(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】過酸化水素消毒薬組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 59/00 20060101AFI20240326BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240326BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20240326BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20240326BHJP
A01N 37/10 20060101ALI20240326BHJP
A01N 37/38 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A01N59/00 A
A01P3/00
A01N37/02
A01N31/04
A01N37/10
A01N37/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562807
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 US2022024371
(87)【国際公開番号】W WO2022221247
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523385019
【氏名又は名称】メトレックス・リサーチ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・リアン-ヒオン・チア
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・エル・ウォレンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・レイキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ディン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AA03
4H011BA05
4H011BA06
4H011BB03
4H011BB06
4H011BB18
4H011BC04
4H011BC07
4H011BC16
4H011DA13
(57)【要約】
微生物を不活性化及び/又は破壊するのに特に効果的であることが判明した消毒薬組成物を提供する。消毒薬組成物は、過酸化水素;有機溶媒;少なくとも1種の6~9個の炭素原子を有する脂肪酸又は芳香族カルボン酸、少なくとも2種の界面活性剤(第1の界面活性剤は両性界面活性剤であり、第2の界面活性剤は非イオン性界面活性剤である)、並びに酸性pH調整剤を含むことができる。消毒薬組成物は、有機溶媒及び脂肪酸又は芳香族カルボン酸が約3:1~約30:1の比で存在し、脂肪酸又は芳香族カルボン酸及び両性界面活性剤が約0.1:1~約3:1の比で存在し、有機溶媒及び両性界面活性剤が約1:1~約30:1の比で存在するとき、微生物に対して特に効果的であることが判明した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒薬組成物であって、
過酸化水素;
消毒薬組成物の約0.9質量%~4質量%の量の有機溶媒;
ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸又は安息香酸、サリチル酸、若しくは2-フロ酸(fuoric acid)から選択される芳香族カルボン酸のうちの1種;
アミンオキシドを含む第1の界面活性剤;
アルコールエトキシレートを含む第2の界面活性剤;並びに
酸性pH調整剤
を含み、有機溶媒及び脂肪酸又は芳香族カルボン酸が約10:1~約30:1の比で存在し、脂肪酸又は芳香族カルボン酸及び第1の界面活性剤が約0.1:1~約3:1の比で存在し、有機溶媒及び第1の界面活性剤が約1:1~約30:1の比で存在する、
消毒薬組成物。
【請求項2】
過酸化水素が、消毒薬組成物中に消毒薬組成物の0.1質量%~8質量%の量で存在する、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項3】
脂肪酸又は芳香族カルボン酸が、組成物の0.1質量%~1質量%の量で存在する、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項4】
第1の界面活性剤が、組成物の0.1質量%~1質量%の量で存在する、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項5】
脂肪酸又は芳香族カルボン酸が、組成物の0.1質量%~0.4質量%の量で存在し、第1の界面活性剤が、組成物の0.1質量%~1質量%の量で存在する、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項6】
pH調整剤が、リン酸、硫酸、塩酸、及びメタンスルホン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項7】
pH調整剤が、消毒薬組成物の0.1質量%~2質量%の量で存在する、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項8】
消毒薬組成物のpHが1~3である、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項9】
ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸を含む、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項10】
安息香酸、サリチル酸、又は2-フロ酸から選択される芳香族カルボン酸を含む、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項11】
アミンオキシドが両性界面活性剤であり、アルコールエトキシレートが非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項12】
アミンオキシドが、アルキルアミンオキシド又はアルキルジメチルアミンオキシドである、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項13】
有機溶媒が、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシグリコール、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項14】
検出可能ないずれの過酸も含まない、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項15】
いずれの過酸も含まない、請求項1に記載の消毒薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の消毒薬組成物を吸収又は吸着した基材を含む消毒薬ワイプ。
【請求項17】
消毒薬組成物であって、
過酸化水素;
消毒薬組成物の2質量%~4質量%の量のベンジルアルコール;
ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸又は安息香酸、2-フロ酸、若しくはサリチル酸から選択される芳香族カルボン酸のうちの1種;
両性界面活性剤;
非イオン性界面活性剤;
酸性pH調整剤;並びに
水
からなり、ベンジルアルコール及び脂肪酸又は芳香族カルボン酸が約3:1~約30:1の比で存在し、脂肪酸又は芳香族カルボン酸及び両性界面活性剤が約0.1:1~約3:1の比で存在し、ベンジルアルコール及び両性界面活性剤が約1:1~約30:1の比で存在し、消毒薬組成物がいずれの過酸も含まない、
消毒薬組成物。
【請求項18】
ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸からなる、請求項17に記載の消毒薬組成物。
【請求項19】
安息香酸、2-フロ酸、又はサリチル酸から選択される芳香族カルボン酸からなる、請求項17に記載の消毒薬組成物。
【請求項20】
両性界面活性剤がアミンオキシドであり、非イオン性界面活性剤がエトキシ化アルコールである、請求項17に記載の消毒薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒薬組成物に関し、更に詳細には、表面の消毒等のための過酸化水素消毒薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物感染は、重要な医療の問題である。実際に、いくつかの推測によれば、医療関連感染(HAI)の発生率は、31名の患者ごとに約1名である。驚くことではないが、治療クリニック及び病院は、感染の原因となる微生物を宿す傾向があり、徹底的に清浄化及び消毒しなければならないことが多い多くの表面を含む。
【0003】
病原微生物は、特に無数の症状又は形の不快感を引き起こすおそれがある感染性疾患のリスクが高いことを示す。多くの場合、人が感染症にかかると、感染症が例えば飛沫伝染又は共有面伝染によって他者に伝播するおそれがある。共有面に触れる人は、別の人が残していった病原体に罹るおそれがある。したがって、微生物感染に対する防御の第一線は、そのような表面の消毒薬による処理である。さまざまな消毒薬溶液は、病原微生物と戦うのに効果が十分でなかった。例えば、第四級アンモニウム化合物(QAC)は、大部分の細菌及びウイルス種を不活性化する能力を有する活性成分と考えられるが、低濃度のQACは、マイコバクテリア・ツベルクローシス(mycobacteria tuberculosis)(TB)や細菌芽胞等の死滅させることが困難な大部分の病原体を消毒するのに十分な程度に強力であると考えられない。アルデヒド及び過酢酸については、クリティカルな及びセミクリティカルな医療機器の病原体を消毒及び滅菌するのに効果が高いが、これらの化学薬品の用い方は、厳しい労働安全及び環境の問題によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それを考慮して、病原微生物に対して望ましい活性を示すことができ、望ましい毒性学的プロファイルを有することができる改善された消毒薬組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面の消毒等のための過酸化水素消毒薬組成物を対象とする。
【0006】
本発明の実施形態によれば、過酸化水素、有機溶媒(例えば、ベンジルアルコール)、少なくとも1種の6~9個の炭素原子を有する脂肪酸又は芳香族カルボン酸、少なくとも2種の界面活性剤(第1の界面活性剤は両性界面活性剤であり、第2の界面活性剤は非イオン性界面活性剤である)、並びに酸性pH調整剤を含むことができる消毒薬組成物が提供される。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、消毒薬組成物であって、過酸化水素、消毒薬組成物の約0.9質量%~4質量%の量の有機溶媒、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸又は安息香酸、サリチル酸、若しくは2-フロ酸(fuoric acid)から選択される芳香族カルボン酸のうちの1種、アミンオキシドを含む第1の界面活性剤、アルコールエトキシレートを含む第2の界面活性剤、並びに酸性pH調整剤を含むことができ、有機溶媒及び脂肪酸又は芳香族カルボン酸が約10:1~約30:1の比で存在し、脂肪酸又は芳香族カルボン酸及び第1の界面活性剤が約0.1:1~約3:1の比で存在し、有機溶媒及び第1の界面活性剤が約1:1~約30:1の比で存在する、消毒薬組成物が提供される。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、消毒薬組成物であって、過酸化水素、消毒薬組成物の2質量%~4質量%の量のベンジルアルコール、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸からなる群から選択される脂肪酸又は安息香酸、2-フロ酸、若しくはサリチル酸から選択される芳香族カルボン酸のうちの1種、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、酸性pH調整剤、並びに水を含むことができ、ベンジルアルコール及び脂肪酸又は芳香族カルボン酸が約3:1~約30:1の比で存在し、脂肪酸又は芳香族カルボン酸及び両性界面活性剤が約0.1:1~約3:1の比で存在し、ベンジルアルコール及び両性界面活性剤が約1:1~約30:1の比で存在し、消毒薬組成物が、いずれの過酸も含まない、消毒薬組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書ではすべての濃度は、別段の記載がない限り、指定された消毒薬組成物の総質量に対するものである。質量パーセント、質量%(weight %、wt. %、wt%)、質量によるパーセント、及び質量による%は、物質の質量を組成物の質量で除し、100を乗じたその物質の濃度を指す同義語である。更に、すべての数値範囲は、範囲の終点を含む。
【0010】
本発明の実施形態によれば、細菌、ウイルス、真菌(例えば、トリコフィトン属)、及び他の微生物を含めて、病原体を消毒薬組成物に効果的な時間曝すと、それらの病原体を不活性化及び/又は破壊するのに特に効果的であることが判明した、消毒薬組成物が提供される。例えば、消毒薬組成物は、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)(TBの代用)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・アウリス(Candida auris)、ネコカリシウイルス(Feline calicivirus)等から選択される病原体を不活性化及び/又は破壊するのに特に効果的であると理解されている。一例として、懸濁タイムキル試験によるデータは、消毒薬組成物がトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)を破壊するのに効果的でありうることを示す。更に、非多孔性表面清拭タイムキル試験によるデータは、消毒薬組成物がマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)(TBの代用)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・アウリス(Candida auris)、ネコカリシウイルス(Feline calicivirus)等から選択される病原体を破壊するのに効果的でありうることを示した。
【0011】
一例として、消毒薬組成物は以下に更に詳細に述べられているが、過酸化水素、有機溶媒(例えば、ベンジルアルコール)、少なくとも1種の6~9個の炭素原子を有する脂肪酸又は芳香族カルボン酸、少なくとも2種の界面活性剤(第1の界面活性剤は両性界面活性剤であり、第2の界面活性剤は非イオン性界面活性剤である)、並びに酸性pH調整剤を含むことができる。消毒薬組成物は、有機溶媒(例えば、ベンジルアルコール)、脂肪酸及び/又は芳香族カルボン酸、並びに両性界面活性剤が例えば特定の比で存在するとき、病原体に対して特に効果的であることが判明した。有機溶媒の脂肪酸及び/又は芳香族カルボン酸に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の3:1~30:1質量%の質量比が挙げられる。有機溶媒の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の1:1~30:1質量%の質量比が挙げられる。脂肪酸又は芳香族カルボン酸の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の0.1:1~3:1質量%の質量比が挙げられる。消毒薬組成物は液体の形とすることができ、浸漬液若しくは噴霧液として使用されて、すぐに使える噴霧液等消毒浸漬液若しくは噴霧液を提供することがあり、又は当技術分野において公知の手段及び方法によってワイプ等基材に設けられて、表面の清浄化及び消毒等のための消毒ワイプを提供することがある。
【0012】
次に過酸化水素について、消毒薬組成物中の過酸化水素は、消毒薬組成物の0.1質量%~8質量%の量で存在することができる。別の例として、過酸化水素は、0.1質量%~2質量%の量で存在することができる。別の例として、過酸化水素は、0.5質量%~1.5質量%の量で存在することができる。もう一つの例として、過酸化水素は、0.5質量%~0.9質量%の量で存在することができる。
【0013】
消毒薬組成物中の有機溶媒としては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシグリコール等を挙げることができ、消毒薬組成物の0.9質量%~4質量%の量で存在することができる。別の例として、有機溶媒は、消毒薬組成物の1質量%~4質量%の量で存在することができる。別の例として、有機溶媒は、消毒薬組成物の1質量%~3質量%又は2質量%~4質量%の量で存在することができる。別の例として、有機溶媒は、消毒薬組成物の3質量%として存在することができる。
【0014】
消毒薬組成物中の脂肪酸は、6~9個の炭素原子を含むことができる。一例として、脂肪酸は、6~9個の炭素原子を有する非分枝状の飽和脂肪酸とすることができる。例えば、脂肪酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、又はそれらの組合せを含むことができる。別の例として、脂肪酸は、6~9個の炭素原子を有する非分枝状の不飽和脂肪酸とすることができる。脂肪酸は、消毒薬組成物の0.01質量%~10質量%の量で存在することができる。別の例として、脂肪酸は、0.1質量%~5質量%の量で存在することができる。別の例として、脂肪酸は、0.1質量%~1質量%の量で存在することができる。もう一つの例として、脂肪酸は、0.1質量%~0.6質量%の量で存在することができる。別の例として、脂肪酸は、0.1質量%~0.4質量%の量で存在することができる。別の例として、脂肪酸は、0.1質量%~0.3質量%の量で存在することができる。もう一つの例として、脂肪酸は、0.3質量%の量で存在することができる。
【0015】
消毒薬組成物中の芳香族カルボン酸は、2-フロ酸等芳香族環(例えば、5員の芳香族環)を有するヘテロ環式カルボン酸、安息香酸、サリチル酸等6炭素芳香族カルボン酸、又はそれらの組合せを含むことができる。更に、芳香族カルボン酸は、消毒薬組成物が脂肪酸と芳香族カルボン酸を両方含むことができるように、以上に記載された脂肪酸と混合されてよい。芳香族カルボン酸は、消毒薬組成物の0.01質量%~10質量%の量で存在することができる。別の例として、芳香族カルボン酸は、0.1質量%~5質量%の量で存在することができる。別の例として、芳香族カルボン酸は、0.1質量%~1質量%の量で存在することができる。もう一つの例として、芳香族カルボン酸は、0.1質量%~0.6質量%の量で存在することができる。別の例として、芳香族カルボン酸は、0.1質量%~0.4質量%の量で存在することができる。別の例として、芳香族カルボン酸は、0.1質量%~0.3質量%の量で存在することができる。もう一つの例として、芳香族カルボン酸は、0.3質量%の量で存在することができる。
【0016】
消毒薬組成物中の両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド等のアミンオキシドを挙げることができる。一例として、アルキルアミンオキシドとしては、アルキルジメチルアミンオキシド、例えばラウラミンオキシド、ミリスチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ココアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシド等を挙げることができる。一例として、両性界面活性剤は、溶液状態で含めることができ、Stepan Company社(Northfield, IL, USA)によって製造された販売名Ammonyx(登録商標)LOを有することができる、ラウラミンオキシドである。Ammonyx(登録商標)LOは、以下の構造を有する両性界面活性剤を含む。
【0017】
【0018】
%は、溶液の総質量に対するアミンオキシドの質量に基づく。したがって、Ammonyx(登録商標)LO溶液は、上記の構造(ここで、x=10)を有する両性界面活性剤及び上記の構造(ここで、x=12)を有する別の両性界面活性剤という少なくとも2種の両性界面活性剤を有する。
【0019】
別の例として、両性界面活性剤としては、溶液状態で含めることができ、Lonza Group社(Basel, Switzerland)によって製造された販売名Barlox(商標)8Sを有することができる、オクチルジメチルアミンオキシドを挙げることができる。別の例として、両性界面活性剤は、溶液状態で含めることができ、Lonza Group社(Basel, Switzerland)によって製造された販売名Barlox(商標)10Sを有することができる、デシルジメチルアミンオキシドである。別の例として、両性界面活性剤は、溶液状態で含めることができ、Lonza Group社(Basel, Switzerland)によって製造された販売名Barlox(商標)12を有することができる、ココアミンオキシドである。もう一つの例として、両性界面活性剤は、溶液状態で含めることができ、Lonza Group社(Basel, Switzerland)によって製造された販売名Barlox(商標)14を有することができる、ミリスチルアミンオキシドである。両性界面活性剤は、消毒薬組成物中に消毒薬組成物の0.1質量%~2質量%の量で存在することができる。別の例として、両性界面活性剤は、消毒薬組成物の0.1質量%~1.5質量%の量で存在することができる。別の例として、両性界面活性剤は、消毒薬組成物の0.1質量%~1質量%の量で存在することができる。Barlox(商標)8S、Barlox(商標)10S、Barlox(商標)12、及びBarlox(商標)14のそれぞれが次式によって定義され、各界面活性剤は以下の表に記載されている基準に従って特定される。
【0020】
【0021】
【0022】
消毒薬組成物中の非イオン性界面活性剤は、エトキシ化アルコールを含むことができる。エトキシ化アルコールは、エトキシ化アルコール1モル当たりエトキシ化1~13モルでありうる。更に、エトキシ化アルコールは、1~15個の炭素原子を含む直鎖、分枝状、又は環式アルキル炭素鎖を有することができる。アルキル炭素鎖は、飽和でも、不飽和でもよい。一例として、非イオン性界面活性剤は、Evonik Industries社(Essen, Germany)によって製造された販売名Tomadol(登録商標)900を有することができるエトキシ化アルコールである。別の例として、非イオン性界面活性剤は、Pressure Vessel Services, Inc.社(Detroit, Michigan, USA)によって製造された販売名Plurafac(商標)RAを有することができるエトキシ化アルコールである。別の例として、非イオン性界面活性剤はエトキシ化アルコールであり、その溶液は販売名NEODOL(商標)N91を有し、又はエトキシ化アルコール溶液は販売名NEODOL(商標)N1を有し、これらのそれぞれがHaagse Hout, The Hagueに本社を置くRoyal Dutch Shell社によって製造される。Tomadol(登録商標)900、Plurafac(商標)、NEODOL(商標)N91、及びNEODOL(商標)N1がそれぞれ、以下の化学構造を有するエトキシ化アルコールを含み、各界面活性剤は以下の表に記載されている基準に従って特定される。
【0023】
【0024】
【0025】
非イオン性界面活性剤は、消毒薬組成物中に消毒薬組成物の0.01質量%~0.6質量%の量で存在してよい。別の例として、非イオン性界面活性剤は、0.02質量%~0.5質量%の量で存在してよい。別の例として、非イオン性界面活性剤は、0.05質量%~0.3質量%の量で存在してよい。
【0026】
消毒薬組成物中の酸性pH調整剤は、pHを所望の酸性pHに調整するのに適したあらゆる酸を含むことができる。一例として、酸性pH調整剤としては、リン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸等を挙げることができる。一例として、pH調整剤を添加して、消毒薬組成物のpHを約0.6~約7となるように調整することができる。別の例として、pH調整剤を添加して、消毒薬組成物のpHを約1~約4となるように調整することができる。別の例として、pH調整剤を添加して、消毒薬組成物のpHを約1~約3となるように調整することができる。別の例として、pH調整剤を添加して、消毒薬組成物のpHを約1.8~約2.8となるように調整することができる。pH調整剤は、消毒薬組成物中に消毒薬組成物の0.1質量%~2質量%の量で存在することができる。別の例として、pH調整剤は、消毒薬組成物中に0.1質量%~1質量%の量で存在することができる。別の例として、pH調整剤は、消毒薬組成物中に0.2質量%~0.8質量%の量で存在することができる。別の例として、pH調整剤は、消毒薬組成物中に0.3質量%~0.6質量%の量で存在することができる。これらの量は、使用された酸性pH調整剤の濃度に主に依存して超えられてよいことを理解すべきである。
【0027】
消毒薬組成物の残部は、消毒薬組成物中のすべての成分が100質量%となるように水とすることができる。一例として、消毒薬組成物中の水は、消毒薬組成物の約95質量%とすることができる。一例として、消毒薬組成物中の水は、消毒薬組成物の約90質量%とすることができる。
【0028】
一実施形態において、消毒薬組成物は、例えば検出可能ないずれの過酸も形成しないと理解されている限りにおいていずれの過酸も含まない。一例として、消毒薬組成物は、いずれの過酸も又は検出可能ないずれの過酸も含まないことがある。
【0029】
消毒薬組成物は、有機溶媒(例えば、ベンジルアルコール)、脂肪酸又は芳香族カルボン酸、及び両性界面活性剤が例えば特定の比で存在するとき、病原体に対して特に効果的であることが判明した。有機溶媒の脂肪酸又は芳香族カルボン酸に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の3:1~30:1質量%の質量比が挙げられる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の5:1~15:1質量%とすることができる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の約10:1質量%とすることができる。有機溶媒の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の1:1~60:1質量%の質量比が挙げられる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の1:1~45:1質量%とすることができる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の1:1~30:1質量%とすることができる。もう一つの例として、質量比は、消毒薬組成物の1:1~25:1質量%とすることができる。脂肪酸又は芳香族カルボン酸の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の0.1:1~3:1質量%の質量比が挙げられる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の0.5:1~2:1質量%とすることができる。別の例として、質量比は、消毒薬組成物の1:1質量%とすることができる。
【0030】
消毒薬組成物は液体の形とすることができ、浸漬液若しくは噴霧液として使用されて、すぐに使える噴霧液等消毒浸漬液若しくは噴霧液を提供することがあり、又は当技術分野において公知の手段及び方法によってワイプ等基材に設けられて、表面の清浄化及び消毒等のための消毒ワイプを提供することがある。消毒ワイプに適した基材としては、液体消毒薬組成物を吸収及び/又は吸着することができる、例えば織及び不織ウェブ、ファブリック、フォーム、スポンジ、パッド、並びに同様の材料コンストラクトを挙げることができる。一例として、基材又は担体は、表面積が消毒物品、例えば消毒ワイプで処理される所期の表面に対して適切に合わせられた少なくとも一面を提供するために、シートの形、すなわち吸収性担体の断面の厚さ寸法がその近似の幅又は長さ寸法より相対的に小さい形とすることができる。担体は、個々のシート若しくはワイプ、又は連続シート、好ましくは使用前にシートが特定の必要に適したサイズに細分されうるように、シートの少なくとも一寸法にわたる部分引裂又は穿孔等いくつかの分離手段が設けられた連続シートに形成されうる。
【0031】
好適な基材は、一般的に天然及び合成材料から選択され、消毒薬組成物の成分との接触によって著しい分解も、構造、特性、若しくは形の著しい化学的又は物理的変化も受けないという点で、漂白剤に安定な好適な基材を含むことができる。基材としては、単一ポリマー又は2種以上のポリマーの混合物を挙げることができる。好適な材料としては一般的に、合成ポリマー基材、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリビニルクロリド(PVC)、塩素化ポリビニリデンクロリド(CPVC)、ポリアクリルアミド(ACAM)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ(シクロへキシレンジメチレンシクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCE)、ポリ(シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)(PCTA)、ポリ(シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)グリコール(PCTG)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)、ポリケトン(PK)、ポリ(オキシメチレン);ポリホルムアルデヒド(POMF)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリ(フェニレンスルホン)(PPSU)、シンジオタクチックポリスチレン(syn-PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PUR)、ポリ(ビニリデンフルオリド)(PVDF)、ポリアミド熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(メチル)メタクリレート(PMMA)及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)が挙げられる。
【0032】
追加的に、基材の材料としては、以下のモノマーから作製されたコポリマーを挙げることができる:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、エチレン-プロピレン(E/P)、エチレン-ビニルアセテート(EVAC)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)、メラミン-ホルムアルデヒド(MF)、メラミン-フェノール-ホルムアルデヒド(MPF)、フェノール-ホルムアルデヒド(PF)、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-無水マレイン酸(SMAH)、コポリエステル熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム加硫物(TPV)、スチレン及びアクリロニトリルのコポリマー樹脂(SAN)、スチレンブタジエンコポリマー(SBC)及びビニルアセテート-エチレンコポリマー(VAE)、並びに再生セルロース繊維(レーヨン/ビスコース)。
【0033】
本明細書に記載された消毒薬組成物は、細菌、ウイルス、真菌(例えば、トリコフィトン属)、及び/又は他の微生物を含めて病原体が消毒薬組成物と効果的な時間接触するとき、病原体を不活性化及び/又は破壊するのに効果的であると理解される。以下の非限定的な実施例は、本発明の消毒薬組成物の有効性を例示することに役立つものである。
【実施例】
【0034】
有効性試験
試験病原体:トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、接触時間1分
試験方法:懸濁試験(定量的)
懸濁試験説明:
試験で使用する前に、真菌懸濁液の初期集団を決定し、プレートをインキュベートした。懸濁試験では、ある量の真菌懸濁液を、試験材料が入っている無菌チューブに移し、十分に混合する。較正分/秒タイマーを使用して計時して、真菌懸濁液を試験材料に1分間曝露する。曝露時間が経過した後、生成物/真菌懸濁液が入っているチューブから、ある量の液体を、中和溶液が入っている別個の無菌試験管に移し、十分に混合する。真菌懸濁液の一連の希釈液(例えば、10-2、10-3、及び10-4)を調製する。生成物/中和剤/真菌懸濁液の最終希釈液から、ある量の液体をスプレッドプレーティングし、最終プレーティング希釈液を生成する。プレートをインキュベートする。インキュベートした後、プレート上のコロニーを計数し、元の培養サイズと比較する。この相には干渉物質は添加されていない。
【0035】
さまざまな消毒薬組成物試料をトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)に対する有効性について試験し、ある種のパラメータを調整して、各パラメータの有効性効果を測定した。その結果、ある種の相乗作用が認められ、ある種の有効量、比、及び成分が同定された。
【0036】
以下の表において、さまざまな界面活性剤、例えばAmmonyx(登録商標)LO及びTomadol(登録商標)900の質量百分率に関して、記載された質量百分率は、試験された消毒薬組成物中の両性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の量をそれぞれ示すものであって、その中の各界面活性剤溶液の質量百分率ではない。他の点では、以下の表中のさまざまな成分の百分率は、消毒薬組成物内の成分の質量百分率である。
【0037】
以下のTable 1(表3)に示されたように、増加するレベルのオクタン酸を含む消毒薬組成物の試料を試験し、有効性の結果を考慮及び比較した。
【0038】
【0039】
Table 1(表3)の結果は、消毒薬組成物中の脂肪酸、例えばオクタン酸の質量百分率の増加と共に、消毒薬組成物の有効性が望ましいことに増加することを示す。消毒薬組成物の有効性は、脂肪酸の両性界面活性剤に対する相対比が1:1比に近づき、脂肪酸のベンジルアルコールに対する相対比が1:10比に近づくにつれて増加することも示される。
【0040】
別の試験では、炭素鎖長5個以下及び炭素鎖長10個以上の脂肪酸を含む比較消毒薬組成物は、炭素鎖長6~9個を有する脂肪酸を含む消毒薬組成物より効果的でないことが判明した。以下のTable 2(表4)に、この知見を裏付けるデータが含まれる。
【0041】
【0042】
Table 2(表4)の結果は、6~9個の炭素鎖長の脂肪酸を有する消毒薬組成物が、6個未満及び9個超の炭素鎖長のものよりかなり効果的であったことを示す。実際に、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、及びノナン酸を含む消毒薬組成物について有効性の上昇が明確に示される。
【0043】
さまざまな質量百分率のベンジルアルコールを有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 3(表5)は、これらの試験の結果を示す。
【0044】
【0045】
以上のTable 3(表5)は、消毒薬組成物中のベンジルアルコールの質量百分率の増加と共に、消毒薬組成物の有効性が望ましいことに増加することを示す。すなわち、ベンジルアルコールの脂肪酸に対する相対比及びベンジルアルコールの第1の界面活性剤に対する比が増加するにつれて、消毒薬組成物の有効性が増加する。
【0046】
さまざまな質量百分率の第1の界面活性剤を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 4(表6)は、これらの試験の結果を示す。
【0047】
【0048】
Table 4(表6)の結果は、所望の又は最大の有効性を有する消毒薬組成物を生成することができる、望ましい量の第1の界面活性剤、又は例えば第1の界面活性剤のベンジルアルコールに対する望ましい比及び/若しくは第1の界面活性剤の脂肪酸に対する望ましい比があることを示す。すなわち、第1の界面活性剤のベンジルアルコールに対する相対比が約10:1に近づき、第1の界面活性剤の脂肪酸に対する相対比が約1:1に近づくにつれて、消毒薬組成物の有効性が増加する。これらの比の両方の関係は、一貫して同じ方向にあるわけではない。すなわち、第1の界面活性剤の脂肪酸に対する比の増加又は第1の界面活性剤のベンジルアルコールに対する比の増加は、有効性を増加させるとは限らない。消毒薬組成物の有効性は、有機溶媒の脂肪酸又は芳香族カルボン酸に対する質量比が消毒薬組成物の約3:1~30:1質量%の質量比を含むとき、特に高く又は望ましいことが示された。有機溶媒の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の1:1~30:1質量%の質量比が挙げられる。脂肪酸又は芳香族カルボン酸の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の0.1:1~3:1質量%の質量比が挙げられる。
【0049】
さまざまな質量百分率の第2の界面活性剤を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 5(表7)は、これらの試験の結果を示す。
【0050】
【0051】
Table 5(表7)の結果は、例えば試験された3種の組成物すべてについて同様の有効性があることを示す。
【0052】
さまざまな質量百分率のpH調整剤を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 6(表8)は、これらの試験の結果を示す。
【0053】
【0054】
以上のTable 6(表8)の結果は、消毒薬組成物中のリン酸の質量百分率の増加と共に、消毒薬組成物の有効性が漸増することを示す。
【0055】
さまざまな質量百分率の有機溶媒を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 7(表9)は、これらの試験の結果を示す。
【0056】
【0057】
Table 7(表9)に示されたように、試験された代替形態がベンジルアルコールと概ね化学的に似ている有機溶媒であるにもかかわらず、ベンジルアルコールを含む消毒薬組成物は、他の試験された代替形態すべてを上回る。結果は、ベンジルアルコール消毒薬組成物が比肩しうる組成物より勝って特に効果的であることを示す。それにもかかわらず、ベンジルグリコール、フェノキシグリコール、フェネチルアルコール、及び2-ブトキシエタノールを含めて他の有機溶媒は同様に、いずれの有機溶媒も含んでいない基準の比較例5よりうまく機能した。
【0058】
異なる第1の界面活性剤、すなわち異なるアミンオキシド及び異なるpH調整剤を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 8(表10)及びTable 9(表11)は、これらの試験の結果を示す。
【0059】
【0060】
【0061】
Table 8(表10)及びTable 9(表11)は、さまざまなアミンオキシド及びさまざまな酸性pH調整剤を有する消毒薬組成物について望ましい有効性が維持されていることを示す。更に、Table 9(表11)に示されたように、消毒薬組成物のpHは、約2~約3の範囲内でありうる。
【0062】
有機アルコール、脂肪酸又は芳香族カルボン酸、及び両性界面活性剤のいくつかの相対比は、消毒薬組成物において異なる有効性を引き起こすことができる。有機溶媒の脂肪酸又は芳香族カルボン酸に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の3:1~3:0.1質量%の質量比が挙げられる。有機溶媒の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の1:1~30:1質量%の質量比が挙げられる。脂肪酸又は芳香族カルボン酸の両性界面活性剤に対する特に望ましい質量比としては、消毒薬組成物の0.1:1~3:1質量%の質量比が挙げられる。更に、試験結果は、脂肪酸の炭素鎖長が消毒薬組成物の有効性において役割を果たすことができ、6~9個の炭素原子の鎖を有する脂肪酸を使用したとき、特に望ましい有効性が観察されたことを示す。注目すべきことに、9個の炭素原子より長い鎖を含む脂肪酸を有する消毒薬組成物は、有効性の急激で大幅な低下を示し、6個の炭素原子より短い鎖を含む脂肪酸を有する消毒薬組成物は、有効性の同様な急激で大幅な低下を示した。また、有効性の差異は、同様であるが異なった有機溶媒を有する消毒薬組成物間に存在する。
【0063】
芳香族カルボン酸、すなわち先に試験された直鎖状脂肪酸と異なる酸を有する消毒薬組成物を試験し、それらの有効性を比較した。以下のTable 10(表12)は、これらの試験の結果を示す。
【0064】
【0065】
Table 10(表12)は、以上に記載されたC6~C9直鎖を有する脂肪酸の代わりに芳香族カルボン酸が用いられても、消毒薬溶液の有効性が高いままであることを示す。
【0066】
本発明を1つ又は複数のその実施形態の記載によって例示し、実施形態をかなり詳細に記載してきたが、実施形態は、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するものでも、全く限定するものでもない。追加の利点及び修正は、当業者に容易に明らかである。したがって、より広い態様の本発明は、表示及び記載された具体的な詳細、代表的な生成物及び方法、並びに実例に限定されない。したがって、全体としての発明概念の範囲から逸脱することなく、そのような詳細から離脱することができる。
【国際調査報告】