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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】炭素変換率を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/04 20060101AFI20240326BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240326BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
C12P1/04 Z
C12N1/20 A
A23K10/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560267
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 US2022071637
(87)【国際公開番号】W WO2022217280
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/173,247
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド,ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,シーン デニス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,マイケル エマーソン
(72)【発明者】
【氏名】ブロムリー,ジェイソン カール
(72)【発明者】
【氏名】ロジン,リチャード ラッセル
【テーマコード(参考)】
2B150
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
2B150AC01
2B150AC15
4B064AC01
4B064AC03
4B064AC04
4B064AC05
4B064AC31
4B064AD05
4B064AD06
4B064AD33
4B064AD85
4B064CA02
4B064CA31
4B064DA16
4B065AA23X
4B065AC14
4B065BC50
4B065CA54
(57)【要約】
本開示は、CO消費プロセス、例えばガス発酵プロセスとCOからCOへの変換システムとの統合を提供する。本開示は、産業プロセスによって生成されるCO含有ガス状基質を利用することができ、かつガス状基質をCOからCOへの変換システムに送る前にCO含有ガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するために一つまたは複数の除去モジュールが設けられる。本開示は、一つまたは複数の圧力モジュール、一つまたは複数のCO濃縮モジュール、一つまたは複数のO分離モジュール、および/または水電解モジュールをさらに備えることができる。CO消費プロセスで生成したCOをCOからCOへの変換プロセスに再循環させることで、炭素変換効率が向上する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素変換効率を改善するための方法であって、
a.産業プロセス、合成ガスプロセス、またはそれらの組み合わせからのCO含有ガス状基質を、CO含有ガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するための少なくとも一つの除去モジュールに、COの少なくとも一部を含む処理済みガス流を生成するために送ることと、
b.第一のCO富化流を生成するために、前記処理済みガス流を、COの少なくとも一部を変換するためのCOからCOへの変換システムに送ることであって、前記COからCOへの変換システムが、逆水性ガスシフト反応システム、熱触媒変換システム、電極触媒変換システム、部分燃焼システム、またはプラズマ変換システムから選択される、送ることと、
c.前記第一のCO富化流の少なくとも一部を、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターに送ることと、
d.一つまたは複数の発酵生成物、ならびにCOおよびHを含む発酵後のガス状基質を生成するために、前記培養物を発酵させることと、
e.処理済みガス流を生成するために、COおよびHを含む前記発酵後のガス状基質の少なくとも一部を、前記発酵後のガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するための少なくとも一つの除去モジュールに送ることと、
f.前記処理された流れの少なくとも一部を前記COからCOへの変換システムに再循環させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記COからCOへの変換システムが、逆水性ガスシフト反応システムであり、前記方法が、水電解装置を使用してHリッチ流を生成し、かつ前記Hリッチ流の少なくとも一部を前記逆水性ガスシフト反応システム、または前記逆水性ガスシフト反応システムの上流の位置へ送ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理済みガス流を生成するために、COおよびHを含む前記発酵後のガス状基質の少なくとも一部を、前記発酵後のガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するための少なくとも一つの除去モジュールに送ることと、前記処理された流れの少なくとも一部を前記COからCOへの変換システムへ再循環させることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記産業プロセスが、発酵、炭水化物発酵、糖発酵、セルロース発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプ・製紙製造、鋼材製造、石油精製、石油化学生成、コークス生産、嫌気性消化、好気性消化、天然ガス抽出、オイル抽出、地質学的貯蔵層、冶金プロセス、アルミニウム、銅およびもしくは鉄合金の生産のためのアルミニウム、銅およびもしくは鉄合金の精製、直接空気捕捉、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択される、または、
前記合成ガスプロセスが、石炭のガス化、精製残渣のガス化、石油コークスのガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース物質のガス化、廃木材のガス化、黒液のガス化、都市固形廃棄物のガス化、都市液体廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、産業液体廃棄物のガス化、廃燃料のガス化、下水のガス化、下水汚泥のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、バイオガスのガス化、埋立地ガスの改質、バイオガスの改質、メタンの改質、ナフサの改質、部分酸化、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水電解装置を使用してHリッチ流を生成すること、ならびに
a.前記バイオリアクターに送られる前に、Hリッチ流の少なくとも一部をCO富化流と混合すること、
b.Hリッチ流の少なくとも一部を前記バイオリアクターに送ること、または
c.a)およびb)の両方、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記COからCOへの変換システムからの前記CO富化流が、前記バイオリアクターに送られる前に除去モジュールに送られる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
a.前記CO富化流と、
b.前記CO含有ガス基質と、および/または
c.前記発酵後のガス状基質と、から除去される前記少なくとも一つの構成要素が、
硫黄含有化合物、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒素含有化合物、酸素、リン含有化合物、粒子状物質、固体、酸素、ハロゲン化化合物、シリコン含有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、エーテル、タール、およびナフタレンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記除去モジュールによって前記CO富化流から除去される少なくとも一つの構成要素が、酸素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
除去および/または変換される少なくとも一つの構成要素が、微生物阻害剤および/または触媒阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記除去される少なくとも一つの構成要素が、発酵工程によって生成、導入、および/または濃縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
除去される少なくとも一つの構成要素が、前記COからCOへの変換システムによって生成、導入、および/または濃縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記C1固定微生物が、カルボキシド栄養性細菌である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記カルボキシド栄養性細菌は、Moorella、Clostridium、Ruminococcus、Acetobacterium、Eubacterium、Butyribacterium、Oxobacter、Methanosarcina、およびDesulfotomaculumを含む群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カルボキシド栄養性細菌が、Clostridium autoethanogenumである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記CO含有ガス状基質が前記一つもしくは複数の除去モジュールに送られる前の前記CO含有ガス状基質、(ii)前記処理済みガス流が前記水電解装置に送られる前の二酸化炭素の少なくとも一部を含む前記処理済みガス流、および/または(iii)前記発酵後のガス状基質が前記一つもしくは複数の除去モジュールもしくは前記バイオリアクターに送られる前の前記発酵後のガス状基質、に含有される二酸化炭素のレベルを高めるために、前記CO含有ガス状基質が二酸化炭素濃縮モジュールに送られる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記産業プロセス、前記合成ガスプロセス、またはそれらの組み合わせからの前記CO含有ガス状基質を圧力モジュールに送って加圧CO含有ガス流を生成し、その後、前記加圧CO含有ガス流を前記第一の除去モジュールに送ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記CO富化流を圧力モジュールに送って、加圧CO流を生成すること、および前記加圧CO流を前記バイオリアクターに送ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一つの除去モジュールは、加水分解モジュール、酸性ガス除去モジュール、脱酸素化モジュール、触媒水素化モジュール、微粒子除去モジュール、塩化物除去モジュール、タール除去モジュール、またはシアン化水素研磨モジュールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの発酵生成物は、エタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオネート、テルペン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、または1-プロパノールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記発酵生成物のうちの少なくとも一つが、ディーゼル、ジェット燃料、および/またはガソリンのうちの少なくとも一つの構成要素にさらに変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記発酵生成物のうちの少なくとも一つが、微生物バイオマスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記微生物バイオマスの少なくとも一部が処理されて、動物用飼料の少なくとも一部が生成される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記CO富化流が、酸素の少なくとも一部を含み、前記CO富化流の少なくとも一部が、酸素分離モジュールに送られて、前記一酸化炭素富化流から酸素の少なくとも一部を分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
統合産業用発酵システムのプロセス経済性を改善するための方法であって、前記方法は、
a.水を含む供給原料を水電解装置に送ることであって、前記水の少なくとも一部がHおよびOに変換される、送ることと、
b.CO富化流を生成するために、CO含有ガス状基質を逆水性ガスシフトプロセスに送ることと、
c.前記CO富化流の少なくとも一部を、前記逆水性ガスシフトプロセスから少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターに送ることと、
d.前記Hの少なくとも一部を、前記逆水性ガスシフトプロセス、前記バイオリアクター、または前記逆水性ガスシフトプロセスおよび前記バイオリアクターの両方へ送ることと、
e.一つまたは複数の発酵生成物、ならびにCOおよびHを含む発酵後のガス状基質を生成するために、前記培養物を発酵させることと、
f.前記発酵後のガス状基質の少なくとも一部を前記逆水性ガスシフトプロセスに戻すことと、を含む、方法。
【請求項25】
前記バイオリアクターから出る発酵後のガス状基質中のCOの量は、前記バイオリアクターに導入される未変換のCOの量よりも多い、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記発酵プロセスが、CO濃縮モジュールの機能を実行する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/173,247号の利益を主張し、この全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、炭素変換効率を改善するためのプロセスおよび方法に関する。特に、本開示は、一酸化炭素消費プロセスと、産業プロセスまたは合成ガスとの組み合わせに関し、ここで、産業プロセスまたは合成ガスからのガスは処理および変換を受け、一酸化炭素消費プロセスによって生成された二酸化炭素は、再循環されて生成物の収率を向上させる。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素(CO)は人間の活動による世界の温室効果ガス排出の約76%を占め、メタン(16%)、亜酸化窒素(6%)、及びフッ素化ガス(2%)が残りを占めている(United States Environmental Protection Agency)。温室効果ガス排出、特にCOの削減は、地球温暖化の進行並びにそれに伴う気候及び天候の変化を止めるのに重要である。
【0004】
フィッシャー-トロプシュ法などの触媒プロセスを使用して、CO、一酸化炭素(CO)、および/または水素(H)を含有するガスを、様々な燃料および化学物質に変換することができることが長い間認識されている。しかしながら、最近、ガス発酵がそのようなガスの生物学的固定のための代替プラットフォームとして浮上している。特に、C1固定微生物は、CO、CO、CH、および/またはHを含有するガスを、エタノールおよび2,3-ブタンジオールなどの生成物に変換することが示されている。
【0005】
そのようなガスは、例えば、炭水化物発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプおよび製紙製造、鋼材製造、石油精製および関連付けられたプロセス、石油化学生成、コークス生産、嫌気性または好気性消化、ガス化、天然ガス抽出、オイル抽出、冶金プロセス、アルミニウム、銅および/または鉄合金の生産および/または精製、地質学的貯蔵層、フィッシャートロプシュ法、メタノール生産、熱分解、水蒸気メタン改質、乾燥メタン改質、バイオガスまたは天然ガスの部分酸化、ならびにバイオガスまたは天然ガスの自己熱改質からのガス放出を含む、産業プロセスから得られる場合がある。
【0006】
C1固定発酵プロセスなどのCO消費プロセスでこれらのガスの使用を最適化するために、産業用ガスでは、処理と変換の組み合わせが必要になる場合がある。したがって、産業用ガスの処理および変換のためのプロセスを含むCO消費プロセスと産業プロセスの改善された統合の必要性が残っており、それによって炭素変換効率が最適化される。
【発明の概要】
【0007】
炭素変換効率を改善するためのプロセスが開示される。方法は、a)産業プロセス、合成ガスプロセス、またはそれらの組み合わせからのCO含有ガス状基質を、CO含有ガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するための少なくとも一つの除去モジュールに、COの少なくとも一部を含む処理済みガス流を生成するために送ることと、b)第一のCO富化流を生成するために、処理済みガス流を、COの少なくとも一部を変換するためのCOからCOへの変換システムに送ることであって、COからCOへの変換システムが、逆水性ガス反応システム、熱触媒変換システム、電極触媒変換システム、部分燃焼システム、またはプラズマ変換システムから選択される、送ることと、c)第一のCO富化流の少なくとも一部を、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターに送ることと、d)一つまたは複数の発酵生成物、ならびにCOおよびHを含む発酵後のガス状基質を生成するために培養物を発酵させることと、e)処理済みガス流を生成するために、COおよびHを含む発酵後のガス状基質の少なくとも一部を、発酵後のガス状基質から少なくとも一つの構成要素を除去するための少なくとも一つの除去モジュールに送ることと、f)処理された流れの少なくとも一部を前記COからCOへの変換システムに再循環させることと、を含む。
【0008】
産業プロセスは、発酵、炭水化物発酵、糖発酵、セルロース発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプ・製紙製造、鋼材製造、石油精製、石油化学生成、コークス生産、嫌気性消化、好気性消化、天然ガス抽出、オイル抽出、地質学的貯蔵層、冶金プロセス、アルミニウム、銅およびもしくは鉄合金の生産のためのアルミニウム、銅およびもしくは鉄合金の精製、直接空気捕捉、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択され、または、合成ガスプロセスは、石炭のガス化、精製残渣のガス化、石油コークスのガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース物質のガス化、廃木材のガス化、黒液のガス化、都市固形廃棄物のガス化、都市液体廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、産業液体廃棄物のガス化、廃燃料のガス化、下水のガス化、下水汚泥のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、バイオガスのガス化、埋立地ガスの改質、バイオガスの改質、メタンの改質、ナフサの改質、部分酸化、もしくはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0009】
リッチ流は、水電解装置を使用して生成されてもよく、Hリッチ流の少なくとも一部はバイオリアクター送られる前にCO富化流と混合されてもよく、もしくはHリッチ流の少なくとも一部がバイオリアクターに送られてもよく、またはHリッチ流の少なくとも一部はバイオリアクター送られる前にCO富化流と混合されてもよく、かつHリッチ流の少なくとも一部がバイオリアクター送られてもよい。
【0010】
COからCOへの変換システムからのCO富化流のプロセスは、バイオリアクターに送られる前に除去モジュールに送られてもよい。少なくとも一つの構成要素は、a)CO富化流 b)CO含有ガス基質、およびまたはc)発酵後のガス状基質から除去されることができ、ならびに、硫黄含有化合物、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒素含有化合物、酸素、リン含有化合物、粒子状物質、固体、酸素、ハロゲン化化合物、シリコン含有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、エーテル、タール、およびナフタレンから選択されることができる。除去モジュールによってCO富化流から除去される少なくとも一つの構成要素は、酸素を含んでもよい。除去および/または変換される少なくとも一つの構成要素は、微生物阻害剤および/または触媒阻害剤であってもよい。除去される少なくとも一つの構成要素は、発酵工程によって生成、導入、および/または濃縮されてもよい。除去される少なくとも一つの構成要素は、COからCOへの変換システムによって生成、導入、および/または濃縮されてもよい。
【0011】
C1固定微生物は、カルボキシド栄養性細菌であってもよい。カルボキシド栄養性細菌は、Moorella、Clostridium、Ruminococcus、Acetobacterium、Eubacterium、Butyribacterium、Oxobacter、Methanosarcina、およびDesulfotomaculumを含む群から選択されることができる。カルボキシド栄養性細菌は、Clostridium autoethanogenumであってもよい。
【0012】
CO含有ガス状基質は、(i)CO含有ガス状基質が一つもしくは複数の除去モジュールに送られる前のCO含有ガス状基質、(ii)処理済みガス流が水電解装置に送られる前の二酸化炭素の少なくとも一部を含む処理済みガス流、および/または(iii)発酵後のガス状基質が一つもしくは複数の除去モジュールもしくはバイオリアクターに送られる前の発酵後のガス状基質、に含有される二酸化炭素のレベルを高めるために、二酸化炭素濃縮モジュールに送られてもよい。産業プロセス、合成ガスプロセス、またはそれらの組み合わせからのCO含有ガス状基質を圧力モジュールに送って加圧CO含有ガス流を生成し、その後、加圧CO含有ガス流を第一の除去モジュールに送ってもよい。CO富化流は、圧力モジュールに送られて加圧CO流を生成してもよく、加圧CO流はバイオリアクターに送られてもよい。
【0013】
少なくとも一つの除去モジュールは、加水分解モジュール、酸性ガス除去モジュール、脱酸素化モジュール、触媒水素化モジュール、微粒子除去モジュール、塩化物除去モジュール、タール除去モジュール、またはシアン化水素研磨モジュールから選択されることができる。
【0014】
少なくとも一つの発酵生成物は、エタノール、酪酸塩、2,3-ブタンジオール、乳酸塩、ブテン、ブタジエン、メチルエチルケトン、エチレン、アセトン、イソプロパノール、脂質、3-ヒドロキシプロピオネート、テルペン、脂肪酸、2-ブタノール、1,2-プロパンジオール、または1-プロパノールから選択されることができる。発酵生成物のうちの少なくとも一つは、ディーゼル、ジェット燃料、および/またはガソリンのうちの少なくとも一つの成分にさらに変換されることができる。少なくとも一つの発酵生成物は、微生物バイオマスを含んでもよい。微生物バイオマスの少なくとも一部が処理されて、動物用飼料の少なくとも一部を生成してもよい。
【0015】
CO富化流が、酸素の少なくとも一部を含み、CO富化流の少なくとも一部が酸素分離モジュールに送られて、一酸化炭素富化流から酸素の少なくとも一部を分離してもよい。
【0016】
統合産業用発酵システムのプロセス経済性を改善するための方法も開示されている。プロセスは、a)水を含む供給原料を水電解装置に送ることであって、水の少なくとも一部がHおよびOに変換される、送ることと、b)CO含有ガス状基質を逆水性ガスシフトプロセスに送り、CO富化流を生成することと、c)逆水性ガスシフトプロセスからのHの少なくとも一部およびCO富化流の少なくとも一部を、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含有するバイオリアクターに送ることと、d)培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物ならびにCOおよびHを含む発酵後のガス状基質を生成することと、e)発酵後のガス状基質の少なくとも一部を逆水性ガスシフトプロセスに戻すことと、を含む。バイオリアクターから出る発酵後のガス状基質中のCOの量は、バイオリアクターに導入される未変換のCOの量よりも多くてもよい。発酵プロセスは、CO濃縮モジュールの機能を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、除去モジュール、COからCOへの変換システム、および任意の水電解モジュールと、CO消費プロセスとの統合を示すプロセス統合概略図を示す。
図1B図1Bは、除去モジュールの前の圧力モジュールをさらに示す。
図1C図1Cは、CO消費プロセスの前の圧力モジュールをさらに示す。
【0018】
図2図2は、除去モジュール、COからCOへの変換システム、任意のO分離モジュール、および任意の水電解モジュールと、CO消費プロセスとの統合を示すプロセス統合概略図を示す。
【0019】
図3図3は、除去モジュール前の任意のCO濃縮モジュール、COからCOへの変換システム、任意の水電解モジュール、および任意のO分離モジュールと、CO消費プロセスとの統合を示すプロセス統合概略図を示す。
【0020】
図4図4は、除去モジュールに続く任意のCO濃縮モジュール、COからCOへの変換システム、任意の水電解モジュール、および任意のO分離モジュールと、CO消費プロセスとの統合を示すプロセス統合概略図を示す。
【0021】
図5図5は、任意の圧力モジュールに続く水電解モジュールの統合を示すプロセス統合概略図を示し、水電解モジュールからのガスの一部は、CO消費プロセスに渡される前に、COからCOへの変換システムからのガスと混合される。
【0022】
図6図6は、COからCOへの変換システムに続く、別の除去モジュールの統合を示すプロセス統合概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、CO生成産業プロセスとCO消費プロセスとの統合、ならびにCOからCOへの変換プロセス前の除去プロセスが、CO生成産業プロセス、およびC1固定発酵プロセスであることができるCO消費プロセスに実質的な利益を提供することができることを特定した。
【0024】
「産業プロセス」という用語は、化学的、物理的、電気的、及び/又は機械的ステップを含む物質を生成、変換、精製、改質、抽出、又は酸化するプロセスを指す。例示的な産業プロセスには、炭水化物発酵、ガス発酵、セメント製造、パルプ及び製紙製造、鋼材製造、石油精製及び関連付けられたプロセス、石油化学生成、コークス生産、嫌気性または好気性消化、ガス化(例えば、バイオマス、液体廃棄物の流れ、液体廃棄物の流れ、固体廃棄物の流れ、都市の流れ、天然ガス、石炭および石油を含む化石資源)、天然ガス抽出、オイル抽出、冶金プロセス、アルミニウム、銅および/または鉄合金の生成および/または精製、地質学的貯蔵層、フィッシャー・トロプシュプロセス、メタノール生成、熱分解、水蒸気メタン改質、乾燥メタン改質、バイオガスまたは天然ガスの部分酸化、直接空気捕捉、並びにバイオガスまたは天然ガスの自己熱改質が含まれるが、これらに限定されない。これらの実施形態では、基質及び/又はC1炭素源は、任意の簡便な方法を使用して、それが大気中に放出される前に産業プロセスから捕捉されてもよい。
【0025】
「産業プロセスからのガス」、「産業プロセスからのガス源」、及び「産業プロセスからのガス状基質」という用語は、産業プロセスからのオフガス、産業プロセスの副生成物、産業プロセスの共生成物、産業プロセス内でリサイクルされるガス、及び/又はエネルギー回収のために産業施設内で使用されるガスを指すために互換的に使用され得る。いくつかの実施形態では、産業プロセスからのガスは、圧力スイング吸着(PSA)テールガスである。いくつかの実施形態では、産業プロセスからのガスは、アミンスクラビング又は炭酸脱水酵素溶液の使用を伴う可能性がある、CO抽出プロセスを通して得られるガスである。
【0026】
「C1」は、1炭素分子、例えば、CO、CO、メタン(CH)、又はメタノール(CHOH)を指す。「C1酸素化物」は、少なくとも一つの酸素原子も含む1炭素分子、例えば、CO、CO、又はCHOHを指す。「C1炭素源」とは、本開示の微生物のための部分的又は唯一の炭素源として機能する一つの炭素分子を指す。例えば、C1炭素源は、CO、CO、CH、CHOH、又はギ酸(CH)のうちの一つ以上を含み得る。好ましくは、C1炭素源は、CO及びCOのうちの一つ又は両方を含む。「C1固定微生物」は、C1炭素源から一つ以上の生成物を生成する能力を有する微生物である。典型的には、本開示の微生物は、C1固定細菌である。
【0027】
「基質」は、炭素及び/又はエネルギー源を指す。一般に、基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO、CO、及び/又はCHを含む。好ましくは、基質は、CO又はCO及びCOのC1炭素源を含む。基質は、H、N、又は電子などの他の非炭素成分をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「基質」は、本開示の微生物の炭素及び/又はエネルギー源を指し得る。
【0028】
「共基質」という用語は、必ずしも生成物合成のための一次エネルギー及び材料源ではないが、主要な基質などの別の基質と組み合わされた場合に生成物合成に利用することができる物質を指す。
【0029】
「CO含有ガス状基質」、「CO含有ガス」、又は「CO含有ガス源」は、COを含む任意のガスを含み得る。ガス状基質は、典型的には、かなりの割合のCO、好ましくは少なくとも約5体積%~約100体積%のCOを含有する。加えて、ガス状基質は、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、及び/又はCHのうちの一つ以上を含んでもよい。本明細書で使用される場合、CO、H、及びCHは、「エネルギーリッチガス」と称され得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「炭素捕獲」という用語は、CO及び/又はCOを含む流れからのCO及び/又はCOを含む炭素化合物の隔離、並びにa)CO及び/若しくはCOを生成物に変換すること、b)CO及び/若しくはCOを長期貯蔵に適した基質に変換すること、c)CO及び/若しくはCOを長期貯蔵に適した基質にトラップすること、又はd)これらのプロセスの組み合わせのいずれかを指す。
【0031】
用語「効率を高める」、「高められた効率」などは、COおよび/またはCOを、生成物および/または生成物濃度の増加に変換する速度の増加などの、反応の速度および/または出力の増加を指す。「効率を高める」という用語は、発酵プロセスに関して使用される場合、発酵を触媒する微生物の増殖速度、高生成物濃縮における増殖および/または生成物生成速度、消費される基質の1体積当たりに生成される所望の生成物の体積、所望の生成物の生成速度又は生成レベル、ならびに発酵の他の副生成物と比較して生成される所望の生成物の相対的割合のうちの一つまたは複数を増加させることを含むが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「反応物」は、化学反応に存在し、反応中に消費されて生成物を生成する物質を指す。反応物は、化学反応中に変化する出発材料である。特定の実施形態では、反応物には、CO及び/又はHが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、反応物は、COである。
【0033】
「CO消費プロセス」とは、COが反応物であるプロセスを指し、ここでCOは生成物を生成するために消費される。CO消費プロセスの非限定的な実施例は、C1固定ガス発酵プロセスである。CO消費プロセスには、CO生成反応が含まれる場合がある。例えば、CO消費プロセスでは、発酵生成物などの少なくとも一つの生成物並びにCOの生成がもたらされ得る。別の実施例では、酢酸の生成は、CO消費プロセスであり、COは、加圧下でメタノールと反応する。
【0034】
「ガス流」は、例えば、あるモジュールから別のモジュールに、あるモジュールからCO消費プロセスに、及び/又はあるモジュールから炭素捕捉手段に渡されることが可能である基質の任意の流れを指す。
【0035】
ガス流は通常、純粋なCO流ではなく、少なくとも一つの他の成分の割合を含む。例えば、各供給源は、CO、CO、H、及び様々な構成物の比率が異なる場合がある。割合が異なるため、CO消費プロセスに導入する前に、ガス流を処理する必要がある。ガス流の処理には、微生物阻害剤及び/又は触媒阻害剤であり得る様々な構成物の除去及び/又は変換が含まれる。好ましくは、触媒阻害剤は、COからCOへの変換プロセスに送られる前に除去および/または変換され、微生物阻害剤は、CO消費プロセスに送られる前に除去および/または変換される。加えて、ガス流は、CO及び/又はCOの濃度が増加する一つ以上の濃縮ステップを受ける必要がある場合がある。好ましくは、ガス流は、COからCOへの変換プロセスに送られる前に、COの濃度を増加させる濃縮ステップを受ける。COからCOへの変換プロセスに送り込まれるCOの濃度が高くなると、COからCOへの変換プロセスから出てくるCOの濃度が高くなることが分かった。
【0036】
「除去モジュール」、「汚染物質除去モジュール」、「クリーンアップモジュール」、「処理モジュール」などには、ガス流から少なくとも一つの構成要素を変換すること、および/または除去することのいずれかを行うことができる技術が含まれる。除去モジュールの非限定的な実施例には、加水分解モジュール、酸性ガス除去モジュール、脱酸素化モジュール、触媒水素化モジュール、微粒子除去モジュール、塩化物除去モジュール、タール除去モジュール、およびシアン化水素研磨モジュールが含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「構成要素」、「汚染物質」等は、ガス流に存在する場合がある微生物阻害剤および/または触媒阻害剤を指す。特定の実施形態では、構成要素は、硫黄含有化合物、芳香族化合物、アルキン、アルケン、アルカン、オレフィン、窒素含有化合物、リン含有化合物、粒子状物質、固体、酸素、ハロゲン化化合物、シリコン含有化合物、カルボニル、金属、アルコール、エステル、ケトン、過酸化物、アルデヒド、エーテル、タール、およびナフタレンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、除去モジュールによって除去された構成要素は、COを含まない。
【0038】
本明細書で使用される「微生物阻害剤」は、微生物を含む特定の化学反応または他のプロセスを減速または防止する一つまたは複数の構成要素を指す。特定の実施形態では、微生物阻害剤には、酸素(O)、シアン化水素(HCN)、アセチレン(C)、およびBTEX(ンゼン、ルエン、チルベンゼン、シレン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「触媒阻害剤」、「吸着性阻害剤」などは、化学反応の速度を低下させるか、または化学反応を防止する一つまたは複数の物質を指す。特定の実施形態では、触媒阻害剤には、硫化水素(HS)および硫化カルボニル(COS)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0040】
場合によっては、除去された少なくとも一つの構成要素は、発酵ステップによって生成、導入、および/または濃縮される。これらの構成要素のうちの一つまたは複数は、発酵後のガス状基質に存在してもよい。例えば、HSの形態の硫黄は、発酵ステップにより生成、導入、および/または濃縮されることができる。特定の実施形態では、硫化水素が、発酵ステップで導入される。様々な実施形態では、発酵後のガス状基質は、硫化水素の少なくとも一部分を含む。硫化水素は、触媒阻害剤であり得る。硫化水素は、用いられる場合、特にCOからCOへの変換プロセスを阻害する場合がある。非阻害性の発酵後のガス状基質をCOからCOへの変換プロセスに送るために、硫化水素の少なくとも一部、または発酵後のガス状基質に存在する他の構成要素を、一つまたは複数の除去モジュールによって除去する必要がある場合がある。別の実施形態では、アセトンは、発酵ステップによって生成されてもよく、木炭は、除去モジュールとして使用されてもよい。
【0041】
用語「処理済みガス」および「処理済みガス流」は、少なくとも一つの除去モジュールを通過し、かつ一つまたは複数の構成要素が除去および/または変換されたガス流を指す。例えば、「CO処理済みガス流」とは、一つまたは複数の除去モジュールを通過したCO含有ガスを指す。
【0042】
「濃縮モジュール」などは、ガス流の特定の成分のレベルを上げることができる技術を指す。特定の実施形態では、濃縮モジュールは、CO濃縮モジュールであり、CO濃縮モジュールを出るガス流中のCOの割合は、CO濃縮モジュールに渡される前のガス流中のCOの割合と比較して高い。いくつかの実施形態では、CO濃縮モジュールは、脱酸素化技術を使用して、ガス流からOを除去し、したがってガス流中のCOの割合を増加させる。いくつかの実施形態では、CO濃縮モジュールは、圧力スイング吸着(PSA)技術を使用して、ガス流からHを除去し、したがってガス流中のCOの割合を増加させる。特定の実例では、発酵プロセスは、CO濃縮モジュールの機能を実行する。いくつかの実施形態では、濃縮モジュールからのガス流は、炭素捕捉及び隔離(CCS)ユニット又は強化油回収(EOR)ユニットに渡される。
【0043】
本明細書で使用する用語「COからCOへの変換システム」は、逆水性ガス反応システム、熱触媒変換システム、電極触媒変換システム、部分燃焼システムおよびプラズマ変換システムから選択される少なくとも一つのユニットを指す。以前は、収集されたCOの少なくとも一部をCOに変換するプロセスとしてCO電気分解モジュールが採用されていた。しかし、一部の用途では、電気のコストが法外に高かったり、持続可能でなかったり、信頼性がなかったり、簡単に入手できなかったりする場合がある。したがって、利用可能なCO廃ガスを利用する別の解決策が必要である。COからCOへの変換システムは、このような解決策を提供する。特定の実施形態では、COからCOへの変換システムは、逆水性ガス反応ユニットまたはシステムである。
【0044】
本明細書で使用される用語「逆水性ガス反応ユニット」/「rWGRユニット」は、二酸化炭素と水素から、副生成物として一酸化炭素と共に水を生成するために使用されるユニットまたはシステムを指す。用語「水性ガス」は、主に一酸化炭素(CO)と水素(H)を主成分とする燃料ガスとして定義される。水性ガスシフトにおける用語「シフト」は、水性ガス組成(CO:H)比を変更することを意味する。この比率は、反応器にCOを追加することによって増加させるか、蒸気を追加することによって減少させることができる。逆水性ガス反応ユニットは、単一の段階又は複数の段階を含み得る。異なる段階は、異なる温度で行われてもよく、異なる触媒を使用してもよい。
【0045】
もう一つの好適なCOからCOへの変換システムである用語「熱触媒変換」は、熱エネルギーを反応の駆動力として使用して触媒上でCOと他の反応物質の安定した原子および分子結合を破壊し、COを生成するプロセスを指す。CO分子は熱力学的にも化学的にも安定しているため、COを単一の反応物質として使用すると大量のエネルギーが必要になる。したがって、熱力学的プロセスを容易にするために、水素などの他の物質が共反応物として使用されることが多い。金属及び金属酸化物、ならびにナノサイズの触媒金属-有機フレームワークなどのプロセスに対して、多くの触媒が知られている。様々な炭素材料が、触媒の担体として用いられてきた。
【0046】
本明細書で使用される用語「部分燃焼システム」は、酸素が部分酸化に必要な酸化剤の少なくとも一部を供給し、その中に存在する反応物質である二酸化炭素および水が実質的に一酸化炭素および水素に変換されるシステムを指す。
【0047】
用語「プラズマ変換」は、プラズマ触媒と呼ばれるプラズマと触媒の組み合わせに焦点を当てた、CO変換プロセスを指す。「プラズマ」は「物質の第4の状態」とも呼ばれ、中性の基底状態の分子のほかに、電子、各種イオン、ラジカル、励起原子、分子から成るイオン化したガスである。COの変換において最も一般的な三つのプラズマの種類は、誘電体バリア放電(DBD)、マイクロ波(MW)プラズマ、およびグライディングアーク(GA)プラズマである。
【0048】
CO変換のための「プラズマ変換システム」は、(i)高いプロセス汎用性で、さまざまな種類の反応(例えば、純粋なCO分解、およびH源、例えばCH、HまたはHOの存在下でのCOの変換)の実行を可能にすること、(ii)投資コストおよび運用コストが低いこと、(iii)希土類金属の使用を必要としないこと、(iv)プラズマ反応器がプラントの出力と共にスケールアップするため、非常にモジュール化された設定で、オンデマンド生産が可能であること、および(v)(さまざまな種類の)再生可能電力と非常に簡単に組み合わせることができること、を含む。
【0049】
「電解モジュール」及び「電解槽」という用語は、非自発的反応を駆動するために電気を使用するユニットを指すために互換的に使用され得る。電解技術は、当該技術分野で知られている。例示的なプロセスには、アルカリ水電解、プロトン又は陰イオン交換膜(PEM、AEM)電解、及び固体酸化物電解(SOE)(Ursua 他、Proceedings of the IEEE 100(2):410-426,2012、Jhong 他、Current Opinion in Chemical Engineering 2:191-199,2013)が含まれる。「ファラデー効率」という用語は、電解槽を流れ、無関係のプロセスではなく削減された生成物に移動する電子の数を指す値である。SOEモジュールは、高温で動作する。電解モジュールの熱中性電圧未満では、電解反応は吸熱性である。電解モジュールの熱中性電圧超では、電解反応は発熱性である。いくつかの実施形態では、電解モジュールは、圧力を加えることなく動作する。いくつかの実施形態では、電解モジュールは、5~10バールの圧力で動作する。
【0050】
「CO電解モジュール」は、COをCO及びOに分割することができるユニットを意味し、以下の化学量論的反応:2CO+電気→2CO+Oによって定義される。CO削減に様々な触媒を使用すると、最終生成物に影響を与える。Au、Ag、Zn、Pd、およびGa触媒を含むがこれらに限定されない触媒は、COからCOを生成するのに効果的であることが示されている。いくつかの実施形態では、CO電解モジュールを出るガス流の圧力は、約5~7バールである。
【0051】
「水電解モジュール」、および「HO電解モジュール」は、HOを、蒸気の形態でHとOに分割することができるユニットを指し、以下の化学量論的反応:2HO+電気→2H+Oによって定義される。水電解モジュールは、プロトンをHに還元し、O2-をOに酸化する。追加の供給原料を供給し、基質組成物を改善するための手段として、電解によって生成されたHを、C1含有ガス状基質とブレンドすることができる。
【0052】
及びCO電解モジュールには、2つのガス出口がある。電解モジュールの一方の側であるアノードは、H又はCO(及び未反応の水蒸気又は未反応のCOなどの他のガス)を含む。もう一方の側であるカソードは、O(及び潜在的に他のガス)を含む。電解プロセスに渡される供給原料の組成物は、CO流内の様々な成分の存在を決定し得る。例えば、供給原料中のCH及び/又はNなどの不活性成分の存在は、CO富化流中にそれらの成分の一つ以上が存在することになる可能性がある。加えて、一部の電解槽では、カソードで生成されたOがアノード側にクロスオーバーし、ここで、COが生成され、かつ/又はCOがアノード側にクロスオーバーし、所望のガス生成物のクロスコンタミネーションにつながる。
【0053】
「分離モジュール」という用語は、物質を二つ以上の成分に分割することができる技術を指すために使用される。例えば、「O分離モジュール」を使用して、O含有ガス状基質を、主にOを含む流れ(「O富化流」又は「Oリッチガス」とも称される)、及び主にOを含まないか、Oを含まないか、又は微量のOのみを含む流れ(「Oリーン流」又は「O枯渇流」とも称される)に分離することができる。
【0054】
用語「富化流」、「リッチガス」、「高純度ガス」等は、モジュール、例えばrWGSユニットを通過した後の特定の成分の割合が、モジュールへの投入流における成分の割合と比較して大きいガス流を指す。例えば、「CO富化流」は、CO含有ガス状基質がCOからCOへの変換システム、例えばrWGSユニットを通過する際に生成されることができる。「H富化流」は、水電解モジュールを水性ガス状基質が通過する際に生成されることができる。「O富化流」は、COまたは水電解モジュールのアノードから自動的に出現し、「O富化流」はまた、O含有ガス状基質がO分離モジュールを通過する際に生成されてもよい。「CO富化流」は、CO含有ガス状基質がCO濃縮モジュールを通過する際に生成され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「リーン流」、「枯渇ガス」などの用語は、濃縮モジュール又は分離モジュールなどのモジュールを通過した後の特定の成分の割合が、モジュールへの投入流における成分の割合と比較して少ないガス流を指す。例えば、O含有ガス状基質がO分離モジュールを通過する際に、Oリーン流が生成され得る。Oリーン流は、COからCOへの変換システムからの未反応COを含んでもよい。Oリーン流は、微量のOを含み得るか、又はOを含まなくてもよい。「COリーン流」は、CO含有ガス状基質がCO濃縮モジュールを通過する際に生成され得る。COリーン流は、CO、H、及び/又は微生物阻害剤若しくは触媒阻害剤などの構成物を含んでもよい。COリーン流は、微量のCOを含み得るか、又はCOを含まなくてもよい。
【0056】
特定の実施形態では、本開示は、ガス流の圧力を増加および/または減少させることができる統合プロセスを提供する。「圧力モジュール」という用語は、ガス流の圧力を生成(すなわち、増加)又は減少し得る技術を指す。ガスの圧力は、任意の適切な手段、例えば一つ以上のコンプレッサー及び/又はバルブを介して増加及び/又は減少され得る。特定の実例では、ガス流の圧力が最適値よりも低い場合や、又はガス流の圧力が最適値よりも高い場合があるため、圧力を下げるためにバルブを含むことができる。圧力モジュールは、本明細書に記載されているいくつかのモジュールの前又は後に配置され得る。例えば、圧力モジュールは、除去モジュールの前、濃縮モジュールの前、水電解モジュールの前、および/またはCO消費プロセスの前に利用されてもよい。
【0057】
「加圧ガス流」とは、圧力モジュールを通過したガス状基質を指す。「加圧ガス流」は、特定のモジュールの動作圧力要件を満たすガス流を指すためにも使用され得る。
【0058】
「CO消費プロセス後のガス状基質」、「CO消費プロセス後のテールガス」、「テールガス」などの用語は、CO消費プロセスを通過したガスを指すために互換的に使用され得る。CO消費プロセス後のガス状基質は、CO消費プロセスによって生成された(又は並行して取り込まれなかった)未反応CO、未反応H、及び/又はCOを含んでもよい。CO消費プロセス後のガス状基質はさらに、一つまたは複数の圧力モジュール、除去モジュール、CO濃縮モジュール、および/または水電解モジュールに送られてもよい。いくつかの実施形態では、「CO消費プロセス後のガス状基質」は、発酵後のガス状基質である。
【0059】
「所望の組成」という用語は、例えばガス流などの物質中の成分の望ましい濃度及び種類を指すために使用される。より具体的には、特定の成分(すなわち、CO、H、及び/若しくはCO)を含有する、並びに/又は特定の割合で特定の成分を含有する、並びに/又は特定の成分(すなわち、微生物に有害な汚染物質)を含まない、並びに/又は特定の割合で特定の成分を含まない場合、ガスは、「望ましい組成物」を有するものとみなされる。ガス流が望ましい組成物を有しているかどうかを決定する際に、複数の成分が考慮され得る。
【0060】
基質が任意のHを含むことは必要ではないが、Hの存在は、本開示の方法による生成物形成に有害であるべきではない。特定の実施形態では、Hの存在は、アルコール製造の全体的効率の改善をもたらす。一実施形態では、基質は、約30体積%以下のH、20体積%以下のH、約15体積%以下のH、又は約10体積%以下のHを含む。別の実施形態では、基質流は、低濃度のHを、例えば、5%未満、もしくは4%未満、もしくは3%未満、もしくは2%未満、もしくは1%未満を含むか、または実質的にHを含まない。
【0061】
基質はまた、ある程度のCO、例えば、約1体積%~約80体積%のCO、または1体積%~約30体積%のCOを含むことができる。一実施形態では、基質は、約20体積%以下のCOを含む。別の実施形態では、基質は、約15体積%以下のCO、約10体積%以下のCO、約5体積%以下のCOを含むか、または実質的にCOを含まない。
【0062】
基質組成を改善して、望ましいまたは最適なH:CO:CO比を提供することができる。所望のH:CO:CO比は、発酵プロセスの所望の発酵生成物に依存する。エタノールの場合、最適なH:CO:CO比は、
【数1】
になり、式中、x>2yであり、エタノール生産の化学量論を満たすために、以下のようになる。
【数2】
【0063】
の存在下で発酵プロセスを動作すると、発酵プロセスによって生成されるCOの量を減らすという追加の利点がある。例えば、最小限のHを含むガス状基質は、典型的には、次の化学量論:6CO+3HO→COH+4COにより、エタノールおよびCOを生成する。C1固定細菌よって利用されるHの量が増加すると、CO生成量が減少し、すなわち、2CO+4H→COH+HOである。
【0064】
COがエタノール生成の唯一の炭素及びエネルギー源である場合、次のように炭素の一部分がCOに失われる。
6CO+3HO→COH+4CO(ΔG=-224.90kJ/molエタノール)
【0065】
基質で利用可能なHの量が増加すると、生成されるCOの量は減少する。化学量論比が1:2(CO/H)の場合、COの生成は、完全に回避される。
5CO+1H+2HO→1COH+3CO(ΔG=-204.80kJ/molエタノール)
4CO+2H+1HO→1COH+2CO(ΔG=-184.70kJ/molエタノール)
3CO+3H→1COH+1CO(ΔG=-164.60kJ/molエタノール)
【0066】
基質の組成は、反応の効率及び/又は費用に著しい影響を及ぼし得る。例えば、Oの存在は、嫌気性発酵プロセスの効率を低下させる場合がある。基質の組成に応じて、基質を処理、スクラブ、又は濾過して、毒素、望ましくない成分、又はちり粒子などのいかなる望ましくない不純物も除去すること、及び/又は所望の成分の濃度を増加させることが望ましくあり得る。また、CO消費プロセスによって生成されたCOをCOからCOへの変換システムに戻して再循環させることにより、炭素捕獲を増加させることができ、それによってCO消費プロセスの歩留まりを改善することができる。CO消費プロセスにより生成されたCOは、COからCOへの変換システムを通過する前に処理されることができる。一実施形態では、COからCOへの変換システムは、単一段階または二つ以上の段階であることができるrWGSユニットである。
【0067】
いくつかの実施形態では、CO消費プロセスは、バイオリアクターで実施される。「バイオリアクター」という用語は、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサー、循環ループ反応器、中空糸膜バイオリアクター(HFM BR)などの膜反応器、または気液接触に適した他の容器もしくは他のデバイスを含む、一つもしくは複数の容器および/もしくは塔、または配管配置からなる発酵デバイスを含む。反応器は、好ましくは、CO、CO、Hまたはそれらの混合物を含むガス状基質を受容するように適合されている。反応器は、並列又は直列のいずれかで、複数の反応器(段)を備えることができる。例えば、反応器は、細菌が培養される第一の増殖反応器と、増殖反応器からの発酵ブロスが供給され、発酵生成物の大部分が生成され得る第二の発酵反応器とを備えることができる。
【0068】
上昇した圧力でバイオリアクターを操作することは、気相から液相へのガス物質移動の増加した速度を可能にする。したがって、概して、大気圧よりも高い圧力で培養/発酵を実施することが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数であり、かつ保持時間がバイオリアクターの必要な容積を示すため、加圧システムの使用は、必要なバイオリアクターの容積、及びその結果として培養/発酵装置の資本コストを大幅に削減することができる。これは、バイオリアクター中の液体体積を投入ガス流量で除算したものとして定義される保持時間が、バイオリアクターが大気圧よりも上昇した圧力に維持されるときに低減され得ることを意味する。最適反応条件は、使用される特定の微生物に部分的に依存する。しかしながら、一般的には、大気圧より高い圧力で発酵を行うことが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数であり、かつ所望の保持時間を達成することがバイオリアクターの必要な体積をさらに示すため、加圧システムの使用は、必要なバイオリアクターの体積、及びその結果として発酵装置の資本コストを大幅に低減することができる。
【0069】
文脈上別段の要求がない限り、本明細書で使用される「発酵」、「発酵プロセス」、または「発酵反応」などの句は、ガス状基質の成長段階および生成物生合成段階の両方を包含することを意図している。特定の実施形態では、発酵は、糖、デンプン、リグニン、セルロース、又はヘミセルロースなどの炭水化物基質の不在下で実施される。
【0070】
培養物は通常、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/または無機物を含有する、水性培養培地で維持される。「栄養培地」、「複数の栄養培地」、および「培養培地」は、細菌増殖培地を説明するために使用される。好ましくは、水性培養培地は、最小嫌気性微生物増殖培地などの嫌気性微生物培地である。好適な培地は、当該技術分野において既知である。「栄養素」という用語は、微生物の代謝経路において利用され得る任意の物質を含む。例示的な栄養素には、カリウム、ビタミンB、微量金属、およびアミノ酸が含まれる。
【0071】
用語「発酵ブロス」および「ブロス」は、栄養培地および培養物または一つもしくは複数の微生物を含む成分の混合物を包含することを意図している。微生物という用語と細菌という用語は、本明細書を通して互換的に使用されることに留意されたい。
【0072】
本開示の微生物は、一つまたは複数の生産物を生産するようにガス流とともに培養されることができる。例えば、本開示の微生物は、エタノール(国際公開第2007/117157号)、アセテート(国際公開第2007/117157号)、ブタノール(国際公開第2008/115080および同2012/053905号)、ブチレート(国際公開第2008/115080号)、2,3-ブタンジオール(国際公開第2009/151342および同2016/094334号)、ラクテート(国際公開第2011/112103号)、ブテン(国際公開第2012/024522号)、ブタジエン(国際公開第2012/024522号)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)(国際公開第2012/024522および同2013/185123号)、エチレン(国際公開第2012/026833号)、アセトン(国際公開第2012/115527号)、イソプロパノール(国際公開第2012/115527号)、脂質(国際公開第2013/036147号)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)(国際公開第2013/180581号)、イソプレンを含むテルペン(国際公開第2013/180584号)、脂肪酸(国際公開第2013/191567号)、2-ブタノール(国際公開第2013/185123号)、1,2-プロパンジオール(国際公開第2014/036152号)、1-プロパノール(国際公開第2014/0369152号)、コリスメート由来生成物(国際公開第2016/191625号)、3-ヒドロキシブチレート(国際公開第2017/066498号)、1,3-ブタンジオール(国際公開第2017/0066498号)、および2,3-ブタンジオール(国際公開第2016/094334号)を生成することができるか、またはそれらを生成するように操作されることができる。一つまたは複数の標的生成物に加えて、本開示の微生物はまた、エタノール、アセテート、および/または2,3-ブタンジオールを生成することができる。ある特定の実施形態では、微生物バイオマス自体が生成物とみなされ得る。これらの生成物は、さらに変換されて、ディーゼル、ジェット燃料、および/またはガソリンのうちの少なくとも一つの成分を生成することができる。加えて、微生物バイオマスはさらに処理されて、単細胞タンパク質(SCP)を生成し得る。
【0073】
「微生物」は、微細な生物、特に細菌、古細菌、ウイルス、または真菌である。本開示の微生物は、典型的には細菌である。本明細書で使用される場合、「微生物」の引用は、「細菌」を網羅するものと解釈されるべきである。
【0074】
「親微生物」は、本開示の微生物を生成するために使用される微生物である。親微生物は、野生型微生物として知られる、天然に存在する微生物、または変異体もしくは組換え微生物として知られる、予め改質された微生物であってもよい。本開示の微生物は、親微生物において発現も過剰発現もされなかった一つもしくは複数の酵素を、発現または過剰発現するように改質されることができる。同様に、本開示の微生物は、親微生物に含まれていない一つまたは複数の遺伝子を含むように改質されることができる。本開示の微生物はまた、親微生物において発現された一つまたは複数の酵素を、発現しないように、またはより低量で発現するように改質されることができる。一実施形態では、親微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、またはClostridium ragsdaleiである。一実施形態では、親微生物は、ブダペスト条約の条項下で、2010年6月7日に、Inhoffenstraβe 7B,D-38124 Braunschweig,Germanyに所在するDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)に2010年6月7日に寄託され、受託番号DSM23693を付与された、Clostridium autoethanogenum LZ1561である。この株は、WO2012/015317として公開されている国際特許出願第PCT/NZ2011/000144号に記載されている。
【0075】
用語「~に由来する」は、新しい核酸、タンパク質、または微生物を生成するように、核酸、タンパク質、または微生物が、異なる、例えば親または野生型の、核酸、タンパク質、または微生物から修飾または適合されることを示す。そのような修飾又は適合は、典型的には、核酸又は遺伝子の挿入、欠失、変異、又は置換を含む。概ね、本開示の微生物は、親微生物に由来する。一実施形態では、本開示の微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、またはClostridium ragsdaleiに由来する。一実施形態では、本開示の微生物は、DSMZ受託番号DSM23693の下で寄託される、Clostridium autoethanogenum LZ1561に由来する。
【0076】
本開示の微生物は、官能的特性に基づいてさらに分類され得る。例えば、本開示の微生物は、C1固定微生物、嫌気性生物、アセトゲン、エタノロゲン、カルボキシド栄養生物(carboxydotroph)、及び/又はメタン資化性菌(methanotroph)であり得るか、又はそれらに由来し得る。
【0077】
「Wood-Ljungdahl」は、すなわち、Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されているような炭素固定のWood-Ljungdahl経路を指す。Wood-Ljungdahl微生物」は、予想通り、Wood-Ljungdahl経路を含む微生物を指す。一般的に、本開示の微生物は、天然のWood-Ljungdahl経路を含む。本明細書では、Wood-Ljungdahl経路は天然の未修飾のWood-Ljungdahl経路であり得るか、又はCO、CO、及び/又はHをアセチル-CoAに変換するように依然として機能する限り、ある程度の遺伝的修飾(すなわち、過剰発現、異種発現、ノックアウトなど)を有するWood-Ljungdahl経路であり得る。
【0078】
「嫌気性細菌」は、増殖のためにOを必要としない微生物である。嫌気性細菌は、Oが特定の閾値を超えて存在する場合、負の反応を起こし得るか、もしくは死滅し得る。しかしながら、いくつかの嫌気性細菌は、低レベルのO(すなわち、0.000001~5%のO)を許容することができる。典型的には、本開示の微生物は、嫌気性生物である。
【0079】
「アセトゲン」は、エネルギー節約のため、並びにアセテートなどのアセチル-CoA及びアセチル-CoA由来の生成物の合成のためのその主要機構としてウッド・リュングダール(Wood-Ljungdahl)経路を使用する、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784:1873-1898,2008)。具体的には、アセトゲンは、Wood-Ljungdahl経路を、(1)COからのアセチル-CoAの還元合成のための機構、(2)末端電子受容、エネルギー節約プロセス、(3)細胞炭素の合成におけるCOの固定(同化)のための機構として使用する(Drake,Acetogenic Prokaryotes,In:The Prokaryotes,3rd edition,p.354,New York,NY,2006)。全ての自然発生アセトゲンは、C1固定、嫌気性、独立栄養性、及び非メタン資化性である。典型的には、本開示の微生物は、アセトゲンである。
【0080】
「エタノロゲン」は、エタノールを生成する、又は生成することが可能である微生物である。典型的には、本開示の微生物は、エタノロゲンである。
【0081】
「独立栄養生物」は、有機炭素の不在下でも増殖することが可能な微生物である。代わりに、独立栄養生物は、CO及び/又はCOなどの無機炭素源を使用する。典型的には、本開示の微生物は、独立栄養生物である。
【0082】
「カルボキシド栄養生物」は、炭素及びエネルギーの唯一の供給源としてCOを利用することが可能な微生物である。典型的には、本開示の微生物は、カルボキシド栄養生物である。
【0083】
「メタン資化性菌」は、炭素とエネルギーの唯一の供給源としてメタンを利用することが可能な微生物である。いくつかの実施形態では、本開示の微生物は、メタン資化性菌であるか、またはメタン資化性菌に由来する。他の実施形態では、本開示の微生物は、メタン資化性菌ではないか、又はメタン資化性菌に由来しない。
【0084】
表1は、微生物の代表的なリストを提供し、微生物の機能特性を特定する。
【表1-1】
【表1-2】
【0085】
「天然生成物」は、遺伝子修飾されていない微生物によって生成される生成物である。例えば、エタノール、アセテート、及び2,3-ブタンジオールは、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびClostridium ragsdaleiの天然生成物である。「非天然生成物」は、遺伝子組換えされた微生物によって生成されるが、遺伝子組換えされた微生物が由来する遺伝子組換えされていない微生物によって生成されない生成物である。
【0086】
「選択性」は、微生物によって生成される全発酵生成物の生成に対する標的生成物の生成の比率を指す。本開示の微生物を、ある特定の選択性で、または最小の選択性で生成物を生成するように操作することができる。一実施形態では、標的生成物は、本開示の微生物によって生成される全発酵生成物の少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、50%、または75%を占める。一実施形態では、標的生成物は、本開示の微生物が少なくとも10%の標的生成物に対して選択性を有するように、本開示の微生物によって生成される全発酵生成物の少なくとも10%を占める。別の実施形態では、標的生成物は、本開示の微生物が少なくとも30%の標的生成物に対して選択性を有するように、本開示の微生物によって生成される全発酵生成物の少なくとも30%を占める。
【0087】
培養/発酵は、望ましくは、標的生成物の生成に適切な条件下で実施されるべきである。典型的には、培養/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮すべき反応条件は、圧力(又は分圧)、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限的にならないことを確実にするための最大ガス基質濃度、及び生成物阻害を回避するための最大生成物濃度を含む。具体的には、基質の導入速度は、生成物がガス制限条件下での培養によって消費され得るため、液相中のガスの濃度が制限的にならないことを確実にするように制御されてもよい。
【0088】
標的生成物は、例えば、分留蒸留、蒸発、浸透蒸発、ガスストリッピング、相分離、及び例えば、液-液抽出を含む抽出発酵を含む、任意の方法又は当該技術分野において既知の方法の組み合わせを使用して、発酵ブロスから分離又は精製することができる。ある特定の実施形態では、標的生成物は、ブロスの一部分をバイオリアクターから連続的に取り出し、微生物細胞をブロスから(濾過により簡便に)分離し、一つ以上の標的生成物をブロスから回収することによって、発酵ブロスから回収される。アルコール及び/又はアセトンは、例えば、蒸留によって回収され得る。酸は、例えば、活性炭上での吸着によって回収され得る。分離された微生物細胞は、好ましくは、バイオリアクターに戻される。標的生成物が取り出された後に残存している無細胞透過液も、好ましくは、バイオリアクターに戻される。追加の栄養素(ビタミンBなど)が、無細胞透過液に添加されて、培地を補充した後に、バイオリアクターに戻され得る。
【0089】
図1Aは、産業プロセス110、一つまたは複数の除去モジュール120、COからCOへの変換システム130、任意の水電解プロセス160、およびCO消費プロセス140を統合するためのプロセスを示す。産業プロセス110からのCO含有ガスは、導管112を通って一つまたは複数の除去モジュール120に供給されて、一つまたは複数の構成要素128を除去および/または変換する。一実施形態では、COからCOへの変換システム130は、rWGSユニットである。一実施形態では、rWGSユニットは単一の段階を有する。一実施形態では、rWGSユニットは、少なくとも二つの段階を有する。そして、一つまたは複数の除去モジュール120からの処理済みガスは、ガス流の少なくとも一部を変換するために、導管122を通ってCOからCOへの変換システム130へ供給される。いくつかの実施形態では、産業プロセス110からのCO含有ガスは、ガス流の少なくとも一部を変換するために、導管114を通ってCOからCOへの変換システム130に直接的に供給され、この実施形態では、構成要素、例えば硫黄含有化合物は、産業プロセスを通過する前に除去されてもよい。必要に応じて、逆水性ガスシフト反応の生成物として生成されるおそらく蒸気または蒸気の形態のHOの少なくとも一部は、COからCOへの変換システム130から導管136を通って産業プロセス110に再循環されてもよい。変換されたガス流の少なくとも一部は、導管132を通って、この例ではrWGSユニットであるCOからCOへの変換システム130から、CO消費プロセス140に送られる。いくつかの実施形態では、水基質は、水基質の少なくとも一部を変換するために、導管162を通って水電解モジュール160に供給され、H富化流は、導管164を通ってCO消費プロセス140に送られる。選択されたCOからCOへの変換システム130に応じて、水電解モジュール160からの第二のH富化流163は、COからCOへの変換システム130に送られてもよい。例えば、COからCOへの変換システムがrWGSユニットの場合、水電解モジュール160からの第二のH富化流163は、COからCOへの変換システム130に送られてもよい。図1Aは、第二のH富化流163をH富化流164から分岐するものとして示すが、別の実施形態では、第二のH富化流163はH富化流164から独立していてもよい。必要に応じて、水電解モジュール160によって生成されるOの少なくとも一部は、導管166を通って産業プロセス110に送られてもよい。CO消費プロセス140は、少なくとも一つの生成物146およびCO消費プロセス後のガス状基質142を生成する。
【0090】
図1AのCO消費プロセス140は、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。例えば、CO消費プロセス140は、少なくとも一つのC1固定微生物の培養を含むバイオリアクターにおけるガス発酵プロセスであってもよい。CO消費プロセス140がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物146および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセスガス状基質142を生成することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、図1AのCO消費プロセス140は、CO生成反応工程を含む。CO消費プロセス後のガス状基質142がCOを含む実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質142の少なくとも一部は、一つもしくは複数の除去モジュール150に送られ、一つもしくは複数の構成要素158を除去および/または変換する。そして、COを含む処理済みガス流152は、COを含む処理済みガス流152の少なくとも一部を変換するためにCOからCOへの変換システム130に送られるか、またはCOを含む処理済みガス流152は、CO含有ガス112を産業プロセス110から受け取る一つまたは複数の除去モジュール120に送られてもよい。いくつかの実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質142は、産業プロセス110からCO含有ガス112を受け取る同じ一つまたは複数の除去モジュール120に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質142は、産業プロセス110からCO含有ガス112を受け取る一つまたは複数の除去モジュール120に送られてもよい。CO消費プロセス後のガス状基質のCOを処理してCOに変換するこのプロセスは、炭素回収効率を高めることが判明した。
【0092】
特定の実施形態では、図1Aの除去モジュール150によって除去される少なくとも一つの構成要素は、CO消費プロセス140、例えばガス発酵プロセスによって生成、導入、および/または濃縮される。様々な実施形態では、発酵工程により生成、導入、および/または濃縮される一つまたは複数の構成要素は、硫黄含有化合物を含む。場合によっては、硫黄含有化合物、例えば硫化水素が、CO消費プロセス140に導入される。この硫黄(硫黄含有化合物として存在)は、COからCOへの変換システム130の効率を低下させることが判明した。例えば、硫黄含有化合物は、特定の実施形態においてCOからCOへの変換システムとして使用される、様々なrWGSプロセスで使用される一つまたは複数の触媒を損傷する可能性がある。一つまたは複数の除去モジュール150は、CO消費プロセス後のガス状基質がCOからCOへの変換システム130に送られる前に、CO消費プロセス後のガス状基質中の硫黄含有化合物の量を低減させることに成功することが判明した。COからCOへの変換システム130の前に除去モジュール150を使用すると、COからCOへの変換システム130の効率が向上することが判明した。
【0093】
例えば、COからCOへの変換プロセスがrWGSユニットである場合に使用される水電解プロセスのO副生成物は、上記のC1生成産業プロセスにさらなる利点をもたらすことができる。本開示の発酵プロセスの具体的な実施形態は、嫌気性プロセスであり、COからCOへの変換システムに選択された技術に応じて、Oは副生成物として生成される可能性があり、分離され、図1Aの任意の導管136を通過して、産業プロセス110で使用されることができる。COからCOへの変換プロセス130の任意のO副生成物136は、産業プロセス110と統合されることができ、コストを有利に埋め合わせ、場合によっては、それは、産業プロセス110およびその後のガス発酵の両方のコストをさらに削減する相乗効果がある。いくつかの実施形態では、COからCOへの変換システムは副生成物としてOを生成しない。
【0094】
通常、本明細書で説明する産業プロセスにより、空気分離によって必要なOが得られる。空気分離によるOの生成は、エネルギー集約的なプロセスであり、NからOを極低温で分離して、最高の純度を達成することを伴う。選択したCOからCOへの変換システムに応じて、ライン136でのCOからCOへの変換によるOの生成、ならびに/またはライン166での水電解、および空気分離によって生成されるOを置き換えることで、産業プロセスにおける電気コストの最大5%を埋め合わせできる可能性がある。
【0095】
部分酸化反応を伴ういくつかのC1生成産業プロセスでは、Oの投入が必要である。例示的な産業プロセスとしては、塩基性酸素炉(BOF)反応、COREXまたはFINEX鋼材製造プロセス、高炉(BF)プロセス、鉄合金製造プロセス、非鉄製品製造、石油精製、石油化学生成、炭水化物発酵、セメント製造、二酸化チタン製造プロセス、ガス化プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ガス化プロセスには、石炭のガス化、精製残渣のガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース物質のガス化、黒液のガス化、都市固形廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、下水のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、石油コークスのガス化、天然ガスの改質、バイオガスの改質、埋立地ガスの改質、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。これらの産業プロセスのうちの一つまたは複数では、COからCOへの変換システムからのOおよび/または水電解からのO2を使用して、通常は空気分離によって供給されるOを相殺または完全に置き換えることができる。
【0096】
図1Bおよび図1Cに示すように、産業プロセス、一つまたは複数の除去モジュール、COからCOへの変換システム、任意の水電解プロセス、およびCO消費プロセスを統合するためのプロセスは、一つまたは複数の圧力モジュール170の統合をさらに含むことができる。例えば、図1Bに示されるように、産業プロセス110からのCO含有ガス112の少なくとも一部は、圧力モジュール170に送られて、加圧されたCO含有ガス流172を生成する。次に、加圧されたCO含有ガス流172の少なくとも一部は、除去モジュール120に送られる。CO消費プロセス後のガス状基質142の少なくとも一部はまた、圧力モジュール170に送られ、加圧CO含有ガス流172の一部である加圧排ガスを生成することができる。図1Cに示すように、変換されたガス流132の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム130から圧力モジュール170に送られて、加圧されたCO含有ガス流172が生成され、これがCO消費プロセス140に送られる。
【0097】
図2は、産業プロセス210、除去モジュール220、COからCOへの変換システム230、任意の水電解プロセス270、CO消費プロセス240、および任意のO分離モジュール260を統合するためのプロセスを示す。図2では、COからCOへの変換システム230が、rWGSユニットであるように選択される。産業プロセス210からのCO含有ガス212は、一つまたは複数の除去モジュール220に送られて、一つまたは複数の構成要素228が除去および/または変換される。そして、一つまたは複数の除去モジュール220からの処理済みガス222は、処理済みガス流222中のCOの少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム230を通過する。選択されたCOからCOへの変換システムがOを生成する場合、必要に応じて、Oの少なくとも一部がCOからCOへの変換システム230から導管236を通って産業プロセス210に供給されてもよい。変換されたガス流232の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム230からCO消費プロセス240に送られて、生成物246およびCO消費プロセス後のガス状基質242を生成する。いくつかの実施形態では、水基質272は、水基質の少なくとも一部を変換するために水電解モジュール270に導入されて、CO消費プロセス240に送られるH富化流274を生成する。必要に応じて、H富化流274の一部は、流れ273でCOからCOへの変換システム230に送られてもよい。必要に応じて、水電解モジュール270によって生成されるOの少なくとも一部は、O流276で産業プロセス210に送られてもよい。
【0098】
COからCOへの変換システムがO副生成物を生成する特定の実施形態では、プロセスは、COからCOへの変換システム230で生成されるガスからOの少なくとも一部を分離するために、COからCOへの変換システム230の後にO分離モジュール260を備える。COからCOへの変換システム230の下流でO分離モジュール260を利用する実施形態では、ガス流234の少なくとも一部が、COからCOへの変換システム230からO分離モジュール260に供給される。O分離モジュール260を組み込んだ実施形態では、O富化流264を産業プロセス210に送ることができ、それによって産業プロセス210における他のO源の必要性がなくなる。COからCOへの変換システム230の下流でO分離モジュール260を利用する実施形態では、Oリーン流262の少なくとも一部は、O分離モジュール260からCO消費プロセス240に送られる。COからCOへの変換システム230の下流でO分離モジュール260を利用するいくつかの実施形態では、Oリーン流262の少なくとも一部は、ライン266でO分離モジュール260からCOからCOへの変換システム230に戻される。O分離モジュール260を利用しない実施形態では、ガス流236の一部は、COからCOへの変換システム230から産業プロセス210に送られてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、図2のCO消費プロセス240は、CO生成反応工程を含む。CO消費プロセス後のガス状基質がCOを含む実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質の少なくとも一部は、導管242を通って一つまたは複数の除去モジュール250に送られ、一つまたは複数の構成要素258を除去および/または変換する。次に、処理済みガス流252は、処理済みガス流252の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム230を通過する。特定の実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質242は、産業プロセス210からCO含有ガス212を受け取る同じ一つまたは複数の除去モジュール2 220に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質242および252は、産業プロセス210からCO含有ガス212を受け取る一つまたは複数の除去モジュール220、および一つまたは複数の除去モジュール250に送られてもよい。
【0100】
図2のCO消費プロセス240は、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。例えば、CO消費プロセス240は、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターにおけるガス発酵プロセスであってもよい。CO消費プロセス240がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物、例えばCO消費プロセス後の生成物246、および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセス後のガス状基質242を生成することができる。
【0101】
高純度のCO流、つまりCOリッチ流をCOからCOへの変換システム、例えばrWGSユニットに供給すると、CO消費プロセスの炭素回収効率が向上する。流れ中のCO濃度を高めるために、一つまたは複数のCO濃縮モジュールをプロセスに組み込むことができる。COからCOへの変換システム、例えばrWGSユニットによって生成されるCO富化流は、20~90%のCO濃度を有することができる。
【0102】
図3は、本開示の一態様によれば、産業プロセス310と、任意のCO濃縮モジュール370、除去モジュール320、COからCOへの変換システム330、任意の水電解モジュール380、CO消費プロセス340、および任意のO分離モジュール360とを統合するためのプロセスを示す。CO濃縮モジュール370を備えていない実施形態では、産業プロセス310からのCO含有ガス312は、除去モジュール320に送られる。CO濃縮モジュール370を備える実施形態では、産業プロセス310からのCO含有ガス314は、ガス流中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素374を除去するために、CO濃縮モジュール370に送られる。CO濃縮ガス流372は、一つまたは複数の除去モジュール320に送られて、一つまたは複数の構成要素328を除去および/または変換する。そして、一つまたは複数の除去モジュール320からの処理済みガス322は、処理済みガス流322の少なくとも一部を変換するためにCOからCOへの変換システム330に送られる。COからCOへの変換システム330は、rWGSユニットであってもよい。変換されたガス流332の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム330からCO消費プロセス340に送られる。いくつかの実施形態では、構成要素374は、COおよび/またはHであり、それは導管376を通ってCO消費プロセス340に送られる。いくつかの実施形態では、水基質382は、水基質382の少なくとも一部を変換するために水電解モジュール380に供給されて、CO消費プロセス340に送られるH富化流384を生成する。選択されたCOからCOへの変換システム、例えば反応物質としてHを使用するrWGSユニットに応じて、H富化流384の一部は、流れ383でCOからCOへの変換システム330に送られてもよい。もちろん、独立したH富化流を、流れ383(図示せず)の代わりに、またはそれに加えて、水電解モジュール380からCOからCOへの変換システムに送ってもよい。必要に応じて、水電解モジュール380によって生成されるO富化流386の少なくとも一部は、産業プロセス310に送られてもよい。
【0103】
COからCOへの変換システム330からのガス流336の少なくとも一部は、産業プロセス310に送られてもよい。特定の実施形態では、プロセスは、COからCOへの変換システム330に続くO分離モジュール360を備え、ガス流334がCOからCOへの変換システム330からO分離モジュール360に送られて、ガス流334からOの少なくとも一部を分離する。COからCOへの変換システム330の後にO分離モジュール360を利用する実施形態では、O富化流364の少なくとも一部は、O分離モジュール360から産業プロセス310に送られる。COからCOへの変換システム330の後にO分離モジュール360を利用する実施形態では、Oリーン流362の少なくとも一部は、O分離モジュール360からCO消費プロセス340に送られる。COからCOへの変換システム330の後にO分離モジュール360を利用するいくつかの実施形態では、Oリーン流366の少なくとも一部は、O分離モジュール260からCOからCOへの変換システム330に戻される。O分離モジュール360を利用しない実施形態では、ガス流336の一部は、COからCOへの変換システム330から産業プロセス310に送られてもよい。
【0104】
一つまたは複数の除去モジュール320の前にガス流314中のCOを濃縮すると、望ましくないガスが減少し、それによってガス発酵プロセスであってもよいCO消費プロセス340の効率が高まる。
【0105】
いくつかの実施形態では、図3のCO消費プロセス340は、CO生成反応工程を含む。CO消費プロセス後のガス状基質がCOを含む実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質342は、一つまたは複数の除去モジュール350に送られ、一つまたは複数の構成要素358を除去および/または変換する。次に、処理済みガス流352は、処理済みガス流352の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム330に送られる。特定の実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質342は、産業プロセス310からCO含有ガス312および/または372を受け取る一つまたは複数の除去モジュール320に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質342および352は、産業プロセス310からCO含有ガス312およびまたは372を受け取る一つまたは複数の除去モジュール320、ならびに一つまたは複数の除去モジュール350に送られてもよい。
【0106】
図3のCO消費プロセス340は、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。例えば、CO消費プロセスは、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターにおけるガス発酵プロセスであってもよい。CO消費プロセス340がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物、例えばCO消費プロセス後の生成物346および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセス後のガス状基質342を生成することができる。
【0107】
特定の実施形態では、除去モジュールの後に、CO濃縮モジュールを配置してもよい。図4は、本開示の一態様によれば、産業プロセス410と、除去モジュール420、任意のCO濃縮モジュール470、COからCOへの変換システム430、任意の水電解モジュール480、CO消費プロセス440、および任意のO分離モジュール460とを統合するためのプロセスを示す。任意のCO濃縮モジュール470を備えていない実施形態では、産業プロセス410からのCO含有ガス422は、除去モジュール420からCOからCOへの変換システム430に送られる。任意のCO濃縮モジュール470を備える実施形態では、産業プロセス410からのCO含有ガス412は、一つまたは複数の除去モジュール420に送られて、一つまたは複数の構成要素428を除去および/または変換する。そして、結果として生じる処理された流れ424は、CO濃縮ガス流472中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素474を除去するために、任意のCO濃縮モジュール470に送られる。次に、CO濃縮ガス流472は、ガス流の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム430に送られる。変換されたガス流432の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム430からCO消費プロセス440に送られる。いくつかの実施形態では、構成要素474は、COおよび/またはHであり、それは導管476を通ってCO消費プロセス440に送られる。いくつかの実施形態では、水基質482は、水基質482の少なくとも一部を変換するために水電解モジュール480に供給されて、CO消費プロセス440に送られるH富化流484を生成する。選択されたCOからCOへの変換システム、例えば反応物質としてHを使用するrWGSユニットに応じて、H富化流484の一部は、流れ483でCOからCOへの変換システム430に送られてもよい。もちろん、独立したH富化流を、流れ483(図示せず)の代わりに、またはそれに加えて、水電解モジュール480からCOからCOへの変換システムに送ってもよい。必要に応じて、水電解モジュール480によって生成されるO富化流486の少なくとも一部は、産業プロセス410に送られてもよい。
【0108】
COからCOへの変換システム430からのガス流436の少なくとも一部は、産業プロセス410に送られてもよい。特定の実施形態では、プロセスは、ガス流434からOの少なくとも一部を分離するために、COからCOへの変換システム430の後にO分離モジュール460を備える。COからCOへの変換システム430の後にO分離モジュール460を利用する実施形態では、ガス流464の少なくとも一部は、O分離モジュール460から産業プロセス410に送られる。COからCOへの変換システム430の後にO分離モジュール460を利用する実施形態では、Oリーン流462の少なくとも一部は、O分離モジュール460からCO消費プロセス440に送られる。COからCOへの変換システム430の後にO分離モジュール460を利用するいくつかの実施形態では、Oリーン流466の少なくとも一部は、O分離モジュール460からCOからCOへの変換システム430に戻される。O分離モジュール460を利用しない実施形態では、特に選択されたCOからCOへの変換システム430がOを生成する場合、ガス流436の一部がCOからCOへの変換システム430から産業プロセス410に送られてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、図4のCO消費プロセス440は、CO生成反応工程を含む。CO消費プロセス後のガス状基質がCOを含む実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質442の少なくとも一部は、一つもしくは複数の除去モジュール450に送られ、一つもしくは複数の構成要素458を除去および/または変換する。次に、処理済みガス流452は、処理済みガス流452の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム430に送られる。特定の実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質442は、産業プロセス410からCO含有ガス412を受け取る同じ一つまたは複数の除去モジュール420に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質442および452は、産業プロセス410からCO含有ガスを受け取る一つまたは複数の除去モジュール420、および一つまたは複数の除去モジュール450に送られてもよい。
【0110】
図4のCO消費プロセス440は、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。例えば、CO消費プロセス440は、少なくとも一つのC1固定微生物の培養物を含むバイオリアクターにおけるガス発酵プロセスであってもよい。CO消費プロセス440がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物、例えばCO消費プロセス後の生成物446および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセス後のガス状基質442を生成することができる。
【0111】
図5は、本開示の一態様によれば、産業プロセス510と、除去モジュール520、任意のCO濃縮モジュール570、COからCOへの変換システム530、CO消費プロセス540、任意のO分離モジュール560、任意の圧力モジュール580、および任意の水電解モジュール1500とを統合するためのプロセスを示す。産業プロセス510からのCO含有ガス512は、一つまたは複数の除去モジュール520に送られて、一つまたは複数の構成要素528が除去および/または変換される。そして、一つまたは複数の除去モジュール520からの処理済みガス522は、ガス流522の少なくとも一部を変換するためにCOからCOへの変換システム530に送られる。Hを混合する実施形態では、水電解モジュール1500は、CO消費プロセス540に導入される前に、必要に応じて加圧された変換されたガス流582と混合されるHリッチガス流1502を生成し、送ってもよい。
【0112】
特定の実施形態では、本開示は、COからCOへの変換システム530からの変換されたガス532の圧力を増加させるための一つまたは複数の圧力モジュール580が設けられる。COからCOへの変換システム530の後に圧力モジュール580を利用する実施形態では、ガス流532の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム530から、ガス流532の圧力を増加させ、CO消費プロセス540に送られる増加した圧力流582を生成する圧力モジュール580に送られる。
【0113】
様々な実施形態では、水電解モジュール1500は、O分離モジュール560および/または圧力モジュール580と共に組み込まれる。様々な実施形態では、水基質1506が水電解モジュール1500に導入され、変換されたガス流582がCO消費プロセス540に導入される前に、Hリッチガス流1502が変換されたガス流582と混合される。様々な実施形態では、Hリッチガス流1504は、水電解モジュール1500からCO消費プロセス540に直接送られる。選択されたCOからCOへの変換システム、例えば反応物質としてHを使用するrWGSユニットに応じて、H富化流1510は、水電解モジュール1500からCOからCOへの変換システム530に送られてもよい。必要に応じて、水電解モジュール1500によって生成されるO富化流1508の少なくとも一部は、産業プロセス510に送られてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の一態様によれば、産業プロセス510、任意のCO濃縮モジュール570、除去モジュール520、COからCOへの変換システム530、任意のO分離モジュール560、任意の圧力モジュール580、水電解モジュール1500、およびCO消費プロセス540を統合する。産業プロセス510からのCO含有ガス514は、任意のCO濃縮モジュール570に送られて、ガス流514中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素574を除去する。第一のCO濃縮モジュール570からの第一のCO濃縮流572は、除去モジュール520に送られて、一つまたは複数の構成要素528を除去および/または変換する。次に、処理された流れ524は、第二の任意のCO濃縮モジュール570に送られて、ガス流524中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素574を除去する。第二のCO濃縮流572は、第二のCO濃縮流572の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム530に送られる。変換されたガス流534の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール560に送られて、変換されたガス流534からOの少なくとも一部を分離することができる。Oリッチガス流564の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール560から産業プロセス510に送られてもよい。選択されたCOからCOへの変換システム530がOを生成する場合、Oリッチガス流の少なくとも一部は、COからCOへの変換システム530から導管536を通って産業プロセス510に供給されることができる。O欠乏ガス流562の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール560から任意の圧力モジュール580に送られてもよい。任意の圧力モジュール580からの加圧ガス流582は、CO消費プロセス540に送られる。加圧ガス流582は、CO消費プロセス540に導入される前に、Hリッチガス流1502と混合されてもよい。
【0115】
図5のCO消費プロセス540は、生成物546およびCO消費プロセス後のガス状基質542を生成する。CO消費プロセスは、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。CO消費プロセス540がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物、例えばCO消費プロセス後の生成物546および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセス後のガス状基質542および/または544を生成することができる。CO消費プロセス後のガス状基質542は、除去モジュール550に送られ、一つまたは複数の構成要素558を除去および/または変換することができる。CO消費プロセスの後にCO濃縮モジュール570を備える実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質544は任意のCO濃縮モジュール570に送られ、流れ544中のCOの濃度を高め、一つまたは複数の構成要素574を除去することができる。結果として生じるCO富化流572は除去モジュール550に送られ、一つまたは複数の構成要素558を除去および/または変換する。次に、処理済みガス流552は、ガス流552の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム530に送られる。特定の実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質542は、産業プロセス510からCO含有ガス512を受け取る同じ一つまたは複数の除去モジュール520に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質542は、産業プロセス510からCO含有ガス512または572を受け取る一つまたは複数の除去モジュール520と、一つまたは複数の除去モジュール550との両方に送られてもよい。
【0116】
本発明は、一般に、下流のプロセス、例えば、下流の発酵プロセスおよび/または下流のモジュールに悪影響を及ぼす可能性のある、ガス流からの構成要素の除去を提供する。特定の実施形態では、本開示は、このような悪影響の発生を防止するために、様々なモジュールの間に一つまたは複数の別の除去モジュールを設ける。
【0117】
様々な例では、COからCOへの変換システムによるCO含有ガス状基質の変換により、一つまたは複数の構成要素がCOからCOへの変換システム630を通って送られることになる。様々な実施形態では、これにより、CO富化流に一つまたは複数の構成要素が生じる。場合によっては、構成要素には、変換されたOの一部が含まれる。様々な実施形態では、別の除去モジュールは、CO富化流からOを除去するための脱酸素化モジュールである。
【0118】
図6は、COからCOへの変換システム630、任意のO分離モジュール660、任意の圧力モジュール680と、別の除去モジュール690との統合を示す。場合によっては、別の除去モジュール690は、COからCOへの変換システム630の下流にある。別の除去モジュール690がCOからCOへの変換システム630の下流にある実施形態では、COからCOへの変換システム630からのガス流632の少なくとも一部が別の除去モジュール690に送られる。別の除去モジュール690は、ガス流632中の一つまたは複数の構成要素698を除去および/または変換する。さらに、いくつかの実施形態では、任意のO分離モジュール660を利用する場合、任意のO2分離モジュール660からの流れ662は、別の除去モジュール690に送られて、一つまたは複数の構成要素698を除去および/または変換する。次に、処理された流れ692は、任意の圧力モジュール680に送られる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の一態様によれば、産業プロセス610、任意のCO濃縮モジュール670、除去モジュール620、COからCOへの変換システム630、別の除去モジュール690、任意のO分離モジュール660、任意の圧力モジュール680、任意の水電解モジュール1600、およびCO消費プロセス640を統合する。産業プロセス610と除去モジュール620との間に任意のCO濃縮モジュール670を備えていない実施形態では、産業プロセス610からのCO含有ガス612は、除去モジュール620に送られる。産業プロセス610と除去モジュール620との間に任意のCO濃縮モジュール670を備える実施形態では、産業プロセス610からのCO含有ガス614は、任意のCO濃縮モジュール670に送られ、ガス流614中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素674を除去する。任意のCO濃縮モジュール670からの増加したCO濃度を有するガス流672は、除去モジュール620に送られ、一つまたは複数の構成要素628を除去および/または変換する。除去モジュール620とCOからCOへの変換システム630との間にCO濃縮モジュール670を備えていない実施形態では、処理された流れ622は、除去モジュール620からCOからCOへの変換システム630に送られる。除去モジュール620とCOからCOへの変換システム630との間にCO濃縮モジュール670を備える実施形態では、処理された流れ624は、次に、任意のCO濃縮モジュール670に送られて、処理された流れ624中のCOの濃度を増加させ、かつ一つまたは複数の構成要素674を除去する。得られたCO富化流672は、CO富化流672の少なくとも一部を変換するために、任意のCO濃縮モジュール670からCOからCOへの変換システム630に送られる。
【0120】
選択されたCOからCOへの変換システム630に応じて、Oが生成される可能性があり、その場合、Oリッチガス流636の少なくとも一部が、COからCOへの変換システム630から産業プロセス610に送られてもよい。COリッチガス流632の少なくとも一部は、別の除去モジュール690に送られて、一つまたは複数の構成要素698を除去および/または変換することができる。処理済みガス流634の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール660に送られて、処理済みガス流634からOの少なくとも一部を分離することができる。O富化ガス流664の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール660から産業プロセス610に送られてもよい。O欠乏ガス流662の少なくとも一部は、任意のO分離モジュール660から別の除去モジュール690に送られて、一つまたは複数の構成要素698を除去および/または変換することができる。
【0121】
ガス流692の少なくとも一部は、別の除去モジュール690から任意の圧力モジュール680に送られてもよい。任意の圧力モジュール680からの加圧ガス流682は、CO消費プロセス640に送られる。ガス流692は、CO消費プロセス640に導入される前に、Hリッチガス流1602と混合されてもよい。水基質1606は、水電解モジュール1600に送られ、上記のHリッチガス流1602、および/または水電解モジュール1600から導管1604を通ってCO消費プロセス640に直接送られるHリッチガス流1604を生成することができる。いくつかの実施形態では、水電解モジュール1600によって生成されたOは、O流1608で産業プロセス610に送られてもよい。
【0122】
図6のCO消費プロセス640は、生成物646と、CO生成プロセス後のガス状基質642および644を生成することができる。CO消費プロセスは、ガス発酵プロセスであってもよく、接種装置および/または一つもしくは複数のバイオリアクターで生じてもよい。CO消費プロセス640がガス発酵プロセスである実施形態では、培養物を発酵させて、一つまたは複数の発酵生成物、例えばCO消費プロセス後の生成物646および発酵後のガス状基質、例えばCO消費プロセス後のガス状基質642または644を生成することができる。CO消費プロセス後のガス状基質644は、任意のCO濃縮モジュール670に送られて、ガス流644中のCOの濃度を増加させ、一つまたは複数の構成要素674を除去する。結果として得られる流れ672は、任意のCO濃縮モジュール670から除去モジュール650に送られ、一つまたは複数の構成要素658を除去および/または変換する。次に、処理済みガス流652は、ガス流の少なくとも一部を変換するために、COからCOへの変換システム630に送られる。特定の実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質642または642/672は、産業プロセス610からCO含有ガス612または672を受け取る同じ一つまたは複数の除去モジュール620に送られる。様々な実施形態では、CO消費プロセス後のガス状基質642または642/672は、産業プロセス610からCO含有ガス612または672、および一つまたは複数の除去モジュール650からの処理済みガス流652を受け取る一つまたは複数の除去モジュール620に送られてもよい。
【0123】
様々な実施形態では、本開示は、水を電気分解して少なくとも水素と必要に応じて酸素を得ることを含む統合プロセスを提供し、水の電気分解プロセスに供給される電力は、少なくとも部分的に再生可能エネルギー源から得られる。
【0124】
基質は典型的にはガス状であるが、基質はまた、代替的な形態で提供されてもよい。例えば、基質は、マイクロバブル分散発生器を使用して、CO含有ガスで飽和した液体中に溶解されることができる。更なる例として、基質は、固体支持体上に吸着されてもよい。
【0125】
バイオリアクター内のC1固定微生物は通常、カルボキシド栄養性細菌である。特定の実施形態では、カルボキシド栄養性細菌は、Moorella、Clostridium、Ruminococcus、Acetobacterium、Eubacterium、Butyribacterium、Oxobacter、Methanosarcina、Methanosarcina、およびDesulfotomaculumを含む群から選択される。様々な実施形態では、カルボキシド栄養性細菌は、Clostridium autoethanogenumである。
【0126】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、あたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書中に記載された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が任意の国の努力傾注分野において共通の一般知識の一部をなすという認識ではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0127】
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」及び「an」及び「the」という用語並びに同様の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに相反することがない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるものとする。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」という用語は、別段の断りのない限り、非限定的な用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるものとする。代替の使用(すなわち、「又は」)は、代替の一方、両方、又はそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示がない限り、示される範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0128】
本明細書の値の範囲の記述は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各個々の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことを単に意図し、各個々の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例えば、別段の指示がない限り、任意の濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、又は厚さ範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1、及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。別段の指示がない限り、比はモル比であり、パーセンテージは重量ベースである。
【0129】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(すなわち、「など」)の使用は、本発明をより良く解明することを単に意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲を制限しない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実践に不可欠な任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0130】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載される。それらの実施形態の変化形は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実践されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許可されたとおり、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正物及び同等物を含む。さらに、その全ての考えられる変化形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と別段明らかに相反することがない限り、本開示によって包含される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】