(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムによる人工知能訓練
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20240326BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240326BHJP
A61B 6/58 20240101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B6/02 501H
A61B6/50 500C
A61B6/58 500B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560318
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022020130
(87)【国際公開番号】W WO2022212010
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522300662
【氏名又は名称】アイクススキャン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオリンベイ,マナト
(72)【発明者】
【氏名】ク,チュン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リンボ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジアンチアン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA37
4C093DA03
4C093EC25
4C093FE04
4C093FF17
4C093FF37
4C093GA01
(57)【要約】
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムのための画像認識人工知能(AI)訓練方法が開示される。画像認識AI訓練を、3つの方途で実行することができる:第一に、既知の結節を有する既存の取得された胸部CTデータセットを使用して、X線放射を適用しない合成トモシンセシス画像を生成すること、第二に、シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムによりX線生画像を撮影し、X線ビームをファントムにのみ適用すること、第三に、実際の既知の結節を有する患者及び結節を有さない実際の患者から、インモーション多パルス作動線源トモシンセシス画像を使用して、X線画像を取得すること。X線訓練画像を受信し、受信された画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを自動で判定するように構成されたX線画像認識訓練ネットワーク。訓練後、画像知識が更新され、知識データベースに格納される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムによる人工知能訓練の方法であって、
人工知能訓練のための既知の結節を有する実際の患者からの取得されたCT胸部3D画像データのセットを選択することと、
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムのセットから、幾何学配置パラメータによりCT前方投影データを使用して、合成トモシンセシス生画像データを生成することと、
後方投影再構成を使用して、生画像データから合成トモシンセシス画像を生成することと、
画像入力として画像認識ソフトウェアパッケージに伝送することと、
X線画像知識に基づいて、胸部画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを判定することと、
出力されたX線画像を知識データベースに格納することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記人工知能訓練が、深層学習ネットワーク又は畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを実装することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信されたX線トモシンセシス画像が結節又は病変を示すかどうかを前記判定することに応答して、前記CT前方及び後方投影プロセスにフィードバック信号を伝送することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムによる人工知能訓練の方法であって、
人工知能訓練のためのシミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用して、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムのセットからX線生画像を取得することと、
臨床的に標準のビューを有するトモシンセシス画像になるように再構成することと、
入力画像として画像認識ソフトウェアパッケージに伝送することと、
X線画像知識に基づいて、前記トモシンセシス画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを判定することと、
出力されたX線画像を知識データベースに格納することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記人工知能訓練が、深層学習ネットワーク又は畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを実装することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記受信されたX線トモシンセシス画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを前記判定することに応答して、前記X線トモシンセシスイメージングシステムにフィードバック信号を伝送することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記フィードバック信号に基づいて、前記X線トモシンセシスイメージングシステム内のフィードバック要素を作動させて、前記X線トモシンセシスイメージングシステムのユーザにフィードバック効果を提供することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記受信されたX線トモシンセシス画像が結節又は病変を示すかどうかを前記判定することに応答して、前記X線トモシンセシスイメージングシステムにフィードバック信号を伝送することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
装置であって、
人工知能訓練のためのヒト患者又は被写体のX線画像を取得するためのインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムのセットと、
前記取得されたX線トモシンセシス画像を受信し、
前記受信されたX線画像が人体内の結節若しくは病変、又は被写体内の欠陥を示すかどうかを自動で判定するように構成されたX線画像認識ソフトウェアパッケージのセットと、を備える、装置。
【請求項10】
前記人工知能訓練が、深層学習ネットワーク又は畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを実装することを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記X線イメージングシステムが、臨床的に標準のビューを有する複数のX線トモシンセシス画像の選択を受信するように動作可能なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記X線画像認識ソフトウェアパッケージが、前記受信されたX線トモシンセシス画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを自動で判定するように動作可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記X線画像認識ソフトウェアパッケージが、前記受信されたX線トモシンセシス画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを判定することに応答して、前記X線トモシンセシスイメージングシステムにフィードバック信号を提供するように更に構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記X線トモシンセシスイメージングシステムが、フィードバック要素を含み、前記X線トモシンセシスイメージングシステムが、フィードバック信号に基づいて、前記フィードバック要素を作動させて、前記X線トモシンセシスイメージングシステムのユーザにフィードバック効果を提供するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
所定の形状を有する弧状レール上で自由に移動する一次モータステージと、
前記一次モータステージと係合し、かつ前記一次モータステージの速度を制御する一次モータと、
各々が前記一次モータステージに取り付けられた複数のX線源と、
前記一次モータステージのためのハウジングを提供する支持フレーム構造と、
X線を受容し、かつX線イメージングデータを伝送するためのX線フラットパネル検出器と、を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
X線源の各X線管上に電気偏向プレートの対を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
X線源のX線管の各々上に1つの磁気偏向コイルヨーク、又は磁気偏向コイルの対のヨークを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記X線源のうちの1つ以上が、所定のスキームを使用して作動され、前記一次モータステージの初期空間位置が、ソフトウェアによって調整可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
人工知能訓練のための既知の結節を有する実際の患者からの取得されたCT胸部3D画像データのセットを選択することと、
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシス幾何学配置でのCT前方投影データを使用して、合成トモシンセシス生画像データを生成することと、
後方投影再構成を使用して、生画像データから合成トモシンセシス画像を生成することと、
画像入力として画像認識ソフトウェアパッケージに伝送することと、
X線画像知識に基づいて、胸部画像が結節又は病変の病態を示すかどうかを判定することと、
出力されたX線画像を知識データベースに格納することと、のためのコードを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項20】
多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムを使用して、X線フルビューで被写体を走査することと、
初期走査後に人工知能を使用して関心領域を位置特定することと、
X線管の各々についての動的コリメーションマップを判定することと、
前記X線管の動き制御に動的コリメーションマップを適用することと、
マルチリーフ動的コリメータを使用して前記関心領域上にのみ限定されたX線ビームで、前記被写体を再走査することと、のためのコードを含む、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年4月30日に出願された仮出願第63182426号、2021年7月28日に出願された仮出願第63226508号、2021年4月2日に出願された仮出願第63170288号、2021年4月16日に出願された仮出願第63175952号、2021年5月27日に出願された仮出願第63194071号、2021年5月14日に出願された仮出願第63188919号、2021年7月23日に出願された仮出願第63225194号、2021年6月11日に出願された仮出願第63209498号、2021年6月25日に出願された仮出願第63214913号、2021年7月12日に出願された仮出願第63220924号、2021年7月16日に出願された仮出願第63222847号、2021年7月22日に出願された仮出願第63224521号、及び2021年1月24日に出願された米国出願第17149133号(当該出願は、2020年1月29日に出願された仮出願第62967325号の優先権を主張する)の優先権を主張し、これらの内容は、参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、X線画像による人工知能(AI)ベースの診断訓練の方法及び装置に関し、より具体的には、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムによる被写体の肺、乳房の疾患又は欠陥識別のための人工知能(AI)ベースの診断訓練の方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
トモシンセシス(デジタルトモシンセシス(DTS)ともいう)は、投影X線撮影と同程度の放射線量レベルで高分解能の限定角度トモグラフィを実行する。トモシンセシスは、血管イメージング、歯科イメージング、整形外科イメージング、マンモグラフィイメージング、筋骨格イメージング、及び肺イメージングを含む、様々な臨床用途のために研究されている。1つの利点は、DTS X線線量レベルがCTイメージング線量レベルよりもはるかに小さいことである。DTSはまた、CTよりもはるかに高速、かつはるかに低コストである。DTSは高速で稼働することができるが、DTSは、診断目的では未だに主に人に依拠している。したがって、オペレーションオーバーヘッドが積み重なって、診断プロセスを遅くすることとなる。
【0004】
X線トモシンセシスイメージングは、典型的には、訓練されたX線専門家によって臨床環境で実行される。臨床的に重要である、診断用X線イメージングのための器官又は他の組織の特定のビューがある。臨床基準は、診断目的に応じて、X線技師が捕捉すべきビューを規定し得る。X線技師は、一般に、X線イメージング機器を適正に操作するために、またX線トモシンセシス画像のグループが取得されたときに肺結節又は乳がんを標準の臨床的視点から認識するために専門的な訓練を必要とする。
【0005】
それにもかかわらず、X線技師によって捕捉されるX線トモシンセシス画像は、典型的には、捕捉された画像が、臨床的に標準のビューを有する肺結節病態又は乳がん病態を十分に示すかどうかを判定するために、医師によって確認される。従来のX線イメージングシステムは、病院又は同様の臨床環境におけるほとんどの患者に好適であり得るが、そのようなシステムは、操作するには、かなりの訓練を必要とする。これは、そのようなX線イメージングの全体的なコストを増加させるであろうし、よく訓練された専門家のみが従来のX線イメージング装置を適正に操作することができるため、一般的な患者への可用性を更に制限する。結果として、従来のX線イメージングシステムの人員訓練は、かなりの量のリソースを必要とする。
【0006】
したがって、全ての人に低コストで高速の肺がんスクリーニング及び乳がんスクリーニングを実行するためには、肺又は乳房の病態を診断するためのはるかに改善されたシステム及び方法を提供することが望ましい。したがって、人工知能(AI)ベースの診断技法が必要になりつつある。人工知能(AI)ベースの診断を実行する前に、知識データベースをセットアップするために、機械学習による人工知能(AI)診断訓練が必要である。
【0007】
CTイメージングは、伝統的に、3D X線画像データの主要な供給源として使用されている。CT画像はまた、患者の幾何学配置の正確な表現を提供する。したがって、CT画像から、人工知能診断訓練目的で合成トモシンセシス画像を導出することもできる。シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用することも、人工知能診断訓練を行うための良い選択肢である。機械学習を行うために、大量の実際のヒトのデータをとる必要もあり得る。
【0008】
人工知能アプローチは、X線画像認識ソフトウェアパッケージを使用して、この種の高速多X線源インモーショントモシンセシスイメージングシステムで捕捉されたX線画像について診断決定を行うことによって特徴付けられる。X線画像認識ソフトウェアパッケージは、巨大な計算能力を必要とし、通常、クラウドAI訓練コンピューティングネットワークで稼働する。X線トモシンセシスイメージングシステムはまた、AI訓練ネットワークから毎月、毎週、又は毎日の頻繁な更新を受信し、したがって、AI訓練ネットワークに記憶されたごく最近開発されたX線画像知識を各更新とともに受信し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムのための診断目的の人工知能ベースの訓練方法が提示される。訓練プロセスはまた、人工知能診断訓練ネットワークを使用してクラウドコンピューティングで実行した。
【0010】
一態様では、人工知能ベースの訓練が、既存のCTデータを用いて実行される。取得されるCT 3D画像は、実際の既知の結節を有する実際の患者からのものである。この場合に、トモシンセシスイメージングシステムの幾何学配置を使用して、X線フラットパネル検出器におけるものと同じようなCT前方投影データを使用して、合成トモシンセシス生画像データを生成することが可能である。後方投影を適用することによって、CT前方投影データを、臨床的に標準のビューで見られるものと同じような合成トモシンセシス画像データに再構成することができる。次いで、実際の注釈付き結節を有する合成トモシンセシス画像データを使用して、人工知能ベースの訓練を実行することができ、知識データベースを更新することができる。この訓練プロセス中にX線ビームは伴わない。したがって、利点は、擬似又は合成トモシンセシス画像などの「擬似トモシンセシス画像」又は「合成画像」が、取得されたCT画像から導出され得る場合に有益であることである。具体的には、教師あり学習アルゴリズムが、既知の入力データのセット、及びそのデータへの既知の応答又は出力を使用し、次いで、モデルを訓練して、新しいデータへの応答についての合理的な予測を生成する。このシステムの利点としては、以下のうちの1つ以上が挙げられ得る。このシステムは、ニューラルネットワーク及びAIを訓練するための、臨床的に標準のビューで肺結節を示すために、現実的でチェックされた合成データを生成する。データは、モデル検証、及びAIモデル訓練、及びデータ増強を含む、多様な目的で使用され得る。合成データは、実際のデータには見られない特定のニーズ又は条件を満たすように作成され得る。このことは、多くの場合に有用である。例えば、医療環境におけるプライバシー要件が、データ可用性及びデータをどのように使用することができるかを制限し得る。プライバシー規則及び他の規制が、実際のデータの使用を制限し得る。他の実施例では、試験される製品について、データが必要とされる。しかしながら、そのようなデータは、利用可能でないか、又は試験者にまだ利用可能でない。機械学習アルゴリズムは、訓練データを必要とする。現実にそのようなデータを生成することはコストがかかり得るため、このことは、放射線学的又は他の医療使用に特に当てはまる。実際の医療データと同一であるデータを生成するための能力は、試験のためのシナリオを作成するための無制限のツールであり得るか、又は開発合成データが、実際のデータに見られる統計的特性を再現することができるが、いまだに実際の患者データを明らかにすることはできない。データ作成は、いまだに未遭遇の条件をシミュレートすることができ、実際のデータが利用可能でないときに、合成データが唯一の取るべき方途である。これらの利点は、データがより複雑になり、かつより厳重に保護されるにつれて、合成データの作成及び使用が増加し続けることとなることを示す。
【0011】
別の態様では、人工知能ベースの訓練が、シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムで実行される。人工知能訓練プロセス中、X線トモシンセシス画像が、既知の場所でシミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用することによって取得される。次いで、結節を有するファントム画像と結節を有さないファントム画像とを比較することによって、人工知能ベースの訓練を実行することができ、知識データベースを更新することもできる。この訓練プロセス中、X線放射は、実際の患者に対してではなく、ファントムに対してのみである。
【0012】
別の態様では、人工知能訓練が、実際の肺結節を有する実際の患者で実行される。第1に、X線トモシンセシス画像が、実際の既知の結節を有する実際の患者から取得される。第2に、X線トモシンセシス画像が、実際の結節を有さない実際の患者から取得される。次いで、結節を有する患者画像と結節を有さない患者画像とを比較することによって、人工知能ベースの訓練を実行することができ、知識データベースを更新することもできる。この訓練プロセス中、X線放射は、患者に対して適用される必要がある。
【0013】
X線画像認識ソフトウェアパッケージは、X線画像知識を受信し、X線トモシンセシスイメージングシステムからの取得されたX線画像を受信し、X線画像知識に基づいて、受信されたX線画像が肺結節又は乳がんの病態を明らかにするかどうかを判定するように構成されている。受信されたX線画像は、更新されたX線画像知識を更に訓練及び開発するためにX線画像認識訓練ネットワークに伝送される。
【0014】
本出願は、添付の図面と併せると、以下の詳細な説明からより完全に理解されるものとなり、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムを例示する。
【
図2】インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムを使用する、患者又は被写体の例示的な診断走査を示す。
【
図3】5つのX線源管による例示的なトモシンセシスイメージングシステム掃引走査幾何学配置を示す。
【
図4】シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用するインモーション多パルス作動線源トモシンセシスイメージングシステムからの取得されたX線画像の集合を示す。
【
図5】CT画像のセットから生成された合成トモシンセシス画像を使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージング走査におけるAI訓練フローチャートを示す。
【
図6】シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムにおける別の代替的なAI訓練フローチャートを示す。
【
図7】実際の患者を使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムにおける別の代替的なAI訓練フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の段落では、添付の図面を参照して、本発明を例として詳細に記載する。この説明全体を通して、示される好ましい実施形態及び実施例は、本発明の限定ではなく例と見なされるべきである。本明細書で使用される場合、「本発明」は、本明細書に記載の本発明の実施形態のうちのいずれか1つ及び任意の均等物を指す。更に、本明細書を通して「本発明」の様々な特徴を参照することは、全ての特許請求される実施形態又は方法が参照される特徴を含まなければならないことを意味しない。
【0017】
しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で詳述される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提供されている。更に、本発明の実施形態を列挙する本明細書の全ての記述、及びその具体例は、構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図されている。追加的に、そのような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物(すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する、開発される任意の要素)と、の両方を含むことが意図されている。
【0018】
図1は、インモーション多パルス作動X線源を使用して高効率かつ超高速の3D X線撮影を実行する例示的なX線イメージングシステムを示す。これを、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1と呼ぶ。複数のパルス作動X線源は、線源のアレイを形成するように運動している構造上に取り付けられている。複数のX線源管6は、グループとして一定速度で、あらかじめ定められた弧状トラック上で、被写体に対して同時に移動する。管のグループは、一次モータステージ3上にあり、移動は、一次モータ2によって制御される。各X線源管は、短距離のX線源管の静止位置の周りで迅速に移動することもできる。各管は、二次モータステージ5上にあり、小さな振動移動が、二次モータ4によって制御される。X線源がグループ速度に等しいが反対の移動方向である速度を有するとき、X線源6及びX線フラットパネル検出器8は、一瞬、静止したままであるように、外部露出制御ユニットを介して作動される。この構成は、各X線源6についての線源移動距離の大幅な短縮をもたらす。3D走査は、はるかに短い時間ではるかに広範な掃引角度をカバーすることができ、画像分析をリアルタイムで行うこともできる。このタイプのX線機は、他のタイプのX線画像機よりもはるかに多くのX線源6を利用して、はるかに高い走査速度を達成する。
【0019】
トモシンセシスイメージングシステムの一実施形態は、4つの重要な部分を有する:デジタルX線撮影システム、3Dスライス投影機器、インモーション多パルス作動線源制御システム、及び画像認識ソフトウェアパッケージ。3Dスキャナは、データ処理のための産業用コンピュータ、信号転送のためのネットワークデバイス、データ分析のための十分な記憶装置を有するコンピュータ、及び処理されたデータを表示するための高性能グラフィックカードを使用する。イメージングシステムは、病院ネットワークに接続され得、中央病院ネットワークに画像ファイルを伝送し得る。このシステムは、患者情報及び診断結果を医師の診療所に伝送することができる。このシステムは、秒単位のショットを達成し、したがって、走査時間を短縮しながら放射線量を低減することができる、複数のパルス作動線源の使用を通じて、X線線量を低減し、診断プロセスを高速化することができる。
【0020】
図2は、患者又は被写体7の診断走査を示す。新しいX線イメージングシステムは、インモーション多パルス作動X線源を使用して、主に肺イメージング又は乳房マンモグラフィのためにX線イメージングを実行する。このシステムは、腕の画像を撮影する必要がない。このシステムは、走査すべき最大120度以上を数秒で容易に撮影することができる。
図2では、複数のX線源6が存在し、患者7は、X線フラットパネル検出器8の前に置かれる。複数のX線源6は、撮像されている身体エリア又は器官の周りで回転される。例えば、患者の肺である。X線イメージング検出器8は、被写体の身体の周りで回転して、異なる角度で各線源位置から複数の線源位置にある複数の線源画像を捕捉し、かつこれらを複数の線源生画像としてコンピュータ記憶装置に格納するように設計されている。複数の線源位置から、画像は、結節に関するより多くの情報を形成するように、更に処理される。例えば、情報をマルチビュー検出器及び線量低減検出器と組み合わせることができる。更なる処理は、データセットの登録、セグメント化、背景モデリング、被写体分類、3D再構成、視覚化、nなどの、コンピュータビジョンを伴い得る。コンピュータビジョンは、これらの診断をより自動的で、より費用対効果の高いものにするであろう。電子X線イメージング検出器は、通常、固体イメージセンサの列で構成され、追加のフィルタ、更にはイオン化チャンバの列を備えることがあり、いくつかの場合では、シンチレーション材料までも備える。電子X線イメージング検出器は、X線光子を電子に変換することとなり、次いで、電子は、全て使用される技術に依存してセンサによって受信される放射線の強度に対応するデジタル値に変換されることとなる、アバランシェフォトダイオードで作製されることがあるフォトダイオードの列、又はCCD CMOSセンサの列を有するであろう。
【0021】
診断X線撮影処置室内の患者7は、検査テーブル上に横たわっている。患者は、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1によるイメージングを受けている。トモシンセシスイメージングシステムは、トモシンセシスイメージングシステムを患者の上に位置付け、かつガントリを支持する外部支持体を含み得る。
【0022】
図3は、5つのX線源管6による例示的な掃引走査幾何学配置を示す。
図3は、各々が総距離の5分の1のみ移動することによって25セットの投影データを撮影する例示的な5つのX線源管構成を例示している。この実装態様では、並行して動作している5つのX線源管6が存在し、5つのX線源管6は、異なる角度位置で合計25回のX線露出を実行する。しかし、各二次モータステージ5は、合計のカバーされる角度の5分の1移動するだけでよい。したがって、複数のX線源管6が並行して動作して、わずかな時間で大量の投影データを取得することができる。X線フラットパネル検出器8を、X線受容機として機能させる。肺デジタルトモシンセシスは、短い露出時間で視野全体から断層画像データのセットの取得を可能にする。電子信号は、常に、機械的な運動よりも高速に進行するため、ボトルネックは、常に、機械的な側面からのものである。
【0023】
図4は、シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用するインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1からの取得されたX線画像を示す。X線トモシンセシス画像の表示は、臨床的に標準のビュー又は臨床的に望ましいビューを伴う。この種の画像表示は、放射線科医及び医師のほとんどに受け入れられている。走査9の始めに取得されたX線トモシンセシス画像は、最上部にあり、走査10の終りに取得されたX線トモシンセシス画像は、最下部にある。このことは、トモシンセシス肺画像が実際には視野角が限定された3D画像であることを明らかにする。肺トモシンセシスでは、X線管が肺の上を弧状に移動し、異なる角度から肺の複数の画像を捕捉する。次いで、これらのデジタル画像は、コンピュータによって三次元画像のセットに再構成されるか、又は「合成される」。肺デジタルトモシンセシスは、X線撮影イメージングと比較して解剖学的構造の可視性を向上させる限定角度の画像断層撮影である。肺デジタルトモシンセシスの限定された取得角度に起因して、肺デジタルトモシンセシスは、一方向の分解能の低下を犠牲にして、患者の調査の時間分解能を大幅に向上させる潜在を有する。肺デジタルトモシンセシスは、従来のX線撮影と比較して、肺結節を識別するのに数倍効果的であり、定期的な胸部コンピュータ断層撮影(CT)検査と比較して低線量及び低コストである。インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1は、非常に短時間で大量の高品質の3D X線イメージングデータを生成することができる。それらのX線画像は、放射線科医によって1つずつ観視及び検査され得るが、この機械は、人工知能(AI)が読み取り、かつ迅速な診断決定を下すように設計されている。
【0024】
X線トモシンセシスイメージングシステムは、典型的には、各X線画像が患者の器官又は他の組織の薄いスライスを表す、三次元3D X線画像のセットを生成する。X線トモシンセシスイメージングシステムは、多くの場合、前方、後方、及び側方の画像を含む追加のビューを取得する。3D X線画像のセットは、見る方向が患者の周りで回転するにつれて、順番に表示されるか、又は単一の複合ビューに組み合わされ得る。例えば、肺がんスクリーニングは、患者の肺の少なくとも1つの完全な葉の適切な視覚化を示すX線画像を捕捉することを必要とする。臨床的許容性の判定は、様々であり得、判定が、解剖学的構造、又はパターンで画像を走査することに基づくかどうかにかかわらず、種々のシステムが存在する。
【0025】
X線検出器8は、X線を感知し、関心領域の場所を示す情報を提供する、X線感知要素のアレイを有する。情報は、この場所を判定するためにデジタル化され得るか、又は別様に処理され得る。記憶デバイスが、トモシンセシスイメージングシステムによって生成された画像を表すデータを記憶する。この記憶されたデータは、トモシンセシスイメージングによって取得された画像情報と、データセット内の他の画像に対する取得された各画像の位置を示す対応するスライス場所データとを含む。これらのデータは、ニューラルネットワークなどの人工知能アルゴリズムを訓練するために使用される。人工知能システムは、メモリに結合された少なくとも1つの処理要素からなる。処理要素は、ユーザインターフェースを介して少なくとも1人のユーザから入力データを受信するように構成され得る。入力データは、医療用X線画像、及び又は患者の肺若しくは胸部で検出された結節若しくは腫瘍を表す画像を含み得る。加えて、処理要素は、本明細書に記載の機能を実行するように構成されてもよい。例えば、処理要素は、画像を基準画像又は所定の診断基準と比較するように構成されてもよい。好適な処理要素が、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせを実行する汎用コンピュータによって提供されてもよい。
【0026】
患者走査から潜在的な医療問題を識別する速度及び精度を向上させるために、人工知能(AI)が適用される。性能を改善し、かつコストを低減するために、好ましい実施形態は、データ取得を実行し、かつ診断意思決定を行うための診断ツールとしてAIを適用する。AIがインモーション多パルス作動線源トモシンセシスイメージングシステムで意思決定者として使用される前に、まずAIが訓練されなければならない。まずAIプログラムを訓練する必要がある。AIソフトウェアは、肺野限局性すりガラス(GGO)結節及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)結節を含む、刺激された肺結節を有するトモシンセシスイメージングシステム又は擬人化胸部ファントムからの生データからの再構成によって作成された仮想画像を使用して、訓練データセットを得る。擬人化ファントムは、正常な生物有機体と同様の組織特性を有する材料で作製されている。擬人化ファントムの制限された可用性と、実際の患者との類似と、に起因して、擬人化ファントムを、様々なタスクに使用することができる。
【0027】
人工知能(AI)又は機械学習モデルは、人間の専門家が同じ情報を提供されたときと同じ結果又は予測に至るように訓練された数学的アルゴリズムである。深層学習ニューラルネットワーク、又は人工ニューラルネットワークは、データ入力、重み、及びバイアスの組み合わせを介してヒトの脳を模倣しようとする。これらの要素は、データ内の被写体を正確に認識、分類、及び記述するために連携して機能する。深層学習は、機械学習のサブセットであり、機械学習は、それ自体が人工知能(AI)のサブセットである。深層ニューラルネットワークは、システムがノードの多くの層を使用して入力情報から高レベル関数を導出するときの機械学習のタイプを表す。深層学習の「深層」とは、ニューラルネットワークが経時的に蓄積する多層を指し、ネットワークが深くなるにつれて性能が向上する。畳み込みニューラルネットワークは、入力X線トモシンセシス画像を取り込み、X線トモシンセシス画像内の様々な態様又は被写体に学習可能な重み及びバイアスによって重要度を割り当て、かつ一方を他方から区別することが可能であり得る、深層学習アルゴリズムである。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、最も一般的なニューラルネットワークアーキテクチャのうちの1つである。CNNは、X線トモシンセシス画像処理において非常に有用である。機械学習は、コンピュータが少ない人間の介入で思考及び行動することができることに関し、深層学習は、コンピュータがヒトの脳をモデルにした構造を使用して思考することを学習することに関する。深層学習は、機械学習が容易に行うことができない方途でX線トモシンセシス画像を分析することができる。
【0028】
がん性病変又は任意の他の種類の病変を検出するために、X線トモシンセシス画像を処理することができる訓練されたAIソフトウェアを用いると、X線走査画像の放射線科医の確認を大幅に低減して、医師の作業負荷を低減することができる。結果のAI認識によるトモシンセシスイメージングは、特に、CT走査を受けるには過度に高齢又は病気の患者にとって、時間及びコストを節減するであろう。AIシステムを訓練するために、以下で詳述されるように、3つの方法が
図5~7に開示される。
【0029】
AI訓練の方法1として、
図5は、CT画像から生成された合成トモシンセシス画像を使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージング走査におけるAI訓練フローチャートを示す。CTは、高費用及び高X線線量で、はるかに広範囲にわたるデータを得ることができる。CT注釈付き前方投影であれば、仮想ファントムを作成するであろう。人工知能(AI)画像認識訓練について、実際の患者の生データが利用可能でない場合、既知の結節を有する注釈付きCT肺画像を使用することが可能である。CT肺画像の前方投影は、トモシンセシスイメージングシステム幾何学配置のための仮想被写体ファントムとして作用することができる。前方投影データは、X線検出器での生データと同等である。次いで、前方投影データから、後方投影を行って、臨床的に標準のビューを有する訓練データセットとしての3Dトモシンセシスイメージングを生成することが可能である。
【0030】
典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムの幾何学配置は、X線源から検出器までの距離、X線源から被写体までの距離、X線走査掃引角度、X線フラットパネル検出器のサイズ及び増分角度などを含み、コーンビーム投影幾何学配置は、
図1で識別され得る。前方投影を、それらの幾何学配置パラメータを使用して数学的に実行することができる。
【0031】
CT前方投影データ及び後方投影を使用してトモシンセシス画像を生成することは、同様の組織減衰を使用してトモシンセシス画像を得ることができるという事実に基づく。1つの方法では、プロセスは、CT走査画像セットを作成するための厚さ補正を伴う前方投影と、それらのデータセットをトモシンセシス画像フォーマットに再構成するための逆投影再構成と、を使用する。この方法の1つの利点は、前方投影イメージングの高精度に起因するX線線量の正確な知識でトモシンセシス画像が作成されることであり、別の利点は、トモシンセシスイメージングの速度が比較的高速であることである。訓練データセットは、入力としてインテリジェンス(AI)画像認識訓練ネットワークに送信される。次いで、訓練出力は、画像知識データベースとして格納される。方法1では、トモシンセシスイメージングシステムにおける実際のX線ビーム活動はない。
【0032】
次に、CT画像データセットから仮想患者を作成するプロセスを詳述する。CT画像及び3DファントムCT画像の登録は、一実施形態において、少数の解剖学的特徴に基づいてポイントツーポイントマッチングを使用して、擬人化ファントムに登録され得る。例えば、典型的には患者1人当たり4又は5ポイントである、CT画像を基準ボリュームに位置整合させるのを助けるファントム上のエッジであれば、位置整合に十分であろう。ただし、精度を改善するために、より多くのポイントを使用することができる。このプロセスは、固定されたランドマークではなく、変形可能なテンプレートでも機能するべきである。このステップの出力は、各患者のCT画像データセットに対応する患者固有の標的ボリュームのグループになる。各標的ボリュームについて、前方投影データセット及び後方投影データセットがあることとなる。これらの標的ボリュームは、本質的に、同じ幾何学配置を表すが、CT走査プロセスから結果として生じる種々のレベルのボクセル密度によって特徴付けられるマテリアルを伴う、各患者のCT画像データセットの代用物である。マテリアル値は、標的ボリューム内の全てのボクセルについて推定され得る。骨と軟組織との間の界面におけるマテリアル値の正確な推定値を得るために、標的ボリュームを平滑化することが望ましい場合がある。
【0033】
AI訓練の方法2として、
図6は、シミュレートされた肺結節を有する擬人化胸部ファントムを使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムにおける別の代替的なAI訓練フローチャートを示す。肺結節は、訓練データセットを得るために、肺野限局性すりガラス(GGO)結節及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)結節を含む。擬人化ファントムは、正常な生物有機体と同様の組織特性を有する材料で作製されている。擬人化ファントムの制限された可用性と、実際の患者との類似と、に起因して、擬人化ファントムを、多様なタスクに使用することができる。GGO結節及びCOPD結節は、画像認識ソフトウェア及び正しい診断を得るための主要なタスクである。胸部ファントムを、前後胸部ビューなどの、標準の又は処方されたビューにすることができる。これらのシミュレートされた結節を使用して、システムは、トモシンセシスイメージングシステム用のいくつかのデータベース画像を構築し、各訓練データセットに対して異なる数の結節及び異なる場所の結節による異なる訓練データセットを得ることができる。最大尤度推定(MLE)を使用して、取得された画像をもたらす通常の構造の対応する数が判定される。MLEは、取得プロセスの数学モデルを作成することによって、取得されたX線画像について統計的に可能性が高いパラメータを識別するために使用される。X線画像がどのような統計的分布に入る可能性が最も高いかを判定し、かつ仮定されたモデルを与えられた画像の尤度を評価して、次いで、この知識ベースを、X線画像の将来の解釈及び意思決定のためにシステムにフィードバックすることができる。そのような訓練された人工知能学習ネットワークは、次いで、放射線科医と連携して、又は誤診を防止するために所望される任意の追加の能力で、独立して動作し得る。提示された方法は、提示された方法によって生成された画像について臨床的意思決定がなされる前に、あらかじめ指定された基準を満たすことを必要とする。擬人化胸部ファントム訓練データセットは、入力としてインテリジェンス(AI)画像認識訓練ネットワークに送信される。深層学習システムを訓練するためには、ファントム患者データを現実的に生成しなければならない。次いで、訓練出力は、画像知識データベースとして格納される。方法2では、X線ビームの動作はは、人ではなくファントムでのみ起こる。CTの結果とファントムの結果とを比較して、機械学習を改善することができる。
【0034】
AI訓練の方法3として、
図7は、実際の患者を使用する典型的なインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1における別の代替的なAI訓練フローチャートを示す。実際の患者を使用して訓練データセットを撮るとすれば、かなりの労力が必要であろう。例えば、1000人の患者、既知の結節を有する500人の患者、及び結節を有さない500人の患者が存在することが望ましい。課題は、十分な患者がいないことがあることである。訓練データセットは、入力としてインテリジェンス(AI)画像認識訓練ネットワークに送信される。次いで、訓練出力は、画像知識データベースとして格納される。方法3では、X線ビーム動作は、実際に人で起こることとなる。典型的には、結節を有さない実際の患者からX線トモシンセシス画像を取得することは、かなりの労力及び多くのリソースを要し得る。これらのデータを更に処理して、abcdefgなどのような、いくつかのグループにデータをセグメント化することによって、訓練データセットにすることとなる。その場合に、各グループは、前方投影及び後方投影のセグメント化された画像abcdefgなどを有するであろう。このプロセスの後、それらを、abcdefgなどとラベル付けすることができる。画像をラベル付けした後、それらは、肺野限局性すりガラスGGO結節及び慢性閉塞性肺疾患COPD結節の両方を含む2つのグループA及びBに分割され、X線画像認識ソフトウェアの訓練データセットとして、及び更にはAIシステムのX線画像知識を開発するために、使用され得る。ファントムの結果と実際の患者の結果とを比較することができる。後続の臨床応用における自動結節検出及び偽陰性率の精度を改善するなどのための、限られた数の訓練データセットを取得すること。また、より良好な性能を与え得る、より多くの利用可能な臨床画像で深層学習モデルを訓練する。したがって、本発明には、はるかに高い分解能を与え、かつ臨床状況で何が起こることとなるかをシミュレートし得る、シミュレートされた患者からの前方投影訓練のために各生CT画像を注釈付けするための工数時間のコストを排除するなどの、いくつかの利点がある。例えば、我々が数時間の作業時間を伴う画像のみを有する心臓CT症例について、心臓CT症例を使用することは、注釈付けするのにより多くの時間がかかるであろうが、シミュレートされた患者では、数分あればよく、かつ注釈付けを何回行うべきかに制限がなく、より多くの臨床症例からの訓練によって、深層学習ネットワークを使用してより良好な結果を達成する。
【0035】
外部露出制御ユニットが、訓練ネットワークからデータを受信し、かつ放射線量を、AIベースのX線画像認識訓練ネットワークの最適な開発を提供するレベルに調整するように構成されてもよい。外部露出制御ユニットは、放射線量の所望の調整を実行することができる任意のユニット又はユニットの組み合わせであってもよい。一例として、外部露出制御ユニットは、イメージングシステムの一体部分であってもよいし、イメージングシステムに接続された、図示されない別個のユニットであってもよい。有線接続又は無線接続を介して、インモーション多パルス作動線源トモシンセシスイメージングシステムの実施形態は、X線訓練画像を受信するように、かつX線画像知識ベースを開発するように構成された、人工知能ベースのX線画像認識訓練ネットワークを含む。受信されたX線訓練画像上で、X線イメージングシステムは、患者からX線画像を取得し、トモシンセシスイメージングシステムは、X線画像認識ソフトウェアパッケージを含む。X線画像認識ソフトウェアパッケージは、X線画像知識を受信し、かつX線イメージングシステムから、取得されたX線画像を受信するように構成されている。X線画像知識に基づいて、X線画像認識ソフトウェアパッケージは、臨床的に標準のビューが正常な機能を示すかどうかを判定する。受信されたX線画像は、更新されたX線画像知識ベースの更なる訓練及び開発のためにX線画像認識訓練ネットワークに伝送される。
【0036】
1つ以上の方法を使用する単一のトモシンセシスイメージングシステムは、開発されたX線画像知識に関する入力を受信することができる。入力情報は、訓練ネットワークによって分析された画像から得られた訓練知識などであるが、これに限定されない、知識に関する任意の情報を含むことができる。このようにして、取得されたX線画像知識と協働するX線画像認識ソフトウェアパッケージが、臨床的に標準のビューを有する画像が肺の正常な健康状態を示すかどうかを判定し得る。いくつかの実施形態では、X線データ情報システムは、X線訓練画像を受信するように、かつ受信されたX線訓練画像に基づいてX線画像知識を開発するように構成された、X線画像認識訓練ネットワークを含む。
【0037】
トモシンセシスイメージングシステムは、患者のインモーション多パルス作動線源X線画像取得に使用される。取得された画像は、各投影画像が、特定の取得角度からの取得された画像のX線ベースの前方投影を表す、投影画像を含む。投影画像を訓練データセットとして使用することによって仮想ファントムを生成して、X線画像知識及び画像認識ニューラルネットワークモデルを開発する。開発された画像認識ニューラルネットワークモデルを使用して、任意選択で、トモシンセシス画像を再構成することができる。人工知能ソフトウェアパッケージは、生成されたトモシンセシス画像を受信し、更新されたX線画像知識を取得して、任意選択で、更に更新されたトモシンセシス画像を生成する。生成されたトモシンセシス画像は、画像認識ニューラルネットワークモデル及び又は人工知能ソフトウェアパッケージを使用して画像認識ニューラルネットワークモデルを更新するために、人工知能ソフトウェアパッケージに伝送される。X線技師は、適切な取得角度を選択して、患者の臨床的に標準のビューを示す患者の選定されたトモシンセシス画像を提供することができる。
【0038】
検証された訓練データにより、AIシステムを訓練することができる。動作中、患者データが、撮影X線取得システムに入力される。システムは、少なくとも1つの投影平面における、患者からの少なくとも1つのX線画像を取得するように構成されている。ここで、X線画像は、X線イメージングデバイスによって取得された少なくとも1つの画像ボリュームから前方投影された、及び又は後方投影された、及び又は再構成された、のうちの少なくとも1つである。トモシンセシス画像再構成モジュールが、患者の少なくとも1つのX線画像から、器官又は他の組織のX線画像を再構成するように構成されている。X線画像解析モジュールが、肺又は他の組織における結節の分布を判定するように構成されている。人工知能モジュールが、結節の判定された分布に基づいてX線画像知識を作成するように構成されている。コンピュータシステム上で稼働するソフトウェアパッケージが、X線訓練画像を受信するように、かつ受信されたX線訓練画像に基づいてX線画像知識を開発するように構成された、人工知能AI訓練ネットワークを含む。ソフトウェアパッケージは、X線画像認識ソフトウェアパッケージも含む。X線画像認識ソフトウェアパッケージは、X線画像知識を受信し、X線イメージングデバイスから、取得されたX線画像を受信し、X線画像知識に基づいて、臨床的に標準のビューが正常な機能を示すかどうかを判定するように構成されている。
【0039】
結果として得られたシステムを使用して、診断を高速化することができる。肺がんスクリーニングX線画像を捕捉するとき、放射線技師は、従来、例えば、患者の左肺の全体を示す画像を取得する。次いで、放射線科医がX線画像を確認し、必要に応じて、X線技師に、患者の右肺全体を示す追加のX線画像を作像させることとなる。このプロセスは時間がかかることから、そのことは、肺がんの診断に大幅な遅延を加える可能性がある。X線画像の適切な組み合わせが、患者の肺のどの部分が鮮明であり、かつ結節などの異常がないかを示すこととなる。上で記載されたプロセスを使用して、合成ファントムとしても知られている擬人化胸部ファントムで訓練されたAIシステムは、診断イメージング機器の動作を改善することができる。
【0040】
次に、インモーション多パルス作動線源トモシンセシス画像認識及び学習アルゴリズムのための方法について記載する。人工知能を使用するインモーション多パルス作動線源トモシンセシス画像認識のための方途は、X線イメージングデバイスから複数のX線画像を受信することを含む。複数のX線画像は、X線源が被写体を横切って走査する間に、訓練データとして取得される。システムは、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシス画像認識システムに訓練データを提供する。人工知能をインモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステムの診断ツールとして使用することは、人工知能(AI)を使用して、トモシンセシス画像を可能な限り捕捉し、トモシンセシス画像をAIモジュールに送信し、AIモジュールは、単一の結節検出手段、腫瘍クラスタ検出、及び誤検出を拒否するなどの様々なアルゴリズムを適用する。
【0041】
上記の説明から、本発明の実施形態は、インモーション多パルス作動X線源トモシンセシスイメージングシステム1、及びX線画像認識方法のための人工知能訓練ネットワークを使用することがわかる。このプロセスは、2つの部分で構成されている。一方は、X線訓練画像に基づいて、X線画像知識を開発することであり、他方は、以前のX線訓練画像を使用して開発されたX線画像知識の更新によって、新しいX線画像及び取得されたX線画像を認識するプロセスを継続することによって、そのような更新されたX線画像知識を作成することである。信頼できるX線画像知識ベースを作成することによって、この方法は、後続の診断プロセスの効率を更に高めることができる。更に、開発されたX線画像知識は、より多くのX線画像が受信されると継続的に更新され、したがって、解剖学的構造及び生理学の変化に適応することができる。
【0042】
本発明は、様々な例示的な実施形態及び実装態様の観点で上で記載されたが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載の様々な特徴、態様、及び機能性は、それらが記載されている特定の実施形態への適用に限定されず、代わりに、単独で又は様々な組み合わせで、本発明の他の実施形態のうちの1つ以上に適用され得ることを理解されたい。そのような実施形態が記載されるか否か、及びそのような特徴が、例示される実施形態の一部として提示されるか否か。したがって、本実施形態の広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【国際調査報告】