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特表2024-5146091,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法
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  • 特表-1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C13K 13/00 20060101AFI20240326BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C13K13/00
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562845
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2022059965
(87)【国際公開番号】W WO2022219094
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168625.8
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515053771
【氏名又は名称】ズートツッカー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベットガー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】カルタリウス,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】デゲルマン,ハンスペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】クンツ,マルクヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】ズーナー,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロット,ロルフ
【テーマコード(参考)】
4H039
【Fターム(参考)】
4H039CA60
4H039CB20
4H039CH50
(57)【要約】
本発明は、1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(以下1,1-GPM)及び/又は6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(以下1,6-GPS)で富化されたイソマルト組成物を、水素化イソマルツロースを含むイソマルト含有溶液から製造する方法、本発明の方法によって製造された1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物、並びにこれらの1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法であって、
a)(イソマルト含有溶液の総重量に対して)65~90重量%のイソマルトを含むイソマルト含有溶液を準備すること、
b)方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液を反応器内でフラッシュ蒸発に供し、結晶核を生成させて、第1の結晶相及び第1の液相を含む第1のイソマルト含有懸濁液を得ること、
c)方法工程b)で得られた第1のイソマルト含有懸濁液を結晶化過程に供することによって、1,1-GPMで富化された第2の結晶相及び1,6-GPSで富化された第2の液相を含む第2のイソマルト含有懸濁液を得ること、
d)方法工程c)からの第2のイソマルト含有懸濁液の1,1-GPMで富化された第2の結晶相と1,6-GPSで富化された第2の液相とを分離すること、並びに、
e)1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を得ること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
方法工程b)の間に機械的掻き混ぜを実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液が、(準備されたイソマルト含有溶液の乾物(TS)の総重量に対して)35~61重量%の1,1-GPMを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液を50~90℃の温度に調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液が、1,1-GPM、1,6-GPS及び1,1-GPS、更なるデオキシ二糖アルコールからなる群から選択され、1,1-GPS、更なるデオキシ二糖アルコール、多糖類、オリゴ糖類、三糖類、二糖類、単糖類、ソルビトール、マンニトール、及びイソメレジトースからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液が、方法工程a1)においてイソマルト含有出発溶液又は懸濁液から蒸発又は逆浸透によって得られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
方法工程a1)に使用されるイソマルト含有溶液が、選択的水素化、とりわけ1,6-GPSの選択的水素化によって得られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法工程b)でフラッシュ蒸発に使用される反応器が核生成装置である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
方法工程b)で実施されるフラッシュ蒸発が、10~500mbar、とりわけ50~200mbarの絶対圧力及び30~70℃、とりわけ30~60℃の温度で実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
方法工程b)で実施されるフラッシュ蒸発が、2分~12時間の期間にわたって実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
方法工程b)で実施されるフラッシュ蒸発が、連続的に実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
方法工程b)が、方法工程b)の間に、方法工程a)において存在し、溶解された1,1-GPMの(方法工程a)で準備された溶液中の1,1-GPMの乾物(TS)の総重量に対して)20~30%が、第1の結晶性イソマルト含有懸濁液の第1の結晶相へと移行するように実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
方法工程b)が、方法工程b)の間に、方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液の乾物含有量が、(準備されたイソマルト含有溶液及び得られた第1のイソマルト含有懸濁液それぞれの乾物(TS)の総重量に対して)1~6重量%だけ高められるように実施される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
方法工程c)による結晶化過程を結晶化装置内で実施する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
方法工程c)による結晶化過程を連続的に実施する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
方法工程c)による結晶化過程が、とりわけ50~60℃の温度での等温結晶化である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
方法工程c)による結晶化過程が、冷却結晶化である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
方法工程c)による結晶化過程が蒸発結晶化、とりわけ多段階蒸発結晶化である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
本方法の間、とりわけ方法工程c)での等温結晶化の間に種結晶の種晶添加を実施しない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
方法工程d)の後に1,1-GPMで富化された第2の結晶相を乾燥させ、方法工程e)において固体の1,1-GPM富化イソマルト組成物を得る、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
方法工程d)の後に1,6-GPSで富化された第2の液相を少なくとも1回濃縮し、とりわけ(第2の液相の総重量に対して)少なくとも60重量%の乾物含有量まで濃縮し、方法工程e)において液体の1,6-GPS富化イソマルト組成物を得る、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
方法工程d)の後に1,6-GPSで富化された第2の液相を乾燥させ、方法工程e)において固体の1,6-GPS富化イソマルト組成物を得る、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
方法工程d)で分離された第2の結晶相が、(結晶相の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも60重量%の1,1-GPMを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
方法工程d)で分離された第2の液相が、(第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも72重量%の1,6-GPSを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
とりわけ請求項1~24のいずれか一項に記載の方法により製造可能な1,1-GPM富化イソマルト組成物であって、1,1-GPM富化イソマルト組成物に含まれる結晶の長さ対幅の比が、7.0~10.5、とりわけ7.5~10.0、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ8.0(それぞれ平均値)を有する、1,1-GPM富化イソマルト組成物。
【請求項26】
(それぞれ1,1-GPM及び1,6-GPSの総量の乾物に対して)15~32重量%の1,1-GPM及び68~85重量%の1,6-GPSを含み、とりわけ請求項1~24のいずれか一項に記載の方法により製造可能であり、とりわけ(組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも68重量%の1,6-GPS含有量を有する、1,6-GPS富化イソマルト組成物。
【請求項27】
人間及び/又は動物の消費用製品における、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法を用いて製造された1,1-GPM若しくは1,6-GPS富化イソマルト組成物又は請求項25若しくは26に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(以下、1,1-GPMと呼ぶ)及び/又は6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(以下、1,6-GPSと呼ぶ)で富化(強化、濃化、angereicherten)されたイソマルト組成物をイソマルト含有溶液、つまり水素化イソマルツロースを含む溶液から製造する方法、イソマルト含有溶液から本発明による方法によって製造された1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化(強化、濃化、angereicherte)イソマルト組成物、並びにこれらの1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イソマルト(水素化イソマルツロース又は水素化パラチノース)は、主成分として1,1-GPM及び1,6-GPSを含むその非う蝕原性、低発熱量値、及び糖尿病患者適性に基づき有利な代替糖である。イソマルト含有溶液からの1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は、多数の用途に対してほぼ等モル比の1,1-GPM対1,6-GPSを有する製品よりも優れた適性を有する。
【0003】
DE2520173A1は、イソマルツロースから1,6-GPS及び1,1-GPMを製造する方法、並びに代替糖としてのその使用に関する。
【0004】
EP0625578A1は、イソマルトの製造並びに嗜好品及び食料品における甘味料としてのその使用を開示している。
【0005】
EP0859006B2及びWO1997/008958A1は、1,6-GPS富化及び1,1-GPM富化混合物、純粋な形態の1,6-GPS及び1,1-GPMを製造する方法、並びにそれらの使用に関する。
【0006】
このようなイソマルト組成物は、例えば嗜好品及び食品分野における多くの製品において使用される。このような組成物の非常に広い可能性を秘めた用途範囲には、最終製品に応じて異なる割合の1,1-GPM及び1,6-GPSを含む組成物、とりわけ1,1-GPM又は1,6-GPS富化組成物も必要とされる。
【0007】
ところが、イソマルト含有溶液からこのような1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物並びに純粋な形態の1,6-GPS及び1,1-GPMを製造する簡単で安全及び効率的な、とりわけ費用効率及び/又はエネルギー効率の高い製造を可能にする結晶化方法は目下公知ではない。それに従って、イソマルト含有溶液から、出発溶液として存在するイソマルト含有溶液中の1,1-GPM及び/又は1,6-GPSの含有量と比べて富化されたイソマルト組成物を得ることができる方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の基礎をなす技術的課題は、イソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する結晶化方法であって、簡単及び安全に実施することができ、高収率で再現的にイソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物をもたらす結晶化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、イソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法であって、
a)(それぞれイソマルト含有溶液の総重量に対して)65~90重量%、とりわけ70~85重量%のイソマルトを含むイソマルト含有溶液を準備すること、
b)方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液を反応器内でフラッシュ蒸発に供し、結晶核を生成させて、第1の結晶相及び第1の液相を含む第1のイソマルト含有懸濁液を得ること、
c)方法工程b)で得られた第1のイソマルト含有懸濁液を結晶化過程に供することによって、1,1-GPMで富化された第2の結晶相及び1,6-GPSで富化された第2の液相を含む第2のイソマルト含有懸濁液を得ること、
d)方法工程c)からの第2のイソマルト含有懸濁液の1,1-GPMで富化された第2の結晶相と1,6-GPSで富化された第2の液相とを分離すること、並びに、
e)1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を得ること、
を特徴とする、方法を提供することによってその技術的課題を解決する。
【0010】
したがって、本発明は、方法工程a)で準備される出発溶液としてのイソマルト含有溶液から出発し、この溶液は、とりわけ方法工程b)、c)、d)、及びe)を使用して2つの異なる相、すなわち方法工程a)で使用されるイソマルト含有溶液よりも高い1,1-GPM含有量を含む第2の結晶相及び方法工程a)で使用されるイソマルト含有溶液よりも高い1,6-GPS含有量を含む第2の液相を提供する方法に供される。したがって、本発明は、出発溶液として使用されるイソマルト含有溶液中に存在する成分1,1-GPMを第2の結晶相中で、及び1,6-GPSを第2の液相中で相特異的に富化しつつイソマルト含有溶液を2つの相に分離することを可能にし、本発明によれば、出発溶液中のそれぞれの1,1-GPM及び1,6-GPS含有量と比べて1,1-GPM及び1,6-GPS含有量に関して特異的に富化されており、特定の用途に特に適した1,1-GPM及び1,6-GPS富化相及び富化組成物を提供する。
【0011】
つまり、本発明によれば、方法工程b)及びc)を経ることによって、2つの相、すなわち第2の結晶相及び第2の液相が得られ、1,1-GPMで富化された第2の結晶相においては方法工程a)で使用されるイソマルト含有溶液中の1,1-GPM含有量と比べて1,1-GPM含有量が高められ、1,6-GPS含有量が低減されており、及び1,6-GPSで富化された第2の液相においては方法工程a)で使用されるイソマルト含有溶液の1,1-GPM含有量と比べて1,1-GPM含有量が低減され、1,6-GPS含有量が高められている。方法工程d)及びe)を実施することによって、1,1-GPM及び1,6-GPS富化イソマルト含有組成物、つまり方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液と比べてより高い1,1-GPMの含有量を特徴とする組成物とともに、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液と比べてより高い1,6-GPSの含有量を特徴とする更なる組成物も得られる。
【0012】
それゆえに、本発明は、イソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を製造する方法であって、方法工程a)においてイソマルト含有溶液、つまりイソマルト含有混合物を含む溶液を準備し、方法工程b)において反応器、とりわけ核生成装置内でのフラッシュ蒸発によって結晶核生成の誘導をもたらし、その範囲内で結晶核生成及びこれらの結晶核上で始まる結晶化が起こって第1のイソマルト含有懸濁液が得られ、方法工程c)において反応器、とりわけ同じ又は別の反応器、とりわけ結晶化装置内で引き続き結晶化させて1,1-GPMで富化された第2の結晶相及び1,6-GPSで富化された第2の液相を含む第2のイソマルト含有懸濁液を得て、方法工程d)において引き続き1,1-GPM富化相と1,6-GPS富化相とを分離して、方法工程e)において引き続き1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を得る、方法を意図している。
【0013】
有利で特に好ましい様式では、本発明による方法は簡単で効率的な、とりわけ費用効率の高いプロセス方法を結果としてもたらす。とりわけ好ましくは意図される連続的な方法様式によって、一般的な結晶核生成反応器、とりわけスラリー反応器と比較して、製造において時間及び費用のかかる高純度の結晶核を間隔ベースで継続的に添加するのを省くことができる。
【0014】
有利で特に好ましい様式では、本発明による方法は、特に均質な結晶核生成を結果としてもたらす。なぜならば、実運転環境下で、すなわち本発明による方法の間に、つまり反応器の継続的な運転中に、結晶核が継続的に自主的に生成するため、結晶化を開始する局所的な工程、とりわけ種晶添加が省略されるからである。有利な様式では、本発明による方法では、使用されるイソマルト含有溶液全体で自主的な結晶核生成が起こるため、こうして一般的な技術的問題の回避が結果としてもたらされるが、その一方、一般的な結晶核生成反応器、とりわけスラリー反応器においては、種晶、晶出した固体、及び溶媒を含む使用される懸濁液の均質化がしばしば問題となる。なぜならば、局所的な濃度勾配を避けることで均質な結晶成長を保証するには結晶核を添加したら素早く徹底的に混合する必要があり、既に形成された結晶の破壊がしばしばもたらされるからである。本発明は、溶液中、とりわけ水溶液中の1,1-GPM及び1,6-GPSの溶解度が異なり、つまり両方の成分が異なる溶解度平衡を有するため、両方の成分がフラッシュ蒸発及びその後の結晶化の間に結晶相及び液相において異なる程度で相応して富化又は低減されることを出発点としている。溶解度平衡は温度に依存し、好ましくは、剪断及び/若しくはプロセスパラメーター、とりわけ圧力及び/若しくは温度並びに/又は液相中の成分1,1-GPM及び/若しくは1,1-GPSの濃度を制御することによって両方の成分の富化度を狙い通りに調整することができる。
【0015】
フラッシュ蒸発は、好ましくは大気圧に対して低減された圧力で実施され、絶対圧力の低下により液体の過熱がもたらされる。理論に縛られるものではないが、減圧された絶対圧力に調整した場合、結晶核生成に使用される反応器、とりわけ核生成装置において規定の波動伝播によって圧力降下が広がり、この波動伝播は相境界での熱及び物質移動によって減速される液体媒体の温度適合よりも迅速に起こる。こうして熱力学的不均衡に至り、圧力降下によって引き起こされる過熱は、とりわけ沸騰核及び/又は存在する蒸気泡へのエネルギー伝達によって軽減される。
【0016】
つまり絶対圧力の低下により、使用される溶媒、とりわけ水の規定の部分の蒸発がもたらされることによって、使用されるイソマルト含有溶液からエネルギーが取り出され、すなわち系が規定通りに冷却される。1,1-GPM及び1,6-GPSの溶解度平衡の温度依存性により、所与のプロセスパラメーター及び条件下で規定の結晶核生成及び生成された結晶核上で規定通りに始まる結晶化が可能となり、結果としてもたらされる結晶核及び結晶は1,1-GPMで富化されており、残りの液体では1,6-GPSで富化されている。つまり狙い通りの減圧及び温度制御によって、1,1-GPM及び/又は1,6-GPSの異なる溶解度積を利用して、結晶及び液体形態における対応する物質の富化を達成する。それゆえに、方法工程b)で実施されるフラッシュ蒸発により、第1の結晶相及び第1の液相を含み、第1の結晶相では1,1-GPMが、第1の液相では1,6-GPSが富化された、第1のイソマルト含有懸濁液の形成がもたらされる。
【0017】
フラッシュ蒸発は、好ましくは、効率的な結晶化過程及び均質な結晶成長を可能にするために、得られた第1の結晶相及び第1の液相中に1,1-GPM及び/又は1,6-GPSの十分な富化が見られるまで、とりわけ第1の結晶相中に1,1-GPMを含む、とりわけ1,1-GPMからなる結晶核及びそれらの上で成長しそれらの結晶核から生成された結晶が見られるまで実施される。
【0018】
本発明は、本方法の実施の範囲内で得られる中間生成物、並びに得られる1,1-GPM及び1,6-GPS富化組成物を提供することによっても本発明の基礎をなす技術的課題を解決する。したがって、本発明は、第1及び第2の結晶相及び液相並びに1,1-GPM及び1,6-GPS富化組成物も提供する。
【0019】
本発明によれば第2の結晶相及び1,1-GPM富化イソマルト組成物中に含まれる結晶は有利な形態、とりわけ結晶の有利な長さ対幅比、とりわけ従来のように結晶化された生成物と比較して小さな長さ対幅比を特徴とする。
【0020】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物は、方法工程c)で得られる第2の結晶相と同様に、それぞれそれらに含まれる結晶の長さ対幅の比が7.0~10.5、とりわけ7.5~10.0、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ8.0(それぞれ平均値)を有する。
【0021】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物は、方法工程c)で得られる第2の結晶相と同様に、それぞれそれらに含まれる結晶の長さ対幅比6.5~10.0、とりわけ7.0~9.5、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ7.8(それぞれ中央値)を有する。
【0022】
本発明により得られる1,1-GPM富化イソマルト組成物は、それらに含まれる結晶の特定の長さ対幅比に基づき有利には良好に液体成分から分離可能である。本発明による長さ対幅比は結晶破壊の生成を減らし、より均一な粒度分布をもたらす。これは、結晶破壊が、場合によっては二峰性の粒度分布が有するよりもさらに広く不均一な粒度分布、及び結晶ケーク内の空隙容積の閉塞をもたらし得ることから、結晶ケークの排液を含む結晶の分離性が損なわれ、こうして生成物収率が低下することが公知であるため有利である。本発明により可能となった結晶破壊の減少は、得られた生成物が乾燥後に塵の生成を示さないか又は減少した塵の生成のみ示すという利点も有する。その上、本発明による比較的小さいことによってより球形に近い長さ対幅比は、結晶の分離を意図した遠心分離機における改善された、とりわけより迅速な沈降挙動、及び好ましくは得られる乾燥された生成物についての改善された分離精度を有するより良好な篩別をもたらす。本発明による長さ対幅比はまた、目詰まり粒子の生成、つまりそれらの細長い構造に基づき分離スクリーンを閉塞させることによって同様に生産効率を低下させる、大きな長さ対幅比を特徴とする結晶体の形成も減少させる。
【0023】
有利な様式では、本発明による方法、とりわけ処理工程b)は、特に簡単で効率的な結晶核生成並びに/又は第1の結晶相における1,1-GPMの富化及び第1の液相における1,6-GPSの富化を結果としてもたらす。
【0024】
本発明は、方法工程b)でのフラッシュ蒸発を反応器、とりわけ核生成装置内で行うことを意図している。本発明は、方法工程c)での結晶化過程を反応器、とりわけ結晶化装置内で行うことを意図している。
【0025】
特に好ましい実施形態においては、本発明は、方法工程b)でのフラッシュ蒸発を反応器、とりわけ核生成装置内で行い、及び方法工程c)での結晶化過程を反応器内で行い、とりわけ方法工程c)での結晶化過程を方法工程b)でのフラッシュ蒸発と同じ反応器内、とりわけ同じ核生成装置内で行うことを意図している。
【0026】
特に好ましい実施形態においては、本発明は、方法工程b)で使用される反応器が、とりわけ任意には方法工程c)を実施することができる核生成装置であり、それにより核生成装置が同時に結晶化装置であることを意図している。
【0027】
特に好ましい実施形態においては、本発明は、方法工程b)でのフラッシュ蒸発を反応器、とりわけ核生成装置内で行い、及び方法工程c)での結晶化過程を反応器内で行い、とりわけ方法工程c)での結晶化過程を方法工程b)でのフラッシュ蒸発とは別の反応器内、とりわけ結晶化装置内で行うことを意図している。
【0028】
それゆえに、本発明は、特に好ましい実施形態においては、方法工程b)及び方法工程c)を同じ反応器、とりわけ核生成装置内で行うことを意図している。
【0029】
同様に本発明は、特に好ましい実施形態においては、方法工程b)及び方法工程c)をそれぞれ別の反応器内で、すなわち方法工程b)をとりわけ核生成装置内で行い、及び方法工程c)をとりわけ結晶化装置内で行うことを意図している。
【0030】
本発明は、好ましい実施形態においては、方法工程b)でのフラッシュ蒸発を反応器、とりわけ核生成装置内で行い、反応器、とりわけ核生成装置が少なくとも1つの撹拌装置を有することを意図している。
【0031】
好ましい実施形態においては、方法工程b)の間に機械的掻き混ぜを実施し、すなわち好適には方法工程a)で準備されたイソマルト含有溶液の運動、とりわけ撹拌をフラッシュ蒸発の間に実施する。
【0032】
特に好ましい実施形態においては、方法工程b)での機械的掻き混ぜを反応器、とりわけ核生成装置内に存在する少なくとも1つの撹拌装置を用いて実施する。
【0033】
有利で好ましい様式では、核生成装置内に好適には存在する撹拌装置は、方法工程b)でフラッシュ蒸発するのに本発明により使用されるイソマルト含有溶液の機械的掻き混ぜ、とりわけ反応器内容物全体にわたる特に均質な徹底的な混合を保証する。撹拌装置によって引き起こされるこの好ましい均質な徹底的な混合は、方法工程a)で準備され方法工程b)で使用されるイソマルト含有溶液の剪断によって達成される。方法工程b)での剪断の制御は、プロセスパラメーター、とりわけ圧力及び/若しくは温度並びに/又は成分1,1-GPM及び/若しくは1,6-GPSの濃度の制御、とりわけ温度の低下及び乾物含有量の増加と併せて、有利な迅速及び均質な結晶核生成を、とりわけ撹拌装置の好ましくは存在するローターブレード先端で誘導し、こうして生成された結晶核を反応器内容物全体にわたって迅速及び均質に分布させることに寄与することから、結晶核の均一な成長及びイソマルト含有溶液全体における制御された過飽和の引き下げが保証される。
【0034】
驚くべきことに、剪断及び/又はプロセスパラメーター、とりわけ圧力及び/又は温度の好ましくは意図される制御は、本発明により有利である均質な結晶核生成をもたらし、好ましくは意図される撹拌装置によって引き起こされる剪断により、有利には、徹底的な混合の不足に基づき発生場所からイソマルト含有溶液の残り全体にわたって不利にもゆっくりと不均一に広がる、高く局所的な過飽和の場合に初めて生ずる制御されない結晶核生成が回避される。
【0035】
方法工程b)で使用される核生成装置の好ましくは使用される撹拌装置によって引き起こされる剪断は、とりわけ撹拌パラメーターである、回転速度、とりわけ羽根先端速度、撹拌装置形状、とりわけそれによって生成されるローターブレード先端でのキャビテーションの程度、並びに個々の撹拌装置ブレード、とりわけローターブレードの数及び/又は形状及び/又は角度から選択される撹拌装置の様々な撹拌パラメーターの選択によって調整することができる。このようにして、結晶核生成、とりわけ結晶核の数を制御することができ、撹拌装置はとりわけローター・ステーターシステムである。
【0036】
驚くべきことに、方法工程b)での剪断及び/又はプロセスパラメーターの制御によって、方法工程c)において、生成される結晶、とりわけ1,1-GPM結晶のサイズ及び粒度分布に狙い通りに影響を与えることができる。それゆえ、本発明によれば、方法工程c)において、方法工程b)で得られる第1の結晶相及び第1の液相を含む第1のイソマルト含有懸濁液を結晶化過程に供することが可能であり、それにより第2の結晶相及び第2の液相を含む第2のイソマルト含有懸濁液、とりわけ均質な第2の結晶相及び第2の液相を含む第2のイソマルト含有懸濁液が得られ、並びに、剪断及び/又はプロセスパラメーターの制御によって第2のイソマルト含有懸濁液の第2の結晶相中に含まれる1,1-GPM結晶の数及びサイズ分布が狙い通りに制御される。
【0037】
好ましい実施形態においては、少なくとも1つの撹拌装置はローター・ステーターシステムである。
【0038】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムがローター及びステーターを備え、とりわけローター及びステーターからなることを意図している。
【0039】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのローターが、好ましくはプロペラ式撹拌機、とりわけ少なくとも2つのローターブレードを備えたプロペラ式撹拌機であることを意図している。
【0040】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのステーターが、好ましくは中心管であることを意図している。
【0041】
本発明は、特に好ましくは、ローター、とりわけプロペラ式撹拌機がステーター、とりわけ中心管内に存在し、とりわけローターの自由回転性が保証されているように存在することを意図している。
【0042】
本発明は、特に好ましくは、ローターがステーター内に存在し、とりわけ方法工程b)において好ましくは意図される機械的掻き混ぜによって、本発明により方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液をローターブレードの側面に永続的に供給しローターブレードの反対側の側面に排出して、反応器内容物の完全な徹底的な混合を保証できるように存在することを意図している。
【0043】
本発明は、特に好ましくは、プロペラ式撹拌機のローターブレードが特定の形状、とりわけ長方形、台形、二重台形、又は長方台形を有することを意図している。
【0044】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのローターが少なくとも2枚のローターブレード、とりわけ3枚、とりわけ4枚、とりわけ5枚、好ましくは3枚のローターブレードを備えたプロペラ式撹拌機であることを意図している。
【0045】
本発明は、特に好ましくは、プロペラ式撹拌機のローターブレードがそれぞれ中央固定箇所から出発して、隣接するローターブレードに対して36~180゜、とりわけ45~120゜、とりわけ72~90゜、好ましくは72゜の角度(あるローターブレード先端の中心から隣の中心までで計算される)で存在することを意図している。
【0046】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのローターが、少なくとも2枚のローターブレード、とりわけ3枚、とりわけ4枚、とりわけ5枚、好ましくは3枚のローターブレードを備え、これらのローターブレードがそれぞれ中央固定箇所から出発して、隣接するローターブレードに対して36~180゜、とりわけ45~120゜、とりわけ72~90゜、好ましくは72゜の角度(あるローターブレード先端の中心から隣の中心までで計算される)で存在するプロペラ式撹拌機であることを意図している。
【0047】
本発明は、特に好ましくは、プロペラ式撹拌機のローターブレードがそれらの長手軸の周りに(水平にあるローターブレードから出発して)0゜、とりわけ1゜、とりわけ5゜、とりわけ10゜、とりわけ20゜、とりわけ30゜、とりわけ40゜、とりわけ45゜だけ傾いていることを意図している。
【0048】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのローターが、少なくとも2枚のローターブレード、とりわけ3枚、とりわけ4枚、とりわけ5枚、好ましくは3枚のローターブレードを備え、これらのローターブレードがそれぞれ隣接するローターブレードに対して36~180゜、とりわけ45~120゜、とりわけ72~90゜、好ましくは72゜の角度(あるローターブレード先端の中心から隣の中心までで計算される)で存在し、及びローターブレードの長手軸の周りに(水平にあるローターブレードから出発して)0゜、とりわけ1゜、とりわけ5゜、とりわけ10゜、とりわけ20゜、とりわけ30゜、とりわけ40゜、とりわけ45゜だけ傾いているプロペラ式撹拌機であることを意図している。
【0049】
本発明は、特に好ましくは、ローター・ステーターシステムのローターが少なくとも2枚のローターブレード、とりわけ3枚、とりわけ4枚、とりわけ5枚のローターブレード、好ましくは3枚のローターブレードを備え、これらのローターブレードがそれぞれ隣接するローターブレードに対して36~180゜、とりわけ45~120゜、とりわけ72~90゜、好ましくは72゜の角度(あるローターブレード先端の中心から隣の中心までで計算される)で存在し、ローターブレードの長手軸の周りに(水平にあるローターブレードから出発して)0゜、とりわけ1゜、とりわけ5゜、とりわけ10゜、とりわけ20゜、とりわけ30゜、とりわけ40゜、とりわけ45゜だけ傾いており、及び特定の形状、とりわけ長方形、台形、二重台形、又は長方台形を有するプロペラ式撹拌機であることを意図している。
【0050】
本発明による方法様式は、好ましい実施形態においては、核生成装置内で1,1-GPM二水和物の結晶核を生成し、とりわけ選択的に、すなわち1,6-GPSを少なくとも部分的に、とりわけ完全に排除して生成することにつながる。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明による方法様式により、1,1-GPM、とりわけ1,1-GPM二水和物からなる結晶核が主として、とりわけ単独で存在する第1のイソマルト含有懸濁液を方法工程b)において提供することが可能となる。したがって、本発明による方法様式により、好ましい実施形態においてはとりわけ方法工程b)おいて、好ましい実施形態においてその中に含まれる全ての結晶核が1,1-GPM、とりわけ1,1-GPM二水和物からなることを特徴とする特に均質に構成された第1のイソマルト含有懸濁液が提供される。主として1,1-GPM結晶核を含むこのようなイソマルト含有懸濁液、とりわけ1,1-GPM結晶核を単独で有する第1の結晶相は方法工程c)での後続の結晶化に特に良好に適している。
【0052】
有利で特に好ましい様式では、本発明による方法はより高い作業安全性を結果としてもたらす。なぜならば、とりわけ剪断及び/又はプロセスパラメーターの狙い通りの制御によるフラッシュ蒸発において、一般的な結晶核生成反応器、とりわけスラリー反応器と比べて分散媒、とりわけアルコール、とりわけイソプロパノールが使用されないためであり、このことから爆発の危険性の低下による作業安全性の向上の他に運転コストの削減が更に結果としてもたらされる。その上、有利には上流の作業工程でスラリーを取得してそこに投入する必要がない。
【0053】
有利な様式では、本発明による方法はとりわけ、及び好ましい実施形態においては、剪断及び/又はプロセスパラメーター、とりわけ過飽和、温度、及び圧力を制御して1,1-GPMを含む、とりわけ1,1-GPMからなる均質な結晶核を生成することができ、第1のイソマルト含有懸濁液の第1の液相は溶媒の他に溶解した1,6-GPSを含み、これにより引き続いての結晶化過程において、1,1-GPM若しくは1,6-GPS又は1,1-GPM及び1,6-GPSを含む、とりわけこれらからなる特に純粋な結晶が得られる。これは、理論に縛られるものではないが、方法工程b)で本発明により得られる結晶核の非常に良好な成長特性に基づくものであるが、その一方、一般的な工業用反応器、とりわけスラリー反応器では、方法工程により破断縁の生成がもたらされることがあり、これらの破断縁が継続的な結晶成長に際して結晶成長の好ましい位置となり、すなわちこれらの破断縁で結晶化が好ましく行われる。これらの破断縁での好ましい結晶成長により、得られた結晶の結晶構造中に溶媒、とりわけ水又は本発明により存在する液相、とりわけイソマルト含有液相が内包され、それにより結晶相が得られた後にこれらの結晶は不純物、とりわけ不所望な含有物を含む。
【0054】
有利な様式では、本発明による方法によって、1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化相において特に一様な結晶サイズ分布(結晶の粒度分布)、とりわけ剪断及び/又はプロセスパラメーターの制御によって調整可能な結晶サイズ分布が得られるため、これらを他の相、とりわけ液相から効率的に分離することができる。
【0055】
つまり、本発明は、イソマルト含有溶液から1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物、とりわけ純粋な1,1-GPM及び/又は純粋な1,6-GPSを製造する特に簡単で効率的な方法であって、1,1-GPM及び1,6-GPSの異なる溶解度積を利用し、それぞれ方法工程a)によるイソマルト含有溶液の1,1-GPM含有量又は1,6-GPS含有量と比べて高められた、すなわち富化された1,1-GPM又は1,6-GPS含有量を有する2つの別個の相が得られる、方法を提供する。とりわけ本発明による方法様式により、1,1-GPM及び1,6-GPS富化イソマルト組成物の両方を単一の方法で得ることが可能となる。本発明によればまた、本発明による方法を実施して1,1-GPM富化イソマルト組成物のみを得ることを意図している場合もある。本発明によれば、好ましい実施形態においてはまた、本発明による方法を実施して1,6-GPS富化イソマルト組成物のみを取得することを意図している場合もある。
【0056】
本発明はとりわけ、方法工程a)で(イソマルト含有溶液の総重量に対して)65~90重量%のイソマルトの含有量を有するイソマルト含有溶液を準備することを意図している。
【0057】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の総重量に対して)70~85重量%、とりわけ70~80重量%、好ましくは72~80重量%、好ましくは74~80重量%、好ましくは76~80重量%、好ましくは70~78重量%、好ましくは74~76重量%、好ましくは70~74重量%、好ましくは70~75重量%、好ましくは70~76重量%、好ましくは72~76重量%、好ましくは74~76重量%、好ましくは75~80重量%、又は好ましくは76~80重量%のイソマルトを含む。
【0058】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は飽和溶液、特に好ましくは過飽和溶液である。
【0059】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~61重量%、好ましくは46~56重量%、好ましくは48~55重量%、好ましくは49~54重量%、好ましくは50~53重量%の1,1-GPMの含有量を有する。
【0060】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)39~65重量%、好ましくは44~54重量%、好ましくは45~52重量%、好ましくは46~51重量%、好ましくは47~50重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0061】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~61重量%、好ましくは46~56重量%、好ましくは48~55重量%、好ましくは49~54重量%、好ましくは50~53重量%の1,1-GPMの1,1-GPM含有量及び39~65重量%、好ましくは44~54重量%、好ましくは45~52重量%、好ましくは46~51重量%、好ましくは47~50重量%の1,6-GPSの1,6-GPS含有量を有する。
【0062】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~44重量%の1,1-GPMの含有量及び56~65重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0063】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~50重量%、好ましくは37~48重量%、好ましくは39~46重量%、好ましくは39~44重量%、好ましくは39~42重量%の1,1-GPMの含有量を有する。
【0064】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)50~65重量%、好ましくは52~63重量%、好ましくは54~61重量%、好ましくは56~59重量%、好ましくは58~59重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0065】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~50重量%、好ましくは37~48重量%、好ましくは39~46重量%、好ましくは41~44重量%、好ましくは41~42重量%の1,1-GPMの1,1-GPM含有量及び50~65重量%、好ましくは52~63重量%、好ましくは54~61重量%、好ましくは56~59重量%、好ましくは58~59重量%の1,6-GPSの1,6-GPS含有量を有する。
【0066】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~50重量%の1,1-GPMの含有量及び50~65重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0067】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(イソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)45~57重量%、好ましくは47~56重量%、好ましくは48~55重量%、好ましくは49~54重量%、好ましくは50~53重量%の1,1-GPMの含有量を有する。
【0068】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(イソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)43~55重量%、好ましくは44~53重量%、好ましくは45~52重量%、好ましくは46~51重量%、好ましくは47~50重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0069】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)45~57重量%、好ましくは47~56重量%、好ましくは48~55重量%、好ましくは49~54重量%、好ましくは50~53重量%の1,1-GPMの1,1-GPM含有量及び43~55重量%、好ましくは44~53重量%、好ましくは45~52重量%、好ましくは46~51重量%、好ましくは47~50重量%の1,6-GPSの1,6-GPS含有量を有する。
【0070】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)45~57重量%の1,1-GPMの含有量及び43~55重量%の1,6-GPSの含有量を有する。
【0071】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は50~90℃、好ましくは60~90℃、好ましくは61~85℃、好ましくは64~85℃、好ましくは50~80℃、好ましくは60~80℃、好ましくは60~75℃、好ましくは64~75℃、好ましくは64~75℃、又は好ましくは64~70℃の温度を有する。好ましい一実施形態においては、イソマルト含有溶液は方法工程a)で上述の温度の1つに調整される。
【0072】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は1,1-GPM、1,6-GPS並びに1,1-GPS、更なるデオキシ二糖アルコール(Desoxy-Disaccharidalkoholen)、多糖類、オリゴ糖類、三糖類、単糖類、二糖類、ソルビトール、マンニトール、及びイソメレジトースからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む。
【0073】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は1,1-GPM、1,6-GPS並びに1,1-GPS、更なるデオキシ二糖アルコール、オリゴ糖類、三糖類、単糖類、二糖類、ソルビトール、マンニトール、及びイソメレジトースからなる群から選択される少なくとも1種の物質を含む。
【0074】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備され、方法工程b)及びc)で更に加工されたイソマルト含有溶液は、水、1,1-GPM、1,6-GPS並びに1,1-GPS、更なるデオキシ二糖アルコール、オリゴ糖類、三糖類、単糖類、二糖類、ソルビトール、マンニトール、及びイソメレジトースからなる群から選択される少なくとも1種の物質の他に更なる物質を含まない。
【0075】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備され、方法工程b)及びc)で更に加工されたイソマルト含有溶液イソマルト含有溶液はアラビアゴムを含まない。
【0076】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備され、方法工程b)及びc)で更に加工されたイソマルト含有溶液イソマルト含有溶液は、水並びに1,1-GPM及び1,6-GPSの他に更なる物質を含まない。
【0077】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は溶媒、とりわけ水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、又はそれらの混合物中のイソマルトの溶液である。特に好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は低い割合のエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及び/又はイソブタノール、とりわけ水溶液全体に対して0.1~5容量%のアルコールを含む水溶液である。更なる特に好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液の溶媒は水、とりわけ完全脱塩水である。好ましくは、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は有機溶媒を含まない。
【0078】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は水溶液、とりわけ3.0~8.0、好ましくは3.5~7.5、好ましくは4.0~7.0、好ましくは4.3~6.5、好ましくは4.6~6.0、好ましくは4.8~5.5、又は好ましくは4.9~5.5のpH範囲、好ましくは4.9、好ましくは6.0、好ましくは8.0、好ましくは4.5、好ましくは4.0、好ましくは3.5、好ましくは3.0のpH値を有する水溶液である。
【0079】
本発明により好ましい一実施形態においては、イソマルト含有溶液はイソマルト及び水、任意にイソマルト、水及び更なる上述の成分から直接製造される。
【0080】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、方法工程a)の前に行われる方法工程a1)においてイソマルト含有出発溶液又は懸濁液から蒸発又は逆浸透によって得られる。本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)において、本発明により方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、水中のイソマルトの出発溶液又は懸濁液から、とりわけ大気圧に対して低減された圧力で溶液又は懸濁液の温度を高めることによって得られる。
【0081】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)において、本発明により方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、水中のイソマルトの出発溶液又は懸濁液から、とりわけ大気圧に対して高められた圧力での逆浸透によって調製される。
【0082】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)において、本発明により方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、結晶性イソマルトを水、とりわけ脱塩水に添加することによって調製される。本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)において、本発明により方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、結晶性イソマルトをより低く濃縮されたイソマルトを含む出発溶液又は懸濁液に添加することによって調製される。
【0083】
本発明により好ましい一実施形態においては、工程a1)において、工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は、イソマルトを含む出発溶液又は懸濁液から、出発溶液を、好ましくは、とりわけ大気圧に対して低減された圧力での蒸発、とりわけ大気圧に対して高められた圧力での逆浸透、及び/若しくは結晶性イソマルトの添加によって濃縮するか、又は出発溶液若しくは懸濁液を、好ましくは水の添加によって希釈し、こうして工程a)で準備されるイソマルト含有溶液を得ることによって調製される。
【0084】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)に使用されるイソマルト含有出発溶液又は懸濁液は、選択的水素化、とりわけ1,6-GPSの選択的水素化によって得られる。
【0085】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)に使用されるイソマルト含有出発溶液は、選択的水素化、とりわけ水素化触媒、とりわけルテニウム又は酸化ルテニウム及び触媒担体を含む、とりわけこれらからなる水素化触媒を用いた選択的水素化によって得られる。
【0086】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)に使用されるイソマルト含有出発溶液は、選択的水素化、とりわけニッケル、ラネーニッケル、又は担持型ニッケルを含む、とりわけこれらからなる水素化触媒を用いた選択的水素化によって得られる。
【0087】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)で得られるイソマルト含有出発溶液は50~95℃、とりわけ55~90℃、とりわけ60~85℃、とりわけ65~80℃、好ましくは65~70℃の温度を有する。
【0088】
特に好ましい一実施形態においては、方法工程a1)で得られるイソマルト含有出発溶液は、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液と比較して少なくとも10℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも5℃、又は好ましくは少なくとも3℃高い温度を有する。好ましくは、方法工程a1)で得られるイソマルト含有溶液は、好ましくは方法工程a)で使用される温度に冷却される。
【0089】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a1)は蒸発器内で行われる。
【0090】
本発明による方法は、方法工程a)の後及び方法工程c)の前に方法工程b)においてフラッシュ蒸発による核生成を含む。
【0091】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程b)の前にイソマルト含有溶液の温度を調整する。本発明により好ましくは、フラッシュ蒸発の前に、つまり方法工程a)の後及び方法工程b)の前に、供給されるイソマルト含有溶液の温度を50~90℃、好ましくは55~80℃、特に好ましくは60~75℃に調整する。
【0092】
好ましくは、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液は50~90℃、好ましくは55~80℃、特に好ましくは60~75℃の温度を有する。
【0093】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)によるフラッシュ蒸発は連続的に実施される。
【0094】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)によるフラッシュ蒸発は断続的に実施される。
【0095】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発に際して、絶対圧力は(それぞれ当初の周囲の絶対大気圧に対して)少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、又は好ましくは少なくとも90%だけ低減される。
【0096】
方法工程a1)、a)、c)、d)、及びe)は、好ましくは方法工程b)に対して高められた圧力で行われる。
【0097】
方法工程a)、c)、d)、及びe)は、好ましくは方法工程b)に対して高められた圧力で行われる。
【0098】
方法工程a1)、a)、d)、及びe)は、好ましくは方法工程b)に対して高められた圧力で行われる。
【0099】
方法工程a)、d)、及びe)は、好ましくは方法工程b)に対して高められた圧力で行われる。
【0100】
方法工程a1)、a)、c)、d)、及びe)は、好ましくは大気圧で行われる。
【0101】
方法工程a)、c)、d)、及びe)は、好ましくは大気圧で行われる。
【0102】
方法工程a1)、a)、d)、及びe)は、好ましくは大気圧で行われる。
【0103】
方法工程a)、d)、及びe)は、好ましくは大気圧で行われる。
【0104】
特に好ましい実施形態においては、方法工程c)が冷却結晶化又は等温結晶化の形態で実行される場合、方法工程c)は大気圧下で実施される。方法工程c)が蒸発結晶化として実行される場合、方法工程c)は、好ましくは大気圧に対して低減された圧力、とりわけ真空で行われる。
【0105】
本発明により特に好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発に際して、絶対圧力は、好ましくは10~500mbar、好ましくは20~400mbar、好ましくは30~300mbar、好ましくは50~200mbar、好ましくは90~110mbar、とりわけ90~100mbarに低減される。
【0106】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発に際して、絶対圧力は最高でも500mbar、好ましくは最高でも400mbar、好ましくは最高でも300mbar、好ましくは最高でも200mbar、好ましくは最高でも150mbar、好ましくは最高でも100mbar、好ましくは最高でも80mbar、好ましくは最高でも50mbar、好ましくは最高でも20mbar、好ましくは最高でも10mbarまで低減される。
【0107】
本発明により好ましい更なる一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発は30~70℃、好ましくは35~65℃、好ましくは30~60℃、好ましくは40~60℃、好ましくは45~55℃、好ましくは50~55℃の範囲の温度で実施される。
【0108】
本発明により好ましい更なる一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発は30~70℃、好ましくは35~65℃、好ましくは40~60℃、好ましくは30~60℃、好ましくは45~55℃、好ましくは50~55℃の範囲の温度及び低減された絶対圧力、好ましくは10~500mbar、好ましくは20~400mbar、好ましくは30~300mbar、好ましくは50~200mbar、好ましくは90~110mbar、とりわけ90~100mbar及び50~55℃で実施される。
【0109】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発に際して、方法工程a)により準備されるイソマルト含有溶液を、方法工程a)により準備されるイソマルト含有溶液中に含まれる溶解された1,1-GPMの量の10~50%、とりわけ15~40%、とりわけ20~30%が第1の結晶相へと移行し、それゆえ第1の結晶相における1,1-GPMの富化及び第1の液相における1,6-GPSの富化が達成されるまで低減された絶対圧力に曝す。
【0110】
方法工程b)は、好ましくは2分~12時間、3分~10時間、好ましくは4分~9時間、好ましくは1~12時間、好ましくは2~8時間、好ましくは3~7時間、好ましくは4~6時間、好ましくは1~5時間、好ましくは2~5時間、好ましくは3~5時間、好ましくは4~5時間の期間、好ましくは5時間にわたって実施され得る。
【0111】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)は、方法工程a)に存在する溶解された1,1-GPMの(方法工程a)で準備される溶液中の1,1-GPMの乾物(TS:Trokensubstanz)の総重量に対して)20~30%が方法工程b)の間に第1の結晶相へと移行するように実施される。
【0112】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程a)の後及び方法工程c)の前の方法工程b)によるフラッシュ蒸発は、方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液の乾物含有量が方法工程b)の間に(準備されるイソマルト含有溶液及び得られる第1のイソマルト含有懸濁液の乾物(TS)の総重量に対して)1~10重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは1~6重量%だけ高められるように実施される。
【0113】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)によるフラッシュ蒸発の後に得られる第1のイソマルト含有懸濁液の第1の結晶相において(それぞれ方法工程b)の後に得られる懸濁液の第1の結晶相の乾物の総重量に対して)57~100重量%、好ましくは60~100重量%、好ましくは62~99重量%、好ましくは65~99重量%、好ましくは67~95重量%の1,1-GPMの1,1-GPM含有量及び0~43重量%、好ましくは0~40重量%、好ましくは1~38重量%、好ましくは1~35重量%、好ましくは5~33重量%の1,6-GPSの1,6-GPS含有量が存在する。
【0114】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)によるフラッシュ蒸発の後に得られる第1のイソマルト含有懸濁液の第1の液相において(それぞれ方法工程b)の後に第1の液相中に残っている乾物の総重量に対して)25~35重量%、好ましくは28~34重量%、好ましくは29~33重量%、好ましくは30~32重量%、好ましくは31重量%の1,1-GPMの1,1-GPM含有量及び65~75重量%、好ましくは66~72重量%、好ましくは67~71重量%、好ましくは68~70重量%、好ましくは68重量%の1,6-GPSの1,6-GPS含有量が存在する。
【0115】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)によるフラッシュ蒸発の後に得られる第1のイソマルト含有懸濁液の第1の液相において(方法工程b)の後に存在する第1の懸濁液の総重量に対して)56~80重量%、好ましくは69~74重量%、好ましくは70~73重量%、好ましくは71~72重量%の乾物の含有量が存在する。
【0116】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)の間に種結晶、とりわけイソマルト、1,1-GPM及び/又は1,6-GPSによる種晶添加は行われない。
【0117】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)による結晶化過程は結晶化装置内で実施される。
【0118】
第1のイソマルト含有懸濁液は、方法工程c)において、好ましくは使用される第1の液相中のイソマルトの完全な溶解が可能でない条件に曝されるため、イソマルト、好ましくは1,1-GPMの更なる結晶化が行われ、とりわけ第1の結晶相は更に1,1-GPMで富化され、及び第1の液相は更に1,6-GPSで富化されて、好ましくは1,1-GPMで富化された第2の結晶相及び好ましくは1,6-GPSで富化された第2の液相を含む第2の懸濁液が得られる。好ましい一実施形態においては、1,6-GPS及び1,1-GPMはこの場合部分的に溶解されて及び部分的に溶解されずに存在する。
【0119】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)による結晶化は連続的に実施され得る。
【0120】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)による結晶化は断続的に実施され得る。
【0121】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での結晶化は等温結晶化、冷却結晶化及び/又は蒸発結晶化、とりわけ多段階蒸発結晶化である。
【0122】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)から得られた第1のイソマルト含有懸濁液は、方法工程c)において結晶化、好ましくは等温結晶化に供される。本発明により好ましくは、等温結晶化を使用する場合、第1のイソマルト含有懸濁液の温度は50~60℃、好ましくは52~60℃、好ましくは54~60℃、好ましくは51~59℃、好ましくは52~59℃、好ましくは53~59℃、好ましくは54~59℃、好ましくは52~58℃、好ましくは53~57℃、好ましくは53~58℃、好ましくは54~58℃、好ましくは54~57℃、好ましくは54~57℃、又は好ましくは54℃~56℃に調整される。
【0123】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での等温結晶化の温度は50~60℃、好ましくは51~60℃、好ましくは52~60℃、好ましくは53~59℃、好ましくは50~59℃、好ましくは51~59℃、好ましくは52~58℃、好ましくは53~58℃、好ましくは54~60℃、好ましくは54~58℃、好ましくは54~56℃、好ましくは53~57℃、好ましくは53~56℃、又は好ましくは54~56℃である。本発明により特に好ましい一実施形態においては、工程c)で実施される等温結晶化は工程c)で調整された温度で行われ、放出される結晶化エネルギーは連続的に放散される。
【0124】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)でのイソマルト含有懸濁液の等温結晶化は10~100時間、好ましくは20~100時間、好ましくは20~80時間、好ましくは20~60時間、好ましくは20~52時間、好ましくは20~40時間、好ましくは30~80時間、好ましくは30~70時間、好ましくは30~60時間、好ましくは30~50時間、又は好ましくは30~40時間の期間にわたって実施される。
【0125】
有利な様式では、等温結晶化により方法工程c)を実施すると、均一な結晶サイズ分布が結果としてもたらされる。なぜならば、理論に縛られるものではないが、結晶化過程の進行に伴う過飽和の継続的な減少がプロセスの後の時点での微粒子生成の危険性を最小限に抑えるからである。この操作様式は結晶化に使用される反応器の耐用年数の延長に更につながる。なぜならば、他の結晶化、とりわけ冷却ランプを使用する冷却結晶化と比べて堆積物生成の減少及び/又は付着物の減少が観察され得るからである。理論に縛られるものではないが、堆積物生成及び/又は付着物の減少は使用される冷却要素と使用されるイソマルト含有懸濁液(マグマ)との間の僅かな温度差のみに基づくものである。
【0126】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)から得られる第1のイソマルト含有懸濁液は、方法工程c)において結晶化、好ましくは冷却結晶化に供される。本発明により好ましくは、冷却結晶化が使用される場合、方法工程c)での冷却結晶化の温度を、好ましくは最高でも2K/時(h)、好ましくは最高でも1K/h、好ましくは最高でも0.8K/h、好ましくは最高でも0.6K/h、好ましくは最高でも0.4K/h、好ましくは最高でも0.2K/h、特に好ましくは最高でも0.1K/hずつ徐々に下げると、1,1-GPMで富化された結晶の収率が追加的に高まる。好ましくは、0.8~1.5K/hの冷却速度は、好ましくは65℃の温度で開始して37℃で終了する。
【0127】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)でのイソマルト含有懸濁液の冷却結晶化は10~100時間、好ましくは20~100時間、好ましくは20~80時間、好ましくは20~60時間、好ましくは20~52時間、好ましくは20~40時間、好ましくは30~80時間、好ましくは30~70時間、好ましくは30~60時間、好ましくは30~50時間、又は好ましくは30~40時間の期間にわたって実施される。
【0128】
本発明により好ましい一実施形態においては、結晶化、とりわけ蒸発結晶化、とりわけ多段階蒸発結晶化は、方法工程b)から得られる第1のイソマルト含有懸濁液の濃度を高めることによって方法工程c)において引き起こされ、とりわけ第1のイソマルト含有懸濁液の液相中のイソマルトの濃度は、とりわけ多重効用蒸発器によって高められる。
【0129】
本発明により好ましい一実施形態においては、多重効用蒸発器は少なくとも2基の反応器、好ましくは少なくとも3基の反応器、好ましくは少なくとも4基の反応器、好ましくは少なくとも5基の反応器、好ましくは少なくとも6基の反応器、好ましくは少なくとも7基、好ましくは最大3基の反応器、好ましくは最大4基の反応器、好ましくは最大5基の反応器、好ましくは最大6基の反応器、好ましくは最大7基の反応器を有する。
【0130】
本発明により好ましい一実施形態においては、多重効用蒸発器によって少なくとも1種の溶媒、好ましくは1種の溶媒、好ましくは複数の溶媒、とりわけ好ましくは水及び少なくとも1種のアルコールが完全に又は部分的に除去される。方法工程c)での第2のイソマルト含有懸濁液の液相中のイソマルトの濃度は、本発明により好ましくは、溶媒の量が所与の温度でイソマルトの全量を溶解するのに十分でないように調整される。
【0131】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での多重効用蒸発器内の圧力は0.01~2bar、好ましくは0.01~1bar、好ましくは0.01~0.5bar、好ましくは0.1~1bar、好ましくは0.1~0.5barである。
【0132】
本発明により好ましい一実施形態においては、多重効用蒸発器のそれぞれの反応器内での、それぞれつまり反応器当たりの方法工程c)での蒸発結晶化は等温結晶化である。
【0133】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での多重効用蒸発器における後続の反応器内の圧力は、先行する反応器と比較して少なくとも5%だけ、好ましくは少なくとも10%だけ、好ましくは少なくとも12%だけ、好ましくは少なくとも15%だけ、又は好ましくは少なくとも20%だけ低減されている。
【0134】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での多重効用蒸発器における後続の反応器内の温度は、先行する反応器と比較して少なくとも5%だけ、好ましくは少なくとも10%だけ、好ましくは少なくとも12%だけ、好ましくは少なくとも15%だけ、又は好ましくは少なくとも20%だけ低減されている。
【0135】
1,1-GPMで富化された第2の結晶相及び1,6-GPSで富化された第2の液相における1,1-GPM及び1,6-GPSの量比は、多重効用蒸発器における個々の反応器内の温度及び/又は圧力、とりわけ温度推移及び/又は圧力推移によって調整され得る。
【0136】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)でのイソマルト含有懸濁液の蒸発結晶化は、とりわけ多重効用蒸発器によって1分~14時間の期間にわたって実施される。
【0137】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)での結晶化の間に種晶、とりわけイソマルト、1,1-GPM及び/又は1,6-GPSによる種晶添加は行われない。
【0138】
本発明により好ましい一実施形態においては、この方法の間に、とりわけ方法工程c)での本発明により好ましい等温結晶化の間に種晶、とりわけイソマルト、1,1-GPM及び/又は1,6-GPSによる種晶添加は行われない。
【0139】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程b)及びc)の間に種晶、とりわけイソマルト、1,1-GPM及び/又は1,6-GPSによる種晶添加は行われない。
【0140】
本発明により好ましい更なる一実施形態においては、方法工程c)において結晶性イソマルト、1,1-GPM又は1,6-GPSは、純粋な又はほぼ純粋な形態で種晶として添加される。イソマルト含有溶液中に種晶を導入した後に、より溶解しやすい1,6-GPS結晶は溶解するのに対し、溶解性がより低い1,1-GPM結晶は結晶化核として残留する。
【0141】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)において1,1-GPMで富化された第2の結晶相は(それぞれ第2の結晶相の乾物(TS)の総重量に対して)57~99重量%の1,1-GPM及び43~1重量%の1,6-GPS、好ましくは60~80重量%の1,1-GPM及び20~40重量%の1,6-GPS、好ましくは60~75重量%の1,1-GPM及び25~40重量%の1,6-GPS、好ましくは65~75重量%の1,1-GPM及び25~35重量%の1,6-GPSを有する1,1-GPM及び1,6-GPSからの混合物を含む。
【0142】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程c)において1,6-GPSで富化された第2の液相は(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)43~1重量%の1,1-GPM及び57~99重量%の1,6-GPS、好ましくは20~25重量%の1,1-GPM及び80~75重量%の1,6-GPSを有する1,1-GPM及び1,6-GPSからの混合物を含む。
【0143】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(それぞれ第2の結晶相の総重量(TS)に対して)少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも67重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、又は好ましくは少なくとも95重量%の1,1-GPMを含む。
【0144】
特に好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(第2の結晶相の総重量(TS)に対して)少なくとも99重量%、とりわけ100重量%の1,1-GPMを含む。
【0145】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(それぞれ第2の結晶相の総重量(TS)に対して)最高でも40重量%、好ましくは最高でも32重量%、好ましくは最高でも25重量%、好ましくは最高でも20重量%、好ましくは最高でも15重量%、好ましくは最高でも10重量%、又は好ましくは最高でも5重量%の1,6-GPSを含む。
【0146】
特に好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(第2の結晶相の総重量(TS)に対して)最高でも1重量%、とりわけ0重量%の1,6-GPSを含む。
【0147】
本発明により特に好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される結晶相は1,6-GPSを含まないか又は殆ど含まない。
【0148】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(それぞれ第2の結晶相の総重量に対して)60~75重量%の1,1-GPM、とりわけ60~72重量%の1,1-GPM、好ましくは65~71重量%、好ましくは66~70重量%、67~69重量%、好ましくは68重量%の1,1-GPM及び(それぞれ第2の結晶相の総重量(TS)に対して)25~40重量%、とりわけ28~40重量%の1,6-GPS、好ましくは29~35重量%、好ましくは30~34重量%、31~33重量%、好ましくは32重量%の1,6-GPSを含む。
【0149】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は(それぞれ第2の結晶相の総重量に対して)60~75重量%の1,1-GPM、とりわけ65~71重量%の1,1-GPM及び(それぞれ第2の結晶相の総重量(TS)に対して)25~40重量%、とりわけ29~35重量%の1,6-GPSを含む。
【0150】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は、そこに含まれる結晶の長さ対幅比7.0~10.5、とりわけ7.5~10.0、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ8.0(それぞれ平均値)を有する。
【0151】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の結晶相は、そこに含まれる結晶の長さ対幅比6.5~10.0、とりわけ7.0~9.5、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ7.8(それぞれ中央値)を有する。
【0152】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の液相は(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)15~32重量%、好ましくは17~30重量%、好ましくは19~28重量%、20~26重量%、好ましくは21~24重量%の1,1-GPMを含む。
【0153】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の液相は(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも72重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、又は好ましくは少なくとも90重量%の1,6-GPSを含む。
【0154】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の液相は(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)68~85重量%、好ましくは70~83重量%、好ましくは72~81重量%、74~80重量%、好ましくは76~79重量%の1,6-GPSを含む。
【0155】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の液相は(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)15~32重量%の1,1-GPM、好ましくは17~30重量%、好ましくは19~28重量%、好ましくは20~26重量%、好ましくは21~24重量%の1,1-GPM及び(それぞれ第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)68~85重量%の1,6-GPS、好ましくは70~83重量%、好ましくは72~81重量%、好ましくは74~80重量%、好ましくは76~79重量%の1,6-GPSを含む。
【0156】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)で分離される第2の液相は(第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)15~32重量%の1,1-GPM及び(第2の液相の乾物(TS)の総重量に対して)68~85重量%の1,6-GPSを含む。
【0157】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,1-GPMで富化され、分離された第2の結晶相は(それぞれ1,1-GPMで富化された第2の結晶相の総重量に対して)最高でも20重量%の水、好ましくは最高でも18重量%の水、好ましくは最高でも15重量%の水、好ましくは最高でも13重量%の水、好ましくは5~20重量%の水、好ましくは8~18重量%の水、好ましくは10~15重量%の水、又は好ましくは11~13重量%の水を含有する。
【0158】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,1-GPMで富化された第2の結晶相は、方法工程d)において傾瀉、濾過、沈降又は遠心分離によって、とりわけ好ましくは遠心分離によって1,6-GPSで富化された第2の液相から分離される。本発明により意図される分離、とりわけ遠心分離は第2の液相と第2の結晶相との分離をもたらし、第2の結晶相は1,1-GPMで富化されているのに対し、第2の液相は1,6-GPSで富化されている。
【0159】
分離され、1,1-GPMで富化された第2の結晶相は、更なる精製及び濃縮工程において1,1-GPM富化組成物、とりわけ少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも98重量%、又は好ましくは少なくとも99重量%(それぞれ組成物の総重量(TS)に対する1,1-GPMの重量)の純度を有する結晶性1,1-GPMへと更に処理され得る。
【0160】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,1-GPMで富化された第2の結晶相を方法工程d)の後に乾燥させ、方法工程e)において固体の1,1-GPM富化イソマルト組成物として得る。
【0161】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,6-GPSで富化された第2の液相を方法工程d)の後に少なくとも1回濃縮するか、好ましくは少なくとも2回濃縮するか、又は好ましくは少なくとも3回濃縮し、方法工程e)において液体の1,6-GPS富化イソマルト組成物として得る。
【0162】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,6-GPSで富化された第2の液相を方法工程d)の後に(それぞれ組成物の総重量に対して)少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、又は好ましくは少なくとも95重量%の乾物含有量に濃縮し、方法工程e)において液体の1,6-GPS富化イソマルト組成物として得る。
【0163】
本発明により好ましい更なる一実施形態においては、1,6-GPSで富化された第2の液相は、更なる精製及び濃縮工程において1,6-GPS富化イソマルト組成物、とりわけ(それぞれイソマルト組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも98重量%、又は好ましくは少なくとも99重量%の乾物含有量を有する結晶性1,6-GPSへと更に処理される。
【0164】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,6-GPS富化イソマルト組成物は、1,6-GPSで富化された第2の液相から、1,6-GPSで富化された第2の液相を濃縮し、引き続き冷却結晶化することによって得られ、好ましくは、冷却結晶化は40~60℃、好ましくは50~60℃、好ましくは40~50℃、又は好ましくは45~55℃の温度範囲で、及び好ましくは0.1~0.3K/h、好ましくは0.2~0.3K/h、又は好ましくは0.1~0.2K/hの冷却速度で行われる。濃縮及び冷却結晶化は、所望の結晶量が得られるまで、場合により同じ条件下で繰り返される。
【0165】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程d)の後に1,6-GPSで富化された第2の液相を乾燥させ、方法工程e)において固体の1,6-GPS富化イソマルト組成物として得る。
【0166】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,6-GPSで富化された第2の液相は方法工程d)の後に乾燥させ、方法工程e)において固体の1,6-GPS富化イソマルト組成物として、とりわけ結晶性生成物として得る。
【0167】
本発明により好ましい一実施形態においては、乾燥させた1,6-GPS富化組成物は(それぞれ1,6-GPSで富化された結晶性組成物の総重量に対して)好ましくは0.05~6重量%の水、好ましくは2.0~3.0重量%の水、好ましくは0.05~2.5重量%の水、好ましくは0.05~1重量%の水、好ましくは0.1~0.5重量%の水、好ましくは最大6.0重量%の水、好ましくは最大4.0重量%の水、好ましくは最大2.5重量%、好ましくは最大2.0重量%の水、好ましくは最大1.0重量%の水、又は好ましくは最大0.5重量%の水を含有する。
【0168】
更なる一態様において、本発明は、本発明による方法により製造可能な、とりわけ製造された1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を提供する。
【0169】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,1-GPM富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM富化組成物の乾物(TS)の総重量に対して)60~72重量%、好ましくは65~71重量%、好ましくは66~70重量%、好ましくは67~69重量%、好ましくは67又は68重量%の1,1-GPMを含む。
【0170】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、本発明の1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,6-GPS富化組成物の乾物(TS)の総重量に対して)15~32重量%の1,1-GPM、好ましくは17~30重量%、好ましくは19~28重量%、好ましくは20~26重量%、好ましくは21~14重量%の1,1-GPM、及び68~85重量%、とりわけ70~83重量%、とりわけ72~81重量%、とりわけ74~80重量%、とりわけ76~79重量%の1,6-GPSを含む。
【0171】
本発明は、好ましい実施形態においては、とりわけ本発明による方法により製造可能な(それぞれ組成物の乾物(TS)の総重量に対して)60~75重量%の1,1-GPM及び25~40重量%の1,6-GPSを含む1,1-GPM富化イソマルト組成物に関する。
【0172】
本発明は、好ましい実施形態においては、とりわけ本発明による方法により製造可能な(それぞれ1,1-GPM及び1,6-GPSの総量の乾物に対して)60~75重量%の1,1-GPM及び25~40重量%の1,6-GPSを含む、とりわけ(組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも60重量%の1,1-GPM含有量を有する1,1-GPM富化イソマルト組成物に関する。
【0173】
本発明は、好ましい実施形態においては、とりわけ本発明による方法により製造可能な(それぞれ組成物の乾物(TS)の総重量に対して)15~32重量%の1,1-GPM及び68~85重量%の1,6-GPSを含む1,6-GPS富化イソマルト組成物に関する。
【0174】
本発明は、好ましい実施形態においては、とりわけ本発明による方法により製造可能な(それぞれ1,1-GPM及び1,6-GPSの総量の乾物に対して)15~32重量%の1,1-GPM及び68~85重量%の1,6-GPSを含む、とりわけ(組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも68重量%の1,6-GPS含有量を有する1,6-GPS富化イソマルト組成物に関する。
【0175】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程e)で得られる1,1-GPMで富化されたイソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM富化イソマルト組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも61重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも94重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、好ましくは少なくとも99重量%、好ましくは75~95重量%、好ましくは75~90重量%、好ましくは75~85重量%、又は好ましくは80~99重量%の1,1-GPMを含む。
【0176】
本発明により好ましい一実施形態においては、方法工程e)で得られる1,6-GPSで富化されたイソマルト組成物は(それぞれ1,6-GPS富化イソマルト組成物の乾物(TS)の総重量に対して)少なくとも72重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、好ましくは72~95重量%、好ましくは72~90重量%、好ましくは72~85重量%、又は好ましくは80~99重量%の1,6-GPSを含む。
【0177】
本発明により好ましい一実施形態においては、1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は結晶形態で存在する。
【0178】
本発明により好ましい一実施形態においては、好ましくは上記で特徴付けられた好ましい本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物の1つ以上である本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物は、そこに含まれる結晶の長さ対幅比7.0~10.5、とりわけ7.5~10.0、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ8.0(それぞれ平均値)を有する。
【0179】
本発明により好ましい一実施形態においては、好ましくは上記で特徴付けられた好ましい本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物の1つ以上である本発明による1,1-GPM富化イソマルト組成物は、そこに含まれる結晶の長さ対幅比6.5~10.0、とりわけ7.0~9.5、とりわけ7.5~9.0、とりわけ7.5~8.5、とりわけ7.8(それぞれ中央値)を有する。
【0180】
更なる好ましい一実施形態においては、1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は半結晶又は非晶質形態で存在する。
【0181】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は、成分1,1-GPM及び1,6-GPSの他に、マンニトール、ソルビトール、サッカロース、1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、グリコシルグリシトール、デオキシ二糖アルコール、GPI(グルコピラノシルイジトール)、イソマルトース、イソマルツロース、及びイソメレジトースからなる群から選択される少なくとも1種の更なる成分を含む。
【0182】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.06重量%、0.02~0.3重量%、好ましくは0.02~0.2重量%、好ましくは0.02~0.1重量%、又は好ましくは0.02~0.06重量%のマンニトール、好ましくは最高でも0.3重量%、好ましくは最高でも0.2重量%、好ましくは最高でも0.1重量%、又は好ましくは最高でも0.06重量%のマンニトールを含む。
【0183】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はマンニトールを含有しない。
【0184】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.04重量%、好ましくは0.02~0.4重量%、好ましくは0.02~0.02重量%、好ましくは0.02~0.1重量%、又は好ましくは0.02~0.04重量%のソルビトール、好ましくは最高でも0.4重量%、好ましくは最高でも0.2重量%、好ましくは最高でも0.1重量%、又は好ましくは最高でも0.04重量%のソルビトールを含む。
【0185】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はソルビトールを含有しない。
【0186】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、又は好ましくは0.01~0.1重量%のサッカロース、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のサッカロースを含む。
【0187】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はサッカロースを含有しない。
【0188】
好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、好ましくは0.1~6重量%、好ましくは0.1~4重量%、好ましくは0.1~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.1~0.6重量%、好ましくは0.1~0.4重量%、好ましくは0.1~0.2重量%、好ましくは0.2~10重量%、好ましくは0.2~8重量%、好ましくは0.2~6重量%、好ましくは0.2~4重量%、好ましくは0.2~2重量%、好ましくは0.2~1重量%、好ましくは0.2~0.6重量%、又は好ましくは0.2~0.4重量%の1,1-GPS、好ましくは最高でも10重量%、好ましくは最高でも8重量%、好ましくは最高でも6重量%、好ましくは最高でも4重量%、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.2重量%の1,1-GPSを含む。
【0189】
本発明により特に好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は1,1-GPSを含有しない。
【0190】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.03~2重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.1重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%のグリコシルグリシトール、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のグリコシルグリシトールを含む。
【0191】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はグリコシルグリシトールを含有しない。
【0192】
好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.03~2重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%のデオキシ二糖アルコール、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.2重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のデオキシ二糖アルコールを含む。
【0193】
本発明により特に好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はデオキシ二糖アルコールを含有しない。本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、又は好ましくは0.01~0.1重量%のGPI、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のGPIを含む。
【0194】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はGPIを含有しない。
【0195】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、又は好ましくは0.01~0.1重量%のイソマルトース、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のGPIを含む。
【0196】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はイソマルトースを含有しない。
【0197】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は(それぞれ1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の総重量(TS)に対して)0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、又は好ましくは0.01~0.1重量%のイソメレジトース、好ましくは最高でも2重量%、好ましくは最高でも1重量%、好ましくは最高でも0.6重量%、好ましくは最高でも0.4重量%、又は好ましくは最高でも0.1重量%のGPIを含む。
【0198】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はイソメレジトースを含有しない。
【0199】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は、粒子の少なくとも90%が100~1000μm、好ましくは100~800μm、好ましくは100~200μm、好ましくは100~500μm、好ましくは200~800μm、好ましくは300~600μm、好ましくは20~80μm、好ましくは40~80μm、又は好ましくは50~100μmの粒度、とりわけ直径を有する粒度分布を有する。
【0200】
本発明により好ましい一実施形態においては、本発明による1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は、粒子の少なくとも90%が最高でも1000μm、好ましくは最高でも800μm、好ましくは最高でも600μm、好ましくは最高でも500μm、好ましくは最高でも400μm、好ましくは最高でも200μm、好ましくは最高でも100μm、好ましくは最高でも80μm、好ましくは最高でも40μm、好ましくは最高でも20μmの粒度、とりわけ直径を有する粒度分布を有する。
【0201】
更なる一態様において、本発明はまた、人間及び/又は動物の消費用製品における本発明による方法により製造された1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物の使用を提供する。好ましくは、人間又は動物の消費用製品は食品若しくは嗜好品又は医薬品である。
【0202】
本発明により好ましい一実施形態においては、食品又は嗜好品は糖菓、糖菓用フィリング、ソフトキャラメル、ハードキャラメル、フォンダン、ヨーグルト、ペストリー、チューインガム、アイスクリーム、ミルク、乳製品、飲料、フルーツジュース、濃縮果汁、フルーツ調製品、ジャム、ゼリー又はスムージーである。
【0203】
本発明の文脈において、「イソマルト」又は「水素化イソマルツロース」という用語は、好ましくは1,1-GPM及び1,6-GPSからなるか又はそれらを含む混合物、とりわけ35~61重量%の1,1-GPM及び65~39重量%の1,6-GPSからなるか又はそれらを含む混合物、とりわけ1,1-GPM及び1,6-GPSからなるか又はそれらを含む等モル又はほぼ等モルの混合物を意味する。それゆえに、イソマルトは、1,1-GPM対1,6-GPSの等モル比を有さず、1,6-GPS含有量よりも高い1,1-GPM含有量又は1,1-GPM含有量よりも高い1,6-GPS含有量が存在する1,1-GPM及び1,6-GPSからなるか又はそれらを含む混合物とも解釈され得る。
【0204】
特に好ましい実施形態においては、イソマルトは1,1-GPM及び1,6-GPSの両方の成分の他に更なる成分を含まない。
【0205】
特に好ましい実施形態においては、イソマルトは1,1-GPM及び1,6-GPSの両方の成分の他に追加的に1種以上の更なる成分、例えばマンニトール、ソルビトール、サッカロース、1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、グリコシルグリシトール、デオキシ二糖アルコール、GPI(グルコピラノシルイジトール)、イソマルトース、イソマルツロース、イソメレジトース、水素化又は非水素化オリゴ糖類、とりわけ水素化又は非水素化三糖類、又は/及び他の物質を含む。
【0206】
本発明の文脈において、本発明により得られる1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物は、好ましくは1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト、つまり1,1-GPM富化イソマルト組成物の場合には1,6-GPS含有量よりも高い1,1-GPM含有量が存在する組成物、及び1,6-GPS富化イソマルト組成物の場合には1,1-GPM含有量よりも高い1,6-GPS含有量が含まれている組成物を意味する。
【0207】
本発明の文脈において、本発明により得られる1,1-GPM富化相又は本発明により得られる1,1-GPM富化イソマルト組成物は、とりわけ(それぞれ相又は組成物中に存在する量の1,6-GPS及び1,1-GPMの乾物の総重量に対して)少なくとも57重量%の1,1-GPM、好ましくは少なくとも60、とりわけ少なくとも70、とりわけ少なくとも80、とりわけ少なくとも90、とりわけ少なくとも95、とりわけ少なくとも98、とりわけ少なくとも99重量%の1,1-GPM及び最高でも43重量%の1,6-GPS、とりわけ最高でも40、とりわけ最高でも30、とりわけ最高でも20、とりわけ最高でも10、とりわけ最高でも5、とりわけ最高でも2、とりわけ最高でも1重量%の1,6-GPSが存在する相又は混合物を意味する。
【0208】
本発明の文脈において、本発明により得られる1,6-GPS富化相又は本発明により得られる1,6-GPS富化イソマルト組成物は、(それぞれ相又は組成物中に存在する量の1,1-GPM及び1,6-GPSの乾物の総重量に対して)少なくとも57重量%の1,6-GPS、好ましくは少なくとも60、とりわけ少なくとも70、とりわけ少なくとも80、とりわけ少なくとも90、とりわけ少なくとも95、とりわけ少なくとも98、とりわけ少なくとも99重量%の1,6-GPS及び最高でも43重量%の1,1-GPM、とりわけ最高でも40、とりわけ最高でも30、とりわけ最高でも20、とりわけ最高でも10、とりわけ最高でも5、とりわけ最高でも2、とりわけ最高でも1重量%の1,1-GPMが存在する相又は混合物を意味する。
【0209】
好ましい一実施形態においては、1,1-GPM及び/又は1,6-GPS富化イソマルト組成物はまた1,1-GPM富化及び/又は1,6-GPS富化相であり得る。本発明によりとりわけ方法工程e)に従って得られた1,1-GPM富化相及び1,1-GPM富化イソマルト組成物は、その本発明による製造に、とりわけ方法工程a)により使用されるイソマルト含有溶液よりも高い1,1-GPM含有量を有する。本発明によりとりわけ方法工程e)に従って得られた1,6-GPS富化相及び1,6-GPS富化組成物は、その本発明による製造に、とりわけ方法工程a)により使用されるイソマルト溶液よりも高い1,6-GPS含有量を有する。
【0210】
好ましい様式では、1,1-GPMで富化された相又は組成物中のイソマルト含有溶液に対して高められた1,1-GPM含有量は(それぞれ方法工程a)により準備されるイソマルト溶液中の1,1-GPM含有量に対して)少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、とりわけ少なくとも200重量%だけ高められている。
【0211】
好ましい様式では、1,6-GPSで富化された相又は組成物中のイソマルト含有溶液に対して高められた1,6-GPS含有量は(それぞれ方法工程a)により準備されるイソマルト溶液中の1,6-GPS含有量に対して)少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、とりわけ少なくとも200重量%だけ高められている。
【0212】
本発明の文脈において、「核生成」という用語は、結晶核生成、つまり一次相転移を開始する最初の部分過程を意味する。結晶核生成を通じて、所与の条件下で熱力学的に安定な新しい相が既存の準安定相、好ましくは過飽和相からの核によって形成される。
【0213】
本発明の文脈において、「過飽和溶液」又は「過飽和相」という用語は、特定の温度での対象の物質の溶解度に相当するよりも多量の溶質を含有する溶液の準安定状態を意味する。このような過飽和溶液を、好ましくは、飽和溶液の緩慢な冷却によって、溶媒の一部の蒸発によって、又は飽和溶液の冷却と溶媒の一部の蒸発との組合せによって生成した後に、過剰の溶質が沈殿、とりわけ結晶化する。
【0214】
本発明の文脈において、「フラッシュ蒸発」という用語は、緩和蒸発(Entspannungsverdampfung)、つまり液体で満たされた反応器内の圧力が低下したときの蒸気の生成を意味する。フラッシュ蒸発によりイソマルト含有溶液の過飽和が高まり、溶液に作用する剪断力と相まって核生成が引き起こされる。フラッシュ蒸発器においては、とりわけフラッシュ蒸発時に液体が過熱された状態で反応器に流入するため、液体で満たされた反応器内の圧力が低下したときに蒸気が生成する。このように誘発されたエネルギー移動により溶液、とりわけ過飽和溶液の冷却が引き起こされ、同時に乾物含有量が高められ、それにより核生成が起こる。フラッシュ蒸発は、飽和又は過飽和の液体及び付属の蒸気相で満たされた反応器内で圧力が低下するときに引き起こされる。
【0215】
本発明により好ましくは、フラッシュ蒸発を連続的又は断続的に実施することができる。本発明により好ましくは実施される連続的なフラッシュ蒸発では、イソマルト含有溶液を反応器に連続的に供給し、同時にフラッシュ蒸発によって得られた本発明による結晶シロップ懸濁液を排出する。
【0216】
本発明の文脈において、「等温結晶化」という用語は、結晶化が完了するまで又は特定量の成分、とりわけ1,1-GPMで富化された結晶相又は1,6-GPSで富化された結晶相が溶液又は懸濁液から晶出するまで一定の結晶化温度に保持する溶液又は懸濁液の晶出を意味する。
【0217】
本発明の文脈において、1,1-GPM富化又は1,6-GPS富化の相は、それぞれ同様の物理的及び化学的な特性を有する1,1-GPM富化又は1,6-GPS富化イソマルト組成物、例えば液相又は結晶相を意味する。それゆえに、このような相は、少なくともそれぞれ1つの1,1-GPM富化又は1,6-GPS富化イソマルト組成物を、場合により1種以上の溶媒と一緒に含む。
【0218】
本発明の文脈において、「多重効用蒸発器」(Multiple-Effect-Evaporator)は、溶液又は懸濁液を低温で複数の段階において結晶化させる蒸発器を意味する。多重効用蒸発器においては、溶液は複数の互いに連結された段階で沸騰させ、相次ぐ反応器のそれぞれは前の反応器よりも低い圧力を有する。互いに接続された一連の反応器内の圧力が低くなっていくことによって、互いに接続された一連の反応器内の溶媒の沸点は徐々に低下する。
【0219】
本発明の文脈において、「冷却結晶化」という用語は、結晶化が完了するまで又は特定量の成分、とりわけ1,1-GPMで富化された結晶相又は1,6-GPSで富化された結晶相が溶液又は懸濁液から晶出するまで温度を低下させることによる溶液又は懸濁液からの物質の晶出を意味する。
【0220】
本発明の文脈において、「多段階蒸発結晶化」という用語は、それぞれが異なる圧力レベル及び/又は温度を有する複数の反応器内での結晶化による結晶相の富化を意味する。
【0221】
本発明の文脈において、「相」は、本質的に同一の均質な材料特性が存在する懸濁液の連続的な又は非連続的な空間部分を意味する。したがって、液相は、懸濁液のその液体状態を特徴とする部分である。結晶相は、懸濁液のその結晶性状態、それゆえ固体状態を特徴とする部分である。
【0222】
本発明の文脈において、「結晶相」又は「液相」は、方法工程b)及びc)による方法様式の過程で形成される相を意味する。
【0223】
本発明の文脈において、「減少した又は低下した」絶対圧力は、絶対周囲圧力、とりわけ1barの大気圧と比べて減少した絶対圧力を意味する。
【0224】
本発明の文脈において、別段の指定及び/又は認識がない限り、成分の組成に関して指定される個々の成分のパーセント割合は合計で100重量%、すなわち全組成物となる。
【0225】
本発明の文脈において、「及び/又は」という用語は、「及び/又は」という用語によって接続された群の全ての成員が、任意の組合せで互いに累加的にも、互いに択一的にも表されていることを意味する。例として、「A、B及び/又はC」という表現は、以下の開示内容を意味するべきである:i)(A又はB又はC)、又はii)(A及びB)、又はiii)(A及びC)、又はiv)(B及びC)、又はv)(A及びB及びC)。
【0226】
本発明の文脈において、「剪断」は、機械的掻き混ぜ、すなわち好適には運動、とりわけ撹拌を意味する。
【0227】
本発明の文脈において、「撹拌装置」は、とりわけローター・ステーターシステムを意味する。
【0228】
本発明の文脈において、「ローター・ステーターシステム」は、とりわけホモジナイザーを意味する。
【0229】
本発明の文脈において、「ローター」は、とりわけステーターが存在する場合、ホモジナイザーの回転部分を意味する。
【0230】
本発明の文脈において、「ステーター」は、とりわけローターが存在する場合、ホモジナイザーの不動部分を意味する。
【0231】
本発明の文脈において、ローターは、ステーター、すなわち中心管内に存在し、及び中心管内で回転することができるプロペラ式撹拌機である。
【0232】
本発明の文脈において、「長方形を有するローターブレード」は、一定の翼弦(Blatttiefe aufweist)を有するローターブレードを意味する。
【0233】
本発明の文脈において、「台形を有するローターブレード」は、長手方向に減少する翼弦を有するローターブレードを意味する。
【0234】
本発明の文脈において、「二重台形を有するローターブレード」は、長手方向に増加した後に減少する翼弦を有するローターブレードを意味する。
【0235】
本発明の文脈において、「長方台形を有するローターブレード」は、長手方向に一定となった後に減少する翼弦を有するローターブレードを意味する。
【0236】
本発明の文脈において、「結晶」は、結晶構造内に規則的に配置された構成単位、とりわけ分子を有する固体を意味する。
【0237】
本発明の文脈において、「反応器」は、特に好ましくは方法工程b)及び/又は方法工程c)が実施される入れ物、とりわけ槽、とりわけ熟成槽を意味する。
【0238】
本発明の文脈において、「蒸発」は液体又は液体混合物の気体状態への転移を意味する。
【0239】
本発明の文脈において、「逆浸透」は浸透の逆の原理を意味し、浸透とは半透膜を介した2つの液体の濃度均衡の過程を表す。逆浸透は、特に好ましくは大気圧に対して高められた圧力で行われる。それによって、溶質、とりわけイソマルトは出発溶液又は懸濁液中に残り、溶媒、とりわけ水は溶媒透過性膜、とりわけ水透過性膜を介して排出される。
【0240】
本発明の文脈において、「種晶添加」は、種晶添加される溶液又は懸濁液に種晶を添加することを意味する。
【0241】
本発明の文脈において、「翼端速度」は、先端、つまりローターブレードの外端で測定されるローターブレード先端速度も意味する。
【0242】
本発明の文脈において、結晶の長さ対幅比は、例2に記載される方法論に従って決定される。
【0243】
本発明の更なる有利な形態は従属請求項から明らかになる。
【0244】
本発明を実施例及び比較例並びにそれらに付属の図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0245】
図1】水中での1,1-GPM(GPM、3)、1,6-GPS(GPS、2)及びイソマルト(イソマルト、1)についてのSchiweckによる溶解度図(H. Schiweck, alimenta 19, Palatinit(登録商標)-パラチニット含有食品の製造、技術的特性及び分析(Palatinit(R) - Herstellung, technologische Eigenschaften und Analytik palatinithaltiger Lebensmittel), 5-16, 1980)を示す図である。ここでは、上述の成分の溶解限界が温度に依存して表されている。
図2】A~Dは、例2.1からの結晶化生成物の顕微鏡写真(倍率4倍)を示す図である。
図3】A~Dは、例2.1からの結晶化生成物の顕微鏡写真(倍率10倍)を示す図である。
図4】A~Dは、例2.2からの結晶化生成物の顕微鏡写真(倍率10倍及び20倍)を示す図である。
図5】A~Fは、例2.3からの結晶化生成物の顕微鏡写真(倍率4倍及び10倍)を示す図である。
図6】A~Fは、例2.4からの結晶化生成物の顕微鏡写真(倍率4倍及び10倍)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0246】
[例1]:
方法工程b)でのフラッシュ蒸発及びその後の方法工程c)での等温結晶化によるイソマルト(水素化イソマルツロース)の1,1-GPM及び1,6-GPS富化イソマルト組成物への分離
イソマルトの2つの主成分、すなわち1,1-GPM及び1,6-GPSは水溶液中で異なる溶解度積を有する(図1)。懸濁液中では、各成分がそれらの固有の溶解度平衡を形成する。懸濁液の固体部分(結晶相)において、より結晶化しやすい又は難溶性の成分1,1-GPMの富化がもたらされる。なぜならば、より結晶化しにくいか又は溶解性がより良好な成分1,6-GPSは好ましくは溶解するか又は溶解したままとなるからである。形成される平衡は水中のイソマルトの懸濁液の濃度が同じ場合には温度に依存する。同じ温度では、懸濁液の乾物(TS)の割合が増加するにつれて、溶液中の1,6-GPSの割合が増加する。1,1-GPM、1,6-GPS及びイソマルトの溶解度図(図面)は、温度の上昇に伴って個々の成分の溶解度が一定に増加することを示している。本発明はこの所見を利用するものである。通常の方法工程によって得られたイソマルト含有溶液を方法工程a1)において70~85重量%の乾物含有量まで熱的に濃縮する。こうして得られ、(それぞれイソマルト含有溶液の乾物の総重量に対して)35~44重量%、すなわち40.7重量%の1,1-GPM含有量及び56~65重量%、すなわち58.4重量%の1,6-GPS含有量、0.01~2重量%のGPI、0.01~2重量%のグリコシルグリシトール、0.01~0.4重量%のソルビトール、0.001~2重量%のデオキシ二糖アルコール、0.1~10重量%の1,1-GPS及び/又は0.01~0.3重量%のマンニトールを有する方法工程a)で準備されるイソマルト含有溶液(溶液の総重量に対するイソマルト含有量70~85重量%)を引き続き60~75℃の温度にした後に、いわゆる核生成装置において結晶核生成する本発明による方法の方法工程b)に従ってフラッシュ蒸発に供する。イソマルト含有溶液の温度を60~75℃に調整した後、50~200mbar、とりわけ90~100mbarの絶対圧力及び50~55℃の温度でフラッシュ蒸発を行う。絶対圧力の低下により蒸気圧が高まり、エネルギー放散の誘発がもたらされることにより、1,6-GPSと比較して水中での溶解性が低い1,1-GPM(Schiweckによる溶解度、図1を参照)がその熱力学的溶解度積に従って第1の結晶相へと移行する(最初は出発溶液中に存在する1,1-GPMの約5%)。反応器内で使用される撹拌装置形状及びこうして連続的に発生する剪断力によって、更なる1,1-GPM富化結晶核が続けて生成される。
【0247】
5hまでの滞留時間の後、出発溶液中に最初に存在した1,1-GPMの約25重量%が第1の結晶相へと移行しており、方法工程b)による核生成過程の実施後に得られる第1の液相は(溶液中に存在する乾物の総重量に対して)31重量%の1,1-GPM及び68重量%の1,6-GPSを含む。方法工程b)によって得られた1,1-GPM富化結晶核を含む方法工程b)から得られた第1のイソマルト含有懸濁液を、温度制御された結晶化装置内で実施される方法工程c)による結晶化過程に連続的に供する。この場合、50~60℃の温度範囲、とりわけ56℃での等温条件下で、1,1-GPMで富化された結晶核は、残留過飽和が大幅に引き下げられるまで更に結晶へと成長を続ける。等温条件の維持は、放出される結晶化エネルギーの継続的な放散によって保証される。熟成槽(結晶化装置)の温度をゆっくりと段階的に55℃まで下げることにより(最高でも0.5K/h、とりわけ最高でも0.1K/h)、1,1-GPMで富化された結晶の収率は追加的に高まるが、その際にこれらの結晶の純度には悪影響は及ぼされない。こうして得られた第2の懸濁液を方法工程d)による適切な分離技術(例えば、遠心分離)によって後処理することができ、こうして得られた第2の結晶相は(第2の結晶相の乾物の総重量に対して)69.9重量%の1,1-GPM及び29.8重量%の1,6-GPSを含有し、分離された第2の液相は(第2の液相の乾物の総重量に対して)20.2重量%の1,1-GPM及び78.6重量%の1,6-GPSを含有する。
【0248】
[例2]
以下の例では、本発明による方法(例2.1)と公知の結晶化方法(例2.2~2.4)とを比較している。
【0249】
実験を2リットルの冷却結晶化装置内で実施した。この装置は撹拌装置及びサーモスタットによる加熱用の二重ジャケットを備えている。結晶マグマの分離を加熱された加圧ヌッチェ又は工業用遠心分離機において行った。顕微鏡を使用して、結晶懸濁液中の結晶を画像ドキュメント化した。Olympus Stream Motionソフトウェアを使用して画像解析を行った。
【0250】
実験で得られた富化相を以下のように分析した:
- カールフィッシャー法を用いた濾過ケーク(第2の結晶相)の含水量の分析
- 屈折率測定法を用いた濾液(第2の液相)の含水量の分析
- HPLCによる1,1-GPM含有量及び1,6-GPS含有量の分析
- 長さ対幅比の分析:
Olympusのカメラ(Olympus UC 90)及びそれに付属のソフトウェア並びにZeissの顕微鏡(Carl Zeiss Axiolab re)を用いて、グリセロールで分散された第2のイソマルト含有懸濁液(マグマ)の顕微鏡結晶画像を4倍及び10倍の倍率で記録した。ランダムジェネレーターを用いて選択された結晶画像ごとに少なくとも20個の個別の結晶を画像解析ソフトウェアOlympus Stream Motionを用いて結晶長さ及び結晶幅に関して測定し(最大の特徴的な結晶長さ及びそれに対して90゜の角度の最大の特徴的な結晶幅)、測定された幅に対する測定された長さの比を計算により求め、そこから平均値又は中央値を求めた。好ましくは、顕微鏡による結晶写真(結晶画像)を横切って引かれた対角線をランダムジェネレーターとして使用し、この対角線上で結晶長さ及び幅の明確な区画化及び決定を可能にする全ての結晶を使用して長さ対幅比を求める。その際、線上に少なくとも20個の結晶を認識することができなければならない。さもなくば、別の顕微鏡写真を撮影して使用した。
【0251】
以下の表1において、この例で使用されたイソマルト溶液のTS(乾物)及びイソマルト溶液の総質量に対する1,1-GPM及び1,6-GPSの含有量を示す。
【0252】
【表1】
【0253】
[例2.1(本発明による)]:
例1による教示に従って得られた第2の懸濁液(マグマ)を、方法工程d)による遠心分離前に結晶化装置から部分的に取り出し、グリセロール中で希釈し、結晶画像を撮影する。方法工程d)による遠心分離機における固相と液相との分離を毎分1800回転の回転数で30分間更に実施する:
【0254】
図2A図2Dはグリセロール中に分散された得られたマグマの結晶画像(倍率4倍)を示し、図3A図3Dはグリセロール中に分散された得られたマグマの結晶画像(倍率10倍)を示す。
【0255】
マグマ中及び方法工程d)で得られた第2の結晶相中の得られた結晶の長さ対幅比は8.0(平均値)及び7.8(中央値)であった。
【0256】
以下の表2から、分離後に得られた相の組成を認識することができる(濾過ケークが固体結晶相であり、濾液が液相である)。
【0257】
【表2】
【0258】
固相中で得られた結晶は特に純度が高く、形状及びサイズにおいて高い均一性を示す。結晶化が完了した後の結晶懸濁液は結晶画像において微粒子の生成を示さない。方法工程d)で得られた第2の結晶相中に含まれる結晶の長さ対幅比は比較的小さい。得られた第2の結晶相の遠心分離を用いた分離は問題なく非常に満足に行われた。これは、とりわけ遠心分離後の結晶相中の1,1-GPMの富化において示される。1,6-GPS富化濾液、つまり1,6-GPSで富化された第2の液相は濾過ケークから非常に良好に抜け出ている。本発明によれば、得られた第2の結晶相において、1,1-GPMの富化及び1,6-GPSの低減が見い出されるのに対し、得られた1,6-GPSで富化された第2の液相においては同様に、それぞれ出発組成物と比べて1,6-GPSの富化及び1,1-GPMの低減が認められる。
【0259】
[例2.2(本発明によるものではない)]:
WO1997/008958A1は、1,6-GPS富化及び1,1-GPM富化の混合物を製造する方法を開示している。この文献の実施例2は、Isomalt(登録商標)を5kgの(完全脱塩された)水に加え、得られた懸濁液を35℃で粒度に応じて1~20時間撹拌して1,1-GPM及び1,6-GPS富化1,1-GPM/1,6-GPS混合物を製造することを開示している。この懸濁液を加熱された加圧ヌッチェにおいて35℃で液相と固相とに引き続き分離する。
【0260】
実験手順:
1.サーモスタットのスイッチを入れて2リットルの結晶化装置を加熱し、流れ温度を35.3℃に調整する。サーモスタットの内部温度センサーを介して温度制御を行う
2.999.79gの完全脱塩水を2リットルの結晶化装置に加える
3.撹拌装置のスイッチを入れ、回転数を毎分60回転に調整する
4.水を35℃に予熱する
5.999.96gのIsomalt ST-Mを2リットルの結晶化装置に加える
6.イソマルト添加の19.5時間後:サーモスタットを介して二重ジャケット型加圧ヌッチェを35℃に予熱する
7.イソマルト添加の20時間後:得られた結晶懸濁液(マグマ)を結晶化装置から取り出す
8.マグマの一部を完全脱塩水で希釈(1対1)したものを分析用に調製する
9.マグマの一部をグリセロール中に分散させて、懸濁液中の結晶画像を撮影する
10.200mlのマグマを予熱した加圧ヌッチェに移し、結晶と母液とを分離する。15~25μmのメッシュサイズを有するPorvair Sciences社のVyon D型のポリエチレン製フィルターフリースをフィルターとして使用する
11.集められた濾液を完全脱塩水で分析用に希釈(1対1)する
12.加圧ヌッチェから結晶を分析用に取り出す
【0261】
試験結果:
WO1997/008958A1の実施例2によれば、目標とする富化とその後の富化された固相と液相との分離用の出発材料として、イソマルト含有溶液ではなく、水中のイソマルトの懸濁液が使用される。したがって、この方法の範囲内では、35℃で約20時間インキュベートする間に溶液からのイソマルト成分の結晶化は起こらずに、未溶解のイソマルト成分が懸濁液の固相から液相へと部分的に溶けて溶解すること及びその逆が起こるのみである。
【0262】
図4A及び図4Bはグリセロール中に分散された得られたマグマの画像(倍率10倍)を示し、図4C及び図4Dはグリセロール中に分散された得られたマグマの画像(倍率20倍)を示す。
【0263】
高解像度の倍率が選択されたにもかかわらず、個々の結晶は認識されず、部分的に溶けたフレーク状の粒子のみが認識され、これは、出発懸濁液に使用された1,1-GPM及び1,6-GPSの小さな微結晶の集塊に相当するイソマルト粒子の部分非晶質的に凝固した構造に起因する。これらの構造は結晶化過程ではなく乾燥過程に由来するものであるため、古典的な結晶化において予想される結晶形態を示さない。この比較例で解釈される富化の原理は、溶解性がより良好な1,6-GPS成分が1,1-GPM及び1,6-GPS含有固体から溶出することに基づいているため、1,1-GPM及び1,6-GPS含有溶液からの結晶化による本発明による富化に相当するものではない。
【0264】
以下の表3から、分離後に得られた相の1,1-GPM及び1,6-GPSの含有量を認識することができる。
【0265】
【表3】
【0266】
[例2.3(本発明によるものではない)]:
EP0859006B2は、1,6-GPS富化及び1,1-GPM富化の混合物を製造する方法を開示している。この文献の実施例1は、種晶接種工程を使用し、結晶化の間に2つの異なる冷却速度を使用して1,1-GPM及び1,6-GPS富化1,1-GPM/1,6-GPS混合物を製造することを開示している。
【0267】
実験手順:
1.サーモスタットのスイッチを入れて2リットルの結晶化装置を加熱し、流れ温度を85℃に調整する
2.649.91gの完全脱塩水を2リットルの結晶化装置に加える
3.撹拌装置のスイッチを入れ、回転数を毎分100回転に調整する
4.水を85℃に加熱する
5.2453.2gのIsomalt ST-Fを2リットルの結晶化装置に加える
6.冷却プログラムを開始する
a.85℃を2時間維持する - 結晶化装置における外部PT100を介した温度制御 - 毎分100回転の撹拌装置の回転数
b.2時間かけて85℃を65℃に冷却する - サーモスタットにおける内部PT100を介した温度制御 - 毎分60回転の撹拌装置の回転数
c.23.3時間かけて65℃を37℃に冷却する - サーモスタットにおける内部PT100を介した温度制御 - 毎分60回転の撹拌装置の回転数
7.62℃に達した後:注射器を介して4.95 gのイソプロパノール中の0.5 gのIsomalt ST-PFを溶液へと加える
8.37℃に達した後:結晶化装置からマグマを取り出す
9.マグマの一部を完全脱塩水で希釈(1対1)したものを分析用に調製する
10.マグマの一部をグリセロール中に分散させて、懸濁液中の結晶画像を撮影する
11.604gのマグマを遠心分離機に移し、結晶と母液とを分離する。15~25μmのメッシュサイズを有するPorvair Sciences社のVyon D型のポリエチレン製フィルターフリースをスクリーンとして使用する。回転数は毎分1800回転である。遠心分離時間30分。水洗なし。
12.集められた排液を完全脱塩水で分析用に希釈(1対1)する
13.遠心分離機から結晶を取り出す
【0268】
遠心分離機での分離を満足に実施することができなかった。排液量は少なかった。濾過ケークは視覚的にはっきりと認識され得る高い残留水分を含んでいた。
【0269】
図5A図5B、及び図5Cはグリセロール中に分散されたマグマの結晶画像(倍率4倍)を示し、図5D図5E、及び図5Fはグリセロール中に分散されたマグマの結晶画像(倍率10倍)を示す。
【0270】
マグマ内の結晶の長さ対幅比は11.2(平均値)及び11.1(中央値)である。
【0271】
以下の表4から、分離後に得られた相の1,1-GPM及び1,6-GPSの含有量を認識することができる。
【0272】
【表4】
【0273】
結晶画像において、結晶化が完了した後、結晶懸濁液中で顕著な微粒子生成が発生していることがはっきりと認識できる。結晶の長さ対幅比は比較的大きい。遠心分離を用いた結晶相の分離は満足には可能でない。遠心分離後に得られる結晶相における1,1-GPMの富化は最小限であり、濾過ケークにおける1,1-GPM及び1,6-GPSの含有量はほぼ出発溶液の組成に相当する。1,6-GPS富化濾液は濾過ケークから非常に不十分にのみ抜け出ている。
【0274】
[例2.4(本発明によるものではない)]:
US6,414,138B1も、1,6-GPS富化及び1,1-GPM富化の混合物を製造する方法を開示している。この文献の実施例1は、例2.3の記載と同様であるが種晶接種を行わずに結晶化中に2つの異なる冷却速度を使用して1,1-GPM及び1,6-GPS富化1,1-GPM/1,6-GPS混合物を製造することを開示している。
【0275】
実験手順:
1.サーモスタットのスイッチを入れて2リットルの結晶化装置を加熱し、流れ温度を85℃に調整する
2.627.44gの完全脱塩水を2リットルの結晶化装置に加える
3.撹拌装置のスイッチを入れ、回転数を毎分100回転に調整する
4.水を85℃に加熱する
5.2372.5gのIsomalt ST-Fを2リットルの結晶化装置に加える
6.冷却プログラムを開始する
a.85℃を2時間維持する - 結晶化装置における外部PT100を介した温度制御 - 毎分100回転の撹拌装置の回転数
b.2時間かけて85℃を65℃に冷却する - サーモスタットにおける内部PT100を介した温度制御 - 毎分60回転の撹拌装置の回転数
c.23.3時間かけて65℃を37℃に冷却する - サーモスタットにおける内部PT100を介した温度制御 - 毎分60回転の撹拌装置の回転数
7.37℃に達した後:結晶化装置からマグマを取り出す
8.マグマの一部を完全脱塩水で希釈(1対1)したものを分析用に調製する
9.マグマの一部をグリセロール中に分散させて、懸濁液中の結晶画像を撮影する
【0276】
図6A図6B、及び図6Cはグリセロール中に分散されたマグマの結晶画像(倍率4倍)を示し、図6D図6E、及び図6Fはグリセロール中に分散されたマグマの結晶画像(倍率10倍)を示す。
【0277】
マグマ内の結晶の長さ対幅比は11.3(平均値)及び10.5(中央値)であった。
【0278】
これらの結晶画像においても、結晶化が完了した後、結晶懸濁液中で顕著な微粒子形成が発生していることがはっきりと認識できる。結晶の長さ対幅比は比較的大きく、例2.3からの比と同等である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】