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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】高濃度二重特異性抗体製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240325BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240325BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240325BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240325BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240325BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240325BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240325BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240325BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240325BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240325BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P11/00
A61K47/42
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/18
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N9/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564087
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2022053733
(87)【国際公開番号】W WO2022224187
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/177,518
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/180,690
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/309,230
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】クノーブラウフ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】トルネ,サチェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC27
4C076DD41
4C076DD49
4C076DD55
4C076DD67
4C076EE23F
4C076EE41Q
4C076FF14
4C076FF16
4C076FF36
4C076FF63
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体の高濃度製剤を含む安定な水性医薬組成物、及びその調製方法が提供される。本明細書ではまた、本明細書に開示される安定な水性医薬組成物を対象に皮下投与することによって、処置を必要とする対象においてがんを処置する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体及びヒアルロニダーゼを含む、安定な水性医薬組成物であって、前記抗体は、
a.配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域1(VH1)を含む、第1の重鎖(HC1);
b.配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域1(VL1)を含む、第1の軽鎖(LC1);
c.配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域2(VH2)を含む、第2の重鎖(HC2);
d.配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域2(VL2)を含む、第2の軽鎖(LC2);
を含み、前記組成物は、約1,050mg~約2,240mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体、及び約13,000U~約28,000Uの前記ヒアルロニダーゼを含む、安定な水性医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約1,050mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約1,400mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項4】
前記組成物が、約1,575mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項5】
前記組成物が、約1,600mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約2,100mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約2,240mgの前記二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、請求項1に記載の安定な組成物。
【請求項8】
安定な水性医薬組成物であって、
a)約144mg/mL~約176mg/mLの二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体であって、前記二重特異性抗体は、
HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、
軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、
HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、及び
軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、
を含み、
前記VH1は、それぞれ配列番号1、2及び3の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、前記VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、前記VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、前記VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含む、
二重特異性抗体と、
b)約10mM~約50mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩と、
c)約6.8%(w/v)~約10.2%(w/v)のスクロースと、
d)約0.036%(w/v)~約0.084%(w/v)のポリソルベート80(PS80)と、
e)約0.8mg/mL~約1.2mg/mLのメチオニンと、
f)約16μg/mL~約24μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、
g)任意選択で、約1,000U/mL~約3,000U/mLのヒアルロニダーゼと、
h)約5.2~約6.2のpHと、
を含む、安定な水性医薬組成物。
【請求項9】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むLC1可変領域とを含む、請求項8に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項10】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域と、配列番号16のアミノ酸配列を含むLC2可変領域とを含む、請求項8又は請求項9に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項11】
前記HC1が配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記LC1が配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項12】
前記HC2が配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記LC2が配列番号20のアミノ酸配列を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項13】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品である、請求項8~12のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項14】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、約160mg/mLの濃度を有する、請求項8~13のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項15】
前記酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩が、約30mMの濃度を有する、請求項8~14のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項16】
前記酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩が、氷酢酸及び/又は酢酸ナトリウム三水和物を含む、請求項8~15のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項17】
約8.5%(w/v)のスクロースを含む、請求項8~16のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項18】
約0.06%(w/v)のPS80を含む、請求項8~17のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項19】
前記メチオニンが、L-メチオニンを含み、かつ約1mg/mLの濃度を有する、請求項8~18のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項20】
前記EDTAが、約20μg/mLの濃度を有する、請求項8~19のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項21】
前記pHが、約5.7である、請求項8~20のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項22】
前記ヒアルロニダーゼが、ヒトヒアルロニダーゼ、任意選択では配列番号25のアミノ酸配列を含む可溶性ヒトPH20である、請求項8~21のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項23】
前記濃度rHuPH20が、約1,000U/mL~約3,000U/mLである、請求項8~22のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項24】
前記濃度rHuPH20が、約2,000U/mLである、請求項8~23のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項25】
安定性が、溶液の色、pH、濁度、肉眼では見えない粒子の数、アグリコシル化重鎖(AGHC)のパーセンテージ、新たなピークのパーセンテージ、高分子量種(HMWS)のパーセンテージ、低分子量種(LMWS)のパーセンテージ、酸性ピークの合計のパーセンテージ、塩基性ピークの合計のパーセンテージ、タンパク質濃度、EGFR結合活性のパーセンテージ、cMet結合活性のパーセンテージ、PS80のパーセンテージ、任意選択でrHuPH20活性のパーセンテージ、又はこれらの任意の組み合わせに基づいて定義される、請求項8~24のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項26】
前記組成物の総体積が約6mL~約9mLの範囲である、請求項8~25のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項27】
前記組成物の総体積が、約7.1mLである、請求項24に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物の総体積が、約6.6mLである、請求項24に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項29】
前記組成物の総体積が、約8.75mLである、請求項24に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項30】
約160mg/mLの前記二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTAとともに含み、前記安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有し、
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2を含む、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項31】
約160mg/mLの前記二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、約1mg/mLのL-メチオニンを、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTA、並びに約2,000U/mLの最終濃度までのrHuPH20とともに含み、前記安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有し、
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2を含む、
請求項1~29のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物。
【請求項32】
処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記投与が、皮下である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記がんが、肺がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、肝細胞がん(HCC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、甲状腺髄様がん(MTC)、胃食道がん(GEC)、中皮腫、乳がん(BC)、又は卵巣がん(OC)を含む、請求項30~31に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)を含む、請求項32~33に記載の方法。
【請求項36】
EGFR及びcMetを標的とする二重特異性抗体の安定な水性医薬組成物を調製するための方法であって、EGFR及びcMetを標的とする前記二重特異性抗体は、HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、を含み、前記VH1は、それぞれ配列番号1、2及び3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2及びLCDR3を含み、前記VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、前記VL2は、それぞれ配列番号10、11、及び12のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、前記方法は、
約160mg/mLの前記二重特異性抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを含む組成物を、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTA、任意選択で約2,000U/mLの最終濃度までのrHuPH20と組み合わせることを含み、前記安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有する、方法。
【請求項37】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むLC1可変領域とを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域と、配列番号16のアミノ酸配列を含むLC2可変領域とを含む、請求項36~37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)とを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2と、配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2とを含む、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗体が、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品である、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~31のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物及びその使用説明書を含む、キット。
【請求項43】
請求項1~31のいずれか一項に記載の安定な水性医薬組成物を保持する容器を含む、製造品。
【請求項44】
前記容器が、シリンジによって穿刺可能な栓を有するバイアルである、請求項43に記載の製造品。
【請求項45】
前記バイアルが、単回使用バイアルである、請求項44に記載の製造品。
【請求項46】
前記がんの処置に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記がんが、肺がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、肝細胞がん(HCC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、甲状腺髄様がん(MTC)、胃食道がん(GEC)、中皮腫、乳がん(BC)、又は卵巣がん(OC)を含む、を含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)を含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
がんを処置するための医薬品の調製に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することによって、処置を必要とする対象においてがんを処置するための、医薬組成物の使用。
【請求項51】
前記投与が、皮下である、請求項50に記載の医薬組成物の使用。
【請求項52】
請求項1に記載の安定な水性医薬製剤を患者へ皮下投与することを含む、アミバンタマブで処置された対象における注入関連反応を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月21日に出願された米国仮出願第63/177,518号、2021年4月28日に出願された米国仮出願第63/180,690号、及び2022年2月11日に出願された米国仮出願第63/309,230号の優先権を主張する。上記出願の全容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2022年4月7日付けで作成された、「JBI6529WOPCT1SEQLIST.txt」というファイル名のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された、42KBのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
皮下投与を含む投与のための二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、安定な組成物の組成、並びに安定な組成物を用いる方法及び製剤化する方法が開示される。
【0004】
(発明の背景)
がんにおける上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB1又はHER1)及び肝細胞増殖因子受容体(c-Met)の両方の役割は十分に確立されており、これらの標的を併用療法にとって魅力的なものにしている。いずれの受容体も、同じ生存経路及び抗アポトーシス経路(ERK及びAKT)を通してシグナルを伝達する。EGFR及びc-Met又は二重特異性抗EGFR/c-Met分子を標的とする併用療法は、様々な臨床試験において試験されている。
【0005】
二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は有望な結果を示しているが、冷蔵温度(2~8℃)及び周囲温度で長期間安定である一方、それらの投与様式に最適に製剤化されている、そのような抗体を含む医薬組成物が当該技術分野において依然として必要とされている。
【0006】
(発明の概要)
本明細書では、二重特異性抗体の特定の製剤を含む安定な水性医薬組成物が開示される。
【0007】
一態様では、二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体及びヒアルロニダーゼを含む、安定な水性医薬組成物が本明細書で提供されるが、抗体は、
配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域1(VH1)を含む、第1の重鎖(HC1)、
配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域1(VL1)を含む、第1の軽鎖(LC1)、
配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域2(VH2)を含む、第2の重鎖(HC2)、
配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域2(VL2)を含む、第2の軽鎖(LC2)、
を含み、組成物は、約1,050mg~約2,240mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体、及び約13,000U~約28,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1,050mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1,400mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1,575mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1,600mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、約2,100mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、組成物は、約2,240mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む。
【0014】
一態様では、本明細書では、安定な水性医薬組成物であって、
a)約144mg/mL~約176mg/mLの二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体であって、二重特異性抗体は、
HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、
軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、
HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、及び
軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、
を含み、
VH1は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含む、
二重特異性抗体と、
b)約10mM~約50mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩と、
c)約6.8%(w/v)~約10.2%(w/v)のスクロースと、
d)約0.036%(w/v)~約0.084%(w/v)のポリソルベート80(PS80)と、
e)約0.8mg/mL~約1.2mg/mLのメチオニンと、
f)約16μg/mL~約24μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、
g)任意選択で、約1,000U/mL~約3,000U/mLのヒアルロニダーゼと、
h)約5.2~約6.2のpHと、
を含む、安定な水性医薬組成物である。
【0015】
いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを、ポリソルベート80が最終濃度約0.06%(w/v)、及びEDTAが最終濃度約20μg/mLになるように含み、安定な水性医薬組成物はpH約5.7を有し、二重特異性EGFR-cMet抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)と、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)と、配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2と、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを、ポリソルベート80が最終濃度約0.06%(w/v)、EDTAが最終濃度約20μg/mL、及びrHuPH20が最終濃度約2,000U/mLになるように含み、安定な水性医薬組成物はpH約5.7を有し、二重特異性EGFR-cMet抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)と、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)と、配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2と、を含む。
【0017】
本明細書では、処置を必要とする対象においてがんを処置する方法もまた提供される。本方法は、本明細書に開示の安定な水性医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0018】
本明細書ではまた、本明細書で開示された安定な水性医薬製剤を対象へ皮下投与することを含む、アミバンタマブで処置された対象における注入関連反応を低減する方法もまた提供される。
【0019】
本明細書ではまた、EGFR及びcMetを標的とする二重特異性抗体の安定な水性医薬組成物を調製するための方法であって、当該EGFR及びcMetを標的とする二重特異性抗体は、HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、を含み、VH1は、それぞれ配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3を含み、VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2及びLCDR3を含み、VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列を含む、方法が提供される。本方法は、約160mg/mLの二重特異性抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを含む組成物を、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTA、任意選択で約2,000U/mLの最終濃度までのrHuPH20と組み合わせることを含み、安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有する、方法を含む。
【0020】
また、本明細書では、本明細書に開示の安定な水性医薬製剤及びその使用説明書を含むキットも提供される。
【0021】
本明細書では、本明細書に開示の安定な水性医薬製剤を保持する容器を含む製造品も更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】アミバンタマブ用量の血清濃度-時間プロファイルを示す。
図2】最初のSCアミバンタマブ投与後の、可溶性遊離EGFR及びMETの飽和を示す。LLOQ-定量下限値、Pre-投与前、「C」-処置サイクルを示す(各サイクルは28日間であった)、「D」-処置サイクル内の日数を示す。
【0023】
(発明の詳細な記述)
本開示の方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示の方法は、本明細書に記載及び/又は示される特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、特許請求された方法に限定することを意図しないことを理解されたい。
【0024】
特別な記述がない限り、動作に関する可能なメカニズム又は形態、あるいは改善の理由についてのあらゆる記載は、説明のみを意図したものであり、本開示の組成物及び方法は、そのようないかなる提案されている動作に関するメカニズム又は形態、あるいは改善の理由の是非によっても制限されない。
【0025】
数値の範囲が本明細書で列挙又は確立される場合、この範囲は、その端点、並びにその範囲内の全ての個々の整数及び有理数を含み、更に、これらの端点及び内部整数及び有理数の全ての種々の可能な組み合わせによって形成される、その中のより狭い範囲のそれぞれを含み、それらのより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されたかのように、記載の範囲内の値のより大きい群の小群を形成する。数値の範囲が、記載される値よりも大きいと本明細書に記載される場合、その範囲はそれにもかかわらず有限であり、本明細書に記載される本発明の文脈内で動作可能である値によって、その上限が画定される。数値の範囲が、記載される値よりも小さいと本明細書に記載される場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によって、その下限が画定される。本発明の範囲が、範囲を定義する際に列挙される特定の値に限定されることを意図しない。範囲はいずれも境界値を含み、組み合わせが可能である。
【0026】
値が、先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。特定の数値に関する言及は、文脈上その他に明記されない限り、少なくともその特定の値を含むものとする。
【0027】
また、明確さのために本明細書では別々の実施形態の文脈で説明される、本開示の組成物及び方法の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることも理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で説明される、本開示の組成物及び方法の種々の特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供される場合もある。
【0028】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含むものとする。
【0029】
本明細書の態様に関する様々な用語が、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。別段の指示がない限り、このような用語には、当該技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書で提供される定義と一致する様式で解釈されるものとする。
【0030】
本明細書で使用される「約」とは、数値範囲、カットオフ、又は特定の値に関連して使用される場合、列記された値が、列挙された値から最大10%変動し得ることを示すために使用される。本明細書で使用される数値の多くが実験的に決定されるため、当業者であれば、かかる決定が、異なる実験間で異なる場合があり、多くの場合、異なるであろうことを理解するはずである。本明細書で使用される値は、この固有の変動によって過度に制限されるとみなされるべきではない。したがって、用語「約」とは、規定値からの±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、又は±0.1%以下の変動を包含するために使用される。
【0031】
同様に、用語「を含む(comprising)」とは、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び用語「からなる(consisting of)」によって包含される例を含むことを意図する。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことを意図する。
【0032】
「抗体」という用語及び同様の用語は、広義に意図されており、モノクローナル抗体(マウス、ヒト、ヒト適合化、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体など)、抗体フラグメント、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、及び一本鎖抗体を含む、免疫グロブリン分子又はそのフラグメントを含む。
【0033】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4として更に細かく分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられ得る。
【0034】
「抗体フラグメント」とは、親完全長抗体の抗原結合特性を保持する免疫グロブリン分子の一部分を指す。例示的な抗体フラグメントは、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2、及び3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2、及び3、重鎖可変領域(VH)、又は軽鎖可変領域(VL)である。抗体フラグメントには、VL、VH、定常軽鎖(CL)、及び(定常重鎖1)CH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメントと、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)フラグメントと、VH及びCHIドメインからなるFdフラグメントと、抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメントと、VHドメインからなるドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al.,Nature,341:544~546,1989)と、が含まれる。VHドメイン及びVLドメインは、操作され、合成リンカーを介して一緒に連結して様々な種類の一本鎖抗体設計を形成することができるが、VH/VLドメインは、分子内で対合するか、又はVHドメイン及びVLドメインが別々の一本鎖抗体構築物によって発現される場合には分子間で対合して、一本鎖Fv(scFv)又はダイアボディなどの一価の抗原結合部位を形成する。例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に既知の技法を使用して得られ、これらのフラグメントは、完全長抗体の場合と同じ方法で、有用性についてスクリーニングされる。
【0035】
抗体可変領域は、3つの「抗原結合部位」によって中断された「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、様々な用語を用いて定義される:(i)VH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)の相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づいている(Wu and Kabat J Exp Med 132:211-50,1970;Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、及び(ii)VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)の「超可変性領域」(「HVR」又は「HV」)は、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk Mol Biol 196:901-17,1987)により定義される通り、構造において超可変性である、抗体可変ドメインの領域を指す。他の用語には、「IMGT-CDR」(Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003)及び「Specificity Determining Residue Usage」(SDRU)(Almagro Mol Recognit 17:132-43,2004)が含まれる。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準的番号及び定義を提供する。CDR、HV及びIMGTの概要説明の対応関係は、Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003に記載されている。
【0036】
「モノクローナル抗体」とは、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示し、又は二重特異性モノクローナル抗体の場合には、2つの別個のエピトープに対する二重結合特異性を示す。したがって、モノクローナル抗体とは、抗体重鎖からのC末端リシンの除去などの可能な周知の改変を除いて、各重鎖及び各軽鎖のアミノ酸組成が単一である抗体集団のことを指す。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。二重特異性抗体は、モノクローナル抗体という用語に含まれる。
【0037】
(認可済み標準製剤/生物学的薬剤、すなわち、列挙した医薬の)「バイオ後続品」という用語は、臨床的に不活性な成分にわずかな相違があるものの、次の(a)~(c)から得たデータに基づいて、安全性、純度、及び作用強度の点でバイオ後続品と標準製剤との間に臨床的に重要な違いがない、標準製剤に極めて類似した生物学的製剤を指す:(a)生物学的製剤は、臨床的に不活性な成分にわずかな相違があるものの、標準製剤に極めて類似していることを実証する分析的研究、(b)動物実験(毒性の評価を含む)、並びに/あるいは(c)標準製剤が認可される使用条件及び標準製剤の使用が意図される条件、並びにバイオ後続品に対する認可付与のための条件などの1つ以上の適切な使用条件の下での安全性、純度、及び作用強度を証明するのに十分である臨床試験(複数可)(免疫原性及び薬物動態学又は薬力学の評価を含む)。バイオ後続品は、処方する医療従事者の介入なしに薬局で標準製剤の代替品となり得る、互換可能な製品であり得る。「互換性」の更なる基準を遵守すべく、バイオ後続品は、いずれの所与の患者においても標準製剤と同じ臨床結果を生じさせることが求められ、バイオ後続品が個体に複数回投与される場合には、バイオ後続品の使用と標準製剤の使用を交互にすること又は切り替えることによる安全性又は効果の低下に関するリスクは、そのように使用を交互にすること又は切り替えることなく標準製剤を使用した場合のリスクを上回らない。標準製剤の機序が既知である範囲で、バイオ後続品は、提案された使用条件に関して同じ作用機序を利用する。バイオ後続品に関して提案されるラベル表示において定められた、推奨された、又は提示された使用条件(複数可)は、標準製剤に関して既に認可されている。バイオ後続品の投与経路、剤形、及び/又は強度は、標準製剤のものと同じであり、バイオ後続品は、バイオ後続品が安全性、純度及び強度を確実に維持し続けるように設計された基準を満たす設備で製造、加工、包装又は保持される。バイオ後続品は、標準製剤と比較した場合に、バイオ後続品の性能を変化させないと予想されるアミノ酸配列の若干の改変(例えば、N末端又はC末端短縮)を含んでもよい。
【0038】
「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合する抗原の一部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は多糖類側鎖などの部位の化学的に活性な(極性、非極性、又は疎水性など)表面基からなり、特定の三次元構造特性だけでなく、特定の電荷特性も有し得る。エピトープは、立体配座的な空間単位を形成する連続的な、かつ/又は不連続的なアミノ酸で構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0039】
「ヒアルロニダーゼ」とは、ヒアルロン酸を分解する酵素を指す。この酵素は、他の同時投与された医薬の組織への分散及び吸収を増加させるために使用されることが多い(例えば、皮下注入(subcutaneous injections)、皮下注入(subcutaneous infusion)、例えば皮下注入(hypodermoclysis)など)。より具体的には、ヒト組換えDNA由来ヒアルロニダーゼ酵素PH20(rHuPH20)は、特に大量に注射する場合、皮下への医薬注入を増加させるためにしばしば使用される。
【0040】
「変異体」とは、例えば、置換、挿入、又は欠失などの1つ以上の改変により参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0041】
「~と組み合わせて」とは、2つ以上の治療薬が、対象に、混合物で一緒に、単独の薬剤として同時に、又は単独の薬剤として任意の順序で順次に投与され得ることを意味する。
【0042】
「処置する」、「処置」、及び同様の用語は、治療処置、及び予防又は防止処置の両方を指し、症状の重症度及び/又は頻度を低減させること、症状及び/又は症状の根本原因を排除すること、症状の頻度若しくは可能性及び/又は症状の根本原因を低減させること、悪性腫瘍によって直接的に又は間接的に引き起こされた損傷を改善すること又は修復することを含む。処置は、処置を受けていない対象の予想生存期間と比較して、生存期間を延長させることも含む。処置される対象には、容態若しくは疾患に罹患している対象、並びに容態又は疾患に易罹患性の対象、又は容態若しくは疾患が防止される対象が含まれる。
【0043】
「治療有効量」とは、必要な投与量で必要な期間にわたって所望の治療を達成するのに有効な開示される併用療法の量を指す。治療有効量は、対象の病状、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに対象に所望の応答を誘発する併用療法の能力によって異なり得る。治療有効量の例示的な指標としては、例えば、患者の健康状態の改善、腫瘍量の減少、腫瘍の成長の停止若しくは遅延、及び/又は体内の他の場所へのがん細胞の転移の不在が挙げられる。
【0044】
用語「がん」は、本明細書で使用される場合、異常細胞の急速かつ制御されない増殖を特徴とする疾患として定義される。がん細胞は、局所的に、又は血流及びリンパ系を介して身体の他の部分に拡散し得る。種々のがんの例としては、固形悪性腫瘍、例えば、乳がん(BC)、前立腺がん、卵巣がん(OC)、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、胃食道がん(GEC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、肝臓がん、肝細胞がん(HCC)、脳がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN))、リンパ腫、白血病、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCL)又は小細胞肺がん(SCLC))、甲状腺髄様がん(MTC)、及び中皮腫などが挙げられるが、これらに限定されない。固形悪性腫瘍は転移性又は切除不能であり得る。固形悪性腫瘍は組織学的又は細胞学的に確認され得る。
【0045】
本明細書で使用される参照材料(RM)とは、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品の約0.2mLアリコートを含有し、かつ臨床原体のための適正製造規範(GMP)で使用される、バイアルを指す。RMを少なくとも-60℃で保存し、融解し、アミバンタマブ分析アッセイにおいて対照として使用する。
【0046】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳類及び非哺乳類が挙げられる。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0047】
「注入関連反応」又は「IRR」は、アミバンタマブなどの二重特異性EGFR/c-Met抗体が投与される一部の患者で起こり得る。IRRの徴候及び症状としては、呼吸困難、潮紅、発熱、悪寒、悪心、胸部不快感、低血圧、及び/又は嘔吐が挙げられ得る。新たなタンパク質治療薬注入の導入の際、重篤な反応を含む全身性IRRもまた起こり得る。
【0048】
説明
本明細書では、二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む安定な水性医薬組成物が開示される。二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と、医薬的に許容される担体と、を含む、好適な医薬組成物で提供され得る。安定な水性医薬組成物は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体が皮下投与される、1つ以上の希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを含み得る。例示的な賦形剤には、緩衝剤、安定剤、キレート剤、界面活性剤、及び酵素のうち1つ以上が含まれる。いくつかの実施形態によれば、二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む安定な水性医薬組成物は、緩衝剤、安定剤、キレート剤、界面活性剤、及び任意選択的にヒアルロニダーゼを更に含む。本明細書で提供される二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む安定な水性医薬組成物はまた、医薬品又はDPとも称される。
【0049】
いくつかの態様では、二重特異性EGFR/c-Met抗体は、HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、を含み、VH1は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列を含み、VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列を含む(表29参照)。
【0050】
いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第1重鎖(HC1)は、HC1定常ドメイン3(HC1 CH3)及びHC1可変領域1(VH1)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第2重鎖(HC2)は、HC2定常ドメイン3(HC2 CH3)及びHC2可変領域2(VH2)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第1の重鎖(HC1)は、HC1定常ドメイン3(HC1 CH3)及びHC1可変領域1(VH1を含み、二重特異性EGFR-cMet抗体の第2の重鎖(HC2)は、HC2定常ドメイン3(HC2 CH3)及びHC2可変領域2(VH2)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第1の重鎖(HC1)は、HC1定常ドメイン2及び定常ドメイン3(HC1 CH2-CH3)並びにHC1可変領域1(VH1)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第2の重鎖(HC2)は、HC2定常ドメイン2及び定常ドメイン3(HC2 CH2-CH3)並びにHC2可変領域2(VH2)を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体の第1の重鎖(HC1)は、HC1定常ドメイン2及び定常ドメイン3(HC1 CH2-CH3)並びにHC1可変領域1(VH1)を含み、二重特異性EGFR-cMet抗体の第2の重鎖(HC2)は、HC2定常ドメイン2及び定常ドメイン3(HC2 CH2-CH3)並びにHC2可変領域2(VH2)を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、HC1 CH2-CH3領域、HC2 CH2-CH3領域、又はその両方に非対称安定化突然変異を含む。「非対称安定化突然変異」は、第1及び第2のCH2-CH3領域内の異なる位置にあり、第1のCH2-CH3領域又は第2のCH2-CH3領域間のホモ二量体形成よりも第1のCH2-CH3領域と第2のCH2-CH3領域との間のヘテロ二量体形成に有利に働く(例えば、安定化させる)、第1のCH2-CH3領域及び第2のCH2-CH3領域内の突然変異を指す。HC1 CH2-CH3領域及びHC2 CH2-CH3領域内の、又はHC2 CH2-CH3領域及びHC1 CH2-CH3領域内の例示的な非対称安定化突然変異は、以下の通りである(残基の番号付けはEUインデックスに従う):
それぞれF405L及びK409R、
それぞれ野生型及びF405L/R409K、
それぞれT366W及びT366S/L368A/Y407V、
それぞれT366Y/F405A及びT394W/Y407T、
それぞれT366W/F405W及びT394S/Y407A、
それぞれF405W/Y407A及びT366W/T394S、
それぞれL351Y/F405A/Y407V及びT394W、
それぞれT366I/K392M/T394W及びF405A/Y407V、
それぞれT366L/K392M/T394W及びF405A/Y407V、
それぞれL351Y/Y407A及びT366A/K409F、
それぞれL351Y/Y407A及びT366V/K409F、
それぞれY407A及びT366A/K409F、
それぞれD399K/E356K及びK409D/K392D、又は
それぞれD399K/E356K/E357K及びK409D/K392D/K370。
【0052】
いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むLC1可変領域と、を含む(表29参照)。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、HC1 CH2-CH3領域、HC2 CH2-CH3領域、又はその両方に非対称安定化突然変異を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体はc-Met結合アームにK409Rを含み、EGFR結合アームにF405Lを含む。
【0053】
いくつかの態様では、二重特異性EGFR-cMet抗体は、配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域と、配列番号16のアミノ酸配列を含むLC2可変領域と、を含む(表29参照)。
【0054】
いくつかの実施形態では、重鎖1(HC1)は、配列番号17のアミノ酸配列を含み、HC2は、配列番号19のアミノ酸配列を含む(表29参照)。
【0055】
いくつかの実施形態では、軽鎖1(LC1)は、配列番号18のアミノ酸配列を含み、LC2は、配列番号20のアミノ酸配列を含む(表29参照)。
【0056】
いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体は、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品である。
【0057】
アミバンタマブ
アミバンタマブ(JNJ-61186372)とは、化学療法による処置後にEGFRエクソン20ins突然変異を有する患者についてFDAによって承認されている、EGFR及びcMETチロシンキナーゼ受容体に対する低フコース完全ヒトIgG1ベースの二重特異性抗体である。
【0058】
アミバンタマブは、原発性活性化EGFR突然変異(エクソン19欠失[エクソン19del]、アルギニン置換に対するエクソン21ロイシン858([L858R]、及びエクソン20ins変異)、EGFR耐性突然変異(メチオニンに対するチロシン790[T790M]、又はセリンに対するシステイン797[C797S]突然変異)、過剰発現野生型EGFR、及びcMet経路の活性化を有する腫瘍に対して活性を示す。
【0059】
ラゼルチニブは、エクソン19del及びエクソン21 L858R EGFR活性化変異と、T790M耐性突然変異との両方を標的とする、経口の非常に強力な変異選択的かつ不可逆的な第三世代EGFR TKIである。ラゼルチニブは、EGFR突然変異NSCLCの参加者において有効性を実証しており、全身性及び中枢神経系病変の両方で活性が観察され、血液脳関門を通過するその能力を実証している。細胞内EGFRチロシンキナーゼ部位を標的とするラゼルチニブと、細胞外EGFRリガンド結合ドメインを標的とするアミバンタマブとを組み合わせることは、EGFRシグナル伝達経路をより強力に阻害し、EGFR TKIに対する頻繁なEGFR依存性及び独立性の耐性機構を弱め、いずれかの薬剤単独よりも深い応答を誘導する可能性を有する。
【0060】
いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、二重特異性EGFR-cMet抗体を、約100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、121mg/mL、122mg/mL、123mg/mL、124mg/mL、125mg/mL、126mg/mL、127mg/mL、128mg/mL、129mg/mL、130mg/mL、131mg/mL、132mg/mL、133mg/mL、134mg/mL、135mg/mL、136mg/mL、137mg/mL、138mg/mL、139mg/mL、140mg/mL、141mg/mL、142mg/mL、143mg/mL、144mg/mL、145mg/mL、146mg/mL、147mg/mL、148mg/mL、150mg/mL、151mg/mL、152mg/mL、153mg/mL、154mg/mL、155mg/mL、156mg/mL、157mg/mL、158mg/mL、159mg/mL、160mg/mL、161mg/mL、162mg/mL、163mg/mL、164mg/mL、165mg/mL、166mg/mL、167mg/mL、168mg/mL、169mg/mL、170mg/mL、171mg/mL、172mg/mL、173mg/mL、174mg/mL、175mg/mL、176mg/mL、177mg/mL、178mg/mL、179mg/mL、180mg/mL、181mg/mL、182mg/mL、183mg/mL、184mg/mL、185mg/mL、186mg/mL、187mg/mL、188mg/mL、190mg/mL、191mg/mL、192mg/mL、193mg/mL、194mg/mL、195mg/mL、196mg/mL、197mg/mL、198mg/mL、199mg/mL、又は200mg/mLの濃度で含む。いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR-cMet抗体は、約160mg/mLの濃度を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約1750mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約140mg~約2100mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mg~約2240mgの用量で投与される。
【0062】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、約1000mg、約1010mg、約1020mg、約1030mg、約1040mg、約1050mg、約1060mg、約1070mg、約1080mg、約1090mg、約1100mg、約1110mg、約1120mg、約1130mg、約1140mg、約1150mg、約1160mg、約1170mg、約1180mg、約1190mg、約1200mg、約1210mg、約1220mg、約1230mg、約1240mg、約1250mg、約1260mg、約1270mg、約1280mg、約1290mg、約1300mg、約1310mg、約1320mg、約1330mg、約1340mg、約1350mg、約1360mg、約1370mg、約1380mg、約1390mg、約1400mg、約1410mg、約1420mg、約1430mg、約1440mg、約1450mg、約1460mg、約1470mg、約1480mg、約1490mg、約1500mg、約1510mg、約1520mg、約1530mg、約1540mg、約1550mg、約1560mg、約1570mg、約1575mg、約1580mg、約1590mg、約1600mg、約1610mg、1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、約1700mg、約1710mg、約1720mg、約1730mg、約1740mg、約1750mg、約1760mg、約1770mg、約1780mg、約1790mg、約1800mg、約1810mg、約1820mg、約1830mg、約1840mg、約1850mg、約1860mg、約1870mg、約1880mg、1890mg、約1900mg、約1910mg、約1920mg、約1930mg、約1940mg、約1950mg、約1960mg、約1970mg、約1980mg、約1990mg、約2000mg、約2010mg、約2020mg、約2030mg、約2040mg、約2050mg、約2060mg、約2070mg、約2080mg、約2090mg、約2100mg、約2110mg、約2120mg、約2150mg、約2200mg、約2210mg、約2220mg、約2230mg、約2240mg、約2250mg、約2260mg、約2270mg、約2280mg、約2290mg、又は約2300mgの用量で投与される。
【0063】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mg、約700mg、約1050mg、約1400mg、約1575mg、又は約2100mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約700mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約750mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約800mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約850mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約900mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約950mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1050mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1100mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1150mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1250mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1300mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1350mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1400mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1575mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約1600mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約2100mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、約2240mgの用量で投与される。
【0064】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1050mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1400mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1575mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約1600mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、約2100mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、約2240mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。
【0065】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1050mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1400mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1575mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約1600mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約2100mgの二重特異性抗は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、約2240mgの二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。
【0066】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週2回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、4週間に1回投与される。
【0067】
併用療法の場合、1つ以上の抗がん剤は、推奨された抗がん剤の投与量を用いて投与され得る。
【0068】
緩衝剤は、pHを約5.0~6.2、例えばpH5.1~5.7などに調整するのに適している。例示的な緩衝液は、ヒスチジン緩衝液又は酢酸緩衝液である。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、約8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、35mM、36mM、37mM、38mM、39mM、40mM、41mM、42mM、43mM、44mM、45mM、46mM、47mM、48mM、49mM、50mM、51mM、52mM、53mM、54mM、55mM、46mM、47mM、48mM、49mM、又は60mMの濃度のヒスチジン及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩を含む。いくつかの実施形態では、ヒスチジン及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩は、約10mMの濃度を有する。いくつかの実施形態では、ヒスチジン及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩は、約50mMの濃度を有する。更なる実施形態では、ヒスチジン及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩は、L-ヒスチジン及びL-ヒスチジン塩酸塩一水和物を含む。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、約8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、35mM、36mM、37mM、38mM、39mM、40mM、41mM、42mM、43mM、44mM、45mM、46mM、47mM、48mM、49mM、又は50mMの濃度の酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩は、約30mMの濃度を有する。更なる実施形態では、酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩は、氷酢酸及び/又は酢酸ナトリウム三水和物を含む。
【0069】
安定剤は、スクロース及び任意選択でメチオニンを含んでもよい。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、約6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、9.9%、10.0%、10.1%、10.2%、10.3%、10.4%、10.5%、10.6%、10.7%、10.8%、10.9%、又は11.0%の濃度(重量対体積パーセント(%w/v))のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約8.5%(w/v)のスクロースを含む。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、約0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1.0mg/mL、1.1mg/mL、1.2mg/mL、1.3mg/mL、1.4mg/mL、1.5mg/mL、1.6mg/mL、1.7mg/mL、1.8mg/mL、1.9mg/mL、又は2.0mg/mLの濃度でメチオニン(例えば、L-メチオニン)を含む。一実施形態では、メチオニンは、L-メチオニンを含み、かつ約1.0mg/mLの濃度を有する。
【0070】
好ましい界面活性剤はポリソルベート80(PS80)である。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、ポリソルベート80(PS80)を、約0.005%、0.01%、0.015%、0.020%、0.025%、0.030%、0.035%、0.036%、0.037%、0.038%、0.039%、0.040%、0.041%、0.042%、0.043%、0.044%、0.045%、0.046%、0.047%、0.048%、0.049%、0.050%、0.051%、0.052%、0.053%、0.054%、0.055%、0.056%、0.057%、0.058%、0.059%、0.060%、0.061%、0.062%、0.063%、0.064%、0.065%、0.066%、0.067%、0.068%、0.069%、0.070%、0.071%、0.072%、0.073%、0.074%、0.075%、0.080%、0.081%、0.082%、0.083%、0.084%、0.085%、0.086%、0.087%、0.088%、0.089%、0.090%、0.091%、0.092%、0.093%、0.094%、又は0.095%の濃度(%w/v)で含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約0.06%(w/v)のPS80を含む。
【0071】
好ましいキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。いくつかの態様によれば、安定な水性医薬組成物は、EDTAを、約10μg/mL、11μg/mL、12μg/mL、13μg/mL、14μg/mL、15μg/mL、16μg/mL、17μg/mL、18μg/mL、19μg/mL、20μg/mL、21μg/mL、22μg/mL、23μg/mL、24μg/mL、25μg/mL、26μg/mL、27μg/mL、28μg/mL、29μg/mL、又は30μg/mLの濃度で含む。一実施形態では、EDTAは約20μg/mLの濃度を有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む安定な水性医薬組成物は、皮下投与中に抗体の分散を増加させるのに十分な量のヒアルロニダーゼ酵素を含む。本発明の製剤によるヒアルロニダーゼ酵素賦形剤は、本明細書に記載の安定な医薬組成物において二重特異性EGFR/c-Met抗体の分子的完全性に悪影響を及ぼさないことを特徴とする。更に、ヒアルロニダーゼ酵素は、二重特異性EGFR/c-Met抗体の全身循環への送達を単に修飾するだけであるが、全身的に吸収された二重特異性EGFR/c-Met抗体の治療効果を提供するか又はそれに寄与し得るいかなる特性をも有しない。ヒアルロニダーゼ酵素は、全身的に生物学的に利用可能ではなく、本発明による安定な医薬組成物の推奨される保存条件で二重特異性EGFR/c-Met抗体の分子的完全性に悪影響を及ぼさない。本発明によるいくつかの好適なヒアルロニダーゼ酵素が知られている。好ましい酵素は、ヒトヒアルロニダーゼ酵素、例えば可溶性ヒトPH20ヒアルロニダーゼなど、好ましくはrHuPH20として公知の組換えヒトヒアルロニダーゼ酵素生成物である。可溶性ヒトPH20ヒアルロニダーゼのアミノ酸配列には、rHuPH20として公知であり、かつCAS登録番号757971-58-7で入手可能な可溶性ヒトPH20が含まれる。可溶性ヒトPH20ヒアルロニジアーゼ(hyaluronidiase)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2004/078140号及び米国特許第7,767,429号に記載されている。いくつかの実施形態では、可溶性ヒアルロニダーゼには、その配列が配列番号21~25のいずれかに示されるものが含まれる。可溶性PH20ヒアルロニダーゼは、細胞で発現される場合、細胞における輸送のためのシグナル配列を含む。したがって、いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼのアミノ酸配列は、配列番号26を含む。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼの配列のアミノ酸配列、配列番号22、すなわち野生型ヒトヒアルロニダーゼの残基36~482。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼのアミノ酸配列は、配列番号23を含む。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼのアミノ酸配列は、配列番号24を含む。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼrHuPH20のアミノ酸配列は、配列番号25を含む。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼのアミノ酸配列は、配列番号21を含む。いくつかの実施形態では、可溶性PH20ヒアルロニダーゼは、細胞で発現される場合、配列番号21~配列番号25の任意の1つ以上を様々な存在量で含み得る種の混合物を含む。平均分子量は61kDaである。
【0073】
rHuPH20は、一般に天然又は異種シグナル配列(配列番号26の残基1~35)に連結された配列番号26の残基36~482をコードする核酸の、CHO細胞などの細胞での発現時に産生される組成物を指す。rHuPH20は、哺乳類細胞におけるアミノ酸1~482(配列番号26に示す)をコードする核酸分子の発現によって産生される。翻訳処理は35アミノ酸シグナル配列を除去する。培地中で産生される際、rHuPH20と指定される産物が、配列番号26のポリペプチド36~480、ポリペプチド36~481、及びポリペプチド36~482のいずれか1つ以上と、いくつかのより短いポリペプチドとを様々な存在量で含み得る種の混合物を含むように、C末端に不均一性が存在する。典型的には、rHuPH20は、正しいN-グリコシル化を促進して活性を保持するCHO細胞など、例えばDG44 CHO細胞などの細胞で産生される。
【0074】
いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約500U/mL、約750U/mL、約1,000U/mL、約1,250U/mL、約1,500U/mL、約1,750U/mL、約2,000U/mL、約2,250U/mL、約2,500U/mL、約2,750U/mL、約3,000U/mL、約3,250U/mL、約3,500U/mL、約3,750U/mL、又は約4,000U/mLの濃度でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約2,000U/mLの濃度のrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約1,500U/mLの濃度のrHuPH20を含む。いくつかの実施形態によれば、安定な水性医薬組成物は、約0.005mg/mL、約0.0075mg/mL、約0.01mg/mL、約0.0125mg/mL、約0.015mg/mL、約0.0175mg/mL、約0.02mg/mL、約0.0225mg/mL、約0.025mg/mL、約0.0275mg/mL、約0.03mg/mL、約0.0325mg/mL、約0.035mg/mL、約0.0375mg/mL、又は約0.04mg/mLの濃度でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約0.02mg/mLの濃度のrHuPH20を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約10,000U、約11,000U、約12,000U、約13,000U、約13,200U、約14,000U、約15,000U、約16,000U、約17,000U、約17,500U、約18,000U、約19,000U、約19,500U、約19,600U、約19,680U、約19,700U、約20,000U、約21,000U、約22,000U、約23,000U、約24,000U、約25,000U、約26,000U、約26,260U、約26,500U、約26,600U、約26,680U、約26,700U、約27,000U、28,000U、約29,000U、約30,000U、又はこれらの間の任意の値の用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約13,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約13,200Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約14,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約17,500Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約18,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約19,680Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約20,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,260Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,300Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,400Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,500Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約26,600Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約27,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約27,500Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約28,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約28,500Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約29,000Uの用量でrHuPH20を含む。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は、約30,000Uの用量でrHuPH20を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、二重特異性EGFR/c-Met抗体の安定な水性医薬組成物は、ヒスチジン、及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩、スクロース、ポリソルベート80(PS80)、メチオニン、EDTA、約5.2~約6.2のpH、及び任意選択的にはヒアルロニダーゼを含む。安定な水性医薬組成物は、約128mg/mL~約192mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約10mM~約50mMのヒスチジン、及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩、約6.8%(w/v)~約10.2%(w/v)のスクロース、約0.036%(w/v)~約0.084%(w/v)のポリソルベート80(PS80)、約0.8mg/mLまで~約1.2mg/mLのメチオニン、約16μg/mL~約24μg/mLのEDTA、及び約5.2~約6.2のpHを更に含み得る。安定な水性医薬組成物は、任意選択的には、約1,000U/mL~約3,000U/mLのヒアルロニダーゼを含み得る。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体と、約10mMのヒスチジン及び/又は医薬的に許容されるヒスチジン塩と、約8.5%(w/v)のスクロースと、約0.06%(w/v)のポリソルベート80(PS80)と、約1mg/mLのメチオニンと、約20μg/mLのEDTAと、約5.7のpHと、任意選択的には約2,000U/mLのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0077】
他の実施形態では、二重特異性EGFR/c-Met抗体の安定な水性医薬組成物は、酢酸、及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、スクロース、ポリソルベート80(PS80)、メチオニン、EDTA、約5.2~約6.2のpH、及び任意選択的にはヒアルロニダーゼを含む。安定な水性医薬組成物は、約128mg/mL~約192mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約10mM~約50mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約6.8%(w/v)~約10.2%(w/v)のスクロース、約0.036%(w/v)~約0.084%(w/v)のポリソルベート80(PS80)、約0.8mg/mLまで~約1.2mg/mLのメチオニン、約16μg/mL~約24μg/mLのEDTA、及び約5.2~約6.2のpHを含み得る。安定な水性医薬組成物は、任意選択で、約1,000U/mL~約3,000U/mLのヒアルロニダーゼを含み得る。いくつかの実施形態では、安定な水性医薬組成物は約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体と、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩と、約8.5%(w/v)のスクロースと、約0.06%(w/v)のポリソルベート80(PS80)と、約1mg/mLのメチオニンと、約20μg/mLのEDTAと、約5.7のpHと、任意選択的には約2,000U/mLのヒアルロニダーゼと、を含む。
【0078】
本明細書では、治療有効量である本明細書に開示される二重特異性EGFR/c-Met抗体の安定な水性医薬組成物を対象へと投与することによって、それを必要とする対象においてがんを処置する方法が更に提供される。がんは、固形悪性腫瘍、例えば、乳がん(BC)、前立腺がん、卵巣がん(OC)、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、胃食道がん(GEC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、肝臓がん、肝細胞がん(HCC)、脳がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN))、リンパ腫、白血病、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)又は小細胞肺がん(SCLC))、甲状腺髄様がん(MTC)、及び中皮腫などである可能性がある。いくつかの態様によれば、固形悪性腫瘍は、転移性又は切除不能であり得る。いくつかの実施形態では、固形悪性腫瘍は、組織学的又は細胞学的に確認され得る。開示される安定な水性医薬組成物は、例えば、皮下注入によって皮下投与され得る。皮下注入は、上腕、大腿、腹部、又は腰背部などであるがこれらに限定されない、対象の身体の様々な位置で行うことができる。
【0079】
一実施形態では、がんは、肺がんである。一実施形態では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。一実施形態では、がんは、処置未経験の局所進行性又は転移性NSCLCである。一実施形態では、がんは、IVアミバンタマブによって以前に処置されている。一実施形態では、がんは、EGFRエクソン19del突然変異を内包している。一実施形態では、がんは、エクソン21 L858R突然変異を内包している。一実施形態では、がんは、EGFRエクソン20ins突然変異を内包している。一実施形態では、がんは、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による処置のとき又は処置の後で疾患の進行を経験している。
【0080】
本明細書では、本明細書で開示された安定な水性医薬製剤を対象へ皮下投与することを含む、アミバンタマブで処置された対象における注入関連反応を低減する方法が更に提供される。対象は、本明細書に開示されるがんの処置を必要とする。
【0081】
本明細書で更に提供されるのは、本発明の安定な水性医薬組成物を含有する製造品である。一実施形態では、製造品は、投与される安定な水性医薬組成物を含有する栓を備えた、単回使用ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、栓は、シリンジによって穿刺可能である。いくつかの実施形態では、バイアルは、密封される。いくつかの実施形態では、単回使用バイアルは、20mmのアルミニウムシールで覆われた20mmの栓を有する10mLの単回使用ガラスバイアルである。いくつかの実施形態では、バイアルサイズは、それぞれ約4mL、6mL、10mL、12mL、14mL、20ml、26mL、33mL、38mL、又は62mLの容量を有する2R、4R、6R、8R、10R、15R、20R、25R、30R、又は50RのISOフォーマットである。一実施形態では、安定な水性医薬組成物(また、医薬品又はDPと本明細書では称される)の総体積は、約5mL~約10mLの範囲である。一実施形態では、安定な水性医薬組成物(医薬品又はDP)の総体積は、約0.5mL~約20mL、約1mL~約15mL、約5mL~約10mL、又は約6mL~約8mLの範囲である。一実施形態では、安定な水性医薬組成物の総体積は、約0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、6.5mL、6.6mL、6.7mL、7mL、7.1mL、8mL、8.5mL、8.6mL、8.7mL、8.75mL、8.8mL、9mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、18mL、19mL、20mL、25mL、又は30mL、又はその間の任意の範囲である。
【0082】
医薬品の安定性
いくつかの実施形態では、DP安定性は、特定の期間保存した後に決定される。いくつかの実施形態では、DPは、約3ヶ月以上、約6ヶ月以上、約12ヶ月以上、約1.5年以上、約2年以上、約2.5年以上、約3年以上、約3.5年以上、約4年以上、約4.5年以上、約5年以上、約6年以上、約7年以上、約8年以上、約9年以上、又は約10年以上保存される。いくつかの実施形態では、DPは、約12ヶ月以上、約1.5年以上、約2年以上、約2.5年以上、又は約3年以上保存される。いくつかの実施形態では、DPは約2年以上保存される。
【0083】
温度
いくつかの実施形態では、DPは、特定の温度で特定の期間保存した後に安定である。いくつかの実施形態では、温度は、約-10~50℃、0~25℃、1~20℃、1~15℃、2~10℃、又は2~5℃の範囲である。いくつかの実施形態では、温度は約2~8℃の範囲である。いくつかの実施形態では、温度は、約-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃又は50℃である。
【0084】
いくつかの実施形態では、DPは、約2℃~約8℃の範囲の温度で、約12ヶ月以上、又は約2年以上保存した後に安定である。いくつかの実施形態では、DPは、約5℃の温度で約12ヶ月以上又は約2年以上の保存した後に安定である。いくつかの実施形態では、DPは、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後に安定である。
【0085】
医薬品(DP)ともまた称される本開示の水性医薬組成物の安定性は、二重特異性EGFR-cMet抗体、及び本明細書で提供されるDPの他の構成成分(緩衝剤、安定剤、キレート剤、界面活性剤、及び酵素などであるが、これらに限定されない)の特定の量又は割合、並びに様々な因子の評価に基づいて決定される。これらの因子としては、溶液の色、pH、濁度、肉眼では見えない粒子の数、アグリコシル化重鎖(AGHC)のパーセンテージ、新たなピークのパーセンテージ、高分子量種(HMWS)のパーセンテージ、低分子量種(LMWS)のパーセンテージ、酸性ピークの合計のパーセンテージ、塩基性ピークの合計のパーセンテージ、タンパク質濃度、EGFR結合活性のパーセンテージ、cMet結合活性のパーセンテージ、及び/又はPS80のパーセンテージが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書に開示される安定なDPは、本明細書に列挙される全ての因子を必要とすると解釈されるべきではなく、むしろそれらの因子のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ以上を必要とすると解釈されるべきである。いくつかの実施形態では、安定な開示されたDPは、本明細書において以下に詳細に列挙される因子のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又はそれ以上について以下の結果を示す。いくつかの実施形態では、安定なDPは、本明細書において以下に詳細に列挙される全ての因子について以下の結果を示す。
【0087】
溶液の色
DP溶液の色を監視し、溶液の外観が放出時及び保存寿命にわたって以前のバッチと一致していることを検証するための評価を行うことができる。DP溶液の色は、安定性を反映し得る。一実施形態では、DPの安定性は、欧州薬局方(European Pharmacopoeia)2.2.2、Degree of Coloration of Liquids European Pharmacopoeia(Ph.Eur.)第10版モノグラフ番号20202、2019年7月に記載されているように、無色から約BY2以下、約BY4以下、約B2以下、約B4以下、約Y2以下、又は約Y4以下に及ぶ溶液の色を有する場合として定義される。
【0088】
一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY2以下、約B2以下、約Y2以下の溶液の色を有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY4以下、約B4以下、約Y4以下の溶液の色を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY5以下、約B5以下、約Y5以下の溶液の色を有することとして定義される。
【0089】
pH
DP溶液のpHを測定することにより、pHが放出時及び保存寿命にわたって以前のDPバッチと一致していることを確認することができる。一実施形態では、DPの安定性は、そのpHが約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、又は6.4である場合として定義される。一実施形態では、DPのpHは、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.7である。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.0~約6.4のpH範囲を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、そのpHが約5.2~約6.2の範囲である場合として定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、そのpHが約5.4~約6.0の範囲である場合として定義される。
【0090】
濁度
濁度は、以前のDPバッチとの一貫性を保証するためにDP溶液中の粒子の存在を測定することを可能にし、放出時及び保存寿命にわたって適用可能な公定書準拠ガイダンスを可能にする。試験結果は、比濁分析濁度単位(NTU)で報告される。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、その濁度値が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の比濁分析濁度単位(NTU)である場合として定義される。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約18NTU以下の濁度値を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の約13NTU以下の濁度値である場合として定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約8NTU以下の濁度値を有することとして定義される。
【0091】
粒子分析
DPの安定性は、肉眼では見えない粒子の平均数に基づく粒子汚染の特定の閾値に設定される。試験結果は、米国薬局方<788>Particulate Matter、欧州薬局方2.9.19、及び日本薬局方XVII/6.07粒子汚染:肉眼では見えない粒子に準拠する。したがって、試験したDP単位中に存在する粒子の平均数は、10μm以上の粒径については容器当たり6000粒子を超えるべきではなく、25μm以上の粒径については容器当たり600粒子を超えるべきではない。
【0092】
cSDS条件
キャピラリSDS-PAGE(cSDS)は、ゲルベースのSDS-PAGEと同様に、分子量に基づいて変性タンパク質を分離する方法である。このプロセスは、DP純度を定量化し、放出時及び保存寿命にわたってその安定性を監視することを可能にする。
【0093】
一実施形態では、DP安定性は、cSDS変数(例えば、純度パーセント、アグリコシル化重鎖(AGHC)、又は新たなピークの存在)の様々な結果に基づいて定義され、cSDSは、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、還元又は非還元条件下で行われた。
【0094】
還元型cSDSの結果は安定性と一致する。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、アミバンタマブ参照材料の検証済みストックと比較して88.0%以上の純度パーセントを有し、11.0%以下のAGHCを有し、1.5%を超える新たなピークがないこととして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約91.0%以上の純度パーセントを有し、約8.0%以下のAGHCを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約94.0%以上の純度パーセントを有し、約5.0%以下のAG HCを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。
【0095】
非還元型cSDSの結果は安定性と一致する。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約88.0%以上の純度パーセントを有し、1.5%を超える新たなピークがないこととして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約90.0%以上の純度パーセントを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約94.0%以上の純度パーセントを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。
【0096】
一実施形態では、DP安定性は、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%若しくは100%に等しい、あるいはこれらの間の任意の範囲の純度パーセントを有することとして定義される。
【0097】
一実施形態では、DP安定性は、約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又はこれらの間の任意の範囲のAGHCを有することとして定義される。
【0098】
一実施形態では、DP安定性は、未処理の参照材料と比較した場合、0.5%、0.8%、0.9%、1.0%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%を超える、又は2%を超える新たなピークをcSDS結果で示さないこととして定義される。
【0099】
安定性と一致するサイズ排除HPLC(SE-HPLC)結果
SE-HPLC手順は、DPの純度を評価し、放出時及び保存寿命にわたって非変性条件下でその安定性を監視することを可能にする。
【0100】
SE-HPLCの結果は安定性と一致する
主成分-一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に主成分が約90.0%以上であることとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約12ヶ月以上及び約5℃の温度で保存した後、約12ヶ月以上及び約25℃の温度で保存した後、並びに/又は約2年以上及び約5℃の温度で保存した後に、約95.0%以上の主成分を有するとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約12ヶ月以上及び約5℃の温度で保存した後、約12ヶ月以上及び約25℃の温度で保存した後、並びに/又は約2年以上及び約5℃の温度で保存した後、約97.0%の主成分を有するとして定義される。高分子量種(HMWS)-一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約10.0%以下のHMWSを有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.0%以下のHMWSを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約3.0%以下のHMWSを有することとして定義される。低分子量種(LMWS)-一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.0%以下のLMWSを有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約2.0%以下のLMWSを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約1.0%以下のLMWSを有することとして定義される。
【0101】
キャピラリ等電点電気泳動(cIEF)
cIEFは、等電ゲル電気泳動(IEF)法と同様に、全体の電荷又は等電点(pI)に基づいてタンパク質を分離する。この手順は、放出時及び保存寿命にわたって医薬品の電荷ベースのアイソフォームの分布を監視することを可能にする。一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、主ピーク(MP)、酸性ピークの合計又は塩基性ピークの合計などのcIEF変数の様々な結果に基づいて定義される。
【0102】
cIEFの結果は安定性と一致する
主ピーク-
一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%、又はこれらの間の任意の範囲のMPを有するcIEFを有することとして定義される。一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約30%~約90%の範囲のMPを有するcIEFを有することとして定義される。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に37~87%の主ピークを有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に47~87%の主ピークを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に57~87%の主ピークを有することとして定義される。
【0103】
酸性ピークの合計-
一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、若しくは70%又はこれらの間の任意の範囲になる酸性ピークの合計を有するcIEFを有することとして定義される。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~60%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~50%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~40%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。
【0104】
塩基性ピークの合計-
一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、若しくは15%又はこれらの間の任意の範囲になる塩基性ピークの合計を有するcIEFを有することとして定義される。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約12.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約10.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約8.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。
【0105】
A280によるタンパク質濃度
DPのタンパク質濃度は、それが出荷時及び保存寿命にわたって以前のDPバッチと一致することを検証可能にする。タンパク質濃度は、280nm(A280)での医薬品溶液のUV光吸光度を測定することによって定量化することができる。
【0106】
タンパク質濃度の結果はDPの安定性と一致する。一実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に128~192mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に144~176mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に150mg/mL~170mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。
【0107】
医薬品の効力
EGFR及び/又はc-MetへのDPのインビトロ結合は、DP安定性のレベルの評価を可能にする。この結合は、限定するものではないが、均一競合時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイを使用することによって評価することができる。
【0108】
EGFR結合活性の結果は安定性と一致する。
一実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して、約40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%若しくは170%、又はこれらの間の任意の範囲のEGFR結合活性を有することとして定義される。一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約50%~約150%の範囲のEGFR結合活性を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約60%~約140%の範囲のEGFR結合活性を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約80%~約120%の範囲のEGFR結合活性を有することとして定義される。
【0109】
cMet結合活性の結果は安定性と一致する。
一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、若しくは140%、又はその間の任意の範囲のcMet結合活性を有することとして定義される。一実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約50%~約150%の範囲のcMet結合活性を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約60%~約140%の範囲のcMet結合活性を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DP安定性は、約25℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照と比較して約80%~約120%の範囲のcMet結合活性を有することとして定義される。
【0110】
効力rHuPH20活性
インビトロでのrHuPH20ヒアルロニダーゼ酵素活性は、rHuPH20の基質であるヒアルロン酸(HA)が酸性化血清と結合した場合の濁度を測定することによって決定される。ヒアルロニダーゼ活性の決定は、ヒアルロン酸(HA)が酸性化血清と結合したときの沈殿物の形成に基づく。ヒアルロニダーゼをHAで30分、96ウェルプレート形式で37℃にて培養した後、酸性化した血清を添加して未消化HAを沈殿させることにより活性を測定する。得られた濁度は、640nmで測定し、HA基質の酵素的開裂に起因する濁度の低下は、ヒアルロニダーゼ活性の尺度である。
【0111】
rHuPH20活性の結果は安定性と一致する。
一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、約800U/mL、900U/mL、1000U/mL、1100U/mL、1200U/mL、1300U/mL、1400U/mL、1500U/mL、1600U/mL、1700U/mL、1800U/mL、1900U/mL、2000U/mL、2100U/mL、2200U/mL、2300U/mL、2400U/mL、2500U/mL、2600U/mL、2700U/mL、2800U/mL、2900U/mL、3000U/mL、3100U/mL、3200U/mL、3300U/mL、3400U/mL若しくは3500U/mL、又はこれらの間の任意の範囲でrHuPH20活性を有するとして定義される。一実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1000U/mL~3000U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1500U/mL~2500U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1800U/mL~2200U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。
【0112】
分析試験-界面活性剤
ポリソルベート80の定量
ポリソルベート80を、混合モードイオン交換/疎水性HPLCによって定量的に測定する。一実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上DPを保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の約0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.08%、0.09%若しくは0.1%又はこれらの間の任意の範囲の重量対体積パーセンテージでのPS80濃度によって定義される。一実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.03~0.08%のPS80濃度として定義される。好ましい実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.04~0.08%のPS80濃度として定義される。最も好ましい実施形態では、DP安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.05~0.08%のPS80濃度として定義される。
【0113】
粘度。
当業者によって認識される高濃度タンパク質製剤の使用に伴う潜在的な問題は、溶液の粘度が、通常、タンパク質濃度の増加とともに増加することである。粘性抗体溶液は、プロセス(例えば、充填バイアル及び/又はシリンジ)及び患者への投与が困難である。高粘性製剤は、製造、シリンジへの引き込み、及び注入が困難である。粘性製剤を操作する際の力の使用は、過剰な起泡をもたらし、活性生物製剤の変性及び不活性化をもたらし得る。粘度を低下させることができない限り、高濃度の抗体製剤は、より大きなボアニードル、高圧注入、より長い注入時間、及び抗体接着を打ち消すための特別な機器又は材料を必要とし得る。これらの変化は、患者の不快感及び治療用抗体生成物の製造コストを増加させる。
【0114】
本明細書で使用する場合、「粘度」は、流れに対する流体の抵抗であり、所与の剪断速度で、センチポアズ(cP)又はミリパスカル秒(mPa-s)の単位で測定してもよく、1cP=1mPa-sである。粘度は、粘度計、例えば、Brookfield Engineering Dial Reading Viscometer、モデルLVT、及びAR-G2、TA装置を用いて測定してもよい。粘度は、本発明によって記載される賦形剤の使用によって得られる粘度の低下率が重要であることを理解して、任意の他の方法を用いて、当該技術分野で公知の任意の他の単位(例えば、絶対粘度、動粘度(kinematic viscosity)、又は動粘度(dynamic viscosity))で測定してもよい。粘度を決定するために使用される方法にかかわらず、賦形剤製剤に対する対照製剤における粘度の低下率は、所与の剪断速度でほぼ同じままである。
【0115】
本発明は、室温で約9cP~約11cPの粘度を有する高濃度アミバンタマブ組成物を提供する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、約22cP以下、16cP以下、13cP以下、11cP以下、9cP以下、8cP以下、7cP以下又は6cPの絶対粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、4℃で測定した場合に約21.9cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、10℃で測定した場合に約16cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、15℃で測定した場合に約13.3cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、20℃で測定した場合に約11cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、25℃で測定した場合に約9.3cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、30℃で測定した場合に約7.9cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、35℃で測定した場合に約6.7cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、高濃度アミバンタマブ組成物は、40℃で測定した場合に約5.8cPの粘度を有する。
【0116】
例示的な実施形態
本開示の技術の例示的な実施形態が本明細書で提供される。これらの実施形態は、例示のみを目的としており、本開示又は本開示に添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
1.二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体及びヒアルロニダーゼを含む、安定な水性医薬組成物であって、抗体は、
a.配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域1(VH1)を含む、第1の重鎖(HC1);
b.配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域1(VL1)を含む、第1の軽鎖(LC1);
c.配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域2(VH2)を含む、第2の重鎖(HC2);
d.配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域2(VL2)を含む、第2の軽鎖(LC2);
を含み、組成物は、約1,050mg~約2,240mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体、及び約13,000U~約28,000Uのヒアルロニダーゼを含む、安定な水性医薬組成物。
2.組成物が、約1,050mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
3.組成物が、約1,400mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
4.組成物が、約1,575mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
4a.組成物が、約1,600mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
5.組成物が、約2,100mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
5a.組成物が、約2,240mgの二重特異性EGFR/c-Met抗体を含む、実施形態1に記載の安定な組成物。
6.安定な水性医薬組成物であって、
a)約144mg/mL~約176mg/mLの二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体であって、二重特異性抗体は、
HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、
軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、
HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、及び
軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、
を含み、
VH1は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含み、VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3アミノ酸配列を含む、
二重特異性抗体と、
b)約10mM~約50mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩と、
c)約6.8%(w/v)~約10.2%(w/v)のスクロースと、
d)約0.036%(w/v)~約0.084%(w/v)のポリソルベート80(PS80)と、
e)約0.8mg/mL~約1.2mg/mLのメチオニンと、
f)約16μg/mL~約24μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と、
g)任意選択で、約1,000U/mL~約3,000U/mLのヒアルロニダーゼと、
h)約5.2~約6.2のpHと、
を含む、安定な水性医薬組成物。
6a.組成物の粘度が、20℃で測定した際に約11cP未満である、実施形態6に記載の安定な水性医薬組成物。
7.二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むLC1可変領域とを含む、実施形態6に記載の安定な水性医薬組成物。
8.二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域と、配列番号16のアミノ酸配列を含むLC2可変領域とを含む、実施形態6又は実施形態7に記載の安定な水性医薬組成物。
9.HC1が配列番号17のアミノ酸配列を含み、LC1が配列番号18のアミノ酸配列を含む、実施形態6~8のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
10.HC2が配列番号19のアミノ酸配列を含み、LC2が配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態6~9のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
11.二重特異性EGFR-cMet抗体が、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品である、実施形態6~10のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
12.二重特異性EGFR-cMet抗体が、約160mg/mLの濃度を有する、実施形態6~11のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
13.酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩が、約30mMの濃度を有する、実施形態6~12のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
14.酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩が、氷酢酸及び/又は酢酸ナトリウム三水和物を含む、実施形態6~13のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
15.約8.5%(w/v)のスクロースを含む、実施形態6~14のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
16.約0.06%(w/v)のPS80を含む、実施形態6~15のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
17.メチオニンが、L-メチオニンを含み、かつ約1mg/mLの濃度を有する、実施形態6~16のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
18.EDTAが、約20μg/mLの濃度を有する、実施形態6~17のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
19.pHが、約5.7である、実施形態6~18のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
20.ヒアルロニダーゼが、ヒトヒアルロニダーゼ、任意選択で配列番号21のアミノ酸配列を含むrHuPH20である、実施形態6~19のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
21.濃度rHuPH20が、約1,000U/mL~約3,000U/mLである、実施形態6~20のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
22.濃度rHuPH20が、約2,000U/mLである、実施形態6~21のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
23.安定性が、溶液の色、pH、濁度、肉眼では見えない粒子の数、アグリコシル化重鎖(AGHC)のパーセンテージ、新たなピークのパーセンテージ、高分子量種(HMWS)のパーセンテージ、低分子量種(LMWS)のパーセンテージ、酸性ピークの合計のパーセンテージ、塩基性ピークの合計のパーセンテージ、タンパク質濃度、EGFR結合活性のパーセンテージ、cMet結合活性のパーセンテージ、PS80のパーセンテージ、任意選択でrHuPH20活性のパーセンテージ、又はこれらの任意の組み合わせに基づいて定義される、実施形態6~22のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
24.組成物の総体積が約6mL~約9mLの範囲である、実施形態6~23のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
25.組成物の総体積が、約7.1mLである、実施形態24に記載の安定な水性医薬組成物。
26.組成物の総体積が、約6.6mLである、実施形態24に記載の安定な水性医薬組成物。
27.組成物の総体積が、約8.75mLである、実施形態24に記載の安定な水性医薬組成物。
28.約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTAとともに含み、当該安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有し、
二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2を含む、
実施形態1~27のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
29.約160mg/mLの二重特異性EGFR-cMet抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、約1mg/mLのL-メチオニンを、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTA、並びに約2,000U/mLの最終濃度までのrHuPH20とともに含み、安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有し、
二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2を含む、
実施形態1~27のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物。
30.処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、実施形態1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
31.投与が、皮下である、実施形態30に記載の方法。
32.がんが、肺がん、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、肝細胞がん(HCC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、甲状腺髄様がん(MTC)、胃食道がん(GEC)、中皮腫、乳がん(BC)、又は卵巣がん(OC)を含む、実施形態30~31に記載の方法。
33.がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)を含む、実施形態30~31に記載の方法。
34.EGFR及びcMetを標的とする二重特異性抗体の安定な水性医薬組成物を調製するための方法であって、EGFR及びcMetを標的とする二重特異性抗体は、HC1可変領域1(VH1)を含む第1の重鎖(HC1)と、軽鎖可変領域1(VL1)を含む第1の軽鎖(LC1)と、HC2可変領域2(VH2)を含む第2の重鎖(HC2)と、軽鎖可変領域2(VL2)を含む第2の軽鎖(LC2)と、を含み、VH1は、それぞれ配列番号1、2、及び3のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3を含み、VL1は、それぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2及びLCDR3を含み、VH2は、それぞれ配列番号7、8及び9のHCDR1、HCDR2及びHCDR3アミノ酸配列を含み、VL2は、それぞれ配列番号10、11及び12のLCDR1、LCDR2及びLCDR3アミノ酸配列を含み、方法は、
約160mg/mLの二重特異性抗体、約30mMの酢酸及び/又は医薬的に許容される酢酸塩、約8.5%のスクロース、並びに約1mg/mLのL-メチオニンを含む組成物を、約0.06%(w/v)の最終濃度までのポリソルベート80及び約20μg/mLの最終濃度までのEDTA、任意選択で約2,000U/mLの最終濃度までのrHuPH20と組み合わせることを含み、安定な水性医薬組成物が、約5.7のpHを有する、方法。
35.二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を含むHC1可変領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むLC1可変領域とを含む、実施形態34に記載の方法。
36.二重特異性EGFR-cMet抗体が、配列番号15のアミノ酸配列を含むHC2可変領域と、配列番号16のアミノ酸配列を含むLC2可変領域とを含む、実施形態34~35に記載の方法。
37.抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖1(HC1)と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖1(LC1)と、を含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
38.抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含むHC2と、配列番号20のアミノ酸配列を含むLC2と、を含む、実施形態34~37のいずれか1つに記載の方法。
39.抗体が、アミバンタマブ又はそのバイオ後続品である、実施形態34~38のいずれか1つに記載の方法。
40.実施形態1~29のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物及びその使用説明書を含む、キット。
41.実施形態1~29のいずれか1つに記載の安定な水性医薬組成物を保持する容器を含む、製造品。
42.容器が、シリンジによって穿刺可能な栓を有するバイアルである、実施形態41に記載の製造品。
43.バイアルが、単回使用バイアルである、実施形態42に記載の製造品。
44.がんの処置に使用するための、実施形態1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
45.がんが、肺がんを含む、実施形態44に記載の医薬組成物。
46.がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)を含む、実施形態44に記載の医薬組成物。
47.がんを処置するための医薬品の調製に使用するための、実施形態1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
48.実施形態1~29のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することによって、処置を必要とする対象においてがんを処置するための、医薬組成物の使用。
49.投与が、皮下である、実施形態48に記載の医薬組成物の使用。
50.アミバンタマブで処置された対象における注入関連反応を低減するための、実施形態49に記載の医薬組成物の使用。
【実施例
【0117】
本明細書において開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供する。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0118】
本明細書で使用される分析試験の説明
分析試験-一般特性評価
溶液の色
溶液の色を医薬品(DP)について監視して外観を評価し、放出時及び貯蔵寿命にわたって以前のバッチと確実に一致するようにする。溶液の色は、製品安定性の指標ともなり得る。溶液の色を判定するために、試験サンプルを規定の参照溶液のセットと視覚的に比較する。
【0119】
規定量の液体内容物を、参照溶液と同じ寸法の予め刻み目を入れたアンプルに移す。次に、アンプルの内容物を欧州薬局方の色度参照溶液と視覚的に比較する。色の度合いは、白色背景に対して観察される拡散昼光で判定される。
【0120】
溶液材料の色及び方法
材料及び方法は、欧州薬局方2.2.2、Degree of Coloration of Liquids European Pharmacopoeia(Ph.Eur.)第10版モノグラフ番号20202、2019年7月に記載されている。簡単に説明すると、試験品を、B(茶色)、BY(茶色がかった黄色)、及びY(黄色)色度参照溶液セットと比較する。
【0121】
溶液の色の結果は安定性と一致する
一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY2以下、約B2以下、約Y2以下の溶液の色を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY4以下、約B4以下、約Y4以下の溶液の色を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、無色から約BY5以下、約B5以下、約Y5以下の溶液の色を有することとして定義される。
【0122】
pH
pH材料及び方法
標準化されたpH電極を有する毎日較正された電子pH計を使用して、試験品のpHを測定する。全ての較正溶液、参照緩衝液、及び試験品を、試験前に25℃に平衡化し、試験中25℃に維持する。
【0123】
pHの結果は安定性と一致する
一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に5.0~6.4のpH範囲を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の5.2~6.2のpH範囲であるものとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に5.4~6.0のpH範囲を有することとして定義される。
【0124】
濁度
濁度材料及び方法
材料及び方法は、欧州薬局方2.2.1、Clarity and Degree of Opalescence of Liquidsに基づく。
【0125】
濁度の結果は安定性と一致する。
試験結果は、比濁分析濁度単位(NTU)で報告される。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約18NTU以下の濁度値を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約13NTU以下の濁度値を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約8NTU以下の濁度値を有することとして定義される。
【0126】
分析試験-粒子状物質
粒子状物質(肉眼では見えない)材料及び方法-全ての材料及び方法は、米国薬局方<788>Particulate Matterに準拠している。公定書収載の容量サンプラー装置を備えた公定書準拠の液体粒子計数器を使用する。試験品は、試験前に少なくとも60分間であるが10時間以下の間、室温に平衡化される。試験品バイアルを、米国薬局方<788>Particulate Matterに準拠した様式でプールする。米国薬局方<788>Particulate Matterによって指示されるように、プールされた試験品の各々適切な体積の4つの部分を取り出し、10μm及び25μm以上の粒子の数を部分ごとに計数する。第1の部分について得られた結果を無視し、残りの3つの結果を用いて、試験した調製物の平均粒子数を計算する。
【0127】
粒子分析(肉眼では見えない)公定書準拠結果-試験結果は、米国薬局方<788>Particulate Matter、欧州薬局方2.9.19、及び日本薬局方XVII/6.07粒子汚染:肉眼では見えない粒子に準拠する。したがって、試験した単位中に存在する粒子の平均数は、10μm以上の粒径については容器当たり6000粒子を超えるべきではなく、25μm以上の粒径については容器当たり600粒子を超えるべきではない。
【0128】
分析試験-純度
キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(cSDS)-還元型
還元型cSDS材料及び方法-分析は、温度制御されたカートリッジ内の裸の溶融シリカキャピラリ、内径50μm×長さ30.2cmを有する市販のキャピラリ電気泳動システムを用いる。キャピラリには、紫外光に対して透明な検出窓が設けられている。キャピラリを、各注入前に動電学的にすすぐ。各試料分析の前に、絡み合ったポリマー溶液からなるふるい分けマトリックスをキャピラリに充填する。この方法は、SDS-MWゲル泳動緩衝液及び約10~148kDaの範囲にわたるタンパク質分子量認証標準を利用する。装置の紫外吸収分光光度計検出器を波長220nmに設定し、キャピラリ温度を25℃に設定する。試料処理条件を低下させるために、試験品(2連)をSDS及び2-メルカプトエタノールと混合し、次いで規定の時間及び温度で加熱して、タンパク質を完全に変性及び還元させる。還元試料を、キャピラリに5kVの電圧を約20秒間印加することによって動電的に注入し、次いで、より大きな電場を約35分間印加することによって分析する。検出は、220nmのスペクトルの遠紫外領域における吸光度によって達成される。全シグナルデータのパーセントを、軽鎖、重鎖、及びアグリコシル化重鎖(AG HC)について収集する。
【0129】
還元型cSDSの結果は安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、アミバンタマブ参照材料の検証済みストックと比較して88.0%以上の純度パーセントを有し、11.0%以下のAG HCを有し、1.5%を超える新たなピークがないこととして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約91.0%以上の純度パーセントを有し、約8.0%以下のAG HCを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約94.0%以上の純度パーセントを有し、約5.0%以下のAG HCを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。
【0130】
キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(cSDS)-非還元型
非還元型cSDS材料及び方法-分析は、温度制御されたカートリッジ内の裸の溶融シリカキャピラリ、内径50μm×長さ30.2cmを有する市販のキャピラリ電気泳動システムを用いる。キャピラリには、紫外光に対して透明な検出窓が設けられている。キャピラリを、各注入前に動電学的にすすぐ。各試料分析の前に、絡み合ったポリマー溶液からなるふるい分けマトリックスをキャピラリに充填する。この方法は、SDS-MWゲル泳動緩衝液、約10~148kDaの範囲にわたるタンパク質分子量認証標準、及び検証済みのアミバンタマブ参照材料試料を利用する。装置の紫外吸収分光光度計検出器を波長220nmに設定し、キャピラリ温度を25℃に設定する。非還元試料処理条件については、試験品(2連)をSDS及びアルキル化試薬(N-エチルマレイミド、ジスルフィド結合のシャッフリング又は再形成を防止するため)と混合する。次いで、これを規定の時間及び温度で加熱して、タンパク質を完全に変性させ、フラグメント及びアーチファクトバンドの形成を最小限に抑える。非還元試料を、キャピラリに5kVの電圧を約20秒間印加することによって動電学的に注入し、次いで、より大きな電場を約35分間印加することによって分析する。検出は、220nmのスペクトルの遠紫外領域における吸光度によって達成される。全シグナルデータのパーセントを収集する。データを、アミバンタマブ参照材料と比較した新たなピークの存在についてもまた分析する。純度パーセントは、パーセント重鎖+パーセント軽鎖として定義される。
【0131】
非還元型cSDSの結果は安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約88.0%以上の純度パーセントを有し、1.5%を超える新たなピークがないこととして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約90.0%以上の純度パーセントを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に、参照材料と比較して約94.0%以上の純度パーセントを有し、1.0%を超える新たなピークがないこととして定義される。
【0132】
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)
SE-HPLC材料及び方法-参照材料及び試験品を目標タンパク質濃度に希釈する。20μLの体積の分析物を、10~500kDaの分画範囲を有する、5μmの粒径のシリカベースを有する7.8mm×30cmサイズの排除カラムに注入する。水性リン酸緩衝液を流速0.7mL/分で移動相として使用し、溶出液の吸光度を280nmで連続的に監視する。モノマー(主成分又は主ピーク)、凝集体(高分子量種、又はHMWS)、及びフラグメント(低分子量種、又はLMWS)は、カラム上で分離され、異なる保持時間で溶出する。これらの種の量は、280nmでのピーク吸光度を監視することによって測定される。
【0133】
SE-HPLCの結果は安定性と一致する
主成分-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に主成分が約90.0%以上であることとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約12ヶ月以上及び約5℃の温度で保存した後、約12ヶ月以上及び約25℃の温度で保存した後、並びに/又は約2年以上及び約5℃の温度で保存した後に、約95.0%以上の主成分を有するとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約12ヶ月以上及び約5℃の温度で保存した後、約12ヶ月以上及び約25℃の温度で保存した後、並びに/又は約2年以上及び約5℃の温度で保存した後、約97.0%の主成分を有するとして定義される。高分子量種(HMWS)-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約10.0%以下のHMWSを有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.0%以下のHMWSを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約3.0%以下のHMWSを有することとして定義される。低分子量種(LMWS)-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約5.0%以下のLMWSを有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約2.0%以下のLMWSを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に約1.0%以下のLMWSを有することとして定義される。
【0134】
キャピラリ等電点電気泳動(cIEF)
cIEF材料及び方法-分析手順を、オートサンプラーを備えた市販のイメージングcIEF分析装置で行う。分析は、外壁ポリイミドコーティングを有する100μmの内壁コーティングシリカキャピラリを使用する。更に、希リン酸及びメチルセルロースの分析物溶液、水酸化ナトリウム及びメチルセルロースのカソード液溶液、並びに所定の種類及び量の両性電解質が使用される。試験品をカルボキシペプチダーゼB(CPB)で処理して、C末端リシンを除去し、各荷電種について複数のC末端変異体の存在によって導入される曖昧さを排除する。機器のオートサンプラーを、予備泳動及び泳動の両方について4℃に設定する。予備泳動の電圧及び時間は、それぞれ1500V及び1分である。泳動の電圧及び時間は、それぞれ3000V及び7分である。
【0135】
cIEFの結果は安定性と一致する
主ピーク-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に37~87%の主ピークを有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に47~87%の主ピークを有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に57~87%の主ピークを有することとして定義される。
【0136】
酸性ピークの合計-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~60%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~50%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計10~40%の酸性ピークの合計を有することとして定義される。
【0137】
塩基性ピークの合計-一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約12.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約10.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に合計約8.0%以下の塩基性ピークの合計を有することとして定義される。
【0138】
分析試験-量
A280によるタンパク質濃度
医薬品のタンパク質濃度を、280nmでの吸光度の定量(A280)によって決定する。
【0139】
A280によるタンパク質濃度材料及び方法
タンパク質濃度の測定を、適格で較正されたダブルビームUV-Vis分光光度計を用いて行う。0.9%(w/v)NaClを用いて試験品を1:125に希釈する。試料を、1cmの経路長及び黒色面又は艶消し面を有する石英セミマイクロキュベット(1.4mL)を用いて測定する。分光光度計は、波長280nm、スリット幅1nm、1秒の応答に設定されている。0.9%(w/v)NaClをブランク対照として使用する。タンパク質濃度(mg/mL)は、試験品の吸光度と希釈係数との積を、抗体の吸光係数と機器の経路長(例えば、限定されるものではないが、アミバンタマブの吸光係数1.40(mg/mL)-1cm-1と機器の経路長1cm)との積で除算することによって計算される。
【0140】
タンパク質濃度の結果はDPの安定性と一致する
一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に128~192mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に144~176mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に150mg/mL~170mg/mLのタンパク質濃度を有することとして定義される。
【0141】
分析試験-効力
効力(上皮増殖因子受容体(EGFR)結合)
医薬品のEGFRへのインビトロ結合を、均一競合時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイフォーマットを使用して実証する。この手順では、様々な濃度の非標識二重特異性EGFR-cMet抗体試料が、アクセプターフルオロフォア(Cy5)標識EGFR抗原への結合について、ドナーフルオロフォア(ユーロピウム(Eu)キレート)標識二重特異性EGFR-cMet抗体と競合する。ドナーフルオロフォアの励起は、結合したアクセプターフルオロフォアへのエネルギーの移動をもたらす(FRETプロセス)。得られたFRETを、時間分解蛍光を測定することができるマイクロプレートリーダーを使用して、665nmでの光の放出によって検出する。試料用量反応曲線をRMと比較する。
【0142】
EGFR結合材料及び方法。C末端Hisタグを有する組換えヒトEGFR/ErbB1/HER1である認証された市販のEGFRを、認証された市販のCy5 Mono NHS Esterと反応させて、Cy5標識EGFRを生成する。検証済みの二重特異性EGFR-cMet抗体を、認証された市販のユーロピウム(Eu)キレートと反応させて、Eu標識二重特異性EGFR-cMet抗体を生成する。二重特異性EGFR-cMet抗体参照材料(RM)、アッセイ対照及び試験品の連続希釈物を、同じアッセイプレート上で並行して試験する。Eu標識二重特異性EGFR-cMet抗体を各RM、アッセイ対照、及び試験品に添加した後、アッセイプレートを穏やかに振盪する。次いで、Cy5-EGFRを同様に添加し、アッセイプレートを再び穏やかに振盪し、暗所で4±1時間インキュベートする。次いで、蛍光を665nmで分光測光法によって測定し、抗体濃度に対してプロットし、4パラメータロジスティックモデルによって分析する。最大蛍光応答の半分を得るのに必要な抗体濃度(EC50)を、RM、アッセイ対照及び試料について決定する。アッセイ対照及び試料の効力を、試料(又は対照)とRM EC50値との比に基づいて計算し、RMに対する活性パーセンテージとして報告する。
【0143】
EGFR結合活性の結果は安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して50%~150%の結合活性として定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して60%~140%の結合活性として定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して約80%~120%の範囲の結合活性として定義される。
【0144】
効力(cMet結合)
c-METへの二重特異性EGFR-cMet抗体のインビトロ結合を、均一競合時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイフォーマットを用いて実証する。この手順では、様々な濃度の非標識二重特異性EGFR-cMet抗体試料が、アクセプターフルオロフォア(Cy5)標識c-MET抗原への結合について、ドナーフルオロフォア(ユーロピウム(Eu)キレート)標識二重特異性EGFR-cMet抗体と競合する。ドナーフルオロフォアの励起は、結合したアクセプターフルオロフォアへのエネルギーの移動をもたらす(FRETプロセス)。得られたFRETを、時間分解蛍光を測定することができるマイクロプレートリーダーを使用して、665nmでの光の放出によって検出する。試料用量反応曲線を参照材料(RM)と比較する。
【0145】
c-MET結合材料及び方法。c末端Hisタグを有する組換えcMet/HGFRである認証された市販のcMetを、認証された市販のCy5 Mono NHS Esterと反応させて、Cy5標識c-METを生成する。検証済みの二重特異性EGFR-cMet抗体を、認証された市販のユーロピウム(Eu)キレートと反応させて、Eu標識二重特異性EGFR-cMet抗体を生成する。二重特異性EGFR-cMet抗体RM、アッセイ対照及び試験品の連続希釈物を、同じアッセイプレート上で並行して試験する。Eu標識二重特異性EGFR-cMet抗体を各RM、アッセイ対照、及び試験品に添加した後、アッセイプレートを穏やかに振盪する。次いで、Cy5-c-METを同様に添加し、アッセイプレートを再び穏やかに振盪し、暗所で4±1時間インキュベートする。次いで、蛍光を665nmで分光測光法によって測定し、抗体濃度に対してプロットし、4パラメータロジスティックモデルによって分析する。最大蛍光応答の半分を得るのに必要な抗体濃度(EC50)を、RM、アッセイ対照及び試料について決定する。アッセイ対照及び試料の効力を、試料(又は対照)とRM EC50値との比に基づいて計算し、RMに対する活性パーセンテージとして報告する。
【0146】
cMet結合活性の結果は安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して約50%~約150%の範囲の結合活性として定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して約60%~140%の範囲の結合活性として定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の、参照材料と比較して約80%~約120%の範囲の結合活性として定義される。
【0147】
効力rHuPH20活性
インビトロでのrHuPH20ヒアルロニダーゼ酵素活性は、rHuPH20の基質であるヒアルロン酸(HA)が酸性化血清と結合した場合の濁度を測定することによって決定される。ヒアルロニダーゼ活性の決定は、ヒアルロン酸(HA)が酸性化血清と結合したときの沈殿物の形成に基づく。ヒアルロニダーゼをHAで30分、96ウェルプレート形式で37℃にて培養した後、酸性化した血清を添加して未消化HAを沈殿させることにより活性を測定する。得られた濁度は、640nmで測定し、HA基質の酵素的開裂に起因する濁度の低下は、ヒアルロニダーゼ活性の尺度である。
【0148】
rHuPH20活性材料及び方法
アッセイ方法は、注射用の米国薬局方モノグラフUSP29-NF24ヒアルロニダーゼに基づく。標準的な試薬としては、500mMの酢酸緩衝液(pH3.1)、100mMの酢酸緩衝液(pH3.1)、灌水用滅菌水(SWFI)、ヒト血清アルブミン(HSA)25%(NDC#68209-643-02)、ウマ血清、50mg/mLのヒアルロン酸ナトリウム、及びrHuPH20が挙げられる。アッセイ特異的試薬を以下の表1に列挙する。酵素希釈剤、ウマ血清使用液(2.8%)、及び0.7mg/mLのHA基質をアッセイの当日に調製する。HA基質チューブは、使用準備ができるまで2~8℃で保存する。
【0149】
【表1】
1) 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸水和物、4-モルホリンエタンスルホン酸
【0150】
アッセイ及び試料の調製
アッセイ開始前に、空の96ウェル反応プレートを、Eppendorf Thermo-mixerに入れ、15℃に設定し、最低30分間平衡化させる。また、ヒートブロックを37℃のインキュベータに入れ、酵素反応を開始する前に少なくとも2時間にわたり適切な温度で平衡化させる。
【0151】
2,000U/mLの予想したrHuPH20活性を有する試験試料を、酵素希釈剤で9.3U/mLに希釈する。rHuPH20対照及び希釈した試験試料のアリコートを96ウェル転写プレートに充填する。別個の希釈プレートにおいて、指定された体積の酵素希釈剤を指定されたウェルに等分する。WRSを指定されたウェルに三連で等分し、次いで、酵素希釈剤を含有する指定されたウェルで段階希釈する。これらのウェルからのデータを使用して、6点較正曲線を生成する。固定体積のrHuPH20対照及び希釈された試料を、トランスファープレートから希釈プレート中の指定されたウェルに二連で移す。
【0152】
酵素反応
HA基質溶液を2~8℃の保存から取り出し、3~4回の反転によって穏やかに混合する。Thermo-mixer中で平衡化した96ウェル反応プレートを15℃に維持しながら、固定体積のHA基質溶液を、希釈プレートの対応するウェル位置へと等分する。次いで、希釈プレートからの標準、対照及び試料を、希釈プレートの対応するウェル位置へと移す。次いで、15℃のThermo-mixerを使用して、反応プレートを900rpmで10秒間混合する。反応プレートをThermo-mixerから取り出し、プレートの蓋を反応プレート上に置き、直ちに37℃インキュベータ内のプレインキュベートしたヒートブロックへと移す。反応プレートを37℃で30±5分間インキュベートする。
【0153】
反応及び発生の停止
37℃でのインキュベーションが完了したら、覆われた反応プレートをインキュベータから取り出し、直ちに、覆われたプレートをアイスバケット内の新たに分注された氷へと押し込み、タイマーを2分間で開始する。2分間のインキュベーションの間、プレートを触れないままにする。2分後、プレートの底部を拭き取りして(例えば、キムワイプ)、あらゆる結露又は水を除去し、反応プレートを15℃のThermo-mixerに移す。Thermo-mixerの蓋を上に置き、15℃で10分間インキュベートする。
【0154】
10分後、直ちにThermo-mixerの蓋を取り外し、固定体積のウマ血清使用液を各ウェルへと等分する。次いで、プレートをThermo-mixerの蓋で覆い、15℃で20±5分間でタイマーを開始する。20±5分間のインキュベーション後、反応プレートを15℃のThermo-mixerから96ウェルプレートリーダーに移す。次いで、試料の光学密度を640nmで測定する。
【0155】
データ解析
段階希釈したWRS試料の既知のrHuPH20活性(U/mL)値を、それらの対応する測定光学密度(OD)値に対してプロットし、曲線適合式を得る。96ウェルプレートのウェル中の各試料希釈物のrHuPH20活性を、個々のOD値、及び参照材料曲線から得られた曲線適合式を用いることによって計算する。
【0156】
rHuPH20活性の結果はDPの安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1000U/mL~3000U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1500U/mL~2500U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に1800U/mL~2200U/mLのrHuPH20活性を有することとして定義される。
【0157】
分析試験-界面活性剤
ポリソルベート80の定量
ポリソルベート80を、混合モードイオン交換/疎水性HPLCによって定量的に測定する。
【0158】
PS80材料及び方法。分析を、30μmの水湿潤性混合モードポリマー球状吸着剤粒子、ELSD、及び30℃の温度制御されたカラム区画を含有する2.1×20mmオンラインカラムを備えた勾配HPLCで行う。流速を1mL/分に設定し、ELSD蒸発器温度を50℃に設定する。移動相Aは、水中2%v/vギ酸であり、移動相Bは、イソプロピルアルコール中2%v/vギ酸である。未希釈のポリソルベート80を使用して、較正標準及びチェック標準を作成する。試験品試料を未希釈で注射する。
【0159】
ポリソルベート80の結果はDPの安定性と一致する。一実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.03~0.08%のPS80濃度として定義される。好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.04~0.08%のPS80濃度として定義される。最も好ましい実施形態では、DPの安定性は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後の0.05~0.08%のPS80濃度として定義される。
【0160】
分析試験-ルーチン特性評価
ペプチドマップ
この試験の目的は、抗体構造中に存在し得る酸化、脱アミド化、及び異性化などの翻訳後修飾のレベルを測定することである。試験品を酵素消化してペプチドセグメントを得る。次いで、これらのペプチドを、超高速液体クロマトグラフィー質量分析(UPLC-MS)によって評価する。分析した各ペプチド配列を、抗体構造全体の中のその既知の位置に対して同定する。同定したペプチド配列の測定質量をその予想質量と比較することによって、翻訳後修飾を測定する。
【0161】
ペプチドマッピング材料及び方法。試料を6Mグアニジン、50mM Tris pH8.0、5mM EDTAで変性させ、30kDa遠心フィルタ装置を使用して濾過する(フロースルー廃棄)。変性した試料を1Mジチオスレイトール(DTT)で還元し、続いて1Mヨード酢酸ナトリウムでアルキル化し、更にDTTで処理して反応をクエンチする。反応混合物を、ブランク、参照材料、及び試験品に使用される別個のカラムを有するSephadex G-25カラムを介して消化緩衝液(1mM CaClを含む50mM Tris pH7.0)に交換する。1mg/mLトリプシンストック溶液のアリコートを消化緩衝液中の試料に添加して、20μL/mLトリプシン濃度を得る。溶液を37℃で2時間±30分間インキュベートする。トリプシン処理した溶液を室温に冷却し、酵素をトリフルオロ酢酸で不活性化する。処理した試料を、Waters Acquity BEH(エチレン架橋ハイブリッド)C18、2.1×100mm、1.7μm、130Åカラム及び付属のオートサンプラーを備えた超高速液体クロマトグラフィー質量分析(UPLC-MS)によって評価する。移動相Aは水中0.1%ギ酸であり、移動相Bはアセトニトリル中0.1%FA(移動相B)である。オートサンプラーを2~8℃に設定し、カラムを40℃に設定し、流速を500μL/分に設定する。溶出したペプチドをエレクトロスプレーイオン化に供し、較正オンライン質量分析を使用して検出した。
【0162】
実施例1:製剤スクリーニング研究
様々なpH値、製剤化緩衝液種、及び緩衝液濃度で製剤化された高濃度(175mg/mL)アミバンタマブの安定性傾向を評価するために、2つの製剤スクリーニング研究を行った。
【0163】
研究1
第1の研究では、固定値に保持された他の全ての製剤成分を有する一定範囲のpH値及び対応する緩衝液種からなる試験製剤を評価した。(表2)。
【0164】
【表2】
【0165】
試験製剤を通常(5℃)安定性条件及びストレス(40℃)安定性条件下において3週間保持した。次いで、試験製剤をSECによってアッセイして、試験製剤ごとに観察された凝集体、モノマー、及びフラグメントのパーセントを評価した。
【0166】
以下の表3に示すように、pH値の増加は、通常(5℃)安定性条件及びストレス(40℃)安定性条件の両方で凝集体%の増加と一般に相関していた。予想通り、凝集値はストレス条件下において大きかった。全体として、製剤3及び製剤4は、製剤1及び製剤2に対して性能が劣っていた。したがって、高pH製剤及びリン酸緩衝液は、更なる開発のために考慮されなかった。
【0167】
通常の条件下において、製剤1及び製剤2は両方とも、製剤2よりわずかに低い凝集を示す製剤1を有する安定な製剤と一致する同様の結果を呈した。しかしながら、ストレスを受けた条件下では、製剤2は、フラグメントの増加にもかかわらず、最も少ない凝集を呈した。凝集体とフラグメントとの間の一見同等なトレードオフに基づいて、低pH値での酢酸及びヒスチジン緩衝液の両方を更なる評価のために検討した。
【0168】
【表3】
【0169】
研究2
第2の研究では緩衝液濃度を評価した。pH5.6のヒスチジン緩衝液を代表的な低pH製剤として選択した。他の全ての製剤化成分は固定値に保持された(表4)。
【0170】
【表4】
【0171】
試験製剤をストレス(40℃)安定性条件下において3週間保持した。次いで、試験製剤をSECによってアッセイして、試験製剤ごとに観察された凝集体、モノマー、及びフラグメントのパーセントを評価した。
【0172】
以下の表5に示すように、緩衝液濃度の増加は凝集体%の減少と相関していた。したがって、ある範囲の緩衝液濃度を有する製剤が、更なる評価のために考慮される。
【0173】
【表5】
【0174】
実施例2:高濃度安定性試験
様々な緩衝液濃度及び種を有する3つの高タンパク質濃度製剤を評価するために安定性試験を実施した(以下の表6を参照されたい)。試験製剤は、推奨条件(5℃)、加速条件(25℃)、及びストレス条件(40℃)で最大6ヶ月まで保持した。
【0175】
【表6】
【0176】
3つの試験製剤を、アミバンタマブの50mg/mLストック製剤から調製した。ストック製剤をタンジェント流濾過(TFF)によって濃縮し、緩衝液を限外濾過/透析濾過(UF/DF)によって交換した。試験製剤を15.6mLの充填体積で30Rバイアルに等分した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプで密封した。バイアルを、推奨条件(5℃)、加速条件(25℃)、及びストレス(40℃)条件下において安定した場所に置いた。指定された時点で、試料を採取し、アッセイする。
【0177】
試験結果
推奨条件下、加速条件下、及びストレス条件下で保持された試験製剤の安定性結果を、以下の表7、表8、及び表9に列挙する。開始時(T=0)及び研究を通して、製剤3の測定されたpH値はその目標値と一致しないことが認められた。製剤3の試料を酢酸濃度についてアッセイし、30mMであると報告した。pH及び酢酸濃度のシフトはギブス・ドナン効果の結果であり、その大きさは、高いタンパク質濃度、タンパク質のpI、及び使用される透析濾過緩衝液のpHによって影響された。したがって、製剤3の実際の組成は、30mM酢酸中160mg/mLアミバンタマブ、8.5%スクロース、1mg/mLメチオニン、20μg/mL EDTA、0.06%PS-80、pH5.7であった。
【0178】
5℃での安定性
3つの製剤は全て、経時的に属性値の変化をほとんど示さなかった。観察された変化はいずれもわずかであり、5℃で経時的なタンパク質分解と一致し、全ての製剤にわたって同様の大きさであった。
【0179】
25℃での安定性
3つの製剤は全て、25℃での経時的なタンパク質分解と一致する経時的な属性値のわずかから最小の変化を示し、cIEF属性値を除く全ての製剤にわたって同様の大きさの変化が観察された。全ての製剤は、酸性ピークの合計%で経時的に安定した増加を示し、主ピーク%で対応する減少を示した。経時変化の大きさは製剤2及び製剤3について同様であったが、一方でその大きさは製剤1について著しく大きかった。
【0180】
40℃での安定性
3つの製剤は全て、40℃で最大6ヶ月間の経時的なタンパク質分解と一致して、経時的な属性値の顕著な変化を示した。しかしながら、いくつかの属性について、変化の大きさは製剤2又は製剤3よりも製剤1の方が大きかった。
【0181】
全ての製剤のcIEFデータは、酸性ピークの合計%の着実な増加及び対応する主ピーク%の減少を示した。しかしながら、経時的な変化の大きさは、製剤2又は製剤3よりも製剤1の方が著しく大きく、特にT=0~3ヶ月間及び3~6ヶ月間が大きかった。
【0182】
この傾向はまたSECでも見られ、全ての製剤がHMWS%ピークの着実な増加、及びそれに対応する主成分%の減少を示した。しかし、cIEFデータと同様に、増加の大きさは製剤2及び製剤3について同様であり、製剤1について著しく大きかった。
【0183】
製剤2及び製剤3のカラースコアリングは、経時的なB、BY、及びYカラースコアリングのわずかながらも顕著な増加を示した。対照的に、製剤1は、6ヶ月の試料が最大のB、BY、及びYカラースコアを受け取ると、経時的にカラースコアリングの急速な増加を示した。
【0184】
製剤2及び製剤3について、6ヶ月間にわたってpHの変化は観察されなかった。しかしながら、製剤1は、3~6ヶ月間でpHの著しい低下を示した。
【0185】
5℃、25℃、40℃で3ヶ月保持した後の翻訳後修飾
5℃、25℃、及び40℃におけるT=0及び3Mでの翻訳後修飾を、表10~表11に示す。5℃及び25℃では、3つの製剤全てが、それぞれ、T=0に対する属性値の変化をほとんど又はわずかから最小まで示した。所与の温度内で、変化の大きさは全ての製剤にわたって同様であり、それらの温度での経時的なタンパク質分解と一致した。
【0186】
40℃で、T=0に対して抗EGFR HC Asn 333/抗c-Met HC Asn 327及び抗c-Met HC Asn 55、59での脱アミド化の著しい増加が観察された。抗EGFR HC Asp 99の異性化における同様の傾向が観察された。脱アミド化及び異性化の増加の大きさは、3つの製剤全てで同様であった。
【0187】
また、40℃では、製剤2及び製剤3は、40℃での経時的なタンパク質分解と一致して、T=0に対する酸化値の顕著な変化を示した。しかしながら、製剤1は、抗EGFR HC Met 103、抗EGFR HC Met 108、抗EGFR HC Met 260/抗c-Met HC Met 254、抗EGFR HC Met 436/抗c-Met HC Met 430、及び抗c-Met LC Trp 32、Trp 35について、酸化対製剤2及び製剤3の大きさ、並びにその対応するT=0値の顕著な増加を示した。
【0188】
考察及び結論
試験を通して、製剤1は、製剤2及び製剤3に対して安定性属性の減少を示した。加速温度でのpHの変化は、製剤1(10mMヒスチジン)が、高濃度(160mg/mL)ではアミバンタマブの緩衝能が低いことを示唆した。
【0189】
製剤2及び製剤3は、試験の経過にわたって同様の安定性プロファイルを示した。しかしながら、全ての試験時点及び温度で、製剤2はわずかに乳白色の液体として見えたが、製剤3は透明な液体として見えた。同様に、製剤3は、試験全体を通して製剤2よりも低い濁度値を示した。
【0190】
【表7】
【0191】
【表8】
【0192】
【表9】
【0193】
【表10】
【0194】
【表11】
【0195】
【表12】
【0196】
【表13】
【0197】
【表14】
【0198】
実施例3:ポリソルベート濃度範囲の振盪及び凍結融解試験
この試験は、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスからアミバンタマブを安定化させるポリソルベート80(PS80)濃度の範囲を決定するために行う。この試験はまた、5℃で12ヶ月間保存した後のポリソルベート80の保護特性を評価する。
【0199】
試験製剤バイアルの複数の同一のセットを作製する。各セットは、目標(0.06%w/v)PS80値より低い、目標(0.06%w/v)PS80値である、及び目標(0.06%w/v)PS80値より高い濃度のポリソルベート80を含有する、試験製剤の各々のバイアルを2つ含む。セットはまた、PS80を含有しない試験製剤対照バイアルを含む。他の全ての製剤成分は一定に保たれる(160mg/mLのアミバンタマブ、30mMの酢酸、8.5%のスクロース、1mg/mLのメチオニン、20μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH5.7)。製剤を8Rバイアルに7.1mLの充填体積まで分注し、栓をし、キャップをし、クリンプシールする。
【0200】
一般的な試験ベースラインデータを確立するために、1セットのバイアルを試験開始時に試験し、未処理の時間0対照(T=0)として供する。
【0201】
機械的ストレス及び界面ストレスに対するポリソルベート80の安定化効果を評価するために、1セットのバイアルをオービタルシェーカ上に水平に置き、周囲室温及び明条件下において約250rpmで最大72時間にわたり振盪する(T72h振盪)。同じ時間の間、バイアルの第2の対応する振盪していない対照セットを、周囲室及び明条件で垂直に保持する(T72h対照)。
【0202】
エイジングしたポリソルベート80の機械的ストレス及び界面ストレスに対する安定化効果を評価するために、2セットのバイアルを5℃で12ヶ月間保持する。上述の方法を用いて、一方のセットを最大72時間にわたり振盪し(T12m T72h振盪)、他方のセットを対照として保持する(T12m T72h対照)。
【0203】
凍結/融解ストレスに対するポリソルベート80の安定化効果を評価するために、1セットのバイアルを、1サイクルが-70℃への凍結、それに続く周囲室温での受動的融解と定義された5回の凍結/融解サイクル(5×FT)に供する。
【0204】
全ての試験試料を、色、pH、濁度、粒子状物質(肉眼では見えない)、タンパク質濃度(A280)、SE-HPLC、cSDS(還元型)、cSDS(非還元型)、cIEF、PS80、効力(EGFR)、効力(cMET)によって安定性について評価する。
【0205】
振盪されたPS80なしの対照試料は、凝集体の検出の増加を含む撹拌誘発性分解の存在と一致する、属性値プロファイルを示すことが予想される。また、非常に低レベルのPS80を含有する試料は、撹拌誘発性分解が、T=0及び対応する振盪していない対照試料で見られる属性値プロファイルのすぐ上又はそれに等しい値の急激な減少を示すことが予想される。低レベル、標的レベル、及び高レベルのPS80を含有する試料は、T=0及び対応する振盪していない対照試料と非常に類似した属性値プロファイルを呈することが更に予想される。このデータは、PS80がアミバンタマブを機械的及び界面ストレスから安定化させる能力を実証している。
【0206】
振盪ストレス前に5℃で12ヶ月間保持した試料についても同様の結果が予想される。また、凍結/融解ストレス後にも、T=0対照と比較して属性値の実質的な差は予想されない。
【0207】
振盪ストレス下及び凍結/融解ストレス下の両方で、低ポリソルベート80試料、目標ポリソルベート80試料、及び高ポリソルベート80試料の間で属性値に実質的な差はないものと予想される。これは、低濃度、標的濃度及び高濃度レベルのポリソルベート80を用いて製剤化された安定なアミバンタマブが、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスに対して保護することを示している。
【0208】
振盪及び凍結/融解ストレスに対する加速条件下でエイジングした製剤を含有するポリソルベート80の評価
本研究は、加速条件下において6ヶ月間エイジングさせた場合の、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスに対してポリソルベート80とともに製剤化された、160mg/mLのアミバンタマブの試験製剤を評価するために行われた。
【0209】
10mM酢酸中の160mg/mLのアミバンタマブ、8.5%スクロース、1mg/mLのメチオニン、20μg/mLのEDTA、0.06%PS-80、pH5.1を、バイアル当たり15.6mLの充填体積で複数の複製30Rバイアルへと等分した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプで密封した。一般的な試験ベースラインデータを確立するために、1つの複製バイアルを試験開始時に試験し、時間0対照(T=0)として供した。残りの複製バイアルを、加速(25℃)条件で6ヶ月間安定した場所に置いた。
【0210】
機械的ストレス及び界面ストレスに対するエイジング製剤の安定性を評価するために、エイジングした複製バイアルをオービタルシェーカ上に水平に置き、周囲室温(+振盪)下において、約250rpmで最大72時間にわたり振盪した。
【0211】
凍結/融解ストレスに対するエイジング製剤の安定性を評価するために、エイジングした複製バイアルを、24時間にわたる-70℃への凍結として定義される1サイクルで、五(5)回の凍結/融解サイクル(5xFT)に供し、続いて24時間にわたる周囲室温で受動的に融解させた。
【0212】
残りのエイジングした複製バイアルを、振盪及び凍結/融解研究のための未処理対照として使用した。
【0213】
全ての試験試料を、色、pH、濁度、粒子状物質(肉眼では見えない)、タンパク質濃度(A280)、SE-HPLC、cSDS(還元型)、cSDS(非還元型)、cIEF、PS80、効力(EGFR)、効力(cMET)によって安定性について評価した。
【0214】
試験結果を以下の表11Aに掲載する。加速条件下において6ヶ月間エイジングしたT=0及び未処理対照試料の比較は、25℃で6ヶ月間にわたるタンパク質分解と一致する属性値のわずかから最小までの変化を示した。特に注目すべきことに、全てのエイジング試料は、PS80濃度の同等の減少(0.043~0.044%)対T=0(0.058%)を示した。
【0215】
加速条件下において6ヶ月間エイジングした試料の比較は、振盪ストレス、反復凍結融解ストレス、又は未処理対照への曝露間に顕著な差を示さなかった。これは、0.04%~0.06%のポリソルベート80濃度レベルで製剤化された160mg/mLのアミバンタマブが、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスに対して保護することを実証している。
【0216】
【表15】
【0217】
【表16】
【0218】
実施例4:rHuPH20含有製剤中のポリソルベート濃度範囲の振盪及び凍結融解
この試験は、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスからrHuPH20を伴うアミバンタマブを安定化させる、ポリソルベート80(PS80)濃度の範囲を決定するために行う。この試験はまた、5℃で12ヶ月間保存した後のポリソルベート80の保護特性を評価する。
【0219】
試験製剤バイアルの複数の同一のセットを作製する。各セットは、目標(0.06%w/v)PS80値より低い、目標(0.06%w/v)PS80値である、及び目標(0.06%w/v)PS80値より高い濃度のポリソルベート80を含有する、試験製剤の各々のバイアルを2つ含む。セットはまた、PS80を含有しない試験製剤対照バイアルを含む。他の全ての製剤成分を一定に保つ(160mg/mLのアミバンタマブ、30mMの酢酸、8.5%のスクロース、1mg/mLのメチオニン、20μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2000U/mLのrHuPH20、pH5.7)。製剤を8Rバイアルに7.1mLの充填体積まで分注し、栓をし、キャップをし、クリンプシールする。
【0220】
一般的な試験ベースラインデータを確立するために、1セットのバイアルを試験開始時に試験し、未処理の時間0対照(T=0)として供する。
【0221】
機械的ストレス及び界面ストレスに対するポリソルベート80の安定化効果を評価するために、1セットのバイアルをオービタルシェーカ上に水平に置き、周囲室温及び明条件下において約250rpmで最大72時間にわたり振盪する(T72h振盪)。同じ時間の間、バイアルの第2の対応する振盪していない対照セットを、周囲室及び明条件で垂直に保持する(T72h対照)。
【0222】
エイジングしたポリソルベート80の機械的ストレス及び界面ストレスに対する安定化効果を評価するために、2セットのバイアルを5℃で12ヶ月間保持する。上述の方法を用いて、一方のセットを最大72時間にわたり振盪し(T12m T72h振盪)、他方のセットを対照として保持する(T12m T72h対照)。
【0223】
凍結/融解ストレスに対するポリソルベート80の安定化効果を評価するために、1セットのバイアルを、1サイクルが-70℃への凍結、それに続く周囲室温での受動的融解と定義された5回の凍結/融解サイクル(5×FT)に供する。
【0224】
全ての試験試料を、色、rHuPH20活性、pH、濁度、粒子状物質(肉眼では見えない)、タンパク質濃度(A280)、SE-HPLC、cSDS(還元型)、cSDS(非還元型)、cIEF、PS80、効力(EGFR)、効力(cMET)によって安定性について評価する。振盪されたPS80なしの対照試料は、凝集体の検出の増加を含む撹拌誘発性分解の存在と一致する、属性値プロファイルを示すことが予想される。また、非常に低レベルのPS80を含有する試料は、撹拌誘発性分解が、T=0及び対応する振盪していない対照試料で見られる属性値プロファイルのすぐ上又はそれに等しい値の急激な減少を示すことが予想される。低レベル、標的レベル、及び高レベルのPS80を含有する試料は、T=0及び対応する振盪していない対照試料と非常に類似した属性値プロファイルを呈することが更に予想される。このデータは、PS80がアミバンタマブを機械的及び界面ストレスから安定化させる能力を実証している。
【0225】
振盪ストレス前に5℃で12ヶ月間保持した試料についても同様の結果が予想される。また、凍結/融解ストレス後にも、T=0対照と比較して属性値の実質的な差は予想されない。
【0226】
振盪ストレス下及び凍結/融解ストレス下の両方で、低ポリソルベート80試料、目標ポリソルベート80試料、及び高ポリソルベート80試料の間で属性値に実質的な差はないものと予想される。これは、低濃度、標的濃度及び高濃度レベルのポリソルベート80を用いて製剤化された安定なアミバンタマブが、機械的ストレス、界面ストレス、及び凍結/融解ストレスに対して保護することを示している。
【0227】
実施例5:製剤の堅牢性の発現
研究デザイン
研究は、推奨条件(5℃)及び加速条件(25℃)で保持された二重特異性EGFR-cMet抗体医薬品の製剤成分濃度レベルの多因子変動の効果を調べるために実施する。評価した製剤成分は、タンパク質濃度、酢酸濃度、スクロース濃度、ポリソルベート80濃度、EDTA/メチオニン濃度、及びpHレベルである。試験された最低及び最高試験因子濃度値は、それぞれ、目標試験因子濃度値よりも約10~40%低い又は高い(表12参照)。
【0228】
【表17】
【0229】
この基準に基づいて、統計ソフトウェアを使用して、試験に必要な試験製剤の数及び組成を指定する実験の多因子設計統計モデルを作成した。
【0230】
試験製剤を調製し、7.1mLの充填体積で8Rバイアルに等分した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプシールする。バイアルを、推奨条件(5℃)及び加速条件(25℃)で安定した場所に置く。指定された時点で、試料を採取し、アッセイする。
【0231】
試験結果
試験開始時(時間0)、推奨保存条件(5℃)にて12ヶ月後、及び加速温度(25℃)にて6ヶ月後の試験製剤の各属性の試験結果を、表形式で提示し、以下の属性の各々について試験製剤の範囲、平均、及び標準偏差を報告する:cIEF(主ピーク面積%、酸性ピークの合計%、塩基性ピークの合計%)、cSDS(純度%(非還元)、純度%(還元))、SE-HPLC(凝集体%、モノマー%、フラグメント%)、粒子状物質(肉眼では見えない)(粒子/容器≧10μm、粒子/容器≧25μm)、及び濁度(NTU)。
【0232】
5℃で12ヶ月間保持した全ての製剤についての分析結果は、安定性を示すアッセイ試験値にほとんど変化がないことを実証するものと予想される。賦形剤濃度が多変量範囲である全ての製剤が狭い範囲のアッセイ試験結果値をもたらす能力は、試験した境界及び保存条件内での製剤の堅牢性を実証している。その上、この試験におけるアッセイごとに観察された値の全範囲は、2~8℃で保持した場合の安定性の最も好ましい実施形態と一致するものと予想される。
【0233】
加速保存条件(25℃)で6ヶ月間保持した全ての製剤の分析結果は、長期加速保存条件に曝露した二重特異性EGFR-cMet抗体の安定性プロファイルと一致する分解効果を示すものとまた予想される。しかしながら、ほとんどの結果について、効果の大きさは、5℃で12ヶ月にて見られた結果と比較して相対的に小さいであろう。同様に、結果値の範囲の増加の大きさもまた比較的小さく、範囲のいくつかは、5℃で12ヶ月目に見られるものと同等又はそれ未満であるはずである。これは、加速保存条件下であっても、賦形剤濃度が多変量範囲であることが比較的一貫した結果をもたらすことを実証している。
【0234】
実施例6:rHuPH20を伴う製剤の堅牢性の発現
研究デザイン
研究は、推奨条件(5℃)及び加速条件(25℃)で保持されたrHuPH20を伴う二重特異性EGFR-cMet抗体医薬品の製剤成分濃度レベルの多因子変動の効果を調べるために実施する。評価した製剤成分は、タンパク質濃度、酢酸濃度、スクロース濃度、ポリソルベート80濃度、EDTA/メチオニン濃度、rHuPH20濃度、及びpHである。試験された最低及び最高試験因子濃度値は、それぞれ、目標試験因子濃度値よりも約10~50%低い又は高い(表13参照)。
【0235】
【表18】
【0236】
この基準に基づいて、統計ソフトウェアを使用して、試験に必要な試験製剤の数及び組成を指定する実験の多因子設計統計モデルを作成した。
【0237】
試験製剤を調製し、7.5mLの充填体積で8Rバイアルに等分した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプシールする。バイアルを、推奨条件(5℃)及び加速条件(25℃)で安定した場所に置く。指定された時点で、試料を採取し、アッセイする。
【0238】
試験結果
試験開始時(時間0)、推奨保存条件(5℃)にて12ヶ月後、及び加速温度(25℃)にて6ヶ月後の試験製剤の各属性の試験結果を、表形式で提示し、以下の属性の各々について試験製剤の範囲、平均、及び標準偏差を報告する:cIEF(主ピーク面積%、酸性ピークの合計%、塩基性ピークの合計%)、cSDS(純度%(非還元)、純度%(還元))、SE-HPLC(凝集体%、モノマー%、フラグメント%)、粒子状物質(肉眼では見えない)(粒子/容器≧10μm、粒子/容器≧25μm)、濁度(NTU)rHuPH20活性(U/mL)。
【0239】
5℃で12ヶ月間保持した全ての製剤についての分析結果は、安定性を示すアッセイ試験値にほとんど変化がないことを実証するものと予想される。賦形剤濃度が多変量範囲である全ての製剤が狭い範囲のアッセイ試験結果値をもたらす能力は、試験した境界及び保存条件内での製剤の堅牢性を実証している。その上、この試験におけるアッセイごとに観察された値の全範囲は、2~8℃で保持した場合の安定性の最も好ましい実施形態と一致するものと予想される。
【0240】
加速保存条件(25℃)で6ヶ月間保持した全ての製剤の分析結果は、長期加速保存条件に曝露した二重特異性EGFR-cMet抗体の安定性プロファイルと一致する分解効果を示すものとまた予想される。しかしながら、ほとんどの結果について、効果の大きさは、5℃で12ヶ月にて見られた結果と比較して相対的に小さいであろう。同様に、結果値の範囲の増加の大きさもまた比較的小さく、範囲のいくつかは、5℃で12ヶ月目に見られるものと同等又はそれ未満であるはずである。これは、加速保存条件下であっても、賦形剤濃度が多変量範囲であることが比較的一貫した結果をもたらすことを実証している。
【0241】
実施例7:製剤化された医薬のバルク生成
プロセスの説明
処理溶液
【0242】
【表19】
【0243】
限外濾過/透析濾過(UF/DF)
限外濾過/透析濾過(UF/DF)を行って、アミバンタマブウイルス保持濾液中間体製造溶液を、160mg/mLのアミバンタマブ、30mMの酢酸、8.5%のスクロース、1mg/mLのL-メチオニン、pH5.7からなる予め製剤化されたバルク(pFB)溶液に再製剤化する。UF/DF操作中、透析濾過緩衝液の酢酸塩濃度は、ギブス・ドナン効果により10mM~30mMに増加することに留意されたい。pHもまた5.2~5.7にシフトする。
【0244】
アミバンタマブ製剤化バルク(FB)の調製
ポリソルベート80(6.0%w/v)及びEDTA(2mg/mL)ストック溶液を1:100希釈でpFBに添加して、0.06%(w/v)のポリソルベート80及び20μg/mLのEDTAの最終濃度を得て、30mMの酢酸、8.5%(w/v)のスクロース、1mg/mLのL-メチオニン、0.06%のポリソルベート80、20μg/mLのEDTA、pH5.7での160mg/mLのアミバンタマブからなる製剤化バルク(FB)を得る。次いで、FB溶液を均一に混合する。製剤化されたバルクの最終濾過は、滅菌0.45/0.22μmフィルタ及びその直後にインライン0.22μmフィルタを使用して達成される。
【0245】
最終バルク充填
最終濾過後、FBをポリカーボネート製Biotainer(複数可)に充填する。充填体積は、Biotainerの記載容積の20%~90%である。
【0246】
最終バルクの保存及び輸送
医薬品製造前の製剤化されたバルクの保存及び輸送条件は、FBが約1週間以下の間保存される場合、遮光した状態で5℃±3℃、又はFBが1週間を超えて保存される場合、遮光した状態で-40℃±10℃である。
【0247】
実施例8:rHuPh20生成物による医薬製剤
プロセスの説明
処理溶液
【0248】
【表20】
1)100,000IU/mgのrHuPH20
【0249】
rHuPH20を伴うアミバンタマブ医薬製剤の調製
rHuPH20製剤化バルクをアミバンタマブ製剤化バルク溶液に添加して、2,000IU/mLのrHuPH20の最終濃縮物を得て、30mM酢酸、8.5%(w/v)スクロース、1mg/mLのL-メチオニン、0.06%ポリソルベート80、20μg/mLのEDTA、rHuPH20 2000IU、pH5.7での160mg/mLのアミバンタマブからなるrHuPH20を有する医薬製剤を得る。rHuPH20製剤化バルクからのヒスチジン及び塩化ナトリウムの寄与は最小であると考えられ、したがって、rHuPH20医薬製剤化組成物を含むアミバンタマブには列挙されていない。次いで、医薬製剤溶液を均一に混合する。医薬製剤の最初の濾過は、滅菌0.22μmフィルタを用いて達成される。医薬製剤の最終濾過は、滅菌0.22μmフィルタ、及びその直後にインライン0.22μmフィルタを用いて達成される。
【0250】
実施例9:医薬品:一次包装の組成及び成分
アミバンタマブ医薬品の組成の概要を、本明細書に表形式で提供する(表16)。
【0251】
【表21】
【0252】
アミバンタマブ医薬品(DP)一次包装は、ガラスバイアル、ポリマーバイアル栓、及びアルミニウムシールからなる。表17は、一次包装材料の具体的な構成要素を列挙している。
【0253】
【表22】
【0254】
実施例10:rHuPH20を伴う医薬品:一次包装の組成及び成分
rHuPH20を伴うアミバンタマブ医薬品の組成概要を、本明細書に表形式で提供する(表18)。
【0255】
【表23】
【0256】
rHuPH20を伴うアミバンタマブ医薬品(DP)一次包装は、ガラスバイアル、ポリマーバイアル栓、及びアルミニウムシールからなる。表19は、一次包装材料の具体的な構成要素を列挙している。
【0257】
【表24】
【0258】
実施例11:医薬品安定性試験の説明
この試験は、様々な環境条件及び時間長下での安定した場所に置かれたアミバンタマブDP属性を監視するために行われた。製剤化されたバルクを8Rバイアルに7.1mLの充填体積で等分することによって、研究試験品を調製した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプで密封した。
【0259】
全ての試験は、バイアルを逆向きにして実施した。
【0260】
【表25】
【0261】
安定性試験結果
推奨、加速、及びストレス条件下で保持されたアミバンタマブDPの現在までの安定性結果を、表21~表23に列挙する。推奨保存条件で保持されたDPについての全時点で、アッセイ研究ごとに観察された全ての試験パラメータ結果値は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に保持された場合、安定性の最も好ましい実施形態と一致する基準を超えることが予想される。同様に、ペプチドマップの結果は、翻訳後修飾の測定された割合の経時的な必然の変化をほとんど又は全く示さないものと予想される。
【0262】
加速条件及びストレス条件で保持されたアミバンタマブDPの結果は、長期加速条件及びストレス保存条件に曝露された医薬品の予想される分解速度を示すものと予想される。加速条件(25℃)で12ヶ月間保持されたDPは、2~8℃で約2年以上保持された場合、安定性の好ましい実施形態と一致する結果を示すこともまた予想される。
【0263】
5℃データ
【0264】
【表26】
【0265】
【表27】
【0266】
【表28】
【0267】
【表29】
【0268】
【表30】
NT=試験せず
【0269】
【表31】
【0270】
25℃データ
【0271】
【表32】
【0272】
【表33】
【0273】
【表34】
【0274】
【表35】
【0275】
【表36】
NT=試験せず
【0276】
【表37】
【0277】
【表38】
【0278】
【表39】
【0279】
【表40】
【0280】
【表41】
【0281】
【表42】
NT=試験せず
【0282】
【表43】
【0283】
実施例12:rHuPH20を伴う医薬品安定性試験の説明
この試験は、様々な環境条件及び時間長下での安定した場所に置かれたrHuPH20 DP属性によるアミバンタマブを監視するために行われた。製剤化されたバルクを8Rバイアルに7.1mLの充填体積で等分することによって、研究試験品を調製した。バイアルに栓をし、キャップをし、クリンプで密封した。
【0284】
全ての試験は、バイアルを逆向きにして実施した。
【0285】
【表44】
【0286】
安定性試験結果
推奨、加速、及びストレス条件下において保持されたrHuPH20 DPによるアミバンタマブの現在までの安定性結果を、表25~表27に列挙する。推奨保存条件で保持されたDPについての全時点で、アッセイ研究ごとに観察された全ての試験パラメータ結果値は、約5℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、約25℃の温度で約12ヶ月以上保存した後、及び/又は約5℃の温度で約2年以上保存した後に保持された場合、安定性の最も好ましい実施形態と一致する基準を超えることが予想される。同様に、ペプチドマップの結果は、翻訳後修飾の測定された割合の経時的な必然の変化をほとんど又は全く示さないものと予想される。
【0287】
加速条件及びストレス条件で保持されたrHuPH20 DPによるアミバンタマブの結果は、長期加速条件及びストレス保存条件に曝露された医薬品の予想される分解速度を示したものと予想される。加速条件(25℃)で12ヶ月間保持されたDPは、2~8℃で約2年以上保持された場合、安定性の好ましい実施形態と一致する結果を示すこともまた予想される。
【0288】
5℃データ
【0289】
【表45】
【0290】
【表46】
【0291】
【表47】
【0292】
【表48】
【0293】
【表49】
NT=試験せず
【0294】
【表50】
【0295】
25℃データ
【0296】
【表51】
【0297】
【表52】
【0298】
【表53】
【0299】
【表54】
【0300】
【表55】
NT=試験せず
【0301】
【表56】
【0302】
40℃データ
【0303】
【表57】
【0304】
【表58】
【0305】
【表59】
【0306】
【表60】
【0307】
【表61】
NT=試験せず
【0308】
【表62】
【0309】
実施例12A:粘度
pH5.7での160mg/mLのアミバンタマブ、30mMの酢酸塩、8.5%のスクロース、0.06%のポリソルベート80、20μg/mLのEDTA、1mg/mLのメチオニンの粘度を、自動粘度計で分析した。温度掃引を4℃~40℃の間で5℃間隔で行い、温度設定ごとに4回測定した。全ての温度での最初の測定値を破棄し、残りの3つを使用して、以下の表28に報告される平均粘度値を計算する。
【0310】
【表63】
【0311】
これらの結果は、アミバンタマブの高濃度製剤が注入に適した粘度を有することを実証している。
【0312】
実施例13.進行性固形悪性腫瘍を有する患者におけるアミバンタマブの皮下送達。
アミバンタマブの皮下(SC)送達を、EGFR又はMET指向性治療(PALOMA;NCT04606381)から利益を得ることができる進行性固形腫瘍を有する患者における、第1相用量段階的拡大試験で評価した。適格の腫瘍タイプには、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、肝細胞がん(HCC)、結腸直腸がん(CRC)、腎細胞がん(RCC)、甲状腺髄様がん(MTC)、胃食道がん(GEC)、中皮腫、乳がん(BC)、及び卵巣がん(OC)が含まれた。適格患者は、転移性疾患のための標準治療後に進行し、現在の標準治療に対して不適格であったか、又は現在の標準治療を拒否した。
【0313】
研究目的は、低濃度製剤、50mg/mLのアミバンタマブ±rHuPH20(パート1)及び高濃度製剤、160mg/mLのアミバンタマブ±rHuPH20(パート2)の投与、安全性、及び薬物動態(PK)の実現可能性を評価することであった。低濃度製剤(50mg/mL)アミバンタマブを、(Ami-LC-MD[混合及び送達])、又は(Ami-LC)rHuPH20なし(パート1、それぞれコホート1a及びコホート1b)のいずれかで投与した。高濃度製剤(160mg/mL)アミバンタマブを、(Ami-HC-CF[共製剤化])、又は(Ami-HC)rHuPH20なし(パート2、それぞれコホート2a及びコホート2b)のいずれかで投与した。パート1及びパート2の患者に、1050mg及び2,000単位/mLのrHuPH20(体重≧80kgでは1400mg及び2000単位/mLのrHuPH20)SC(最初の4週間は毎週、その後は隔週)でアミバンタマブの投与量を投与した。この試験はまた、1日目でのアミバンタマブの全用量の投与を評価した。
【0314】
結果:パート1(n=16)及びパート2(n=17)に登録された患者の完全な安全性、PK、バイオアベイラビリティ、及び受容体占有率のデータを評価した。IV投与と比較して、初期SC経験は、高濃度アミバンタマブとrHuPH20との共製剤が、必要な注入時間を2~4時間から5分未満に短縮し、初期バイオアベイラビリティがIV投与の約65%であることを実証した。可溶性の遊離EGFR及びMETの飽和が最初のSC用量の後に達成された。IRRの発生率は18.2%であり、これは、CHRYSALIS研究(Park Ann Oncol 32[suppl_5]:S981)全体では、推奨される第2相用量(RP2D)のIVアミバンタマブ静注を受けた患者の67.3%と比較して、全ての事象がグレード1~グレード2の重症度であった。完全なアミバンタマブSC用量を最初の投与時に14人の患者へと安全に投与することで、分割投与の必要性をなくした。
【0315】
完全な初期アミバンタマブ投与ではIRRのリスク増加は観察されなかった;IRRは、全用量(C1D1)を受けた3/14(21%)の患者、及び分割用量を受けた3/19(16%)の患者において報告された。
【0316】
SCアミバンタマブのIRR外のAEプロファイルは、IVアミバンタマブに匹敵した。グレード3以上のAEが患者の27.3%で発生し、ほとんどが単一事象として報告された。単一グレード3事象(低カリウム血症)が処置関連として報告された。用量の減少又は中止をもたらす処置関連AEは報告されなかった。2人の患者(6.1%)はグレード1の注入部位反応を示した。これは一過性であり、その後の投与に影響を及ぼさなかった。
【0317】
薬物動態、薬力学、及び免疫原性。アミバンタマブの最大血清濃度は、SC投与の2~3日後に達成された(図1)。rHuPH20でより高い曝露が得られた;rHuPH20を含む製剤を用いたSC投与による推定バイオアベイラビリティは、約65%であった。可溶性の遊離EGFR及びMETの飽和が最初の全用量後に全てのコホートにおいて達成された(図2)。試験した患者では抗医薬抗体は検出されなかった(パート1群とパート2群の両方で、合計N=33)。
【0318】
結論:初回SCアミバンタマブ±rHuPH20は、投与時間及び容易さの改善とともに良好に耐容され、静脈内(IV)投与と比較してIRRの有意な低減を伴い、分割投与の必要性が排除された。
【0319】
実施例14.オシメルチニブ及び白金ベースの化学療法での進行後の、EGFR突然変異非小細胞肺(NSCLC)患者におけるアミバンタマブ及びラゼルチニブ。
方法:臨床試験コホートにより、第1/第2のラインのオシメルチニブに続いて治療の最終ラインとして白金-化学療法が進行した疾患を持つEGFRエクソン19欠失又はL858R NSCLCを有する患者(標的集団、n=106)、及びオシメルチニブ及び白金-化学療法±これらの治療の数及び順序に関係ない他の治療の後に進行した疾患を持つより重度に前処置された集団(n=56)において、アミバンタマブ及びラゼルチニブを評価した。患者は、1050mgのIVアミバンタマブ(1400mg、80kg以上)+240mgの経口ラゼルチニブを受けた。奏効を、RECISTv1.1(European Journal of Cancer、第45巻第228~247頁(2009年))に従って評価し、奏効評価可能な患者について報告し、奏効永続性について6ヶ月以上の追跡調査を受けた患者と定義する。
【0320】
結果:162人の患者がコホートに登録された(治療の前ラインの中央値62歳、女性65%、アジア人61%、中央値3人[範囲、2~14])。最後のオシメルチニブ処置から最初の用量のアミバンタマブ+ラゼルチニブまでの時間の中央値は、標的集団及び重度に前処置された集団で、それぞれ、6.3ヶ月及び2.0ヶ月であった。標的集団の50人の有効性評価可能な患者のうち、ORRは36%(95%CI、23~51)であり、1人が完全奏効(CR)、17人が部分奏効(PR)であり、臨床的利益率(CBR)は58%(95%CI、43~72)であった。奏効期間の中央値(mDOR)は達成されなかった。8.3ヶ月の追跡調査中央値で、7名の応答者(39%)が6ヶ月以上続くDORを達成した。重度に前処置された集団の56人の有効性評価可能な患者(8.7ヶ月の追跡中央値)のうち、ORRは29%(95%CI、17~42)であり、1例のCR及び15例のPRを有していた。CBRは55%(95%CI、42~69)であり、mDORは8.6ヶ月(95%CI、4.2~NR)であった。CNS抗腫瘍活性の予備的証拠は、試験登録前1年以内に放射線を受けていなかったベースライン脳病変(7非標的、1標的)を有する8人の患者で報告された。
【0321】
注入関連反応(IRR)(65%)が、報告された最も頻度の高い有害事象(AE)であり、爪囲炎(49%)、発疹(41%)、及び口内炎(39%)がこれに続いた。最も一般的なグレード3以上の処置関連AE(TRAE)は、注入関連反応(7%)、ざ瘡様皮膚炎(5%)、及び低アルブミン血症(4%)であった。アミバンタマブ(ami)及びラゼルチニブ(laz)のいずれか又は両方の中断につながるTRAEは、それぞれ、12%及び7%で発生した。
【0322】
実施例15.rHuPH20と共製剤化されたアミバンタマブの皮下送達。
2週間に1回(Q2W)のアミバンタマブ投与レジメンに対して提案されている予備推奨第2相用量(RP2D)は、BW<80kgの患者では1600mgであり、BW≧80kgの参加者では2240mgである。この予備皮下用量は、rHuPH20(アミバンタマブSC-CF)と共製剤化された160mg/mLの濃度のアミバンタマブを含む。
【0323】
アミバンタマブSC-CFについて提案されている推奨投与レジメンは、得られた曝露がIV RP2Dレジメンで観察されたものと同様であることを確実にするように選択される。SC投与後の観察されたAUC(rHuPH20製剤を含む及び含まないコホート)を、IV投与後の対応する観察されたAUCと比較することによって、バイオアベイラビリティを推定した。SCコホートには、IV RP2D(BW<80kgの参加者には1050mg、BW≧80kgの参加者には1400mg)を投与した。この用量では、最初のSC用量後に、可溶性遊離EGFR及びcMetの飽和が達成された。更に、33名の参加者全員が抗アミバンタマブ抗体について陰性であった。サイクル2の最初の投与後(サイクル1の毎週の誘導投与後)、濃度時間曲線下の平均(CV%、n)面積(AUC)C2D1~C2D15は、rHuPH20あり及びなしの160mg/mlからのコホートについて、それぞれ、95,416μg×h/mL(45.4%、7)及び75,378μg×h/mL(27.0%、5)であった。
【0324】
rHuPH20を伴うアミバンタマブの共製剤(すなわち、アミバンタマブSC-CF)は、rHuPH20を含まない製剤と比較して、注入に必要な時間を約8倍短縮することに加えて、改善されたバイオアベイラビリティ(65%対51%)を提供した。推定バイオアベイラビリティに基づいて、BW<80kgの参加者については1,600mg、BW≧80kgの参加者については2,240mgの予備RP2Dが提案された。
【0325】
新たに得られたデータは、アミバンタマブIVで以前に報告されたよりも低いIRR発生率(全体で18.7%及び0グレード≧3)を示している(全体で65.9%及び2.3%グレード≧3)。IRRの発生率及び重症度が低下した結果、この研究は、初回用量のアミバンタマブSCの1日注入の実現可能性を実証した。
【0326】
予備的モデリングによって支持される現在の臨床データ及び分析に基づいて、アミバンタマブSC-CFを、体重80kg未満の参加者については1,600mg、体重80kg超の参加者については2,240mgの予備RP2Dで投与することになる。
【0327】
コホート1は、EGFRエクソン19del又はエクソン21 L858R突然変異を内包する処置未経験の局所進行性又は転移性NSCLCを有する対象における、アミバンタマブSC-CF(Q2W)と、ラゼルチニブとの組み合わせを評価する。参加者は、第2サイクルから開始して、第1サイクルの第1日目、第8日目、第15日目、及び第22日目、並びにその後の各28日間サイクルの第1日目及び第15日目にアミバンタマブを投与される。アミバンタマブSC-CFは、1,600mg(体重≧80kgの場合、2,240mg)での手動注入によってSCに投与される。ラゼルチニブは240mgを1日1回経口投与される。
【0328】
コホート4は、標準治療に従って3ヶ月以上のアミバンタマブIVを受けた対象における切り替え療法としての、アミバンタマブSC-CF(Q2W)の実現可能性を評価する。参加者は、第2サイクルから開始して、第1サイクルの第1日目、第8日目、第15日目、及び第22日目、並びにその後の各28日間サイクルの第1日目及び第15日目にアミバンタマブを投与される。アミバンタマブSC-CFは、1,600mg(体重≧80kgの場合、2,240mg)での手動注入によって投与される。
【0329】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して、多数の変更及び修正を加えることができ、このような変更及び修正を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に収まる、このような同等の変化を全て網羅することが意図されている。
【0330】
本明細書に引用又は記載されている各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0331】
【表64】
【0332】
【表65-1】
【0333】
【表65-2】
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】