(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】フレキシブルなネジロック機構を含む脊椎インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240326BHJP
A61F 2/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61F2/44
A61F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560970
(86)(22)【出願日】2022-04-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022023224
(87)【国際公開番号】W WO2022216566
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リリッグ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グリーソン,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】マクレナン,ローガン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC04
4C097DD02
4C097DD06
4C097DD10
(57)【要約】
本開示は、前腰椎体間固定術(ALIF)処置を含むがこれに限定されない脊椎の外科手術のための骨ネジ、脊椎インプラント、ドライバ、及びそれらのアセンブリを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎インプラントであって、当該脊椎インプラントは、
上部終板と、
下部終板と、
前記上部終板と前記下部終板との間に固定して配置された中央本体であって、第1の端部、該第1の端部に対向する第2の端部、及び少なくとも2つの側面を規定する中央本体と、
複数の固定開口部であって、各開口部が中実壁によって部分的に規定される、複数の固定開口部と、を含み、
当該脊椎インプラントは、前記上部終板と前記下部終板との間に融合開口部を規定し、
前記複数の固定開口部のそれぞれが、前記中央本体の前記第2の端部から前記上部終板又は前記下部終板の一方まで延びており、
前記中実壁の少なくとも1つは、
前記複数の固定開口部のうちの1つ又は複数の固定開口部の中に骨ネジを保持するように構成された保持機構と、
骨ネジを対応する前記固定開口部に完全に挿入したときに、触覚フィードバックをユーザに提供するように構成された確認機構と、を含む、
脊椎インプラント。
【請求項2】
前記保持機構は、その基端部にリップを有する撓み可能なラッチを含み、
該撓み可能なラッチは、骨ネジが前記対応する固定開口部を通って第1の方向に通過するのを可能にし、前記骨ネジの基端部分が前記リップを通過した後に、前記骨ネジを前記対応する固定開口部内に保持するように構成される、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項3】
前記確認機構は、前記中実壁の一部として一体的に形成されたネジ山を含み、それによって、該ネジ山と骨ネジの隆起部との間の接触により、触覚フィードバックが前記ユーザに提供される、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項4】
前記ネジ山は3条ネジである、請求項3に記載の脊椎インプラント。
【請求項5】
前記ネジ山は、対応する固定開口部の先端部分にある、請求項3に記載の脊椎インプラント。
【請求項6】
前記複数の固定開口部の前記中実壁と接触しない挿入ツール係合機構、
固定開口部を規定する前記中実壁のうちの少なくとも1つと接触する挿入ツール係合機構、又は
固定開口部を規定する少なくとも2つの中実壁の間に位置し、これら中実壁と接触する挿入ツール係合機構をさらに含む、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項7】
前記複数の固定開口部のうちの前記1つ又は複数の固定開口部の第1の固定開口部が、前記第2の端部から前記上部終板まで延びており、
前記第1の固定開口部の第1の撓み可能なラッチの第1のリップが、少なくとも前記上部終板に向けて延びており、
前記複数の固定開口部のうちの前記1つ又は複数の固定開口部の第2の固定開口部が、前記第2の端部から前記下部終板まで延びており、
前記第2の固定開口部の第2の撓み可能なラッチの第2のリップが、少なくとも前記下部終板に向けて延びており、及び
前記第1の撓み可能なラッチ又は前記第2の撓み可能なラッチは、前記中実壁又は前記中央本体に一体化されるか、或いは前記中実壁又は前記中央本体に固定して取り付けられる、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項8】
前記複数の固定開口部のそれぞれを規定する前記中実壁は互いに接触していない、
固定開口部を規定する前記中実壁のうちの少なくとも1つが、異なる固定開口部を規定する少なくとも1つの他の中実壁と接触している、又は
固定開口部を規定する少なくとも1つの中実壁が、前記中央本体の少なくとも1つの支柱と接触している、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項9】
当該脊椎インプラントはチタンで作製される、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項10】
前記上部終板は、第1の平均細孔径を有する第1の複数の細孔を規定し、
前記下部終板は、第2の平均細孔径を有する第2の複数の細孔を規定し、
前記中央本体は、第3の平均細孔径を有する第3の複数の細孔を規定し、
前記第3の平均細孔径は、前記第1の平均細孔径及び前記第2の平均細孔径よりも大きい、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項11】
前記複数の固定開口部のうちの第1の固定開口部が、前記下部終板から第1の鋭角だけ傾斜した第1の方向に延びており、及び
前記複数の固定開口部のうちの第2の固定開口部が、前記下部終板から第2の鋭角だけ傾斜した第2の方向に延びる、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項12】
前記第1の端部は、前記第2の端部の第2の高さよりも短い第1の高さを含む、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項13】
システムであって、当該システムは、
骨ネジと、
脊椎インプラントと、を含み、
該脊椎インプラントは、
上部終板と、
下部終板と、
前記上部終板と前記下部終板との間に固定して配置された中央本体であって、第1の端部、該第1の端部に対向する第2の端部、及び少なくとも2つの側面を規定する中央本体と、
壁によって部分的に規定され、前記中央本体の前記第2の端部から前記上部終板又は前記下部終板まで延びる固定開口部と、を含み、
前記壁は、
前記骨ネジを前記固定開口部内に保持するように構成された保持機構と、
前記骨ネジが前記固定開口部に完全に挿入されたときに、触覚フィードバックをユーザに提供するように構成された確認機構と、を含む、
システム。
【請求項14】
前記骨ネジは、前記固定開口部を通って前記上部終板又は前記下部終板を越えて延びる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記保持機構は、その基端部にリップを有する撓み可能なラッチを含み、
前記骨ネジは、前記撓み可能なラッチによって前記固定開口部内に保持され、
前記骨ネジは、前記リップを越えて前記固定開口部内に配置され、
前記リップは前記骨ネジの頭部と接触して保持し、それにより前記骨ネジが前記固定開口部から外れるのを妨げる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記確認機構は、前記壁の一部として一体的に形成されたネジ山を含み、
前記骨ネジは、基端部分と、該基端部分の隆起部とを有しており、
該隆起部及び前記ネジ山は接触している、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
システムであって、当該システムは、
脊椎インプラントを含み、
該脊椎インプラントは、
上部終板と、
下部終板と、
前記上部終板と前記下部終板との間に規定される融合開口部と、
前記上部終板と前記下部終板との間に固定して配置された中央本体であって、第1の端部、該第1の端部に対向する第2の端部、及び少なくとも2つの側面を規定する中央本体と、
第1の壁によって部分的に規定され、前記中央本体の前記第2の端部から前記上部終板まで延びる第1の固定開口部であって、前記第1の壁には第1の保持機構及び第1の確認機構が含まれる、第1の固定開口部と、
前記中央本体の前記第2の端部から前記上部終板まで延びる第2の壁によって部分的に規定される第2の固定開口部であって、前記第2の壁には第1の保持機構及び第2の確認機構が含まれる、第2の固定開口部と、
前記中央本体の前記第2の端部から前記下部終板まで延びる第3の壁によって部分的に規定される第3の固定開口部であって、前記第3の壁には第3の保持機構及び第3の確認機構が含まれる、第3の固定開口部と、
前記中央本体の前記第2の端部から前記下部終板まで延びる第4の壁によって部分的に規定される第4の固定開口部であって、前記第4の壁には第1の保持機構及び第4の確認機構が含まれる、第4の固定開口部と、を含む、
システム。
【請求項18】
前記第1の固定開口部を通って前記上部終板を越えて延びる第1の骨ネジと、
前記第2の固定開口部を通って前記上部終板を越えて延びる第2の骨ネジと、
前記第3の固定開口部を通って前記下部終板を越えて延びる第3の骨ネジと、
前記第4の固定開口部を通って前記下部終板を越えて延びる第4の骨ネジと、をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の保持機構は、前記第1の骨ネジの第1の頭部によって撓まされ、前記第1の頭部と接触する第1の撓み可能なラッチを含み、
第2の保持機構は、前記第2の骨ネジの第2の頭部によって撓まされ、前記第2の頭部と接触する第2の撓み可能なラッチを含み、
前記第3の保持機構は、前記第3の骨ネジの第3の頭部によって撓まされ、前記第3の頭部に接触する第3の撓み可能なラッチを含み、及び
第4の保持機構は、前記第4の骨ネジの第4の頭部によって撓まされ、前記第4の頭部に接触する第4の撓み可能なラッチを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の確認機構は、前記第1の壁の一部として一体的に形成された第1のネジ山を含み、
前記第2の確認機構は、前記第2の壁の一部として一体的に形成された第2のネジ山を含み、
前記第3の確認機構は、前記第3の壁の一部として一体的に形成された第3のネジ山を含み、
前記第4の確認機構は、前記第4の壁の一部として一体的に形成された第4のネジ山を含み、
第1の骨ネジは、第1の基端部分に第1の隆起部を有しており、
第2の骨ネジは、第4の基端部分に第2の隆起部を有しており、
第3の骨ネジは、第4の基端部分に第3の隆起部を有しており、
第4の骨ネジは、第4の基端部分に第4の隆起部を有しており、
前記第1の隆起部は、前記第1のネジ山と接触しており、
前記第2の隆起部は、前記第2のネジ山と接触しており、
前記第3の隆起部は、前記第3のネジ山と接触しており、及び
前記第4の隆起部は、前記第4のネジ山と接触している、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
脊椎インプラントを挿入するための挿入器であって、当該挿入器は、
内部にキャビティを含む細長い本体と、該細長い本体の先端部の近傍の2つの対向するピンとを含む外側シャフトであって、前記2つの対向するピンは前記細長い本体の内面から内側に延びる、外側シャフトと、
該外側シャフトの前記キャビティ内に受け入れられるように構成された内側シャフトであって、該内側シャフトは、前記脊椎インプラントの係合開口部に受け入れ可能な先端チップと、該先端チップの近傍のバレルカム要素とを含み、該バレルカム要素は、前記外側シャフトの前記2つの対向するピンと嵌合するように構成される、内側シャフトと、
該内側シャフトの基端部にネジ結合されたサムホイールであって、該サムホイールは、回転して、前記バレルカム要素の回転を生じさせ、それにより前記内側シャフトを前記外側シャフト及び前記脊椎インプラントに対して同時に回転及び並進させるように構成される、サムホイールと、を含む、
挿入器。
【請求項22】
前記内側シャフトの同時の回転及び並進により、前記先端チップを前記係合開口部に結合させ、それにより前記挿入器を前記脊椎インプラントにロック又はロック解除するように構成される、請求項21に記載の挿入器。
【請求項23】
前記外側シャフトは、前記細長い本体の前記先端部に2つのポストをさらに含み、該2つのポストのそれぞれが、前記脊椎インプラントの側部係合スロットと嵌合するように構成される、請求項21に記載の挿入器。
【請求項24】
前記2つの対向するピンは、ロック解除位置にある前記バレルカム要素の先端部に又は該先端部の近傍にある、請求項21に記載の挿入器。
【請求項25】
前記2つの対向するピンは、ロック位置にある前記バレルカム要素の基端部に又は該基端部の近傍にある、請求項21に記載の挿入器。
【請求項26】
脊椎インプラントから骨ネジを取り外すためのドライバであって、当該ドライバは、
内部にキャビティを含む外側スリーブと、
ネジ付き先端部を含む内側シャフトであって、前記ネジ付き先端部は、骨ネジのネジ付き頭部と結合し、それにより脊椎インプラントから前記骨ネジを緩めるように構成されたる、内側シャフトと、を含み、
前記内側シャフトは、前記外側スリーブの前記キャビティを通して前記外側スリーブに対して少なくとも先端方向に並進可能であり、前記外側スリーブは、前記骨ネジの前記ネジ付き頭部にラッチする撓み可能なラッチを撓ませるように構成される、
ドライバ。
【請求項27】
前記外側スリーブは、前記外側スリーブの先端部に又は該先端部の近傍にカニューレ状ヘキサローブ(hexalobe)駆動機構を含む、請求項26に記載のドライバ。
【請求項28】
前記内側シャフトの前記ネジ付き先端部は、前記外側スリーブの先端部に対して先端側にある、請求項27に記載のドライバ。
【請求項29】
前記ヘキサローブ駆動機構は、前記骨ネジへの係合を容易にするために、前記骨ネジの前記ネジ付き頭部の対応する特徴に結合するように構成される、請求項27に記載のドライバ。
【請求項30】
前記骨ネジの長手方向軸線が当該ドライバの長手方向軸線と整列されると、前記骨ネジのロックを解除するように構成される、請求項26に記載のドライバ。
【請求項31】
前記骨ネジの長手方向軸線が当該ドライバの長手方向軸線から離れる方向に傾いているときに、前記骨ネジのロックを解除するように構成される、請求項26に記載のドライバ。
【請求項32】
前記内側シャフトはその基端部にノブをさらに含み、該ノブはユーザによって回転可能であり、それにより前記内側シャフトを回転させる、請求項26に記載のドライバ。
【請求項33】
脊椎インプラントから骨ネジを取り外すためのドライバであって、当該ドライバは、
先端部を有する先端部分と、
前記先端部に対して基端側にある駆動機構であって、前記骨ネジへの係合を容易にするために、前記骨ネジの頭部の対応する特徴に結合するように構成された駆動機構と、
該駆動機構に対して基端側にあるカム面であって、前記骨ネジの前記頭部にラッチする撓み可能なラッチを外側に撓ませ、それにより前記骨ネジの邪魔にならないように前記撓み可能なラッチを移動させるように構成されるカム面と、を含む、
ドライバ。
【請求項34】
先端部が、前記駆動機構よりも細い、請求項33に記載のドライバ。
【請求項35】
前記駆動機構はトリローブ(trilobe)を含む、請求項33に記載のドライバ。
【請求項36】
トリローブは、回転して、前記骨ネジの前記頭部の対応する特徴のアンダーカットに結合するように構成される、請求項33に記載のドライバ。
【請求項37】
前記先端部分をハンドルに取り付けるように構成された係合機構をさらに含む、請求項33に記載のドライバ。
【請求項38】
前記カム面は、前記先端部分の外面の少なくとも周方向に位置する、請求項33に記載のドライバ。
【請求項39】
骨ネジを脊椎インプラントに挿入するためのドライバであって、当該ドライバは、
先端部分を有する細長い本体と、
先端部と、
該先端部に対して基端側にある当該ドライバの外面に位置する駆動機構であって、前記骨ネジへの係合を容易にするために、前記骨ネジの頭部の対応する特徴に結合するように構成された駆動機構と、
前記先端部に向けて延びる可撓性タブであって、前記骨ネジが挿入のために当該ドライバに装填されるときに、前記骨ネジを当該ドライバに保持するために外側に付勢するように構成される、可撓性タブと、を含む、
ドライバ。
【請求項40】
前記可撓性タブは、金属又は合金を含む、請求項39に記載のドライバ。
【請求項41】
前記可撓性タブは、前記ドライバの前記外面の溝内に少なくとも部分的に位置付けされる、請求項39に記載のドライバ。
【請求項42】
前記駆動機構は、前記先端部分の周囲に均等に分布した対応するトリローブ特徴を含む、請求項39に記載のドライバ。
【請求項43】
前記駆動機構は、トリローブ機構の隣接するローブを分離する3つの溝を含む、請求項42に記載のドライバ。
【請求項44】
前記可撓性タブは、前記3つの溝のうちの1つの中に少なくとも部分的に位置付けされる、請求項43に記載のドライバ。
【請求項45】
前記可撓性タブは、前記骨ネジを前記ドライバに装填するときに内側に移動するように構成される、請求項39に記載のドライバ。
【請求項46】
前記可撓性タブは、静止状態において、当該ドライバの外面よりも半径方向外側に着座する、請求項39に記載のドライバ。
【請求項47】
前記可撓性タブは、その先端部分よりも厚い基端部分を含む、請求項39に記載のドライバ。
【請求項48】
前記可撓性タブの少なくとも一部が、ドライバの前記細長い本体に固くアンカー固定される、請求項39に記載のドライバ。
【請求項49】
先端部が、前記駆動機構よりも細い、請求項39に記載のドライバ。
【請求項50】
前記骨ネジの前記頭部の前記対応する特徴は、トリローブ特徴を含む、請求項39に記載のドライバ。
【請求項51】
前記トリローブ特徴は、ヘキサローブの駆動特徴を有するドライバと互換性がある、請求項50に記載のドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年4月4日に出願した米国仮特許出願第63/170,531号、及び2021年5月13日に出願した米国仮特許出願第63/188,277号の利益を主張する。前述の出願は、あたかも本明細書に完全に記載されるかのように、参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、骨ネジ、脊椎インプラント、及び脊椎インプラント処置に有用な器具(骨ネジのための挿入器(inserter:インサータ)、トライアル挿入器、ネジドライバ、及び取外しドライバを含む)に関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎は、人間の生理学において、動くため、支えるため、及びバランスをとるために重要である。脊椎損傷は、患者を衰弱させる、又は患者に致命的な結果をもたらす可能性がある。脊椎の小さな不規則性でも、尋常でない(devasting)痛み及び調整の喪失を引き起こす可能性がある。
【0004】
外科的処置は、変位、損傷、又は変性した椎間板の問題を矯正するために一般に行われる。一般に、脊椎固定術には、罹患又は損傷した椎間板の一部又は全てを除去し、得られた椎間板空間に1つ又は複数の椎間インプラントを挿入することが含まれる。損傷又は劣化した脊椎骨を人工インプラントで正常に置換するには、脊椎に固有の応力と、装置に反応する身体の生物学的特性を考慮し、理解する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、脊椎インプラントが本明細書に開示される。脊椎インプラントは、第1の複数の微細孔を含む上部終板と;第2の複数の微細孔を含む下部終板と;上部終板と下部終板との間に固定して配置された中央本体であって、支柱によって形成された複数の細孔と、互いに対向する第1の端部及び第2の端部と、2つの側面とを含む中央本体と;複数の固定開口部と;を含み、複数の固定開口部のそれぞれが、中実壁によって規定され、中央本体の第2の端部から上部終板又は下部終板の一方まで延びており、1つ又は複数の中実壁は、複数の固定開口部のうちの1つ又は複数の固定開口部の中に骨ネジを保持するように構成された保持機構と、骨ネジを対応する固定開口部に完全に挿入したときに、触覚フィードバックをユーザに提供するように構成された確認機構(feature:特徴)と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、保持機構は受動的な保持機構である。いくつかの実施形態では、保持機構は、その基端部にリップを有する撓み可能なラッチであり、骨ネジが対応する固定開口部を通って第1の方向に通過するのを可能にし、骨ネジの基端部がリップを通過した後に、骨ネジを対応する固定開口部内に保持するように構成される。いくつかの実施形態では、確認機構は、中実壁の一部として一体的に形成されたネジ山であり、骨ネジは、骨ネジの基端部分に隆起部をさらに含み、隆起部とネジ山との間の接触により、触覚フィードバックがユーザに提供される。いくつかの実施形態では、複数の固定開口部のそれぞれを規定する中実壁は、互いに接触していない。いくつかの実施形態では、固定開口部を規定する中実壁のうちの少なくとも1つは、異なる固定開口部を規定する少なくとも1つの他の中実壁と接触する。いくつかの実施形態では、固定開口部を規定する少なくとも1つの中実壁が、中央本体内の支柱(strut)の少なくとも1つと接触している。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントは、第2の端部に挿入ツール係合機構をさらに含む。いくつかの実施形態では、挿入ツール係合機構は、固定開口部を規定する中実壁の少なくとも1つと接触している。いくつかの実施形態では、挿入ツール係合機構は、固定開口部を規定する少なくとも2つの中実壁の間に位置し、少なくとも2つの中実壁と接触している。いくつかの実施形態では、複数の固定開口部のうちの1つ又は複数が、第2の端部から上部終板まで延びる。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチのリップが、少なくとも上部終板に向けて延びる。いくつかの実施形態では、複数の固定開口部のうちの1つ又は複数が、第2の端部から下部終板まで延びる。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチのリップは、少なくとも下部終板に向けて延びる。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチは中実壁と一体であるか、中実壁に固定して取り付けられる。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチは、中央本体に固定して取り付けられるか、又は中央本体と一体化される。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチは中実である。いくつかの実施形態では、骨ネジは、上部終板を越えて延びて第1の椎骨にアンカー固定(anchored)されるか、又は下部終板を越えて延びて第2の椎骨にアンカー固定されるように構成される。いくつかの実施形態では、リップは、骨ネジの頭部に接触して所定の位置に保持するように構成され、それにより骨ネジを完全に着座(seated:固定)した位置に保持する。いくつかの実施形態では、ネジ山は、対応する固定開口部の先端部分にある。いくつかの実施形態では、ネジは3条(triple-lead)ネジである。いくつかの実施形態では、ネジ山は、骨ネジ上の単一の隆起部と係合するように構成される。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントの少なくとも一部が3Dプリントされる。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントは3Dプリントされる。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントはチタンで作製される。いくつかの実施形態では、中央本体の複数の細孔は、第1の複数の微細孔の平均細孔径又は第2の複数の微細孔の平均細孔径よりも大きい第1の平均細孔径を含む。いくつかの実施形態では、挿入ツール係合機構は、挿入器の対応する係合機構と係合するように構成される。いくつかの実施形態では、係合機構は複数の固定開口部の中実壁と接触していない。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントは、上部終板から下部終板まで延びる融合(fusion:固定)開口部をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の固定開口部のうちの1つ又は複数が、下部終板から第1の鋭角だけ角度が付けられた第1の方向に延びる。いくつかの実施形態では、複数の固定開口部のうちの1つ又は複数が、下部終板から第2の鋭角だけ角度が付けられた第2の方向に延びる。いくつかの実施形態では、第1の端部は、第2の端部の第2の高さよりも短い第1の高さを含む。
【0007】
別の態様では、脊椎インプラントを挿入するための挿入器が本明細書に開示され、この挿入器は、内部にキャビティを含む細長い本体と、細長い本体の先端部の近くの2つの対向するピンとを含む外側シャフトであって、2つの対向するピンは細長い本体の内面から内側に延びる、外側シャフトと;外側シャフトのキャビティ内に受け入れられるように構成された内側シャフトであって、内側シャフトは、脊椎インプラントの係合開口部に受け入れられるように構成された先端チップと、先端チップの近くのバレルカム(barrel cam)要素とを含み、バレルカム要素は、外側シャフトの2つの対向するピンと嵌合するように構成される、内側シャフトと;内側シャフトの基端部にネジ結合されたサムホイール(thumbwheel)と;を含み、サムホイールは、回転して、バレルカム要素の回転を生じさせ、それにより内側シャフトを外側シャフト及び脊椎インプラントに対して同時に回転及び並進させるように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、内側シャフトの同時の回転及び並進により、先端チップを係合開口部に結合させ、それにより挿入器を脊椎インプラントにロック又はロック解除するように構成される。いくつかの実施形態では、外側シャフトは、細長い本体の先端部に2つのポストをさらに含み、2つのポストのそれぞれが、脊椎インプラントの側部係合スロットと嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、2つの対向するピンは、ロック解除位置にあるバレルカム要素の先端部に又はその近くにある。いくつかの実施形態では、2つの対向するピンは、ロック位置にあるバレルカム要素の基端部に又はその近くにある。
【0009】
さらに別の態様では、脊椎インプラントから骨ネジを取り外すためのドライバが本明細書に開示される。ドライバは、内部にキャビティを含む外側スリーブと;ネジ付き先端部を含む内側シャフトと;を含み、ネジ付き先端部は、骨ネジのネジ付き頭部と結合し、それにより脊椎インプラントから骨ネジを緩めるように構成される。内側シャフトは、外側スリーブのキャビティを通して外側スリーブに対して少なくとも先端方向に並進可能であり、外側スリーブは、骨ネジのネジ付き頭部にラッチする撓み可能なラッチを撓ませるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、外側スリーブは、外側スリーブの先端部に又はその近くにカニューレ状ヘキサローブ(hexalobe)駆動機構を含む。いくつかの実施形態では、内側シャフトのネジ付き先端部は、外側スリーブの先端部に対して先端側に配置される。いくつかの実施形態では、ヘキサローブ駆動機構は、骨ネジへの係合を容易にするために、骨ネジのネジ付き頭部の対応する特徴に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、ドライバは、骨ネジの長手方向軸線がドライバの長手方向軸線と整列されると、骨ネジのロックを解除するように構成される。いくつかの実施形態では、ドライバは、骨ネジの長手方向軸線がドライバの長手方向軸線から離れる方向に傾いているときに、骨ネジのロックを解除するように構成される。いくつかの実施形態では、内側シャフトは、その基端部にノブをさらに含み、ノブはユーザによって回転可能であり、それにより内側シャフトを回転させる。
【0011】
さらに別の態様では、脊椎インプラントから骨ネジを取り外すためのドライバが本明細書に開示される。ドライバは、先端部を有する先端部分と;先端部に対して基端側にある駆動機構であって、骨ネジへの係合を容易にするために、骨ネジの頭部の対応する特徴に結合するように構成された駆動機構と;駆動機構に対して基端側にあるカム面と;を含む。カム面は、骨ネジの頭部にラッチする脊椎インプラントの撓み可能なラッチを外側に撓ませ、それにより骨ネジの邪魔にならないように撓み可能なラッチを移動させるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、先端部は駆動機構よりも細い(narrower)。いくつかの実施形態では、駆動機構はトリローブ(trilobe)を含む。いくつかの実施形態では、トリローブは、回転して、骨ネジの頭部の対応する特徴のアンダーカットに結合するように構成される。いくつかの実施形態では、ドライバは、先端部分をハンドルに取り付けるように構成された係合機構をさらに含む。いくつかの実施形態では、カム面は、先端部分の外面の少なくとも周方向に位置する。
【0013】
さらに別の態様では、骨ネジを脊椎インプラントに挿入するためのドライバが本明細書に開示される。ドライバは、先端部分を有する細長い本体と;先端部と;先端部に対して基端側にあるドライバの外面に位置する駆動機構であって、骨ネジへの係合を容易にするために、骨ネジの頭部の対応する特徴に結合するように構成された駆動機構と;先端部に向けて延びる可撓性タブであって、骨ネジが挿入のためにドライバに装填されるときに、骨ネジをドライバに保持するために外側に付勢するように構成される、可撓性タブと;を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、可撓性タブは金属又は合金を含む。いくつかの実施形態では、可撓性タブは、ドライバの外面の溝内に少なくとも部分的に位置付けされる。いくつかの実施形態では、駆動機構は、先端部分の周囲に均等に分布した対応するトリローブ特徴を含む。いくつかの実施形態では、駆動機構は、トリローブ特徴の隣接するローブを分離する3つの溝を含む。いくつかの実施形態では、可撓性タブは、3つの溝のうちの1つの中に少なくとも部分的に位置付けされる。いくつかの実施形態では、可撓性タブは、骨ネジをドライバに装填するときに内側に移動するように構成される。いくつかの実施形態では、可撓性タブは、静止状態において、ドライバの外面に対して半径方向外側に着座する。いくつかの実施形態では、可撓性タブは、その先端部分よりも厚い基端部分を含む。いくつかの実施形態では、可撓性タブの少なくとも一部がドライバの細長い本体に固くアンカー固定される。いくつかの実施形態では、先端部が駆動機構よりも細い。いくつかの実施形態では、骨ネジの頭部の対応する特徴はトリローブ特徴を含む。いくつかの実施形態では、トリローブ特徴は、ヘキサローブ駆動機構を含むドライバと互換性がある。
【0015】
本発明のこれら及び他の態様、利点及び顕著な特徴は、本発明の実施形態が開示される添付の図面と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになろう。図面全体を通じて同様の部分は同様の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるだろう。
【
図1】本発明の一実施形態による、複数の骨ネジがロック位置又は完全に着座した位置にある脊椎インプラントの斜視図である。
【
図2A】本明細書の実施形態による、
図1の脊椎インプラントの斜視図である。
【
図2B】本明細書の実施形態による、
図1の脊椎インプラントの斜視図である。
【
図2C】本発明の一実施形態による、
図1の脊椎インプラントの後面図である。
【
図2D】本発明の一実施形態による、
図1の脊椎インプラントの前面図である。
【
図2E】本発明の一実施形態による、
図1の脊椎インプラントの上面図である。
【
図2F】本発明の一実施形態による、
図1の脊椎インプラントの側面図である。
【
図2G】本発明の一実施形態による、多孔質構造のない
図1の脊椎インプラントのフレームの斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による脊椎インプラントの斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による脊椎インプラントの上面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による脊椎インプラントの前面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、
図3Cの切断線C-Cで切断した脊椎インプラントの断面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4B】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4D】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4E】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4F】本発明の一実施形態による、本明細書に開示する挿入器の図である。
【
図4G】本発明の一実施形態による外側シャフト、内側シャフト、及びサムホイールを含む、本発明の一実施形態による挿入器の分解図である。
【
図4H】本発明の一実施形態による、
図4Gの挿入器の先端部の拡大図である。
【
図5A】本発明の実施形態による、本明細書に開示する骨ネジの図である。
【
図5B】本発明の実施形態による、本明細書に開示する骨ネジの図である。
【
図5C】本発明の実施形態による、本明細書に開示する骨ネジの図である。
【
図5D】本発明の実施形態による、本明細書に開示する骨ネジの図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による取外しドライバの斜視図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による、
図6Aの取外しドライバの先端部の斜視図である。
【
図7A】本発明の一実施形態による取外しドライバの外側スリーブの先端部分及び内側シャフトの斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施形態による取外しドライバの外側スリーブの先端部分及び内側シャフトの斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、骨ネジと相互作用する取外しドライバの断面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による、取外しドライバを用いて、脊椎インプラントのロック位置から骨ネジを取り外す様子を示す斜視図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による、取外しドライバを用いて、脊椎インプラントのロック位置から骨ネジを取り外す様子を示す側断面図である。
【
図9C】本発明の一実施形態による、取外しドライバを用いて、脊椎インプラントのロック位置から骨ネジを取り外す様子を示す斜視図である。
【
図9D】本発明の一実施形態による、取外しドライバを用いて、脊椎インプラントのロック位置から骨ネジを取り外す様子を示す側断面図である。
【
図9E】本発明の一実施形態による、取外しドライバを用いて、脊椎インプラントのロック位置から骨ネジを取り外す様子を示す側断面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による取外しドライバの先端部分の斜視図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による取外しドライバの先端部分の斜視図である。
【
図10C】本発明の一実施形態による取外しドライバの先端部分の斜視図である。
【
図11A】本発明の一実施形態による、ネジドライバとその骨ネジとの係合を示す斜視図である。
【
図11B】本発明の一実施形態による、ネジドライバとその骨ネジとの係合を示す側面断面図である。
【
図11C】本発明の一実施形態による、ネジドライバとその骨ネジとの係合を示す側面図である。
【
図11D】本発明の一実施形態による、ネジドライバとその骨ネジとの係合を示す断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態による挿入器の側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態による、直線状の挿入器と係合したインプラントの斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態による挿入器の断面図である。
【
図16A】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック解除位置にある挿入器の先端チップの斜視図である。
【
図16B】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック位置にある挿入器の先端チップの斜視図である。
【
図16C】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック解除位置にある挿入器の先端端面図である。
【
図16D】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック位置にある挿入器の先端端面図である。
【
図16E】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック解除位置にある挿入器の断面図である。
【
図16F】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントに対してロック位置にある挿入器の断面図である。
【
図17A】本発明の実施形態による着脱可能なTハンドルの態様の斜視図である。
【
図17B】本発明の実施形態による着脱可能なTハンドルの態様の斜視図である。
【
図17C】本発明の実施形態による着脱可能なTハンドルの態様の斜視図である。
【
図18A】本発明の実施形態による挿入器の態様の斜視図である。
【
図18B】本発明の実施形態による挿入器の態様の斜視図である。
【
図19】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントと係合した横方向に傾斜した挿入器の側面図である。
【
図20】本発明の一実施形態による、脊椎インプラントと係合した頭尾方向に傾斜した挿入器の側面図である。
【
図21】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの斜視図である。
【
図22】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの断面図である。
【
図23】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの分解斜視図である。
【
図24】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの側面図である。
【
図25】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの側面図である。
【
図26】本発明の一実施形態によるスラップ・マレットの側面図である。
【
図27】本発明の一実施形態による、トライアル挿入器の側面図である。
【
図28】本発明の一実施形態による、トライアル挿入器の断面図である。
【
図29】本発明の一実施形態による、外側シャフトが存在しないトライアル挿入器の側面図である。
【
図30】本発明の一実施形態による外側シャフトを含むトライアル挿入器の側面図である。
【
図31】本発明の一実施形態によるトライアル挿入器の断面図である。
【
図32】本発明の一実施形態によるトライアル挿入器の一部の斜視図である。
【
図33】本発明の一実施形態によるトライアル挿入器の一部の斜視図である。
【
図34】本発明の一実施形態によるトライアル挿入器の一部の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って、本開示の範囲を限定するものとしてみなすべきではない。図面において、同様の参照符号は図面同士の間で同様の要素を表す。
【0018】
概要
本明細書に開示するように、「骨ネジ」という用語は、「骨アンカー」、「骨締結具」、「固定ネジ」、及び単に「ネジ」という用語と交換可能又は同等である。「椎体間」は、本明細書で使用する「脊椎インプラント」、「融合(fusion:固定)装置」、「インプラント」、又は「融合(fusion:固定)インプラント」と交換可能又は同等である。
【0019】
本明細書に開示するように、「基端方向」は、要素を対象物に取り付ける方向から離れる方向を示す一方、「先端方向」は、基端方向と反対の、要素を対象物に向けて取り付ける方向を示す。
【0020】
いくつかの実施形態では、骨ネジ、脊椎インプラント、又は他の装置は、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、セラミック及び/又は熱可塑性材料を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の生体適合性材料で作製される。
【0021】
本明細書では椎体間(interbody)とも呼ばれる既存の脊椎インプラントは、積層造形又は3D印刷プロセスを用いて製造することができ、チタンで作製することができる。このような椎体間は、挿入器具へのネジ接続を利用することができる。ネジ切りにより、挿入器がその場で椎体間に固着し、取外しが困難になる可能性がある。しかしながら、ネジ山のラギング(lagging)効果は、挿入器と椎体間又はインプラントとの間のトグルを排除するので、望ましい場合がある。これら及び他の課題に対処するインプラント及び挿入器を含む器具について本明細書で説明する。
【0022】
脊椎インプラント
本明細書では、融合装置、椎体間、又は融合インプラントとも呼ばれる脊椎インプラントが開示される。
【0023】
いくつかの実施形態では、脊椎インプラントは、後加工を必要としない3Dプリントしたインプラントである。これは、受動的なロック機構を有利に含むことができ、このロック機構は、挿入中にネジが通過するのに邪魔にならないように撓む。撓んだラッチを通過した後に、ネジの頭部の小さなネジ山が、ネジポケット内の対応するネジ山、例えばプリントした3条ネジと係合し、ネジがラッチを通過して完全に着座したときに触覚フィードバックを提供する。ラッチは、ネジの頭部の上で跳ね返り、ネジがネジ孔のネジ山から緩んだ場合にネジが外れるのを防ぐ。
【0024】
いくつかの実施形態では、脊椎インプラントは、ネジの挿入中に邪魔にならないように撓んで跳ね返り、ネジの頭部を捕捉して保持し続けるバネフィンガ機構又はラッチを有利に含む。この特徴は3Dプリント又は機械加工で作製され得る。
【0025】
本明細書に開示する脊椎インプラントは、ネジの挿入中に一段階(one step)のロック機構を有利に提供する。既存のロック機構にはバネが使用されているが、従来、それら機構はインプラントとは別個の部品であった。他のロック機構は、カムロック、追加のカバープレート、干渉部品の広がり(splaying)等の二段階を必要とする場合がある。本明細書で開示する撓み可能なラッチロックは、追加の装置又はロックステップを必要としない。ラッチロック(locking latch)は、後加工なしでインプラントに3Dプリントできるため、以前は達成できなかった小さくても複雑な幾何学的形状が可能になる。
【0026】
図1、
図2A~
図2G、及び
図3A~
図3Dを参照すると、本明細書に開示する脊椎インプラント100は、第1の複数の微細孔を含む上部終板101と、複数の微細孔を含む下部終板102と、中央本体103とを含む。中央本体103は、上部終板101と下部終板102との間に固定して配置してもよく、又は上部終板101及び下部終板102と一体であってもよい。中央本体103は、支柱(strut)110によって形成された複数の細孔を含み得る。中央本体103は、互いに対向する第1の端部104及び第2の端部105(
図2E)、2つの側面106、及び中央本体103の第2の端部105から上部終板101又は下部終板102のいずれかに延びる複数の固定開口部107(
図2A)を含み得る。図示の実施形態では、固定開口部107の数は4つであるが、当業者には理解されるように、他の構成も企図される。2つの固定開口部107は上部終板101に向けて角度が付けられる一方、2つの固定開口部107は下部終板102に向けて下向きに角度が付けれる。
【0027】
各固定開口部107は、各開口部107を取り囲む中実壁111を含むことができる。1つ又は複数の中実壁111は、複数の固定開口部107のうちの1つ又は複数の開口部107の内部に骨ネジ200(
図1)を保持するように構成された保持機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、保持機構は受動的である。例えば、
図2Dに示されるように、保持機構は、その基端部にリップ109を有する撓み可能なラッチ108である。
【0028】
中実壁111は、骨ネジ200が対応する固定開口部107に完全に挿入されたときに、触覚フィードバックをユーザに提供するように構成された確認機構(feature:特徴)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、確認機構は、中実壁111の一部として一体的に形成されるネジ山112である(
図2G)。骨ネジ200は、骨ネジ200の基端部分、例えば頭部202に配置された隆起部212(
図5B)をさらに含むことができる。隆起部212とネジ山112との間の接触により(
図2G)、触覚フィードバックがユーザに提供される。いくつかの実施形態では、撓み可能なラッチ108は、骨ネジ200がリップ109を通過するときに撓んで触覚フィードバックを提供し、骨ネジ200の頭部がリップ109を通過した後に、骨ネジ200を完全に着座した位置に保持するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の固定開口部107のそれぞれを規定する中実壁111は独立しており、他の固定開口部107を規定する他の中実壁111のいずれとも接触していない。他の実施形態では、固定開口部107を規定する少なくとも1つの中実壁111は、異なる固定開口部107を規定する少なくとも1つの他の中実壁111と接触している(例えば、
図2A、
図2D)。いくつかの実施形態では、固定開口部107を規定する少なくとも1つの中実壁111が、中央本体103内の少なくとも1つの支柱110と接触している。
【0030】
図1に示されるように、脊椎固定インプラント100は、複数の固定開口部107を含み得、各開口部107は、開口部107のエンクロージャと一体である撓み可能なラッチ108を含む。この特定の実施形態では、複数の骨ネジ200、例えば、4本の骨ネジ200(
図1)が、それぞれの固定開口部107内に固定されて完全に着座され、
図2Dに示されるように、撓み可能なラッチ108によって所定の位置にロックされる。撓み可能なラッチ108の基端部のリップ109は、骨ネジ200の頭部202を確実に保持し、それにより、
図1に示されるように、骨ネジ200が完全に着座した位置から後退するのを防止する。この実施形態では、1つ又は複数の骨ネジ200がインプラント100の上方に配置された第1の椎骨にアンカー固定され、1つ又は複数の骨ネジ200がインプラント100の下方に配置された第2の椎骨にアンカー固定される。特定の実施形態では、2つの骨ネジ200は、インプラント100の上方に配置された第1の椎骨にアンカー固定され得、2つの骨ネジ200は、インプラント100の下方に配置された第2の椎骨にアンカー固定され得る。第1及び第2の椎骨は、互いに隣接してもしなくてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の固定開口部107は、対応する固定開口部107の少なくとも一部を取り囲む中実壁111を含む。撓み可能なラッチ108は、中実壁111と一体であってもよく、又は中実壁111に固定して取り付けてもよい。中実壁111は非多孔質材料で作製してもよい。上で議論したように、壁111は、ラッチ108が壁111及びインプラント100の残りの部分に対して移動できるように、撓み可能なラッチ108の近くに不連続部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の固定開口部107が第2の固定開口部107から延びる又は上部終板101を通って延びることができ、そのような固定開口部107に関連する撓み可能なラッチ108のリップ109は、少なくとも上部終板101に向けて延びることができる。固定開口部107は、第2の端部105から下部終板102まで延びる及び/又は下部終板102を通って延びることができる。撓み可能なラッチ108のリップ109は、少なくとも下部終板102に向けて延びることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の固定開口部107は、下部終板102から第1の鋭角だけ角度が付けられた第1の方向に延びる一方、他の固定開口部は、下部終板102から第2の鋭角だけ角度が付けられた第2の方向に延びる。
【0033】
撓み可能なラッチ108は、フレーク108aの基端部にリップ109を有する細長いフレーク108a(
図2D、
図2E)を含んでもよい。撓み可能なラッチ108、例えば細長いフレーク108aのリップ109は、少なくとも上部終板101に向けて延びることができる。フレーク108aの先端部は、開口部107の壁111に固定して取り付けられるか、又は壁111と一体的に形成され得る。壁111がインプラントの中央本体103と一体であるため、撓み可能なラッチ108は、中央本体103に固定して取り付けられるか、又は中央本体103と一体である。撓み可能なラッチ108は固体又は非多孔質材料を含み得る。
【0034】
図2Fを参照すると、いくつかの実施形態では、使用時に後端部であり得る第1の端部104は、第1の後部高さH1を含む。使用時に前端部であり得る第2の端部105は、第2の前部高さH2を含む。特定の実施形態では、第1の端部104の後部高さH1は、第2の端部105の前部高さH2よりも小さいか、又は短くなり得る。特定の実施形態では、第1の端部104の後部高さH1は、例えば、6mm、8mm、10mm、又は12mmであってもい。後部高さH1と前部高さH2との関係は、例えば、10°、15°、20°、25°、及び30°を含む、多数の前彎オプションのいずれかをもたらし得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する骨ネジ200は、完全に挿入されると、上部終板101を越えて延びて第1の椎骨にアンカー固定してもよく、又は下部終板102を越えて延びて第2の椎骨にアンカー固定してもよい。撓み可能なラッチ108のリップ109は、骨ネジ200の頭部202に接触して所定の位置に保持し、それにより、
図1に確認されるように、骨ネジ200を完全に着座した位置に保持する。複数の固定開口部107のそれぞれは、壁111の内周面に配置されたネジ山112(
図2D、
図2G)を含むことができる。ネジ山112は、骨ネジ200が対応する固定開口部107に挿入されたときに触覚フィードバックをユーザに提供するように構成され得る。
図2Gに示されるように、ネジ山112は、特に、対応する固定開口部107の先端部分に配置され得る。非限定的な例として、ネジ山112は、例えば3条ネジであってもよい。ネジ山112は、骨ネジ200の単一の隆起部212と係合するようにさらに構成され得る。骨ネジ200の詳細が
図5A~
図5Dに示されており、隆起部212が
図5Bに最も良く示されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、脊椎インプラント100の少なくとも一部が積層造形を用いて形成され得る、すなわち、インプラント100は3Dプリントされ得る。いくつかの実施形態では、脊椎インプラント全体を3Dプリントしてもよい。いくつかの実施形態では、脊椎インプラント100の少なくとも一部又は脊椎インプラント100の全体をチタンで作製してもよい。
【0037】
中央本体103(
図1、
図2A)は、複数の細孔を含んでもよく、それらは、平均細孔径、例えば、第1の平均細孔径を有し得る。上部終板101及び下部終板102は、それぞれ、第2の平均細孔径及び第3の平均細孔径であり得る平均細孔径を有してもよい。特定の実施形態では、中央本体103の細孔の第1の平均細孔径は、上部終板101及び下部終板102の細孔の第2及び第3の平均細孔径より大きくてもよい。こうして、例えば
図2A~
図2Cに確認されるように、中央本体103は、上部終板101及び/又は下部終板102に存在し得る微細孔よりも大きい微細孔を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、インプラント100は、上部終板101から下部終板102まで延びる融合(fusion:固定)開口部114をさらに含むことができる。融合インプラント(融合開口部)114が、例えば
図2E、
図3A、及び
図3Bに示される。インプラント100が、例えば患者の椎骨L5と椎骨S1との間に配置される場合に、L5とS1の融合(fusion:固定)は、融合開口部114を介して起こり得る。
【0039】
図2Dを参照すると、いくつかの実施形態では、脊椎インプラント100は、第2の端部105に係合開口部113aと、一対の係合スロット113bとを含むことができる。係合開口部113aは、本明細書でさらに説明するように、挿入器300(
図4G、
図4H)の対応する相補的なサイズ及び形状の係合機構312を受け入れて係合するように構成され得る一方、係合スロット113bは、挿入器300の先端部に配置された一対の対向するポスト304を受け入れて係合するように構成され得る。係合開口部113は、係合機構312が第1の向きにあるとき、係合機構312を受け入れるように構成してもよく、係合機構312が一定量、例えば約90°回転した後に、係合機構312が係合開口部113aから引き抜かれるのを防止するアンダーカットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、係合開口部113aの形状は実質的に長方形であってもよい。
【0040】
係合開口部113aは、固定開口部107を規定する中実壁111のうちの少なくとも1つと接触してもよい。係合開口部113aは、それぞれが固定開口部107を規定する2つの中実壁111の間に配置してもよい。いくつかの実施形態では、係合開口部113a、例えば係合開口部113aの壁、又は壁の少なくとも一部は、それぞれが固定開口部107を規定する少なくとも2つの中実壁111の間に位置して、それら少なくとも2つの中実壁111と接触してもよい。いくつかの実施形態では、係合開口部113aは、インプラント100の正中線に又はその近くに位置し、こうして、インプラント100の2つの側面106まで略等しい距離を有する。
【0041】
インプラント挿入器
上述したように、脊椎固定術インプラント100を患者の体内の位置に挿入するように構成された挿入器300が本明細書に開示される。
【0042】
図4A~
図4Gを全体的に参照すると、挿入器300は、内部にキャビティ又は管腔が配置された細長い本体を有する外側シャフト301と、外側シャフト301のキャビティ内に配置された内側シャフト310とを含む。外側シャフト301の基端部は、装置の操作を支援するハンドルに結合される。
【0043】
外側シャフト301は、細長い本体302の先端部の近くで、その中に配置された一対の対向するピン303を含むことができる。対向するピン303は、細長い本体302の内面から半径方向内側に延びることができ、内側シャフト310のバレルカム式スロット313(
図4G)と嵌合して、単一の入力で内側シャフト310を同時に回転及び並進させるように構成される。内側シャフト310の基端部に配置され、それに結合されたネジ付きサムホイール320を用いて、入力を提供することができる。2つの対向するピン303は、ロック解除位置にあるバレルカムスロット313の先端部に又はその近くに配置され得る。2つの対向するピン303は、ロック位置にあるバレルカムスロット313の基端部に又はその近くにあり得る。
【0044】
係合機構312は、内側シャフト310の先端部311に配置され得る。係合機構312は、インプラント100の係合開口部113aにキー付き構成で挿入されるように構成される。係合機構312を係合開口部113aに挿入した後に、サムホイール320を回転させて、インプラント100を遅らせて保持する。本明細書に開示する挿入器300は、インプラント100への内側取り付け点を可能にするスリムなプロファイルでこの動きを達成することができる。このスリムなプロファイルにより、ドライバ500及び400をそれぞれ用いてネジ200の挿入又は取外しを行うのをさらに容易にする一方、挿入器300がインプラント100と係合したままの状態になる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書の挿入器300は、バレルカム式機構を利用して、1つの入力で内側シャフト310を並進及び回転させる。この設計は、ネジ込み接続を利用せずにネジ山のラギング効果を実現する。本明細書に開示する挿入器300は、ネジ山を用いずにラギング効果を有利に達成する。本明細書に開示する挿入器300は、挿入器300と椎体間100の界面との固着(例えば、冷間圧接)の問題をその場で有利に除去する。さらに、既存の3Dプリントしたチタン椎体間100は、プリントプロセス後にネジ付き挿入器機構の後加工を必要とする場合がある。椎体間100からネジ山を除去することにより、プロセスのステップが削減される。
【0046】
サムホイール320は、内側シャフト310の基端部にネジ結合され得る。本明細書で説明するように、サムホイール320は、回転し、バレルカム要素313の回転を生じさせ、それにより外側シャフト302及び脊椎インプラント100に対する内側シャフト310の回転及び並進を同時に生じさせるように構成され得る。いくつかの実施形態では、サムホイール320の回転により、外側シャフト302に対する内側シャフト310の回転及び並進が同時に引き起こされ、先端チップ311及び内側シャフト310の係合機構312とインプラント100の係合開口部113aとの結合又は結合解除が引き起こされ得、それにより、挿入器300を脊椎インプラント100に対してロック又はロック解除する。
【0047】
いくつかの実施形態では、外側シャフト301は、細長い本体302の先端部に2つのポスト304を含むことができる。ポスト304は、
図4G~
図4Hに最も良く示される。2つのポスト304のそれぞれは、脊椎インプラント100の側部係合スロット113b(例えば、
図3C~
図3Dを参照)と嵌合するように構成され、更なる係合を提供することができる。
【0048】
骨ネジ
図5A~
図5Dを全体的に参照すると、骨ネジ200が本明細書に開示されており、骨ネジ200は、脊椎椎体間又はインプラント100に挿入され、椎骨にアンカー固定されるように構成される。骨ネジ200は、本明細書でさらに説明する取外しドライバ400等のドライバの駆動機構403と嵌合式に係合又は結合するように構成されたキー付き(keyed)駆動機構203を含むネジ頭202を含み得る。例えば、機構203は、取外しドライバ400の駆動機構403との相補的な嵌合を提供するような形状及び寸法であってもよい。いくつかの実施形態では、骨ネジ頭202はキャビティ201を含んでもよく、機構203は、キャビティ201を取り囲む骨ネジ頭202の内面からキャビティ201内へ先端方向に延びてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、機構203は、骨ネジ頭202のキャビティ201内に内側に延びる3つのローブを有するトリローブ形状205(
図5D)を含んでもよい。機構203のトリローブ205の実施形態により、取外しドライバ400の駆動機構403上に(例えば、ネジの長手方向軸線に沿って)より厚いトリローブ405を可能にし得(例えば、
図7Bを参照)、それによりドライバの強度を高める。いくつかの実施形態では、骨ネジ200上のトリローブ205は、
図5Dに確認されるように、3つのローブが取り除かれた標準サイズのヘキサローブドライブと同一であってもよい。これにより、ネジ200と同じサイズの標準ヘキサローブ取外しドライバとの互換性が可能になり得る。いくつかの実施形態では、機構203は、
図5Aに示されるように、トリローブ205の各ローブの先端側に配置されたアンダーカット206をさらに含むことができる。取外しドライバ400は、例えば
図9B及び
図9Dに示されるように、回転時にこのアンダーカット206を捕捉するステップ406を有する幾何学的形状を利用することができる。
【0050】
様々な実施形態において、ネジ200は、例えば、15mm、17.5mm、20mm、22.5mm、25mm、27.5mm、又は30mmの長さを有してもよい。ネジ200の頭部202は、特定の実施形態では、例えば5.0mm又は6.0mmの直径を有してもよい。
【0051】
取外しドライバ
上述したように、脊椎椎体間又は脊椎インプラント100に着座した骨ネジ200を取り外すように構成された取外しドライバ400が本明細書に開示される。
図6A~
図6B、
図7A~
図7B、
図8、
図9A~
図9E、及び
図10A~
図10Cは、本明細書に開示する取外しドライバ400の例示的な実施形態を示す。
【0052】
いくつかの実施形態では、取外しドライバ400は、内部にキャビティ、管腔、又はカニューレ挿入部404を含む外側シャフト401を含む。外側スリーブ又はシャフト401は、その先端部にカニューレ状係合機構403を含むことができる。例えば、
図7A~
図7Bに示される実施形態では、カニューレ状係合機構403はヘキサローブ形状の駆動機構であるが、当業者には理解されるように、例えば星型ドライブ、六角型ドライブ、又は他のドライバの幾何学的形状を含む他の構成も可能である。係合機構403は、上述したように、骨ネジ頭202(
図8)上の対応する機構203と係合するように構成される。
【0053】
係合機構403及び外側シャフト401を通って軸方向に延びるカニューレ挿入部404は、内側シャフト402の先端部がカニューレ挿入部404を通過できるように構成される。内側シャフト402は、細長い本体407と、ネジ付き先端部410とを含み得る。ネジ付き先端部410は、骨ネジ200の頭部202に又はその近くの雌ネジ204と係合するように構成され得、それにより、脊椎インプラント100から骨ネジ200を外す(unthread:ねじ込み解除する)ことが可能になる。
【0054】
いくつかの実施形態では、クラッチ414は、外側シャフト401と、例えばヘキサローブ形状のドライバであり得る駆動機構403とを結合する。時計回り又は反時計回りに回すと、クラッチ414が係合解除され、内側シャフト402の内ネジが、取外しドライバ400をネジ頭202上に引っ張るように構成され得る。この動作は、邪魔にならないようにインプラント100の撓み可能なラッチ108を押すように構成される(特に
図2D)。反対方向に回転すると、クラッチ414は、骨ネジ200を係合し、インプラント100から外すように構成され得る。骨ネジ山204は、取外し中に、ドライバ400に保持される。
【0055】
図8は、骨ネジ200と係合した取外しドライバ400の例示的な実施形態を示す。内側シャフト402は、外側スリーブ401のカニューレ挿入部404を通して、外側スリーブ401に対して少なくとも先端方向に並進するように構成され得る。外側シャフト401に対する内側シャフト402のこの先端方向の並進は、部分的にはクラッチ414を作動させることによって、ユーザ、例えば外科医によって手動で開始され得る。この位置において、外側スリーブ401は、骨ネジ200のネジ頭202にラッチしている脊椎インプラント100の撓み可能なラッチ108を撓ませるように構成され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、内側シャフト402が骨ネジ頭200のネジ山204に確実に結合されると、外側シャフト401は、内側シャフト402に対して先端方向に並進することができる。いくつかの特定の実施形態では、外側スリーブ401は、内側シャフト402に対して骨ネジ頭200に押し下げられ、内側シャフト402は骨ネジ頭202に結合され、邪魔にならないようにラッチ108(
図9B、9D)を押し出すことができる。この時点で、ネジ200を外してインプラント100から取り外すことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、カニューレ状駆動機構403はヘキサローブ形状であってもよい。カニューレ状駆動機構403は、外側スリーブ401の先端部に又はその近くに配置され得る。いくつかの実施形態では、内側シャフト402のネジ付き先端部410は、外側スリーブ401の先端部に対して先端側に位置付けされる。換言すると、このような実施形態では、内側シャフト402のネジ付き先端部410は、外側スリーブ401及びカニューレ状駆動機構403を通ってそこから先端方向に延びる。いくつかの実施形態では、駆動機構403は、骨ネジ200との係合を容易にするために、骨ネジ200のネジ付き頭部202の機構203に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、
図8に示されるように、取外しドライバ400は、骨ネジ200の長手方向軸線がドライバ400の長手方向軸線と整列さると、骨ネジ200のロックを解除するように構成される。いくつかの実施形態では、取外しドライバ400は、骨ネジ200の長手方向軸線がドライバ400の長手方向軸線から離れる方向に傾いている、又は角度が付けられている場合でも、骨ネジ200のロックを解除するように構成される。いくつかの実施形態では、内側シャフト402は、内側シャフト402の基端部に配置されたノブ412をさらに含む(
図6A)。ノブ412は、それによってユーザによって回転可能であり、それにより内側シャフト402の回転を生じさせることができる。
【0058】
図10A~
図10Cを参照すると、いくつかの実施形態では、脊椎インプラント100から骨ネジ200を取り外すための取外しドライバ400は、先端部411と、先端部411に対して基端側に配置された駆動機構403とを有する先端部分409を含み得る。駆動機構403は、前述した方法で骨ネジ200との係合を容易にするように、骨ネジ200の頭部202の対応する機構203に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、先端部411は、横(lateral)方向又は半径方向に沿って駆動機構403よりも細い。いくつかの実施形態では、駆動機構403は、3つのローブを有するトリローブ405(
図10A)を含み、各ローブは他のローブから実質的に等しく分離される。いくつかの実施形態では、骨ネジ200上のトリローブ205は、
図10Aに確認されるように、1つおきのローブ(合計3つのローブ)が取り除かれた標準的なヘキサローブサイズと同一である。いくつかの実施形態では、トリローブ405、205のローブは、周囲に沿って互いに等間隔に配置され、各ローブは同一のサイズ及び形状を有する。いくつかの実施形態では、取外しドライバ400のトリローブ405は、骨ネジ頭202のトリローブ205の隣接するローブの間のギャップにローブを挿入できるようなサイズ及び形状である。いくつかの実施形態では、取外しドライバ400のトリローブ405は、骨ネジ頭200のトリローブ205と同じ大きさ及び形状である。いくつかの実施形態では、トリローブ405は、回転し、骨ネジ200の頭部202の対応する特徴205のアンダーカット206に結合するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、取外しドライバ400の先端部分409は、駆動機構403、405に対して基端側に配置されたカム面408をさらに含む。カム面408は、回転すると、骨ネジ200の頭部202にラッチする位置からインプラント100の撓み可能なラッチ108を外側に撓ませ、それにより撓み可能なラッチを骨ネジの邪魔にならないように移動させるように構成され得る。
【0060】
図9A~
図9Eは、本明細書に開示する骨ネジ取外しドライバ400を用いて骨ネジ200を取り外す際の一連の操作を示す例示的な実施形態を示す。
図9A及び
図9Bは、フレーム構造及び完全に着座した骨ネジ200のみが撓み可能なラッチ108によってラッチされた状態の、脊椎インプラント100の簡略化した形態を示す。この特定の実施形態では、取外しドライバ400は、骨ネジ200の頭部202に挿入される。取外しドライバ400は、トリローブ駆動機構405(
図10A)が、骨ネジ200の頭部202のトリローブ特徴205の先端側にある、骨ネジ200の頭部202のアンダーカット206に結合するように挿入され、次に回転される。続いて、
図9C~
図9Dにおいて、骨ネジ200とともに取外しドライバ400が回転すると、取外しドライバ400のカム面408が回転する。カム面408のそのような回転運動(例えば、並進運動なし)は、骨ネジ200の邪魔にならないように撓み可能なラッチ108及びそのリップ109を押し、それによって骨ネジ200の連続的な緩めを行うことができる。このプロセスにより、脊椎インプラント100から骨ネジ200を取り外すことができる。
図9Eは、骨ネジ200が緩められ、脊椎インプラント100から引き離される準備ができていることを示す。
【0061】
いくつかの実施形態では、取外しドライバ400は、取外し中に骨ネジ200を積極的に保持できる単一部品(例えば中実)ドライバ先端部分を有利に可能にする。いくつかの実施形態では、取外しドライバ400は、頸椎プレート、中間固定ケージ、及び前部腰椎椎体間固定術(ALIF)プレートを含むがこれらに限定されない様々な脊椎用途において骨ネジ200を覆うバネ、タブ、又は可撓性機構を特徴とするロック機構のロックを解除するために使用することができる。当業者には理解されるように、本明細書に開示する取外しドライバ400は、角度を付けて適用する従来のU字継手とともに使用することもできる。
【0062】
【0063】
いくつかの実施形態では、ネジドライバ500は、ドライバ500の細長い本体506に永久的に組み付けられる可撓性タブ部品501を特徴とする。可撓性タブ501は、ネジ200がチップ(tip)に負荷されると外側に弾性的に撓み、骨ネジ200との締り嵌めを形成する。この締り嵌めにより、使用中にネジ200が保持される。いくつかの実施形態では、可撓性タブ501は、ドライバの先端部分から最小限の材料を有利に除去し、これがネジドライバ500の強度を高める。
【0064】
いくつかの実施形態では、ネジドライバ500は、先端部分507と、先端部504と、先端部504に対して基端側のドライバ500の外面508に位置する駆動機構505とを有する細長い本体506を含む。駆動機構505は、骨ネジ200との係合を容易にするために、骨ネジ200の頭部202の対応する特徴205と係合するように構成され得る。
図11A~
図11D及び
図12A~
図12Cに示されるように、いくつかの実施形態では、駆動機構505は、3つの溝505bによって分離された3つのローブ505aを有するトリローブ形状を含む。ローブ505a及び溝505bは、ドライバ500の断面の周囲に均等に分布することができる。3つの溝505bのそれぞれは、トリローブの2つの隣接するローブ505aの間に位置付けしてもよい。
【0065】
ネジドライバ500は、先端部504に向けて延びる可撓性タブ501をさらに含むことができる。可撓性タブ501は、細長い本体506に固くアンカー固定される基端部分509を含むことができる。タブ501の基端部分509は、例えば半径方向において、そのタブの先端部分よりも厚くてもよい。可撓性タブ501はまた、半径方向内側又は外側に曲げ可能又は可動である先端部分510を含んでもよい。先端部分510の動きは、付勢エネルギー又は付勢力によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、可撓性タブ501は、骨ネジ200がドライバ500に装填されるときに、その休止位置から内側に曲がる又は移動するように構成される。いくつかの実施形態では、
図11A、
図12A、及び
図12Cに確認されるように、可撓性タブ501は、静止状態又は平衡状態において、ネジドライバ500の先端部分504の外面508に対して半径方向外側に着座する。骨ネジ200がネジドライバ500に適切に装填された後に、可撓性タブ501は、骨ネジ200をネジドライバ500に保持するために半径方向外側に付勢するように構成され得る。いくつかの実施形態では、
図11Dに確認されるように、可撓性タブ501は、ネジドライバ500の先端部分504の外面508よりも低く、すなわち外面508に対して半径方向内側に着座する、又は外面508と面一となり得る。
図11Dは、骨ネジ200が装填された状態の骨ネジドライバ500の先端部分504の断面図を示す。いくつかの実施形態では、可撓性タブ501は、金属、合金、又は任意の他の可撓性材料を含む。いくつかの実施形態では、
図11A、
図11D、及び
図12Aに示されるように、可撓性タブ501は、ドライバ500の外面508の溝505b内に少なくとも部分的に位置付けされる。
【0066】
特定の実施形態では、先端部504は、例えば、半径方向に、駆動機構505より狭くてもよく、及び/又は先端部504の周囲は、ネジドライバ500の先端部分504の残りの部分の周囲より小さくてもよい。
【0067】
【0068】
ストレート挿入器
まず
図13~
図15を参照すると、本発明の一実施形態による、挿入器300が直線状の(straight)構成で示される。前述したように、挿入器300は、内部にキャビティ又は管腔が配置された細長い本体302を有する外側シャフト301を含むことができる。内側シャフト310は、細長い本体302の管腔内に配置され得る。内側シャフト310は、上述したように、使用中にインプラント100の係合開口部113aに嵌合係合するように構成された係合機構312を含む先端チップ311を含み得る。一対の対向するポスト304が外側シャフト302の先端チップに設けられ得る。ポスト304は、使用中にインプラント100上の対応する一対の係合スロット113bと係合するように構成され得る。
【0069】
バレルカム要素313は、内側シャフト310の先端部に設けられ、先端チップ311及び係合機構312に対して基端方向に配置され得る。バレルカム要素313は、インプラント100への非ネジ接続を提供するように構成される。バレルカム要素313と係合するように構成された一対の対向するピン303は、細長い本体302の内面から半径方向内側に延び得る。2つの対向するピン303は、挿入器300がロック解除位置にあるときに(
図16A)、バレルカム要素313の先端部に又はその近くに配置され得る。2つの対向するピン303は、例えば、内側シャフト310の周囲を約90°回転し、挿入器300がロック位置に移動するにつれて先端方向に並進するように構成される(
図16B)。
図16Aでは、バレルカム要素313がそのロック解除構成、すなわちインプラント100からロック解除された状態で示され、
図16Bでは、そのロック構成、すなわちインプラント100にロックされた状態で示される。
【0070】
サムホイール320(
図13)は、内側シャフト310の基端部にネジ結合され得る。サムホイール320は、ユーザによって回転され、バレルカム要素313の回転を生じさせ、それにより外側シャフト302及び脊椎インプラント100に対する内側シャフト310の回転及び並進を同時に生じさせるように構成され得る。これにより、
図16C~
図16D、及び
図16E~
図16Fからの移行に示される係合機構312の回転及び並進が生じる。いくつかの実施形態では、サムホイール320の回転により、外側シャフト302に対する内側シャフト310の回転及び並進を同時に生じさせ、先端チップ311と内側シャフト310の係合機構312と、インプラント100の係合開口部113aとの結合又は結合解除を生じさせ得、これにより、挿入器300を脊椎インプラント100との間でロック又はロック解除する。
【0071】
バレルカム要素313内のポスト303の位置に基づいた、係合機構312及びポスト304の結果として得られる位置が、
図16C~
図16Fに示される。係合機構312は、
図16C及び
図16Eでは、そのロック解除構成、すなわちインプラント100からロック解除された状態で示され、及び
図16A及び
図16Eでは、ロック構成、すなわちインプラント100にロックされた状態で示される。バレルカム要素313は、ネジ係合と同様の方法で挿入器100がインプラント100から遅れる(又は引き戻される)ことを可能にするように構成され、インプラント100への強固な接続を提供する。同時に、バレルカム要素313は、チタン装置へのネジ付きアタッチメントでよく見られる固着/かじりの問題の一部を回避する。
【0072】
特定の実施形態では、
図15に示されるように、内側シャフト310は、複数部品から構成されるシャフトを含むことができ、サムホイール320又は着脱可能なTハンドルレンチ330を介して、挿入器300を作動させる、すなわち、インプラント100に係合及び係合解除できるように構成された様式で結合され得る。着脱可能なT型ハンドルレンチは、
図17Aに示されるように、挿入器300のその位置から取り外すことができ、また、
図17Cに示されるような構成で使用する際に追加のトルクを提供するために、
図17Bに示されるように、基端シャフト六角接続部331に適用される。
【0073】
角度付き挿入器
次に
図18A~
図18B、
図19、及び
図20を参照すると、挿入器300の別の実施形態が角度を付けた構成で示される。
図18A~
図18B、
図19、及び
図20の角度付き挿入器300は、例えば
図13~
図14の直線状の挿入器300に関して上述したものと同様の構成要素を含む。直線状の挿入器と同様に、角度付き挿入器は、挿入器300とインプラント100との間に非ネジ接続を提供するように構成されたバレルカム要素313を含む。
【0074】
図18A~
図18Bの実施形態では、挿入器300は、内部にキャビティ又は管腔が配置された細長い本体302を有する外側シャフト301を含む。内側シャフト310はキャビティ内に配置される。内側シャフト310は、可撓性を有する結合自在継手316を含む。継手316は、多数の解剖学的平面のうちの1つの平面において、外側シャフト301の長手方向軸線に対して約15°まで挿入器300の角度を調整するように構成される。一実施形態では、
図19に示されるように、外側シャフト301の長手方向軸線に対して横方向に約15°の角度を特徴とする横方向の足付き(lateral footed)挿入器が示される。別の実施形態では、
図20に示されるように、外側シャフト301の長手方向軸線に対して頭尾方向に約15°の角度を有することを特徴とする頭尾方向挿入器が示される。
図19及び
図20の挿入器は、特定のインプラント挿入処置で使用するために構成される。例えば、
図19に示されるような横方向の足付き挿入器は、横方向切開アプローチを使用する前方腰椎体間固定術(ALIF)処置において使用され得る。
図19の横方向の足付き挿入器は、仰臥位のALIF処置において特に有用であり得る。このような方法は、患者を仰臥位に配置し、横方向切開部を形成し、及び例えば
図19に示されるような横方向の足付き挿入器を用いて、例えばインプラント100等のインプラントを、切開部を通して標的椎骨の間、例えば腰椎の間の空間に挿入することを含むことができる。
【0075】
別の例では、
図20に示される頭尾側(C-C)挿入器は、特に患者が高い仙骨傾斜を示している場合、又は他の困難な解剖学的構造が存在する場合に、ALIF処置に使用することができる。
図20のC-C挿入器は、L5椎骨とS1椎骨との間にインプラントを挿入することを含むALIF処置において特に有用であり得る。このような方法は、患者を側臥位に配置し、横方向又は斜めの切開部を形成し、及び、例えば
図20に示されるような角度付き挿入器を用いて、例えばインプラント100等のインプラントを、切開部を通して標的椎骨、例えばL5椎骨とS1椎骨との間の空間に挿入することを含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、挿入器300の頭部、すなわち、挿入器300の継手316の先端側の部分は、例えば取外しドライバ400又はネジドライバ500等のドライバが、インプラント100の固定開口部107内に挿入される又は開口部107から取り外されるネジにアクセスし係合することができるように外形が十分に薄くされる一方、挿入器300は、係合機構312及びポスト304を介してインプラント100に係合及び結合される。これにより、挿入及び取外し処置中に更なる安定性がもたらされる。
【0077】
スラップ・マレット(slap mallet)
次に
図21~
図26を参照して、スラップ・マレット600について本明細書で説明する。スラップ・マレット600は、単一のツールでマレットを打ち、またマレット(スラップハンマー)を反転させる能力をユーザに提供するように構成される。従来、外科医は、例えばインプラント100等のインプラントを配置又は取り外すときに、別のマレット及びスラップハンマーを用いて他の器具に衝撃を与える。複数のツールを使用すると、外科医と手術室内技術者との間の追加のパスが必要となる。スラップ・マレット600は、外科医が独立して操作できる単一の装置を提供し、切開部への挿入及び切開部からの引き込みのための3つの異なる衝撃モードを提供するように構成される。例えば、第1の衝撃モードは、マレット頭部607及び/又は他の滑らかな表面を通して力が伝達される挿入に有用であり得る。別のモードでは、切開部を通して取り外すのに役立つ力を加えることができる。これらの力は、マレット頭部607の先端部から基端方向に延びるマレット頭部607内のU字形チャネル608を通じて加えてもよい。チャネル608は、ユーザが器具にバックマレットを当てて(backmallet:逆方向に打ち)、切開部に対して外側方向に軸方向の力を加えるのを可能にするように構成され得る。あるいはまた、取外し力は、マレット頭部607の凹んだ平面特徴609によって加えてもよい。凹んだ平面特徴609は、別の器具、例えば挿入器上の相補的なサイズ及び形状の特徴と嵌合するように構成され得る。第3の力は、スラップ・マレット600を用いて軸方向又は直線方向に加えることができる。
【0078】
一実施形態では、スラップ・マレット600は、第1のシャフト601と、第1のシャフト601内に少なくとも部分的に配置された第2のシャフト602とを含む。第1のシャフト601は、ハンドルとして使用するように構成され得る一方で、第2の内側シャフト602は、延長ロッドとして機能するように構成され得る。スラップ・マレット600は、ボタン603、付勢要素604、ピン605、及びクラッチアセンブリ606をさらに含むことができる。一実施形態では、スラップ・マレット600は、第1のシャフト601に結合され得るマレット頭部607を含み、第2のシャフト602が第1のシャフト601内に少なくとも部分的に配置される。第1のシャフト601はハンドルとして使用するように構成され得る一方、第2のシャフト602は延長ロッドとして使用するように構成され得る。
【0079】
スラップ・マレット600は、例えば
図21に示されるように、第2のロッド602が第1のシャフト601内に実質的に又は完全に配置された状態の標準的なスラップハンマーのように使用することができる。この位置では、スラップ・マレット600がマレットとして使用されているときに、第2のシャフト602は、第1のシャフト601内に後退し、付勢要素604によってその位置に維持され得る。付勢要素604は、例えば、第2のシャフト602の位置を保持するための例えばバネ、ネジ、又は他の手段であってもよい。
【0080】
スラップハンマーとしてスラップ・マレット600を使用するには、第2のシャフト602を基端方向に延長し、当業者に容易に理解できる方法でスラップ・マレット600を器具に取り付けることができる。器具との迅速な係合及び係合解除のために、第2のシャフト602と器具との間に迅速な取り付けを実施することができる。あるいはまた、第2のシャフト602を器具にねじ込むこともできる。第2のシャフト602をマレットの第1のシャフト601にキー止めすることにより、第1のシャフト601が回転するたびに第2のシャフト602を器具にねじ込むことができる。特定の実施形態では、
図17A~
図17Cに示されるTハンドル330は、挿入器300に対して、内側シャフト602の基端部にさらに結合され得る(
図26)。使用中に、Tハンドル330により、ユーザが、異なる方向を含む異なる方法で力を加えることができる。
【0081】
トライアル(trial)挿入器
次に、
図27~
図34を参照すると、本発明の実施形態によるトライアル挿入器700が提供される。トライアル挿入器700は、ネジが切られ、インプラント100又はトライアル等のインプラントに直接結合するように構成された先端部品701を含み得る。
【0082】
トライアル挿入器700は、複数の連結した部品を有するシャフトを含むことができ、その先端部品701が終端及び最先端になり得る。先端部品701は、連結シャフト内の第1のリンクとみなしてもよく、その基端部で第2のリンク702に結合してもよい。第2のリンク702の丸みを帯びた先端部は、先端部品701の基端部内に受け入れられ、第2のリンク702の先端開口部703を通過するカプラ704によって所定位置に結合される。カプラ704は、例えばピンであってもよい。第2のリンク702はさらに、ボールソケット継手と同様の方法でバレルリンク705の先端部内に受け入れられる丸みを帯びた基端部を含むことができ、第2のリンク702とバレルリンク705との間に回転の柔軟性を提供する。第2のリンク702の基端部がバレルリンク705の先端部内に位置付けされると、2つの構成要素702、705の間の接合部を通過する開口部706が形成される。開口部703は、開口部706に対して、例えば約90°回転され得る。
【0083】
開口部706に戻ると、カプラ704は開口部706を通過し、それにより構成要素を互いに結合する。開口部706は、開口部706がこの開口部の開口端部よりも中央の直径が小さくなり得、カプラ704の軸中心がその端部よりも少ない回転運動を許容されるように、砂時計形状を有してもよい。開口部706内のカプラ704のこの構成は、カプラ704の軸線から約10°の可動域を可能にするように構成される。
【0084】
バレルリンク705は、先端部品701、第2のリンク702、及びバレルリンク705を含む先端リンク機構全体のシャフト707に対する並進を提供するように構成される。バレルリンク705は、キー付き駆動機構708及びカプラ704を介してメインシャフト707に接続し、これにより並進及びトルク伝達が可能になる。キー付き駆動機構708は、例えば、正方形ドライブであってもよい。バレルリンク705の基端部及び先端部に配置されたカプラ704は、互いに実質的に平行であってもよい。例えばコイルバネ等の付勢要素709が、バレルリンク705とシャフト707との間に配置され得る。付勢要素709は、接続を補助するためにリンク機構701、702、705を先端方向に押すように構成される。こうして、先端部品リンク701は第2のリンク702にピンで固定され、第2のリンク702はバレルリンク705にピンで固定され、バレルリンク705はメインシャフト707にピンで固定され、バレルリンク705とシャフト707との間でプランジャバネ709を捕捉する。
【0085】
別の実施形態では、
図31~
図32に示されるように、先端部品701は、第2のリンク702及びバレルリンク705を介在させずに、その基端部でシャフト707に直接結合する。この実施形態では、先端部品701は、バネ709によって先端方向に付勢されるように構成される。
【0086】
図27~
図34に示される前述の構成要素は、第1及び第2の外側シャフト部分710a及び710b(
図27)から形成され得る外側シャフト710内に収容される。先端部品701は、シャフト又はハウジング710内に並進し、シャフト又はハウジング710から外へ並進するように構成される。例えば
図33~
図34に関して本明細書で説明するように、701、702、705を含むバネ負荷され連結された内側シャフトが、先端方向に外側に付勢されると、先端部品701の先端部に位置するネジ山は、インプラントと容易に係合するように構成される。本明細書で説明する連結された内側シャフト構成は、装置を分解する能力の向上をさらに提供し、これは洗浄及び滅菌の目的に特に有利になり得る。同様に、
図31~
図32の実施形態では、先端部品701に対するバネ709の付勢作用により、先端部品701の先端部に位置するネジ山がインプラントと容易に係合する位置に配置される。
【0087】
トライアル挿入器の別の実施形態では、先端部品は、インプラント又はトライアルに直接結合するためにネジ切りされる。この先端部品リンク(第1のリンク)を回転させて内部リンク機構を介して嵌合し、接続を形成する。この先端リンクは、角型駆動機能及びスロット付きピンを介してメインシャフトに接続され、並進及びトルク伝達を可能にする。先端リンクとメイン内側シャフトとの間にあるバネがリンク機構を先端方向に押して接続を補助する。これら全ては外側シャフト内に収容される。先端リンクはメインシャフトにピンで固定されており、これら2つの構成要素の間のプランジャバネを捕捉する。先端リンクは、外側シャフト又はハウジングに出入りすることがでる。
【0088】
別段の規定がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合に、単数形「1つの(a、an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の参照を含む。本明細書における「又は」への言及は、特に明記しない限り、「及び/又は」を包含するものとする。本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合に、特に明記しない限り、用語「約」、「およそ」、「略」、及び「実質的に」は、実施形態に応じて+/-1%、+/-2%%、+/-3%、+/-4%、+/-5%、+/-6%、+/-7%、+/-8%、+/-9%、+/-10%、+/-11%、+/-12%、+/-14%、+/-15%、+/-16%、+/-17%、+/-18%、+/-19%、又は+/-20%以下の変動を指す。更なる非限定的な例として、約100ミリメートルは、実施形態に応じて、95ミリメートル~105ミリメートル、90ミリメートル~110ミリメートル、又は85ミリメートル~115ミリメートルの範囲を表す。
【0089】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が単なる例として提供したものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、及び置換を想起するだろう。本明細書で説明した本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造、及びそれらの均等物がそれらによってカバーされることが意図される。
【国際調査報告】