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特表2024-514568太陽光発電パネルの設置に適合する場所を決定するための方法
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  • 特表-太陽光発電パネルの設置に適合する場所を決定するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】太陽光発電パネルの設置に適合する場所を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240326BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240326BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240326BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20240326BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06V10/82
G06N20/00
G06T7/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561606
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022059417
(87)【国際公開番号】W WO2022214654
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2103644
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521527163
【氏名又は名称】トタルエナジーズ エスイー
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES SE
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル ボルニュ,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】プーラン,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンヌーヴィル,テオ
(72)【発明者】
【氏名】ベナイム,ダヴィド
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA08
5L096FA02
5L096FA16
5L096HA11
5L096JA11
5L096JA22
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを事業者が識別するのを助けるための手段を提供する。
【解決手段】建物とは区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーン(Z)を決定するための方法において、テリトリーの上空から見た画像を受信するステップと、トレーニングされた分類モデルによって実施される第1の画像クラス内に、少なくとも一つの候補ゾーンの画像を格納している各画像を分類するステップと、トレーニングされたセグメンテーションモデルによって実施される各候補エリアの形状が強調表示されている処理済み画像を得るために、第1のクラスの各画像を処理するステップと、強調表示されたエリアの形状から、候補エリア上に太陽光発電パネルを設置するのに有用な幾何学的特徴を決定することによって、各候補エリアを特徴付けするステップとを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物とは区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーン(Z)と呼ばれるテリトリーのゾーンを決定するための方法において、前記候補ゾーン(Z)が、長さ数メートル、幅数メートルにわたり同じ性質の単数または複数の要素のエリアによって形成されており、前記要素は直射日光を受け、プロセスがコンピューターによって実施され、かつ、
a.同じクラスに分類するようにトレーニングされた分類モデルを得るために、候補ゾーン(Z)の上空から見た画像を含むデータベース上で分類モデルをトレーニングするステップであって、画像が少なくとも一つの候補ゾーン(Z)を画像化しているステップと、
b.画像上に画像化された候補ゾーン(Z)を強調表示するようにトレーニングされたセグメンテーションモデルを得るために、候補ゾーン(Z)の前記上空から見た画像を含むデータベース上でセグメンテーションモデルをトレーニングするステップと、
c.テリトリーの前記上空から見た画像(IM)を受信するステップと、
d.第1の画像クラス内に、少なくとも一つの候補ゾーン(Z)が画像化されている各画像(IM)を前記トレーニングされた分類モデルによって分類するステップと、
e.各候補ゾーン(Z)の形状が強調表示されている処理済み画像(IM)を得るために、第1のクラスの各画像(IM)を前記トレーニングされたセグメンテーションモデルにより処理するステップと、
f.強調表示されたゾーンの前記形状から、前記候補ゾーン(Z)上に太陽光発電パネルを設置するのに有用な少なくとも一つの幾何学的特徴を決定することによって、各候補ゾーン(Z)を特徴付けするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも一つの幾何学的特徴が、前記候補ゾーン(Z)の外部の建物などの要素の、候補ゾーン(Z)上の占有面積に関係するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特徴付けステップが、前記外部要素の前記占有面積に応じて、前記候補ゾーン(Z)の外部の要素により遮光された各候補ゾーン(Z)の部分を決定するステップを含み、遮光された部分が、前記処理済み画像(IM)上で強調表示されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴付けステップには、直射日光を遮る予め定義された寄生要素が存在する、各候補ゾーン(Z)の部分を決定するステップが含まれており、少なくとも一つの幾何学的特徴が、遮られた部分を除去した後の前記候補ゾーン(Z)の前記形状に関係するものであり、遮られた部分が、フィルタリングされるかまたは前記処理済み画像(IM)上で強調表示されている、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの幾何学的特徴が、前記候補ゾーン(Z)の矩形性に関係する係数であり、矩形性係数が、候補ゾーン(Z)の表面積と、前記処理済み画像(IM)上で強調表示された前記候補ゾーン(Z)の前記形状を取り囲む最小矩形形状の表面積とを比較することによって得られる、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記候補ゾーン(Z)上の太陽光発電パネルのレイアウトの決定を目的として、少なくとも一つの幾何学的特徴は、前記候補ゾーン(Z)が実質的に矩形形状を有する場合に前記候補ゾーン(Z)の長い方の辺の配向に関するものである、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記セグメンテーションモデルが、候補ゾーン(Z)を強調表示する少なくとも2つのセグメンテーションアルゴリズムを実装し、トレーニングされたセグメンテーションモデルにより前記処理済み画像上で強調表示された前記候補ゾーン(Z)が、2つのアルゴリズムによって得られた結果のマージングの結果としてもたらされ、一方のアルゴリズムはMask R-CNNアルゴリズムであり、他方のアルゴリズムはDeepLabアルゴリズムである、請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記処理済み画像(IM)上で強調表示された少なくとも一つの候補ゾーン(Z)の放射照度を決定するステップを含む、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記候補ゾーン(Z)が、屋外駐車場、雑木林および水域からなる群の中から選択される、請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
コンピュータープログラムがコンピューターで実行される際に、請求項1から9のいずれか一つに記載の方法の各ステップを実施する、コンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルの設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法に関する。
本発明は、さらにこのような方法と結び付けられたコンピュータープログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーからの発電は、我々の社会の一つの課題である。
この目的のために、太陽エネルギーから電気を生成するために使用される太陽光発電パネルを含めた専用の設備が開発されてきた。
太陽光発電パネルは、従来、回収エネルギーを最大化するために建物の屋根の上に設置されている。
【0003】
太陽光発電パネルの大規模展開のためには、一つのテリトリーで、このようなパネルの設置に適合するゾーンを他のゾーンと識別することが求められる。
しかしながら、このようなゾーンをマッピング上で識別することは容易ではない。
地図上に存在するゾーンの性質を表示する、ユーザーにより伝達されたデータに頼ることが可能である。
しかしながら、そうした場合、このようなゾーンを正確かつ網羅的に識別することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを、事業者が識別するのを助けるための手段の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本明細書は、建物とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーンと呼ばれるテリトリーのゾーンを決定するための方法において、候補ゾーンが、長さ数メートル、幅数メートルにわたり同じ性質の単数または複数の要素のエリアによって形成されており、要素は直射日光を受けるのに好適であり、コンピューターによって実施され、かつ、
a.同じクラスに分類するようにトレーニングされた分類モデルを得るために、候補ゾーンの上空から見た画像を含むデータベース上で分類モデルをトレーニングするステップであって、画像が少なくとも一つの候補ゾーンを画像化しているステップと、
b.画像上に画像化された候補ゾーンを強調表示するようにトレーニングされたセグメンテーションモデルを得るために、候補ゾーンの上空から見た画像を含むデータベース上でセグメンテーションモデルをトレーニングするステップと、
c.テリトリーの上空から見た画像を受信するステップと、
d.第1の画像クラス内に、少なくとも一つの候補ゾーンが画像化されている各画像を、トレーニングされた分類モデルによって分類するステップと、
e.トレーニングされたセグメンテーションモデルによって実施される、各候補エリアの形状が強調表示されている処理済み画像を得るために、第1のクラスの各画像を処理するステップと、
f.強調表示されたゾーンの形状から、候補ゾーン上に太陽光発電パネルを設置するのに有用な少なくとも一つの幾何学的特徴を決定することによって、各候補ゾーンを特徴付けするステップと、
を含む方法に関する。
【0006】
他の詳細な実施形態によると、該方法は、個別にまたは技術的に考えられる全ての組合せにしたがって考慮される以下の特徴のうちの一つ以上を含む:
- 少なくとも一つの幾何学的特徴は、候補ゾーンの外部の建物などの要素の、候補ゾーン上の占有面積に関係するものである;
- 特徴付けステップは、前記外部要素の占有面積にしたがって、候補ゾーンの外部の要素により遮光された各候補ゾーンの部分を決定するステップを含み、遮光された部分は有利には、処理済み画像上で強調表示されている;
- 特徴付けステップには、直射日光を遮る予め定義された寄生要素が存在する、各候補ゾーンの部分を決定するステップが含まれており、少なくとも一つの幾何学的特徴は、遮られた部分を除去した後の候補ゾーンの形状に関係するものであり、遮られた部分は有利には、フィルタリングされるかまたは処理済み画像上で強調表示されている;
- 少なくとも一つの幾何学的特徴は、候補ゾーンの矩形性に関係する係数であり、矩形性係数が、候補ゾーンの表面積と、処理済み画像上で強調表示された候補ゾーンの形状を取り囲む最小矩形形状の表面積とを比較することによって得られる;
- 候補ゾーン上の太陽光発電パネルのレイアウトの決定を目的として、少なくとも一つの幾何学的特徴は、候補ゾーンが実質的に矩形形状を有する場合に候補ゾーンの長い方の辺の配向に関するものである;
- セグメンテーションモデルは、候補ゾーンを強調表示するのに好適な少なくとも2つのセグメンテーションアルゴリズムを実装し、トレーニングされたセグメンテーションモデルにより処理済み画像上で強調表示された候補ゾーンが、2つのアルゴリズムによって得られた結果のマージングの結果としてもたらされ、好適には一方のアルゴリズムはいわゆるMask R-CNNアルゴリズムであり、他方のアルゴリズムはいわゆるDeepLabアルゴリズムである;
- 該方法はさらに、処理済み画像上で強調表示された少なくとも一つの候補ゾーンの放射照度を決定するステップを含む;
- 候補ゾーンは、屋外駐車場、雑木林および水域からなる群の中から選択される。
【0007】
本明細書はさらに、コンピュータープログラムがコンピューターで実行される際に、上述の方法を実行するための、コンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品に関する。
【0008】
本明細書はさらに、以上で説明したようなコンピュータープログラム製品が記憶されている可読情報媒体に関する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、以下で、単なる一例として提供されている本発明の実施形態の説明を読み以下の図面を参照した時点で、明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施に使用されるコンピューターの一例の概略図である。
図2】太陽光発電パネルの設置に適合するテリトリーのゾーンを決定するための方法の一実施例の流れ図である。
図3】太陽光発電パネルの設置のための候補ゾーンが強調表示されている処理済み画像の一例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
計算機10およびコンピュータープログラム製品12が、図1に示されている。
【0012】
計算機10は、好適にはコンピューターである。
【0013】
より一般的には、計算機10は、計算機10のレジスタおよび/またはメモリ内の電子的または物理的数量として表現されたデータを、メモリ、レジスタまたは他のタイプのディスプレー、トランスミッションまたはストレージ内の物理的データに対応する他の類似のデータへと操作および/または変換するのに好適な電子式計算機である。
【0014】
計算機10は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする。
【0015】
図1に示されているように、計算機10は、データ処理ユニット16、メモリ18およびデータ記憶媒体20から成るプロセッサ14を含む。
図1に例示されている実施例において、計算機10は、キーボード22および表示ユニット24を含む。
【0016】
コンピュータープログラム製品12は、記憶媒体26を含む。
【0017】
記憶媒体26は、計算機10、通常はデータ処理ユニット16によって読取り可能な媒体である。
可読記憶媒体26は、電子命令を記憶するのに好適でかつコンピューターシステムのバスに結合可能な媒体である。
【0018】
一例として、記憶媒体26は、ディスケットまたはフロッピーディスク(登録商標)、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気カードまたは光カードである。
【0019】
プログラム命令を格納するコンピュータープログラム12は、記憶媒体26に記憶されている。
【0020】
コンピュータープログラム12は、データ処理ユニット16内にロードされ得、かつそれが計算機10の処理ユニット16上に実装された時点で、太陽光発電パネルの設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施へと導くのに好適である。
【0021】
ここで、太陽光発電パネル(ソーラーパネル)の設置に適合する一つのテリトリーのゾーンを決定するための方法の実施例を概略的に例示する図2、ならびに該方法の実施中に得られた画像の一例を例示する図3を参照しながら計算機10の動作について説明する。
【0022】
決定方法は、建物(詳細にはこのような建物の屋根)とは明確に区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する、候補ゾーンZと呼ばれる一つのテリトリーのゾーンを決定することを意図したものである。
換言すると、各々の候補ゾーンZは、典型的に、単数または複数の太陽光発電パネルの当該ゾーン上への設置を可能にする寸法および形状を有する。
【0023】
このような候補ゾーンZは、こうして、長さ数メートル、幅数メートルにわたる同じ性質の単数または複数の要素のエリアによって形成される。
要素は、野外にあり、直射日光を受けるのに好適である。
【0024】
一実施例において、候補ゾーンZは、屋外駐車場、雑木林および水域からなる群の中から選択される。
【0025】
屋外駐車場は、車両を駐車するように意図されたゾーンである。
屋外駐車場は、任意には、車両の駐車スペースを境界画定するマーキングを地面上に含む。
屋外駐車場の場合、同じ性質の要素は、例えば駐車場の地表面の材料(コンクリート、土壌)である。
【0026】
雑木林は、木、低木または茂みのエリアならびに植生からなるゾーンである。
森林は、雑木林の一例である。
【0027】
水域は、密閉空間内の一定体積の大量の水で満たされている。
湖、池、沼および凹地が、水域の例である。
【0028】
決定方法は、候補ゾーンZの上空から見た画像を含むデータベース上で分類モデルをトレーニングするステップ100を含む。
ステップ100は、少なくとも一つの候補ゾーンZを画像化する画像を同じクラスに分類するようにトレーニングされた分類モデルを得るために使用される(すなわち、他のクラスの画像は、いかなる候補ゾーンZも画像化していない)。
ステップ100は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0029】
「上空から見た」なる用語は、画像が、例えば建物の屋根を画像化することを可能にする高い視点から撮られたものであることを意味する。
【0030】
データベースの画像は、例えば衛星システムによって取得されたものである。
一変形形態においては、データベースの画像は、航空機に搭載された取得システム(カメラ)によって収集されたものである。
【0031】
データベースの画像は、例えば衛星システムによって取得されたものである。
一変形形態においては、データベースの画像は、航空機に搭載された取得システム(カメラ)によって収集されたものである。
【0032】
好適には、画像は2次元画像である。
有利には、画像は、カラー画像である。
【0033】
好適には、データベースの単数または複数の画像は、重複する、すなわち共通の画像部分を有する。
【0034】
任意には、データベースの画像は、候補ゾーンZと明確に区別される既定の要素のみを含む画像を除去するために予めフィルタリングされている。
既定の要素は、例えば、森林、山、水域または野原からなる群の中から選択される。
これにより、各々少なくとも一つの候補ゾーンZを画像化している画像のデータベース上で分類モデルをトレーニングすることが保証される。
【0035】
一実施例において、データベースの各画像は、分類によりラベル付けされ、この分類は、少なくとも、画像が候補ゾーンZを含むか否かを表示している。
分類は、例えば事業者によって決定されたものである。
【0036】
一実施例において、分類モデルのトレーニングは、データベースに適用される学習方法にしたがって実施される。
【0037】
分類モデルは、例えばニューラルネットワークである。
学習方法モデルは、データベース上でニューラルネットワークの学習が進むにつれて、そのニューラルネットワークを構成するために使用される。
一例においては、データベースの一部分が、ニューラルネットワークを構成するために使用され、他の部分が構成を検証するために使用される。
【0038】
好適には、分類モデルは、2値モデル(候補ゾーンZの存在または不在のいずれか)である。
一変形形態において、分類モデルは同様に、候補ゾーンZの下位カテゴリーを決定するようにトレーニングされたものである(例えば、屋外駐車場と森林の区別)。
【0039】
該決定方法は、候補ゾーンZの上空から見た画像を含むデータベース上でセグメンテーションモデルをトレーニングするステップ110を含む。
ステップ110は、画像上で画像化された候補ゾーンZを強調表示するようにトレーニングされたセグメンテーションモデルを得るために使用される。
ステップ110は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10により実施される。
すなわちコンピューターによって実施される。
【0040】
セグメンテーションモデルは、画像上に画像化された他の要素から候補ゾーンZを境界画定することを目的としている。
【0041】
データベースは、例えば、分類モデルをトレーニングするステップ100におけるデータベースと同じである。
一変形形態において、データベースは、分類モデルに特異的である。
【0042】
一実施例において、セグメンテーションモデルのトレーニングは、データベースに適用される学習方法にしたがって実施される。
【0043】
分類モデルは、例えばニューラルネットワークである。
学習方法モデルは、データベース上でニューラルネットワークの学習が進むにつれて、そのニューラルネットワークを構成するために使用される。
一例においては、データベースの一部分が、ニューラルネットワークを構成するために使用され、他の部分が構成を検証するために使用される。
【0044】
好適には、セグメンテーションモデルは、Mask R-CNN(Mask Region Based Convolutional Neural Networks)アルゴリズムおよびDeepLabアルゴリズム(例えばDeepLab V2)のうちの少なくとも一つのアルゴリズムを実装する。
【0045】
好適には、セグメンテーションモデルは、候補ゾーンZを強調表示するのに好適である少なくとも2つのセグメンテーションアルゴリズムを実装する。
このような場合、トレーニングされたセグメンテーションモデルによって、処理済み画像IM上で強調表示された候補ゾーンZは、2つのアルゴリズムによって得られた結果のマージングの結果としてもたらされる。
例えば一つのアルゴリズムは、いわゆるMask R-CNNアルゴリズムであり、別のアルゴリズムは、いわゆるDeepLabアルゴリズム(例えばDeepLab V2)である。
【0046】
該決定方法は、テリトリーの上空から見た画像を受信するステップ120を含む。
テリトリーは、太陽光発電パネルを設置することが望まれる空間である。
テリトリーは、典型的には、異なるタイプの環境、例えば都市要素および植生を含む。
【0047】
ステップ120は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0048】
該決定方法は、第1の画像クラス内で、少なくとも一つの候補ゾーンZが画像化されている各々の画像IMを、トレーニングされた分類モデルにより分類するステップ130を含む。
ステップ130は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0049】
こうして、トレーニングされた分類モデルが2項分類を行なう場合、少なくとも一つの候補ゾーンZが見える第1の画像クラスおよび候補ゾーンZが全く見えない第2の画像クラスという2つの画像クラスが得られる。
【0050】
該決定方法は、各候補ゾーンZの形状が強調表示されている処理済み画像IMを得るために、トレーニングされたセグメンテーションモデルによって第1のクラスの各画像IMを処理するステップ140を含む。
ステップ140は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0051】
こうして、ステップ140は、画像上に画像化された他の要素との関係において、各々の候補ゾーンZ(少なくとも輪郭)を強調表示するために使用される。
【0052】
図3は、候補ゾーンZが(フレーミングによって)強調表示されているテリトリーの画像IMの一実施例を示す。
前記実施例において、候補ゾーンZは、屋外駐車場である。
【0053】
該決定方法は、強調表示されたゾーンの形状から、候補ゾーンZ上の太陽光発電パネルの設置に有用な少なくとも一つの幾何学的特徴を決定することによって、各候補ゾーンZを特徴付けするステップ150を含む。
ステップ150は、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0054】
候補ゾーンZ上での太陽光発電パネルの設置のために有用な幾何学的特徴は、候補ゾーンZ全体にわたる太陽光発電パネルの分布を組織するために使用される特徴である。
このような特徴は、例えば、候補ゾーンZ上に設置可能な太陽光発電パネルの数、寸法または配向のうちの一つを決定するために使用される。
このような特徴は、例えばより多くの太陽光発電パネルの設置を可能にすることなどを理由として、別の候補ゾーンではなく一つの候補ゾーンZを選択するのを助けるために使用され得る。
【0055】
一実施例において、特徴付けステップ150は、以下で説明する特徴のうちの単数または複数の幾何学的特徴を決定するために使用される。
【0056】
幾何学的特徴の一例は、候補ゾーンZが実質的に矩形の形状を有する場合に、候補ゾーンZの長い方の辺(長さ)の配向に関係する幾何学的特徴である。
こうして、候補ゾーンZ上の太陽光発電パネルのレイアウトを決定することが可能である。
【0057】
典型的には、候補ゾーンZが屋外駐車場である場合、駐車場は、その長さに沿って配設され、こうしてスペースの数が最適化される。
したがって、候補ゾーンZの長い方の辺(長さ)の配向が分かっていれば、駐車場の長さに沿って太陽光発電パネルを配設し、こうして太陽光発電パネルの数を最大化することが可能である。
【0058】
幾何学的特徴の別の例は、候補ゾーンZの表面である。
このような特徴は、候補ゾーンZ上に設置可能な太陽光発電パネルの表面積および/または数を決定するために使用される。
【0059】
幾何学的特徴のさらに別の例は、候補ゾーンZの矩形性に関係する係数である。
矩形性係数は、例えば、候補ゾーンZの表面積と、処理済み画像IM上で強調表示された候補ゾーンZの形状を取り囲む最小矩形形状の表面積とを比較することによって得られる。
このような特徴は、ソーラーパネルが従来矩形形状を有することから、太陽光発電パネルの設置のための候補ゾーンZの有効表面積を評価するために使用される。
【0060】
幾何学的特徴のさらに別の例は、候補ゾーンZの外部の建物などの要素の、候補ゾーンZ上の占有面積に関係する幾何学的特徴である。
【0061】
地面上の占有面積は、候補ゾーンZ上へのこの候補ゾーンZの外部の要素の垂直投影である。
したがって地面上の占有面積は、外部要素によって遮られる(遮光される)候補ゾーンZの部分、すなわち直射日光を受けない候補ゾーンZの部分を決定するために使用される。
【0062】
有利には、特徴付けステップは、前記外部要素の占有面積に応じて、候補ゾーンZの外部の要素により遮光された各候補ゾーンZの部分を決定するステップを含む。
遮光された部分は、有利には、処理済み画像IM上で強調表示される。
【0063】
幾何学的特徴のさらに別の例は、寄生要素によって遮られた各候補ゾーンZの部分を除去した後の候補ゾーンZの形状に関係する幾何学的特徴である。
寄生要素とは、直射日光を遮る予め定義された要素である。
遮られた部分は、有利にはフィルタリングされるか、または処理済み画像IM上で強調表示される。
【0064】
典型的には、このような幾何学的特徴は、太陽光発電パネルの設置に有用である候補ゾーンZの表面積をより正確に評価するために使用される。
候補ゾーンZが屋外駐車場である場合には、寄生要素は、例えば、水で覆われたゾーンであり、このような水で覆われたゾーンは、太陽光発電パネルの設置のために使用するのがより困難である。
【0065】
任意には、該決定方法は、処理済み画像IM上で強調表示された少なくとも一つの候補ゾーンZの放射照度を決定するステップ160を含む。
ステップ160は、例えば、コンピュータープログラム製品12とインタラクトする計算機10によって実施される。
すなわち、コンピューターによって実施される。
【0066】
平方メートルあたりのワット数(W/m)として表現される放射照度は、表面積単位あたりの表面が受取る入射放射束(出力)である。
放射照度は、例えば、考慮中のテリトリーの放射照度マッピングを用いて決定される。
【0067】
任意には、該決定方法は、各ゾーンの決定された幾何学的特徴に応じて、かつ該当する場合には、各ゾーンについて決定された放射照度に応じて、太陽光発電パネルを製造しかつ/または環境の候補ゾーン上に太陽光発電パネルを設置するステップ170を含む。
【0068】
こうして、該方法は、ゾーンが建物とは異なっていることから、ソーラーパネルの設置に適合する一環境のゾーンを決定するために使用可能である。
より詳細には、特徴付けステップは、ソーラーパネルの設置要件と決定された候補ゾーンZとの適合性を評価するために、このようなゾーンを幾何学的に特徴付けするために使用される。
こうして、前記ゾーン上にソーラーパネルを設置することの実現可能性と利便性(十分な表面積、最適なレイアウト)を評価することが可能である。
【0069】
当業者であれば、技術的に適合することを条件として、新規の実施形態を形成するために上述の実施形態および変形形態を組合せることができるということを理解するものである。
【0070】
さらに、該方法のステップの順序は一例として示されており、異なるステップを別の順序で実施することも可能である(例えば、ステップ100の前にステップ110、さらにはステップ150の前にステップ160)。
【0071】
以下では、候補ゾーンが駐車場である場合についての、決定方法の具体的な実施例が示されている。
【0072】
前記例においては、2つのデータベースが手作業で構築されている。
すなわち:
- 駐車場を伴う6747の画像および駐車場を全く伴わない6684の画像を含む分類モデルをトレーニングするための第1のデータベース、および、
- 駐車場を伴いかつ各駐車場を表わす多角形でラベル付けされた6747の画像を含むセグメンテーションモデルをトレーニングするための第2のデータベース。
【0073】
各データベースは2つのデータサブグループ、すなわち対応するモデルを学習するための第1のサブグループ(画像の約3分の2)およびモデルをテストするための第2のサブグループ(画像の約3分の1)に分割された。
【0074】
2つのデータベースは各々、この場合フランスである一つの地理的ゾーンの上空から見た画像から得たものである。画像は、Google Earth、IGNまたはSentinelなどのサイトを介して、公開されているデータから得たものである。
【0075】
画像は各々、オペレータによって精査されており、オペレータは画像上で任意の駐車場を識別するマーキングにより手作業でそれにラベル付けしている。
マーキングは、例えば、駐車場の形状およびサイズを定義する多角形を得るために使用されるポインティングソフトウェアを介して、駐車場の端部をポインティングすることからなる。
【0076】
前記例において、分類モデルは、残差ニューラルネットワーク(ResNet)およびXGBoostアルゴリズムに基づいている。
モデルのトレーニングは、第1のデータベース(学習および検証)に基づいて実施された。
【0077】
前記例において、セグメンテーションモデルはDeepLab V3とMask R-CNNアルゴリズムのマージングに基づいている。
モデルのトレーニングは、第2のデータベース(学習および検証)に基づいてこのようなアルゴリズムにしたがって実施された。
より詳細には、マージングについては、以下の規則が定義されている:
- 多角形(多角形は駐車場を具体化している)の集合の表面積上の共通部分の表面積に関して:百分率が所与の百分率よりも高い場合、一つの駐車場しかないものとみなされ、それは保持され、そうでない場合にはそれは除去される。
- 多角形の一つがもう一方の多角形の中に充分含まれている場合には、最小のものが保持される。
【0078】
トレーニングされた分類モデルおよびセグメンテーションモデルは、このとき、駐車場上の太陽光発電パネルの考えられる設置を目的として、駐車場を特徴付けするために使用された。
【符号の説明】
【0079】
10 計算機
12 コンピュータープログラム製品
14 プロセッサ
16 データ処理ユニット
18 メモリ
20 データ記憶媒体
22 キーボード
24 表示ユニット
26 記憶媒体
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物とは区別され、かつ太陽光発電パネルの設置に適合する候補ゾーン(Z)と呼ばれるテリトリーのゾーンを決定するための方法において、前記候補ゾーン(Z)が、長さ数メートル、幅数メートルにわたり同じ性質の単数または複数の要素のエリアによって形成されており、前記要素は直射日光を受け、プロセスがコンピューターによって実施され、かつ、
a.同じクラスに分類するようにトレーニングされた分類モデルを得るために、候補ゾーン(Z)の上空から見た画像を含むデータベース上で分類モデルをトレーニングするステップであって、画像が少なくとも一つの候補ゾーン(Z)を画像化しているステップと、
b.画像上に画像化された候補ゾーン(Z)を強調表示するようにトレーニングされたセグメンテーションモデルを得るために、候補ゾーン(Z)の前記上空から見た画像を含むデータベース上でセグメンテーションモデルをトレーニングするステップと、
c.テリトリーの前記上空から見た画像(IM)を受信するステップと、
d.第1の画像クラス内に、少なくとも一つの候補ゾーン(Z)が画像化されている各画像(IM)を前記トレーニングされた分類モデルによって分類するステップと、
e.各候補ゾーン(Z)の形状が強調表示されている処理済み画像(IM)を得るために、第1のクラスの各画像(IM)を前記トレーニングされたセグメンテーションモデルにより処理するステップと、
f.強調表示されたゾーンの前記形状から、前記候補ゾーン(Z)上に太陽光発電パネルを設置するのに有用な少なくとも一つの幾何学的特徴を決定することによって、各候補ゾーン(Z)を特徴付けするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも一つの幾何学的特徴が、前記候補ゾーン(Z)の外部の建物などの要素の、候補ゾーン(Z)上の占有面積に関係するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特徴付けステップが、前記外部要素の前記占有面積に応じて、前記候補ゾーン(Z)の外部の要素により遮光された各候補ゾーン(Z)の部分を決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
遮光された部分が、前記処理済み画像(IM )上で強調表示されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特徴付けステップには、直射日光を遮る予め定義された寄生要素が存在する、各候補ゾーン(Z)の部分を決定するステップが含まれており、少なくとも一つの幾何学的特徴が、遮られた部分を除去した後の前記候補ゾーン(Z)の前記形状に関係するものである、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記遮られた部分が、フィルタリングされるかまたは前記処理済み画像(IM )上で強調表示されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの幾何学的特徴が、前記候補ゾーン(Z)の矩形性に関係する係数であり、矩形性係数が、候補ゾーン(Z)の表面積と、前記処理済み画像(IM)上で強調表示された前記候補ゾーン(Z)の前記形状を取り囲む最小矩形形状の表面積とを比較することによって得られる、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記候補ゾーン(Z)上の太陽光発電パネルのレイアウトの決定を目的として、少なくとも一つの幾何学的特徴は、前記候補ゾーン(Z)が実質的に矩形形状を有する場合に前記候補ゾーン(Z)の長い方の辺の配向に関するものである、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記セグメンテーションモデルが、候補ゾーン(Z)を強調表示する少なくとも2つのセグメンテーションアルゴリズムを実装し、トレーニングされたセグメンテーションモデルにより前記処理済み画像上で強調表示された前記候補ゾーン(Z)が、2つのアルゴリズムによって得られた結果のマージングの結果としてもたらされる、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
一方のアルゴリズムはMask R-CNNアルゴリズムであり、他方のアルゴリズムはDeepLabアルゴリズムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理済み画像(IM)上で強調表示された少なくとも一つの候補ゾーン(Z)の放射照度を決定するステップを含む、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記候補ゾーン(Z)が、屋外駐車場、雑木林および水域からなる群の中から選択される、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
コンピュータープログラムがコンピューター実行される際に、請求項1からのいずれか一つに記載の方法の各ステップを実施する、コンピューター可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を含むコンピュータープログラム製品。
【国際調査報告】