(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】温度被制御物品を温度制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F28D 7/10 20060101AFI20240326BHJP
A61J 3/00 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
F28D7/10 Z
A61J3/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558160
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 DE2022100173
(87)【国際公開番号】W WO2022199747
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021106966.1
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516002978
【氏名又は名称】バルカイ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】レムペル・ハリー
【テーマコード(参考)】
3L103
4C047
【Fターム(参考)】
3L103AA31
4C047AA05
4C047BB01
4C047BB11
4C047CC01
4C047DD22
4C047DD32
4C047GG35
(57)【要約】
本発明は、温度被制御物品を温度制御するための装置であって、温度制御本体の動作位置で当該温度被制御物品を予め設定されている温度に温度制御可能であるように、動作位置で当該温度被制御物品に面した接触部の少なくとも一部の領域で当接しつつ当該温度被制御物品の外周壁に係合配置可能である温度制御本体と、温度制御媒体と、を有する装置に関する。この場合、当該温度制御本体は、膨張本体として構成されていて、当該膨張本体が、動作位置で当該膨張本体の増大した容積膨張の下で膨張された状態で当該温度被制御物品の外周壁に当接するように、当該膨張本体の容積が変更可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度被制御物品(1,1′)を温度制御するための装置であって、温度制御本体(2,2′)の動作位置で前記温度被制御物品(1,1′)を予め設定されている温度に温度制御可能であるように、動作位置で前記温度被制御物品(1,1′)に面した接触部(11)の少なくとも一部の領域で当接しつつ前記温度被制御物品(1,1′)の外周壁(13,13′)に係合配置可能である温度制御本体(2,2′)と、温度制御媒体とを有する装置において、
前記温度制御本体は、膨張本体(2,2′)として構成されていて、前記膨張本体(2,2′)が、動作位置で前記膨張本体(2,2′)の増大した容積膨張の下で膨張された状態で前記温度被制御物品(1,1′)の外周壁(13,13′)に当接するように、前記膨張本体(2,2′)の容積が変更可能であることを特徴とする当該装置。
【請求項2】
前記膨張本体(2,2′)は、膨張器(3)に接続されていて、
前記膨張本体(2,2′)の区域を拡大した接触部(11)が、前記温度被制御物品(1,1′)の前記外周壁(13,13′)に当接するような圧力によって、流体(8)が、前記膨張器(3)によって前記膨張本体(2,2′)内に流入可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記動作位置にある前記膨張本体(2,2′)の前記接触部(11)の面積は、前記膨張本体(2,2′)が前記流体(8)を加圧しないことによって膨張されていない前記膨張本体(2,2′)の非動作位置にある前記膨張本体(2,2′)の前記接触部(11)の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記膨張本体(2,2′)の前記接触部(11)は、高柔軟性の材料及び/又は膨張可能な材料、特にフィルムから成ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記流体は、予め設定されている温度を有する温度制御媒体(8)として構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記温度制御媒体は、加熱装置及び/又は冷却装置として構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱装置及び/又は冷却装置は、前記膨張本体(2,2′)の外側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記接触部(11)に接合されている前記膨張本体(2,2′)の第2部分は(支持部(12,12′)として構成されていて、その形が前記膨張本体(2,2′)の加圧に依存しないで、及び/又は一定に構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記支持部(12,12′)の縁部(17,17′,18,18′)が、前記接触部(11)に材料結合又は摩擦結合されている請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記膨張本体(2,2′)の前記支持部(12,12′)は、前記流体(8)用の流入口(6,6′)及び流出口(7,7′)を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記支持部(12)は、中空円柱状に、及び/又は湾曲されて構成されていて、
前記接触部(11)は、前記動作位置で前記温度被制御物品(1)を少なくとも優角(α)の円周範囲内で包囲することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記支持部(12′)は、扁平に構成されていること、及び
互いに向き合って配置された接触部(11)を有する2つの膨張本体(2′)が設けられていて、前記温度被制御物品(1,1′)が、これらの膨張本体(2′)の間に配置されていて、
対向して配置された両膨張本体(2′)の接触部(11)がそれぞれ、前記動作位置で前記温度被制御物品(1,1′)を少なくとも鈍角の円周範囲内で包囲することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
温度被制御物品(1,1′)を温度制御するための方法であって、
温度制御本体(2,2′)の接触部(11)が、熱接触させるために動作位置で前記温度被制御物品(1,1′)の外周壁(13,13′)に当接される当該方法において、
前記温度制御本体(2,2′)の前記接触部(11)が、前記温度被制御物品(1,1′)に当接するように、前記温度被制御物品(2,2′)が、第1状態で加圧された流体(8)によって充填されること、及び
前記温度制御本体(2,2′)は、前記流体(8)を加圧しないことによって非稼働状態に移行され、この非稼働状態では、前記膨張本体(2,2′)の前記接触部(11)が、前記温度被制御物品(1,1′)の前記外周壁(13,13′)に対して離間して配置されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記流体(8)は、一定の圧力によって加圧されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体(8)は、一定の体積流量で前記膨張本体(2,2′)を貫流するように誘導されることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度被制御物品を温度制御するための装置であって、温度制御本体の動作位置で当該温度被制御物品を予め設定されている温度に温度制御可能であるように、動作位置で当該温度被制御物品に面した接触部の少なくとも一部の領域で当接しつつ当該温度被制御物品の外周壁に係合配置可能である温度制御本体と、温度制御媒体と、を有する装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、温度被制御物品を温度制御するための方法に関する。この場合、温度制御本体の接触部が、熱接触させるために動作位置で当該温度被制御物品の外周壁に当接される。
【背景技術】
【0003】
血漿成分又は血液成分で充填されたバッグを温度制御するための装置が、国際公開第2019223828号明細書から公知である。この場合、当該バッグは、2つの加熱要素間に設置されている。さらに、当該装置は、当該バッグを規則的に運動させるために制御機構を有する。その結果、当該制御機構は、特に、バッグの配置工程が加速され得る。当該公知の温度制御装置は基本的に優れている。しかしながら、当該温度制御装置は、特に円柱状の容器に収められている幹細胞等を温度制御するためには使用できない。
【0004】
温度制御すべき対象物の側壁を包囲する柔軟に変形可能な温度制御本体を有する温度制御装置が、独国特許出願公開第2743919号明細書から公知である。当該温度制御本体は、面ファスナの結合によって対象物に固定されているスリーブとして構成されている。この場合、対象物に面した第1部分が、接触部として当該対象物の側壁に当接する。冷却装置が、温度制御手段として設けられている。当該冷却装置の一部が、当該温度制御本体に組み込まれている。冷却装置が、スリーブに組み込まれているので、当該温度制御装置は著しく重いことが、当該公知の温度制御装置の欠点である。その結果、追加の固定装置、例えば面ファスナが常に必要である。さらに、当該公知の温度制御装置の使用は、容器の特定の直径に限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019223828号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第2743919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、本発明の課題は、温度制御本体を温度被制御物品に固定するための固定装置がさらに必要であることなしに、温度被制御物品が簡単に温度制御され得る、温度被制御物品を温度制御するための装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、請求項1に記載の上位概念に関連する本発明は、当該温度制御本体は、膨張本体として構成されていて、当該膨張本体が、動作位置で当該膨張本体の増大した容積膨張の下で膨張された状態で当該温度被制御物品の外周壁に当接するように、当該膨張本体の容積が変更可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、膨張本体の接触部が、温度被制御物品の側壁に当接するように、容積が、動作位置で拡大されている当該膨張本体が提唱されている。好ましくは、膨張本体は、動作位置で温度被制御物品を包囲し、この温度被制御物品を既定の温度に温度制御できる。当該膨張本体は、2つの機能を担う。一方では、膨張本体内に存在する流体が、熱を温度被制御物品に伝達するために使用され得るように、当該膨張本体は、当該温度制御本体を当該温度被制御物品に熱接触させるために使用される。他方では、当該温度被制御物品の係合式の包囲又は周設は、温度制御本体を温度被制御物品に固定することを可能にする。追加の固定手段は不要である。代わりに又はさらに、温度制御本体が、温度被制御物品で係合式に及び/又は摩擦結合式に保持されているように、当該温度制御本体内に流入された流体の圧力が上昇され得る。
【0009】
本発明の別の構成によれば、膨張本体が、膨張器に接続されている。当該膨張器は、流体を加圧し、したがって当該膨張本体の接触部を温度被制御物品に平面接触させる。特に、当該膨張器は、当該膨張本体の外側に配置されている。その結果、当該膨張器の重量が、温度制御装置の概念化時に考慮される必要がない。
【0010】
本発明の別の構成によれば、加圧された流体は、温度制御手段、例えば加熱装置及び/又は冷却装置によって予め設定されている温度に設定される温度制御流体として構成されている。したがって、当該加圧された温度制御流体は、温度被制御物品との熱接触を可能にする。この場合、当該加熱に対しては、温度制御流体の熱が、温度被制御物品に放出され、当該冷却に対しては、温度被制御物品の温度が、温度制御本体に放出される。温度制御流体が、所定の体積流量で温度制御本体に供給/放出される場合、温度被制御物品での希望通りの温度制御(加熱又は冷却)が実行され得る。
【0011】
本発明の別の構成によれば、少なくとも膨張本体の接触部が、高柔軟性の材料から構成されている。その結果、この部分が、当該膨張本体の膨張時に弾性膨張する。当該接触部に接合されている当該接触部の面積の拡大が、温度被制御物品を希望した円周角の範囲内で包囲するために使用される。好ましくは、これにより、特に、規則的な又は均一な輪郭を有する温度被制御物品が包囲され得る。したがって、円柱状の温度被制御物品だけが包囲され得るだけではなくて、波形の円周面又はキンクした箇所を有する円周面を持つ温度被制御物品も包囲され得る。
【0012】
本発明の別の構成によれば、加熱装置及び/又は冷却装置は、膨張本体の外側に配置されている。このため、加圧流体(圧力媒体)は、当該温度制御本体の重量が温度被制御物品で保持される力だけを温度被制御物品の側壁に作用させるだけで済む。
【0013】
本発明の別の構成によれば、膨張本体は、第1部分を構成する接触部に加えて、当該接触部が接合されている支持部として構成された第2部分を有する。当該支持部は、当該膨張本体を機械式に保護することを可能にする。何故なら、可撓性材料から成る接触部が、温度被制御物品の側壁と支持部との間に配置されているからである。
【0014】
本発明の別の構成によれば、支持部は、中空円柱状に、及び/又は湾曲されて構成され得る。当該支持部は、温度被制御物品の外周壁の輪郭に追従するように構成され得る。膨張本体を加圧することによって、当該膨張本体は、当該温度被制御物品に熱接触され、且つ当該膨張本体は、当該温度被制御物品に固定される。当該支持部の当該輪郭に追従する構成によって、当該温度被制御物品は、優角の円周範囲内で包囲され得る。その結果、当該温度被制御物品の最適な温度制御が保証されている。
【0015】
本発明の別の構成によれば、膨張本体の支持部は、扁平に構成されている。当該温度被制御物品を完全に包囲するため、2つの膨張本体が、当該温度被制御物品に対して対向するように配置されている。この場合、膨張された状態では、それぞれの膨張本体の接触部によって、当該温度被制御物品の側壁が、鈍角の円周範囲内で包囲されている。
【0016】
当該課題を解決するため、本発明は、請求項13に記載の特徴を有する。
【0017】
本発明の方法の利点は、膨張本体を加圧することによって、一方では温度制御本体が温度制御すべき温度被制御物品に固定され、他方では当該温度被制御物品に接合されている当該膨張本体の接触部の熱接触によって、熱が当該膨張本体から当該温度被制御物品に伝達され、又は熱が当該温度被制御物品から当該膨張本体に伝達されることにある。
【0018】
膨張本体が、流入口と離間された流出口とを有する場合、流体が、特に一定の体積流量で当該膨張本体を貫流し、必要な熱を供給又は放出する。
【0019】
本発明の別の構成によれば、加圧される流体が、一定の圧力によって加圧される。その結果、選択された圧力に依存して、熱伝達量が決定され得る。好ましくは、これにより、簡単な熱交換が、温度制御本体と温度被制御物品との間で実行され得る。
【0020】
以下に、本発明の複数の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による温度制御装置の動作位置にある当該温度制御装置を概略的に示す。
【
図2】動作位置にある
図1による温度制御装置の温度制御本体の横断面を概略的に示す。
【
図3】非動作位置にある
図2による温度制御本体の横断面を示す。
【
図4】第2の実施の形態による温度制御本体の遠近法で示す。
【
図5】動作位置にある
図4による温度制御本体の横断面を示す。
【
図6】非動作位置にある
図4による温度制御本体の横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
温度被制御物品を温度制御するための温度制御装置は、主に膨張本体2として構成された温度制御本体と、膨張器3と、加熱及び/又は冷却装置として構成された温度制御器4とから構成される。温度制御器4は、流体8と一緒に温度制御媒体を構成する。
【0023】
当該温度被制御物品は、特に容器1として構成されている。
【0024】
この第1の実施の形態では、容器1は、中空円柱状に構成されていて、例えば幹細胞、血液及び/又は血漿から成る温度被制御物品5を取り囲む。容器1は、温度被制御物品5を入れるために使用され、特に管状に構成されている。容器1は、合成樹脂材料又はガラス材料から構成され得る。
【0025】
膨張本体2は、容器1の少なくとも特定の領域を覆い、膨張本体2と容器1との間の熱交換器を可能にする。
図1から分かるように、膨張本体2は、予め設定されている体積流量に応じて膨張本体2を貫流する流体8用の流入口6及び流出口7を有する。このため、制御装置9が設けられている。流体8が、適切に予め設定されている温度と予め設定されている体積流量とで膨張本体2を貫流するように、温度制御器4及び/又は膨張器3が、制御装置9によって制御可能である。したがって、流体8は、温度制御流体として使用される。当該温度制御流体を用いることで、熱が、容器1中に流入でき、及び/又は、熱が、容器1から流出できる。
【0026】
膨張器3は、特に圧力源として構成されている。当該圧力源を用いることで、流体8が、体積流量に応じて膨張本体2へ通流され得て、この膨張本体2から流出され得る。流体8は、気体状態を呈し得るか又は液体状態を呈し得る。例えば、流体8は、空気、水、オイル又はその他の液体として構成され得る。
【0027】
膨張本体2は、容器1に面した側に接触部11を有し、容器1に面しない側に支持部12を有する。接触部11は、支持部12と不動に結合されている。接触部11は、高柔軟性材料及び/又は膨張性材料から成り、特にフレキシブルフィルム、例えばシリコンフィルムから成る。支持部12は、剛性材料又は弾性材料から成る。しかしながら、当該剛性材料又は弾性材料は、当該接触部とは違って膨張不可能である。支持部12は、例えば固体の合成樹脂材料からなり得る。
【0028】
接触部11は、支持部12の縁部17,17′に材料結合固定又は摩擦結合固定されている。一方では接触部11は、リング側の縁部17に固定されていて、他方では支持部12の端部側の縁部17′に固定されている。当該固定は、縁部17,17′に沿って継続して維持される。その結果、膨張本体2の加圧時に、接触部11が、支持部12の内面から離脱し得て、容器1に当接するまで膨張し得る。例えば、接触部11は、接着によって支持部12の縁部17,17′に接合され得る。代わりに、接触部11は、支持部12の縁部17,17′に機械式に固定されてもい。この場合、接触部11は、特に未加圧の初期状態では支持部12の内面16上に張り付いている。
【0029】
容器1の温度制御が実行されない膨張本体2の初期状態(非稼働状態)では、接触部11が、支持部12の内面16に緩く張り付いていて、僅かな容積を有する(
図3)。接触部11は、容器1の外周壁13に対して距離aだけ離間して存在する。この実施の形態では、外周壁13の横断面が円形である。膨張本体2は、非稼働状態(第1状態)にあるか、又は、接触部11は、非動作位置にある。
【0030】
膨張器3が、制御装置9によって稼働されると、配管設備内に存在する流体8が、加圧され、流れ方向Sの方向に移動される。当該加圧によって、膨張本体2の接触部11が、第2状態(稼働状態)中に円周角αにわたって外周壁13を包囲するように、膨張本体2は膨張する。分かりやすくするため、
図2には、膨張本体2の接触部11が、容器1の外周壁13に対して離間して示されている。実際には、接触部11は、外周壁13に係合するようにこの外周壁13を包囲し、特にこれに加えて又はこの代わりに外周壁13に摩擦結合するようにこの外周壁13を包囲する。半径方向の力Fが、容器1に印加される。
【0031】
膨張器3の制御と一緒に、温度制御器4も稼働される。その結果、対流される流体8が加熱又は冷却される。これにより、接触部11が、容器1の外周壁13に熱接触するので、熱の伝達である熱の流入又は熱の流出が発生し得る。
【0032】
図2による稼働状態にある接触部11の面積が、
図3による非稼働状態にある接触部11の面積よりも大きいことが分かる。これは、膨張器3による加圧に由来する接触部11の膨張に起因して発生する。接触部11は、容器1の円柱状の輪郭又は形に適合されている。例えば、容器1の横断面の輪郭が波形である場合、接触部11は、容器1の円柱状の基本輪郭に適合される。この場合、接触部11は、外周壁13の凸部と凹部とを覆うか又は当該凸部と当該凹部とに接触する。
【0033】
接触部11の面積が拡大するように、この接触部11は、特に可撓性に変形可能であり、可撓性に膨張可能である。
【0034】
本発明の別の実施の形態によれば、支持部12も、可撓性に変形可能に且つ可撓性に膨張可能に構成され得る。この場合、接触部11の形が変化する特性が、特に支持部12の場合よりも大きい。
【0035】
接触部11及び支持部12はそれぞれ、接触部11又は支持部12の延在方向又は延在面を予め設定するそれぞれ2つの平行な平面によって扁平に構成されている。接触部11又は支持部12の壁厚(これらの平面同士間の間隔)が、この平面とこの平面との間の寸法よりも遥かに小さく、特にmmの範囲又はcmの範囲内にあり得る。
【0036】
図2による膨張本体2の稼働状態では、温度制御された流体8(温度制御流体)が、一定の体積流量で連続して流入口6を通じて膨張本体2内に流入し、流出口7を通じて流出する。膨張本体2内の温度制御流体8の当該連続する入れ換えによって、接触部11の面積が、一定の温度を有する。望ましい熱伝達が、当該一定の温度によって実行され得る。
【0037】
この実施の形態では、非稼働状態から稼働状態への切り換わり時と、稼働状態から非稼働状態への切り換わり時とに、力が、支持部12の湾曲によって吸収され得るように、開口部14を有する支持部12は、円柱状に構成されている。
【0038】
図示されていない本発明の別の実施の形態では、支持部12は、360°の円周角も取り得る。しかしながら、この場合、容器1を循環する流れを、流入口6と流出口7とを通じて発生できるように、支持部12は、分離壁を有する必要がある。この実施の形態では、当該分離壁は、一体的に構成された支持部12の複数の端部壁15によって構成される。
【0039】
図4~6による本発明の別の実施の形態によれば、上記の膨張本体2とは違って、複数の扁平の支持部12′を有する膨張本体2′が設けられている。支持部12′は、板状に構成されていて、第1端部側に流入口6′を有し、対向する端部領域に流出口7を有する。この実施の形態では、流入口6は、支持部12の第1端部領域に配置されていて、流出口7は、支持部12′の第2端部領域に配置されている。
【0040】
上記の実施の形態のように、接触部11は、支持部12′の複数の直線状の縁部18,18′でこの支持部12′に接合されている。
【0041】
これらの実施の形態の同じ構成部品又は構成部品の機能は、同じ符号によって示されている。
【0042】
板状の膨張本体2′は、特に、回転対称に構成されてる容器に適する。この実施の形態では、対向して配置された2つの膨張本体2′を用いることで、2つの円柱状の容器1と、これらの容器とは違って横断面が長方形を成す1つの容器1′とが温度制御される。このため、2つの膨張本体2′が、互いに対向して配置される。この場合、温度制御すべき容器1,1′が、一方の膨張本体2′と他方の膨張本体2′との間に設置されている。膨張器3によって加圧し、且つ温度制御器4による温度制御によって、複数の接触部11が、これらの容器1,1′の対向する外周壁13,13′に当接するまで膨張する。両接触部11は、容器1,1′の輪郭又は形に一致し、これらの容器1,1′をそれぞれ鈍角の範囲β内で包囲する。角度βは、例えば180°でもよい。こうして、外周壁13,13′が、優角の範囲内で又はほぼ360°の範囲内で包囲される。第1の実施の形態にしたがうように、圧力Fが、膨張工程によって印加される。これらの接触部11が、圧力Fによって容器1,1′の外周壁13,13′に押圧される。これらの膨張本体2′のそれぞれの流入口6と流出口7とを通じて、それぞれの膨張本体2′が貫流される。
【0043】
第1の実施の形態による圧力Fは、回転対称に配置されたただ1つの容器1に対して専ら半径方向を向いている一方で、第2の実施の形態における圧力Fは、ほぼ直線方向を向いている。この場合、両膨張本体2′から印加された圧力Fは、互いに対向するように向けられている。これにより、容器1,1′のほぼ完全な包囲又は最適な熱接触が達成される。
【0044】
図示されていない本発明の別の実施の形態によれば、温度制御のため、容器の一部が、この容器の円周方向Uに包囲されてもよい。これは、熱交換が容器1,1′の片側だけから実行せざるを得ない場合に適用され得る。
【0045】
温度制御流体8の温度範囲は、特に30℃~60℃の範囲内で設定される。接触部11の膨張挙動は、当該接触部11の面積が加圧時に50%~600%だけ拡大するように設計され得る。これによって引き起こされる膨張本体2,2′の容積の拡大は、温度制御すべき温度被制御物品1,1′の数に依存する。
【国際調査報告】