(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】修正された噴射信号を生成するように構成された、バイオエタノールに変換するための装置の改良
(51)【国際特許分類】
F02D 19/06 20060101AFI20240326BHJP
F02D 41/34 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F02D19/06 A
F02D41/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560674
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 IB2022052637
(87)【国際公開番号】W WO2022208236
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518106319
【氏名又は名称】フレックス フューエル - エナジー デベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ル ポルス セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
【Fターム(参考)】
3G092AB14
3G092BB01
3G092BB06
3G092FA06
3G092HB01Z
3G092HB02Z
3G301HA23
3G301HA24
3G301JA03
3G301MA11
3G301MA20
3G301NE17
3G301NE19
3G301PB06Z
(57)【要約】
本発明は、第1の燃料で動作するように初めに構成された燃料噴射エンジンを変換するための装置に関し、変換装置は、ユーザが、第1の燃料の組成と異なる組成の第2の燃料を用いてエンジンを動作させることを可能にし、第2の燃料は、例えば、バイオエタノール燃料、又は無鉛燃料とバイオエタノール燃料との混合物であり、変換装置は、エンジン制御ユニットから受信した最初の噴射信号(SI)に基づき、適合された噴射信号(SM)をエンジンのインジェクタに送信するように構成されており、変換装置(1)は、-最初の噴射信号(SI)を解析する回路(60)であって、最初の噴射信号を測定する回路(61)と、測定された信号が低下して終了閾値を下回ったときに最初の噴射信号の終了時間を検出するように構成された検出回路(67)とを含む、回路(60)と、-最初の噴射信号の終了時間から開始して相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された信号生成器(70)と、-連続して、最初の噴射信号(SI)をインジェクタに送信し、次いで、相補的な噴射信号(SC)をインジェクタに送信するスイッチング回路(80)であって、最初の噴射信号(SI)及び相補的な噴射信号(SC)は共に、適合された噴射信号(SM)を形成する、スイッチング回路(80)とを備える。本発明の変換装置は、解析回路(60)がさらに、測定された信号に応じて終了閾値(FT)の値を更新するように構成された更新回路(68b)を備えることを特徴とする。また、本発明は、上述した変換装置に関連する方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の燃料で動作するように初めに構成された燃料噴射エンジンを変換するための装置(1)であって、
変換装置は、ユーザが、前記第1の燃料の組成と異なる組成の第2の燃料を用いて、前記エンジンを動作させることを可能にし、前記第2の燃料は、例えば、バイオエタノール燃料、又は無鉛燃料とバイオエタノール燃料の混合物であり、
前記変換装置は、エンジン制御ユニット(ECU)から受信した最初の噴射信号(SI)に基づき、適合された噴射信号(SM)を前記エンジンのインジェクタ(5)に送信するように構成され、
前記変換装置(1)は、
前記最初の噴射信号(SI)を解析する回路(60)であって、前記最初の噴射信号を測定する回路(61)と、測定された信号が低下して終了閾値(FT)を下回ったときに前記最初の噴射信号の終了時間(Tf)を検出するように構成された検出回路(67)とを備えた回路(60)と、
前記最初の噴射信号の前記終了時間から開始する相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された信号生成器(70)と、
連続して、前記最初の噴射信号(SI)を前記インジェクタに送信し、次いで、前記相補的な噴射信号(SC)をインジェクタに送信するスイッチング回路(80)であって、前記最初の噴射信号(SI)及び前記相補的な噴射信号(SC)は共に、前記適合された噴射信号(SM)を形成する、スイッチング回路(80)とを備えており、
前記変換装置は、解析回路(60)がさらに、測定された信号に応じて、前記終了閾値(FT)の値を更新するように構成された更新回路(68b)を備えることを特徴とする、変換装置。
【請求項2】
前記更新回路(68b)はさらに、最初の噴射信号の調整段階において、前記測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminを決定するように構成され、また、前記測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminに応じて、高閾値HT及び低閾値LTの値を、それぞれ更新するように構成されており、
前記信号生成器(70)は、前記相補的な噴射信号(SC)が前記高閾値(HT)と前記低閾値(LT)との間で変化するように、前記相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された、請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記更新回路(68b)はさらに、前記最初の噴射信号の調整段階において、前記測定された信号の更新された周期Pを決定するように構成されており、
前記信号生成器(70)は、周期的及び相補的な噴射信号(SC)が周期Pを有するように、周期的及び相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された、請求項1又は2に記載の変換装置。
【請求項4】
前記信号生成器(70)は、前記最初の噴射信号(SI)と前記周期的及び相補的な噴射信号(SC)との移行期間PTが、周期Pの1.2倍未満、好ましくは1.1倍未満となるように、周期Pの前記周期的及び相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された、請求項3に記載の変換装置。
【請求項5】
前記更新回路(68b)は、最初の噴射信号の調整段階において、前記測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminを決定するように構成され、また、FT=Vmin-E
*(Vmax-Vmin)となるように、終了閾値FTの値を更新するように構成されており、Eは、既定のトレランスパラメータである、請求項1~4のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項6】
前記トレランスパラメータEは、5%未満、好ましくは3%未満となるように選択される、請求項5に記載の変換装置。
【請求項7】
前記第2の燃料のリッチネスを測定するように構成されたプローブをさらに備え、
前記変換装置は、その期間が前記第2の燃料のリッチネスに依存するように、前記相補的な噴射信号を生成するように構成された、請求項1~6のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項8】
第1の燃料で動作するように初めに構成された燃料噴射エンジンを変換する方法であって、前記変換する方法は、ユーザが、前記第1の燃料の組成と異なる組成の第2の燃料を用いてエンジンを動作させることを可能にし、
前記変換する方法は、請求項1~7のいずれか1項に記載の変換装置を使用することを含み、
前記変換装置は、エンジン制御ユニット(ECU)から最初の噴射信号を受信して、適合された噴射信号(SM)を生成するように構成されており、
前記変換する方法は、
ステップET1:前記最初の噴射信号(SI)を測定し、測定された信号が低下して終了閾値(FT)を下回ったときに、最初の噴射信号(SI)の終了時間(Tf)を検出するステップと、
ステップET2:前記最初の噴射信号(SI)の前記終了時間から開始する相補的な噴射信号(SC)を生成するステップと、
ステップET3:連続して、前記最初の噴射信号(SI)をインジェクタに送信し、次いで、前記相補的な噴射信号(SC)をインジェクタに送信するステップであって、前記最初の噴射信号(SI)及び前記相補的な噴射信号(SC)は共に、前記適合された噴射信号(SM)を形成するステップと、
ステップET4:前記測定された信号に応じて、前記終了閾値の値を更新するステップと
を実行する、方法。
【請求項9】
ステップET1~ET3が、前記最初の噴射信号の各サイクルで繰り返される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップET4が、ステップET1、ステップET2又はステップET3と並行して実行される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップET4は、前記最初の噴射信号の初めのサイクルで実行され、及び/又は
ステップET4は、前記最初の噴射信号の各サイクルで繰り返される、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップET4において、前記最初の噴射信号の調整段階では、前記測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminが決定され、高閾値HT及び低閾値LTの値が、前記測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminに応じて、それぞれ更新され、
ステップET2において、前記相補的な噴射信号が前記高閾値(HT)及び前記低閾値(LT)の間で変化するように、前記相補的な噴射信号が生成される、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップET4において、前記最初の噴射信号の調整段階において、前記測定された信号の更新された周期が決定され、
ステップET2において、周期的及び相補的な噴射信号(SC)が周期Pを有するように、周期的及び相補的な噴射信号(SC)が生成される、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップET4において、FT=Vmin-E
*(Vmax-Vmin)となるように、前記終了閾値FTの値が更新され、Eは、既定のトレランスパラメータである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の分野に関するものであり、特に、この分野において、第1の燃料、例えば、無鉛燃料で動作するように初めに構成された直接又は間接的な燃料噴射エンジンをバイオエタノールに変換するための装置に関する。このような変換装置により、ユーザは、第1の燃料の組成と異なる組成の第2の燃料でエンジンを動作させることができ、第2の燃料は、例えば、バイオエタノール燃料、又は無鉛燃料とバイオエタノール燃料の混合物である。バイオエタノールの使用が、無鉛燃料で得られる性能と同様の性能を得るために、噴射対象の追加の燃料を必要とする限り、このような変換装置は、インジェクタが開いて制御される時間をより正確にすることができる。これらの変換装置は、エンジンの通常のECU(Engine Control Unitの頭文字)に対して透過的に設計されており、これは、バイオエタノールに変換するための装置が動作しているか否か、また、エンジンが無鉛燃料又はバイオエタノールで駆動されているか否かにかかわらず、正確に動作可能であるべきである。
【0002】
周知のように、このような変換装置は、ECUによって供給される噴射信号を受信し、より多くの燃料がエンジンに噴射されることを保証する適合された噴射信号を、エンジンのインジェクタに送信するように構成される。最初の噴射信号を適合させるために、変換装置は、特に、エンジンの種類及び使用される燃料の種類を考慮する。噴射信号は、ほとんどの場合、電流の制御信号であり、これは、インジェクタを開いた状態に制御し、エンジンが必要とする燃料をエンジンに供給するために十分な噴射時間、インジェクタを開いた状態に維持することができる。既知の変換装置は、通常、所定の種類のエンジンに特有であり、また、車両へ変換装置を取り付ける際に、ポテンショメータを用いて、パラメータを手動で調整することのみが想定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の変換装置は、通常、特に以下の理由により、あまり効果的ではない。
【0004】
現在、道路上のほとんどの自動車が備えている燃料噴射エンジンでは、技術とエンジンの出力に応じて、噴射信号が、非常に特異的であり、また、信号の波形(波形プロファイルとも呼ばれる)だけでなく、信号の振幅及び期間においても、エンジンやエンジンの種類によって大きく異なる。これらの信号は、周波数がエンジン速度(rpm)に比例する周期的な信号である。さらに、所定のエンジンでは、1つの周期(噴射サイクルとも呼ばれる)において、噴射信号は、実際には、振幅と期間が非常に変化することがある。それらの電圧は、数十から100ボルトに達することがあり、また、それらの電流は、或る時点では、数アンペアから数十アンペアの間で構成され、噴射周期の終了時では、0又は実質的に0となることがある。したがって、その製造中に一度構成された従来の変換装置は、1種類のエンジンにのみ使用することができるため、エンジンの種類の数に応じて、変換装置を提供する必要がある。
【0005】
また、現在、エンジンメーカは、使用される燃料だけでなく、エンジンの使用方法やエンジンの使用条件を考慮して、燃料の消費量をリアルタイムに調整する手段を開発することにより、エンジンの運転を最適化している。したがって、例えば、自動車では、エンジン制御ユニットは、特に、エンジン及び/又はエンジン負荷から要求される電力と、任意で周囲温度とを考慮して、最初の噴射信号をリアルタイムで生成する。その結果、最初の噴射信号の波形、振幅及び期間は、エンジンの使用中の各噴射サイクルにおいて、リアルタイムに変化する。これらの非常に変化し易い条件下では、従来の変換装置は、噴射サイクルの不適切な瞬間に最初の噴射信号を変更する可能性があり、不要に燃料を過剰に消費するリスクがあり、または、エンジンを損傷するリスクがある。
【0006】
特許出願PCT/EP2019/085468には、各噴射サイクルにおいて、最初の噴射信号の終了時間を検出し、最初の噴射信号の終了時間の後に、相補的な噴射信号をインジェクタに送信する変換装置及び方法が記載されている。この技術的な解決手段は、相補的な信号の噴射時間を改善し、最初の信号から相補的な信号への移行を、可能な限りインジェクタに対して透過的にする。
【0007】
また、相補的な噴射信号の波形、振幅及び期間は、エンジン又は一群のエンジンの過去のテストで得られた初期のパラメータに依存し、また、装置を車両に設置する際に変換装置に格納される。この技術的な解決手段は、所定のエンジンに一層適合された相補的な噴射信号の送信を可能にする。
【0008】
しかしながら、複数の実験では、この技術は、エンジンの実際の使用に応じて、エンジンの動作とそのエネルギー消費を最適化するには不十分であることを示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の燃料で動作するように初めに構成された燃料噴射エンジンを変換するための新たな装置を提供する。この変換装置は、ユーザが、第1の燃料の組成と異なる組成の第2の燃料でエンジンを動作させることを可能にし、第2の燃料は、例えば、バイオエタノール燃料であり、新たな装置は、上述した既知の従来技術の変換装置のいずれか又はいくつかの欠点がない。
【0010】
この目的のために、本発明は、エンジン制御ユニットから受信した最初の噴射信号に基づいて、適合された噴射信号をエンジンのインジェクタに供給するように構成された新たな変換装置を提供する。
【0011】
本発明の変換装置は、
-最初の噴射信号を解析する回路であって、最初の噴射信号を測定する回路と、測定された信号が低下して終了閾値を下回ったときに最初の噴射信号の終了時間を検出するように構成された検出回路とを備えた回路と、
-最初の噴射信号の終了時間から開始する相補的な噴射信号を生成するように構成された信号生成器と、
-連続して、最初の噴射信号をインジェクタに送信し、次いで、相補的な噴射信号をインジェクタに送信するように構成されたスイッチング回路とを備え、最初の噴射信号及び相補的な噴射信号は共に、適合された噴射信号を形成する。
【0012】
本発明に係る変換装置は、解析回路がさらに、測定された信号に応じて、終了閾値の値を更新するように構成された更新回路を備えることを特徴とする。これにより、本発明に係る変換装置は、最初の噴射信号の最後に、相補的な噴射信号を送信することを可能にし、最初の噴射信号に応じて終了閾値の値を更新することにより、変換装置は、エンジンの動作中の噴射信号の期間における様々な変動を、リアルタイムに考慮することができる。したがって、最初の信号の終了の検出が、従来の装置よりも正確であるため、補完的な噴射信号は、エンジンの動作条件が変化する期間も含め、エンジンにとって最も適切な瞬間に、常に送信される。
【0013】
また、更新回路は、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminを決定するように構成され、また、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminのそれぞれに応じて、高閾値HT及び低閾値LTの値を更新するように構成され、さらに、信号生成器は、補完的な噴射信号SCが高閾値HT及び低閾値LTの間で変化するように、補完的な噴射信号SCを生成するように構成されることが好ましい。高閾値及び低閾値をリアルタイムに更新することにより、補完的な噴射信号の振幅を、エンジンの動作中にリアルタイムに調整することができる。このように、変換装置は、例えば、変換装置を備えた特定のエンジンの動作中に、その調整段階で測定された、最初の噴射信号の実際の振幅に、可能な限り近い振幅を有する相補信号をリアルタイムで供給する。このように、相補信号は、エンジンに対して可能な限り透過的な方法で、エンジンの実際の動作条件下で、最初の信号を延長する。これにより、変換装置の有効性がさらに最適化される。
【0014】
更新回路は、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の更新された周期Pを決定するように構成され、信号生成器は、周期的及び相補的な噴射信号が周期Pを有するように、周期的及び相補的な噴射信号を生成するように構成され得る。これにより、変換装置は、例えば、測定された最初の噴射信号の実際の波形に可能な限り近い波形(周期信号)を有する相補的な信号を、リアルタイムで供給する。これにより、変換装置の有効性がさらに最適化される。
【0015】
別の実施形態では、更新回路は、FT=Vmin-E*(Vmax-Vmin)の関係にしたがって、終了閾値FTの値を更新するように構成され、ここで、Eは所定のトレランスパラメータである。
【0016】
また、本発明は、上述したような変換装置を使用することを含む変換方法に関する。
【0017】
したがって、本発明は、エンジンのリアルタイムの動作条件を考慮してリアルタイムで更新される自己適合式の閾値を使用する変換装置を提供する。したがって、本発明に係る変換装置は、第2の燃料の特性、エンジン、及びそのリアルタイムの動作に完全に適合する最適化された噴射信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態の以下の説明により、本発明の理解が深まり、本発明の他の特徴や利点が明らかになるであろう。これらの実施形態は、限定するものではない。この説明は、添付図面を参照して読むべきである。
【
図1】
図1は、その環境における本発明に係る装置の簡略化された電気回路図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る装置の詳細を示す電気回路図である。
【
図3】
図3は、従来の変換装置によってエンジンのインジェクタに送信される噴射制御信号の変化の一例を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る変換装置によってエンジンのインジェクタに送信される噴射制御信号の変化の一例を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る方法の主要なステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述したように、本発明は、燃料噴射エンジンを、バイオエタノール燃料又は無鉛燃料とバイオエタノール燃料の混合物等の第2の燃料に変換するのに適した変換装置1(
図1)に関する。この変換装置は、エンジン制御ユニットECUから受信した最初の噴射信号SIに基づいて、適合された噴射信号SMをエンジンのインジェクタ5に供給するように構成される。
【0020】
図1~
図2は、本発明に係る変換装置の一実施形態を示しているが、明確にするために、意図的に簡略化されている。
【0021】
D1の変換装置と同様に、一対の入力ケーブルは、制御ユニットECUを、変換装置の正の入力端子及び負(又はグランド)の入力端子(
図1)に接続し、一対の出力ケーブルは、変換装置の正の出力端子及び負(又はグランド)の出力端子をインジェクタ5に接続する。
【0022】
変換装置は(
図2)、
-最初の噴射信号(SI)を解析する回路(60)であって、最初の噴射信号を測定する回路(61)と、測定された信号が低下して終了閾値(FT)を下回ったときに最初の噴射信号の終了時間(Tf)を検出するように構成された検出回路(67)とを含む回路(60)と、
-最初の噴射信号の終了時間から開始する相補的な噴射信号(SC)を生成するように構成された信号生成器(70)と、
-連続して、最初の噴射信号(SI)をインジェクタに送信し、次いで、相補的な噴射信号(SC)をインジェクタに送信するように構成されたスイッチング回路(80)とを備え、最初の噴射信号(SI)及び相補的な噴射信号(SC)は共に、適合された噴射信号(SM)を形成する。
【0023】
図に示す例(
図2)では、変換装置の負の入力端子及び出力端子は、電気的に接続されている。ここでは、測定回路61は、変換装置の負の入力端子と負の出力端子の間、すなわち、インジェクタ5からの噴射信号を制御ユニットECUにフィードバックするための接続において流れる瞬時電流を測定するように構成される。測定回路61は、最初の噴射信号SIのイメージである測定された信号を送信し、測定された信号の振幅は、最初の噴射信号SIの振幅に比例し、測定された信号の期間、周期及び終了時間Tfはそれぞれ、最初の噴射信号SIの期間、周期及び終了時間と同じである。
【0024】
測定回路61、検出回路(コンパレータ67)、信号生成器70及びスイッチング回路80は、例えば、D1の教示にしたがって製造される。
図3及び
図4は、制御ユニットECUから送信された最初の噴射信号SI(実線)の経時的な変化と、信号生成器70が生成した相補的な信号SC(破線)の経時的な変化を模式的に示したものであり、結果として生成される信号は、インジェクタ5に送信されるような、適合された噴射信号SMに対応する(単一の噴射サイクルを示している)。
図3は、重大な状況において、D1の教示による変換装置が生成する信号SMを示す。
図4は、同様に、本発明に係る変換装置が生成する、適合された噴射信号SMの変化を示す。
【0025】
実際には、上述したように、最初の噴射信号SI(実線)は、エンジンによって、また、エンジンの動作条件に応じて、その波形だけでなく、その振幅又は期間がかなり異なる。しかしながら、それらの全ては、インジェクタを開くコマンドに対応する第1の段階Aと、それに続く、インジェクタが開いた状態を維持するコマンドに対応する第2の段階B(一般に維持段階と呼ばれる)がある。第1の段階では、電流は、最小値、従来の方法では0アンペアから増加し、最大値になってから減少する。最大値は、エンジンに応じて、数アンペアから数十アンペアのオーダーである。第2の段階Bでは、電流が調整され、2つの値、すなわち、最小値と最大値の間で振動し、第2の段階Bを通して、加圧された燃料のジェットがインジェクタに噴射される。最初の噴射信号の調整段階Bにおいて、最初の信号の振幅は、エンジンによって実質的に異なることがあり、したがって、最初の噴射信号の最大値と最小値の間の差(一般に維持振幅(amplitude de claquage)と呼ばれる差)は、0(振動がない又は非常に少ない)から数十アンペアまで変化し得る。
【0026】
D1の変換装置では、最初の噴射信号が低下して終了閾値FT0を下回ると、最初の噴射信号の終了が検出される(
図3)。閾値FT0は、予め決められており、変換装置を車両に設置する際に変換装置に記憶される。しかしながら、動作中では、最初の噴射信号が変化し、閾値FT0が不適切になる可能性がある。したがって、終了閾値FT0の値が調整段階の最初の信号の最小値よりも非常に低い
図3の例では、最初の信号の終了(時間Tf0)の検出が遅くなり、相補的な信号の生成が遅くなる。終了閾値FT0の値が調整段階の最初の信号の最小値よりも非常に高い別の例(図示せず)では、変換装置は、最初の信号の実際の終了よりもかなり前に、最初の信号が終了したとみなし(時間Tf)、最初の噴射信号の送信を中断し、不適切な相補的な信号、特に、最初の信号の実際の期間よりも非常に短い期間の信号を送信する。いずれも場合も、変換装置によって送信される信号は、インジェクタの動作不良を引き起こす。
【0027】
本発明は、D1の装置を改良し、エンジンの動作中に最初の噴射信号の期間及び振幅が経時的に変化する可能性があるという事実を考慮する。この目的のために、解析回路60は、更新回路68bを備え、更新回路は、測定回路61によって測定された信号のパラメータを決定し、相補的な噴射信号の生成に必要なパラメータをリアルタイムで更新するように構成される。
【0028】
一実施形態では、解析回路は、測定された信号を記憶するためのメモリ68aを含み、更新回路68bは、測定及び記憶された信号のパラメータを決定する。他の実施形態(図示せず)では、更新回路68bは、測定回路61による測定が行われると、測定された信号のパラメータを即座に決定する。
【0029】
また、更新回路68bは、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminを決定するように構成され、また、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminに応じて、高閾値HT及び低閾値LTの値をそれぞれ更新するように構成され、さらに、信号生成器70は、相補的な噴射信号SCが高閾値HT及び低閾値LTの間で変化するように、相補的な噴射信号SCを生成するように構成され得る。測定された信号は、振幅が最初の噴射信号に比例するため、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminは、それぞれ最初の噴射信号SIの最大値及び最小値に比例する。したがって、生成器70によって生成された相補的な信号SCは、最初の噴射信号と同じ高極値及び低極値の間で変化する。安全対策として、回路68bは、最大値Vmaxが最大許容値よりも高いと判断した場合、高閾値HTの値を上限値HTMに更新するように構成され得る。同様に、回路68bは、最小値Vminが最大許容値よりも低いと判断した場合、低閾値LTの値を下限値LTmに更新するように構成され得る。これにより、更新回路68b又は更新回路の上流に位置する回路(例えば、測定回路61)が誤動作した場合に、更新回路68bの下流に位置する回路が安全に動作することが保証される。
【0030】
また、更新回路68bは、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の更新された周期Pを決定するように構成することができ、また、信号生成器70は、周期的及び相補的な噴射信号SCが周期Pを有するように、周期的及び相補的な噴射信号SCを生成するように構成することができる。したがって、発生器70によって生成された相補的な信号SCは、最初の噴射信号と同じ波形(周期信号)を有する。
【0031】
初めに、更新回路68bは、測定回路61によって測定された信号に応じて、終了閾値FTの値を更新するように構成される。
【0032】
一実施形態では、更新回路68bは、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminを決定するように構成され、また、FT=Vmin-E
*(Vmax-Vmin)となるように、終了閾値FTの値を更新するように構成され、ここで、Eは、所定のトレランスパラメータである。実験により、5%未満に設定されたトレランスパラメータEは、インジェクタの正常な動作を保証し、また、3%以下に設定されたトレランスパラメータEは、インジェクタ及び変換装置の双方の最適な動作をもたらすことが示されている。例示であり、本発明を限定するものではない具体的な数値例として、その波形が
図4に示す波形と類似する最初の噴射信号SIを考える。調整段階Bでは、最初の信号SIは、最小値Vmin0=3.28Aと最大値Vmax0=4Aの間で変化し、SIは周期Pを有する。最初の信号の維持振幅Acl0は、調整段階における信号SIの最大値と最小値の差によって定義される:Acl0=Vmax0-Vmin0=0.72A。測定された信号は信号SIに比例するため、測定された信号の値Vmin、Vmax、及びAcl=Vmax-Vminは、それぞれVmax=K
*Vmax0、Vmin=K
*Vmin0、及びAcl=K
*(Vmax0-Vmin0)と等しく、ここで、Kは比例係数である。さらに、測定された信号の終了閾値FT=Vmin-E
*(Vmax-Vmin)は、信号SIの終了閾値FT0=Vmin0-E
*(Vmax0-Vmin0)に対応し、換言すると、この数値例では、トレランスパラメータEが、0.03、すなわち3%に等しい場合、FT0=3.28-0.03
*(0.72)=3.26Aに対応する。
【0033】
一代替例では、更新回路は、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の最小値Vminを決定するように構成され、また、FT=Vmin-E0の関係にしたがって、終了閾値FTの値を更新するように構成され、ここで、E0は所定のトレランスパラメータである。この代替案は、実施が容易であるが、実験では、特に最初の噴射信号がエンジンの動作中に大きく変化する場合、時間が経過するにつれ、より悪い結果をもたらす可能性があることが示されている。
【0034】
スイッチング回路80は、最初の噴射信号を送信した後、発生器70によって生成された相補的な噴射信号を供給する。実際には、相補的な信号及び最初の信号は、最初の信号の周期Pよりも長い移行期間PTによってオフセットされる。適切な場合には、信号生成器70は、最初の噴射信号SIと相補的な噴射信号SCとの間の移行期間PT(
図4)が、周期Pの1.2倍未満、好ましくは1.1倍未満となるように、周期Pの周期的及び相補的な噴射信号SCを生成するように構成されることが好ましい。したがって、相補的な信号は、可能な限り、インジェクタに対して透過的である。
【0035】
一実施形態では、本発明に係る変換装置はさらに、第2の燃料のリッチネスRを測定するように構成されたプローブ(図示せず)を備え、信号生成器70は、その期間が第2の燃料のリッチネスと最初の噴射信号の期間に依存するように、相補的な噴射信号を生成するように構成される。
【0036】
相補的信号の期間は、例えば、DIC=TX*DIと等しく、ここで、TXは濃縮比であり、DIは最初の噴射信号の期間である。
【0037】
TXは、第2の燃料のリッチネスに依存する比率である。また、それは、エンジンの固有パラメータに依存し、エンジンが搭載される車両(例えば、重量など)の固有パラメータに依存し、又は、エンジンの使用方法(例えば、町や高速道路で最も頻繁に運転される)にも依存し得る。一例では、濃縮比は、第2の燃料の測定されたリッチネスに比例するように選択される:TX=TX0*(R0-R)、ここで、R0及びTX0は、リッチネス及び濃縮比の既定の初期値である。エンジンが始動された後の最初の噴射サイクル中に、又は、実際にはエンジンの動作中の各噴射サイクルにおいてより定期的にリッチネスプローブによって取得された第2の燃料のリッチネスRの測定を通じて、濃縮比TXが更新され得る。濃縮比は、インジェクタの安全性を確保するために、TX=0~40%の範囲、好ましくは10~30%の範囲で制限されるように選択される。
【0038】
DIは、最初の信号の期間である。
図4の例では、最初の信号の期間は、最初の信号の開始時間と終了時間の間、すなわち、最初の信号の段階Aの開始と段階Bの終了の間で決定される。変形例として、
図2に示す装置では、最初の信号の期間は、信号SIの調整段階の開始と終了の間とされ、コンパレータ63aは、測定された信号が低下して高閾値HT未満になったときに、調整段階の開始を検出するように構成され、コンパレータ67が、調整段階の終了を検出し、そして、測定回路63cが、信号SIの調整段階の開始と終了の間の時間に対応する噴射期間DIを決定する。
【0039】
簡略化のため、エンジンの単一のインジェクタが、
図1に示されている。N個のインジェクタ、例えば、4個又は6個のインジェクタを備えた従来のエンジンでは、
図1の概略図がN回複製され、そして、本発明に係る変換装置は、それぞれが制御ユニットECUの対応する端子対に接続されたN対の入力端子と、それぞれがインジェクタの端子対に接続されたN対の出力端子とを備え、変換装置の内部では、解析回路、電流発生器及びスイッチング回路が、同様に複製されることができ、これにより、各インジェクタを、他のインジェクタから独立して駆動することができる。変形例として、本発明に係る装置は、N個の電流発生器と、N個のスイッチング回路と、単一の解析回路60とを備えることができ、1つの電流発生器及び1つのスイッチング回路は、エンジンのN個のインジェクタのうちの1つのインジェクタの電流源に関連付けられ、解析回路60は、N個のインジェクタのうちの1つに関連する最初の噴射信号を解析し、解析結果(高閾値、低閾値等)をN個の電流発生器のそれぞれに供給する。
【0040】
また、解析回路60は、例えば、有線接続(例えば、USBケーブルを介した接続)又は無線接続(Bluetooth接続等)のような既知の手段によって、(例えば、ユーザのためのグラフィカルインタフェースを表示する)遠隔の端末と情報を交換するように構成された通信インタフェース66を備えてもよい。最後に、解析回路60は、制御回路65を備えることができ、制御回路65は、
-測定回路61、コンパレータ67、回路68(メモリ68a及び更新回路68bを含む)、必要に応じて、コンパレータ63a及び測定回路63cによって送信された全ての信号を受信するように構成され、
-ユーザ(例えば、エンジンの識別子、トレランスパラメータE、高閾値HTの初期値、低閾値LTの初期値、終了閾値FTの初期値、リッチネスR及び濃縮比TXの初期値、低閾値HTの最小値及び高閾値HTの最大値、トレランスパラメータE、濃縮比TXの最小値及び最大値などである。)によって潜在的に提供されるパラメータを受信するように構成される。
-信号生成器70を駆動するための制御信号を生成するように構成される。
【0041】
制御回路65は、特に、所定のパラメータ、例えば、トレランスパラメータ、濃縮比等を記憶するためのデータメモリを備える。データメモリはさらに、識別子によって識別される全ての既知のエンジン(又はエンジンの種類)について、当該エンジンに関連する初期パラメータ、例えば、高閾値HTの初期値、低閾値LTの初期値、及び終了閾値FTの初期値、低閾値HTの最小値及び高閾値HTの最大値、トレランスパラメータE、濃縮比TXの最小値及び最大値等を含むデータベースを記憶することができる。本発明の文脈において、データメモリはさらに、相補的な信号の高閾値HT及び低閾値LTの更新値、並びに/又は相補的な噴射信号の期間DCIの更新値を記憶することができ、これらは、相補的な噴射信号を生成するために、更新回路68bによって送信される。
【0042】
また、制御回路65は、後述するように、本発明の方法の実行及び変換装置の全ての回路の駆動に適した複数のコードラインを含むプログラムメモリを備える。
【0043】
本発明の変換装置は、本発明に係る変換方法(
図5)を実行するために使用することができ、これは、
-ET1:最初の噴射信号SIを測定し、測定された信号が低下して終了閾値FTを下回ったときに最初の噴射信号SIの終了時間Tfを検出すること、
-ET2:最初の噴射信号SIの終了時間から開始する相補的な噴射信号SCを生成すること、
-ET3:連続して、最初の噴射信号SIをインジェクタに送信し、次いで、相補的な噴射信号SCをインジェクタに送信することを含み、最初の噴射信号SI及び相補的な噴射信号SCは共に、適合された噴射信号SMを形成し、
この方法はさらに、以下のステップET4、
-ET4:測定された信号に応じて終了閾値の値を更新することを含むことを特徴とする。
【0044】
ステップET1(最初の噴射信号SIの解析)及びステップET2(相補的な信号SCの生成)は連続して実行され、ステップET3(信号SIの送信後に信号SCが送信)は、ステップET1,ET2と並行して実行される。ステップET4(終了閾値の更新)は、ステップET1,ステップET2又はステップET3と並行して行われる。また、ステップET1は、測定された信号を保存することを含み得る。
【0045】
ステップET1からステップET3は、各噴射サイクル、すなわち、最初の噴射信号の各サイクルにおいて、好ましくはエンジンの動作中に繰り返される。
【0046】
ステップET4に関し、
-ステップET4は、最初の噴射信号の初めのサイクル中に実行してもよい。これにより、エンジンが始動した瞬間に、少なくとも最初の噴射信号の終了閾値を更新することができ、及び/又は
-ステップET4は、最初の噴射信号の各サイクルで繰り返してもよい。これにより、エンジン動作中に少なくとも信号SIの終了閾値をリアルタイムに更新することができる。
【0047】
ステップET4では、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminが決定され、高閾値HT及び低閾値LTの値がそれぞれ、測定された信号の最大値Vmax及び最小値Vminに応じて更新され、また、ステップET2では、相補的な噴射信号が高閾値(HT)と低閾値(LT)との間で変化するように、相補的な噴射信号が生成されることが好ましい。
【0048】
また、ステップET4では、最初の噴射信号の調整段階において、測定された信号の更新された周期が決定され、また、ステップET2では、周期的及び相補的な噴射信号(SC)が周期Pを有するように、周期的及び相補的な噴射信号(SC)が生成されることが好ましい。
【0049】
ステップET4では、終了閾値FTの値は、FT=Vmin-E*(Vmax-Vmin)となるように、更新されることができ、ここで、Eは所定のトレランスパラメータである。
【0050】
また、この方法は、パラメータ化ステップET01を含むことができ、このステップは、1組のパラメータから少なくとも1つのパラメータを選択することを含み、1組のパラメータには、エンジンを識別するパラメータ、エンジンの種類を識別するパラメータ、燃料を識別するパラメータ、燃料の種類を識別するパラメータ、トレランスパラメータ、高閾値HTの初期値、低閾値LTの初期値、終了閾値FTの初期値、濃縮比TXの初期値が含まれる。
【0051】
高閾値HTの初期値、低閾値LTの初期値、終了閾値FTの初期値、及び/又は濃縮比TXの初期値は、ステップET1~ET3が、初めに実行されるときに使用され、これと並行して、高閾値HTの値、低閾値LTの値、終了閾値FTの値、及び/又は濃縮比TXの値が、決定され、ステップET4で更新回路68bによって更新される(取得)。そして、高閾値HTの更新値、低閾値LTの更新値、終了閾値FTの更新値、及び/又は濃縮比TXの更新値は、後続の噴射サイクルで利用することができ、更新回路によって定期的に更新される。
【0052】
パラメータ化ステップET01は、例えば、変換装置の動作に必要なパラメータ又は初期パラメータ値をユーザが入力することを可能にするユーザインタフェース(ヒューマン/マシンインタフェース又はH/Mインタフェースとも呼ばれる)を使用して、ユーザによって実行され得る。そして、これらの初期パラメータは、測定回路を較正し、閾値決定回路、制御回路等をパラメータ化することを可能にする。
【符号の説明】
【0053】
5 インジェクタ
6 制御装置
60 解析回路
61 電流測定回路
63a コンパレータ
63c 時間測定回路
65 制御回路
66 通信インタフェース
67 コンパレータ
68 メモリ68a及び更新回路68bを備えた回路
70 信号生成器
80 スイッチング回路
81,82 第1の保護装置及び第2の保護装置
A,B 最初の噴射信号の第1の段階及び第2の段階
SI 最初の噴射信号
SC 相補的な噴射信号
SM 適合された噴射信号
HT,LT,FT 高閾値、低閾値、終了閾値
HS,LS コンパレータ63a,63bによって生成された信号
Vmax,Vmin 測定された信号の最大値、最小値
E トレランスパラメータ
R リッチネス
TX 濃縮比
DI 初めの噴射信号の期間
DIC 相補的な噴射信号の期間
【国際調査報告】