(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】水上乗り物用の電気駆動系
(51)【国際特許分類】
B63H 21/17 20060101AFI20240326BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
B63H21/17
H01M8/12 101
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562263
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 DE2022100261
(87)【国際公開番号】W WO2022214140
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021108758.9
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523381952
【氏名又は名称】エムビーシー-マリタイム・ビジネス・アンド・コンサルティング・ウンターネーマーゲゼルシャフト・(ハフツングスベシュレンクト)・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ゲルデス・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】シェーパース・オーリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェンス・ゲルト
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC04
5H127BA03
5H127BA21
5H127EE01
(57)【要約】
水上乗り物用の電気駆動系は、少なくとも1つのモータ(4)と少なくとも1つの推進装置(3)と発電機(1)とを有し、発電機(1)は、燃料を酸化させるための少なくとも1つの固体酸化物燃料電池(2)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(4)と推進装置(3)と発電機(1)とを少なくとも備える水上乗り物用の電気駆動系において、
発電機(1)は、化石燃料又は合成燃料を酸化させるための固体酸化物燃料電池(2)として構成された少なくとも1つの高温燃料電池(2)を有することを特徴とする、電気駆動系。
【請求項2】
発電機(1)は、電気出力及び/又は熱出力を生成することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項3】
燃料は、アルカンの群に由来することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項4】
駆動系には、発電機(1)で生成されたエネルギを収容するために用いられる貯蔵装置(6)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項5】
貯蔵装置(6)は、水上乗り物の出力変動を補整するために設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の電気駆動系。
【請求項6】
貯蔵装置(6)として、船内電力網(5)に組み込まれたバッテリが用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電気駆動系。
【請求項7】
貯蔵装置(6)は、非常用電源として構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の電気駆動系。
【請求項8】
モータ(4)は、SFOC発電機(1)及び/又は貯蔵装置(6)からエネルギを得ることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項9】
水上乗り物(2)の船体に、発電機(1)に必要な燃料を貯蔵するための少なくとも1つのタンク(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項10】
水上乗り物(2)の船体に、ガス有効利用のために得られたCO
2を貯蔵するための少なくとも1つの容器(10)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項11】
得られたCO
2は、アルコールに関連する危険性を低減するための不活性ガスとして用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項12】
CO
2を一時貯蔵するために、MOF貯蔵装置、冷却容器及び/又は圧力タンク容器が用いられることを特徴とする、請求項10に記載の電気駆動系。
【請求項13】
容器(10)は、無圧の、圧力下の及び/又は冷却されたCO
2を貯蔵するために用いられることを特徴とする、請求項11に記載の電気駆動系。
【請求項14】
電気エネルギは、中央主制御盤(7)において電気消費器へ分配されることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項15】
中央主制御盤(7)は、電気モータ(4)にエネルギを供給するために用いられることを特徴とする、請求項14に記載の電気駆動系。
【請求項16】
船舶(2)を推進(3)させるために、プロペラ、アジポッド、ジェット推進機などが用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項17】
水上乗り物は、電気エネルギを分配するための船内電力網(5)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項18】
水上乗り物は、主制御盤(7)において利用可能な出力を制御するパワーマネージメントシステム(8)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項19】
パワーマネージメントシステム(8)は、発電機(1)及びエネルギ貯蔵装置(6)からの出力消費量を自動制御することを特徴とする、請求項18に記載の電気駆動系。
【請求項20】
パワーマネージメントシステム(8)は、エネルギ貯蔵装置(6)の充電/放電を制御することを特徴とする、請求項18に記載の電気駆動系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータと推進装置と発電機とを少なくとも備える水上乗り物用の電気駆動系に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の海を航行する140000隻以上の船舶は、多くの場合ディーゼル機関を有する。ディーゼル機関は、回転力を直接に又は伝動装置を介してプロペラシャフトへ伝達し、次いで、プロペラシャフトがプロペラを駆動する。船舶には電気も必要とされるので、付加的に、ディーゼル電気を生成するいわゆる補助ディーゼルが使用されている。機関は、電力需要に応じて、より多くの出力で連続的に作動する。以前から公知の水上乗り物の燃焼機関は、化石燃料を回転エネルギに変換し、その際、大量の排出ガスが生産される。燃料として、最新の航行では、とりわけ重油又は海洋ディーゼル油が使用され、油は、ディーゼル機関によって燃焼される。その結果、船舶の煙突から、相当量のCO2だけでなく、NOX、SOX、粒子、塵埃などが逃げ出す。世界の商船の航行は、世界貿易の約90%の輸送を担う責任があり、世界のCO2排出量の約2.9%を作り出している。欧州のそして国際的な気候目標を維持できるようにするには、この高い割合を大幅に削減しなければならない。ゼロエミッションの目標設定をできるだけ早期に実現するために、航行に対する圧力は極めて大きい。船舶における燃焼機関の使用を取り巻くさらなる欠点がある。例えば船舶及び海上に配置された海洋の対象物に起因する、環境に対する悪影響を伴う騒音放出が挙げられる。このことは、一方では、そこで生活及び労働する人々に該当し、他方では、海洋環境にも該当する。特に、方向性、食物探索、コミュニケーション又は捕食回避について聴覚に頼っている動物にとっては、持続的に悪影響が及ぼされ得る。また、船舶に起因する騒音は、国際海事機関の対象の義務的決議の対象でもある。義務的決議には、船舶内の様々な空間についての騒音の上限が含まれる。ディーゼル機関に加えて、騒音源は、主にプロペラシャフト動力部、プロペラに起因する圧力及び支持力、空調設備、操舵装置、特にサイドスラスタ、ウインチ、渦の離脱、吸気及び排気又は波の衝突である。
【0003】
現在、再生可能エネルギキャリア又は合成エネルギキャリアを利用して航行におけるエミッションを削減する様々な構想が存在する。しかし、この場合、依然として、ディーゼル機関が主駆動装置及び発電装置として設計されている。航行において具体的にCO2排出量を削減する取組みが既に存在する。ただし、これまで考えられてきた解決手段は、例えば燃料タンクが過度に複雑になりすぎそして大きくなりすぎるので、実用的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、少なくともほとんどゼロエミッションの、水上乗り物用の駆動系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、発電機が、化石燃料又は合成燃料を酸化させるための固体酸化物燃料電池として構成された少なくとも1つの高温燃料電池を有することによって解決される。
【0006】
本発明によれば、将来、該当する水上乗り物において内燃機関を省略できる。その技術に代えて、化石燃料又は合成燃料を酸化させるために船体に少なくとも1つの高温燃料電池から構成される発電機が用いられる。目標設定は、該当する水上乗り物を完全にゼロエミッションに構成することである。そのために、ディーゼル機関又は燃焼機関が完全に交換される。その代わりに、高温燃料電池が発電機として使用され、船舶に設けられる最良の発電機は、船舶における最も適した燃料と協働する。発電機は、燃料電池における燃料を酸化させる。そのために特に適した燃料の、高温燃料電池に基づく機能的な新たな使用の組合せによって、ゼロエミッションの又はあらゆる場合に極めて僅かなエミッションの船舶を実現できる。
【0007】
固体酸化物燃料電池(SFOC又はSOFC)として構成された高温燃料電池が特に適していると判明している。高温燃料電池は、発電機として使用され、プロペラのための回転エネルギを生成するだけでなく、船舶のための電力を提供する。ディーゼル機関の代わりに、電気モータが、推進装置、例えばプロペラシャフトを駆動し、電気モータは、エネルギを、従来一般的であったようにディーゼル発電機からではなくSFOC燃料電池から受け取る。
【0008】
この場合、本発明の好適な構成によれば、発電機が、電気出力及び/又は熱出力を生成する、ことが想定される。すなわちSFOC発電機は、電気出力及び熱出力を生成するために、化石燃料又は合成燃料の含有エネルギを使用する。排出ガスとして水蒸気及び二酸化炭素しか生じない。同時に、発電機は、低騒音であり、実質的に騒音源としてのディーゼル機関を排除する。
【0009】
本発明の場合、アルカンの群に由来するものであって、本発明による駆動系を実現し、そして重油又はディーゼル油に代用される燃料が、特に重要である。燃料としてメタノール又はアンモニアが使用されると合目的的である。この場合の基準は、水素で運転される任意の燃料電池ではなく、メタノール又は他のアルカンで運転でき、SFOC燃料電池で認められた燃料電池である。船舶に初めてメタノール燃焼式のSFOCが使用される。この組合せは、LNG船舶だけでなく、あらゆる水上乗り物で可能である。
【0010】
駆動系には、発電機で生成された排出ガスを収容するために用いられる貯蔵装置が割り当てられていることもまた多くの観点で有利である。このことは、例えばSFOC発電機で発生したCO2排出ガスを捕捉して船内に貯蔵するCO2捕捉兼貯蔵装置のケースに該当する。CO2は、分離される代わりに、MOF(金属有機構造体)に捕集され、貯蔵される。
【0011】
燃料電池に固有のことであるが、急速で激しい負荷変化に対して燃料電池は問題であると証明され得る。しかし、まさに航行では、風及び海の状態に起因するそのような負荷変化が当然のこととして頻繁に生じる。したがって、駆動系に、水上乗り物の出力変動を補整するための、発電機において生成されるエネルギを収容するために用いられる貯蔵装置が設けられていると合目的的である。そのために、バッテリが、エネルギ貯蔵装置として船内電力網に組み込まれている。
【0012】
バッテリ貯蔵装置は、蓄えられたエネルギの数倍を瞬時に放出又は収容でき、これにより負荷変動のエネルギを貯蔵できる。このことは、貯蔵装置として、原則として上述したように、船内電力網に組み込まれたバッテリが用いられることで具体的に表されている。
【0013】
これにより、SFOC燃料電池がベースロードを提供し、バッテリがピーク出力を担うようになる。負のピークでは、相応してバッテリを充電してよい。制御のために特別なパワーマネージメントシステムが用いられる。パワーマネージメントシステムは、出力分配を自動で調整し、SFOC燃料電池が最適に運転されるように配慮する。
【0014】
さらに、例えば技術的な理由からSFOC発電機が一時的に又は継続的にエネルギを提供できないとき、バッテリエネルギ貯蔵装置は、非常用電源として用いられる。
【0015】
発明の有利な形態によれば、電気モータが、SFOC発電機及び/又は貯蔵装置から駆動エネルギを得、その際、バッテリエネルギ貯蔵装置によって考えられる電力網における負荷変動が補整される、ことが想定される。
【0016】
本発明に係る水上乗り物は、ガス有効利用のために、SFOC発電機に生じるCO2が周辺雰囲気に達する前に適切な捕集装置内で分離される点で完全に新しい可能性をも開く。一態様によれば、CO2は、好適な港にて陸上で引き渡す又は譲渡するために、長期にわたって船内に貯蔵され得る。これについて、水上乗り物の船体に、ガス有効利用のために得られたCO2を貯蔵するための少なくとも1つのタンクが設けられることが提案される。要するに、船舶に、CO2を貯蔵できる1つ又は複数のタンクが組み込まれている。さらに、水上乗り物の船体に発電機に必要な燃料を貯蔵するための少なくとも1つのタンクが設けられ、ガス有効利用のために得られたCO2を貯蔵するための少なくとも1つの容器が設けられる、ことが想定されている。
【0017】
得られたCO2をアルコールに関連する危険性を低減するための不活性ガスとして用いてよいことが、別の有利な構成として証明されている。特定の用途では、アルコールに関連する爆発の危険性が高いので、不活性ガスを使用しなければならない。この場合、捕集されたCO2は、適切な構造上の手段によって支援されつつ、この機能を担う。
【0018】
この場合、CO2の凝集状態を考慮しなければならない。CO2を一時貯蔵するために、MOF貯蔵装置、冷却容器及び/又は圧力タンク容器が用いられる、ことが想定されている。この場合、CO2を気体状態で貯蔵するとき、MOF貯蔵装置が推奨され、固体状態、固形炭酸及び液体状態では、5barから70barの圧力下にある圧力タンク容器が推奨される。この場合、貯蔵ユニットは、無圧の、圧力下の及び/又は冷却されたCO2を貯蔵するのに用いられる、又は貯蔵ユニットは、無圧の、圧力下の及び/又は冷却されたCO2を貯蔵するのに用いられる。
【0019】
本発明の別の有利な形態によれば、電気エネルギが、中央主制御盤において、電気消費器に分配され、電気モータに中央主制御盤からエネルギが供給される、ことが想定される。
【0020】
推進装置に関連して、船舶を推進するためにプロペラ、アジポッド、ジェット推進機などが用いられる、ことがさらに提案される。この場合、電気モータには、推進技術にエネルギを供給する機能が所与されている。この場合、回転方向を逆に制御できる電気モータの使用が合目的的である。この場合、主要な構成要素は、船内電力網であり、すなわち、水上乗り物は、電気エネルギを分配するための船内電力網を有し、この場合、船内電力網は、交流(AC)、直流(DC)又はこれら両方を組み合わせた形に構成されている。
【0021】
本発明による電気駆動系の別の中央ユニットは、パワーマネージメントである。水上乗り物は、主制御盤に利用可能な出力を制御するパワーマネージメントを有する。
【0022】
この場合、パワーマネージメントには、発電機及びエネルギ貯蔵装置からの出力消費量を自動制御する又は発電機及びエネルギ貯蔵装置からの出力消費量を最適化する機能がさらに所与される。
【0023】
パワーマネージメントシステムがエネルギ貯蔵装置の充電/放電を制御することは、このシステムの高い効率に著しく貢献し、この場合、パワーマネージメントシステムは、付加的に多くの安全機能を含み、エネルギ効率を戦略的に制御する。
【0024】
本発明は、特に、1つ又は複数のプロペラ、アジポッド、ウォータージェットなどの少なくとも1つの駆動ユニットを具備する少なくとも1つのモータと発電機とを備える水上乗り物用の電気駆動系が提供されていて、この電気駆動系において、従来では一般的であって多くの観点で問題のある燃料、重油/ディーゼル油及びこれにより駆動される機関が省かれ、電気駆動系によって代用されることを特徴とする。そのために、燃料を酸化させるための少なくとも1つの固体酸化燃料電池を有する発電機が用いられ、この場合、燃料は、合目的的にはメタノールである。他の燃料の使用も考えられる。発電機は、同時に特に環境調和性をもって燃料電池内の燃料を酸化する。したがって、船体で発電機において液体の燃料を(電気)エネルギに変換し、その結果、温室効果ガス、騒音又は他のエミッションも生成しないゼロエミッションの船舶が、本発明の対象である。本発明による水上乗り物は、電気駆動系を備え、この場合、電気駆動系は、回転可能なプロペラと、ゴンドラ状の推進モジュール(Azimut)と、ウォータジェット駆動装置又は任意の他の電気駆動系とからなる。本発明に係る水上乗り物は、電気モータ(推進モータ)と特にSFOC(高温固体酸化物燃料電池)発電機とをさらに有し、電気モータの回転方向は変更可能であり、SFOC発電機は、燃料電池にある例えばメタノール、アンモニア、アルコールなどの化石燃料又は合成燃料を酸化させ、合成ガスへと改質し、必要なエネルギを生成する。燃料を保管するために、本発明による船舶は、適切な燃料タンクあるいはCO2捕集兼貯蔵設備を有し、CO2捕集兼貯蔵設備は、SFOC発電機で発生したCO2排出ガスを捕捉し、船内に貯蔵する。回収されたCO2は、無圧で、冷却されて又は圧力下で貯蔵可能であり、これは、回収されたCO2を陸上の適当な場所で引き渡す及び譲渡する可能性を伴う。補足的に、バッテリエネルギ貯蔵システムが設けられていて、この場合、バッテリエネルギ貯蔵システムは、船舶の出力変動をカバーするとともに電気エネルギ消費量を最適化し、そして付加的に非常用電力ユニットとして用いられる。さらに、交流(AC)用、直流(DC)用の船内電力網又はコンビネーション船内電力網が実現されていて、これには、適切な主切換設備、インテリジェントパワーマネージメントシステム及びインテリジェントで適切なパワーマネージメントシステムが含まれ、パワーマネージメントシステムは、駆動系のための複雑な出力要求を制御し、そして電気の船内消費量を最適化し、これにより最終的に海洋の乗り物をゼロエミッション及びエネルギ効率的に運転できる。
【0025】
出力変動に対処するために、バッテリエネルギ貯蔵装置が船内電力網に組み込まれている。バッテリ貯蔵装置は、蓄えられたエネルギの数倍を瞬時に放出又は収容でき、したがって負荷変動のエネルギの提供と貯蔵との両方を行う。さらに、例えば技術的な理由からSFOC発電機がエネルギを提供できないとき、バッテリエネルギ貯蔵装置は、非常用電源として用いられる。SFOC発電機のエネルギ生産及び駆動系のためのエネルギ取出しを最適化するために、海洋の対象物に、特別なインテリジェントパワーマネジメントシステム自動制御装置が設けられていて、これは、SFOC発電機が常に最適な運転枠で運転されることを保証し、しかも、海洋の対象物にとって、常に確実に必要な駆動エネルギ及び電気エネルギが提供される。
【0026】
本発明の対象のさらなる詳細及び利点は、添付図面の以下の記述から明らかである。図面には、説明に必要な個々のユニット及び部品を有する好適な一実施例が示されていて、具体的には、電気駆動系の機能についての略図ある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】個々のユニット及び部品を有する一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面において、船舶2として構成された水上乗り物の駆動系には総括的に符号3が付されていて、駆動系は、電気モータ4を有する。電気モータ4は、選択的にSFOC発電機1又はバッテリエネルギ貯蔵装置6からそのエネルギを受け取るように船内電力網5に組み込まれている。この貯蔵装置は、供給網5における考えられる負荷変動を補整する。全ての電気消費器が、船内電力網5に接続されていて、適当な主制御盤7によって制御される。この場合、インテリジェントパワーマネージメントシステムが、電気消費器へのエネルギ供給を制御及び最適化する。符号9が、メタノール又は他の燃料を貯蔵するためのタンクに付されていて、符号10が、CO2の一時貯蔵のための貯蔵装置に付されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼機関を省いて電気モータ(4)と推進装置(3)と発電機(1)とを少なくとも備える水上乗り物用の電気駆動系において、
発電機(1)は、化石燃料又は合成燃料を酸化させるための固体酸化物燃料電池(2)として構成された少なくとも1つの高温燃料電池(2)を有することを特徴とする、電気駆動系。
【請求項2】
発電機(1)は、電気出力及び/又は熱出力を生成することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項3】
燃料は、アルカンの群に由来することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項4】
駆動系には、発電機(1)で生成されたエネルギを収容するために用いられる貯蔵装置(6)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項5】
貯蔵装置(6)は、水上乗り物の出力変動を補整するために設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の電気駆動系。
【請求項6】
貯蔵装置(6)として、船内電力網(5)に組み込まれたバッテリが用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電気駆動系。
【請求項7】
貯蔵装置(6)は、非常用電源として構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の電気駆動系。
【請求項8】
モータ(4)は、SFOC発電機(1)及び/又は貯蔵装置(6)からエネルギを得ることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項9】
水上乗り物(2)の船体に、発電機(1)に必要な燃料を貯蔵するための少なくとも1つのタンク(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項10】
水上乗り物(2)の船体に、ガス有効利用のために得られたCO
2を貯蔵するための少なくとも1つの容器(10)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項11】
得られたCO
2は、アルコールに関連する危険性を低減するための不活性ガスとして用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項12】
CO
2を一時貯蔵するために、MOF貯蔵装置、冷却容器及び/又は圧力タンク容器が用いられることを特徴とする、請求項10に記載の電気駆動系。
【請求項13】
容器(10)は、無圧の、圧力下の及び/又は冷却されたCO
2を貯蔵するために用いられることを特徴とする、請求項11に記載の電気駆動系。
【請求項14】
電気エネルギは、中央主制御盤(7)において電気消費器へ分配されることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項15】
中央主制御盤(7)は、電気モータ(4)にエネルギを供給するために用いられることを特徴とする、請求項14に記載の電気駆動系。
【請求項16】
船舶(2)を推進(3)させるために、プロペラ、アジポッド、ジェット推進機などが用いられることを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項17】
水上乗り物は、電気エネルギを分配するための船内電力網(5)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項18】
水上乗り物は、主制御盤(7)において利用可能な出力を制御するパワーマネージメントシステム(8)を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気駆動系。
【請求項19】
パワーマネージメントシステム(8)は、発電機(1)及びエネルギ貯蔵装置(6)からの出力消費量を自動制御することを特徴とする、請求項18に記載の電気駆動系。
【請求項20】
パワーマネージメントシステム(8)は、エネルギ貯蔵装置(6)の充電/放電を制御することを特徴とする、請求項18に記載の電気駆動系。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図面において、船舶2として構成された水上乗り物の駆動系には総括的に符号Aが付されていて、駆動系は、電気モータ4を有する。電気モータ4は、選択的にSFOC発電機1又はバッテリエネルギ貯蔵装置6からそのエネルギを受け取るように船内電力網5に組み込まれている。この貯蔵装置は、供給網5における考えられる負荷変動を補整する。全ての電気消費器が、船内電力網5に接続されていて、適当な主制御盤7によって制御される。この場合、インテリジェントパワーマネージメントシステムが、電気消費器へのエネルギ供給を制御及び最適化する。符号9が、メタノール又は他の燃料を貯蔵するためのタンクに付されていて、符号10が、CO2の一時貯蔵のための貯蔵装置に付されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
電気モータ(4)と推進装置(3)と発電機(1)とを少なくとも備える水上乗り物用の電気駆動系において、
発電機(1)は、化石燃料又は合成燃料を酸化させるための固体酸化物燃料電池として構成された少なくとも1つの高温燃料電池を有することを特徴とする、電気駆動系。
2.
発電機(1)は、電気出力及び/又は熱出力を生成することを特徴とする、上記1の電気駆動系。
3.
燃料は、アルカンの群に由来することを特徴とする、上記1の電気駆動系。
4.
駆動系には、発電機(1)で生成されたエネルギを収容するために用いられる貯蔵装置(6)が割り当てられていることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
5.
貯蔵装置(6)は、水上乗り物の出力変動を補整するために設けられていることを特徴とする、上記4の電気駆動系。
6.
貯蔵装置(6)として、船内電力網(5)に組み込まれたバッテリが用いられることを特徴とする、上記5の電気駆動系。
7.
貯蔵装置(6)は、非常用電源として構成されていることを特徴とする、上記5の電気駆動系。
8.
モータ(4)は、SFOC発電機(1)及び/又は貯蔵装置(6)からエネルギを得ることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
9.
水上乗り物(2)の船体に、発電機(1)に必要な燃料を貯蔵するための少なくとも1つのタンク(9)が設けられていることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
10.
水上乗り物(2)の船体に、ガス有効利用のために得られたCO
2
を貯蔵するための少なくとも1つの容器(10)が設けられていることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
11.
得られたCO
2
は、アルコールに関連する危険性を低減するための不活性ガスとして用いられることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
12.
CO
2
を一時貯蔵するために、MOF貯蔵装置、冷却容器及び/又は圧力タンク容器が用いられることを特徴とする、上記10の電気駆動系。
13.
容器(10)は、無圧の、圧力下の及び/又は冷却されたCO
2
を貯蔵するために用いられることを特徴とする、上記11の電気駆動系。
14.
電気エネルギは、中央主制御盤(7)において電気消費器へ分配されることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
15.
中央主制御盤(7)は、電気モータ(4)にエネルギを供給するために用いられることを特徴とする、上記14の電気駆動系。
16.
船舶(2)を推進(3)させるために、プロペラ、アジポッド、ジェット推進機などが用いられることを特徴とする、上記1の電気駆動系。
17.
水上乗り物は、電気エネルギを分配するための船内電力網(5)を有することを特徴とする、上記1の電気駆動系。
18.
水上乗り物は、主制御盤(7)において利用可能な出力を制御するパワーマネージメントシステム(8)を有することを特徴とする、上記1の電気駆動系。
19.
パワーマネージメントシステム(8)は、発電機(1)及びエネルギ貯蔵装置(6)からの出力消費量を自動制御することを特徴とする、上記18の電気駆動系。
20.
パワーマネージメントシステム(8)は、エネルギ貯蔵装置(6)の充電/放電を制御することを特徴とする、上記18の電気駆動系。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】