1の長尺状部材および第2の長尺状部材が互いに向かって引き寄せられるときに、移動エレメントが作動アセンブリのハウジングに対して近位位置から遠位位置に向かって移動して、内視鏡を通って制御エレメントを近位に引っ張り、それにより、クリップが挿入形態から点検形態に向かって移動する。
【0009】
一実施形態において、第2のアクチュエータは、作動アセンブリのハウジング内に延在するタブを含む押しボタンを含み得、クリップが点検形態にあるとき、押しボタンを押すことで、追加の張力が制御エレメントに沿って加えられて、クリップが点検形態から展開形態に向かって移動するように、タブが制御エレメントの一部に係合している。
【0010】
一実施形態において、作動アセンブリは、第1のアクチュエータを挿入形態に向かって付勢する付勢エレメントをさらに備え得る。
一実施形態において、作動アセンブリは、点検形態に向けてクリップをロックするためのロック機構を含み得る。
【0011】
一実施形態において、第1のアクチュエータは、システムの操作者により把持されるように構成されるハンドル部と、ハンドル部に移動可能に連結されたレバーとを含み得、制御エレメントの近位端は、レバーに連結されており、レバーがハンドル部に対して押されると、制御エレメントは、内視鏡を通して第1の距離だけ近位に移動して、クリップを挿入形態から点検形態に向かって移動させる。
【0012】
一実施形態において、第1のアクチュエータは、ハウジングと、ハウジングに回転可能に連結された回転ハンドルとを含み得、制御エレメントの近位端は、回転ハンドルの一部にねじ連結された移動エレメントに接続されており、回転ハンドルのハウジングに対する回転により、制御エレメントが内視鏡を通して近位に移動する。
【0013】
本実施形態はまた、近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡を備える、組織を処置するためのクリッピングシステムに関する。近位端から遠位端まで長手方向に延在するキャップは、キャップが内視鏡のシャフトの遠位部分上に摺動可能に取り付けられるように、キャップを通って延在するチャネルを含む。クリップは、複数のヒンジを介して互いに移動可能に連結された第1の顎状部および第2の顎状部を含み、複数のヒンジのうちの少なくとも1つが、第1の顎状部および第2の顎状部を互いに引き寄せるように付勢されており、クリップは、第1の顎状部および第2の顎状部がそれらの間に標的組織を受容するために互いに離間するようにして第1の顎状部および第2の顎状部がキャップの両側の上に延在するようにキャップ上に取付可能である。内視鏡に沿った近位位置から内視鏡に沿った遠位位置へのキャップの内視鏡に対する遠位への移動により、クリップが、挿入形態から点検形態に向かって移動し、点検形態では、クリップの少なくとも一部が内視鏡の光学系の視野内に延在するまでクリップが遠位に延在する。クリップのキャップに対する遠位への移動により、クリップが点検形態から展開形態に向かって移動し、展開形態では、クリップがクリップから離れて遠位に移動して、少なくとも1つのヒンジの付勢下で第1の顎状部および第2の顎状部が互いに引き寄せられて、それらの間に受容された組織上で閉じる。再位置決めエレメントは、キャップに連結される遠位端から、キャップのチャネルおよび内視鏡を通って近位端まで延在しており、使用時には、生体の外側に留まっている。再位置決めエレメントは、再位置決めエレメントを内視鏡を通って近位に移動させることにより、キャップが挿入形態から点検形態に向かって内視鏡に沿って遠位に移動するように構成されている。展開エレメントは、クリップに解放可能に連結された遠位端から、キャップのチャネルおよび内視鏡を通って近位端まで延在し、使用時には、生体の外側に留まっている。展開エレメントは、展開エレメントの内視鏡を通した近位への移動により、クリップが展開形態に向かってキャップに対して遠位に移動するように構成されている。作動アセンブリは、再位置決めエレメントの移動を制御するように構成された第1のアクチュエータと、展開エレメントの移動を制御するように構成された第2のアクチュエータとを含む。
【0014】
一実施形態において、作動アセンブリは、再位置決めエレメントおよび展開エレメントの近位端が第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータに連結されるように延在するハウジングをさらに備える。
【0015】
一実施形態において、第1のアクチュエータは、ハンドルに枢動可能に連結されたレバーを含み得、再位置決めエレメントの近位端は、ハンドルの一部に連結されており、それにより、レバーがハウジングに向かって移動すると、再位置決めエレメントが内視鏡を通って近位に移動して、キャップおよびクリップが挿入形態から点検形態に向かって移動する。
【0016】
一実施形態において、第2のアクチュエータは、ハウジング内に延在し、かつ展開エレメントの近位端に連結された押しボタンを含み得、押しボタンがハウジング内にさらに押し込まれると、展開エレメントが内視鏡を通って近位に移動して、クリップが点検形態から展開形態に向かってキャップに対して遠位に移動する。
【0017】
一実施形態において、システムは、キャップの遠位端と、キャップが取り付けられる内視鏡の最遠位端にある止め具との間に延在する付勢エレメントをさらに備え得、付勢エレメントは、キャップを挿入形態に向かって付勢し、キャップ上に取り付けられたクリップの全体は、内視鏡の最遠位端の近位にあり、それにより、レバーが解放されると、キャップおよびクリップは、挿入形態に向かって戻る。
【0018】
本実施形態はまた、組織を処置するための方法に関する。挿入形態においてクリップが内視鏡を介して身体管腔内の標的領域に挿入され、挿入形態において、クリップが透明キャップを介して内視鏡の遠位端上に取り付けられており、キャップの近位端が内視鏡の遠位端上に延在し、キャップの遠位部分が内視鏡の遠位端から遠位に延在し、クリップの顎状部が互いに離間するようにクリップがキャップの近位部分上に取り付けられている。吸引力が、内視鏡の作業チャネルを通して加えられ、それによって、組織が、キャップのチャネル内に、かつクリップの顎状部の間に引き込まれる。第1のアクチュエータが作動されて、クリップに解放可能に連結された制御エレメントを内視鏡を通して近位に第1の距離だけ移動させて、クリップを点検形態に向かって移動させる。点検形態では、クリップが点検形態において内視鏡の視野内に存在するように、クリップがキャップの遠位部分上に延在するようにキャップに沿って遠位に移動される。クリップが点検形態にあるとき、クリップが標的組織に対して所望の位置にあるかどうかが判断される。クリップが点検形態にある間、第2のアクチュエータが作動されて制御エレメントに追加の張力が加えられ、それにより、制御エレメントが内視鏡に対して第2の距離だけさらに近位に移動して、クリップが展開形態に向かってキャップから離れて遠位に移動する。展開形態では、クリップは付勢された閉鎖形態に向かって戻り、付勢された閉鎖形態では、顎状部が互いに引き寄せられて顎状部の間で組織を把持する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】挿入形態における、本開示の例示的な実施形態による組織クリッピングシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図2】点検形態における、
図1のシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図3】展開形態における、
図1のシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図4】
図1のシステムによるクリップの移動を制御するための作動アセンブリの斜視図である。
【
図5】第1の構成における、
図4の作動アセンブリの断面長手方向側面図である。
【
図6】第2の構成における、
図4の作動アセンブリの断面長手方向側面図である。
【
図7】本開示の別の例示的な実施形態による作動アセンブリの斜視図である。
【
図9】第1の構成における、
図7の作動アセンブリの断面側面図である。
【
図10】第2の構成における、
図7の作動アセンブリの側断面図である。
【
図11】本開示の別の例示的な実施形態による作動アセンブリの斜視図である。
【
図13】第1の構成における、
図11の作動アセンブリの断面側面図である。
【
図14】第2の構成における、
図11の作動アセンブリの断面側面図である。
【
図15】第1の構成における、
図11の作動アセンブリの別の断面側面図である。
【
図16】第2の構成における、
図11の作動アセンブリの別の断面側面図である。
【
図17】本開示のさらに別の例示的な実施形態による作動アセンブリの斜視図である。
【
図20】
図17の作動アセンブリの遠位部分の透過斜視図である。
【
図21】挿入形態における、本開示の別の例示的な実施形態による組織クリッピングシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図22】点検形態における、
図21のシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図23】点検形態における、
図21のシステムの遠位部分の長手方向側面図である。
【
図24】
図21のシステムによるクリップの移動を制御するための作動アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、以下の説明および添付の図面を参照してさらに理解することができ、同様の構成要素は同じ参照番号で参照される。本開示は、クリッピングシステムに関し、特に、クリップの初期配置が、作動アセンブリを介してその展開の前に視認および調節され得る、オーバーザスコープ内視鏡クリッピングシステムに関する。本開示の例示的な実施形態は、キャップを介して内視鏡の遠位端上に取付可能なクリップと、挿入形態、点検形態、および展開形態の間でクリップの内視鏡に対する移動を制御する作動アセンブリとを備える。挿入形態において、クリップは、クリップの顎状部が、組織がその間に受容され得る開放形態に向かって互いに離間されるように、内視鏡の遠位端上に取り付けられる。
【0021】
点検形態において、クリップは、クリップの少なくとも一部が内視鏡の視野内に延在するように、内視鏡に対して遠位に移動される。この点検形態において、クリップは、顎状部がそれらの間に標的組織を受容するように互いに離間した状態で、開放形態に向かってキャップ上に取り付けられた状態を維持しており、その間に、システムの操作者は、クリップが標的組織に対して所望の位置にあるかどうかを判断し得るように、内視鏡を介して視認可能である。クリップが標的組織に対して所望の位置にあると判断された場合、クリップは、展開形態に向かって移動され得る。
【0022】
展開形態において、クリップは、キャップから離れて遠位に移動され、それにより、クリップは、付勢された閉鎖形態に向かって戻り、その顎状部の間で標的組織を把持する。作動アセンブリは、制御エレメントを介してクリップに解放可能に連結されて、挿入形態、点検形態、および展開形態の間のクリップの内視鏡に対する移動を可能にする。クリップが展開形態に向かって移動すると、クリップは内視鏡から完全に離間され、体内で恒久的に解放されることが、当業者によって理解されるであろう。本明細書で使用される場合、近位および遠位という用語は、それぞれ、デバイスのユーザに向かう方向およびユーザから離れる方向を指すように意図されることが、当業者に理解されるであろう。
【0023】
図1~
図6に示すように、本開示の例示的な実施形態による組織の欠損および/または穿孔を治療するための組織クリッピングシステム100は、透明キャップ108を介して内視鏡104の遠位端106上に取り付けられるように構成されたクリップ102を備える。クリップ102は、制御エレメント110に解放可能に連結されており、制御エレメント110の張力によって、クリップ102が
図1に示されるような挿入形態から
図2に示されるような点検形態に向かって内視鏡104(およびその上に取り付けられたキャップ108)に対して遠位に移動するようになっている。クリップ102が標的組織に対して所望の位置にあることがシステム100の操作者(例えば、外科医)によって判断されると、制御エレメント110のさらなる張力によって、クリップ102が点検形態から展開形態に向かって移動し、この展開形態において、
図3に示すように、クリップ102はキャップ108から解放されて標的組織上で閉鎖される。挿入形態において、
図1に示されるように、クリップ102は、キャップ108上に取り付けられており、クリップ102の顎状部114がキャップ108の周囲で互い離間して広がった状態の開放位置においてキャップ108がクリップ102を保持して、クリップされるべき組織がキャップ108のチャネル116を通って顎状部114の間に引き込まれ得るようになっている。
【0024】
この挿入形態において、この実施形態のクリップ102の(顎状部114を含む)全体は、キャップ108の近位部分138の上に取り付けられており、このため、内視鏡104の光学系の視野の障害物を最小限にし、その結果、ユーザは、キャップ108の開放端を通して、ならびにキャップ108の壁を通して、キャップ108に隣接する組織を完全に観察することができる。クリップ102を挿入形態から点検形態に向かって移動させるために、
図2に示されるように、制御エレメント110に張力が加えられて、クリップ102の一部がキャップ108上に形成された突起120に当接するまで、クリップ102がキャップ108に沿って遠位に押される。これは、クリップ102が点検形態にあることを示す触知可能なフィードバックを操作者に提供する。点検形態において、顎状部114は、キャップ108の遠位部分140上に広がった状態を維持して、内視鏡104の遠位端106を越えて遠位に延在し、顎状部114は、キャップ108の近くで開放状態に維持され、かつ互に離間した状態である。キャップ108は透明であるため、クリップ102がキャップ108の遠位部分140上に取り付けられるとき、クリップ102は内視鏡104の光学系の視野内に存在する。
【0025】
点検形態において、操作者は、クリップ102が標的組織(例えば、キャップ108内に引き込まれた組織の一部)に対して所望の位置にあるかどうかを視覚的に判断し得る。クリップ102が標的組織に対して所望の位置に存在していないと操作者が判断した場合、組織はキャップ108から解放され得、内視鏡104の遠位端106は、標的組織がクリップ102の顎状部114の間のキャップ108内に所望した通りに引き込まれるまで、再位置決めされる。クリップ102が所望の位置に存在していると判断されると、標的組織は、(例えば、内視鏡104の作業チャネルを通して吸引力を加えるか、または把持器を適用することにより)キャップ108内に引き込まれる。
【0026】
次いで、制御エレメント110に加えられる力が、
図3に示すように、クリップ102を突起120を超えるように押してキャップ108から離脱させる所定の力を超えるまで、制御エレメント110に張力を加えることによって、クリップ102が展開される。クリップ102がキャップ108から押し出されるとき、クリップ102の顎状部114は、キャップ108内に引き込まれた組織を把持するそれらの自己の付勢力(natural bias)により閉じる。以下でさらに詳細に説明するように、内視鏡104の近位端にある作動アセンブリ124は、制御エレメント110の張力付加、および挿入形態、点検形態および展開形態の間の内視鏡104に対するクリップ102の移動を制御するために制御エレメント110に連結されている。
【0027】
この実施形態のクリップ102は、内視鏡104の遠位端106上に取り付けられる(例えば、遠位端106上を摺動され、摩擦嵌合を介してそこに保持される)ように大きさ、形状、および構成が決められたキャップ108を介して、任意の標準的な内視鏡104に取り付けられ得る。当業者によって理解されるように、内視鏡104は、身体管腔を通って管腔内の標的領域に挿入されるように構成され、従って、身体管腔の曲がりくねった経路でさえも通って進むのに十分な可撓性を備えなくてはならないが、本明細書に説明されるデバイスは、任意の他のタイプの内視鏡または挿入デバイスとともに動作するように構成され得る。
【0028】
例示的な実施形態によれば、内視鏡104の近位端はハンドル部材を含んでおり、ハンドル部材は、医師または他のユーザがアクセス可能な身体の外側に存在して、ユーザが内視鏡104を身体管腔(例えば、胃腸管)を通して標的部位に誘導することを可能にする。一実施形態において、作動アセンブリ124は、内視鏡104のハンドル部材に連結されている。別の実施形態において、作動アセンブリ124は、内視鏡104のハンドル部材とは独立して使用可能である。例示的な実施形態は、内視鏡104とともにクリップ102の使用を説明するが、キャップ108は、クリッピングされるべき組織が位置する体内の標的部位に接近するために好適な任意の(可撓性または剛性)挿入デバイスの遠位端上に取り付けられるように大きさおよび形状が決められてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。
【0029】
キャップ108は、近位端136から遠位端118まで長手方向に延在し、そこを通って長手方向に延在するチャネル116を含む。キャップ108は、内視鏡104の遠位端106上に取り付けられるように構成され、キャップ108のチャネル116は、内視鏡104の長手方向軸に実質的に整列され、かつ内視鏡104のチャネルと連通している。チャネル116は、内視鏡104の遠位端106から離れて延在しており、このため、内視鏡104の視野の閉塞が最小化される。キャップ108は、内視鏡104の断面形状に対応する大きさおよび形状であり、このため、キャップ108は、摩擦嵌合を介してその上に嵌合する。
【0030】
キャップ108は、キャップ108が内視鏡の遠位端106上に取り付けられたときに、キャップ108の近位部分138が内視鏡シャフト上に延在し、同時に、キャップ108の遠位部分140が内視鏡104の遠位端106を越えて遠位に延在するように構成される。キャップ108は、透明材料から形成されており、このため、キャップ108の遠位部分140の上に、またはそれを越えて延在するクリップ102の一部が内視鏡104の視野内に存在することになる。1つの例示的な実施形態によれば、キャップ108の遠位部分140の長さは、組織がキャップ108内に吸引されたときであってもクリップ102の一部を視認可能な状態に維持するように選択される。一例において、遠位部分140は、約10mmの長さを有し得る。
【0031】
キャップ108は、その外側表面142から延在する1つまたは複数の突起120を含む。突起120は、クリップ102の一部と係合するように構成されている。一実施形態において、キャップ108は、直径方向に互いに逆側にあるとともに、キャップ108に沿って位置決めされた一対の突起120を含んでおり、このため、クリップ102が突起120に係合するとき、クリップ102は、点検形態においてキャップ108を超えて延在する。突起120は、所定の閾値を超える遠位の力がクリップ102に加えられたときに、クリップ102が突起を超えて展開形態に向かって遠位に移動するように大きさ、形状、および構成が決められている。
【0032】
クリップ102は、ヒンジ126を介して互いに連結された一対の顎状部114を含み、これは、顎状部114が互いに離間した開放形態と、顎状部114が組織を把持するために互いに向かって移動される閉鎖形態との間で、顎状部114の互いに対する移動を可能にする。この実施形態の顎状部114の各々は、第1の端部128から第2の端部130まで曲線に沿って延在しており、ヒンジ126のうちの第1のヒンジが顎状部114の第1の端部128を互いに接続し、ヒンジ126のうちの第2のヒンジが顎状部114の第2の端部130を互いに接続する。例示的な一実施形態によれば、ヒンジ126の各々は、キャップ108の突起120に係合するような大きさおよび形状の溝132を含むリビングヒンジである。この実施形態におけるヒンジ126は、付勢バネであり、顎状部114を閉鎖形態に向かって付勢する。例示的な一実施形態において、顎状部114の各々は、例えば歯部122などの把持形体を含んでおり、このため、顎状部114が互いに向かって閉鎖形態に移動されると、組織が歯部122を介して顎状部114の間に把持される。
【0033】
クリップ102がキャップ108の上に取り付けられると、顎状部114は、キャップ108の外側表面142を覆うようにキャップ108の両側の部分の上に開放状態に広げられる。キャップ108は、キャップ108のチャネル116内に引き込まれた組織が顎状部114の間を通過するように、顎状部114が開放形態において互いに離間した状態で、クリップ102を開放状態に保持する。当業者によって理解されるように、組織は、例えば、内視鏡104を通して加えられる吸引力、または内視鏡104の作業チャネルを通して挿入される把持デバイスを介して、チャネル116の中に引き込まれ得る。
【0034】
挿入形態において、クリップ102は、キャップ108の近位部分138上に位置決めされる。しかしながら、点検形態において、クリップ102は、クリップ102の溝132が突起120に係合し、そのクリップ102がキャップ108の遠位部分140を超えて延在するまで、キャップ108に対して遠位に移動される。一実施形態において、クリップ102の歯部122は、点検形態においてキャップ108の遠位端118を越えて遠位に延在する。従って、クリップ102、および標的組織に対する歯部122の位置は、内視鏡104の光学系を介して操作者に視認可能となる。
【0035】
クリップ102がキャップ108から離れて遠位に移動されるとき、クリップ102は、チャネル116内に引き込まれた任意の組織を顎状部114の間で把持するために、その付勢された閉鎖形態に戻る。クリップ102のヒンジ126および/または顎状部114は、上述のように、所望のクリッピング力を組織に加えるのに十分な力で、ヒンジ126が顎状部114を閉鎖形態に向かって付勢する限り、種々の材料のうちのいずれかから形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。一例において、クリップ102の一部(例えば、ヒンジ126)は、例えば、ニチノール等の形状記憶合金から形成され得る。
【0036】
上述したように、クリップ102は、制御エレメント110を介して、挿入形態から点検形態に向かって、および点検形態から展開形態に向かってキャップ108に対して移動される。制御エレメント110は、クリップ102に解放可能に連結された遠位端144から作動アセンブリ124に接続された近位端145まで延在する、糸、ワイヤ、ストランド、フィラメント、または他の類似の可撓性長手方向エレメントとして形成され得る。
【0037】
例示的な実施形態によれば、遠位端144は、一例においてノットまたは拡大端として構成された拡大端を含む。制御エレメント110の遠位部分148は、クリップ102の一部の周囲に巻き付けられており、このため、制御エレメント110の一部がクリップ102とキャップ108の外側表面142との間に圧着され、ノットがクリップ102の一部に係合する。制御エレメント110の残りの長さ部分は、クリップ102から遠位に延在し、キャップ108のチャネル116の遠位開口を通って、チャネル116および内視鏡104の作業チャネルを通って作動アセンブリ124まで近位に延在する。
【0038】
一実施形態において、制御エレメント110の遠位部分148は、顎状部114のうちの第1の顎状部の周囲で巻き付けられており、2つの隣接する歯部122の間でノットがクリップ102に係合している。より具体的には、制御エレメント110の遠位端144におけるノットは、隣接する歯部122の間に係合され、顎状部114のうちの第1の顎状部の周囲に巻き付けられ、このため、ノットのすぐ近位の制御エレメント110の一部は、クリップ102とキャップ108の外側表面142との間に圧着される。遠位部分148は、顎状部114のうちの第1の顎状部の周囲に巻き付けられ、このため、制御エレメント110の残りの長さ部分は、クリップ102から、キャップ108のチャネル116の遠位開口を通って、チャネル116および内視鏡104の作業チャネルを近位に通って、遠位に延在する。従って、制御エレメント110が内視鏡104に対して近位に引き込まれ、それに張力を加えることにより、クリップ102はキャップ108に対して遠位に移動する。
【0039】
クリップ102が挿入形態においてキャップ108の上に取り付けられるとき、制御エレメント110は、第1の距離にわたって内視鏡104に対して近位に引き込まれ得、このため、クリップ102の溝132が突起120に当接して、クリップ102が点検形態に引き込まれる。点検形態から、制御エレメント110は、第2の距離にわたって内視鏡104に対してさらに近位に引き込まれてもよく、所定の閾値を超える力を加えることにより、結果的に、クリップ102が展開形態に向かって突起120を超えて遠位に移動する。クリップ102が展開形態に向かってキャップ108から離れて遠位に移動すると、制御エレメント110の遠位部分148が解けて、クリップ102の係合を解除し、それによってクリップ102をデバイスの残りの部分から解放し、内視鏡およびキャップ108が身体から引き出される間、クリップ102を標的組織上に留置する。従って、当業者であれば、制御エレメント110が所定の閾値を超える力に対する耐性を備えることができなければならないことを理解するであろう。
【0040】
点検形態において、クリップ102は、クリップ102の顎状部114が開放形態にある状態でキャップ108上に取り付けられた状態を維持しているため、クリップ102が標的組織に対して所望の位置にないと判断された場合、操作者は、単にチャネル116から組織を解放して、内視鏡104の遠位端106を所望した通りに再位置決めし得る。特に、遠位端106は、標的組織が所望した通りに、クリップ102の顎状部114の間のチャネル116内に引き込まれたことを操作者が視覚的に確認するまで、再位置決めされ得る。上述したように、点検形態において、クリップ102は、クリップ102が内視鏡104の視野内にあるように、内視鏡104の遠位端106の遠位側で、キャップ108の遠位部分148上に延在する。
【0041】
作動アセンブリ124は、
図4~
図6に示されるように、制御エレメント110に沿って張力を加えることによって、クリップ102を挿入形態から点検形態に移動させ、標的組織に対するクリップ102の所望の位置決めが視覚的に確認されると、点検形態から展開形態に向かって移動させるように、制御エレメント110を作動させるために使用され得る。一実施形態において、作動アセンブリ124は、内視鏡104の近位端においてハンドル部材に連結されるとともに、内視鏡104のチャネルを通って延在する制御エレメント110の近位端145に接続され得る。別の実施形態において、作動アセンブリ124は、内視鏡104とは独立して利用され得る。換言すれば、作動アセンブリ124は、内視鏡104のハンドル部材の任意の部分または内視鏡104のシャフトの任意の部分に直接連結されることなく利用され得る。特に、制御エレメント110の近位端145は、作動アセンブリ124に接続されるように、内視鏡104の近位端から延出され得る。
【0042】
例示的な実施形態によれば、
図4~
図6に示すように、作動アセンブリ124は、挿入形態から点検形態に向かうクリップ102の移動を作動させるための第1のアクチュエータ161と、点検形態から展開形態に向かうクリップ102の移動を作動させるための第2のアクチュエータ185とを含む。一実施形態において、第1のアクチュエータ161は、互いに枢動可能に連結されるとともに、クリップ102を挿入形態から点検形態に向かって移動させるように互いに対して移動可能な第1および第2の長尺状部材162、164を含む。第1および第2の長尺状部材162、164は、第1および第2の長尺状部材162、164の近位部分166、168が互いに向かって引き寄せられるとき、遠位部分170、172も互いに向かって引き寄せられるように、例えば、接続ピン165を介して実質的にハサミのような様式で互いに枢動可能に連結される。遠位部分170、172は、ハウジング125内に受容されるとともに、移動エレメント174に移動可能に連結されており、移動エレメント174は、制御エレメント110の近位端145に接続されている。
【0043】
例示的な一実施形態において、遠位部分170、172は、ハウジング125が長尺状部材162、164に対して長手方向に固定されるように、接続ピン165を介してハウジング125に連結されている。遠位部分170、172は、ハウジング125内で互いに向かって及び互いから離れるように移動され得るとともに、移動エレメント174に接続されており、このため、遠位部分170、172が互いに向かって引き寄せられるときに、移動エレメント174が長尺状部材162、164に対する近位位置から長尺状部材162、164に対する遠位位置に向かって移動する。
【0044】
1つの例示的な実施形態において、移動エレメント174は、摺動ピン176を介して遠位部分170、172に連結されており、摺動ピン176は、移動エレメント174から延在するとともに、第1の長尺状部材162の遠位部分170に沿った長尺状スロット178内に受容されている。移動エレメント174のピン176は、スロット178内に摺動可能に受容されており、このため、第1および第2の長尺状部材162、164の近位部分166、168が互いに向かって引き寄せられ、それに対応して遠位部分170、172を互いに向かって移動させると、ピン176がスロット178に沿って遠位に摺動して、移動エレメント174を近位位置から遠位位置に移動させる。しかしながら、当業者であれば、上述したように、移動エレメント174が近位位置と遠位位置との間で第1の長尺状部材162および第2の長尺状部材164に対して長手方向に摺動できるように移動エレメント174が連結されている限り、移動エレメント174は、いくつかの方法のうちの任意の方法で第1の長尺状部材162および第2の長尺状部材164に連結され得ることが理解されるであろう。
【0045】
1つの例示的な実施形態において、近位部分166、168は、例えば圧縮ばね182を介して互いから離間するように付勢される。圧縮ばね182は、近位部分166、168が不注意に共に引き寄せられてクリップ102を点検形態に向かって移動させることを防止する。この実施形態において、近位部分166、168は、それらの間に延在するラチェット機構184を含んでおり、このため、近位部分166、168が互いに向かって引き寄せられるとき、近位部分166、168がそれらの付勢形態に戻ることが防止される。従って、近位部分166、168が互いに向かって引き寄せられると、移動エレメント174は遠位位置にロックされるため、クリップ102は点検形態にロックされる。近位部分166、168が点検形態にロックされると、クリップ102を点検形態に保つために近位部分166、168を互いに向けて継続的に保持する必要なしに、クリップ102を必要に応じて視覚化および再調整することができる。
【0046】
図5~
図6に示すように、制御エレメント110は、ハウジング125内のプーリ機構180を通って移動エレメント174に連結されるように経路指定されている。特に、制御エレメント110は、クリップ102に接続された遠位端144から、内視鏡104を通り、かつハウジング125を通ってプーリ機構180を通るように経路指定されるように延在することで、近位端145が移動エレメント174に連結されている。プーリ機構180は、移動エレメント174が近位位置から遠位位置に移動されるとき、制御エレメント110の近位端145が近位に移動され、制御エレメント110をプーリ機構180に沿って移動させることで、張力が制御エレメント110に加えられるように構成される。第1および第2の長尺状部材162、164は、近位部分166、168が互いに向かって引き寄せられるとき、制御エレメント110に加えられる張力が、クリップ102を挿入形態から点検形態に移動させて、クリップ102の一部が突起120に係合するのに十分であるように構成される。
【0047】
一実施形態において、移動エレメント174が近位位置にあるとき(
図5参照)、プーリ機構180は、制御エレメント110の近位端145と実質的に長手方向に整列されたハウジング125の一部内に配置される。近位部分166、168が互いに引き寄せられ、移動エレメント174が遠位位置に向かって移動されるとき、制御エレメント110の近位端145もまた、制御エレメント110の一部が、第2のアクチュエータ185(
図6参照)と連通しているハウジング125の一部に沿ってプーリ機構180から延在するように、遠位に移動される。
【0048】
点検形態から展開形態へのクリップ102の移動を作動させるための第2のアクチュエータ185は、例示的な一実施形態において、押しボタン186を含む。押しボタン186は、ハウジング125の外部に沿ってユーザがアクセス可能なプッシュ部188と、ハウジング125内に延在するタブ190とを含む。
図6に示すように、移動エレメント174が近位位置から遠位位置に向かって移動すると、制御エレメント110に沿って張力が加えられている間に、制御エレメント110の一部が押しボタン186のタブ190と係合するように移動する。従って、クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させることが所望される場合、システム100の操作者は、プッシュ部188を押して、タブ190がハウジング125の中へさらに移動して、タブ190と係合される制御エレメント110の一部を押し込むようにする。従って、プッシュ部188が押されると、タブ190が制御エレメント110をさらに押し込んで、制御エレメント110に沿って追加の張力が加えられることにより、内視鏡を通って延びる制御エレメント110の長さ部分が、クリップ102を点検形態から展開形態に向かってキャップ108に沿って突起120を越えて遠位に移動させるのに十分な力で、内視鏡104に対して近位に移動させられる。クリップ102がキャップ108から遠位に押し出されると、クリップ102は、標的組織上にクリッピングされるように、その付勢形態に戻る。
【0049】
システム100を利用する組織閉鎖のための例示的な方法によれば、
図1~
図6に示されるように、キャップ108およびクリップ102が取り付けられた内視鏡104は、自己身体開口内に挿入され、例えば胃腸管などの身体管腔内を通って、管腔内の標的領域に到達する。上述のように、挿入形態において、
図1に示すように、クリップ102は、内視鏡104の遠位端106上に取り付けられたキャップ108の近位部分138上に取り付けられており、このため、顎状部114は、開放形態に向かって互いに離間する。クリップ102は、内視鏡104を介して標的領域に誘導され、かつ標的組織の上に位置決めされる。次いで、標的組織は、例えば、内視鏡104の作業チャネルを通して加えられる吸引力により、キャップ108の中に引き込まれる。
【0050】
クリップ102は、次いで、第1のアクチュエータ161を使用してクリップ102をキャップ108に対して遠位に移動させることによって、点検形態に向かって移動する。特に、制御エレメント110の近位端145が取り付けられている移動エレメント174が、上述したように近位位置から遠位位置に向かって移動するように、第1および第2の長尺状部材162、164の近位部分166、168が互いに向かって移動する。次いで、クリップ102が点検形態においてロックされるように、第1および第2の長尺状部材162、164は、ラチェット機構184を介して互いに対してロックされ得る。点検形態において、標的組織に対するクリップ102の位置が内視鏡104の視野内にあるように、クリップ102がキャップ108の遠位部分140上に延在している。従って、点検形態において、ユーザは、クリップ102が標的組織に対して所望の把持位置にあるかどうかを判断する。
【0051】
上述したように、作動アセンブリ124は、点検形態においてロックされ得る。従って、点検形態中に、クリップ102が標的組織に対して所望の位置にないと判断された場合、キャップ108内に引き込まれた組織はそこから解放され、内視鏡104の遠位端106、従ってクリップ102は、標的組織の上に再位置決めされる。クリップ102は、ユーザが、クリップ102が所望した通りに標的組織の上に位置決めされていることを視覚的に確認することができるまで、点検形態中に必要に応じて、標的組織に対して繰り返し再位置決めされ得る。
【0052】
ユーザが、標的組織が所望した通りに顎状部114の間のチャネル116の中に引き込まれたことを一旦確認すると、クリップ102は、クリップ102を移動させるための第2のアクチュエータ185を介して、点検形態から展開形態に移動され得る。具体的には、操作者は、タブ190が制御エレメント110の一部の中にさらに延びてそれと係合するように、押しボタン186を押す。タブ190を介して制御エレメント110に及ぼされる力が所定の閾値レベルを超え、これは、クリップ102が、展開形態に向かってキャップ108の突起120を越えて遠位に移動されることを可能にする。クリップ102は、クリップ102がキャップ108から離れて遠位に移動され、かつクリップ102が標的組織を把持するその付勢された閉鎖形態に戻るまで、キャップ108に対して遠位に移動される。上述したように、クリップ102が展開形態に移動されると、制御エレメント110はクリップ102を係合解除して、クリップ102を身体内で解放し、クリップ102は、内視鏡104およびキャップ108が身体から引き出されるときに、標的組織をクリッピングする。
【0053】
図7~
図10に示すように、別の例示的な実施形態による作動アセンブリ224は、作動アセンブリ124と実質的に同様であり、かつシステム100に関して上述したように、クリップ102および内視鏡104と共に同様に利用される。作動アセンブリ124と同様に、作動アセンブリ224は、クリップ102を挿入形態から点検形態に向かって移動させるための第1のアクチュエータ261と、クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させるための第2のアクチュエータ285とを備える。作動アセンブリ124と同様に、作動アセンブリ224は、一実施形態において、内視鏡104のハンドルに連結されてもよい。別の実施形態において、作動アセンブリ224は、制御エレメント110およびクリップ102の移動を制御するために、独立して(即ち、内視鏡104のハンドルに直接連結することなく)利用されてもよい。
【0054】
しかしながら、枢動可能に係合された部品を有するのではなく、第1のアクチュエータ261は、制御エレメント110を移動させるためにハンドル部262に対して移動可能なレバー264を含み得る。制御エレメント110の近位端145は、レバー264の端部に連結されており、レバー264が押されると、制御エレメント110が内視鏡104に対して近位に移動され、それによって、クリップ102がキャップ108に沿って挿入形態から点検形態に向かって遠位に移動する。レバー264は、点検形態に向かって制御エレメント110に沿って張力を維持するために押された状態に維持する必要がある。一実施形態において、第1のアクチュエータ161と同様に、レバー264は、例えば、それらの間に延在する圧縮ばね282を介して、ハンドル部262から離間するように付勢され得る。従って、作動アセンブリ224は、レバー264をハンドル部262に対して点検形態にロックするためのロック284をさらに含み得る。
【0055】
作動アセンブリ124と同様に、作動アセンブリ224は、ハウジング225内のプーリ機構280を含み、制御エレメント110の近位部分は、プーリ機構280を通ってレバー264に接続されるように経路指定されている。プーリ機構280は、制御エレメント110が第2のアクチュエータ285と相互作用するように、ハウジング225を通って制御エレメント110を経路指定する。従って、クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させることが所望される場合、第2のアクチュエータ285を用いて、キャップ108の突起120を超えてクリップ102を遠位に移動させるのに十分なさらなる張力がクリップ102に加えられる。第2のアクチュエータ185と同様に、第2のアクチュエータ285は押しボタン286を含む。押しボタン286は、ハウジング225の外部に沿ってユーザがアクセス可能なプッシュ部288と、ハウジング225内に延在するタブ290とを含む。
【0056】
図9~
図10に示すように、クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させることが所望される場合、プッシュ部288が押されて、タブ290をハウジング225の中にさらに移動させて、制御エレメント110に対して押し込むようにする。従って、プッシュ部288が押されると、タブ290が制御エレメント210をさらに押し込んで、制御エレメント110の移動に沿って追加の張力が加えられることにより、内視鏡を通って延びる制御エレメント110の長さ部分が、クリップ102を点検形態から展開形態に向かってキャップ108上で突起120を通過して遠位に移動させるのに十分な力で、内視鏡104に対して近位に移動させられる。クリップ102がキャップ108から遠位に押し出されると、クリップ102は、キャップ108内に引き込まれた組織をクリッピングする付勢形態に戻る。
【0057】
図11~
図16に示すように、別の例示的な実施形態による作動アセンブリ324は、作動アセンブリ124、224と実質的に同様であり、かつ挿入形態、点検形態、および展開形態の間でクリップ102の移動を作動させるためのシステム100に関して上述したように、クリップ102および内視鏡104と共に利用される。作動アセンブリ124、224と同様に、作動アセンブリ334は、クリップ102を挿入形態から点検形態に移動させるように構成された第1のアクチュエータ361と、クリップ102を点検形態から展開形態に移動させるように構成された第2のアクチュエータ385とを備える。作動アセンブリ324は、
図11に示されるように、内視鏡104に連結されるか、または
図12に示されるように、内視鏡とは独立して利用され得る。
【0058】
この実施形態におけるハンドル部362は、例えば、システム100の操作者によって把持されるように構成された人間工学的な実質的にT字形のハンドルである。特に、一実施形態において、ハンドル部362は、ハウジング部分325に対して実質的に垂直に延在し、制御エレメント110は、内視鏡104からハウジング部分を通って延在する。さらに、作動アセンブリ124、224に関して上述したような長いレバーまたはハンドルではなく、この実施形態における第1のアクチュエータ361は、ハンドル部362に沿って延在するレバー364を含んでおり、レバー364は、パワーグリップ(power grip)を介して握りしめられ得る。制御エレメント110の近位端145は、レバー364に接続されており、レバー364がハンドル部362に対して押されると、内視鏡104を通過する制御エレメント110の長さ部分が内視鏡104に対して近位に移動して、クリップ102がキャップ108に沿って挿入形態から点検形態に向かって遠位に移動する。
【0059】
前述の作動アセンブリと同様に、レバー364は、例えば、ハンドル部362とレバー364との間に延在する圧縮ばね382を介して、ハンドル部362から離間するように付勢される。制御エレメント110に沿った張力を維持し、クリップ102を点検形態にロックするために、作動アセンブリ324は、ロック384をさらに含む。ロック384は、この実施形態において、ハンドル部362上に配置されたボタンを含んでおり、ボタンがハンドル部362内に押し込まれると、ボタンの一部が、ハンドル部362内に受容されたレバー364の一部と係合して、レバー364と係合し、レバー364をハンドル部362に対して点検形態に対応する位置に保持する(
図14参照)。特に、
図16に示されるように、ロック384のボタンの一部は、ハンドル部362に対してレバー364をロックするために、レバー364内のスロット392内に延在し、かつ係合している。
【0060】
制御エレメント110が内視鏡104に対して挿入形態から点検形態に向かって近位に引き込まれると、制御エレメントの近位部分は、第2のアクチュエータ385と相互作用するハウジング325の一部を通過して近位に引き込まれる。前述した作動アセンブリと同様に、この実施形態における第2のアクチュエータ385は、プッシュ部388と、ハウジング325内に延在するタブ390とを含む押しボタン386を含む。クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させることが所望される場合、操作者は、プッシュ部388を押して、タブ390をハウジング325の中へさらに移動させて、タブ390が制御エレメント110に対して押圧して、付加的な張力を制御エレメント110に付与するようにする。この張力により、内視鏡104を通って延びる制御エレメント110の長さ部分が、クリップ102を点検形態から展開形態に向かって突起120を超えて遠位に移動させるのに十分な力で、内視鏡104に対して近位に移動させられる。クリップ102がキャップ108から遠位に押し出されると、クリップ102は、標的組織上でクリッピングするように、その付勢形態に戻る。
【0061】
例示的な実施形態は、例えば、内視鏡104の作業チャネルを通して適用される吸引を介して、キャップ108のチャネル116の中に引き込まれる標的組織を図示および説明するが、組織はまた、他の方法を使用して、チャネル116の中に引き込まれてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。例えば、他の実施形態において、内視鏡104を通してその遠位端106に通される組織把持器等のデバイスを使用することによって、クリップ102が、例えば、点検形態にあるときに、組織が、チャネル内およびクリップ102の離間した顎状部114の間に引き込まれてもよい。作動アセンブリ324はさらに、ハウジング325の近位端397を貫通するように延在するポート396を含み、ポート396は、組織把持器等のデバイスを受容するように構成される。システム100に関して実質的に上述したように、組織把持器をポート396および内視鏡104の作業チャネルを通って挿入することにより、遠位端106に隣接する組織をキャップ108のチャネル116内に引き込むことができる。一実施形態において、組織把持器(または他の同様のデバイス)が、ポート396内に挿入され、ハウジング325およびレバー364を通るように延在する対応するチャネルを通る。
【0062】
図17~
図20に示すように、別の例示的な実施形態による作動アセンブリ424は、上述した作動アセンブリと実質的に同様である。作動アセンブリ424は、システム100に関して上述したように、クリップ102の内視鏡104に対する移動を制御するために利用され得る。作動アセンブリ424は、挿入形態から点検形態へのクリップ102の移動と、点検形態から展開形態に向かうクリップ102の移動との両方を制御することができる単一のアクチュエータ461を備える。
【0063】
例示的な実施形態によれば、作動アセンブリ424は、内視鏡104からの制御エレメント110が受容されるハウジング425を中心に回転可能な回転ハンドル464を含む。回転ハンドル464は、ハウジング425に連結された第1の端部490から、回転ハンドル464をハウジング425を中心に回転させることができるように、システムの操作者に対するアクセス可能性を維持する第2の端部492まで延在している。一実施形態において、第1の端部490は、ハウジング425内に回転可能に受容され、かつ移動エレメント474を受容するように構成された連結部材491を含む。この実施形態における移動エレメント474は、回転ハンドル464の連結部材491内にねじ込み式に受容されており、このため、回転ハンドル464がハウジング425を中心に回転すると、回転ハンドル464が回転するにつれて、移動エレメント474はハウジング425に対して長手方向に移動する。
【0064】
一実施形態において、回転ハンドル464がハウジング425に対して第1の方向に回転されると、移動エレメント474はハウジングに対して近位に移動する。制御エレメント110の近位端145は、移動エレメント474に接続されている。従って、回転ハンドル464が第1の方向に回転されると、制御エレメント110は、ハウジング425、ひいては内視鏡104に対して近位に移動して、クリップ102をキャップ108に沿って遠位に移動させる。
【0065】
上述した作動アセンブリと同様に、作動アセンブリ424は、例えば、回転ハンドルを挿入形態に向かって付勢する圧縮ばねまたは他の付勢エレメントを含む。クリップ102を点検形態に向かって移動させるために、操作者は、回転ハンドルを能動的に回転させる。例示的な一実施形態において、ハウジング425は、ハウジング425の一部に沿ったピン494または他の突起を含む。ピン494は、回転ハンドル464がハウジング425を中心に回転するときに回転ハンドル464と相互作用する。ピン494は、ハウジング425に沿って配置されており、回転ハンドル464がハウジング425を中心に回転するにつれて、クリップ102を挿入形態から点検形態に向かって移動させるのに十分な近位距離だけ制御エレメント110が移動されると、回転ハンドル464がピン494に係合する。
【0066】
ピン494と回転ハンドル464との間の係合は、クリップ102がキャップ108に沿って突起120と係合され、かつ点検形態にあることを示す触知可能なフィードバックを操作者に提供する。クリップ102を点検形態から展開形態に向かって移動させることが所望される場合、操作者は、回転ハンドル464をハウジング425を中心に第1の方向にさらに回転させ、回転ハンドル464をピン494を越えて押す。回転ハンドル464がピン494を超えて回転されると、クリップ102がキャップ108から遠位に押し出されて、標的組織を把持するための付勢された閉鎖形態に戻ることが可能になるまで、クリップ102は、それに応じて突起120を越えて遠位に押される。
【0067】
作動アセンブリ324と同様に、作動アセンブリ424は、ハウジング425の近位端497を貫通するように延在するポート496をさらに含み、ポート496は、組織把持器等のデバイスを受容するように構成される。システム100に関して実質的に上述したように、組織把持器をポート496および内視鏡104の作業チャネルを通して挿入することにより、遠位端106に隣接する組織をキャップ108のチャネル116内に引き込むことができる。一実施形態において、組織把持器(または他の同様のデバイス)が、内視鏡104内に受容されるように、ポート496内に挿入され、かつ移動エレメント474に亘って延在する対応するチャネルを通る。
【0068】
図21~
図25に示すように、別の例示的な実施形態による組織クリッピングシステム500は、システム100と実質的に同様であり、クリップ502が内視鏡504に対して挿入形態、点検形態、および展開形態の間で移動可能であるように、キャップ508を介して内視鏡504の遠位端506上に取付可能なクリップ502を備える。システム100と同様に、クリップ502は、
図21に示されるような挿入形態から、
図22に示されるような点検形態に移動され得、次いで、標的組織が所望した通りにクリップ502の顎状部514の間に受容されたことを確認すると、クリップ502は、
図23に示されるように、点検形態から展開形態に向かって移動される。システム500は、点検形態中に、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にないとシステム500の操作者が判断した場合、クリップ502が点検形態から挿入形態に戻るように移動されて、クリップ502が挿入形態にあるときに、遠位端506およびクリップ502が標的組織に対して再位置決めされ得るように構成される。
【0069】
従って、システム500は、挿入形態と点検形態との間のクリップ502の移動を可能にするように構成された再位置決めエレメント512と、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあると判断されたときに、点検形態から展開形態への移動を可能にするように構成された展開エレメント510とをさらに備える。上述したように、展開エレメント510および再位置決めエレメント512は、システム100に関して上述した作動アセンブリ124~324と実質的に同様の作動アセンブリ524に接続される。作動アセンブリは、クリップ502を挿入形態と点検形態との間で移動させるための第1のアクチュエータ561と、クリップ502を点検形態から展開形態に向かって移動させるための第2のアクチュエータ585とを含む。
【0070】
システム100と同様に、挿入形態において、クリップ502は、開放形態でキャップ508上に搭載されており、その顎状部514は、それらの間に組織を受容するように互いに離間している。クリップ502は、この挿入形態において身体内の標的部位に好ましくは挿入される。内視鏡504の視野を向上させるために、クリップ502を内視鏡504に対して遠位に移動させることによって、クリップ502が挿入形態から点検形態に移動されるため、標的組織に対するクリップ502の位置がシステム500の操作者(例えば、外科医または他のユーザ)に視認可能となる。
【0071】
しかしながら、クリップ502をキャップ508に対して移動させるのではなく、クリップ502が取り付けられたキャップ508を内視鏡504に対して遠位に移動させて、クリップ502を挿入形態から点検形態に向かって移動させる。クリップ502は、クリップ502を開放位置に維持する間、クリップ502の一部がキャップ508の遠位端518を越えて遠位に延在するようにキャップ508上に取り付けられるため、キャップ508が内視鏡504に対して点検形態に向かって遠位に移動されると、クリップ502の一部が内視鏡504の遠位端506の遠位に延在し、よって、遠位端506を越えて遠位に延在するクリップ502の一部は内視鏡504の視野内に存在する。
【0072】
クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあると操作者が判断した場合、クリップ502は、点検形態から展開形態に向かって移動され得る。しかしながら、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にないと操作者が判断した場合、クリップ502は、点検形態から挿入形態に戻るように移動されることで、キャップ508内に引き込まれた任意の組織が解放され、クリップ502が標的組織に対して所望した通りに再位置決めされ得る。
【0073】
内視鏡504に対するキャップ508およびクリップ502の挿入形態と点検形態との間の移動を可能にするために、システム500は、付勢エレメント520をさらに備え、付勢エレメント520は、キャップ508と内視鏡504の最遠位端507との間に延在して、キャップ508およびその上に取り付けられたクリップ502を挿入形態に向かって付勢する。再位置決めエレメント512は、その遠位端550がキャップ508に接続され、クリップ502が標的組織に対して所望の形態にあると操作者が判断するまで、必要に応じて、キャップ508およびクリップ502を挿入形態と点検形態との間で移動させるために使用され得る。
【0074】
クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあると操作者が判断すると、その遠位端544がクリップ502に解放可能に連結されている展開エレメント510を使用して、クリップ502を展開形態に向かってキャップ508から離れて遠位に移動させ得る。展開形態において、クリップ502は、その自己の付勢下で閉鎖形態に向かって戻り、顎状部514の間に受容された標的組織を把持する。クリップ502を挿入形態、点検形態、および展開形態の間で移動させるための展開エレメント510および/または再位置決めエレメント512の操作は、内視鏡504の近位端にある作動アセンブリ524を介して制御され得る。
【0075】
当業者は、内視鏡504が内視鏡104と実質的に同様であり得るとともに、ハンドル部材534を含む近位端からキャップ508が取り付けられる遠位端506まで長手方向に延在していることを理解するであろう。内視鏡504は、内視鏡504を通って延在するチャネル505を含む。この実施形態において、内視鏡504は、最遠位端507においてキャップ508の外側表面542から延在する止め具570、肩部、または他の突起をさらに含んでおり、付勢エレメント520の遠位端572と係合し、かつ付勢エレメント520の遠位端572が止め具570を越えて遠位に延在するのを止めるようになっている。
【0076】
キャップ508はまた、キャップ108と実質的に同様であり得、近位端536から遠位端518まで長手方向に延在し、その内部にチャネル516を形成している。チャネル516は、キャップ508がその上に移動可能に取り付けられ得るように、内視鏡504の大きさに対応する。一実施形態において、以下でさらに詳細に説明されるように、キャップ508はまた、その壁を通って延在する開口を含み、開口は、その内部に再位置決めエレメント512を受容するように構成される。
【0077】
この実施形態の付勢エレメント520は、キャップ508の遠位端518と内視鏡504の止め具570との間に延在して、キャップ508を挿入形態に向かって付勢する。1つの例示的な実施形態によれば、付勢エレメント520は、キャップ508の遠位端506と内視鏡504の最遠位端507における止め具570との間で内視鏡504の遠位端518の周囲に延在するばねとして構成され得る。挿入形態において、クリップ102と実質的に同様であるクリップ502は、キャップ508上に取り付けられており、このため、クリップ502の顎状部514はキャップ508上で開放状態に広げられている。
【0078】
キャップ508の外側表面542は、顎状部514を開放状態に保持しており、このため、顎状部514は互いに離間し、その間に組織を受容し得る。クリップ502は、キャップ508上に取り付けられて、例えば、歯部522がキャップ508の遠位端518を超えて遠位に延在するようにしてもよい。しかしながら、挿入形態において、キャップ508の遠位端518は、選択された距離を介して内視鏡504の最遠位端507から離間されているため、歯部522が内視鏡504の最遠位端507を越えて遠位に延在しない。
【0079】
クリップ502を点検形態に向かって移動させるために、キャップ508は、内視鏡504に対して遠位に移動され、歯部522が内視鏡504の最遠位端507を越えて遠位に延在して、歯部522が内視鏡504の視野内に存在するようになるまで、付勢エレメント520を圧縮する。従って、点検形態において、操作者またはユーザは、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあるかどうかを判断し得る。クリップ502が所望の位置にある場合、クリップ502は、クリップ502をキャップ508から離れるように遠位に押すことによって、展開形態に向かって移動されてもよい。
【0080】
しかしながら、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にないと判断される場合、付勢エレメント520上の圧縮力は解放され、このため、付勢エレメント520はその付勢形態に戻り、キャップ508は内視鏡504に沿って近位に挿入形態に向かって押され、以前にキャップ508内に引き込まれた任意の組織が解放されて、クリップ502が再配置され得る。以下でさらに詳細に説明されるように、挿入形態と点検形態との間のクリップ502の移動は、再位置決めエレメント512を介して制御され、点検形態から展開形態に向かうクリップ502の移動は、展開エレメント510を介して制御される。
【0081】
この実施形態の展開エレメント510は、制御エレメント110と実質的に同様であり、例えば、クリップ502に解放可能に連結された遠位端544から作動アセンブリ524に接続された近位端まで延在する糸、ワイヤ、ストランド、フィラメント、または他の類似の可撓性長手方向エレメントを含む。この実施形態の展開エレメント510は、クリップ102と制御エレメント110との間の連結と実質的に同じ方法でクリップ502に解放可能に連結される。例示的な実施形態において、展開エレメント510の遠位部分548は、顎状部514のうちの第1の顎状部の一部の周囲に巻き付けられており、このため、展開エレメント510の一部がクリップ502とキャップ508の外側表面542との間に圧着され、一方、例えば遠位端544におけるノットまたは他の拡大部は、顎状部514のうちの第1の顎状部の隣接する歯部522の間に係合される。
【0082】
展開エレメント510の残りの長さ部分は、クリップ502から遠位に延在し、内視鏡504のチャネルの遠位開口を通過し、内視鏡504を通って近位に延在する。従って、展開エレメント510を内視鏡504に対して近位に引くことにより、クリップ502がキャップ508に対して遠位に移動して、クリップ502が展開形態に向かって移動する。上述したように、クリップ502がキャップ508から離れるように展開形態に向かって遠位に押されると、展開エレメント510の遠位部分548がクリップ502から巻き戻されて、ノットはクリップ502との係合が解除され、クリップ502は解放されて標的組織をクリッピングする。
【0083】
再位置決めエレメント512は、例えば、糸、ストランド、ワイヤフィラメント、または他の類似の可撓性長手方向エレメントを含み得る。しかしながら、再位置決めエレメント512の遠位端550は、クリップ502に解放可能に接続されるのではなく、キャップ508の一部に解放不可能に固着され得る。1つの例示的な実施形態によれば、遠位端550は、例えばノットなどの拡大端を含んでおり、このため、再位置決めエレメント512がキャップ508の壁を貫通して延在する開口を通過するとき、ノット552は、遠位端550がそこを通過することを防止する。従って、再位置決めエレメント512のノットは、キャップ508の外側表面542に沿ってキャップ508に係合し、それにより、再位置決めエレメント512の残りの長さ部分は、開口を通って、キャップ508の内面と内視鏡504の外側表面との間で遠位に、付勢エレメント520と内視鏡504の外側表面との間で遠位に延在し、その結果、再位置決めエレメント512は、内視鏡504のチャネルの遠位開口内に受容され、内視鏡504を通って近位に延在する。
【0084】
従って、再位置決めエレメント512が内視鏡504に対して近位に移動することによって、キャップ508は挿入形態から点検形態に向かって内視鏡504に対して遠位に移動する。この点検形態において、付勢エレメント520は、再位置決めエレメント512に沿った張力を介して圧縮形態に維持される。しかしながら、点検形態中に、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にないと判断された場合、再位置決めエレメント512に沿った張力が、付勢エレメント520がその付勢形態に戻ることを可能にするように解放され得、それによって、キャップ508が点検形態から挿入形態に向かって内視鏡504に対して近位に移動する。
【0085】
展開エレメント510および再位置決めエレメント512の各々の近位端は、本実施形態において、作動アセンブリ524に連結されるとともに、内視鏡504のハンドル部材に連結される。作動アセンブリ524は、上述した作動アセンブリと実質的に同様であり、クリップ502を挿入形態から点検形態に向かって移動させるための第1のアクチュエータ561と、クリップ502を点検形態から展開形態に向かって移動させるための第2のアクチュエータ585とを備える。作動アセンブリ524はまた、ハウジング525を含み得、再位置決めエレメント512および展開エレメント510の近位端が第1および第2のアクチュエータ561、585に連結されるようにハウジング525を通って延在する。
【0086】
例示的な実施形態によれば、
図24~
図25に示すように、作動アセンブリ524、第1のアクチュエータ561は、内視鏡504に対する再位置決めエレメント512の移動を制御するように構成されたレバー564を含み得、第2のアクチュエータ585は、内視鏡504に対する展開エレメント510の移動を制御するための押しボタン586を含み得る。レバー564は、ハウジング525に枢動可能に連結されており、レバー564がハウジング525に向かって押されると、再位置決めエレメント512が内視鏡504を通って近位に引き込まれる。特に、再位置決めエレメント512の近位端は、レバー564に連結されており、レバー564が押されると、再位置決めエレメント512が内視鏡504に対して近位に移動され、それによって、キャップ508が挿入形態から点検形態に向かって内視鏡に対して遠位に移動する。レバー564は、点検形態に向かって再位置決めエレメント512に沿って張力を維持し、かつ付勢エレメント520を圧縮された状態に維持するために、押された状態に維持する必要がある。
【0087】
この点検形態中に、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあると操作者が判断した場合、操作者は、例えば親指を使用して押しボタン586を押す。押しボタン586は、ハウジング525内に延在するとともに、展開エレメント510の近位端に連結されており、このため、押したときに、展開エレメント510が内視鏡504に対して近位に引き込まれて、クリップ502がキャップ508から離れて遠位に移動するまで、クリップ502をキャップ508に対して遠位に移動させる。しかしながら、点検形態中に、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にないと操作者が判断した場合、操作者はレバー564を解放して、それによって、それに沿った張力を解放し、かつ付勢エレメント520がその付勢形態に戻ることを可能にする。付勢エレメント520がその付勢形態に向かって戻るとき、付勢エレメント520は、キャップ508内に引き込まれた任意の組織を解放した後に、内視鏡504に沿って点検形態から挿入形態に向かってキャップ508を近位に押すことで、クリップ502が必要に応じて再位置決めされ得る。
【0088】
クリッピングシステム500を使用して組織をクリッピングする例示的な方法は、システム100を使用して組織をクリッピングする方法と実質的に同様であり得る。システム100と同様に、
図21に示すように、挿入形態においてキャップ508を介して内視鏡504の遠位端506上に取り付けられたクリップ502は、(例えば、胃腸管の)身体管腔を通って体内の標的部位に挿入される。上述したように、キャップ508は、付勢エレメント520を介して挿入形態に向かって付勢される。
【0089】
クリップ502が標的組織上に一旦位置決めされると、組織は、クリップ502の顎状部514の間に伸びるように、(例えば、内視鏡504の作業チャネルを通して加えられ得る吸引力を介して)キャップ508の中に引き込まれる。次いで、
図22に示されるように、内視鏡504に対して再位置決めエレメント512を近位に移動させることによって、クリップ502が挿入形態から点検形態に向かって移動され、それによって、キャップ508が遠位に移動して、付勢エレメント520が圧縮される。点検形態において、本実施形態の歯部522は、内視鏡504の最遠位端507を越えて遠位に延在するため、標的組織に対する歯部522の位置が内視鏡504を介して視認可能である。
【0090】
クリップ502が点検形態にあるとき、操作者は、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあるかどうかを判断し得る。クリップ502が所望の位置にない場合、再位置決めエレメント512に沿った張力が解放され得、それにより、付勢エレメント520がその付勢形態に戻ることによって、キャップ508を点検形態から挿入形態に戻すように移動させ得る。次いで、キャップ508の中に引き込まれた任意の組織は解放され得、クリップ502は、現時点で挿入形態にあるため、内視鏡504およびキャップ508は、キャップ508およびクリップ502が標的組織に対して所望の位置に存在するまで、標的組織に対して再位置決めされ得る。次いで、クリップ502は、再度、点検形態に向かって移動され得、この手順は、クリップ502が標的組織に対して所望の位置にあると判断されるまで、必要に応じて繰り返され得る。
【0091】
クリップ502が所望の位置にあると一旦判断されると、
図23に示されるように、クリップ502がキャップ508から離れて遠位に押し出されるまで、内視鏡504に対して近位に展開エレメント510を移動させることによって、クリップ502は展開形態に向かって移動され得る。上述したように、クリップ502がキャップ508から離れて遠位に押されると、クリップ502は自由になって付勢された閉鎖形態に戻り、それにより、標的組織が顎状部514の間に把持される。
【0092】
加えて、展開エレメント510はもはやクリップ502とキャップ508との間で圧着されていないため、展開エレメント510の遠位部分548はクリップ502から解かれるようになり、その結果、ノット546はクリップ502から係合が解除されて、クリップが解放され、クリップは、内視鏡504がキャップ508と共に身体から引き抜かれる際に、標的組織上でクリッピングされた状態を維持する。再位置決めエレメント512はキャップ508に連結され、かつクリップ502には決して連結されないため、再位置決めエレメント512はキャップ508から解放または係合を解除する必要がないことが、当業者によって理解されるであろう。
【0093】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示において様々な修正が行われ得ることが当業者には明らかであろう。さらに、当業者は、様々な実施形態のいずれかの特徴が、実施形態の説明および/または機能と矛盾しない任意の方法で組み合わされ得ることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
内視鏡の遠位端上に取り付けられるように構成されたキャップであって、前記キャップは、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、かつ生体内の標的組織に隣接して配置され得るようにその内部を通って延在するチャネルを含む、前記キャップと、
前記キャップ上に取り付けられるように構成されたクリップであって、前記クリップは、ヒンジを介して互いに移動可能に接続された第1の顎状部および第2の顎状部を含んでおり、前記ヒンジは、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部を互いに向かって引き寄せるように付勢されており、前記クリップは、(a)前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記キャップ上に延在して、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が互いに離間してそれらの間に前記標的組織を受容し、かつ前記キャップが取り付けられる前記内視鏡の光学系の障害物が最小限に抑えられる挿入形態と、(b)前記クリップが前記キャップに対して遠位に移動されて、前記クリップの少なくとも一部が前記キャップが取り付けられる前記光学系の視野内に延在するまで、前記クリップの一部が遠位に延在する点検形態と、(c)前記クリップが前記キャップから離れて遠位に移動されて、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記ヒンジの付勢下で互いに向かって引き寄せられて閉じて、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部の間に受容された組織をクリップする展開形態と、の間で前記キャップに対して移動可能である、前記クリップと、
前記クリップに解放可能に連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記キャップが連結される前記内視鏡を通って近位端まで延在し、使用時には、前記キャップが前記標的組織に隣接している間、生体の外側に留まる制御エレメントであって、前記制御エレメントは、前記キャップを通した前記制御エレメントの近位への移動により、前記クリップを前記キャップに対して遠位に移動させるように構成され、前記制御エレメントは、前記制御エレメントの前記キャップを通した近位への第1の距離の移動により、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に移動させ、前記制御エレメントの前記キャップを通した近位への第2の距離の移動により、前記クリップを前記点検形態から前記展開形態に移動させるように構成される、前記制御エレメントと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記制御エレメントの近位端に連結された作動アセンブリをさらに備え、前記作動アセンブリは、作動時に、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して前記第1の距離だけ近位に移動されて、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に移動させるように構成された第1のアクチュエータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータは、互いに枢動可能に連結された第1の長尺状部材および第2の長尺状部材を含んでおり、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材の近位部分が互いに向かって引き寄せられると、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材の遠位部分が対応して互いに引き寄せられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記作動アセンブリは、作動時に、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して前記第2の距離だけ近位に移動されて、前記クリップを前記点検形態から前記展開形態に移動させるように構成された第2のアクチュエータをさらに含む、請求
項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記作動アセンブリは、移動エレメントおよびプーリ機構をさらに備え、前記制御エレメントは、前記移動エレメントに連結されるべく前記プーリ機構を通るように経路指定されており、前記第1の長尺状部材および前記第2の長尺状部材が互いに向かって引き寄せられるときに、前記移動エレメントが前記作動アセンブリのハウジングに対して近位位置から遠位位置に向かって移動して、前記内視鏡を通って前記制御エレメントを近位に引っ張り、それにより、前記クリップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータは、前記作動アセンブリのハウジング内に延在するタブを含む押しボタンを含んでおり、前記クリップが前記点検形態にあるとき、前記押しボタンを押すことで、追加の張力が前記制御エレメントに沿って加えられて、前記クリップが前記点検形態から前記展開形態に向かって移動するように、前記タブが前記制御エレメントの一部に係合している、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記作動アセンブリは、前記第1のアクチュエータを前記挿入形態に向かって付勢する付勢エレメントをさらに備える、請求項2乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動アセンブリは、前記点検形態に向かって前記クリップをロックするためのロック機構を含む、請求項2乃至
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータは、前記システムの操作者により把持されるように構成されたハンドル部と、前記ハンドル部に移動可能に連結されたレバーとを含み、前記制御エレメントの前記近位端は、前記レバーに連結されており、前記レバーが前記ハンドル部に対して押されると、前記制御エレメントは、前記内視鏡を通して前記第1の距離だけ近位に移動して、前記クリップを前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動させる、請求項2乃至
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のアクチュエータは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に連結された回転ハンドルとを含み、前記制御エレメントの前記近位端は、前記回転ハンドルの一部にねじ連結された移動エレメントに接続されており、前記回転ハンドルの前記ハウジングに対する回転により、前記制御エレメントが前記内視鏡を通して近位に移動する、請求項2乃至
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
組織を処置するためのクリッピングシステムであって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するシャフトを含む内視鏡と、
近位端から遠位端まで長手方向に延在するキャップであって、前記キャップが前記内視鏡の前記シャフトの遠位部分上に摺動可能に取り付けられるように、前記キャップを通って延在するチャネルを含む、前記キャップと、
複数のヒンジを介して互いに移動可能に連結された第1の顎状部および第2の顎状部を含むクリップであって、前記複数のヒンジの少なくとも1つが、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部を互いに引き寄せるように付勢されており、前記クリップは、前記第1の顎状部および前記第2の顎状部がそれらの間に標的組織を受容するために互いに離間するようにして前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が前記キャップの両側の上に延在するように前記キャップ上に取付可能であり、前記内視鏡に沿った近位位置から前記内視鏡に沿った遠位位置への前記キャップの前記内視鏡に対する遠位への移動により、前記クリップが、挿入形態から点検形態に向かって移動し、前記点検形態では、前記クリップの少なくとも一部が前記内視鏡の光学系の視野内に延在するまで前記クリップが遠位に延在し、前記クリップの前記キャップに対する遠位への移動により、前記クリップが前記点検形態から展開形態に向かって移動し、前記展開形態では、前記クリップが、前記クリップから離れて遠位に移動して、前記少なくとも1つのヒンジの付勢下で前記第1の顎状部および前記第2の顎状部が互いに引き寄せられて、それらの間に受容された組織上で閉じる、前記クリップと、
前記キャップに連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記内視鏡を通って近位端まで延在する再位置決めエレメントであって、使用時には、前記再位置決めエレメントは、生体の外側に留まっており、前記再位置決めエレメントを前記内視鏡を通って近位に移動させることにより、前記キャップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって前記内視鏡に沿って遠位に移動するように構成されている、前記再位置決めエレメントと、
前記クリップに解放可能に連結された遠位端から、前記キャップの前記チャネルおよび前記内視鏡を通って近位端まで延在する展開エレメントであって、使用時には、前記展開エレメントは、生体の外側に留まっており、前記展開エレメントは、前記展開エレメントの前記内視鏡を通した近位への移動により、前記クリップが前記展開形態に向かって前記キャップに対して遠位に移動するように構成されている、前記展開エレメントと、
前記再位置決めエレメントの移動を制御するように構成された第1のアクチュエータと、前記展開エレメントの移動を制御するように構成された第2のアクチュエータとを含む作動アセンブリと、を備えるシステム。
【請求項12】
前記作動アセンブリは、前記再位置決めエレメントおよび前記展開エレメントの前記近位端が前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに連結されるように延在するハウジングをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータは、ハンドルに枢動可能に連結されたレバーを含み、前記再位置決めエレメントの前記近位端は、前記ハンドルの一部に連結されており、それにより、前記レバーが前記ハウジングに向かって移動すると、前記再位置決めエレメントが前記内視鏡を通って近位に移動して、前記キャップおよび前記クリップが前記挿入形態から前記点検形態に向かって移動する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のアクチュエータは、前記ハウジング内に延在し、かつ前記展開エレメントの前記近位端に連結された押しボタンを含んでおり、前記押しボタンが前記ハウジング内にさらに押し込まれると、前記展開エレメントが前記内視鏡を通って近位に移動して、前記クリップが前記点検形態から前記展開形態に向かって前記キャップに対して遠位に移動する、請求項1
2に記載のシステム。
【請求項15】
前記キャップの遠位端と、前記キャップが取り付けられる前記内視鏡の最遠位端にある止め具との間に延在する付勢エレメントをさらに備え、前記付勢エレメントは、前記キャップを前記挿入形態に向かって付勢し、前記キャップ上に取り付けられた前記クリップの全体は、前記内視鏡の前記最遠位端の近位にあり、それにより、前記レバーが解放されると、前記キャップおよび前記クリップは、前記挿入形態に向かって戻る、請求項
13に記載のシステム。
【国際調査報告】