(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】UV硬化性エチレン捕捉組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20240326BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240326BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20240326BHJP
C08K 5/55 20060101ALI20240326BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240326BHJP
A23L 3/3454 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C08L83/04
B65D65/40 D
B05D7/24 301T
B05D7/24 302Y
B05D3/06 102Z
C08K5/55
C08K3/34
A23L3/3454
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554008
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 GB2022050861
(87)【国際公開番号】W WO2022219308
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】コルニッシュ、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3E086
4B021
4D075
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA19
3E086BB04
3E086CA17
3E086CA18
4B021MC05
4B021MK08
4B021MP08
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075DA04
4D075DB20
4D075DB31
4D075DB36
4D075EA21
4D075EB43
4J002CD111
4J002CP031
4J002DJ007
4J002EY016
(57)【要約】
本発明は、(i)エポキシ基を含むシリコーンと、(ii)ヨードニウム塩と、(iii)金属ドープゼオライトと、を含む、UV硬化性組成物に関する。UV硬化性組成物を調製することができ、かつ本発明の一部を形成するキットは、成分(ii)中に分散された成分(iii)を含む第1の部分と、成分(ii)を含む第2の部分と、を含む。本発明はまた、UV硬化性組成物を基材上に適用し、材料をUV光で硬化させることによって、エチレンの吸着のための材料を調製する方法に関する。得られた硬化材料もまた、本発明の一部を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV硬化性組成物であって、
(i)エポキシ基を含むシリコーンと、
(ii)ヨードニウム塩と、
(iii)金属ドープゼオライトと、を含む、UV硬化性組成物。
【請求項2】
成分(i)が、25℃及び50s
-1のせん断において10~1000mPa・sの粘度を有する、請求項1に記載のUV硬化性組成物。
【請求項3】
成分(i)が、25℃及び50s
-1のせん断において10~100mPa・sの粘度を有する、請求項1又は2に記載のUV硬化性組成物。
【請求項4】
成分(ii)が、ヨードニウムジフェニル-(4,4’-ジ-アルキル)テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート又はその混合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のUV硬化性組成物。
【請求項5】
前記アルキル基が、C10~13アルキル基である、請求項4に記載のUV硬化性組成物。
【請求項6】
成分(iii)が、チャバザイト(CHA)骨格を有する金属ドープゼオライトである、請求項1~5のいずれか一項に記載のUV硬化性組成物。
【請求項7】
成分(iii)が、パラジウムドープゼオライトである、請求項1~6のいずれか一項に記載のUV硬化性組成物。
【請求項8】
キットであって、
成分(i)中に分散された成分(iii)を含む第1の部分と、
成分(ii)を含む第2の部分と、を含み、
成分(i)、(ii)及び(iii)が、請求項1~7のいずれか一項において定義される通りである、キット。
【請求項9】
エチレンの吸着のための材料を生成するための方法であって、
(i)請求項1~7のいずれか一項に記載のUV硬化性組成物を基材上に適用する工程と、
(ii)UV光を使用して前記UV硬化性組成物を硬化させる工程と、を含む、方法。
【請求項10】
前記基材が、ポリマーフィルムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基材が、繊維状ポリマーである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記基材が、繊維状HDPEである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記基材が、Tyvek(商標)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材が、グラシンである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載の方法によって生成された、又は生成可能なエチレンの吸着のための、材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果物、野菜及び他の有機物からエチレンを吸着するための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送中又は保管中の果物、野菜、及び他の有機物の過剰熟成又は腐敗は、著しい青果物の損失及び廃棄につながる可能性がある。これは、新鮮な青果物のサプライチェーンに関わる人々にとってますます大きな問題であり、長い輸送時間及び変動する気候条件と関連していることがある。有機物が保管されている周囲の状況を変えることは、青果物の消費期限を延ばすための有効な方策であることが示されている。例えば、青果物の包装内の酸素及び二酸化炭素の濃度が変化することにより、青果物の呼吸速度が低下し、新鮮な青果物の腐敗を遅らせることができる。
【0003】
他の方策には、青果物の包装内又はその周囲からの揮発性有機化合物(volatile organic compound、VOC)の除去が伴う。VOCは典型的に、青果物自体によって放出されるか、又は青果物が保管若しくは輸送される環境内に存在することがある。このようなVOCが存在することで、例えば、青果物の腐敗を加速させ、望ましくない臭い若しくは味をもたらすか、又は色の変化や他の外観の変化を生じさせることがある。
【0004】
このようなVOCの1つはエチレンである。エチレンは植物ホルモンであり、植物における多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。例えば、外因性エチレンにより、果物の熟成を開始することができ、次いで果物が熟成するにつれてエチレンが放出され、局所的な濃度が高くなることがある。他の新鮮な青果物種類はまた、それ自体のエチレン生成が低い場合であっても、エチレンによる影響を受けやすい。エチレン生成速度は、局所的なエチレン濃度を決定する際の主要な因子となることがあり、この速度は、青果物の種類によって大きく異なる。過剰なエチレン濃度は、例えば、果物及び野菜の早熟、新鮮な花のしおれ、並びに緑色の喪失、並びに野菜の苦味の増加につながり得る。
【0005】
周囲のエチレン濃度の制御は、多くの園芸品の品質保持期間を延ばすのに有効であることが判明しており、エチレン制御の様々な方法が商業的に利用されている。方法としては、エチレン吸着及び酸化に基づく方法、例えば過マンガン酸カリウムの使用が挙げられる。
【0006】
パラジウムドープゼオライトは、エチレン吸着剤として作用することが見出されている。例えば、国際公開第2007/052074号(Johnson Matthey Public Limited Company)には、有機物由来のエチレンを吸着するためにパラジウムドープZSM-5を使用できることが記載されている。
【0007】
エチレンを除去するために使用される吸着剤は、典型的には、粉末の形態で、又は顆粒として使用される。新鮮な青果物の包装内で使用する場合、吸着材は、典型的には、包装内に位置する袋、詰め物、又は他の挿入物内に収容される。
【0008】
袋、詰め物、又は他の種類の挿入物内に吸着剤を供給する代わりに、吸着材を包装に組み込むことが既知である。
【0009】
国際公開第2016/181132(A1)号(Innovia Films Ltd,Food Freshness Technology Holdings Ltd)では、結合剤と、VOCを除去することができる粒子状の隆起成分(protuberent component)とを含む、フィルム表面上にコーティングを含む包装構造で使用するフィルムを記載している。実施例は、水溶性アクリルコポリマー又はポリウレタン結合剤とともにパラジウムドープゼオライトを利用する。粒子の突出は、環境に対する捕捉剤の表面積の増加に起因して、揮発性有機化合物の除去効率を改善できると主張されている。しかしながら、このような突出は、捕捉材料の喪失及び潜在的な食品接触の問題、又は吸着材の水への曝露の問題につながり得る。
【0010】
国際公開第2019/175524号(Johnson Matthey PLC)は、ベース材料の表面上にコーティングを有するベース材料を含む包装構造を記載し、コーティングは、シリコーンエラストマー及び無機エチレン吸収剤を含む。国際公開第2016/181132号内のようなフィルムから突出する粒子としてではなく、コーティング全体にわたる無機エチレン吸収剤の分散は、吸着材が食品又は水分に接触する可能性を低減させる。国際公開第2019/175524号におけるいくつかの例は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンとメチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーとの混合物中のパラジウムドープゼオライトを架橋剤として使用する。テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(別名「Ashby’の触媒」)におけるPt(0)の白金触媒「C1098」が硬化触媒として使用される。シリコーン混合物は、LDPE上に層として適用され、熱的に硬化される。別の実施例では、C1098の代わりに触媒としてPt(acac)2を使用し、コーティングされたフィルムを、自然光下、室温で5日間硬化させた(実施例4参照)。UV硬化フィルムは、粉末捕捉剤に匹敵するエチレン捕捉能を示した。
【0011】
フィルムのUV硬化は、いくつかの理由で熱硬化に対する魅力的な代替法である。第一に、UV硬化のエネルギー需要は、熱硬化よりも低い。第二に、UV硬化は、熱硬化と比較して、より広い範囲の基材に適合性がある。
【0012】
国際公開第2019/175524号に記載されているUV硬化性フィルムは、良好なエチレン捕捉能を示すが、それらは遅い硬化速度を呈する。これは、フィルムをいかに迅速に生成することができるかということを制限するので、問題である。
【0013】
本発明者らによる後続の(内部)試験は、Pt(acac)2の代わりにより活性な硬化触媒を添加することによって硬化時間が短縮され得ることを示した。しかしながら、これは硬化触媒の注意深い取扱いを必要とし、スケールアップに理想的には適していない。
【0014】
包装上に適用し、UVを使用して迅速に硬化させることができ、かつ容易に取り扱うことができるエチレン捕捉材料が依然として必要とされている。本発明は、この問題に対処する。
【発明の概要】
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、エポキシ基を含むシリコーン、ヨードニウム塩、及び金属ドープゼオライトの混合物が、UV硬化性であり、優れたエチレン捕捉能を提供し、これが上記の問題を解決することを見出した。
【0016】
第一に、付加硬化機構に依存する国際公開第2019/175524号内に記載されている配合物とは対照的に、エポキシ官能性シリコーン、ヨードニウム塩及び金属ドープゼオライトの混合物は、ともに混合されたときに低レベルのバックグラウンド硬化を示す。これは、配合物がより長いポットライフを提供することを意味する。
【0017】
第二に、本明細書において説明された組成物は、国際公開第2019/175524号に記載されている熱硬化又はUV硬化組成物のいずれかよりも速い硬化速度を呈する。これは、取扱いが困難であり得るPt系硬化触媒を必要とすることなく達成される。本発明において硬化触媒として作用するヨードニウム塩は、取扱いが比較的容易であり、多くのPt硬化触媒とは異なり、特別な封じ込め設備を必要としない。
【0018】
本発明者らは、本発明に到達する前に、様々な異なるシリコーン組成物を試した。多くは、エチレン捕捉剤(Pdドープゼオライト)と組み合わせたとき、十分に速い速度で硬化しないか、又は硬化後に感知できるほどのエチレン捕捉能を示さないことが見出された。
【0019】
驚くべきことに、SILICOLEASE(商標)UV 200シリーズのシリコーンをSILICOLEASE(商標)UV CATA 243(両方ともElkem Siliconesから入手可能)及び金属ドープゼオライトと組み合わせることによって形成されたUV硬化性系は、長いポットライフを呈し、UVに曝露すると急速に硬化し、硬化後にエチレンを捕捉する優れた能力を示すことが見出された。この効果は、シリコーンと使用される光開始剤、すなわちエポキシ基を含むシリコーンと光開始剤としてのヨードニウム塩との組み合わせの結果であると考えられる。
【0020】
第1の態様では、本発明は、
(i)エポキシ基を含むシリコーン、
(ii)ヨードニウム塩、及び
(iii)金属ドープゼオライトを含む、UV硬化性組成物を提供する。
【0021】
本明細書において使用される際、「UV硬化性組成物」という用語は、UV光の存在下で硬化されて、エチレンをその周囲から捕捉する能力を有する組成物を生成することができる組成物を意味する。
【0022】
第2の態様では、本発明は、
成分(i)中に分散された成分(iii)を含む第1の部分と、
成分(ii)を含む第2の部分と、を含むキットを提供し、
成分(i)、(ii)及び(iii)は、第1の態様に従って定義される通りである。
【0023】
UV硬化性組成物は、キットの第1及び第2の部分を組み合わせることによって調製することができる。
【0024】
第3の態様では、本発明は、エチレンの吸着のための材料を生成するための方法を提供し、
(i)第1の態様によるUV硬化性組成物を基材上に適用する工程と、
(ii)UV光を使用してUV硬化性組成物を硬化させる工程と、を含む。
【0025】
方法は、UV光を使用して硬化を実行し、熱硬化に依存する方法よりもエネルギー集約的ではない。
【0026】
第4の態様では、本発明は、第3の態様の方法によって生成されるか、又は生成可能なエチレンの吸着のための材料を提供する。材料は、基材の表面上にUV硬化組成物を有する基材を含む。この材料は、周囲環境からエチレンを吸着するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】比較例1~2及び実施例3~4のコーティングされたフィルムを使用するエチレン吸着試験の結果を示す。
【
図2】25℃で、50s
-1、500s
-1、1000s
-1及び50s
-1の連続せん断速度において測定した、実施例1~4で使用した系の粘度(触媒の添加前)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
任意の副表題は、便宜のためにのみ挙げられており、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0029】
UV硬化性組成物
第1の態様では、本発明は、
(i)エポキシ基を含むシリコーン、
(ii)ヨードニウム塩、及び
(iii)金属ドープゼオライトを含むUV硬化性組成物を提供する。
【0030】
成分(i)-エポキシ基を含むシリコーン
成分(i)は、本明細書において「エポキシシリコーン」としても称される、エポキシ基を含むシリコーンである。典型的には、成分(i)は、少なくとも2つの異なるケイ素含有モノマーを含むコポリマーであり、そのうちの少なくとも1つは、エポキシ基を含む。シリコーンは、典型的には、鎖長の広がりを有し、したがって成分(i)は、典型的には、異なるエポキシシリコーンの混合物を含むことが理解されるであろう。
【0031】
成分(i)の粘度は、エチレンを捕捉するUV硬化性組成物の能力に重要な影響を有する。典型的な粘度は、50s-1のせん断下で測定して、25℃において、10~1000mPa・sである。好ましい粘度は、50s-1のせん断下で測定して、25℃において10~500mPa・sである。粘度を測定するための好適かつ好ましい方法は、実施例のセクションにおいて報告される。
【0032】
粘度が1000mPa・sを超えると、エポキシシリコーンの加工が困難になる場合がある。成分(i)の粘度が低いほど、全体としてUV硬化性組成物組成物の粘度が低くなるので、可能な限り低い粘度が有益である。低粘度UV硬化性組成物は、速いコーティング/印刷速度を可能にするために望ましい。
【0033】
成分(i)は、50s-1のせん断下で測定して、25℃において10~100mPa・sの粘度を有することが好ましい。驚くべきことに、この範囲の粘度を有するエポキシシリコーンの使用は、100mPa・sを上回る粘度を有するエポキシシリコーンを使用するときと比較して、より高いエチレン捕捉速度を有する組成物をもたらす。かかる組成物は、低粘度エポキシシリコーンの高い捕捉速度が包装中のエチレンの蓄積を防止するので、高いエチレン濃度に特に敏感な生成物とともに包装が使用される場合に特に好ましい可能性がある。
【0034】
本発明において成分(i)として使用するのに好適な例示的なエポキシシリコーンは、米国特許出願公開第2015/232700(A1)号に「オルガノシリコン成分D」として記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。特に、適切なエポキシシリコーンは、米国特許出願公開第2015/232700(A1)号の[0174]~[0213]に記載されている。
【0035】
特に好ましいクラスのエポキシシリコーンは、Elkem SiliconesからSILCOLEASE(商標)UV POLYのブランドで販売されたものである。特に好ましいシリコーンとしては、SILCOLEASE(商標)UV POLY 200及びSILCOLEASE(商標)UV POLY 204が挙げられる。これらは、光開始剤SILCOLEASE(商標)UV CATA 243と組み合わせて使用することが推奨される。いくつかの実施形態では、成分(i)は、SILCOLEASE(商標)UV POLY 200及びSILCOLEASE(商標)UV POLY 204の混合物を含み得る。
【0036】
成分(ii)-ヨードニウム塩
成分(ii)は、ヨードニウム塩である。成分(ii)の機能は、UV光に曝露されたとき、組成物の硬化を開始することである。
【0037】
本明細書において使用される際「ヨードニウム塩」という用語は、ヨウ素原子が2つのアリール環に結合している有機イオンを含む塩を意味する。
【0038】
好ましいヨードニウム塩は、米国特許出願公開第2015/0232700(A1)号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。特に、本発明における使用に好適な、適切なヨードニウム塩は、この参考文献の式(I)’、特に段落[0040]~[0052]において定義される。
【0039】
好ましい実施形態では、成分(ii)は、式(I)のヨードニウム塩であり、
【0040】
【化1】
式中、各R1及びR2は、同一であるか又は異なり、各々、10~30個の炭素原子、好ましくは、10~20個の炭素原子、更により好ましくは、10~15個の炭素原子、更により好ましくは、10~13個の炭素原子、更により選択的には、12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを表し、
a及びbは、0≦a≦3、1≦b≦4及びa+b=4である整数であり、
c及びc’は、同一であっても異なっていてもよく、1~5の範囲の整数であり、
各Xは、同一であっても異なっていてもよく、
0≦a≦3を有する塩素若しくはフッ素原子、又は
0≦a≦2を有するOH官能基を表し、
式中、各R3は、同一であっても異なっていてもよく、
少なくとも2つのハロゲン原子、好ましくは、少なくとも2つのフッ素原子、又は
-CF
3、-OCF
3、-NO
2、-CN、-SO
2C
nF
2n+1、-(CO)C
nF
2n+1、-OC
nF
2n+1及び-C
nF
2n+1(nは1~20の整数である)からなる群から選択される少なくとも1つの電子求引基、又は
任意選択的に、-CF
3、-OCF
3、-NO
2、-CN、-SO
2C
nF
2n+1、-(CO)C
nF
2n+1、-OC
nF
2n+1及び-C
nF
2n+1(nは1~20の整数である)などの少なくとも1つのハロゲン原子、特にフッ素原子若しくは電子吸引基と置換される、少なくとも2つの芳香核を含有するアリールラジカル、例えばビフェニル、ナフチルと置換されるフェニルラジカルを表す。
【0041】
c及びc’は、1に等しいことが好ましい。
【0042】
c及びc’が両方とも1に等しく、R1が4位(ヨードニウム基に対してパラ位)にあり、R2が4’位(ヨードニウム基に対してパラ位)にあることが更に好ましい。
【0043】
c及びc’が両方とも1に等しく、R1が4位(ヨードニウム基に対してパラ位)にあり、R2が4’位(ヨードニウム基に対してパラ位)にあり、R1及びR2の両方がC10~C13アルキル基であることが更に好ましい。
【0044】
b=4であることが好ましい。特に好ましい実施形態では、b=4であり、各R3は、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基であり、すなわち、対アニオンは、テトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0045】
特に好ましいヨードニウム塩は、Elkem Chemicals製のSILCOLEASE(商標)UV CATA 243である。この生成物は、置換基R1及びR2が様々な異なる鎖長を有するヨードニウム塩の混合物である。この生成物は、ヨードニウムジフェニル-4,4’-ジ-C10~13-アルキルテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート)として化学的に記載される。
【0046】
成分(i):成分(ii)の重量比は、UV下で適切な硬化を達成するように容易に選択される。典型的には、成分(i):成分(ii)の重量比は、100:0.1~100:10、好ましくは、100:0.1~100:5、より好ましくは、100:0.1~100:2である。これらの比は、UV下での組成物の迅速な硬化を達成する。
【0047】
成分(iii)-金属ドープゼオライト
成分(iii)は、金属ドープゼオライトである。この成分の役割は、エチレンを吸収することである。
【0048】
疑義を回避するために、本明細書において使用される際、「吸着剤」及び「吸着」という用語は、特定の経路へのエチレンの取り込みに限定されるものとして解釈されるべきではなく、エチレンの二次化合物への化学変換を含む。本明細書で使用するとき、用語「吸着剤」は、「吸収剤」と同義である。
【0049】
ゼオライトは、孔の開口部を画定するT原子の数(T=Si又はAl)によって分類され得る。ゼオライトは、小孔(最大孔径8員環)、中孔(最大孔径10員環)、又は大孔(最大孔径12員環)と呼ばれる。好ましくは、本発明では、ゼオライトは、小孔又は中孔の骨格を有し、より好ましくは、ゼオライトは、小孔の骨格を有する。小サイズ又は中サイズの孔を有するゼオライトは、高分子材料と組み合わせると、大孔の骨格を有するゼオライトと比較して、より高いレベルの吸着剤容量を保持することが見出されており、国際公開第2019/175524(Johnson Matthey PLC)を参照されたい。
【0050】
骨格型はまた、ゼオライト骨格のチャネルに沿って拡散することができる球体の最大直径によって分類されてもよい。好ましくは、最大直径は、3Å超、又はより好ましくは3.5Å超であり、ゼオライト骨格への迅速なエチレン拡散を可能にする。結合剤と組み合わせたときの吸着剤容量の保持を助けるために、最大直径が5Å未満、又は4Å未満であることが好ましい場合がある。好ましくは、骨格型の最大直径は3Å~5Å、又は好ましくは3.5Å~5Åである。かかるデータは、例えば、ゼオライト構造のデータベース内に提供されている(Structure Commission of the International Zeolite Association,http://www.iza-structure.org/databases/)。
【0051】
好ましいゼオライト骨格型としては、MFI骨格型を有する中孔ゼオライト、及びAEI又はCHA骨格型を有する小孔ゼオライトが挙げられる。本明細書で使用される3文字のコードは、「IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature」及び/又は「Structure Commission of the International Zeolite Association」に準拠した骨格型を表す。
【0052】
骨格型は、AEI又はCHA、より好ましくはCHAから選択されることが好ましい。ゼオライトは、骨格が混合又は連晶である領域、例えば、CHA/AEI連晶を含み得ることが理解されるであろうが、ゼオライトは、2つ以上の骨格型の連晶ではない骨格を有することが概して好ましい。
【0053】
ゼオライトは、典型的には、100:1以下、例えば10:1~50:1、好ましくは10:1~40:1、より好ましくは20:1~30:1のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。
【0054】
ゼオライト骨格は、アルカリ元素及び/又はアルカリ土類元素(例えば、Na、K、Mg、Ca、Sr、及びBa)のカチオン、アンモニウムカチオン及び/又はプロトンなどのカチオンによって相殺され得る。好ましくは、ゼオライトは、水素形態にある。
【0055】
ゼオライトは金属でドープされている。好ましい金属は、銀及びパラジウムであり、好ましくは、パラジウムである。金属の好ましい担持量は、ドープされたゼオライトの総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは、0.2~2重量%、より好ましくは、0.2~1.5重量%である。これらの担持量は、パラジウムの場合において特に適切である。
【0056】
UV硬化性組成物への組み込み前、金属ドープゼオライト材料は、好ましくは、粒子の形態であり、典型的には、1μm~25μm、好ましくは、5及び10μmのサイズ(d50)の体積分布を有する。粒子の粒径分布は、例えば、レーザー回折により、例えば、脱イオン水中の粒子の懸濁液を生成し、Malvern(商標)Mastersizer(商標)2000を使用して粒径分布を測定することによって、測定され得る。金属ドープゼオライトの体積分布は、使用される処理条件に応じて、インクへの組み込み後及び基材上へのインクの適用後にわずかに変化し得ることが理解されるであろう。
【0057】
かかるゼオライトは、典型的には、パラジウムナイトレート溶液を使用して初期湿潤によって含浸し、粒子を乾燥させ、次いで450~750℃の温度で焼成することによって調製される。
【0058】
典型的には、UV硬化性組成物は、UV硬化性組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%の成分(iii)を含む。成分(iii)の最大量は、本発明において特に限定されないが、典型的には、UV硬化性組成物は、UV硬化性組成物の総重量に基づいて、50重量%未満の成分(iii)を含む。成分(iii)の量が50重量%を超える場合、コーティングを均一に適用することが困難になり得る。典型的には、UV硬化性組成物は、UV硬化性組成物の総重量に基づいて、1~50重量%、好ましくは、10~50重量%、例えば、20~40重量%の成分(iii)を含む。
【0059】
UV硬化性組成物の製造
UV硬化性組成物は、典型的には、成分(i)~(iii)を周囲温度で、例えば、マグネチックスターラを使用して混合しながら組み合わせることによって製造される。成分(ii)を添加する前に、成分(i)及び(iii)を組み合わせることが重要である。これは、金属系ゼオライト(iii)が組み込まれる前の成分(i)の早期硬化を回避するためである。
【0060】
本発明の第2の態様では、
成分(i)中に分散された成分(iii)を含む第1の部分と、
成分(ii)を含む第2の部分と、を含むキットを提供し、
成分(i)、(ii)及び(iii)は、第1の態様に従って定義される通りである。
【0061】
第2の部分は、溶媒中に溶解されるか又は分散された成分(ii)を含むことが好ましい。好適な溶媒としては、米国特許出願公開第2015/0232700号に記載されているようなゲルベアルコールなどのアルコール溶媒が挙げられる。
【0062】
UV硬化性組成物は、混合によってキットの第1及び第2の部分を組み合わせることによって調製することができる。先行するセクションにおいて成分(i)、(ii)及び(iii)について必要であるか又は好ましいものとして説明された特徴はまた、キットに適用される。
【0063】
エチレン吸収材料
UV硬化性組成物は、エチレンを吸収するための材料を製造するために使用することができる。
【0064】
第3の態様では、本発明は、エチレンの吸着のための材料を生成するための方法を提供し、
(i)本明細書において説明されるようなUV硬化性組成物を基材上に適用する工程と、
(ii)UV光を使用してUV硬化性組成物を硬化させる工程と、を含む。
【0065】
熱的方法よりもむしろ組成物を硬化させるためのUV光の使用は、より低いエネルギーコストの利点を有する。
【0066】
UV硬化性組成物は、印刷によって基材上に適用され得るので、本明細書において「インク」と称され得る。UV硬化性組成物は、当業者に既知の様々な印刷方法を使用して、例えば、スプレーコーティング、ロールコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、スロットダイコーティングなどによって、工程(i)においてベース材料上に適用されてもよい。ベース材料がフィルムである場合では、コーティング工程は、グラビアロールコーティング、スロットダイ又はスプレーコーティング方法を使用して有利に実行され得る。
【0067】
使用されるコーティング方法に応じて、UV硬化性組成物は、連続コーティング(例えば層)又は不連続コーティングの形態で基材の表面上に適用され得る。不連続コーティングは、連続コーティングと比較して、より少ないUV硬化性組成物が必要とされ得るという利点を有する。加えて、不連続コーティングは、消費者に魅力的なデザインとして、例えば、形状又はロゴの形態で組成物を適用する可能性を可能にする。
【0068】
適用されるUV硬化性組成物は、連続コーティングとして適用されるか不連続コーティングとして適用されるかに関係なく、典型的には、5~200μmの厚さを有する。
【0069】
基材は、特に限定されない。好適な基材の例としては、フィルム、バッグ、容器(例えば、パンネット)、容器の蓋(例えば、クラムシェルボックスの蓋)、包装挿入物(例えば、ポリマーストリップ)が挙げられる。
【0070】
基材の材料は、特に限定されない。典型的な基材としては、LDPEなどの製品包装において一般的に使用されるポリマーフィルムが挙げられる。別のクラスの好ましい基材は、繊維状ポリマーである。例えば、Tyvek(商標)が広く使用され、好ましい例である、繊維状HDPEがある。別の好ましい繊維状ポリマーは、グラシンである。
【0071】
工程(ii)において、UV硬化性組成物は、UV光源への曝露によって硬化されて、基材の表面上に硬化組成物を生成する。UV硬化性組成物を硬化させるためのUV条件は、当業者によって容易に決定されるであろう。
【0072】
本明細書において使用される「UV光源」という用語は、200~300nmの波長の光を含む光源を意味する。光源はまた、この範囲外の波長を有する光を含み得る。UV光源は、自然光であり得るが、自然光の小さい割合のみがUV波長を有するため、あまり好ましくない選択肢である。光源は、UVランプ、すなわち、200~300nmの波長を有する光を主に生成する光源であることが好ましい。本発明の利点は、硬化を周囲温度で実行することができることである。
【0073】
典型的な条件は、組成物をUV光源に0.1~10秒間曝露することを含む。これは、以前に説明された系について可能であったものよりも速い硬化時間であり、高い生産性を可能にするので有利である。好ましくは、組成物は、0.1~5秒の期間、例えば、0.5~5秒間、UV光源に曝露される。
【0074】
本発明の第4の態様では、第3の態様による方法によって生成される、エチレンの吸着のための材料が提供される。この材料は、その表面上にUV硬化組成物を有する基材を含む。UV硬化組成物は、周囲環境からエチレンを捕捉する能力を有する。
【0075】
本明細書において説明される材料は、エチレン、例えば、果物、野菜、切り花、又は他の食品などの有機物由来のエチレンを吸着するために有利に使用され得る。特に、材料は、呼吸の増加を伴う熟成中にエチレンを急激に放出するバナナ、アボカド、ネクタリン、メロン、及びナシなどのクリマクテリックの青果物に由来するエチレンの吸着に使用することができる。エチレンによる影響を受けやすい他の非クリマクテリック青果物種類としては、バレイショ、タマネギ、ブロッコリー、キャベツ、及び切り花が挙げられる。
【0076】
典型的には、有機物は、保管及び輸送中の包装構造、例えば、クレート、バッグ、ボトル、ボックス、又はパネットに収容される。したがって、材料は、このような包装構造内のエチレン濃度を制御するために有利に使用され得る。
【0077】
材料は、包装構造を封止するために、例えば、パネット、ボトル、若しくはボックスを封止するために使用されてもよいか、又はバッグの場合のように、包装構造の大部分を形成してもよいか、又はボックス若しくは青果物などの青果物の包装若しくは青果物の容器の包装に使用されてもよい。
【0078】
包装構造は、例えば、必要に応じて直径又は長さが典型的には50~500μmである穴又はスリットで穿孔された包装フィルムを含んでもよい。このような穿孔は、レーザー穿孔によって形成されてもよい。使用する際、青果物が内部に配置されると、包装構造内のガス組成を制御するために、穿孔の程度を用いて、酸素含有量を低下させることができる。このような包装構造は、修正雰囲気包装(modified atmosphere packaging)として知られていることがある。非修正及び修正雰囲気包装構造の両方を、本明細書に記載の包装フィルムで使用することができる。
【実施例】
【0079】
材料
SILCOLEASE(商標)UV POLY 200(UV POLY 200)、SILCOLEASE(商標)UV POLY 204(UV POLY 204)及びSILCOLEASE(商標)UV CATA 243(UV CATA 243)は、Elkem Siliconesから購入し、そのまま使用した。
【0080】
1%及び0.4%パラジウム担持チャバザイト(Pd-CHA)を、国際公開第2019/175524号の実施例1に記載されている手順に従って調製した。
【0081】
(MeCP)PtMe3は、Johnson Matthey PLCによって供給された。
【0082】
粘度測定
粘度は、Discovery(商標)HR3 Rheometer(TA Instruments)を使用して測定した。直径25mmのステンレス鋼製の平行プレートを、Peltierプレートから500ミクロンの間隙距離で使用した。試験サンプルを25℃で60秒間静止させて平衡化した。粘度は、特定されたせん断で測定した。
【0083】
UV POLY 200は、25℃及び50s-1のせん断で測定して、315mPa.sの粘度を有した。
【0084】
UV POLY 204は、25℃及び50s-1のせん断で測定して、44mPa.sの粘度を有した。
【0085】
実施例1(比較例)
この実施例は、国際公開第2019/175524号の実施例4に記載されているシステムの代表例である。
【0086】
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(DMS-V21、粘度100cSt重量%ビニル:0.8~1.2、Gelest Inc)(2mL)及び1重量%パラジウムドープチャバザイト(0.4g)を、スピードミキサ内で、1950rpmにおいて30秒間混合した。この架橋剤(HMS-501、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、粘度10~15mPa.s、44~55mol%MeHSiO、Gelest)(136μL)及びPt(acac)2(20uL、トルエン中0.0256M)を添加し、混合物を手で1分間撹拌した。
【0087】
1.2gのシリコーンエラストマー組成物を、k barを使用してグラシン基材上にコーティングして、70~100μm厚のコーティングを提供した。コーティングを、ライン速度10m/分の水銀ランプを有するUVコンベヤ(Intertronics)を使用して、UV光下を通過させることによって硬化させた。ランプ下の滞留時間は、約2秒であった。ランプの下を最初に通過した後、硬化は不完全であった。硬化を完了するためにランプ下を5回通過することが必要であり、これは10秒の硬化時間に相当する。手袋を付けた手で触れたときにコーティングの移動が起こらなかった場合、硬化が完了したとみなした。
【0088】
コーティングされたフィルムを、エチレン吸着について試験し、結果は
図1に示される。
【0089】
DMS-V21、HMS-501及び1重量%のパラジウムドープチャバザイトを、実施例1で使用したのと同じ質量比で含有するが、Pt(acac)
2を添加しない配合物の粘度を測定し、
図2に示す。
【0090】
実施例2(比較例)
この実施例は、Pt(acac)2触媒をより活性な触媒、すなわち、(MeCP)PtMe3で置き換えたことを除いて、実施例1に対応する。
【0091】
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(DMS-V21、粘度100cSt重量%ビニル:0.8~1.2、Gelest Inc)(3.75g)及び0.4重量%パラジウムドープチャバザイト(1g)を、スピードミキサ中、1950rpmで30秒間混合した。この架橋剤(HMS-501、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、粘度10~15mPa.s、44~55mol%MeHSiO、Gelest)(0.25g)及び(MeCP)PtMe3(8uL、トルエン中0.063M)を添加し、混合物を手で1分間撹拌した。
【0092】
1gのシリコーンエラストマー組成物を、メイヤーバーを使用してグラシン基材上にコーティングして、70~100μmのコーティング厚さを得た。コーティングを、ライン速度10m/分の水銀ランプを有するUVコンベヤ(Intertronics)を使用して、UV光下を通過させることによって硬化させた。ランプ下の滞留時間は、約2秒であった。硬化は、ランプ下を1回通過した後に完了した。
【0093】
コーティングされたフィルムを、エチレン吸着について試験し、結果は
図1に示される。この実施例は実施例1よりも速く硬化し、優れたエチレン捕捉性能を示したが、(MeCP)PtMe
3は、特別な封じ込め技術を必要とする。
【0094】
DMS-V21、HMS-501及び1重量%パラジウムドープチャバザイトの比は、実施例1で使用したものと同じであり、この混合物の粘度((MeCP)PtMe
3を添加する前)は、実施例1について
図2に示した通りであった。
【0095】
実施例3
UV POLY 200(6.5g)を、0.4%Pd-CHA(3.5g)に混合しながら添加した。UV CATA 243(73mg)を更に混合しながら添加した。1.0gの得られた混合物を、メイヤーバーを使用してグラシン基材上にコーティングして、70~100μm厚のコーティングを提供した。コーティングを、ライン速度10m/分の水銀ランプを有するUVコンベヤ(Intertronics)を使用して、UV光下を通過させることによって硬化させた。ランプ下の滞留時間は、約2秒であった。
【0096】
本実施例は、比較例1及び2と同じエチレン捕捉能力を示し、エチレン濃度は、12時間後にほぼ0ppmであった。しかしながら、この系は、比較例1又は2のいずれよりもエチレンを捕捉するのに長い時間を要した。この系は、UVで迅速に硬化することができ、比較例2とは異なり、取扱いが容易なUV開始剤を使用する。
【0097】
実施例3で使用したものと同じ質量比において、UV POLY 200及び0.4重量%のパラジウムドープチャバザイトを含有するが、UV CATA 243を添加していない配合物の粘度を測定し、
図2に示す。
【0098】
実施例4
UV POLY 204(6.5g)を、0.4%Pd-CHA(3.5g)に混合しながら添加した。UV CATA 243(73mg)を更に混合しながら添加した。1.0gの得られた混合物を、メイヤーバーを使用してグラシン基材上にコーティングして、70~100μm厚のコーティングを提供した。コーティングを、ライン速度10m/分の水銀ランプを有するUVコンベヤ(Intertronics)を使用して、UV光下を通過させることによって硬化させた。ランプ下の滞留時間は、約2秒であった。
【0099】
この実施例は、比較例2と本質的に同じエチレン捕捉能力を示した。この系は、UVで迅速に硬化することができ、比較例2とは異なり、取扱いが容易なUV開始剤を使用する。
【0100】
実施例4で使用したものと同じ質量比でUV POLY 204及び0.4重量%のパラジウムドープチャバザイトを含有するが、UV CATA 243を添加していない配合物の粘度を測定し、
図2に示す。実施例4は、より速いコーティング速度を可能にするはずである実施例3よりもはるかに粘性が低いという利点を有した。
【国際調査報告】