(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】燃料電池の冷却のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60L 58/33 20190101AFI20240326BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/14 20060101ALI20240326BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
B60L58/33
H01M8/00 Z
H01M8/10 101
H01M8/12 101
H01M8/14
H01M8/04 J
H01M8/04029
H01M8/04701
H01M8/04302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555603
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2022057157
(87)【国際公開番号】W WO2022207364
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】スマグ、 パスカル
(72)【発明者】
【氏名】セリ、 ジュールズ
(72)【発明者】
【氏名】ロシュカ、 ミシェル
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BD04
5H125CD06
5H125EE37
5H125FF26
5H126BB05
5H127AA04
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB04
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA04
5H127BA12
5H127BB02
5H127CC07
5H127DA05
5H127DA08
5H127DC74
5H127DC76
5H127DC85
(57)【要約】
本発明は、燃料電池(1)の冷却のためのシステム及び方法に関し、単一のラジエーター(6)及び単一のサーモスタット(3)を備えた3つの回路(c1、c2、c3)を実装し、そのうちの一つの回路が、燃料電池で発生した熱を回収するためのランキンサイクルで動作する閉ループ回路である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(1)、特に車両に組み込まれるように適応された燃料電池、好ましくは高分子電解質膜型燃料電池、又は固体酸化物燃料電池、又は溶融炭酸塩燃料電池を冷却するためのシステムであって、
3つの閉じた熱流体循環回路(c1、c2、c3)を備え、
第1の回路(c1)は、少なくとも、燃料電池(1)と、蒸発器(5)と、第1のポンプ(2)と、単一のサーモスタット(3)と、熱交換器(6)とを備え、
第2の回路(c2)は、少なくとも、直列に搭載された凝縮器(8)と第2のポンプ(7)と熱交換器(6)とを備え、
ランキンサイクル内で動作する第3の回路(c3)は、少なくとも、直列に搭載された前記蒸発器(5)とタービン(12)と前記凝縮器(8)と第3のポンプ(11)とを含むシステムにおいて、
単一の冷媒が前記第1の回路(c1)及び第2の回路(c2)内を循環し、作動流体が前記第3の回路(c3)内を循環することと、
前記第1の回路(c1)の前記熱交換器(6)、及び前記第2の回路(c2)の前記熱交換器(6)は同一の一つの熱交換器(6)であることと、
前記蒸発器(5)は、前記第1の回路(c1)の前記冷媒が前記第3の回路(c3)の前記作動流体と熱交換するように構成されることと、
凝縮器(8)は、前記第2の回路(c2)の前記冷媒が前記第3の回路(c3)の前記作動流体と熱交換するように構成されることと、を特徴とする、冷却システム。
【請求項2】
前記第1の回路(c1)がユニットヒーター(4)を備え、前記ユニットヒーター(4)は好ましくは前記蒸発器(5)と直列又は並列に設けられている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記第2の回路(c2)は少なくとも一つの冷却対象要素(9、10)を備え、前記少なくとも一つの冷却対象要素(9、10)は好ましくは、
電池、より好ましくは、前記燃料電池(1)に接続された電池、
前記燃料電池(1)に接続された電気機械、
前記燃料電池(1)への空気又は純酸素の供給源、
前記燃料電池(1)からの湿った空気の出口
から選択される、請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記第3の回路(c3)は少なくとも一つの冷却対象要素(14)を備え、前記少なくとも一つの冷却対象要素(14)は好ましくは、前記燃料電池(1)への空気又は純酸素の供給源、及び/又は前記燃料電池(1)からの湿った空気の出口である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記サーモスタット(3)が三方向サーモスタットである、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記サーモスタット(3)は双方向サーモスタットであり、前記第2の回路は前記循環を一方向に制限する一方向プラグ弁(13)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記サーモスタット(3)が閉じられ且つ前記第1のポンプ(2)が作動される前記燃料電池(1)の暖機ステップが実行されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステムを作動させる、燃料電池の冷却方法。
【請求項8】
前記燃料電池(1)の前記暖機ステップ中に、前記第2のポンプ(7)を更に作動させる、請求項7に記載の冷却方法。
【請求項9】
エネルギー回収ステップが実行され、前記エネルギー回収ステップでは、前記サーモスタット(3)が閉じられ、且つ前記第1のポンプ(2)と、第2のポンプ(7)と、第3のポンプ(11)とが作動されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却システムを作動させる、燃料電池の冷却方法。
【請求項10】
前記燃料電池(1)を全負荷動作させるステップが実行され、前記燃料電池(1)を全負荷動作させるステップでは、前記サーモスタット(3)が開かれ、且つ前記第1のポンプ(2)と第2のポンプ(7)とが作動されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却システムを作動させる、燃料電池の冷却方法。
【請求項11】
少なくとも電気機械に給電する燃料電池(1)と、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却システムとを備え、前記熱交換器(6)が空気供給源に近接して配置される、特に電動車両又はトラックである車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、特に車両に組み込まれた燃料電池の冷却の分野に関する。
【0002】
現在、定置用途及び組込用途、特に電気機械によって駆動される車両への給電の電源としての燃料電池の開発のために多くの研究が行われている。実際、燃料電池の環境上の利点(高い電気効率とエネルギー効率、非常に低い有害ガス排出、低騒音、現地生産など)は、特に輸送分野において重要な資産になりつつある。
【0003】
燃料電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換することを可能にする。水素‐酸素燃料電池の場合、関与する化学反応は酸素中での水素の燃焼であり、反応は次の方程式で書くことができる。
【数1】
【0004】
燃料電池では、水素の電気化学的酸化は導電性触媒材料からなるアノードで起こり、酸素の電気化学的還元は通常同じ触媒材料からなるカソードで起こる。更に、陽極区画と陰極区画は電解質によって分離されており、陽子又はイオンの交換が可能である。現在、自動車の場合、最も有望な燃料電池は高分子電解質膜電池として知られており、車両に搭載されたボトルからの、又は車両中で直接水素を生成するユニットからの水素源で動作する。従って、メタノール、ガソリン、ディーゼル燃料などの適切な燃料で動作する改質装置を使用して、水素を直接生成できる。
【0005】
前述のタイプの自動車では、車両に給電する電気モーター及びそのモーターの電力制御(おそらく搭載されている場合はそのバッテリー)だけでなく、燃料電池自体も冷却する必要がある。燃料電池は、電極で起こる化学反応と膜での抵抗損失とに関連する熱損失を発生させるためである。燃料電池によって生成される熱は一般にエネルギーの損失となるため、システムの全体的な効率を高めるためにエネルギーを回収することは興味深い。
【0006】
燃料電池の冷却の管理に関連するこれらの問題は、組込用途、特に車載用途では特に制約される。実際、冷却及び熱回収システムのサイズは、利用可能なスペースに合わせて調整する必要がある。
【0007】
広く知られているように、ランキンサイクルは、外部熱源からの熱が、作動流体または熱伝達流体と呼ばれる流体を含む閉ループ回路に伝達される熱力学サイクルである。このサイクルが有機流体を使用する場合、有機ランキンサイクルまたはОRCと呼ばれる。このタイプのサイクルは一般に、液体の状態で使用される作動流体が等エントロピー的に圧縮されるステップと、その後にこの圧縮液体流体が加熱され、熱源と接触して蒸発するステップに分けられる。この蒸気は、別のステップで膨張器中で等エントロピー的に膨張し、その後、最後のステップで、この膨張した蒸気は冷却され、低温源と接触して凝縮される。
【0008】
これらの各種のステップを実行するために、回路は通常、液体の状態で流体を循環及び圧縮するための圧縮ポンプ、圧縮された流体の少なくとも一部を蒸発させるために高温の流体によって掃引される蒸発器、この蒸気のエネルギーの機械エネルギー又は電気エネルギーなどの別のエネルギーへの変換を行う、過熱された蒸気を膨張させるためのタービンなどの膨張器、及び蒸気に含まれる熱を低温源(通常はこの凝縮器を通過する外気)に放出する凝縮器又は低温液体ループ、で構成され、上記の蒸気を液体の形の流体に変換する。
【0009】
燃料電池の分野では、従来のランキンサイクルは、燃料電池の熱損失を有効利用するために熱媒体流体ループを挿入することで構成されており、この回収は特に燃料電池冷却回路で達成できる。このような条件下では、特に燃料電池が低温の場合(暖機中)、効率に影響を与える可能性がある燃料電池の暖機に悪影響を及ぼさないように、回収を制御する必要がある。燃料電池が理想的な動作温度に達すると、ランキン回路熱交換器の下流に配置されたサーモスタットが、ランキンサイクルで収集されなかった冷却回路の余剰熱量をラジエーターに送り返す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
軽量車両又は大型車両の場合、冷却についての要件の増加及び各種の制御温度レベル、つまり燃料電池の場合は60℃~100℃の高温(HT)、電気機械の場合は30℃~60℃の低温(LT)のため、電気機械、バッテリー、電気部品、及び燃料電池電源では、車両の前面にある各回路の熱量を排出するために、いくつかの専用の別個の冷却回路及びいくつかのラジエーターを使用する必要がある。
【0011】
車両の複雑化及び冷却を必要とする機能の追加により、前面のラジエーターを収容するために利用できるスペースは非常に限られており、利用可能なスペースを最適化する必要がある。高温ラジエーター及び低温ラジエーターは、多くの場合、マスキング効果を伴って前後に又は並んでカスケード状に配置される。これは効率に影響を及ぼし、内部のコンデンサーの冷却が必要な低温ОRCを追加した場合に必要な、有効な冷却能力を高める機会はほとんどない。
【0012】
特許出願CN‐111,911,254は、ОRCシステム及び燃料電池を冷却するための共有単一空冷ラジエーターを備えた冷却装置を提供する。このシステムでは、ラジエーターがいずれかの冷却機能に使用されるように、2つの三方向バルブ及び四方向バルブが必要である。従って、このような構造は、多数のアクチュエータを備えた複雑なものとなる。更に、ОRCサイクルの蒸発器はバルブのうちの一つの下流に配置されており、蒸発器への冷却剤の通過には特別な制御が必要である。
【0013】
特許出願CN‐110,911,711は、空気圧縮器が必要とするエネルギーを制限するための、燃料電池の空気圧縮器とОRCタービンとの結合に関する。このシステムには単一のラジエーターが使用されるが、このシステムではОRCループが転送ループとして使用されるため、特別な統合が必要であり、ОRCループを経由せずには燃料電池を冷却できない。
【0014】
特許出願JP‐2009/283,178は、ОRCシステムと車両用燃料電池との結合に関する。この結合には二つの独立したラジエーターが必要である。一つは燃料電池用、もう一つはОRCサイクル用である。
【0015】
加えて、いくつかの特許出願(US‐2016/156,083、US‐2010/291,455)は、燃料電池又は冷却部の排気部分での、通電中の燃料電池の熱損失を有効利用するための、ОRCシステムと燃料電池との結合に更に関連している。
【0016】
ほとんどの特許は、定置用途の高温型燃料電池(例として、固体酸化物燃料電池SОFC又は溶融炭酸塩燃料電池MCFC)に関し、そのため、設置面積削減を目的とした、燃料電池冷却システムとОRCシステムとの結合については特に言及していない。これらの特許出願に記載されているシステムは、組込型燃料電池には使用できない。
【0017】
更に、特許US10,577,984号は、熱源(燃焼エンジン又は別の変換器)の熱エネルギーを、廃熱エネルギー有効利用システム、すなわちОRCシステムを介して特に空冷ラジエーターを備える冷却システムに伝達するための解決策に関する。この特許では、空冷ラジエーターは、エネルギー変換器、ここでは熱エンジン、及び冷却して低温にする必要があるОRCシステムの間で共有される。この特許では、いくつかの冷却回路の構成が提案されている。ОRC回路のみがラジエーターに接続された基本回路が提供される(この特許の
図1)。
【0018】
この構成では、ОRCシステムはエンジンの熱出力をすべて捕捉し、ОRCコンデンサーを介して低温ラジエーターに伝達できなければならない。更に、ОRCが故障した場合にエンジンを冷却することはできない。
【0019】
蒸発器は、サーモスタット制御を提供する三方弁を備えた分岐点と並列なエネルギー変換器の冷却回路の分岐点に配置される。ポンプは、冷却対象のエンジンとОRC蒸発器との間で熱伝達流体を循環させる。ОRCコンデンサー回路はラジエーターに接続されるが、循環ポンプは使用されていない。一つ以上の(サーモスタット制御の)三方向バルブ及びいくつかのポンプを備えた他の構成が提案されており、場合によってはエンジンの熱をОRC経由でラジエーターに、又はОRCを介したラジエーターの最大交換容量に達したときのОRCサイクルを通さずに直接ラジエーターに、伝えることができる。
【0020】
このような状況下では、ラジエーターに到達する冷媒の温度が上昇し、その交換能力が向上する。それ故に、ОRCの冷熱源の温度が上昇するため、ОRCの性能が低下する。この特許の
図2及び
図3で提案されている構成では、ОRC蒸発器は三方向弁(サーモスタット)の上流の並列分岐点に配置されており、これにより、回収不可能な過熱が発生した場合に熱エンジンをラジエーターに委ねることができる。
【0021】
これらの場合、ラジエーターに送られるエンジンの温水と冷水とが分岐点で合流することにより、ОRC回路の冷却水が加熱され、性能が低下することが指摘されている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、設置面積が小さく(該当する場合には車載使用が容易になるように)、且つ単純な設計で、燃料電池の冷却及び熱の回収を目的とする。従って、本発明は、単一のラジエーター及び単一のサーモスタットを備えた3つの回路を実装する燃料電池を冷却するためのシステム及び方法に関し、回路のうちの一つは、燃料電池によって生成された熱を回収するためにランキンサイクルにおいて動作する閉ループ回路である。
【0023】
単一のラジエーター及び単一のサーモスタットにより、構成要素の総数が減少し、そのためシステムの設置面積が削減される。
【0024】
本発明は、燃料電池、特に車両に組み込まれるために適応された燃料電池、好ましくは高分子電解質膜型燃料電池、固体酸化物燃料電池、又は溶融炭酸塩燃料電池を冷却するためのシステムに関し、上記の冷却システムは、3つの閉じた熱流体循環回路と、少なくとも、一つの燃料電池、一つの蒸発器、一つの第1のポンプ、一つの単一のサーモスタット、及び一つの熱交換器を備える第1の回路と、少なくとも、直列に配置された、一つの凝縮器、一つの第2のポンプ、及び一つの熱交換器を備える第2の回路と、並びに、少なくとも、直列に配置された、上記蒸発器、上記凝縮器、一つのタービン、及び一つの第3のポンプを備える、ランキンサイクルで動作する第3の回路とを備える。
【0025】
この冷却システムでは次のことが行われる。
‐単一の冷却剤が第1の及び第2の回路内を循環し、作動流体が第3の回路内を循環し、
‐第1の回路の熱交換器と第2の回路の熱交換器とは同一の一つの熱交換器であり、
‐蒸発器は、第1の回路の冷却剤が第3の回路の作動流体と熱交換するように構成され、及び、
‐凝縮器は、第2の回路の冷却剤が第3の回路の作動流体と熱交換するように構成される。
【0026】
一実施形態によれば、第1の回路は、好ましくは蒸発器と直列又は並列のユニットヒーターを備える。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、上記第2の回路は、好ましくは電池(より好ましくは上記燃料電池に接続された電池)と、上記燃料電池に接続された電気機械と、上記燃料電池への空気又は純酸素の供給源と、上記燃料電池の湿った空気の出口と、のうちから選択される、冷却される少なくとも一つの要素を備える。
【0028】
一実施形態の任意選択的事項によれば、上記第3の回路は、少なくとも一つの冷却される要素、好ましくは上記燃料電池への空気又は純酸素の供給源、及び/又は上記燃料電池の湿った空気の出口を備える。
【0029】
一態様によれば、上記サーモスタットは三方向サーモスタットである。
【0030】
変形例としては、上記サーモスタットは双方向サーモスタットであり、上記第2の回路はある一方向の循環を制限する一方向プラグ弁を備える。
【0031】
更に、本発明は、上記の特徴のうちの一つによるシステムを実施する燃料電池冷却方法に関する。この方法では、上記サーモスタットが閉じられ、上記第1のポンプが作動される、上記燃料電池の暖機ステップが実行される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、上記燃料電池の暖機ステップ中に、上記第2のポンプが更に作動される。
【0033】
本発明は、上記の特徴のうちの一つによる冷却システムを実施する燃料電池の冷却方法にも関する。この方法では、上記サーモスタットが閉じられ、上記第1の、第2の及び第3のポンプが作動されるエネルギー回収ステップが実行される。
【0034】
更に、本発明は、上記の特徴のうちの一つによる冷却システムを実施する燃料電池の冷却方法に関する。この方法では、上記サーモスタットが開かれ、上記第1の及び第2のポンプが作動する、上記燃料電池の全負荷動作のステップが実行される。
【0035】
更に、本発明は、少なくとも一つの電気機械に給電する一つの燃料電池と、上記の特徴のうちの一つによる一つの冷却システムとを備える車両、特に電動車両又はトラックに関し、ここで、上記熱交換器は、空気供給源の近くに配置される。
【0036】
本発明によるシステム及び方法の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として与えられる実施形態の以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図2】本発明の第2の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図3】本発明の第3の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図4】本発明の第4の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図5】本発明の第5の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図6】本発明の第6の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図7】燃料電池の暖機ステップ中の第4の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図8】燃料電池の暖機ステップ中の第5の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図9】エネルギー回収ステップ中の第4の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図10】燃料電池の、高負荷及び/又は全負荷動作ステップ中の、第4の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【
図11】燃料電池の、高負荷及び/又は全負荷動作ステップ中の、第5の実施形態による燃料電池の冷却システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、燃料電池、好ましくは組込用途の燃料電池を冷却するためのシステムに関する。上記冷却システムは、熱流体を循環させるための3つの閉回路から構成される。
‐少なくとも、一つの燃料電池(第1の回路の冷却用)と、一つの蒸発器と、一つの第1のポンプと、一つの単一のサーモスタット(上記冷却システムの単一のサーモスタット)と、熱交換器とを備える第1の回路。
‐少なくとも、一つの凝縮器と、一つの第2のポンプと、一つの熱交換器との直列接続を含み、冷却システムのサーモスタットによって上記第1の回路から分離され、第1の回路よりも低い温度で動作する第2の回路。
‐少なくとも、一つの蒸発器と、一つのタービンと、一つの凝縮器と、一つの第3のポンプとの直列接続を備え、ランキンサイクルにおいて動作する第3の回路。この第3の回路により、仕事の形での、エネルギーの回収及び有効活用が可能になる。
【0039】
本発明によれば、単一の冷媒が液体状態で第1の及び第2の回路内を循環し、作動流体が回路面積に応じて液体状態又は気体状態で、交互に第3の回路内を循環する。更に、第1の回路の熱交換器と第2の回路の熱交換器は同一の一つの熱交換器である。
【0040】
従って、単一の熱交換器(又は場合によってはラジエーター)が冷却システムによって使用されるため、システムの設置面積を制限できる。
【0041】
更に、蒸発器中では第1の回路の冷媒が第3の回路の作動流体と熱交換し、凝縮器中では第2の回路の冷媒が第3の回路の作動流体と熱交換する。従って、燃料電池の冷却により冷媒が加熱され、加熱された冷媒により第3の回路の作動流体が加熱され、この熱が第3の回路のタービンで使用されて、エネルギー、例えば電気エネルギーを生成する。
【0042】
本発明によるシステムの単一のサーモスタットにより、構成要素の総数が減少し、回路温度制御機能を確保しながらシステムの設置面積も削減される。
【0043】
このようにして、ランキンサイクルを備える燃料電池冷却システムが簡易に製造される。各回路内では、使用される流体及びその運転条件(特に、温度及び圧力)に適した配管によって構成要素が接続される。燃料電池は、低温燃料電池、例えば高分子電解質膜(PEM)電池であってよいという利点がある。このタイプの燃料電池は現在、特にコストの点からモバイル用途に最適である。或いは、燃料電池は、高温燃料電池、例えば、固体酸化物燃料電池(SОFC)、又は溶融炭酸塩燃料電池(MCFC)であってよい。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、第1の回路はユニットヒーターを備えることができる。この実施形態は、車両に組み込まれた燃料電池に特に適する。実際、ユニットヒーターは燃料電池の熱を放出しながら、車室内の暖房に特に使用できる。加えて、第1の回路は、特に車内が暖房を必要としない場合には、ユニットヒーター迂回回路を更に備えることができる。
【0045】
この実施形態の実装によれば、ユニットヒーターを蒸発器と直列に取り付けることができる。ユニットヒーターは、燃料電池出口において冷媒が流れる第1の要素であることが好ましい。或いは、ユニットヒーターを蒸発器と並列に取り付けることもできる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、第2の回路は、冷却される少なくとも一つの追加要素を備えることができる。好ましくは、冷却される追加要素は燃料電池に接続される。例えば、燃料電池に接続される電池、燃料電池によって給電される電気機械、燃料電池への空気又は純酸素の供給源、及び燃料電池からの水の出口、又は任意の他の要素である。燃料電池への空気又は純酸素の供給源の冷却により、燃料電池中で使用される圧縮酸素を冷却できる。燃料電池から出る水分飽和空気も冷却できる。
【0047】
従って、冷却システムは、燃料電池、及び車両の駆動列の任意の他の要素の、より一層簡易な冷却を可能にする。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、第3の回路は、少なくとも一つの冷却される追加要素を備えることができる。冷却される要素は燃料電池に接続されるのが好ましい。すなわち燃料電池への空気又は純酸素の供給源、及び燃料電池からの湿った空気の出口に接続されるのが好ましい。燃料電池への圧縮空気又は純酸素の供給源の冷却は、ОRCループ内のこの追加の熱交換器によっても実現できる。燃料電池の排気で生成される湿った空気も冷却できる。
【0049】
従って、冷却システムは、燃料電池、その圧縮空気供給源、及びその湿った空気出口を、より一層簡易に冷却することを可能にする。
【0050】
システムは数種類の熱交換器を備えることができる。ユニットヒーター(該当する場合)及び熱交換器(ラジエーター)は、液体/空気タイプの交換器であってよい。燃料電池、電気機械(該当する場合)、及びバッテリー(該当する場合)中の熱交換器は、高温の物体と液体回路との間の伝導交換器になることができる。蒸発器及び凝縮器は、液体/液体タイプの交換器であってよい。
【0051】
本発明の一態様によれば、単一のサーモスタットは、燃料電池冷却の下流の入口と、熱交換器(ラジエーター)に接続された第1の出口と、及びコンデンサーの下流の2番目の回路の分岐点に接続された第2の出口とを備えた三方向サーモスタットであることができる。或いは、単一のサーモスタットは、燃料電池冷却の下流に入口があり、熱交換器に接続された出口を備えた二方向サーモスタットであってもよい。
【0052】
この実施形態では、熱交換器に接続された第2の回路の分岐点は、燃料電池の下流の冷媒が第2の回路のこの分岐点に入るのを防ぐために、第2の回路のこの分岐点におけるある一方向の循環を制限する弁を備えることができる。ある一方向の循環を制限するこの弁は、要求に応じて開閉する案内操作のプラグ弁であり、逆流防止要素(圧力差中を通る一方向の流れ)を備える。
【0053】
例示的な一実施形態によれば、冷媒は、-20/-30℃までの耐霜性を提供するために、例えば30%~40%の割合のエチレングリコールと水との混合物を備えることができる。冷媒は、防食添加剤を更に備えることができる。或いは、冷媒は、燃料電池の動作温度に適した任意の種類のものであってもよい。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、第2の回路は、熱交換器入口における冷媒の温度を測定するための温度センサーを備えることができる。この温度測定により、第2の回路内の温度を監視できるため、ОRC(第3の回路)による回収の制御が可能になる。この温度センサーによって測定された所定の温度閾値を超えると、サーモスタットの開度に対応し、3番目の回路を停止することでОRCによる回収を停止できる。その原因は、3番目の回路の停止が、第1の回路からの高温の流体の、第2の回路の低温の流体との混合を意味することである。ОRCの冷却が回収の継続のためには不十分な可能性がある。
【0055】
図1は、非限定的な例として、本発明の第1の実施形態による燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。この図において、実線は配管を表し、矢印は熱交換器6、例えばラジエーター中で、熱を交換する空気(又は他の気体)を示す。冷却システムは、第1の回路c1(破線)、第2の回路c2(二点鎖線)、及び第3の回路c3(一点鎖線)を備える。第1の回路c1は、燃料電池1の冷却を可能にする。
【0056】
従って、第1の回路c1は、第1のポンプ2、燃料電池1、三方向サーモスタット3、熱交換器6(ラジエーター)、蒸発器5、及び様々な構成要素を接続する配管を備え、特に、燃料電池冷却の下流に2つの並行する分岐点を形成する。上記分岐点のうちの一つは蒸発器5を備え、一つはサーモスタット3及び熱交換器6を備える。
【0057】
第2の回路c2は、配管で直列接続された第2のポンプ7及び凝縮器8を備える。更に、第2の回路c2は、熱交換器6の上流に温度センサー15を備える。第3の回路c3は、ランキンサイクルにおいて動作する閉ループであり、配管で直列接続された、蒸発器5と、タービン12と、凝縮器8と、及び第3のポンプ11とを備える。
【0058】
第1の回路c1と第2の回路c2とは単一の冷却液を共有する。第1の回路c1の蒸発器5は、第3の回路c3の蒸発器5に対応し、第1の回路c1の冷媒と第3の回路c3の作動流体とが熱交換する。第2の回路c2の凝縮器8は、第3の回路c3の凝縮器8に対応し、第2の回路c2の冷媒と第3の回路c3の作動流体とが熱交換する。
【0059】
図2は、非限定的な例として、本発明の第2の実施形態による、燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。第1の実施形態と異なる要素のみを説明する。この実施形態では、第1の回路c1は更にユニットヒーター4を備える。ユニットヒーター4は、蒸発器5を備える第1の回路c1の分岐点上に配置されており、ユニットヒーター4は燃料電池1と蒸発器5との間に配置される。
【0060】
更に、第2の回路c2は、冷却される2つの追加要素9、10、例えば、燃料電池1に接続された電池、及び/又は燃料電池1に接続された電気機械、及び/又は燃料電池1への酸素又は空気の供給源、及び/又は燃料電池1からの水の出口、を備える。冷却される2つの追加要素9、10は、凝縮器6の下流に直列に配置される。
【0061】
図3は、非限定的な例として、本発明の第3の実施形態による、燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。第1の実施形態と異なる要素のみを説明する。この実施形態では、第1の回路c1は更にユニットヒーター4を備える。ユニットヒーター4は、蒸発器5を備える第1の回路c1の分岐点上に配置されており、ユニットヒーター4は燃料電池1と蒸発器5との間に配置される。
【0062】
更に、第2の回路c2は、追加の冷却対象要素9、例えば、燃料電池1に接続された電池、燃料電池1に接続された電気機械、燃料電池1への酸素又は空気の供給源、及び/又は燃料電池1からの水の出口、を備える。追加の冷却対象要素9は、凝縮器8の下流に直列に配置される。更に、第3の回路c3は、追加の冷却対象要素14、例えば、燃料電池1への空気又は酸素の供給源及び/又は燃料電池1からの湿った空気の出口を備える。蒸発器5の上流には冷却対象要素14が直列に配置される。
【0063】
図4は、非限定的な例として、本発明の第4の実施形態による、燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。第1の実施形態と異なる要素のみを説明する。この実施形態では、単一のサーモスタット3は、双方向サーモスタット3(入口一つ/出口一つ)である。この実施形態では、第2の回路c2は、第1のサーモスタットから第2の回路へ流入する流体の、第2の回路とは反対方向への通過を防止するために、循環を一方向に制限する弁13を更に備える。
【0064】
図5は、非限定的な例として、本発明の第5の実施形態による燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。第4の実施形態と異なる要素のみを説明する。この実施形態では、第1の回路c1は更にユニットヒーター4を備える。ユニットヒーター4は、蒸発器5を備える第1の回路c1の分岐点上に配置されており、ユニットヒーター4は燃料電池1と蒸発器5との間に配置される。
【0065】
更に、第2の回路c2は、2つの追加の冷却対象要素9、10、例えば、燃料電池1に接続された電池、及び/又は燃料電池1に接続された電気機械、及び/又は燃料電池への酸素又は空気の供給源、及び/又は燃料電池1からの水の出口を備える。冷却される2つの追加の冷却対象要素9、10は、凝縮器8の下流に直列に配置される。
【0066】
図6は、非限定的な例として、本発明の第6の実施形態による、燃料電池を冷却するためのシステムを概略的に示す。第4の実施形態と異なる要素のみを説明する。この実施形態では、第1の回路c1は更にユニットヒーター4を備える。ユニットヒーター4は、蒸発器5を備える第1の回路c1の分岐点上に配置されており、ユニットヒーター4は燃料電池1と蒸発器5との間に配置される。
【0067】
更に、第2の回路c2は、追加の冷却対象要素9、例えば、燃料電池1に接続された電池、及び/又は燃料電池1に接続された電気機械、及び/又は燃料電池1への酸素又は空気の供給源、及び/又は燃料電池1からの水の出口、を備える。追加の冷却対象要素9は、凝縮器8の下流に直列に配置される。
【0068】
更に、第3の回路c3は、追加の冷却対象要素14、例えば、燃料電池1への酸素又は空気の供給源及び/又は燃料電池1からの水の出口を備える。蒸発器5の上流には冷却対象要素14が直列に配置される。
【0069】
その上、本発明は、燃料電池の冷却方法に関し、この冷却方法は、上述した事項の任意の変形例又は変形例の組合せによる冷却システムを実施する。この方法では、次の3つのステップのうちの少なくとも一つを実行できる。
【0070】
‐燃料電池の暖機ステップ(すなわち、燃料電池が最適な動作温度に達していないとき)。この間、サーモスタットは閉じたままで、第1のポンプが作動し、第3のポンプが停止する。従って、第1の回路が作動する一方で、第3の回路は停止する。従って、燃料電池によって発生した熱は、燃料電池の暖機のために蓄えられる。
【0071】
このステップの一実施形態によれば、冷却される追加要素が第2の回路(例えば電気機械)に属する場合、第2のポンプも作動させることができる。この操作では、追加の冷却対象要素を冷却するために熱交換器が使用される。或いは(特に、第2の回路に冷却すべき追加要素が含まれていない場合)、第2のポンプを停止することもできる。
【0072】
‐燃料電池が動作温度に達したときのエネルギー回収ステップの間、サーモスタットは閉じたままで、3つのポンプが作動する。これにより、3つの回路が作動し、第3の回路のランキンサイクルにより熱がエネルギーに変換されて回収される。このステップでは、その後、燃料電池はランキンサイクルを介して熱交換器によって間接的に冷却される。
【0073】
ランキンサイクルは、第1の回路の高温の熱を捕捉し、第2の回路の凝縮器を介して熱交換器に低温で熱を与える。サーモスタットは閉じたままで、燃料電池の温度は第3の回路によって制御される。このステップは、第3の回路の燃料電池の熱を有効利用する能力が十分である限り、且つ熱交換器の冷却能力が第3の回路の熱を低温で放出するのに十分である限り、動作し続けることができる。
【0074】
‐燃料電池の高負荷及び/又は全負荷ステップ。この間、サーモスタットが開き、第1のポンプと第2のポンプが作動し、第3のポンプが停止する。従って、第1の回路が作動し、熱交換器によって燃料電池を直接冷却できるようになる。熱交換器の冷却能力の上限に達するか、ОRCサイクルのタービンの回収能力が飽和すると、燃料電池の出口の温度上昇に伴ってサーモスタットが開く。
【0075】
このような状態では、それまで分離されていた第1の回路と第2の回路とが混合される。このステップの作動条件は、エネルギー変換器が高負荷で動作し、除去される熱が大きくなり過ぎるときに満たされる。冷却すべき追加要素(例として、電気機械、バッテリー)が第2の回路上に存在する場合、第2のポンプも作動して、その要素に高温で劣化した冷却を提供する。これらの要素が第2の回路に存在しない場合は、第2のポンプを停止できる。これらのステップでは、燃料電池の出口における冷媒の温度に応じてサーモスタットの開閉が自動的に行われる。
【0076】
図7は、非限定的な例として、第1の回路内にユニットヒーター4が更に存在する、本発明の第4の実施形態(
図4)の燃料電池暖機ステップを概略的に示す。この図では、太い黒線は流体が循環する配管を表し、細い灰色の線は流体が循環しない配管を表す。
【0077】
この実施形態では、第1のポンプ2のみが作動し、サーモスタット3が閉じられるため、冷媒は燃料電池1、ユニットヒーター4、蒸発器5、第1のポンプ2を順に通って流れる。更に、バルブ13は閉じられる。
【0078】
図8は、非限定的な例として、本発明の第5の実施形態(
図5)の燃料電池暖機ステップを概略的に示す。この図では、太い黒線は流体が循環する配管を表し、細い灰色の線は流体が循環しない配管を表す。この実施形態では、第1の及び第2の、ポンプ2及び7のみが作動し、サーモスタット3は閉じられる。
【0079】
第1の回路では、その後、冷媒は燃料電池1、ユニットヒーター4、蒸発器5、第1のポンプ2を順に通って流れ、第2の回路では、冷媒は熱交換器6、第2のポンプ7、凝縮器8、その他の冷却対象要素9及び10を順に通って流れる。この操作では、バルブ13が開かれる。
【0080】
図9は、非限定的な例として、第1の回路内にユニットヒーター4が更に存在する、本発明の第4の実施形態(
図4)のエネルギー回収ステップを概略的に示す。この図では、太い黒線は流体が循環する配管を表し、細い灰色の線は流体が循環しない配管を表す。この実施形態では、3つのポンプ2、7、11が作動し、サーモスタットが閉じられる。すなわち、3つの回路が動作する。その上、バルブ13は開く。
【0081】
次に、第1の回路では、冷媒は燃料電池1、ユニットヒーター4、蒸発器5、第1のポンプ2を順に通って流れる。次に、第2の回路では、冷媒は熱交換器6、第2のポンプ7、凝縮器6、バルブ13を順に通って流れる。第3の回路では、冷媒は第3のポンプ11、蒸発器5、タービン12、凝縮器8を順に通って流れる。
【0082】
図5の第5の実施形態は、3つのポンプを作動させて、このエネルギー回収ステップに対して同様の方法で動作する。
【0083】
図10は、非限定的な例として、更にユニットヒーター4が存在する、本発明の第4の実施形態(
図4)の燃料電池高負荷及び/又は全負荷ステップを概略的に示す。この図では、太い黒線は流体が循環する配管を表し、細い灰色の線は流体が循環しない配管を表す。この実施形態では、第1のポンプ2のみが作動し、サーモスタット3は開く。
【0084】
その後、冷媒は、第1のポンプ2及び燃料電池1を通って流れ、次に、ユニットヒーター4、蒸発器5を備える第1の分岐点を通って、及び第1の分岐点と並行して、サーモスタット3及び熱交換器6を備える第2の分岐点を通って流れる。更に、バルブ13は閉じられる。
【0085】
図11は、非限定的な例として、本発明の第5の実施形態(
図5)の燃料電池が高負荷及び/又は全負荷のステップを概略的に示す。この図では、太い黒線は流体が循環する配管を表し、細い灰色の線は流体が循環しない配管を表す。この実施形態では、第1のポンプ2及び第2のポンプ7のみが作動し、サーモスタット3は開く。更に、バルブ13は開くが、流体の流れの方向を決定する。
【0086】
第1の回路では、その後、冷媒は、第1のポンプ2及び燃料電池1を通って流れ、その後、ユニットヒーター4、蒸発器5を備える第1の分岐点を通って、及び第1の分岐点と並行して、サーモスタット3及び熱交換器6を備える第2の分岐点を通って流れる。次に、第2の回路では、冷媒は熱交換器6、第2のポンプ7、凝縮器8、追加の冷却対象要素9及び10を順に通って流れる。このステップでは、第1の回路の冷媒が熱交換器6の入口で第2の回路の冷媒と混合する。熱交換器6の出口において、冷媒は2つの部分に分離され、一方は第1の回路用であり、他方は第2の回路用である。
【0087】
更に、本発明は、少なくとも電気機械に給電する燃料電池と、上述の変形例又は変形例の組合せのうちの任意の一つによる冷却システムとを備える、車両、特に電動車両又はトラック(又はバス、ボート、飛行機、ホバークラフト、水陸両用車など)に関する。この実施形態では、熱交換器は空気供給源の近くに配置される。換言すれば、熱交換器は車両のラジエーターである。車両は、上述の変形例又は変形例の組合せのうちの任意の一つによる方法のステップのうちの一つを実行できる。
【0088】
或いは、本発明は、定置システム用の燃料電池にも関し、燃料電池は、上記特徴のうちの任意の一つによる冷却システムを備える。燃料電池は、上述の変形例又は変形例の組合せのうちの任意の一つによる方法のステップのうちの一つを実行できる。
【国際調査報告】