(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液体吸収機能を備える布地
(51)【国際特許分類】
A41B 9/12 20060101AFI20240326BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20240326BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20240326BHJP
A41D 31/12 20190101ALI20240326BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A41B9/12 E
A41D31/00 502C
A41D31/04 C
A41D31/12
A61F13/15 130
A61F13/15 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561619
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 GB2022050749
(87)【国際公開番号】W WO2022214781
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523377955
【氏名又は名称】エムエーエス イノベーション (プライベート) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダッサナヤケ、シティラ アヨミ
(72)【発明者】
【氏名】ラトナウェーラ、ディル ロシャン
(72)【発明者】
【氏名】ペレラ、ヘッティ アラチチゲ マラカ チャテュ
(72)【発明者】
【氏名】ドダンゴダゲ、インディカ サンジェーワ ウィックラマラトネ
【テーマコード(参考)】
3B128
3B200
【Fターム(参考)】
3B128KA01
3B128SA01
3B128SA02
3B128SA05
3B128SA06
3B128SB02
3B200BA01
3B200BA02
3B200BA05
3B200BB06
3B200BB11
(57)【要約】
[液体吸収機能を備える布地]
液体吸収機能を備える布地(100)が提供される。布地(100)は、第1の層(102)、第2の層(106)およびスペーサ糸(128)を備える。第1の層(102)は、疎水性糸(110)を含み、第2の層(106)は、一緒に撚り合わされた親水性糸(112)および補強糸(114)を含む。疎水性糸(110)、親水性糸(112)および補強糸(114)は一緒に、第1の層(102)の上面(122)に複数の谷部(120)を画定するように構成されている。スペーサ糸(128)は、第1の層(102)および第2の層(106)を接続するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性糸を含む第1の層;
前記第1の層の遠位にあって、親水性糸および補強糸を含む第2の層、前記親水性糸および前記補強糸は一緒に撚り合わされている、および、前記疎水性糸、前記親水性糸および前記補強糸は一緒に、前記第1の層の上面に複数の谷部を画定するように構成されている;および、
前記第1の層および前記第2の層を接続するように構成されたスペーサ糸、
を備える布地。
【請求項2】
前記第1の層および前記第2の層の間に配置された吸収層を更に備える、
請求項1に記載の布地。
【請求項3】
前記補強糸はエラストマー糸である、
請求項1または2に記載の布地。
【請求項4】
前記補強糸は収縮糸である、
請求項1から3の何れか一項に記載の布地。
【請求項5】
複数のループを更に備え、
前記谷部の断面積は、前記複数のループのうちの1つのループによって画定される断面積に少なくとも等しい、
請求項1から4の何れか一項に記載の布地。
【請求項6】
前記第1の層の糸の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1から5の何れか一項に記載の布地。
【請求項7】
前記第2の層の糸の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1から6の何れか一項に記載の布地。
【請求項8】
前記スペーサ糸の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1から7の何れか一項に記載の布地。
【請求項9】
前記スペーサ糸は疎水性である、
請求項1から8の何れか一項に記載の布地。
【請求項10】
前記スペーサ糸は親水性である、
請求項1から9の何れか一項に記載の布地。
【請求項11】
前記吸収層は、綿、レーヨン、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項2に記載の布地。
【請求項12】
前記第1の層および前記第2の層の間に画定される厚みは、約1mmから12mmの範囲にある、
請求項1から11の何れか一項に記載の布地。
【請求項13】
布地を作る方法であって、
疎水性糸を編んで第1の層を形成する段階;
親水性糸および補強糸を一緒に編んで第2の層を形成する段階;
スペーサ糸を用いて前記第1の層および前記第2の層を接続する段階;および、
前記第1の層の上面に複数の谷部を形成する段階、前記疎水性糸、前記親水性糸および前記補強糸は一緒に、前記複数の谷部を画定する、
を備える方法。
【請求項14】
前記第1の層および前記第2の層の間における予め定義された位置において複数の縫い目を入れ替えて前記複数の谷部を形成する段階を更に備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記補強糸はエラストマー糸である、および、前記疎水性糸および前記エラストマー糸の間における前記複数の縫い目は前記予め定義された位置において入れ替えられる、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記補強糸に刺激を加えて前記複数の谷部を形成する段階を更に備える、
請求項13から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記補強糸は収縮糸である、
請求項13から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性糸のループ長に対して前記親水性糸のループ長を短くして前記複数の谷部を形成する段階を更に備える、
請求項13から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の層および前記第2の層の間に吸収層をはめ込む段階を更に備える、
請求項13から18の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は布地に関するものであり、特に、液体吸収機能を備える布地、および、当該布地を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の進歩により、織物、より具体的には液体および湿気管理が大幅に改善された。布地の表面に液体や湿気の斑点を形成することなく、濡れた領域を簡単かつ迅速に乾燥させる必要性の高まりに伴い、多重複合織物の使用が検討されてきた。多重複合織物は、異なる機能を有する様々な個別の材料を含む。多重複合織物の使用は、特にスポーツウェア、おむつ、および、衣類において、着用者に快適性と衛生性の利点を与える可能性がある。
【0003】
湿気および液体を迅速に吸収する目的に対して多重複合織物が適用されてきた。多重複合織物を製造する試みの中には、ポリマー吸収剤、吸収性不織布、吸収性結晶、および、疎水性コーティングなどの追加の材料が必要な場合がある。しかしながら、そのような追加の材料を含めると、布地製造のプロセスが更に複雑になり、コストがかかり、追加の時間がかかることになる。更に、幾つかの多重複合織物は、急速な摩耗に加えて、効率的な液体の吸収およびチャネリングの機能を欠いており、その結果、洗濯の耐久性、性能および有効性が大幅に低下する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、布地が開示される。布地は、第1の層と、第1の層の遠位側にある第2の層と、第1の層および第2の層を接続するように構成されたスペーサ糸とを含む。第1の層は疎水性糸を含む。第2の層は、親水性糸および補強糸を含む。親水性糸および補強糸は一緒に撚り合わされている。疎水性糸、親水性糸および補強糸は一緒に、第1の層の上面に複数の谷部を画定するように構成されている。一実施形態において、布地は、第1の層および第2の層の間に配置された吸収層を含む。吸収層は、綿、レーヨン、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、補強糸はエラストマー糸である。別の実施形態において、補強糸は収縮糸である。
【0005】
一実施形態において、布地は複数のループを含む。谷部の断面積は、複数のループのうちの1つのループによって画定された断面積に少なくとも等しい。一実施形態において、第1の層の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、第2の層の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む。更に別の実施形態において、スペーサ糸の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、スペーサ糸は疎水性である。別の実施形態において、スペーサ糸は親水性である。一実施形態において、布地は、第1の層および第2の層の間に画定される厚みを有し、当該厚みは、約1mmから12mmの範囲である。
【0006】
本開示の別の態様では、布地を作る方法が開示される。方法は、疎水性糸を編んで第1の層を形成する段階、および、親水性糸および補強糸を一緒に編んで第2の層を形成する段階を備える。方法は更に、スペーサ糸を用いて第1の層および第2の層を接続する段階、および、第1の層の上面に複数の谷部を形成する段階を備える。疎水性糸、親水性糸および補強糸は一緒に、複数の谷部を画定する。一実施形態において、方法は、第1の層および第2の層の間に吸収層をはめ込む段階を備える。
【0007】
一実施形態において、布地を作る方法は、第1の層および第2の層の間における複数の予め定義された位置において複数の縫い目を入れ替えて複数の谷部を形成する段階を備える。補強糸はエラストマー糸であり、疎水性糸およびエラストマー糸の間における複数の縫い目は、複数の予め定義された位置において入れ替えられる。別の実施形態において、布地を作る方法は、補強糸に刺激を加えて複数の谷部を形成する段階を備え、そこにおける補強糸は収縮糸である。更に別の実施形態において、布地を作る方法は、疎水性糸のループ長に対して親水性糸のループ長を短くして複数の谷部を形成する段階を備える。
【0008】
本開示の他の特徴および態様は、以下の説明および添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面と共に実施形態の詳細な説明を参照することにより、本開示の実施形態(その代替例および/または変形例を含む)のより良い理解が得られ得る。
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による、複数の谷部を有する布地の概略的な上面斜視図である。
【0011】
【
図2】本開示の一実施形態による、布地の概略的な断面図である。
【0012】
【
図3】本開示の一実施形態による、布地の糸の例示的なループデザインを示す概略的な分解図である。
【0013】
【
図4】本開示の一実施形態による、布地を作る方法の模式フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、特定の実施形態または特徴について詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面全体を通じて、同じまたは対応する部分を指すために、対応するまたは類似の参照番号が使用される。更に、本明細書に記載される様々な要素への言及は、同じ種類の要素が複数ある場合には、集合的に、または個別に行われる。しかしながら、そのような言及は、本質的には単なる例示に過ぎない。添付の特許請求の範囲に明示的に記載されていない限り、本開示の範囲をそのような要素の正確な数または種類に限定することなく、単数形での要素への如何なる言及も複数形に関連すると解釈され得、その逆も同様であることに留意されてもよい。
【0015】
図1を参照すると、本開示の一実施形態による、布地100の上面斜視図が示されている。布地100は、布地100の上側104に第1の層102を含み、布地100の下側108に第2の層106を含む。第1の層102は、疎水性糸110を含み、第2の層106は、親水性糸112および補強糸114を含む。親水性糸112および補強糸114は、一緒に撚り合わされている。一実施形態において、親水性糸112および補強糸114は、これらに限定されないが、通常の撚り合わせ、ナバホ撚り合わせ、機械撚り合わせ、または、2つまたはそれより多くの糸を組み合わせる任意の公知の撚り合わせ手法を含む手法を用いて一緒に撚り合わされてもよい。疎水性糸110は、布地100の第1の層102を乾燥または湿気のない状態に保つために、その表面またはその近傍から液体を弾きまたは移動させるために用いられる。一実施形態において、第1の層102は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない材料で作られる。疎水性糸110は、第1の層102の糸を化学処理して疎水性を付与した結果として得られる。親水性糸112は、液体を親水性糸112の近傍から中心部へと引き付ける又は吸収するために用いられる。一実施形態において、第2の層106は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない材料で作られる。親水性糸112は、第2の層106の糸を化学処理して親水性を付与した結果として得られる。一実施形態において、補強糸114はエラストマー糸である。別の実施形態において、補強糸114は収縮糸である。
【0016】
疎水性糸110、親水性糸112および補強糸114は一緒に、第1の層102の上面122に複数の谷部120を画定するように構成される。一実施形態において、補強糸114はエラストマー糸であり、そのような場合、第1の層102および第2の層106の間の予め定義された位置において複数の縫い目を入れ替えることにより単一の谷部120が形成されてもよい。複数の縫い目を入れ替えることにより形成される複数の谷部120は、第1の層102の上面122から第2の層106への液体または湿気の流れを加速させる通路として作用することができる。谷部120は、補強糸114と関連する弾性特性により、第1の層102の上面122よりも低い高さに存在する。布地100の上面122における様々な予め定義された位置にある複数の谷部120は、本質的に疎水性である第1の層102が液体をその近傍から谷部120に向かって誘導するので、液体の除去をより迅速かつより効果的にする。液体は、親水性糸112の存在に起因して、谷部120を通って第2の層106に吸い上げられ、液体は、第2の層106の表面全体に広がる。第2の層106のより大きな表面積に起因して、液体はその環境内で蒸発する。
【0017】
図2を参照すると、本開示の一実施形態による、布地100の概略的な断面図が示されている。布地100は、第1の層102および第2の層106を接続するように構成されたスペーサ糸128を備える。一実施形態において、スペーサ糸128は、スティッチング、編み、織り、または貼り付けを含むがこれらに限定されない手法を用いて、第1の層102および第2の層106を接続し得る。スペーサ糸128は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビスコース、アクリル樹脂、綿、毛、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない材料で作られる。一実施形態において、スペーサ糸128は疎水性である。別の実施形態において、スペーサ糸128は親水性である。いくつかの実施形態において、スペーサ糸128は、布地100の用途に応じて、疎水性または親水性であってもよい。親水性のスペーサ糸を用いることにより、布地100のより大きな液体ウィッキング能力が保証され得る。糸の疎水性または親水性は、疎水性または親水性材料で糸を化学処理した結果として得られる。
【0018】
布地100は更に、第1の層102および第2の層106の間に配置される吸収層130を備える。吸収層130は、第1の層102から谷部120を介して布地100の第2の層106へと湿気を吸収または吸い上げるために用いられる。一実施形態において、吸収層130は、綿、レーヨンまたはそれらの組み合わせを含む。代替的に、吸収層130は、高い吸収性を有する任意の親水性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態において、布地100における吸収層130の実装は、布地100の用途に従い得る。
【0019】
一実施形態において、第2の層106は、第1の層102の遠位にある。布地100は、第1の層102および第2の層106の間に画定される厚み「T」を有し、厚み「T」は、約1mmから12mmの範囲にある。1mmから12mmの間で異なる布地100の厚みは、吸収層130を含むこと、および、布地100の用途、に依存し得る。布地100の吸収能力を向上するために吸収層130を含めることにより、吸収層130を含まない布地と比較して厚い布地がもたらされる。複数の谷部120の存在に起因して、液体液滴は布地100の吸収層130に容易に吸収され、よって吸収層130の横方向の湿潤を引き起こし、これにより更に、第2の層106における液体の吸い上げ又は吸収を、吸収層130を含まない布地と比較して短時間で増加させる。
【0020】
図3を参照すると、本開示の一実施形態による、布地100の疎水性糸110、親水性糸112および補強糸114の例示的なループデザインを示す概略的な分解図が示されている。疎水性糸110、親水性糸112および補強糸114の各々は、複数のループ132を有する。複数のループ132は代替的に、「ループ132」、「複数のループ132」または「1つのループ132」と称される。一実施形態において、谷部120の断面積は、複数のループ132のうちの1つのループによって画定される断面積に少なくとも等しい。一実施形態において、疎水性糸110、親水性糸112および補強糸114の各々の1つのループ132は、谷部120を形成するように構成されてもよい。具体的には、布地100の第1の層102および第2の層106の各々は、複数のループ132を有する。第1の層102および第2の層106の各々は、谷部120が存在する予め定義された位置を除いて、布地100の周囲全体で同じパターンのループ132に従ってもよい。一実装では、疎水性糸110は、谷部120の予め定義された位置において、残りの位置と比較して逆のループを有してもよい。同様に、親水性糸112は、谷部120の予め定義された位置において、残りの位置と比較して逆のループを有してもよい。いくつかの実施形態において、親水性糸112および補強糸114の撚り合わされた構成は、谷部120の予め定義された位置において、残りの位置と比較して逆のループを有してもよい。スペーサ糸128は、谷部120のその位置においてループが無くてもよい。
【0021】
図4を参照すると、本開示の一実施形態による、布地100を作る方法200の模式フロー図が示されている。布地100を作る方法200は、
図1および
図2に示されている布地100を参照して説明される。段階202において、方法200は、疎水性糸110を編んで第1の層102を形成する段階を備える。疎水性糸110を編む段階は、よこ編み、たて編み、ニットおよび裏編みスティッチング、および、編み込みスティッチングを含むがこれらに限定されない手法によって実施される。段階204において、方法200は、親水性糸112および補強糸114を一緒に編んで第2の層106を形成する段階を備える。親水性糸112および補強糸114は、これらに限定されないが、通常の撚り合わせ、ナバホ撚り合わせ、機械撚り合わせ、または、2つまたはそれより多くの糸を組み合わせる任意の公知の撚り合わせ手法を含む手法を用いて一緒に撚り合わされてもよい。更に、撚り合わされた糸は、よこ編み、たて編み、ニットおよび裏編みスティッチング、および、編み込みスティッチングを含むがこれらに限定されない手法を用いることによって、第2の層106を形成するべく編まれる。段階206において、方法200は、スペーサ糸128を用いて第1の層102および第2の層106を接続する段階を備える。スペーサ糸128は、スティッチング、編み、織り、または貼り付けを含むがこれらに限定されない手法を用いて、第1の層102および第2の層106を接続し得る。段階208において、方法200は、第1の層102の上面122に複数の谷部120を形成する段階を備える。一実施形態において、疎水性糸110、親水性糸112および補強糸114は一緒に、複数の谷部120を画定する。
【0022】
布地100を作る方法200は更に、第1の層102および第2の層106の間における複数の予め定義された位置において複数の縫い目を入れ替えて複数の谷部120を形成する段階を備える。そのような場合、補強糸114はエラストマー糸であり、疎水性糸110およびエラストマー糸の間における複数の縫い目は、複数の予め定義された位置において入れ替えられる。一実施形態において、縫い目の入れ替え段階は、編み、縫製、および、織りを含むがこれらに限定されない様々な手法によって実施される。第1の層102および第2の層106の間で縫い目を入れ替える段階は、第1の層102を覆って第2の層106を重ねることを可能にしてもよく、次いで、布地100の上面122に親水性糸112を露出させてもよい。一実施形態において、入れ替え段階は、編み込みパターンを反転することによって、すなわち、予め定義された位置において、第1の層102にバック編ループ、および、第2の層106にフロント編ループ、を導入して複数の谷部120を形成することによって、実行され得る。第2の層106におけるエラストマー糸は、入れ替えられた編み目を第1の層102の上面122の高さより下に引っ張ってもよく、これにより、第1の層102の上面122に窪みを形成して谷部120を画定する。
【0023】
別の実施形態において、補強糸114は、複数の谷部120を形成するべく刺激を受け得る収縮糸で作られてもよい。一実施形態において、刺激は、蒸気の適用、緩和乾燥および化学処理を含むがこれらに限定されないプロセスであり得る。収縮糸に刺激を加えることによって、布地100の上面122に窪みが形成されて、谷部120が形成されてもよい。谷部120は、谷部120内に存在する親水性糸112に液滴を曝すことによって、液滴が布地100に吸収されることを可能にする。
【0024】
更に別の実施形態において、布地100を作る方法200は、疎水性糸110のループ長に対して親水性糸112のループ長を短くして複数の谷部120を形成する段階を備える。親水性糸112の短くされたループ長は、入れ替えられた編み目を、第2の層106のより近くに移動させ得、よって、布地100の上面122に窪みを生成し得る。一実施形態において、布地100を作る方法200は、第1の層102および第2の層106の間に吸収層130をはめ込む段階を備える。吸収層130は、第1の層102および第2の層106の間の高吸湿層として作用してもよい。吸収層130は、最終使用用途に応じて、親水性または疎水性であり得る。
【0025】
本開示による、布地100を作る方法200は、如何なる追加の製造段階を備えることもなく、または、如何なる追加の組立段階も必要とすることなく、そのプロセスにおいて全ての糸を一緒に供給することによって、単一の製造段階で布地100を製造し、これにより、布地100の複数の層をシームレスに一体化する。よって、方法200は、製造段階を最小化することによって布地100の作成を簡易化し、これは更に、製造時間およびコストを減少させる。布地100は更に、より優れた再利用性、耐久性、乾燥し易さ、および、湿気管理を提供する。別個の層を有する布地100は、如何なる条件においても、液体が第1の層102から第2の層106に輸送されてその逆は起こらないことを可能にする、一方向液体輸送システムとして機能する。吸収層130を用いることは、液体を布地100に留めておく点で有利である。
【0026】
布地100は、液体を迅速に吸収し、ユーザに乾燥感を与える必要がある用途に使用される。そのような用途の例は、疎水性糸110を含む第1の層102がユーザの肌と接触するスポーツアパレルであり、ユーザが汗を排出すると、汗は肌および第1の層102から容易に流れていき、これにより、ユーザにドライで衛生的な感触を与える。別の例は、おむつおよび生理用ナプキンにおける布地100の使用であり、ここでは、身体の体液排出が容易に吸収され、ユーザの快適性が向上する。別の実装では、ユーザは、更に疎水性糸110を含む第1の層102を外側に保ちながら親水性糸112を含む第2の層106に肌を露出させることによって布地100を使用してもよい。そのような態様で布地を着用することの利点により、布地100の外表面に濡れた斑点が形成されることがなくなり得、布地を湿気のない乾燥した状態に保つことができる。
【0027】
本開示の態様は、上記の実施形態を参照して、具体的に示されて説明されたが、当業者であれば、開示された内容の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示された方法を修正することによって様々な追加の実施形態が企図され得ることを理解するであろう。そのような実施形態は、特許請求の範囲およびその任意の等価物に基づいて決定される本開示の範囲内にあると理解されるべきである。
【国際調査報告】