(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】Z型編組ステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/915 20130101AFI20240325BHJP
【FI】
A61F2/915
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564055
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 CN2022086371
(87)【国際公開番号】W WO2022222793
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202110428866.2
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523392763
【氏名又は名称】ベイジン ホンハイ マイクロテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シューミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジー シュンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン ジェンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チャオユウ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ユウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シューチー
(72)【発明者】
【氏名】メン シャンゴウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シャオリン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA53
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB47
4C267CC08
4C267FF05
4C267GG12
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG43
(57)【要約】
人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステント。Z型編組ステントは、第1の編組用ワイヤ(I)をZ型に連続的に編組することにより形成されている、N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュであって、第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第1の編組用ワイヤ(I)を曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点(A)を有する、第1の管状ワイヤメッシュと、第2の編組用ワイヤ(II)をZ型に連続的に編組することにより形成されている、N個の編組リングを有する第2の管状ワイヤメッシュであって、第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第2の編組用ワイヤ(II)を曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点(B)を有する、第2の管状ワイヤメッシュと、を備える。第1の曲げ点(A)と第2の曲げ点(B)とを引っ掛けることにより、第2の管状ワイヤメッシュと第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、Z型編組ステントを形成する。編組ステントは、圧縮は軸方向に変形可能であるが、伸展は軸方向に基本的に変形不可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の臓器内に移植するためのZ型編組ステントであって、前記Z型編組ステントは、
第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより形成されている、N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュであり、前記第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、前記第1の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点を有する、前記第1の管状ワイヤメッシュと、
第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより形成されている、N個の編組リングを有する第2の管状ワイヤメッシュであり、前記第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、前記第2の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点を有する、前記第2の管状ワイヤメッシュと、を備え、
前記第1の曲げ点と前記第2の曲げ点とを引っ掛けることにより、前記第2の管状ワイヤメッシュと前記第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、前記Z型編組ステントを形成しており、
前記第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、前記第1の編組用ワイヤが、前記第1の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュへと編組されて、第1の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味しており、
前記第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、前記第2の編組用ワイヤが、前記第2の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュへと編組されて、第2の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味している、管状ステント、であることを特徴とする、Z型編組ステント。
【請求項2】
前記第1の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間の前記第1の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が前記第1の曲げ点であり、前記第2の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間の前記第2の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が前記第2の曲げ点であることを特徴とする、請求項1に記載のZ型編組ステント。
【請求項3】
前記第1の編組用ワイヤが、前記第1の管状ワイヤメッシュのi番目の前記編組リングの末端の前記第1の曲げ点から、前記第1の管状ワイヤメッシュの(i+2)番目の前記編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、前記第1の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上と前記第1の管状ワイヤメッシュの(i+1)番目の前記編組リング上とに複数の第1の曲げ点が形成され、このとき、前記第1の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上に先端の第1の曲げ点が形成され、前記(i+1)番目の編組リング上に末端の第1の曲げ点が形成されるようになっており、前記第2の編組用ワイヤが、前記第2の管状ワイヤメッシュのi番目の前記編組リングの末端の前記第2の曲げ点から、前記第2の管状ワイヤメッシュの(i+2)番目の前記編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上と前記第2の管状ワイヤメッシュの(i+1)番目の前記編組リング上とに複数の第2の曲げ点が形成され、このとき、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上に先端の第2の曲げ点が形成され、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+1)番目の編組リング上に末端の第2の曲げ点が形成されるようになっており、
i=1、2…Nであることを特徴とする、請求項1または2に記載のZ型編組ステント。
【請求項4】
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの1番目の前記編組リングならびに2番目の前記編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の前記編組リングは、前記管状ステントと平行に周方向に延びており、前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの3番目~(N-2)番目の前記編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載のZ型編組ステント。
【請求項5】
前記つる巻き角αが10°~50°であることを特徴とする、請求項5に記載のZ型編組ステント。
【請求項6】
前記第1の曲げ点および前記第2の曲げ点が30°~60°の曲げ角度βを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のZ型編組ステント。
【請求項7】
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの1番目の前記編組リングならびに2番目の前記編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の前記編組リングは、前記管状ステントと平行に周方向に延びており、前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの3番目~(N-2)番目の前記編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びており、
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの前記3番目の編組リングから前記N番目の編組リングまでの第1の編組用ワイヤと第2の編組用ワイヤとの間の螺旋間隔Sが、0.2~10mmであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のZ型編組ステント。
【請求項8】
前記第1の編組用ワイヤおよび/または前記第2の編組用ワイヤは、金属ワイヤ+金属ワイヤ、金属ワイヤ+非金属ワイヤ、非金属ワイヤ+非金属ワイヤの組合せを特に含む、同じ材料または異なる材料から構成されており、
前記金属ワイヤは、ステンレス鋼ワイヤ、コバルトクロム合金ワイヤ、ニッケルチタン合金ワイヤ、および分解性亜鉛/マグネシウム合金ワイヤなどの材料から選択され、前記非金属ワイヤは、分解性ポリ乳酸ワイヤなどの材料から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のZ型編組ステント。
【請求項9】
前記第1の管状ワイヤメッシュのN番目の前記編組リングと前記第2の管状ワイヤメッシュのN番目の前記編組リングとを接続する牽引デバイスを更に備え、前記牽引デバイスが、
一端が前記第1の管状ワイヤメッシュのN番目の前記編組リングおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの前記N番目の編組リングに接続されている牽引ワイヤ編組メッシュと、前記牽引ワイヤ編組メッシュの他端に接続されている接続端部と、を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のZ型編組ステント。
【請求項10】
前記牽引ワイヤ編組メッシュが、複数の牽引ワイヤから編組されているか、または金属チューブをレーザエッチングすることにより形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のZ型編組ステント。
【請求項11】
前記接続端部が前記管状ステントの軸線からずらされていることを特徴とする、請求項10に記載のZ型編組ステント。
【請求項12】
前記接続端部がフック型または管状であることを特徴とする、請求項10に記載のZ型編組ステント。
【請求項13】
人間の臓器内に移植されるZ型編組ステント用の実施方法であって、前記Z型編組ステントは管状ステントであり、前記方法が、
第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより、N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュを形成することであり、前記第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、前記第1の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点を有する、形成することと、
N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュを形成した後で、第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより、N個の編組リングを有する第2の管状ワイヤメッシュを形成することであり、前記第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、前記第2の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点を有する、形成することと、を含み、
前記第1の曲げ点と前記第2の曲げ点とを引っ掛けることにより、前記第2の管状ワイヤメッシュと前記第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、前記Z型編組ステントを形成しており、
前記第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、前記第1の編組用ワイヤが、前記第1の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第1の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味しており、
前記第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、前記第2の編組用ワイヤが、前記第2の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第2の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味していることを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記第1の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間の前記第1の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が前記第1の曲げ点であり、前記第2の管状ワイヤメッシュの隣り合う2つの編組リングの間の前記第2の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が前記第2の曲げ点であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の編組用ワイヤが、前記第1の管状ワイヤメッシュのi番目の前記編組リングの末端の前記第1の曲げ点から、前記第1の管状ワイヤメッシュの(i+2)番目の前記編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、前記第1の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上と前記第1の管状ワイヤメッシュの(i+1)番目の前記編組リング上とに複数の第1の曲げ点が形成されて、最終的に、前記第1の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上に先端の第1の曲げ点が形成され、前記第1の管状ワイヤメッシュの前記(i+1)番目の編組リング上に末端の第1の曲げ点が形成され、前記第2の編組用ワイヤが、前記第2の管状ワイヤメッシュのi番目の前記編組リングの末端の前記第2の曲げ点から、前記第2の管状ワイヤメッシュの(i+2)番目の前記編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上と前記第2の管状ワイヤメッシュの(i+1)番目の前記編組リング上とに複数の第2の曲げ点が形成されて、最終的に、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+2)番目の編組リング上に先端の第2の曲げ点が形成され、前記第2の管状ワイヤメッシュの前記(i+1)番目の編組リング上に末端の第2の曲げ点が形成され、
i=1、2…Nであることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの1番目の前記編組リングおよび2番目の前記編組リングおよび(N-1)番目の前記編組リングおよびN番目の前記編組リングは、前記管状ステントと平行に周方向に延びており、前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの3番目~(N-2)番目の前記編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びていることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項17】
前記つる巻き角αが10°~50°であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の曲げ点および前記第2の曲げ点が30°~60°の曲げ角度βを有することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの1番目および2番目の前記編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の前記編組リングは、前記管状ステントと平行に周方向に延びており、前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの3番目~(N-2)番目の前記編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びており、
前記第1の管状ワイヤメッシュおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの前記3番目の編組リングから前記N番目の編組リングまでの第1の編組用ワイヤと第2の編組用ワイヤとの間の螺旋間隔Sが、0.2~10mmであることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の管状ワイヤメッシュのN番目の前記編組リングと前記第2の管状ワイヤメッシュのN番目の前記編組リングとを接続する牽引デバイスを更に備え、前記牽引デバイスが、
一端が前記第1の管状ワイヤメッシュの前記N番目の編組リングおよび前記第2の管状ワイヤメッシュの前記N番目の編組リングに接続されている牽引ワイヤ編組メッシュと、
前記牽引ワイヤ編組メッシュの他端に接続されている接続端部と、を備えることを特徴とする、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人間の臓器内に移植可能なステントに関し、より詳細には、独自の変形特性を有する編組ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の発達に伴い、人体の様々な疾患の治療は介入治療へと発展してきた。なかでも最も普及しているのは血管ステントであるが、これは基本的には、形状記憶合金ワイヤを編み組みしてさまざまな半径を有する管状構造体にしたものである。ステントは送達デバイスに挿入されるように半径方向および軸方向の両方に変形可能である。送達デバイスが人体の特定の位置に進入するとステントが解放されて血管を支持し、血液の流れを維持または誘導する。したがって、ステントの変形は既存のステントに共通する特徴であり、同時に、ステントは解放状態では予め設定された基本形態となっており、その後ステントは人間の臓器の構造と共に再び変形し、この再び変形したステントは変形力を有することになり、これが人体の臓器に作用することになる。使用の過程で、良く言っても患者は不快感を覚えることになり、悪く言えば臓器を傷つけ、その結果医療事故が生じることになる。したがって、人間の臓器の多様性に起因して、既存の編組ステントを様々な臓器要求および治療要件に適合させることは困難であり、このため、さまざまなニーズを解決するための特定の構造を有するステントを設計することは、解決すべき緊急の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特定の所望の治療に対処するための特定の編組構造を有するステントを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステントは、Z型編組ステントが、
N個の編組リングを有しかつ第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより形成されている、第1の管状または円筒状のワイヤメッシュであって、第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第1の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点を有する、第1の管状または円筒状のワイヤメッシュと、
N個の編組リングを有しかつ第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより形成されている、第2の管状または円筒状のワイヤメッシュであって、第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第2の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点を有する、第2の管状または円筒状のワイヤメッシュと、を備え、
第1の曲げ点(A)と第2の曲げ点(B)とを引っ掛けることにより、第2の管状ワイヤメッシュと第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、Z型編組ステントを形成しており、
第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、第1の編組用ワイヤが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第1の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味しており、
第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、第2の編組用ワイヤが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第2の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味している、管状ステント、であることを、特徴とする。
【0005】
好ましくは、隣り合う2つの編組リングの間の第1の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が第1の曲げ点であり、隣り合う2つの編組リングの間の第2の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が第2の曲げ点である。
【0006】
好ましくは、第1の編組用ワイヤがi番目の編組リングの末端の第1の曲げ点から、(i+2)番目の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、(i+2)番目の編組リング上と(i+1)番目の編組リング上とに複数の第1の曲げ点が形成され、このとき、(i+2)番目の編組リング上に先端の第1の曲げ点が形成され、(i+1)番目の編組リング上に末端の第1の曲げ点が形成されるようになっており、第2の編組用ワイヤがi番目の編組リングの末端の第2の曲げ点から、(i+2)番目の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始された後で、(i+2)番目の編組リング上と(i+1)番目の編組リング上とに複数の第2の曲げ点が形成され、このとき、(i+2)番目の編組リング上に先端の第2の曲げ点が形成され、(i+1)番目の編組リング上に末端の第2の曲げ点が形成されるようになっている。
【0007】
好ましくは、第1の管状ワイヤメッシュおよび第2の管状ワイヤメッシュの1番目および2番目の編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の編組リングは、管状ステントと平行に周方向に延びており、3番目~(N-2)番目の編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びている。
【0008】
好ましくは、つる巻き角αは10°~50°である。
【0009】
好ましくは、第1の曲げ点と第2の曲げ点の曲げ角度βは30°~60°である。
【0010】
好ましくは、第1の管状ワイヤメッシュおよび第2の管状ワイヤメッシュの1番目および2番目の編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の編組リングは、管状ステントと平行に周方向に延びており、3番目~(N-2)番目の編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びており、
3番目の編組リングからN番目の編組リングまでの編組用ワイヤIと編組用ワイヤIIとの螺旋間隔Sは、0.2~10mmである。
【0011】
好ましくは、第1の編組用ワイヤおよび/または第2の編組用ワイヤは、分解可能な材料で製作されている。
【0012】
好ましくは、本発明のZ型編組ステントは、第1の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングと第2の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングとを接続する牽引デバイスを更に備え、牽引デバイスは、
一端が第1の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングおよび第2の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングに接続されている牽引ワイヤ編組メッシュと、牽引ワイヤ編組メッシュの他端に接続されている接続端部と、を備える。
【0013】
好ましくは、牽引ワイヤ編組メッシュは、複数の牽引ワイヤから編組されるか、または金属チューブをレーザエッチングすることによって形成される。
【0014】
好ましくは、接続端部は円形ステントの軸線からずらされている。
【0015】
好ましくは、接続端部はフック型または管状である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステントの実施方法であって、Z型編組ステントは管状であり、方法は、
第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することにより、N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュを形成することであり、第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第1の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点を有する、形成することと、
N個の編組リングを有する第1の管状ワイヤメッシュを形成した後で、第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することによりN個の編組リングを有する第2の管状ワイヤメッシュを形成することであり、第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第2の編組用ワイヤを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点を有する、形成することと、を含み、
第1の曲げ点(A)と第2の曲げ点(B)とを引っ掛けることにより、第2の管状ワイヤメッシュと第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、Z型編組ステントを形成しており、
第1の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、第1の編組用ワイヤが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第1の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味しており、
第2の編組用ワイヤをZ型に連続的に編組することは、第2の編組用ワイヤが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュへと編組されて、最終的に第2の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味している。
【0017】
本発明に開示する上述した技術的解決策は非常に独自の技術的特徴を有し、編組ステントは、軸方向に変形可能かつ圧縮可能であるが、軸方向に実質的に変形不可能かつ伸展不可能である。その理由は、各曲げ点が編組用ワイヤIとIIが互いに引っ掛かる点であるか、または制約点とみなされるため、曲げ点において軸方向の伸展および延長は制約されるが、軸方向の分離および圧縮は制約されないからである。圧縮中、管状編組ステントの半径は実質的に変化せず、したがって管状編組ステント全体の半径も実質的に変化しない。本発明の別の特徴は、編組ステント全体の曲げおよび変形が可能であり、外力が失われた後も変形した編組ステントは変形状態を依然として維持できること、つまり、変形した編組ステントが元の状態に復帰するための内部弾性力を実質的に有さず、このことにより人体の体腔に不必要または有害な力が加わることが回避されるが、このことは、人体への実装後の編組ステントの長期維持にとって非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】(a)、及び(b)は、それぞれ、本発明のある実施形態の外観を示す概略図である。
【
図3】(a)、及び(b)は、それぞれ、本発明の編組用の型の概略図である。
【
図4】
図1の編組用ワイヤの編組経路の拡大図である。
【
図5】(a)、及び(b)は、それぞれ、編組用の型上に
図1の編組用ワイヤのある概略図である。
【
図6】
図1の編組用ワイヤの編組経路の拡大図である。
【
図8】編組ステントの端部部分に設けられた牽引デバイスの構造概略図である。
【
図9】編組ステントの端部部分に設けられた接続端部の構造概略図である。
【
図10】編組用ワイヤ構成における牽引デバイスの概略図である。
【
図11】(a)、及び(b)は、それぞれ、牽引デバイスが編組用ワイヤである場合の、編組ステントの外観を示す概略図である。
【
図12】牽引デバイスと編組ステントとの間の接続部の、部分拡大構造概略図である。
【
図13】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、レーザエッチング加工管である場合の、牽引デバイスの構造概略図である。
【
図14】牽引デバイスと編組ステントとの間の接続部の、部分拡大構造概略図である。
【
図15】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、編組ステントの端部部分のフック型接続端部の構造概略図である。
【
図16】(a)、及び(b)は、それぞれ、編組ステントの端部部分の管状接続端部の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の特定の実施形態の詳細な説明を、添付図面と併せて提供する。特定の実施形態の詳細な説明は本発明の技術的精神の理解を容易にすることを意図しており、本発明の請求項の範囲を限定するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0020】
図1は本発明に係る人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステントを示しており、Z型編組ステントは
図2aおよび
図2bに示すように管状であり、
図1は、
図2aおよび
図2bに示すような管状ステントの拡大図であり、縦の列1と縦の列17は同じである。
【0021】
本発明の人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステントは、
N個の編組リングを有しかつ第1の編組用ワイヤIをZ型に連続的に編組することにより形成されている、第1の管状ワイヤメッシュ(すなわち、
図1で太い実線で示すワイヤメッシュ)であって、第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第1の編組用ワイヤIを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点Aを有する、第1の管状ワイヤメッシュと、
N個の編組リングを有しかつ第2の編組用ワイヤIIをZ型に連続的に編組することにより形成されている、第2の管状ワイヤメッシュ(すなわち、
図1で細い実線で示すワイヤメッシュ)であって、第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第2の編組用ワイヤIIを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点Bを有する、第2の管状ワイヤメッシュと、を備え、
Z型編組ステントは、第2の管状ワイヤメッシュと第1の管状ワイヤメッシュとが連結されるように、第2の曲げ点Bと第1の曲げ点Aとを引っ掛ける(図に示すように、第2の曲げ点Bは、2番目の編組リングから(N-1)番目の編組メッシュまで、第1の曲げ点Aに引っ掛かっている)ことによって形成されており、
第1の編組用ワイヤIをZ型に連続的に編組することは、隣り合う2つの編組リングの間で第1の編組用ワイヤIを管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュ(例えば、
図1において1番目の編組リングと2番目の編組リングとの間に太い実線で示す鋸刃状メッシュ)へと編組されて、最終的に第1の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味しており、
ここで、第2の編組用ワイヤIIをZ型に連続的に編組することは、隣り合う2つの編組リングの間で第2の編組用ワイヤIIを管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュ(例えば、
図1において1番目の編組リングと2番目の編組リングとの間に細い実線で示す鋸刃状メッシュ)へと編組されて、最終的に第2の管状ワイヤメッシュへと編組されることを意味している。
【0022】
図1に示すように、隣り合う2つの編組リングの間の第1の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が第1の曲げ点Aであり、隣り合う2つの編組リングの間の第2の鋸刃状メッシュの曲げ頂点が第2の曲げ点Bである。
【0023】
図1に示すように、第1の編組用ワイヤIが、i番目の編組リングの末端の第1の曲げ点から(i+2)番目の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始され、(i+2)番目の編組リングおよび(i+1)番目の編組リング上に複数の第1の曲げ点が形成され、このとき、(i+2)番目の編組リング上の先端に第1の曲げ点が形成され、(i+1)番目の編組リング上の末端に第1の曲げ点が形成されるようになっており、例えば、iが1である場合、第1の編組用ワイヤIが、1番目の編組リングの末端の第1の曲げ点(1番目の編組リングの1列目に位置する第1の曲げ点)から第3の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始され、3番目の編組リングおよび2番目の編組リング上には複数の第1の曲げ点が形成され、このとき、3番目の編組リング上の先端の第1の曲げ点(3番目の編組リングの2列目に位置する第1の曲げ点)と、2番目の編組リング上の末端の第1の曲げ点(2番目の編組リングの1列目に位置する第1の曲げ点)と、を形成するようになっている。
【0024】
図1に示すように、第2の編組用ワイヤがi番目の編組リングの末端の第2の曲げ点から(i+2)番目の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始され、(i+2)番目の編組リングおよび(i+1)番目の編組リング上に複数の第2の曲げ点が形成され、このとき、(i+2)番目の編組リング上の先端に第2の曲げ点が形成され、(i+1)番目の編組リング上の末端に第2の曲げ点が形成されるようになっている。例えば、iが1である場合、第2の編組用ワイヤIIが、1番目の編組リングの末端の第2の曲げ点(1番目の編組リングの2列目に位置する第2の曲げ点)から3番目の編組リングに飛び移って、Z型の連続的な編組が開始され、3番目の編組リングおよび2番目の編組リング上には複数の第2の曲げ点が形成され、このとき、3番目の編組リング上の先端の第2の曲げ点(3番目の編組リングの3列目に位置する第2の曲げ点)と、2番目の編組リング上の末端の第2の曲げ点(2番目の編組リングの2列目に位置する第2の曲げ点)と、を形成するようになっている。
【0025】
図1に示すように、第1の管状ワイヤメッシュおよび第2の管状ワイヤメッシュの1番目および2番目の編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の編組リングは、管状ステントと平行に周方向に延びており、3番目~(N-2)番目の編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びている。
【0026】
図1に示すように、編組ステントは10°~50°のつる巻き角αを有する。第1の曲げ点と第2の曲げ点の曲げ角度βは30°~60°である。
【0027】
図1に示すように、第1の管状ワイヤメッシュおよび第2の管状ワイヤメッシュの1番目および2番目の編組リングならびに(N-1)番目およびN番目の編組リングは、管状ステントと平行に周方向に延びており、3番目~(N-2)番目の編組リングは、つる巻き角αで螺旋状に延びている。3番目の編組リングからN番目の編組リングまでの編組用ワイヤIおよびIIの螺旋間隔Sは、0.2~10mmである。
【0028】
本発明の第1の編組用ワイヤIおよび/または第2の編組用ワイヤIIは、金属ワイヤ+金属ワイヤ、金属ワイヤ+非金属ワイヤ、非金属ワイヤ+非金属ワイヤの組合せを特に含む、同じ材料または異なる材料から構成されている。
【0029】
一般に、金属ワイヤは、ステンレス鋼ワイヤ、コバルトクロム合金ワイヤ、ニッケルチタン合金ワイヤ、および分解性亜鉛/マグネシウム合金ワイヤなどの材料から選択され、非金属ワイヤは、分解性ポリ乳酸ワイヤなどの材料から選択される。
【0030】
更に、本発明は、
図9~
図16に示すような第1の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングと第2の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングとを接続する牽引デバイスを更に備え、牽引デバイスは、一端が第1の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングおよび第2の管状ワイヤメッシュのN番目の編組リングに接続されている牽引ワイヤ編組メッシュと、牽引ワイヤ編組メッシュの他端に接続されている接続端部と、を備える。牽引ワイヤ編組メッシュは、複数の牽引ワイヤから編組されるか、または金属チューブをレーザエッチングすることによって形成される。接続端部は円形ステントの軸線からずらされている。接続端部はフック型または管状である。
【0031】
図3aおよび
図3bは、本発明に係る、第1の編組用ワイヤIおよび第2の編組用ワイヤIIを編組するための型を示しており、型は、表面に編組用の複数の隆起部が設けられた管状体である。
【0032】
本発明の人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステントは、
図5aおよび
図5bに示すマーキングモードにしたがって、第1の編組用ワイヤIまたは第2の編組用ワイヤIIを型において編組することによって作製される。
【0033】
本発明の人間の臓器内に移植可能なZ型編組ステント用の実施方法は、
N個の編組リングを有しかつ第1の編組用ワイヤIをZ型に連続的に編組することにより形成されている、第1の管状ワイヤメッシュであって、第1の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第1の編組用ワイヤIを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第1の曲げ点を有する、第1の管状ワイヤメッシュと、
第1の管状ワイヤメッシュを形成した後の、第2の編組用ワイヤIIをZ型に連続的に編組することによって形成されているN個の編組リングを有する第2の管状ワイヤメッシュであって、第2の管状ワイヤメッシュの各編組リングは、第2の編組用ワイヤIIを曲げることにより形成されておりかつ間隔をおいて分布されている、複数の第2の曲げ点を有する、第2の管状ワイヤメッシュと、を含み、
第1の曲げ点(A)と第2の曲げ点(B)とを引っ掛けることにより、第2の管状ワイヤメッシュと第1の管状ワイヤメッシュとが1つに接続されて、Z型編組ステントが形成されており、
第1の編組用ワイヤIをZ型に連続的に編組することは、第1の編組用ワイヤIが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第1の鋸刃状メッシュへと編組されることを意味しており、
第2の編組用ワイヤIIをZ型に連続的に編組することは、第2の編組用ワイヤIIが、隣り合う2つの編組リングの間で管状で一続きの第2の鋸刃状メッシュへと編組されることを意味している。
【0034】
以下では、
図1~
図16を参照して本発明について詳細に説明する。本発明の特定の実施形態の技術的解決法は以下の通りである:管状編組ステントの編組用ワイヤIは、Z型に繰り返し連続的に曲げられて複数の曲げ点を形成しており、一回りして管形状を形成しており、管形状の一端から他端まで回転するように延びており、第1および第2の曲げ点は同じ半径の円周上に位置し、3番目~(N-2)番目の曲げ点はつる巻き角αで螺旋状に他端まで延びており、(N-1)番目およびN番目の編組リングの曲げ点は同じ半径の円周上に位置し、編組用ワイヤIIはZ字形に繰り返し連続的に曲げられて複数の曲げ点を形成し、編組用ワイヤIおよびIIは対応する曲げ点で互いに引っ掛けられ、編組用ワイヤIIは管形状の一端から他端まで延びている。本発明の上記の態様に係る管状編組ステントの構造を
図1に示す。三次元構造をよりよく理解するために、
図1に示す管状編組ステントは軸方向に切断され、展開されて平面となっており、編組用ワイヤIが編組ステントの型(
図3に示す)に巻き付けられる(
図5に示す)。
図4は、編組用ワイヤIの平坦な展開状態の構造を示し、
図6は、編組用ワイヤIIの別の平坦な展開状態の構造を示す。
図4に示すように、aおよびa1は実際には同じ点、すなわち、a=a1であり、同じ理由により、b=b1であり、P=P1である。
図4に矢印で示すように、編組用ワイヤIは点aから点a1までZ型に繰り返し連続的に曲げられ、曲げられた部分の長さは同じであり、つまり点aに戻り、その後、矢印で示すように2番目のリングの繰り返しの曲げが開始され、リングの編組用ワイヤIの曲げられた部分の長さは次第に長くなり、点b1を過ぎると3番目のリングの繰り返しの曲げが開始され、N番目のリングまで繰り返され、編組用ワイヤ1の曲げられた部分の長さは同じであり、(N+1)番目の部分における編組用ワイヤ1の曲げられた部分の長さは次第に長くなる。最後の(N+1)番目の部分の編組用ワイヤ1の曲げられた部分は同じ長さを有し、本発明の編組用ワイヤ1の構造を構成する。
図6は平面状に展開された状態の別の編組用ワイヤIIの構造を示しており、編組用ワイヤIIはZ型に繰り返し連続的に曲げられて複数の曲げ点を形成しており、編組用ワイヤIおよびIIは、対応する曲げ点において互いに引っ掛けられる(
図7に示す)。
図4および
図6に示すように、線分aa1およびbb1上の複数の曲げ点は第1および第2の曲げ点であり、1番目の円および2番目の円の曲げ点は同じ半径の円周上に位置しているが、3番目~(N-2)番目の円の曲げ点はつる巻き角αで螺旋状に他端へと延びており、(N-1)番目およびN番目の円の曲げ点は、同じ半径の円周上に位置している。上記した本発明によれば、編組用ワイヤIおよびIIが互いに引っ掛けられ、曲げ点で互いに拘束されるため、管状編組ステントが軸方向の引張力を受けたとき編組ステントは実質的に引張変形を生じず、同時に半径の変化を生じない。編組ステントが軸方向の圧縮力を受けるとき、曲げ点における引っ掛かり構造によって編組用ワイヤIおよびIIの中心または中間位置への変位が制限されることはない、つまり、各曲げ点における編組用ワイヤIおよびIIは引っ掛かり状態から外れる、つまり、編組ステントは全体として短縮された長さまたは圧縮された状態を呈し、同様に、編組ステントの半径は変化せず、編組ステント全体は弛緩状態にある。編組ステントが人体の体腔内に挿入されると、本発明の編組ステントは半径が変化せず、人体の体腔の壁面に力を及ぼさないので、人体の体腔の損傷が防止される。人体の体腔が屈曲状態にあるとき、上述した編組ステントは人体の体腔と共に曲げられ、曲げられた編組ステントの内側の屈曲部分は上述した圧縮状態と類似しており、編組用ワイヤIおよびIIの曲げ点の一部は分離され、つまり、内側の屈曲部分は弛緩状態にあり、一方で、編組ステントの外側の屈曲部分は引っ掛かった状態のままであるが、同時に、曲げた後の反発力は発生しない。編組ステント全体の全体が曲げられたとき、この全体は弛緩状態にあり、全体を曲げた後で弾性力が発生しない。したがって、曲げられた編組ステントは人体の体腔に対する作用力を生じさせず、人体の体腔の損傷が回避される、または、本発明の編組ステントはランダムに変形させることおよび曲げることが可能であり、曲げられ変形した状態が維持される。本発明は、人体の湾曲した体腔、例えば人体の大きめの直径を有する湾曲した腸管、または、人体の脳の細めの部分の脳血管に特に適しており、本発明の編組ステントは安全性を大幅に改善する。
【0035】
様々な状態の人体の体腔に適した編組ステントを提供するために、編組ステントのつる巻き角αは10°~50°であり、このことにより異なる収縮率を有する編組ステントを提供することができる。編組ステントの編組用ワイヤIおよびIIの曲げ角度βは30°~60°であり、曲げ角度βの差によって編組ステントの編組グリッド密度を変えることができ、このことによって編組ステント全体の半径方向の支持力を調整することができる。曲げ角度βは好ましくは35°~45°である。編組ステントの3番目の編組リングからN番目の編組リングまでの編組用ワイヤIおよびIIの螺旋間隔Sは0.2~10mmであるが、これは異なる直径を有する編組ステントの状態に適合可能である。編組ステントは複数の編組用ワイヤで構成されており、上述した編組用ワイヤIおよびIIはいずれも1本のフィラメントである、つまり、2本のフィラメントで本発明の編組ステントを編組することができるが、製作工程の生産効率が低下することになり、複数の編組用ワイヤの1/3~2/3を分解性材料の編組用ワイヤが占める、複数の編組用ワイヤであれば、編組効率を大幅に改善することができる、例えば、編組ステントを上述の編組構造にしたがって3本の編組用ワイヤで構成し、2本が金属合金ワイヤであり、1本が分解性材料から製作した編組用ワイヤであるか、または、編組ステントを4本の編組用ワイヤで構成し、2本が金属合金ワイヤである。分解性材料で製作された2本の編組用ワイヤ、当然ながら、5本または6本のワイヤでも、編組ステントを構成することができ、分解性材料の上述した編組用ワイヤは、上述した編組用ワイヤの構造にしたがって編組してもよい。あるいは、金属合金編組用ワイヤと混合してから編組することができる。混合された編組金属合金ワイヤの直径は、編組ステントの最初の半径方向の支持力を低下させることなく小さくすることが可能である。一定期間人体に入った後で、分解性編組用ワイヤは分解され、人体の体腔内の金属量が減少し、異物に対する人体の拒絶反応が軽減される。
【0036】
図10は、編組用ワイヤを平面的に展開した状態の牽引デバイスの構造を示す。
図11は、編組用ワイヤの編組ステントを組み合わせた後の牽引デバイスの外観を示す概略図を示す。
図12は、牽引デバイスと編組ステントとの間の接続部の、部分拡大構造概略図を示す。
図13は、レーザエッチング加工により形成された金属管である牽引デバイスの構造概略図を示す。
図14は、牽引デバイスと編組ステントとの間の接続部の、部分拡大構造概略図を示す。
【0037】
図15は、編組ステントの端部部分におけるフック型接続端部の構造概略図である。
図16は、編組ステントの端部部分における管状接続端部の構造概略図である。
【0038】
使用時、本発明は強制的な半径方向圧縮によって送達管体内に設置され、その後人体の必要な体腔内に送達され、解放されると、編組ステントは予め設定された通常状態に戻って体腔を支持する役割を果たす。ある期間の実使用後、上述した編組ステントを人体から取り出す必要があり、したがって、管状編組ステントの一端には、ステントの解放および回収を容易にするための牽引デバイスが設けられている。
図8および
図9に示すように、牽引デバイスは、編組用ワイヤから構成される複数の牽引ワイヤ1を有し、複数の牽引ワイヤ1は収束して接続端部2に固定的に接続され、接続端部2に接続することにより、人体の体腔内に投入される捕捉デバイスを介して、編組ステントが回収され、人体が取り出され、接続端部2が人体の体腔内の可動体に与える影響を回避するために、上述した接続端部2は偏心させて配置され、つまり、接続端部2は編組ステントの内腔の編組された壁面の延長線上に位置付けられ、このことにより、阻害する液体の流れを減少させ、治療効果を改善することができる。
【0039】
本発明について上で詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者であれば本発明の原理にしたがって様々な修正を行うことができる。したがって、本発明には本発明の修正および変更が含まれることが意図されているが、ただしそれら修正および変更は、付属の請求項およびそれらの等価物の範囲内にあるものとする。
【国際調査報告】