(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】絶対位置センサ
(51)【国際特許分類】
H02P 6/16 20160101AFI20240326BHJP
【FI】
H02P6/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561707
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2022059140
(87)【国際公開番号】W WO2022214554
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520430848
【氏名又は名称】ソンセボ オートモティブ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オドゥ,クリストフ
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA08
5H560BB04
5H560BB12
5H560DA02
5H560DB02
5H560DC12
5H560TT13
5H560TT15
(57)【要約】
本発明は、メカトロニクスシステムであって、ハウジングを備え、ハウジングが、機械部材を駆動するための電気アクチュエータを備え、かつまた少なくとも1つが当該機械部材によって駆動される永久磁石の角度位置に依存する電気信号を送出するプログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブからなる位置センサと関連付けられた電気アクチュエータを制御するための駆動電子機器を備え、-駆動電子機器が、プログラマブルウェイクアップ回路のみによるマイクロコントローラの起動に対応する少なくとも1つのウェイクアップモードを有するマイクロコントローラを備え、-当該駆動電子機器及び/又は当該プログラマブルデジタルスイッチが、EEPROMリードオンリメモリを更に備え、-当該位置センサが、可動部材が移動した場合に第1のバスに信号を送出するプログラマブルウェイクアップ回路を備え、-当該位置センサが、100μA未満のスタンバイ消費量を有し、-当該マイクロコントローラのうちの1つが、当該プログラマブルデジタルスイッチによって送信されたウェイクアップ信号によって起動されると、a)当該EEPROMメモリへのアクセスを制御するためのアクセス制御レジスタの初期化と、b)当該EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、c)当該位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えと、を制御することを特徴とする、メカトロニクスシステムを開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカトロニクスシステム(600)であって、ハウジング(500)を備え、前記ハウジング(500)が、機械部材を駆動するための電気アクチュエータと、少なくとも1つが前記機械部材によって駆動される永久磁石(300)の角度位置に依存する電気信号を送出するプログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブ(100~102)からなる位置センサと関連付けられた前記電気アクチュエータを制御するための駆動電子機器(200)と、を備え、
-前記駆動電子機器(200)が、マイクロコントローラ(20)を備え、前記マイクロコントローラ(20)が、プログラマブルウェイクアップ回路(22)のみによる前記マイクロコントローラ(20)の起動に対応する少なくとも1つのウェイクアップモードを有し、
-前記駆動電子機器(200)及び/又は前記プログラマブルデジタルスイッチが、EEPROMリードオンリメモリ(27、13)を更に備え、
-前記位置センサが、可動部材が移動した場合に(300)第1のバスに信号を送出するプログラマブルウェイクアップ回路(15)を備え、
-前記位置センサが、100μA未満のスタンバイ消費量を有し、
-マイクロコントローラ(12、20)のうちの1つが、前記プログラマブルデジタルスイッチによって送信されたウェイクアップ信号によって起動されると、
a)EEPROMメモリへのアクセス制御レジスタの初期化と、
b)前記EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、
c)前記位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えと、を制御することを特徴とする、メカトロニクスシステム(600)。
【請求項2】
前記駆動電子機器(200)の前記マイクロコントローラ(20)が、少なくとも2つのウェイクアップモードを有し、第1のモードが、前記マイクロコントローラ(20)単独の起動に対応し、第2のモードが、前記マイクロコントローラ(20)及び周辺機器(23~25)の起動に対応することを特徴とする、請求項1に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項3】
前記EEPROMリードオンリメモリ(27)が、前記駆動電子機器(200)に組み込まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項4】
前記EEPROMリードオンリメモリ(13)が、前記プログラマブルデジタルスイッチに組み込まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項5】
3つの磁気感知プローブ(100~102)を備え、前記磁気感知プローブが、プログラマブルデジタルスイッチであり、前記EEPROMメモリに記録されたデータが、前記3つのプログラマブルデジタルスイッチ(100~102)の状態の関数として決定された運動のデジタル値に対応することを特徴とする、請求項1又は2に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項6】
メカトロニクスシステム(600)であって、ハウジング(500)を備え、前記ハウジング(500)が、機械部材を駆動するための電気アクチュエータと、少なくとも1つが前記機械部材によって駆動される永久磁石(300)の角度位置に依存する電気信号を送出するプログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブ(100~102)からなる位置センサと関連付けられた前記電気アクチュエータを制御するための駆動電子機器(200)と、を備え、
-前記駆動電子機器(200)が、マイクロコントローラ(20)を備え、前記マイクロコントローラ(20)が、プログラマブルウェイクアップ回路(22)のみによるマイクロコントローラ(20)の起動に対応する少なくとも1つのウェイクアップモードを有し、
-前記駆動電子機器(200)及び/又は前記プログラマブルデジタルスイッチが、EEPROMリードオンリメモリ(27、13)を更に備え、
-前記位置センサが、可動部材が移動した場合に(300)第1のバスに信号を送出するプログラマブルウェイクアップ回路(15)を備え、
-前記位置センサが、100μA未満のスタンバイ消費量を有し、
-前記マイクロコントローラ(12、20)のうちの1つが、前記プログラマブルデジタルスイッチによって送信されたウェイクアップ信号によって起動されると、
a)EEPROMメモリへのアクセス制御レジスタの初期化と、
b)前記EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、
c)前記位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えと、を制御することを特徴とする、メカトロニクスシステム(600)を制御するための方法。
【請求項7】
前記マイクロコントローラ(20)が、少なくとも2つのウェイクアップモード(ウェイクアップコントローラ)を有し、第1のモードが、前記マイクロコントローラ(20)単独の起動に対応し、第2のモードが、前記マイクロコントローラ(20)及び周辺機器(23~25)の起動に対応することを特徴とする、請求項6に記載のメカトロニクスシステム(600)を制御するための方法。
【請求項8】
前記EEDATAレジスタが、前記メカトロニクスシステムの停止中にデフォルトで第1の値VOを含み、第2のポート上の信号によるウェイクアップの起動が、前記EEDATAレジスタの内容の検証を実施するように前記マイクロコントローラに命令し、
a)この値がVOと異なる場合に、前記マイクロコントローラが、位置を再較正し、次いで、前記EEPROMメモリの前記EEDATAレジスタに前記第1の値VOを書き込む初期ステップを制御し、
b)前記レジスタの前記内容が前記第1の値VOである場合に、通常動作モードに直接進むことを特徴とする、請求項6に記載のメカトロニクスシステム(600)を制御するための方法。
【請求項9】
前記EEPROMメモリに記録された前記デジタルデータが、前記メカトロニクスシステムの前記停止中の第1の値V0、及び前記位置の変更の検出中の第2の値VALPHAであり、前記値VALPHAが、変更後の前記位置に対応し、前記メカトロニクスシステムへの電力が回復されたときに、前記EEDATAレジスタが、読み出しモードに切り替わるように命令され、前記値VALPHAが、前記センサによって提供された前記位置の記録を目的としたランダムアクセスメモリのレジスタに転送されるように命令されることを特徴とする、請求項6に記載のメカトロニクスシステム(600)を制御するための方法。
【請求項10】
出力ホイール(604)を駆動する複数の減速段(601~603)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項11】
前記位置センサが、前記出力ホイール(604)の角度位置を測定することを特徴とする、請求項10に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【請求項12】
前記永久磁石(300)が、前記電気アクチュエータのロータを構成することを特徴とする、請求項10に記載のメカトロニクスシステム(600)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、低消費スタンバイモード及びウェイクアップ機能を備えたマイクロコントローラを備える駆動電子機器によって制御される電気アクチュエータと、低消費スタンバイモード及びウェイクアップ機能を備えた位置センサと、を備える、メカトロニクスシステムに関する。
【0002】
このようなメカトロニクスシステムは、手動で位置を変更することもできる電動可動部材を制御するために使用される。メカトロニクスシステムが機能しているときに、電動部材の手動変更は、センサによって検出され、かつ移動が電気アクチュエータからのコマンドから生じるときと同じようにマイクロコントローラによって記録される。
【0003】
メカトロニクスシステムがスイッチオフされたとき、例えば、車両が自動車機器であるときに車両が停止したとき、不必要な消費を回避するために、電子駆動電子機器はもはや電力供給されず、可動部材の手動移動は、メカトロニクスシステムがオンにされたときにマイクロコントローラによって記録されたデータと実際の位置との間の不一致をもたらす。その結果、機器の動作が著しく妨害される。
【0004】
パワーステアリングのような重要な機能に対しては、車両が停止しているときにハンドルが不注意に操作される可能性があり、マイクロコントローラのメモリに記録された位置が実際の角度位置であることが必須であるので、このような状況を満たすことは不可能である。
【0005】
したがって、この問題を解決するために多くの解決策が提案されてきた。これらの解決策は、一般に、マイクロコントローラのかなり広範な特徴、すなわち「超低消費」又はアイドルモードへの切り替え、及び通常モードへの切り替えを命令するLIN/CAN/PWMバスを介した信号によってこのモードの出力を制御する可能性(「ウェイクアップ」機能)に依存する。もちろん、車両が停止しているときでさえもメカトロニクスシステムに電力を供給することを可能にする電源を提供することが必要であり、ウェイクアップ期間中に機器に電力を供給するために低強度信号によって制御されるリレー、又はバッテリへの直接接続(通常、「Klemme 30」上の接続によって決定される)を提供することが通例である。
【0006】
重要な機能に不可欠なこれらの解決策は、これらの時々のウェイクアップ期間中の動作を可能にするためにかなりの余分なコストを必要とする。
【0007】
〔背景技術〕
例えば、従来技術において、特許出願WO07107530は、センサ要素、特に磁界に敏感な追加の要素を用いて、ステアリング運動の出現又はステアリング角の少なくとも1つの変化を早期に検出するという考えに基づいて知られている。ステアリング角センサ構成は、ステアリング角を測定するために使用されるが、点火が非アクティブである車両状態の間、ステアリング角センサ構成は非アクティブ状態に設定され、追加の磁界を感知する要素は、特にアクティブ又は部分的にアクティブのままであり、磁界の変化が生じた場合に、その変化はステアリング運動を認識し、それによってステアリング角センサ構成は完全に又は部分的にアクティブ化される。起動されたステアリング角センサ構成は、ステアリング運動がないために主に非アクティブ状態に置かれるまで、又は自動車の点火装置が起動されるまで、ステアリング角運動(複数可)を検出して記憶する。次に、記憶されたステアリング角データは、自動車の制御システムに直ちに送信される。
【0008】
この解決策は、スタンバイモードへの切り替えの間を含めて、機能を維持しなければならないプローブに電力を供給するために消費が依然として重要であり、これは安全部材には許容されるが、累積残留消費が重要になる複数の機器には許容されないので、満足のいくものではない。実際に、それは、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラを統合する3つのアクティブ構成要素、すなわち、ECU、検出プローブ、並びにメモリ及びメモリの管理をアクティブ化するためのウェイクアップコントローラを統合する電子コンピュータモジュールを備える。プローブコントローラは、車両が停止し、電気回路が休止モードにあるときでも、ECUと同様に、電流を継続的に消費する。コンピューティングモジュールは、スタンバイモードでは消費がないが、アクティブ化されると消費が大きくなる、マイクロコントローラを確かに備える。更に、記載される解決策は、電流消費が全ての状況においてその公称消費と同一のままであるプローブを提供し、これは安全部材に対してのみ許容可能であり得る。車両が多数のそのような機器を装備している場合、プローブの累積残留消費は、バッテリの充電の許容できない低下をもたらす。
【0009】
点火がオフにされたときに自動車の少なくとも1つのシャフトの角度位置を検出する方法を記載している、国際公開第2012136481(A1)号がまた知られている。磁石を備える少なくとも1つの多極ホイールが、シャフト(複数可)上に配置される。方法は、磁石によって生成された磁界を検出する少なくとも1つの磁界感知センサ要素を備える、センサアセンブリによって実行される。車両の点火がオフにされると、ステアリングホイールの移動がステアリング角センサによって検出され、電子的に記録される。点火がオンにされると、これらのデータは、故障が記録されていない場合に現在のステアリング角を計算するために使用される。スタンバイモード中の電流消費要件を満たすために、センサは周期的に電源オンされる。
【0010】
この解決策は、センサが電源オンされていないときに位置が変化した場合に位置が誤っている可能性があるという点で満足できるものではない。この解決策は、監視される機械部材の位置を変更する可能性を全く提供しない。
【0011】
先行技術の欠点
従来技術の解決策は、パワーステアリングなどのメカトロニクス安全システムに加えて、複数の被駆動メカトロニクスアセンブリ、例えば、車両の乗員室内に配置された複数の配向可能な通気及び空調出口を備えた自動車に対して予想される最小消費レベルに適合することを可能にしない。最大許容消費量は、典型的には100マイクロアンペアであり、これは、従来技術の解決策では達成することが困難であり、車両が多数の電動機器を有する場合には更に困難である。
【0012】
特に、従来技術の解決策では、マイクロコントローラの機能が比較的完全であり、かつ角度数値を計算し、一般に最小電流が維持されることを必要とするメモリにこの値を記録するためにデジタル信号の処理を提供するので、「ウェイクアップ」モードでの消費がかなり長い期間にわたって顕著になる。
【0013】
また、従来技術から、位置センサを周期的に作動させることにより、スタンバイモードでの消費を低減することができるが、センサが作動されていないときにシステムが移動した場合に誤った位置を提供するリスクも生じることが明らかである。
【0014】
〔発明の概要〕
本発明は、その最も全般的な形態に従って、メカトロニクスシステムを提案することによってこれらの欠点を克服することを目的としており、メカトロニクスシステムは、ハウジングを備え、ハウジングが、機械部材を駆動するための電気アクチュエータを備え、かつまた少なくとも1つが当該機械部材によって駆動される永久磁石の角度位置に依存する電気信号を送出するプログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブからなる位置センサと関連付けられた電気アクチュエータを制御するための駆動電子機器を備え、
-駆動電子機器が、マイクロコントローラを備え、マイクロコントローラが、プログラマブルウェイクアップ回路のみによるマイクロコントローラの起動に対応する少なくとも1つのウェイクアップモードを有し、
-当該駆動電子機器及び/又は当該プログラマブルデジタルスイッチが、EEPROMリードオンリメモリを更に備え、
-当該位置センサが、可動部材が移動した場合に第1のバスに信号を送出するプログラマブルウェイクアップ回路を備え、
-当該位置センサが、100未満のスタンバイ消費量を有し、
-当該マイクロコントローラのうちの1つが、当該プログラマブルデジタルスイッチによって送信されたウェイクアップ信号によって起動されると、
a)当該EEPROMメモリへのアクセス制御レジスタの初期化と、
b)当該EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、
c)当該位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えと、を制御することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、制御回路の当該マイクロコントローラは、少なくとも2つのウェイクアップモードを有し、第1のモードは、マイクロコントローラ単独の起動に対応し、第2のモードは、マイクロコントローラ及び周辺機器の起動に対応する。
【0016】
第1の変形例によれば、当該EEPROMリードオンリメモリは、当該駆動電子機器に組み込まれている。
【0017】
第2の変形例によれば、当該EEPROMリードオンリメモリは、当該プログラマブルデジタルスイッチに組み込まれている。
【0018】
有利な実施形態によれば、メカトロニクスシステムは、3つのプログラマブルデジタルスイッチを備え、当該EEPROMメモリに記録されたデータは、当該3つのプログラマブルデジタルスイッチの状態の関数として決定される運動のデジタル値に対応する。
【0019】
本発明はまた、メカトロニクスシステムであって、ハウジングを備え、ハウジングが、機械部材を駆動するための電気アクチュエータを備え、かつまた少なくとも1つが当該機械部材によって駆動される永久磁石の角度位置に依存する電気信号を送出するプログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブからなる位置センサと関連付けられた電気アクチュエータを制御するための駆動電子機器を備え、
-駆動電子機器が、マイクロコントローラを備え、マイクロコントローラが、プログラマブルウェイクアップ回路のみによるマイクロコントローラの起動に対応する少なくとも1つのウェイクアップモードを有し、
-当該駆動電子機器及び/又は当該プログラマブルデジタルスイッチが、EEPROMリードオンリメモリを更に備え、
-当該位置センサが、可動部材が移動した場合に第1のバスに信号を送出するプログラマブルウェイクアップ回路を備え、
-当該位置センサが、100未満のスタンバイ消費量を有し、
-当該マイクロコントローラのうちの1つが、当該プログラマブルデジタルスイッチによって送信されたウェイクアップ信号によって起動されると、
a)当該EEPROMメモリへのアクセス制御レジスタの初期化と、
b)当該EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、
c)当該位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えと、を制御することを特徴とする、メカトロニクスシステムを制御するための方法に関する。
【0020】
有利には、本発明によるメカトロニクスシステムを制御するための方法は、当該マイクロコントローラが、少なくとも2つのウェイクアップモード(ウェイクアップコントローラ)を有し、第1のモードが、マイクロコントローラ単独の起動に対応し、第2のモードが、マイクロコントローラ及び周辺機器の起動に対応することを特徴とする。
【0021】
別の実施形態において、本発明によるメカトロニクスシステムを制御するための方法は、当該EEDATAレジスタが、メカトロニクスシステムの停止中にデフォルトで第1の値VOを含み、第2のポート上の信号による起動の活性化が、当該EEDATAレジスタの内容の検証を実施するように当該マイクロコントローラに命令し、
a)この値がVOと異なる場合に、当該マイクロコントローラが、位置を再較正し、次いで、当該EEPROMメモリの当該EEDATAレジスタに当該第1の値VOを書き込む初期ステップを制御し、
b)当該レジスタの内容が当該第1の値VOである場合に、通常動作モードに直接的に進む、ことを特徴とする。
【0022】
最後に、別の変形例では、本発明によるメカトロニクスシステムを制御するための方法は、当該EEPROMに記録された当該デジタルデータが、メカトロニクスシステムの停止中の第1の値V0、及び位置の変更の検出中の第2の値VALPHAであり、当該値VALPHAが、変更後の位置に対応し、当該メカトロニクスシステムへの電力が回復されたときに、当該EEDATAレジスタが、読み出しモードに切り替わるように命令され、当該値VALPHAが、当該センサによって提供された位置の記録を目的としたランダムアクセスメモリのレジスタに転送されるように命令される、ことを特徴とする。
【0023】
最後に、本発明はまた、出力ホイールを駆動する複数の減速段(601~603)を備え、任意選択で、位置センサが当該出力ホイール(604)の角度位置を測定することを特徴とする、前述のシステムによるメカトロニクスシステムに関する。この場合、永久磁石は、有利には、当該電気アクチュエータのロータを構成する。
【0024】
第1の変形例によれば、当該位置センサは、当該出力ホイールの角度位置を測定する。
【0025】
第2の変形例によれば、当該永久磁石は、当該電気アクチュエータのロータを構成する。
【0026】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、添付の図面によって示される以下の詳細な例示的な実施形態の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
〔
図1〕3つの磁気感知プローブを使用した場合の本発明による概略図を示す。
〔
図2〕本発明による単一の磁気感知プローブを有する変形例の概略図を示す。
〔
図3〕ギヤードモータに統合された、本発明による駆動装置の統合を示す。
〔
図4〕弁内への位置決めアクチュエータの統合を示す。
〔
図5〕位置決めアクチュエータの統合を示す。
〔
図6〕位置決めアクチュエータの第3の例示の統合を示す。
〔
図7〕センサがメカトロニクスシステムのハウジングから離れている変形実施形態の概略図を示す。
【0027】
〔発明を実施するための形態〕
ハードウェアアーキテクチャの説明
メカトロニクスシステム(600)は、ハウジングに組み込まれており、ハウジングは、
-トランスミッション(60)によって、直接駆動又は運動変換の介入のいずれかによって移動する機械的部材に機械的に接続された電気アクチュエータ(50)と、
-電気アクチュエータ(50)の電源を備える駆動電子機器(200)と、を備える。
【0028】
駆動電子機器(200)は、計算機能を管理するマイクロコントローラ(20)と、プログラマブルウェイクアップコントローラ(22)と、ポートコントローラ(21)と、例えば、PWM制御信号を生成する回路又は電気アクチュエータ(60)に電力供給する電力インバータなどの周辺ドライバ回路(23~26)と、EEPROMメモリ(27)と、フラッシュメモリ(28)との間で区分されたアーキテクチャを備える。これらの駆動電子機器(200)は、一般に「電子制御ユニット」を表す「ECU」と呼ばれる車載コンピュータ(400)と既知の方法で通信し、車載コンピュータは、運転者のコマンド及び車両に装備された様々なセンサから来るデータに基づいて車両のメカトロニクスシステムを制御する。駆動電子機器(200)は、ECU(400)からコマンドを受信し、例えば、PWMパルス幅変調信号の形態の信号を生成し、アクチュエータのコイルに電力を供給する。メカトロニクスシステム(600)は、一方では、アクチュエータの軸に直接的に、又は歯車列によってアクチュエータの軸によって駆動される出力シャフトに装着された永久磁石(300)によって形成され、他方では、プログラマブルデジタルスイッチである少なくとも1つの磁気感知プローブ(100)、及び任意選択でより従来型のアーキテクチャであり得る他の磁気感知プローブ(101、102)によって形成される、位置センサを更に備える。
【0029】
プログラマブルデジタルスイッチ(100)は、磁気スイッチが発生するたびにパルスを送出する。2つの追加のプローブ(101、102)を追加することによって、角度位置を符号化する信号を提供することも可能である。各デジタルスイッチ(100)は、車両が停止しているときに中断された電力供給からではなく、車両バッテリから直接電力を供給するための3つのピンを備え、1つは接地用であり、1つは出力及びバスへの接続用である。
【0030】
一般に、上述の制御回路の構成要素の全ては、単一のマイクロコントローラに組み込まれるが、用途に応じて、適切な市販の解決策が存在しない可能性がある。この場合、例えば、インバータによって供給される電力が大きすぎ、専用の構成要素を使用しなければならない場合に、仕様を満たすために、1つ又は2つ以上の要素をマイクロコントローラから切り離すことができる。
【0031】
用途
本発明によるメカトロニクスシステム(600)は、手動でも作動させることができる機器、例えば、ダッシュボード通気孔の配向可能なフラップの電動化に特に適している。そのような機器は、一方が空気出口の横断面に対して垂直な軸に対してであり、他方が横軸に対してである、2つの相補的な方向における配向を自動化するように電動化され得る。電動化は、空気流を運転者及び乗客の快適さのために最適な方法で方向付けることを可能にする。車両が停止すると、これらの機器は停止され、車両が再始動されると、移動の終わりを計算し、かつアクチュエータの正確な制御を可能にするために使用される保存された位置が実際の位置に対応することが、もちろん不可欠である。しかしながら、運転者は、不注意に、又は開始流を所望の方向に位置決めするために、フラップの配向を手動で変更した可能性がある。この場合、再始動時に新しい位置が考慮されることが不可欠である。本発明の目的は、停止期間中の電力消費を可能な限り制限する解決策を用いて、この命令を管理することである。
【0032】
プログラマブルデジタルスイッチのアーキテクチャ
プログラマブルデジタルスイッチは、ホール効果センサ(10)を分極させ、かつアナログ信号の前処理を確実にするアナログフロントエンド調整回路(11)に接続された双方向ホール効果センサ(10)を備える、磁気感知プローブ(100)である。次に、データは、オープンコレクタモードで出力(14)に接続されたマイクロコントローラ(12)によって処理される。プログラマブルデジタルスイッチは、アプリケーションコードを登録するためのEEPROMリードオンリメモリ(13)を内蔵する。プログラマブルウェイクアップ回路(「ウェイクアップコントローラ」とも呼ばれる)(15)は、マイクロコントローラ(12)のウェイクアップ機能に対して専用である。プログラマブルウェイクアップコントローラ(15)の消費は、アイドルモードにおいて、平均で10μA未満の最小消費を有する。
【0033】
可動磁石(300)がホール効果センサ(10)に対して移動される場合、生成された電流は、1ビットに制限することができるデジタルデータ(13)のEEPROMメモリに記録するためのプログラムを実行するプログラマブルウェイクアップコントローラ(15)のウェイクアップをトリガする。
【0034】
あるいは、プログラマブルウェイクアップコントローラ(15)によって実行されるコードは、出力(14)におけるデータのシーケンスの送信を命令し、このシーケンスは、単純な「変位」状態フラグ、又は3つの磁気感知プローブ(100~102)から来る情報から測定された変位の角度を符号化する情報を含む可能性がある。
【0035】
駆動電子機器(200)のアーキテクチャ
駆動電子機器(200)は、入力/出力ポート(21)及びマイクロコントローラ(20)並びにプログラマブルウェイクアップコントローラ(22)を有する。マイクロコントローラ(20)は、複数の周辺機器、典型的には、PWM信号の制御回路、周辺ドライバ(24)、センサ(25)、及びコイル制御構成要素(26)、並びにマイクロコントローラ(20)の動作コードを記録するように意図されたフラッシュメモリ(28)及びEEPROMメモリ(27)の動作を制御する。スタンバイモードで消費される電流は、典型的には25μAである。
【0036】
二次プログラマブルウェイクアップコントローラは、複数のウェイクアップモード、すなわち、時間遅延ウェイクアップモードと、マイクロコントローラ(20)及びその周辺機器の全ての機能の再アクティブ化を制御する一般ウェイクアップモードと、入力バス上に存在するデータのEEPROMメモリ(27)への書込みに限定されたプログラムの実行を制御する限定ウェイクアップモードと、を有する。
【0037】
単一の磁気感知プローブ(100)を有する機能アーキテクチャ
メカトロニクスシステム(600)が、
図2及び
図7によって示されるように、単一の磁気感知プローブ(100)を備える場合に、磁気感知プローブ(100)は、プログラマブルデジタルスイッチであり、車両の停止中及び電子回路のスタンバイ状態中の移動の検出は、以下、
a)当該EEPROMメモリへのアクセス制御レジスタの初期化と、
b)当該EEPROMメモリのEEDATAレジスタへのデジタルデータの書き込みと、
c)当該位置センサによる信号の最後の送信から開始してカウントされた所定の期間の終了時点での休止モードへの切り替えに限定される非常に少ないマシンサイクルを必要とする非常に単純なコードの実行を引き起こす。
【0038】
デフォルトで、EEDATAレジスタは、アクティブモード中に記録された値VOを含む。移動の場合にレジスタに記録される値は、異なる値VDである。これは、単一ビットで符号化された単純なフラグであってもよい。
【0039】
リブートの間、コントローラは、EEDATAレジスタの状態をチェックする。それが値VOを含む場合、可動部材は、シャットダウン時と同じ位置を占め、制御は、以前の値で再開することができる。
【0040】
EEDATAレジスタで読み取られた値がVOと異なる場合、駆動電子制御装置(200)は、この基準状況において位置センサによって提供される値の記録を実行するために、例えば、可動部材が機械的ストップに到達するまで可動部材を旋回させることからなる再較正シーケンスを命令する。
【0041】
あるいは、メカトロニクスシステム(600)はまた、低消費モードに戻る前に、可動部材を所定の位置に移動させることができる。この場合、システムが起動されると、位置がマイクロコントローラに認識される。
【0042】
別の変形例によれば、プログラマブルデジタルスイッチは、マイクロコントローラをウェイクアップすることなくフラグ情報を記憶し、マイクロコントローラは、起動時にプローブのフラグの状態をチェックする。
【0043】
3つの磁気感知プローブ(100~102)を有する機能アーキテクチャ
図1に示すように、位置センサが3つの磁気感知プローブ(100~102)を備え、少なくとも1つがプログラマブルデジタルスイッチである場合に、ウェイクアップ段階中に位置を決定することが可能であり、EEPROMメモリに記録された値は、フラグではなく、実際の位置を符号化するデジタルシーケンスであってもよい。
【0044】
この場合、再始動中に、駆動電子機器(200)は、EEPROMに記録された角度値がデフォルト値VOと異なる場合に、EEPROMに記録された角度値を、スタンバイモードが適用される前の最後の位置に対応する値と置き換える。
【0045】
このアーキテクチャには、プログラマブルウェイクアップコントローラ(15)を組み込んだ単一のセンサが必要であり、他の2つの磁気感知プローブ(101)及び(102)は、組み込まれたウェイクアップコントローラなしのホール効果位置センサとすることができ、かつ駆動電子機器(200)を介して供給することができる。
【0046】
各々がプログラマブルウェイクアップコントローラである3つの内蔵スイッチの使用は、可動部材の移動のより速い検出を必要とするシステムの場合に任意選択で使用され得る。この場合、実際の位置又はフラグをEEPROMメモリに記録することができる。
【0047】
あるいは、メカトロニクスシステム(600)はまた、低消費モードに戻る前に、可動部材を所定の位置に移動させることができる。この場合、メカトロニクスシステムが起動されると、位置が駆動電子機器(200)に認識される。
【0048】
機能アーキテクチャの位置決めアクチュエータへの組み込み
図3は、位置決めアクチュエータの形態の本発明によるメカトロニクスシステム(600)の一実施例を示す。この実施形態では、ロータに連結された永久磁石(300)の位置を測定する磁気感知プローブ(100~102)のうちの少なくとも1つは、プログラマブルデジタルスイッチである。有利には、プログラマブルデジタルスイッチは、ロータを駆動するホールプローブを置き換えることができ、したがって、これらのセンサの高価な冗長性を回避することができる。
【0049】
図3に示される特定のケースは、複数の減速段(601~603)によって、ロータと出力ホイール(604)との間の運動の非常に高い減速(200より大きい)を有するギヤードモータにおける本発明に含まれる。そのような構成は、単一のプログラマブルデジタルスイッチのみを使用することを可能にし、ロータの位置を測定して、スタンバイ段階中の移動の検出を確実にする。実際に、高減速は、出力ホイール(604)によって駆動される部材の非常に小さな移動に対してロータの角度の大きな変化を得ることを可能にし、したがって、スタンバイ段階における移動の検出を改善するために、多数のプログラマブルデジタルスイッチを使用する必要はない。
【0050】
しかしながら、安全上の理由から、出力ホイール(604)上に配置されたセンサによって被駆動部材の位置を直接的に測定することが好ましい場合があるので、この構成は本発明を限定するものではない。位置決め精度の改善は、磁気感知プローブの数又は被測定磁石の磁気遷移の数を増加させることによって改善される。
【0051】
最後に、本発明は、ロータの位置の測定に限定されるものではなく、ロータの移動の検出、及びスタンバイ期間中に移動が行われたことを意味する、一般にフラグと呼ばれる情報項目のメモリへの記録は、アクチュエータがウェイクアップしたときに再較正をトリガするのに十分である。
【0052】
本発明を組み込んだ例示的な用途
本発明の適用例を
図4~
図6に示すが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
図4は、本発明によるメカトロニクスシステム(600)の弁(700)への統合を示す。例えば、当該弁(700)が車両の熱制御システムと関連付けられている場合、起動時の較正シーケンスは、車両が電源投入されるとすぐに制御ループを混乱させる可能性があるので、望ましくない。これらの弁は熱管理システム内に多数あるので、本発明の使用は、その多くの絶対位置センサを克服することを可能にし、大幅な金銭的節約につながる。
【0054】
図5は、本発明によるメカトロニクスシステム(600)の代替的な実施形態を示しており、エアデフレクタ(800)は、車両の前部に配置され、かつラジエータに到達する空気の流れを調整することを可能にする。当該デフレクタ(800)がどの程度開いているかについての不正確な知識は、車両の燃料の著しい過剰消費につながる可能性がある。この場合、車両の始動時又はそのロック解除中にデフレクタ(800)の位置を認識するための較正ステップは、かなりのノイズを引き起こすことになり、これは潜在的にユーザにとって不快である。この較正ステップは車両の各使用サイクル中に実行されなければならないので、このユーザ経験は望ましくなく、アクチュエータの早期老化も伴う。
【0055】
図6は、位置決めアクチュエータの形態の本発明によるメカトロニクスシステム(600)の別の変形統合を強調している。この実施例では、2つの位置決めアクチュエータが、客室内部の空気流を管理するためのエアレーションノズル(900)に組み込まれている。これらのノズル(900)は、車両が動作していない期間中にユーザによって移動し得るので、ユーザによる望ましくない経験であり得る、電源が投入されるたびの較正を回避するために、これらの移動を認識する必要がある。
【0056】
別の例示的な用途(図示せず)は、ユーザによって加えられる圧力によって開かれる電気ドア、例えば、燃料ドアにおいて本発明を実装する用途である。燃料補給は安全上の理由で電源が切られているので、スタンバイモードを利用する位置センサの統合は、ユーザによって要求されたときに電動ドアの開放システムに電力を供給することを可能にする。
【0057】
図7は、メカトロニクスシステム(600)の変形アーキテクチャを示しており、センサは、磁気感知プローブ(100~102)から構成されるアセンブリ及び永久磁石(300)のいずれかであり、その位置を測定し、ハウジング(500)の内側に配置されず、その位置が測定される被駆動機械部材に対して可能な限り近接してオフセットされる。機械部材は、トランスミッション(60)を介して電動アクチュエータ(50)によって駆動される。この構成は、電子カード(200)及び電気モータ(50)を含むアクチュエータのハウジング(500)が、例えば、利用可能な空間の不足又は過度に制約された環境(温度、物理的/化学的媒体など)に起因して、駆動される機械部材に可能な限り近接して配置することができない場合に有利である。この変形例はまた、駆動電子機器の周辺機器の全てがマイクロコントローラ(20)の内部機能であるバージョンを示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明は、添付の図面によって示される以下の詳細な例示的な実施形態の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【
図1】3つの磁気感知プローブを使用した場合の本発明による概略図を示す。
【
図2】本発明による単一の磁気感知プローブを有する変形例の概略図を示す。
【
図3】ギヤードモータに統合された、本発明による駆動装置の統合を示す。
【
図4】弁内への位置決めアクチュエータの統合を示す。
【
図6】位置決めアクチュエータの第3の例示の統合を示す。
【
図7】センサがメカトロニクスシステムのハウジングから離れている変形実施形態の概略図を示す。
【国際調査報告】