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特表2024-514507映像データを管理するための方法および自動車両の照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】映像データを管理するための方法および自動車両の照明装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/41 20060101AFI20240326BHJP
   H03M 7/30 20060101ALI20240326BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20240326BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N1/41
H03M7/30 Z
B60Q1/14 H
B60Q1/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560523
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022058182
(87)【国際公開番号】W WO2022207582
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2103374
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ヤセール、アルメイオ
【テーマコード(参考)】
3K339
5C178
5J064
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA25
3K339BA30
3K339CA01
3K339DA01
3K339GB01
3K339KA07
3K339KA09
3K339LA06
5C178AC08
5C178BC02
5C178BC11
5C178CC54
5C178CC68
5C178EC52
5J064BC16
(57)【要約】
本発明は、自動車両の照明装置(10)における映像データを管理するための方法を提供する。この方法は、映像パターン(1)をもたらす段階と、映像パターン(1)をピクセルの行ないし列(2)に分ける段階と、第1ピクセルの数値と隣接するピクセルの数値との間の第1勾配値を算出する段階と、各ピクセルについて、対応する勾配値と第1勾配との間の差が第1または第2条件の一方を満たすかどうか調べる段階と、線形セグメントを定める段階と、線形セグメントのデータを圧縮する段階と、圧縮されたデータをライトモジュールへ送る段階とを備えている。本発明はまた、そのような方法の各段階を遂行するための自動車両の照明装置(10)をも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の照明装置(10)における映像データを管理するための方法であって、
- 複数のピクセル(3)を備えた映像パターン(1)をもたらす段階であって、各ピクセルが、当該ピクセル(3)の光度に関連した数値によって特徴付けられる段階と、
- 前記映像パターン(1)をピクセルの行ないし列(2)に分けることで、複数の行パターン(2)を作り出す段階と、
- 複数の光度範囲もたらす段階であって、ピクセル毎の前記数値が、前記光度範囲のうちの唯一無二の1つの範囲内に含まれ、各光度範囲が代表値を有する段階と、
- 各ピクセルの前記数値を、対応する前記光度範囲の前記代表値によって置き換ることで、各ピクセルが1つの代表値によって特徴付けられる段階と、
- 隣り合うピクセルの前記代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルを見つけ出す段階であって、これらのピクセルが急変ピクセルとなる段階と、
- 各行パターンについて複数の線形セグメントをもたらす段階であって、各線形セグメントは2つの急変ピクセル同士の間に含まれている段階と、
- 各線形セグメントを2つの特徴付け値によって特徴付ける段階と、
- 前記特徴付け値を圧縮する段階と、
- 圧縮されたデータをライトモジュールへ送る段階と、
を備えた方法。
【請求項2】
前記映像パターン(1)の各光ピクセル(3)がグレースケールのピクセルであり、より特定的には、各ピクセル(3)の光度が0から255までのスケールに従った数によって特徴付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光度範囲の数が4から20の間に含まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ピクセルを見つけ出す段階は、
- 隣り合うピクセルの前記代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルの全てを見つけ出す副段階と、
- 各行パターンについて、同じ行パターンにおいて隣り合うピクセルの前記代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルのみを選択することによって、関連性のあるピクセルの集団を選び出す副段階と、
を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの特徴付け値は、前記線形セグメントを限定する前記急変ピクセルのうちの一方の前記数値と、前記線形セグメントを限定する2つの前記急変ピクセル同士の間の距離とである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光度範囲の全てが同じ大きさを有している、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮されたデータを解凍する段階を更に備えた、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧縮されたデータは、前記映像パターン(1)の特定部分にのみ関連付けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
- 複数の光源(5)を備えたライトモジュール(4)と、
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法の各段階を実行するための制御ユニット(6)と、
を備えた自動車両の照明装置(10)。
【請求項10】
前記ライトモジュール(4)はプロセッサーユニット(7)を更に備え、前記プロセッサーユニット(7)は前記圧縮されたデータを解凍するように構成されている、請求項9に記載の自動車両の照明装置(10)。
【請求項11】
前記光源(5)は、LEDなどのソリッドステート光源(固体光源)である、請求項9または10に記載の自動車両の照明装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の照明装置の分野、より特定的には照明源の制御に由来する電子的データの管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現行の照明装置は、アダプティブ照明機能をもたらすように制御されねばならない数の増大している光源を備える。
【0003】
この光源の数は、制御ユニットによって管理されねばならない大量のデータを必然的に伴う。PCMとライト(灯火)モジュールとの間でデータを伝送するために、しばしばCANプロトコルが、それらの変形の一部(最も使われるものの1つがCAN-FDである)において用いられる。しかしながら、一部の自動車製造者らがCANプロトコルの帯域幅を制限することを決めており、これが、通常約5Mbpsを必要とする管理運用に影響を与えてしまうのである。
【0004】
目下の圧縮方法はハイビーム・パターンに対してあまり効率的ではなく、これにより自動車製造者らによって求められる帯域幅の縮小が危うくなってしまう。
【0005】
この問題は、情報量が遙かに大きい一方で帯域幅の制限は増えない現代の高解像度モジュールでは、より一層悪化している。
【0006】
この問題に対する解決策が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、これらの問題に対する解決策を、自動車両の照明装置における映像データを管理するための方法であって、
- 複数のピクセルを備えた映像パターンをもたらす段階であって、各ピクセルが、当該ピクセルの光度に関連した数値によって特徴付けられる段階と、
- 映像パターンをピクセルの行ないし列に分けることで、複数の行パターンを作り出す段階と、
- 複数の光度範囲もたらす段階であって、ピクセル毎の数値が、光度範囲のうちの唯一無二の1つの範囲内に含まれ、各光度範囲が代表値を有する段階と、
- 各ピクセルの数値を、対応する光度範囲の代表値によって置き換ることで、各ピクセルが1つの代表値によって特徴付けられる段階と、
- 隣り合うピクセルの代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルを見つけ出す段階であって、これらのピクセルが急変ピクセルとなる段階と、
- 各行パターンについて複数の線形セグメントをもたらす段階であって、各線形セグメントは2つの急変ピクセル同士の間に含まれている段階と、
- 各線形セグメントを2つの特徴付け値によって特徴付ける段階と、
- 特徴付け値を圧縮する段階と、
- 圧縮されたデータをライトモジュールへ送る段階と、
を備えた方法によってもたらすものである。
【0008】
この方法は、制御ユニットとライトモジュールとの間で取り交わされる映像データを管理することを目的としている。制御ユニットは、映像パターンおよび圧縮データの計算を担当しており、自動車両の任意の位置(必ずしも物理的に照明装置の内部とは限らない)に設置されてよい。照明モジュールは、照明と合図のいずれかのための光パターンをもたらすことを目的とし、照明装置の内部に設置される。
【0009】
この方法の主たる利点は、急変ピクセルの局限を最適化することによる、品質の重大な損失を伴わない圧縮率の上昇である。上述した方法は、条件が満たされなくなるまでセグメントを延長する迅速かつ信頼できるやり方をもたらす。かくして、特に映像パターンがハイビーム・パターンと呼ばれる場合に、その方法によって置き換えられる元のピクセル群に比べて少ないデータ量をもたらしてくれる。行パターンの疑似ガウス形状もまた、圧縮率を向上させるのに貢献する。データの重大な損失を伴うことなく線形近似によって置き換えることのできる行パターンの幾つかの部分が存在するからである。
【0010】
幾つかの特定の実施形態において、映像パターンの各光ピクセルがグレースケールのピクセルであり、より特定的には、各ピクセルの光度が0から255までのスケールに従ったものとなっている。
【0011】
ライトモジュールは通常、光度が0から255までの段階に分けられるグレースケール上において光パターンを定める。これは、光パターンを、光データへと変換してから伝送して車両の制御ユニットによって管理できるように定量化するやり方である。
【0012】
幾つかの特定の実施形態において、光度範囲の数が4から20の間に含まれる。
【0013】
少ない数の光度範囲は、圧縮率を実質的に向上させることとなる。それらの範囲は、より少ない急変点を有し、より少ない損失で線形化される可能性をより多く有することとなるからである。より多い数の光度範囲は、品質を向上させ、データ損失を減少させるが、圧縮率の低下という犠牲を払うこととなるのである。
【0014】
幾つかの特定の実施形態において、先行する請求項で、ピクセルを見つけ出す段階は、
- 隣り合うピクセルの代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルの全てを見つけ出す副段階と、
- 各行パターンについて、同じ行パターンにおいて隣り合うピクセルの代表値とは異なるピクセルの代表値を有しているピクセルのみを選択することによって、関連性のあるピクセルの集団を選び出す副段階と、を備えている。
【0015】
急変点の数は、高圧縮率ではあるがデータ損失は大きくなるのと、より低圧縮率ではあるがデータ損失は小さくなるのとの間の釣り合いにとって決定的であることとなる。隣り合うピクセルの代表値とは異なる代表値のピクセルを見つけ出す段階を実行するとき、それは、当該ピクセルが、異なる代表値を有した隣り合う行パターン内の隣り合うピクセルを有していることを意味し得る。しかし、行パターン全体が同じ代表値を有し得るのである。隣り合う行パターンが、ある1つの異なる代表値を有しているならば、ある1つの行パターンの全てのピクセルが急変ピクセルとして選び出されるであろう、ということをもたらすかもしれないが、これは必要とはされないのである。関連性のある急変ピクセルを選び出す副段階は、急変ピクセルの数を減少させる(圧縮率を向上させる)が、如何なるそれ以上のデータ損失をも伴わないが故に有用なのである。同じ行パターンにおける全てのそれらの急変ピクセルは、如何なる価値ある情報をも加えないからである。
【0016】
幾つかの特定の実施形態において、2つの特徴付け値は、線形セグメントを限定する急変ピクセルのうちの一方の数値と、線形セグメントを限定する2つの急変ピクセル同士の間の距離とである。
【0017】
これら2つの値は、各線形セグメントの光度値についての線形近似を定めるのに本質的な値というだけである。各急変点は、光度の勾配が実質的な変化を受けるところの主眼点として選び出される。これらの急変点が、これらの変化を保存するのに用いられることで、映像の品質が失われないのである。線形近似を再現するためには、最初の急変点(線形セグメントの始点)における光度値と、次の急変点(線形セグメントが終わる所)までのピクセルの数とを保存すれば足りる。この線形セグメントの終点における光度の値は、次の急変点の光度値によって与えられることとなる。次の急変点は、次の線形セグメントの始点であるから、記憶されることとなる。かくして、データが節約され、圧縮率が改善されるのである。
【0018】
幾つかの特定の実施形態においては、光度範囲の全てが同じ大きさを有している。
【0019】
かくして、全ての急変点が同等性基準によって選び出されることから、モデルが一貫したものとなる。
【0020】
幾つかの特定の実施形態において、当該方法は、圧縮されたデータを解凍する段階を更に備えている。
【0021】
この段階は、ライトモジュールによって元の映像が投射されるべき場合に便利である。
【0022】
幾つかの特定の実施形態において、圧縮されたデータは、映像パターンの特定部分にのみ関連付けられている。
【0023】
このクリッピング(切出し)段階は、映像の大きな部分が完全に暗くなっている場合に有用である。その結果、圧縮段階は、代表値を含んでいる部分のみを重点的に取り扱うのである。
【0024】
2番目の発明態様において、本発明は、
- 複数の光源を備えたライトモジュールと、
- 最初の発明態様による方法の各段階を実行するための制御ユニットと、
を備えた照明装置を提供するものである。
【0025】
この照明装置は、従来のものより狭い帯域幅で動作することができる。
【0026】
幾つかの特定の実施形態において、ライトモジュールはプロセッサーユニットを更に備え、プロセッサーユニットは圧縮されたデータを解凍するように構成されている。
【0027】
適切なライトモジュールでの解凍段階を用いることで、モジュール自体に至るまでは帯域幅が狭められている。
【0028】
幾つかの特定の実施形態において、光源は、LEDなどのソリッドステート光源(固体光源)である。
【0029】
用語「ソリッドステート(固体、solid state)」は、電力を光へと変換するために半導体を用いる固体電界発光によって放出される光を表す。白熱照明に比べて、ソリッドステート照明は、熱の発生を減少させ、より少ないエネルギー消散で可視光を作り出す。ソリッドステート電子照明装置の概して小さな嵩は、もろいガラス管/球や長細いフィラメント線に比べて、衝撃や振動に対してより強い耐性を与えるものである。それらはまた、フィラメントの蒸発を排除して、発光装置の寿命を延長させる可能性を有している。これらの型式の照明における幾つかの例は、光源として、電気フィラメント、プラズマ、またはガスではなく、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)を備えている。
【0030】
別様に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的、科学的用語を含む)は、当該技術において通例であるように解釈されるべきものである。更に、一般的な語法による用語類も、やはり関連技術において通例であるように解釈されるべきであって、本明細書で明確にそう定義されない限り、理想化されたり過度に形式的であったりする意味に解釈されるべきではない。
【0031】
この本文において、用語「備える/含む(comprises)」や、その派生語(例えば「備えている/含んでいる(comprising)」など)は、排他的な意味に理解されるべきではない。即ち、これらの用語は、説明されたり定義されたりするものが更なる要素や段階などを含み得るという可能性を排除するように解釈されるべきではないのである。
【0032】
本明細書を完全なものとするよう、また本発明のより深い理解に備えるために、一連の図面が提供される。当該図面は、本明細書の不可欠な部分を成し、本発明の実施形態を示しているが、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に本発明を如何にして実施することができるかの例示として解釈されるべきである。図面は、以下の各図を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による自動車両の照明装置によって投射されるハイビームモジュールの測光値の最初の映像を示す図。
図2】測光値の例を表すピクセルマトリックスの一部を示す図。
図3】本発明による方法の行パターンの説明を示す図。
図4】本発明による方法の一部の段階の説明を示す図。
図5】本発明による方法が用いられたときの線形化段階の結果を示す図。
図6】本発明による自動車両の照明装置を示す図。
【0034】
これらの図においては、以下の参照符号が用いられている。
【符号の説明】
【0035】
1 映像パターン
2 行パターン
3 映像パターンのピクセル
4 ライトモジュール
5 LED
6 制御ユニット
7 プロセッサーユニット
8 代表値
9 境界
10 自動車両の照明装置
11 急変ピクセル
100 自動車両
【発明を実施するための形態】
【0036】
当業者が本明細書で説明されるシステムやプロセスを具現化して実施するのを可能とするに足るほど詳細に例示の諸実施形態が説明される。各実施形態は、多くの代替形態で提供することができ、本明細書に記載された例に限定して解釈されるべきではない、ということを理解するのが重要である。
【0037】
従って、実施形態は種々のやり方で改変することができ、種々の代替形態をとることができるが、それらのうちの特定の諸実施形態を、例として図面に示すと共に以下で詳細に説明する。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲内に入っている全ての改変、均等物、および代替物が包含されるべきである。
【0038】
図1は、本発明による自動車両の照明装置によって投射されるハイビームモジュールの測光値の最初の映像を示している。
【0039】
この最初の映像はピクセルに分割され得るものであり、各ピクセルは(黒に相当するであろう)0から(白に相当するであろう)255までのスケールにおける自らの光度によって特徴付けられ得るものである。
【0040】
図2は、そのようなピクセルマトリックスの一部(映像パターン1と呼ばれる)を示している。この映像パターン1の各ピクセル3は、上述したスケールに従った数によって特徴付けられる。商業的に利用可能なソフトウェア製品による、この映像パターン1の圧縮は、50%未満の圧縮率を提示するであろう。これは、一部の自動車製造者らによっては受け入れがたいものである。
【0041】
この映像においては、ピクセルが各行パターン2へと分けられている。各パターンは、関連付けられるピクセルの光度に応じた(0から255の間の数による)一連のデータを備えている。明らかに、これらのピクセルの数値は、本発明の理解を高める目的のために選ばれたに過ぎない単純化された例であって、図1の光パターンの光度に対応してはいない。
【0042】
図3は、本発明による方法における更なる段階を示している。この段階においては、元の光度値を量子化するために複数の光度範囲が与えられる。その結果、各ピクセルの元の光度値が、代表値8によって置き換えられる。そのため、各ピクセルは今や1つの代表値8によって特徴付けられている。元の測光値パターンにおいては、各ピクセルが0から255までの任意の値を取ることができるであろう。しかしながら、この段階の後では、光度値が例えば、
- 0から31(代表値は16と定められている)、
- 32から63(代表値は48と定められている)、
- 64から95(代表値は80と定められている)、
- 96から127(代表値は112と定められている)、
- 128から159(代表値は144と定められている)、
- 160から191(代表値は176と定められている)、
- 192から223(代表値は208と定められている)、および、
- 224から255(代表値は240と定められている)、
の8つの異なる範囲に分類される。
【0043】
ここでは、256個の異なる値に代えて8つの異なる代表値のみが認められ、どのピクセルも、この8つの代表値:16,48,80,112,144,176,208,または240のうちの1つを有しているのである。
【0044】
図4は、この段階を実行した後における、光パターンの量子化されたマップを示している。この図は、図1の光マップに対応してはいるが、10個の異なる光度範囲に量子化された後のものである。
【0045】
この量子化段階は、元の光マップの線形化を遂行するのに最適な急変点を見つけ出すためだけに行われる。量子化されたマップは、照明装置へその投射のために送られることはなく、中間段階として用いられるだけである。
【0046】
各量子化部分は、境界9を有している。その境界9は、隣り合うピクセルの代表値とは異なるピクセルの代表値を有したピクセル同士によって定められるものである。
【0047】
しかしながら、これはかなり多数のピクセルであることが分かる。ピクセルの数を減らして最も関係のあるものを選択することが有利である。これは、この急変ピクセルの集団について、同じ行において隣り合うピクセルの代表値とは異なるピクセルの代表値を有したピクセルのみを選び出すことによって成される。
【0048】
図5は、選び出された急変ピクセル11を示している。これらのピクセルは、元の光パターン(量子化されたものではなく、量子化されたものは急変点を得るためだけに算出されるものである)を線形化するために用いられることとなる。
【0049】
各急変点が得られたならば、各行について複数の線形セグメントが定められる。換言すれば、各行が複数の線形セグメントへと分割されるのである。各線形セグメントは、開始ピクセルと終了ピクセルとによって定められる。その結果、ピクセルの数が知られる(開始ピクセルと終了ピクセルとの間のピクセルの数)。それゆえ、全てのセグメント同士が連続して隣り合うと共にセグメントが各行の全体に及んでいることから、ある1つのセグメントを定めるには開始値とピクセルの数とで足りるのである。それは、終了値が次のセグメントの開始値と同じであることとなるからである。従って、各セグメントを定めるのに2つの値しか必要とされないのである。急変点は、あらゆるセグメントについての始点として選択されるものである。その結果、各行において、この行に属した急変点の数と同じ数の線形セグメントがあることとなる。
【0050】
本発明の方法の特定実施形態は、この行パターンにおける各ピクセルについての勾配を算出する段階を備えているであろう。
【0051】
セグメント毎のこれら2つの値だけが、照明装置へ送られる。それは、図1に示す元の光パターンの近似であることとなる線形パターンを再現するためである。
【0052】
図6は、本発明による自動車両の照明装置を示している。この照明装置は、
- 複数のLED5を備えたライトモジュール4と、
- 先の各図で説明された圧縮の各段階を実行して、圧縮されたデータを生成するための制御ユニット6と、
- 圧縮されたデータを解凍するように構成されたプロセッサーユニット7と、
を具備し、このプロセッサーユニットがライトモジュール4内に位置している。
【0053】
このライトモジュールは、改善された伝送帯域幅による優れた品質の投射を達成するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】