(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】低床バスで使用するための逆ポータルアクスル
(51)【国際特許分類】
B60K 17/356 20060101AFI20240326BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240326BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20240326BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20240326BHJP
B60B 35/12 20060101ALI20240326BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60K17/356 B
H02K7/14 C
B60K7/00
B60K1/02
B60B35/12
B60K17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561004
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2022058225
(87)【国際公開番号】W WO2022207617
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374079
【氏名又は名称】ファン・ローケレン・カンパーニュ,ピーテル・テオドール
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ローケレン・カンパーニュ,ピーテル・テオドール
【テーマコード(参考)】
3D042
3D043
3D235
5H607
【Fターム(参考)】
3D042AA05
3D042AA06
3D042AB01
3D042BE01
3D043AA05
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3D235GB36
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
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5H607CC05
5H607DD02
5H607EE07
5H607FF12
(57)【要約】
本発明は、アクスルブリッジ構造体(4)によって接続された2つのハブキャリア(2a、2b)を備える低床バスで使用するための逆ポータルアクスル(1)に関する。各ハブキャリア(2a、2b)は、直接駆動電動モータ(6)のステータを備え、シングルタイヤ(10)のリム(9)を支持するためのフランジ(8)を備える回転アセンブリ(7)を担持する。ハブキャリア(2a、2b)は、リム内に横方向に配置された第1の部分(12)と、リムに隣接して横方向に配置された第2の部分(13a、13b)と、を備える。回転アセンブリ(7)は、リムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置されたホイールハブシャフト(15)と、リムとタイヤとの組合せの隣に横方向に配置された第2の部分(14)と、を備える。ハブキャリアの第2の部分(13a、13b)はステータ(19)を備え、回転アセンブリの第2の部分は電動モータ(6)のロータ(17)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受中心軸線(3a、3b)を有する2つのハブキャリア(2a、2b、49)を備える低床バスで使用するための逆ポータルアクスル(1)であって、軸受中心軸線(3a、3b)は共通軸上に配置され、2つのハブキャリア(2a、2b)は、共通軸線から半径方向に離間したアクスルブリッジ構造体(4)によって接続され、それによってアクスルが低床バスで使用されるときに低床用の空間を形成し、各ハブキャリア(2a、2b)は、直接駆動電動モータ(6)のステータ(19)を備え、シングルタイヤ(10)用のリム(9)を支持するためのフランジ(8)を備える回転アセンブリ(7)を担持し、
ハブキャリア(2a、2b)は、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置される第1の部分(12)と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分(13a、13b)と、を備え、
一方のハブキャリア(2a)の第2の部分(13a)は、アクスルブリッジ構造体によって他方のハブキャリア(2b)の第2の部分(13b)に接続され、
回転アセンブリ(7)は、ホイールハブシャフト(15)と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分(14)と、を備え、
ハブキャリア(2a、2b)の第2の部分(13a、13b)は、電動モータ(6)のステータ(19)を備え、回転アセンブリの第2の部分(14)は、電動モータのロータ(18)を備える、逆ポータルアクスル(1)。
【請求項2】
回転アセンブリ(7)のフランジ(8)は、リム(9)およびシングルタイヤ(10)を支持する、請求項1に記載のアクスル。
【請求項3】
タイヤはスーパーシングルタイヤ(10)である、請求項2に記載のアクスル。
【請求項4】
タイヤ(10)は500mm未満の公称幅を有する、請求項2または3に記載のアクスル。
【請求項5】
ステータ(19)は、ハブキャリア(2a、2b、49)の第2の部分(13a、13b)の耐荷重ハウジングの内側に配置された、管状形状を有する積層スタック(19a)を備え、積層スタック(19a)の外径(a)は、リム(9)の最大直径(b)の90%を超える、請求項1~4のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項6】
積層スタック(19a)の外径(a)は、リム(9)の最大直径(b)にほぼ等しいか、またはリム(9)の最大直径(b)よりも大きい、請求項5に記載のアクスル。
【請求項7】
ステータ(19)は、ハブキャリア(2a、2b、49)の第2の部分(13a、13b)の耐荷重ハウジングの内側に配置された、管状形状を有する積層スタック(19a)を備え、冷却チャネル(21)は、積層スタックと耐荷重ハウジングの内側との間に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項8】
ステータ(19)は集中巻線タイプである、請求項1~7のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項9】
直接駆動電動モータは直接駆動電動トルクモータであり、ロータ(18)は永久磁石(17)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項10】
直接駆動電動モータは高ロータ極スイッチトリラクタンス機械であり、ロータ(18)は複数のロータ極を備える、請求項8に記載のアクスル。
【請求項11】
回転アセンブリ(7)は、2つの軸受(11)によってハブキャリア(2a、2b、49)内に回転可能に配置され、軸線方向に離間した軸受(11)の間に共通のグリース区画(11a)が存在し、2つの軸受(11)およびグリース区画(11a)はシール(11b,11c)によって密閉される、請求項1~10のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項12】
回転アセンブリの第2の部分(14)はブレーキディスク(25)を担持し、ブレーキディスク(25)には、ハブキャリア(2a、2b)の円周の最下点またはその近くに取り付けられたブレーキキャリパ(30)がさらに設けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項13】
アクスルは、ブレーキドラム(52)およびブレーキシュー(54)を備えるドラムブレーキ(50)を備え、回転アセンブリの第2の部分(14)はブレーキドラム(52)を担持し、ブレーキシュー(54)はブレーキキャリア(53)によって担持される、請求項1~11のいずれか一項に記載のアクスル。
【請求項14】
車両シャーシ構造体に取り付けられた、請求項1~13のいずれか一項に記載のアクスルを有する車両。
【請求項15】
アクスルは、4ロッド構成によって車両シャーシ構造体に取り付けられている、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
アクスルは、アクスルの前方の中央ピボット点(38)を介して、およびアクスルの後方の、横方向にアクスルを配置する手段(36)を介して車両シャーシ構造体に取り付けられ、アクスルの後方の、横方向にアクスルを配置する手段は、摺動ジョイント、パンハードロッド(36)、またはワットリンク機構のうちの1つである、請求項15に記載の車両。
【請求項17】
車両は低床バスである、請求項14~16のいずれか一項に記載の車両。
【請求項18】
電動モータは回生制動に適合され、アクスルはドラムブレーキ(50)を備え、車両に、1つまたは複数のブリーダ抵抗器がさらに設けられる、請求項14~17のいずれか一項に記載の車両。
【請求項19】
直接駆動電動モータ(6)と、シングルタイヤ用のリムを支持するためのフランジ(8)を備える回転アセンブリ(7)と、を備えるハブキャリア(2a、2b)であって、
ハブキャリア(2a、2b)は、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置される第1の部分(12)と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分(13a、13b)と、を備え、
回転アセンブリ(7)は、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置されるホイールハブシャフト(15)と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分(14)と、を備え、
ハブキャリア(2a、2b)の第2の部分(13a、13b)は、電動トルクモータ(6)のステータ(19)を備え、回転アセンブリ(7)の第2の部分(14)が、電動モータ(6)のロータ(18)を担持する、ハブキャリア(2a、2b)。
【請求項20】
請求項19に記載のハブキャリアが接続される車両シャーシ構造体。
【請求項21】
ハブキャリアは、トレーリングアーム(44)を備える独立サスペンション構成で接続される、請求項20に記載の車両シャーシ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が軸受中心軸線を有する2つのハブキャリアを備える低床バスで使用するための逆ポータルアクスルに関し、軸受中心軸線は共通軸線上に配置され、2つのハブキャリアは、共通軸線から半径方向に離間したアクスルブリッジ構造体によって接続され、それによって、アクスルが低床バスで使用されるときに低床用の空間を作り出す。各ハブキャリアは、電動モータと、タイヤ用のリムを支持するためのフランジを備えるホイールハブシャフトとを備える。
【背景技術】
【0002】
低床バスで使用するための逆ポータルアクスルは、米国特許第6035956号明細書に記載されているような従来のディーゼル駆動バスで知られている。
【0003】
より最近では、低床を有する電動バスが開発されており、電動低床バス用の逆ポータルアクスルの一例が国際公開第2019/218630号に記載されている。この公報は、アクスルケーシングによって接続された2つのハブキャリアを記載している。アクスルケーシングは、2つのハブキャリアの回転軸線から半径方向に離間している。その結果、低床バス内に通路空間が生じる。ハブキャリアの各々には、ダブルタイヤ構成が取り付けられている。ダブルタイヤ構成の内側タイヤ内には、電動モータが存在する。高い変速比を確保するために、遊星ギヤ減速機が存在する。ブレーキシステムは、二重ホイール構成に軸線方向に隣接して配置され、それによって2ハブキャリア間に十分な空間を残して、バス内に低床通路を形成する。国際公開第2019/218630号に記載されている低床バス用の逆ポータルアクスルの欠点は、構造を複雑にし、騒音レベルおよびメンテナンスを増加させ、効率および寿命を低下させる遊星ギヤが必要とされることである。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0023118号明細書は、2つのタイヤ用に寸法決めされたリムと、インホイール電動直接駆動、いわゆる「アウターランナー」モータとを有する車両車輪を記載している。電動モータの内側ステータは、非回転ホイール部の一部であり、電動モータの外側ロータは、リムを支持する回転部の一部である。この車両ホイールの欠点は、得られるトルクが制限され、長時間の上り坂走行を制限する可能性があることである。さらなる欠点は、標準リムが使用され得ないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6035956号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/218630号
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0023118号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、本明細書に記載されるような従来技術の解決策の問題を有さない低床バス用の逆ポータルアクスルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、軸受中心軸線を有する2つのハブキャリアを備える低床バスで使用するための以下の逆ポータルアクスルによって達成され、軸受中心軸線は共通軸線上に配置され、2つのハブキャリアが、共通軸から半径方向に離間したアクスルブリッジ構造体によって接続され、それによって、アクスルが低床バスで使用されるときに低床用の空間を形成し、
各ハブキャリアは
、直接駆動電動モータのステータを備え、シングルタイヤ用のリムを支持するためのフランジを備える回転アセンブリを担持し、
ハブキャリアは、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置される第1の部分と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分と、を備え、
一方のハブキャリアの第2の部分は、アクスルブリッジ構造体によって他方のハブキャリアの第2の部分に接続され、
回転アセンブリは、ホイールハブシャフトと、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置される第2の部分と、を備え、
ハブキャリアの第2の部分は、電動モータのステータを備え、回転アセンブリの第2の部分が、電動モータのロータを備える。
【0008】
本出願人らは、2つのタイヤリムをシングルタイヤ用の単一のリムと交換することによって、低床通路のための十分な空間を保ちながら、リムとタイヤとの組合せの隣に横方向に配置された電動モータのための空間が利用可能になることを見出した。1つのシングルタイヤは、バスの運転成果に悪影響を及ぼすことなく、低床バスで使用するための逆ポータルアクスルのダブルタイヤの組合せを置き換えることができる。さらなる標準リムが使用されてもよい。
【0009】
本発明のこの説明では、上方、下方、上方、下方、後方、および前方のような用語は、駆動方向を有するバスで使用される向きの逆ポータルアクスルを説明するために使用される。後方および前方は、駆動方向に関する。これらの用語の使用は、決して本発明を限定することを意味するものではない。したがって、異なる向きで保管または搬送されるキャリアハブおよび逆ポータルアクスルもまた、この説明および特許請求の範囲によって意味される。
【0010】
この設計における直接駆動電動モータの寸法、特に直径は、従来技術の設計のようにリムの寸法によって限定されない。これにより、直接駆動モータの外径をリム径よりも大きくすることができる。良好に設計された電動トルクモータのトルクはスタック長に比例し、エアギャップ直径の2乗に比例するため、米国特許出願公開第2019/0023118号明細書の設計と同等のトルクを達成するために必要とされ得る銅および永久磁石材料、例えばネオジムが少なくて済むことになる。さらに、トルクは、米国特許出願公開第2019/0023118号明細書による設計よりも高く、長時間の上り坂運転に十分であり得る。次の利点は、ステータ冷却面が米国特許出願公開第2019/0023118号明細書の設計よりも大幅に大きくなり得ることである。これは、後述するように、この設計では冷却面の直径がエアギャップ直径よりも大きいためである。これは、ステータのより効率的な冷却をもたらす。
【0011】
電動モータは、ステータとロータとを備える任意の電動モータであってもよい。電動モータは、高ロータ極スイッチトリラクタンス機械であってもよく、ロータは複数のロータ極を具備する。そのような電動モータの例は、米国特許第10707798号明細書に記載されている。電動モータはまた、周知の直接駆動永久磁石トルクモータであってもよい。このような異なるモータタイプのステータは、以下のようであってもよい。ロータは、駆動電動トルクモータのロータが永久磁石を備える点で異なる。ロータはまた、内部永久磁石(IPM)ロータであってもよく、またはロータは、非同期誘導モータのロータであってもよい。
【0012】
直接駆動電動モータとは、電動トルクモータとホイールハブシャフトとの間に遊星ギヤおよび平ギヤなどのギヤが存在しないことを意味する。
【0013】
各ハブキャリアは、シングルタイヤ用のリムを支持するためのフランジを備えるホイールハブシャフトを担持する。ハブキャリアの寸法は、適切には、例えば米国特許出願公開第2019/0023118号明細書に記載されているようなダブルタイヤリム構成の支持を可能にしない。タイヤの寸法および/または特性は、シングルタイヤが2つの従来のタイヤを置き換えることができるように適切である。そのようなタイヤの例は、いわゆるスーパーシングルタイヤである。スーパーシングルタイヤは、2つのタイヤを交換するために、典型的にはデュアルトラックまたはバスタイヤを交換するために使用され得る周知のタイプのタイヤである。スーパーシングルタイヤは、Michelin X One XDU 455/45R22,5タイヤとしてMichelinなどのタイヤ製造業者から入手されることができる。スーパーシングルタイヤの幅は、交換しようとする2つのタイヤの合計幅よりも小さくなる。
【0014】
上記のスーパーシングルタイヤは、約485mmの実際の負荷幅を有するが、319mmの間隔を有する2つのタイヤ275/70R22,5の総負荷幅は、約620mmである。したがって、スーパーシングルタイヤを使用することにより、約135mmの空間が得られる。したがって、本発明は、特に、500mm未満の公称幅を有するシングルタイヤ用のリムを支持することを可能にするハブキャリアに関する。より好ましくは、350~500mmの間、さらにより好ましくは400~500mmの間の公称幅を有するシングルタイヤのためのリムを支持することを可能にするハブキャリアである。
【0015】
シングルタイヤは、リムに取り付けられると、圧力監視を備えることとなり得る。
【0016】
ハブキャリアの第2の部分は、電動トルクモータのステータを備え、回転アセンブリの第2の部分は、電動トルクモータのロータを備える。使用時に、ハブキャリアは、適切には、車両、適切にはバスに接続された後アクスルの一部である。ステータ巻線に電流が流れると、トルクがロータおよびホイールハブドライブシャフトに伝達される。トルクは、ハブキャリアに対するホイールハブドライブシャフトの回転をもたらし、その結果、車両を移動させる。
【0017】
ステータは、ハブキャリアの第2の部分の一部として、耐荷重ハウジング内に適切に包囲される。このハウジングは、例えば道路に面する平坦な下端を有する管状または実質的に管状であってもよい。ステータは、耐荷重ハウジングの内側に適切に配置される。ステータは、耐荷重ハウジングの内側に配置される前または後に樹脂によって封入されてもよい。
【0018】
ステータは、耐荷重ハウジングの内側に配置された、略管状の形状を有する積層スタックからなる。好ましくは、積層スタックの半径方向外面は、耐荷重ハウジングの内面に当接する。このようにして、積層スタックの外面と軸受中心軸線との間の距離は、可能な限り大きい。この距離は、管状積層スタックの外径として表すこともできる。管状積層スタックの外径は、いくつかの従来技術の設計のようにリムの寸法によって制限されない。これは、ハブキャリアの第2の部分が、このリムが存在する領域の隣に配置されているためである。したがって、好ましくは、ステータの管状積層スタックのこの外径は、リムの最大直径の90%を超え、より好ましくはリムの最大直径以上に少なくともほぼ等しい。ステータの管状積層スタックの最大外径は、耐荷重ハウジングの最大許容外径によって決定される。耐荷重ハウジングの円周の最下点、したがってハブキャリアの最下点の半径方向外側端は、路面までの最小許容距離によって制限される。ステータおよびその積層スタックが上述のように直径を有する場合、ブレーキアセンブリのための内部空間が設けられる。
【0019】
ステータ積層スタックおよび巻線ヘッドの長さは、一方の側ではタイヤリムの組合せによって制限され、それによってタイヤは静的および動的負荷のために最も広い寸法にあり、他方の側では通路を囲む垂直壁によって制限され、それによって車両構造に対するアクスルの動きに対応するために自由空間が必要とされる。
【0020】
冷却チャネルは、外側ハウジングとステータとの間に適切に存在する。例えば、積層スタックは、冷却チャネルを含むスリーブ内に取り付けられてもよく、または冷却チャネルが耐荷重ハウジングの内面に設けられてもよい。使用時には、液体冷媒がこれらの冷却チャネルを通って流れてステータを冷却する。結果として生じる冷却領域は、比較的大きく、例えば米国特許出願公開第2019/0023118号明細書の冷却領域よりも著しく大きい。特に、管状積層スタックの最大の最大直径が好ましい範囲内にある場合。このより大きな冷却領域は、結果としての効率的な冷却および結果としてのより高い効率のために有利である。
【0021】
ステータおよびロータは、当業者に知られている構成を有してもよい。ステータは、集中巻線、分布巻線またはヘアピン巻線であってもよい。ステータは、1つ以上の電力線を介して電池または燃料電池または他の発電手段に接続された駆動ユニットに接続される。好ましくは、モータと駆動ユニットとの間のワイヤのワイヤ接続およびコイル相互接続は、モータ円周の下方180、より好ましくは下方120度に配置される。このようにして、ワイヤは低床通路のための自由空間と干渉しない。
【0022】
回転アセンブリの第2の部分は、電動モータのロータを備える。ロータは、それらの間に小さな管状のエアギャップが存在するようにステータと位置合わせされる。電動モータが永久磁石トルクモータである場合、ロータは永久磁石を備える。このロータは、永久磁石を運ぶための空間を備えた鋼管であってもよく、鋼管ロータとも呼ばれる。永久磁石は、ステータに面するように鋼管ロータの外面に配置される。磁石を鋼管ロータ内にさらに固定するために、磁石の周りにスリーブ、例えばステンレス鋼または炭素繊維スリーブが存在してもよい。ロータは、多数の磁極、例えば100極程度の磁極を有する。
【0023】
電動モータは、回生制動に有利に適合される。回生制動は、そうでなければ熱に変わる運動エネルギーの大部分を回収し、代わりにそれを電気エネルギーに変換する。このシステムでは、モータは加速中または巡航中にホイールを駆動するが、ホイールは減速中にモータを駆動する。この双方向のエネルギーの流れは、モータが発電機として機能し、ホイールの回転に抵抗し、車両のバッテリを再充電するための電気エネルギーを生成することを可能にする。回生制動に加えて、緊急制動および/またはパーキングブレーキのために摩擦制動が存在することが好ましい。好ましくは、ブリーダ抵抗器は、バッテリが完全に充電されている状況で電気エネルギーを散逸させるために存在する。これにより、バッテリが満充電の間、電動モータを用いて減速することができる。これは、完全に充電されたバッテリによる長時間の下り坂走行中に特に関連する。このような状況では、摩擦ブレーキは、過熱のために時間的に最適ではない場合がある。ブリーダ抵抗器に電気エネルギーを散逸させることができることによって、電動モータを使用して制動が依然として可能となり得る。したがって、本発明はまた、好ましくはドラムブレーキを備える本発明によるアクスルを有する車両に関し、電動モータは回生制動に適合され、車両は1つ以上のブリーダ抵抗器をさらに備える。
【0024】
ロータ、特に鋼管ロータは、回転アセンブリに接続されたブレーキが取り付けられることができる内部空間を提供する内径を有する。ブレーキは、好ましくは空気圧作動式ブレーキである。ブレーキは、緊急ブレーキおよびパーキングブレーキ機能を含んでもよい。ブレーキは、ドラムブレーキまたはディスクブレーキであってもよい。
【0025】
ディスクブレーキを使用する場合、ブレーキディスクを鋼管の内部空間内に配置することが好ましい。好ましくは、直径374mmのブレーキディスクを回転アセンブリに取り付け可能であるべきであり、より好ましくは直径430mmのブレーキディスクを回転アセンブリに取り付け可能であるべきである。
【0026】
ブレーキディスクには、やはり鋼管ロータの内径内に嵌合するブレーキキャリパが適切に設けられる。ブレーキキャリパは、ブレーキアクチュエータによって作動される。ブレーキキャリパは、ハブキャリアの円周の最下点またはその近くに適切に取り付けられる。これは、ブレーキアクチュエータが低床バスの通路の下に配置されることができるため、有利である。ブレーキキャリパは、ハブキャリアに接続されたブレーキキャリアに取り付けられる。
【0027】
本発明による逆ポータルアクスルを製造し、ディスクブレーキを使用する場合、ブレーキディスク、キャリパ、およびブレーキキャリアは、仮治具上に予め組み立てられ、単一の操作で回転アセンブリおよびハブキャリアの第2の部分に取り付けられ、その後に、取り付け治具が取り外されることが好ましい。
【0028】
好ましくは、ドラムブレーキは、回生制動に対する追加のブレーキとして使用される。ドラムブレーキを使用する場合、ドラムブレーキはロータの内部空間に存在することが好ましい。そのようなドラムブレーキは、上述したようなブレーキキャリパを必要とせず、そのため、取り付けるために必要なスペースが少なくなる。本発明の設計は、420mmのドラム内径を有するドラムブレーキを、ロータのこの内部空間に取り付けることを可能にすることが分かっている。ディスクブレーキに対するドラムブレーキの既知の欠点は、長期制動中のドラムブレーキの性能が、ドラムブレーキの熱負荷のためにディスクブレーキの性能ほど良好ではないことである。本出願では、制動活動の大部分が回生制動システムによって行われる場合、これは必ずしも不利である必要はない。その場合、ドラムブレーキは、実際には、緊急ブレーキまたはパーキングブレーキとして偶発的にのみ使用される。この使用が少ないため、熱負荷は無視される。これにより、ディスクブレーキの代わりに、機械的により単純なドラムブレーキを使用することが可能になる。検査の容易さなどの、ドラムブレーキ対ディスクブレーキの典型的な欠点は、この設計には当てはまらない。この設計では、ドラムブレーキはディスクブレーキよりも検査が容易であることさえ分かる。さらに、ドラムブレーキは、例えば取り付け工具としての仮治具を必要としないため、ディスクブレーキと比較して嵌合が容易であることが分かる。ドラムブレーキは、両方とも表面に取り付けられた磁石を有する永久磁石ロータよりも小さい内径を有する内部永久磁石ロータまたは非同期誘導モータのロータに十分な空間が利用可能になるように寸法決めされることができる。
【0029】
さらに、外部環境を、鋼管ロータが回転する密閉空間から分離するシールキャリアが存在する。シールキャリアには、ホイールハブシャフトの第2の部分を通過させるための中央開口部が設けられてもよい。この開口部には、汚れ、金属スクラップなどがこの空間に入ることを回避するためにシールが存在してもよい。シールは、間にグリースが充填された二重シールであってもよい。
【0030】
ブレーキは、通常行われるように外部環境に設置されてもよい。また、電動モータの一部である密閉型回転センサも、外部環境に適切に配置されることができる。より好ましくは、回転センサは、ブレーキキャリアに取り付けられる。このセンサは、エンコーダまたはレゾルバ型センサであってもよい。
【0031】
ホイールハブシャフトは、ハブキャリア内に回転可能に配置され、装着時にリムとタイヤとの組合せの中に、その長さに関して適切に横方向に配置される。適切には、回転可能な位置決めは、2つのベアリングによって行われる。軸受は、それ自体のグリース区画を有し、グリースが漏れ出ることを回避し、リム側の汚れおよびほこりからの侵入を防止するようにシールされる。適切な軸受配置の例は、O構成のアンギュラコンタクトボール軸受、円錐ころ軸受、内部予圧軸受、または位置決め軸受と非位置決め軸受の組合せである。
【0032】
本発明による逆ポータルアクスルは、使い慣れた4ロッド構成を使用して、バスのような車両のシャーシ構造体に後アクスルとして取り付けられてもよい。あるいは、逆ポータルアクスルは、アクスルの前方の中央ピボット点、およびアクスルの後方にアクスルを横方向に配置する手段を介して車両に取り付けられてもよい。アクスルを横方向に位置決めするそのような手段は、摺動ジョイント、パンハードロッドまたはワットリンク機構であってもよい。後アクスルのような前方および後方の用語は、車両の運転方向に関する。
【0033】
実施例
図2に示すように、本発明によるハブキャリア、設計Aを使用して達成され得るトルクと、米国特許出願公開第2019/0023118号明細書の
図1による従来技術のハブキャリアのトルクとをこの例で比較する。両方の設計の寸法を以下の表に列挙する。寸法は、両方の設計の低床バスに使用された場合に、商用ハブキャリアがどのように見えるかの近似値である。比較において、エアギャップ面積は同じに保たれ、したがって、銅およびネオジムの量も両方の設計についてほぼ同じである。
【0034】
【0035】
接線方向エアギャップ力は、それらのエアギャップ面積が同様であるため、両方の設計において同様である。本発明の設計では、接線力はより大きな半径で作用し、その結果、トルクは288.5/216=1.335倍高くなる。さらに、冷却面積は、設計Aの方が5679/3520=1.61倍大きい。トルクは電流に比例し、熱損失は電流二乗に比例する。したがって、1.61倍大きい冷却面積を有する設計では、従来技術の設計と比較して同じ動作温度でsqrt1.61=1.27倍大きい電流を流すことが可能である。したがって、本発明による設計Aの可能なより大きなトルクは、幾何学係数1.335に熱係数1.27を乗算することによって計算され、1.7の全体的な利点(70%の改善)をもたらす。
【0036】
上記の計算は、同じ量の銅およびネオジムを有する本発明による直接駆動ホイールハブが、従来技術の直接駆動設計よりも70%大きい連続トルクを提供することができ、低床通路のための十分な空間を残す低床バスのリアアクスルの一部として使用され得ることを示している。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による低床バスで使用するための逆ポータルアクスルの断面図である。
【
図2】
図1のハブキャリアをより詳細に示す図である。
【
図2a】
図2のブレーキディスクおよびブレーキキャリパがドラムブレーキに置き換えられていることを除いて、
図2と同様のハブキャリアを示す図である。
【
図2b】
図2aのハブキャリアを後方から等角図で示す図である。
【
図3】
図1の逆ポータルアクスルを3次元図で示す図である。
【
図3a】
図2aおよび
図2bのハブキャリアを有する
図3の逆ポータルアクスルを上方からの等角正面図で示す図である。
【
図3b】
図3aの逆ポータルアクスルを下から示す図である。
【
図4】上方から見た
図3の逆ポータルアクスルを示す図である。
【
図4a】上方から見た
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスルを示す図である。
【
図5】後方から見た
図1の逆ポータルアクスルを示す図である。
【
図5a】後方から見た
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスルを示す図である。
【
図5b】正面から見た
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスルを示す図である。
【
図6】
図1の逆ポータルアクスルを横から見た図である。
【
図7a】ビームに取って代わる構造要素を装備し、中央ピボット点まで前方方向に延在する
図1のポータルアクスルを示す図である。
【
図7b】
図7aのポータルアクスルを下から示す図である。
【
図8】独立サスペンションを有するハブキャリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明による低床バスで使用するための逆ポータルアクスル(1)の断面図である。軸受中心軸線(3a、3b)を有する2つのハブキャリア(2a、2b)が示されている。軸受中心軸線(3a、3b)は、共通の軸線上に配置される。2つのハブキャリア(2a、2b)は、図示するように共通の回転軸線から半径方向に離間したアクスルブリッジ構造体(4)によって接続されている。これは、アクスル(1)が低床バスで使用されるときに低床のための空間(5)を作り出す。この空間(5)は、距離(aa)が700mmから800mmの間であり得る2つのハブキャリア(2a、2b)間の距離(a)によって表すことができる。各ハブキャリア(2a、2b)は、直接駆動電動トルクモータ(6)のステータ(19)を備え、リム(9)およびスーパーシングルタイヤ(10)の組合せを支持するフランジ(8)を備える回転アセンブリ(7)を担持する。回転アセンブリ(7)は、O構成(11)の2つのアンギュラコンタクトボール軸受によってハブキャリア(2a、2b)内に回転可能に配置される。軸受(11)の間にはグリース区画(11a)が存在し、2つのシール(11b、11c)がグリースのための空間を囲む。
【0040】
ハブキャリア(2a、2b)は、リム(9)とスーパーシングルタイヤ(10)との組合せの中に横方向に配置された第1の部分(12)と、リム(9)とタイヤ(10)との組合せに隣接して横方向に配置された第2の部分(13a、13b)とを備える。ハブキャリア(2a)の第2の部分(13a)は、アクスルブリッジ構造体(4)によって他方のハブキャリア(2b)のハブキャリア(2b)の第2の部分(13b)に接続される。
【0041】
図2は、
図1のハブキャリア(2a)をより詳細に示す図である。回転アセンブリ(7)は、リム(9)とタイヤ(10)との組合せの中に横方向に配置されたホイールハブシャフト(15)と、リム(9)とタイヤ(10)との組合せに隣接して横方向に配置された第2の部分(14)と、を備える。
【0042】
回転アセンブリ(7)の第2の部分(14)は、ロータフランジ(16)にボルト止めされた鋼管ロータ(18)を備える。鋼管ロータ(18)は、電動トルクモータ(6)の永久磁石(17)を担持する。ロータの永久磁石(17)は、鋼管(18)の外側に配置される。
【0043】
ハブキャリア(2a)の第2の部分(13a)は、電動トルクモータ(6)のステータ(19)を備える。管状ステータ(19)は、管状積層スタック(19a)を有する。管状積層スタック(19a)の外径(a)は、
図2のリム(9)の最大直径(b)よりも大きい。管状ステータ(19)と鋼管ロータ(18)との間には、管状のエアギャップ(20)が存在する。冷却チャネル(21)は、ステータ(19)の外側とハブキャリア(2a)の第2の部分(13a)の耐荷重ハウジングとの間に存在する。
【0044】
ロータフランジ(16)は、図示するようにリムとタイヤとの組合せの中からある程度横方向に延在し得るホイールハブシャフト(15)に接続される。ホイールハブシャフト(15)は、リム(9)内のその主要部分およびシングルタイヤ(10)の組合せのためにフランジ(8)から反対側の軸線方向端部(24)まで延在する。対向する軸線方向端部(24)は、電動トルクモータ(6)内に軸線方向に配置される。この軸線方向端部(24)において、ロータフランジ(16)およびブレーキディスク(25)は、ホイールハブシャフト(15)にボルト止めされる。あるいは、ロータ管(18)およびロータフランジ(16)は、単一の部品であってもよい。鋼管ロータ(18)およびロータフランジ(16)は、密閉空間(26)内で回転する。密閉空間(26)は、シールキャリア(27)によってハブキャリア(2a)内に密閉されている。このシールキャリア(27)は、密閉空間(26)をブレーキディスク(25)が存在する外部環境から分離する。このシールキャリア(27)は、ハブキャリア(2a)の第2の部分(13a)の軸線方向内側端部(28)からロータフランジ(16)の通過を可能にする中央開口部まで延在する。この開口部にはシール(29)が存在する。
【0045】
ブレーキディスク(25)にはブレーキキャリパ(30)が設けられている。ブレーキキャリパ(30)は、ブレーキアクチュエータ(31)によって作動される。ブレーキキャリパ(30)は、ブレーキキャリア(33)によってハブキャリア(13a)の第2の部分の円周の最下点に取り付けられる。
【0046】
図1および
図2に示すタイヤ(10)は、幅および直径の両方において、最も圧縮された状態にある。図示されているハブキャリアは、単一の部品で作られている。明らかに、それは2つ以上の部品のボルト締めアセンブリであってもよい。この負荷幅(c)を
図2に示されている。公称幅は、より小さくなる。図示されるように、タイヤ側壁(9a)とハブキャリアの第2の部分(13a、13b)との間の隙間は、タイヤ(9)の最大圧縮の場合にタイヤ側壁(9a)とハブキャリア(13a)との間の接触を回避するのに十分である。
【0047】
図2aは、
図2のブレーキディスク(25)およびブレーキキャリパ(30)がドラムブレーキ(50)に置き換えられていることを除いて、
図2と同様のハブキャリア(49)を示す。さらに、ロータフランジ(16)および鋼管ロータ(18)は、単一の部品(51)に組み合わされる。ドラムブレーキ(50)は、ブレーキドラム(52)およびブレーキシュー(54)を備える。回転アセンブリの第2の部分(14)はブレーキドラム(52)を担持し、ブレーキキャリア(53)はブレーキシュー(54)を担持する。
図2aでは、軸線方向端部(24)において、単一部品のロータ(51)およびブレーキドラム(52)が、ホイールハブシャフト(15)にボルト止めされている。ブレーキシュー(54)を備えるドラムブレーキキャリア(53)が存在する。
図2のように、シールキャリア(27)は、ドラムブレーキ(50)が存在する外部環境から密閉空間(26)を分離する。さらに、ブレーキドラム(52)の内側へのフランジを有する短シャフト(58)によって駆動される回転位置変換器(57)が示されている。モータワイヤと巻線との間の接続のための容積(67)が示されている。
【0048】
図2bは、
図2aのハブキャリア(49)を後方から等角図で示す。ドラムブレーキキャリア(53)が、ハブキャリア(49)に取り付けられる。ドラムブレーキ(50)のSカムシャフト(59)は、プルロッド(62)に接続されたSカムシャフトレバー(60)によって操作される。プルロッド(62)は、2つの軸受ハウジング内に回転可能に取り付けられたオフセットベルクランク(63)に接続されている。ベルクランクは、標準的なばねブレーキアクチュエータ(69)の一部としてのプッシュロッドおよびクレビス(65)によって駆動される。ばねブレーキアクチュエータ(69)は、アクチュエータ取り付けブラケット(56)を介してハブキャリア(49)に取り付けられる。ブレーキアクチュエータ(69)の設計および位置、ならびにSカムシャフト(59)を作動させるためのSカムシャフトレバー(60)およびプルロッド(62)からなる図示のリンク機構は、通路に利用可能な空間(5)の幅がホイール軸線レベルより上で最大になるようなものである。これは、Sカムシャフトレバー(60)およびプルロッド(62)を軸線レベルより下で自由空間に侵入させることによって部分的に達成される。さらに、ハブキャリア(49)に接続されたサスペンションアーム(32)が示されている。
【0049】
図3は、
図1の逆ポータルアクスル(1)を3次元図で示し、
図4は、
図1の逆ポータルアクスル(1)を上から示す。アクスルブリッジ構造体(4)は、ブレーキアクチュエータ(31)のための余地を残す2つの平行ビーム(4a、4b)からなることが示されている。さらに、ハブキャリア(2a、2b)の第2の部分(13a、13b)の外部に接続されたサスペンションアーム(32)が示されている。ハブキャリア(2a、2b)の第2の部分(13a、13b)は、荷重支持である。
【0050】
図3aは、
図2aおよび
図2bのハブキャリア(49)を有する
図3の逆ポータルアクスル(1)を上方からの等角正面図で示す。アクスルブリッジ構造体(70)の設計は、広く適用されている4ロッドリンク機構の使用を可能にする。2つの下部Vロッド(73)および2つの上部ロッド(72)が示されている。この角度から、2つのブレーキシューアンカーピン(74)が見える。
【0051】
図3bは、
図3aの逆ポータルアクスル(1)を下から示している。この図では、アクスルブリッジ構造体(70)が2つのハブキャリア(49)にボルト止めによってどのように接続されるかが示されている。さらに、サスペンションアーム(32)は、従来技術のダブルタイヤ構成のサスペンションアームと比較して、アクスル中心線から(駆動方向に)より大きな距離に配置されることができ、それによって、図示するようにばねブレーキアクチュエータ(69)をハブキャリアに取り付けるための空間を形成することが分かる。このようにして、ばねブレーキアクチュエータ(69)は空間(5)内に突出しない。
【0052】
図4は、上方から見た
図3の逆ポータルアクスル(1)である。
【0053】
図4aは、上方から見た
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスル(1)である。
【0054】
図5は、後方から見た
図1の逆ポータルアクスル(1)である。
【0055】
図5aは、後方から見た
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスル(1)である。
【0056】
図5bは、
図3aおよび
図3bの逆ポータルアクスル(1)を正面から見た図である。
図5のアクスルを
図5aおよび
図5bのアクスルと比較すると、ドラムブレーキを備えた実施形態が、有利であるより低いバスフロアを可能にすることは明らかである。
【0057】
図6は、
図1の逆ポータルアクスル(1)を横から見た図である。
【0058】
図7aは、ビーム(4b)に取って代わる構造要素(37)を装備し、中央ピボット点(38)まで前方方向に延在する
図1のポータルアクスルである。アクスルを横方向に位置決めする手段として、パンハードロッド(36)がアクスルの後部に存在する。パンハードロッド(36)は、パンハードロッドアクスルブラケット(35)を介してビーム(4a)に接続されている。
【0059】
図7bは、
図7aのポータルアクスルを下から示す図である。これは、構造要素(37)がハブキャリア(2a、2b)の第2の部分(13a、13b)の耐荷重ハウジング上にどのようにボルト止めされるかをより明確に示す。
【0060】
図8は、独立サスペンションを有するハブキャリア(40)を示す。このハブキャリア(40)には、
図1~
図7のようなアクスルブリッジ構造体(4)は必要ない。残りの部分については、
図1~
図7のハブキャリアのすべての要素がハブキャリア(40)内に存在してもよい。そのようなハブキャリアの適用は、低床バスまたは通路と組み合わせて前述の高トルクと同じ利点を提供する。
図8は、車両のシャーシに取り付けるためのサスペンション支持部(32)、トレーリングアーム(44)、トレーリングアームピボットシャフト(43)、およびピボットシャフト取り付けボルト(45)を示す。
【0061】
このため、本発明はハブキャリアにも向けられており、
ハブキャリアは、直接駆動電動モータのステータを備え、シングルタイヤ用のリムを支持するためのフランジを備える回転アセンブリを担持し、
ハブキャリアは、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置された第1の部分と、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置された第2の部分と、を備え、
回転アセンブリは、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せの中に横方向に配置されたホイールハブシャフトと、取り付けられたときにリムとタイヤとの組合せに隣接して横方向に配置された第2の部分と、を備え、
ハブキャリアの第2の部分は電動モータのステータを備え、回転アセンブリの第2の部分は電動モータのロータを備える。
【0062】
上記のハブキャリアは、トレーリングアームを備える独立サスペンション構成で、車両、特に低床バスに接続されてもよい。本発明はまた、上記のハブキャリアが接続され、好ましくは独立したサスペンション構成で接続され、さらにより好ましくはトレーリングアームを含む独立サスペンション構成で接続される車両シャーシ構造体に関する。
【0063】
上記のハブキャリアに使用される用語は、逆ポータルアクスルに使用される用語と同じ意味を有し、逆ポータルアクスルの好ましい実施形態もこのハブキャリアに適用される。
【国際調査報告】