(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】殺真菌性ピリドン
(51)【国際特許分類】
C07D 213/64 20060101AFI20240326BHJP
C07D 213/85 20060101ALI20240326BHJP
C07D 213/89 20060101ALI20240326BHJP
C07D 409/04 20060101ALI20240326BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240326BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C07D213/64 CSP
C07D213/85
C07D213/89
C07D409/04
A01P3/00
A01N43/40 101Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562509
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 US2022024198
(87)【国際公開番号】W WO2022221165
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・キース・ロング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アクワボー
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4H011
【Fターム(参考)】
4C055AA04
4C055AA13
4C055AA17
4C055AA19
4C055AA21
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA39
4C055BA42
4C055CA03
4C055CA06
4C055CA08
4C055CA13
4C055CA16
4C055CA39
4C055CA59
4C055CB02
4C055DA08
4C055DA13
4C055DA35
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC92
4C063DD12
4C063EE03
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB09
4H011BC01
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC09
4H011BC16
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA02
4H011DA03
4H011DA10
4H011DA14
4H011DA15
4H011DA16
4H011DH02
4H011DH03
4H011DH07
4H011DH10
4H011DH14
(57)【要約】
開示されているのは、式1
【化1】
の化合物(その全ての幾何異性体及び立体異性体、N-オキシド、並びに塩を含む)であり、式中、W、R
1、R
2、R
3、Q
1、及びQ
2は、本開示で定義された通りである。同様に開示されているのは、式1の化合物を含む組成物、並びに真菌病原体による引き起こされる植物病害を防除する方法であって、本発明の化合物又は組成物の有効量を適用することを含む方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
から選択される化合物、その互変異性体、N-オキシド、及び塩であって、
式中
Wが、O又はSであり;
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されているフェニル環であるか;又は5~6員の複素芳香環であり、それぞれの環が、炭素原子と、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される1~4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含み、それぞれの環が、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されているか;又は3~6員の非芳香族複素環であり、それぞれの環が、炭素原子と、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される1~4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含み、最大2個の環メンバーが、C(=O)、C(=S)、S(=O)、及びS(=O)
2から独立して選択され、それぞれの環が、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されており;
R
1が、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、NH
2C(=O)H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
2~C
6シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルケニルオキシ、C
2~C
6ハロアルケニルオキシ、C
2~C
6アルキニルオキシ、C
2~C
6ハロアルキニルオキシ、C
2~C
6シアノアルコキシ、C
1~C
6アルキルアミノ、C
1~C
6ハロアルキルアミノ、C
2~C
6ジアルキルアミノ、C
4~C
8アルキルカルボニルアミノ、C
2~C
6アルコキシアルキルアミノ、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
2~C
6アルコキシカルボニル、若しくはC
2~C
6ハロアルコキシカルボニルであるか;又はC
3~C
6シクロアルキル若しくはC
4~C
6シクロアルキルアルキルであり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、及びC
1~C
3アルキルから独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
2~C
6シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルコキシアルキル、C
2~C
6ハロアルコキシアルキル、C
2~C
6アルコキシアルコキシ、若しくはC
2~C
6ハロアルコキシアルコキシであるか;又はC
3~C
6シクロアルキル若しくはC
4~C
6シクロアルキルアルキルであり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、及びC
1~C
3アルキルから独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
R
3が、H、ハロゲン、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、C(=O)H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、若しくはC
2~C
6アルコキシカルボニルであるか;又は炭素原子と、場合によっては、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される最大4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含む3~6員の非芳香環であり、最大2個の炭素原子環メンバーが、独立して、C(=O)及びC(=S)から選択され、それぞれの環が、場合によっては、R
5から独立して選択される最大5個の置換基で置換されており;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
4~C
6アルキルシクロアルキル、C
4~C
6シクロアルキルアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルケニルオキシ、C
2~C
6ハロアルケニルオキシ、C
2~C
6アルキニルオキシ、C
2~C
6ハロアルキニルオキシ、C
3~C
6シクロアルコキシ、C
2~C
4アルキルカルボニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキルカルボニルオキシ、C
1~C
6アルキルスルホニルオキシ、C
1~C
6ハロアルキルスルホニルオキシ、C
1~C
6アルキルチオ、C
1~C
6ハロアルキルチオ、C
1~C
6アルキルスルフィニル、C
1~C
6ハロアルキルスルフィニル、C
1~C
6アルキルスルホニル、C
1~C
6ハロアルキルスルホニル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
1~C
6アルキルアミノ、C
1~C
6ハロアルキルアミノ、C
2~C
6ジアルキルアミノ、又は-U-V-Tであり;
それぞれのR
5が、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
4アルキルカルボニル、又はC
2~C
4アルキルカルボニルオキシであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、S(=O)
m、又はNR
6であり;
それぞれのVが、独立して、C
1~C
6アルキレン、C
2~C
6アルケニレン、C
3~C
6アルキニレン、C
3~C
6シクロアルキレン、又はC
3~C
6シクロアルケニレンであり、最大2個の炭素原子が、(C=O)であり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、及びC
1~C
6ハロアルコキシから独立して選択される最大5個の置換基で置換されており;
それぞれのTが、独立して、シアノ、NR
7aR
7b、OR
8、又はS(=O)
mR
9であり;
それぞれのR
6が、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
2~C
6アルコキシカルボニル、C
2~C
6(アルキルチオ)カルボニル、又はC
2~C
6アルコキシ(チオカルボニル)であり;
それぞれのR
7a及びR
7bが、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、若しくはC
2~C
6アルコキシカルボニルであるか;又は
R
7a及びR
7bが、これらが結合している窒素原子と一緒に、3~6員の複素環を形成しており、前記環が、場合によっては、R
10から独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
それぞれのR
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、又はC
2~C
6アルコキシカルボニルであり;
それぞれのR
10が、独立して、ハロゲン、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、又はC
1~C
3ハロアルコキシであり;
それぞれのmが、独立して、0、1、又は2であり;
但し、
(a)Q
1が、場合によっては置換されたフェニル環である場合には、Q
2は、場合によっては置換された1H-ピラゾール-4-イル環以外であり;
(b)式1の化合物が、
3,6-ジクロロ-1-メチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
1-メチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
1-[5-[1-(シクロプロピルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,2-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-4-ピリジニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸;
1-[1,2-ジヒドロ-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-4-ピリジニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸;
1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4-(1H-ピロール-1-イル)-2(1H)-ピリジノン;
1-アミノ-3,6-ジメチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
メチル(3,6-ジメチル-2-オキソ-4,5-ジフェニル-1(2H)-ピリジニル)カルバメート;又は
エチル(3,6-ジメチル-2-オキソ-4,5-ジフェニル-1(2H)-ピリジニル)カルバメート
ではない、
化合物、その互変異性体、N-オキシド、及び塩。
【請求項2】
Wが、Oであり;
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、A1~A47
【化2】
【化3】
から選択され、
式中、
浮遊結合が、描かれている環の任意の利用可能な炭素原子又は窒素原子を介して、式1に接続されており;
それぞれのnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
1が、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
3アルケニルオキシ、C
2~C
3ハロアルケニルオキシ、C
2~C
3アルキニルオキシ、若しくはC
2~C
3シアノアルコキシであるか;又はハロゲン及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルであり;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
2~C
3アルキニル、C
2~C
3ハロアルキニル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、若しくはC
1~C
3ハロアルコキシであるか;又はハロゲン、シアノ、及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルであり;
R
3が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、若しくはC
1~C
3ハロアルコキシであるか;又は炭素原子と、場合によっては、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される最大4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含む3~6員の非芳香環であり、最大2個の炭素原子環メンバーが、独立して、C(=O)及びC(=S)から選択され、それぞれの環が、場合によっては、R
5から独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4ハロアルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4ハロアルケニル、C
2~C
4アルキニル、C
2~C
4ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4ハロアルコキシ、C
2~C
4アルケニルオキシ、C
2~C
4ハロアルケニルオキシ、C
2~C
4アルキニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキニルオキシ、C
2~C
4アルキルカルボニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキルカルボニルオキシ、C
1~C
4アルキルチオ、C
1~C
4ハロアルキルチオ、C
2~C
4アルキルカルボニル、C
2~C
4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tであり;
それぞれのR
5が、独立して、ハロゲン、シアノ、メチル、ハロメチル、又はメトキシであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNR
6であり;
それぞれのVが、独立して、C
1~C
3アルキレンであり、最大1個の炭素原子が、C=(O)であり、場合によっては、ハロゲン、メチル、ハロメチル、及びメトキシから独立して選択される最大2個の置換基で置換されており;
それぞれのTが、独立して、NR
7aR
7b又はOR
8であり;
それぞれのR
6が、独立して、H、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、又はC
2~C
4アルキルカルボニルであり;
それぞれのR
7a及びR
7bが、独立して、H、C
1~C
2アルキル、C
1~C
2ハロアルキル、又はシクロプロピルであり;
それぞれのR
8が、独立して、H、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、又はシクロプロピルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、A-1、A-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-7、及びA-19から選択され;
R
1が、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
3アルケニルオキシ、C
2~C
3ハロアルケニルオキシ、C
2~C
3アルキニルオキシ、又はC
2~C
3シアノアルコキシであり;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、又はC
1~C
3ハロアルコキシであり;
R
3が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、又はC
1~C
3ハロアルコキシであり;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
4アルケニルオキシ、C
2~C
4ハロアルケニルオキシ、C
2~C
4アルキルカルボニル、C
2~C
4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNHであり;
それぞれのVが、独立して、CH
2又はCH
2CH
2であり;
それぞれのR
7a及びR
7bが、独立して、H、メチル、又はハロメチルであり;
それぞれのR
8が、独立して、H、C
1~C
2アルキル、又はC
1~C
2ハロアルキルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、A-1、A-4、A-5、及びA-19から選択され;
それぞれのnが、独立して、1、2、又は3であり;
R
1が、C
1~C
2アルキル、C
1~C
2ハロアルキル、C
1~C
2アルコキシ、又はC
1~C
2ハロアルコキシであり;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、又はC
1~C
2アルキルであり;
R
3が、H、ハロゲン、又はC
1~C
2アルキルであり;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、又はC
1~C
3ハロアルコキシである、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Q
1及びQ
2が、それぞれ、1-Aであり;
それぞれのnが、独立して、2又は3であり;
R
1が、C
1~C
2アルキル又はC
1~C
2アルコキシであり;
R
2が、ハロゲン、シアノ、メチル、又はエチルであり;
R
3が、H、Br、Cl、又はメチルであり;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、C
1~C
2アルキル、C
1~C
2ハロアルキル、C
1~C
2アルコキシ、又はC
1~C
2ハロアルコキシである、
請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Q
1が、R
4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて置換されたA-1であるか;又はQ
1が、R
4から独立して選択される置換基で2位及び6位にて置換されたA-1であるか;又はQ
1が、R
4から独立して選択される置換基で2位、4位、及び6位にて置換されたA-1であり;
R
1が、メチルであり;
それぞれのR
4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、C
1~C
2アルコキシ、又はC
1~C
2ハロアルコキシである、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Q
1が、R
4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて又は2位及び6位にて置換されたA-1であり;
R
2が、ハロゲン、メチル、又はエチルであり;
R
3が、Hであり、
それぞれのR
4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、メトキシ、又はエトキシである、
請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
下記の群:
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
5-(2-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン;
5-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
3-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
3-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン;
3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン;
5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン;及び
5-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
(a)請求項1に記載の化合物と、(b)界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分とを含む殺真菌組成物。
【請求項10】
真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、植物若しくはその一部、又は植物種子に、請求項1に記載の化合物の殺真菌的有効量を適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある特定のピリドン、そのN-オキシド、塩、及び組成物、並びに殺真菌薬としてのこれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真菌植物病原体により引き起こされる植物病害の防除は、高い作物効率の達成において非常に重要である。観賞植物、野菜、田畑、穀物、及び果実の作物への植物病害による被害により、生産性が大幅に低下し、それにより消費者のコストが増加する可能性がある。これらの目的のために多くの製品が市販されているが、より有効であるか、コストがより低いか、毒性がより低いか、環境により安全であるか、又は作用部位が異なる新規の化合物が必要とされ続けている。
【0003】
国際公開第2018/195155号パンフレットでは、ピリドン誘導体、及び医薬組成物でのその使用が開示されている。
【0004】
国際公開第2009158257号パンフレット及び同第2010/093595号パンフレットでは、2-ピリドン及びピリジン誘導体等の殺真菌剤が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式1
【化1】
の化合物(全ての立体異性体を含む)、そのN-オキシド、及び塩、これらを含む組成物、並びに殺真菌剤としてのこれらの使用であって、
式中
Wが、O又はSであり;
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されているフェニル環であるか;又は5~6員の複素芳香環であり、それぞれの環が、炭素原子と、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される1~4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含み、それぞれの環が、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されているか;又は3~6員の非芳香族複素環であり、それぞれの環が、炭素原子と、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される1~4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含み、最大2個の環メンバーが、C(=O)、C(=S)、S(=O)、及びS(=O)
2から独立して選択され、それぞれの環が、R
4から独立して選択される最大5個の置換基で場合によっては置換されており;
R
1が、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、NH
2C(=O)H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
2~C
6シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルケニルオキシ、C
2~C
6ハロアルケニルオキシ、C
2~C
6アルキニルオキシ、C
2~C
6ハロアルキニルオキシ、C
2~C
6シアノアルコキシ、C
1~C
6アルキルアミノ、C
1~C
6ハロアルキルアミノ、C
2~C
6ジアルキルアミノ、C
4~C
8アルキルカルボニルアミノ、C
2~C
6アルコキシアルキルアミノ、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
2~C
6アルコキシカルボニル、若しくはC
2~C
6ハロアルコキシカルボニルであるか;又はC
3~C
6シクロアルキル若しくはC
4~C
6シクロアルキルアルキルであり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、及びC
1~C
3アルキルから独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
2~C
6シアノアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルコキシアルキル、C
2~C
6ハロアルコキシアルキル、C
2~C
6アルコキシアルコキシ、若しくはC
2~C
6ハロアルコキシアルコキシであるか;又はC
3~C
6シクロアルキル若しくはC
4~C
6シクロアルキルアルキルであり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、及びC
1~C
3アルキルから独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
R
3が、H、ハロゲン、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、C(=O)H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、若しくはC
2~C
6アルコキシカルボニルであるか;又は炭素原子と、場合によっては、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される最大4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含む3~6員の非芳香環であり、最大2個の炭素原子環メンバーが、独立して、C(=O)及びC(=S)から選択され、それぞれの環が、場合によっては、R
5から独立して選択される最大5個の置換基で置換されており;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
4~C
6アルキルシクロアルキル、C
4~C
6シクロアルキルアルキル、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、C
2~C
6アルケニルオキシ、C
2~C
6ハロアルケニルオキシ、C
2~C
6アルキニルオキシ、C
2~C
6ハロアルキニルオキシ、C
3~C
6シクロアルコキシ、C
2~C
4アルキルカルボニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキルカルボニルオキシ、C
1~C
6アルキルスルホニルオキシ、C
1~C
6ハロアルキルスルホニルオキシ、C
1~C
6アルキルチオ、C
1~C
6ハロアルキルチオ、C
1~C
6アルキルスルフィニル、C
1~C
6ハロアルキルスルフィニル、C
1~C
6アルキルスルホニル、C
1~C
6ハロアルキルスルホニル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
1~C
6アルキルアミノ、C
1~C
6ハロアルキルアミノ、C
2~C
6ジアルキルアミノ、又は-U-V-Tであり;
それぞれのR
5が、独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
4アルキルカルボニル、又はC
2~C
4アルキルカルボニルオキシであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、S(=O)
m、又はNR
6であり;
それぞれのVが、独立して、C
1~C
6アルキレン、C
2~C
6アルケニレン、C
3~C
6アルキニレン、C
3~C
6シクロアルキレン、又はC
3~C
6シクロアルケニレンであり、最大2個の炭素原子が、(C=O)であり、それぞれが、場合によっては、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
1~C
6アルコキシ、及びC
1~C
6ハロアルコキシから独立して選択される最大5個の置換基で置換されており;
それぞれのTが、独立して、シアノ、NR
7aR
7b、OR
8、又はS(=O)
mR
9であり;
それぞれのR
6が、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、C
2~C
6アルコキシカルボニル、C
2~C
6(アルキルチオ)カルボニル、又はC
2~C
6アルコキシ(チオカルボニル)であり;
それぞれのR
7a及びR
7bが、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
2~C
6ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、若しくはC
2~C
6アルコキシカルボニルであるか;又は
R
7a及びR
7bが、これらが結合している窒素原子と一緒に、3~6員の複素環を形成しており、この環が、場合によっては、R
10から独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
それぞれのR
8及びR
9が、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ハロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
2~C
6アルキルカルボニル、C
2~C
6ハロアルキルカルボニル、又はC
2~C
6アルコキシカルボニルであり;
それぞれのR
10が、独立して、ハロゲン、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、又はC
1~C
3ハロアルコキシであり;
それぞれのmが、独立して、0、1、又は2であり;
但し、
(a)Q
1が、場合によっては置換されたフェニル環である場合には、Q
2は、場合によっては置換された1H-ピラゾール-4-イル環以外であり;
(b)式1の化合物が、
3,6-ジクロロ-1-メチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
1-メチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
1-[5-[1-(シクロプロピルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,2-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-4-ピリジニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸;
1-[1,2-ジヒドロ-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-4-ピリジニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸;
1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4-(1H-ピロール-1-イル)-2(1H)-ピリジノン;
1-アミノ-3,6-ジメチル-4,5-ジフェニル-2(1H)-ピリジノン;
メチル(3,6-ジメチル-2-オキソ-4,5-ジフェニル-1(2H)-ピリジニル)カルバメート;又は
エチル(3,6-ジメチル-2-オキソ-4,5-ジフェニル-1(2H)-ピリジニル)カルバメート
ではない、
化合物(全ての立体異性体を含む)、そのN-オキシド、及び塩、これらを含む組成物、並びに殺真菌剤としてのこれらの使用を目的としている。
【0006】
より具体的には、本発明は、式1の化合物(全ての立体異性体を含む)、そのN-オキシド、又は塩に関連する。
【0007】
本発明はまた、(a)本発明の化合物(即ち、殺真菌的有効量での本発明の化合物)と、(b)界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なく1種の追加成分とを含む殺真菌組成物にも関する。
【0008】
本発明はまた、(a)本発明の化合物と、(b)少なくとも1種の他の殺真菌剤(例えば、作用部位が異なる少なくとも1種の他の殺真菌剤)とを含む殺真菌組成物にも関する。
【0009】
本発明は、さらに、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、植物若しくはその一部、又は植物種子に、(例えば、本明細書で説明されている組成物として)本発明の化合物の殺真菌的有効量を適用することを含む方法に関する。
【0010】
本発明はまた、式1の化合物、そのN-オキシド、又は塩と、少なくとも1種の無脊椎有害生物防除化合物又は薬剤とを含む組成物にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「で特徴付けられる(characterized by)」、又はそれらの任意の他の変形は、明確に示される任意の制限を受けて、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、若しくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。
【0012】
移行句「からなる(consisting of)」は、明記されないいかなる要素、工程、又は原料をも排除する。特許請求の範囲における場合、そのようなものは、それらと通常関係がある不純物を除いて列挙されるもの以外の材料の包含をクレームから締め出す。語句「からなる」が、前文の直後よりもむしろ、クレームの本体の条項に現れる場合、それは、当該条項に記述される要素のみを限定し;他の要素は、全体としてクレームから排除されない。
【0013】
移行句「から本質的になる(consisting essentially of)」は、文字通り開示されるものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む組成物、方法、又は装置を定義するために用いられ、ただし、これらの追加の材料、工程、特徴、成分、又は要素は、特許請求される発明の基本的な及び新規な特性に実質的に影響を及ぼさない。用語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と、「からなる(consisting of)」との中間領域を占める。
【0014】
出願人らが、発明又はその一部を、「含む(comprising)」などの開放端用語を使って定義している場合、(特に明記しない限り)この記載が、用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いてそのような発明をまた記載していると解釈されるべきであることが容易に理解されるはずである。
【0015】
さらに、明確にそれとは反対を述べられない限り、「又は(or)」は、包括的な「又は」を意味し、排他的な「又は」を意味しない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方ともが真である(又は存在する)。
【0016】
また、本発明の要素又は成分に先行する不定冠詞「a」及び「an」は、要素又は成分の場合(すなわち、出現)の数に関して非限定的であることを意図する。それ故「a」又は「an」は、1つ若しくは少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、要素又は成分の単数語形はまた、特に数が明らかに単数形であることを意図しない限り複数形を含む。
【0017】
用語「農学的」は、食品及び繊維のためなどの農作物の生産を言い、トウモロコシ又はコーン、大豆及び他のマメ科植物、米、穀物(例えば、小麦、オート麦、大麦、ライ麦及び米)、葉物野菜(例えば、レタス、キャベツ、及び他のアブラナ科作物)、結果野菜(例えば、トマト、コショウ、ナス、十字花植物及びウリ科植物)、ジャガイモ、サツマイモ、ブドウ、綿、果樹(例えば、ナシ状果、核果及び柑橘類)、小果(例えば、ベリー及びサクランボ)並びに他のスペシャルティ作物(例えば、キャノーラ、ヒマワリ及びオリーブ)の成長を含む。
【0018】
用語「非農学的」は、例えば園芸作物(例えば、田畑で成長させられない温室植物、苗床植物又は観賞植物)以外の農作物、居住の、農業の、商業の及び工業構造物、芝生(例えば、芝農場、牧場、ゴルフコース、芝土、スポーツフィールドなど)、木製品、貯蔵製品、農森林管理及び植物管理、公衆衛生(すなわち、ヒト)及び動物の健康(例えば、家畜化された動物、例えばペット、家畜及び家禽など、家畜化されていない動物、例えば野生生物など)用途を言う。
【0019】
用語「作物成長力」は、作物の成長又はバイオマス蓄積の速度を言う。「成長力の増加」は、未処理対照作物に対して作物の成長又はバイオマス蓄積の増加を言う。用語「作物収量」は、作物の収穫後に得られた、量及び品質の両方の観点からの、作物材料リターンを言う。「作物収量の増加」は、未処理対照作物に対して作物収量の増加を言う。
【0020】
「生物学的有効量」という用語は、真菌病害による被害から植物を保護するためか、又は他の所望の効果(例えば、植物の成長力の増大)のために、防除する真菌若しくはその環境、又は植物、この植物が生育する種子、若しくはこの植物の場所(例えば生育培地)に適用した(即ち接触させた)場合に所望の生物学的効果を得るのに十分な生物学的活性化合物(例えば、式1の化合物、又は少なくとも1種の他の殺真菌性化合物との混合物)の量を指す。
【0021】
本開示及び特許請求の範囲で言及される場合、「植物」は、全ての生活環の植物界(特に種子植物(seed plant)(種子植物(Spermatopsida))のメンバーを含み、例えば、若い植物(例えば、苗へと成長している発芽種子)、及び成熟した生殖段階(例えば、花及び種子を産生する植物)を含む。植物の一部として、典型的には栽培培地(例えば土壌)の表面の下で成長する屈地性メンバー(例えば、根、塊茎、球根、及び球茎)が挙げられ、栽培培地の上で成長するメンバー(例えば、葉(茎及び葉を含む)、花、果実、及び種子)も挙げられる。
【0022】
本明細書で言及される場合、単独又は単語の組み合わせで使用される「苗」という用語は、種子の胚から発育している若い植物を意味する。
【0023】
本明細書で言及される場合、単独又は単語(例えば広葉作物)で使用される「広葉」という用語は、2枚の子葉を有する胚を特徴とする被子植物のグループを説明するために使用される用語である双子葉植物(dicot)又は双子葉植物(dicotyledon)を意味する。
【0024】
本開示で言及される場合、「真菌病原体」及び「真菌植物病原体」という用語は、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、及び接合菌門(Zygomycota)の病原体、並びに経済的に重要な広範囲の植物病害の病原体である真菌様卵菌綱(Oomycota)を含み、観葉植物、芝、野菜、畑、穀物、及び果実の作物に影響を及ぼす。本開示の文脈では、「植物を病害から保護すること」又は「植物の病害の防除」は、予防的作用(感染、コロニー形成、症状の発現、及び胞子産生の真菌サイクルの中断)、並びに/又は治癒的作用(植物宿主組織のコロニー形成の阻害)を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「作用様式」(MOA)という用語は、Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)により定義された通りであり、植物病原体の生合成経路における生化学的作用様式及び耐性リスクに従って殺真菌剤を区別するために使用される。FRACにより定義された作用様式には、下記が含まれる:(A)核酸代謝、(B)細胞骨格及び運動タンパク質、(C)呼吸、(D)アミノ酸及びタンパク質の合成、(E)シグナル伝達、(F)脂質の合成又は輸送、及び膜の完全性又は機能、(G)膜中でのステロール生合成、(H)細胞壁の生合成、(I)細胞壁中でのメラニン合成、(P)宿主植物防御の誘導、(U)未知の作用様式、(M)多部位活性を有する化学物質、並びに(BM)複数の作用様式を有する生物学的物質。それぞれの作用様式(即ち、文字A~BM)は、個々の有効な標的作用部位に基づくか又は正確な標的部位が不明な場合にはグループ内の若しくは他のグループとの関係での交差耐性プロファイルに基づく1つ又は複数のサブグループを含む(例えば、Aは、サブグループA1、A2、A3、及びA4を含む)。これらのサブグループのそれぞれ(例えば、A1、A2、A3、及びA4)には、数字及び/又は文字であるFRACコードが割り当てられている。例えば、サブグループA1のFRACコードは、4である。標的部位及びFRACコードに関する更なる情報を、例えばFRACにより維持されている公的に利用可能なデータベースから得ることができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「交差耐性」という用語は、病原体が1種の殺真菌剤に対する耐性を発達させ、且つ同時に1種又は複数種の他の殺真菌剤に対して耐性を示すようになる場合に起こる現象を指す。これらの他の殺真菌剤は、典型的には、常ではないが、同一の化学クラスであるか、又は同一の標的作用部位を有するか、又は同一の機序により解毒され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「アルキル化剤」という用語は、炭素含有ラジカルが、炭素原子を介して、前記炭素原子に求核剤が結合することにより置換可能である脱離基(例えば、ハロゲン化物又はスルホン酸塩)に結合している化合物を指している。特に断らない限り、「アルキル化剤」という用語は、炭素含有ラジカルをアルキルに限定するものではなく;アルキル化剤中の炭素含有ラジカルとして、例えばR2に関して規定される様々な炭素結合置換基ラジカルが挙げられる。
【0028】
一般的には、分子の断片(すなわち、ラジカル)を一連の原子記号(例えば、C、H、N、O、及びS)で表したときに、明示していない単一又は複数の結合点は、当業者には、容易に理解できるであろう。本明細書の中のいくつかの場合においては、別の結合点が可能である場合には特に、その単一又は複数の結合点を、ハイフン(「-」)によって、明示的に示すこともできる。
【0029】
上記の説明において、単独で使用されるか又は「ハロアルキル」等の複合語で使用される「アルキル」という用語は、直鎖状及び分岐状のアルキルを含み、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルを含む。「アルケニル」は、直鎖状及び分岐状のアルケンを含み、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、並びに様々なブテニル異性体及びペンテニル異性体を含む。「アルケニル」はまた、ポリエンも含み、例えば、1,2-プロパジエニル及び2,4-ペンタジエニルも含む。「アルキニル」は、直鎖状及び分岐状のアルキンを含み、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、及び様々なブチニル異性体及びペンチニル異性体を含む。「アルキニル」はまた、複数の三重結合で構成されている部分も含み得る(例えば2,5-ペンタジイニル)。「アルキレン」は、直鎖状又は分岐状のアルカンジイルを示す。「アルキレン」の例として、CH2、CH2CH2、CH(CH3)、CH2CH2CH2、CH2CH(CH3)、及び様々なブチレン異性体、ペンチレン異性体、又はヘキシレン異性体が挙げられる。「アルケニレン」は、1つのオレフィン結合を含む直鎖状又は分岐状のアルケンジイルを示す。「アルケニレン」の例として、CH=CH、CH2CH=CH、及びCH=C(CH3)が挙げられる。「アルキニレン」は、1つの三重結合を含む直鎖状又は分岐状のアルキンジイルを示す。「アルキニレン」の例として、CH2C≡C、C≡CCH2、及び様々なブチニレン異性体、ペンチニレン異性体、又はヘキシニレン異性体が挙げられる。
【0030】
「アルキルチオ」は、分枝状又は直鎖状のアルキルチオ部分(例えば、メチルチオ、エチルチオ、及び様々なプロピルチオ異性体)を含む。「アルキルスルフィニル」は、アルキルスルフィニル基の両方の鏡像異性体を含む。「アルキルスルフィニル」の例として、CH3S(=O)、CH3CH2S(=O)、CH3CH2CH2S(=O)、及び(CH3)2CHS(=O)が挙げられる。「アルキルスルホニル」の例として、CH3S(=O)2、CH3CH2S(=O)2、CH3CH2CH2S(=O)2、及び(CH3)2CHS(=O)2が挙げられる。
【0031】
「アルコキシ」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、及び様々なブトキシ異性体を含む。「アルケニルオキシ」は、酸素原子に結合しており且つこの酸素原子を介して連結されている直鎖状又は分岐状のアルケニルを含む。「アルケニルオキシ」の例として、H2C=CHCH2O及びCH3CH=CHCH2Oが挙げられる。「アルキニルオキシ」は、酸素原子に結合しており且つこの酸素原子を介して連結されている直鎖状又は分岐状のアルキニルを含む。「アルキニルオキシ」の例として、HC≡CCH2O及びCH3C≡CCH2Oが挙げられる。「アルキルスルホニルオキシ」という用語は、酸素原子に結合しており且つこの酸素原子を介して連結されているアルキルスルホニルを示す。「アルキルスルホニルオキシ」の例として、CH3S(=O)2O、CH3CH2S(=O)2O、CH3CH2CH2S(=O)2O、及び(CH3)2CHS(=O)2Oが挙げられる。「アルコキシアルキル」は、アルキル上のアルコキシ置換基を示す。「アルコキシアルキル」の例として、CH3OCH2、CH3OCH2CH2、CH3CH2OCH2、CH3CH2CH2OCH2、及びCH3CH2CH2OCH2CH2が挙げられる。「アルコキシアルキル」は、別のアルコキシ部分上のアルコキシ置換基を示す。「アルコキシアルキル」の例として、CH3OCH2O、CH3OCH2CH2CH2O、及びCH3CH2OCH2Oが挙げられる。
【0032】
「アルキルカルボニル」は、C(=O)部分に結合している直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。「アルキルカルボニル」の例として、CH3C(=O)、CH3CH2CH2C(=O)、及び(CH3)2CHC(=O)が挙げられる。「アルコキシカルボニル」の例として、CH3OC(=O)、CH3CH2OC(=O)、CH3CH2CH2OC(=O)、(CH3)2CHOC(=O)、及び様々なペントキシカルボニル異性体又はヘキソキシカルボニル異性体が挙げられる。「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、C(=O)O部分に結合した直鎖状又は分岐状のアルキルを示す。「アルキルカルボニルオキシ」の例として、CH3CH2C(=O)O及び(CH3)2CHC(=O)Oが挙げられる。「(アルキルチオ)カルボニル」は、C(=O)部分に結合した直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基を示す。「(アルキルチオ)カルボニル」の例として、CH3SC(=O)、CH3CH2CH2SC(=O)、及び(CH3)2CHSC(=O)が挙げられる。「アルコキシ(チオカルボニル)」は、C(=S)部分に結合した直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を示す。「アルコキシ(チオカルボニル)」の例として、CH3OC(=S)、CH3CH2CH2OC(=S)、及び(CH3)2CHOC(=S)が挙げられる。
【0033】
「アルキルアミノ」は、直鎖状又は分岐状のアルキルで置換されたNHラジカルを含む。「アルキルアミノ」の例として、CH3CH2NH、CH3CH2CH2NH、及び(CH3)2CHNHが挙げられる。「ジアルキルアミノ」の例として、(CH3)2N、(CH3CH2)2N、及びCH3CH2(CH3)Nが挙げられる。「アルキルカルボニルアミノ」という用語は、C(=O)NH部分に結合したアルキルを示す。「アルキルカルボニルアミノ」の例として、CH3C(=O)NH及びCH3CH2C(=O)NHが挙げられる。
【0034】
「シクロアルキル」という用語は、単結合により互いに連結された3~6個の炭素原子からなる飽和炭素環を示す。「シクロアルキル」の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル基上でのシクロアルキル置換を示す。「シクロアルキルアルキル」の例として、直鎖状又は分岐状のアルキル基に結合したシクロプロピルメチル、シクロペンチルエチル、及び他のシクロアルキル部分が挙げられる。「アルキルシクロアルキル」は、シクロアルキル部分上のアルキル置換を示す。例として、4-メチルシクロヘキシル及び3-エチルシクロペンチルが挙げられる。「シクロアルコキシ」という用語は、酸素原子に結合しており且つこの酸素原子を介して連結されているシクロアルキル(例えば、シクロペンチルオキシ及びシクロヘキシルオキシ)を示す。「シクロアルケニレン」という用語は、1つのオレフィン結合を含むシクロアルケンジイル環を示す。「シクロアルケニレン」の例として、シクロプロペニレン及びシクロペンテニレンが挙げられる。
【0035】
単独又は「ハロメチル」、「ハロアルキル」等の複合語のいずれかでの「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」等の複合語で使用される場合には、前記アルキルは、同一であってもよいし異なっていてもよいハロゲン原子で部分的又は完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」の例として、F3C、ClCH2、CF3CH2、及びCF3CCl2が挙げられる。「ハロアルケニル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルキルチオ」、「ハロアルキルスルフィニル」、「ハロアルキルスルホニル」、「ハロシクロアルキル」という用語、及び同類のものは、「ハロアルキル」という用語と同様に定義される。「ハロアルケニル」の例として、Cl2C=CHCH2及びCF3CH2=CHが挙げられる。「ハロアルコキシ」の例として、CF3O、CCl3CH2O、F2CHCH2CH2O、及びCF3CH2Oが挙げられる。「ハロアルキルチオ」の例として、CCl3S、CF3S、CCl3CH2S、及びClCH2CH2CH2Sが挙げられる。「ハロアルキルスルフィニル」の例として、CF3S(=O)、CCl3S(=O)、CF3CH2S(=O)、及びCF3CF2S(=O)が挙げられる。「ハロアルキルスルホニル」の例として、CF3S(=O)2、CCl3S(=O)2、CF3CH2S(=O)2、及びCF3CF2S(=O)2が挙げられる。「ハロシクロアルキル」の例として、クロロシクロプロピル、フルオロシクロブチル、及びクロロシクロヘキシルが挙げられる。
【0036】
「シアノアルキル」は、1個のシアノ基で置換されたアルキル基を示す。「シアノアルキル」の例として、NCCH2、NCCH2CH2、及びCH3CH(CN)CH2が挙げられる。「シアノアルコキシ」という用語は、「シアノアルキル」という用語と類似的に定義されている。
【0037】
置換基中の炭素原子の総数は、「Ci~Cj」接頭表記で示されており、ここで、i及びjは、1~6の数である。例えば、C1~C3アルキルは、メチルからプロピルまでを表し;C2アルコキシアルキルは、CH3OCH2を表し;C3アルコキシアルキルは、例えば、CH3CH(OCH3)、CH3OCH2CH2、又はCH3CH2OCH2を表し;C4アルコキシアルキルは、合計4個の炭素原子を含むアルコキシ基で置換されたアルキル基の様々な異性体(例えば、CH3CH2CH2OCH2及びCH3CH2OCH2CH2を含む)を表す。
【0038】
環のような基に関連した「非置換の」という用語は、式1の残りに対して、1個以上の結合のいかなる置換基も有していない基を意味している。「場合によっては置換された」という用語は、置換基の数がゼロの場合もあり得るということを意味している。特に断らない限り、場合によっては置換された基が、各種の利用可能な炭素原子又は窒素原子の上で水素原子を非水素置換基によって置き換えることが可能な限りの、多くの任意の置換基を用いて置換されていてもよい。一般的には、任意の置換基の数は、(存在させる場合)1~3の範囲である。本明細書で使用するとき、「場合によっては置換された」という用語は、「置換若しくは非置換の」という文言、又は「(非)置換の」という用語と相互に交換可能に使用される。
【0039】
任意の置換基の数は、表現された限界により制限される場合がある。例えば、「場合によっては、R4から独立して選択される最大3個の置換基で置換された」という文言は、(可能な結合点の数が許すならば)0個、1個、2個、又は3個の置換基が存在し得るということを意味している。
【0040】
置換基の数に関して指定された範囲(例えば、別紙Aにおいて、nは、0~4の整数である)が、環上の置換基に利用可能な位置の数(例えば、別紙Aにおいて、A-6上の(R4)nに利用可能な2箇所の位置)を超える場合には、この範囲の実際の上限は、利用可能な位置の数であると認識される。
【0041】
本開示における置換基の命名は、当業者に化学構造を正確に伝える上での簡潔さをもたらす認識された用語法を使用する。簡潔さのために、ロカント記述子が省略されている場合がある。
【0042】
「環メンバー」という用語は、環又は環系の骨格を形成する原子(例えば、C、O、N、若しくはS)又は他の部分(例えば、C(=O)、C(=S)、S(=O)、及びS(=O)2)を指す。「芳香族」という用語は、環原子のそれぞれが、本質的に同一平面上に存在しており、且つ環平面に垂直なp軌道を有していること、並び(4n+2)π電子(nは、正の整数である)が、ヒュッケル則に従うために環と関連していることを示す。
【0043】
「炭素環」という用語は、環であって、この環の骨格を形成する原子が炭素のみから選択される環を示す。特に示さない限り、炭素環は、飽和の、部分的に不飽和の、又は完全に不飽和の環であり得る。完全に不飽和の炭素環がヒュッケル則を満たす場合には、前記環はまた、「芳香環」とも称される。「飽和炭素環」は、単結合により互いに連結されている炭素原子からなる骨格を有する環を指し、特に示さない限り、残余の炭素原子価は、水素原子で占められている。
【0044】
本明細書で使用される場合、「部分的に不飽和の環」又は「部分的不飽和の複素環」という用語は、不飽和の環原子と1つ又は複数の二重結合とを含むが芳香族ではない環を指す。
【0045】
「複素環(heterocyclic ring)」又は「複素環(heterocycle)」という用語は、環であって、この環の骨格を形成する原子の内の少なくとも1つが炭素以外である環を示す。特に示さない限り、複素環は、飽和の、部分的に不飽和の、又は完全に不飽和の環であり得る。完全に不飽和の複素環がヒュッケル則を満たす場合には、前記環はまた、「芳香族複素環(heteroaromatic ring)」又は芳香族複素環(aromatic heterocyclic ring)」とも称される。「飽和複素環」は、環メンバー間に単結合のみを含む複素環を指す。
【0046】
別途示さない限り、複素環は、任意の利用可能な炭素原子又は窒素原子を介して、前記炭素原子又は窒素原子上の水素の置き換えにより、式1の残部に結合している。
【0047】
本発明の化合物では、1種又は複数の立体異性体が存在可能である。立体異性体とは、同一の構成を有しているが、それらの原子の空間配置が異なっている異性体であって、鏡像異性体、ジアステレオマー、cis-及びtrans-異性体(幾何異性体とも呼ばれる)、及びアトロプ異性体が含まれる。アトロプ異性体は、単結合の回りでの束縛回転から生じるものであって、その回転の障壁が高いために、それらの異性体種を単離することが可能である。当業者のよく理解するところであろうが、一つの立体異性体が、他の立体異性体よりも高濃度にするか、又は他の立体異性体から分離するときに、反応性がより高くてもよいし、及び/又は有利な効果を示してもよい。それに加えて、当業者であれば、前記立体異性体の分離法、富化法、及び/又は選択的な調製法を知っている。立体異性のすべての態様についての包括的な議論については、次の文献を参照されたい:Ernest L.Eliel and Samuel H.Wilen,Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,1994。
【0048】
本発明は、全ての立体異性体、配座異性体、及び全ての割合でのこれらの混合物、並びに重水素化化合物等の同位体形態を含む。
【0049】
当業者の認識するところであろうが、全部の窒素含有複素環がN-オキシドを形成できる訳ではないが、その理由は、その窒素が、酸化されてオキシドとなるには、利用可能な孤立電子対を必要とするからである。N-オキシドを形成することが可能なそれらの窒素含有複素環は、当業者のよく知るところであろう。第三級アミンがN-オキシドを形成することが可能であることもまた、当業者のよく知るところであろう。複素環及び第三級アミンのN-オキシドを調製するための合成方法は、ペルオキシ酸例えば過酢酸及びm-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、並びにジオキシラン例えばジメチルジオキシランを用いて、複素環及び第三級アミンを酸化させることも含めて、当業者の極めてよく知るところである。N-オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献に広く記述され、総説が書かれているが、例えば、以下の文献を参照されたい:T.L.Gilchrist,Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp.748-750(S.V.Ley,Ed.,Pergamon Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Comprehensive Heterocyclic Chemistry,vol.3,pp.18-20(A.J.Boulton and A.McKillop,Eds.,Pergamon Press);M.R.Grimmett and B.R.T.Keene,Advances in Hetrocyclic Chemistry,vol.43,pp.149-161(A.R.Katritzky,Ed.,Academic Press);M.Tisler and B.Stanovnik,Advances in Hetrocyclic Chemistry,vol.9,pp.285-291(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press);及びG.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk,Advances in Hetrocyclic Chemistry,vol.22,pp.390-392(A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press)。
【0050】
当業者の認識するところであるが、環境内及び生理学的条件下では、化合物の塩は、それらに相当する非塩の形態とは平衡関係にあることが理由で、塩は、その非塩の形態と、生物学的実用性を分け合っている。そのため、式1の化合物の多種多様な塩が、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害の防除に有用である(即ち、農学的に好適である)。式1の化合物の塩としては、例えば以下のような無機酸又は有機酸との酸付加塩が挙げられる:臭化水素酸、塩化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピン酸、サリチル酸、酒石酸、4-トルエンスルホン酸、又は吉草酸。式1の化合物に、カルボン酸のような酸性の残基が含まれているような場合には、塩としてはさらに、例えば以下のような有機又は無機の塩基を用いて形成されたものが含まれる:ピリジン、トリエチルアミン若しくはアンモニア、又はアミド、水素化物、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、若しくはバリウムの水酸化物又は炭酸塩。したがって、本発明には、式1から選択される化合物、それらのN-オキシド及び農学的に好適な塩及び溶媒和物が含まれる。
【0051】
式1から選択される化合物、それらの立体異性体、互変異性体、N-オキシド、及び塩は、典型的には、二つ以上の形態で存在し、そのため、式1には、式1で表される化合物の、すべての結晶性及び非晶性の形態が含まれる。非晶性の形態には、固体である実施形態例えばワックス及びゴム、さらには液体である実施形態例えば溶液及び溶融物が含まれる。結晶性の形態には、実質的に単結晶タイプを表す実施形態、及び多形の混合物(すなわち、複数の結晶性タイプ)を表す実施形態が含まれる。「多形(polymorph)」という用語は、各種の結晶性の形態で結晶化することが可能な、化合物の特定の結晶性の形態を表しており、これらの形態は、結晶格子の中での、各種の分子の配列及び/又は配座を有している。複数の多形が、同一の化学組成を有することできるが、それらはさらに、その格子の中に弱く、又は強く結合されることが可能な、共結晶された水又は他の分子の存否によって、組成が異なっていることも可能である。多形は、結晶の形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸濁性、溶解速度、及び生物学的アベイラビリティーのような、化学的、物理的、及び生物学的性質の面で異なっている可能性がある。当業者が認めるところであろうが、式1で表される化合物の多形が、式1で表される同一の化合物の他の多形、又は複数の多形の混合物に比較して、有利な効果(例えば、有用な配合を調製する際の適合性、改良された生物学的性能)を示すことが可能である。式1で表される化合物の特定の多形の調製及び単離は、例えば、選択された溶媒及び温度を使用する結晶化など、当業者には公知の方法によって達成することができる。多形についての包括的な議論に関しては、次の文献を参照されたい:R.Hilfiker Ed.,Polymorphism in the Pharmaceutical Industry,Wiley-VCH,Weinheim,2006。
【0052】
[課題を解決するための手段]の中に記載されているような本発明の実施形態には、以下に記載されているものが含まれる。以下の実施形態においては、式1には、それらの立体異性体、N-オキシド、及び塩が含まれ、そして「式1の化合物」といった場合、実施形態においてさらに定義された場合を除き、[課題を解決するための手段]で特定された置換基の定義が含まれる。
【0053】
[実施形態1]
Wが、Oである、式1の化合物。
【0054】
[実施形態2]
Wが、Sである、式1の化合物。
【0055】
[実施形態3]
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、別紙A
【化2】
【化3】
で示されているA-1~A-47から選択され、
式中、浮遊結合(floating bond)が、描かれている環の任意の利用可能な炭素原子又は窒素原子を介して、式1に接続されており、それぞれのnが、独立して、0、1、2、3、又は4である、
式1又は実施形態1若しくは2に記載の化合物。
【0056】
[実施形態4]
それぞれのnが、独立して、0、1、2、又は3である、実施形態3に記載の化合物。
【0057】
[実施形態5]
それぞれのnが、独立して、1、2、又は3である、実施形態4に記載の化合物。
【0058】
[実施形態6]
それぞれのnが、独立して、2又は3である、実施形態5に記載の化合物。
【0059】
[実施形態7]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1~A-13、A-19、A-20、A-21、A-23、A-24、A-25、及びA-26から選択される、式1又は実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
【0060】
[実施形態8]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1、A-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-7、及びA-19から選択される、実施形態7に記載の化合物。
【0061】
[実施形態9]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1、A-4、A-5、及びA-19から選択される、実施形態9に記載の化合物。
【0062】
[実施形態10]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1及びA-4から選択される、実施形態9に記載の化合物。
【0063】
[実施形態11]
Q1及びQ2が、それぞれ、1-Aである、実施形態10に記載の化合物。
【0064】
[実施形態12]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位(即ち、オルト位及びパラ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び6位(即ち、オルト位)にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位、4位、及び6位(即ち、パラ位及びオルト位)にて置換されたA-1である、式1又は実施形態1~11のいずれか1つに記載の化合物。
【0065】
[実施形態13]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位(即ち、オルト位及びパラ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び6位(即ち、オルト位)にて置換されたA-1である、実施形態12に記載の化合物。
【0066】
[実施形態14]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて置換されたA-1である、実施形態13に記載の化合物。
【0067】
[実施形態15]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び6位(即ち、オルト位)にて置換されたA-1である、実施形態13に記載の化合物。
【0068】
[実施形態16]
Q2が、R4から独立して選択される置換基で3位及び5位(即ち、メタ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位(即ち、オルト位及びパラ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位及び5位(即ち、パラ位及びメタ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位、3位、及び5位(即ち、オルト位及びメタ位)にて置換されたA-1である、式1又は実施形態1~15のいずれか1つに記載の化合物。
【0069】
[実施形態17]
Q2が、R4から独立して選択される置換基で3位及び5位(即ち、メタ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位及び5位(即ち、オルト位及びパラ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位、3位、及び5位(即ち、オルト位及びメタ位)にて置換されたA-1である、実施形態16に記載の化合物。
【0070】
[実施形態18]
Q2が、R4から独立して選択される置換基で3位及び5位(即ち、メタ位)にて置換されたA-1であるか;又はQ2が、R4から独立して選択される置換基で2位及び5位(即ち、オルト位及びパラ位)にて置換されたA-1である、実施形態17に記載の化合物。
【0071】
[実施形態19]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて又は2位及び6位置にて置換されたA-1であり、Q2が、R4から独立して選択される置換基で3位及び5位にて、2位及び5位にて、又は2位、3位、及び5位にて置換されたA-1である、式1又は実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物。
【0072】
[実施形態20]
R1が、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、若しくはC2~C3シアノアルコキシであるか;又はハロゲン及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルである、式1又は実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物。
【0073】
[実施形態20a]
R1が、アミノ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、C1~C3アルキルアミノ、C2~C4ジアルキルアミノ、C4~C5アルキルカルボニルアミノ、C2~C4アルコキシアルキルアミノ、若しくはC2~C3シアノアルコキシであるか;又はハロゲン及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルである、実施形態20に記載の化合物。
【0074】
[実施形態21]
R1が、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、又はC2~C3シアノアルコキシである、実施形態20に記載の化合物。
【0075】
[実施形態21a]
R1が、アミノ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、C1~C3アルキルアミノ、C2~C4ジアルキルアミノ、C2~C4アルコキシアルキルアミノ、又はC2~C3シアノアルコキシである、実施形態21に記載の化合物。
【0076】
[実施形態22]
R1が、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、又はC2~C3シアノアルコキシである、実施形態21に記載の化合物。
【0077】
[実施形態22a]
R1が、アミノ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、C1~C3アルキルアミノ、C2~C4ジアルキルアミノ、又はC2~C3シアノアルコキシである、実施形態22に記載の化合物。
【0078】
[実施形態23]
R1が、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、実施形態22に記載の化合物。
【0079】
[実施形態23a]
R1が、アミノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、又はC1~C3アルキルアミノである、実施形態23に記載の化合物。
【0080】
[実施形態24]
R1が、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、実施形態23に記載の化合物。
【0081】
[実施形態24a]
R1が、アミノ、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、C1~C2ハロアルコキシ、又はC1~C2アルキルアミノである、実施形態24に記載の化合物。
【0082】
[実施形態25]
R1が、C1~C2アルキル又はC1~C2アルコキシである、実施形態24に記載の化合物。
【0083】
[実施形態25a]
R1が、アミノ、C1~C2アルキル、又はC1~C2アルコキシである、実施形態25に記載の化合物。
【0084】
[実施形態26]
R1が、メチルである、実施形態25に記載の化合物。
【0085】
[実施形態27]
R2が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C2~C3アルキニル、C2~C3ハロアルキニル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、若しくはC1~C3ハロアルコキシであるか;又はハロゲン、シアノ、及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルである、式1又は実施形態1~26のいずれか1つに記載の化合物。
【0086】
[実施形態28]
R2が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、実施形態27に記載の化合物。
【0087】
[実施形態29]
R2が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C2~C3シアノアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、実施形態28に記載の化合物。
【0088】
[実施形態30]
R2が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C2アルキル、又はC1~C2ハロアルキルである、実施形態29に記載の化合物。
【0089】
[実施形態31]
R2が、H、ハロゲン、シアノ、又はC1~C2アルキルである、実施形態30に記載の化合物。
【0090】
[実施形態32]
R2が、ハロゲン、シアノ、メチル、又はエチルである、実施形態31に記載の化合物。
【0091】
[実施形態33]
R2が、ハロゲン、メチル、又はエチルである、実施形態32に記載の化合物。
【0092】
[実施形態33a]
R2が、ハロゲン又はメチルである、実施形態33に記載の化合物。
【0093】
[実施形態33b]
R2が、ハロゲンである、実施形態33aに記載の化合物。
【0094】
[実施形態34]
R2が、Br又はClである、実施形態33bに記載の化合物。
【0095】
[実施形態35]
R2が、Clである、実施形態34に記載の化合物。
【0096】
[実施形態36]
R3が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、若しくはC1~C3ハロアルコキシであるか;又は炭素原子と、場合によっては、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される最大4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含む3~6員の非芳香環であり、最大2個の炭素原子環メンバーが、独立して、C(=O)及びC(=S)から選択され、それぞれの環が、場合によっては、R5から独立して選択される最大3個の置換基で置換されている、式1又は実施形態1~35のいずれか1つに記載の化合物。
【0097】
[実施形態37]
R3が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、実施形態36に記載の化合物。
【0098】
[実施形態38]
R3が、H、ハロゲン、C1~C2アルキル、又はC1~C2ハロアルキルである、実施形態37に記載の化合物。
【0099】
[実施形態39]
R3が、H、ハロゲン、又はC1~C2アルキルである、実施形態38に記載の化合物。
【0100】
[実施形態40]
R3が、H、Br、Cl、又はメチルである、実施形態39に記載の化合物。
【0101】
[実施形態41]
R3が、Hである、実施形態40に記載の化合物。
【0102】
[実施形態42]
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4アルキル、C1~C4ハロアルキル、C2~C4アルケニル、C2~C4ハロアルケニル、C2~C4アルキニル、C2~C4ハロアルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6ハロシクロアルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4ハロアルコキシ、C2~C4アルケニルオキシ、C2~C4ハロアルケニルオキシ、C2~C4アルキニルオキシ、C2~C4ハロアルキニルオキシ、C2~C4アルキルカルボニルオキシ、C2~C4ハロアルキルカルボニルオキシ、C1~C4アルキルチオ、C1~C4ハロアルキルチオ、C2~C4アルキルカルボニル、C2~C4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tである、式1又は実施形態1~41のいずれか1つに記載の化合物。
【0103】
[実施形態43]
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C4アルケニルオキシ、C2~C4ハロアルケニルオキシ、C2~C4アルキルカルボニル、C2~C4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tである、実施形態42に記載の化合物。
【0104】
[実施形態44]
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、実施形態43に記載の化合物。
【0105】
[実施形態45]
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、実施形態44に記載の化合物。
【0106】
[実施形態46]
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、実施形態45に記載の化合物。
【0107】
[実施形態47]
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、実施形態46に記載の化合物。
【0108】
[実施形態48]
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、メトキシ、又はエトキシである、実施形態47に記載の化合物。
【0109】
[実施形態49]
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、又はメトキシである、実施形態48に記載の化合物。
【0110】
[実施形態50]
それぞれのR5が、独立して、ハロゲン、シアノ、メチル、ハロメチル、又はメトキシである、式1又は実施形態1~49のいずれか1つに記載の化合物。
【0111】
[実施形態51]
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNR6である、式1又は実施形態1~50のいずれか1つに記載の化合物。
【0112】
[実施形態52]
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNHである、実施形態51に記載の化合物。
【0113】
[実施形態53]
それぞれのUが、直接結合である、実施形態52に記載の化合物。
【0114】
[実施形態54]
それぞれのVが、独立して、C1~C3アルキレンであり、最大2個の炭素原子が、C(=O)であり、場合によっては、ハロゲン、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、及びC1~C2ハロアルコキシから独立して選択される最大3個の置換基で置換されている、式1又は実施形態1~53のいずれか1つに記載の化合物。
【0115】
[実施形態55]
それぞれのVが、独立して、C1~C3アルキレンであり、ここで、最大1個の炭素原子が、C(=O)であり、場合によっては、ハロゲン、メチル、ハロメチル、及びメトキシから独立して選択される最大2個の置換基で置換されている、実施形態54に記載の化合物。
【0116】
[実施形態56]
それぞれのVが、独立して、CH2又はCH2CH2である、実施形態55に記載の化合物。
【0117】
[実施形態57]
それぞれのVが、CH2である、実施形態56に記載の化合物。
【0118】
[実施形態58]
それぞれのTが、独立して、NR7aR7b又はOR8である、式1又は実施形態1~57のいずれか1つに記載の化合物。
【0119】
[実施形態59]
それぞれのR6が、独立して、H、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、又はC2~C4アルキルカルボニルである、式1又は実施形態1~58のいずれか1つに記載の化合物。
【0120】
[実施形態60]
それぞれのR6が、独立して、H又はメチルである、実施形態59に記載の化合物。
【0121】
[実施形態61]
R7a及びR7bが、別々である(即ち、一緒に環を形成しない)場合には、それぞれのR7a及びR7bが、独立して、H、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、シクロプロピル、C2~C3アルキルカルボニル、又はC2~C3アルコキシカルボニルである、式1又は実施形態1~60のいずれか1つに記載の化合物。
【0122】
[実施形態62]
それぞれのR7a及びR7bが、独立して、H、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、又はシクロプロピルである、実施形態61に記載の化合物。
【0123】
[実施形態63]
それぞれのR7a及びR7bが、独立して、H、メチル、又はハロメチルである、実施形態62に記載の化合物。
【0124】
[実施形態64]
R7a及びR7bが、一緒に環を形成している(即ち、分離していない)場合には、それぞれのR7a及びR7bが、これらが結合している窒素原子と一緒に、3~6員の複素環を形成しており、この環が、場合によっては、R10から独立して選択される最大2個の置換基で置換されている、式1又は実施形態1~63のいずれか1つに記載の化合物。
【0125】
[実施形態65]
それぞれのR7a及びR7bが、これらが結合している窒素原子と一緒に、3~6員の複素環を形成している、実施形態64に記載の化合物。
【0126】
[実施形態66]
それぞれのR8及びR9が、独立して、H、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、又はシクロプロピルである、式1又は実施形態1~65のいずれか1つに記載の化合物。
【0127】
[実施形態67]
それぞれのR8及びR9が、独立して、H、C1~C2アルキル、又はC1~C2ハロアルキルである、実施形態66に記載の化合物。
【0128】
[実施形態68]
それぞれのR8及びR9が、独立して、メチル又はエチルである、実施形態67に記載の化合物。
【0129】
[実施形態69]
それぞれのR10が、独立して、ハロゲン、メチル、ハロメチル、又はメトキシである、式1又は実施形態1~68のいずれか1つに記載の化合物。
【0130】
[実施形態70]
それぞれのmが、0又は2である、式1又は実施形態1~69のいずれか1つに記載の化合物。
【0131】
上述の実施形態1~70、さらには本明細書に記載の各種の他の実施形態も含めて、本発明の実施形態は、どのように組合せてもよく、そしてそれらの実施形態における各種の記述は、式1の化合物に関連するだけではなく、出発化合物、及び式1の化合物を調製するのに有用な中間体化合物にも関連する。それに加えて、上述の実施形態1~70、さらには本明細書に記載の各種その他の実施形態、及びそれらの各種組合せも含めた、本発明の実施形態は、本発明の組成物及び方法にも関連する。
【0132】
実施形態1~70の組み合わせを、下記に示す。
[実施形態A]
Wが、Oであり;
Q
1及びQ
2が、それぞれ独立して、A-1~A-47
【化4】
【化5】
から選択され、
式中、浮遊結合が、描かれている環の任意の利用可能な炭素原子又は窒素原子を介して、式1に接続されており、それぞれのnが、独立して、0、1、2、3、又は4であり;
R
1が、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、C
1~C
3ハロアルコキシ、C
2~C
3アルケニルオキシ、C
2~C
3ハロアルケニルオキシ、C
2~C
3アルキニルオキシ、若しくはC
2~C
3シアノアルコキシであるか;又はハロゲン及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルであり;
R
2が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、C
2~C
3アルキニル、C
2~C
3ハロアルキニル、C
2~C
3シアノアルキル、C
1~C
3アルコキシ、若しくはC
1~C
3ハロアルコキシであるか;又はハロゲン、シアノ、及びメチルから独立して選択される最大3個の置換基で場合によっては置換されているシクロプロピルであり;
R
3が、H、ハロゲン、シアノ、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
1~C
3アルコキシ、若しくはC
1~C
3ハロアルコキシであるか;又は炭素原子と、場合によっては、最大2個のO原子、最大2個のS原子、及び最大4個のN原子から独立して選択される最大4個のヘテロ原子とから選択される環メンバーを含む3~6員の非芳香環であり、最大2個の炭素原子環メンバーが、独立して、C(=O)及びC(=S)から選択され、それぞれの環が、場合によっては、R
5から独立して選択される最大3個の置換基で置換されており;
それぞれのR
4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4ハロアルキル、C
2~C
4アルケニル、C
2~C
4ハロアルケニル、C
2~C
4アルキニル、C
2~C
4ハロアルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6ハロシクロアルキル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4ハロアルコキシ、C
2~C
4アルケニルオキシ、C
2~C
4ハロアルケニルオキシ、C
2~C
4アルキニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキニルオキシ、C
2~C
4アルキルカルボニルオキシ、C
2~C
4ハロアルキルカルボニルオキシ、C
1~C
4アルキルチオ、C
1~C
4ハロアルキルチオ、C
2~C
4アルキルカルボニル、C
2~C
4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tであり;
それぞれのR
5が、独立して、ハロゲン、シアノ、メチル、ハロメチル、又はメトキシであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNR
6であり;
それぞれのVが、独立して、C
1~C
3アルキレンであり、最大1個の炭素原子が、C(=O)であり、場合によっては、ハロゲン、メチル、ハロメチル、及びメトキシから独立して選択される最大2個の置換基で置換されており;
それぞれのTが、独立して、NR
7aR
7b又はOR
8であり;
それぞれのR
6が、独立して、H、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、又はC
2~C
4アルキルカルボニルであり;
それぞれのR
7a及びR
7bが、独立して、H、C
1~C
2アルキル、C
1~C
2ハロアルキル、又はシクロプロピルであり;
それぞれのR
8が、独立して、H、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、C
2~C
3アルケニル、C
2~C
3ハロアルケニル、又はシクロプロピルである、
式1の化合物。
【0133】
[実施形態B]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1、A-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-7、及びA-19から選択され;
R1が、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、又はC2~C3シアノアルコキシであり;
R2が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシであり;
R3が、H、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシであり;
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3アルケニル、C2~C3ハロアルケニル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C4アルケニルオキシ、C2~C4ハロアルケニルオキシ、C2~C4アルキルカルボニル、C2~C4ハロアルキルカルボニル、又は-U-V-Tであり;
それぞれのUが、独立して、直接結合、O、又はNHであり;
それぞれのVが、独立して、CH2又はCH2CH2であり;
それぞれのR7a及びR7bが、独立して、H、メチル、又はハロメチルであり;
それぞれのR8が、独立して、H、C1~C2アルキル、又はC1~C2ハロアルキルである、
実施形態Aに記載の化合物。
【0134】
[実施形態C]
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1、A-4、A-5、及びA-19から選択され;
それぞれのnが、独立して、1、2、又は3であり;
R1が、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシであり;
R2が、H、ハロゲン、シアノ、又はC1~C2アルキルであり;
R3が、H、ハロゲン、又はC1~C2アルキルであり;
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、
実施形態Bに記載の化合物。
【0135】
[実施形態D]
Q1及びQ2が、それぞれ、1-Aであり;
それぞれのnが、独立して、2又は3であり;
R1が、C1~C2アルキル又はC1~C2アルコキシであり;
R2が、ハロゲン、シアノ、メチル、又はエチルであり;
R3が、H、Br、Cl、又はメチルであり;
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、
実施形態Cに記載の化合物。
【0136】
[実施形態E]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び6位にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位、4位、及び6位にて置換されたA-1であり;
R1が、メチルであり;
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、
実施形態Dに記載の化合物。
【0137】
[実施形態F]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて又は2位及び6位にて置換されたA-1であり;
R2が、ハロゲン、メチル、又はエチルであり;
R3が、Hであり;
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、メトキシ、又はエトキシである、
実施形態Eに記載の化合物。
【0138】
[実施形態G]
Wが、Oであり;
Q1及びQ2が、それぞれ独立して、A-1、A-4、A-5、及びA-19から選択され;
それぞれのnが、独立して、1、2、又は3であり;
R1が、アミノ、シアノ、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C2~C3シアノアルキル、C1~C3アルコキシ、C1~C3ハロアルコキシ、C2~C3アルケニルオキシ、C2~C3ハロアルケニルオキシ、C2~C3アルキニルオキシ、C1~C3アルキルアミノ、C2~C4ジアルキルアミノ、C2~C4アルコキシアルキルアミノ、又はC2~C3シアノアルコキシであり;
R2が、H、ハロゲン、シアノ、又はC1~C2アルキルであり;
R3が、H、ハロゲン、又はC1~C2アルキルであり;
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C3アルキル、C1~C3ハロアルキル、C1~C3アルコキシ、又はC1~C3ハロアルコキシである、
式1の化合物。
【0139】
[実施形態H]
Q1及びQ2が、それぞれ、1-Aであり;
それぞれのnが、独立して、2又は3であり;
R1が、アミノ、C1~C2アルキル、C1~C2アルコキシ、C1~C2アルキルアミノ、又はC2~C4ジアルキルアミノであり;
R2が、ハロゲン、シアノ、メチル、又はエチルであり;
R3が、H、Br、Cl、又はメチルであり;
それぞれのR4が、独立して、ハロゲン、C1~C2アルキル、C1~C2ハロアルキル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、
実施形態Gに記載の化合物。
【0140】
[実施形態I]
Q1が、R4から独立して選択される置換基で2位及び4位にて置換されたA-1であるか;又はR4から独立して選択される置換基で2位及び6位にて置換されたA-1であるか;又はQ1が、R4から独立して選択される置換基で2位、4位、及び6位にて置換されたA-1であり;
R1が、アミノ、メチル、又はメチルアミノであり;
それぞれのR4が、独立して、Br、Cl、F、メチル、C1~C2アルコキシ、又はC1~C2ハロアルコキシである、
実施形態Hに記載の化合物。
【0141】
具体的な実施形態は、下記:
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物4);
5-(2-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物9);
5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン(化合物13);
5-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物20);
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物29);
3-クロロ-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物30);
3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物32);
3-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物33);
4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン(化合物43);
3-クロロ-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-5-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物51);
5-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン;及び
5-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリジノン
からなる群から選択される式1の化合物を含む。
【0142】
上述した実施形態に加えて、本発明はまた、式1の化合物(その全ての立体異性体、N-オキシド、及び塩を含む)と、少なくとも1種の他の殺真菌剤とを含む殺真菌組成物も提供する。そのような組成物の実施形態として注目すべきは、上述した化合物実施形態の内のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0143】
本発明はまた、式1の化合物(その全ての立体異性体、N-オキシド、及び塩を含む)(即ち、殺真菌的有効量の式1の化合物)と、界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分とを含む殺真菌組成物も提供する。そのような組成物の実施形態として注目すべきは、上述した化合物実施形態の内のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0144】
本発明は、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、植物若しくはその一部、又は植物種子に、式1の化合物(その全ての立体異性体、N-オキシド、及び塩を含む)の殺真菌的有効量を適用することを含む方法を提供する。そのような方法の実施形態として注目すべきは、上述した化合物実施形態の内のいずれかに対応する化合物の殺真菌的有効量を適用することを含む方法である。特に注目すべきことは、この化合物を本発明の組成物として適用する実施形態である。
【0145】
スキーム1~12で説明されている下記の方法及び変法の内の1つ又は複数を使用して、式1の化合物を調製し得る。下記の式1~18の化合物におけるW、Q1、Q2、R1、R2、及びR3の定義は、特に断らない限り、本発明の概要において上記で定義された通りである。式1aの化合物は、式1の化合物の様々なサブセットであり、式1aの全ての置換基は、特に断らない限り、式1に関して上記で定義された通りである。
【0146】
スキーム1に示すように、式1a(即ち、WがOである式1)の化合物を、式3(式中、Lgが、ハロゲン、(ハロ)アルキルスルホネート、又はノナフルオロブタンスルホネート(例えば、Cl、Br、I、p-トルエンスルホネート、メタンスルホネート、又はトリフルオロメタンスルホネート)等の脱離基であり、R1が、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、及び同類のものである)の化合物による式2の化合物のアルキル化により調製し得る。本明細書で言及される場合、「アルキル化」及び「アルキル化剤」という用語は、R1がアルキル基であることに限定されない。特に有用なアルキル化剤として、ハロゲン化アルキル、及び同類のもの(例えば、ヨードエタン、臭化アリル、塩化プロパルギル、臭化シアン)、及び硫酸アルキル(例えば硫酸ジメチル)が挙げられるが、これらに限定されない。この反応を、多くの場合には、塩基(例えば、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムエトキシド、又は炭酸カリウム)の存在下で、且つ塩基に適合する溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、又はエタノール)中で実行する。この反応を、約0~100℃の範囲の温度で実行し得る。或いは、アルキル基を、アルキルカルボカチオン、フリーラジカル、カルボアニオン、又はカルベンとして移動させ得る。例えば、式1(式中、R1が、ハロアルキル(例えば、CHF2又はCHCl2)である)の化合物の調製を、アセトニトリル等の溶媒中で、且つ炭酸水素ナトリウム等の塩基の存在下で、式2の化合物と接触させる2-クロロ-2,2-ジフルオロ酢酸又は2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸を使用して、ジフルオロカルベン媒介条件下で達成し得る。2-ピリドンのN-アルキル化に関する一般的な手順が、化学文献に十分に記載されており;例えば、Journal of Medicinal Chemistry 1980,23(12),1398-1405;Organic Biomolecular Chemistry 2008,16,4151-4158;及びRoyal Society of Chemistry 2020,10,29829-29832を参照されたい。位置選択的なN-アルキル化対O-アルキル化は、様々な要因(例えば、アルキル化剤の構造、式2の2-ピリドン環上の置換基、溶媒、及び温度)に依存することが、当業者には明らかであるだろう。反応条件の変更により、これらのアルキル化の変換及び位置選択性を改善し得る。位置選択的N-アルキル化条件を論じた参考文献に関して、Organic Letters 2015,17,3382-3385;及びTetrahedron Letters 2013,54(30),3926-3928を参照されたい。
【0147】
カルベン試薬(例えば、ジフルオロカルベン)を、様々な反応条件(例えば、相間移動条件)下で、いくつかの方法により生成し得る。最も一般的な相間移動条件は、クロロホルム、含水水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及び相間移動試薬(例えば、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(TEBA)、2-ベンジリジン-N,N,N,N,N,N-ヘキサエチルプロパン-1,2-ジアンモニウムジブロミド(ジクア)、及び18-クラウン-6)を含む。このタイプの反応の概説に関して、Organic Synthesis,Fourth Edition,2017,Pages 917-980を参照されたい。
【0148】
式1(式中、R
1が、アミノである)の化合物を、大気~100℃の範囲の温度で、典型的には極性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリジノン)中において、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウム、又は水酸化ナトリウム)の存在下にて、O-(ジフェニルホスホリル)ヒドロキシルアミン、O-(2,4-ジニトロフェニル)ヒドロキシルアミン、又はO-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン等の試薬を使用するN-アミノ化により、式2の化合物から調製し得る。N-アミノ基を、当業者に公知の方法によりさらに改変して、式1(式中、R
1が、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及び同類のものである)の化合物を得ることができる。
【化6】
【0149】
スキーム2に示すように、Q2が、炭素が連結された環である式1a(即ち、WがOである式1)の化合物を、好適なパラジウム触媒、銅触媒、又はニッケル触媒の存在下における、遷移金属触媒クロスカップリング反応条件下での、式5の有機金属化合物との式4(式中、Lgが、ハロゲン又は(ハロ)アルキルスルホネート(例えば、Cl、Br、I、p-トルエンスルホネート、メタンスルホネート、又はトリフルオロメタンスルホネート)等の脱離基である)の化合物の反応により調製し得る。この方法では、式5の化合物は、有機ボロン酸(例えば、Mが、B(OH)2である)、有機ボロン酸エステル(例えば、Mが、B(-OC(CH2)3O-である)、有機トリフルオロホウ酸塩(例えば、Mが、BF3Kである)、有機スズ試薬(例えば、Mが、Sn(n-Bu)3、Sn(Me)3である)、グリニャール試薬(例えば、Mが、MgBr又はMgClである)、又は有機亜鉛試薬(例えば、Mが、ZnBr又はZnClである)である。好適な金属触媒として下記が挙げられるが、これらに限定されない:パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)クロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロニッケル(II)及び銅(I)塩(例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、シアン化銅(I)、又は銅(I)トリフラート)。最適な条件は、当業者に理解されるように、使用される触媒、及び式5の化合物に結合した対イオン(即ち、M)に依存するだろう。場合によっては、リガンド(例えば、置換ホスフィン又は置換ビスホスフィノアルカン)の添加により、反応性が促進される。また、式5の有機ホウ素試薬を含むいくつかの反応には、塩基(例えば、炭酸アルカリ、第三級アミン、又はフッ化アルカリ)の存在が必要な場合もある。この反応を、典型的には、約大気~溶媒の沸点の範囲の温度で実行する。この反応をまた、加圧容器(例えば、マイクロ波反応器又はフィッシャー・ポーター管)を使用することにより、溶媒の沸点超の温度でも実行し得る。このタイプの反応の概説に関して、E.Negishi,Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Inc.,New York,2002;N.Miyaura,Cross-Coupling Reactions:A Practical Guide,Springer,New York,2002;H.C.Brown et al.,Organic Synthesis via Boranes,Vol.3,Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI,2002;Suzuki et al.,Chemical Review 1995,95,2457-2483、及びMolander et al.,Accounts of Chemical Research 2007,40,275-286を参照されたい。また、本実施例1(ステップC)、実施例2(ステップB)、及び実施例4(ステップE)も、スキーム2(式中、Q2が、置換フェニル環である)の方法を示す。
【0150】
式4の化合物上でのある特定の官能基の存在が、スキーム2の方法における反応条件に適合しない場合があり、そのような場合では、保護基の使用が、収量及び又は純度が改善された所望の生成物を得るのに望ましい場合がある。例えば、R
1が、ヒドロキシ基である場合には、ヒドロキシ保護基の組み込みが、所望の生成物を得るのに有利な場合がある。多様な保護基が、スキーム2の方法での使用に適しており(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照されたい)、適切な保護基の選択は、化学合成の当業者には明らかであるだろう。本実施例6(ステップC)は、式4(式中、R
1が、ヒドロキシベンジル保護基である)の化合物から始まるスキーム2の方法を示す。
【化7】
【0151】
スキーム3に示すように、Q
2が、窒素が連結された複素環である式1a(即ち、WがOである式1)の化合物を、式6(式中、環窒素が、水素原子に結合している(例えば、1H-ピラゾール及び1H-イミダゾール))の複素環による式4の化合物の金属触媒カップリング反応により調製し得る。この反応を、典型的には、触媒、例えば、銅塩(例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、シアン化銅(I)、酸化銅(I)、又は酢酸銅(II))及び塩基(例えば、NaO-t-Bu、K
2CO
3、K
3PO
4、又はCs
2CO
3)の存在下において、溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N.N-ジメチルホルムアミド、トルエン、アセトニトリル、又は1,4-ジオキサン)中で実行する。場合によっては、この反応を、リガンド又は可溶化剤の存在下で行い得、一般的にはアミンと共に行い得る。例えば、CuI、及びN,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチル-トランス-1,2-シクロヘキサンジアミン、プロリン、又はビピリジル等のリガンド触媒系。典型的な反応温度は、約50℃~溶媒の沸点の範囲である。主要な参考文献に関して、例えば、Nature Protocols 2007,2(10),2474-2479、及びJournal of Organic Chemistry 2007,72(16),6190-6199を参照されたい。
【化8】
【0152】
スキーム4に示すように、式4の化合物を、式7のピリジン(好ましくは2-クロロピリジン)と、式3(式中、Lgは、Cl、Br、I、又はp-トルエンスルホネート、メタンスルホネート、又はトリフルオロメタンスルホネート等の脱離基である)のアルキル化剤との反応により調製し得る。このアルキル化剤は、一般的には過剰に存在しており、典型的には、式7のピリジンに対して約1.1~20モル当量の範囲である。この反応を、多くの場合には、約0~100℃の温度にて、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、及びアルコール(例えば、メタノール、エタノール))中で実行する。好ましくは、この反応を、式7のピリジンが完全に又は少なくとも実質的に溶解しており且つ式8のピリジニウム塩が典型的には大気温度(例えば、約15~40℃)での溶解度が低い溶媒を使用して実行する。式8のピリジニウム塩の式4の化合物への後続の変換を、酸性条件下又は塩基性条件下のいずれかで達成し得る。例えば、多くの場合には、第2の溶媒(例えば、エタノール、メタノール、又は水)、及び典型的には溶媒又は溶媒系の沸点以下の温度での混合物の加熱の付加を伴う、酸(例えば、酢酸若しくはトリフルオロ酢酸)、又は塩基(例えば、トリエチルアミン若しくは水酸化ナトリウム)、又はこれらの混合物による処理。代表的な手順に関して、Biochemical Journal 1948,43,423-426;及びCanadian Journal of Chemistry 2011,89(6),617-622を参照されたい。また、本実施例1(ステップB)も、アルキル化剤として硫酸ジメチルを使用して式4(式中、R
1は、メチルである)の化合物を得るスキーム4の方法を示す。
【化9】
【0153】
式4(式中、R1が、ジフルオロメチル等のハロアルキルである)の化合物を、スキーム1で説明されている方法と類似のジフルオロカルベン媒介条件を使用して調製し得る。
【0154】
スキーム5に示すように、式4(式中、R
2が、ハロゲン又はアルキルである)の化合物を、対応する式4(式中、R
2が、Hである)の化合物から調製し得る。典型的には、ハロゲン化を、N,N-ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、アセトニトリル、ジクロロメタン、又は酢酸等の適切な溶媒中で、元素ハロゲン(例えば、Cl
2、Br
2、I
2)、塩化スルフリル、一塩化ヨウ素、又はN-ハロスクシンイミド(例えば、NBS、NCS、NIS)等の当該技術分野で既知の様々なハロゲン化剤を使用して達成し得る。アルキル化は、式4(式中、R
2が、Hである)の化合物と、金属化剤とを反応させ、続いて式R
2-Lg(式中、Lgが、脱離基(例えば、Cl、Br、I、又はスルホネート(例えば、p-トルエンスルホネート、メタンスルホネート、若しくはトリフルオロメタンスルホネート))である)のアルキル化剤と反応させることにより達成される。好適な金属化剤として、例えば、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、又は水素化ナトリウム(NaH)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「アルキル化」及び「アルキル化剤」という用語は、R
2がルキル基であることに限定されず、アルキルに加えて、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、及び同類のもの等の基を含む。本実施例2(ステップA)、実施例4(ステップD)、及び実施例6(ステップB)は、式4(式中、R
2が、クロロである)の化合物を提供するためにハロゲン化剤としてN-クロロスクシンイミドを使用するスキーム5の方法を示す。
【化10】
【0155】
スキーム6に示すように、式4(式中、R
1が、アルコキシ、ハロアルコキシ、及び同類のものである)の化合物を、式7のピリジンの酸化、続いてヒドロキシル化、次いでアルキル化により調製し得る。スキーム6の方法では、様々な酸化剤を使用し得、例えば、過酸、例えば、過酢酸及びm-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、及びモノ過フタル酸マグネシウムを使用し得る。採用する酸化剤によって溶媒が選択され、例えば、MCPBAではジクロロメタンが一般に好ましい。合成文献では、本発明の化合物の調製へと容易に適合させ得るピリジンN-オキシドを調製するための多種多様な参加条件が説明されており、例えば、Bioorganic & Medicinal Chemistry 2009,17(16),6106-6122を参照されたい。トリフルオロ酢酸無水物と過酸化水素-尿素複合体とを使用する酸化条件に関しては、Tetrahedron Letters 2000,41,2299-2302を参照されたい。得られた式9のピリジンN-オキシドを、対応する式9aのヒドロキシピリジンへとヒドロキル化し得る。この反応を、典型的には、無機塩基(例えば、リチウム、ナトリウム、又はカリウムの水酸化物)を含む水溶液中で且つ約70~100℃の範囲の温度で行う。その後、式9aの化合物を、式R
1-Lg(式中、Lgが、ハロゲン(例えば、Cl、Br、又はI)等の脱離基である)のアルキル化剤と反応させて、式4(式中、R
1が、アルコキシ、ハロアルコキシ、及び同類のものである)の化合物を得ることができる。この反応を、好ましくは、塩基(例えば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、又はトリエチルアミン)の存在下で且つ溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、又は水)中で実行する。このタイプのアルキル化の一般的な手順は、当該技術分野で公知であり、本発明の化合物の調製に容易に適合させ得る。同様に、本実施例4、ステップA~Cは、スキーム6の方法を示す。
【化11】
【0156】
スキーム7に示すように、式4(式中、R
1が、アルキルである)の化合物をまた、スキーム1の方法に類似の式10の化合物のアルキル化によっても調製し得る。
【化12】
【0157】
スキーム8に示すように、式7の化合物を、スキーム2及び3の方法に類似して調製し得る。この方法では、式12の化合物は、式5に関して説明されている有機金属化合物と同一であり、式13の化合物は、スキーム3中の式6の化合物に関して説明されているのと同一の複素環である。この反応を、スキーム2及び3で示されているのと同様に実行する。X
1基が最初に置換されて所望の式7の化合物が得られるように、式11の化合物に結合しているX
1基を、式7上に存在する他の官能基(例えば、Lg基)の相対的な反応性を考慮して選択すべきであることを、当業者は理解するだろう。最適な選択性(即ち、X
1の優先的置換)のためには、Lg基は、クロスカップリング条件下においてX
1と比べて反応性が低くなければならず、そのため、2つの反応中心間での区別が可能となる。例えば、式11(式中、X
1が、Iであり、Lgが、Br又はClである)の化合物の使用により、ピリジン環の4位でのQ
1環の選択的導入が可能となることが多い。本実施例1(ステップA)は、式11(式中、Lgが、Brであり、X
1が、Iである)の化合物から出発して式7(式中、Q
1が、置換フェニル環である)の化合物が得られるスキーム7の方法を説明する。スキーム7の方法を、式11の化合物に結合しているLg官能基及びX
1官能基が逆であり、そのためQ
1環の代わりにQ
2環を導入することが可能となる場合に実行し得ることもまた、当業者は認識するだろう。
【化13】
【0158】
スキーム9に示すように、式1aの化合物を得るためにQ
2置換基がピリジン環に結合している場合には、スキーム4に示されているものに類似の反応も利用し得ることを、当業者は認識するだろう。
【化14】
【0159】
スキーム10に示すように、式14(式中、X
1、R
2、及びR
3が、Clである)の化合物を、溶媒(例えば、ジクロロメタン)中において塩素化試薬(例えば、塩化チオニル、オキシ塩化リン、又は五塩化リン)で式15の化合物を処理することにより調製し得る。典型的な反応条件に関しては、例えば、Australian Journal of Chemistry 1968,21(2)467-76;及びBioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2011,21(10),2958-2961を参照されたい。
【化15】
【0160】
スキーム11に示すように、Australian Journal of Chemistry 1968,21(2)467-76;及びMonatshefte fuer Chemie 1987,118(8-9),987-91で説明されているように、硫酸等の強酸で処理することにより、式16の化合物から式15の化合物を調製し得る。或いは、エステル基を、(場合によっては、メタノール又はテトラヒドロフラン等の共溶媒中における)例えば水性水酸化ナトリウムによる処理、続いて、一般に溶媒(例えば、水又は酢酸)中における、酸(例えば、硫酸又は塩酸)による処理によって、最初に加水分解し得る。参考文献として、Journal of Organic Chemistry 2007,72(16),6091-6096を参照されたい。
【化16】
【0161】
スキーム12に示すように、塩基(例えば、カリウムtert-ブトキシド)の存在下での、且つ溶媒(例えば、2-メチル-2-プロパノール又はテトラヒドロフラン)中における、式17及び18の化合物の反応により、式16の化合物を調製し得る。反応条件に関しては、Monatshefte fuer Chemie 1987,118(8-9),987-91を参照されたい。式17及び18の化合物は市販されており、且つ当該技術分野で公知の方法により調製し得る。
【化17】
【0162】
式1の化合物及び上記方法で説明されている中間体(式中、Wが、Oである)を、五硫化リン又は2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン-2,4-ジスルフィド(ローソン試薬)等の様々な標準的なチオ化(thiating)試薬を使用して、対応するチオレート(式中、Wが、Sである)へと変換させ得る。このタイプの反応は公知であり、例えば、Heterocycles 1995,40,271-278;Journal of Medicinal Chemistry 2008,51,8124-8134;Journal of Medicinal Chemistry 1990,33,2697-706;Synthesis 1989,(5),396-3977;J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1988,1663-1668;Tetrahedron 1988 44,3025-3036;及びJournal of Organic Chemistry 1988 53(6),1323-1326を参照されたい。
【0163】
当業者は、式1の化合物を、多数の他の求電子反応、求核反応、ラジカル反応、有機金属反応、酸化反応、及び還元反応に供して、式1の他の官能化化合物を提供し得ることを認識するだろう。式1の化合物、又はそれを調製するための中間体には、芳香族ニトロ基が含まれていてもよく、それを還元してアミノ基とし、次いで当業者周知の反応(例えば、サンドマイヤー反応)を介して、各種のハロゲン化物に転換させることができる。同様の既知の反応により、サンドマイヤー反応により調製された臭化物又はヨウ化物等の芳香族ハロゲン化物を、ウルマン反応又はその既知の改変等の銅触媒条件下でアルコールと反応させて、アルコキシ置換基を含む式1の化合物を得ることができる。さらには、いくつかのハロゲン基、例えばフッ素又は塩素を、塩基性の条件下でアルコールを用いて置換させて、相当するアルコキシ置換基を含む式1の化合物を得ることも可能である。式1の化合物、又はハロゲン化物、好ましくは臭化物又はヨウ化物を含むそれらの前駆体は、式1の化合物を調製するための、遷移金属触媒を使用したクロスカップリング反応のための中間体として、特に有用である。これらのタイプの反応は、文献に多く記載されており、例えば、次の文献を参照されたい:Tsuji,「Transition Metal Reagents and Catalysts:Innovations in Organic Synthesis」,John Wiley and Sons,Chichester,2002;Tsuji,「Palladium in Organic Synthesis」,Springer,2005;及び、Miyaura and Buchwald,「Cross Coupling Reactions:A Practical Guide,2002」;並びに、それらに引用されている文献。
【0164】
式1の化合物を製造するための上で記載されたいくつかの試薬及び反応条件は、中間体中に存在するある種の官能基と相性がよくない場合があることが認められる。これらの場合には、保護/脱保護シーケンスの組み込み又は合成への官能基相互変換が、所望の生成物を得るのに役立つであろう。保護基の使用及び選択は、化学合成の熟練者に明らかであろう(例えば、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照されたい)。当業者は、場合によっては、個々のスキームで描かれた試薬の導入後に、式1の化合物の合成を完了させるために、詳細に説明されていない追加の定期的な合成ステップが必要な場合があることを認識するだろう。当業者はまた、式1の化合物を調製するために、提示された特定の順序により暗示されているもの以外の順序で、上記のスキームで説明されているステップの組み合わせを実施することが必要な場合があることも認識するだろう。
【0165】
さらなる入念な検討なしに、先行記載を用いる当業者は、最大程度に本発明を利用することができると考えられる。以下の実施例は、それ故、単に例示的なものであり、何であれ決して本開示を限定するものではないと解釈されるべきである。以下の実施例におけるステップは、全合成変換における各ステップの手順を例示し、各ステップ用の出発原料は、その手順が他の実施例又はステップに記載されている特定の製造実験によって必ずしも製造されたわけではない場合がある。周囲温度又は室温は、約20~25℃と定義される。百分率は、クロマトグラフ溶媒混合物又は特に明記される場合を除いて重量による。クロマトグラフ溶媒混合物に関する部及び百分率は、特に明記しない限り容積による。HPLCは、シリカゲルによる高圧液体クロマトグラフィーを指す。1H NMRスペクトルを、テトラメチルシランから低磁場へppmで報告し;「s」は、一重項を意味しており、「br s」は、幅広い一重項を意味しており、「d」は、二重項を意味しており、「dd」は、二重項の二重項を意味しており、「t」は、三重項を意味しており、「m」は、多重項を意味している。マススペクトルを、大気圧化学イオン化(AP+)又はエレクトロスプレーイオン化(ESI+)のいずれかを使用する質量分析計(LCMS)と連動した液体クロマトグラフィーを使用することにより観察した、分子へのH+(分子量1)の付加により形成される最高の同位体存在量の親イオン(M+1)の分子量、又は分子からのH+(分子量1)の喪失により形成される(M-1)の分子量として報告する。
【実施例】
【0166】
実施例1
4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物53)の調製
ステップA:5-ブロモ-2-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリジンの調製
1,4-ジオキサン(20mL)及び水(2mL)中の5-ブロモ-2-クロロ-4-ヨード-ピリジン(1.51g、4.75mmol、Tetrahedron 2004 60(51),11869-11874のように調製した)、2-クロロ-4-フルオロフェニルボロン酸(0.827g、5.72mmol)、及び炭酸カリウム(1.31g、9.49mmol)の混合物を、15分にわたり窒素でパージし、次いで、ジクロロメタンを含む[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)複合体(0.19g、0.24mmol)を添加した。この反応混合物を、16時間にわたり100℃で加熱し、次いで大気温度まで冷却し、Celite(登録商標)のベッドに通してろ過し、酢酸エチル(50mL)ですすいだ。ろ液を、水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して、油状物(紫色)を得た。得られた油状物を、CombiFlash(商標)クロマトグラフィー(石油エーテルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、油状物(1.2g)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 8.61(s,1H),7.30-7.25(m,2H),7.20(m,1H),7.11(m,1H).
LCMS:m/z:322[M+H]+
【0167】
ステップB:5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンの調製
クロロホルム(30mL)中の5-ブロモ-2-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリジン(即ち、ステップAの生成物)(1.21g、3.77mmol)の混合物に、0℃で、硫酸ジメチル(2.8g、22mmol)を添加した。この反応混合物を、20時間にわたり80℃で加熱し、0℃まで冷却し、次いでトリエチルアミン(4.8mL)、酢酸(氷、3mL)、及びエタノール(3mL)を連続的に添加した。この反応混合物を、2時間わたり還流で加熱し、大気温度まで冷却し、次いで水(50mL)を添加した。得られた混合物を、酢酸エチル(2回×40mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた固形物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、オフホワイトの固形物(0.60g)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.57(s,1H),7.28-7.14(m,2H),7.06(m,1H),6.52(s,1H),3.60(s,3H).
LCMS m/z:318[M+H]+
【0168】
ステップC:4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメチルフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンの調製
1,4-ジオキサン(5mL)及び水(0.5mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップBの生成物)(100mg、0.317mmol)、3,5-ジメトキシフェニルボロン酸(58mg、0.32mmol)、及び炭酸セシウム(310mg、0.95mmol、3.0eq)の混合物を、15分にわたり窒素でパージし、次いで、ジクロロメタンを含む[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)複合体(18mg、0.022mmol)を添加した。この反応混合物を、2時間にわたり100℃で加熱し、次いで大気温度まで冷却し、Celite(登録商標)のベッドに通してろ過し、酢酸エチル(30mL)ですすいだ。ろ液を、氷冷水(40mL)に注ぎ、酢酸エチル(2回×30mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して、固形物(紫色)を得た。得られた固形物を、CombiFlash(商標)クロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、オフホワイトの固形物(20mg)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.38(s,1H),7.12-7.05(m,2H),6.93(m,1H),6.55(s,1H),6.30(m,1H),6.13(m,2H),3.65(s,3H),3.63(s,6H).
LCMS m/z:374[M+H]+
【0169】
実施例2
3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物3)の調製
ステップA:5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップB、実施例1の生成物)(1.00g、3.17mmol)の溶液に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(508mg、3.81mmol)を少量ずつ添加した。この反応混合物を、16時間にわたり60℃で加熱し、大気温度まで冷却し、次いで氷冷水(50mL)に注いだ。得られた固体沈殿物を、ろ過により集め、水(80mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題の化合物を、オフホワイトの固形物(0.60g)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 8.10(s,1H),7.42(m,1H),7.30-7.22(m,2H),3.68(s,3H).
LCMS:m/z:352[M+H]+
【0170】
ステップB:3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンの調製
1,4-ジオキサン(8mL)及び水(1mL)中の5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップAの生成物)(0.50g、1.43mmol)、3,5-ジメトキシフェニルボロン酸(0.26g、1.43mmol)、及び炭酸セシウム(1.41g、4.30mmol)の混合物を、15分にわたり窒素でパージし、次いで、ジクロロメタンを含む[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)複合体(82mg、0.10mmol)を添加した。この反応混合物を、2時間にわたり100℃で加熱し、大気温度まで冷却し、次いでCelite(登録商標)のベッドに通してろ過し、酢酸エチル(30mL)ですすいだ。ろ液を、氷冷水(40mL)に注ぎ、酢酸エチル(2回×40mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して、固形物(紫色)を得た。得られた固形物を、CombiFlash(商標)クロマトグラフィー(石油エーテル中の80%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、オフホワイトの固形物(320mg)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.95(s,1H),7.54(m,1H),7.30-7.23(m,2H),6.32(m,1H),6.21(m,1H),3.63(s,3H),3.60(s,6H).
LCMS m/z:408[M+H]+
【0171】
実施例3
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物4)及び
3-クロロ-5-(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(化合物5)の調製
ジメチルホルムアミド(5mL)中の3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノン(即ち、実施例2の生成物)(0.25g、0.61mmol)の混合物に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(82mg、0.61mmol)を少量ずつ添加した。この反応混合物を、16時間にわたり60℃で加熱し、次いで氷冷水(30mL)に注ぎ、酢酸エチル(2回×30mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、本発明の化合物である3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンを、オフホワイトの固形物(150mg)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 7.91(s,1H),7.52-7.40(m,3H),6.60-6.35(m,2H),3.77-3.76(2 s,3H),3.65(s,3H),3.63(s,3H).
LCMS:m/z:444[M+H]+
【0172】
石油エーテル中の50%の酢酸エチルによるクロマトグラフィーカラムのさらなる溶出により、本発明の化合物である3-クロロ-5-(4-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メチル-2(1H)-ピリジノンを、186~190℃で融解するオフホワイトの固形物(20mg)として得た。
【0173】
実施例4
3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノン(化合物19)の調製
ステップA:5-ブロモ-2-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリジン1-オキシドの調製
ジクロロメタン(60mL)中の5-ブロモ-2-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリジン(即ち、実施例1、ステップAの生成物)(6.0g、18.8mmol)の混合物に、0℃で、3-クロロペルオキシ安息香酸(6.49g、37.6mmol)を添加した。この反応混合物を、48時間にわたり撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた物質を、水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×200mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の70%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、黄色固形物(3g)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 9.02(s,1H),7.99(s,1H),7.68-7.65(m,1H),7.53-7.49(m,1H),7.42-7.37(m,1H).
LCMS:m/z:338[M+H]+
【0174】
ステップB:5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノンの調製
5-ブロモ-2-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピリジン1-オキシド(即ち、ステップAの生成物)(2.50g、7.40mmol)に、水酸化ナトリウム(10%水溶液、25mL)を添加した。この反応混合物を、6時間にわたり100℃で加熱し、室温まで冷却し、次いで塩酸(2N水溶液、10mL)を添加した。得られた沈殿物を、真空ろ過によりフリット漏斗上で集め、水(50mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題の化合物を、白色固形物(1g)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.46(s,1H),7.62-7.60(m,1H),7.42-7.34(m,2H),6.55(s,1H).
LCMS m/z:318[M+H]+
【0175】
ステップC:5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップBの生成物)(1.00g、3.16mmol)の混合物に、0℃で、炭酸カリウム(870mg、6.32mmol)を添加し、続いてヨウ化メチル(0.40mL、6.32mmol)を添加した。この反応混合物を、2時間にわたり撹拌し、次いで水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(400mg)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.81(s,1H),7.24-7.22(m,1H),7.18-7.15(m,1H),7.09-7.05(m,1H),6.62(s,1H),4.15(s,3H).
LCMS m/z:332[M+H]+
【0176】
ステップD:5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップCの生成物)(400mg、1.20mmol)の混合物に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(193mg、1.44mmol)を添加した。反応混合物を、1時間にわたり70℃で加熱し、室温まで冷却し、次いで水(20mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の10%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(300mg)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.84(s,1H),7.29(s,1H),7.13-7.12(m,2H),4.19(s,3H).
LCMS m/z:367[M+H]+
【0177】
ステップE:3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノンの調製
1,4-ジオキサン(6mL)及び水(1.20mL)中の5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップDの生成物)(600mg、1.64mmol)の混合物に、3,5-ジメトキシフェニルボロン酸(299mg、1.64mmol)を添加し、続いて炭酸セシウム(1.07g、3.28mmol)を添加した。この反応混合物を、10分にわたりアルゴンガスでパージし、次いで[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(120mg、0.164mmol)を添加した。この反応混合物を、3時間にわたり80℃で加熱し、室温まで冷却し、次いでCelite(登録商標)のベッドに通してろ過し、酢酸エチル(20mL)ですすいだ。ろ液を、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、白色固形物(500mg)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.27(s,1H),7.54-7.52(m,1H),7.34-7.31(m,1H),7.26-7.22(m,1H),6.33(t,1H),6.24(d,2H),4.10(s,3H),3.60(s,6H).
LCMS m/z:424[M+H]+
【0178】
実施例5
3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノン(化合物22)の調製
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-メトキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、実施例4の生成物)(500mg、1.18mmol)の混合物に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(189mg、1.42mmol)を添加した。この反応混合物を、3時間にわたり60℃で加熱し、水(20mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の20%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、白色固形物(300mg)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.27(d,1H),7.52-7.50(m,1H),7.21-7.15(m,2H),6.58-6.36(m,2H),4.07(s,3H),3.77(s,3H),3.65(s,3H).
LCMS m/z:458[M+H]+
【0179】
実施例6
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン(化合物39)の調製
ステップA:5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(36mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、実施例4、ステップBの生成物)(3.60g、11.30mmol)の混合物に、0℃で、炭酸カリウム(3.13g、22.70mmol)を添加した。10分後、この反応混合物に、ベンジルブロミド(1.61mL、13.6mmol)を添加した。2時間後、この反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×100mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の40%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(3.5g)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.45(s,1H),7.63-7.602(dd,8.8Hz,1H),7.55(m,2H),7.44-7.33(m,5H),6.63(s,1H),5.26(s,2H).
LCMS:m/z:408[M+H]+
【0180】
ステップB:5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(35mL)中の5-ブロモ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップAの生成物)(3.50g、8.56mmol)に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(1.15g、8.61mmol)を添加した。この反応混合物を、1時間にわたり70℃で加熱し、室温まで冷却し、次いで水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×100mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の30%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(3.1g)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.45-7.42(m,6H),7.27(s,1H),7.12(d,2H),5.39-5.37(m,2H).
LCMS m/z:442[M+H]+
【0181】
ステップC:3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノンの調製
1,4-ジオキサン(31mL)及び水(6.2mL)中の5-ブロモ-3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップBの生成物)(3.10g、7.03mmol)の混合物に、(3,5-ジメトキシフェニル)ボロン酸(1.53g、8.43mmol)を添加し、続いて炭酸セシウム(6.87g、21.1mmol)を添加した。この反応混合物を、20分にわたりアルゴンガスでパージし、次いで[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(514mg、0.702mmol)を添加した。この反応混合物を、3時間にわたり80℃で加熱し、室温まで冷却し、次いで水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×100mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の40%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(2.56g)として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.00(s,1H),7.56-7.51(m,3H),7.45-7.44(m,3H),7.34-7.31(m,1H),7.24-7.21(m,1H),6.30(t,1H),6.09(d,2H).5.35(d,2H),3.58(s,6H).
LCMS m/z:500[M+H]+
【0182】
ステップD:3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノンの調製
N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)中の3-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(3,5-ジメトキシフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップCの生成物)(2.50g、5.12mmol)の混合物に、0℃で、N-クロロスクシンイミド(684mg、5.12mmol)を添加した。この反応混合物を、1時間にわたり70℃で加熱し、室温まで冷却し、次いで水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×100mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の40%の酢酸エチルによる溶出)で精製して、標題の化合物を、白色固形物(2.1g)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.43-7.40(m,5H),7.07-7.00(m,3H),6.85(s,1H),6.31(br s,1H),6.10(s,1H),5.43(s,2H),3.77(s,3H),3.62(s,3H).
LCMS m/z:534[M+H]+
【0183】
ステップE:3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノンの調製
エタノール(11mL)中の3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(フェニルメトキシ)-2(1H)-ピリジノン(即ち、ステップDの生成物)(2.1g、3.9mmol)の混合物に、パラジウム(炭素上に10%、1.0g、10mol)を添加した。この反応混合物を、1時間にわたり水素バルーン下で撹拌し、次いでCelite(登録商標)のパッドに通してろ過し、酢酸エチル(50mL)ですすいだ。ろ液を、減圧下で濃縮乾固させて、本発明の化合物である標題の化合物を、オフホワイトの固形物(1.3g)として得た。
LCMS m/z:444[M+H]+
【0184】
実施例7
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(ジフルオロメトキシ)-2(1H)-ピリジノン(化合物38)の調製
アセトニトリル(1mL)及び水(1mL)アセトニトリル中の3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、実施例6の生成物)(200mg、0.449mmol)の混合物に、-78℃で、水酸化カリウム(302mg、5.38mmol)を添加し、続いてジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホネート(468mg、1.75mmol)を添加した。この反応混合物を、室温まで昇温させ、16時間にわたり撹拌し、次いで水(20mL)で希釈し、続いて塩酸(1N水溶液、1mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、氷冷水(50mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、分取HPLCで精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、白色固形物(40mg)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.51(s,1H),7.13-6.77(m,4H),6.37(d,1H),6.31(d,1H),3.81(s,3H),3.66(s,3H).
LCMS m/z:494[M+H]+
【0185】
実施例8
3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(2-プロピニルオキシ)-2(1H)-ピリジノン(化合物36)の調製
N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中の3-クロロ-5-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-4-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノン(即ち、実施例6の生成物)(300mg、0.677mmol)の混合物に、0℃で、炭酸カリウム(187mg、1.33mmol)を添加し、続いて3-ブロモ-1-プロピン(96.0mg、0.79mmol)を添加した。6時間後、この反応混合物を、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2回×50mL)で抽出した。まとめた有機抽出物を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた物質を、分取HPLCで精製して、本発明の化合物である標題の化合物を、白色固形物(82mg)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ 7.60(s,1H),7.08-7.05(m,2H),6.89-6.87(m,1H),6.37-6.31(m,2H),5.22(d,1H),5.01(d,1H),3.82(s,3H),3.66(s,3H).2.66(t,1H).
LCMS m/z:482[M+H]+
【0186】
調合/有用性
本発明の式1の化合物(そのN-オキシド及び塩を含む)、又はこの化合物と、本発明の概要で説明されている少なくとも1種の追加の殺真菌性化合物とを含む混合物(即ち、組成物)を、一般的に、キャリアとして機能する、界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分と共に、組成物(即ち調合物)中の殺真菌性有効成分として使用する。調合物又は組成物成分は、有効成分の物理的特性、適用様式、並びに土壌タイプ、湿気、及び温度等の環境因子と整合するように選択される。
【0187】
式1の化合物又はその混合物を、下記を含む様々な方法で調合し得る:
(i)式1の化合物と、場合によっては1種若しくは複数種の他の生物学的に活性な化合物若しくは試薬とを、別々に調合して、別々に適用し得るか、若しくは(例えば、タンクミックスとして)適切な重量比で同時に適用し得るか;又は
(ii)式1の化合物と、場合によっては1種若しくは複数種の他の生物学的に活性な化合物若しくは薬剤とを、適切な重量比で一緒に調合し得る。
【0188】
有用な調合物には、液体及び固体組成物が含まれる。液体組成物には、場合によっては増粘してゲルにすることができる、溶液(乳化性濃縮物を含む)、懸濁液、エマルジョン(マイクロエマルジョン、水中油型エマルジョン、流動性濃縮物及び/又はサスポエマルジョンを含む)などが含まれる。一般的なタイプの水性液体組成物は、可溶性濃縮物、懸濁液濃縮物、カプセル懸濁液、濃縮エマルジョン、マイクロエマルジョン、水中油型エマルジョン、流動性濃縮物及びサスポエマルジョンである。一般的なタイプの非水性液体組成物は、乳化性濃縮物、マイクロ乳化性濃縮物、分散性濃縮物及び油分散系である。
【0189】
一般的なタイプの固体組成物は、水分散性(「濡らすことができる」)又は水溶性であり得る、微粉、粉末、顆粒、ペレット、小粒、芳香錠、錠剤、充填剤入りフィルム(種子コーティングを含む)などである。フィルム形成溶液又は流動性懸濁液から形成されたフィルム及びコーティングは、種子処理用に特に有用である。活性成分は、(マイクロ)カプセル化し、さらに懸濁液又は固体調合物にすることができるか;或いはまた活性成分の全体調合物は、カプセル化する(又は「上塗りする」)ことができる。カプセル化は、活性成分の放出を制御する、又は遅くすることができる。乳化性顆粒は、乳化性濃縮物調合物及び乾燥粒状調合物の両方の利点を兼ね備える。高強度組成物は、さらなる調合物用の中間体として主に使用される。
【0190】
噴霧可能な調合物は典型的には、噴霧前に好適な媒体に希釈される。そのような液体及び固体調合物は、調合されて噴霧媒体、通常水、しかし時々、芳香族又はパラフィン系炭化水素又は植物油のような別の好適な媒体に容易に希釈される。散布量は、1ヘクタール当たり約1~数千リットルの範囲であり得るが、より典型的には1ヘクタール当たり約10~数百リットルの範囲にある。噴霧可能な調合物は、空中若しくは地上散布による茎葉処理のために、又は植物の生育培地への適用のために水又は別の好適な媒体とタンク混合することができる。液体及び乾燥調合物は、植え付け中に、細流かんがいシステムへ直接計量供給するか又は畝間へ計量供給することができる。液体及び固体調合物は、浸透吸収によって成長中の根及び他の地下植物部位並びに/又は群葉を保護するために、植え付け前の種子処理として作物及び他の望ましい植生の種子上へ適用することができる。
【0191】
調合物は、典型的には、有効量の活性成分と、希釈剤及び界面活性剤とを、100重量パーセントまで添加される下記のおおよその範囲内で含むだろう。
【0192】
【0193】
固体希釈剤には、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト及びカオリンなどの粘土、石膏、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖類(例えば、ラクトース、サッカロース)、シリカ、タルク、雲母、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸及び重炭酸ナトリウム、並びに硫酸ナトリウムが含まれる。典型的な固体希釈剤は、Watkinsら,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,2nd Ed.,Dorland Books,Caldwell,New Jerseyに記載されている。
【0194】
液体希釈剤には、例えば、水、N,N-ジメチルアルカンアミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N-アルキルピロリドン(例えば、N-メチルピロリドン)、アルキルホスフェート(例えば、トリエチルホスフェート)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、パラフィン(例えば、白色鉱油、ノルマルパラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、グリセロールトリアセテート、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族化脂肪族化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、イソホロン及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、ヘプチルアセテート、オクチルアセテート、ノニルアセテート、トリデシルアセテート及びイソボルニルアセテートなどのアセテート、アルキル化乳酸エステル、二塩基性酸エステルアルキル及びアリールベンゾエートなどの他のエステル、及びγ-ブチロラクトン、並びにメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、クレゾール及びベンジルアルコールなどの、線状、分岐、飽和若しくは不飽和であってもよい、アルコールが含まれる。液体希釈剤にはまた、植物種油及び果実油(例えば、オリーブ油、ヒマシ油、亜麻仁油、ごま油、コーン(トウモロコシ)油、ピーナツ油、ヒマワリ油、グレープシード油、サフラワー油、綿実油、大豆油、菜種油、ココナツ油及びパーム核油)、動物源脂肪(例えば、牛脂、豚脂、ラード、タラ肝油、魚油)、並びにそれらの混合物などの、飽和及び不飽和脂肪酸(典型的にはC6~C22)のグリセロールエステルが含まれる。液体希釈剤にはまた、アルキル化(例えば、メチル化、エチル化、ブチル化)脂肪酸であって、脂肪酸が植物及び動物源からのグリセロールエステルの加水分解によって得られてもよいし、蒸留によって精製することができる脂肪酸が含まれる。典型的な液体希釈剤は、Marsden,Solvents Guide,2nd Ed.,Interscience,New York,1950に記載されている。
【0195】
本発明の固体及び液体組成物は多くの場合、1つ若しくは複数の界面活性剤を含む。液体に添加される場合、界面活性剤(surfactant)(「界面活性剤(surface-active agent)としても知られる」は一般に、液体の表面張力を、変性し、ほとんどの場合低下させる。界面活性剤分子中の親水性及び親油性基の性質に依存して、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤又は消泡剤として有用であり得る。
【0196】
界面活性剤は、非イオン、アニオン又はカチオン界面活性剤として分類することができる。本組成物に有用な非イオン界面活性剤には、(分岐若しくは線状であってもよい)天然及び合成アルコールをベースとする、そしてアルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物とから製造されるアルコールアルコキシレートなどのアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミド及びエトキシル化アルカノールアミド;エトキシル化大豆油、ヒマシ油及び菜種油などのアルコキシル化トリグリセリド;(フェノール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物とから製造される)オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレート及びドデシルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノールアルコキシレート;エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと、末端ブロックがプロピレンオキシドから調製されている逆ブロックポリマーとから製造されるブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪酸エステル及び油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物から製造されるものを含む);脂肪酸エスエル、グリセロールエステル、ラノリンベースの誘導体、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステル及びポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどのポリエトキシレートエステル;ソルビタンエステルなどの他のソルビタン誘導体;ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキッドpeg(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフト若しくは櫛形ポリマー及び星形ポリマーなどの高分子界面活性剤;ポリエチレングリコール(peg);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーンベースの界面活性剤;並びにサッカロースエステル、アルキルポリグリコシド及びアルキル多糖類などの糖誘導体が含まれるが、それらに限定されない。
【0197】
有用なアニオン界面活性剤には、アルキルアリールスルホン酸及びそれらの塩;カルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホネート誘導体;リグニン及びリグノスルホネートなどのリグニン誘導体;マレイン酸若しくはコハク酸又はそれらの酸無水物;オレフィンスルホネート;アルコールアルコキシレートのホスフェートエステル、アルキルフェノールアルコキシレートのホスフェートエステル及びスチリルフェノールエトキシレートのホスフェートエステルなどのホスフェートエステル;タンパクベースの界面活性剤;サルコシン誘導体;スチリルフェノールエーテルスルフェート;油及び脂肪酸のスルフェート及びスルホネート;エトキシル化アルキルフェノールのスルフェート及びスルホネート;アルコールのスルフェート;エトキシル化アルコールのスルフェート;N,N-アルキルタウレートなどのアミン及びアミドのスルホネート;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレン、並びにドデシル及びトリデシルベンゼンのスルホネート;縮合ナフタレンのスルホネート;ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート;分別石油のスルホネート;スルホスクシネート;並びにジアルキルスルホスクシネート塩などのスルホスクシネート及びそれらの誘導体が含まれるが、それらに限定されない。
【0198】
有用なカチオン界面活性剤には、アミド及びエトキシル化アミド;N-アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミン及びジプロピレンテトラアミン、並びに(アミンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物とから製造される)エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミン及びプロポキシル化アミンなどのアミン;アミン酢酸塩などのアミン塩及びジアミン塩;第四級塩、エトキシル化第四級塩及びジ四級化塩などの第四級アンモニウム塩;並びにアルキルジメチルアミンオキシド及びビス-(2-ヒドロキシエチル)-アルキルアミンオキシドなどのアミンオキシドが含まれるが、それらに限定されない。
【0199】
非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤との混合物又は非イオン界面活性剤とカチオン界面活性剤との混合物もまた、本組成物に有用である。非イオン、アニオン及びカチオン界面活性剤並びにそれらの推奨される使用は、McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.によって出版されたMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,annual American and International Editions;Sisely and Wood、Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964;及びA.S.Davidson and B.Milwidsky,Synthetic Detergents,Seventh Edition,John Wiley and Sons,New York,1987を含む様々な出版された参考文献に開示されている。
【0200】
本発明の組成物はまた、調合助剤として当業者に公知の、調合補助剤及び添加剤を含有してもよい(それらのいくつかは、固体希釈剤、液体希釈剤又は界面活性剤としてもまた機能すると考えられ得る)。そのような調合補助剤及び添加剤は、pH(緩衝剤)、処理中の発泡(ポリオルガノシロキサンなどの消泡剤)、活性成分の沈降(懸濁剤)、粘度(チキソトロピック増粘剤)、容器中の微生物増殖(抗菌剤)、製品凍結(不凍剤)、色(染料/顔料分散系)、洗脱(フィルム形成剤又はステッカー)、蒸発(蒸発防止剤)、及び他の調合属性を制御し得る。フィルム形成剤には、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びワックスが含まれる。調合補助剤及び添加剤の例としては、McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.によって出版されたMcCutcheon’s Volume 2: Functional Materials,annual International and North American editions;及びPCT公開国際公開第03/024222号パンフレットにリストアップされているものが挙げられる。
【0201】
式1の化合物及び任意の他の活性成分は典型的には、活性成分を溶媒に溶解させることによって、又は液体若しくは乾燥希釈剤中ですり潰すことによって本組成物中へ組み込まれる。乳化性濃縮物などの、溶液は、成分を単に混合することによって調製することができる。乳化性濃縮物としての使用を意図される液体組成物の溶媒が水混和性である場合、乳化剤が典型的には、水での希釈時に活性含有溶媒を乳化させるために添加される。2,000μm以下の粒子径の、活性成分スラリーは、3μmよりも下の平均径の粒子を得るために媒体ミルを用いて湿式ミリングすることができる。水性スラリーは、完成懸濁液濃縮物にすることができる(例えば、米国特許第3,060,084号明細書を参照されたい)か又は噴霧乾燥によってさらに処理して水分散性顆粒を形成することができる。乾燥調合物は通常、2~10μm範囲の平均粒子径を生み出す、乾式ミリング法を必要とする。微粉及び粉末は、ブレンドし、そして通常(ハンマーミル又は流体エネルギーミルを使ってなどで)すり潰すことによって調製することができる。顆粒及びペレットは、あらかじめ形成された粒状キャリア上へ活性材料を噴霧することによって、又は凝集技術によって調製することができる。Browning,「Agglomeration」,Chemical Engineering,December 4,1967,pp 147-48,Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw-Hill,New York,1963,pp8-57及びそれに続くもの、並びに国際公開第91/13546号パンフレットを参照されたい。ペレットは、米国特許第4,172,714号明細書に記載されているように調製することができる。水分散性及び水溶性顆粒は、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書及び独国特許第3,246,493号明細書に教示されているように調製することができる。錠剤は、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書及び米国特許第5,208,030号明細書に教示されているように調製することができる。フィルムは、英国特許第2,095,558号明細書及び米国特許第3,299,566号明細書に教示されているように調製することができる。
【0202】
本発明の一実施形態は、真菌病原体を防除する方法であって、本発明の殺真菌組成物(界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤と調合された式1の化合物、又は式1の化合物と少なくとも1つの他の殺真菌剤との調合混合物)を水で希釈すること、並びに場合によっては、補助剤を添加して希釈組成物を形成すること、並びに真菌病原体又はその環境と、有効量の前記希釈組成物とを接触させることを含む方法に関する。
【0203】
十分な濃度の本殺真菌組成物を水で希釈することにより形成された噴霧組成物は、真菌病原体の防除に十分な効能を提供し得るが、別々に調合された補助剤生成物をまた、噴霧タンク混合物に添加し得る。これらの追加の補助剤は、一般的に、「噴霧補助剤」又は「タンクミックス補助剤」として既知であり、殺有害生物剤の性能を向上させるか又は噴霧混合物の物理的特性を変更するために噴霧タンクで混合される任意の物質を含む。補助剤は、アニオン性若しくは非イオン性の界面活性剤、乳化剤、石油ベースの作物油、作物由来の種子油、酸性化剤、緩衝剤、増粘剤、又は消泡剤であり得る。補助剤は、効能(例えば、生物学的利用率、付着性、浸透性、カバレージの一様性、及び保護の耐久性)を高めるために使用されるか、又は不適合性、発泡、ドリフト、蒸発、気化、及び分解に関連した噴霧適用問題を最小限に抑えるか若しくは排除するために使用される。最適性能を得るために、補助剤は、活性成分、調合物、及び標的(例えば、作物、害虫)の特性に関して選択される。
【0204】
噴霧混合物に添加される補助剤の量は、一般的に、約0.1~2.5体積%の範囲である。噴霧混合物に添加される補助剤の適用量は、典型的には、1ヘクタール当たり約1~5Lである。噴霧補助剤の代表例として、下記が挙げられる:液体炭化水素中の47%のメチル化菜種油であるAdigor(登録商標)(Syngenta)、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサンであるSilwet(登録商標)(Helena Chemical Company)、及び83%のパラフィンベースの鉱油中の17%の界面活性剤ブレンドであるAssist(登録商標)(BASF)。
【0205】
種子処理の一つの方法は、播種する前に、本発明の化合物(即ち、調合された組成物としての化合物)により、種子を噴霧するか又は散粉する(spraying or dusting)ことによる。種子処理のために調合された組成物は、一般的に、塗膜形成剤又は接着剤を含む。したがって、典型的には、本発明の種子コーティング組成物は、生物学的有効量の式1の化合物と、塗膜形成剤又は接着剤とを含む。種子を、種子の転動ベッドの中に流動性の懸濁液濃縮物を直接噴霧し、次いでこの種子を乾燥させることによりコーティングし得る。或いは、他のタイプの調合物(例えば、濡らした粉体、溶液、サスポエマルション、乳剤(emulsifiable concentrate)、及び水中エマルション)を、種子の上に噴霧し得る。このプロセスは、種子の上にフィルムコーティングを適用する場合に特に有用である。様々なコーティング機械及びプロセスが、当業者に利用可能である。好適なプロセスとして、P.Kosters et al.,Seed Treatment:Progress and Prospects,1994,BCPC Monograph No.57、及びこの中で列挙された参考文献で列挙されたものが挙げられる。
【0206】
調合物の技術分野に関するさらなる情報については、T.S.Woods,「The Formulator’s Toolbox-Product Forms for Modern Agriculture」in Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food-Environment Challenge,T.Brooks and T.R.Roberts,Eds.,Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,1999,pp.120-133を参照されたい。また、米国特許第3,235,361号明細書、列6、行16~列7、行19及び実施例10~41;米国特許第3,309,192号明細書、列5、行43~列7、行62並びに実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138~140、162~164,166,167及び169~182;米国特許第2,891,855号明細書、列3、行66~列5、行17及び実施例1~4;Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961,pp 81-96;Hance et al.,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989;並びにDevelopments in formulation technology,PJB Publications,Richmond,UK,2000を参照されたい。
【0207】
下記の実施例では、全ての百分率は重量百分率であり、全ての調合物は、従来の方法で調製されている。活性成分は、本明細書で開示されている牽引表A中の化合物を指す。さらに詳述することなく、当業者は、先の説明を使用して、本発明を最大限に利用し得ると考えられる。したがって、下記の実施例は、単に例示として構成されるものであり、いかなる方法においても本開示を限定するものではない。
【0208】
実施例A
高強度濃縮物
化合物1 98.5%
シリカエーロゲル 0.5%
合成アモルファス微粉シリカ 1.0%
【0209】
実施例B
水和剤
化合物2 65.0%
ドデシルフェノールポリエチレングリコールエーテル 2.0%
リグニンスルホン酸ナトリウム 4.0%
シリコアルミン酸ナトリウム 6.0%
モンモリロナイト(焼成品) 23.0%
【0210】
実施例C
顆粒
化合物3 10.0%
アタパルジャイト顆粒(低揮発分、0.71/0.30mm;U.S.S.No.25-50篩) 90.0%
【0211】
実施例D
押出し加工ペレット
化合物4 25.0%
無水硫酸ナトリウム 10.0%
粗リグニンスルホン酸カルシウム 5.0%
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.0%
カルシウム/マグネシウムベントナイト 59.0%
【0212】
実施例E
乳化性濃縮物
化合物5 10.0%
ポリオキシエチレンソルビトールヘクスオレエート 20.0%
C6~C10脂肪酸メチルエステル 70.0%
【0213】
実施例F
マイクロエマルション
化合物13 5.0%
ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 30.0%
アルキルポリグリコシド 30.0%
グリセリルモノオレエート 15.0%
水 20.0%
【0214】
実施例G
種子処理剤
化合物22 20.00%
ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー 5.00%
モンタン酸ワックス 5.00%
リグニンスルホン酸カルシウム 1.00%
ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー 1.00%
ステアリルアルコール(POE 20) 2.00%
ポリオルガノシラン 0.20%
着色剤 赤色染料 0.05%
水 65.75%
【0215】
実施例H
棒状肥料
化合物25 2.50%
ピロリドン-スチレンコポリマー 4.80%
トリスチリルフェニル16-エトキシレート 2.30%
タルク 0.80%
コーンスターチ 5.00%
徐放性肥料 36.00%
カオリン 38.00%
水 10.60%
【0216】
実施例I
懸濁液濃縮物
化合物30 35%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリリックポリマー 1.0%
キサンタンゴム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンベースの消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
水 53.7%
【0217】
実施例J
水中エマルション
化合物32 10.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリリックポリマー 1.0%
キサンタンゴム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンベースの消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
芳香族石油ベースの炭化水素 20.0
水 58.7%
【0218】
実施例K
油分散体
化合物33 25%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 15%
有機変性ベントナイトクレー 2.5%
脂肪酸メチルエステル 57.5%
【0219】
実施例L
サスポエマルション
化合物51 10.0%
イミダクロプリド 5.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリリックポリマー 1.0%
キサンタンゴム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーンベースの消泡剤 0.1%
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 0.1%
芳香族石油ベースの炭化水素 20.0%
水 53.7%
【0220】
水溶性調合物及び水分散性調合物を、典型的には水で希釈して水性組成物を形成した後に、適用する。植物又はその一部への直接適用のための水性組成物(例えば、噴霧タンク組成物)は、典型的には、少なくとも約1ppm以上(例えば、1ppm~100ppm)の本発明の化合物を含む。
【0221】
種子を、通常は、種子1キログラム当たり約0.001g(より典型的には約0.1g)~約10gの割合(即ち、処理前の種子約0.0001~1重量%)で処理する。種子処理用に調合された流動性懸濁液は、典型的には、約0.5~約70%の活性成分、約0.5~約30%のフィルム形成接着剤、約0.5~約20%の分散剤、0~約5%の増粘剤、0~5%の顔料及び/又は染料、0~約2%の消泡剤、0~約1%の防腐剤、及び0~約75%の揮発性液体希釈剤を含む。
【0222】
本発明の化合物は、植物病害防除剤として有用である。したがって、本発明は、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、本発明の化合物、又は前記化合物を含む殺真菌組成物の有効量を、保護する植物若しくはその一部、又は保護する植物種子に適用することを含む方法をさらに含む。本発明の化合物及び/又は組成物は、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、接合菌門(Zygomycota)、及び真菌様卵菌綱(Oomycota)の広範囲の真菌植物病原体により引き起こされる病害の防除を提供する。これは、広範囲の植物病害の防除で有効であり、特に、観葉植物、芝、野菜、畑、穀物、及び果実の作物の葉の病原体の防除で有効である。この病原体として、表1-1で列挙されたものが挙げられるが、これに限定されない。子嚢菌(Ascomycota)及び担子菌(Basidiomycota)の場合には、性/有性世代/完全期の名称、及び無性/無性世代/不完全期の名称(括弧内)の両方が、既知である場合に列挙されている。病原体の同義名が、等号で示されている。例えば、性/有性世代/完全期の名称フェオセプトリア・ノドラム(Phaeosphaeria nodorum)の後に、対応する無性/無性世代/不完全期の名称スタゴノスポラ・ノドラム(Stagnospora nodorum)及び同義のより古い名称セプトリア・ノドラム(Septoria nodorum)が続く。
【0223】
【0224】
【0225】
殺真菌活性に加えて、本組成物又は本組み合わせはまた、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、ザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、及び他の関連種等の細菌に対する活性も有する。有害微生物を防除することにより、本発明の化合物は、作物植物若しくはその栄養繁殖体(例えば、種子、球茎、球根、塊茎、切穂)又は作物植物若しくはその栄養繁殖体の農学的環境と接触する有益微生物と有害微生物との比率を改善する(即ち増加させる)ことに有用である。
【0226】
本発明の化合物は、植物全体、植物の一部、及び種子の処理で有用である。植物及び種子の品種及び栽培品種を、従来の繁殖及び育種の方法により得ることができるか、又は遺伝子操作方法により得ることができる。遺伝子改変植物又は種子(形質転換植物又は種子)は、異種遺伝子(導入遺伝子)が植物又は種子のゲノム中に安定的に組み入れられているものである。植物ゲノム中の特定の位置により規定される導入遺伝子は、形質転換又は遺伝子導入事象と呼ばれる。
【0227】
本発明に従って処理され得る遺伝子改変植物の栽培品種として、下記が挙げられる:1種若しくは複数種の生物的ストレス(有害生物、例えば、線虫、昆虫、ダニ、真菌等)又は非生物的ストレス(干ばつ、低温、土壌塩分等)に対して耐性を示すもの、又は他の所望の特性を含むもの。植物を遺伝子改変して、例えば、除草剤耐性、昆虫耐性、改変されたオイルプロファイル、又は干ばつ耐性の特性を示させ得る。
【0228】
本発明の化合物による遺伝子改変植物及び種子の処理により、超相加的か又は増強された効果を得ることができる。例えば、散布量の減少、活性スペクトルの拡大、生物的/非生物的ストレスに対する耐性の増加、又は貯蔵安定性の増強は、遺伝子改変植物及び種子への本発明の化合物の適用の単なる相加効果から予想されるものと比べて大きい場合がある。
【0229】
本発明の化合物は、植物病害から種子を保護するための種子処理剤において有用である。本開示及び特許請求の範囲の文脈では、種子を処理することは、種子と、本発明の化合物(典型的には、本発明の組成物として調合されている)の生物学的有効量とを接触させることを意味する。この種子処理により、種子が土壌病害病原体から保護され、一般的に、発芽している種子から成長している苗の、土壌と接触している根及び他の植物部分も保護され得る。この植物処理により、本発明の化合物の転流によるか又は生長している植物内の別の活性成分により、葉も保護され得る。種子処理剤を、全てのタイプの種子(例えば、特殊化された特性を発現させるために遺伝子形質転換された植物が成長するもの)に適用し得る。代表例として、下記が挙げられる:無脊椎有害生物に対して毒性のタンパク質(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒素)を発現するもの、又は除草剤耐性(例えば、グリホサートに対する耐性を付与するグリホサートアセチルトランスフェラーゼ)を発現するもの。本発明の化合物による種子処理剤は、種子から成長している植物の成長力も増加させ得る。
【0230】
本発明の化合物及びその組成物は、単独、並びに他の殺真菌剤、線虫駆除剤、及び殺虫剤との組み合わせの両方で、作物の種子処理で特に有用であり、この作物として下記が挙げられるが、これらに限定されない:トウモロコシ(maize)又はトウモロコシ(corn)、ダイズ、ワタ、穀物(例えば、コムギ、カラスムギ、オオムギ、ライ麦、及びイネ)、ジャガイモ、野菜、並びにアブラナ。
【0231】
さらに、本発明の化合物は、真菌、卵菌、及び細菌により引き起こされる果実及び野菜の収穫後の病害の処置に有用である。この感染は、収穫の前、最中、及び後に起こり得る。例えば、感染が収穫前に起こり、次いで成熟中のある時点(例えば、宿主が、感染が進行し得るような組織変化を始める時点、又は病害の発症を助長するような条件)まで休眠したままであり得;同様に、感染が、機械的な又は昆虫による損傷により引き起こされる表面の傷から起こり得る。この点において、本発明の化合物は、収穫から消費までの任意の時点で起こり得る収穫後の病害に起因する損失(即ち、量及び品質による損失)を減少させ得る。本発明の化合物による収穫後の病害の処置により、腐りやすい食用植物部位(例えば、果実、種子、葉、茎、球根、塊茎)を収穫後に冷蔵又は非冷蔵で保存し得、食用を維持し得、且つ真菌又は他の微生物による顕著な又は有害な分解又は汚染がない期間を延長させ得る。本発明の化合物による収穫前又は収穫後の食用植物部分の処理により、真菌又は他の微生物の毒性代謝産物(例えば、アフラトキシン等のマイコトキシン)の形成も減少させ得る。
【0232】
植物病害の防除は、通常、根、茎、葉、果実、種子、塊茎、若しくは球根等の保護する植物の部分に、又は保護する植物が成長している培地(土壌又は砂地)に、感染前又は感染後のいずれかで、本発明の化合物の有効量を適用することにより達成され得る。この化合物をまた、種子に適用して、この種子、及びこの種子から成長する苗も保護し得る。この化合物をまた、灌漑用水を介して適用して植物を処理し得る。収穫前に農産物に感染する収穫後病原体の防除は、典型的には、本発明の化合物の圃場適用により達成され、収穫後に感染が起こる場合には、この化合物を、浸漬剤、噴霧剤、燻蒸剤、処理ラップ、及びボックスライナー(box liner)として、収穫された作物に適用し得る。
【0233】
本化合物をまた、作付け領域全体にわたり、本明細書で開示されている組成物の散布のために無人飛行体(UAV)を使用しても、適用し得る。いくつかの実施形態では、この作付け領域は、作物含有領域である。いくつかの実施形態では、この作物は、単子葉植物又は双子葉植物から選択される。いくつかの実施形態では、この作物は、イネ、トウモロコシ、オオムギ、ダイズ、コムギ、野菜、タバコ、茶の木、果樹、及びサトウキビから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、超低体積での噴霧用に調合されている。ドローンにより適用される製品は、噴霧キャリアとして水又はオイルを使用し得る。ドローン適用のために使用される典型的な噴霧量(製品を含む)は、世界的に、5.0リットル/ha~100リットル/ha(約0.5~10gpa)である。これには、超低噴霧量(ULV)から低噴霧量(LV)の範囲が含まれる。一般的ではないが、1.0リットル/ha(0.1gpa)ものさらに低い噴霧量が使用される可能性がある状況もあり得る。
【0234】
本発明の化合物の好適な適用割合(即ち、殺真菌的有効量)は、防除する植物病害、保護する植物種、防除する病原体の集団構造、周囲の湿度及び温度等の要因による影響を受ける可能性があり、実際の使用条件下で決定すべきである。当業者は、簡単な実験を介して、植物病害の防除の所望のレベルに必要な殺真菌的有効量を容易に決定し得る。葉を、通常は、約1g/ha未満~約5,000g/haの活性剤の割合で処理した場合に保護し得る。種子及び苗を、通常は、種子1キログラム当たり約0.001g(より典型的には約0.1g)~約10gの割合で種子を処理した場合に保護し得る。当業者は、所望の植物保護のスペクトル、並びに植物病害及び場合によっては他の植物害虫の防除を提供するのに必要な、本発明の化合物及びその組成物の適用割合を、簡単な実験により容易に決定し得る。
【0235】
本発明の化合物はまた、作物の成長力を高めるのに有用であり得る。本方法は、作物(例えば、群葉、花、果実若しくは根)又は作物がそれから成長する種子を、所望の植物成長力効果を達成するのに十分な量(すなわち、生物学的有効量)の式1の化合物と接触させる工程を含む。典型的には式1の化合物は、調合組成物で適用される。式1の化合物は多くの場合作物又はその種子に直接適用されるが、それはまた、作物の場所、すなわち、作物の環境、特に式1の化合物を作物に移動させるのに十分に接近した環境の部分に適用される。本方法にとって適切な場所は、最も一般的には成長培地(すなわち、植物に栄養物を提供する媒体)、典型的には植物がそこで成長する土壌を含む。作物の成長力を高めるための作物の処理はしたがって、作物、作物がそれから成長する種子又は作物の場所を、生物学的有効量の式1の化合物と接触させる工程を含む。
【0236】
高められた作物成長力は、以下の観察される効果の1つ若しくは複数をもたらすことができる:(a)優れた種子発芽、作物出現及び作物群生によって実証されるような最適作物体系;(b)速い及び頑丈な葉成長(例えば、葉面積指数によって測定される)、植物高さ、ひこばえの数(例えば、イネについて)、根塊及び作物の植物塊の全体乾燥重量によって実証されるような高められた作物成長;(c)開花までの時間、開花の継続時間、花の数、総バイオマス蓄積(すなわち、収穫高)及び/又は農産物の果実若しくは穀物品位市場性(すなわち、収穫品質)によって実証されるような、改善された作物収量;(d)植物病気感染及び節足動物、線形動物又は軟体動物有害生物まん延に耐える又はそれらを防ぐ作物の高められた能力;並びに(e)極端な熱、準最適な湿気又は植物毒素化学薬品への暴露などの環境ストレスに耐える作物の高められた能力。
【0237】
本発明の化合物は、植物の環境中の真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を予防する及び/又は治癒することにより、未処理植物と比較して処理植物の成長力を増加させ得る。植物病害のそのような防除の非存在下では、この病害は、植物の組織若しくは樹液を消費することによるか、又はウイルス等の植物病原体をうつすことにより、植物の成長力を低下させる。真菌植物病原体の非存在下であっても、本発明の化合物は、植物の代謝を改変することにより、植物の成長力を増加させ得る。一般的に、作物植物の成長力は、非理想的な環境(即ち、理想的な環境を示すであろう最大限の遺伝子的ポテンシャルを達成する植物に不利な1つ又は複数の態様を含む環境)で植物が成長する場合には、本発明の化合物で植物を処理することにより、最も顕著に増加するだろう。
【0238】
注目すべきは、作物植物が、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を含む環境中で成長する場合に、この作物植物の成長力を増加させる方法である。同様に注目すべきは、作物植物が、真菌植物病原体により引き起こされる植物病害を含まない環境中で成長する場合に、この作物植物の成長力を増加させる方法である。同様に注目すべきは、作物植物が、この作物植物の成長を支持するのに理想的なものよりも水分量が少ない環境中で成長する場合に、この作物植物の成長力を増加させる方法である。
【0239】
本発明の化合物はまた、1種又は複数種の生物学的に活性な化合物又は薬剤とも混合され得、この化合物又は薬剤として下記が挙げられる:殺真菌剤、殺虫剤、抗線虫剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、除草剤、除草剤解毒剤、成長調整物質、例えば、昆虫脱皮阻害剤、及び発根刺激剤、不妊化剤、情報物質、忌避剤、誘引物質、フェロモン、摂食刺激剤、植物栄養素、他の生物学的に活性な化合物、又は昆虫病原性細菌、さらに広範囲の農学的保護を与える多成分殺有害生物剤を形成するためのウイルス又は真菌。そのため、本発明はまた、(殺真菌的有効量の)式1の化合物と、(生物学的有効量の)少なくとも1種の追加の生物学的に活性な化合物又は薬剤とを含み、界面活性剤、固体希釈剤、又は液体希釈剤の内の少なくとも1つをさらに含み得る組成物にも関する。他の生物学的に活性な化合物又は薬剤を、界面活性剤、固体希釈剤、又は液体希釈剤の内の少なくとも1つを含む組成物に調合し得る。本発明の混合物の場合には、1種若しくは複数種の他の生物学的に活性な化合物若しくは薬剤を、式1の化合物と一緒に調合してプレミックスを形成し得るか、又は1種若しくは複数種の他の生物学的に活性な化合物若しくは薬剤を、式1の化合物とは別々に調合して、これらの調合物を一緒に組み合わせた後に(例えば噴霧タンク中で)適用し得るか或いは順次適用し得る。
【0240】
発明の概要で述べたように、本発明の一態様は、式1の化合物、そのN-オキシド又は塩(即ち、成分a)と、少なくとも1種の他の殺真菌剤(即ち、成分b)とを含む殺真菌組成物(即ち、混合物又は組み合わせ)である。注目すべきは、他の殺真菌活性成分が式1の化合物とは異なる作用部位を有するような組み合わせである。ある特定の場合では、同様の防除スペクトルを有するが異なる作用部位を有する少なくとも1種の他の殺真菌活性成分との組み合わせは、耐性管理に特に有利であるだろう。そのため、本発明の組成物は、同様の防除スペクトルを有するが異なる作用部位を有する少なくとも1種の追加の殺真菌活性成分の殺真菌的有効量をさらに含み得る。
【0241】
注目すべきは、成分(a)の式1の化合物に加えて、成分(b)として、下記からなる群から選択される少なくとも1種の殺真菌性化合物を含む組成物である:FRACにより定義された作用様式(MOA)クラス(例えば、(A)核酸代謝、(B)細胞骨格及び運動タンパク質、(C)呼吸、(D)アミノ酸及びタンパク質の合成、(E)シグナル伝達、(F)脂質の合成又は輸送、及び膜の完全性又は機能、(G)膜中でのステロールの生合成、(H)細胞壁の生合成、(I)細胞壁中でのメラニンの合成、(P)宿主植物防御の誘導、(U)未知の作用様式、(M)多部位活性を有する化学物質、並びに(BM)複数の作用様式を有する生物学的製剤)。
【0242】
上記のMOAクラスに属するFRAC標的部位コードと共に、FRACにより認識されたか又は提案されている標的作用部位は、下記である:(A1)RNAポリメラーゼI、(A2)アデノシンデアミナーゼ、(A3)DNA/RNA合成(提案)、(A4)II型DNAトポイソメラーゼ(ジャイレース)、(B1)~(B3)有糸分裂でのβ-チューブリン構築、(B4)細胞分裂(未知の部位)、(B5)スペクトリン様タンパク質の非局在化、(B6)アクチン/ミオシン/フィンブリンの機能、(C1)複合体I NADHオドキシドレダクターゼ、(C2)複合体II:コハク酸デヒドロゲナーゼ、(C3)複合体III:Qo部位でのチトクロームbc1(ユビキノールオキシダーゼ)、(C4)複合体III:Qi部位でのチトクロームbc1(ユビキノンレダクターゼ)、(C5)酸化的リン酸化の脱共役剤、(C6)酸化的リン酸化の阻害剤、ATPシンターゼ、(C7)ATP産生(提案)、(C8)複合体III:スティグマテリン結合サブサイトであるQo部位でのチトクロームbc1(ユビキノンレダクターゼ)、(D1)メチオニン生合成(提案)、(D2)タンパク質合成(リボソーム、終結段階)、(D3)タンパク質合成(リボソーム、開始段階)、(D4)タンパク質合成(リボソーム、開始段階)、(D5)タンパク質合成(リボソーム、伸長段階)、(E1)シグナル伝達(機序不明)、(E2)~(E3)浸透圧シグナル伝達におけるMAP/ヒスチジンキナーゼ、(F2)リン脂質生合成、メチルトランスフェラーゼ、(F3)細胞過酸化(提案)、(F4)細胞膜の透過性、脂肪酸(提案)、(F6)病原体細胞膜の微生物破壊剤、(F7)細胞膜破壊、(F8)エルゴステロール結合、(F9)脂質の恒常性及び移動/貯蔵、(G1)ステロール生合成におけるC14-デメチラーゼ、(G2)ステロール生合成におけるΔ14-レダクターゼ及びΔ8→Δ7-イソメラーゼ、(G3)3-ケトレダクターゼ、C4-脱メチル化、(G4)ステロール生合成におけるスクアレンエポキシダーゼ、(H4)キチンシンターゼ、(H5)セルロースシンターゼ、(I1)メラニン生合成におけるレダクターゼ、(I2)メラニン生合成におけるデヒドラターゼ、(I3)メラニン生合成におけるポリケチドシンターゼ、(P1)~(P3)サリチル酸塩関連、(P4)多糖誘発物、(P5)アントラキノン誘発物、(P6)微生物誘発物、(P7)ホスホネート、(BM01)植物抽出物、並びに(BM02)微生物、生きている微生物、又は抽出物、代謝産物。
【0243】
注目すべきは、成分(a)の式1の化合物に加えて、成分(b)として、下記のクラスからなる群から選択される少なくとも1種の殺真菌化合物を含む組成物である:(b1)メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺真菌剤;(b2)ジカルボキサミド殺真菌剤;(b3)脱メチル化阻害剤(DMI)殺真菌剤;(b4)フェニルアミド(PA)殺真菌剤;(b5)アミン/モルホリン殺真菌剤;(b6)リン脂質生合成阻害剤殺真菌剤;(b7)コハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(SDHI)殺真菌剤;(b8)ヒドロキシ(2-アミノ-)ピリミジン殺真菌剤;(b9)アニリノピリミジン(AP)殺真菌剤;(b10)N-フェニルカルバメート殺真菌剤;(b11)キノン外部阻害剤(QoI)殺真菌剤;(b12)フェニルピロール(PP)殺真菌剤;(b13)アザナフタレン殺真菌剤;(b14)細胞過酸化阻害剤殺真菌剤;(b15)メラニン生合成阻害剤-レダクターゼ(MBI-R)殺真菌剤;(b16a)メラニン生合成阻害剤-デヒドラターゼ(MBI-D)殺真菌剤;(b16b)メラニン生合成阻害剤-ポリケチドシンターゼ(MBI-P)殺真菌剤;(b17)ケトレダクターゼ阻害剤(KRI)殺真菌剤;(b18)スクアレン-エポキシダーゼ阻害剤殺真菌剤;(b19)ポリオキシン殺真菌剤;(b20)フェニル尿素殺真菌剤;(b21)キノン内部阻害剤(QiI)殺真菌剤;(b22)ベンズアミド及びチアゾールカルボキサミド殺真菌剤;(b23)エノピラヌロン酸抗生物質殺真菌剤;(b24)ヘキソピラノシル抗生物質殺真菌剤;(b25)グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺真菌剤;(b26)グルコピラノシル抗生物質殺真菌剤;(b27)シアノアセトアミドオキシム殺真菌剤;(b28)カルバメート殺真菌剤;(b29)酸化的リン酸化脱共役殺真菌剤;(b30)有機スズ殺真菌剤;(b31)カルボン酸殺真菌剤;(b32)複素環式芳香族殺真菌剤;(b33)ホスホネート殺真菌剤;(b34)フタルアミド酸殺真菌剤;(b35)ベンゾトリアジン殺真菌剤;(b36)ベンゼン-スルホンアミド殺真菌剤;(b37)ピリダジノン殺真菌剤;(b38)チオフェン-カルボキサミド殺真菌剤;(b39)複合体I NADHオキシドレダクターゼ阻害剤殺真菌剤;(b40)カルボン酸アミド(CAA)殺真菌剤;(b41)テトラサイクリン抗生物質殺真菌剤;(b42)チオカルバメート殺真菌剤;(b43)ベンズアミド殺真菌剤;(b44)微生物殺真菌剤;(b45)キノン外部阻害剤、スティグマテリン結合(QoSI)殺真菌剤;(b46)植物抽出物殺真菌剤;(b47)シアノアクリレート殺真菌剤;(b48)ポリエン殺真菌剤;(b49)オキシステロール結合タンパク質阻害剤(OSBPI)殺真菌剤;(b50)アリール-フェニル-ケトン殺真菌剤;(b51)宿主植物防御誘導殺真菌剤;(b52)多部位活性殺真菌剤;(b53)複数の作用様式を有する生物学的製剤;(b54)成分(a)及び成分(b1)~(b53)の殺真菌剤以外の殺真菌剤;並びに(b1)~(b54)の化合物の塩。
【0244】
同様に注目すべきは、成分(b)が、(b1)~(b54)から選択される2つの異なる群のそれぞれからの少なくとも1種の殺真菌性化合物を含む、実施形態である。
【0245】
群(b1)~(b54)のさらなる説明は、下記の通りである。
【0246】
(b1)「メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺真菌剤」(FRACコード1)は、微小管構築中にβ-チューブリンに結合することにより、有糸分裂を阻害する。微小管構築の阻害により、細胞分裂、細胞内での輸送、及び細胞構造に支障をきたす可能性がある。メチルベンズイミダゾールカルバメート殺真菌剤として、ベンズイミダゾール殺真菌剤及びチオファネート殺真菌剤が挙げられる。ベンズイミダゾールとして、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、及びチアベンダゾールが挙げられる。チオファネートとして、チオファネート、及びチオファネート-メチルが挙げられる。
【0247】
(b2)「ジカルボキサミド殺真菌剤」(FRACコード2)は、浸透圧シグナル伝達におけるマイトジェン活性化タンパク質(MAP)/ヒスチジンキナーゼを阻害する。例として、クロゾリネート、ジメタクロン、イプロジオン、プロシミドン、及びビンクロゾリンが挙げられる。
【0248】
(b3)「脱メチル化阻害剤(DMI)殺真菌剤」(FRACコード3)(ステロール生合成阻害剤(SBI):クラスI)は、ステロール産生で役割を果たすC14-デメチラーゼを阻害する。エルゴステロール等のステロールは、膜の構造及び機能に必要であり、これらは、機能的な細胞壁の発達に不可欠である。したがって、これらの殺真菌剤への曝露により、感受性真菌の異常な増殖及び最終的な死滅がもたらされる。DMI殺真菌剤は、下記のいくつかの化学クラスに分けられる:ピペラジン、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、トリアゾール、及びトリアゾリンチオン。ピペラジンとして、トリホリンが挙げられる。ピリジンとして、下記が挙げられる:ブチオベート、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、及び(αS)-[3-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-5-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-イソキサゾリル]-3-ピリジンメタノール。ピリミジンとして、フェナリモール、ヌアリモール、及びトリアリモールが挙げられる。イミダゾールとして、エコナゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、及びトリフルミゾールが挙げられる。トリアゾールとして、下記が挙げられる:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール(例えばジニコナゾール-M)、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、マイクロブタニル(myclobutanil)、ペンコナゾール、プロピコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ウニコナゾール-P、α-(1-クロロシクロプロピル)-α-[2-(2,2-ジクロロシクロプロピル)エチル]-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール、rel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロ-フェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、rel-2-[[(2R,3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン、及びrel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-5-(2-プロペン-1-イルチオ)-1H-1,2,4-トリアゾール。トリアゾリンチオンとして、プロチオコナゾールが挙げられる。生化学的調査により、上述した殺真菌剤は全て、K.H.Kuck et al.in Modern Selective Fungicides-Properties,Applications and Mechanisms of Action,H.Lyr(Ed.),Gustav Fischer Verlag:New York,1995,205-258により説明されているDMI殺真菌剤であることが分かっている。
【0249】
(b4)「フェニルアミド殺真菌剤」(FRACコード4)は、卵菌(Oomycete)のRNAポリメラーゼの特異的阻害剤である。この殺真菌剤に曝露された感受性真菌は、ウリジンをrRNAに取り込む能力の低下を示す。感受性真菌の増殖及び発達は、このクラスの殺真菌剤への曝露により妨げられる。フェニルアミド殺真菌剤として、アシルアラニン殺菌剤、オキサゾリジノン殺菌剤、及びブチロラクトン殺菌剤が挙げられる。アシルアラニンとして、ベナラキシル、ベナラキシル-M(キララキシルとしても既知である)、フララキシル、メタラキシル、及びメタラキシル-M(メフェノキサムとしても既知である)が挙げられる。オキサゾリジノンとして、オキサジキシルが挙げられる。ブチロラクトンとして、オフラスが挙げられる。
【0250】
(b5)「アミン/モルホリン殺真菌剤」(FRACコード5)(SBI:クラスII)は、ステロール生合成経路内の下記の2つの標的部位:Δ8→Δ7イソメラーゼ及びΔ14レダクターゼを阻害する。エルゴステロール等のステロールは、膜の構造及び機能に必要であり、これらは、機能的な細胞壁の発達に不可欠である。したがって、これらの殺真菌剤への曝露により、感受性真菌の異常な増殖及び最終的な死滅がもたらされる。アミン/モルホリン殺真菌剤(非DMIステロール生合成阻害剤としても既知である)として、モルホリン殺真菌剤、ピペリジン殺真菌剤、及びスピロケタール-アミン殺真菌剤が挙げられる。モルホリンとして、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、及びトリモルファミドが挙げられる。ピペリジンとして、フェンプロピジン及びピペラリンが挙げられる。スピロケタール-アミンとして、スピロキサミンが挙げられる。
【0251】
(b6)「リン脂質生合成阻害剤殺真菌剤」(RFACコード6)は、リン脂質生合成に影響を及ぼすことにより真菌の増殖を阻害する。リン脂質生合成殺真菌剤として、ホスホロチオエート殺真菌剤、及びジチオラン殺真菌剤が挙げられる。ホスホロチオレートとして、エジフェンホス、イプロベンホス、及びピラゾホスが挙げられる。ジチオランとして、イソプロチオランが挙げられる。
【0252】
(b7)「コハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(SDHI)殺真菌剤」(FRACコード7)は、コハク酸デヒドロゲナーゼと呼ばれるクレブス回路(TCA回路)の主要な酵素を破壊することにより、複合体II真菌の呼吸を阻害する。呼吸の阻害により、真菌がTAPを生成することが妨げられ、そのため増殖及び繁殖が阻害される。SDHI殺真菌剤として、下記が挙げられる:フェニルベンズアミド、フェニルオキソエチルチオフェンアミド、ピリジニルエチルベンズアミド、フランカルボキサミド、オキサチインカルボキサミド、チアゾールカルボキサミド、ピラゾール-4-カルボキサミド、N-シクロプロピル-N-ベンジル-ピラゾールカルボキサミド、N-メトキシ-(フェニル-エチル)-ピラゾールカルボキサミド、ピリジンカルボキサミド、及びピラジンカルボキサミド殺真菌剤。フェニルベンズアミドとして、ベノダニル、フルトラニル、及びメプロニルが挙げられる。フェニルオキソエチルチオフェンアミドとして、イソフェタミドが挙げられる。ピリジニルエチルベンズアミドとして、フルオロピラムが挙げられる。フランカルボキサミドとして、フェンフラムが挙げられる。オキサチインカルボキサミドとして、カルボキシン及びオキシカルボキシンが挙げられる。チアゾールカルボキサミドとして、チフルザミドが挙げられる。ピラゾール-4-カルボキサミドとして、下記が挙げられる:ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルベネテラム(flubeneteram)(仮の一般名、登録番号1676101-39-5)、フルインダピル、フラクサピロキサド、フラメトピル、インピルフルキサム、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピラプロポイン(pyrapropoyne)(仮の一般名、登録番号1803108-03-3)、セダキサン、及びN-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチルエチル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド。N-シクロプロピル-N-ベンジル-ピラゾールカルボキサミドとして、イソフルシプラムが挙げられる。N-メトキシ-(フェニル-エチル)-ピラゾールカルボキサミドとして、ピジフルメトフェンが挙げられる。ピリジンカルボキサミドとして、ボスカリドが挙げられる。ピラジンカルボキサミドとして、ピラジフルミドが挙げられる。
【0253】
(b8)「ヒドロキシ-(2-アミノ-)ピリミジン殺真菌剤」(FRACコード8)は、アデノシンデアミナーゼに干渉することにより核酸合成を阻害する。例として、ブピリメート、ジメチリモール、及びエチリモールが挙げられる。
【0254】
(b9)「アニリノピリミジン殺真菌剤」(FRACコード9)は、アミノ酸メチオニンの生合成を阻害し、感染中に植物細胞を溶解する加水分解酵素の分泌に支障をきたすと提案されている。例として、シプロジニル、メパニピリム、及びピリメタニルが挙げられる。
【0255】
(b10)「N-フェニルカルバメート殺真菌剤」(FRACコード10)は、β-チューブリンに結合して微小管構築に支障をきたすことにより、有糸分裂を阻害する。微小管構築の阻害により、細胞分裂、細胞内での輸送、及び細胞構造に支障をきたす可能性がある。例として、ジエトフェンカルブが挙げられる。
【0256】
(b11)「キノン外部阻害剤(QoI)殺真菌剤」(FRACコード11)は、ユビキノールオキシダーゼに影響を及ぼすことにより、真菌の複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ユビキノールの酸化は、真菌のミトコンドリア内膜に位置するシトクロムbc1複合体の「キノン外部」(Qo)部位でブロックされる。ミトコンドリア呼吸の阻害により、正常な真菌の増殖及び発達が妨げられる。キノン外部阻害剤殺真菌剤として、下記が挙げられる:メトキシアクリレート殺真菌剤、メトキシアセトアミド殺真菌剤、メトキシカルバメート殺真菌剤、オキシミノアセテート殺真菌剤、オキシミノアセトアミド殺真菌剤、及びジヒドロジオキサジン殺真菌剤(総称してストロビルリン殺真菌剤としても既知である)、及びオキサゾリジンジオン殺真菌剤、イミダゾリノン殺真菌剤、及びベンジルカルバメート殺真菌剤。メトキシアクリレートとして、下記が挙げられる:アゾキシストロビン、クモキシストロビン、エノクサストロビン(エネストロブリンとしても既知である)、フルフェノキシストロビン、ピコキシストロビン、及びピラオキシストロビン。メトキシアセトアミドとして、マンデストロビンが挙げられる。メトキシカルバメートとして、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、及びトリクロピリカルブが挙げられる。オキシミノアセテートとして、クレソキシム-メチル及びトリフロキシストロビンが挙げられる。オキシミノアセトアミドとして、ジモキシストロビン、フェナミンストロビン、メトミノストロビン、及びオリサストロビンが挙げられる。ジヒドロジオキサジンとして、フルオキサストロビンが挙げられる。オキサゾリジンジオンとして、ファモキサドンが挙げられる。イミダゾリノンとして、フェナミドンが挙げられる。ベンジルカルバメートとして、ピリベンカルブが挙げられる。
【0257】
(b12)「フェニルピロール殺真菌剤」(FRACコード12)は、真菌の浸透圧シグナル伝達に関連するMAP/ヒスチジンキナーゼを阻害する。フェンピクロニル及びフルジオキソニルは、この殺真菌剤クラスの例である。
【0258】
(b13)「アザナフタレン殺真菌剤」(FRACコード13)は、未知の機序によりシグナル伝達を阻害すると提案されている。この殺真菌剤は、ウドンコ病を引き起こす真菌の発芽及び/又は付着器形成に干渉することが分かっている。アザナフタレン殺真菌剤として、アリールオキシキノリン及びキナゾリノンが挙げられる。アリールオキシキノリンとして、キノキシフェンが挙げられる。キナゾリノンとして、プロキナジドが挙げられる。
【0259】
(b14)「脂質過酸化阻害剤殺真菌剤」(FRACコード14)は、真菌の膜合成に影響を及ぼす脂質過酸化を阻害すると提案されている。エトリジアゾール等のこのクラスのメンバーは、呼吸及びメラニン生合成等の他の生物学的プロセスにも影響を及ぼす場合がある。細胞過酸化殺真菌剤として、芳香族炭化水素殺真菌剤及び1,2,4-チアジアゾール殺真菌剤が挙げられる。芳香族炭化水素殺真菌剤として、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン、テクナゼン、及びトルクロホス-メチルが挙げられる。1,2,4-チアジアゾールとして、エトリジアゾールが挙げられる。
【0260】
(b15)「メラニン生合成阻害剤-レダクターゼ(MBI-R)殺真菌剤」(FRACコード16.1)は、メラニン生合成におけるナフタレン還元ステップを阻害する。メラニンは、いくつかの真菌による宿主植物感染に必要とされる。メラニン生合成阻害剤-レダクターゼ殺真菌剤として、イソベンゾフラノン殺真菌剤、ピロロキノリノン殺真菌剤、及びトリアゾロベンゾチアゾール殺真菌剤が挙げられる。イソベンゾフラノンとして、フタリドが挙げられる。ピロロキノリノンとして、ピロキロンが挙げられる。トリアゾロベンゾチアゾールとして、トリシクラゾールが挙げられる。
【0261】
(b16a)「メラニン生合成阻害剤-デヒドラターゼ(MBI-D)殺真菌剤」(RFACコード16.2)は、メラニン生合成におけるシタロンデヒドラターゼを阻害する。メラニンは、いくつかの真菌による宿主植物感染に必要とされる。メラニン生合成阻害剤-デヒドラターゼ殺真菌剤として、シクロプロパンカルボキサミド殺真菌剤、カルボキサミド殺真菌剤、及びプロピオンアミド殺真菌剤が挙げられる。シクロプロパンカルボキサミドとして、カルプロパミドが挙げられる。カルボキサミドとして、ジクロシメットが挙げられる。プロピオンアミドとして、フェノキサニルが挙げられる。
【0262】
(b16b)「メラニン生合成阻害剤-ポリケチドシンターゼ(MBI-P)殺真菌剤」(FRACコード16.3)は、メラニン生合成におけるポリケチドシンターゼを阻害する。メラニンは、いくつかの真菌による宿主植物感染に必要とされる。メラニン生合成阻害剤-ポリケチドシンターゼ殺真菌剤として、トリフルオロエチルカルバメート殺真菌剤が挙げられる。トリフルオロエチルカルバメートとして、トルプロカルブが挙げられる。
【0263】
(b17)「ステロール生合成阻害剤(SBI):クラスIII殺真菌剤」(FRACコード17)は、ステロール産生におけるC4脱メチル化中での3-ケトレダクターゼを阻害する。ケトレダクターゼ阻害剤殺真菌剤(ステロール生合成阻害剤(SBI):クラスIIIとしても既知である)として、ヒドロキシアニリド及びアミノ-ピラゾリノンが挙げられる。ヒドロキシアニリドとして、フェンヘキサミドが挙げられる。アミノ-ピラゾリノンとして、フェンピラザミンが挙げられる。キノフメリン(quinofumelin)(仮の一般名、登録番号861647-84-9)及びイプフルフェノキン(ipflufenoquin)(仮の一般名、登録番号1314008-27-9)も、ケトレダクターゼ阻害剤殺真菌剤であると考えられる。
【0264】
(b18)「スクアレン-エポキシダーゼ阻害剤殺真菌剤」(FRACコード18)(SBI:クラスIV)は、ステロール生合成経路でのスクアレン-エポキシダーゼを阻害する。エルゴステロール等のステロールは、膜の構造及び機能に必要であり、これらは、機能的な細胞壁の発達に不可欠である。したがって、この殺真菌剤への曝露により、感受性真菌の異常な増殖及び最終的な死滅がもたらされる。スクアレン-エポキシダーゼ阻害剤殺真菌剤として、チオカルバメート殺真菌剤及びアリルアミン殺真菌剤が挙げられる。チオカルバメートとして、ピリブチカルブが挙げられる。アリルアミンとして、ナフチフィン及びテルビナフィンが挙げられる。
【0265】
(b19)「ポリオキシン殺真菌剤」(FRACコード19)は、キチン合成を阻害する。例として、ポリオキシンが挙げられる。
【0266】
(b20)「フェニル尿素殺真菌剤」(FRACコード20)は、細胞分裂に影響を及ぼすと提案されている。例として、ペンシクロンが挙げられる。
【0267】
(b21)「キノン内部阻害剤(QiI)殺真菌剤」(FRACコード21)は、ユビキノンレダクターゼに影響を及ぼすことにより、真菌の複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ユビキノンの還元は、真菌のミトコンドリア内膜に位置するシトクロムbc1複合体の「キノン内部」(Qi)部位でブロックされる。ミトコンドリア呼吸の阻害により、正常な真菌の増殖及び発達が妨げられる。キノン内部阻害剤殺真菌剤として、シアノイミダゾール殺真菌剤、スルファモイルトリアゾール殺真菌剤、及びピコリンアミド殺真菌剤が挙げられる。シアノイミダゾールとして、シアゾファミドが挙げられる。スルファモイルトリアゾールとして、アミスルブロムが挙げられる。ピコリンアミドとして、フェンピコキサミド(登録番号517875-34-2)が挙げられる。
【0268】
(b22)「ベンズアミド及びチアゾールカルボキサミド殺真菌剤」(FRACコード22)は、β-チューブリンに結合して微小管構築に支障をきたすことにより、有糸分裂を阻害する。微小管構築の阻害により、細胞分裂、細胞内での輸送、及び細胞構造に支障をきたす可能性がある。ベンズアミドとして、ゾキサミド等のトルアミドが挙げられる。チアゾールカルボキサミドとして、エタボキサム等のエチルアミノチアゾールカルボキサミドが挙げられる。
【0269】
(b23)「エノピラヌロン酸抗生物質殺真菌剤」(FRACコード23)は、タンパク質生合成に影響を及ぼすことにより、真菌の増殖を阻害する。例として、ブラストサイジン-Sが挙げられる。
【0270】
(b24)「ヘキソピラノシル抗生物質殺真菌剤」(FRACコード24)は、タンパク質生合成に影響を及ぼすことにより、真菌の増殖を阻害する。例として、カスガマイシンが挙げられる。
【0271】
(b25)「グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺真菌剤」(FRACコード25)は、タンパク質生合成に影響を及ぼすことにより、真菌の増殖を阻害する。例として、ストレプトマイシンが挙げられる。
【0272】
(b26)「グルコピラノシル抗生物質殺真菌剤」(FRACコードU18、以前は、U18に再分類されたFRACコード26)は、トレハラーゼ及びイノシトールの生合成を阻害すると提案されている。例として、バリダマイシンが挙げられる。
【0273】
(b27)「シアノアセトアミドオキシム殺真菌剤」(FRACコード27)として、シモキサニルが挙げられる。
【0274】
(b28)「カルバメート殺真菌剤」(FRACコード28)は、真菌増殖の多部位阻害剤とみなされる。この殺真菌剤は、細胞膜中での脂肪酸の合成に干渉し、次いで細胞膜の透過性を破壊すると提案されている。ヨードカルブ、プロパマカルブ、及びプロチオカルブは、この殺真菌剤クラスの例である。
【0275】
(b29)「酸化的リン酸化脱共役殺真菌剤」(FRACコード29)は、酸化的リン酸化を脱共役することにより、真菌の呼吸を阻害する。呼吸の阻害により、正常な真菌の増殖及び発達が妨げられる。このクラスとして、2,6-ジニトロアニリン(例えばフルアジナム)、及びジニトロフェニルクロトネート(例えば、ジノキャップ、メプチルジノキャップ、及びビナパクリル)が挙げられる。
【0276】
(b30)「有機スズ殺真菌剤」(FRACコード30)は、酸化的リン酸化経路のアデノシン三リン酸(ATP)シンターゼを阻害する。例として、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、及び水酸化トリフェニルスズが挙げられる。
【0277】
(b31)「カルボン酸殺真菌剤」(FRACコード31)は、デオキシリボ核酸(DNA)トポイソメラーゼII型(ジャイレース)に影響を及ぼすことにより、真菌の増殖を阻害する。例として、オキソリン酸が挙げられる。
【0278】
(b32)「複素環式芳香族殺真菌剤」(FRACコード32)は、DNA/リボ核酸(RNA)合成に影響を及ぼすと提案されている。複素環式芳香族殺真菌剤として、イソキサゾール及びイソチアゾロンが挙げられる。イソキサゾールとして、ヒメキサゾールが挙げられ、イソチアゾロンとして、オクチリノンが挙げられる。
【0279】
(b33)「ホスホネート殺真菌剤」(FRACコードP07、以前は、P07に再分類されたFRACコード33)として、亜リン酸及びその様々な塩(例えば、ホセチル-アルミニウム)が挙げられる。
【0280】
(b34)「フタルアミド酸殺真菌剤」(FRACコード34)として、テクロフタラムが挙げられる。
【0281】
(b35)「ベンゾトリアジン殺真菌剤」(FRACコード35)として、トリアゾキシドが挙げられる。
【0282】
(b36)「ベンゼン-スルホンアミド殺真菌剤」(FRACコード36)として、フルスルファミドが挙げられる。
【0283】
(b37)「ピリダジノン殺真菌剤」(FRACコード37)として、ジクロメジンが挙げられる。
【0284】
(b38)「チオフェン-カルボキサミド殺真菌剤」(FRACコード38)は、ATP産生に影響を及ぼすと提案されている。例として、シルチオファムが挙げられる。
【0285】
(b39)「複合体I NADHオキシドレダクターゼ阻害剤殺真菌剤」(FRACコード39)は、ミトコンドリア中での電子伝達を阻害し、ジフルメトリム等のピリミジンアミン、トルフェンピラド等のピラゾール-5-カルボキサミド、及びフェナザキン等のキナゾリンが挙げられる。
【0286】
(b40)「カルボン酸アミド(CAA)殺真菌剤」(FRACコード40)は、セルロース合成を阻害し、それにより、標的真菌の増殖を防いで死滅させる。カルボン酸アミド殺真菌剤として、桂皮酸アミド殺真菌剤、バリンアミドカルバメート殺真菌剤、及びマンデル酸アミド殺真菌剤が挙げられる。桂皮酸アミドとして、ジメトモルフ、フルモルフ、及びピリモルフが挙げられる。バリンアミドカルバメートとして、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、イプロバリカルブ、トルプロカルブ、及びバリフェナレート(バリフェナールとしても既知である)。マンデル酸アミドとして、下記が挙げられる:マンジプロパミド、N-[2-[4-[[3-(4-クロロフェニル)-2-プロピン-1-イル]オキシ]-3-メトキシフェニル]エチル]-3-メチル-2-[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド、及びN-[2-[4-[[3-(4-クロロフェニル)-2-プロピン-1-イル]オキシ]-3-メトキシフェニル]エチル]-3-メチル-2-[(エチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド。
【0287】
(b41)「テトラサイクリン抗生物質殺真菌剤」(FRACコード41)は、タンパク質合成に影響を及ぼすことにより、真菌の増殖を阻害する。例として、オキシテトラサイクリンが挙げられる。
【0288】
(b42)「チオカルバメート殺真菌剤」(FRACコードM12、以前は、M12と再分類されたFRACコード42)として、メタスルホカルブが挙げられる。
【0289】
(b43)「ベンズアミド殺真菌剤」(FRACコード43)は、スペクトリン様タンパク質の非局在化により、真菌の増殖を阻害する。例として、フルオピコリド及びフルオピモミド等のピリジニルメチルベンズアミドが挙げられる。
【0290】
(b44)「微生物殺真菌剤」(FRACコードBM02、以前は、BM02に再分類されたFRACコード44)は、真菌病原体の細胞膜を破壊する。微生物殺真菌剤として、下記が挙げられる:バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)株AP-136、AP-188、AP-218、AP-219、AP-295、QST713、FZB24、F727、MB1600、D747、TJ100(株1 BEとも呼ばれる;欧州特許第2962568号明細書から既知である)等のバチルス(Bacillus)種、及びこれらが産生する殺真菌性リポペプチド。
【0291】
(b45)「キノン外部阻害剤、スティグマテリン結合(QoSI)殺真菌剤」(FRACコード45)は、チトクロームbc1複合体の「キノン外部」(Qo)部位スティグマテリン結合サブ部位でユビキノンレダクターゼに影響を及ぼすことにより、真菌の複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ミトコンドリア呼吸の阻害により、正常な真菌の増殖及び発達が妨げられる。QoSI殺真菌剤として、アメトクトラジン等のトリアゾロピリミジルアミンが挙げられる。
【0292】
(b46)「植物抽出物殺真菌剤」(FRACコード46)は、細胞膜破壊を引き起こす。植物抽出物殺真菌剤として、テルペン炭化水素、テルペンアルコール、及びテルペンフェノール(例えば、メラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)(ティーツリー)からの抽出物)、並びに植物油(混合物、例えば、オイゲノール、ゲラニオール、及びチモール)が挙げられる。
【0293】
(b47)「シアノアクリレート殺真菌剤」(FRACコード47)は、ミオシンモータードメインに結合し、モーター活性及びアクチン集合体に影響を及ぼす。シアノアクリレートとして、フェナマクリル等の殺真菌剤が含まれる。
【0294】
(b48)「ポリエン殺真菌剤」(FRACコード48)は、膜の主要ステロールであるエルゴステロールに結合することにより、真菌の細胞膜の破壊を引き起こす。例として、ナタマイシン(ピマリシン)が挙げられる。
【0295】
(b49)「オキシステロール結合タンパク質阻害剤(OSBPI)殺真菌剤」(FRACコード49)は、遊走子の放出、遊走子の運動性、及び胞子嚢の発芽の阻害を引き起こす、卵菌のオキシステロール結合タンパク質に結合する。オキシステロール結合性殺真菌剤として、オキサチアピプロリン及びフルオキサピプロリン等のピペルジニルチアゾールイソオキサゾリンが挙げられる。
【0296】
(b50)「アリール-フェニル-ケトン殺真菌剤」(FRACコード50、以前は、50に再分類されたFRACコードU8)は、真菌の菌糸の成長を阻害する。アリール-フェニル-ケトン殺真菌剤として、メトラフェノン等のベンゾフェノン、及びピリオフェノン等のベンゾイルピリジンが挙げられる。
【0297】
(b51)「宿主植物防御誘導殺真菌剤」は、宿主植物防御機序を誘導する。宿主植物防御誘導殺真菌剤として、下記が挙げられる:ベンゾチアジアゾール殺真菌剤(FRACコードP01)、ベンズイソチアゾール殺真菌剤(FRACコードP02)、チアジアゾールカルボキサミド殺真菌剤(FRACコードP03)、ポリサッカリド殺真菌剤(FRACコードP04)、植物抽出物殺真菌剤(FRACコードP05)、微生物殺真菌剤(FRACコードP06)、及びホスホネート殺真菌剤(FRACコードP07、上記(b33)を参照されたい)。ベンゾチアジアゾールとして、アシベンゾラル-S-メチルが挙げられる。ベンズイソチアゾールとして、プロベナゾールが挙げられる。チアジアゾールカルボキサミドとして、チアジアニル及びイソチアニルが挙げられる。ポリサッカリドとして、ラミナリンが挙げられる。植物抽出物として、レイノウトリア・サッカリネンシス(Reynoutria sachalinensis)(オオイタドリ)由来の抽出物が挙げられる。微生物として、バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)単離株J、及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株LAS117の細胞壁が挙げられる。
【0298】
(b52)「多部位活性殺真菌剤」は、複数の作用部位を介して真菌の増殖を阻害し、且つ接触/予防活性を有する。多部位活性殺真菌剤として、下記が挙げられる:銅殺真菌剤(FRACコードM01)、硫黄殺真菌剤(FRACコードM02)、ジチオカルバメート殺真菌剤(FRACコードM03)、フタルイミド殺真菌剤(FRACコードM04)、クロロニトリル殺真菌剤(FRACコードM05)、スルファミド殺真菌剤(FRACコードM06)、多部位接触グアニジン殺真菌剤(FRACコードM07)、トリアジン殺真菌剤(FRACコードM08)、キノン殺真菌剤(FRACコードM09)、キノキサリン殺真菌剤(FRACコードM10)、マレイミド殺真菌剤(FRACコードM11)、及びチオカルバメート殺真菌剤(FRACコードM12、上記(b42)を参照されたい)。銅殺真菌剤は、典型的には銅(II)酸化状態で銅を含む無機化合物であり、例として、オキシ塩化銅、硫酸銅、及び水酸化銅(例えば、Bordeaux混合物(三塩基性硫酸銅)等の組成物)が挙げられる。硫黄殺真菌剤は、硫黄原子の環又は鎖を含む無機化学物質であり、例として、元素硫黄が挙げられる。ジチオカルバメート殺真菌剤は、ジチオカルバメート分子部分を含み、例として、フェルバム、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、亜鉛チアゾール、ジネブ、及びジラムが挙げられる。フタルイミド殺真菌剤は、フタルイミド分子部分を含み、例として、ホルペット、キャプタン、及びカプタホールが挙げられる。クロロニトリル殺真菌剤は、クロロ及びシアノで置換された芳香環を含み、例としてクロロタロニルが挙げられる。スルファミド殺真菌剤として、ジクロフルアニド及びトリフルアニドが挙げられる。多部位接触グアニジン殺真菌剤として、グアザチン、アルベシル酸イミノクタジン、及び三酢酸イミノクタジンが挙げられる。トリアジン殺真菌剤として、アニラジンが挙げられる。キノン殺真菌剤として、ジチアノンが挙げられる。キノキサリン殺真菌剤として、キノメチオネート(quinomethionate)(キノメチオネート(chinomethionate)としても既知である)が挙げられる。マレイミド殺真菌剤として、フルオロイミドが挙げられる。
【0299】
(b53)「複数の作用様式を有する生物学的製剤」には、支配的な作用様式の証拠がない複数の作用機序を示す、生物学的起源に由来する薬剤が含まれる。このクラスの殺真菌剤として、ポリペプチド(レクチン)殺真菌剤、フェノール殺真菌剤、セスキテルペン殺真菌剤、トリテペノイド殺真菌剤、及びクマリン殺真菌剤(FRACコードBM01)、例えば、ルピナス小植物の子葉からの抽出物が挙げられる。このクラスにはまた、単独微生物殺真菌剤(FRACコードBM02、上記(b44)を参照されたい)も含まれる。
【0300】
(b54)「成分(a)と、成分(b1)~(b53)の殺真菌剤以外の殺真菌剤」として、作用様式が不明な場合があるある特定の殺真菌剤が挙げられる。これとして、下記が挙げられる:(b54.1)「フェニル-アセトアミド殺真菌剤」(FRACコードU06)、(b54.2)「グアニジン殺真菌剤」(FRACコードU12)、(b54.3)「チアゾリジン殺真菌剤」(FRACコードU13)、(b54.4)「ピリミジノン-ヒドラゾン殺真菌剤」(FRACコードU14)、(b54.5)「4-キノリルアセテート殺真菌剤」(FRACコードU16)、(54.6)「テトラゾイルオキシム殺真菌剤」(FRACコードU17)、及び「グルコピラノシル抗生物質殺真菌剤」(FRACコードU18、上記(b26)を参照されたい)。フェニル-アセトアミドとして、シフルフェナミドが挙げられる。クアニジンとして、ドジンが挙げられる。チアゾリジンとして、フルチアニルが挙げられる。ピリミジノンヒドラゾンとして、フェリムゾンが挙げられる。4-キノリルアセテートとして、テブフロキンが挙げられる。テトラゾイルオキシムとして、ピカルブトラゾクスが挙げられる。
【0301】
(b54)クラスにはまた、下記も含まれる:ベトキサジン、ジクロベンチアゾクス(dichlobentiazox)(仮の一般名、登録番号957144-77-3)、ジピメチトロン(dipymetitrone)(仮の一般名、登録番号16114-35-5)、フロメトキン、ネオ-アソジン(メタンアルソン酸鉄)、ピロールニトリン、トルニファニデ(登録番号304911-98-6)、N’-[4-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-2,5-ジメチルフェニル]-N-エチル-N-メチルメタンイミダミド、5-フルオロ-2-[(4-フルオロフェニル)メトキシ]-4-ピリミジンアミン、及び4-フルオロフェニル N-[1-[[[1-(4-シアノフェニル)エチル]スルホニル]メチル]プロピル]カルバメート。
【0302】
作用様式が不明な場合があるか又は未だ分類されていない場合があるさらなる「クラス(b1)~(b54)の殺真菌剤以外の殺真菌剤」として、下記に示すように、成分(b54.7)~(b54.12)から選択される殺真菌剤化合物が挙げられる。
【0303】
成分(54.7)は、真菌の複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害するキノン内部阻害剤(QiI)殺真菌剤(FRACコード21)であると考えられる(1S)-2,2-ビス(4-フルオロフェニル)-1-メチルエチル N-[[3-(アセチルオキシ)-4-メトキシ-2-ピリジニル]カルボニル]-L-アラニネート(仮の一般名フロリルピコキサミド(florylpicoxamid)、登録番号1961312-55-9)に関する。
【0304】
成分(54.8)は、真菌の複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害するキノン外部阻害剤(QoI)殺真菌剤(FRACコード45)であると考えられ且つQoI耐性株に対して有効な1-[2-[[[1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]メチル]-3-メチルフェニル]-1,4-ジヒドロ-4-メチル-5H-テトラゾール-5-オン(仮の一般名メチルテトラピロール(metyltetraprole)、登録番号1472649-01-6)に関する。
【0305】
成分(54.9)は、チューブリン重合を促進し、その結果、子嚢菌(Ascomycota)門及び担子菌(Basidiomycota)門に属する真菌種に対する抗真菌活性を生じると考えられる3-クロロ-4-(2,6-ジフルオロフェニル)-6-メチル-5-フェニルピリダジン(仮の一般名ピリダクロメチル(pyridachlometyl)、登録番号1358061-55-8)に関する。
【0306】
成分(54.10)は、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)のグリコシルホスファチジルイノシトール-アンカー生合成においてGWT-1タンパク質を阻害すると考えられる(4-フェノキシフェニル)メチル 2-アミノ-6-メチル-ピリジン-3-カルボキシレート(仮の一般名アミノピリフェン(aminopyrifen)、登録番号1531626-08-0)に関する。
【0307】
成分(b54.11)は、式b54.11
【化18】
の化合物に関し、
式中、
R
b1及びR
b3は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;
R
b2は、H、ハロゲン、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3ハロアルキル、又はC
3~C
6シクロアルキルである。
【0308】
式b54.11の化合物の例として、下記が挙げられる:(b54.11a)メチル N-[[5-[1-(2,6-ジフルオロ-4-ホルミルフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート、(b54.11b)メチル N-[[5-[1-(4-シクロプロピル-2,6-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート、(b54.11c)メチル N-[[5-[1-(4-クロロ-2,6-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート、(b54.11d)メチル N-[[5-[1-(4-シクロプロピル-2,6-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート、(b54.11e)メチル N-[[5-[1-[2,6-ジフルオロ-4-(1-メチルエチル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート、及び(b54.11f)メチル N-[[5-[1-[2,6-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-イル]-2-メチルフェニル]メチル]カルバメート。式b54.11の化合物、殺真菌剤としてのその使用、及び調製方法は、一般に既知であり、例えば、国際公開第2008/124092号パンフレット、同第2014/066120号パンフレット、及び同第2020/097012号パンフレットを参照されたい。
【0309】
成分(b54.12)は、式b54.12
【化19】
の化合物に関し、
式中、
R
b4は、
【化20】
であり;
R
b6は、C
2~C
4アルコキシカルボニル又はC
2~C
4ハロアルキルアミノカルボニルであり;
Lは、CH
2又はCH
2Oであり、式中、右側の原子は、式b54.12中のフェニル環に結合しており;
R
b5は、
【化21】
であり;
R
b7は、C
1~C
3アルキルであり、式中、波状の結合は、隣接する二重結合が、(Z)立体配置若しくは(E)立体配置のいずれか、又はこれらの混合物であることを示す。
【0310】
式b54.12の化合物の例として、下記が挙げられる:(b54.12a)N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-[[4-[5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]フェニル]メチル]-4-オキサゾールカルボキサミド、(b54.12b)エチル 1-[[4-[5-(トリフルオロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]フェノキシ]メチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート、(b54.12c)エチル 1-[[4-[[(1Z)-2-エトキシ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン-1-イル]オキシ]フェニル]メチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート、及び(b54.12d)エチル 1-[[4-[[2-(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]メトキシ]フェニル]メチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート。式b54.12の化合物、殺真菌剤としてのその使用、及び調製方法は、一般に既知であり、例えば、国際公開第2008/187553号パンフレット及び同第2020/056090号パンフレットを参照されたい。
【0311】
したがって、注目すべきは、式1の化合物と、上述したクラス(b1)~(b54)((b54.7)~(b54.12)を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の殺真菌性化合物とを含む混合物(即ち組成物)である。また、注目すべきは、前記混合物を(殺真菌的有効量で)含み、界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分をさらに含む組成物である。特に注目すべきは、式1の化合物と、クラス(b1)~(b54)に関連して上記に列挙されている具体的な化合物の群から選択される少なくとも1種の殺真菌化合物とを含む混合物(即ち組成物)である。また、特に注目すべきは、前記混合物を(殺真菌的有効量で)含み、界面活性剤、固体希釈剤、及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の界面活性剤をさらに含む組成物である。
【0312】
成分(b)殺真菌剤の例として、下記が挙げられる:アシベンゾラル-S-メチル、アルジモルフ、アメトクトラジン、アミスルブロム、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル(例えばベナラキシル-M)、ベノダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブ(例えばベンチアバリカルブ-イソプロピル)、ベンゾビンジフルピル、ベトキサジン、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラスチシジン-S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カプタホール、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、水酸化銅、銅オキシクロリド、硫酸銅、コウモキシストロビン、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメト、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール(例えばジニコナゾール-M)、ジノカップ、ジチアノン、ジチオラン、ドデモルフ、ドジン、ジピメチトロン、エコナゾール、エジフェンホス、エノクサストロビン(エネストロブリンとしても既知である)、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモール、フェナミンストロビン、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンピラザミン、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、フェルバム、フェリムゾン、フロメトキン、フロリルピコキサミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェンオキシストロビン、フルインダピル、フルモルフ、フルオピコリド、フルオピモミド、フルオピラム、フロウロイミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルチアニル、フルトラニル、フルトリアホール、フルキサピロキサド、ホルペット、フタリド、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノオクタジンアルベシレート、イミノオクタジントリアセテート、ヨードカルブ、イプコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソフェタミド、イソプロチオラン、イソフルシプラム、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、クレソキシム-メチル、マンコゼブ、マンデプロパミド、マンデストロビン、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メプチルジノカップ、メタラキシル(例えばメタラキシル-M/メフェノキサム)、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、ミクロナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ネオ-アソジン、ヌアリモール、オクチリノン、オフラセ、オリサストロビン、オキサジキシル、オキサチアピプロリン、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、亜リン酸(それらの塩、例えばフォセチル-アルミナムを含む)、ピカルブトラゾクス、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピラゾフォス、ピリベンカルブ、ピリブチカルブ、ピリフェノクス、ピリメタニル、ピリオフェノン、ピリソキサゾール、ピロキノン、ピロールニトリン、キンコナゾール、キノフメリン(登録番号861647-84-9)キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テブフロキン、テクロフタラム、テクナゼン、テルビナフィン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート-メチル、サイラム、チアジニル、トルクロフォス-メチル、トルニファニデ、トルプロカルブ、トリフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモール、トリチコナゾール、トリアゾキシド、三塩基性硫酸銅、トリシクラゾール、トリクロピリカルブ、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリモルファミド、ウニコナゾール、ウニコナゾール-P、バリダマイシン、バリフェナレート(バリフェナールとしても既知である)、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、N-[2-(1S,2R)-[1,1’-ビシクロプロピル]-2-イルフェニル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、α-(1-クロロシクロプロピル)-α-[2-(2,2-ジクロロシクロプロピル)-エチル]-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール、(αS)-[3-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-5-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-イソキサゾリル]-3-ピリジンメタノール、rel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、rel-2-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン、rel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-5-(2-プロペン-1-イルチオ)-1H-1,2,4-トリアゾール、N-[2-[4-[[3-(4-クロロフェニル)-2-プロピン-1-イル]オキシ]-3-メトキシフェニル]エチル]-3-メチル-2-[(メチルスルホニル)-アミノ]ブタンアミド、N-[2-[4-[[3-(4-クロロフェニル)-2-プロピン-1-イル]オキシ]-3-メトキシフェニル]エチル]-3-メチル-2-[(エチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド、N’-[4-[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-2,5-ジメチルフェニル]-N-エチル-N-メチルメタンイミダミド、N-[[(シクロプロピルメトキシ)アミノ][6-(ジフルオロメトキシ)-2,3-ジフルオロフェニル]メチレン]ベンゼンアセトアミド、N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチルエチル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3’,4’-ジフルオロ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-3-(トリフルオロメチル)-2-ピラジンカルボキサミド、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、5,8-ジフルオロ-N-[2-[3-メトキシ-4-[[4-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]オキシ]フェニル]エチル]-4-キナゾリナミン、1-[4-[4-[5R-[(2,6-ジフルオロフェノキシ)メチル]-4,5-ジヒドロ-3-イソキサゾリル]-2-チアゾリル]-1-ピペルジニル]-2-[5-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノン、4-フルオロフェニル N-[1-[[[1-(4-シアノフェニル)エチル]スルホニル]メチル]プロピル]カルバメート、5-フルオロ-2-[(4-フルオロフェニル)メトキシ]-4-ピリミジンアミン、α(メトキシイミノ)-N-メチル-2-[[[1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]イミノ]メチル]ベンゼンアセトアミド、及び[[4-メトキシ-2-[[[(3S,7R,8R,9S)-9-メチル-8-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-2,6-ジオキソ-7-(フェニルメチル)-1,5-ジオキソナン-3-イル]アミノ]カルボニル]-3-ピリジニル]オキシ]メチル -2メチルプロパノエート。したがって、注目すべきは、式1の化合物(又はそのN-オキシド若しくは塩)を成分(a)として含み、且つ前述のリストから選択される少なくとも1種の殺真菌剤を成分(b)として含む殺真菌組成物である。
【0313】
特に注目すべきは、式1の化合物(又はそのN-オキシド若しくは塩)(即ち、組成物中の成分(a))と、(即ち、組成物中の成分(b)としての)下記との組み合わせである:アミノピリフェン(登録番号1531626-08-0)、アゾキシストロビン、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、カプタン、カルプロパミド、クロロタロニル、水酸化銅、銅オキシクロリド、硫酸銅、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロベンチアゾクス(登録番号957144-77-3)、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジピメチトロン、エポキシコナゾール、エタボキサム、フェナリモール、フェンヘキサミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルインダピル、フルオピラム、フルシラゾール、フルチアニル、フルトリアホール、フルキサピロキサド、ホルペット、イプフルフェノキン(登録番号1314008-27-9)、イプロジオン、イソフェタミド、イソフルシプラム、イソピラザム、クレソキシム-メチル、マンコゼブ、マンデストロビン、メプチルジノカップ、メタラキシル(例えばメタラキシル-M/メフェノキサム)、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、メトラフェノン、メチルテトラピロール(登録番号1472649-01-6)、ミクロブタニル、オキサチアピプロリン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、亜リン酸(それらの塩、例えばフォセチル-アルミナムを含む)、ピコキシストロビン、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピリダクロメチル(登録番号1358061-55-8)、ピラクロストロビン、ピラプロポイン(登録番号1803108-03-3)、ピリメタニル、セダキサン、スピロキサミン、硫黄、テブコナゾール、チオファネート-メチル、トリフロキシストロビン、ゾキサミド、α-(1-クロロシクロプロピル)-α-[2-(2,2-ジクロロシクロプロピル)-エチル]-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール、N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2-メトキシ-1-メチルエチル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、1-[4-[4-[5R-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3-イソキサゾリル]-2-チアゾリル]-1-ピペリジニル]-2-[5-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]-エタノン、1,1-ジメチルエチル N-[6-[[[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)フェニルメチレン]アミノ]オキシ]メチル]-2-ピリジニル]カルバメート、5-フルオロ-2-[(4-フルオロフェニル)メトキシ]-4-ピリミジンアミン、(αS)-[3-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-5-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-イソキサゾリル]-3-ピリジンメタノール、rel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール、rel-2-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン、及びrel-1-[[(2R、3S)-3-(2-クロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-2-オキシラニル]メチル]-5-(2-プロペン-1-イルチオ)-1H-1,2,4-トリアゾール。
【0314】
一般に、真菌性植物病原菌により引き起こされる植物病害のより良好な防除(例えば、より低い使用率、若しくは防除される植物病原菌のより広いスペクトル)、又は耐性管理に好ましいものは、式1の化合物、そのN-オキシド又は塩と、下記の群から選択される殺真菌化合物との混合物である:アミスルブロム、アゾキシストロビン、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、シモキサニル、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、フェンプロピモルフ、フロリルピコキサミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェノキシストロビン、フルインダピル、フルキンコナゾール、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルトリアホール、フルキサピロキサド、イプコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、イプロジオン、クレソキシム-メチル、メタラキシル、メフェノキサム、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、メトミノストロビン、ミクロブタニル、パクロブトラゾール、ペンフルフェン、ピコキシストロビン、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリオフェノン、セダキサン、シルチオファム、テブコナゾール、チアベンダゾール、チオファネート-メチル、サイラム、トリフロキシストロビン、及びトリチコナゾール。
【0315】
本発明の化合物と共に調合され得る他の生物活性化合物又は薬剤の例は、無脊椎有害生物防除化合物又は薬剤であり、例えば下記である:アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アクリナトリン、アフィドピロペン([(3S,4R,4aR,6S,6aS,12R,12aS,12bS)-3-[(シクロプロピルカルボニル)オキシ]-1,3,4,4a,5,6,6a,12,12a,12b-デカヒドロ-6,12-ジヒドロキシ-4,6a,12b-トリメチル-11-オキソ-9-(3-ピリジニル)-2H,11H-ナフト[2,1-b]ピラノ[3,4-e]ピラン-4-イル]メチルシクロプロパンカルボキシレート)、アミドフルメット(S-1955)、エバーメクチン、アザジラクチン、アジンホス-メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロルアントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シアントラニリプロール(3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)、シクラニリプロル(3-ブロモ-N-[2-ブロモ-4-クロロ-6-[[(1-シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)、シクロキサプリド((5S,8R)-1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-9-ニトロ-5,8-エポキシ-1H-イミダゾ[1,2-a]アゼピン)、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジエルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フルベンジアミド、フルシトリネート、フルフェンオキシストロビン(メチル(αE)-2-[[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]-α-(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、フルフェンスルホン(5-クロロ-2-[(3,4,4-トリフルオロ-3-ブテン-1-イル)スルホニル]チアゾール)、フルピプロル(1-[2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-5-[(2-メチル-2-プロペン-1-イル)アミノ]-4-[(トリフルオロメチル)スルフィニル]-1H-ピラゾール-3-カルボニトリル)、フルピラジフロン(4-[[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-2(5H)-フラノン)、タウ-フルバリネート、フルフェネリム(UR-50701)、フルフェノクスロン、フォノホス、ハロフェノジド、ヘプタフルトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル 2,2-ジメチル-3-[(1Z)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン-1-イル]シクロプロパンカルボキシレート)、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メペルフルトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル(1R,3S)-3-(2,2-ジクロロエテニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メトフルトリン、ミルベマイシンオキシム、モンフルオトリン([2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)フェニル]メチル-3-(2-シアノ-1-プロペン-1-イル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、モノクロトホス、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE-007)、オキサミル、ピフルブミド(1,3,5-トリメチル-N-(2-メチル-1-オキソプロピル)-N-[3-(2-メチルプロピル)-4-[2,2,2-トリフルオロ-1-メトキシ-1-(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)、パラチオン、パラチオン-メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、プロフルトリン、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリミノストロビン(メチル(αE)-2-[[[2-[(2,4-ジクロロフェニル)アミノ]-6-(トリフルオロメチル)-4-ピリミジニル]オキシ]メチル]-α-(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN 2060)、スピロテトラマト、スルホキサフロール、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、ターブホス、テトラクロルビンホス、テトラメチルフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ-ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホン、及びトリフルムロン;並びに生物学的作用物質、例えば、昆虫病原性細菌、例えば、バチルス・チュウリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)亜種アイワザイ(aizawai)、バチルス・チュウリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)亜種クリスターキ(kurstaki)、及びバチルス・チュウリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)のカプセル化デルタ-エンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII);昆虫病原性真菌、例えば黒きょう病菌;並びに昆虫病原性ウイルス、例えば、バキュロウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)、例えば、HzNPV、AfNPV;並びにグラニュロシスウイルス(GV)、例えばCpGV。
【0316】
本開示の化合物と混合される生物学的作用物質の一実施形態として、下記が挙げられる:バチルス・チュウリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)等の昆虫病原性細菌、並びにバチルス・チュウリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)のカプセル化デルタエンドトキシン(例えば、CellCap(登録商標)プロセスにより調製されたMVP(登録商標)生物殺虫剤及びMVPII(登録商標)生物殺虫剤)(CellCap(登録商標)、MVP(登録商標)、及びMVPII(登録商標)は、Mycogen Corporation,Indianapolis,Indiana,USAの商標である);昆虫病原性真菌、例えば、黒きょう病菌(green muscardine fungus);並びに昆虫病原性(天然に存在するもの及び遺伝子改変されたものの両方)ウイルス、例えば、バキュロウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)、例えば、アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)核多角体病ウイルス(HzNPV)、アナグラファ・ファルフェラ(Anagrapha falcifera)核多角体病ウイルス(AfNPV);並びにグラニュロシスウイルス(GV)、例えば、コドリンガ(Cydia pomonella)グラニュロシスウイルス(CpGV)。
【0317】
これらの農業保護剤(即ち、殺虫剤、殺真菌剤、抗線虫剤、ダニ駆除剤、除草剤、及び生物学的作用物質)についての一般的参考文献として、The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003、及びThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001が挙げられる。
【0318】
これらの様々な混合パートナーの内の1つ又は複数を使用する実施形態では、これらの様々な混合パートナー(合計)と式1の化合物との重量比は、典型的には約1:3000~約3000:1であり、より典型的には約1:500~約500:1である。注目すべきは、成分(a)と成分(b)との重量比が約125:1~約1:125である組成物である。成分(b)の多くの殺真菌性化合物により、これらの組成物は、真菌性植物病原菌により引き起こされる植物病害の防除に特に有効である。特に注目すべきは、成分(a)と成分(b)との重量比が約25:1~約1:25又は約5:1~約1:5である組成物である。当業者は、所望の殺真菌保護及び防除のスペクトルに必要な殺真菌性化合物の重量比及び適用量を、単純な実験により容易に決定し得る。成分(b)中にさらなる殺真菌性化合物を含むことにより、成分(a)単独で防除されるスペクトルを超えて、防除される植物病害のスペクトルを拡大し得ることが、明らかであるだろう。
【0319】
ある特定の場合には、本発明の化合物と、他の生物学的に活性な(特に殺真菌性の)化合物又は薬剤(即ち、活性成分)との組み合わせは、相加超の(即ち、相乗作用)効果をもたらし得る。有効な有害生物防除を確実にしつつ環境中に放出される活性成分の量を減少させることが、常に望ましい。殺真菌性活性成分の相乗作用が、農学的に満足できるレベルの真菌防除を与える散布率で現れる場合には、そのような組み合わせは、作物生産コストを削減し且つ環境負荷を低下させるのに有利であり得る。
【0320】
また、ある特定の場合には、本発明の化合物と、他の生物学的に活性な化合物又は薬剤との組み合わせは、農学的環境に有益な生物に対して相加未満の(即ち、より安全な)効果をもたらし得る。例えば、本発明の化合物は、作物植物上の除草剤を安全にし得るか、又は殺虫剤から有益な昆虫種(例えば、昆虫捕食者、ハチ等の花粉媒介者)を保護し得る。
【0321】
式1の化合物と共に調合されて種子処理で有用な混合物が得られる注目すべき殺真菌剤として下記が挙げられるが、これらに限定されない:アミスルブロム、アゾキシストロビン、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、シモキサニル、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、フロリルピコキサミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェノキシストロビン、フルキンコナゾール、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルトリアホール、フルキサピロキサド、イプコナゾール、イプロジオン、メタラキシル、メフェノキサム、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、パクロブトラゾール、ペンフルフェン、ピコキシストロビン、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、セダキサン、シルチオファム、テブコナゾール、チアベンダゾール、チオファネート-メチル、サイラム、トリフロキシストロビン、及びトリチコナゾール。
【0322】
式1の化合物と共に調合されて種子処理で有用な混合物を得ることができる無脊椎有害生物防除化合物又は薬剤として下記が挙げられるが、これらに限定されない:アバメクチン、アセタミプリド、アクリナトリン、アフィドピロペン、アミトラズ、エバーメクチン、アザジラクチン、ベンスルタップ、ビフェントリン、ブプロフェジン、カズサホス、カルバリル、カルボフラン、カルタップ、クロルアントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シアントラニリプロール、シクラニリプロル、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジエルドリン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトフェンプロックス、エトキザゾール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルエンスルホン、フルフェノクスロン、フルヒプロール、フルピラジフロン、フルバリネート、ホルメタネート、フォスチアゼート、ヘプタフルトリン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メペルフルトリン、メタフルミゾン、メチオジカルブ、メソミル、メトプレン、メトキシフェノジド、モノフルオロトリン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、オキサミル、ピフルブミド、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリミノストロビン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、スルホキサフロール、テブフェノジド、テトラメトリン、テトラメチルフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ-ナトリウム、トラロメトリン、トリアザメート、トリフルムロン、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタ-エンドトキシン、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の株、及び核多角体病(Nucleo polyhydrosis)ウイルスの株。
【0323】
種子処理のために有用な、式1の化合物を含む組成物としては、植物病原性の真菌若しくは細菌及び/又は土壌性の動物例えば線虫の有害な影響から保護する能力を有している細菌及び真菌をさらに挙げることができる。殺線虫性を示す細菌としては、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・スブチリイス(Bacillus subtiliis)、及びパスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。好適なバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)菌株としては、菌株CNCM I-1582(GB-126)が挙げられるが、このものは、BioNemTMとして市販されている。好適なバチルス・セレウス(Bacillus cereus)菌株は、菌株NCMM I-1592である。いずれのバチルス(Bacillus)菌株も、米国特許第6,406,690号明細書に開示されている。殺線虫活性を示すその他の好適な細菌は、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)IN937a、及びB.スブチリス(B.subtilis)菌株GB03である。殺真菌性能を示す細菌としては、B.プミルス(B.pumilus)菌株GB34が挙げられるが、これに限定される訳ではない。殺線虫性を示す真菌種としては、ミロテシウム・ベルカリア(Myrotheciium verrucaria)、ペシロミセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、及びプルプレオシリウム・リラシヌム(Purpureocillium lilacinum)が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0324】
種子処理はまた、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)などのある種の細菌植物病原菌から単離されるハーピン(harpin)と呼ばれる誘導因子タンパクなどの天然起源の1つ若しくは複数の殺線虫剤を含むことができる。例は、N-HibitTM Gold CSTとして利用可能なHarpin-N-Tek種子処理技術である。
【0325】
種子処理はまた、ミクロ共生窒素固定細菌ダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)などのマメ科植物-根結節性細菌の1つ若しくは複数の種を含むことができる。これらの接種材料は、マメ科植物の根上での結節形成の開始の間にリゾビア細菌によって生産される根粒形成(Nod)因子である、1つ若しくは複数のリポキトオリゴ糖(LCO)を場合によっては含むことができる。例えば、Optimize(登録商標)ブランド種子処理技術は、接種材料と組み合わせてLCO Promoter TechnologyTMを組み込んでいる。
【0326】
種子処理はまた、菌根真菌類による根定着のレベルを高めることができる1つ若しくは複数のイソフラボンを含むことができる。菌根真菌類は、水、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩及び金属などの栄養物の根吸収を高めることによって植物成長を向上させる。イソフラボンの例としては、ゲニステイン、ビオチャニンA、ホルモノネチン、ダイゼイン、グリシテイン、ヘスペレチン、ナリンゲニン及びプラテンセインが挙げられるが、それらに限定されない。ホルモノネチンは、PHC Colonize(登録商標)AGなどの菌根接種材料製品中の活性成分として入手可能である。
【0327】
種子処理はまた、病原菌による接触後に植物中に全身獲得抵抗性を誘導する1つ若しくは複数の植物活性化剤を含むことができる。そのような保護機構を誘導する植物活性化剤の例は、アシベンゾラル-S-メチルである。
【0328】
下記の試験から、特定の病原体に対する本発明の化合物の防除有効性が実証される。しかしながら、この化合物によりもたらされる病原体防除防御は、これらの種に限定されるものではない。化合物の説明に関しては、下記の牽引表Aを参照されたい。略語「Cmpd.」は、「化合物」を表し、略語「Ex.」は、「実施例」を表し、その後に、どの実施例の化合物が調製されているかを示す番号が続く。「MS」欄で報告されている数値は、同位体存在量が最高である分子にH+(分子量1)を付加することにより形成される、最高の同位体存在量の正に帯電した親イオンの分子量(M+1)であるか、又はH+(分子量1)の減少により形成される、最高の同位体存在量の負に帯電したイオンの分子量(M-1)である。存在量が低い、1種又は複数種のより高い原子量の同位体(例えば、37Cl、81Br)を含む分子イオンの存在は、報告していない。報告するMSピークを、エレクトロスプレーイオン化(ESI)又は大気圧化学イオン化(APCI)を使用する質量分析により観察した。
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
本発明の生物学的実施例
試験A~Fの試験懸濁液を調製するための概略的なプロトコル:最初に、試験化合物を、最終体積の3%に等しい量のアセトンに溶解させ、次いで、アセトン、及び250ppmの界面活性剤PEG400(多価アルコールエステル)を含む精製水(体積で50/50ミックス)中に、所望の濃度(ppm)で懸濁させた。次いで、得られた試験懸濁液を、試験A~Fで使用した。
【0333】
試験A
試験溶液を、コムギ苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、ジモセプトリア・トリチシ(Zymoseptoria tritici)(コムギ葉枯病の病原体)の胞子懸濁液を接種し、48時間にわたり24℃で飽和雰囲気中にてインキュベートし、次いで、17日にわたり20℃の栽培チャンバーに移し、その後、経時的な病害評価を行った。
【0334】
試験B
試験溶液を、コムギ苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、プッシニア・レコンディタf.種トリチシ(Puccinia recondita f.sp.tritici)(コムギ葉さび病の病原体)の胞子懸濁液を接種し、24時間にわたり20℃で飽和雰囲気中にてインキュベートし、次いで、7日にわたり20℃の栽培チャンバーに移し、その後、経時的な視覚的病害評価を行った。
【0335】
試験C
試験懸濁液を、コムギ苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、ブルメリア・グラミニスf.種トリチシ(Blumeria graminis f.sp.tritici)(コムギうどんこ病の病原体であり、エリシフェ・グラミニスf.種トリチシ(Erysiphe graminis f.sp.tritici)としても既知である)の胞子粉塵(spore dust)を接種し、8日にわたり20℃にて栽培チャンバー中でインキュベートし、その後、経時的な視覚的病害評価を行った。
【0336】
試験D
試験溶液を、ダイズ苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、ファコスポラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)(ダイズさび病の病原体)の胞子懸濁液を接種し、24時間にわたり22℃で飽和雰囲気中にてインキュベートし、次いで、8日にわたり22℃の栽培チャンバーに移し、その後、経時的な視覚的病害評価を行なった。
【0337】
試験E
試験懸濁液を、トマト苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(トマトボトリチス病の病原体)の胞子懸濁液を接種し、48時間にわたり20℃で飽和雰囲気中にてインキュベートし、次いで、3日にわたり24℃の栽培チャンバーに移し、その後、経時的な視覚的病害評価を行なった。
【0338】
試験F
試験懸濁液を、トマト苗上で流れ落ちるまで噴霧した。翌日、この苗に、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)(トマト葉かれ病の病原体)の胞子懸濁液を接種し、48時間にわたり27℃で飽和雰囲気中にてインキュベートし、次いで、3日にわたり20℃の栽培チャンバーに移し、その後、経時的な病害評価を行なった。
【0339】
試験A~Fの結果を、下記の表Aに示す。評価100は、100%の病害防除を示し、評価0は、(コントロールと比較して)病害防除なしを示す。ダッシュ(-)は、化合物を試験しなかったことを示す。
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
【国際調査報告】