(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】拡張可能な脊椎固定インプラントおよび挿入デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240326BHJP
A61F 2/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61F2/44
A61F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560972
(86)(22)【出願日】2022-04-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022023222
(87)【国際公開番号】W WO2022216564
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドノホー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カーヴァー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ヒルボーン,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC18
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM10
(57)【要約】
本開示は、拡張可能な脊椎固定インプラント、器具、およびそれらを使用するための方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の傾斜路を有する第1のエンドプレートと、
第2の傾斜路を有する第2のエンドプレートと、
長さを有する第1の親ネジと、
前記第1の親ネジが回転されると、前記第1の親ネジの前記長さに沿って並進するように構成される、第1のウェッジと、を含む、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記第1のウェッジの表面が、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートを移動させて、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項2】
前記第1の親ネジに回転可能に結合される第2の親ネジをさらに含む、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項3】
前記第1の親ネジおよび前記第2の親ネジは、独立して回転するように構成される、請求項2に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項4】
第2のウェッジをさらに含み、前記第2のウェッジは、前記第2の親ネジが回転されると、前記第2の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、請求項3に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項5】
前記第1のエンドプレートは、前記第2のウェッジと連通するように構成される第3の傾斜路をさらに含む、請求項4に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項6】
前記第2のエンドプレートは、前記第2のウェッジと連通するように構成される第4の傾斜路をさらに含む、請求項5に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項7】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、高さである、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項8】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項9】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記インプラントの高さおよび前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である前弯症角の両方である、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項10】
第1の傾斜路を含む第1のエンドプレートと、
第2の傾斜路を含む第2のエンドプレートと、
第1の長さを有する第1の親ネジであって、第2の長さを有する第2の親ネジに回転可能に結合され、前記第2の親ネジとは独立して回転するように構成される、第1の親ネジと、
前記第1の親ネジが回転されると、前記第1の親ネジの前記長さに沿って並進するように構成される、第1のウェッジと、
前記第2の親ネジが回転されると、前記第2の親ネジの前記長さに沿って並進するように構成される、第2のウェッジと、を含む、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記第1のウェッジの表面が、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートと連通して、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成され、
前記第2のウェッジの表面が、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートと連通して、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項11】
前記第1のエンドプレートは、前記第2のウェッジと連通するように構成される第3の傾斜路をさらに含む、請求項10に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項12】
前記第2のエンドプレートは、前記第2のウェッジと連通するように構成される第4の傾斜路をさらに含む、請求項11に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項13】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、高さである、請求項10に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項14】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である、請求項10に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項15】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記インプラントの高さおよび前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である前弯症角の両方である、請求項10に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項16】
第1の傾斜路および第2の傾斜路を含む、第1のエンドプレートと、
第3の傾斜路および第4の傾斜路を含む、第2のエンドプレートと、
第2のネジ山付き部分に結合される第1のネジ山付き部分と、
前記第1のネジ山付き部分が回転されると、前記第1のネジ山付き部分の長さに沿って並進するように構成される、第1のネジ山付きナットと、
前記第2のネジ山付き部分が回転されると、前記第2のネジ山付き部分に沿って並進するように構成される、第2のネジ山付きナットと、を含む、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記第1のネジ山付き部分は、前記第2のネジ山付き部分とは独立して回転するように構成され、
前記第1のネジ山付きナットは、前記第1の傾斜路および前記第3の傾斜路のうちの少なくとも一方を移動させるように構成され、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように前記第2のエンドプレートに対して前記第1のエンドプレートを変位させるように構成される、ウェッジ表面を有し、
前記第2のネジ山付きナットは、前記第1の傾斜路および前記第3の傾斜路のうちの少なくとも一方を移動させるように構成され、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように前記第2のエンドプレートに対して前記第1のエンドプレートを変位させるように構成される、ウェッジ表面を有する、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項17】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、高さである、請求項16に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項18】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である、請求項16に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項19】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記インプラントの高さおよび前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である前弯症角の両方である、請求項16に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項20】
第1のバレル接触面を有する第1のエンドプレートと、
第2のバレル接触面を有する第2のエンドプレートと、
長さを有する親ネジと、
前記親ネジが回転されると、前記親ネジの前記長さに沿って並進するように構成される、ネジ山付きバレルと、を含み、
前記ネジ山付きバレルの表面が、前記第1のエンドプレートの前記第1のバレル接触面および前記第2のエンドプレートの前記第2のバレル接触面と連通するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記親ネジの回転が、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項21】
前記親ネジの少なくとも一部分が、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置される、請求項20に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項22】
前記ネジ山付きバレルは、
前記ネジ山付きバレルが前記第1の親ネジの前記第1の長さに沿って並進されるときに、前記第1のエンドプレートの前記第1のバレル接触面および前記第2のエンドプレートの前記第2のバレル接触面と連通して、当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法を変更するように構成される、実質的に円形のエンドプレート接触面をさらに含む、
請求項21に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項23】
前記親ネジは、
第1の長さを有する第1の親ネジと、第2の長さを有する第2の親ネジとをさらに含み、
前記第1の親ネジおよび前記第2の親ネジの少なくとも一方の回転が、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
請求項20に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項24】
前記第1の親ネジおよび前記第2の親ネジは、独立して回転されるように構成される、請求項23に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項25】
ウェッジをさらに含み、前記ウェッジは、前記第1の親ネジが回転されると、前記第1の親ネジの前記第1の長さに沿って並進するように構成され、前記ネジ山付きバレルは、前記第2の親ネジが回転されると、前記第2の親ネジの前記第2の長さに沿って並進するように構成される、請求項23に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項26】
前記第1のエンドプレートは、前記ウェッジと連通するように構成される第1の傾斜路を含み、前記第2のエンドプレートは、前記ウェッジと連通するように構成される第2の傾斜路を含む、請求項25に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項27】
前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートは、連結器と連通して、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートを前記連結器に移動可能に固定するように構成される、リンク機構をさらに含む、請求項26に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項28】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、高さである、請求項20に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項29】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である、請求項20に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項30】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の高さおよび角度の両方である、請求項20に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項31】
第1のリンク機構、第1の傾斜路、および第1のバレル接触面を有する、第1のエンドプレートと、
第2のリンク機構、第2の傾斜路、および第2のバレル接触面を有する、第2のエンドプレートと、
連結器によって第2の親ネジに結合され、前記第2の親ネジとは独立して回転するように構成される、第1の親ネジと、
前記第1の親ネジが回転されると、前記第1の親ネジに沿って並進するように構成される、ウェッジと、
前記第2の親ネジが回転されると、前記第2の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、ネジ山付きバレルと、を含む、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記ウェッジは、前記ウェッジの並進後に、前記第1のエンドプレートの前記第1の傾斜路および前記第2のエンドプレートの前記第2の傾斜路と連通して、前記第1のエンドプレートを前記第2のエンドプレートに対して変位させるように構成され、
前記ネジ山付きバレルは、前記ネジ山付きバレルの並進後に、前記第1のエンドプレートの前記第1のバレル接触面および前記第2のエンドプレートの前記第2のバレル接触面と連通するように構成され、
前記第1の親ネジおよび前記第2の親ネジの少なくとも一方の回転が、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項32】
前記ネジ山付きバレルは、前記ネジ山付きバレルが前記第2の親ネジの前記長さに沿って並進されると、前記第1のエンドプレートの前記第1のバレル接触面および前記第2のエンドプレートの前記第2のバレル接触面と連通して、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートを移動させるように構成される、実質的に円形のエンドプレート接触面を含む、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項33】
前記連結器の少なくとも一部分が、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置される、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項34】
前記連結器は、前記第1のエンドプレートを前記第2のエンドプレートに移動可能に取り付けるように構成され、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートは、前記連結器に対して移動するように構成される、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項35】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、高さである、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項36】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の角度である、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項37】
変更される当該拡張可能なインプラントデバイスの前記寸法は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の高さおよび角度である前弯症角の両方である、請求項31に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項38】
第1のリンク機構、第1の傾斜路、および第1のバレル接触面を有する、第1のエンドプレートと、
第2の傾斜路、第2のリンク機構、および第2のバレル接触面を有する、第2のエンドプレートと、
前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置される連結器によって第2の親ネジに結合される第1の親ネジと、
前記第1の親ネジが回転されると、前記第1の親ネジに沿って並進するように構成される、ウェッジと、
前記第2の親ネジが回転されると、前記第2の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、ネジ山付きバレルと、を含む、
拡張可能なインプラントデバイスであって、
前記第1の親ネジは、前記第2の親ネジとは独立して回転するように構成され、前記前記連結器は、前記第1のエンドプレートおよび前記第2のエンドプレートを移動可能に接続するように構成され、
前記ウェッジは、前記ウェッジの並進後に、前記第1のエンドプレートの前記第1の傾斜路および前記第2のエンドプレートの前記第2の傾斜路と連通するように構成され、
前記ネジ山付きバレルは、前記ネジ山付きバレルの並進後に、前記第1のエンドプレートの前記第1のバレル接触面および前記第2のエンドプレートの前記第2のバレル接触面と連通するように構成され、
前記第1の親ネジおよび前記第2の親ネジの少なくとも一方の回転が、当該拡張可能なインプラントデバイスの寸法を変更するように構成される、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項39】
拡張可能なインプラントデバイスの挿入および調整のために構成される手術器具であって、
挿入装置と、
拡張ドライバと、
インジケータハンドルと、を含む、
手術器具。
【請求項40】
前記挿入装置は、カニューレ挿入されて、前記拡張ドライバを伸縮式に受け入れるように構成される、請求項39に記載の手術器具。
【請求項41】
前記挿入装置は、拡張可能な脊椎固定デバイスを前記挿入装置に取り外し可能に取り付けるように構成される複数のフックをさらに含む、請求項40に記載の手術器具。
【請求項42】
前記複数のフックは、広げられて開きかつ閉じられるように構成される、請求項41に記載の手術器具。
【請求項43】
前記拡張ドライバは、外側ドライバおよび内側ドライバをさらに含み、前記外側ドライバは、前記内側ドライバの周りに環状に配置される、請求項42に記載の手術器具。
【請求項44】
前記外側ドライバは、前記拡張可能なインプラントデバイスの第1の親ネジと連通するように構成され、前記内側ドライバは、前記拡張可能なインプラントデバイスの第2の親ネジと連通するように構成される、請求項43に記載の手術器具。
【請求項45】
前記拡張ドライバは、クラッチ機構を含み、前記クラッチ機構は、前記外側ドライバおよび前記内側ドライバと選択的に係合するように構成される、請求項44に記載の手術器具。
【請求項46】
前記クラッチ機構は、第1の面クラッチおよび第2の面クラッチをさらに含み、前記第1の面クラッチは、第1のクラッチ部材と選択的に係合するように構成され、前記第2の面クラッチは、第2のクラッチ部材と選択的に係合するように構成される、請求項45に記載の手術器具。
【請求項47】
前記第1の面クラッチおよび前記第1のクラッチ部材の選択的な係合後に、前記第1の面クラッチの回転が、前記第1のクラッチ部材に伝達され、前記第1のクラッチ部材は、前記回転を前記外側ドライバに伝達する、請求項46に記載の手術器具。
【請求項48】
前記第2の面クラッチおよび前記第2のクラッチ部材の選択的な係合後に、前記第2の面クラッチの回転が、前記第2のクラッチ部材に伝達され、前記第2のクラッチ部材は、前記回転を前記内側ドライバに伝達する、請求項46に記載の手術器具。
【請求項49】
前記インジケータハンドルは、前記挿入装置に取り外し可能に固定されるように構成される、請求項39に記載の手術器具。
【請求項50】
前記インジケータハンドルは、前記拡張ドライバの少なくとも一部分を受けるように構成される、請求項49に記載の手術器具。
【請求項51】
前記インジケータハンドルは、拡張可能なインプラントデバイスの調整量を伝達するように構成されるインジケータディスプレイを含む、請求項50に記載の手術器具。
【請求項52】
前記インジケータハンドルは、前記拡張可能なインプラントデバイスの調整量を測定するように構成されるスケールを含む、請求項51に記載の手術器具。
【請求項53】
前記インジケータハンドルは、第1のインジケータディスプレイおよび第2のインジケータディスプレイを含む、請求項52に記載の手術器具。
【請求項54】
前記インジケータハンドルは、第1のスケールおよび第2のスケールを含む、請求項53に記載の手術器具。
【請求項55】
前記第1のスケールは、前記拡張可能なインプラントデバイスの前方調整量を測定するように構成され、前記第2のスケールは、前記拡張可能なインプラントデバイスの前弯症角を測定するように構成される、請求項54に記載の手術器具。
【請求項56】
前記第1のインジケータディスプレイは、前記拡張可能なインプラントデバイスの後方調整量を伝達するように構成され、前記第2のインジケータディスプレイは、前記拡張可能なインプラントデバイスの前弯症角を伝達するように構成される、請求項55に記載の手術器具。
【請求項57】
前記第1のスケールは、前記拡張ドライバの第1のクラッチ部材の回転後に移動するように構成される移動スケールを含む、請求項56に記載の手術器具。
【請求項58】
前記第2のスケールは、前記拡張ドライバの第2のクラッチ部材の回転後に移動するように構成される移動スケールを含む、請求項57に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本特許出願は、2021年4月4日に出願された米国仮特許出願第63/170,533号及び2021年8月4日に出願された米国仮特許出願第63/229,389号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、医療インプラント(medical implants)および関連する器具に関し、より具体的には、拡張可能な脊椎固定(expandable spinal fusion)インプラントおよび挿入デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
背中の問題は、最も一般的で衰弱させる医療上の出来事の1つである。米国だけでも、毎年50万件を超える脊椎腰椎および頸椎固定術が行われる。背中痛および障害の原因の1つは、脊椎の1つ以上の椎間板の破裂または変性に起因する。
【0004】
外科処置は、外傷、疾患、加齢による椎間板の変位、損傷または変性の問題を治療するために一般的に行われる。一般に、脊椎固定術は、疾患または損傷した椎間板の一部または全部を除去し、結果として生じる椎間板腔に1つ以上の椎間インプラントを挿入することを含む。前方腰椎椎体間固定術(ALIF)および側方腰椎椎体間固定術は、脊椎外科医が修復または置換されるべき脊椎の部分にアクセスするために使用する技術のうちの2つである。
【0005】
損傷または劣化した脊椎骨を人工インプラントに置き換えることは、脊椎に対する固有のストレスのメカニズムならびにデバイスに応答する身体の生物学的特性の知識を必要とする。さらに、人工インプラントのサイズ、構成および配置は、熟練した外科医による精密な位置決めおよび取扱いを必要とする。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、拡張可能な脊椎固定インプラント、器具、および器具を使用するための方法を含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊椎固定インプラントが、第1のエンドプレート、第2のエンドプレート、および拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法を変更するように構成されたアクチュエータを含む。幾つかの実施形態において、変更される拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法は、第2のエンドプレートに対する第1のエンドプレートの高さ、幅、長さ、および角度、例えば、前弯症角のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊椎固定インプラントが、第1のエンドプレート、第2のエンドプレート、およびアクチュエータを含む。アクチュエータは、長さを有する第1の親ネジであって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に回転可能に配置される第1の親ネジと、第1の親ネジが回転されると、第1の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、ウェッジと、を含んでよい。ウェッジと第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートとの間の連通は、拡張可能なインプラントの寸法を変化させることがある。
【0009】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊椎固定インプラントが、第1のエンドプレート、第2のエンドプレート、およびアクチュエータを含む。第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートの両方は、少なくとも1つのウェッジ接触面を含んでよい。アクチュエータは、第1の親ネジと、第1の親ネジが回転すると第1の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、第1のウェッジと、第2の親ネジと、第2の親ネジが回転すると第2の親ネジの長さに沿って並進するように構成される第2のウェッジとを含み、第1の親ネジは、第2の親ネジとは独立して回転するように構成され、第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートと第1のウェッジと第2のウェッジとの間の連通は、拡張可能なインプラントの寸法を変更することがある。
【0010】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊椎固定インプラントが、第1のバレル接触面を有する第1のエンドプレートと、第2のバレル接触面を有する第2のエンドプレートと、長さを有する第1の親ネジと、親ネジが回転されると親ネジの長さに沿って並進するように構成されるネジ山付きバレルとを含む。ネジ山付きバレルの表面は、第1のエンドプレートの第1のバレル接触面および第2のエンドプレートの第2のバレル接触面と連通するように構成され、第1のエンドプレートを第2のエンドプレートに対して移動させて、拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法を変更するように構成される。
【0011】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊柱固定インプラントが、第1のリンク機構、第1のバレル接触面、および第1の傾斜路を有する、第1のエンドプレートと、第2のリンク機構、第2のバレル接触面、および第2の傾斜路を有する、第2のエンドプレートと、結合器によって第2の親ネジに結合され、第2の親ネジとは独立して回転するように構成される、第1の親ネジと、第1の親ネジが回転されると第1の親ネジの長さに沿って並進するように構成されるネジ山付きバレルと、を含み、ネジ山付きバレルは、第1のエンドプレートの第1のバレル接触面および第2のエンドプレートの第2のバレル接触面と連通して、第1のエンドプレートを第2のエンドプレートに対して変位させるように構成される。第2のエンドプレートに対する第1のエンドプレートのこの変位は、拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法を変更する。第2のネジ山付きナットは、第2の親ネジが回転されると第2の親ネジに沿って並進するように構成され、第2のネジ山付きナットは、第1のエンドプレートの第1の傾斜路および第2のエンドプレートの第2の傾斜路と連通して、第1のエンドプレートを第2のエンドプレートに対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法を変更するように構成される、ウェッジを有する。
【0012】
幾つかの実施形態では、拡張可能な脊柱固定インプラントが、第1のリンク機構、第1のバレル接触面、および第1の傾斜路を有する、第1のエンドプレートと、第2のリンク機構、第2のバレル接触面、および第2の傾斜路を有する、第2のエンドプレートと、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に配置される連結器によって第2の親ネジに結合され、第2の親ネジとは独立して回転するように構成される、第1の親ネジであって、結合器は、第1の親ネジおよび第2のエンドプレートを移動可能に接続するように構成される、第1の親ネジと、第2の親ネジが回転されると第2の親ネジの長さに沿って並進するように構成される、実質的に円形のプロファイルを有するネジ山付きバレルであって、第1のエンドプレートの第1のバレル接触面および第2のエンドプレートの第2のバレル接触面と連通して、第1のエンドプレートを第2のエンドプレートに対して変位させて、拡張可能な脊柱固定インプラントの寸法を変更するように構成される、ネジ山付きバレルと、第1の親ネジが回転されると第1の親ネジに沿って並進するように構成されるウェッジ部とを含み、第2のウェッジは、第1のエンドプレートの第1の傾斜路および第2のエンドプレートの第2の傾斜路と連通して、第1のエンドプレートを第2のエンドプレートに対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラントの寸法を変更するように構成された、ウェッジを有する。
【0013】
幾つかの実施形態では、手術器具が、拡張可能な脊椎固定インプラントを患者の椎間板腔に送達するように構成される挿入装置と、拡張可能な脊椎固定インプラントを原位置(in situ)で調節するように構成される拡張ドライバとを含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、手術器具が、挿入装置と、拡張ドライバと、拡張可能インプラントの調整量をユーザに伝達するように構成されるインジケータハンドルとを含む。
【0015】
幾つかの実施形態では、手術器具が、拡張可能な脊椎固定インプラントと連通して拡張能な脊椎固定インプラントを挿入装置に取り外し可能に固定するように構成された一対のアームを有する挿入装置であって、拡張可能な脊椎固定インプラントを患者の椎間板腔に送達するように構成される挿入装置と、拡張可能な脊椎固定インプラントを原位置で選択的に調節するように構成されるクラッチ機構を有する拡張ドライバと、拡張可能な脊椎固定インプラントの調節量をユーザに伝達するように構成される少なくとも1つのディスプレイを有するインジケータハンドルと、を含み、調節量は、拡張可能な脊椎固定インプラントの高さおよび前弯症角のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、手術器具が、挿入器具、拡張ドライバ、およびインジケータハンドルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
これらおの構成よび他の構成は、添付の図面を検討することにより、当業者によってさらに理解されることがある。
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの正面斜視図を示す。
【0019】
【
図2】
図1の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの背面斜視図を示す。
【0020】
【
図3A】最小の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0021】
【
図3B】最小の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの平面図を示し、ウェッジの相対的な場所を示す。
【0022】
【
図4A】例示的な前弯症角に調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0023】
【
図4B】例示的な前弯症角に調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの平面図を示し、ウェッジの相対的な場所を示す。
【0024】
【
図5A】最大の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0025】
【
図5B】最大の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの平面図を示し、ウェッジの相対的な場所を示す。
【0026】
【
図6】最小の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0027】
【
図7】例示的な前弯症角に調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0028】
【
図8】最大の高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0029】
【
図9】拡張可能な脊椎固定インプラントの背面図を示す。
【0030】
【
図10】本開示の一実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0031】
【
図11】
図10の実施形態による第1の折り畳まれた構成(collapsed configuration)における拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0032】
【
図12】
図10の実施形態による例示的な前弯症角に調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0033】
【
図13】
図10の実施形態による第1の折り畳まれた構成における拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0034】
【
図14】
図10の実施形態による例示的な前弯症角に調整された拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0035】
【
図15】
図10の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視断面図を示す。
【0036】
【
図16】第1のエンドプレートおよび第2のエンドプレートの断面側面図を示す。
【0037】
【0038】
【
図18】本開示の一実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0039】
【
図19】
図18の実施形態による第1の折り畳まれた構成における拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0040】
【
図20】
図18の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0041】
【
図21】ネジ山付きバレルおよび親ネジの斜視図を示す。
【0042】
【
図22】本開示の一実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントの断面側面図を示す。
【0043】
【
図23】その先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有する一実施形態による挿入装置(inserter)の斜視図を示す。
【0044】
【0045】
【
図25】挿入装置の先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有する挿入装置の先端の側面図を示す。
【0046】
【
図26】挿入装置の先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有する挿入装置の平面図を示す。
【0047】
【
図27】挿入装置のアームが広げられて開いた挿入装置の先端の平面図を示し、挿入装置は拡張可能な脊椎固定インプラントから除去されている。
【0048】
【
図28】本開示の一実施形態による、その先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有する挿入装置に取り外し可能に取り付けられた拡張機構を示す。
【0049】
【
図29】
図28の実施形態による拡張ドライバの側面図を示す。
【0050】
【
図30】拡張ドライバの強化された断面側面図を示す。
【0051】
【0052】
【
図32】挿入装置の先端を通じて延在する拡張ドライバを有する挿入装置の先端の側面図を示す
【0053】
【
図33】挿入装置の先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有する挿入装置の先端の側面図を示す。
【0054】
【
図34】挿入装置に取り外し可能に取り付けられているインジケータハンドルを示す。
【0055】
【
図35】インジケータハンドルおよび拡張ドライバに取り外し可能に取り付けられた挿入装置の平面図を示す。
【0056】
【
図36】インジケータハンドルの先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラントを有するインジケータハンドルおよび拡張ドライバに取り外し可能に取り付けられた挿入装置の平面図を示す。
【0057】
【
図37】インジケータハンドルおよび拡張ドライバに取り外し可能に取り付けられた挿入装置の側面図を示す。
【0058】
【
図38】挿入装置の先端に取り外し可能に取り付けられた拡張可能な脊椎固定インプラントを有するインジケータハンドルおよび拡張ドライバに取り外し可能に取り付けられた挿入装置の側面図を示す。
【0059】
【
図39】挿入装置に取り外し可能に結合されたインジケータハンドルを有する挿入装置に挿入されている拡張機構の分解斜視図を示す。
【0060】
【
図40】インジケータハンドルを通じて延在する拡張機構を有するインジケータハンドルの断面図を示す。
【0061】
【
図41】インジケータガイドピンを示す拡張機構の強化された斜視図を示す。
【0062】
【
図42】折り畳まれた構成における拡張可能な脊椎固定インプラントおよびインジケータハンドルのインジケータディスプレイ上の対応する読取値を示す。
【0063】
【
図43】前弯症の角度に拡張された拡張可能な脊椎固定インプラントおよびインジケータハンドルのインジケータディスプレイ上の対応する読取値を示す。
【0064】
【
図44】拡張された高さまで拡張された拡張可能な脊椎固定インプラントおよびインジケータハンドルのインジケータディスプレイ上の対応する読取値を示す。
【0065】
【
図45】本開示の別の実施形態による折り畳まれた構成における拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0066】
【
図46】拡張された構成の一例における
図45の拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0067】
【
図47】第1のエンドプレートが除去された、
図45の拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0068】
【
図48】第1のエンドプレートが除去された、
図46の拡張可能な脊椎固定インプラントの斜視図を示す。
【0069】
【
図49】
図46の拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラントの側面図を示す。
【0070】
【
図50】
図46の拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラントの平面図を示す。
【0071】
【
図51】
図49の拡張可能な脊椎固定インプラントの断面図を示す。
【0072】
【
図52】
図40の拡張可能な脊椎固定インプラントの断面図を示す。
【0073】
【
図53】本開示の実施形態によるネジ山付きバレルの正面図を示す。
【0074】
【
図54】第1および第2のエンドプレートが除去された、
図49に示す実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントのアクチュエータの側面図を示す。
【0075】
【
図55】結合器(coupler)ならびに第1および第2のプレートが除去された、
図49に示す実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラントのアクチュエータの斜視図を示す。
【0076】
【
図56】
図54の線A-Aに沿って取られた結合器の中に位置決めされた親ネジを有する結合器の断面図を示す。
【0077】
【
図57】本開示の一実施形態による挿入装置の斜視図を示す。
【0078】
【0079】
【0080】
【
図60】
図57の挿入装置の遠位端の拡大された断面平面図を示す。
【0081】
【
図61】
図57のインサートの回転サムホイール(rotating thumbwheel)の拡大された断面側面図を示す。
【0082】
【
図62】本開示の一実施形態による拡張ドライバの斜視図を示す。
【0083】
【
図63】
図62の拡張ドライバのクラッチ機構の断面側面図を示す。
【0084】
【
図64】
図62の拡張ドライバのクラッチ機構の側面図を示す。
【0085】
【
図65】本開示の一実施形態による調整ハンドルの斜視図を示す。
【0086】
【
図66】本開示の一実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラント、挿入装置、インジケータハンドル、拡張ドライバ、および調整ハンドルを含む、アセンブリの斜視図を示す。
【0087】
【
図67】本開示の一実施形態による拡張ドライバと結合されたインジケータハンドルの平面図を示す。
【0088】
【0089】
【
図69】拡張ドライバと結合されたインジケータハンドルの断面図を示す。
【0090】
【
図70】本開示の実施形態によるインジケータハンドル、拡張ドライバ、および調整ハンドルの断面図を示す。
【0091】
【
図71】挿入装置に取り外し可能に結合された調整ハンドルおよびインジケータハンドルを有する挿入装置に挿入されている拡張機構の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。明確にするために、実際の実装の全ての特徴が本明細書に記述されているわけではない。そのような実際の実装を発展させる際には、実装ごとに異なるシステムに関連するおよびビジネス関連する制約に従うことのような、開発業者の固有の目的を達成するために、多くの実装固有の判断をしなければならないことがもちろん理解される。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとっての通常の取組みであることが理解されるであろう。本明細書に開示される拡張可能な脊椎固定インプラントおよび関連する方法は、個々にも、組み合わせても、特許保護を保証する様々な発明的な構成およびコンポーネント(構成要素)を有する。
【0093】
一般に、本明細書に記載される拡張可能な脊椎固定インプラントは、上方エンドプレートおよび下方エンドプレートと、アクチュエータとを含み、アクチュエータの少なくとも一部分は、上方エンドプレートと下方エンドプレートとの間に配置され、脊椎固定インプラントの寸法(dimension)を変更するように構成される。有する。拡張可能な脊椎固定インプラントは、側方アプローチまたは後方アプローチから、隣接する椎体(vertebral bodies)間の椎間板腔(disc space)に挿入されるように設計される。インプラントは、任意の好適な生体適合性材料または材料の組み合わせで作られてよい。例えば、インプラントコンポーネントは、金属、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または金属とPEEKとの組み合わせであってよい。インプラントは、折り畳まれた状態(潰れた状態)で椎間板腔内に挿入されるように構成され、椎間板腔内の所望の場所に位置した後に、インプラントの遠位端の高さが拡張されて、前弯症角(lordotic angle)を有するインプラントが形成される(すなわち、インプラントの前方の高さは、インプラントの後方の高さよりも大きく、それによって、腰椎の特定のセグメントのより自然な前弯症曲率を回復する)。拡張は、アクチュエータを拡張ドライバ(expansion driver)と係合させてアクチュエータを作動させ、並進ウェッジおよび/またはネジ山付きバレルを遠位方向においてインプラント間を移動させることによって達成される。
【0094】
拡張可能な脊椎固定インプラントは、特定の高さおよび特定の前弯症角(lordosis angle)に調節されることができ、その選択は、とりわけ、患者の必要性もしくは要求、または外科医の標的処置によって影響を受けることがある。インプラントは、脊椎固定に順応および/または促進するために様々な構成を組み込むことがある。
【0095】
ここで図面を参照すると、
図1~
図9は、第1の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラント100の様々な図を示す。拡張可能なインプラントは、第1のエンドプレート110および第2のエンドプレート120を含む。第1のエンドプレートは、第1の傾斜路111(ランプ)(ramp)および第2の傾斜路112を有する。第2のエンドプレートも、第1の傾斜路121および第2の傾斜路122を有する。
【0096】
アクチュエータ130は、第1のウェッジ131(楔)(wedge)、第2のウェッジ132、および第1の親ネジ135を含み、親ネジは、独立してまたは同時に第2の親ネジ136に対して回転可能であることがある。第1のウェッジ131は、第1の親ネジ135が回転されるにつれて、第1の親ネジ135の長さに沿って移動するように構成される。同様に、第2のウェッジ132は、第2の親ネジ136が回転されるにつれて、第2の親ネジ136の長さに沿って移動するように構成される。当業者が理解することがあるように、第1の親ネジ135は、第1の親ネジ135を第2の親ネジ136から独立して回転させ得るように、結合器140(coupler)によって第2の親ネジ136に結合されることがある。
【0097】
図3A~
図5Bは、拡張可能な脊椎固定インプラント100の可能な調整の範囲を示す。
図3Aは、最小高さに調整された拡張可能な脊椎固定インプラント100を示す。
図3Bは、第1のウェッジ131および第2のウェッジ132の相対位置を含む、同じ構成の拡張可能な脊椎固定インプラント100の平面図を提供する。
【0098】
第2の親ネジ136が回転すると、第2のウェッジ132は、第2の親ネジ136の長さに沿って移動する。第2のウェッジ132が移動すると、ウェッジ表面134が、第1のエンドプレート110の第2の傾斜路112及び第2のエンドプレート120の第2の傾斜路122を押して、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の角度を変化させる(
図3Aを
図4Aと比較のこと)。
【0099】
同様に、第1の親ネジ135の回転は、第1のウェッジ131を第1の親ネジ135の長さに沿って移動させる。第1のウェッジ131が移動すると、ウェッジ表面133は、第1のエンドプレート110の第1の傾斜路111及び第2のエンドプレート120の第1の傾斜路121を押して、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の角度を変化させ、それによって、高さを高さhから高さh’に効果的に変化させる(
図3Aを
図5Aと比較のこと)。
【0100】
当業者が理解することがあるように、第1の親ネジまたは第2の親ネジのいずれかの調整量は、拡張性インプラントの寸法の変化をもたらす。外科医は、この機能性を使用して、あらゆる範囲の調整を提供することができ、このことを念頭に置いて、インプラントは、患者の大きさ、前弯症要件などに応じて、範囲の調整を提供するように製造および寸法決定されることができる。
【0101】
図6~
図8は、様々な設定に調整された拡張可能な脊椎固定インプラント100の断面側面図を示す。拡張可能な脊椎固定インプラント100は、第1のエンドプレート110、第2のエンドプレート120、第1のウェッジ131、第2のウェッジ132、および第2の親ネジ136に回転可能に接続された第1の親ネジ135を含むアクチュエータ130を含む。図示の実施形態において、第1の親ネジ135は、結合器140によって第2の親ネジ136に回転可能に結合される。結合器140は、第1の親ネジ135が第2の親ネジ136とは独立して回転させられることを可能にする。この動的な結合は、拡張可能なインプラント100の独立した調節および同時の調節の両方を可能にする。第1の親ネジ135を第2の親ネジ136とは反対の方向に回転させることは、第1のウェッジ131が第2のウェッジ132の反対方向に移動することを可能にすることがある。幾つかの実施形態において、これは、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の角度を変化させることなく、高さhを増加させることがある。加えて、第1のウェッジ131および第2のウェッジ132の一方のみを移動させることは、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の角度を変化させる。
【0102】
図9は、拡張可能な脊椎固定インプラント100の背面図を示す。特に、第1の親ネジ135の第1の調整ヘッドおよび第2の駆動ネジ136の第2の調整ヘッドが示されている。この実施形態では、挿入器具(例えば、挿入装置、拡張ドライバなどのうちの1つ以上)を第1の親ネジ135を通じて挿入して第2の親ネジ136を回転させることができるように、第1の親ネジ135の一部分が中空である(
図6~8参照)。幾つかの実施形態において、挿入器具は、2つのドライバ、第1の親ネジ135を回転させるように構成された第1のドライバ、および第2の親ネジ136を独立してまたは同期して回転させて拡張可能な脊椎固定インプラント100をその場で調整するように構成された第2のドライバを有する。
【0103】
幾つかの実施形態において、親ネジは、ネジであってよく、あるいは1つ以上のネジ山付き部分から形成されてよい。幾つかの実施形態において、第1の親ネジ135および第2の親ネジ136は、代替的に、単一のモノリシックな親ネジであってよい。親ネジは、第1のセットのネジ山および第2のセットのネジ山を含んでよい。第1のセットのネジ山は、親ネジが回転すると、ウェッジが第2のウェッジとして親ネジに沿って反対方向に移動し、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラントの高さのみを変化させるように、第2のセットのネジ山の反対側であってよい。
【0104】
幾つかの実施形態において、第1のエンドプレート110および第2のエンドプレート120は、それらが並進されるにつれてウェッジと連通するように構成される傾斜路を含んでよい。他の実施形態において、第1のエンドプレート110および第2のエンドプレート120は、ウェッジが親ネジの長さに沿って移動するにつれてウェッジと連通するように構成されたタブまたは突出要素を含んでよい。ウェッジは、傾斜路および/またはウェッジ表面を含んでよく、実質的に楔形状であってよい。ウェッジは、拡張可能なインプラント100の寸法を調整するためにエンドプレート110、120を移動させる。
【0105】
第1のエンドプレート110および第2のエンドプレート120は、スロット付きタブをさらに含むことがある。幾つかの実施形態において、第1のエンドプレート110は、スロット付きタブによって第2のエンドプレート120に結合されてよい。幾つかの実施形態において、結合器140は、第1のネジ山付き部分を第2のネジ山付き部分に回転可能に接続し、第1のエンドプレート110を第2のエンドプレート120に移動可能に取り付け、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラント100を一緒に保持する一方で、第1のエンドプレート110が第2のエンドプレート120に対して回動することを可能にし、角度調整、例えば、前弯症角の調整を可能にすることがある。
【0106】
幾つかの実施形態において、拡張可能な脊椎固定インプラント100またはその個々のコンポーネントは、PEEK、多孔性PEEK、チタン、または医療インプラントに一般的に使用される任意の他の材料から作られてよい。拡張性脊椎固定インプラント100またはそれらの個々のコンポーネントは、加法製造技術または既知の任意の他のプロセスを使用して作られてよい。
【0107】
図10~
図17を参照すると、第2の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラント200が示されている。図示のように、インプラント200は、第1のバレル接触面212を有する第1のエンドプレート210、および第2のバレル接触面222を有する第2のエンドプレート220を含んでよい。特定の長さを有する第1の親ネジ235が、例えば、
図11~
図15に示すように提供される。ウェッジ231は、第1の親ネジ235が回転されると第1の親ネジ235の長さに沿って並進するように構成されてよい。第2の親ネジ236は特定の長さを有し、ネジ山付きバレル232は、第2の親ネジ236が回転されると第2の親ネジ236の長さに沿って並進するように構成されてよい。ネジ山付きバレル232の表面は、第1のエンドプレート210の第1のバレル接触面212および第2のエンドプレート220の第2のバレル接触面222と連通して、第1のエンドプレート210を第2のエンドプレート220に対して移動させ、拡張可能な脊椎固定インプラント200の寸法を変更するように構成される。
【0108】
図示の実施形態において、第1の親ネジ235は、第2の親ネジ236から独立しておよび/または第2の親ネジ236と同時に移動可能であり、第1の親ネジ235および第2の親ネジ236は、独立して回転されるように構成される。アクチュエータの少なくとも一部分は、第1のエンドプレート210と第2のエンドプレート220との間に配置される。
【0109】
ネジ山付きバレル232は、第2の親ネジ236が回転されると第2の親ネジ236の長さに沿って並進するように構成され、ウェッジ231は、第1の親ネジ235が回転されると第1の親ネジ235の長さに沿って並進するように構成される。
【0110】
ネジ山付きバレル232は、ネジ山付きバレル232が第2の親ネジ236の長さに沿って移動すると、第1のエンドプレート210の第1のバレル接触面212および第2のエンドプレート220の第2のバレル接触面222を連通するように構成された、実質的に円形のエンドプレート接触面を含む。
【0111】
ウェッジ231は、第1の親ネジ235が回転されると第1の親ネジ235の長さに沿って並進するように構成される。第1のエンドプレート210は、ウェッジ231と連通するように構成された第1の傾斜路211を含む。第2のエンドプレート220は、同様に、ウェッジ231と連通するように構成された第2の傾斜路221を含む。第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220は、第1のエンドプレート210を第2のエンドプレート220に対して移動可能に固定するように結合器240と連通するように構成されたリンク機構213、223(リンケージ)を含む。
【0112】
前述の動作によって変更される拡張可能な脊椎固定インプラント200の寸法は、第1のエンドプレート210と第2のエンドプレート220との間の高さおよび/または角度を含んでよい。
【0113】
図11では、拡張可能な脊椎固定インプラント200が、折り畳まれた構成で示されている。折り畳まれた構成は、低減されたプロファイルを提供し、患者の椎間板腔への拡張可能な脊椎固定インプラント200の挿入を助けるために特に有用である。エンドプレート210、220のテーパ状の遠位端が示されており、それは拡張可能な脊椎固定インプラント200を患者の準備された椎間板腔に挿入するのに必要とされる力の量を減少させる。
【0114】
図12は、拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラント200を示す。当業者ならば理解することがあるように、ネジ山付きバレル232は、拡張可能なインプラント200の中心に向かって並進されて示されており、エンドプレート210、220は、前弯症の何らかの角度に枢動されて示されている。前の実施形態と同様に、ウェッジ231がこの構成から拡張可能な脊椎固定インプラント200の中心に向かって移動するならば、第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220の傾斜路211、221は、ウェッジ231を上方に移動し、拡張可能な脊椎固定インプラント200の高さは変化する。実際には、ほぼ無数の前弯症の高さおよび角度が達成されることがあり、故に、例示的な調整のみが明示的に示されている。しかしながら、これは限定的であると考えられてはならない。何故ならば、アクチュエータに対するエンドプレートの可動範囲の全幅が本明細書において想定および記載されているからである。
【0115】
図13~
図14は、折り畳まれた構成および拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラント200の断面図をそれぞれ示す。拡張可能な脊椎固定インプラント200は、第1のバレル接触面212と第1の傾斜路211とを有する第1のエンドプレート210と、第2のバレル接触面222と第2の傾斜路221とを有する第2のエンドプレート220と、結合器240によって第2の親ネジ236に結合された第1の親ネジ235とを含む。第1の親ネジ235は、第2の親ネジ236とは独立して回転するように構成されてよい。ネジ山付きバレル232は、第2の親ネジ236が回転されると第2の親ネジ236の長さに沿って並進するように構成されてよい。ネジ山付きバレル232は、第1のエンドプレート210の第1のバレル接触面212および第2のエンドプレート220の第2のバレル接触面222と連通して、第1のエンドプレート210を第2のエンドプレート220に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント200の寸法を変更するようにさらに構成されてよい。ウェッジ231は、第1の親ネジ235が回転されると第1の親ネジ235に沿って並進するように構成されてよく、ウェッジ231は、第1のエンドプレート210の第1の傾斜路211および第2のエンドプレート220の第2の傾斜路221と連通して、第1のエンドプレート210を第2のエンドプレート220に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント200の寸法を変化させるように構成されてよい。
【0116】
図15~
図17を参照すると、第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220を有する拡張可能な脊椎固定インプラント200が、トラック218、228を含んで示されている。トラック218、228(
図15~
図16)は、ネジ山付きバレル232(
図15および
図17)のキー付き要素237を受けるように構成されてよい。同様に、
図15~
図16に示すように、ウェッジ231は、第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220のそれぞれのキー付き要素217、227を受けるように構成されたトラック238を含んでよい。トラックとキー付き要素との間の連通は、ウェッジ231およびネジ山付きバレル232が親ネジ235、236に沿って並進されるときに、第2のエンドプレート220に対する第1のエンドプレート210の位置を維持するのを助ける。
【0117】
図16は、拡張可能な脊椎固定インプラント200を一緒に移動可能に保持するのを助けるために結合器240でピン241(
図15)によって互いに結合される、第1のエンドプレート210のリンク機構213および第2のエンドプレート220のリンク機構223を示す。本実施形態において、第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220は、それぞれ、2つのリンク機構213、223を有する。
【0118】
図17は、ネジ山付き孔を含むネジ山付きバレル232を示し、ネジ山付き孔は、ネジ山付き孔を通じて親ネジの少なくとも一部分を受け入れるように構成される。ネジ山付きバレル232は、第1のエンドプレート210の第1のバレル接触面212および第2のエンドプレート220の第2のバレル接触面222と連通するように構成された実質的に円形のエンドプレート接触面を含む。ネジ山付きバレルは、複数のキー付き要素237も含む。キー付き要素237は、第1のエンドプレート210および第2のエンドプレート220のトラック218、228と連通するように構成される。
【0119】
図18~
図20は、第3の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラント300を示す。拡張可能な脊椎固定インプラント300は、第1のバレル接触面312と第1の傾斜路311とを有する第1のエンドプレート310と、第2のバレル接触面322と第2の傾斜路321とを有する第2のエンドプレート320とを含む。第1の親ネジ335が、結合器340によって第2の親ネジ336に結合されてよく、第1の親ネジ335は、第2の親ネジ336とは独立して回転するように構成される。ネジ山付きバレル332は、第2の親ネジ336が回転されると第2の親ネジ336の長さに沿って並進するように構成されてよい。ネジ山付きバレル332のバレル表面334は、第1のエンドプレート310の第1のバレル接触面312および第2のエンドプレート320の第2のバレル接触面322と連通して、第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して変位させ、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラント300の寸法を変化させるように構成されてよい。ウェッジ331は、第1の親ネジ335が回転されると第1の親ネジ335に沿って並進するように構成されてよい。ウェッジ331のウェッジ表面333は、第1のエンドプレート310の第1の傾斜路311および第2のエンドプレート320の第2の傾斜路321と連通して、第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント300の寸法を変更するように構成されてよい。
【0120】
図20は、回転防止機構を含む拡張可能な脊椎固定インプラント300の断面側面図を示す。この実施形態では、結合器340が、外側結合器341および中央バネ片342を含む。中央バネ片342は、第1の親ネジ235の複数の凹部345(indents)と連通するように構成された第1のバネ付勢要素343、および第2の親ネジ336の複数の凹部346と連通するように構成された第2のバネ付勢要素344を含む。第1のバネ付勢要素343および第2のバネ付勢要素344は、親ネジの望ましくない回転を防止しかつ拡張可能な脊椎固定インプラント300の折畳み(潰れ)を防止するように構成される。中央バネ片342は、環状であってよく、それを通じて器具を受け入れるようにさらに構成されてよく、例えば、器具は、第2の親ネジ336を回転するように構成されてよい。
【0121】
図21は、ネジ山付きバレル332と螺合した第2の親ネジ336の斜視図を示す。ネジ山付きバレル332は、複数のキー付き要素337を含む。前の実施形態と同様に、キー付き要素337は、例えば、
図15~
図16に示すトラック218、228に類似する、第1のエンドプレート310および第2のエンドプレート320のトラックと連通するように構成される。トラックとキー付き要素との間の連通は、ウェッジ331およびネジ山付きバレル332が親ネジ335、336に沿って並進されるときに、第2のエンドプレート320に対する第1のエンドプレート310の位置を維持するのを助ける。第2の親ネジ336は、中央バネ片342の第2のバネ付勢要素344と連通するように構成された複数の凹部346を含んでも示されている。
【0122】
ネジ山付きバレル332は、第1のエンドプレート310の第1のバレル接触面312および第2のエンドプレート320の第2のバレル接触面322を連通させて、第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント300の寸法を変更するように構成された、実質的に円形のエンドプレート接触面を含む。
【0123】
図22は、第4の実施形態による、第1のエンドプレート410、第2のエンドプレート420、および結合器440を有する、拡張可能な脊椎固定インプラント400の断面図を示す。
図22の実施形態は、回転防止機構のバネ付勢要素が親ネジ435、436に組み込まれることがあることを除いて、前の実施形態と同様である。例えば、第1の親ネジ435は、第1のバネ付勢要素443を含み、第2の親ネジ436は、第2のバネ付勢要素444を含む。第1のバネ付勢要素443および第2のバネ付勢要素444は、中央結合器442と連通するように構成される。中央結合器442は、親ネジの望ましくない回転を防止するために、親ネジと連通するように構成された複数の窪み(divots)を含む。
【0124】
図45~
図52は、第5の実施形態による拡張可能な脊椎固定インプラント800を示す。図示のように、拡張可能な脊椎固定インプラント800は、第1のバレル接触面812(
図45~
図46、
図49および
図50)を有する第1のエンドプレート810(
図45~
図46および
図49~
図51)と、第2のバレル接触面822(
図45~
図49および
図51~52)を有する第2のエンドプレート820(
図45~
図49および
図51~
図52)と、第1の親ネジ835が回転されると第1の親ネジ835の長さに沿って並進するように構成されたウェッジ831およびある長さを有する第1の親ネジ835(
図51~
図52)と、第2の親ネジ836が回転されると第2の親ネジ836の長さに沿って並進するように構成されたネジ山付きバレル832およびある長さを有する第2の親ネジ836とを含む。ネジ山付きバレル832の表面は、第1のエンドプレート810の第1のバレル接触面812および第2のエンドプレート820の第2のバレル接触面822と連通して、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して移動させて、拡張可能な脊椎固定インプラント800の寸法を変更するように構成される。
【0125】
図示の実施形態において、第1の親ネジ835は、第2の親ネジ836から独立しておよび/または第2の親ネジ836と同時に移動可能であり、第1の親ネジ835および第2の親ネジ836は、独立して回転されるように構成される。親ネジ835、836は、骨グラフト(骨移植片)をその中に位置決めできるようにカニューレ挿入されることができる。アクチュエータ830の少なくとも一部分が、第1のエンドプレート810と第2のエンドプレート820との間に配置される。
【0126】
ネジ山付きバレル832は、第2の親ネジ836が回転されると第2の親ネジ836の長さに沿って並進するように構成され、ウェッジ831は、第1の親ネジ835が回転されると第1の親ネジ835の長さに沿って並進するように構成される。
【0127】
ネジ山付きバレル832は、ネジ山付きバレル832が第2の親ネジ836の長さに沿って並進されるときに、第1のエンドプレート810の第1のバレル接触面812および第2のエンドプレート820の第2のバレル接触面822と連通するように構成された、実質的に円形のエンドプレート接触面834(
図49)を含む。
【0128】
ウェッジ831は、第1の親ネジ835が回転されると第1の親ネジ835の長さに沿って並進するように構成される。第1のエンドプレート810は、ウェッジ831と連通するように構成された第1の傾斜路811を含み、第2エンドプレート820は、ウェッジ831と連通するように構成された第2の傾斜路821を含む。
【0129】
第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820は、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して移動可能に固定するように、結合器840の両側に位置付けられたボス842(bosses)と連通するように構成された、溝813、823(
図45~
図48および
図52)を含む。第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート810が移動すると、ボス842は、溝813、823内に乗って、エンドプレート810、820が対称的に拡張することを確実にする。変更されるべき拡張可能な脊椎固定インプラント800の寸法は、例えば、第1のエンドプレート810と第2のエンドプレート820との間の高さおよび/または角度を含んでよい。
【0130】
図45および
図47では、拡張可能な脊椎固定インプラント800が、折り畳まれた構成で示されている。折り畳まれた構成は、低減されたプロファイルを提供し、患者の椎間板腔に拡張可能な脊椎固定インプラント800を挿入するのを補助するために特に有用である。エンドプレート810、820のテーパ状の遠位端が示されており、それは拡張可能な脊椎固定インプラント800を患者の準備された椎間板腔に挿入するのに必要とされる力の量を減少させる。
【0131】
図46および
図48は、拡張された構成の一例における拡張可能な脊椎固定インプラント800を示す。当業者が理解することがあるように、ネジ山付きバレル832は、拡張可能なインプラント800の中心に向かって並進されて示されており、エンドプレート810、820は、前弯症の何らかの角度に枢動されられている。前の実施形態と同様に、この構成から拡張可能な脊椎固定インプラント800の中心に向かってウェッジ831を移動させると、第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820の傾斜路811、821がウェッジ831を上方に移動し、拡張可能な脊椎固定インプラント800の高さが変化する。ほぼ無数の高さ、前弯症角、およびそれらの組み合わせが達成されることがあり、故に、例示的な調整のみが明示的に示されている。しかしながら、これは限定的であると考えられるべきではない。何故ならば、アクチュエータに対するエンドプレートの可動域の全幅が本明細書において想定および記載されているからである。
【0132】
図49および
図51は、拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラント800の側面図を示しており、
図51は、断面側面図を示す。
図50および
図52は、拡張された構成における拡張可能な脊椎固定インプラント800の平面図を示し、
図52は、断面平面図を示す。拡張可能な脊椎固定インプラント800は、第1のバレル接触面812と第1の傾斜路811とを有する第1のエンドプレート810と、第2のバレル接触面822と第2の傾斜路821とを有する第2のエンドプレート820とを含む。第1の親ネジ835が、結合器840によって第2の親ネジ836に結合され、第1の親ネジ835は、第2の親ネジ836とは独立して回転するように構成される。ネジ山付きバレル832は、第2の親ネジ836が回転されると第2の親ネジ836の長さに沿って並進するように構成されてよく、ネジ山付きバレル832は、第1のエンドプレート810の第1のバレル接触面812および第2のエンドプレート820の第2のバレル接触面822と連通して、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント800の寸法を変化させる、ように構成されてよい。ウェッジ831は、第1の親ネジ835が回転されると第1の親ネジ835に沿って並進するように構成されてよく、ウェッジ831は、第1のエンドプレート810の第1のランプ811および第2のエンドプレート820の第2のランプ821と連通して、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して変位させて、拡張可能な脊椎固定インプラント800の寸法を変更する、ようにさらに構成されてよい。
【0133】
図51を参照すると、第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820を有する拡張可能な脊椎固定インプラント800の断面図が、ネジ山付きバレル832のキー付き要素837(
図53~
図54)を受けるように構成されたトラック818、828を含んで示されている。同様に、ウェッジ831は、第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820のキー付き要素817、827(
図46および
図48)を受けるように構成されたトラック838(
図48および
図54)を含んで示されている。トラックとキー付き要素との間の連通は、ウェッジ831およびネジ山付きバレル832が親ネジ835、836に沿って並進するときに、第2のエンドプレート820に対する第1のエンドプレート810の位置を維持するのを助ける。加えて、トラックとキー付き要素との間の連通は、エンドプレート810、820が、ネジ山付きバレル832またはウェッジ831からそれぞれ分離することまたは持ち上がることを防止する。加えて、そのような構成は、拡張可能な脊椎固定デバイス80を折り畳むときに、エンドプレート810、820を閉じさせる。
【0134】
図53は、ネジ山付きバレル832を示す。ネジ山付きバレル832は、ネジ山付き孔を含み、ネジ山付き孔は、ネジ山付き孔を通じて親ネジ、例えば、親ネジ836の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。ネジ山付きバレル832は、第1のエンドプレート810の第1のバレル接触面812および第2のエンドプレート820の第2のバレル接触面822と連通するように構成された実質的に円形のエンドプレート接触面834を含む。ネジ山付きバレル832は、複数のキー付き要素837も含む。キー付き要素837は、第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820のトラック818、828と連通するように構成される。
【0135】
ウェッジ831は、ネジ山付き孔833(
図51~
図52)を含み、ネジ山付き孔833は、ネジ山付き孔を通じて親ネジ、例えば、親ネジ835の少なくとも一部分を受け入れるように構成される。ウェッジ831は、第1のエンドプレート810の第1の傾斜路811および第2のエンドプレート820の第2の傾斜路821と連通するように構成されたウェッジ表面841(
図48および
図55)を含む。ウェッジ831は、第1のエンドプレート810および第2のエンドプレート820のキー付き要素817、827を受けるように構成されたトラック838も含む。
【0136】
図52に示すように、結合器840は、各親ネジ835、836上の当接部または停止部838に当接するための当接部または停止部843をその内に含む。その結果、結合器840は、親ネジ835、836を互いに対して軸方向に所定の位置に固定する一方で、親ネジ835、836が互いに独立に回転することを可能にする。加えて、親ネジ835、836は、結合器840から分離することが防止される。
【0137】
図54は、アクチュエータ830の拡大側面図を示しており、エンドプレート810、820は、明瞭性のために取り外されている。図示のように、ウェッジ831は、拡張可能な脊椎固定インプラント800に関連する器具、例えば、挿入装置または拡張ドライバをウェッジ831に対して識別するのを助けるために、波形部分839(scalloped portions)も示す。
【0138】
図55は、アクチュエータ830の拡大斜視図を示しており、結合器840およびエンドプレート810、820は、明瞭化のために取り除かれている。
図56は、
図54の線A-Aを通じて取られた断面図を示す。図示のように、少なくとも1つのピン852が、親ネジ835、836のヘッド855、856の周りに位置付けられている。ピン852は、親ネジ835、836が意図せずにインプラントを回転させることまたはインプラントの高さを調整することを防止する受動ロック機構を提供する。具体的には、ピン852は、アクチュエータ830が作動していないときに、親ネジ835、836のヘッド855、856上の隆起部(リッジ)間の溝854内に位置する。しかしながら、作動中、ピン852は、拡張器具、例えば、拡張ドライバによって供給される力の故に、親ネジ835、836の回転を可能にするように変形するように構成される。図示のように、結合器840は、その内部に少なくとも1つのピン852を収容するための少なくとも1つの相補的な溝854を含む。
【0139】
固定プロセスを補助するために、拡張可能な脊椎固定インプラント800を骨グラフトまたは骨グラフト置換材料で詰めることが望ましいことがある。当業者が理解することがあるように、本明細書に提示される様々な実施形態では、拡張可能な脊椎固定インプラントを拡張するために、ウェッジおよびネジ山付きバレルが拡張可能な脊椎固定インプラントの中心から離れるように並進されるので、空隙が中央容積内に形成される。拡張可能な脊椎固定インプラント800が患者の椎間板腔内に配置および拡張されるとき、拡張可能な脊椎固定インプラント800には、骨グラフトまたは骨グラフト置換材料が予め詰められてよく、あるいは原位置(インシチュ)で止められてよい。第1および第2のエンドプレート810、820は、椎体と内部空隙に提供された任意の骨グラフトまたは骨グラフト置換材料との間の連通を可能にするように構成された固定孔を含む。骨グラフトまたは骨グラフト置換材料は、中空の第1の親ネジを通じてまたは別個の孔を通じて提供されてよい。本明細書に示しかつ記載するように、第1および第2のエンドプレート810、820は、インプラント800が患者の椎間板腔に挿入されるときに、隣接する椎体と連通するように意図される。よって、エンドプレート810、820は、椎間板腔における滑りを制約するように構成された移動防止構成(anti-migration features)、および固定プロセスを補助する構成された多孔質構成(porous features)をさらに含んでよい。
【0140】
図23~
図44および
図57~
図71を参照すると、一般に、拡張可能な脊椎固定インプラント100、200、300、400、800に関連して使用さするための器具が提供される。多くの実施形態が、簡潔性の目的のために拡張可能な脊椎固定インプラント300に関して記載されている。しかしながら、各器具は、拡張可能な脊椎固定インプラント100、200、400、800に関連して等しく有用であることがある。
【0141】
一実施形態によれば、手術器具は、挿入装置、拡張ドライバ、およびインジケータハンドルを含んでよい。挿入装置は、カニューレ挿入されてよく、拡張ドライバを伸縮式(入れ子式)に受け入れるように構成されてよい。挿入装置は、拡張可能な脊椎固定装置を挿入装置に取り外し可能に取り付けるように構成された複数のフックを含み、複数のフックは、広げられて開かれかつ閉じられるように構成される。
【0142】
拡張ドライバは、外側ドライバおよび内側ドライバを含んでよく、外側ドライバは、内側ドライバの周りに環状に配置される。拡張ドライバは、カニューレ挿入装置を通じて延在するように構成されてよく、外側ドライバは、拡張可能な脊椎固定インプラントの第1の親ネジと連通するように構成され、内側ドライバは、拡張可能な脊椎固定インプラントの第2の親ネジと連通するように構成される。拡張ドライバは、クラッチ機構を含んでよく、クラッチ機構は、外側ドライバおよび内側ドライバと選択的に係合するように構成されてよい。クラッチ機構は、第1の面クラッチおよび第2の面クラッチを含み、第1の面クラッチは、第1のクラッチ部材と選択的に係合するように構成され、第2の面クラッチは、第2のクラッチ部材と選択的に係合するように構成される。第1の面クラッチおよび第1のクラッチ部材の選択的な係合の後に、第1の面クラッチの回転が、第1のクラッチ部材に伝達され、第1のクラッチ部材は、その回転を外側ドライバに伝達し、外側ドライバは、その回転を拡張可能な脊椎固定インプラントの第1の親ネジに伝達する。第2の面クラッチおよび第2のクラッチ部材の選択的な係合の後に、第2の面クラッチの回転が、第2のクラッチ部材に伝達され、第2のクラッチ部材は、その回転を内側ドライバに伝達し、内側ドライバは、その回転を拡張可能な脊椎固定インプラントの第2の親ネジに伝達する。幾つかの実施形態において、内側ドライバは、第1の親ネジの中空キャビティを通じて延在して、第2の親ネジと連通するように構成される。内側ドライバの回転後の両方の親ネジの回転は、外側ドライバとの第1の親ネジの連通によって防止される。
【0143】
インジケータハンドルは、挿入装置に取り外し可能に固定されるように構成されてよい。インジケータハンドルは、拡張ドライバの少なくとも一部分を受けるように構成されてよい。インジケータハンドルは、拡張可能な脊椎固定デバイスの調整量を伝達するように構成されたインジケータディスプレイを含んでよい。インジケータハンドルは、拡張可能な脊椎固定デバイスの調整量を測定するように構成されたスケール(はかり)を含んでよい。インジケータハンドルは、第1のインジケータディスプレイおよび第2のインジケータディスプレイを含んでよい。インジケータハンドルは、第1のスケールおよび第2のスケールを含んでよい。第1のスケールは、拡張可能な脊椎固定インプラントの後方調節量を測定するように構成されてよく、第2のスケールは、拡張可能な脊椎固定デバイスの前弯症角を測定するように構成されてよい。第1のインジケータディスプレイは、拡張可能な脊椎固定インプラントの後方調節量を伝達するように構成されてよく、第2のインジケータディスプレイは、拡張可能な脊椎固定デバイスの前弯症角を伝達するように構成されてよい。第1のスケールは、拡張ドライバの第1のクラッチ部材の回転後に移動するように構成される移動スケールを含んでよい。第2のスケールは、拡張ドライバの第2のクラッチ部材の回転後に移動するように構成される移動スケールを含んでよい。
【0144】
図23~
図27は、第1の実施形態による挿入装置500を示す。挿入装置500は、拡張可能な脊椎固定インプラント、例えば、インプラント100、200、300、400、800を、手術中に患者の椎間板腔に配置するために使用されてよい。挿入装置500は、外側シャフト510、内側シャフト520、2つのアーム530、および2つのボタン540を含む。
【0145】
挿入装置500は、挿入装置500の2つのアーム530によって拡張可能な脊椎固定インプラント300(
図23)に取り外し可能に固定されてよい。アーム530は、外側シャフト510が近位方向に引き戻されたときに、広げられて開かれることができる。外側シャフト510上に配置されたボタン540は、アーム530の内側にある傾斜路と係合する。アーム530は、外側シャフト510が遠位方向において前方に押されるときに閉鎖されて、アーム530を一緒にクランプする。アーム530は、各アーム530(
図24)の遠位端に配置された円筒形の歯532を有する。歯532は、挿入装置500を拡張可能な脊椎固定インプラント300の挿入装置孔に嵌入させ、取り外し可能に固定する。アーム530は、器具がカニューレを通過させられるように挿入装置500がカニューレ挿入されたままであることを可能にする。挿入装置500は、追加的な器具、例えば、カウンタトルクハンドル、取り外し可能なインジケータハンドル700、およびナビゲーションアレイの取り付けを可能にする近位構成を有する。
【0146】
サムホイール550は、その回転が内側シャフト520に対する外側シャフト510の移動を作動させるように構成される。内側シャフト520は、先端に複数の孔521を有する。これらの孔521は、2つのアーム530の各アームのキー付き部分533を受け入れるように構成される。外側シャフト510が引き戻されると、アーム530のキー付き部分533は、内側シャフト520内のある点を中心として枢動するように構成され、それによって、アームを内側シャフト520に固定するためのピンの必要性を排除する。
【0147】
図25は、挿入装置500のアーム530が拡張可能な脊椎固定インプラント300に取り外し可能に固定された、挿入装置500の側面図を示している。拡張可能な脊椎固定インプラント300のこの実施形態において、ウェッジ331は、挿入装置500の円筒形の歯532を受け入れるように構成された2つの孔を有する。
【0148】
図26は、挿入装置500のアーム530が拡張可能な脊椎固定インプラント300に取り外し可能に固定された、挿入装置500の平面図を示している。当業者が理解することができるように、そして、上述したように、挿入装置500の外側シャフト510を近位方向に引くことは、挿入装置500のアーム530を開放させる。
図27は、アーム530が広げられて開き、拡張可能な脊椎固定インプラント300から取り除かれるように構成された、挿入装置500を示す。外側シャフト510が引っ込められたときのアーム530の動きが所与の太い矢印によって示されていることに留意のこと。
【0149】
この機能性は、外科医が、拡張可能な脊椎固定インプラント300を挿入装置500に取り外し可能に固定し、拡張可能な脊椎固定インプラント300を患者の椎間板腔に送達し、最小限のアクセス技術を利用しながら挿入装置500を拡張可能な脊椎固定インプラント300から取り外すことを可能にする。
【0150】
図28は、第1の実施形態による拡張ドライバ600を示す。拡張ドライバ600の少なくとも一部分は、挿入装置500の中空のキャビティを通過し、拡張可能な脊椎固定インプラント300の第1の親ネジ335および第2の親ネジ336と係合する、ように構成される(
図18~
図20)。
【0151】
図29~
図30に示すように、拡張ドライバ600は、内側ドライバ620、外側ドライバ610、およびクラッチ650を含む。この実施形態において、内側ドライバ620は、6葉(hexalobe)ドライバであり、外側ドライバ610は、クラウンドライバである。内側ドライバ620は、上述のように第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して移動させるように構成される第2の親ネジ336を回転させることによって拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方部分を拡張するように構成される。外側ドライバ610は、上述のように第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して移動させるように構成される第1の親ネジ335を回転させることによって拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方部分を拡張するように構成される。内側ドライバ620および外側ドライバ610が共に作動されるときに、拡張可能な脊椎固定インプラント300の高さが拡張する。内側ドライバ620および外側ドライバ610が別々に作動されるときに、前弯症角が調整される。
【0152】
挿入装置500および拡張ドライバ600は、拡張モード間の切り替えのために取り外されることなく、複数の機能を実行するために使用されることができる単一の使いやすい器具を用いて、拡張可能な脊椎固定インプラント300の全範囲の調整を提供する。拡張ドライバ600は、外科医が能動的に拡張されるべき拡張可能な脊椎固定インプラント300の所望の態様、例えば、前方、後方、または前方および後方の両方を選択することを可能にする、調節ノブ630を有する。
【0153】
図30を参照すると、外科医が、拡張可能な脊椎固定デバイスの前方部分および後方部分の一方または両方を拡張したいとき、外科医またはユーザは、調整ノブ630を回転させて、クラッチ650を作動させてよい。クラッチ650は、第1の面クラッチ651、第2の面クラッチ652、第1のクラッチ655、および第2のクラッチ656を含む。第1の面クラッチ651は、第1のクラッチ655と選択的に係合するように構成され、第1のクラッチ655は、外側ドライバ610と連通して外側ドライバ610を回転させるように構成される。外側ドライバ610は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の第1の親ネジ335に回転を伝達するように構成される。第2の面クラッチ652は、第2のクラッチ656と選択的に係合するように構成され、第2のクラッチ656は、内側ドライバ620を回転させるように構成され、第2のクラッチ656は、次に、回転を拡張可能な脊椎固定インプラント300の第2の親ネジ336に伝達するように構成される。
【0154】
外科医が拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方部分と後方部分の両方を同時に拡張することを望むならば、調節ノブ630の回転は、クラッチ650を作動させ、それは第1の面クラッチ651が第1のクラッチ655と係合し、第2の面クラッチ652が第2のクラッチ656と係合することを可能にする。よって、入力シャフト640の回転後に、トルクは、第1の面クラッチ651および第2の面クラッチ652に伝達され、次に、第1のクラッチ655および第2のクラッチ656に伝達される。第1のクラッチ655は、外側ドライバ610に直接接続され、第2のクラッチ656は、内側ドライバ620に直接接続される。従って、入力シャフト640の回転は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方部分および後方部分の両方の作動をもたらす。
【0155】
拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方部分または後方部分のいずれかを選択的に調節するために、外科医は、調整ノブ630を作動させて、前方部分または後方部分の選択的な拡張のための特定の調節モードを選択してよい。調整ノブ630が移動されると、それは第1の面クラッチ651および第2の面クラッチ652の一方と係合解除して、トルクが第1のクラッチ655および第2のクラッチ656の一方のみに伝達することを可能にする。上述のように、第1のクラッチ655は、外側ドライバ610に直接接続され、第2のクラッチ656は、内側ドライバ620に直接接続されるので、第1の面クラッチ651および第2の面クラッチ652のうちの一方のみの回転が、外側ドライバ610および内側ドライバ620のうちの一方のみの回転をもたらす。外側ドライバ610および内側ドライバ620の各々は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方部分または後方部分の一方を調整するように構成される。
【0156】
図31は、外側ドライバ610が便宜上取り外された、クラッチ650の内部コンポーネントを示す。図示のように、クラッチ650は、第1の面クラッチ651、第2の面クラッチ652、第1のクラッチ655、および第2のクラッチ656を含んでよい。
【0157】
図32は、挿入装置500の先端を示しており、拡張ドライバ600の先端がそこから延びている。具体的には、外側ドライバ610および内側ドライバ620は、挿入装置500の先端から突出して示されている。
【0158】
図33は、挿入装置500のアーム530によって挿入装置500の先端に取り外し可能に固定された拡張可能な脊椎固定インプラント300を示す。拡張ドライバ600の外側ドライバ610は、拡張可能インプラント300の第1の親ネジ335と係合するように構成され、拡張ドライバ600の内側ドライバ620は、第1の親ネジ335の中空部を通じて延びて、拡張可能インプラント300の第2の親ネジ336と係合するように構成される。
【0159】
図34は、挿入装置500に提供されるインジケータハンドル700を示す。インジケータハンドル700は、例えば、伸縮式に挿入装置500と嵌合するように構成されたハウジング710を含む。具体的には、ハウジング710の遠位端は、ボタンインターフェース740を介して挿入装置500の近位端を受け、クリップ留めする(clip onto)ように構成されてよい。ハウジング710は、第1のインジケータディスプレイ720および第2のインジケータディスプレイ730を含む。第1のインジケータディスプレイ720および第2のインジケータディスプレイ730は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の現在の状態に関する情報を表示するように構成される。例えば、
図34に示す実施形態において、第1のインジケータディスプレイ720は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の近位端の高さを外科医に伝達するように構成され、第2のインジケータディスプレイ730は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の前弯症角を外科医に伝達するように構成される。
【0160】
インジケータハンドル700の遠位端は、ボタンインターフェース740を介して挿入装置500上にパチンと嵌まる(snaps onto)。インジケータハンドル700は、その中に配置された複数の移動スケールを含んでよく、移動スケールは、拡張可能な脊椎固定インプラント300に関するリアルタイムの拡張情報を提供する。第1のスケール735は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方高さを測定することがあり、その第2のスケール736は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の前弯症を測定するように構成されることがある。インプラント300の後方高さの増加は、本明細書に記載されるように、前弯症の減少を引き起こすように構成されることがあるので、前弯症の読取値は、第1のスケール735で測定されるはずである。拡張可能な脊椎固定インプラント300が前弯症の12°であり、外科医がその後に拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方セグメントを作動させるならば、第1のスケール735は移動して、前弯症のためにスケールを同時に移動させながら、追加的な後方高さの指標を示す。
【0161】
図35~
図38は、挿入装置500、拡張ドライバ600、およびインジケータハンドル700を含む、挿入装置アセンブリの様々な図を示す。上記で議論したように、インジケータハンドル700は、挿入装置500の上にパチンと嵌まり、インジケータハンドル700および挿入装置500の両方はカニューレ挿入され、それを通じて拡張ドライバ600の外側ドライバ610および内側ドライバ620を受け入れるように構成される。
【0162】
図39は、拡張ドライバ600の遠位端が拡張可能な脊椎固定インプラント300と連通するように、拡張ドライバ600がインジケータハンドル700を通じてならびに挿入装置500を通じて下方に送られた、トルクハンドル660に取り外し可能に接続された拡張ドライバ600を示す。
【0163】
図40を参照すると、インジケータハンドル700内に配置された拡張ドライバ600の強化された断面図が示されている。
図40は、第1のインジケータディスプレイ720および第2のインジケータディスプレイ730の機能性を示す。拡張ドライバ600は、第1のセットのバネピン675および第2のセットのバネピン676を含む。ピン675、676は、バネ荷重をかけられてよい。バネピン675、676は、バネピン675、676がインジケータハンドル700内の第1のスケール735および第2のスケール736の内側ネジ山に係合するような方法において成形されかつ離間されてよい。ピン675、676はバネ荷重をかけられているので、拡張ドライバ600は、インジケータハンドル700に取り外し可能に固定されるように構成され、バネピン675、676は、ひとたび所定の位置になると、スケール735、736のネジ山内の所定の場所にパチンと嵌まる(snap into)ように構成される。
【0164】
バネピン675の第1のセットは後方クラッチ655に接続され、それは拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方高さの拡張に直接関連する。拡張ドライバ600は、選択的な後方拡張のためにトルクをかけられると、第1のセットのバネピン675は、第1のスケール735と螺装的に連通して、第1のスケール735をインジケータハウジング710に対してスライドさせる。第1スケール735の相対位置は、第1インジケータディスプレイ720によって示され、拡張可能な脊椎固定インプラント300の調整量に対応する。
【0165】
第2のセットのバネピン676は前方クラッチ656に接続され、それは拡張可能な脊椎固定インプラント300の前方高さの拡張に直接関連する。拡張ドライバ600が選択的な前方拡張のためにトルクをかけられると、第2のセットのバネピン676は、第2のスケール736と螺装的に連通する。前方クラッチ656の少なくとも一部分は、外側ドライバ610によって覆われることに留意のこと。外側ドライバ610は、貫通スロットを含み、貫通スロットは、第2のセットのバネピン676のうちの1つ~2つが外側ドライバ610を越えて半径方向外向きに延びて、第2のスケール736と係合することを可能にする。
図41は、外側ドライバ610から延びる拡張ドライバ600のバネピン675、676を示す。
【0166】
使用中、拡張可能な脊椎固定インプラント300の高さが拡張されるならば(すなわち、前方および後方の同時調整)、第1のスケール735および第2のスケール736は同時に一緒に移動して、後方高さの拡張を示すが、前弯症の増加を示さない。
【0167】
図42~
図44は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の3つの調節状態と、第1のインジケータディスプレイ720および第2のインジケータディスプレイ730上の対応する読取値とを示す。
図42は、第1のインジケータディスプレイ720が7mmの前弯症を読み取り、第2のインジケータディスプレイ730が0度の前弯症を読み取り、折り畳まれた構成における拡張可能な脊椎固定インプラント300を示す。拡張ドライバ600上の前弯症の角度を調整するための外科医による選択後に、拡張ドライバ600は、内側ドライバ620を回転させるように構成され、それは拡張可能な脊椎固定インプラント300の第2の親ネジ336を回転させる。拡張可能な脊椎固定インプラント300の第2の親ネジ336の回転は、ネジ山付きバレル332を移動させ、第1のエンドプレート310と第2のエンドプレート320との間の角度を変化させ(
図18~
図20)、それによって、インプラント300の前方側を調整して、所望の前弯症の角度を設定するように構成される。
【0168】
図43は、前弯症の角度に拡張された拡張可能な脊椎固定インプラント300を示す。第1のインジケータディスプレイ720は7mmの前弯症を読み取り、第2のインジケータディスプレイ730は12°の前弯症を読み取る。拡張ドライバ600上の拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方側を調節するための外科医による選択後に、拡張ドライバ600は、外側ドライバ610を回転するように構成され、外側ドライバ610は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の第1の親ネジ335を回転するようにさらに構成される。拡張可能な脊椎固定インプラント300の第1の親ネジ335の回転は、ウェッジ331に、第1のエンドプレート310を第2のエンドプレート320に対して移動させ、それによって、インプラント300の後方側を調整して所望の高さを設定するように構成される。
【0169】
図44は、拡張された高さまで拡張された拡張可能な脊椎固定インプラント300を示す。第1のインジケータディスプレイ720は9mmの前弯症を読み取り、第2のインジケータディスプレイ730は6°の前弯症を読み取る。調節は、拡張可能な脊椎固定インプラント300の後方側の高さを増加させ、同時に前弯症の角度を減少させた。
【0170】
図57~
図59は、本開示の実施形態による挿入装置900の別の実施形態を示す。この実施形態において、挿入装置900は、挿入装置500に実質的に類似する。挿入装置500と同様に、挿入装置900は、手術中に拡張可能な脊椎固定インプラントを患者の椎間板腔内に配置するために使用されてよい。挿入装置900は、外側シャフト910と、内側シャフト920と、2つのアーム930とを含み、2つのアーム930は、外側シャフト910が引き戻されるときに、すなわち、近位側に移動させられるときに広がって開き、外側シャフト910が前方に、すなわち、インプラント(
図57~
図59には示されていない)に向かって遠位側に押されるときに閉じるように構成される。
【0171】
この実施形態において、内側シャフト920は、リビングヒンジと同様に、内側シャフト920を2つの半体920a、920b(
図60)に分割する遠位幾何学的形状(ジオメトリ)を有する。内側シャフト920は、その遠位端でアーム930で形成されてよい。挿入装置900は、内側シャフト920に対する外側シャフト910の移動を作動させる回転サムホイール950を含んでもよい。一方向(例えば、時計回りまたは反時計回り)におけるサムホイール950の回転は、外側シャフト910が引き戻されること、すなわち、近位に引き戻されることを可能にし、それによって、アーム930を広げて開き、他の方向(時計回りまたは反時計回りの他方)におけるサムホイール950の回転は、外側シャフト910がインプラント(図示せず)に向かって遠位に押されることを可能にし、それによって、アーム930を閉じさせる。アーム930は、外側シャフト910が引き戻されるときに広げられて開くことができ、外側シャフト910上に配置されたボタン940は、アーム930の内側にある傾斜路に係合する。アーム930は、外側シャフト910が前方に押されると付勢されて閉じられて、アーム910を互いにクランプする。この実施形態において、サムホイール950は、バネ荷重されたボタン952(
図61)と、バネ荷重されたボタン952を付勢するように構成されたバネ954(
図62)とを含んでよい。バネ荷重されたボタン952は、内側シャフト920の周りで徐々に動き(ratchets)、サムホイール950に抵抗を与え、それによって、使用中に誤ってサムホイール950が動くのを防止する。バネ荷重されたボタン952は、洗浄のための挿入装置900の分解を可能にするリリース(release)としても機能する。
【0172】
図57~
図59を参照すると、挿入装置900は、その近位端にコネクタ960を含んでよい。コネクタ960は、キー付き外面962およびキー付き内面964を有する。キー付き外面962は、本明細書に記載されるように、インジケータハンドル1200と結合するように構成される。キー付き内面964は、拡張ドライバ1000(
図62~
図64)を受けるように構成される。
【0173】
図62~
図64は、本開示の態様による拡張ドライバ1000の別の実施形態を示す。この実施形態では、拡張ドライバ1000の少なくとも一部分は、挿入装置900の中空キャビティを通過し、第1の親ネジ835および拡張可能な脊椎固定インプラント800の第2の親ネジ836と係合する、ように構成される。しかしながら、幾つかの実施形態では、拡張ドライバ1000を使用して、挿入装置900を使用せずに拡張可能な脊椎固定インプラント800を拡張することができる。拡張ドライバ1000は、外側スリーブ1005、内側ドライバ1020、外側ドライバ1010、および外側スリーブ1005と共に位置決めされたクラッチ1050を含む。この実施形態において、内側ドライバ1020は、6葉ドライバであり、外側ドライバ1010は、クラウンドライバである。内側ドライバ1020は、第2の親ネジ836を回転させることによって、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分を拡張するように構成される。第2の親ネジ836は、上述のように、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して移動させるように構成されてよい。内側ドライバ1020は、外側ドライバ1010内に延び、そして、第1の親ネジ835を通じて延び、第2の親ネジ836と結合する。外側ドライバ1010は、第1の親ネジ835を回転させることによって、拡張可能な脊椎固定インプラント800の後方部分を拡張するように構成される。第1の親ネジ835は、上述のように、第1のエンドプレート810を第2のエンドプレート820に対して移動させるように構成されてよい。内側ドライバ1020および外側ドライバ1010が共に作動されるときに、拡張可能な脊椎固定インプラント800の高さが拡張する。内側ドライバ1020および外側ドライバ1010が別々に作動されるときに、前弯症の角度が調整される。
【0174】
挿入装置900および拡張ドライバ1000は、取り外されることなく拡張モード間を切り替えるように構成された単一の使いやすい器具を用いて、拡張可能な脊椎固定インプラント800の全範囲の調整を提供する。拡張ドライバ1000は、調整ハンドル1100の開口内の相補的なキー付き表面と嵌合するためのキー付き端1042を有する入力シャフト1040を含んでよい。これは、外科医が能動的に拡張されるべき拡張可能な脊椎固定インプラント800の態様、すなわち、前方、後方、または前方および後方の両方を選択することを可能にするように構成される。加えて、入力シャフト1040は、本明細書で説明するように、インジケータハンドル1200内の相補的な幾何学的形状と嵌合するように構成された、例えば、キー付きインターフェース、星形断面などのような幾何学的形状を有する部分1044を含む。部分1044は、入力シャフト1040を中心としてキー付き端1042と第1のクラッチ1055との間に位置付けられる。
【0175】
図63を参照すると、使用中、外科医が、拡張可能な脊椎固定デバイスの前方部分、後方部分、または前方部分および後方部分の両方を拡張することを望むとき、外科医は、ハンドル1100を回転させる。ハンドル1100は、クラッチ機構1050を作動させるように拡張ドライバ1000に結合されてよい。クラッチ機構1050は、第1の面クラッチ1051、第2の面クラッチ1052、第1のクラッチ1055、および第2のクラッチ1056を含む。第1の面クラッチ1051は、第1の面クラッチ1051が入力シャフト1040と共に回転しかつ入力シャフト1040に対して並進するように構成されるように、入力シャフト1040に結合されてよい。第1の面クラッチ1051は、第1のクラッチ1055と選択的に係合するように構成されてよく、第1のクラッチ1055は、外側ドライバ1010と連通して、外側ドライバ1010を回転させるように構成されてよい。具体的には、第1のクラッチ1055は、第1のクラッチ1055が回転すると、スリーブ1005も回転するように、スリーブ1005の内面と嵌合するキー付き外側インターフェースを含む。スリーブ1005は、外側ドライバ1010のキー付きインターフェースを介して外側ドライバ1010と回転可能に結合されて、スリーブ1005のキー付き内面と相互作用する。従って、入力シャフト1040が回転し、第1の面クラッチ1051が第1のクラッチ1055と係合すると、第1のクラッチ1055および外側スリーブ1005も回転し、それによって、外側ドライバ1010を回転させ、拡張可能な脊椎固定インプラント800の後方部分の拡張を引き起こす。外側ドライバ1010は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の第1の親ネジ835に回転を伝達するように構成される。
【0176】
第2の面クラッチ1052が、入力シャフト1040と共に回転しかつ入力シャフト1040に対して並進するように構成されるように、第2の面クラッチ1052は、入力シャフト1040に結合される。第2の面クラッチ1052は、第2のクラッチ1056と選択的に係合するように構成されてよく、第2のクラッチ1056は、内側ドライバ1020と連通して、内側ドライバ1020を回転させるように構成されてよい。具体的には、第2のクラッチ1056は、第2のクラッチ1056が回転すると、内側ドライバ1020が回転するように、内側ドライバ1020に直接結合される。従って、入力シャフト1040が回転し、第2の面クラッチ1052が第2のクラッチ1056と係合すると、第2のクラッチ1056も回転し、それによって、内側ドライバ1020を回転させ、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分の拡張を引き起こす。内側ドライバ1020は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の第2の親ネジ836に回転を伝達するように構成される。
【0177】
外科医が拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分および後方部分の両方を同時に拡張することを望むならば、ハンドル1100の回転は、クラッチ1050を作動させ、それは第1の面クラッチ1051が第1のクラッチ1055と係合し、第2の面クラッチ1052が第2のクラッチ1056と係合することを可能にする。よって、入力シャフト1040の回転後に、トルクが第1の面クラッチ1051および第2の面クラッチ1052に伝達され、次に、第1のクラッチ1055および第2のクラッチ1056に伝達される。第1のクラッチ1055は、スリーブ1005を介して外側ドライバ1010に接続され、第2のクラッチ1056は、内側ドライバ1020に直接接続される。従って、入力シャフト1040の回転は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分および後方部分の両方の作動をもたらす。
【0178】
拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分または後方部分のいずれかを選択的に調節するために、外科医は、ハンドル1100を作動させて、前方部分または後方部分の選択的な拡張のための特定の調節モードを選択してよい。ハンドル1100の作動は、入力シャフト1040を第1のバネ1058および第2のバネ1059と相互作用させて、第1の面クラッチ1051と第1のクラッチ1055との係合および第2の面クラッチ1052と第2のクラッチ1056との係合を選択的に引き起こし、それによって、外側ドライバ1010および内側ドライバ1020のうちの一方のみの回転を可能にする。すなわち、ハンドル1100は、3つのモードの間で作動することができる。第1のモードにおいて、第1および第2の面クラッチ1051、1052は、それぞれ、第1および第2のクラッチ1055、1056と係合し、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分および後方部分の両方の拡張を可能にする。第2のモードにおいて、第1の面クラッチ1051は、第1のクラッチ1055と係合するが、第2の面クラッチ1052は、第2のクラッチ1056と係合せず、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラント800の後方部分のみの拡張を可能にする。第3のモードにおいて、第2の面クラッチ1052は、第2のクラッチ1056と係合するが、第1の面クラッチ1051は、第1のクラッチ1055と係合せず、それによって、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方部分のみの拡張を可能にする。
【0179】
外側スリーブ1005は、第1の外ネジ山付き部分1062と、第2の外ネジ山付き部分1063とを含む。本明細書に記載されるように、第1および第2のネジ山付き部分1062、1063は、本明細書に記載されるように、インジケータハンドル1200内のボールベアリングと相互作用する。
【0180】
図66は、拡張可能な脊椎固定インプラント800、挿入装置900、調整ハンドル1100、およびインジケータハンドル1200を含む、アセンブリを示す。図示のように、挿入装置900は、拡張可能な脊椎固定インプラント800に結合される。挿入装置900は、挿入装置500および拡張可能な脊椎固定インプラント300に関して本明細書に記載されるように、拡張可能な脊椎固定インプラント800に結合されることができる。さらに、インジケータハンドル1200は、挿入装置900と連結されて示されている。インジケータハンドル1200は、挿入装置500およびインジケータハンドル700に関して本明細書に記載されるように、挿入装置900に結合されることができる。
図66にラベルが付されていない拡張ドライバ1000は、挿入装置900およびインジケータハンドル700内に位置付けられ、ハンドル1100は、拡張可能な脊椎固定インプラント800とは反対側のアセンブリの周りに延在する拡張ドライバ1000の端に結合される。
【0181】
インジケータハンドル1200は、インジケータハンドル700に実質的に類似しており、例えば、ボタンインターフェース1240(
図67)を介して挿入装置900の近位端と嵌合する、例えば、伸縮式に受け入れてクリップ留めするように構成されたハウジング1210を含む。ハウジング1210は、第1のインジケータディスプレイ1220および第2のインジケータディスプレイ1230を含む。第1のインジケータディスプレイ1220および第2のインジケータディスプレイ1230は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の現在の状態に関する情報を表示するように構成される。例えば、図示の実施形態において、第1のインジケータディスプレイ1220は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方端の高さを外科医に伝達するように構成され、第2のインジケータディスプレイ1230は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の後方端の高さを外科医に伝達するように構成される。
【0182】
インジケータハンドル1200の遠位端は、ボタンインターフェース1240を介して挿入装置900にパチンと嵌まるように構成されてよい。インジケータハンドル1200は、その中に配置された複数の移動スケールを有し、移動スケールは、拡張可能な脊椎固定インプラント800の状態に関するリアルタイムの拡張情報を提供する。第1のスケール1225は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の前方高さを測定する一方で、第2のスケール1235は、拡張可能な脊椎固定インプラント800の後方高さを測定するように構成される。
【0183】
図68は、インジケータハンドル1200の断面図を示す。図示のように、インジケータハンドル1200は、インジケータハンドル1200が、第1の内側スリーブ1224、第1の外側スリーブ1226、第2の内側スリーブ1234、および第2の外側スリーブ1236を含む点で、インジケータハンドル700と異なる。第1の外側スリーブ1226は、第1の内側スリーブ1224を実質的に取り囲む。第2の外側スリーブ1236は、第2の内側スリーブ1234を実質的に取り囲む。内側スリーブ1224、1234は、少なくとも内側スリーブ1224、1234が外側スリーブ1226、1236内に位置する場合に、外側スリーブ1226、1236の内側幾何学的形状をそれぞれ補完する外側幾何学的形状を有する。第1の外側スリーブ1226は、入力シャフト1040(
図62~
図64)の部分1044(
図62~
図64)の相補的な幾何学的形状と一致するように構成された内部幾何学的形状(例えば、キー付きインターフェース、星形断面など)を有する部分1227を含む。よって、第1の外側スリーブ1226は、第1の外側スリーブ1226を入力シャフト1040と共に回転させる一方、入力シャフト1040に対して並進することができるように構成された方法において、入力シャフト1040に結合される。その結果、入力シャフト1040が回転されると、第1の外側スリーブ1226が回転する。
【0184】
第1の内側スリーブ1224は、拡張ドライバ1000(
図62~
図64)がインジケータハンドル1200内に位置決めされるときに第1のスリーブ1226とスリーブ1005(
図62~
図63)との間に配置される複数のボールを有する第1のボールベアリング1228を含む。第2の内側スリーブ1234は、拡張ドライバ1000(
図62~
図64)がインジケータハンドル1200内に位置決めされるときに第2のスリーブ1236とスリーブ1005との間に配置される複数のボールを有する第2のボールベアリング1238を含む。
【0185】
これらのスリーブ1224、1226、1234、1236、およびボールベアリング1228、1238は、スケール1225、1235を移動させるためのバネピン675、676に対する代替を提供する。ボールベアリング1228、1238のボールは、ボールベアリング1228、1238のボールが、外ネジ山付き部分1062、1063内のネジ山の溝内を移動して、スケール1225、1235の移動を引き起こすように、拡張ドライバ1000のスリーブ1005の外ネジ山付き部分1062、1063と相互作用する。ボールベアリング1228、1238のボールの間隔は、拡張ドライバ1000のスリーブ1005の外ネジ山付き部分1062、1063のネジ山のピッチと一致する。
【0186】
第1のボールベアリング1228は、スリーブ1005の外ネジ山付き部分1062内に位置し、第1のスケール1225に関連し、それによって、インプラント800の前方部分の高さを外科医に伝達する。第2のボールベアリング1238は、スリーブ1005の外ネジ山付き部分1063内に位置し、第2のスケール1235に関連し、それによって、インプラント800の後方部分の高さを外科医に伝達する。拡張可能な脊椎固定インプラント800が、インプラント800の前方部分および後方部分の両方を同時に拡張しているならば、第1のスケール1235および第2のスケール1236は、同時に一緒に移動して、後方および前方の両方の高さ調整を示す。
【0187】
より具体的には、本明細書に記載されるように、第1の外側スリーブ1226の部分1227は、拡張ドライバ1000の入力シャフト1040の部分1044の幾何学的形状に対して相補的な幾何学的形状を含む。インプラント800を拡張するために、ハンドル1100が作動され、入力シャフト1040が3つのモードのうちの1つにおいて、すなわち、インプラント800の前方端および後方端の両方を拡張するために、インプラント800の前方部分のみを拡張するために、またはインプラント800の後方部分のみを拡張するために回転する。どの拡張モードがハンドル1100を使用して選択されるかにかかわらず、入力シャフト1040は、インプラント800の拡張中に常に回転される。その結果、第1のスリーブ1226が、部分1044および部分1227の相補的な幾何学的形状を介して入力シャフト1040に結合されていることの故に、第1のスリーブ1226は、3つの拡張モードのいずれかの間に常に回転する。拡張ドライバ1000は、3つのモードのいずれかで使用されることができるが、インジケータハンドル1200は、拡張ドライバ1000が個々の前方および後方調整中に使用されるときに前方および後方調整のみを示し、同時の前方および後方調整を示さない。
【0188】
インプラント800の後方部分のみを拡張するために、ハンドル1100は、第1の面クラッチ1051が第1のクラッチ1055と係合し、それによって、入力シャフト1040が回転するにつれて第1のクラッチ1055を回転させるように、ユーザまたは外科医によって作動されてよい。しかしながら、第2の面クラッチ1052は、このモードでは第2のクラッチ1056と係合しない。従って、第2のクラッチ1056は、入力シャフト1040と共に回転しない。第1のクラッチ1055の回転中に、拡張ドライバ1000のスリーブ1005も回転する。第1のボールベアリング1228のボールは、スリーブ1005のネジ山付き部分1062内に位置決めされ、インジケータハンドル1200の第1の外側スリーブ1226およびスリーブ1005の両方は、このモードにおいて入力シャフト1040と共に回転しているので、第1のボールベアリング1228のボールは、スリーブ1005のネジ山付き部分1062内で並進しない。従って、スケール1225には前方高さ調整は示されない。第2のボールベアリング1238のボールは、スリーブ1005のネジ山付き部分1063内に位置決めされ、スリーブ1005は、このモードにおいて入力シャフト1040と共に回転しているので、第2のボールベアリング1238のボールは、スリーブ1005のネジ山付き部分1063内で移動する。その結果、スケール1235は、インプラント800の後方部分の高さ調整を示すように移動する。
【0189】
インプラント800の前方部分のみを拡張するために、ハンドル1100は、第2の面クラッチ1052が第2のクラッチ1056と係合し、それによって、入力シャフト1040が回転するにつれて第2のクラッチ1056を回転させるように、ユーザまたは外科医によって作動されてよい。しかしながら、第1の面クラッチ1051は、このモードにおいて第1のクラッチ1055と係合せず、従って、第1のクラッチ1055もスリーブ1005も入力シャフト1040と共に回転しない。インジケータハンドル1200の第1の外側スリーブ1226は、入力シャフト1040の回転と共に常に回転し、拡張ドライバ1000のスリーブ1005は、このモードにおいて回転しないので、第1のボールベアリング1228は、スリーブ1005の周りで並進させられ、それによって、前方スケール1225を移動させる。このモードにおいて、第2のボールベアリング1238は移動せず、従って、後方スケール1235は如何なる調整も示さない。
【0190】
スリーブ1226、1236は、バネ1229、1239を介して付勢され、すなわち、スリーブ1226、1236は、バネ荷重される。従って、スリーブ1226、1236は、インジケータハンドル1200が挿入装置1000に付着するまで、インジケータハンドル1200が拡張ドライバ1000上で徐々に移動する(ratchet)ことを可能にする。
【0191】
図70を参照すると、器具を組み立てるために、挿入装置900は、先ず、アーム930(
図57~
図60)を介して拡張可能な脊椎固定インプラント800に結合される。次に、ドライバ1010、1020(
図62~
図64)が、それぞれ、親ネジ825、835(
図45~
図52)と結合するように、拡張ドライバ1000が、挿入装置900内に導入される。次に、ボタンインターフェース1040(
図66~
図69)が、挿入装置900にパチンと嵌まり、ボールベアリング1028、1038のボール(
図68~
図69)が、拡張ドライバ1000の外ネジ部1058、1059山付き部分(
図62および
図69)内に位置するように、インジケータハンドル1200が、拡張ドライバ1000上に設けられる。次に、調整ハンドル1100が、拡張ドライバ1000のキー付き端1042(
図62~
図64)と結合するまで、調整ハンドル1100が、インジケータハンドル1200内に設けられる。
【0192】
使用の一例示的な方法では、本明細書に開示されるような拡張可能な脊椎固定インプラント100、200、300、400、800が、脊椎変形を矯正するために、患者の準備された椎間板腔に導入されるように、寸法調整さてよい(proportioned)。医療従事者は、実質的に横方向アプローチまたは当該技術分野において知られておりかつ使用されている任意の他のアプローチを使用して、患者の椎間板腔にアクセスすることがある。医療従事者は、患者の椎間板を除去することによって、そのエリアを準備することがある。次に、医療従事者は、挿入デバイス500、900を使用して、インプラント100、200、300、400、800のような拡張可能な脊椎固定インプラントを第1の折り畳まれた構成において導入し、挿入デバイスを使用して、拡張可能な脊椎固定インプラントデバイスを所望の高さおよび前弯症角に調節することがある。医療従事者は、脊椎固定インプラントの調節量を観察するために、挿入デバイス500、900のインジケータハンドルの少なくとも1つのインジケータディスプレイを観察することがある。医療従事者が、ひとたびインプラント100、200、300、400、800を所望の高さおよび角度、例えば、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の前弯症角に調整すると、医療従事者は、挿入装置500、900を取り外し、手術を完了することがある。
【0193】
本発明の多数の実施形態を記載した。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正が行われることがあることが理解されるであろう。従って、他の態様は特許請求の範囲の範囲内にある。
【国際調査報告】