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特表2024-514457媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61M39/10 100
A61M39/10 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558866
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 DE2022000026
(87)【国際公開番号】W WO2022199734
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021001563.0
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520154265
【氏名又は名称】ウロメド クルト ドレーヴス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ ヴェルナー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB10
4C066CC10
4C066JJ04
(57)【要約】
本発明は、媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブに関し、特に自閉式のカテーテルバルブに関し、基体が、入口部と、出口部と、可撓性のチューブと、蓋部材として長手方向に可動のスライダとを有し、カテーテルバルブの入口部には、供給ラインを取り付けるための段形状の外れ止め部を有し、カテーテルバルブは、側方で互いに反対側にある垂直方向の2つの室を有する基体の内部で、長手方向に可動の前記スライダに互いに逆方向の2つの走行傾斜部を有する。本発明の基礎を成す課題は、以下のカテーテルバルブを開発することであり、即ち当該カテーテルバルブは、1.人間工学的に良好に形成されており、それにより患者が長期に寝たきりであってもカテーテルバルブに慣れることができ、2.長期患者にとって看護コストは特に重要であるので、カテーテルバルブは極めて安価である必要があり、3.老人病の患者は、彼らの運動能力が多くの場合は低下しているので、このことに起因し、カテーテルバルブは、極めて簡単に且つ片手で操作される必要があり、4.多くの場合は長期使用が行われるので、バルブ全体が困難な分解を伴わずに洗浄可能で且つ殺菌され得ることが前提とされ、5.カテーテルバルブからカテーテルの意図しない外れが防止される必要があり、それにより感染の危険性が回避される。このことは、本発明により、互いに逆方向の2つの走行傾斜部を有する基体が、垂直方向に可動の2つの磁石の操作及び案内のために、互いに逆方向の2つの斜めの室を有し、磁石は、バルブホースの互いに反対側の2つの側面部に配設されており、バルブホースの通流を選択的に閉鎖又は開放し、カテーテルバルブの出口部には、アダプタが挿入可能且つ固定可能であり、アダプタは、長手方向に可動のスライダと並んで、カテーテルバルブの開いた継続位置をもたらすことにより達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブ、特に自閉式のカテーテルバルブであって、
基体(1)が、入口部(2)と、出口部(3)と、可撓性のバルブホース(6)と、蓋部材として長手方向に可動のスライダ(7)とを有し、前記カテーテルバルブの前記入口部(2)には、カテーテル(5)を取り付けるための段形状の外れ止め部(4)を有し、
前記カテーテルバルブは、側方で互いに反対側にある垂直方向の2つの室(12b;13b)を有する前記基体(1)の内部で、長手方向に可動の前記スライダ(7)に互いに逆方向の2つの走行傾斜部(8;9)を有する、前記カテーテルバルブにおいて、
互いに逆方向の2つの走行傾斜部を有する前記基体(1)は、垂直方向に可動の2つの磁石(10;11)の操作及び案内のために、互いに逆方向の2つの斜めの室(12a;13a)を有し、前記磁石(10;11)は、前記バルブホース(6)の互いに反対側の2つの側面部に配設されており、前記バルブホース(6)の通流を選択的に閉鎖又は開放し、前記カテーテルバルブの前記出口部には、アダプタ(17)が挿入可能且つ固定可能であり、前記アダプタ(17)は、長手方向に可動の前記スライダ(7)と並んで、前記カテーテルバルブの開いた継続位置をもたらすこと、
を特徴とするカテーテルバルブ。
【請求項2】
媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブ、特に自閉式のカテーテルバルブであって、
基体(1)が、入口部(2)と、出口部(3)と、可撓性のバルブホース(6)と、蓋部材として長手方向に可動のスライダ(7)とを有し、前記カテーテルバルブの前記入口部(2)には、カテーテル(5)を取り付けるための段形状の外れ止め部(4)を有し、前記基体(1)は、側方で互いに反対側にある垂直方向の2つの室(12b;13b)を有する、前記カテーテルバルブにおいて、
前記基体(1)は、垂直方向に可動の1つの磁石(10)の操作及び案内のために、長手方向に可動のスライダ(7)に1つの走行傾斜部(8)と、1つの斜めの室(12a)とを有し、前記磁石(10)は、前記バルブホース(6)の一方の側面部に配設されており、前記バルブホース(6)の通流を選択的に閉鎖又は開放し、前記カテーテルバルブの前記出口部には、アダプタ(17)が挿入可能且つ固定可能であり、前記アダプタ(17)は、長手方向に可動の前記スライダ(7)と並んで、前記カテーテルバルブの開いた継続位置をもたらすこと、
を特徴とするカテーテルバルブ。
【請求項3】
前記基体は、その底部において、磁気的な特性を有する金属性のプレートを有し、前記プレートに対し、前記磁石が当たること、
を特徴とする、請求項2に記載のカテーテルバルブ。
【請求項4】
前記カテーテルバルブの前記入口部(2)の段形状の前記外れ止め部(4)には、並びに前記カテーテル(5)には、組み込み式の又は両側で差し込み可能な固定器が配設されていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載のカテーテルバルブ。
【請求項5】
前記固定器は、U字形状に形成された両側クランプ(15)として構成されていること、
を特徴とする、請求項4に記載のカテーテルバルブ。
【請求項6】
前記アダプタ(17)は、リテーナリングを介し、前記カテーテルバルブの前記出口部の外れ止め部に対し、覆うように係合するか又はフレキシブルにかぶせられていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載のカテーテルバルブ。
【請求項7】
前記カテーテルバルブの受け部からの前記アダプタ(17)の取り外しは、前記磁石(10;11)の自動的な閉鎖、従って前記バルブホース(6)の自動的な閉鎖をもたらすこと、
を特徴とする、請求項1又は2に記載のカテーテルバルブ。
【請求項8】
前記アダプタ(17)を差し込むとき、前記スライダ(7)が長手方向に移動可能であること、
を特徴とする、請求項7に記載のカテーテルバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の流体流を制御するためのカテーテルバルブに関し、特に自閉式のカテーテルバルブに関し、ここでは、基体が、入口部と、出口部と、可撓性のチューブと、蓋部材として長手方向に可動のスライダとを有し、カテーテルバルブの入口部には、供給ラインを取り付けるための段形状の外れ止め部を有する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、例えば、病気、怪我、又は衰弱などの多数の理由から発生し得るしばしば直面すべき状態である。尿失禁状態は、通常は、尿道括約筋の膨張と収縮を制御する筋肉の機能の衰弱又は完全な欠如により特徴付けられている。今日まで、膀胱制御が実質的に回復されるように失禁状態を満足のいくかたちで修正する手術上の方法は知られていない。
【0003】
失禁状態を改善する試みは、例えば、尿管から排出された尿を回収するために、利用者により持ち運ばれる回収バックのような、受動的な装置の使用を含んでいる。この解決策の欠点は、利用者が尿排出のなんらかの制御可能性を有することなく、バッグ内に連続的に排尿されるということにある。この解決策の他の欠点は、回収バッグが利用者に付随している必要があり、従って利用者の活動を妨げるということにある。
【0004】
泌尿器学で使用されるカテーテルバルブは、慢性的な患者に益々使用される。特に老人医学では、患者は、何年もカテーテルバルブを使用しなくてはならない。この状況は、今日に至るまでまるで考慮されていない。
【0005】
これらの条件を満たすためには、デザイン的な観点も、デザインにより部分的に決定される構造的な観点も、考慮されなくてはならない。
【0006】
例えば、制御可能性の欠如、大容積、不快感、活動性の阻害のような問題を解決するための試みは、バルブを備えた失禁制御装置の開発を導くことになった。そしてこれらの失禁制御装置により、外部の回収システムを無くすことができ、またこれらの失禁制御装置は、利用者が尿道からの排尿を手動で制御できることを可能にしている。この種の装置の例は、下記特許文献1(US-PS 3 503 400)、下記特許文献2(US-PS 3 939 821)、下記特許文献3(US-PS 4 024 855)に記載されている。
【0007】
同様に下記特許文献4(US-PS 3 731 670)も公知であり、ここでは、双安定性の磁気的なバルブ要素が、閉位置から開位置に戻る磁気的な第1の操作を必要とする。
【0008】
この種の装置は、利用者に対してある程度の排泄制御を可能にするが、十分に稼働確実性があるわけではない。例えばバルブが開位置への第1の操作をされ、そして排泄が止まる場合には、利用者が第2の操作を実行することを忘れる可能性があり、つまりバルブがまだ開位置にあるのにバルブを閉位置に戻すことを忘れてしまう可能性がある。もしもバルブが意図せずに開位置に留まり続けた場合には、予期せぬ排泄となることがある。
【0009】
意図しない開放の危険は、下記特許文献5(WO 93/24173 A1)に記載されているようなカテーテルバルブにおいてもある。この際、通常状態では、ばね要素が、可撓性のライン部分を通る通流を閉鎖する。ばね要素の力に反して操作することのできるボタンの形式の操作要素を用いることで、閉鎖状態を解除し、バルブを開放することができる。この装置においても、操作要素は、衝突や偶然の接触により加えられる押圧力に比較的容易にさらされることになり、それによりこのバルブも、望まれない開放を排除することができないという欠点を有する。
【0010】
更に、可撓性のライン部分を閉鎖するために押しつぶすのではなく折り曲げるカテーテルバルブが知られている。下記特許文献6(EP 0 088 871 A1)のものは、この原理で機能する。この際、可撓性のラインの一部分がスリーブに固定されており、それにより可撓性のラインの他の部分が固定されたハウジングに対するスリーブの相対的な摺動が、ラインの一部が側方に逃れることにより、可撓性のラインの短縮と、その結果としてラインの屈曲とをもたらすことになる。スリーブは、ばねにより、ラインが前述したように屈曲されている位置で保持され、それによりラインを通る通流が閉鎖されている。
【0011】
しかし、ホースとして構成されているラインを複数回折り曲げることは、新たな問題を引き起こす。ホースの絶え間ない折り曲げ変形は、ホース壁部の損傷をもたらし、バルブの頻繁な管理を必要とし、事情によってはそれどころかバルブの頻繁な交換を必要とする。また記載された実施形態においても、スリーブの意図しない摺動、従って通流の開放が十分に防止されることは保証されていない。更にこの種のカテーテルバルブは、その構造が不必要に複雑であるという点で改善の余地がある。
【0012】
下記特許文献7(US-PS 2 197 995)から、所謂押付バルブが公知であり、ここでは、図示の実施形態において、互いに依存せずに操作可能な2つの遮断要素が、通流の制御のために可撓性のライン部分に対して作用する。遮断要素の各々は、個々に可動である。この実施形態において、それらの遮断要素は、互いに向き合って配設されており、可撓性のライン部分に対する遮断要素を用いた作用は、可撓性のライン部分の互いに向き合った箇所で行われる。
【0013】
更に、下記特許文献8(EP 3 247 450 B1)から、流体流を制御するためのカテーテルバルブが公知であり、このカテーテルバルブは、様々な位置をとることのできる可動の閉鎖要素を有する。この際、閉鎖要素は、磁気的に作用するバルブ駆動部により駆動可能である。
【0014】
上記の全ての解決策の欠点は、以下のとおりである:
- 複雑な構造上の構成
- 高価な製造
- 複雑な操作性
- 困難な洗浄と殺菌
- 多くの構成部材が必要
- 磁性体/磁力が間接的に閉鎖要素を制御する
- 手操作(片手操舵)が不可能
- 継続位置/開放が不可能
【0015】
下記特許文献9(DE 10 2019 100 509 B4)は、カテーテルを用いて交換可能な媒体の流量を調節するためのカテーテルバルブが公知であり、このカテーテルバブルは、バルブハウジング構造体を含み、バルブハウジング構造体は、カテーテルバルブのカテーテルバルブ内部空間を領域的に画定し、カテーテルバルブを載置するために構成されている底壁部と、底壁部に向き合って配設された上壁部と、底壁部と上壁部を接続する少なくとも1つの側壁部と有する。更にカテーテルバルブは、バルブハウジング構造体の長手延在方向にカテーテルバルブ内部空間を通って延在し且つ媒体を導くためのライン要素と、ライン要素を通る媒体の通流を遮断ないし解放するための閉鎖装置と、バルブハウジング構造体に対して相対的に可動に支承されており且つ閉鎖装置を遮断位置と解放位置の間で位置調節可能とする調節要素とを含む。調節要素は、摺動可能に上壁部に又は上壁部内に配設されている。当該発明の更なる視点は、カテーテルバルブの閉鎖装置に関する。
【0016】
この解決策は、以下の欠点を有する:
- 何度もの操作により、ばねアーム要素と、Oリングとして構成されたばね要素との起こり得る材料疲労が、カテーテルバルブの非密閉性をもたらす可能性がある。
- 開放状態を維持するために高い力供与が必要である。
- 構造上の構成形式に起因し、バルブホースの不完全な開放体積が、少ない流量をもたらし、それにより長い排泄時間をもたらす。
- 複雑な操作性、バルブの継続位置/開放が、スライダの面倒な操作により作動されなくてはならない。
- 尿バッグを取り外すときに、バルブにおける継続位置の作動解除が忘れられる危険性があり、それにより意図しない尿流出の可能性がある。
- 長いばねアーム要素に起因した大きな構造体積が、患者に対する携帯快適性を損なわせる。
- 多くの個別構成部材から構成されている。
- バルブの出口部に対する操作要素の短い間隔が、尿が患者の手や指に流れてしまう危険性を高めている(衛生状態)。
- カテーテルの意図しない分離又は外れが起こり得る。
【0017】
更に、下記特許文献10(DE 29 41 278 A1)から、ホース部材と可動の押圧体とを有する、カニューレ装置又はカテーテル装置が公知であり、この際、流路を取り囲む壁部の外面部に備えられたスライダが、流路の長手方向で前後に摺動可能であり、また加圧体の方を向いた傾斜面を有し、この傾斜面は、スライダの摺動時に加圧体を両方の支承部の間で切り替える。
【0018】
この解決策は、以下の欠点を有する:
- スライダがバルブを閉じるために操作されなくてはならないので、自閉式の機能は設けられていない。
- バルブを開放するためには、容易に曲がるホースが押圧体を互いに離すように押圧しなくてはならない。このことは、ホース材料が所定の剛性をもたなくてはならないことを意味する。またこのことは、長期の使用において材料疲労をもたらし、それにより機能不良のリスクを高めることになる。それに加え、より硬い材料は、密閉性の負荷をもたらすことになる。
- カニューレの周りで半径方向に密閉が成され、可撓性のホースが完全に押しつぶされることはない。押圧体は、球状に構成されており、それによりカニューレを伴わない圧しつぶしの際には、ホースにおける確実な密閉性は達成されないであろう。
【0019】
下記特許文献11(DE 10 2013 012 158 A1)は、押付バルブを記載し、この押付バルブは、ホース形状のバルブ要素を有し、バルブ要素は、リング形状の操作要素により取り囲まれ、また押付要素の対向側の側面に位置している。押付要素は、操作要素の操作運動によりバルブ要素に対して相対的に可動であり、選択的にバルブ要素のバルブ流路を開放又は遮断する。
【0020】
この解決策の欠点は、以下のとおりである:
- 押付要素は、軸方向の長手方向において所定の角度で可撓性のホースに向かって運動する。このことは、バルブを頻繁に使用することでホースに材料摩耗をもたらし、確実な密閉性を危うくすることになる。
- 追加的に、長手方向に向けられた軸方向の力が、ルーズに位置するホースに作用し、このことは、ホースの位置の移動をもたらしてしまう。それによりバルブの機能障害又は非密閉性が起こることになる。
- 位置の開放と保持のために、ばね力に対して押し込みが成されなくてはならず、つまり利用者は、排尿時に比較的大きな力を使わなくてはならない。
- ばねは、他の構成部材であり、多くの材料コストと組立コストをもたらす。
【0021】
最後に、下記特許文献12(DE 10 2007 002 765 B3)から、他の押付バルブが公知であり、この押付バルブは、その実施形態において、下記特許文献10と下記特許文献11を組み合わせたものとして公知である。この解決策の欠点は、上述した欠点と実質的に同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第3503400号明細書
【特許文献2】米国特許第3939821号明細書
【特許文献3】米国特許第4024855号明細書
【特許文献4】米国特許第3731670号明細書
【特許文献5】国際公開第93/24173号
【特許文献6】欧州特許出願公開第0088871号明細書
【特許文献7】米国特許第2197995号明細書
【特許文献8】欧州特許第3247450号明細書
【特許文献9】独国特許第102019100509号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第2941278号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第102013012158号明細書
【特許文献12】独国特許第102007002765号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の基礎を成す課題は、以下のカテーテルバルブを開発することであり、即ち当該カテーテルバルブは、
1.人間工学的に良好に形成されており、それにより患者が長期に寝たきりであってもカテーテルバルブに慣れることができ、
2.長期患者にとって看護コストは特に重要であるので、カテーテルバルブは極めて安価である必要があり、
3.老人病の患者は、彼らの運動能力が多くの場合は低下しているので、このことに起因し、カテーテルバルブは、極めて簡単に且つ片手で操作される必要があり、
4.多くの場合は長期使用が行われるので、バルブ全体が困難な分解を伴わずに洗浄可能で且つ殺菌され得ることが前提とされ、
5.カテーテルバルブからカテーテルの意図しない外れが防止される必要があり、それにより感染の危険性が回避される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記課題は、請求項1の特徴を有するカテーテルバルブにより及び請求項2の特徴を有するカテーテルバルブにより解決される。有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0025】
前記課題の解決策は、本発明により、互いに逆方向の2つの走行傾斜部を有する基体(1)が、垂直方向に可動の2つの磁石(10;11)の操作及び案内のために、互いに逆方向の2つの斜めの室(12a;13a)を有し、磁石(10;11)は、バルブホース(6)の互いに反対側の2つの側面部に配設されており、バルブホース(6)の通流を選択的に閉鎖又は開放し、この際、カテーテルバルブの出口部(3)には、アダプタ(17)が挿入可能且つ固定可能であり、アダプタ(17)は、長手方向に可動のスライダ(7)と並んで、カテーテルバルブの開いた継続位置をもたらす。アダプタ(17)の押し込みは、スライダ(7)の開位置に向かうスライダ(7)の長手方向の摺動をもたらす。
【0026】
本発明により解決策の更なる一実施形態において、カテーテルバルブは、側方で互いに反対側にある垂直方向の2つの室(12b;13b)を有する基体(1)の内部で、垂直方向に可動の1つの磁石(10)の操作及び案内のために、長手方向に可動のスライダ(7)に1つの走行傾斜部(8)と、1つの斜めの室(12a)とを有し、磁石(10)は、バルブホース(6)の一方の側面部に配設されており、バルブホース(6)の通流を選択的に閉鎖又は開放し、この際、カテーテルバルブの出口部には、アダプタ(17)が挿入可能且つ固定可能であり、アダプタ(17)は、長手方向に可動のスライダ(7)と並んで、カテーテルバルブの開いた継続位置をもたらす。ここでもアダプタ(17)の押し込みは、スライダ(7)の開位置に向かうスライダ(7)の長手方向の摺動をもたらす。
【0027】
カテーテルバルブの入口部の段形状の外れ止め部には、組み込み式の又は両側で差し込み可能な固定器が配設されている。
【0028】
固定器は、U字形状に形成された両側クランプ(ダブルサイドクランプ)として構成されている。
【0029】
アダプタは、好ましくは、リテーナリング(保持環)を有し、該リテーナリングは、カテーテルバルブの出口部の外れ止め部に対し、覆うように係合するか又は入り込むように係合し、或いは該リテーナリングがカテーテルバルブの出口部上にフレキシブルに且つ固定的にかぶせられて取り付けられるように構成されている。
【0030】
カテーテルバルブは、本発明により、長手方向に可動のスライダに代わり、両方の磁石を操作するための、片側又は両側に配設された押圧ボタンが取り付けられているように構成されていることも可能である。
【0031】
カテーテルバルブの受け部からのアダプタの取り外しは、磁石の自動的な閉鎖、従ってチューブの自動的な閉鎖をもたらす。好ましくは、この閉鎖は、復元力を提供する磁力だけによりもたらされる。オプションとして、しかし好ましさは少なくなるが、この閉鎖は、追加的なばね力により支援されることが可能であろう。
【0032】
カテーテルバルブは、患者に位置するカテーテル又はカテーテル漏斗と、尿バッグとの間のインタフェースとして用いられる。尿の流れを確立するために、カテーテルバルブを手動で排尿のために開くことができる。連続的な尿の流れのために、カテーテルバルブを夜間は継続位置にセットすることができる。カテーテルバルブは、長期使用(30日よりも長い)並びに膀胱トレーニングの実行に適している。
【0033】
本発明の特別な利点:
- アダプタの挿入により、通流が自動的に開放し、継続位置となる。
- アダプタの取り外しによりバルブが自動的に閉鎖し、それにより追加的な操作が不必要である。
- 人間工学的に有利な形状であり、従って寝たきりの患者によっても極めて簡単に操作が可能である。
- 少数の個別部品と、簡単な組み立てにより、安価に製造できる。
- 簡単な洗浄と殺菌が可能である。
- 開位置でスライダを保持するための力供与が僅かである。
- 迅速な排尿のために完全な開放体積が得られる。
- より良い携帯快適性のために構成サイズが小さい。
- カテーテルとカテーテルバルブの意図しない分離に対する安全両側クランプが設けられている。
- 簡単な操作性のためにスライダの開放経路が短い。
【0034】
1つの特殊性は、本発明により、両方の走行傾斜部が組み込まれており且つ両方の斜めの室が組み込まれている極めて革新的に構成された長手方向に可動のスライダと、バルブホースを閉鎖又は開放する両方の磁石の垂直方向の運動のための基体の両方の垂直方向の室との協働に基づく、カテーテルの特殊な構造である。
【0035】
既述したように、本発明による一実施形態は、1つの磁石を用いても可能である。この場合、基体は、その底部において、磁石の高さで、対向部材として、磁気的な特性を有する金属性のプレートを有する。
【0036】
また、両方の垂直方向の室は、両方の磁石又は一方の磁石が可動に案内されている垂直方向のガイドを境界付ける。スライダの長手方向の摺動は、1つの磁石又は両方の磁石が、垂直方向のガイド内で案内されている間、走行傾斜部に沿って案内され、互いに離れるように動かされることをもたらす。アダプタの取り外し時には、磁気的な引き付け力が、カテーテルバルブが出発状態に戻ろうとすることをもたらす。この磁力が十分に大きいと、アダプタ(17)が再び引き抜かれると直ちに、カテーテルバルブは、自動的に再び閉鎖された状態に移行する。
【0037】
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】閉じた状態の磁石と、両側クランプとを有するカテーテルバルブを等角図として示す図である。
図2】磁石が閉じた状態でカテーテルバルブを等角図として且つ基体を断面図として示す図である。
図3】磁石が閉じた状態でカテーテルバルブを横断面図として示す図である。
図4】磁石が開いた状態でカテーテルバルブを等角図として示す図である。
図5】磁石が開いた状態でカテーテルバルブを横断面図として示す図である。
図6】スライダと、両側クランプと、バルブホースとが取り外された状態でカテーテルバルブを等角図として示す図である。
図7】閉じた状態でカテーテルバルブを示す図である。
図8】開いた状態でカテーテルバルブを示す図である。
図9】磁石が閉じた状態を示す図である。
図10】磁石が開いた状態を示す図である。
図11】両側クランプと、アダプタと、カテーテルとを有するカテーテルバルブを側面図として示す図である。
図12】両側クランプと、アダプタと、カテーテルとを有するカテーテルバルブを断面で側面図として示す図である。
図13】カテーテルと、差し込まれた状態のアダプタとを有するカテーテルバルブを側面図として示す図である。
図14】カテーテルと、差し込まれた状態のアダプタとを有するカテーテルバルブを示す図であり、アダプタは、断面図として示されている。
図15】両側クランプを等角図として示す図である。
図16】尖端形状部を有する両側クランプを正面図として示す図である。
図17】両側クランプを側面図として示す図である。
図18】差し込み可能なカテーテル固定器を有するカテーテルバルブを示す図である。
図19】組み込み式のカテーテル固定器を有するカテーテルバルブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
カテーテルバルブは、入口部2と出口部3を備えた基体(ベースボディ)1を有する(図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)。入口部2には、患者からカテーテル5を受け入れるための段形状の外れ止め部4が設けられている。基体1を通ってバルブホース(バルブチューブ)6が案内されている。基体1上には、長手方向に可動のスライダ7が配設されており、スライダ7には、基体1の内部で、互いに逆方向に配設された2つの走行傾斜部8;9がある。スライダ7の長手方向の運動により両方の磁石10;11は、走行傾斜部8;9を介して垂直方向に上方に又は下方に動かされ、それによりバルブホース6の横断面を閉じる又は開く。この際、両方の磁石10;11は、垂直方向に延在する2つの室12b;13bに対し、斜めに配設された2つの室12a;13a内で、上方に又は下方に運動する。
【0040】
段形状の外れ止め部4には、基体1に向って溝部14が配設されており、溝部14には、両側クランプ(ダブルサイドクランプ)15の一方の側が係合する(図7)。両側クランプ15の他方の側は、段形状の外れ止め部4と、段形状の外れ止め部4上に押し込まれるカテーテル5とに係合する。
【0041】
この際、両側クランプ15は、カテーテル5の方に向けられた側に、好ましくは3つの尖端部を有する特殊な尖端形状部16を有し、それにより3つの尖端部が引張負荷でカテーテル5のシリコーン材料に食い込み、このようにして意図しない分離を防止することが達成される(図11、12、15、16、17、18)。
【0042】
図19は、両側クランプ15が基体1と共に1つの構成部材から成る、一体型の一実施形態を示している。
【0043】
基体1の出口部3には、アダプタ17が固定され、アダプタ17には、尿バッグ接続部が接続される(図13、14)。アダプタ17の差し込みにより、スライダ7は、突くことで(即ち当接と押し込みにより)長手方向に動かされ、それによりスライダ7は、開位置に押し込まれる。
【0044】
アダプタ17が取り外されると、カテーテルバルブは、好ましくは自動的に閉じられるべきである。このことは、互いに向かって及ぼされる磁石10、11の磁力が、次のように十分に大きさ決定されていることにより達成され、即ち磁石10、11が、走行傾斜部8、9に沿って且つ垂直方向の室12b、13bにより構成された垂直方向ガイド内で案内され、互いに向かって運動し、この際、長手方向に可動のスライダ7をその出発位置に押し戻し、両方の磁石10、11の間に位置するバルブホース6を閉じるために押しつぶすように、十分に大きさ決定されていることにより達成される。
【符号の説明】
【0045】
1 基体
2 入口部
3 出口部
4 段形状の外れ止め部
5 カテーテル
6 バルブホース(バルブチューブ)
7 長手方向に可動のスライダ
8 傾斜部
9 傾斜部
10 磁石
11 磁石
12a 室、斜め方向
13a 室、斜め方向
12b 室、垂直方向
13b 室、垂直方向
14 溝部
15 両側クランプ
16 尖端形状部
17 アダプタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】