(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ユーティリティ通信ネットワークのための動的処理分配
(51)【国際特許分類】
H04L 67/101 20220101AFI20240326BHJP
H04L 43/0852 20220101ALI20240326BHJP
H04L 67/125 20220101ALI20240326BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240326BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04L67/101
H04L43/0852
H04L67/125
G06Q50/06
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560402
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022022370
(87)【国際公開番号】W WO2022212395
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】トーピー,キース マリオ
(72)【発明者】
【氏名】カールガード,マシュー ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ジェイムズ ランドール
(72)【発明者】
【氏名】カルドソ,ルーベン イー サラサール
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064CB21
5G064DA03
(57)【要約】
ユーティリティ通信ネットワークにエッジインテリジェンスを実装する技術が提供される。例えば、システムにはメッシュネットワークと、メッシュネットワークを管理するように構成されたユーティリティフォグが含まれる。ユーティリティフォグには、プライベートユーティリティアプリケーションを実行するように構成された安全なユーティリティシステムと、ソフトウェアアプリケーションの第1のサブセットを実行するように構成された第1のエッジインテリジェンスデバイスが含まれる。各ソフトウェアアプリケーションは、メッシュネットワーク内のエンドポイントを管理したり、メッシュネットワークによって収集されたデータを処理したりするように構成されている。メッシュネットワークは、エンドポイントと、ソフトウェアアプリケーションの第1のサブセットとは異なるソフトウェアアプリケーションの第2のサブセットを実行するように構成されたエッジインテリジェンスデバイスとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーティリティフォグと、
別のネットワークを介して該ユーティリティフォグと通信するメッシュネットワークと
を含む、システムであって、
ユーティリティフォグは、
プライベートユーティリティアプリケーションを実行するように構成された安全なユーティリティシステムであって、プライベートユーティリティアプリケーションは、該安全なユーティリティシステムによって排他的に実行される、安全なユーティリティシステムと、
複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第1のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第1のエッジインテリジェンスデバイスであって、複数のソフトウェアアプリケーションの各アプリケーションは、前記ユーティリティフォグによって管理されるメッシュネットワーク内の1つ以上のエンドポイントによって収集されるデータを処理する、または、1つ以上のエンドポイントを管理するように構成されている、第1のエッジインテリジェンスデバイスと
を含み、
前記メッシュネットワークは、
前記メッシュネットワークを介して互いに通信し、リソース分配ネットワークの特性を測定するデータを収集するように構成された、複数のエンドポイントと、
複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第2のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第2のエッジインテリジェンスデバイスと、
複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第3のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第3のエッジインテリジェンスデバイスであって、第1の、第2の、および第3のサブセットのアプリケーションは、異なるものである、第3のエッジインテリジェンスデバイスと
を含み、
前記複数のエンドポイントのうちのエンドポイントは、更に、
特定のアプリケーションに対するタスク要求を、少なくとも前記第2のエッジインテリジェンスデバイスおよび前記第3のエッジインテリジェンスデバイスに送信することであって、前記第2のサブセットのアプリケーションおよび前記第3のサブセットのアプリケーションの両方が、特定のアプリケーションを含み、タスク要求が、特定のアプリケーションによって処理されるべきデータ、および、前記第2のエッジインテリジェンスデバイス並びに前記第3のエッジインテリジェンスデバイスによって夫々処理されるべきデータの部分を指定するタスク割り当てリストを含む、送信することと、
前記第2のエッジインテリジェンスデバイスおよび前記第3のエッジインテリジェンスデバイスから処理結果を受信することと
を行うように構成される、システム。
【請求項2】
前記ユーティリティフォグは、地域フォグと通信し、
前記地域フォグは、前記複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第4のサブセットのアプリケーションを実行するように構成されたフォグデバイスを含み、
前記第4のサブセットのアプリケーションは、第1の、第2の、または第3のサブセットのアプリケーションとは異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メッシュネットワークは地域フォグと通信し、
前記メッシュネットワーク内のエッジインテリジェンスデバイス若しくはエンドポイントは、前記フォグデバイスのアプリケーションを実行させるように構成されている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
一のサブセットのアプリケーションが、他のサブセットのアプリケーションに含まれないアプリケーションまたはアプリケーションインスタンスを含む場合、2つのサブセットのアプリケーションは異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
第1の、第2の、または第3のサブセットのアプリケーションの1つは、同じアプリケーションの少なくとも2つのインスタンスを、含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のエンドポイントのうちのエンドポイントは、前記複数のソフトウェアアプリケーションのうちのソフトウェアアプリケーションを、実行するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のエッジインテリジェンスデバイスは、更に、
処理するためのデータを受信することと、
前記データを受信する時刻と、前記データが送信される時刻との差が、閾値以下であると判定することに基づいて、受信されたデータがタイムリであると判定することと、
受信されたデータがタイムリであると判定することに応答して、第2のセットのアプリケーションの1つ以上を実行することによりデータを処理することと、
受信されたデータがタイムリでないと判定することに応答して、データを破棄することと
を行うように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プライベートユーティリティアプリケーションは、
第1、第2、若しくは第3のエッジインテリジェンスデバイス上のアプリケーション若しくはアプリケーションインスタンスを更新させることと、
新しいアプリケーションまたは新しいアプリケーションインスタンスを第1、第2、若しくは第3のエッジインテリジェンスデバイス上にインストールさせることと、並びに、
既存のアプリケーション若しくは既存のアプリケーションインスタンスを第1、第2、若しくは第3のエッジインテリジェンスデバイスから除去させることと
のうちの1つ以上を実行するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユーティリティフォグは、更に、
前記複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第5のサブセットのアプリケーションを実行するように構成されたクラウドコンピューティングシステムと通信する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2のエッジインテリジェンスデバイスまたは前記第3のエッジインテリジェンスデバイスは、メッシュネットワークルータまたはゲートウェイデバイスに統合されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
通信デバイスと、処理デバイスと、メモリとを含む、エッジインテリジェンスデバイスであって、
複数のネットワークインタフェースを含む前記通信デバイスは、
複数のユーティリティ通信ネットワーク内のデバイスと通信するように構成され、
該複数のユーティリティ通信ネットワークのうちの、第1のユーティリティ通信ネットワークは、第1のリソース分配ネットワークに関連付けられ、第1のユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントは、第1のアセットタイプを有し、第1のネットワークプロトコルを使用して交互に通信し、
前記複数のユーティリティ通信ネットワークのうちの、第2のユーティリティ通信ネットワークは、第2のリソース分配ネットワークに関連付けられ、第2のユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントは、第2のアセットタイプを有し、第2のネットワークプロトコルを使用して交互に通信し、
前記第1のリソース分配ネットワークは前記第2のリソース分配ネットワークと異なり、前記第1のネットワークプロトコルは前記第2のネットワークプロトコルと異なり、前記第1のアセットタイプは前記第2のアセットタイプと異なるものであり、
前記通信デバイスは、更に、
複数のユーティリティ通信ネットワークの、夫々のユーティリティフォグと通信するように構成され、
前記処理デバイスは、
コンピュータ可読命令を実行するように構成され、並びに、
前記メモリは、
複数のソフトウェアアプリケーションと、コンピュータ読取可能な命令とを記憶するように構成され、
前記コンピュータ可読命令は、前記処理デバイスにより実行されると、前記処理デバイスにおいて、
第1のネットワークプロトコルに従って、第1のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されたデータを解析することと、
第2のネットワークプロトコルに従って、第2のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されたデータを解析することと、
第1のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されるデータを処理するべく複数のソフトウェアアプリケーションのうちの少なくとも1つを実行することと、
第2のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されるデータを処理するべく複数のソフトウェアアプリケーションのうちの1つ以上を実行することと、
第1のユーティリティ通信ネットワークからの処理されたデータに基づいて第1のメッセージを生成し、第1のネットワークプロトコルに従って第1のユーティリティ通信ネットワークを介して第1のメッセージを送信することと、
第2のユーティリティ通信ネットワークからの処理されたデータに基づいて第2のメッセージを生成し、第2のネットワークプロトコルに従って第2のユーティリティ通信ネットワークを介して第2のメッセージを送信することと、
を含む、動作を実行させるものである、
エッジインテリジェンスデバイス。
【請求項12】
第1のメッセージが、第1のユーティリティ通信ネットワークのエンドポイント、または第1のユーティリティ通信ネットワークを管理するように構成された第1のユーティリティフォグに送信され、
第2のメッセージが、第2のユーティリティ通信ネットワークのエンドポイント、または第2のユーティリティ通信ネットワークを管理するように構成された第2のユーティリティフォグに送信される、
請求項11に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項13】
前記動作は、更に、
ソフトウェアアップデートを受信することに応答して、ソフトウェアアプリケーションのソフトウェアアップデートを使用して、エッジインテリジェンスデバイスにインストールされたソフトウェアアプリケーションをアップデートすることと、
ソフトウェアアプリケーションを除去するコマンドを受信することに応答して、エッジインテリジェンスデバイスからソフトウェアアプリケーションを除去することと、または、
新しいソフトウェアアプリケーションを追加するコマンドを受信することに応答して、新しいソフトウェアアプリケーションをエッジインテリジェンスデバイスにインストールすることと
のうちの1つ以上を含む、
請求項12に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項14】
前記複数のソフトウェアアプリケーションは、前記第1のユーティリティ通信ネットワークから受信されるデータを処理するために排他的に使用されるアプリケーションを含み、
該ソフトウェアアプリケーションへのソフトウェアアップデートは、第1のユーティリティ通信ネットワークを介して第1のユーティリティフォグから受信され、若しくは、
該ソフトウェアアプリケーションは、第1のユーティリティフォグから第1のユーティリティ通信ネットワークを介してエッジインテリジェンスデバイスに送信され、または、
該ソフトウェアアプリケーションは、第1のユーティリティ通信ネットワークを介して第1のユーティリティフォグからソフトウェアアプリケーションを除去するコマンドを受信することに応答して、エッジインテリジェンスデバイスから削除される、
請求項13に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項15】
第1のユーティリティ通信ネットワークがメッシュネットワークであり、
第1のリソース分配ネットワークが電力分配ネットワークであり、
第1のユーティリティ通信ネットワークのエンドポイントが電力メータである、
請求項11に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項16】
第2のユーティリティ通信ネットワークがLoRaWANネットワークであり、
第2のリソース分配ネットワークがガス分配ネットワークまたは水分配ネットワークであり、
第2のユーティリティ通信ネットワークのエンドポイントがガスメータまたは水道メータである、
請求項15に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項17】
前記動作は、更に、
第1のネットワークプロトコルに従って追加データを受信して解析することと、
第2のネットワークプロトコルに従って第3のメッセージを生成して送信することと
を含む、
請求項15に記載のエッジインテリジェンスデバイス。
【請求項18】
複数のエンドポイントと、複数のエッジインテリジェンスデバイスとを含む、メッシュネットワークであって、
複数のエンドポイントは、メッシュネットワークを介して互いに通信し、メッシュネットワークに関連付けられたリソース分配ネットワークの特性を測定するデータを収集するように構成されており、
複数のエッジインテリジェンスデバイスの各々は、複数のソフトウェアアプリケーションのうちのソフトウェアアプリケーションのサブセットを実行するように構成されており、
複数のソフトウェアアプリケーションの各ソフトウェアアプリケーションは、複数のエンドポイントのうちの1つ以上のエンドポイントにより収集されるデータを処理するように、または、1つ以上のエンドポイントを管理するように、構成されており、
第1のエッジインテリジェンスデバイス上の、第1のサブセットのソフトウェアアプリケーションは、第2のエッジインテリジェンスデバイス上の、第2のサブセットのソフトウェアアプリケーションの第2のサブセットとは異なものであり、
複数のエンドポイントのエンドポイントは、更に、
特定のアプリケーションに対するタスク要求を、少なくとも第1のエッジインテリジェンスデバイスおよび第2のエッジインテリジェンスデバイスに、送信することであって、第1のサブセットのソフトウェアアプリケーションおよび第2のサブセットのソフトウェアアプリケーションの両方が、前記特定のアプリケーションを含み、前記タスク要求が、前記特定のアプリケーションによって処理されるべきデータ、並びに、第1のエッジインテリジェンスデバイスおよび第2のエッジインテリジェンスデバイスによって夫々、処理されるべきデータの部分を指定するタスク割り当てリストを含む、送信することと、
第1のエッジインテリジェンスデバイスと第2のエッジインテリジェンスデバイスから処理結果を受信することと
を行うように構成される、
メッシュネットワーク。
【請求項19】
第1または第2のサブセットのソフトウェアアプリケーションの、1つは、同じソフトウェアアプリケーションの少なくとも2つのインスタンスを含む、
請求項18に記載のメッシュネットワーク。
【請求項20】
前記複数のエンドポイントのうちのエンドポイントは、前記複数のソフトウェアアプリケーションのうちのソフトウェアアプリケーションを実行するように構成される、
請求項18に記載のメッシュネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電力分配ネットワークのメッシュネットワークなどのユーティリティ通信ネットワークに関し、より詳細には、ユーティリティ通信ネットワークの動的処理分配の実装に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のユーティリティ通信ネットワークは、制御機能とほとんどのデータ分析機能がヘッドエンドシステムに集約された集中型のコマンドアンドコントロールアーキテクチャで構成されている。ユーティリティ通信ネットワークのネットワーク機器は、単にルータとして機能し、ユーティリティ中央ヘッドエンドシステムとエンドポイントを接続する。データやメッセージは、ユーティリティ通信ネットワークを介してエンドポイントからヘッドエンドシステムに送られ、レスポンスはユーティリティ通信ネットワークを介してエンドポイントに戻らなければならない。エンドポイントとヘッドエンドシステム間のこのようなラウンドトリップは、エンドポイントで発生したイベントへの応答に遅延を引き起こす可能性があり、特に制御や監視のようなタイムクリティカルなアプリケーションでは問題となる。さらに、エンドポイントとヘッドエンドシステム間のユーティリティ通信ネットワークをデータがトラバースするため、ネットワーク帯域幅の消費も増加する。さらに、エンドポイントからヘッドエンドシステムに送信されたデータが、ヘッドエンドシステムで使用されなかったり、必要とされなかったりする場合もあり、その結果、ネットワークリソースが無駄になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ユーティリティ通信ネットワークのための動的処理分配を実施するための装置およびプロセスに関する態様および例が開示されている。ある例では、システムは、ユーティリティフォグと、メッシュネットワークを含む。ユーティリティフォグは、プライベートユーティリティアプリケーションを実行するように構成された安全なユーティリティシステムを含む。プライベートユーティリティアプリケーションは、該安全なユーティリティシステムによって排他的に実行される。ユーティリティフォグは、複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第1のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第1のエッジインテリジェンスデバイスを含む。複数のソフトウェアアプリケーションの各アプリケーションは、ユーティリティフォグによって管理されるメッシュネットワーク内の1つ以上のエンドポイントによって収集されるデータを処理する、または、1つ以上のエンドポイントを管理するように構成されている。メッシュネットワークは、別のネットワークを介して該ユーティリティフォグと通信し、前記メッシュネットワークを介して互いに通信し、リソース分配ネットワークの特性を測定するデータを収集するように構成された、複数のエンドポイントを含む。メッシュネットワークは、複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第2のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第2のエッジインテリジェンスデバイスと、複数のソフトウェアアプリケーションのうちの、第3のサブセットのアプリケーションを実行するように構成された第3のエッジインテリジェンスデバイスであって、第1の、第2の、および第3のサブセットのアプリケーションは、異なるものである、第3のエッジインテリジェンスデバイスとを含む。複数のエンドポイントのうちのエンドポイントは、更に、特定のアプリケーションに対するタスク要求を、少なくとも前記第2のエッジインテリジェンスデバイスおよび前記第3のエッジインテリジェンスデバイスに送信するように、構成される。第2のサブセットのアプリケーションおよび第3のサブセットのアプリケーションの両方は、特定のアプリケーションを含む。タスク要求は、特定のアプリケーションによって処理されるべきデータ、および、第2のエッジインテリジェンスデバイス並びに第3のエッジインテリジェンスデバイスによって夫々処理されるべきデータの部分を指定するタスク割り当てリストを含む。エンドポイントは、更に、前記第2のエッジインテリジェンスデバイスおよび前記第3のエッジインテリジェンスデバイスから処理結果を受信するように構成される。
【0004】
別の実施例では、エッジインテリジェンスデバイスは、複数のユーティリティ通信ネットワーク内のデバイスと通信するように構成される、複数のネットワークインタフェースを含む通信デバイスを含む。該複数のユーティリティ通信ネットワークのうちの、第1のユーティリティ通信ネットワークは、第1のリソース分配ネットワークに関連付けられ、第1のユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントは、第1のアセットタイプを有し、第1のネットワークプロトコルを使用して交互に通信する。前記複数のユーティリティ通信ネットワークのうちの、第2のユーティリティ通信ネットワークは、第2のリソース分配ネットワークに関連付けられ、第2のユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントは、第2のアセットタイプを有し、第2のネットワークプロトコルを使用して交互に通信する。前記第1のリソース分配ネットワークは前記第2のリソース分配ネットワークと異なる。前記第1のネットワークプロトコルは前記第2のネットワークプロトコルと異なり、前記第1のアセットタイプは前記第2のアセットタイプと異なるものである。前記通信デバイスは、更に、複数のユーティリティ通信ネットワークの、夫々のユーティリティフォグと通信するように構成される。エッジインテリジェンスデバイスは、更に、コンピュータ可読命令を実行するように構成される処理デバイスと、複数のソフトウェアアプリケーションと、コンピュータ読取可能な命令とを記憶するように構成されるメモリとを含み、前記コンピュータ可読命令は、前記処理デバイスにより実行されると、前記処理デバイスにおいて、動作を実行させるものである。前記動作は、
第1のネットワークプロトコルに従って、第1のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されたデータを解析することと、
第2のネットワークプロトコルに従って、第2のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されたデータを解析することと、
第1のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されるデータを処理するべく複数のソフトウェアアプリケーションのうちの少なくとも1つを実行することと、
第2のユーティリティ通信ネットワークを介して受信されるデータを処理するべく複数のソフトウェアアプリケーションのうちの1つ以上を実行することと、
第1のユーティリティ通信ネットワークからの処理されたデータに基づいて第1のメッセージを生成し、第1のネットワークプロトコルに従って第1のユーティリティ通信ネットワークを介して第1のメッセージを送信することと、
第2のユーティリティ通信ネットワークからの処理されたデータに基づいて第2のメッセージを生成し、第2のネットワークプロトコルに従って第2のユーティリティ通信ネットワークを介して第2のメッセージを送信することと、
を含む。
【0005】
更に別の例では、メッシュネットワークは、メッシュネットワークを介して互いに通信し、メッシュネットワークに関連付けられたリソース分配ネットワークの特性を測定するデータを収集するように構成される、複数のエンドポイントを含む。メッシュネットワークは、更に、複数のエッジインテリジェンスデバイスを含み、複数のエッジインテリジェンスデバイスの各々は、複数のソフトウェアアプリケーションのうちのソフトウェアアプリケーションのサブセットを実行するように構成されている。複数のソフトウェアアプリケーションの各ソフトウェアアプリケーションは、複数のエンドポイントのうちの1つ以上のエンドポイントにより収集されるデータを処理するように、または、1つ以上のエンドポイントを管理するように、構成される。第1のエッジインテリジェンスデバイス上の、第1のサブセットのソフトウェアアプリケーションは、第2のエッジインテリジェンスデバイス上の、第2のサブセットのソフトウェアアプリケーションの第2のサブセットとは異なものである。複数のエンドポイントのエンドポイントは、更に、特定のアプリケーションに対するタスク要求を、少なくとも第1のエッジインテリジェンスデバイスおよび第2のエッジインテリジェンスデバイスに、送信するように、構成される。第1のサブセットのソフトウェアアプリケーションおよび第2のサブセットのソフトウェアアプリケーションの両方が、前記特定のアプリケーションを含む。前記タスク要求が、前記特定のアプリケーションによって処理されるべきデータ、並びに、第1のエッジインテリジェンスデバイスおよび第2のエッジインテリジェンスデバイスによって夫々、処理されるべきデータの部分を指定するタスク割り当てリストを含む。エンドポイントは、更に、第1のエッジインテリジェンスデバイスと第2のエッジインテリジェンスデバイスから処理結果を受信するように構成される。
【0006】
これらの例示的な態様および特徴は、現在記載されている発明の本旨を限定または定義するために記載されているのではなく、本出願に記載されている概念の理解を助けるための例を提供するために記載されている。現在説明されている発明の本旨の他の態様、利点、および特徴は、本出願全体を検討した後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付図面を参照しながら読むと、よりよく理解される。
【0008】
【
図1】
図1は、メッシュネットワークの先行技術システムアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の特定の態様による、ユーティリティ通信ネットワークのエッジインテリジェンスを実装する例示的なシステムアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の特定の態様による、ユーティリティ通信ネットワーク上に配備されたエンドポイントおよびエッジインテリジェンスデバイスを含むユーティリティ通信ネットワークの例を示す。
【
図4】
図4は、本開示の特定の態様による、複数のユーティリティ通信ネットワークをサポートするエッジインテリジェンスデバイスの一例を示す。
【
図5】
図5は、本開示のある態様に従って、複数のユーティリティ通信ネットワークをサポートするためにエッジインテリジェンスデバイスによって実行されるプロセスの一例を示す。
【
図6】
図6は、本明細書で提示する技術および技法の態様を実施するのに適したエッジインテリジェンスデバイスの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ユーティリティ通信ネットワークの動的処理分配を実現する技術が提供される。例えば、従来は単一のヘッドエンドシステムが提供していた機能を、ユーティリティ通信ネットワークに配備されたエッジインテリジェンスデバイスに分散させることで、動的な処理分散を実現できる。本明細書で使用されるユーティリティ通信ネットワークとは、リソース分配ネットワークに関連し、ユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイント間の通信を可能にするように構成された通信ネットワークを指す。ユーティリティ通信ネットワークの例としては、メッシュネットワーク、LoRaWAN(登録商標)ネットワーク、またはメータなどのモノのインターネット(IoT)デバイスに適したその他のネットワークがある。エッジインテリジェンスデバイスは、さまざまな機能を提供するために、様々なソフトウェアアプリケーションを実行するように構成できる。異なるエッジインテリジェンスデバイスは、異なるソフトウェアアプリケーションセットを実行し、それによって異なる機能を提供できる。エッジインテリジェンスデバイスは、ユーティリティ通信ネットワークに接続されたユーティリティフォグに配備され、ユーティリティ通信ネットワークを管理するように構成されることもある。さらに、地域フォグやグローバルクラウドが提供するコンピューティングリソースを活用するために、地域フォグやグローバルクラウドに機能を分散させることもできる。
【0010】
以下の非限定的な例は、特定の実施形態を紹介するために提供される。この例では、ユーティリティシステムは、配電網、ガス分配ネットワーク、水分配ネットワークなどのリソース分配ネットワークに関連するユーティリティ通信ネットワークと、ユーティリティ通信ネットワークを管理するように構成されたユーティリティフォグとを含む。ユーティリティ通信ネットワークは、リソース分配ネットワーク全体に配置された複数のエンドポイントを接続する。ユーティリティ通信ネットワークを管理し、ユーティリティ通信ネットワークのデータを処理するための機能は、一連のソフトウェアアプリケーションを通じて実装され、各ソフトウェアアプリケーションは、機能の1つの側面を実装する。ユーティリティ通信ネットワークはさらに、ユーティリティ通信ネットワークのさまざまな場所に配置された複数のエッジインテリジェンスデバイスを含む。各エッジインテリジェンスデバイスは、サブセットのソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され、それによってユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントにサブセットの機能を提供する。各エッジインテリジェンスデバイス用のサブセットのソフトウェアアプリケーションは、エッジインテリジェンスデバイスの位置、エッジインテリジェンスデバイス付近のエンドポイントの状態、エッジインテリジェンスデバイス付近のエンドポイントに対して実行される典型的な処理などの要因に基づいて決定される。
【0011】
ユーティリティ通信ネットワーク内の他のデバイスに、エッジインテリジェンスデバイスが提供する機能を認識させるために、各エッジインテリジェンスデバイスは、ユーティリティ通信ネットワーク上で提供できる機能を広告するように構成される。一部の実装では、これらの機能はエッジインテリジェンスデバイスによってソフトウェアサービスとして提供される。ユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイントが、エンドポイントによって収集されたデータの処理など、特定のタスクを実行する必要がある場合、エンドポイントは、そのタスクを実行できる近くのエッジインテリジェンスデバイスに要求を送ることができる。タスクが複雑な計算を伴う場合など、シナリオによっては、タスクを2つ以上のエッジインテリジェンスデバイスに送り、共同でタスクを実行させることもある。いくつかの例では、要求されたタスクを実行するためにどのエッジインテリジェンスデバイスが使用されるかは、エンドポイントには透過的になっている。エッジインテリジェンスデバイスは、処理が完了すると、処理の結果をエンドポイントまたはユーティリティ通信ネットワーク内の別のデバイスに返す。
【0012】
エッジインテリジェンスデバイスをユーティリティ通信ネットワークに配備するだけでなく、エッジインテリジェンスデバイスをユーティリティフォグに配備することもできる。ユーティリティ通信ネットワーク内のエッジインテリジェンスデバイスと同様に、ユーティリティフォグ内の各エッジインテリジェンスデバイスも、サブセットのソフトウェアアプリケーションを実装するように構成できる。これらのエッジインテリジェンスデバイスは、ユーティリティ通信ネットワーク内のエッジインテリジェンスデバイスが処理できないタスクや、ユーティリティフォグ内のエッジインテリジェンスデバイスが実行することが望ましいタスクを実行するために使用できる。
【0013】
この例を続けると、ユーティリティ通信ネットワークを管理したり、ユーティリティ通信ネットワークのデータを処理したりする様々な機能を実装するサブセットのソフトウェアアプリケーションは、地域フォグやグローバルクラウドにさらに分散させることができる。地域フォグは、ユーティリティフォグやユーティリティ通信ネットワークよりも高い計算能力を提供できるが、結果を返すのに大きな遅延が生じる可能性がある。同様に、ユーティリティ通信ネットワークのタスクを実行するソフトウェアアプリケーションを実行するためにグローバルクラウドが利用される場合、結果を返すのにさらなる遅延が生じる可能性があるが、システムの他のレイヤで効率的に処理できないタスク(例えば、ユーティリティ通信ネットワークのトポロジグラフを生成するような複雑度の高いタスク)は、グローバルクラウドで実行されるアプリケーションを使用して実行できる。
【0014】
本開示で説明する技術は、ユーティリティ通信ネットワークの改善を提供する。従来の単一ヘッドエンドシステムの機能を公共通信ネットワーク内の機器に分散させることで、近くのエッジインテリジェンスデバイスを採用することで、エンドポイントの近くで処理や制御をローカルに実行できる。その結果、制御や監視といったタイムクリティカルなアプリケーションの応答時間を大幅に短縮できる。さらに、エンドポイントからのデータをユーティリティ通信ネットワークを介してヘッドエンドシステムに送信する必要がないため、ユーティリティ通信ネットワークのネットワーク帯域幅消費も削減される。さらに、各エッジインテリジェンスデバイスにインストールされたサブセットのアプリケーションは、システムの他の部分に影響を与えることなく、必要なときにいつでも更新できる。さらに、複数のエッジインテリジェンスデバイスに機能を実装することで、並列分散計算が可能になり、システムのパフォーマンスを向上させ、複雑な計算の実行に必要な時間を短縮し、耐障害性コンピューティングを強化できる。
【0015】
図1は、メッシュネットワークに基づくユーティリティ通信ネットワークのための、先行技術のシステムアーキテクチャを示すブロック図である。先行技術のシステムは、メッシュネットワークの制御とデータ処理のためのすべての機能がヘッドエンドシステムに集中する集中型アーキテクチャを採用している。
図1に示すように、ネットワークを管理するためのアプリケーション、メータデータを管理・分析するためのアプリケーションなど、さまざまなアプリケーションは、すべてアプリケーションサーバまたは併設されたサーバ群にインストールされる。上述したように、この集中型アーキテクチャは、メッシュネットワークで発生したイベントへの応答遅延の増大、ネットワーク帯域幅の消費増大など、様々な問題を引き起こす。
【0016】
図2は、本開示の特定の態様による、ユーティリティ通信ネットワークのための、エッジインテリジェンスとも呼ばれ得る動的処理分配を実装する例示的なシステムアーキテクチャを示すブロック図である。このシステムは、ユーティリティ通信ネットワーク240のデータを制御・処理するための複数のレイヤのサービスを備えている。これらのレイヤのサービスには、ユーティリティ通信ネットワーク240、ユーティリティフォグ202、地域フォグ204、グローバルクラウド206で提供されるサービスが含まれる。
【0017】
ユーティリティ通信ネットワーク240は、リソース分配ネットワークに関連する通信ネットワークであり、ユーティリティ通信ネットワーク内のエンドポイント(例えば、エンドポイント212A~Eであり、本明細書では個別にエンドポイント212と呼ぶか、またはまとめてエンドポイント212と呼ぶ)間の通信を可能にするように構成される。ユーティリティ通信ネットワークの例としては、メッシュネットワーク、LoRaWAN(登録商標)ネットワーク、またはモノのインターネット(IoT)デバイスに適したその他のネットワークがある。ユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイント212は、無線機を含むユーティリティ通信ネットワーク240上の任意のデバイスであり得る。例えば、エンドポイント212は、エンドポイントのそれぞれの配備位置からデータを収集するための測定デバイス、デバイスに利用可能なデータを処理するための処理デバイス、またはこれらの機能の組み合わせを実行するように構成されたデバイスを含むことができる。
【0018】
一例では、ユーティリティ通信ネットワーク240は、関連するリソース分配ネットワークで得られた測定データを配信するために使用され得る。この例では、エンドポイント212は、電力メータ、ガスメータ、水道メータ、蒸気メータなど、リソース分配ネットワークを通じて顧客構内の様々な地理的位置に配備されたメータを含むことができ、リソース分配ネットワークの様々な動作特性を測定するように実装される。電力分配ネットワークの例では、特性の例として、平均または総電力消費量、電気信号のピーク電圧、電力サージ、負荷変化などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エンドポイント212は、架線センサーや、エネルギ使用量を監視し、エネルギ需要が急増したときに使用量の多い機器のスイッチを自動的に切る負荷制御スイッチなど、他の種類のネットワーク機器も含むことができる。
【0019】
ユーティリティ通信ネットワーク240は、エッジインテリジェンスデバイス(EID)214A~214Bをさらに含むことができ、本明細書では、個々にエッジインテリジェンスデバイス214として、または集合的にエッジインテリジェンスデバイス214として参照される。各エッジインテリジェンスデバイス214は、ユーティリティ通信ネットワーク240のヘッドエンドシステムによって従来から提供されているサブセットの機能を実行するように構成されている。これらの機能は個々のソフトウェアアプリケーションとして実装でき、各アプリケーションは1つの機能または機能の1つの態様を実装する。例えば、2つの電力計が電力分配ネットワークの同じ変圧器に接続されているかどうかを判定する機能は、エッジインテリジェンスデバイスに配備され実行される1つのソフトウェアアプリケーションに実装できる。あるいは、同じ機能をサブタスクに分解し、各ソフトウェアアプリケーションが1つのサブタスクを実装することもできる。2つの電力メータが同じ変圧器に接続されているかどうかを判定する例では、複数のソフトウェアアプリケーションを生成できる。例えば、第1のアプリケーションは、2つの電力計の電圧信号を正規化するように構成でき、第2のアプリケーションは、2つの電力計の電圧信号間の相関を実行するように構成でき、第3のアプリケーションは、相関を閾値と比較して、それらが同じ変圧器に接続されているかどうかを判定するように構成できる。いくつかの例では、これらの機能は、ユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイント212にサービスとして提供できる。
【0020】
図2に示す例では、従来のヘッドエンドシステムの機能が、異なるカテゴリのサービスとして実装されている。これらのサービスには、ユーティリティ通信ネットワーク240を構成するためのシステム構成サービス(例えば、ユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイントまたは他のネットワークデバイスの許可または削除、ユーティリティ通信ネットワーク240内のネットワークデバイス上で実行されるアプリケーションの追加または削除)、およびユーティリティ通信ネットワーク240のセキュリティを管理するためのイベントおよびセキュリティサービスが含まれる。サービスはさらに、ネットワーク管理サービス(例えば、エンドポイントからデータを収集し、ユーティリティ通信ネットワーク240の問題を特定し、修復する)、メータデータ管理サービス(例えば、エンドポイントメータによって収集されたデータの分類、集計、またはその他の管理)、ロギングサービス(例えば、ユーティリティ通信ネットワーク240で発生したデータやイベントのロギング)、分析サービス(例えば、エンドポイントによって収集または生成されたデータに対して様々な分析を実行する)、アプリケーションダウンロードサービス(例えば、ユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイントデバイスまたは他のデバイスにインストールされたアプリケーションを管理する)、およびその他の雑多なサービス(例えば、診断アプリケーション、特定の種類の計算を実行するためのアプリケーションなど)を含むことができる。
【0021】
様々なサービスの中でも、システムコンフィギュレーションサービスやイベントサービス、セキュリティサービスなど、システムに大きな影響を与えるサービスもあり、攻撃に対して脆弱なサービスもある。これらのサービスは高度にセキュアな環境で保護され、プライベートユーティリティアプリケーションまたはサービスと呼ばれる。いくつかの例では、これらのプライベートユーティリティアプリケーションは、ユーティリティフォグ202でプライベートホストされる。本明細書で使用されるユーティリティフォグとは、ユーティリティフォグに関連する地理的地域内の他のデバイスにサービスを提供するための処理を実行するように構成された1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、ネットワークデバイスまたはコンピュータデバイス)を含む処理システムを指す。
【0022】
ユーティリティフォグ202は、ユーティリティ会社に関連付けられ(例えば、ユーティリティ会社の物理的保護下にあり、ユーティリティ会社ネットワークのファイアウォール内にある)、例えば、プライベートユーティリティアプリケーションの実行を通じて、ユーティリティ通信ネットワーク240を管理するように構成され得る。プライベートユーティリティアプリケーションをよりよく保護するために、これらのプライベートユーティリティアプリケーションは、ユーティリティフォグ202内の安全なユーティリティシステム220にインストールされ、実行されることができる。ユーティリティフォグ202の他の部分とは異なり、安全なユーティリティシステム220は、例えば、異なるネットワーク構成を使用し、ユーティリティフォグ202の他の部分とは別のネットワークまたはドメインで、高度に安全な環境で実装できる。
【0023】
ユーティリティ通信ネットワーク240のエッジインテリジェンスデバイスには、他の非プライベートサービスまたはアプリケーションを展開できる。
図2に示すように、異なるエッジインテリジェンスデバイス214は、異なるサブセットのアプリケーション224A~224Cを実行するように構成され得る。各エッジインテリジェンスデバイス214にインストールされるサブセットのアプリケーション224は、個々のエッジインテリジェンスデバイス214の地理的位置または地域、エッジインテリジェンスデバイス214の近くのエンドポイント212のタイプ(これは、これらのエンドポイント212のデータを処理するために必要な機能を決定する)、インストールされたアプリケーションによって提供される機能が使用される頻度、エッジインテリジェンスデバイス214のコンピューティング能力などの要因に基づいて決定され得る。同様の要因は、ユーティリティ通信ネットワーク240上のエッジインテリジェンスデバイス214の配置場所を決定する際にも考慮される。
【0024】
さらに、エッジインテリジェンスデバイス214にインストールされたサブセットのアプリケーション224は動的に更新できる。例えば、特定の地域のエンドポイント212に異常が観察または報告された場合、ユーティリティフォグ202は、システム構成アプリケーションを使用して、その地域のエッジインテリジェンスデバイス214に診断アプリケーションを展開できる。診断アプリケーションは、診断分析を実行し、分析結果をユーティリティフォグ202に報告するように構成できる。診断アプリケーションは、問題解決後にエッジインテリジェンスデバイス214から削除できる。同様に、ユーティリティフォグ202は、例えば、プライベートユーティリティアプリケーション222内のシステム構成アプリケーションを使用することによって、ユーティリティ通信ネットワーク240内の各エッジインテリジェンスデバイス214に他のアプリケーションを追加または削除することもできる。ユーティリティフォグ202は、例えば、エッジインテリジェンスデバイス214にインストールされたアプリケーション224を、より新しいバージョンのアプリケーション224に更新することもできる。
【0025】
いくつかの例では、エッジインテリジェンスデバイス214は、同じアプリケーションの複数のインスタンスを実行するように構成できる。
図2は、エッジインテリジェンスデバイス214Bが分析アプリケーションの2つのインスタンスを実行するように構成されていることを示している。これにより、エッジインテリジェンスデバイス214での並列処理が可能になり、エッジインテリジェンスデバイス214はタスクをより速く完了したり、複数のエンドポイント212に同時にサービスを提供したりできる。本開示では、アプリケーションの更新、削除、追加に関する議論には、アプリケーションインスタンスの更新、削除、追加も含まれる。例えば、新規アプリケーションの追加には、新規アプリケーションまたは新規アプリケーションインスタンス(既存アプリケーションの追加インスタンスまたは新規アプリケーションのインスタンスを含む)の追加が含まれる。
【0026】
図3は、ユーティリティ通信ネットワーク240を介して通信可能に接続されたエンドポイント212A~212Iおよびエッジインテリジェンスデバイス214A~214Dを含むユーティリティ通信ネットワーク240の一例を示す。
図3に示すように、エッジインテリジェンスデバイス214は、スタンドアロンのエッジインテリジェンスデバイスであっても、ルートノード216Bなどの既存のネットワークデバイスに統合されたコンポーネントであってもよい。いくつかの例では、各エッジインテリジェンスデバイス214は、ユーティリティ通信ネットワーク240に配備された後、ユーティリティ通信ネットワーク240上で提供できるサービスまたは機能を広告するように構成される。エッジインテリジェンスデバイス214によって提供されるサービスは、複数のエッジインテリジェンスデバイス214に亘ってオーバラップしていたり、重複していたりすることがある。これらのサービスは、ユーティリティ通信ネットワーク240内のデバイス間で動的に発見され得る。より計算能力の高いエンドポイントやエッジインテリジェンスデバイスなどの特定のネットワークデバイスは、その領域内のエッジインテリジェンスデバイスによって提供されたサービスの記録を保持するように構成し得る。エンドポイント212は、完了すべきタスクがある場合、タスクの要求をタスクデータとともに親ノードまたは別の隣接ノードに送信する。このような要求は、要求されたタスクを実行できる1つ以上のエッジインテリジェンスデバイスを識別できるネットワークデバイスに到達するまで、ユーティリティ通信ネットワーク240を通じてさらに送信できる。このネットワークデバイスは次に、要求と関連データを、処理のために、特定されたエッジインテリジェンスデバイス214に転送できる。タスクに対して適切なエッジインテリジェンスデバイス214を選択するプロセスは、要求元のエンドポイント212に対して透過的にできる。
【0027】
例えば、3つのデバイス(エッジインテリジェンスデバイスまたはエンドポイント)M1、M2、M3と2つのゲートウェイGW1、GW2がある場合、M1とM2はGW1に(有線または無線で)接続され、M3はGW2に(有線または無線で)接続されている。GW1とGW2も有線または無線で接続されている。M1はサービスA、B、Cをサポートし、M2はサービスB、C、Fをサポートし、M3はサービスCをサポートし、GW1はサービスC、D、E、Fをサポートし、GW2はサービスE、Fをサポートする。M1が起動するとき、M1はGW1にサービスA、B、Cをサポートしていることを知らせることができる。同様に、M2はGW1にB、F、Cをサポートしていることを知らせることができ、M3はGW2にサービスCをサポートしていることを知らせることができる。
【0028】
M1がサービスFを実行したい場合、まずローカルサービスのリストをチェックできる。M1はサービスFをサポートしていないため、M1は親機GW1と通信し、サービスFのプロバイダを探す手助けを求めることができる。GW1はサービスFをサポートしているため、GW1はM1にサービス要求をGW1に送信するよう通知できる。サービス要求に対して、GW1は、M1から提供されたデータに対してサービスFを実行し、その結果をM1に返す。
【0029】
あるデバイス、例えばM1に複数のサービス要求がある場合、これらのサービス要求は1対1で送信することも、並列化することもできる。並列化された要求を行う場合、M1はサービスCの問い合わせを送り得る。上記の例では、M1自身、M2、GW1、およびM3はすべて、サービスCをサポートしていることを示す応答を返し得る。その後、M1は、データとタスク割り当てリストを含むタスク要求を、応答を返した複数のデバイスに送信できる。タスク割り当てリストは、サービスCを使用して個々のデバイスによって処理されるデータの一部を指定できる。いくつかの例では、M1は、これらの複数のデバイスが冗長性のためにすべてのデータに対してサービスCを実行するように割り当てリストを生成できる。代替的に、または追加的に、M1はデータを複数のセットに分割し、割り当てリストにおいて、各デバイスが1セットのデータに対してサービスCを実行するよう要求できる。課題リストの他の例を利用することもできる。このようなデバイス間の相互作用は、パブリッシュサブスクライブメカニズムと、各デバイスが処理するデータを指定するワークパッケージデータ構造によって実装できる。
【0030】
さらに、いくつかの例では、サービスを提供するデバイスへの要求の動的なルーティングはないことを理解されたい。要求がネットワーク上を移動するとき、各ステップにおいて、要求の行き先に関するアプリケーションの決定はない。要求を発行するデバイスは、利用可能なサービスを発見し、どのデバイスに要求を送るかを決定する。この決定は、要求元のデバイスによって一度だけ行われ、ネットワークは、要求が送信された時点で、より良いサービスに行くことを決定することはない。
【0031】
要求を受け取ると、エッジインテリジェンスデバイス214は適切なアプリケーション224を実行し、処理結果を出力する。タスクの種類に応じて、結果は要求元のエンドポイント212に返されるか、別のエッジインテリジェンスデバイス214に送信されるか、またはユーティリティフォグ202に送信される。例えば、タスクが、観察されたデータに基づいてエンドポイント212のパラメータを調整することである場合、エッジインテリジェンスデバイス214は、結果に従ってそのパラメータを適切な値に調整するためのコマンドを生成し、エンドポイント212に送信するように構成され得る。エッジインテリジェンスデバイス214によって実行されたタスクがサブタスクであり、さらなるサブタスクを実行する必要がある場合、エッジインテリジェンスデバイス214は、出力結果を生成し、後続のサブタスクを実行するように構成された次のエッジインテリジェンスデバイス214に送信するように構成され得る。タスクが、ユーティリティフォグ202によるさらなる分析のために、要求元のエンドポイント212によって収集されたデータを要約、集約、または分析することであるシナリオでは、エッジインテリジェンスデバイス214は、出力結果をユーティリティ通信ネットワーク240を介してユーティリティフォグ202に送信するように構成され得る。
【0032】
いくつかの例では、エッジインテリジェンスデバイス214は、例えば、高度なエッジ処理モジュールにおいて、ルールベースのアルゴリズム、または人工知能もしくは機械学習技術、またはその両方の組み合わせを実装することによって、高度なエッジ処理能力を有するように構成される。高度なエッジ処理モジュールは、これらの高度な技術を使用して、たとえば、さまざまなタイプのサービスレベル要件を実装できる。例えば、高度なエッジ処理モジュールは、電力品質の値、必要な電圧、必要な力率など、電力分配ネットワークの健全性に関連するデータをチェックするように構成できる。また、高度エッジ処理モジュールは、スループット、干渉、パケット成功率、レイヤ、レイテンシなど、通信ネットワークの健全性に関連するデータをチェックするように構成され得る。高度なエッジ処理モジュールは、高度な技術を使用して、取得または生成されたデータをユーティリティフォグ202に送信すべきか、またはローカルで処理すべきかを決定できる。例えば、高度なエッジ処理モジュールが、所与の期間について閾値ボリューム値よりも大きいなど、大量のデータがあると判定した場合、高度なエッジ処理モジュールは、データをローカルに処理または前処理することを決定できる。処理結果または前処理結果に応じて、高度エッジ処理モジュールはさらに、処理されたデータをユーティリティフォグ202に送るべきか、またはローカルに維持するか、または廃棄するかを決定できる。例えば、処理されたデータにユーティリティフォグ202が通常収集する電力消費データが含まれている場合、高度なエッジ処理モジュールはそのデータをユーティリティフォグ202に送信できる。電力分配ネットワークの異常を検出するためにデータが処理され、収集されたデータから異常の兆候が検出されなかった場合、高度エッジ処理モジュールはデータを送信しないと決定できる。別の例では、高度なエッジ処理モジュールは、リアルタイム応答の必要性が重要な場合、データをローカルに処理することを決定できる。例えば、電力分配ネットワークの負荷制御に関するデータは通常ミリ秒単位で完了する必要があり、高度なエッジ処理モジュールは、そのようなデータをユーティリティフォグ202に送信するのではなく、ローカルで処理することを決定できる。このようにして、ユーティリティフォグ202に送信する必要のないデータは送信されないので、ネットワークリソースの無駄を減らすことができる。
【0033】
エッジインテリジェンスデバイス214、またはユーティリティフォグ202にデータを送信する必要がある他のデバイス(例えば、エンドポイント212)は、データまたはメッセージを通信データ302として、ユーティリティ通信ネットワーク240を介してルートノード114A-Bに送信できる。ルートノード114はネットワークデバイスの一種であり、パーソナルエリアネットワーク(PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、またはヘッドエンドシステム104と通信可能なその他のデバイスであってもよい。ユーティリティ通信ネットワーク240のルートノード114は、エンドポイント212およびエッジインテリジェンスデバイス214を含むネットワークデバイスと通信し、ネットワークデバイスを管理し、ネットワークデバイスからデータを収集し、ユーティリティフォグ202にデータを転送するなどの動作を実行するように構成され得る。ルートノード216は、それ自体がデータを測定または処理するノードとして機能するように構成することもできる。
【0034】
ルートノード216は、最終的に、ユーティリティ通信ネットワーク240を介して受信したデータを、インターネット、イントラネット、またはその他のデータ通信ネットワークなどの別のネットワーク370を介してユーティリティフォグ202に送信する。ユーティリティフォグ202は、ルートノード216からデータまたはメッセージを受信し、課金、性能分析、トラブルシューティングなどの様々な目的のために、受信したデータを処理または分析できる。
図3は特定のネットワークトポロジ(例えば、DODAGツリー)を描いているが、他のネットワークトポロジも可能であることを理解されたい(例えば、リングトポロジ、メッシュトポロジ、スタートポロジなど)。
【0035】
図2に戻ると、ユーティリティ通信ネットワーク240からの受信データまたはメッセージを処理するために、ユーティリティフォグ202はエッジインテリジェンスデバイス214も含むことができる。ユーティリティ通信ネットワーク240内のエッジインテリジェンスデバイス214と同様に、エッジインテリジェンスデバイス214の各々は、専用のエッジインテリジェンスデバイス214であってもよいし、サーバコンピュータのようなユーティリティフォグ202内の既存のデバイスに統合された、またはそれによって実装されたコンポーネントであってもよい。各エッジインテリジェンスデバイス214は、プライベートユーティリティアプリケーションではないサブセットのアプリケーション(本明細書では「非プライベートユーティリティアプリケーション」とも呼ばれる)を実行するように構成できる。
【0036】
ユーティリティフォグ202は、受信したメッセージまたはデータを、これらのエッジインテリジェンスデバイス214の1つ以上のものによって処理するよう要求できる。例えば、受信したメッセージがアプリケーションの新バージョンをダウンロードする要求である場合、ユーティリティフォグ202は、その要求をダウンロードアプリケーションを実行できるエッジインテリジェンスデバイス214Cに転送して、要求しているネットワークデバイスにダウンロードサービスを提供できる。同様に、ユーティリティフォグ202は、データ分析サービスを提供できるエッジインテリジェンスデバイス214にデータ分析タスクを送信することもできる。
【0037】
ユーティリティフォグ202内のエッジインテリジェンスデバイス214に加えて、ユーティリティフォグ202はさらに、本明細書では個別に地域フォグ204として、または集合的に地域フォグ204として参照される地域フォグ204A~204Nに、非プライベートユーティリティアプリケーションを分配できる。地域フォグは、地理的地域(例:米国南西部、米国東海岸)に関連するコンピューティングデバイス(例:インターネットゲートウェイやルータ)の集まりを含む処理システムである。異なるサブセットのアプリケーションは、異なる地域フォグ204にインストールできる。ユーティリティフォグ202は、地域フォグ204内のデバイス(
図2には示されていない)にタスクを提出でき、地域フォグ204にインストールされたアプリケーションを記録するように構成されている。これらの装置は、タスクを適切な地域のフォグに割り当てて実行させることができる。いくつかの例では、ユーティリティ通信ネットワーク240は、地域フォグ204にタスクを提出するように構成することもできる。
【0038】
さらなる例では、非プライベートユーティリティアプリケーションは、インターネットを通じてアクセス可能なグローバルクラウド206にさらに展開されることがある。グローバルクラウドとは、インターネット経由でコンピューティングリソースを提供するサードパーティプロバイダのことである。ユーティリティフォグ202、ユーティリティ通信ネットワーク240、または地域フォグ204は、グローバルクラウド206にデプロイされたアプリケーションに応じて、実行のために適切なタスクをグローバルクラウド206に提出できる。
【0039】
図2に示した4レイヤのサービスは、多種多様なサービス要件を満たすために利用できることに留意すべきである。例えば、電力分配ネットワークの負荷制御のような、通常ミリ秒単位で完了する必要があるタイムクリティカルなタスクの場合、ユーティリティ通信ネットワーク240の負荷制御領域近傍のエッジインテリジェンスデバイスが提供するサービスは、このような厳しい低遅延要件を満たすために採用できる。このような厳しいレイテンシ要件がないタスクについては、ユーティリティフォグ202で処理を実行できる。ユーティリティフォグ202はユーティリティ通信ネットワーク240に論理的に近いので、応答時間はかなり小さく、ユーティリティフォグ202が提供するサービスは低遅延タスクに使用できる。
【0040】
一方、地域フォグ204は、ユーティリティ通信ネットワーク240から物理的または論理的に、あるいはその両方から比較的離れている。しかし、ユーティリティフォグ202やユーティリティ通信ネットワーク240よりも多くのコンピューティングリソースを持つ。このように、地域フォグ204は、低レイテンシを必要としないが、より多くの計算能力を必要とするタスクに適している。同様に、グローバルクラウド206は、ユーティリティ通信ネットワーク240とユーティリティフォグ202からさらに離れているが、ストレージとコンピューティングリソースは十分にある。時間の制約はないが、大規模なストレージやコンピューティングリソースを必要とするタスクは、グローバルクラウド206が実行できる。例えば、グローバルクラウド206は、大量のデータポイントにわたる統計分析、データセット間のパターンまたは相関関係の識別、機械学習モデルの構築および実行などのタスクを実行するために使用できる。グローバルクラウド206は、ユーティリティネットワークのユーザが請求情報を閲覧できるようにするユーザポータルを提供するために使用できる。
【0041】
ユーティリティ通信ネットワーク240に配備されたエッジインテリジェンスデバイス214を使用して計算が実行されるため、エンドポイント212は最小限の計算能力を有する低コストのデバイスであってもよいことに留意すべきである。場合によっては、他の低コストのエンドポイント212よりもコンピューティング能力が高いエンドポイント212も、ユーティリティ通信ネットワーク240に配備されてもよい。このような場合、これらのエンドポイント212は、
図3に示すエンドポイント212Eのように、1つまたは少数のアプリケーションを実行するようにも構成できる。これらのオンエンドポイントアプリケーションは、その領域のエッジインテリジェンスデバイスに比べて、さらに応答時間を短縮できるが、その能力は、それぞれのホストエンドポイントのコンピューティング能力によって制限される。
【0042】
例えば、ある国の国家的公益事業が、エグゼクティブサマリと、その国の各州、都市、近隣地域に関するある程度の詳細な情報を含む、全国的な電力品質報告書を求めている場合。この国家的公益事業は、10州にわたり1200万台のスマートメータを設置しているとする。本明細書で紹介する技術がなければ、この報告書は従来、1200万台のスマートメータの全データを中央のヘッドエンドシステムに送信し、ヘッドエンドシステムで報告書作成ソフトウェアを実行することによって、作成されていた。各メータが約1kバイトのデータを送信する場合、この集中処理をサポートするためには12GBのデータをヘッドエンドシステムに送信し、保存する必要がある。
【0043】
本明細書で紹介する動的処理分配を実装することにより、同じレポートを、より少ないネットワークリソースの消費と、単一デバイスでのより低い計算要件で生成できる。例えば、各メータは、それ自身の電力品質サマリ統計データを処理し(または必要に応じて近隣のエッジインテリジェンスデバイス214を使用し)、近隣のゲートウェイデバイスに送信できる。データには、観測された最低・最高電圧、平均電圧、標準偏差、力率など、電力品質に関する個々の家庭の要約統計値を含めることができる。
【0044】
エッジインテリジェンスデバイス214でもあり得る各近隣ゲートウェイは、近隣のすべてのメータからのデータを、ゲートウェイで計算された適切な要約統計値を持つ近隣品質レポートに統合し要約できる。近隣レポートは、ゲートウェイによって、またはユーティリティフォグ202を介して、最寄りの地域フォグノードに転送される。これらの地域フォグノードは、大都市や地方の地方をカバーし得る。地域フォグノードでは、データがさらに処理、分析され、地域統計が追加され、地域レポートが作成される。様々な地域のレポートがクラウドベースのサービスに送られ、地方のサマリやエグゼクティブサマリを含む最終的な電力品質レポートが作成される。
【0045】
こうすることで、大量のデータを中央システムに送信する必要がなくなる。送信されるデータ量は各レベルで減少する。レポート作成に必要な処理は、単一の中央サーバではなく、多くのコンピューティングエレメントによって並行して行われている。そのため、従来の集中型システムで必要とされた数十時間ではなく、数分でレポートを作成できる。各世帯の詳細なデータも、データセンタの単一のデータベースにはないため、システムの情報セキュリティが向上している。
【0046】
いくつかの例では、エッジインテリジェンスデバイス214は、さらなる処理のために次のデバイスに渡す前に、またはユーティリティフォグ202もしくは地域フォグ204に送信するために、受信または処理されたデータの適時性を評価するように構成することもできる。エッジインテリジェンスデバイス214は、データのタイムスタンプに基づいてデータの適時性を判定できる。いくつかの実装では、ユーティリティ通信ネットワーク240内のデバイスは時間同期され、様々なデバイス間で送信されるトラフィックはタイムスタンプされ得る。このようにして、デバイスは、データが送信されてから受信または処理されるまでにどれだけの時間が経過したかを判定できる。時間情報に基づいて、エッジインテリジェンスデバイス214は、データがタイムリに受信され、したがってさらなるタスクに使用できるかどうかを判定できる。例えば、エッジインテリジェンスデバイス214が、メータリングデバイスの集合によって送信された電力品質データを分析するために使用される場合、エッジインテリジェンスデバイス214は、電力品質データの適時性を決定できる。データが古い場合、エッジインテリジェンスデバイス214は、コンデンサバンクをオンまたはオフに切り替えるかどうか(電力品質の問題を修正しようとするかどうか)に関する決定を下す際に、データを破棄し、関連する情報を無視できる。この例では、データが5分など数分以上前に受信されたものであれば、古いと判定される可能性がある。タスクによっては、古いデータを判定する閾値が異なる場合がある。
【0047】
次に
図4を参照すると、
図4は、本開示の特定の態様による、複数のユーティリティ通信ネットワークをサポートするエッジインテリジェンスデバイスの一例を示している。いくつかの例では、エッジインテリジェンスデバイス214は、複数のネットワークインタフェースで構成され、複数のネットワークプロトコルを実装でき、したがって、異なる分配ネットワークに関連する複数のユーティリティ通信ネットワーク240と通信できる。その結果、エッジインテリジェンスデバイス214は、それにインストールされたアプリケーションを使用して、これら複数のユーティリティ通信ネットワーク240にサービスを提供できる。
【0048】
図4に示す例では、エッジインテリジェンスデバイス402A~402Bは、2つのユーティリティ通信ネットワーク240Aおよび240Bをサポートできる。いくつかの例では、ユーティリティ通信ネットワーク240Aおよび240Bは、2つの異なるリソース分配ネットワークに関連する2つの異なるユーティリティ通信ネットワークである。例えば、ユーティリティ通信ネットワーク240Aは、電力メータをエンドポイント212とする電力分配ネットワークに関連するメッシュネットワークであってもよい。ユーティリティ通信ネットワーク240Bは、ガスメータをエンドポイント212とするガス分配ネットワークに関連するLoRaWANネットワークであってもよい。他の例では、ユーティリティ通信ネットワーク240Aおよび240Bは、同じリソース分配ネットワークに関連する2つの異なるユーティリティ通信ネットワークである。例えば、2つの異なるユーティリティ通信ネットワーク240は、異なる段階で構築されたり、異なる地理的位置に配備されたりする。その結果、これらの異なるユーティリティ通信ネットワーク240は、通信のために異なるネットワークプロトコルを使用するように構成され得る。いくつかの例では、複数の通信プロトコルを処理するために、エッジインテリジェンスデバイスは、複数の無線プロトコルを処理できるソフトウェア定義無線(SDR)で構成できる。
【0049】
それぞれのユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイント212は、それぞれのユーティリティ通信ネットワーク240内のデータを測定および収集するように、上述のように動作する。実行すべきタスクがある場合、ユーティリティ通信ネットワーク240A内のエンドポイントは、
図3に関して上述したように、最終的に適切なエッジインテリジェンスデバイス402Aに要求を送信する親ノードまたは隣接ノードにタスク要求を送信できる。エッジインテリジェンスデバイス402Aは、ユーティリティ通信ネットワーク240Aと通信するように構成されたインタフェースを介して要求を受信し、ユーティリティ通信ネットワーク240Aによって使用されるネットワークプロトコルに従って、受信した要求およびそれに関連するあらゆるデータを解析できる。エッジインテリジェンスデバイス402Aはさらに、その上にインストールされた適切なアプリケーションを実行することによって、要求されたタスクを実行する。出力結果は、ユーティリティ通信ネットワーク240Aのエンドポイント、ユーティリティ通信ネットワーク240Aの他のエッジインテリジェンスデバイス、またはユーティリティ通信ネットワーク240Aを管理するように構成されたユーティリティフォグ202Aに送信できる。
【0050】
ユーティリティ通信ネットワーク240B内のエンドポイントEP2は、同様の方法でエッジインテリジェンスデバイス402Aのサービスを要求できる。この場合、エッジインテリジェンスデバイス402Aは、ユーティリティ通信ネットワーク240Bと通信するように構成された別のインタフェースを介して、ユーティリティ通信ネットワーク240B内のエンドポイント212から発信された要求を受信し、ユーティリティ通信ネットワーク240Bによって使用されるネットワークプロトコルに従って、受信した要求およびそれに関連するあらゆるデータを解析する。エッジインテリジェンスデバイス402Aはさらに、その上にインストールされた適切なアプリケーションを実行することによって、要求されたタスクを実行する。
【0051】
ユーティリティ通信ネットワーク240Aおよび240Bからの要求に対応するために使用されるアプリケーションは、同じであっても異なっていてもよい。基本的な操作(例えば、相関)を実行するためのアプリケーションのようないくつかのアプリケーションは、ユーティリティ通信ネットワーク240Aおよび240Bの両方にサービスを提供するために使用され得る。しかし、アプリケーションによってはネットワークに特化したものもある。例えば、力率を決定するように構成されたアプリケーションは、電力分配ネットワークに関連するユーティリティ通信ネットワーク240Aに固有であり、ユーティリティ通信ネットワーク240Aにサービスを提供するためにのみ使用される。同様に、ガス分配ネットワークに特化したアプリケーションは、ユーティリティ通信ネットワーク240Bにのみ使用される。このように、これらのネットワーク固有のアプリケーションの更新、追加、削除は、それぞれのユーティリティフォグ202によって実行される。複数のネットワークによって共有可能なアプリケーションまたはアプリケーションインスタンスは、特定の条件が満たされた場合(例えば、他のユーティリティフォグ202が共有可能なアプリケーションの更新、追加、または削除を承認した場合)、これらのユーティリティ通信ネットワーク240の任意のユーティリティフォグ202によって追加、更新、または削除される可能性がある。
【0052】
異なるユーティリティ通信ネットワーク240が同じリソース分配ネットワークに関連している場合など、いくつかのシナリオでは、異なるユーティリティ通信ネットワーク240が互いに通信する必要があるか、またはこれらの異なるユーティリティ通信ネットワーク240からのデータを組み合わせる必要がある。このようなシナリオでは、エッジインテリジェンスデバイスはプロトコル変換を提供するように構成してもよい。例えば、エッジインテリジェンスデバイスは、第1のネットワークプロトコルに従って第1のネットワークから受信したデータを受信して解析し、アプリケーションを使用してデータを処理し、第2のネットワークのネットワークプロトコルに従って第2のネットワークを介して出力パケットを生成して送信できる。こうすることで、異なるユーティリティ通信ネットワークのデバイスが相互に通信でき、これらのネットワークが異なるネットワークプロトコルを実装していても、これらの異なるネットワークからのデータを一緒に処理できる。
【0053】
いくつかの実装では、すべてのエッジインテリジェンスデバイスが複数のユーティリティ通信ネットワーク240をサポートするように構成されているわけではないことを理解されたい。エッジインテリジェンスデバイスの中には、複数のユーティリティ通信ネットワーク240をサポートする能力を持たないものもあれば、より多くのネットワークをサポートする能力があるにもかかわらず、1つのネットワークをサポートするように構成されているものもある。
【0054】
図5は、本開示の特定の態様による、複数のユーティリティ通信ネットワークをサポートするためにエッジインテリジェンスデバイスによって実行されるプロセス500の一例を示す。ユーティリティ通信ネットワーク240のエッジインテリジェンスデバイス214は、適切なプログラムコードを実行することにより、プロセス500のオペレーションを実施できる。説明のために、図に描かれた特定の例を参照してプロセス500を説明する。しかし、他の実装も可能である。
【0055】
ブロック502において、プロセス500は、エッジインテリジェンスデバイス214が、それが接続されているユーティリティ通信ネットワーク240の各々において提供できるサービスを広告することを含む。サービスは、エッジインテリジェンスデバイス214にインストールされているソフトウェアアプリケーション224に基づいて決定される。上述したように、アプリケーション224のいくつかはネットワーク固有であるため、エッジインテリジェンスデバイス214は、これらのネットワーク固有のアプリケーション224によって提供されるサービスを特定のユーティリティ通信ネットワーク240にのみ広告する。エッジインテリジェンスデバイス214は、共有可能なアプリケーションによるサービスを、アプリケーションが利用できるすべてのユーティリティ通信ネットワーク240に広告する。いくつかの例では、パブリッシュサブスクライブメカニズムが、アプリケーションのサービスをパブリッシュするために利用される。いくつかの実装では、エッジインテリジェンスデバイス214は、接続されたユーティリティ通信ネットワーク240のそれぞれに提供可能なサービスのリストを保持する。サービスのリストは、アプリケーションが追加、更新、またはエッジインテリジェンスデバイス214から削除されたときに更新できる。
【0056】
ブロック504において、プロセス500は、エッジインテリジェンスデバイス214がユーティリティ通信ネットワーク240の1つにおいてサービス要求またはタスク要求を受信することを含む。要求に基づいて、エッジインテリジェンスデバイス214は、要求で指定されたタスクを実行する適切なアプリケーション224を選択する。適切なアプリケーションは、要求されたサービスと、要求が受信されたユーティリティ通信ネットワーク240に基づいて決定できる。
【0057】
ブロック506において、プロセス500は、エッジインテリジェンスデバイス214が選択されたアプリケーション224を実行して結果を得ることを含む。要求されたタスクの性質に応じて、結果は、要求元のエンドポイント212、別のエッジインテリジェンスデバイス214、ユーティリティ通信ネットワーク240のユーティリティフォグ202に返されるか、または
図3に関して上述したように破棄される。ブロック504および506は、別のサポートされるユーティリティ通信ネットワーク240から受信したサービス要求について繰り返されることがある。
【0058】
ブロック508において、プロセス500は、エッジインテリジェンスデバイス214が、特定のユーティリティ通信ネットワーク240から、それにインストールされたソフトウェアアプリケーション224を追加、除去、または更新する指示を受信することを含む。このような指示の受信に応答して、エッジインテリジェンスデバイス214は、ブロック510において、指示で指定されたソフトウェアアプリケーション224を追加/インストール、除去、または更新するために、対応する動作を実行する。エッジインテリジェンスデバイス214はさらに、このユーティリティ通信ネットワーク240のアプリケーションのリストを適宜更新できる。
【0059】
図6は、本明細書で説明するユーティリティ通信ネットワークのエッジインテリジェンスを実装するために採用できる例示的なエッジインテリジェンスデバイス600を示す。例示的なエッジインテリジェンスデバイス600は、ユーティリティ通信ネットワーク240またはユーティリティフォグ202内のエッジインテリジェンスデバイス214であってもよい。デバイス600は、ユーティリティ通信ネットワーク240内のエンドポイント212および他の装置からサービス要求を受信し、それぞれのユーティリティ通信ネットワーク240内の他の装置に結果および他のデータを送信するように構成された通信装置612を含む。通信装置612は、複数のユーティリティ通信ネットワーク240または他のネットワーク(例えば、セルラーネットワーク)と通信するための複数のネットワークインタフェース614A~614Nを有する。複数のネットワークインタフェース614A~614Nは、アンテナや無線などの無線または有線の通信インタフェースを含むことができる。通信装置は、メモリ614に格納された特定のSDRプログラム604に応じて複数の無線インタフェースを処理するソフトウェア定義無線(SDR)インタフェースを含むこともできる。
【0060】
エッジインテリジェンスデバイス600は、プロセッサ613およびメモリ614も含むことができる。プロセッサ613は、エッジインテリジェンスデバイス600が実行する機能を制御する。メモリ614は、その機能を実行するためにプロセッサ613によって使用されるデータ、例えば、上述したように、ソフトウェアアプリケーション224や、例えば、人工知能または機械学習技術を使用して高度な分析を実行するように構成された高度エッジ処理モジュール602などを格納するために利用できる。上述したように、いくつかの例では、エッジインテリジェンスデバイス600はソフトウェア定義無線(SDR)インタフェースを実装でき、メモリ614はSDRに使用されるソフトウェア604を格納することもできる。メモリ614は、サポートされる各ユーティリティ通信ネットワーク240に対してエッジインテリジェンスデバイス600によって提供され得るサービスのリストなど、エッジインテリジェンスデバイス600によって使用される他のデータも格納し得る。
【0061】
図6に示すエッジインテリジェンスデバイス600は単なる一例であり、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。他の種類のネットワークデバイスも、本明細書で紹介するエッジインテリジェンスを実装するように構成できる。例えば、エッジインテリジェンスデバイスは、1つのユーティリティ通信ネットワーク240のみと通信するための通信デバイスを有するデバイスであってもよい。
【0062】
一般的考慮事項
【0063】
本明細書では、請求項の発明の本旨を十分に理解するために、数多くの具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、請求項の発明の本旨は、これらの特定の詳細がなくても実施できることを理解するであろう。他の例では、当業者であれば公知であろう方法、装置、またはシステムは、請求項の発明の本旨を不明瞭にしないように、詳細には記載されていない。
【0064】
本明細書で論じる特徴は、特定のハードウェアアーキテクチャや構成に限定されるものではない。コンピューティングデバイスは、1つ以上の入力を条件として結果を提供するコンポーネントの任意の適切な配置を含むことができる。好適なコンピューティングデバイスには、コンピューティングシステムを汎用コンピューティング装置から、本発明の本旨の1つ以上の態様を実施する特殊コンピューティング装置へとプログラムまたは構成する、記憶されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に記憶されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムが含まれる。コンピューティングデバイスのプログラミングまたは構成に使用されるソフトウェアに、本明細書に含まれる教示を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプト、または他のタイプの言語または言語の組み合わせを使用できる。
【0065】
本明細書で開示される方法の態様は、そのようなコンピューティングデバイスの動作において実行され得る。例えば、ブロックを並べ替えたり、組み合わせたり、サブブロックに分割したりできる。特定のブロックやプロセスは並行して実行できる。
【0066】
本明細書における「に適合した」または「に構成された」の使用は、付加的なタスクまたはステップを実行するように適合または構成された装置を排除しない、開放的かつ包括的な言語として意図されている。さらに、「に基づく」の使用は、開放的かつ包括的であることを意図しており、1つ以上の言及された条件または値に「基づく」プロセス、ステップ、計算、またはその他の動作は、実際には、言及された条件または値以外の追加の条件または値に基づいている可能性がある。本書に含まれる見出し、リスト、および番号は、説明を容易にするためだけのものであり、限定を意味するものではない。
【0067】
本発明の本旨は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、前述の理解を得た上で、そのような態様に対する変更、変形、および等価物を容易に作り出すことができることが理解されよう。従って、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されたものであり、当業者に容易に明らかになるような本発明の本旨の修正、変形、および/または追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】