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特表2024-514557繊維機械コンポーネントでコンポーネント情報を提供する方法、並びに繊維機械コンポーネント
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  • 特表-繊維機械コンポーネントでコンポーネント情報を提供する方法、並びに繊維機械コンポーネント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】繊維機械コンポーネントでコンポーネント情報を提供する方法、並びに繊維機械コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
D01H1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561136
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2022059257
(87)【国際公開番号】W WO2022218814
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021109428.3
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シャフリン、ジモン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ、スヴェン
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056EA34
4L056ED11
4L056FB17
(57)【要約】
本発明は繊維機械コンポーネントに関し、並びに、繊維機械コンポーネントで、特に紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル構造体で、コンポーネント情報を提供する方法に関する。プラスチック外装された繊維機械コンポーネントでの恒常的で確実なコンポーネント情報の提供を保証する方法を提供するために、繊維機械コンポーネントは、特にスピンドル構造体の軸受ハウジングは、繊維機械コンポーネントに、特に軸受ハウジングの外面上に収縮装着される、コンポーネント情報を提供する熱収縮可能なプラスチック被覆によって少なくとも区域的に被覆されることが意図される。確実に検出可能なコンポーネント情報を有する、プラスチック外装された繊維機械コンポーネント、特にスピンドル構造体を提供するために、コンポーネント情報を提供するプラスチック被覆が繊維機械コンポーネントの少なくとも1つの区域に、特に軸受ハウジングの外面の少なくとも1つの区域に収縮装着されることが意図される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械コンポーネントで、特に紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル(3)及び軸受ハウジング(6)を有するスピンドル構造体(1)で、コンポーネント情報(4、7)を提供する方法において、
前記繊維機械コンポーネントは、特に前記スピンドル構造体(1)の前記軸受ハウジング(6)は、前記繊維機械コンポーネント上に、特に前記軸受ハウジング(6)の外面上に収縮装着される、前記コンポーネント情報(4、7)を提供する熱収縮可能なプラスチック被覆(2)によって少なくとも区域的に被覆されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記コンポーネント情報(4、7)が前記繊維機械コンポーネントに、特に前記軸受ハウジング(6)の外面に配置され、次いで、前記プラスチック被覆(2)が前記コンポーネント情報(4、7)を覆うように収縮装着され、前記プラスチック被覆(2)は、前記コンポーネント情報(4、7)の外部からの特に視覚的な検出を行うことができるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維機械コンポーネント上に、特に前記軸受ハウジング(6)の外面上に収縮装着された状態のときに少なくとも前記コンポーネント情報(4、7)の領域で透明又は少なくとも部分透明であるプラスチック被覆(2)が収縮装着され、特に前記プラスチック被覆(2)は、又は、透明若しくは部分透明の領域の外部にある前記プラスチック被覆(2)の領域は、色付きで構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンポーネント情報(4、7)は前記プラスチック被覆(2)に、特に前記プラスチック被覆(2)の外面(5)に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項、又は複数項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンポーネント情報(4、7)は機械可読の形態で前記繊維機械コンポーネントに、特に前記軸受ハウジング(6)の外面に、及び/又は前記プラスチック被覆(2)に表示されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項、又は複数項に記載の方法。
【請求項6】
前記プラスチック被覆(2)はホース状であり、及び/又は前記繊維機械コンポーネントは前記プラスチック被覆(2)との結合領域で収縮装着の前に加熱されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項、又は複数項に記載の方法。
【請求項7】
繊維機械コンポーネント、特に紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル(3)及び軸受ハウジング(6)を有するスピンドル構造体(1)において、
前記繊維機械コンポーネントの、特に前記軸受ハウジング(6)の外面の、少なくとも1つの区域に収縮装着された、コンポーネント情報(4、7)を提供するプラスチック被覆(2)を有することを特徴とする、繊維機械コンポーネント。
【請求項8】
前記コンポーネント情報(4、7)は前記繊維機械コンポーネントに、特に前記軸受ハウジング(6)の外面に配置され、収縮装着される前記プラスチック被覆(2)は、前記コンポーネント情報(4、7)の外部からの特に視覚的な検出を行うことができるように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の繊維機械コンポーネント。
【請求項9】
収縮装着される前記プラスチック被覆(2)は少なくとも前記コンポーネント情報(4、7)の領域で透明又は部分透明であり、特に前記プラスチック被覆(2)は、又は、透明若しくは部分透明の領域の外部にある前記プラスチック被覆(2)の領域は、色付きで構成されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の繊維機械コンポーネント。
【請求項10】
前記コンポーネント情報(4、7)は収縮装着された前記プラスチック被覆(2)に、特に前記プラスチック被覆(2)の外面(5)に配置されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項、又は複数項に記載の繊維機械コンポーネント。
【請求項11】
前記コンポーネント情報(4、7)は機械可読であることを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項、又は複数項に記載の繊維機械コンポーネント。
【請求項12】
前記プラスチック被覆(2)はホース状に構成されることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項、又は複数項に記載の繊維機械コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械コンポーネント、特にスピンドル及び軸受ハウジングを有するスピンドル構造体に関し、並びに、繊維機械コンポーネントで、特に紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル及び軸受ハウジングを有するスピンドル構造体で、コンポーネント情報を提供する方法に関する。
【0002】
たとえばシリアル番号やロット番号の形態のコンポーネント情報による繊維機械コンポーネントの識別表示は、すでに十分に知られている。シリアル番号を通じて、それぞれの繊維機械コンポーネントに関して相応のデータバンクに保存された情報を呼び出すことができ、これは、たとえばそのコンポーネントの製造地、製造時点、材料供給源、材料組成、及び/又は材料性質などの追加のコンポーネント情報である。このような情報へのアクセスにより、たとえば予測不能な不具合が生じた場合や、予想されるよりも短い使用期間につながる予想以上に高い摩耗が生じた場合に、繊維機械コンポーネントの生産プロセスから生じると考えられる原因を特定することが可能になる。間接的にのみ、すなわち相応のデータバンクを利用したうえで、コンポーネントに関する固有の情報を提供する、コンポーネント情報としてのシリアル番号及び/又はロット番号の配置のほか、たとえば製造者、利用目的、又は保守整備サイクルなどのその他の情報が直接的に繊維機械コンポーネントに付与されていてもよく、それは、これを見た者がこのような情報を直接的に、すなわちデータバンクを援用することなしに、認識することを可能にする。このときコンポーネント情報は、たとえば相応の刻印や印刷によって繊維機械コンポーネントに、たとえばスピンドル構造体の軸受ハウジングの外面に、表示することができる。
【0003】
繊維機械コンポーネントの保管の枠内における環境要因、並びに、繊維機械コンポーネントの作動中における機械的な要因は、コンポーネント情報を操作者が見分けられなくなることにつながる可能性がある。このとき判読不能性は、繊維機械コンポーネントの腐食や摩耗の結果として生じる場合もあり、腐食の影響は、繊維機械コンポーネントの保管時からすでにこれに作用する可能性がある。
【0004】
負荷を受けるコンポーネントを防護するために、熱収縮プロセスの枠内でコンポーネントの表面に当接する、収縮可能なプラスチック被覆をこれに付与することがすでに知られている。たとえば耐熱性及び耐化学性の外装をするためにケーブルやパイプなどで利用される収縮可能なスリーブ、フィルム、ホースなどの基本的な利用法を開示する国際公開第96/19334号パンフレットから公知であるような、収縮装着されたプラスチック被覆を利用することで、たとえば表面に腐食作用をもたらす外部要因に対する機械コンポーネントの防護は実現されるものの、外装をすることは、機械コンポーネントに表示されたコンポーネント情報を検出することが操作者にとって不可能になることにもつながる。
【0005】
以上を背景としたうえで本発明の課題は、プラスチック外装された繊維機械コンポーネントでの、特に紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル構造体での、恒久的で確実なコンポーネント情報の提供を保証する方法を提案することにある。更に、本発明の課題は、確実に検出可能なコンポーネント情報を有する、プラスチック外装された繊維機械コンポーネント、特にスピンドル構造体を提供することにある。
【0006】
本発明は、請求項1の特徴を有する方法によって、並びに請求項7の特徴を有する装置によって、これらの課題を解決する。本発明による方法の好ましい発展形態は、従属請求項2から6に記載されている。本発明による繊維機械コンポーネントの実施形態は、請求項7を引用する請求項8から12に記載されている。
【0007】
本発明による方法はコンポーネント情報の確実な提供を可能にし、コンポーネント情報には製品固有の情報、たとえば部分的又は全体的な繊維機械コンポーネントの材料供給源、その材料組成、及び/又は材料性質、繊維機械コンポーネントないし個々のコンポーネント部分の製造プロセス、生産地、生産期間、製造者などの生産データ、並びに稼働データ、耐用期間、保守整備サイクルなどが含まれ、これらは特に追加的な加工プロセス・処理プロセスで、又はコンポーネントの利用のために、重要となる。このときコンポーネント情報は、たとえば数字、アルファベット、又は複合記号などの文字列の形態で、又はたとえばバーコードすなわちBarcodeなどのコーディングの形態で、又はRFIDチップや磁気素子の形態で、構成されていてよい。
【0008】
繊維機械コンポーネントでのコンポーネント情報の提供とは、ここでは本件出願の枠内において、確実な仕方で、すなわちたとえば阻害要因の影響後にも確実に、操作者によって検出することができる、特に読み取ることができる、コンポーネント情報の配置であると理解される。そのために本発明によると、繊維機械コンポーネントは、特にスピンドル構造体の軸受ハウジングは、繊維機械コンポーネントに、特に軸受ハウジングの外面に、収縮装着される、コンポーネント情報を提供する熱収縮可能なプラスチック被覆によって少なくとも区域的に被覆されることが意図される。このとき本発明によるとプラスチック被覆は、特に腐食要因などの外部要因に対して繊維機械コンポーネントを同時に防護しながら、プラスチック被覆そのものがコンポーネント情報を有することによって、及び/又は、収縮装着された状態のときに繊維機械コンポーネントに配置されたコンポーネント情報の検出を可能にするように構成されることによって、コンポーネント情報の検出を可能にするように構成される。このとき、操作者及び/又は検出ユニットによって検出を行うことができるのが好ましい。
【0009】
このように本発明の方法により、収縮装着されるプラスチック被覆が利用されることで、外部要因、特に腐食要因から、確実に防護される繊維機械コンポーネント、特に紡績機械又は撚糸機械のスピンドル構造体を、提供することが可能になる。それと同時に、コンポーネント情報を提供するためのプラスチック被覆の適性は、繊維機械コンポーネント、特にスピンドル構造体の以後の利用のために留意されるべき、たとえば相応の繊維機械コンポーネント、特にスピンドル構造体の使用条件のような動作関連データ、の確実な検出を提供する。このようにプラスチック被覆は、繊維機械コンポーネントの表面を防護するための役目だけでなく、操作者のためにコンポーネント情報を確実に提供するための役目も果たす。
【0010】
そのために本発明の特別に好ましい実施形態では、コンポーネント情報が繊維機械コンポーネントに、特に軸受ハウジングの外面に配置され、次いで、プラスチック被覆がコンポーネント情報を覆うように収縮装着され、プラスチック被覆は、検出ユニット及び/又は操作者によって外部からの、特にセンサ式の、又は視覚的な、コンポーネント情報の検出を行うことができるように構成されて収縮装着されることが意図される。
【0011】
本発明のこの実施形態では、プラスチック被覆は、繊維機械コンポーネントの上に、特にスピンドル構造体の軸受ハウジングの外面の上に配置されたコンポーネント情報を、引き続いてこれを検出可能であるように、特に視覚的に読取可能であるように覆う。本発明のこの発展形態に基づく方法は、繊維機械コンポーネントの製造プロセスの枠内でこれにコンポーネント情報を直接的に配置することを可能にする。収縮装着された状態のときにコンポーネント情報の外部からの、特に視覚的な、検出を可能にする適当なプラスチック被覆を利用することで、繊維機械コンポーネントにコンポーネント情報を識別表示するためのその他のステップを省略することができる。このように、繊維機械コンポーネントへ収縮装着可能なプラスチック被覆を利用したうえで、全体として特別に簡易かつ低コストにコンポーネント情報を提供することができる。
【0012】
特に有利には、このとき、収縮装着された状態のときにコンポーネント情報の領域で透明であるプラスチック被覆が、繊維機械コンポーネント上に、特に軸受ハウジングの外面上に収縮装着されることが意図される。このような種類のプラスチック被覆の利用は、コンポーネント情報をセンサ式に、及び/又は視覚的に検出することを、すなわち読み出すことを、ないし読み取ることを、操作者又は検出ユニットに特別に簡易な方式で可能にし、繊維機械コンポーネントに配置されたコンポーネント情報は、コンポーネント情報を破損させる特に腐食要因に対して、プラスチック被覆によって確実に防護される。特に、収縮装着された状態のときに少なくともコンポーネント情報の領域で透明である、又は少なくとも部分透明であるプラスチック被覆の利用は、特別に簡易かつ迅速なコンポーネント情報の検出を保証する。更に好ましくは、プラスチック被覆の部分透明の領域は色付きで構成されていてよい。その代替又は追加としてプラスチック被覆は、透明ないし部分透明の領域の外部において色付きで、更に好ましくは部分透明の領域と同一又は相違する色付きで、構成されていてよい。たとえば、それぞれ異なる使用目的のためのコンポーネントを色で識別表示することができ、その結果として容易に互いに判別することができる。特に、類似又は同一の形状のコンポーネントでは、このような判別方法が好ましい。
【0013】
繊維機械コンポーネントへのコンポーネント情報の配置の補足又は代替として、本発明の別の実施形態では、コンポーネント情報がプラスチック被覆に、特にプラスチックの外面に配置されることが意図される。
【0014】
プラスチック被覆へのコンポーネント情報の配置は、繊維機械コンポーネントにコンポーネント情報をたとえば刻印によって表示するための複雑な方法を省略することを可能にする。繊維機械コンポーネントへプラスチック被覆を収縮装着する前又は後に、コンポーネント情報をプラスチック被覆に簡易な方式で表示することができる。プラスチック被覆へのコンポーネント情報の配置は、透明でない、特に色付きのプラスチック被覆の利用も可能にし、それにより、プラスチック被覆そのものを、識別表示のためにも、特に繊維機械コンポーネントの判別のためにも、あるいはマーケティング目的のためにも利用することができる。このときプラスチック被覆へのコンポーネント情報の表示は、たとえば低コストの印刷方法によって行うことができ、この場合、耐久性のある印刷方法が適用されるのが好ましい。たとえば、好ましくはそれぞれ1つのコンポーネント型式に割り当てられた印刷色を適用することで、相違するコンポーネント型式を簡易な方式で視覚的に識別表示して、互いに判別することができる。
【0015】
更に、本発明の特別に好ましい実施形態では、コンポーネント情報は機械可読の形態で繊維機械コンポーネントに、特に軸受ハウジングの外面に、及び/又はプラスチック被覆に表示されることが意図される。本発明のこの実施形態では、コンポーネント情報はプレーンテキストの形態ではなく、コーディングされた形態で、たとえばバーコード、QRコード、読出可能なRFIDチップ、又は磁気コーディングされた手段の形態で提供され、これらを適当な読取器によって読み出すことができ、コーディングに基づいて相応のコンポーネント情報が特にプレーンテキストで提供され、又は制御ユニットに提供される。機械可読のコードの利用は、繊維機械コンポーネントへコンポーネント情報を特別に簡易かつ省スペースに配置することを可能にする。このときコンポーネント情報は、繊維機械コンポーネント及び/又はプラスチック被覆へ直接的に表示ないし印刷することができ、又は、たとえば繊維機械コンポーネント若しくはプラスチック被覆に貼り付けられるラベルに配置されていてよい。
【0016】
繊維機械コンポーネントへのプラスチック被覆の取付けは、プラスチック被覆がまず繊維機械コンポーネントに、又は少なくとも繊維機械コンポーネントの1つの区域に配置されるように、適当な設備で周知の方式により行われる。これに続いてプラスチック被覆が所定の方式で適当な熱処理によって加熱され、それによりプラスチック被覆が縮み、その際に繊維機械コンポーネントに収縮装着され、その結果、これがその後に繊維機械コンポーネントの表面に当接する。
【0017】
本発明による方法の好ましい発展形態では、プラスチック被覆がホース状であり、及び/又は、繊維機械コンポーネントがプラスチック被覆との結合領域で収縮装着の前に加熱されることが意図される。
【0018】
プラスチック被覆のホース状の実施形態は、繊維機械コンポーネントへの特別に簡易な配置を可能にし、プラスチック被覆は熱処理の前に繊維機械コンポーネントへ被せられる。これに続いて適当な熱作用により、プラスチック被覆が繊維機械コンポーネントに収縮接着される。このときホース状の構成は、収縮装着された状態のときのプラスチック被覆の特別に均等な配置を保証する。少なくともプラスチック被覆との結合領域での、繊維機械コンポーネントの事前の加熱は、繊維機械コンポーネントへのプラスチック被覆の特別に良好な結合を保証する。
【0019】
本発明による繊維機械コンポーネント、特に、紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル及び軸受ハウジングを有するスピンドル構造体について特徴となるのは、コンポーネント情報を提供するプラスチック被覆が繊維機械コンポーネントの少なくとも1つの区域に、特に軸受ハウジングの外面の少なくとも1つの区域に収縮装着されることである。
【0020】
本発明による繊維機械コンポーネントは、繊維機械コンポーネントがプラスチック被覆と結合された領域で、繊維機械コンポーネントの表面の損傷及びこれに配置されたコンポーネント情報の破損につながりかねない外部要因、特に腐食要因に対して、プラスチック被覆により確実に防護されるという特徴がある。それと同時に、コンポーネント情報を提供するために構成されるプラスチック被覆の実施形態は、繊維機械コンポーネントに対して損傷要因が影響した後でも、操作者によるコンポーネント情報の確実な検出を保証する。このとき本発明によると、プラスチック被覆はコンポーネント情報を提供するために構成され、そのためにプラスチック被覆そのものがコンポーネント情報を付与され、及び/又は、繊維機械コンポーネントの上に配置されたコンポーネント情報の提供のために、すなわち操作者による検出のために構成される。
【0021】
本発明の特別に好ましい実施形態では、繊維機械コンポーネントに、特にスピンドル構造体の軸受ハウジングの外面に、コンポーネント情報が配置されるケースにおいて、収縮装着されるプラスチック被覆は、操作者によるコンポーネント情報の外部からの、特に視覚的な検出を可能にするように構成される。特に有利には、そのためにプラスチック被覆は、少なくともコンポーネント情報の領域で、収縮装着された状態のときに透明に構成され、それにより、操作者によってコンポーネント情報を特別に簡易に読み取ることができる。
【0022】
その代替又は追加として、本発明の別の実施形態では、収縮装着されたプラスチック被覆に、特にプラスチック被覆の外面に、コンポーネント情報が配置されることが意図される。本発明のこの実施形態では、プラスチック被覆はその中に埋め込まれた、特にプラスチック被覆の外面に配置されたコンポーネント情報を有しており、特に好ましくは、それらのコンポーネント情報はプラスチック被覆に印刷又は接着されており、そこで操作者又は検出ユニットによって良好に検出可能である。コンポーネント情報の担体としてのプラスチック被覆の利用は、これを特別に簡易な方式で、特に視覚的な方法により、又は機械可読で良好に検出可能な方法により提供することを可能にし、それは、たとえばコンポーネント情報が適当な印刷色により、プラスチック被覆について選択される着色に対して高いコントラストで際立つことによってである。このときプラスチック被覆の着色は、識別表示のために、及び/又は繊維機械コンポーネントの判別のために、及び/又はマーケティング目的のために利用することができる。
【0023】
更に、本発明の特別に好ましい実施形態では、コンポーネント情報が機械可読であることが意図される。機械可読性のために、コンポーネント情報は、たとえばバーコード若しくはQRコードの形態で、又はRFIDチップ若しくは磁気コーディング手段によって提供され、このコンポーネント情報が適当な読取器によって検出されて読取器で表示され、及び/又は読取器を通じて、制御ユニット、評価ユニット、及び/又は表示ユニットなどの相応の処理ユニットへ伝送される。機械可読コードの利用は、繊維機械コンポーネントの限られた設計スペースで、特別に多様なコンポーネント情報を読出可能に提供することを可能にする。
【0024】
繊維機械コンポーネントに配置するためのプラスチック被覆の実施形態は、原則として自由に選択可能である。しかしながら1つの特別に好ましい実施形態では、プラスチック被覆はホース状に構成される。本発明のこの実施形態は、繊維機械コンポーネントへの、特にスピンドル構造体の円筒状の軸受ハウジングへの、特別に簡易で低コストの配置を保証する。更に、ホース状のプラスチック被覆の利用は、プラスチック被覆を繊維機械コンポーネントの表面に収縮装着する熱処理の後で、そのプラスチック被覆が繊維機械コンポーネントの表面、特に軸受ハウジングの表面に均等に配置されることを保証する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図面には次のものが示されている。
【0026】
図1】軸受ハウジングの上に配置されたプラスチック被覆を有するスピンドル構造体を示す斜視図である。
【0027】
繊維機械コンポーネントの実施例として、図1では、紡績機械又は撚糸機械のためのスピンドル構造体1が斜視図で示されている。スピンドル構造体1は、ここには図示しない紡績機械又は撚糸機械のスピンドルレールにスピンドル構造体1を配置するため、並びに、紡績機械又は撚糸機械の作動時にリールを嵌装可能であるスピンドル3を回転可能に支承するための役目を果たす軸受ハウジング6を有している。
【0028】
軸受ハウジング6は、同軸に配置されたホース状のプラスチック被覆2を外面に有していて、これが軸受ハウジング6への同軸の配置に基づいてその上に収縮装着されており、そのために繊維機械コンポーネントが、これに配置されたプラスチック被覆2とともに、適合化された熱処理にかけられる。プラスチック被覆2の外側の表面5には、製造者の名称の形態の第1のコンポーネント情報4と、QRコードの形態の第2のコンポーネント情報7とが印刷されており、QRコードは、材料供給源、材料組成、材料性質、個々のコンポーネント区域の製造プロセス、生産データ、たとえば生産地、生産期間、並びに稼働データ、耐用期間、保守整備サイクルなど、繊維機械コンポーネントの製品固有の情報を含んでいる。ここでは印刷は、熱処理に引き続いて適当な印刷装置によって行われる。
【符号の説明】
【0029】
1 スピンドル構造体
2 プラスチック被覆
3 スピンドル
4 第1のコンポーネント情報
5 表面(プラスチック被覆)
6 軸受ハウジング
7 第2のコンポーネント情報
図1
【国際調査報告】