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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ブレンドされたグラフェン分散体
(51)【国際特許分類】
   C08L 39/06 20060101AFI20240326BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240326BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20240326BHJP
【FI】
C08L39/06
C08K3/04
C01B32/194
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562885
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016292
(87)【国際公開番号】W WO2022220915
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,799
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エサリー, サミュエル ローガン
(72)【発明者】
【氏名】ディメグリオ, ジョン レナード
(72)【発明者】
【氏名】マゾッコ, リチャード ロバート ジュニア
【テーマコード(参考)】
4G146
4J002
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA19
4G146AB07
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC07A
4G146AC08A
4G146AC09A
4G146AC10A
4G146AC16A
4G146BC36A
4G146CB10
4J002BJ001
4J002DA016
4J002DA017
4J002FB026
4J002FB027
4J002FD096
4J002FD097
4J002FD116
4J002FD117
4J002GH00
4J002GQ02
4J002HA06
(57)【要約】
溶媒と、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子及びベースグラフェン粒子を含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子と、ポリマー樹脂分散剤と、を含む、グラフェンカーボンナノ粒子の分散体が開示される。グラフェンカーボンナノ粒子対分散剤の重量比は、5超:1であり得、分散体は、0.7未満の不安定性指数を有し得る。グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させるための方法も開示される。ポリマー樹脂分散剤は、溶媒中に混合され、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子及びベースグラフェン粒子を含むグラフェンカーボンナノ粒子は、溶媒中に分散される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンカーボンナノ粒子の分散体であって、
溶媒と、
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む前記分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子と、
ポリマー樹脂分散剤であって、前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、ポリマー樹脂分散剤と、を含む、グラフェンカーボンナノ粒子の分散体。
【請求項2】
前記分散体が、0.4未満の不安定性指数を有する、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGが、前記分散体の前記総重量に基づいて、0.5重量パーセント超を構成する、請求項1及び2のいずれかに記載の分散体。
【請求項4】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの総量が、前記分散体の前記総重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントである、請求項1~3のいずれかに記載の分散体。
【請求項5】
前記不安定性指数が、0.3未満である、請求項4に記載の分散体。
【請求項6】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項7】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、12超:1である、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項8】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1超:1である、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項9】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1.2超:1である、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項10】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項11】
前記ベースグラフェン粒子BGが、0.9未満:1のラマン2D:Gピーク比を有する、請求項10に記載の分散体。
【請求項12】
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項13】
前記ベースグラフェン粒子BGが、剥離されたグラファイトグラフェンを含む、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項14】
前記ベースグラフェン粒子BGが、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化されたグラフェン、黒鉛化されたカーボンブラック、グラフェンナノリボン、カーボンナノチューブ、及び/又はフラーレンを含む、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項15】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で生成される、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項16】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子が、ターボストラティックであり、1グラム当たり少なくとも70平方メートルのB.E.T.比表面積を有する、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項17】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、3超:1の平均アスペクト比及び少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有する、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項18】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項19】
前記分散剤が、ビニルピロリドンの残基を含む付加ポリマーを含む、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項20】
前記ビニルピロリドンが、ポリビニルピロリドンを含む、請求項19に記載の分散体。
【請求項21】
前記溶媒が、水を含む、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項22】
前記溶媒が、有機溶媒を含む、先行請求項のいずれかに記載の分散体。
【請求項23】
グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法であって、
ポリマー樹脂分散剤を前記溶媒中に混合することと、
前記溶媒中に、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子を分散させることと、を含み、
前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法。
【請求項24】
前記分散体が、0.4未満の不安定性指数を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの総量が、前記分散体の前記総重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントである、請求項23~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、請求項23~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、12超:1である、請求項23~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1超:1である、請求項23~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1.2超:1である、請求項23~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、請求項23~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記ベースグラフェン粒子BGが、0.9未満:1のラマン2D:Gピーク比を有する、請求項30に記載の分散体。
【請求項32】
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、請求項23~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ベースグラフェン粒子BGが、剥離されたグラファイトグラフェンを含む、請求項23~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記ベースグラフェン粒子BGが、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化されたグラフェン、グラフェンナノリボン、及び/又はカーボンナノチューブを含む、請求項23~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、請求項22~34のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府契約
本発明は、United States Army Ground Vehicle Systems Centerによって授与された政府契約第NCMS FY2017号の下、政府支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年4月14日に出願された、米国仮特許出願第63/174,799号の利益を主張する。
【0003】
発明の分野
本発明は、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子並びに少なくとも1つの他のタイプのグラフェン及び/又はグラファイト粒子を含むグラフェンの分散体に関する。
【背景技術】
【0004】
背景情報
グラフェン分散体は、典型的には、1パーセントなどの低い固形物負荷であっても、良好な安定性を有さず、一般的には、数時間以内に再分散される必要がある。これは、グラフェン源をそれらの所望の伝導度又は機械的特性のためにコーティング又は他の材料に組み込むことを困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
溶媒と、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子及びベースグラフェン粒子を含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子と、ポリマー樹脂分散剤と、を含む、グラフェンカーボンナノ粒子の分散体が本明細書に開示される。グラフェンカーボンナノ粒子対分散剤の重量比は、5超:1であり、分散体は、0.7未満の不安定性指数を有する。
【0006】
ポリマー樹脂分散剤を溶媒中に混合することと、溶媒中に、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子を分散させることと、を含む、グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法も本明細書に開示される。グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対分散剤の重量比は、5超:1であり、分散体は、0.7未満の不安定性指数を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、様々な水性グラフェン分散体についての粘度対せん断速度のグラフである。
【0008】
図2図2は、様々な水性グラフェン分散体の粘度を示すグラフである。
【0009】
図3図3は、様々な水性グラフェン分散体についての不安定性指数対時間のグラフである。
【0010】
図4図4は、様々な水性グラフェン分散体についての貯蔵及び損失対角周波数のグラフである。
【0011】
図5図5は、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGの乾燥分散体のSEM画像である。
【0012】
図6図6は、熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TG及びベースグラフェンカーボン粒子BGのブレンドの乾燥分散体のSEM画像である。
【0013】
図7図7は、ベースグラフェンカーボン粒子BGの乾燥分散体のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子及び他のタイプのグラフェン又はグラファイト粒子の分散体を提供する。熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子は、水性及び溶媒分散体において高い安定性を達成するために使用され、例えば、少量の分散剤で2又は3重量パーセントを超える負荷を達成する。溶液中の他のグラフェン源との相互作用と結合した熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子の高い分散安定性は、他の形態のグラフェンを安定化することができ、それらがコーティング又は他の材料により良好に組み込まれることを可能にする。熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子と他のグラフェン及び/又はグラファイト源との間の相乗効果は、電気伝導度、腐食保護、引張強度、水素脆性を低減する水素不透過性、及び他の特性などの特性を改善するために、高度に伝導性、機械的に強いナノ粒子としてのグラフェン/グラファイトカーボンの使用を可能にするのに役立つことができる。
【0015】
他のグラフェン又はグラファイト源を含有する分散体への熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子の導入は、スラリーレオロジー、安定性、及び連結性を改善することができ、伝導度、機械的強度、腐食保護などの理論的利点を提供することが意図されたグラフェン源を使用してより良好な結果をもたらす。熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子及び他のグラフェン源の組み合わせを使用するブレンドされたグラフェン分散体は、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が使用されないか、又はそれ自体で使用されるコーティングと比較された、ブレンドされたグラフェン源間の相乗的な方法で所望のパフォーマンスメトリクスを改善し得る。
【0016】
本発明は、貯蔵及び使用中に安定である2つ又は2つより多くのタイプのグラフェンカーボンナノ粒子の分散体を提供する。ナノ粒子のタイプのうちの少なくとも1つは、以下でより完全に記載されるように、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子を含む。安定な分散体は、伝導性インク、電池アノード及び/又はカソードコーティング、スーパーキャパシタ、EMIシールド、RFIシールド、熱伝導性コーティング、電気伝導性コーティング、腐食保護コーティング、潤滑剤、冷却剤、複合体、添加剤製造物品などを含む多くの異なる用途で使用され得る。伝導性インクとしては、銀インク、医療用電極インク、銀ハイブリッド、カーボンインク、誘電性インク、亜鉛電極電池インク、マンガン電池インク、熱硬化性炭素電池インク、IR透過性セキュリティインク、及び低抵抗UVインクが挙げられ得る。伝導性インクの用途としては、スマートフォン、タブレット、インタラクティブ及びエレクトロクロミックディスプレイ、生物医学センサー、プリントキーパッド、産業用膜スイッチ制御、RFIDタグ、及びプリント回路を備えた他の製品が挙げられる。
【0017】
本発明の分散体は、選択された量のグラフェン粒子が分散される水性及び/又は有機溶媒を含み得る。本明細書で使用される場合、「分散された」という用語は、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、少なくとも1つの他のタイプのグラフェン粒子と組み合わせて、ポリマー分散剤を含有する溶媒などの媒体中に分散されて、粒子の実質的な凝集なしに、媒体全体を通して組み合わされたグラフェンカーボンナノ粒子の実質的に均一な分散体を形成することを意味する。以下でより完全に記載されるように、分散体の均一性は、「不安定性指数」によって測定され得る。凝集の存在は、TEM顕微鏡写真画像の視覚分析などの標準的な方法によって決定され得る。凝集はまた、標準的な粒子サイズ測定技法、並びに電気伝導度の測定、又は色、ヘイズ、ジェットネス、反射率、及び透過特性などのグラフェンカーボン粒子を含有する材料の光学特徴の測定によって検出され得る。
【0018】
本分散体は、熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子(TG)及びベースグラフェン粒子(BG)を含む。熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、以下でより完全に記載されるように、分散を促進し、少なくとも1つの追加のタイプのベースグラフェン又はグラファイト粒子BGのより大きな全体的な負荷を可能にすることが見出されている。
【0019】
グラフェン粒子TG及びBGの総量は、分散体の重量パーセントに基づいて、少なくとも1重量パーセント、又は少なくとも1.2重量パーセント、又は少なくとも1.5重量パーセント、又は少なくとも2重量パーセント、又は少なくとも3パーセント、又は少なくとも4重量パーセント、又は少なくとも5重量パーセント、又は少なくとも6重量パーセント、又は少なくとも7重量パーセント、又は少なくとも8重量パーセント、又はそれより高くであり得る。例えば、グラフェンカーボン粒子の総重量パーセンテージは、0.1~15重量パーセント、又は0.5~12重量パーセント、又は1~10重量パーセント、又は2~9重量パーセント、又は3~8重量パーセントであり得る。いくつかの場合では、グラフェンカーボン粒子の総パーセンテージは、2~9重量パーセント、又は3~8重量パーセント、又は3~6重量パーセントであり得る。
【0020】
熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子対ベースグラフェン粒子の重量比TG:BGは、分散体において十分な安定性及び全体的な粒子負荷を提供するために所望に応じて選択され得る。例えば、TG:BGの重量比は、典型的には、0.1超:1、又は0.2超:1、又は0.5超:1、又は0.8超:1、又は0.9超:1、又は1超:1、又は1.2超:1、又は1.5超:1であり得る。重量比TG:BGは、典型的には、100未満:1、又は50未満:1、又は20未満:1、又は10未満:1、又は5未満:1、又は3未満:1、又は2未満:1、又は1.5未満:1、又は1.2未満:1であり得る。TG:BGの重量比は、典型的には、0.1:1~20:1、又は0.8:1~10:1、又は0.9:1~5:1、又は1:1~3:1、又は1.2:1~2:1の範囲であり得る。
【0021】
ベースグラフェン粒子BGは、剥離されたグラファイトから生成されたグラフェンなどのグラフェン及び/又はグラファイト粒子を含み得る。市販の剥離されたグラファイトグラフェンの例としては、M5、M15、及びM25などのXG Sciences Grade M、C、R、及びHが挙げられる。剥離されたグラファイトグラフェンはまた、Global Graphene Group/Angstron Materials、First Graphene、及びNanoXploreから、N002-PDRAM、N002-PDEAM、N006-P、N008-N、N008-P-10、N008-P-10、N008-P-40、N002-PS、Gi-PW-B056、PureGRAPH、及びGrapheneBlackの名称で市販されている。他のタイプのベースグラフェン粒子BGとしては、還元された酸化グラフェン、酸化グラフェン、アミン官能化された還元された酸化グラフェン、アミン官能化された酸化グラフェン、窒素ドープされたグラフェン、黒鉛化されたカーボンブラック、グラフェンナノリボン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。
【0022】
ベースグラフェンカーボン粒子BGがナノチューブの形態であるとき、それらは、0.3~100ナノメートル、又は0.4~40ナノメートルの範囲の外径、0.3ナノメートル~50センチメートル、又は500ナノメートル~500ミクロンの範囲の長さ、及び1:1~100,000,000:1、又は10:1~10,000:1の範囲の長さ:直径アスペクト比を有し得る。
【0023】
分散体は、両方のタイプのグラフェンTG及びBGを水又は有機溶媒中に一緒に添加し、続いて混合し、必要に応じて粉砕することによって作製され得る。あるいは、異なるグラフェンTG及びBGは、水又は有機溶媒中に別々に添加され、別々に混合され、続いて混合物を一緒に組み合わせられ得る。混合物は、混合物を組み合わせる前に必要に応じて粉砕され得るか、又はそれらが組み合わされた後に粉砕され得る。
【0024】
上記の量のグラフェンカーボン粒子TG及びBGに加えて、水性又は有機溶媒分散体は、以下により完全に記載されるポリマー分散剤などの、少なくとも1つの分散剤を含み得る。分散剤の重量パーセンテージは、分散体の総重量に基づいて、典型的には、10重量パーセント未満、又は5重量パーセント未満、又は2重量パーセント未満、又は1重量パーセント未満、又は0.5重量パーセント未満であり得る。分散剤の重量パーセンテージは、存在するとき、典型的には、0.005重量パーセント超、又は0.01重量パーセント超、又は0.05重量パーセント超、又は0.1重量パーセント超であり得る。分散剤の重量パーセンテージは、典型的には、0.01~10重量パーセント、又は0.05~5重量パーセント、又は0.1~1重量パーセントの範囲であり得る。
【0025】
組み合わされたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対樹脂分散剤の総重量の重量比は、典型的には、4超:1、又は5超:1、又は6超:1、又は8超:1、又は10超:1、又は12超:1、例えば、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、又はそれより高くであり得る。例えば、TG及びBG対樹脂分散剤の重量比は、最大100:1、又は最大50:1、又は最大25:1、又は最大20:1、又は最大15:1であり得る。TG及びBG対樹脂分散剤の重量比は、典型的には、5:1~50:1、又は8:1~25:1、又は10:1~20:1、又は12:1~16:1の範囲であり得る。
【0026】
本発明で使用される熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、商業的供給源から得られ得る。例えば、Raymorから、PureWaveグラフェンの名称である。以下で詳細に考察されるように、熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,486,363号、同第8,486,364号、及び同第9,221,688号に記載される方法及び装置に従って生成され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子」及び「TG」という用語は、ハニカム結晶格子に密充填されたsp結合炭素原子の1原子厚の平面シートの1つ又は1つより多くの層を含む構造を有するカーボンナノ粒子を意味する。積層の平均数は、100未満、例えば、50未満であり得る。他の実施形態では、積層の平均数は、30若しくは30未満、例えば、20若しくは20未満、10若しくは10未満、又は、いくつかの場合では、5若しくは5未満である。積層の平均数は、2超、例えば、3超、又は4超であり得る。熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGの少なくとも一部分は、実質的に曲がった、丸まった、しわになった、折り目のついた、又は折り重なったプレートレットの形態であり得る。熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子は、ターボスタティックであり得、すなわち、隣接する積層原子層は、従来の剥離グラフェンと会合した秩序化AB Bernal積層を示さず、むしろ無秩序化又は非ABABAB積層を示す。
【0028】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、炭素原子層に垂直な方向で測定された、10ナノメートル以下、5ナノメートル以下、又は特定の実施形態では、4若しくは3若しくは2若しくは1ナノメートル以下、例えば、3.6ナノメートル以下の厚さを有し得る。グラフェンカーボン粒子TGは、1原子層~3、6、9、12、20、又は30原子層厚、又はそれより多くであり得る。本発明の組成物中に存在するグラフェンカーボン粒子は、少なくとも50ナノメートル、例えば、100ナノメートル超、いくつかの場合では、100ナノメートル超~最大500ナノメートル、又は100ナノメートル超~最大200ナノメートルの、炭素原子層に平行な方向で測定される、幅及び長さを有する。グラフェンカーボン粒子は、3超:1、例えば、10超:1の比較的高いアスペクト比(アスペクト比は粒子の最長寸法対粒子の最短寸法の比として定義されている)を有する超薄片、プレートレット、又はシートの形態で提供され得る。
【0029】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、比較的低い酸素含有量を有し得る。例えば、グラフェンカーボン粒子は、5ナノメートル以下又は2ナノメートル以下の厚さを有するときでも、2原子量パーセント以下、例えば、1.5若しくは1原子量パーセント以下、又は0.6原子量以下、例えば、約0.5原子量パーセントの酸素含有量を有し得る。熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGの酸素含有量は、D.R.Dreyer et al.,Chem.Soc.Rev.39,228-240(2010)に記載されるような、X線光電子分光法を使用して決定することができる。
【0030】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、1グラム当たり少なくとも50平方メートル、例えば、1グラム当たり70~1000平方メートル、又はいくつかの場合では、1グラム当たり200~1000平方メートル若しくは1グラム当たり200~400平方メートルのB.E.T比表面積を有し得る。本明細書で使用される場合、「B.E.T.表面積」という用語は、定期刊行物“The Journal of the American Chemical Society”,60,309(1938)に記載されるBrunauer-Emmett-Teller法に基づき、ASTMD 3663-78基準に従って窒素吸着によって決定される特定の表面積を指す。
【0031】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、少なくとも0.7:1、又は少なくとも0.8:1、又は少なくとも0.9:1、又は少なくとも0.95:1、又は少なくとも1:1、例えば、少なくとも1.1:1、又は少なくとも1.2:1のラマン分光法2D/Gピーク比を有し得る。本明細書で使用される場合、「2D/Gピーク比」という用語は、2692cm-1での2Dピークの強度対1,580cm-1でのGピークの強度の比を指す。そのような2D/Gピーク比は、3つ又は3つより多くの積層などの、2つを超える積層の平均数を有するグラフェンカーボンナノ粒子中に存在し得る。
【0032】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、比較的低いかさ密度を有し得る。例えば、本発明の特定の実施形態において使用される熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、0.2g/cm未満、例えば、0.1g/cm以下のかさ密度(タップ密度)を有することを特徴とする。本発明の目的のために、グラフェンカーボン粒子のかさ密度は、0.4グラムのグラフェンカーボン粒子を、読み取り可能な尺度を有するガラス測定シリンダーに入れることによって決定される。シリンダーは、シリンダーの基部を硬い表面上にストライクすることによって、約1インチ上げられ、100回タップされ、グラフェンカーボン粒子がシリンダー内に沈降することを可能にする。次いで、粒子の体積が測定され、かさ密度は、0.4グラムを測定された体積で割ることによって計算され、かさ密度は、g/cmの観点から表される。
【0033】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、グラファイト粉末及び特定のタイプの実質的に平坦なグラフェンカーボン粒子の圧縮密度及び高密度化パーセント未満の圧縮密度及び高密度化パーセントを有し得る。より低い圧縮密度及びより低い高密度化パーセントは、各々現在、より高い圧縮密度及びより高い高密度化パーセントを示すグラフェンカーボン粒子よりも、より良好な分散及び/又はレオロジー特性に寄与すると考えられている。特定の実施形態では、グラフェンカーボン粒子の圧縮密度は、0.9又は0.9未満、例えば、0.8未満、0.7未満、例えば、0.6~0.7である。特定の実施形態では、グラフェンカーボン粒子の高密度化パーセントは、40%未満、例えば、30%未満、例えば、25~30%である。
【0034】
本発明の目的のために、グラフェンカーボン粒子の圧縮密度は、圧縮後の粒子の所与の質量の測定された厚さから計算される。具体的には、測定された厚さは、0.1グラムのグラフェンカーボン粒子を45分間1.3センチメートルダイにおいて15,000ポンドの力でのコールドプレスに供することによって決定され、接触圧力は、500MPaである。次いで、グラフェンカーボン粒子の圧縮密度は、以下の式に従って、この測定された厚さから計算される:
【数1】
【0035】
次いで、グラフェンカーボン粒子の高密度化パーセントは、上記で決定されたように、グラフェンカーボン粒子の計算された圧縮密度対、グラファイトの密度である、2.2g/cmの比として決定される。
【0036】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、混合直後及びその後の時点、例えば、10分、又は20分、又は30分、又は40分で、少なくとも100マイクロジーメンス、例えば、少なくとも120マイクロジーメンス、例えば、少なくとも140マイクロジーメンスの測定されたかさ液体伝導度を有し得る。本発明の目的のために、グラフェンカーボン粒子のかさ液体伝導度は、以下のように決定される。まず、ブチルセロソルブ中のグラフェンカーボン粒子の0.5%溶液を含む試料を、バスソニケーターで30分間超音波処理する。超音波処理の直後に、試料を標準的な較正された電解質伝導度セル(K=1)に入れる。Fisher Scientific AB 30伝導度計を試料に導入して、試料の伝導度を測定する。伝導度は、約40分の経過にわたってプロットされる。
【0037】
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGは、望ましくない又は有害な材料を実質的に含まなくてもよい。例えば、グラフェンカーボン粒子は、ゼロ又は微量のみの多環式芳香族炭化水素(PAH)、例えば、2重量パーセント未満のPAH、1重量パーセント未満のPAH、又はゼロPAHを含有し得る。
【0038】
本発明の実施形態によれば、熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、プラズマなどの熱ゾーンにおいて高温に加熱される炭素含有前駆体材料から作製される。気体又は液体形態で提供される炭化水素などの、炭素含有前駆体は、熱ゾーンにおいて加熱されて、熱ゾーン又はその下流においてグラフェンカーボン粒子を生成する。例えば、熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子は、米国特許第8,486,363号、同第8,486,364号、及び同第9,221,688号に開示されるシステム及び方法によって作製され得る。
【0039】
熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、(i)2炭素断片種(n-プロパノール、エタン、エチレン、アセチレン、塩化ビニル、1,2-ジクロロエタン、アリルアルコール、プロピオンアルデヒド、及び/又は臭化ビニルなど)を形成することができる1つ又は1つより多くの炭化水素前駆体材料が熱ゾーン(プラズマなど)に導入され、(ii)炭化水素が熱ゾーンにおいて少なくとも1,000℃の温度まで加熱されて、グラフェンカーボン粒子を形成する、米国特許第8,486,363号に記載される装置及び方法を使用することによって作製され得る。熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGは、(i)メタン前駆体材料(少なくとも50パーセントのメタン、又はいくつかの場合では、少なくとも95若しくは99パーセントの純度若しくはそれより高くの気体若しくは液体メタンを含む材料など)が熱ゾーン(プラズマなど)に導入され、(ii)メタン前駆体が熱ゾーンにおいて加熱されて、グラフェンカーボン粒子を形成する、米国特許第8,486,364号に記載される装置及び方法を使用することによって作製され得る。そのような方法は、上記の特徴のうちの、少なくともいくつか、いくつかの場合では全てを有するグラフェンカーボン粒子を生成することができる。
【0040】
上記の熱生成方法によるグラフェンカーボン粒子の生成中に、炭素含有前駆体が不活性キャリアガスと接触させられ得る供給材料として提供される。炭素含有前駆体材料は、例えば、DCプラズマ、RFプラズマ、マイクロ波プラズマなどのようなプラズマシステムによって、熱ゾーンにおいて加熱され得る。特定の実施形態では、前駆体材料は、2,000℃超~20,000℃又はそれより高く、例えば、3,000℃~15,000℃の範囲の温度に加熱される。例えば、熱ゾーンの温度は、3,500~12,000℃、例えば、4,000~10,000℃の範囲であり得る。熱ゾーンは、プラズマシステムによって生成され得るが、電気的に加熱されたチューブ炉などを含む様々なタイプの炉など、熱ゾーンを形成するために任意の他の好適な加熱システムが使用され得ることが理解されたい。
【0041】
気体流は、少なくとも1つのクエンチ流注入ポートを通してプラズマチャンバーに注入される1つ又は1つより多くのクエンチ流と接触させてもよい。クエンチ流は、気体流を冷却して、グラフェンカーボン粒子の粒子サイズ又は形態を形成又は制御し得る。本発明の特定の実施形態では、気体生成物流をクエンチ流と接触させた後、超微粒子は、収束部材に通過され得る。グラフェンカーボン粒子がプラズマシステムを出た後、それらが収集され得る。グラフェンカーボン粒子を気体流から分離するために、例えば、バッグフィルター、サイクロンセパレーター、又は基材上への堆積などの、任意の好適な手段が使用され得る。
【0042】
いかなる理論によっても拘束されることなく、グラフェンカーボンナノ粒子TGを熱的に製造する前述の方法は、上記のように、比較的低い酸素含有量と組み合わせて比較的低い厚さ及び比較的高いアスペクト比を有するグラフェンカーボンナノ粒子を生成するために特に好適であると現在考えられている。また、そのような方法は、主に実質的に2次元(又は平坦)形態を有する粒子を生成するのとは対照的に、実質的に曲がった、丸まった、折り目のついた、又は折り重なった形態(本明細書では「3D」形態と称される)を有する相当量のグラフェンカーボンナノ粒子を生成すると現在考えられている。この特徴は、前述の圧縮密度特徴に反映されると考えられ、現在、グラフェンカーボン粒子のかなりの部分が3D形態を有するとき、組成物内のグラフェンカーボン粒子間の「縁-縁」及び「縁-顔」接触が促進され得ると考えられるため、本発明において有益であると考えられる。これは、3D形態を有する粒子が2次元形態を有する粒子よりも組成物において(より低いファンデルワールス力のために)凝集される可能性が低いためであると考えられる。また、3D形態を有する粒子間の「顔-顔」接触の場合でも、粒子が1つより多くの顔面平面を有し得るため、粒子表面全体は、別の単一粒子との単一「顔-顔」相互作用に関与するのではなく、代わりに、他の平面における、他の「顔-顔」相互作用を含む、他の粒子との相互作用に参加することができると現在考えられている。結果として、3D形態を有するグラフェンカーボン粒子は、分散体において良好な電気及び/又は熱伝導性経路を提供し得、電気及び/又は熱伝導性特徴を得るために有用であり得る。加えて、3D形態は、特定の調合物において超潤滑性を提供し得る。
【0043】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及び/又はBGは、粉砕されて、組成物におけるそれらの分散性及び/又は安定性を改善し得る。固体状態粉砕、ボール粉砕、ドライボール粉砕、アイガー粉砕、LAU粉砕、カウルブレード粉砕などのような、様々な異なるタイプの粉砕技法が使用され得る。
【0044】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGに加えて、分散体は、様々なタイプの樹脂分散剤を含み得る。樹脂は、分散体中のグラフェンカーボンナノ粒子の分散及び/又は安定性を改善し得る。例えば、樹脂分散剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)などの、ビニルピロリドンの残基を含む付加ポリマーを含み得る。PVPは、少なくとも1,000g/mol、例えば、少なくとも3,000g/mol、例えば、少なくとも5,000g/molの重量平均分子量を有し得る。PVPは、5,000,000g/mol以下、例えば、4,000,000g/mol以下、例えば、3,000,000g/mol以下、例えば、2,000,000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。PVPは、1,000~5,000,000g/mol、例えば、1,000~4,000,000g/mol、例えば、1,000~3,000,000g/mol、例えば、1,000~2,000,000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0045】
例えば、樹脂分散剤は、ラウリルメタクリレート(LMA)及びビニルピロリドン(VP)樹脂の組み合わせを含み得る。LMA-VPコポリマーは、従来のフリーラジカル重合化学を使用して合成され得る。そのような調合物において、LMAは、典型的には、10~90重量パーセントを構成し得、VPは、典型的には、10~90重量パーセントを構成し得る。例えば、LMAは、40又は50~85重量パーセントの範囲であり得、VPは、15~50又は60重量パーセントの範囲であり得る。特定の実施形態では、LMAは、約75重量パーセントを構成し得、VPは、約25重量パーセントを構成し得る。樹脂分散剤は、粉砕及び非粉砕グラフェンカーボンナノ粒子分散体における分散及び安定性を促進し得る。
【0046】
例えば、樹脂分散剤は、ステアリルアクリレート(SA)及びビニルピロリドン(VP)の残基を含む付加コポリマーを含み得る。SA-VPコポリマーは、従来のフリーラジカル重合化学を使用して合成され得る。そのような調合物において、SAは、典型的には、10~90重量パーセントを構成し得、VPは、典型的には、10~90重量パーセントを構成し得る。例えば、SAは、40又は50~85重量パーセントの範囲であり得、VPは、15~50又は60重量パーセントの範囲であり得る。特定の実施形態では、SAは、約75重量パーセントを構成し得、VPは、約25重量パーセントを構成し得る。
【0047】
分散剤樹脂は、グラフェンカーボンナノ粒子分散安定性を増強し、伝導性インク、電池製造、熱伝導性コーティング、電気伝導性コーティング、EMI及びRFIシールドコーティング、腐食保護コーティング、潤滑剤、複合体、3Dプリントなどのような用途におけるそのようなナノ粒子の利用を拡大し得る。本分散剤の利点は、延長された貯蔵寿命、高いグラフェンカーボンナノ粒子負荷、並びに室温及び昇温で安定したままの分散体を含み得る。
【0048】
グラフェンカーボンナノ粒子及び樹脂分散剤は、様々なタイプの溶媒に添加されて、本発明の分散体を生成し得る。好適な溶媒は、水性溶媒及び有機溶媒、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、油、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエステル(DE)アセテート、ブチルセロソルブ、トリエチルホスフェートなどを含む。
【0049】
よって、本発明の組み合わされたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGは、従来のグラフェンカーボン粒子BGの分散体と比較して、組み合わされたグラフェンカーボン粒子TG及びBGの比較的高い負荷を有する分散体を生成するために、比較的大きな量で、様々なタイプの水性及び有機溶媒中に分散され得る。例えば、グラフェンカーボン粒子TG及びBGは、溶媒及びグラフェンカーボン粒子の総合計重量の少なくとも1重量パーセントを構成し得る。例えば、グラフェンカーボン粒子は、分散体の少なくとも1.5重量パーセント、又は少なくとも2重量パーセント、又は少なくとも3重量パーセント、又は少なくとも6重量パーセントを構成し得る。例えば、水ベースの溶媒分散体において、グラフェンカーボン粒子TG及びBGは、最大8重量パーセント、又は最大10重量パーセント、最大12重量パーセント、又はそれより多くの量で分散され得る。NMPなどの有機溶媒分散体において、グラフェンカーボン粒子TG及びBGは、最大8重量パーセント、又は最大10重量パーセント、又は最大12重量パーセント、又はそれより多くの量で存在し得る。
【0050】
不安定性指数分析は、特定された遠心分離速度及び温度での分散沈降を測定する、長期安定性の加速評価に使用され得る。本明細書又は特許請求の範囲において別途示されない限り、「不安定性指数」は、以下のように測定される:分散試料を遠心分離器に装填し、865nmのパルス近IR光を試料に透過させる。遠心分離中、試料に透過させた近IR光を、LuM GmbHによってLUMiSizer Model 611の名称で販売される分散分析器で測定する。約20~35分の遠心分離中に、2202の相対遠心加速度(RCA)で、25℃及び4000rpmの遠心分離速度で測定を行う。遠心分離の開始時の透過レベルを、20分間の終了時の透過レベルと比較し、透過レベルにおける記録された変化を正規化することによって、不安定性指数を計算する。報告された不安定性指数は、0~1の無次元数であり、「0」は粒子濃度の変化がないことを意味し、「1」は分散体が完全に相分離していることを意味する。比較的不安定な分散体は、グラフェンカーボンナノ粒子及び溶媒の顕著な相分離に起因して透過におけるより高い増加を示し、比較的安定な分散体は、より少ない相分離に起因して透過におけるより低い増加を示すであろう。不安定性指数は、SEPView(登録商標)ソフトウェアツールを使用して計算され得る。SEPView(登録商標)ソフトウェアツールが不安定性指数をどのように決定するかの説明は、本明細書において参照により組み合わされる、「Instability Index」と題される論文(T.Detloff,T.Sobisch,D.Lerche,Instability Index,Dispersion Letters Technical,T4(2013)1-4,Update 2014)に提供される。グラフェンカーボンナノ粒子の水性分散体の不安定性指数は、典型的には、0.7未満、例えば、0.6未満、又は0.5未満、又は0.4未満、又は0.3未満、又は0.1未満であり得る。油性溶媒中のグラフェンカーボンナノ粒子の分散体の不安定性指数は、典型的には、0.5未満、例えば、0.4未満、又は0.3未満、又は0.2未満、又は0.1未満である。
【0051】
不安定性指数は、ベースグラフェンカーボン粒子BGのみを含有する同様の分散体よりも少なくとも10%低い、例えば、少なくとも50%低いか、又は少なくとも100%低いか、又は少なくとも300%低いか、又は少なくとも500%低い場合がある。
【0052】
熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの組み合わせを含有する溶媒混合物は、ベースグラフェンカーボンナノ粒子BGのみを含有する同様の溶媒混合物と比較してより低い粘度を有し得る。例えば、1重量パーセントのグラフェンカーボンナノ粒子の総負荷で、組み合わされたTB/BG粒子は、BG粒子のみを有する同様の溶媒分散体の粘度よりも少なくとも10又は20パーセント低い溶媒分散体の粘度をもたらし得る。粘度は、Anton Paar MCR 302及びCP50-1 TG測定コーンを使用してレオロジー測定値が収集される標準的な技法によって測定され得る。10Hzのせん断速度での粘度測定値は、分散レオロジーの比較のために使用され得る。
【0053】
グラフェンカーボンナノ粒子分散体は、例えば、撹拌、振盪、研削、粉砕などによって、様々なベース調合物に添加され得る。上記のように、グラフェンカーボンナノ粒子分散体が添加され得るベース調合物は、様々なタイプのインク、コーティング、潤滑剤などを含み得る。
【0054】
以下の実施例は本発明を例示するが、しかしながら、本発明をそれらの詳細に限定するとみなすべきではない。別途示されない限り、以下の実施例において、並びに本明細書の全体を通して、全ての部及びパーセンテージは、重量によるものである。
【実施例
【0055】
14:1の顔料対分散剤重量比TG及びBG:分散剤を使用して、調合物に応じて3~6重量パーセントの総固形物負荷で、熱的に生成されたグラフェン粒子TG及び/又はベースグラフェン粒子BGを含む、水性分散体重量1500gを生成した。グラフェンカーボン源は、Raymor PureWaveグラフェンナノプレートレット及びXG Sciences M25剥離グラファイトグラフェンナノプレートレットBGという名称で販売される熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGを含んだ。分散剤は、1.3MDa付近の分子量でのポリビニルピロリドンであった。分散体は、500~1000rpmのカウルブレードで約60分間、適切な量の水中でまず混合した後、250mLの粉砕チャンバー体積を有するアイガーミルに移した。粉砕ステップ中に使用した粉砕媒体サイズは、約1.0mm(Zirmil Y)であり、総体積の約80%を占めるように粉砕チャンバーに添加した。分散体は、15分の滞留時間で2000rpmで粉砕した。
【0056】
表1は、アイガーミルにおいて15分の滞留時間にわたって粉砕した後の水性分散体の粒子サイズ分布を列挙し、典型的にはより大きな粒子サイズに対応するM25を含有する溶液を示す。表1において、D10は、粒子の10パーセントが指定されたサイズ以下であることを意味し、D50は、粒子の50パーセントが指定されたサイズ未満であるか又はそれと等しいことを意味し、D90は、粒子の90パーセントが指定されたサイズ未満であるか又はそれと等しいことを意味する。
【表1】
【0057】
図1は、(●)TG Raymor PureWaveグラフェン、(+)BG XG Sciences M25剥離グラファイトグラフェン、(■)1:1 TG:BG及び(▲)1:3 TG:BG重量比のTG Raymor PureWaveグラフェン及びBG XG Sciences M25剥離グラファイトグラフェンの3重量%水性グラフェン分散体、並びに(◆)1:3 TG:BG TG Raymor PureWaveグラフェン及びBG XG Sciences M25剥離グラファイトグラフェンの6重量%水性分散体のレオロジープロファイルを提供する。全ての分散体は、14:1のグラフェン/分散剤重量比でポリビニルピロリドン分散剤を含有する。分散体は、15分の滞留時間で2000rpmでのアイガー粉砕によって作製した。
【0058】
図2は、様々な量のBG XG Sciences M25剥離グラファイトグラフェンカーボン、TG Raymor PureWaveグラフェンカーボン、及び分散剤を、3重量%又は6重量%のTG及びBG固形物合計のいずれかで含有する水性分散体の粘度測定値を提供する。図1に示されるレオロジープロファイル及び図2に示される粘度測定値は、上記のように、Anton Paar MCR 302及びCP50-1 TG測定コーンを使用して、標準的な手順によって測定された。
【0059】
図1及び図2において実証されるように、BG XG Sciences M25グラフェンの3重量%分散体は、極めて低い粘度をもたらす。一方で、TG Raymor Purewaveグラフェンの同様の重量%分散体は、著しく高い粘度をもたらす。2つのTG/BGグラフェン分散体の1:1ブレンドの粘度は、100%TG Raymor PureWaveグラフェン分散体の粘度よりも低いが、同様(桁)の粘度をもたらし、TG Raymor PureWaveグラフェンの重量の半分が存在するにもかかわらず、分散体レオロジーがその材料によって支配されることを示す。相乗効果が発生していない場合、ブレンドされたグラフェンカーボン分散体の粘度は、TG Raymor PureWaveグラフェンのみを含有する分散体と、BG XG Sciences M25グラフェンのみを含有する分散体との間でほぼ中間にあると予想されるであろう。異なる比での2つのTG及びBGグラフェンカーボン源のブレンドのこの予想よりも高い粘度は、グラフェン材料(XG Sciences M25)で予測されるよりもはるかに高い粘度をもたらす2つのグラフェン源間の顕著な相互作用を実証する。更に、TG Raymor PureWave/BG XG Sciences M25グラフェンの1:3ブレンドの総固形分を3重量%から6重量%に増加させることは、粘度を1:1 TG Raymor PureWave/BG XG Sciences M25グラフェン分散体の粘度に戻す。これらの場合の両方において、TG Raymor PureWaveグラフェンの総含有量は、約1.4~1.5重量%であった。これは、TGグラフェンが、分散体の全体的な粘度に対して強い影響を有するという見方を更に支持する。3重量%の1:1ブレンド及び6重量%の1:3ブレンドの両方は、ほぼ同一の濃度のTG Raymor PureWaveグラフェンを有するが、両方の分散体は、分散剤(それぞれ0.2重量%対0.4重量%)及びBG XG Sciences M25グラフェン(それぞれ1.6重量%及び4.2重量%)などの異なる量の他の成分を含有する。
【0060】
図3は、(●)TG Raymor PureWaveグラフェン、(+)BG XG Sciences M25グラフェン、(■)1:1及び(▲)1:3重量比のTG Raymor PureWaveグラフェン及びBG XG Sciences M25グラフェンのブレンドを含有する3重量%水性グラフェン分散体、並びに(◆)1:3 TG Raymor PureWaveグラフェン及びBG XG Sciences M25グラフェンの6重量%水性分散体の不安定性指数を示す。全ての分散体は、14/1のグラフェン/分散剤比でポリビニルピロリドン分散剤を含有する。分散体は、15分の滞留時間で2000rpmでのアイガー粉砕によって作製した。25℃で経時的に4000rpmで測定された不安定性指数。図3において示される不安定性指数バルブは、上記の遠心分離及びパルス近IR光手順によって測定した。
【0061】
図3において示されるように、1:1 TG PureWave/BG M25のブレンドされたグラフェン分散体は、TG Raymor PureWaveグラフェンのみを含有する等重量パーセントのグラフェン分散体と同様に高い経時的安定性を有する。TG PureWave対BG M25の比が1:1から1:3に低下するとき、安定性が劇的に低下し、3重量パーセントの分散体における一定の総固形物負荷が、TG Raymor PureWaveグラフェンによって提供される安定化効果が1:1により近い比に限定されることを示す。不安定な溶液において総グラフェンの重量パーセントを増加させることは、依然として、3重量%と比較して、6重量%での1:3 TG PureWave/BG M25グラフェン分散体の不安定性指数から証明されるように、不安定な分散体をもたらし得る。P:Bを14から3に減少させることは、1:3 TG PureWave/BG M25グラフェン分散体を更に安定化することが可能である。しかしながら、この例は、TG PureWaveグラフェンがBGグラフェンの他の供給源を含有するグラフェン分散体を提供する安定化効果を強調するために、高いP:Bに向けられている。
【0062】
図4は、(■、□)TG PureWave熱的に生成されたグラフェン、(▲、△)BG XG Sciences M25剥離グラフェン、及び(◆、◇)TG PureWave及びBG M25グラフェンの1:1 w/wブレンドの3重量%総固形物負荷についての1%のせん断ひずみでの角周波数の関数としての貯蔵(閉鎖形状)及び損失(開放形状)弾性率のプロットである。TG及び1:1w/wのブレンドされたグラフェン分散体についての振動レオロジー測定値は、Anton Parr PP50平行プレートスピンドルを使用して生成したが、M25グラフェン分散体についての振動レオロジーデータは、PP25平行プレートスピンドルを使用して生成した。全ての用語及び語彙のリストは、ISO 6721-10に見出すことができ、データ収集のための方法は、ASTM D7271-06又はASTM D4440-15のいずれかに従った。振動測定は、0.1~100%の異なるせん断ひずみ値で複素粘度を測定することによって行った。複素粘度及びスピンドルによって感じられるトルクのプロットは、せん断ひずみの関数としてプロットされ、その後、特定のせん断ひずみパーセンテージは、複素粘度の線形領域において感じられる最も高いトルクで選択された。そのせん断ひずみ(1%)内で、角周波数は、0.1~100rad s-1で変動し、貯蔵及び損失弾性率の測定値が収集された。
【0063】
TG PureWave及び1:1 TG PureWave/BG M25グラフェン分散体の両方におけるG’対ωの平坦なプロファイルは、TG PureWaveグラフェンの安定化効果を介して形成された強い3Dカーボンネットワークを示す。対照的に、BG M25グラフェン分散体は、10rad s-1で開始する勾配における急速な増加を示し、これは溶媒及びポリマーマトリックスによって支配されるカーボンネットワーク破壊及びレオロジー特性を示す。角周波数値が観察されないと、TG PureWave又は1:1 TG PureWave/BG M25のカーボンネットワークは破壊されており、TG PureWave調合物の堅牢なグラフェン分散能力を強調した。0.1~100rad/sの角周波数で収集されたTG PureWave及び1:1 TG PureWave/BG M25グラフェン分散体についてのデータは、これらの分散体の不安定性測定値及び後述の分散体の乾燥粉末のSEM画像と併せて、M25分散体と比較して、より強い粒子ネットワークからのこれらの分散体の増加した安定性を支持する。
【0064】
図5は、3重量%のTG PureWaveの乾燥分散体のSEM画像であり、熱的に生成されたグラフェンTGの小粒子の均質な、十分に連結された分散体を示す。
【0065】
図6は、3重量%の1:1 TG PureWave/BG M25の乾燥分散体のSEM画像であり、より大きなM25剥離グラフェン粒子を有する熱的に生成されたグラフェンの小粒子の均質な、十分に連結された分散体を示す。
【0066】
図7は、3重量%のBG XG Sciences M25剥離グラフェンの乾燥分散体のSEM画像であり、薄片状の外観を有するより大きなグラフェン粒子の不十分に連結された分散体を示す。
【0067】
図5図7に示されるSEM試料を分散させ、次いでキャストし、カーボンテープを有するアルミニウムスタブ上で乾燥させた。次いで、試料をAu/Pdで20秒間コーティングし、高真空下でQuanta 250 FEG SEM中で分析した。加速電圧を、10.00kVに設定し、スポットサイズは、3.0であった。
【0068】
本明細書に記載及び例示される広範な本発明の概念から逸脱することなく、上述の開示に照らして、多数の修正及び変形が可能であることが当業者によって理解されるであろう。したがって、前述の開示は、本出願の様々な例示的な態様の単なる例示であり、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある多数の修正及び変形が、当業者によって容易に行われ得ることが理解されるべきである。
【0069】
詳細な説明の目的のために、本発明が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形及びステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。更に、任意の作業例以外、又は別途示される場合、値、量、パーセンテージ、範囲、部分範囲、及び端数を表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という言葉が前にあるかのように読むことができる。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。クローズ又はオープンエンドの数値範囲が本明細書に記載される場合、数値範囲内又は数値範囲に包含される全ての数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、及び端数は、これらの数、値、量、パーセンテージ、部分範囲、及び端数がそれらの全体が明示的に書き出されているかのように、本出願の元の開示に特異的に含まれ、かつそれに属するものとみなされるべきである。
【0070】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0071】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、複数の用語は、別途示されない限り、その単数の対応物を包含することができ、その逆もまた同様である。加えて、本出願では、「及び/又は」がある特定の場合において明示的に使用され得るが、別段の明記がない限り、「又は」の使用は、「及び/又は」を意味する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する」、及び同様の用語は、本出願の文脈において「含む(comprising)」と同義であることが理解され、したがって、オープンエンドであり、追加の非記述又は非記載の要素、材料、構成成分、又は方法ステップの存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、任意の不特定の要素、構成成分、又は方法ステップの存在を除外するように、本出願の文脈において理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特定の要素、材料、構成成分、又は方法ステップ、記載されているものの「基本的かつ新規の特徴に物質的に影響を及ぼさないもの」を含むように、本出願の文脈において理解される。
【0073】
本発明の特定の実施形態が、例示の目的で上に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンカーボンナノ粒子の分散体であって、
溶媒と、
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む前記分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子と、
ポリマー樹脂分散剤であって、前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、ポリマー樹脂分散剤と、を含む、グラフェンカーボンナノ粒子の分散体。
【請求項2】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGが、前記分散体の前記総重量に基づいて、0.5重量パーセント超を構成する、請求項に記載の分散体。
【請求項3】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの総量が、前記分散体の前記総重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントであり、前記不安定性指数が、0.3未満である、請求項に記載の分散体。
【請求項4】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、請求項に記載の分散体。
【請求項5】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1超:1である、請求項に記載の分散体。
【請求項6】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、請求項に記載の分散体。
【請求項7】
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、請求項に記載の分散体。
【請求項8】
前記ベースグラフェン粒子BGが、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化されたグラフェン、黒鉛化されたカーボンブラック、グラフェンナノリボン、カーボンナノチューブ、及び/又はフラーレンを含む、請求項に記載の分散体。
【請求項9】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で生成される、請求項に記載の分散体。
【請求項10】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子が、ターボストラティックであり、1グラム当たり少なくとも70平方メートルのB.E.T.比表面積を有し、3超:1の平均アスペクト比及び少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有する、請求項に記載の分散体。
【請求項11】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、請求項に記載の分散体。
【請求項12】
前記分散剤が、ビニルピロリドンの残基を含む付加ポリマーを含む、請求項に記載の分散体。
【請求項13】
前記ビニルピロリドンが、ポリビニルピロリドンを含む、請求項12に記載の分散体。
【請求項14】
前記溶媒が、水を含む、請求項に記載の分散体。
【請求項15】
前記溶媒が、有機溶媒を含む、請求項に記載の分散体。
【請求項16】
グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法であって、
ポリマー樹脂分散剤を前記溶媒中に混合することと、
前記溶媒中に、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子を分散させることと、を含み、
前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法。
【請求項17】
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、請求項16に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本発明の特定の実施形態が、例示の目的で上に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
グラフェンカーボンナノ粒子の分散体であって、
溶媒と、
熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む前記分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子と、
ポリマー樹脂分散剤であって、前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、ポリマー樹脂分散剤と、を含む、グラフェンカーボンナノ粒子の分散体。
(項目2)
前記分散体が、0.4未満の不安定性指数を有する、項目1に記載の分散体。
(項目3)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TGが、前記分散体の前記総重量に基づいて、0.5重量パーセント超を構成する、項目1及び2のいずれかに記載の分散体。
(項目4)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの総量が、前記分散体の前記総重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントである、項目1~3のいずれかに記載の分散体。
(項目5)
前記不安定性指数が、0.3未満である、項目4に記載の分散体。
(項目6)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目7)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、12超:1である、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目8)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1超:1である、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目9)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1.2超:1である、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目10)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目11)
前記ベースグラフェン粒子BGが、0.9未満:1のラマン2D:Gピーク比を有する、項目10に記載の分散体。
(項目12)
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目13)
前記ベースグラフェン粒子BGが、剥離されたグラファイトグラフェンを含む、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目14)
前記ベースグラフェン粒子BGが、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化されたグラフェン、黒鉛化されたカーボンブラック、グラフェンナノリボン、カーボンナノチューブ、及び/又はフラーレンを含む、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目15)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、少なくとも3,500℃の温度で生成される、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目16)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子が、ターボストラティックであり、1グラム当たり少なくとも70平方メートルのB.E.T.比表面積を有する、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目17)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子が、3超:1の平均アスペクト比及び少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有する、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目18)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目19)
前記分散剤が、ビニルピロリドンの残基を含む付加ポリマーを含む、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目20)
前記ビニルピロリドンが、ポリビニルピロリドンを含む、項目19に記載の分散体。
(項目21)
前記溶媒が、水を含む、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目22)
前記溶媒が、有機溶媒を含む、先行項目のいずれかに記載の分散体。
(項目23)
グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法であって、
ポリマー樹脂分散剤を前記溶媒中に混合することと、
前記溶媒中に、熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGを含む分散体の総重量に基づいて、1重量パーセント超のグラフェンカーボンナノ粒子を分散させることと、を含み、
前記グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBG対前記分散剤の重量比が、5超:1であり、前記分散体が、0.7未満の不安定性指数を有する、グラフェンカーボン粒子を溶媒中に分散させる方法。
(項目24)
前記分散体が、0.4未満の不安定性指数を有する、項目23に記載の方法。
(項目25)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの総量が、前記分散体の前記総重量に基づいて、少なくとも3重量パーセントである、項目23~24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、10超:1である、項目23~25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
グラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGの合計対前記分散剤の重量比が、12超:1である、項目23~26のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1超:1である、項目23~27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG対ベースグラフェン粒子BGの重量比が、1.2超:1である、項目23~28のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボン粒子TGが、少なくとも0.9:1のラマン2D:Gピーク比を有し、前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の不安定性指数未満の不安定性指数を有する、項目23~29のいずれかに記載の方法。
(項目31)
前記ベースグラフェン粒子BGが、0.9未満:1のラマン2D:Gピーク比を有する、項目30に記載の分散体。
(項目32)
前記分散体が、前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びベースグラフェン粒子BGの総重量に等しい量で、前記ベースグラフェン粒子BGのみからなる同一の分散体の粘度よりも大きい粘度を有する、項目23~31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
前記ベースグラフェン粒子BGが、剥離されたグラファイトグラフェンを含む、項目23~32のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記ベースグラフェン粒子BGが、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、官能化されたグラフェン、グラフェンナノリボン、及び/又はカーボンナノチューブを含む、項目23~33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記熱的に生成されたグラフェンカーボンナノ粒子TG及びBGが、粉砕されている、項目22~34のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】