(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ペロブスカイト太陽電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20240326BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20240326BHJP
H10K 30/85 20230101ALI20240326BHJP
H10K 30/57 20230101ALI20240326BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K30/85
H10K30/57
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562883
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2022004432
(87)【国際公開番号】W WO2022220449
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047651
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ウンジュ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251DA15
5F251FA02
5F251FA06
5F251XA54
(57)【要約】
本発明は、ペロブスカイト太陽電池およびそれを製造する方法に関し、特定成分で形成された電子伝達層と、前記電子伝達層とソース電極との間に導入されたパッシベーション層を含むペロブスカイト太陽電池およびそれを製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正孔伝達層(Hole transport layer)、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層(Electron transporting layer)、ソース電極(Source electrode)が順に積層された積層体を含み、
前記ソース電極と電子伝達層との間に導電性障壁層(Conductive barrier layer)が形成されており、
前記電子伝達層は、表面改質されたSnO
2ナノ粒子を含むことを特徴とするペロブスカイト太陽電池。
【請求項2】
前記導電性障壁層は、ITO(Induim Tin Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)、ATO(Sb
2O
3 doped Tin Oxide)、GTO(Gallium doped Tin Oxide)、ZTO(tin doped zinc oxide)、ZTO:Ga(gallium doped ZTO)、IGZO(Indium gallium zinc oxide、IZO(Indium doped zinc oxide)またはAZO(Aluminum doped zinc oxide)が蒸着された透明薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項3】
前記電子伝達層は、平均厚さ100nm以下であり、前記導電性障壁層は、平均厚さ50~120nmであることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項4】
前記電子伝達層は、厚さ20~30nmであるとき、500~550nmの波長に対する光透過度(transmittance)が88~95%であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項5】
前記電子伝達層の表面は、RMS(root mean square)粗さ(roughness)が25nm以下であり、
前記導電性障壁層の表面は、RMS粗さが30nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項6】
前記ペロブスカイト太陽電池は、ピン構造型ペロブスカイト太陽電池、逆構造型ペロブスカイト太陽電池、タンデム型ペロブスカイト太陽電池またはタンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項7】
前記ペロブスカイト太陽電池は、逆構造型ペロブスカイト太陽電池であり、
ドレーン電極(drain electrode)、正孔伝達層、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層、導電性障壁層およびソース電極が順に積層された構造を含むことを特徴とする請求項6に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項8】
前記ペロブスカイト太陽電池は、タンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池であり、
ドレーン電極(drain electrode)、シリコン太陽電池、再結合層、正孔伝達層、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層、導電性障壁層およびソース電極が順に積層された構造を含むことを特徴とする請求項6に記載のペロブスカイト太陽電池。
【請求項9】
正孔輸送層、ペロブスカイト光吸収層を含む積層体のペロブスカイト光吸収層の上部に電子伝達層形成用コーティング剤をコートし、電子伝達層を形成する段階と;
前記電子伝達層の上部に蒸着工程を介して透明な薄膜の導電性障壁層を形成する段階と
;
前記導電性障壁層の上部にソース電極を形成する段階と;を含み、
前記電子伝達層形成用コーティング剤は、表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%および残量の有機溶媒を含むことを特徴とするペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記コートは、溶液コート工程で行うことを特徴とする請求項9に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定成分で形成された電子伝達層と、前記電子伝達層とソース電極との間に導入された導電性障壁層を含むペロブスカイト太陽電池およびそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの枯渇とその使用による地球環境問題を解決するために、太陽エネルギー、風力、水力などの再生可能であり、清浄な代替エネルギー源の研究が活発に行われている。
【0003】
この中で太陽光から直接電気的エネルギーを変化させる太陽電池に対する関心が大きく増加している。ここで、太陽電池とは、太陽光から光エネルギーを吸収し、電子と正孔を発生する光起電効果を用いて電流-電圧を生成する電池を意味する。
【0004】
現在、光エネルギー変換効率が20%を超えるn-pダイオード型シリコン(Si)単結晶ベースの太陽電池の製造が可能で、実際に太陽光発電に使用されており、これよりさらに変換効率に優れたガリウムヒ素(GaAs)のような化合物半導体を用いた太陽電池もある。しかしながら、このような無機半導体ベースの太陽電池は、高効率化のために、非常に高純度に精製した素材が必要であるため、原素材の精製に多くのエネルギーが消費され、また、原素材を用いて単結晶あるいは薄膜化する過程に高価な工程装備が要求され、太陽電池の製造コストを低減するに限界があり、大規模的な活用に障害物になってきた。
【0005】
これによって、太陽電池を低コストで製造するためには、太陽電池の核心として使用される素材あるいは製造工程のコストを大幅減少させる必要があり、無機半導体ベースの太陽電池の代わりに、低コストの素材と工程で製造が可能なペロブスカイト太陽電池に関する研究が進められている。
【0006】
最近、ペロブスカイト構造のハロゲン化合物である(NH3CH3)PbX3(X=I、Br、Cl)を光活性体として使用するペロブスカイト太陽電池が開発され、商業化のための研究が行われている。ペロブスカイト構造の一般的な構造式は、ABX3構造であり、Xサイトにアニオンが位置し、Aサイトにサイズの大きいカチオンが位置し、Bサイトにサイズの小さいカチオンが位置する構造を有する。
【0007】
分子式(CH3NH3)PbX3の有機金属ハロゲン化合物であるペロブスカイト太陽電池は、2009年に初めて太陽電池の光活性体として使用された。その後、2012年に現在のような構造の固体型ペロブスカイト太陽電池が開発されて以来、急速に効率向上がなされてきた。通常のペロブスカイト太陽電池は、電子伝達層として金属酸化物を使用し、正孔輸送層(HTL)としてspiro-OMETADのような有機物または高分子物質を主に使用する。すなわち、FTOのような透明電極に金属酸化物多孔性膜または薄膜を製作し、ペロブスカイト物質をコートし、その後、正孔輸送層をコートした後、金(Au)または、銀(Ag)のような電極層を蒸着する。
【0008】
ペロブスカイト太陽電池の商業化のための重要な課題は、安定性の確保およびフレキシブル(flexible)技術であり、光活性層の上部に金属酸化物を用いて形成された従来の電子伝達層は、光活性層(または、光吸収層)の上部に金属酸化物を蒸着または金属酸化物をコートした後、その上に別の有機バインダーコーティング層を形成した。とこ
ろで、金属酸化物を蒸着させて形成する場合、製造工程が複雑になり、製造コストを大きく向上させ、蒸着工程過程で発生する物理的、化学的エネルギーにより光吸収層が損傷することがあるという不都合がある。また、有機バインダーコーティング層を形成する方法は、コーティング層の形成のために高温熱処理を行うが、ペロブスカイト物質は、200℃以上の高温で分解する問題があり、太陽電池のフレキシブル性を低下させて、ペロブスカイト太陽電池の適用範囲を狭小にする問題がある。
【0009】
また、一般的に、ペロブスカイト異種接合太陽電池の製造時、光吸収層の損傷なしに電子伝達層を形成するためにフラーレン(C60)を蒸着を介して導電性障壁層として形成するが、フラーレンは、吸光度が高く、不要な光吸収(parasitic absorption)を引き起こして、太陽電池の短絡電流密度Jscなどの効率を減少させる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した問題を克服するためになされたものであって、太陽電池のJscを減少させるフラーレン蒸着層を形成することなく、特定素材で形成された電子伝達層とソース電極との間に導電性障壁層を形成し、高い効率を確保したペロブスカイト太陽電池およびそれを製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のペロブスカイト太陽電池は、正孔伝達層(Hole transport layer)、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層(Electron transporting layer)、ソース電極(Source electrode)が順に積層された構造を含み、前記ソース電極と電子伝達層との間に導電性障壁層(Conductive barrier layer)が形成されていてもよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態において、前記電子伝達層は、表面改質されたSnO2ナノ粒子を含んでもよい。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態において、前記電子伝達層は、平均厚さ100nm以下であってもよい。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態において、前記電子伝達層は、厚さ20~30nmであるとき、500~550nmの波長に対する光透過度(transmittance)が88~95%であってもよい。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、前記電子伝達層の表面は、RMS(root mean square)粗さ(roughness)が25nm以下であってもよい。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態において、前記導電性障壁層は、ITO(Induim Tin Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)、ATO(Sb2O3 doped Tin Oxide)、GTO(Gallium doped Tin Oxide)、ZTO(tin doped zinc oxide)、ZTO:Ga(gallium doped ZTO)、IGZO(Indium gallium zinc oxide,IZO(Indium doped zinc oxide)またはAZO(Aluminum doped zinc oxide)が蒸着された透明薄膜であってもよい。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態において、前記導電性障壁層は、平均厚さが50~110nmであってもよい。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態において、前記導電性障壁層の表面は、RMS粗さが30nm以下であってもよい。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態において、前記導電性障壁層は、シート抵抗が80Ω/sq以下であってもよい。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明のペロブスカイト太陽電池は、ピン構造型ペロブスカイト太陽電池、逆構造型ペロブスカイト太陽電池、タンデム型ペロブスカイト太陽電池またはタンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池であってもよい。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明のペロブスカイト太陽電池が逆構造型ペロブスカイト太陽電池である場合、ドレーン電極(drain electrode)、正孔伝達層、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層、導電性障壁層およびソース電極が順に積層された構造を有していてもよい。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明のペロブスカイト太陽電池がタンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池である場合、ドレーン電極(drain electrode)、シリコン太陽電池、再結合層、正孔伝達層、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層、導電性障壁層およびソース電極が順に積層された構造を有していてもよい。
【0023】
本発明の他の目的は、前述したようなペロブスカイト太陽電池を製造する方法に関し、正孔輸送層、ペロブスカイト光吸収層を含む積層体のペロブスカイト光吸収層の上部に電子伝達層形成用コーティング剤をコートし、電子伝達層を形成する段階と;前記電子伝達層の上部に蒸着工程を介して透明な薄膜の導電性障壁層を形成する段階と;前記導電性障壁層の上部にソース電極を形成する段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態において、前記コートは、溶液コート工程で行うことができ、前記コートは、スピンコート、ブレードコートまたはバーコートなどの溶液コート法で行うことができる。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態において、前記電子伝達層形成用コーティング剤は、表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%および残量の有機溶媒を含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のペロブスカイト太陽電池は、低温熱処理を通して超薄膜を形成できる電子伝達層形成用コーティング剤を用いて溶液コート法で電子伝達層を形成することができるところ、電子伝達層の形成時、光吸収層の損傷を防止することができ、電子伝達層とソース電極との間に形成された導電性障壁層により電極の浸透およびイオン移動(ion migration)を防止することによって、太陽電池の光電変換効率の低下を防止することができ、太陽電池の長期性能安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施例1で製造したSnO
2ナノ粒子のTEM測定イメージである。
【
図2】
図2は、実施例1で製造したSnO
2ナノ粒子のXRD測定グラフである。
【
図3】
図3は、実施例1で製造した表面改質されたSnO
2ナノ粒子のFT-IR測定グラフである。
【
図4】
図4の(a)は、改質されていないSnO
2ナノ粒子をイソプロパンアルコールに分散させた溶液を撮った写真であり、(b)は、実施例1で製造した電子伝達層形成用コーティング液を撮った写真である。
【
図5】
図5は、実施例1の電子伝達層形成用コーティング液を用いて製造した薄膜の透過率を測定した結果である。
【
図6】
図6は、製造例1および比較製造例1の太陽電池に対するSEM測定イメージである。
【
図7】
図7は、製造例1および比較製造例1の太陽電池に対するSEM測定イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0029】
従来のペロブスカイト太陽電池は、光吸収層の損傷なしに電子伝達層を形成するために、フラーレン(C60)、C60およびSnO2の二重蒸着層、C60およびSnO2を含む薄膜層などの超薄膜層を導電性障壁層で形成したが、フラーレンは、吸光度が高く、不要な光吸収(parasitic absorption)を引き起こして、太陽電池の短絡電流密度Jscなどを減少させる問題があった。
【0030】
これより、本発明は、フラーレン(C60)超薄膜層を排除させ、電子伝達層素材を最適化させ、前記伝達伝達層とソース電極との間に導電性障壁層を形成することによって、電極の浸透およびイオン移動(ion migration)を防止し、光電変換効率の低下を防止し、太陽電池の長期性能安定性を向上させたペロブスカイト太陽電池に関する。
【0031】
本発明のペロブスカイト太陽電池は、ピン構造型ペロブスカイト太陽電池、逆構造型ペロブスカイト太陽電池、タンデム型ペロブスカイト太陽電池またはタンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池であってもよく、正孔伝達層(Hole transport layer,HTLまたは正孔輸送層)、ペロブスカイト光吸収層、電子伝達層(Electron transporting layer,ETL)、導電性障壁層(Passivation layer)およびソース電極(Source electrode)が順に積層された構造の積層体を含む太陽電池である。
【0032】
好ましい一具現例を挙げると、本発明の太陽電池が逆構造型ペロブスカイト太陽電池である場合、ドレーン電極(drain electrode)の上部に前記積層体が積層された形態であってもよい。
【0033】
また、前記逆構造ペロブスカイト太陽電池は、導電性基板、ドレーン電極、正孔輸送層、光吸収層、電子伝達層およびソース電極が順に積層された形態が1個のセットを構成し、前記セットが単層または多数層で積層されて形成されることもできる。
【0034】
さらに他の好ましい一具現例を挙げると、本発明の太陽電池がタンデム型シリコン/ペロブスカイト異種接合太陽電池である場合、ドレーン電極(drain electrode)、シリコン太陽電池、再結合層および前記積層体が順に積層された形態であってもよい。
【0035】
このような本発明のペロブスカイト太陽電池を構成する前記積層体を製造する方法に基
づいて本発明を詳しく説明すると、前記積層体は、正孔輸送層、ペロブスカイト光吸収層を含む積層体のペロブスカイト光吸収層の上部に電子伝達層形成用コーティング剤をコートし、電子伝達層を形成する1段階と;前記電子伝達層の上部に蒸着工程を介して透明な薄膜の導電性障壁層を形成する2段階と;前記導電性障壁層の上部にソース電極を形成する3段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0036】
前記正孔輸送層(HTL)は、無機および/または有機正孔伝達物質を含んでもよい。前記無機正孔伝達物質は、ニッケル酸化物(NiOx)、CuSCN、CuCrO2およびCuIの中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0037】
前記有機正孔伝達物質は、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリジン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ペンタセン(pentacene)、クマリン6(coumarin 6,3-(2-benzothiazolyl)-7-(diethylamino)coumarin)、ZnPC(zinc phthalocyanine)、CuPC(copper phthalocyanine)、TiOPC(titanium oxide phthalocyanine)、Spiro-MeOTAD(2,2’,7,7’-tetrakis(N、N-p-dimethoxyphenylamino)-9,9’-spirobifluorene)、F16CuPC(copper(II)1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25-hexadecafluoro-29H、31H-phthalocyanine)、SubPc(boron subphthalocyanine chloride)およびN3(cis-di(thiocyanato)-bis(2,2’-bipyridyl-4,4’-dicarboxylic acid)-ruthenium(II)、P3HT(poly[3-hexylthiophene])、MDMO-PPV(poly[2-methoxy-5-(3’,7’-dimethyloctyloxyl)]-1,4-phenylene vinylene)、MEH-PPV(poly[2-methoxy-5-(2’’-ethylhexyloxy)-p-phenylene vinylene])、P3OT(poly(3-octyl thiophene))、POT(poly(octyl thiophene))、P3DT(poly(3-decyl thiophene))、P3DDT(poly(3-dodecyl thiophene)、PPV(poly(p-phenylene vinylene))、TFB(poly(9,9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenyl amine)、ポリアニリン(Polyaniline)、Spiro-MeOTAD([2,22’,7,77’-tetrkis(N,N-di-pmethoxyphenyl amine)-9,9,9’-spirobi fluorine])、CuSCN,CuI,PCPDTBT(Poly[2,1,3-benzothiadiazole-4,7-diyl[4,4-bis(2-ethylhexyl-4H-cyclopenta[2,1-b:3,4-b’]dithiophene-2,6-diyl]],Si-PCPDTBT(poly[(4,4’-bis(2-ethylhexyl)dithieno[3,2-b:2’,3’-d]silole)-2,6-diyl-alt-(2,1,3-benzothiadiazole)-4,7-diyl])、PBDTTPD(poly((4,8-diethylhexyloxyl)、PFDTBT(poly[2,7-(9-(2-ethylhexyl)-9-hexyl-fluorene)-alt-5,5-(4’,7,-di-2-thienyl-2’,1’,3’-benzothiadiazole)])、PFO-DBT(poly[2,7-9,9-(dioctyl-fluorene)-alt-5,5-(4’,7’-di-2-thienyl-2’,1’,3’-benzothiadiazole)])、PSiFDTBT(poly[(2,7-dioctylsilafluorene)-2,7-diyl-alt-(4,7-bis(2-thienyl)-2,1,3-benzothiadiazole)-5,5’-diyl])、PCDTBT(Poly[[9-(1-octylnonyl)-9H-carbazole-2,7-diyl]-2,5-thiophenediyl-2,1,3-benzothiadiazole-4,7-diyl-2,5-thiophenediyl])、PFB(poly(9,9’-dioctylfluorene-co-bis(N,N’-(4,butylphenyl))bis(N,N’-phenyl-1,4-phenylene)diamine)、F8BT(poly(9,9’-dioctylfluorene-cobenzothiadiazole)、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))、PEDOT:PSS poly(3,4-ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate)、PTAA(poly(triarylamine))、2-PACz、および/またはMeO-2PACzを含んでもよい。
【0038】
また、前記正孔輸送層の形成方法としては、塗布法、および真空蒸着法などが挙げられ、塗布法としては、グラビアコート法、バーコート法、印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法およびダイコート法などが挙げられる。
【0039】
次に、前記光吸収層は、太陽電池の光吸収層に適用される一般的にペロブスカイト素材を含んでもよいし、好ましい一例を挙げると、下記化学式2で表されるペロブスカイト物質を含んでもよい。
【0040】
[化学式2]
CMX3
【0041】
化学式2中、Cは、1価カチオンであり、アミン、アンモニウム、1族金属、2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン類似化合物を含んでもよいし、好ましくは、ホルムアミジニウム(FA,formamidinium)、メチルアンモニウム(MA,methylammonium)、FAMA、CsFAMAまたはN(R)4
+(ここで、Rは、同じかまたは異なる基であってもよく、Rは、炭素数1~5の直鎖状アルキル基、炭素数3~5の分岐鎖状アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基またはアルキルハライドである)、
また、化学式2のMは、2価カチオンであり、Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Pb、Bi、Ge、Ti、EuおよびZrの中から選ばれた1種または2種を含んでもよい。
【0042】
また、化学式2のXは、1価アニオンであり、F、Cl、BrおよびIの中から選ばれた1種以上のハライド元素および/または16族アニオンを含んでもよいし、好ましい一例を挙げると、Xは、IxBr3-x(0≦x≦3)であってもよい。
【0043】
また、前記化学式2の好ましい一具現例を挙げると、FAPbIxBr3-x(0≦x≦3)、MAPbIxBr3-x(0≦x≦3)、CsMAFAPbIxBr3-x(0
≦x≦3)、CH3NH3PbX3(X=Cl、Br、I、BrI2、またはBr2I)、CH3NH3SnX3(X=Cl、BrまたはI)、CH(=NH)NH3PbX3(X=Cl、Br、I、BrI2、またはBr2I)、CH(=NH)NH3SnX3(X=Cl、BrまたはI)などがある。
【0044】
また、本発明の太陽電池において、前記光吸収層は、同じペロブスカイト物質で構成さ
れた単層であるか、または異なるペロブスカイト物質で構成された層が多数積層された多層構造であってもよく、1種のペロブスカイト物質からなる光吸収層の内部に柱状、板状、針状、ワイヤー状、棒状などのピラー状を有する前記1種のペロブスカイト物質とは異なる異種のペロブスカイト物質を含むこともできる。
【0045】
次に、前記電子伝達層形成用コーティング剤は、表面改質された金属酸化物ナノ粒子が有機溶媒に分散した分散液であり、全重量中、前記表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%および残量の有機溶媒を含み、好ましくは、前記表面改質された金属酸化物0.58~2.88重量%および残量の有機溶媒を含み、より好ましくは、前記表面改質された金属酸化物0.65~1.91重量%および残量の有機溶媒を含む。
【0046】
ここで、コーティング剤内表面改質された金属酸化物含有量が0.50重量%未満であれば、SnO2含有量が十分でなく、SnO2薄膜の形成時に光吸収層が露出する問題があり得、3.00重量%を超えると、SnO2薄膜の厚さが増加し、太陽電池の短絡電流Jscおよび開放電圧Vocの値が減少する問題があり得るので、前記範囲内に表面改質された金属酸化物を含んだ方が良い。
【0047】
また、前記有機溶媒は、誘電定数(dielectric constant)が20以下、好ましくは、誘電定数5~15の溶媒を使用することができる。このような、有機溶媒の具体的な例としては、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メトキシエタノールおよびエチルアセテートなどがあり、これを本発明の有機溶媒として単独、または混合して使用することができる。まし、誘電率が20超の溶媒を使用する場合、SnO2粒子と極性溶媒間の引力が増加し、SnO2粒子が凝集する問題(分散性および分散安定性の低下)があり得、SnO2薄膜の形成過程で極性溶媒に光吸収層としてのペロブスカイト物質が分解する問題があり得る。
【0048】
前記表面改質された金属酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子を製造する1段階と;前記金属酸化物を下記化学式1で表される化合物と反応させて、表面改質された金属酸化物ナノ粒子を製造する2段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0049】
【0050】
前記化学式1中、R1~R5は、独立して、水素原子またはハロゲン原子であり、好ましくは、ハロゲン原子であり、より好ましくは、-Fである。また、nは、0~5であり、好ましくは、0~3であり、より好ましくは、0~2である。
【0051】
より具体的には、前記1段階は、金属前駆体および超純水を混合し、金属前駆体溶液を製造する1-1段階と;前記金属前駆体溶液に塩基性水溶液を添加し、反応溶液を製造する1-2段階と;前記反応溶液の水熱合成を行い、水熱合成物から金属酸化物ナノ粒子を収得する1-3段階と;を含む工程を行うことで製造することができる。
【0052】
表面改質された金属酸化物ナノ粒子の製造方法において、前記1-1段階の金属前駆体溶液は、金属前駆体および超純水を含んでもよいし、金属前駆体溶液内金属前駆体の濃度
は、0.15~0.7M、好ましくは、0.16~0.5Mを含んでもよい。ここで、金属前駆体溶液内金属前駆体の濃度が0.15M未満であれば、金属酸化物ナノ粒子の収得量が少なすぎることがあり、金属前駆体溶液内金属前駆体の濃度が0.7Mを超えると、金属前駆体水溶液粘度が増加し、同一工程条件下で製造時に、金属酸化物ナノ粒子のサイズが不均一に形成され、均一なナノ粒子を収得できない問題があり得る。
【0053】
表面改質された金属酸化物ナノ粒子の製造方法において、前記1-2段階の塩基性水溶液は、KOH水溶液、NaOH水溶液、ヒドラジン(Hydrazine)水溶液およびNH4OH水溶液の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。また、塩基性水溶液の使用量は、反応溶液のpHが8.0以上、好ましくは、pH8.0~pH9.0、より好ましくは、pH8.2~8.8程度となるように金属前駆体溶液に投入し、ここで、pHが8未満であれば、金属酸化物ナノ粒子の収得量が少なすぎることがあり、また、金属前駆体溶液がゲル(Gel)化して撹拌がうまくいかない問題があり得、pHが高すぎると、金属酸化物粒子の粒径が非常に大きくなる問題があり得る。
【0054】
表面改質された金属酸化物ナノ粒子の製造方法において、前記1-3段階の水熱合成は、当業界において使用する一般的な水熱合成法を適用して行うことができ、前記水熱合成は、100~200℃、好ましくは、120~190℃、より好ましくは、140~180℃下で6~48時間、好ましくは、10~24時間、より好ましくは、12~18時間行った方が良い。ここで、水熱合成温度が100℃未満であれば、金属酸化物の結晶性が低い問題があり得、200℃を超えると、金属酸化物粒子のサイズが増加する問題があり得る。また、水熱合成時間が6時間未満であれば、金属酸化物ナノ粒子の収率が低下すぎる問題があり得、48時間を超えると、水熱合成物のサイズが大きくなりすぎる問題があり得るので、前記時間内で水熱合成を行った方が良い。
【0055】
水熱合成を通して収得した金属酸化物ナノ粒子を超純水およびエタノールを用いて3~5回繰り返し洗浄することができる。
【0056】
このように収得した金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径2~10nm、好ましくは、平均粒径2~8nm、より好ましくは、平均粒径3~5nmであってもよい。
【0057】
また、前記金属酸化物ナノ粒子の金属酸化物は、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ジンク(Zn)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)およびガリウム(Ga)の中から選ばれた1種または2種以上を含む金属の酸化物であってもよく、一具現例を挙げると、前記金属酸化物は、SnO2、TiO2、ZnO、CeO2および/またはZn2SnO4などを含んでもよいし、好ましくは、SnO2および/またはZnOを含んでもよい。
【0058】
表面改質された金属酸化物ナノ粒子の製造方法において、前記2段階は、1段階で収得した金属酸化物ナノ粒子の表面を改質させる工程であり、前記金属酸化物ナノ粒子および超純水を混合し、溶液を製造する2-1段階と;前記溶液に前記化学式1で表される化合物を添加し、反応溶液を製造する2-2段階と;前記反応溶液を還流反応を行う2-3段階と;還流反応を行った溶液から反応生成物を分離し、分離した反応生成物を洗浄する2-4段階と;洗浄した反応生成物を乾燥し、表面改質された金属酸化物ナノ粒子を収得する2-5段階と;を含む工程を行うことができる。
【0059】
前記反応溶液は、金属酸化物ナノ粒子100重量部に対して超純水100~700重量部および前記化学式1で表される化合物300~1,500重量部を含んでもよいし、好ましくは、金属酸化物ナノ粒子100重量部に対して超純水350~600重量部および
前記化合物400~1,200重量部を含んでもよいし、より好ましくは、超純水350~550重量部および前記化合物450~850重量部を含んでもよい。ここで、超純水の使用量が100重量部未満であれば、表面改質工程中に溶媒の還流が十分に行われず、表面改質が均一に行われない問題があり得、700重量部を超えると、還流反応時間が長すぎる問題があり得る。また、前記化合物の使用量が300重量部未満であれば、金属酸化物の表面の改質度合が非常に不十分または不均一で、金属酸化物粒子が均一に溶媒に均等に分散せずに沈殿する問題があり得、1,500重量部を超えると、非経済的であり、かえって未反応化合物によって太陽電池の素子特性が低下する問題があり得るので、前記範囲内で使用した方が良い。
【0060】
2-3段階の還流反応は、80~140℃下で、好ましくは、80~120℃下で行うことができ、ここで、還流反応温度が80℃未満であれば、還流が十分に行われない問題があり得、140℃を超えると、金属酸化物の表面が過度に改質され、太陽電池素子の駆動を阻害する問題があり得る。また、還流反応時間は、約1~4時間、好ましくは、約1.5~3時間が適切である。
【0061】
2-4段階の分離および/または洗浄は、当業界において使用する一般的な方法で行うことができ、一具現例を挙げると、遠心分離を行って反応溶液から還流反応生成物を収得した後、これを超純水などで洗浄して行うことができる。
【0062】
2-5段階の乾燥は、当業界において使用する一般的な方法で行うことができ、一具現例を挙げると、洗浄を行って収得した反応生成物を50~80℃のオーブンで熱を加えて行うことができる。
【0063】
前述したような電子伝達層形成用コーティング剤は、スピンコート(spin coating)、ブレードコート(blade coating)、バーコート(bar coating)、スプレーコート(spray coating)、グラビアコート、ダイコートなど一般的な溶液コート方法でコートを行うことができ、一具現例を挙げると、コート後に200℃以下に熱処理加工して、厚さ100nm以下、好ましくは、厚さ1~40nm、より好ましくは、 厚さ1~20nmの超薄膜を形成することもできる。
【0064】
本発明のペロブスカイト太陽電池の製造方法において、前記1段階の積層体は、導電性基板上にドレーン電極を形成した後、前記ドレーン電極上に前述したような正孔輸送層、ペロブスカイト光吸収層および電子伝達層を順に形成することもできる。
【0065】
ここで、前記導電性基板は、当業界において使用する一般的な導電性基板を使用することができ、一例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル、またはポリイミドなどの素材で製造された透明プラスチック基板、ガラス基板、石英基板、シリコン基板などを使用することができる。
【0066】
前記ドレーン電極は、導電性金属、導電性金属の合金、金属酸化物および導電性高分子の中から選ばれた1種以上を含む素材で製造することができ、好ましい一例を挙げると、ITO(Induim Tin Oxide)、FTO(Fluorine doped
Tin Oxide)、ATO(Sb2O3 doped Tin Oxide)、GTO(Gallium doped Tin Oxide)、ZTO(tin doped zinc oxide)、ZTO:Ga(gallium doped ZTO)、IGZO(Indium gallium zinc oxide,IZO(Indium doped zinc oxide)および/またはAZO(Aluminum doped zinc oxide)などを含んでもよい。
【0067】
1段階で形成された電子伝達層は、厚さが100nm以下、好ましくは、1~40nm、より好ましくは、1~20nmで形成した方が良く、ここで、電子伝達層の厚さが100nmを超えると、太陽電池の短絡電流Jscおよび開放電圧Vocが減少する問題があり得るので、前記範囲内の厚さで形成した方が良い。
【0068】
このように形成されたコーティング層、すなわち電子伝達層の表面は、粗さが非常に低く形成されることができ、RMS(root mean square)粗さ(roughness)が25nm以下、好ましくは、17.0~25.0nm、より好ましくは、17.5~24.0nmを満たすことができる。
【0069】
次に、本発明のペロブスカイト太陽電池の製造方法において、前記2段階は、電子伝達層の上部に蒸着工程を介して透明な薄膜の導電性障壁層を形成する工程であり、前記導電性障壁層は、ITO(Induim Tin Oxide)、FTO(Fluorine
doped Tin Oxide)、ATO(Sb2O3 doped Tin Oxide)、GTO(Gallium doped Tin Oxide)、ZTO(tin doped zinc oxide)、ZTO:Ga(gallium doped
ZTO)、IGZO(Indium gallium zinc oxide,IZO(Indium doped zinc oxide)またはAZO(Aluminum
doped zinc oxide)が蒸着された透明薄膜であってもよい。
【0070】
ここで、前記蒸着は、当業界において使用する一般的な蒸着工程で行うことができ、好ましくは、スパッタリング工法を用いて工程温度100℃以下でRF power 100~300W、工程圧力1~3mTorr、アルゴン(Ar)flow 10~40sccmの条件によって蒸着工程を行うことができる。
【0071】
また、前記導電性障壁層の表面は、RMS粗さが30nm以下、好ましくは、17.5~27.0nm、より好ましくは、18.0~25.0nmを満たすことができる。
【0072】
また、前記導電性障壁層は、シート抵抗80Ω/sq以下、好ましくは、76Ω/sq以下、より好ましくは、30.0~70Ω/sqと低いシート抵抗を有していてもよい。
【0073】
2段階で形成された導電性障壁層は、平均厚さ50~110nm、好ましくは、平均厚さ55~105nm、より好ましくは、平均厚さ60~100nmであってもよい。ここで、導電性障壁層の平均厚さが50nm未満であれば、厚さが薄すぎるため、導電性障壁層の導入による電極の浸透およびイオン移動(ion migration)の防止効果が不十分であるか、シート抵抗が増加し、素子性能が減少する問題を惹き起こす。また、導電性障壁層の平均厚さが110nmを超えると、シート抵抗が減少することにより電荷移動が円滑になるため、素子駆動に有利な長所があるが、工程時間が増加するにつれて光吸収層の損傷が発生し、生産性が減少する問題があり得、タンデム素子の場合、光の受光方向が導電性障壁層を経てペロブスカイト光活性層に到達するので、厚い導電性障壁層によって不要な光電流損失が発生することがあるので、前記範囲の平均厚さを有するように蒸着工程を行って、導電性障壁層を形成した方が良い。
【0074】
次に、本発明のペロブスカイト太陽電池の製造方法において、前記3段階は、2段階で形成した導電性障壁層の上部にソース電極を形成する工程であり、前記ソース電極は、Pt、Au、Ni、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、Cおよび導電性高分子の中から選ばれた1種以上の物質をコートまたは蒸着させて形成することができる。
【0075】
また、本発明の太陽電池の構成のうち前記ソース電極は、Pt、Au、Ni、Cu、A
g、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、Cおよび導電性高分子の中から選ばれた1種以上の物質をコートまたは蒸着させて形成することができる。
【0076】
また、本発明の太陽電池は、前記光吸収層と電子伝達層との間にパッシベーション層(passivation)をさらに含むこともできる。
【0077】
以下では、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは、本発明の理解を助けるものと解すべきである。
【0078】
[実施例]
実施例1:電子伝達層(ETL)形成用コーティング液の製造
(1)SnO
2ナノ粒子の製造
SnCl
4・5H
2Oを超純水が入っているビーカーに投入し、撹拌して、SnCl
4濃度0.33Mの金属前駆体溶液を製造した後、金属前駆体溶液265mlに塩基性水溶液NH
4OH35mlを添加し、水溶液のpHが約8.0~8.5の反応溶液を製造した。
前記反応性溶液を圧力容器(Autoclave or hydrothermal reactor)に入れ、180℃で12時間水熱合成を実施した。
次に、水熱合成を通して収得した収得物を超純水およびエタノールを用いて3~5回洗浄し、SnO
2ナノ粒子を製造した。
製造したSnO
2ナノ粒子の平均粒径は、3~5nmであった。
また、製造したSnO
2ナノ粒子のTEM測定イメージを
図1に示し、XRD測定結果を
図2に示した。
【0079】
(2)表面改質されたSnO
2ナノ粒子の製造
上記で製造した前記SnO
2ナノ粒子8gを超純水40mLが入っている丸底フラスコに投入し、撹拌した後、TFA(Trifluoroacetic acid)54gを添加し、反応溶液を製造した。製造した反応溶液を含んでいる丸底フラスコに冷却器(condenser)を装着し、90℃で2時間還流反応を実施した。
次に、前記還流反応させた反応溶液を遠心分離機を用いてナノ粒子を分離した後、60℃のオーブンで乾燥し、表面改質されたSnO
2ナノ粒子を製造した。
また、製造した表面改質されたSnO
2ナノ粒子のFT-IR測定結果を
図3に示した。
【0080】
(3)表面改質されたSnO
2ナノ粒子の分散溶液(コーティング液)の製造
上記で製造した前記表面改質されたSnO
2ナノ粒子30mgを極性の低いイソプロピルアルコール(誘電定数≦20)4mlに添加した後、超音波粉砕機を用いて分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液(表面改質された金属酸化物約0.74重量%)を製造した。
また、分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液を撮った写真を
図4のbに示し、
図4のaは、表面改質されていないSnO
2ナノ粒子30mgをイソプロピルアルコールに添加した後、超音波粉砕機を用いて分散させた後に撮った写真である。
【0081】
比較例1
実施例1の(1)で製造したSnO
2ナノ粒子を表面改質工程なしに準備した。
次に、前記表面改質されていないSnO
2ナノ粒子を30mgをイソプロピルアルコール4mlに添加した後、超音波粉砕機を用いて分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液を製造した。製造したコーティング液を撮った写真を
図4のaに示した。
【0082】
実施例2~実施例3および比較例2~比較例3
前記実施例1と同一に電子伝達層形成用コーティング液を製造するものの、下記表1のような組成を有する表面改質されたSnO2ナノ粒子を製造した後、表面改質されたSnO2ナノ粒子を有機溶媒と混合した後、超音波粉砕機を用いて分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液をそれぞれ製造し、実施例2~3および比較例2~3を実施した。
【0083】
比較例4
前記実施例1と同一に電子伝達層形成用コーティング液を製造するものの、実施例1の前記表面改質されたSnO2ナノ粒子を誘電定数が25のエチルアルコールと混合した後、超音波粉砕機を用いて分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液をそれぞれ製造し、比較例4を実施した。
【0084】
【0085】
実験例1:超薄膜の製造およびコーティング層の表面粗さ、光透過率の測定
前記実施例および比較例で製造したコーティング液それぞれをガラス基板とガラス基板を含むペロブスカイト薄膜の上部にスピンコートした後、30℃で熱処理し、厚さ20nmの超薄膜を製造した。
【0086】
次に、ガラス基板を含むペロブスカイト薄膜の上部に形成した超薄膜(電子伝達層)の表面粗さを非接触式方法で測定した後、粗さの二乗平均平方根(root-mean-squre,rms)で算出したものであり、任意の3ポイント(point)の表面粗さを測定した後、測定された3ポイントの表面粗さ平均値を下記表2に示した。
【0087】
また、ガラス基板に形成した前記超薄膜をUVスペクトル測定方法で近赤外線光線を超薄膜が形成された基板に走査し、試料に対する吸光度と光透過率(tranmittance,%)を測定し、その結果を下記表2に示し、実施例1に対する光透過率の測定結果
を
図5に示した。ここで、光透過率は、波長500~550nmにおける光透過率である。
【0088】
【0089】
前記表2のRMS粗さおよび光透過をみると、前記実施例1~3の場合、RMS粗さ18.0~23.0nmと非常に低い表面粗さを有し、光透過度90%以上の優れた光学的特性を有することを確認することができた。
【0090】
これに対し、表面改質されたSnO2ナノ粒子の合成時、TFAを300重量部未満の270重量部のみを使用して製造した表面改質されたSnO2ナノ粒子を用いたコーティング液である比較例2の場合、実施例1または実施例2と比較して、光透過率が低いだけでなく、粗さが相対的に非常に高い問題があり、表面改質されたSnO2ナノ粒子が均一に分散していないという問題があった。また、TFAを1500重量部超の1570重量部を使用した比較例3の場合、実施例3と比較して、かえって粗さも増加し、部分的に光透過率が低下する部分があったが、これは、表面改質されたSnO2ナノ粒子中の一部のナノ粒子間の凝集現象によると判断される。
【0091】
また、比較例4の場合、SnO2粒子が分散せず、凝集した粒子がガラス基板の上端に島形態でコートされ、薄膜が形成されないという問題があった。
【0092】
製造例1:逆構造ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池の製造
ドレーン電極(source electrode)として、酸化スズインジウム(indium tin oxide,ITO)が約110nmの厚さでコートされた有機基板(厚さ1.1mm、15.0Ω/sq)をアセトンおよびイソプロピルアルコール(isopropyl alchol,IPA)で順次に超音波洗浄機を用いて1時間ずつ洗浄した。
【0093】
次に、前記ドレーン電極上にE-beam真空蒸着方法の条件によって30nmの厚さの正孔輸送層(NiOx)を形成した。
【0094】
次に、前記正孔輸送層の上部にジメチルホルムアミド(dimethylformamide,DMF)およびジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide,DMSO)に溶解させて形成した黄色の光吸収層溶液をスピンコートを用いて形成し、100℃で20分間熱処理することによって、NiOx正孔輸送層と450~500nm厚さのペロブスカイト結晶構造を有する光吸収層(CsMAFAPbIxBr3-x(0
≦x≦3))を形成した。
【0095】
次に、前記ペロブスカイト光吸収層の上部に実施例1で製造した表面改質されたコーティング液を1,500rpmで1分間の条件でスピンコートした後、30℃で熱処理し、平均厚さ20nmの電子伝達層を形成させた。
【0096】
次に、電子伝達層の上部にIZO(Indium doped zinc oxide)をスパッタリング工程(工程条件:工程温度95~98℃、RF power 200~250W、工程圧力2.2~2.4 mTorr、アルゴン流量25~30 sccm)を行って、平均厚さ88nmの透明蒸着薄膜(導電性障壁層)を形成した。
【0097】
次に、前記導電性障壁層の上部に銀(Ag)を1×10-7torrの圧力で100nmの厚さで蒸着し、ソース電極(source electrode)を形成することによって、ドレーン電極-正孔輸送層-光吸収層-電子伝達層-導電性障壁層-ソース電極が順に積層された形態の逆構造のペロブスカイト太陽電池を製造した。
【0098】
また、製造された太陽電池の電子伝達層表面のRMSは、約19.2nmであり、導電性障壁層表面のRMSは、約23.4nmであった。
【0099】
また、製造された太陽電池の電子伝達層の表面および太陽電池の断面構造に対するSEM測定イメージを
図6のAおよびBに示した。
【0100】
比較製造例1
前記製造例1と同じ方法でドレーン電極、正孔輸送層およびペロブスカイト光吸収層を形成した。
【0101】
次に、前記光吸収層の上部に熱蒸着(thermal evaporation)方法の条件によって厚さ13nmのパッシベーション層(C60)を形成した。
【0102】
次に、前記導電性障壁層の上部に実施例1で製造した表面改質されたコーティング液を1,500rpmで1分間の条件でスピンコートした後、30℃で熱処理し、厚さ20nmの電子伝達層を形成した。
【0103】
次に、前記導電性障壁層の上部に銀(Ag)を1×10-7torrの圧力で100nmの厚さで蒸着し、ソース電極(source electrode)を形成することによって、ドレーン電極-正孔輸送層-光吸収層-パッシベーション層(C60)-電子伝達層-ソース電極が順に積層された逆構造のペロブスカイト太陽電池を製造した。
【0104】
また、製造された太陽電池の電子伝達層表面のRMSは、約20.0nmであった。
【0105】
また、製造された太陽電池の電子伝達層の表面および太陽電池の断面構造に対するSEM測定イメージを
図7のAおよびBに示した。
【0106】
製造例2~6および比較製造例2~4
前記製造例1と同じ方法で逆構造のペロブスカイト太陽電池を製造するものの、電子伝達層の形成時に、実施例1のコーティング剤の代わりに、実施例2~3および比較例1のコーティング剤それぞれを用いて電子伝達層を形成した太陽電池それぞれを製造し、製造例2~6および比較製造例2~4をそれぞれ実施した。
【0107】
実験例2:太陽電池の性能の測定
前記製造例1で製造した太陽電池の電流-電圧特性および効率を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0108】
【0109】
前記表3の太陽電池の電流-電圧特性および効率測定結果を見ると、製造例1~6、比較製造例1~2は、フィルファクター(fill-factor)42.0FF以上および光電変換効率7.0%以上、好ましくは、フィルファクター58~70FFおよび11.0%~14.0%の高い光電変換効率を示した。
【0110】
また、導電性障壁層を50nm未満の48nmで形成した比較製造例3の場合、製造例1(88nm)および製造例4(55nm)と比較して、フィルファクターおよび光電変換効率が大きく低下する問題があることを確認でき、これは、シート抵抗が大きく増加し、電子伝達層で収集された電子の移動を妨害することで、素子効率が大きく減少したためである。
【0111】
また、導電性障壁層を110nm超の112nmで形成した比較製造例4の場合、製造例1(88nm)および製造例5(105nm)と比較して、シート抵抗が非常に低いが、フィルファクターおよび光電変換効率の相乗効果がかえってなく、減少する結果を示し
たが、これは、導電性障壁層の形成時に、厚さの向上のために工程時間またはエネルギーを増加させるが、そのため、ペロブスカイト光吸収層の損失を引き起こし、不要な厚さによって光電流損失が発生したためと判断される。
【0112】
実験例3:太陽電池の長期保存安定性の測定
製造例1および比較製造例1の太陽電池それぞれを実験例2で行った光電変換効率の測定後に、25~28℃および大気圧下の実験室雰囲気に放置した後、1日に1回ずつ光電変換効率を測定し、14日経過した時点における光電変換効率の測定結果を下記表4に示した。
【0113】
【0114】
前記表4の光電変換効率の測定結果を見ると、光活性層と電子伝達層との間にパッシベーション層を形成した比較製造例1の場合、光電変換効率(%)が27.4%程度減少し、長期保存安定性が低下するのに対し、光活性層と電子伝達層との間にパッシベーション層を形成せず、電子伝達層とソース電極との間に導電性障壁層が形成されている製造例1の太陽電池は、光電変換効率の減少率が5.6%と非常に低いことを確認でき、これより、本発明が従来太陽電池に比べて長期保存安定性に優れていることを確認することができた。
【0115】
製造例7:タンデム構造ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池の製造
タンデム太陽電池の製作のために、下部太陽電池としてn型またはp型不純物がドープされたシリコン太陽電池をフッ酸処理してSiOx酸化膜を除去した後、超純水を用いて残余のフッ酸を除去し、酸化膜が除去されたシリコン太陽電池の上端にスパッタ工程を用いて薄く再結合層を形成した。
【0116】
次に、前記シリコン太陽電池上にE-beam真空蒸着方法の条件によって厚さ30nmの正孔輸送層(NiOx)を形成した。
【0117】
次に、前記正孔輸送層の上部にジメチルホルムアミド(dimethylformamide,DMF)およびジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide,DMSO)に溶解させて形成した黄色の光吸収層溶液をスピンコートを用いて形成し、100℃で20分間熱処理することによって、NiOx正孔輸送層と厚さ450~500nmのペロブスカイト結晶構造を有する光吸収層(CsMAFAPbIxBr3-x(0
≦x≦3))を形成した。
【0118】
次に、前記ペロブスカイト光吸収層の上部に実施例1で製造した表面改質されたコーティング液を1,500rpmで1分間の条件でスピンコートした後、30℃で熱処理し、平均厚さ20nmの電子伝達層を形成した。
【0119】
次に、電子伝達層の上部にIZO(Indium doped zinc oxide)をスパッタリング工程(工程条件:工程温度95~98℃、RF power 200
~250W、工程圧力2.2~2.4mTorr、アルゴン流量25~30sccm)を行って、平均厚さ88nmの透明蒸着薄膜(導電性障壁層)を形成した。
【0120】
次に、前記導電性障壁層の上部に銀(Ag)を1×10-7torrの圧力で100nmの厚さで蒸着し、ソース電極(source electrode)を形成することによって、シリコン太陽電池-再結合層-正孔輸送層-光吸収層-電子伝達層-導電性障壁層-ソース電極が順に積層された形態のタンデム構造のペロブスカイト太陽電池を製造した。
【0121】
以上では、特定の実施例について図示し説明した。しかしながら、前述した実施例にのみ限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、以下の請求範囲に記載された発明の技術的思想の要旨を逸脱することなく、いくらでも多様に変更実施することができる。
【国際調査報告】