(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240326BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240326BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240326BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/22 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/43
C09K3/00 103N
B05D7/24 303E
B05D5/00 K
B05D7/22 A
B05D7/22 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557293
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022056086
(87)【国際公開番号】W WO2022194649
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523353812
【氏名又は名称】ピーピージー コーティングス ヨーロッパ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリンガ、アリエン
(72)【発明者】
【氏名】ハッペ、ウィレム ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン フリート、コルネリス フーベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ネデルロフ、アーノルド ヨハン
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AG00
4D075CA44
4D075DB02
4D075DC05
4D075EA05
4D075EC33
4J038DB071
4J038JB01
4J038JB13
4J038KA03
4J038KA06
4J038KA09
4J038MA06
4J038NA04
4J038PA06
4J038PA18
4J038PB05
4J038PB06
4J038PC02
(57)【要約】
基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用であって、レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるための前記コーティング組成物におけるレオロジー剤の使用であって、前記レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、使用。
【請求項2】
前記耐薬品性が、ISO 2812-1:2007に従って決定される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記レオロジー剤が、化学物質への長期曝露および/または反復サイクルに対する前記コーティング層の耐薬品性を増強させ、例えば、前記レオロジー剤が、合計で少なくとも6ヶ月の化学物質への連続的な曝露の後に前記コーティング層が無傷のままであるように、前記コーティング層の耐薬品性を増強させる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記レオロジー剤が、パーム脂肪酸蒸留物(PFAD)などの脂肪酸に対する、およびメタノールなどの有機溶媒に対する耐薬品性を提供することによって、前記コーティング層への耐薬品性を増強させる、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項5】
前記レオロジー剤が、少なくとも60℃の温度での脂肪酸に対する、および少なくとも40℃の温度での有機溶媒に対する耐薬品性を提供することによって、前記コーティング層への耐薬品性を増強させる、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項6】
前記レオロジー剤が、チキソトロピー剤を含む、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項7】
95℃超の融解温度を有する前記化合物が、少なくとも2つのアミド基を含む化合物を含み、例えば、少なくとも2つのアミド基を含む前記化合物が、ジアミドを含む、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項8】
前記レオロジー剤が、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油を実質的に含まない、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項9】
前記基材が、内部鋼表面を含むタンクまたはパイプなどの鋼基材を含む、いずれかの先行請求項に記載の使用。
【請求項10】
レオロジー剤を含むコーティング組成物であって、前記レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含み、例えば、前記レオロジー剤が、チキソトロピー剤を含む、コーティング組成物。
【請求項11】
前記レオロジー剤が、少なくとも2つのアミド基を含む化合物を含み、例えば、少なくとも2つのアミド基を含む前記化合物が、ジアミドを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油を実質的に含まない、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記基材の少なくとも一部分が、請求項10~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を前記基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされ、例えば、前記基材が、内部鋼表面を含むタンクまたはパイプなどの鋼基材を含む、基材。
【請求項14】
タンクまたはパイプであって、前記タンクまたはパイプの内部表面の少なくとも一部分が、請求項10~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を前記基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる、タンクまたはパイプ。
【請求項15】
基材の少なくとも一部分にコーティング層でコーティングされた基材を生産する方法であって、前記方法が、
(a)請求項10~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を提供するステップと、
(b)基材の少なくとも一部分に前記組成物を塗布してコーティング層を形成するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング層が、タンクまたはパイプなどの鋼基材などの基材の少なくとも一部分にコーティングされたときなど、コーティング組成物によって形成されたコーティング層への耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用に関する。本発明はまた、表面の少なくとも一部分(内部表面など)に塗布されたそのようなコーティング層を有する、タンクまたはパイプなどの基材と、タンクまたはパイプなどのそのようなコーティングされた基材を生産する方法と、に関する。本発明はまた、タンクまたはパイプなどの基材の少なくとも一部分に塗布され得るコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質貯蔵および輸送産業における化学物質および/または溶媒などの生成物の処理、貯蔵、取り扱い、および/または輸送に使用されるコンテナおよび処理装置は、一般的に、内部表面に塗布されてそれに保護を提供するコーティング組成物を含むことになる。そのようなコンテナおよび処理装置には、パイプ内部、陸上および海上の貯蔵タンク、船舶タンク、飲料水タンク、バラストタンクなどが含まれ得る。
【0003】
コンテナおよび処理装置の内部表面に塗布されたコーティング組成物は、多くの場合、エポキシ-、シリケート-、ポリ尿素、ポリウレタン、ビニルエステル、ポリオレフィン系、またはそのような技術の組み合わせなどの有機または無機材料から形成される。コーティングされた表面は、一般的に、鋼から形成されることになる。使用中、コーティングされた表面は、酸、アルカリ、油、脂肪、溶媒(アルコール、ケトン、エーテル、水素化炭化水素など)、および水などの広範囲の粗製または精製生成物または化学物質の液相または気相への長期曝露に直面する。
【0004】
幅広い貨物に使用するための化学物質タンクコーティングとしての適合性など、幅広い用途で有効に機能するためには、コーティング組成物は、要求の厳しい複雑な一連の仕様の対象となる。そのような仕様には、運用効率(貨物の迅速な交換、短い回収時間、早期の水洗い)が含まれ、貨物温度の上昇(粘性貨物のポンプ圧送性を増強させるため)、より高いレベルの攻撃的汚染(アルカリ性/酸性条件など)、および貨物/水洗浄シーケンスが、タンクコーティングの性能および耐用期間ついて高度に要求される。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用であって、レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、使用が提供される。
【0006】
また、レオロジー剤を含むコーティング組成物であって、レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、コーティング組成物が提供される。
【0007】
また、基材であって、基材の少なくとも一部分が、本明細書に記載のコーティング組成物を基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる、基材が提供される。
【0008】
また、タンクまたはパイプであって、タンクまたはパイプの内部表面の少なくとも一部分が、本明細書に記載のコーティング組成物を基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる、タンクまたはパイプが提供される。
【0009】
また、基材の少なくとも一部分にコーティング層でコーティングされた基材を生産する方法であって、
(a)本明細書に記載のコーティング組成物を提供するステップと、
(b)基材の少なくとも一部分に組成物を塗布して、コーティング層を形成するステップと、を含む、方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によれば、基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用であって、レオロジー剤が、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、使用が提供される。
【0011】
「少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物」への言及は、レオロジー剤の総重量に基づいて、少なくとも85重量%を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「レオロジー剤」とは、その薬剤が含まれるコーティング組成物のレオロジーを修飾する添加剤を意味する。本発明のレオロジー剤は、チキソトロピー剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「チキソトロピー剤」は、その薬剤が含まれるコーティング組成物にチキソトロピー特性を付与する添加剤を意味する。
【0013】
レオロジー剤は、コーティング層に耐弛み性(垂直基材上の湿式コーティング層のホールドアップとしても知られる)を提供し、コーティング組成物における顔料などの粒子の沈降を防止し得る(コーティング組成物の貯蔵中など)。驚くべきことに、レオロジー剤が、鋼表面などの基材上に(層として)コーティングされたコーティングの耐薬品性に重要な役割を果たすことが見出された。具体的には、特定の融解プロファイルを有するレオロジー剤を使用して、脂肪酸などの化学物質(特に脂肪酸などの高温化学物質)に対する、および/または有機溶媒(攻撃的有機溶媒など)に対するコーティングの耐薬品性を有利に増強または増加させ得ることが見出された。
【0014】
したがって、耐薬品性を増強させることによって、レオロジー剤は、耐用期間期待値の改善、堅牢性、運用効率(貨物間でのコーティング再調整の低減、換気時間の短縮、サービス中の厳格な制限の緩和)、より高い貨物温度の受け入れ、および貨物汎用性の増加を、コーティングされた基材に提供し得る。
【0015】
本明細書における「基材の少なくとも一部分にコーティングされたときにコーティング組成物によって形成されたコーティング層」への言及は、好適な厚さで基材上にコーティングされているコーティング層を指す。
【0016】
本明細書におけるコーティング層の「耐薬品性を増強させること」への言及は、コーティング層がレオロジー剤を含むとき、コーティング層が以下に決定されるような耐薬品性を有することを意味し、耐薬品性は、本明細書で定義されるレオロジー剤なしの(すなわち、いずれのレオロジー剤も含まない、または本明細書で定義されないレオロジー剤を含む)同一のコーティング組成物によって形成されたコーティング層と比較して増加し得る。
【0017】
本明細書で報告されているように、化学物質に対するコーティング(例えば、層として基材に塗布される)の耐薬品性は、ISO 2812-1:2007に従って決定された。本明細書に記載のレオロジー剤の使用は、ISO 2812-1:2007に従って決定されるような耐薬品性をコーティングに提供し得る。
【0018】
化学物質への連続的な曝露に対するコーティング層の耐薬品性は、コーティング層を含むパネルを6ヶ月間連続的に化学物質に浸漬することによって決定され得る。一定の間隔(毎月など)で、コーティング層は、欠陥について検査される。化学物質の反復サイクルに対するコーティング層の耐薬品性は、コーティング層を含むパネルを化学物質に断続的に曝露し、コーティング層を欠陥について検査することによって決定され得る。コーティング層は、第1の化学物質に3週間浸漬され、続いて水中に3週間浸漬され、このサイクルが少なくとも10回反復され得る。代替的に、コーティング層は、第1の化学物質に7日の期間浸漬され、水で洗浄され、第2の化学物質に7日間浸漬され、水で洗浄され、このサイクルが少なくとも10回反復され得る。
【0019】
コーティング層の欠陥には、膨れ形成、亀裂、膨潤、剥離、軟化、変色、接着の損失、および膜下腐食が含まれる。膨れ形成の程度は、0.5~2mmの範囲のサイズを有する膨れの数、2~5mmの範囲のサイズを有する膨れの数、および5~10mmの範囲のサイズを有する膨れの数などの、膨れのサイズおよび数を検査することによって評価され得る。本明細書で報告されているように、膨れ形成の程度は、ISO4628-2:2016に従って決定された。
【0020】
コーティング層が化学物質に曝露された後(すなわち、化学物質と接触した後)に無傷のままである場合、コーティング層は、化学物質に対する耐薬品性を有するとみなされ得る。本明細書で使用される場合、「無傷」とは、コーティング層に、膨れ形成、亀裂、膨潤、および剥離などの構造的欠陥がないことを意味する。コーティング層の構造的欠陥は、コーティングの完全性の損失を引き起こし、化学物質と基材との間の接触をもたらし得る。
【0021】
レオロジー剤は、液体、半固体、または固体にかかわらず、任意の既知の化学物質に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。化学物質は、液体であり得る。化学物質は、化学物質貨物であり得る。化学物質は、酸(有機酸または無機酸など)、アルカリ性、油、脂肪、溶媒(アルコール、ケトン、エーテル、水素化炭化水素など)、および水を含み得る。
【0022】
レオロジー剤は、化学物質への長期曝露、および/または化学物質の反復サイクルに対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「長期曝露」とは、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月、例えば、少なくとも2年、3年、4年、または5年の期間の、1つまたは1つより多くの化学物質への連続的な曝露を意味する。
【0024】
レオロジー剤は、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月間の化学物質への連続的な曝露に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。換言すれば、レオロジー剤は、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月の化学物質への連続的な曝露の後にコーティング層が無傷のままであるように、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「化学物質の反復サイクル」とは、コーティング層が1つを超える化学物質に断続的に曝露されるか、または接触されることを意味する。
【0026】
レオロジー剤は、少なくとも2つの異なる化学物質の反復サイクルに対する耐薬品性をコーティング層に提供し得る。
【0027】
レオロジー剤は、アルコール、ケトン、エーテル、および水素化炭化水素などの有機溶媒に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、メタノール、エタノール、またはプロパノールなどのアルコールに対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、メタノールに対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0028】
レオロジー剤は、脂肪酸に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。脂肪酸は、パーム油などの植物油に由来し得る。レオロジー剤は、パーム脂肪酸蒸留物(PFAD)に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。PFADは、パーム油産業からの廃棄物流であり、エポキシ系コーティング系に対して攻撃的貨物である。PFADは、分子量が異なる遊離脂肪酸からなり、不飽和脂肪酸の画分を含有する。PFADは、代替的に、ラウリン酸0.1重量%、ミリスチン酸0.5重量%、パルミチン酸48重量%、ステアリン酸4.2重量%、オレイン酸37.2重量%、リノール酸9.6重量%、およびリノレン酸0.4重量%の別の脂肪酸から調製することができる。これらの脂肪酸は、Acros Organics/Fisher Scientificから得ることができる。
【0029】
レオロジー剤は、メタノールなどの有機溶媒、およびパーム脂肪酸留分(PFAD)などの脂肪酸に対するコーティングへの耐薬品性を増強させ得る。
【0030】
レオロジー剤は、パーム脂肪酸留分(PFAD)などの脂肪酸に対する、および/またはメタノールなどの有機溶媒に対する耐薬品性をコーティング層に提供することによって、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0031】
レオロジー剤は、パーム脂肪酸留分(PFAD)などの脂肪酸に対する、およびメタノールなどの有機溶媒に対する耐薬品性をコーティング層に提供することによって、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0032】
上昇させた温度を化学物質貨物の積み降ろしに使用して、ポンプ圧送性および積み降ろしの速度を改善する場合が多い。温度範囲は、貨物の好適な粘度を達成するためなど、貨物の種類に依存する。本発明は、上昇させた運用温度の範囲にわたって、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0033】
レオロジー剤は、少なくとも40℃、例えば、少なくとも50℃、例えば、少なくとも60℃の温度で、化学物質に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、少なくとも40℃の温度で、メタノールなどの有機溶媒に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、少なくとも60℃、例えば、少なくとも70℃、例えば、80℃の温度で、PFADなどの脂肪酸に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0034】
レオロジー剤は、少なくとも60℃の温度での脂肪酸に対する、および/または少なくとも40℃の温度での有機溶媒に対する耐薬品性を提供することによって、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0035】
レオロジー剤は、少なくとも60℃の温度での脂肪酸に対する、および少なくとも40℃の温度での有機溶媒に対する耐薬品性を提供することによって、コーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0036】
レオロジー剤は、少なくとも40℃の温度で、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月間、メタノールなどの有機溶媒への連続的な曝露に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、少なくとも60℃の温度で、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月間、PFADなどの脂肪酸への連続的な曝露に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。レオロジー剤は、少なくとも70℃の温度で、合計で少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも9ヶ月、例えば、少なくとも12ヶ月間、PFADへの連続的な曝露に対するコーティング層の耐薬品性を増強させ得る。
【0037】
レオロジー剤は、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油を含む(すなわち、レオロジー剤の代わりに)コーティング層と比較して、コーティング層の増強された耐薬品性を提供し得る。レオロジー剤は、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油を含むコーティング層と比較して、PFADなどの脂肪酸に対するコーティング層の増強された耐薬品性を提供し得る。本明細書で定義されるコーティング層は、ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油を含むコーティング層と比較して、より長い時間にわたって無傷のままである場合、増強された耐薬品性を有し得る。
【0038】
本発明における使用のレオロジー剤は、少なくとも85重量%の、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する化合物を含む。
【0039】
本発明における使用のレオロジー剤は、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも87重量%、例えば、少なくとも90重量%、または更に少なくとも94重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む。本発明における使用のレオロジー剤は、85~99重量%、例えば、87~97重量%、例えば、88~95重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0040】
本発明における使用のレオロジー剤は、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも87重量%、例えば、少なくとも90重量%、または更に少なくとも94重量%の、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する化合物を含む。本発明における使用のレオロジー剤は、85~99重量%、例えば、87~97重量%、例えば、88~95重量%の、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0041】
レオロジー剤は、少なくとも1重量%の、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0042】
レオロジー剤は、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物を含み得る。レオロジー剤は、1~15重量%、例えば、3~13重量%、例えば、5~12重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0043】
レオロジー剤は、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%の、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する化合物を含み得る。レオロジー剤は、1~15重量%、例えば、3~13重量%、例えば、5~12重量%の、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0044】
レオロジー剤は、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物、および少なくとも1重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物、例えば、少なくとも87重量%の、105℃超の融解温度を有する化合物、および少なくとも3重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物を含み得る。レオロジー剤は、85~99重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物、および1~15重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物、例えば、87~97重量%の、105℃超の融解温度を有する化合物、および3~13重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物、例えば、88~95重量%の、115℃超の融解温度を有する化合物、および5~12重量%の、最大95℃の融解温度を有する化合物を含み得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「融解温度」とは、化合物が完全に融解する温度を意味する。本明細書で報告されているように、融解温度は、示差走査熱量測定を使用して測定された。示差走査熱量測定は、以下の段落[0132]および[0133]に記載される方法を使用して好適に実行される。
【0046】
レオロジー剤は、1つを超える化合物を含み得る。95℃超の融解温度を有する化合物は、有機化合物を含み得る。本明細書で使用される場合、「有機化合物」とは、炭素-水素結合を含む化合物を意味する。95℃超の融解温度を有する化合物は、ジアミドまたはポリアミドなどの少なくとも2つのアミド基を含む化合物を含み得る。少なくとも2つのアミド基を含む化合物は、ジアミドを含み得る。
【0047】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも85重量%のジアミドは、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する。
【0048】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも87重量%、例えば、少なくとも90重量%、または更に少なくとも94重量%のジアミドは、95℃超の融解温度を有する。レオロジー剤は、ジアミドからなり得、85~99重量%、例えば、87~97重量%、例えば、88~95重量%のジアミドは、95℃超の融解温度を有する。
【0049】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも87重量%、例えば、少なくとも90重量%、または更に少なくとも94重量%のジアミドは、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する。レオロジー剤は、ジアミドからなり得、85~99重量%、例えば、87~97重量%、例えば、88~95重量%のジアミドは、95℃超、例えば、105℃超、例えば、115℃超の融解温度を有する。
【0050】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも1重量%のジアミドは、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する。
【0051】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有する。レオロジー剤は、ジアミドからなり得、1~15重量%、例えば、3~13重量%、例えば、5~12重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有する。
【0052】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%のジアミドは、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する。レオロジー剤は、ジアミドからなり得、1~15重量%、例えば、3~13重量%、例えば、5~12重量%のジアミドは、最大95℃、例えば、最大94℃の融解温度を有する。
【0053】
レオロジー剤は、ジアミドからなり得る。少なくとも85重量%のジアミドは、95℃超の融解温度を有し、少なくとも1重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有し、例えば、少なくとも87重量%のジアミドは、105℃超の融解温度を有し、少なくとも3重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有する。レオロジー剤は、ジアミドからなり得、85~99重量%のジアミドは、95℃超の融解温度を有し、1~15重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有し、例えば、87~97重量%のジアミドは、105℃超の融解温度を有し、3~13重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有し、例えば、88~95重量%のジアミドは、115℃超の融解温度を有し、5~12重量%のジアミドは、最大95℃の融解温度を有する。
【0054】
市販のジアミド系レオロジー剤は、ArkemaからのCrayvallac(RTM)Ultra、Crayvallac(RTM)Super、Crayvallac(RTM)LV、Crayvallac(RTM)Optima、およびCrayvallac(RTM)PA3X20、BYK Altana GroupからのBYK-405およびBYK-430、Lehmann&VossからのLuvotix(RTM)HP、Luvotix(RTM)AB、Luvotix(RTM)PA20XA、Luvotix(RTM)LT10、Luvotix(RTM)SAB、Luvotix(RTM)PAB、およびLuvotix(RTM)SHP、ElementisからのThixatrol(RTM)MAX、Thixatrol(RTM)PRO、Thixatrol(RTM)PM8054、Thixatrol(RTM)PM8056、およびThixatrol(RTM)PM8058、ISCAからのIscathix(RTM)SR、Kito ChemicalsからのKeperrhe(RTM)-400、Kusumoto ChemicalsからのDisparlon(RTM)6300、Disparlon(RTM)6500、Disparlon(RTM)6700、およびDisparlon(RTM)6900 20X、ならびに/またはKyoeisha ChemicalsからのFlownon RCM-210を含み得る。例えば、市販のジアミド系レオロジー剤は、ArkemaからのCrayvallac(RTM)Ultra、Crayvallac(RTM)Super、Crayvallac(RTM)LV、Crayvallac(RTM)Optima、およびCrayvallac(RTM)PA3X20、BYK Altana GroupからのBYK-405およびBYK-430、Lehmann&VossからのLuvotix(RTM)HP、Luvotix(RTM)AB、Luvotix(RTM)PA20XA、Luvotix(RTM)LT10、Luvotix(RTM)SAB、Luvotix(RTM)PAB、およびLuvotix(RTM)SHP、ElementisからのThixatrol(RTM)MAX、Thixatrol(RTM)PRO、Thixatrol(RTM)PM8054、Thixatrol(RTM)PM8056、およびThixatrol(RTM)PM8058、ISCAからのIscathix(RTM)SR、Kito ChemicalsからのKeperrhe(RTM)-400、ならびに/またはKyoeisha ChemicalsからのFlownon RCM-210を含み得る。
【0055】
ジアミドは、以下の式(I)の化合物を含み得、
R1-CONH-X1-NHCO-R2 (I)
式中、X1は、ヒドロカルビレン基であり、
R1およびR2は、各々独立して、ヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、ヒドロカルビル基である。
【0056】
ジアミドは、以下の式(II)の化合物を含み得、
R3-NHCO-X2-NHCO-R4 (II)
式中、X2は、ヒドロカルビレン基であり、
R3およびR4は、各々独立して、ヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、ヒドロカルビル基である。
【0057】
ジアミドは、以下の式(III)の化合物を含み得、
R5-NHCO-X3-CONH-R6 (III)
式中、X3は、ヒドロカルビレン基であり、
R5およびR6は、各々独立して、ヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、ヒドロカルビル基である。
【0058】
ジアミドは、式(I)、(II)、および(III)の化合物の混合物を含み得る。ジアミドは、式(I)の化合物を含み得る。
【0059】
式(I)の化合物は、式H2N-X1-NH2のジアミンを、式R1-COOHおよびR2-COOHのカルボン酸と反応させることによって得られ得、式中、X1、R1、およびR2は、上記で定義される通りである。
【0060】
式(II)の化合物は、式HOOC-X2-NH2のアミノ酸を、式R3-NH2のアミンおよび式R4-COOHのカルボン酸と反応させることによって得られ得、式中、X2、R3、およびR4は、上記で定義される通りである。
【0061】
式(III)の化合物は、式HOOC-X3-COOHのジカルボン酸を、式R5-NHおよびR6-NHのアミンと反応させることによって得られ得、式中、X3、R5、およびR6は、上記で定義される通りである。
【0062】
本明細書で定義されるX1は、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、またはアルカラルキレン基であり得る。X1は、1~20、例えば、1~10、例えば、1~8個の炭素原子を含み得る。X1は、C1-C20アルキレン、C2-C20アルケニレン、C6-C20アリーレン、C7-C20アラルキレン、またはC8-C20アルカラルキレン基であり得る。X1は、直鎖C1-C8アルキレン基またはC8アルカラルキレン基を表し得る。X1は、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、または1,3-キシリレンであり得る。
【0063】
本明細書で定義されるR1およびR2は、各々独立して、1つのヒドロキシル基などのヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはアルカラルキル基であり得る。R1およびR2は、各々独立して、1~20、例えば、10~20、例えば、16~18個の炭素原子を含み得る。R1およびR2は、各々独立して、直鎖C10-C20アルキル基、直鎖C10-C20ヒドロキシアルキル基、直鎖C10-C20アルケニル基、または直鎖C10-C20ヒドロキシアルケニル基を表し得る。R1およびR2は、独立して、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、または12-ヒドロキシ-n-オクタデシルであり得る。
【0064】
本明細書で定義されるX2は、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、またはアルカラルキレン基であり得る。X2は、1~20、例えば、1~10、例えば、1~8個の炭素原子を含み得る。X2は、C1-C20アルキレン、C2-C20アルケニレン、C6-C20アリーレン、C7-C20アラルキレン、またはC8-C20アルカラルキレン基であり得る。X2は、直鎖C1-C8アルキレン基またはC8アルカラルキレン基を表し得る。X2は、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、または1,3-キシリレンであり得る。
【0065】
本明細書で定義されるR3およびR4は、各々独立して、1つのヒドロキシル基などのヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはアルカラルキル基であり得る。R3およびR4は、各々独立して、1~20、例えば、10~20、例えば、16~18個の炭素原子を含み得る。R3およびR4は、各々独立して、直鎖C10-C20アルキル基、直鎖C10-C20ヒドロキシアルキル基、直鎖C10-C20アルケニル基、または直鎖C10-C20ヒドロキシアルケニル基を表し得る。R3およびR4は、独立して、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、または12-ヒドロキシ-n-オクタデシルであり得る。
【0066】
本明細書で定義されるX3は、アルキレン、アルケニレン、アリーレン、アラルキレン、またはアルカラルキレン基であり得る。X3は、1~20、例えば、1~10、例えば、1~8個の炭素原子を含み得る。X3は、C1-C20アルキレン、C2-C20アルケニレン、C6-C20アリーレン、C7-C20アラルキレン、またはC8-C20アルカラルキレン基であり得る。X3は、直鎖C1-C8アルキレン基またはC8アルカラルキレン基を表し得る。X3は、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、または1,3-キシリレンであり得る。
【0067】
本明細書で定義されるR5およびR6は、各々独立して、1つのヒドロキシル基などのヒドロキシル基によって必要に応じて置換されている、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはアルカラルキル基であり得る。R5およびR6は、各々独立して、1~20、例えば、10~20、例えば、16~18個の炭素原子を含み得る。R5およびR6は、各々独立して、直鎖C10-C20アルキル基、直鎖C10-C20ヒドロキシアルキル基、直鎖C10-C20アルケニル基、または直鎖C10-C20ヒドロキシアルケニル基を表し得る。R5およびR6は、独立して、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、または12-ヒドロキシ-n-オクタデシルであり得る。
【0068】
「アルク(alk)」または「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、別途定義されない限り、直鎖、分枝鎖、環式、もしくは多環式部分またはそれらの組み合わせであり、1~20個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、例えば、1~8個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子、または更に1~4個の炭素原子を含有し得る、飽和炭化水素ラジカルに関する。これらのラジカルは、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、-OR19、-OC(O)R20、-C(O)R21、-C(O)OR22、-NR23R24、-C(O)NR25R26、-SR27、-C(O)SR27、-C(S)NR25R26、アリール、またはHet置換基で必要に応じて置換され得、R19~R27は、各々独立して、水素、アリール、もしくはアルキルを表し、および/あるいは酸素もしくは硫黄原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシロキサン基によって中断され得る。そのようなラジカルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル、3-メチルペンチル、オクチルなどから独立して選択され得る。「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で定義される二価のラジカルアルキル基に関する。例えば、-CH3として表されることになるメチルなどのアルキル基は、アルキレンとして表されるとき、メチレン、-CH2-になる。他のアルキレン基は、それに応じて理解されるべきである。
【0069】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、直鎖、分岐鎖、環式、もしくは多環式部分またはそれらの組み合わせであり、2~18個の炭素原子、例えば、2~10個の炭素原子、例えば、2~8個の炭素原子、例えば、2~6個の炭素原子、または更に2~4個の炭素原子を含有し得る、1つまたは複数、例えば、最大4つの二重結合を有する、炭化水素ラジカルに関する。これらのラジカルは、ヒドロキシル、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、-OR19、-OC(O)R20、-C(O)R21、-C(O)OR22、-NR23R24、-C(O)NR25R26、-SR27、-C(O)SR27、-C(S)NR25R26、またはアリール置換基で必要に応じて置換され得、式中、R19~R27は、各々独立して、水素、アリール、もしくはアルキルを表し、および/あるいは酸素もしくは硫黄原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシロキサン基によって中断され得る。そのようなラジカルは、アルケニル基から独立して選択され、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1-プロペニル、2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、イソプレニル、ファルネシル、ゲラニル、ゲラニルゲラニルなどを含む。「アルケニレン」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で定義される二価のラジカルアルケニル基に関する。例えば、-CH=CH2として表されることになるエテニルなどのアルケニル基は、アルケニレンとして表されるとき、エテニレン、-CH=CH-になる。他のアルケニレン基は、それに応じて理解されるべきである。
【0070】
「アル(ar)」または「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの水素を除去することによって芳香族炭化水素に由来する有機ラジカルに関し、各環に最大7員の任意の単環式、二環式、または多環式炭素環を含み、環は芳香族である。これらのラジカルは、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、-OR19、-OC(O)R20、-C(O)R21、-C(O)OR22、-NR23R24、-C(O)NR25R26、-SR27、-C(O)SR27、-C(S)NR25R26、またはアリール置換基で必要に応じて置換され得、式中、R19~R27は、各々独立して、水素、アリール、もしくは低級アルキルを表し、および/あるいは酸素もしくは硫黄原子によって、またはシラノもしくはジアルキルシリコン基によって中断され得る。そのようなラジカルは、フェニル、p-トリル、4-メトキシフェニル、4-(tert-ブトキシ)フェニル、3-メチル-4-メトキシフェニル、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、3-ニトロフェニル、3-アミノフェニル、3-アセトアミドフェニル、4-アセトアミドフェニル、2-メチル-3-アセトアミドフェニル、2-メチル-3-アミノフェニル、3-メチル-4-アミノフェニル、2-アミノ-3-メチルフェニル、2,4-ジメチル-3-アミノフェニル、4-ヒドロキシフェニル、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、3-アミノ-1-ナフチル、2-メチル-3-アミノ-1-ナフチル、6-アミノ-2-ナフチル、4,6-ジメトキシ-2-ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、またはアセナフチルなどから独立して選択され得る。「アリーレン」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で定義される二価のラジカルアリール基に関する。例えば、-Phとして表されることになるフェニルなどのアリール基は、アリーレンとして表されるとき、フェニレン、-Ph-になる。他のアリーレン基は、それに応じて理解されるべきである。
【0071】
誤解を避けるために、本明細書の複合基におけるアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、またはアルカラルキルへの言及は、それに応じて解釈されるべきであり、例えば、アミノアルキルにおけるアルキルまたはアルコキシルにおけるアルクへの言及は、上記のアルクまたはアルキルとして解釈されるべきである。
【0072】
レオロジー剤は、ヒマシ油および水素化ヒマシ油を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、指定された成分(ヒマシ油など)が、存在する場合、微量(すなわち、0.1重量%未満、例えば、0.01重量%未満)で存在することを意味する。レオロジー剤は、ヒマシ油および水素化ヒマシ油を完全に含まなくてもよい。レオロジー剤は、植物油および水素化植物油を実質的に含まなくてもよい。レオロジー剤は、植物油および水素化植物油を完全に含まなくてもよい。「植物油」または「ヒマシ油」とは、例えば、遊離脂肪酸とは対照的に、トリグリセリドを指す。
【0073】
水素化ヒマシ油に基づく市販のレオロジー剤としては、Lehmann&VossからのLuvotix(RTM)RおよびLuvotix(RTM)HT、ElementisからのThixcin(RTM)RおよびThixatrol(RTM)ST、ArkemaからのCrayvallac(RTM)MTおよびFlowtone(RTM)GR、BYK Altana GroupからのRheocin(RTM)、ならびにISCAからのIscathix(RTM)ISPおよびIscathix(RTM)が挙げられる。これらのレオロジー剤は、少なくとも80重量%の、95℃未満の融解温度を有する化合物を含む。
【0074】
レオロジー剤を含むコーティング組成物は、基材の上にコーティング層を提供するように、基材の少なくとも一部分上にコーティングされる。コーティング層は、単一コートのコーティング組成物を含み得る。代替的に、コーティング層は、2つまたは2つより多くのコートのコーティング組成物を含み得る。コーティング層は、2つまたは3つのコートのコーティング組成物を含み得る。コーティング組成物の各コートは、同じまたは異なる種類のコーティング組成物であり得る。コーティング層は、プライマー層およびトップコート層を含み得る。コーティング層は、本明細書に記載のコーティング組成物のコートを基材の少なくとも一部分に塗布することによって形成され得る。
【0075】
コーティング層は、任意の好適な厚さを有し得る。コーティング層は、200~2000μm、例えば、250~1000μm、例えば、300~500μmの乾燥膜厚さを有し得る。コーティング層が溶媒系コーティング組成物を塗布することによって形成されるとき、コーティング層は、200~1000μm、例えば、250~600μm、例えば、300~500μmの乾燥膜厚さを有し得る。
【0076】
基材は、金属および/またはコンクリート基材などの任意の好適な基材であり得る。金属基材は、鋼板;鋳鉄;アルミニウム;アルミニウムまたは鋼の合金などの金属合金;黄銅、青銅、および銅などの非鉄金属、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。基材は、鋼基材を含み得る。
【0077】
基材は、内部表面を有するタンクまたはパイプであり得、内部表面の少なくとも一部分は、コーティング層でコーティングされる。内部表面は、内部鋼表面を含み得る。基材は、内部鋼表面を含むタンクまたはパイプを含み得る。タンクまたはパイプは、化学物質貯蔵および輸送業界での使用に好適な任意のタンクまたはパイプであり得る。
【0078】
本発明は、基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用を提供し得、耐薬品性は、少なくとも60℃(70℃など)の温度での合計で少なくとも6ヶ月間の、脂肪酸(PFADなど)への連続的な曝露に対する耐性を含み、レオロジー剤は、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有するジアミドを含む。
【0079】
本発明は、基材の少なくとも一部分にコーティングされたときに、コーティング組成物によって形成されたコーティング層の耐薬品性を増強させるためのコーティング組成物におけるレオロジー剤の使用を提供し得、耐薬品性は、少なくとも40℃の温度での合計で少なくとも6ヶ月間の、有機溶媒(メタノールなどのアルコールなど)への連続的な曝露に対する耐性を含み、レオロジー剤は、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有するジアミドを含む。
【0080】
本発明はまた、レオロジー剤を含むコーティング組成物を提供し、レオロジー剤は、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む。
【0081】
本発明のコーティング組成物に含まれるレオロジー剤の好適な特徴および利点は、使用に関連して上述されるようなものである。
【0082】
レオロジー剤は、任意の好適な量でコーティング組成物に存在し得る。レオロジー剤は、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、0.1~2.0重量%、例えば、0.5~1.5重量%、例えば、0.8~1.2重量%の量で、コーティング組成物に存在し得る。
【0083】
コーティング組成物は、バインダー樹脂を含み得る。任意の好適なバインダー樹脂が使用され得る。好適なバインダー樹脂は、当業者に周知である。バインダー樹脂は、エポキシ樹脂、アミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはそれらの組み合わせを含み得る。バインダー樹脂は、エポキシノボラック樹脂などのエポキシ樹脂を含み得る。エポキシノボラック樹脂は、少なくとも3.0の官能性および190g/当量未満のエポキシ当量を有し得る。本明細書で使用される場合、「官能性」とは、分子当たりのエポキシ基の数を意味する。エポキシ当量は、分子の分子量をその官能性(すなわち、分子当たりのエポキシ基の数)で除算することによって計算される。
【0084】
バインダー樹脂は、任意の好適な量でコーティング組成物に存在し得る。バインダー樹脂は、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、1~50重量%、例えば、10~45重量%、例えば、20~40重量%の量で、コーティング組成物に存在し得る。
【0085】
コーティング組成物は、硬化剤を含み得る。任意の好適な硬化剤が使用され得る。好適な硬化剤は、当業者に周知である。硬化剤は、フェノール樹脂(またはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂);アミノ樹脂;エポキシ樹脂;イソシアネート樹脂;ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド樹脂;アルキル化カルバメート樹脂;ポリ酸;無水物;有機金属酸官能性材料;ジアミン、ポリアミン;ジアミド、ポリアミド、およびそれらの組み合わせを含み得る。硬化剤は、ジアミンまたはポリアミンを含み得る。
【0086】
硬化剤は、任意の好適な量でコーティング組成物に存在し得る。硬化剤は、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、1~50重量%、例えば、5~30重量%、例えば、5~15重量%の量で、コーティング組成物に存在し得る。
【0087】
コーティング組成物は、必要に応じて、添加剤または添加剤の組み合わせを含有し得る。任意の好適な添加剤が使用され得る。好適な添加剤は、当業者に周知であろう。添加剤は、触媒;顔料;界面活性剤;流動制御剤;充填剤;希釈剤;有機溶媒、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0088】
好適な触媒は、当業者に周知であろう。触媒は、リン酸;ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルアリールスルホン酸;メタンスルホン酸;パラ-トルエンスルホン酸;ジノニルナフタレンジスルホン酸;フェニルホスホン酸;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよびホルムアルデヒドなどの三級アミン系硬化剤、N1,N1-ジメチル-1,3-プロパンジアミンおよびフェノールを有するポリマー、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。触媒は、存在する場合、任意の好適な量でコーティング組成物に使用され得る。触媒は、存在する場合、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、0.01~10重量%、例えば、0.1~2重量%の量で使用され得る。
【0089】
好適な顔料は、当業者に周知であろう。顔料は、二酸化チタンまたはカーボンブラックを含み得る。顔料は、存在する場合、任意の好適な量でコーティング組成物に使用され得る。顔料は、存在する場合、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、1~30重量%、例えば、1~20重量%、または更に1~10重量%の量で、コーティング組成物に使用され得る。
【0090】
好適な充填剤は、当業者に周知であろう。充填剤は、タルクまたは硫酸バリウムを含み得る。充填剤は、存在する場合、任意の好適な量でコーティング組成物に使用され得る。コーティング組成物は、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、1~85重量%、例えば、30~80重量%、または更に60~75重量%の充填剤(存在する場合)を含み得る。
【0091】
任意の好適な有機溶媒が使用され得る。有機溶媒は、ミネラルスピリットおよび高引火点ナフサなどの脂肪族炭化水素;ベンゼンなどの芳香族炭化水素;トルエン;キシレン;溶媒ナフサ100、150、200;SOLVESSO(RTM)の商品名でExxon-Mobil Chemical Companyから入手可能なもの;エタノールなどのアルコール;n-プロパノール;イソプロパノール;n-ブタノール;ペンタノール;アミルアルコール;1-メトキシ-2-プロパノール;およびブトキシエタノール;アセトンなどのケトン;シクロヘキサノン;メチルイソブチルケトン;メチルエチルケトン;酢酸エチルなどのエステル;酢酸ブチル;酢酸n-ヘキシル;RHODIASOLV(RTM)RPDE(Rhodiaより市販されているコハク酸およびアジピン酸エステルのブレンド);ブチルグリコールなどのグリコール;メトキシプロパノールなどのグリコールエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテル;エチレングリコールモノブチルエーテル;DOWANOL PM、DOWANOL DPM、およびDOWANOL PPHなどのDOWANOL(RTM)の商品名でDowより入手可能なもの、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0092】
コーティング組成物は、任意の好適な量の溶媒を含み得る。コーティング組成物は、コーティング組成物の総重量に基づいて、1~50重量%、例えば、2~40重量%、例えば、5~30重量%、例えば、5~20重量%、例えば、5~15重量%、または更に10重量%の溶媒を含み得る。代替的に、コーティング組成物は、溶媒を含まなくてもよい。
【0093】
コーティング組成物は、2成分(2K)組成物として調製され得る。そのような組成物は、組成物で基材をコーティングする直前に調製され得る。2成分組成物は、バインダー樹脂を含む第1の成分と、硬化剤を含む第2の成分とを混合することによって調製され得る。バインダー樹脂および硬化剤は、上記で定義される通りであり得る。少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含む、レオロジー剤は、第1の成分および/または第2の成分に存在し得る。上述のような必要に応じた添加剤はまた、第1の成分および/または第2の成分に存在し得る。
【0094】
コーティング組成物は、ヒマシ油および水素化ヒマシ油を実質的に含まなくてもよい。コーティング組成物は、ヒマシ油および水素化ヒマシ油を完全に含まなくてもよい。コーティング組成物は、植物油および水素化植物油を実質的に含まなくてもよい。コーティング組成物は、植物油および水素化植物油を完全に含まなくてもよい。
【0095】
コーティング組成物は、本発明のレオロジー剤と配合されている市販のコーティング組成物を含み得る。市販のコーティング組成物は、PPG IndustriesからのNovaGuard 840、NovaGuard 890、NovaGuard 260、SigmaLine 2000、PhenGuard(RTM)930/935/940、PhenGuard(RTM)965、および/またはAmercoat(RTM)253を含み得る。
【0096】
本発明は、エポキシノボラック樹脂を含むバインダー樹脂と、ジアミンまたはポリアミンを含む硬化剤と、レオロジー剤の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で、95℃超の融解温度を有するジアミドを含むレオロジー剤と、を含む、コーティング組成物を提供し得る。
【0097】
本発明はまた、基材であって、基材の少なくとも一部分が、本明細書に記載のコーティング組成物を基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる、基材を提供する。
【0098】
本発明はまた、基材を生産する方法であって、基材の少なくとも一部分が、コーティング層でコーティングされ、方法が、
(a)本明細書に記載のコーティング組成物を提供するステップと、
(b)基材の少なくとも一部分に組成物を塗布して、コーティング層を形成するステップと、を含む、方法を提供する。
【0099】
基材および方法の好適な特徴を以下に記載する。
【0100】
コーティング組成物は、任意の既知の好適な塗布方法を使用して基材に塗布され得る。塗布方法は、スプレー、ブラッシング、および/またはローリングを含み得る。
【0101】
コーティング層は、単一のコートのコーティング組成物を含み得る。代替的に、コーティング層は、2つまたは2つより多くのコートのコーティング組成物を含み得る。コーティング層は、2つまたは3つのコートのコーティング組成物を含み得る。コーティング組成物の各コートは、同じまたは異なる種類のコーティング組成物であり得る。
【0102】
コーティング層は、任意の好適な厚さを有し得る。コーティング層は、200~2000μm、例えば、250~1000μm、例えば、300~500μmの乾燥膜厚さを有し得る。コーティング層が溶媒系コーティング組成物を塗布することによって形成されるとき、コーティング層は、200~1000μm、例えば、250~600μm、例えば、300~500μmの乾燥膜厚さを有し得る。
【0103】
基材は、金属および/またはコンクリート基材などの任意の好適な基材であり得る。金属基材は、鋼板;鋳鉄;アルミニウム;アルミニウムまたは鋼の合金などの金属合金;黄銅、青銅、および銅などの非鉄金属、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。基材は、鋼基材を含み得る。
【0104】
基材は、内部表面を有するタンクまたはパイプであり得、内部表面の少なくとも一部分は、コーティング層でコーティングされる。内部表面は、内部鋼表面を含み得る。タンクまたはパイプは、化学物質貯蔵および輸送業界での使用に好適な任意のタンクまたはパイプであり得る。
【0105】
基材は、内部鋼表面を含むタンクまたはパイプなどの鋼基材を含み得る。
【0106】
本発明は、タンクまたはパイプであって、タンクまたはパイプの内部表面の少なくとも一部分が、本明細書に記載のコーティング組成物を基材に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる、タンクまたはパイプを提供し得る。
【0107】
本発明の基材は、内部鋼表面を有するタンクまたはパイプであり得、内部表面の少なくとも一部分は、本明細書に記載のコーティング組成物を内部表面に塗布することによって形成されたコーティング層でコーティングされる。
【0108】
本発明は、内部鋼表面を有するタンクまたはパイプを生産する方法であって、内部表面の少なくとも一部分が、コーティング層でコーティングされ、方法が、
(a)本明細書に記載のコーティング組成物を提供するステップと、
(b)タンクまたはパイプの内部鋼表面の少なくとも一部分に組成物を塗布して、コーティング層を形成するステップと、を含む、方法を提供し得る。
【0109】
タンクまたはパイプのコーティングされた内部表面は、内部空間を画定し得る。内部空間は、有機溶媒(メタノールなどのアルコールなど)または脂肪酸(PFADなど)などの化学物質を含有し得る。コーティング層は、該化学物質に対する耐薬品性を有する。
【0110】
鋼表面は、タンクおよびパイプ構造に使用される任意の好適な種類の鋼を含み得る。鋼は、熱間圧延または冷間圧延軟鋼を含み得る。市販の鋼は、Tata SteelからのYmpress(RTM)Laser E250Cである。
【0111】
鋼表面は、任意の品質を有し得る。鋼表面の少なくとも一部分は、Sa1、Sa2、Sa21/2、またはSa3として(ISO規格8501-1:2007(E)に従って)定格された品質を有し得る。
【0112】
鋼表面は、コーティング組成物の塗布前に、20~150μm、例えば、40~100μmの表面粗さなどの表面粗さを有し得る。鋼表面は、Mitutoyo表面粗さ試験機SJ-201Pによって測定されるように、50~75μmのRz値および15~20カウント/cm(Psc値)のピークカウントを有し得る。
【0113】
鋼表面は、グリットブラスト鋼を含み得る。
【0114】
本発明はまた、基材上のコーティング層の耐薬品性を増強させる(または増加させる)方法を提供し、方法は、少なくとも85重量%の、95℃超の融解温度を有する化合物を含むレオロジー剤を含むコーティング組成物を提供することと、コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に塗布して、コーティング層を提供することと、を含む。本方法の特徴は、本発明の使用に関して上述した通りである。
【0115】
本明細書で使用される場合、別途具体的に記載されない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を包含する。例えば、単数形、すなわち「a」または「an」の使用は、「1つまたは1つより多く」を含む。加えて、本明細書で使用される場合、「および/または」がある特定の事例で明示的に使用され得るが、別途具体的に記載されない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。
【0116】
本明細書で使用される場合、別途明示的に指定されない限り、値、範囲、量、またはパーセンテージを表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という語によって前置きされているかのように読み取られ得る。また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分的な範囲を含むことが意図される。範囲が与えられる場合、それらの範囲の任意の終点および/またはそれらの範囲内の数値を、本発明の範囲内で組み合わせることができる。「含む」および同様の用語は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0117】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、指定された成分を含むが、他の成分の存在を除外するものではないことを意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」という用語は、指定された成分を含むが、不純物として存在する材料、成分を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する避けられない材料、および本発明の技術的効果を達成する以外の目的で追加される成分を除く他の成分を除外することを意味する。組成物について言及する場合、本質的に一連の成分からなる組成物は、5重量%未満、例えば、3重量%未満、例えば、1重量%未満の指定されない成分を含み得る。
【0118】
「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語は、指定された成分を含むが、他の成分の追加を除外することを意味する。
【0119】
適切な場合には、文脈に応じて、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」という用語の使用は、「から本質的になる(consists essentially of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」という意味を包含または含むと解釈され得、また、「からなる(consists of)」または「からなる(consisting of)」という意味を含むと解釈され得る。
【0120】
誤解を避けるために、組成物における成分の量が重量%で記載されている場合、これは、言及されている組成物全体に対する指定された成分の重量パーセンテージを意味する。したがって、「コーティング組成物が0.1重量%未満のヒマシ油を含む」とは、コーティング組成物のうちの0.1重量%未満がヒマシ油によって提供されることを意味する。
【0121】
本明細書に提示される必要に応じた特徴は、個別に、または適切な場合、互いに組み合わせて、特に添付の特許請求の範囲に提示されるように組み合わせて、使用され得る。本明細書に提示される本発明の各態様または例示的な実施形態の必要に応じた特徴はまた、適切な場合、本発明の任意の他の態様または例示的な実施形態に適用可能であるように読み取られるべきである。換言すれば、本明細書を読む当業者は、本発明の各例示的な実施形態の必要に応じた特徴を、異なる例示的な実施形態間で交換可能かつ組み合わせ可能であるように考えるべきである。
【0122】
本発明のより良好な理解のために、およびその実施形態がどのように実行され得るかを示すために、ここで、例として、以下の実験データを参照する。
【実施例】
【0123】
実施例1(比較)
以下の材料およびコーティング組成物を、以下のように調製し、塗布し、試験した。
【0124】
試験基材として、Sa21/2およびRz=50~75μmの粗さにグリットブラストした鋼パネル(Tata SteelからのYmpress(RTM)Laser E250C)を使用した。
【0125】
塗料調製:市販のノボラックエポキシ/アミン硬化溶媒系のタンクコーティング系を、水素化ヒマシ油に基づく市販のレオロジー剤と配合した(すなわち、レオロジー剤は、少なくとも80重量%の水素化ヒマシ油を含む)。レオロジー剤を、最適な活性化のために供給業者からの指示書に従って、コーティング組成物/塗料に組み込んだ。レオロジー剤は、組成物の総固形分重量に基づいて、0.95重量%の量でコーティング組成物に存在した。
【0126】
塗料塗布:塗料を、製品データシートの指示書に従って混合した。エアスプレー装置を使用して、塗料を20~23℃での2日間のオーバーコーティング間隔で150μmの乾燥膜厚さの2つのコートで基材上に塗布した。コーティング系を20~23℃で3週間硬化させた。
【0127】
試験媒体1:試験は、コードPFAD XB165Rを有する、オランダのLoders Croklaanから得られたパーム脂肪酸蒸留物において実施した。試験期間を短縮し、妥当な期間内に異なるコーティングの耐性の違いを観察することを目的として、パーム脂肪酸蒸留物を70℃に加熱し、5重量%の水と混合して、化学物質混合物をエポキシ系コーティングに対してより攻撃的にした。
【0128】
試験媒体2:試験は、Avantorから購入したメタノール(99.5%以上のGPR Rectapur)において実施した。試験パネルの浸漬のために、メタノールを40℃に維持した。
【0129】
試験方法:耐薬品性は、ISO 2812-1:2007に従って、コーティングされた試験パネルを試験媒体1および2に別に6ヶ月の期間浸漬することによって試験した。コーティングは、膨れ形成、膨潤、剥離、および接着の損失のような欠陥について毎月検査した。
【0130】
評価:コーティングの破損までの時間をその性能の尺度として使用した。コーティングは、少なくとも26週(6ヶ月)無傷のままである場合、許容可能であるとみなされた。
【表1】
【0131】
実施例2
塗料調製:市販のノボラックエポキシ/アミン硬化溶媒系のタンクコーティング系を、ジアミドに基づく市販のレオロジー剤と配合した。市販のジアミド系レオロジー剤の例は、本明細書に提供されている。レオロジー剤A、B、D、およびEは、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、0.9重量%の量でコーティング組成物に存在した。レオロジー剤CおよびFは、コーティング組成物の総固形分重量に基づいて、1.1重量%の量でコーティング組成物に存在した。
【0132】
ジアミド系レオロジー添加剤は、その融点(融点軌道)によって特徴付けられた。これは、示差走査熱量測定で行われた。試料検体を、75μmのレーザー穴あけされたピンホール蓋を有するアルミニウム密閉パンに密封し、以下の方法を使用してTAI Discovery DSCでスキャンした。
・10℃/分で-75~200℃に上昇
・10℃/分で200~-75℃に下降
・10℃/分で-75~170℃に上昇
【0133】
DSCをインジウム、スズ、および亜鉛標準で較正し、公称窒素パージ速度は50mL/分であった。ピーク面積は、線形ベースラインを使用して計算した。異なる融点を有する画分間の比率の推定は、画分の各々のグラム当たりのエンタルピーを除算することによって計算した。
【0134】
塗料調製、塗料塗布、試験媒体、試験方法、および評価は、実施例1に記載されるのと同じ方法で実施した。
【表2】
【0135】
上記の結果は、レオロジー剤の融点が、熱いパーム脂肪酸蒸留物に対するコーティングの耐性の重要な要因であることを示している。少なくとも85重量%のレオロジー剤が、パーム脂肪酸蒸留物の運用温度および試験温度をはるかに上回る融点を有する場合、コーティングは、長期的な耐性を示す。低いパーセンテージ(15重量%未満)のより低い融点を有する成分は許容可能であり、依然として耐性をコーティングに提供する。しかしながら、より低い融点を有する成分が約15重量%超の量で存在する場合、パーム脂肪酸蒸留物に対する耐性が不十分である。
【表3】
実施例2の結果を以下の通り要約する。
【表4】
【0136】
本出願に関連して本明細書と同時にまたはそれ以前に出願され、本明細書とともに公衆の閲覧に開かれている全ての論文および文書に注意が向けられており、そのような全ての論文および文書の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
本明細書に開示された特徴の全て(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)、および/またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされ得る。
【0138】
本明細書に開示された各特徴(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)は、別途明示的に記載されない限り、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられ得る。したがって、別途明示的に記載されない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
【0139】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0140】
本発明の特定の例が、例示の目的で上述されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】