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特表2024-514541骨盤底靭帯支持のためのペッサリシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】骨盤底靭帯支持のためのペッサリシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240326BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B17/00 600
A61F2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560992
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022070663
(87)【国際公開番号】W WO2022212980
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/168,784
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523373902
【氏名又は名称】パマロープ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトロス ピーター エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ザドウ ポール アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097CC07
4C160MM32
(57)【要約】
ペッサリシステムは、USL及び他の靭帯のために骨盤底支持を提供する。ペッサリは、別々に膨張可能なバルーンを有する細長いプローブを有し、各バルーンは、プローブの挿入端部から実質的に同じ距離に位置し、別個の半径方向セクタに膨張する。プローブは膣腔に挿入され、膨張したバルーンはUSLに機械的支持を提供する。各バルーンを別々に膨張させることにより、機械的なUSL支持を左右で変化させて、両側のUSL靭帯の劣化の程度及び位置の違いを補償する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨盤底靭帯支持を提供するためのペッサリシステムであって、
長手方向の軸に沿って延在し、膣腔に挿入するように構成され、挿入端部及び遠位端部を有する細長いプローブと、
前記挿入端部から実質的に第1の距離に位置し、膨張したときに前記プローブから第1の半径方向セクタ内に横方向に拡張するように構成された第1の膨張可能部分と、
前記挿入端部から実質的に前記第1の距離に位置し、膨張したときに前記プローブから第2の半径方向セクタ内に横方向に拡張するように構成された第2の膨張可能部分と、
前記第1の膨張可能部分と流体連通する第1の導管と、
前記第2の膨張可能部分と流体連通する第2の導管と、
を備え、
前記第1及び第2の膨張可能部分は、前記第1及び第2の流体導管をそれぞれ通して導入された流体を使用して独立して膨張可能である、ことを特徴とするペッサリシステム。
【請求項2】
前記第1及び第2のセクタは、互いに離間している、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセクタの中間線と前記第2のセクタの中間線とは90度~180度離れている、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プローブは外壁を有し、
前記第1及び第2の膨張可能部分は、前記外壁に一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の流体導管は、内部に形成された前記第1の膨張可能部分を有する第1の細長い管を備え、
前記第2の流体導管は、内部に形成された前記第2の膨張可能部分を有する第2の細長い管を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の膨張可能部分は、第1のバルーンカテーテルのバルーン部分であり、
前記第1の導管は、前記第1のバルーンカテーテルの管部分であり、
前記第2の膨張可能部分は、第2のバルーンカテーテルのバルーン部分であり、
前記第2の導管は、前記第2のバルーンカテーテルの管部分である、ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2の膨張可能部分にそれぞれ隣接する第1及び第2の側方開口部を有する外側スリーブをさらに備え、
前記第1及び第2の膨張可能部分は、前記第1及び第2の側方開口部をそれぞれ通って拡張可能であり、
前記第1の膨張可能部分が、膨張したときに前記第1の開口部を通って好ましくは横方向に拡張し、前記第2の膨張可能部分が、膨張したときに前記第2の開口部を通って好ましくは横方向に拡張するように、前記第1及び第2の膨張可能部分の膨張が前記外側スリーブによって抑制される、ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の膨張可能部分は、膨張したときに、前記プローブの前記遠位端部に向かって第1の膨張距離だけ拡張するように構成され、前記第2の膨張可能部分は、膨張したときに、前記プローブの前記挿入端部に向かって前記第1の膨張距離とは異なる第2の膨張距離だけ拡張するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1及び第2の導管にそれぞれ接続される第1及び第2のルーメンをさらに備え、
前記第1及び第2のルーメンに、測定された量の流体の供給源がそれぞれ接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
測定された量の流体の供給源に接続されるルーメンと、
前記ルーメンを前記第1の導管及び前記第2の導管のそれぞれに選択的に接続するように構成されたバルブと、
をさらに備え、
前記第1及び第2の膨張可能部分は、前記ルーメンを通って導入された流体によって独立して膨張可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
測定された量の流体を前記第1及び第2の導管にそれぞれ注入することを可能にするために、前記第1及び第2の流体導管にそれぞれ取り外し可能に接続された第1及び第2のシリンジをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2のシリンジは、互いに結合された調節可能な一定容量のシリンジである、ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
周方向膨張可能部分と、
前記周方向膨張可能部分と流体連通する第3の流体導管と、
をさらに備え、
前記周方向膨張可能部分は、前記プローブの前記挿入端部から前記第1の距離よりも長い第2の距離に位置し、
前記周方向膨張可能部分は、前記第1及び第2の膨張可能部分から独立して膨張可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の膨張可能部分に取り付けられた筋電図センサをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の膨張可能部分に取り付けられた筋肉刺激電極をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プローブの外壁に摺動可能に係合し、前記長手方向の軸に沿って移動可能な膨張式スリーブをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記プローブの前記挿入端部に、調整可能なエンドキャップをさらに備え、
前記エンドキャップは、前記第1の距離の選択的な調整を可能にするように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記プローブの前記挿入端部にそれぞれ選択的に取り付け可能な複数のエンドキャップをさらに備え、
前記エンドキャップの各々は、前記プローブの前記挿入端部に取り付けられたときに異なる第1の距離を付与するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
骨盤底靭帯支持を提供するためのカスタマイズ可能なペッサリシステムであって、
長手方向の軸に沿って延在し、膣腔に挿入するように構成され、挿入端部及び遠位端部を有する、細長いプローブと、
独立して膨張可能な左側方部及び右側方部をそれぞれ備える第1の対の膨張可能部分であって、前記挿入端部から第1の距離にそれぞれ位置する第1の対の膨張可能部分と、
独立して膨張可能な左側方部及び右側方部をそれぞれ備える第2の対の膨張可能部分であって、前記挿入端部から第1の距離にそれぞれ位置する第2の対の膨張可能部分と、
前記第2の対の膨張可能部分の膨張を選択的に制限するために前記プローブに調整可能に配設されるように構成されたスリーブと、
を備える、ことを特徴とするカスタマイズ可能なペッサリシステム。
【請求項20】
前記第1及び第2の対の膨張可能部分の前記左側方部は、共通の左側膨張導管に接続され、前記第1及び第2の対の膨張可能部分の前記右側方部は、共通の右側膨張導管に接続される、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記スリーブは、少なくとも1つの開口部を備え、
前記少なくとも1つの開口部は、前記第2の対の膨張可能部分を覆う一方で、前記少なくとも1つの開口部を通して前記第1の対の膨張可能部分を露出させるため、前記プローブに調整可能に配設され、
前記第1の対の膨張可能部分は、膨張したときに、前記プローブの前記長手方向の軸に対して、重なり合わない半径方向セクタへと、前記少なくとも1つの開口部を通って外側に拡張する、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
患者の骨盤底靭帯に支持を提供するための方法であって、
細長いプローブを備えるペッサリを提供するステップであって、当該細長いプローブは、長手方向の軸に沿って延在し、膣腔に挿入するように構成され、挿入端部と、遠位端部と、前記挿入端部から実質的に第1の距離にそれぞれ位置する第1及び第2の膨張式バルーンと、を有し、前記第1及び第2のバルーンは、第1及び第2の流体導管をそれぞれ通して独立して膨張可能であり、重なり合わない第1及び第2の半径方向セクタへとそれぞれ膨張したときに拡張するように構成される、ステップと、
前記プローブを前記患者の前記膣腔に治療位置まで挿入して、前記第1及び第2のバルーンを子宮頸部の背後に配置するステップと、
前記患者の第1の側方部に靭帯支持を提供するように、前記第1のバルーンを第1の量だけ膨張させるステップと、
前記患者の第2の側方部に靭帯支持を提供するように、前記第2のバルーンを第2の量だけ膨張させるステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記第1のバルーンを膨張させる前記ステップは、前記患者の前記第1の側方部の第1のUSLの下方に前記第1のバルーンを位置付けるのに十分な量だけ前記第1のバルーンを膨張させることを含み、
前記第2のバルーンを膨張させる前記ステップは、前記患者の前記第2の側方部の第2のUSLの下方に前記第2のバルーンを位置付けるのに十分な量だけ前記第2のバルーンを膨張させることを含む、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のバルーンを前記第1の量だけ膨張させるために必要な第1の流体の容積を決定するステップと、
前記第2のバルーンを前記第2の量だけ膨張させるために必要な第2の流体の容積を決定するステップと、
前記第1及び第2の流体の容積を記録するステップと、
第1及び第2のバルーンを収縮させ、次いで、前記膣腔から前記プローブを取り出すステップと、
実質的に前記治療位置まで前記プローブを前記膣腔に再挿入するステップと、
前記第1の流体の容積を前記第1の導管内に注入することによって前記第1のバルーンを再膨張させるステップと、
前記第2の流体の容積を前記第2の導管内に注入することによって前記第2のバルーンを再膨張させるステップと、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ペッサリは、前記挿入端部から前記第1の距離よりも長い補助第2の距離で、前記プローブに配置された補助バルーンをさらに備え、
前記補助バルーンは、前記第1及び第2のバルーンとは独立して膨張可能であり、
前記挿入位置において、前記補助バルーンは前記子宮頸部の前に配置され、
前記方法は、前記第1及び第2のバルーンを膨張させた後に前記補助バルーンを膨張させるステップをさらに含み、
膨張した前記補助バルーンは補助靭帯の支持を提供する、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
膨張した前記第1及び第2のバルーンは、前記患者の第1及び第2のUSLをそれぞれ支持し、
前記補助バルーンは前記患者のCLを支持する、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記補助バルーンは、前記プローブ上に可動スリーブを備え、
前記方法は、前記補助距離を調整するために前記スリーブを移動させるステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記スリーブを移動させるステップは、前記プローブを前記膣腔に挿入し、前記第1及び第2のバルーンを膨張させた後に実行される、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記スリーブを移動させる前記ステップは、前記プローブを前記膣腔に挿入する前に、前記補助距離を所定の値に設定するように前記スリーブを位置決めすることを含む、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月31日に出願された米国仮出願第63,168,784号の優先権を主張し、その全内容は参照により明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
尿失禁は、多くの女性、特に高齢者の集団に影響を及ぼす。「過活動膀胱」の症状には、尿意切迫、頻繁な尿意、夜間頻尿、及び適切な排尿ができないことが含まれる。介護施設の女性患者の最大75%が、ある程度の尿失禁を経験している。この状態を治療するために、様々な外科的及び非外科的処置が使用される。
【0003】
腹圧性尿失禁を治療するために使用される外科的治療技術とは、既存の組織を接合するか、又は内臓を支持するために機械的構造を埋め込むことである。1つの特定の治療は、膀胱及び/又は尿道の支持を提供するために、中部尿道スリングを埋め込むことを含む。例えば、米国特許第10,426,594号明細書は、フィラメント状の支持要素を尿道の側方の組織に固定し、フィラメントを筋膜組織に移植して、第1の位置と第2の位置との間で尿道のための靭帯状支持を提供することを開示している。この支持により、既存の筋肉組織は、より良好に尿道に圧力を加えることができる。
【0004】
外科的解決策は、このようなすべての状態に利用可能ではなく、リスク及び費用の面から、非外科的技術が女性の失禁を処置するために頻繁に使用されている。このような技術は、膣ペッサリの使用を含む。膣ペッサリは、膀胱、直腸、又は子宮が膣に向かって下がる状態である骨盤臓器脱を支持するように設計された、取り外し可能な装置である。脱出防止に使用される従来の膣ペッサリは、脱出する臓器自体の下垂に対する障壁として作用することによって、膀胱(膀胱瘤)、直腸(直腸瘤)、又は子宮(子宮脱)などの脱出した臓器の下垂を阻止するために膣腔に装着される。
【0005】
ペッサリは、長期的な装着又は一時的な装着及び取り外し可能なように設計される。長期的装着用の構成は、特に高齢女性において潰瘍形成の原因となり得る。したがって、一時的なペッサリが、この種の患者には好ましい。
【0006】
ペッサリは、様々な設計のものが入手可能である。ドーナツ型又はリング型のペッサリは、子宮頸部を囲み、膣内にプラットフォームを提供して下垂を防ぐように設計されている。拡張可能なペッサリの一例は、ウルムステン(Ulmsten)らの米国特許第6,645,137号明細書に開示されている。拡張可能なペッサリは、膣内に装着されるように設計されており、拡張可能なペッサリは、その後、広げられて、プラットフォームを形成し、下垂する臓器脱に対する機械的閉塞として機能する。
【0007】
拡張可能なペッサリの1つのタイプは、ディオクノ(Diokno)らの米国特許第6,470,890号明細書に示されているような、膨張式ペッサリである。従来の膨張式ペッサリは、非膨張状態で膣内に挿入され、恥骨の背部に配置されるように設計されている。バルーン部分は、空気、水、又は生理食塩水などにより所望の量まで膨張する。膨張すると、バルーンは、ペッサリ装置を囲む360度の領域で拡張して、ペッサリ軸の周りにボール又は円筒形状を形成する。膨張したバルーンは、膣腔内の周囲領域に圧力を加えて、脱出した臓器を支持する。このような膨張式ペッサリは、膨張したバルーンが尿道に圧力をかけて、通常の活動中に尿が漏れるのを防ぐため、腹圧性尿失禁の治療にも有用である。
【0008】
従来のペッサリ設計は、臓器支持を提供し、尿道圧力を加えて、脱出症状を緩和できるが、脱出の根本的な原因に対処するようには設計されていない。特に、膀胱、腸及び子宮脱、並びに、膀胱、腸及び慢性骨盤痛の症状は、緩んだ又は損傷した靭帯の結果であり得る。靭帯の主要な構造成分であるコラーゲンの欠乏は、経時的に靭帯を脆弱化し、その結果、靭帯は伸びきって脱出を引き起こす。骨盤筋は靭帯に対して収縮するため、膀胱及び腸を開閉する力も脆弱化し、様々な膀胱、腸及び痛みの症状をもたらす(Petros PE&Ulmsten U.,女性の尿失禁の統合理論(An Integral Theory Of Female Urinary Incontinence)を参照されたい。Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica,1990年;69;Supp.153:1-79.)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、脱出及び他の状態を治療するために、子宮仙骨靭帯及び他の骨盤靭帯に目標とする機械的支持を提供する改善された膣ペッサリが必要とされている。一時的な使用が可能で、医師及びユーザによって容易に装着及び取り外し可能なペッサリを提供することは、さらなる利点となる。さらに、このようなペッサリが容易にカスタマイズされて骨盤内の複数の異なる靭帯領域を支持することができるため、さらなる利点が提供される。さらに、このようなペッサリ設計が、EMG記録及び筋肉刺激での使用といった、センサ及び電極の支持及び配置のためのプラットフォームとしても使用される場合、付加的な利点がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの問題及び他の問題は、本明細書に開示される膨張式ペッサリシステムによって対応される。膨張式ペッサリシステムは、緩んだ骨盤底靭帯に特定の機械的支持を提供し、これによって脱出した臓器を支持し、及び/又は他の骨盤底症状を軽減するように構成される。配置及び構成に応じて、膀胱、腸、及び/又は子宮の脱出に対処するために、靭帯支持が提供される。緩んだ靭帯を機械的に支持することにより、緩んだ靭帯に関連する脱出及び非脱出状態から生じる膀胱、腸、及び痛みの改善された治療がまた提供される。
【0011】
一実施例では、ペッサリシステムは、膣腔に挿入するように構成された細長い可撓性プローブを備える。2つの膨張式バルーン部分は、別々に膨張可能であり、プローブの挿入端部に向けて配置される。プローブは膣内に挿入されて、バルーン部分を膣後方、頂部の子宮頸部背後に位置付けられる。各バルーンは、バルーンに通じる流体導管に取り付けられたシリンジの使用などによって、空気又は液体によって膨張する。バルーンは、膨張したときに、横方向に、且つ、互いにほぼ反対方向に拡張するように、プローブに配設される。バルーンが膨張すると、側方への拡張は、子宮仙骨靭帯(USL)の下などの膣壁のこれらの領域に拡張ポケットを形成して膣壁の特定の領域に圧力を加え、靭帯を下から機械的に支持する。目標とする靭帯支持を提供することによって、靭帯の脆弱が生じている領域において、ペッサリを囲む他の領域での膣壁の拡張が制限され、膣の過度の膨張は低減又は回避され、したがって、そのような膨張が引き起こし得る潰瘍形成、痛み及び不快感が低減される。
【0012】
各バルーンが別々に膨張することにより、一方のバルーンは他方に対して非対称に拡張する。これにより、各USLに提供される機械的支持を別々に変化させ、両側のUSL靭帯の劣化及び位置決めの程度の差が補償される。バルーンを収縮し、プローブを定期的に容易に取り出せるので、例えば、膣の血行再建が可能となり、潰瘍形成を回避することができる。
【0013】
側方バルーンは、プローブの表面上に直接形成される。代替例として、バルーンは、プローブの内部コア領域に、及び、外側スリーブによって囲まれたプローブのコアに配置されてもよい。外側スリーブは、バルーンの一部の膨張を阻止するように配置され、他のバルーンは膨張される。一実施例では、開口部は外側スリーブに形成され、開口部が選択されたバルーンを露出させるようにスリーブは配置される。これらのバルーンが膨張すると、バルーンは、それぞれの開口部を通ってプローブから横方向に離れるように拡張する。スリーブは、スリーブによって覆われる他のバルーンの膨張を抑制する。開口部の形状及びサイズの変化は、各バルーンが膨張する際のサイズ、形状、及び位置をさらに制御する。別々にバルーンを膨張する必要のない実施例では、外側スリーブの開口部と位置合わせして単一のバルーンを設けてもよく、膨張時にバルーンが各開口部を通って拡張する一方で、バルーンの残りの部分の膨張は外側スリーブによって抑制される。
【0014】
プローブから延びるように膨張可能な特定のバルーンを選択するように選択された複数のバルーンを、プローブコアの長さ及び外側スリーブ上のスリーブ又は開口部の位置に沿って横方向に設けてもよい。横方向に配置された各バルーンは、膨張流体を提供するための別個の導管にそれぞれ結合されて、バルーンはすべて別々に膨張可能となる。代替例として、プローブの所与の側のすべてのバルーンなどのバルーンの一部又はすべては、共通の流体導管に接続されてもよい。
【0015】
特定の実施例では、閉じられた端部を有するカテーテル状の管は、その長さに沿って複数の弱化部分を有して構成され、その位置では、流体が管に注入されると膨張が生じる。管は、ペッサリ内に位置し、外側スリーブによって囲まれている。外側スリーブは、実質的に開口部が位置する場所でのみプローブから横方向外側への膨張を可能にするように動作し、他の領域での膨張を抑制する。複数のスリーブは、適切なスリーブを使用することによって膨張式バルーンの位置のカスタマイズを可能にするために、異なるように配置された開口部を備える。代替例として、医師がスリーブ内の所望の位置に開口部を作成できるよう、適切なツールと共にブランクスリーブを設けてもよい。
【0016】
それぞれのUSLに靭帯支持を提供することに加えて、バルーンの側方の拡張はまた、プローブを定位置にしっかりと固定するように機能する。これにより、プローブが追加及び/又は代替の目的に使用されるようになる。補助バルーンを担持する1つ又は複数の摺動スリーブがプローブに嵌合されて配置される。これにより、プローブが一次バルーンと共に挿入されて固定されると、スリーブ上の補助バルーンは、恥骨尿道(PUL)、骨盤筋膜腱弓(ATFP)、基靭帯(CL)、及び会陰体(PB)を含む他の損傷した又は緩んだ骨盤靭帯の下で膨張し、USL靭帯のための追加の支持を提供するとともに、そのような靭帯のための支持を提供する。靭帯支持は、腹圧性尿失禁、膀胱瘤、低位直腸瘤/会陰下降症候群の選択的治療、並びに膀胱、腸、及び慢性骨盤痛の症状への対処を可能にする。
【0017】
電極及び/又はセンサは、側方バルーン又はプローブの他の位置に配置される。これらは、EMG記録、筋肉刺激、及び他の目的のために使用される。電極及びセンサ線は、プローブの外側にあってもよく、あるいは、接続線がプローブ内を通るように構成されたプローブであってもよい。
【0018】
可撓性プローブは、非常に細いフォームファクタで構成され、一般的に膣腔が非常に狭い高齢女性によって容易に使用される。プローブはまた、挿入及び除去のプロセス、特に自己挿入及び取り外しを容易にするのに十分な長さである。プローブの少なくとも遠位端部(非挿入端部)は、十分に可撓性であるので、折り畳まれて、膣の外側のプローブの一部分を女性の下着の内側に保持する。挿入距離の容易な判定を可能にするために、1cm間隔のマークなどの測定表示がプローブ上に設けられる。
【0019】
本明細書に開示されるペッサリシステム及び方法のさらなる特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施例の構造及び動作は、添付の図面を参照して以下に詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】内側交差傍矢状断面における女性の骨盤100の関連する解剖学的構造図である。
図2】症状と靭帯との間の関連をまとめ、影響を受けた臓器をさらに識別する表である。
図3A】非膨張状態の一実施例によるペッサリの基本的な特徴の図である。
図3B】膨張状態の一実施例によるペッサリの基本的な特徴の図である。
図3C】プローブの長手方向の軸に沿って挿入端部から見た図3Bの膨張したペッサリを示す。
図3D】1つのタイプの支持を提供する際に使用するペッサリバルーンの構成を示す。
図3E】1つのタイプの支持を提供する際に使用するペッサリバルーンの構成を示す。
図3F】1つのタイプの支持を提供する際に使用するペッサリバルーンの構成を示す。
図3G】1つのタイプの支持を提供する際に使用するペッサリバルーンの構成を示す。
図3H】1つのタイプの支持を提供する際に使用するペッサリバルーンの構成を示す。
図4】USL及び神経叢を支持するために位置付けられた、図3A図3Cと同様のペッサリの図である。
図5A】筋電図評価及び筋肉刺激のために構成されたペッサリ500の一実施例を示す。
図5B】筋電図評価及び筋肉刺激に使用するために適所で膨張した図5Aのペッサリの図である。
図5C】一実施例による、図5Aのペッサリプローブに電極を取り付けるための構造図である。
図6A】補助膨張式バルーンスリーブを有する図3Aのペッサリの図である。
図6B】基靭帯を支持するように位置付けられた補助膨張式バルーンスリーブを有するペッサリの図である。
図6C】PB靭帯の支持を提供するように位置付けられた補助膨張式補助バルーンスリーブを有するペッサリの図である。
図7A】一実施例による、非膨張状態の独立膨張式側方バルーンを有するペッサリの構造を示す。
図7B】一実施例による、膨張状態の独立膨張式側方バルーンを有するペッサリの構造を示す。
図7C】非膨張状態の膨張式側方バルーンを有するペッサリの代替実施例を示す。
図7D】膨張状態の膨張式側方バルーンを有するペッサリの代替実施例を示す。
図8A】様々な実施例による側方バルーンの位置決めのカスタマイズを可能にするように構成されたペッサリ構造を示す。
図8B】様々な実施例による側方バルーンの位置決めのカスタマイズを可能にするように構成されたペッサリ構造を示す。
図8C】様々な実施例による側方バルーンの位置決めのカスタマイズを可能にするように構成されたペッサリ構造を示す。
図8D】様々な実施例による側方バルーンの位置決めのカスタマイズを可能にするように構成されたペッサリ構造を示す。
図9】様々な実施例による側方バルーンの位置決めのカスタマイズを可能にするように構成されたペッサリ構造を示す。
図10A図3A及び図3Bと同様のペッサリの特定の実施例を示す。
図10B図3A及び図3Bと同様のペッサリの特定の実施例を示す。
図10C図3A及び図3Bと同様のペッサリの特定の実施例を示す。
図11】本明細書に開示される二重バルーンペッサリを膨張させる際に使用するための調整可能なシリンジ機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、内側交差断面における女性の骨盤100の関連する解剖学的構造図である。恥骨102及び尾骨104が図示されている。これらの骨の間に位置するのは、子宮106、膀胱108、直腸又は腸110及び膣112である。5つの懸垂骨盤靭帯も示されている。これらは、恥骨尿道靭帯(PUL)122、骨盤筋膜腱弓(ATFP)124、基靭帯(CL)126、子宮仙骨靭帯(USL)128、及び会陰体(PB)130である。他の特徴の中で、外部靭帯(EUL)120及び子宮頸部132も示されている。
【0022】
コラーゲン欠乏又は他の機構に起因し得るようなこれらの靭帯の1つ又は複数に対する緩み又は損傷は、膀胱、腸、及び子宮脱、並びに膀胱、腸、及び慢性骨盤痛の症状の原因であると理論付けられている。例えば、臓器を支持する靭帯の脆弱化は、靭帯の下方への伸張をもたらし、臓器脱を生じさせる可能性がある。骨盤筋は靭帯に対して収縮するため、膀胱及び腸を開閉する力も脆弱化し、特定の膀胱、腸及び痛みの症状をもたらす。症状と靭帯の脆弱化との間の関係は指数関数的であると考えられており、わずかな脱出でさえ大きな症状を引き起こす可能性がある。(Petros PE,女性の骨盤底: 統合理論による機能、機能不全、および管理(THE FEMALE PELVIC FLOOR:Function,Dysfunction and Management,According to the Integral Theory),2010年改訂第3版 Springer Heidelbergを参照されたい。)
【0023】
図2は、症状と特定の靭帯との間の関連を要約し、さらに、影響を受ける一つ又は複数の臓器を識別する、図及びチャートである。靭帯は、PUL靭帯を含む前方ゾーンと、AFTF及びCL靭帯を含む中間ゾーンと、USL及びPB靭帯を含む後方又は後部ゾーンと、の3つのゾーンに分割される。チャート内の水平バーの厚さは、統合理論による問題の靭帯との関連の相対的な程度を示す。
【0024】
図2を参照すると、前部ゾーン(前靭帯)の靭帯の脆弱化は、腹圧性尿失禁(SUI)に関連する場合、腹圧性尿失禁(SUI)だけでなく、頻尿、切迫感、及び便失禁も生じさせ得る。中間ゾーン(中間靭帯)の靭帯の脆弱化は、排尿、切迫感、及び慢性膀胱感染症の関連症状を伴う膀胱脱をもたらし得る。USL靭帯を含む後方ゾーン(背部靭帯)の靭帯の脆弱化は、子宮脱、子宮摘出があった場合の根尖脱、腸瘤、及びUSLが横方向に分離されている場合の高位直腸瘤をもたらす可能性がある。USL弛緩の関連症状は、膀胱及び腸の異常な排出、トイレに行く切迫感、排泄不能(膀胱及び腸)、夜間頻尿、頻繁な排泄の必要性、並びに慢性骨盤痛を含む。
【0025】
図3A及び図3Bは、一実施例による、改善されたペッサリ300の基本的特徴の図であり、ペッサリ300は、子宮仙骨靭帯を標的とする制御可能な機械的支持を提供し、それによって膀胱、腸管、及び子宮の脱出に関連するか又は関連しない症状及び痛みを軽減する。図3Aは、非膨張状態のペッサリ300を示し、図3Bは、膨張状態の図3Aのペッサリ300を示す。
【0026】
図3A及び図3Bを参照すると、ペッサリ300は、長手方向の軸302に沿って延在する細長い可撓性のプローブ310を備える。プローブ310は、ゴム、シリコンゴム、又は生体適合性であって、体内への使用に安全な他の可撓性材料から形成される。適切な材料は当業者には既知である。プローブ310は、膣腔に挿入されるように構成され、挿入端部315及び遠位端部320を有する。プローブ310は、第1の膨張可能部分325及び第2の膨張可能部分325’を有する。各々の膨張可能部分325,325’(バルーンともいう)は、挿入端部302から所定の距離D1を有する。各々の膨張可能部分325,325’は、流体導管330,330’とそれぞれ流体連通している。
【0027】
この実施例では、バルーン325,325’は、それぞれの導管330,330’に導入された空気、水、又は生理食塩水などの流体を使用して、別々に膨張可能である。別々に膨張することで、バルーン325,325’は異なる程度に膨張することができる。このような異なる膨張により、有利には、一方の靭帯が他方の靭帯よりも略側方に位置するUSLなど各々の靭帯に対して、ペッサリ300がより正確な機械的支持を提供することができる。さらに、膨張可能部分325,325’の膨張が膣を非同期的に拡張することができるため、異なる膨張によって、膣の後部における異なる弾性に対応することができる。これにより、膣壁に潰瘍を生じさせ得る過度な片側圧力を低減させる。代替的な実施例では、一対の側方バルーンは、同じ流体源に結合されて一緒に膨張してもよい。
【0028】
流体及び膨張部分325,325’を提供するための様々な方法が使用される。一実施例では、シリンジ(図示せず)は、バルブ付きルアーロック又は他のカプラ335,335’を介して、それぞれの導管330,330’に接続される。他の適切なカプラ335,335’が、当業者に周知である。膨張可能部分325,325’の拡張量は、膨張可能部分の設計及び注入される流体の量で変化する。例えば、特定の実施例では、バルーンは、それぞれ最大5ml又は最大10mlの液体で別々に膨張することができる。もちろん、バルーンのサイズ及び所望の膨張の程度に応じて、異なる膨張量が使用されてもよい。
【0029】
流体導管330,330’は、物理的に別個の管とすることができ、導管の管が通過する太い管などの外側ケーシングによって、全体又は一部が囲まれる。導管330,330’は、単一の管の中に一体的に形成されたチャネルとして形成される。別個の導管の管と一体型導管との組み合わせで使用してもよい。一体型導管を有する外側ケーシング又は管などは、プローブ310と同じ幅又は異なる幅を有する。例えば、ケーシングは、ペッサリプローブよりも小さい直径を有してもよい。管内に一体的に形成された流体導管を有する特定の実施例を以下に説明する図10A図10Cに示す。
【0030】
プローブは、挿入端部315から遠位端部320までの長さLを有する。長さLは、プローブ310の膣腔への完全な挿入及び適切な配置を可能にするのに十分な長さである。一実施例では、プローブの一部分は、操作を可能にするために外部に留まる。医師や看護師などの第三者による挿入及び取り外し用に設計されたプローブは、自己挿入及び取り外し用に設計されたプローブよりも短くてもよい。例えば、長さLは、20cm~60cm、30cm~50cm、及び約40cm以上の長さである。特定の実施例では、ペッサリ300は、十分な長さLを有し、膣に完全に挿入されたときに、十分な長さのプローブが膣の外側に残るようにして、医師がプローブの位置を容易に操作できるようにする。例えば、適切な位置への挿入後、膣の外側のプローブ310の部分は、膣の内側の部分よりも長くてもよい。ペッサリ300は、端部320を切断して長さを調整し、その後、カプラ335,335’を、流体導管330,330’の切断端部と接続するように構成されてもよい。さらなる実施例では、ペッサリの長さLは、挿入後にペッサリプローブ310のごく一部のみが外部に残るように、あるいは、全く残らないように選択される。膨張導管の端部は外部に留まり、ペッサリを取り出すための把持手段を提供する。
【0031】
プローブは、相対的に狭い幅Wを有する。これにより、膣が最も狭い最高齢の女性でもペッサリプローブ310を容易に膣内に挿入することができる細いプローブ構成が提供される。このような細いプローブの構成は、介護施設に居住し、75%が重篤な膀胱/腸症状を有する脆弱な女性の膀胱及び腸の治療にプローブを使用する場合に特に有用である。特定の構成では、プローブ310は、1.5cm~1.6cmの幅を有する。他の幅であってもよい。例えば、幅Wは、1.3cm~1.7cm及び1cm~2cmでもよい。プローブは、さらに狭いか又は広い幅を有していてもよいが、相対的に広い幅は特定の患者にとって挿入がより困難な場合がある。
【0032】
プローブの断面形状は、円形、楕円形又は丸みを帯びた長方形を含む任意の適切な形状とすることができる。断面形状は、以下でさらに説明する補助「膨張式(blow up)」バルーンを備えた補助スリーブを収容するように選択され、そのようなスリーブの軸方向の回転を制限しながら、スリーブをプローブ上でスライドさせ、横方向に手動で配置されるようにする。断面形状はまた、女性が容易に自己挿入するためのペッサリプローブの配置方向を補助するように選択されてもよい。
【0033】
プローブの幅及び形状は、プローブ310の全長に沿って一定である必要はない。例えば、膣への挿入を意図した部分におけるプローブ310の幅は、外部に残すことを意図した部分よりも狭くてもよく、又はその逆であってもよい。別の実施例では、膣挿入部分は、外部の部分よりも広くてもよい。したがって、挿入端部は、前述した範囲のうちの1つの幅を有する。他方、遠位端部は、プローブのより容易な操作及び膨張シリンジの取り付けを可能にするためにより大きくなっている。同様に、断面形状は、スリーブの長さに沿った異なる位置において異なっていてもよい。例えば、挿入端部は、容易な挿入を提供するために円形断面を有してもよい。他方、遠位端部は、概して楕円形、長方形、三角形、又は台形などの別の形状を有する。プローブの内部配向は、遠位端部又は遠位端部付近での感触によって容易に決定される。
【0034】
40cm以上の長さを有するような長いペッサリの構成は、プローブを挿入したり取り外したり、必要に応じてそれぞれ体積が異なる流体で側方バルーンを充填又は空にするプロセスを容易にする。上述したように、プローブ310は、その長さに沿って可撓性である。可撓性の程度は、内部構造などに基づいて、プローブ310の長さに沿って変化してもよい。プローブ310の可撓性は、女性が容易にペッサリ300を自己挿入して膨張させることを可能にする。ペッサリの最小部分を超える部分が、1cm~2cm以上など、完全な挿入後に膣の外側に残る特定の実施例では、外部部分は十分に可撓性であるため、使用中に女性の下着の内部で全体的又は部分的に曲げられて保持される。上述したように、ペッサリプローブが完全に又は実質的に内部に挿入される構成では、膨張のために使用される一つ又は複数の流体導管などの部分の長さをさらに延ばしてもよい。導管は、ペッサリのこの部分を女性の下着内に留めるように曲げられ得る従来の可撓性管材から形成されてもよい。
【0035】
図3Cは、長手方向の軸302に沿って挿入端部315から見た図3Bの膨張したペッサリ300を示している。図3Cに示されるように、この実施例では、各膨張可能部分325,325’は、膨張したときにプローブ310から横方向外側に拡張する。長手方向の軸302を中心とし、長手方向の軸302に垂直な円形領域を考慮すると、第1の膨張可能部分325は、プローブ310の長手方向の軸302に対して第1の半径方向セクタ350内において膨張する。第2の膨張可能部分325’は、長手方向の軸302に対して第2の半径方向セクタ350’内において膨張する。各セクタの幅は、膨張可能部分325,325’の幾何学的形状及び最大膨張サイズで変化する。セクタの特定の角度配置及び幅は、膣壁に対して支持される靭帯の解剖学的位置を考慮して選択される。
【0036】
ペッサリ300の配置は、USLを支持するように配置されたペッサリ300を示す図4に基づいて説明される。ペッサリ300のプローブ310は、膨張可能領域325,325’が子宮頸部及び子宮106の背後の膣の後部にくるまで膣に挿入される。膨張可能領域325,325’が膨張すると、膨張可能領域は上述のように横方向に拡張し、膣壁を押圧し、それらの領域に拡張ポケットを形成する。これらのポケットは、バルーンによって維持されると靭帯を支持する。
【0037】
特定の構成では、バルーンが膨張して子宮仙骨靭帯(USL)128の下方に膣壁の拡張ポケットを位置付けるように、バルーンの側方位置が選択される。USLを支持することにより、ペッサリ300は、子宮脱の防止を補助するため使用される。
【0038】
また、図4には、USL128によって解剖学的に支持される神経叢(NP)410が片側に1つ示されている。NP410は、USLが子宮頸部の側方部分に入るときにUSLの挿入点から約2cmの所に位置する交感神経(T11~L2)及び仙骨副交感神経(s2~4)を表している。ペッサリ300の使用は、膨張可能部分325,325’をNP410の領域に配置する。NP410の下降は、神経を刺激し、次いで特定の神経線維の標的点(膣=外陰痛、膀胱=間質性膀胱炎、下腹部=慢性腹痛、仙骨領域=尾骨痛、尿道傍=「筋痙攣」など)について言及される慢性骨盤痛を生じさせる可能性がある。膨張したバルーンは、NP410を支持してNPの下降を防止又は低減し、前述の痛みなどの関連する骨盤痛を軽減する。
【0039】
プローブ310はまた、USLを機械的に強化し、膣を伸張する後方/下方方向の筋力のための堅固な固定点を提供して、膀胱基部及び直腸肛門伸張受容体のための基礎となる支持を提供する。膀胱基部及び直腸肛門伸張受容体が支持されていない場合、これは、膀胱/腸の「切迫性尿失禁」及び夜間の「夜間頻尿」として患者によって知覚される排尿反射及び排便反射の早期活性化をもたらし得る。さらに、同じ靭帯は、尿及び糞便の排出を容易にするために、尿道及び肛門直腸を伸張する筋肉を固定する。これは尿閉及び便秘として知覚される。
【0040】
上述したように、バルーンの異なる側方への拡張は、異なる構造の目標とする支持を提供するため使用される。図3D図3Hに示すように、異なる構造を支持する際に使用する側方の配置を12時間時計の文字盤に基づいて以下に説明する。文字盤の中心には長手方向の軸302が位置しており、12時の点が背方向に向けられ、時計の文字盤は半径方向に向いている。設計上の最大膨張状態に応じてセクタが画定されるが、完全に膨張していない膨張可能部分は、その拡張セクタを満たす必要はない。したがって、9時半~11時半の拡張セクタを有する膨張可能部分は、所望の量まで膨張すると、10時~11時セクタを満たす。膨張可能部分325,325’はまた、靭帯支持の組み合わせを提供するようにサイズ設定及び位置決めされてもよい。
【0041】
図3Dは、バルーン325,325’を示す。バルーン325,325’は、(ペッサリが挿入され、適切に配置されたときに)それぞれ9時半~11時半及び12時半~2時半に位置する拡張セクタにおいて前膣壁に対して拡張するように位置付けられ、尿道の各側への支持バルーンで尿道の中央における恥骨尿道靭帯を支持する。図3Eは、挙筋の挿入点及び骨盤筋膜腱弓を支持するため、後方に延びる9時~11時及び1時~3時の拡張セクタにおいて、恥骨の背後の前膣壁に対して拡張するように位置付けられたバルーンを示す。図3Fは、深会陰横靭帯を支持するため、7時~10時及び2時~5時の拡張セクタにおいて、膣入口から約1~3cmの後膣壁に対して拡張するように位置付けられたバルーンを示す。図3Gは、(例えば、高位膀胱瘤又は横断欠陥を治療するために)基靭帯を支持するため、8時~10時及び2時~4時の拡張セクタにおいて、子宮頸部前面の領域で前膣壁に対して拡張するように位置付けられたバルーンを示す。図3Hは、子宮仙骨靭帯上の挿入点を支持するため、9時半~12時及び12時~2時半の拡張セクタにおいて、子宮頸部の背後で前膣壁に対して後方に拡張するように位置付けられたバルーンを示す。
【0042】
上記の実施例では、拡張セクタは、セクタを充填するバルーンが完全に膨張したときに接触しないように互いに離間している。さらなる実施例では、拡張セクタが隣接し、膨張したバルーンが接触するようにバルーン325,325’が位置付けられる。この実施例は、例えば、1つのセクタから次のセクタに連続的な支持を提供する組み合わされたポケットを膣壁に形成するために有用であり、バルーンを別々に膨張させることで、組み合わされたセクタの各側に提供される支持の程度の調整が可能となる(図3Hを参照されたい)。一般に、セクタは隣接するか、あるいは、離間するが、重なり合わない。しかし、代替的な実施例では、膨張可能部分325,325’は、いくらかの最小の重なりがあるように形成され配置されてもよい。拡張セクタ350,350’の互いに対する相対位置は、各セクタの中心線間の角度によって特定される。例えば、セクタは、セクタの中心線が90度~180度離れるか、又は、セクタが少なくとも互いにほぼ反対側に位置するように120度~180度離れるか、あるいは、セクタが実質的に互いに反対に位置するように略180度離れるように位置付けられる。各セクタの位置はまた、プローブの矢状面からの+/-の回転角に対してなど、他の基準での定義も可能であると理解されたい。
【0043】
要するに、セクタのそれぞれの間の角度及び各セクタの角度幅の両方は、支持が不要なペッサリの周りの他の領域で膣壁に対する圧力を制限しながら、所望の靭帯支持を提供するようにバルーンを位置付けるように定義される。
【0044】
膣内での膨張可能部分325,325’の適切な配置を可能にするために、プローブの挿入端部315から膨張可能部分までの距離D1は、膣の後部から子宮の背後の膨張可能部分325,325’の所望の配置位置までの予想される距離となるように選択される。プローブ310を完全に挿入することにより、膨張可能部分325,325’は正しい位置に配置される。代替例として、距離D1は、膨張可能部分325,325’の所望の位置及び膣の後方から予想される距離よりも短くてもよい。プローブ310は、1cm間隔など、距離間隔を示す表示を有していてもよい。この表示(印)は、プローブが正確な量だけ挿入された場合を測定するため、及び、所望に応じて、子宮の背後及びUSL128の側面などに、膨張可能部分325,325’を配置するための配向を測定することを補助するために使用される。適切な挿入距離は、医療検査中に決定され、その後の自己挿入中に参照のために患者に伝えられる。他の技術も可能である。例えば、医師は、所与のペッサリ300を患者に適合させ、次いで、プローブ310に表示を追加して、挿入される適切な長さを示してもよい。さらに、図8A図8D及び図9に関して以下でさらに説明するように、ペッサリシステムが提供され、当該ペッサリシステムでは、ペッサリプローブが完全に挿入されたときに、膨張可能部分がUSL又は他の支持の提供のため特定の患者にとって適切な位置に配置されるように、挿入端部から側方膨張可能部分までの距離が構成され得る。
【0045】
有利には、本明細書に開示されるペッサリ300は、断続的に使用されることができ、容易に自己挿入される。例えば、女性は、日中に使用するためにペッサリ300を自己挿入して膨張させ、その後、夜間に容易に収縮させて取り外すことができる。これにより、膣組織を休めて血行再建を可能とし、潰瘍形成の傾向を有意に低下させる。ペッサリ300は、社会的行事のため外出するときに使用され、患者が自宅にいるときには取り外される。夜間頻尿に使用される場合、ペッサリ300は、性交のために取り外されてもよく、その後再挿入して、夜を通して夜間頻尿を制御してもよい。軽度から非常に重度まで周期的に変化する慢性骨盤痛などの症状を制御するために使用される場合、時には数日の間隔で、痛みが周期的に重度である場合にのみ、ペッサリ300が挿入されてもよい。尿の通過を補助するために挿入し、その後取り外されてもよい。
【0046】
図10Aは、上述のペッサリ300の特定の実施例1000である。ペッサリ1000は、第1の膨張可能部分1025及び第2の膨張可能部分1025’を有するプローブ本体1010を有する。膨張可能部分1025,1025’は、管1031を通過してプローブ本体1010内に入るそれぞれの導管1030,1030’によって供給される。プローブ本体1010の一方の側面の窪み1090又は他の触覚要素は、プローブを保持する人にプローブの向きを容易に決定させる。要素1090はまた、挿入及び取り外し中にプローブ本体1010をより確実に把持できるように構成されてもよい。導管1030,1030’は、バルブ付きルアーロック1035,1035’において終端する。1つの導管は、他の導管よりも長く延在し、及び/又は特定の角度で突出して、どの導管がどの膨張可能部分を供給しているかの明確な表示を提供する。
【0047】
図10Bは、プローブ本体1010の線B-Bに沿った断面図である。この実施例におけるプローブ1010は、厚さW1及び幅W2を有する平坦な形状を有し、幅W2は、W1よりも大きく、例えば1.5~2.5倍大きい。導管1030,1030’は、別個の導管の管の周りにプローブ本体1010を成形するプロセス又は押出プロセスなどによって、プローブ本体1010の少なくとも一部分内に一体的に形成される。プローブ本体1010の中央領域1040は、空隙を形成するため中空であってよい。このような空隙を有することにより、所与の製造材料に対するプローブの可撓性を高めることができ、且つ、重量を低減させることができる。
【0048】
図10Cは、管1031の線C-Cに沿った断面図である。同様に、図10Cを参照すると、導管1030,1030’は、管1031の少なくとも一部分内に一体的に形成される。管1031の中央領域1045は中空である。
【0049】
一実施例では、プローブ本体内の中空空隙1040は、内部空気又は他の流体が内部に閉じ込められるように閉鎖される。同様に、中空空隙1045は、閉じていても開いていてもよく、空隙1040に接続されていてもよく、あるいは、空隙1040から分離されてもよい。変形例では、ペッサリ1000は、空気又は他の流体が補助バルブ(図示せず)などを介して空隙1040に選択的に導入され得るように構成されてもよい。空隙1040内の空気の圧力を調整することにより、プローブ本体1010の剛性を増減させる。例示的な実施例では、プローブ本体1010は、約5mmの厚さW1及び約10mmの幅W2を有する。
【0050】
図10Aは、部分的に膨張状態の膨張可能部分1025,1025’を示し、点線で最大膨張状態を示す。膨張可能部分は、21mm~30mmである、プローブ軸に垂直な膨張直径ID1まで、及び、21mm~30mmである、プローブ軸に平行な軸に沿って測定された直径ID2まで膨張するように構成される。プローブ本体は、1つ又は複数の長さで提供されてもよい。例えば、プローブ本体1010の前部1015は、85mmなどの80mm~90mmの長さL1、あるいは、93mm又は95mmなどの90mm~100mmの長さを有していてもよい。プローブ本体の後部1016は、長さL2を有して先細になっている。例示的な実施例では、L2は5mm~10mmであり、例えば7mmである。管1031の外径は、3~5mmであり、例えば、4mm又は4.2mmである。導管1030,1030’はそれぞれ、0.5mm~1.0mm、例えば、0.8mmの直径を有する。
【0051】
図5Aは、筋電図(EMG)評価及び筋肉刺激に使用するために構成されたペッサリ500のさらなる実施例を示す。ペッサリ500は、上記の図3A図3Cに示すペッサリ300と同様であり、挿入端部515及び側方に位置付けられた膨張可能部分525,525’を有するプローブ部分510を備える。この実施例では、膨張可能部分525,525’の一方又は両方は、電極560,560’などの電極を含むことができる。電極560,560’は、周囲の組織に電気刺激を加えるための電気センサ及び/又は部位として使用される。線565,565’は、電極560,560’を、EMG感知信号ディスプレイ及び/又は分析システム、筋肉刺激装置、又は必要に応じて他の回路などの適切な回路562と電気的に接続する。各膨張可能部分525,525’には1つの電極560,560’のみが示されているが、2つ以上の電極が存在してもよい。例えば、各膨張可能部分525,525’は、周囲の筋肉組織における電気的活動のEMG感知用の電極と、周囲の筋肉組織を刺激するための電極との、2つの電極を有してもよい。圧力センサなどの他の機器もまた、膨張可能部分525,525’に取り付けられる。EMG評価及び刺激に使用されるペッサリ500のそのような膨張可能部分525,525’は、上述したように、ペッサリ300の同様の膨張可能部分325,325’よりも堅牢である。
【0052】
使用中、EMG電極を担持する膨張可能部分525,525’は、例えば空気で膨張され、横方向に拡張される。ペッサリが適切に位置付けられた状態で、この拡張により、EMG電極は、両側で恥骨尾骨筋などの骨盤筋の真上に来る。電気的記録又は刺激が生じている間、拡張されたバルーンは筋肉上に確実に位置する。図5Bは、挿入されて、膨張可能部分525,525’が拡張された状態の図5Aのペッサリ500を示す。これらは、(膣外側壁576を越えて位置する)弾性膣壁575を横方向に拡張して、EMG電極560,560’を恥骨尾骨筋580,580’に隣接して位置付ける。
【0053】
電極560,560’は、製造中に膨張可能部分525,525’と一体的に形成されてもよい。代替例として、電極560,560’は、製造中又は使用時のいずれかに、膨張可能部分525,525’に別々に取り付けられてもよい。電極560,560’に接続された線565,565’は、プローブ510内に、又はその外部に沿って経路が定められる。
【0054】
ペッサリ500に電極又は他のセンサ機器を取り付けるための様々な方法がある。一実施例では、構成要素は接着剤を使用して取り付けられる。代替例では、図5Cを参照すると、電極は、弾性スリーブ570上に形成される。弾性スリーブ570は、プローブ510上で摺動し、プローブに沿って配置され、膨張可能部分525,525’に隣接してスリーブ上に電極を位置付けるように、構成される。スリーブ570は、開放端部シリンダとして図5Cに示されている。代替で、一方の端部を完全に又は部分的に閉鎖して、プローブの挿入端部がシリンダの閉鎖端部に到達するまで、スリーブ570は、プローブ510上で下方にのみ摺動する。スリーブ570の寸法及び電極の配置は、スリーブがプローブ510に完全に取り付けられるときに、スリーブが電極を既知の所望の位置に配置するように選択される。開口スリーブ570の使用は、プローブ510の長さに沿った様々な位置で、スリーブ570上に電極、センサ、又は他の機器を配置することを可能にする。プローブ510の挿入端部から何センチメートルかを示すなどの表示がプローブ上に設けられ、これにより、プローブ510上の特定の位置にスリーブ570を配置して、ペッサリ500の使用中に電極が所望の位置に配置される。
【0055】
別々に膨張可能なバルーン525,525’が示されているが、代替の実施例では、バルーン525,525’は共通の流体導管に接続され、同時に膨張する。
【0056】
さらなる実施例によれば、図6Aを参照すると、膨張可能部分325,325’の膨張は、プローブを膣腔内に堅固に固定する。これにより、プローブ310は、追加の支持バルーン用のプラットフォームとして使用される。1つ又は複数の補助スリーブ625が、プローブ310上の所望の位置に配置される。各スリーブ625は、それぞれの流体導管630を介して膨張可能な膨張式バルーン628を備える。典型的な実施例では、補助スリーブバルーン628は、「ドーナツ」形状をなすように対称的に膨張するが、他の構成も可能である。補助スリーブバルーン628は、単一のチャンバであってもよく、あるいは、一部分のみが膨張するように分岐されるか又は他の方法で構成されてもよい。
【0057】
スリーブ625は、例えば上下に摺動することによって、プローブ310に沿って手動で位置付けられるように構成されているが、使用のためにペッサリが挿入されるときにプローブ上の設定位置に留まるように十分にきつくなっている。バルーン628の膨張は、スリーブ625をプローブ310上の所定の位置にさらにロックする。
【0058】
所与の補助スリーブ625は、距離表示640を参照するなどしてプローブ310上の特定の位置にスリーブを位置付けることによって、膣腔内に正確に配置される。スリーブ625は、補助バルーン628を導入するためプローブ310に沿って配置されて、さらなる損傷又は弛緩した骨盤靭帯を機械的に支持し、特定の状態を治療する。例えば、PUL、ATFP、CL、USL、及びPB靭帯に支持が提供される。図2に関して上述したように、これらの靭帯の脆弱性は、膀胱(膀胱瘤)、腸(直腸瘤、会陰下降症候群)、及び子宮脱/根尖脱、並びに、膀胱/腸/慢性骨盤痛症状などの臓器脱出の重要な原因であると考えられる。
【0059】
例として、図6Bを参照すると、補助バルーンスリーブ625は、プローブ310上に位置付けられ、補助バルーン628が子宮頸部105の直前の膣腔内に正確に配置され、一方、プローブ610の残りの部分が子宮106の下を通過して膣の後円蓋に留まるようにする。膨張可能部分325,325’は、上述のように、USLを支持する。補助バルーン628は、拡張されると、前子宮頸部環(anterior cervical ring)に挿入するときに、基靭帯132に機械的支持を提供する。このような補助バルーンは、「高位膀胱瘤」(横断欠陥)の支持に使用される。一実施例では、補助バルーン628は、子宮頸部を取り囲まないように構成される。補助バルーン625が基靭帯を支持するために使用される図6Bを参照する実施例では、バルーンは、ドーナツ状の形状を有することができ、子宮頸部を囲んで子宮頸部の前唇に押し付けられ得るように十分に大きくすることができる。スリーブ625は、少なくとも1つの中実部分626を有する。中実部分626は、膨張せず、補助バルーン628が上方に相当量膨張するのを防止するように機能するが、代わりに、偏移した子宮頸部靭帯の両端部を支持するために主に横方向に膨張する。一実施例では、2つの中実部分626が使用され、軸方向に見たときに膨張したバルーン628がほぼ数字の8のような形状になるように、プローブの両側に位置付けられる。
【0060】
同様に、補助スリーブ625又は追加のスリーブは、プローブのさらに下方に配置されて、(SUIの場合)恥骨尿道靭帯を前方に支持し、直腸瘤及び会陰体を後方に支持する。バルーン628は、2つに分岐されることができ、これにより、一方の部分は、靭帯構造を支持するために片側を上昇させる。この形式は、排尿のための尿道又は排便のための腸をブロックしないという利点を有する。図6Cは、図6Bの2つに分岐されたバルーン628を有し、2つの深いPB靭帯130を支持するように位置付けられる補助バルーンスリーブ625を示す図である。
【0061】
本明細書に開示されるような膨張式側方バルーンを備えたペッサリを構成する様々な方法がある。ペッサリ700の特定の実施例が、非膨張状態及び膨張状態でそれぞれ図7A及び図7Bに示されている。この構成では、ルーメン(流体導管)730,730’などの一対の流体導管が外側スリーブ710内に収容される。各流体導管730,730’は、その上に形成されたそれぞれの膨張式バルーン部分725,725’を有する。流体導管730,730’は、弾性材料で形成されることができ、膨張可能部分725,725’は、それぞれの導管壁の弱化領域又は薄化領域として形成される。代替例として、膨張可能部分725,725’は、それぞれの流体導管に取り付けられ、且つ、それぞれの流体導管と流体連通する、膨張可能なドーナツの形態をなしていてもよい。特定の実施例では、各流体導管730,730’及びその上のそれぞれの膨張可能部分725,725’は、従来のバルーンカテーテルと同様の方法で形成されるが、ガイドワイヤは必要とされない。
【0062】
外側スリーブ710は、膨張可能部分725,725’とそれぞれ位置合わせされた開口部712,712’を有する。膨張中、バルーン部分725,725’は、それぞれの開口部712,712’を通って横方向外側に拡張する。ペッサリの外側で膨張した場合、単一の導管730,730’のバルーン部分725,725’は、ドーナツ又はボール形状に拡張する傾向があるが、ペッサリ700の各バルーン部分725,725’の拡張は、他のバルーン部分及び/又は流体導管からの圧力、並びに、外側スリーブ710によって制約される。
【0063】
別々に膨張させる必要のない代替的な実施例では、膨張に使用される管の周りでトーラス形状に自然に膨張するなど、単一のバルーンが設けられる。外側スリーブの開口部は、所望の軸方向位置での指向性膨張を可能にする一方で、他の領域での膨張は抑制される。このような実施例は、図7C及び図7Dに示されている。ペッサリ750は、流体導管760を介して膨張可能なバルーン部分755を有する。開口部712,712’を有する外側スリーブ710は、開口部をバルーン755と位置合わせをすることで、バルーン755が横方向に拡張することができるプローブ750の領域を画定するように、位置付けられる。
【0064】
図8Aは、さらなる実施例800を示し、挿入端部に対する横方向膨張可能部分の位置は、所与の患者に合わせたカスタムフィッティングを可能にするために、2つ以上の所定の位置から選択される。この構成では、各流体導管830,830’は、プローブ810の長さに沿って複数の膨張可能部分を供給するためのマニフォルドとして動作する。例えば、導管830は、挿入端部815から距離D1及びD2に位置する膨張可能部分825a及び825bを提供する。同様に、導管830’は、膨張可能部分825a’及び825b’を提供する。外側スリーブ835は、プローブの長手方向の軸に沿って位置付けられ、一方の対の膨張可能部分825a,825a’又は825b,825b’を覆うと同時に、他方の対は覆われないままにする。膨張動作中、覆われていない方の対の膨張可能部分は膨張し、一方、スリーブ835は覆われている方の対の膨張を抑制する。プローブ上で複数のスリーブを使用することで、プローブに追加の膨張可能部分があれば、その部分の膨張を選択的にブロックする。
【0065】
図8Bは、図8Aの実施例の変形例であり、外側スリーブ840は、プローブ810上を滑るように構成され、開口部845,845’などの1つ又は複数の開口部を有する。スリーブ840は、プローブ810上に位置付けられ、各開口部845,845’は、膨張可能部分825a,825a’などの選択された膨張可能部分を露出させると同時に、他の膨張可能部分は、スリーブによって覆われるようする。流体が導管830,830’に導入されると、開口部845,845’によって露出された膨張可能部分825a、825a’は、外側スリーブ840を越えて横方向に膨張及び拡張し、一方、他の膨張可能部分825b,825b’は、外側スリーブ840によって制限され、スリーブ840内に閉じ込められる。ペッサリ800の全体的な幾何学的形状に応じて、単一の外側スリーブ840は、膨張可能部分の一方の対825a,825a’又は他方の対825b、825b’を露出させるように、プローブ810に沿って位置付けられてもよい。代替例として、ペッサリ800には、選択された一対の膨張可能部分と位置合わせするように位置付けられた開口部をそれぞれ有する複数の外側スリーブ840が設けられてもよい。スリーブ840及びその上の開口部の配置はまた、スリーブの向きを反転させて、スリーブがプローブ上の同じ位置にある状態で、スリーブの第1の端部がプローブの挿入端部に最も近いか、あるいは、プローブの遠位端部に最も近いかによって、露出された膨張可能部分を判定するように、構成されてもよい。
【0066】
図8Cは、図8Bの変形例であり、膨張可能部分825a,825a’,825b,825b’は、それぞれの流体導管830,830’の長さに沿って形成されている。図8Bと同様に、プローブ850は、横方向の拡張を可能にするそれぞれの膨張可能部分を露出させる開口部850a,850a’,850b,850b’を有する。外側スリーブ840は、プローブ850の長さに沿って位置付けられ、外側スリーブ840に、所望の位置に位置付けられた膨張可能部分に隣接して、開口部845,845’を配置する。流体が導管830などの所与の流体導管に導入されると、その長さに沿った膨張可能部分のすべてが膨張を受ける。しかし、外側スリーブ840のそれぞれの開口部に隣接する膨張可能部分のみが、プローブから横方向外側に拡張することができ、一方で、他方の膨張可能部分の膨張は、外側スリーブによって制限される。
【0067】
この実施例のさらなる変形例が図8Dに示される。この構成では、流体導管830,830’の長さに沿って複数の別個の膨張可能部分を有するのではなく、流体導管は、代わりに、細長い膨張可能部分860,860’などの細長い膨張可能部分を有する。挿入端部に対する側方膨張の位置は、外部スリーブ840及びその中の開口部845,845’の位置によって決定される。
【0068】
さらなる代替例としては、図9を参照すると、ペッサリ900は、それぞれの流体導管930,930’を通して膨張可能な膨張可能部分925,925’を有する主プローブ本体910を有する。膨張可能部分は、プローブ本体910と一体であってもよく、あるいは、内部ルーメン若しくは他の導管上に形成され、プローブ本体910の開口部に隣接して位置付けられてもよい。ペッサリ900が完全に挿入されたときの所望の位置におけるペッサリ900の挿入端部と膨張可能部分925,925’との間の所望の距離の選択を可能にするために、エンドキャップ915a,915bなどの異なるサイズのエンドキャップが設けられる。例えば、エンドキャップ915aの使用は、膨張可能部分925,925’を挿入端部から距離D1に位置付け、エンドキャップ915bの使用は、膨張可能部分925,925’を挿入端部から距離D2に位置付ける。
【0069】
エンドキャップ915a,915bは、様々な機構によってプローブ本体910に取り付けられる。例えば、エンドキャップは、ある程度弾性があり、プローブ本体910への摩擦嵌合を使用して取り付けられる。取り外しを防止するため、プローブ本体910の開口部に係合するように構成された戻り止め935又はプローブ本体の他の構造などの機械的保持構造が使用されてもよい。当業者に公知の様々な他の保持機構が使用される。さらなる変形例では、ペッサリシステムは、プローブ本体に沿った単一のエンドキャップの取り付け位置を選択可能とすることで、挿入端部と膨張可能部分925,925’との間の距離の調整が可能となるように構成される。例えば、エンドキャップ及びプローブ本体は、エンドキャップが2つ以上の異なる位置にスナップ嵌合するように構成されてもよい。調整可能な取り付け位置を可能にする当業者に知られている他の機構を使用してもよい。
【0070】
他の実施例で説明したように、バルーンを別々に横方向に膨張させる必要がない場合、図8A図8D及び図9の二重バルーン/膨張導管構造は、単一のバルーン及び膨張導管と置き換えられる。さらなる実施例によれば、脱出及び会陰下降症候群、子宮脱/根尖脱、膀胱/腸/慢性骨盤痛症状、及び他の状態を治療する骨盤底靭帯支持を提供するための様々な方法が提供される。
【0071】
一治療では、図3Aのペッサリ300などのペッサリが提供され、医師又はユーザなどによって膣に挿入されて、ペッサリの膨張可能部分を子宮頸部の背後に配置する。これは、ペッサリをその最大範囲で挿入すること、又はペッサリを全量より少ない量で挿入することを伴う。全量より少ない量で挿入された場合、フィッティング中に挿入量測定値を最初に記録し、その後、同じ量を患者が自己挿入できるようにする。(完全な挿入が望まれる場合でも、挿入測定距離を記録して、患者に伝えることもできる。)
【0072】
次いで、バルーンは、各バルーンをそれぞれのUSLの下に位置するのに十分な量だけ、別々に膨張する。適切な膨張量は、例えば、バルーンが膨張するときの痛みの軽減又は切迫感の低下の程度に基づいて、治療医によって決定される。代替例として、著しい脱出がある場合、適切な膨張量は、膨張と、バルーンが速く保持されているか否かの試験とによって決定され、嵌合が確実である場合、各側面に必要な流体の量が記録される。必要な膨張量は、バルーンが膨張するときの痛みの軽減又は切迫感の低下の程度に基づいて、患者によって決定されてもよい。
【0073】
膨張体積の測定値も記録され、患者に伝達、もしくは、患者により記録されるので、患者がその後に自己挿入治療法を実行し、各バルーンを適切な体積だけ膨張させることができる。例えば、流体は、導入された流体体積の測定値の表示を有するシリンジ又は他の機構によって導入されることができる。表示は、医師が導入して患者が使用する流体体積を測定するために使用され、それぞれの膨張可能部分325,325’を膨張させるために使用される流体体積を選択する。
【0074】
単一のシリンジは、所定の流体体積を一方の導管330に、次いで他方の導管330’に導入して、膨張可能部分325,325’を順に膨張するため、連続して使用される。代替例として、2つのシリンジは、それぞれの導管330、335’に接続されて、同時に膨張させてもよい。体積による初期流体注入の代わりに、所定の圧力に達するまで空気を注入してもよく、その時点で注入された空気の体積は、その後の使用のために記録されてもよい。2つのシリンジは、一緒に連結されてもよく、又は互いに物理的に分離されてもよい。連結された構成では、シリンジプランジャは別々に押し下げられる、あるいは、シリンジプランジャは互いに接続されて、同時に押し下げられるようにする。
【0075】
さらなる構成では、調整可能な一定体積のシリンジを設けることで、各プランジャが全量押し下げられたときに注入される流体の総体積が所望の体積に設定されるようにする。シリンジは、初期のペッサリフィッティングセッション中に、適切な流体注入体積を設定するように、医師により構成される。総注入体積は、例えば、シリンジに挿入されるプランジャステムの長さを調整することによって構成される。例えば、プランジャの先端部は、ねじ付き又は摺動可能なロッドによってステムに取り付けられる。一定体積のシリンジに適した調整機構は、当業者に知られている。
【0076】
図11に示される特定の実施例では、一対の調整可能な一定体積のシリンジ1102,1102’が設けられ、各シリンジは、それぞれのプランジャ先端部1106,1106’と調整可能な長さのステム1108,1008’とを有するプランジャ1104,1104’を有する。2つのシリンジ1102,1102’は、互いに物理的に接続され、各シリンジを膨張導管それぞれと流体接続させる注入カプラ1120にプランジャの端部1110,1110’の両方が接続されることができるように構成される。導管カプラ及びシリンジは、シリンジの体積が設定されるペッサリバルーン用のカプラ1120の注入ポートにのみ各シリンジが嵌合されるように構成される。
【0077】
ペッサリが図8A及び図8Bのように構成される場合、治療方法には、プローブの挿入端部から特定の距離にある1つ又は複数の膨張可能な開口部を、プローブに沿った異なる様々な位置の複数の開口部の中から選択するステップがさらに含まれ、このステップは、開口部845,845’を有する外側スリーブ840をプローブ810上に配置し、スリーブが他のそのような部分の膨張を制限しながら開口部が選択された膨張可能部分を露出するようにスリーブを位置付けることによってなされる。本方法には、それぞれが異なる位置に開口部を有する複数の外側スリーブでペッサリを受け入れ、且つ、複数のスリーブから特定のスリーブを選択するステップが含まれる。本方法には、ペッサリ及び外側スリーブを受け、スリーブ上の選択された位置でスリーブに開口部を形成し、次いでスリーブをペッサリ上に配置して、開口部が選択された膨張可能部分を露出させるようにするステップが含まれる。
【0078】
ペッサリが図8A及び図8Bのように構成されている場合、治療方法は、開口部845、845’を内部に有する外側スリーブ840を選択し、スリーブをプローブ上に位置付けて、開口部が挿入端部から特定の距離に位置付けられるようにし、膨張したときに膨張可能部分が横方向に拡張する位置の軸方向位置を調整するようにするステップをさらに含む。
【0079】
ペッサリが図9のように構成される場合、治療方法は、選択されたエンドキャップをペッサリプローブ本体910上に配置することによって、膨張可能部分とプローブの挿入端部との間の距離を調整するステップをさらに含む。本方法には、複数の異なるサイズのエンドキャップを有するペッサリを受け取り、複数の異なるサイズのエンドキャップから特定のエンドキャップを選択するステップが含まれる。
【0080】
さらなる治療方法では、医師などによって補助バルーンスリーブがペッサリに嵌合される。スリーブは、ペッサリ上に位置付けられ、ペッサリが指定量(例えば、完全に、又は、上述のように定義された長さ)挿入されると、スリーブのバルーンは、補助靭帯支持を提供するように位置付けられる。
【0081】
スリーブを位置決めするための特定の方法では、スリーブは、ペッサリプローブ310に緩く嵌合するように構成される。膣でのプローブの頂部の堅固な固定は、プローブ上の2つの後方バルーンを膨張させることによって得られる。次に、スリーブは、プローブ310に沿って、損傷した靭帯を支持するのに必要な正確な位置までスライドされる。代替例として、スリーブがより緊密にペッサリに嵌合する場合、スリーブは、挿入前にペッサリ上に事前に配置されてもよい。次いで、スリーブ上のバルーンが膨張する。ペッサリプローブ上の固定マーカーから補助バルーンまでの距離は記録される。必要な流体の量も記録される。
【0082】
特定の治療方法では、位置決めは、補助バルーンを有するスリーブが子宮頸部132の直前の膣腔内に位置付けられるように決定される。ペッサリが挿入された後、一次バルーンが独立して膨張してUSLを支持し、補助バルーンが膨張してCLを補助的に支持する。ペッサリの使用がもはや望まれないとき、バルーンは収縮され、ペッサリは膣から取り出される。
【0083】
治療方法の変形例では、補助バルーンがプローブ上に位置付けられて、図2に詳述されているような様々な状態の治療のために、後方、中間、又は前方の靭帯のための機械的支持を提供する。したがって、様々な例では、(i)直腸瘤、子宮脱/根尖脱、排泄異常、頻尿及び尿意切迫感、夜間頻尿、便失禁、排便障害、又は骨盤痛の治療方法において、補助バルーンは、背部靭帯(USL及びPBなど)を支持するように位置付けられ、(ii)膀胱瘤、排出異常、頻尿及び尿意切迫感、並びにつなぎ膣の治療方法において、補助バルーンは、中間靭帯(ATFP及びCLなど)を支持するように位置付けられ、(iii)腹圧性尿失禁、頻尿及び尿意切迫感、並びに糞便失禁の治療方法において、補助バルーンは、前方靭帯(PULなど)を支持し、且つ、腸瘤及び会陰下降症候群を後方で指示するように位置付けられる。治療方法の変形例では、2つ以上の補助バルーンが、複数の異なる靭帯を支持するために使用される。
【0084】
さらなる実施例によれば、筋電図(EMG)評価及び/又は筋肉刺激を実行する方法には、図5Aのようなペッサリ500などのペッサリを(例えば、医師によって)膣に挿入して、ペッサリの膨張可能部分を子宮頸部の背後に配置することが含まれる。これは、ペッサリをその最大範囲で挿入すること、あるいは、ペッサリを全量より少ない量で挿入することを伴う。これらのバルーンは、ペッサリを所定の位置に保持するのに十分な量だけ別々に膨張する。ペッサリに取り付けられたセンサは、内部電気信号を検出し、内部電気信号は、信号を記録して、これらの信号をグラフ、音、又は数値に変換することができるEMG感知システムへ、ワイヤによって搬送される。出力値は、専門家によって、あるいは他の処置を実行する間に使用するために解釈される。
【0085】
EMGセンサは、ペッサリの膨張可能部分525,525’に取り付けられ、これらの部分の膨張のステップは、膣の両側の骨盤筋の真上などの所望の位置にEMG電極を位置付けるために実行される。本方法には、ペッサリを受け取り、次いで、処置の前に、接着剤によってあるいは摺動スリーブ560を介してなどにより、ペッサリをEMGセンサに取り付けるステップが含まれる。他のステップには、膨張可能部分525,525’に関連するEMBセンサに加えて、又はその代わりとして、ペッサリの他の場所に1つ又は複数のEMGセンサを位置付けることが含まれる。そのようなセンサは、プローブの本体又はプローブに嵌合されたスリーブ上に配置され、例えば図6Aに関して説明したように、補助バルーンスリーブを備えるか、あるいは、それに取り付けられる。
【0086】
さらなる方法では、EMGセンサに加えて、又はEMGセンサの代替として、筋肉刺激電極が、EMGセンサについて上述したものと同様の方法で、ペッサリに取り付けられる。ペッサリが挿入され、ペッサリを所定の位置に固定するために膨張し、電極が膨張可能部分にある場合、電極の位置は必要に応じて調整される。次いで、電気信号が電極に印加されて、電極に隣接する筋肉を刺激する。特定の方法では、筋肉刺激電極は、膨張可能部分525,525’に取り付けられるか、あるいは、その上に設けられ、膨張は、電極を両側の骨盤筋、例えば、恥骨尾骨筋の上に配置するために使用され、次いで、これらの筋肉を刺激するために電気信号が印加される。他のステップには、膨張可能部分525,525’に関連する筋肉刺激電極に加えて、又は代替的な筋肉刺激電極として、ペッサリの他の場所に筋肉刺激のための1つ又は複数の電極を位置付けることが含まれる。そのようなセンサは、プローブの本体又はプローブに嵌合されたスリーブ上に配置され、例えば図6Aに関して説明したように、補助バルーンスリーブを備えるか、あるいは、それに取り付けられる。
【0087】
本方法には、EMG感知と筋肉刺激の両方が含まれ、これらの活動は、順番に、あるいは、同時に実行されてよく、同じ又は異なる電極を使用してもよいことが理解される。
【0088】
使用のための様々な態様、実施例、及びペッサリの例並びに方法が本明細書に開示され、記載されている。添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって、修正、追加、及び変更が行なわれ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図11
【国際調査報告】