(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】分岐管腔のためのインプラント可能なデバイスならびに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20240326BHJP
A61F 2/954 20130101ALI20240326BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/954
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562907
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022017251
(87)【国際公開番号】W WO2022220924
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン シー.バーカート
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジェイ.セクター
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ボールヒーズ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097CC12
4C097MM09
4C267AA43
4C267AA56
4C267BB11
4C267BB12
4C267CC08
(57)【要約】
管状部材と、前記管状部材を支持するステント部材とを含むインプラント可能なデバイス。前記管状部材は第一の端部及び第二の端部を含み、前記管状部材の第一の端部に第一の開口部を有し、前記管状部材の第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成する。管状部材は、主要管腔内に配置されて二次管腔を形成するカラムを含み、前記管状部材は、前記管状部材の第一の端部と第二の端部との間の長手方向の位置で二次管腔内に開口する複数のアパチャを画定し、前記カラムはカラム開口部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端部及び第二の端部を有する管状部材、ここで、前記管状部材は前記管状部材の前記第一の端部に第一の開口部を有し、前記管状部材の前記第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、前記主要管腔内に配置されて二次管腔を形成するカラムを含み、前記管状部材は、前記管状部材の前記第一の端部と前記第二の端部との間の長手方向の位置で前記二次管腔内に開口している複数のアパチャを画定し、前記カラムはカラム開口部を有する、及び、
前記管状部材を支持するステント部材、
を含む、インプラント可能なデバイス。
【請求項2】
前記管状部材は、前記主要管腔を画定する第一のグラフト部材と、前記第一のグラフト部材に結合されて前記カラムを形成する第二のグラフトであって、前記第一のグラフト部材と前記第二のグラフト部材との間に前記二次管腔を画定する第二のグラフト部材とを含む、請求項1記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項3】
前記二次管腔は、前記二次管腔の近位開口部において前記主要管腔内に開口している、請求項2に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項4】
前記二次管腔は崩潰可能である、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項5】
前記二次管腔はステントによって支持されていない、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項6】
前記ステント部材は、前記管状部材に沿って長手方向に間隔を置いて配置された複数のステントリングを含む、先行の請求項のいずれか1項記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項7】
前記複数のアパチャのそれぞれは、前記複数のステントリングのうちの少なくとも1つによって互いに分離されている、請求項6に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項8】
前記複数のアパチャの各アパチャは、円形、又は丸い部分と実質的に平坦な部分とを画定する形状を含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項9】
前記管状部材は、前記管状部材の少なくとも一部に沿って長手方向に延在し、互いに周方向に間隔を置いた複数の二次管腔を含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項10】
前記ステント部材の少なくとも一部を取り囲むように配置された拘束部材レシーバをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項11】
前記管状部材は、前記第一の端部にスカラップを含む、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項12】
前記二次管腔は、前記主要管腔の軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に延在する二次管腔軸に沿って延在している、先行の請求項のいずれか1項に記載のインプラント可能なデバイス。
【請求項13】
第一の端部及び第二の端部を有する管状部材、ここで、前記管状部材は、前記管状部材の前記第一の端部に第一の開口部を有し、前記管状部材の前記第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、各々が二次管腔を画定する複数のカラムを含み、前記複数のカラムの各カラムは互いに周方向に間隔を置いて配置され、各二次管腔は前記第一の端部と前記第二の端部との間の位置で前記管状部材を通して画定されるアパチャを有し、前記管状部材の前記第二の端部に近接したカラム開口部を有し、各カラムは流体圧下で崩潰するように動作可能である、及び、
前記管状部材を支持するステント部材、
を含む、インプラント可能なデバイス。
【請求項14】
本体及び側枝を含むインプラント可能なデバイス、ここで、前記本体は管状部材及び前記管状部材を支持するステント部材を含み、前記管状部材は第一の開口部及び第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、前記管状部材を通して画定されたアパチャを有し、前記管状部材の前記第二の開口部の近位にある近位開口部を有する二次管腔を形成し;
第一の端部及び第二の端部を有する長尺部材、ここで、前記インプラント可能なデバイスの前記本体は、前記長尺部材の前記第一の端部に配置され、前記長尺部材は、前記長尺部材の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って延在しており、そして側枝がデリバリーされるように動作可能であるデリバリー管腔を画定し;
前記インプラント可能なデバイスの前記本体がカテーテルオリーブの前方先端と前記長尺部材の前記第二の端部との間で長手方向に配置されるように、前記長尺部材の前記第一の端部に配置された、カテーテルオリーブ;
前記本体の周りに配置され、前記本体をデリバリー構成に拘束する、拘束部材;及び
前記本体のステントの周りに配置された二次拘束部材、ここで、前記二次拘束部材は、前記本体を部分的に拘束された構成に拘束するように動作可能である、
を含む、デリバリーシステム。
【請求項15】
前記長尺部材の前記デリバリー管腔から、前記近位開口部から前記アパチャを通って前記管状部材の前記二次管腔を通って延在し、前記カテーテルオリーブに結合されたガイド部材をさらに含む、請求項14に記載のデリバリーシステム。
【請求項16】
前記ガイド部材に結合され、前記ガイド部材に沿って前進するように動作可能である交換カテーテルをさらに含む、請求項15に記載のデリバリーシステム。
【請求項17】
前記交換カテーテルを通してデリバリーされるように動作可能である、第一のガイドワイヤ;
前記第一のガイドワイヤ上を前進させるように動作可能な湾曲したカテーテル;及び
前記第一のガイドワイヤよりも硬い第二のガイドワイヤ、ここで、前記第二のガイドワイヤは湾曲したカテーテルを通して前進するように動作可能であり、前記側枝は前記第二のガイドワイヤに沿って標的部位まで前進するように動作可能である、
をさらに含む、請求項16に記載のデリバリーシステム。
【請求項18】
本体及び側枝を含むインプラント可能なデバイス、ここで、前記本体は管状部材及び前記管状部材を支持するステント部材を含み、前記管状部材は第一の開口部及び第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は二次管腔を画定し、前記管状部材を通して画定されたアパチャを有しそして前記管状部材の前記第二の開口部の近位にカラム開口部を有するカラムを含むみ;
第一の端部及び第二の端部を有する長尺部材、ここで、前記インプラント可能なデバイスの前記本体は、前記長尺部材の前記第一の端部の近位に配置され、前記長尺部材は、側枝がデリバリーされるように動作可能な管腔を画定すし;
前記インプラント可能なデバイスの前記本体がカテーテルオリーブの前方先端と前記長尺部材の第二の端部との間で長手方向に配置されるように、前記長尺部材の前記第一の端部に配置された、カテーテルオリーブ;
前記本体の周りに配置され、前記本体をデリバリー構成に拘束する拘束部材;及び
前記長尺部材の管腔から、近位開口部から前記アパチャを通って前記管状部材の前記二次管腔を通って延在し、そして前記カテーテルオリーブに結合された、ガイド部材、
を含む、デリバリーシステム。
【請求項19】
前記本体の前記ステントの周りに配置された二次拘束部材、ここで、前記二次拘束部材は前記本体を部分的に拘束された構成に拘束するように動作可能である、
をさらに含む、請求項18に記載のデリバリーシステム。
【請求項20】
前記本体の前記ステント部材は複数のステントリングを含み、前記二次拘束部材は複数のワイヤを含み、前記複数のワイヤのうちの1つのワイヤは前記複数のステントリングのうちの対応するステントリングに対応する、請求項19に記載のデリバリーシステム。
【請求項21】
主血管及び側枝血管を含む標的部位にインプラント可能なデバイスをデリバリーする方法であって、
インプラント可能なデバイスの本体を標的部位の主血管まで前進させること、ここで、前記本体は、長尺部材の第一の端部の近くで長尺部材の周りで拘束部材によって拘束され、前記本体は第一の端部及び第二の端部を有する管状部材を含み、前記管状部材は、前記管状部材の前記第一の端部に第一の開口部を有し、前記管状部材の前記第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、前記管状部材の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って延在する、それぞれが二次管腔を画定する複数のカラムを有し、それぞれが前記管状部材の前記第一の端部と前記第二の端部との間の位置で前記管状部材を通して画定された複数のアパチャを有し、各二次管腔は、前記管状部材の前記第二の端部の近位にカラム開口部を有し、前記管状部材は、前記管状部材の前記第一の端部にスカラップを含み、前記本体は、前記管状部材を支持し、デリバリー構成及び展開構成で構成されるように動作可能なステント部材を含み;
前記管状部材の前記スカラップを側枝血管に近接して配置すること;
前記本体がデリバリー構成から拡張構成に拡張するように動作可能となるように、前記本体を前記拘束部材から解放すること;
交換カテーテルを側枝血管に向かって前進させること、前記交換カテーテルは、前記長尺部材から延在するガイド部材に沿って、近位開口部から前記管状部材の複数の二次管腔のうちの1つを通って、前記複数のアパチャのうちの第一の端部のアパチャを通って前進され、そして前記長尺部材の前記第一の端部でカテーテルオリーブに解放可能に結合され;
第一のガイドワイヤが前記二次管腔の前記第一の端部のアパチャを越えて延在するように、前記交換カテーテルを通して第一のガイドワイヤを導入すること;
前記交換カテーテルを前記第一のガイドワイヤの周囲から離れるようにリトラクトすること;
側枝がデリバリーされる複数のアパチャのうちの標的アパチャを選択すること、ここで、前記標的アパチャに又は標的アパチャを通って配置された第一のガイドワイヤをリトラクトさせることを含む、
前記第一のガイドワイヤを第二のより硬いガイドワイヤと交換すること;
前記第二のガイドワイヤにより側枝を側枝血管まで前進させること;及び
前記側枝を前記側枝血管で展開すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月16日に出願された仮出願第63/176,031号の利益を主張し、その全体をあらゆる目的で参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
背景
ヒトの解剖学的構造の多くの場所において、主要体導管(例えば、主要血管)は、主要体導管から分岐する1つ以上の二次体導管(例えば、分岐血管又は末梢血管)と接続されている。幾つかの場合において、二次体導管は、主要体導管(例えば、静脈導管)に流体を搬送し、他の場合において、二次体導管は、主要体導管(例えば、動脈導管)から流体を搬送する。
【0003】
ヒトの脈管構造には、二次分岐を有する主要体導管の多数の例が含まれる。主要体導管の一例は大動脈である。腹部大動脈では、大動脈から複数の動脈が分岐している。
【0004】
体導管及び/又はそれらが関連する循環系(又は他の身体)系は、様々な疾患、欠損及び症状を患う可能性があり、あるいはグラフト、ステントグラフト、フィルタ、吻合デバイス、人工弁などを含む1つ以上のインプラント可能な人工器官導管を使用した増強から利益を得ることができる。概して、そのようなインプラント可能な導管は、体内で流体を運ぶように構成された管状形態を有する。
【発明の概要】
【0005】
要旨
本明細書において、インプラント可能なデバイスの例を開示する。
【0006】
1つの例(「例1」)によれば、インプラント可能なデバイスは、第一の端部と第二の端部を有する管状部材、ここで、前記管状部材は、前記管状部材の第一の端部に第一の開口部及び前記管状部材の第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、前記主要管腔内に配置されて二次管腔を形成するカラムを含み、前記管状部材は、前記管状部材の第一端部と第二端部との間の長手方向位置で前記二次管腔内に開口する複数のアパチャを画定し、前記カラムはカラム開口部を有する;及び、前記管状部材を支持するステント部材を含む。
【0007】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、前記管状部材は、前記主要管腔を画定する第一のグラフト部材と、前記第一のグラフト部材に結合された第二のグラフト部材であって、前記カラムを形成しそして前記第一のグラフト部材と前記第二のグラフト部材との間で二次管腔を画定する、第二のグラフト部材とを含む。
【0008】
別の例(「例3」)によれば、例2に加えて、前記二次管腔は、前記二次管腔の近位開口部で前記主要管腔内に開口している。
【0009】
他の例(「例4」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記二次管腔は崩潰可能である。
【0010】
別の例(「例5」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記二次管腔はステントによって支持されていない。
【0011】
別の例(「例6」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記ステント部材は、前記管状部材に沿って長手方向に間隔を置いて配置された複数のステントリングを含む。
【0012】
別の例(「例7」)によれば、例6に加えて、前記複数のアパチャのそれぞれは、前記複数のステントリングのうちの少なくとも1つによって互いに分離されている。
【0013】
別の例(「例8」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記複数のアパチャの各アパチャは、円形、又は、丸い部分と実質的に平坦な部分を画定する形状を含む。
【0014】
別の例(「例9」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記管状部材は、前記管状部材の少なくとも一部に沿って長手方向に延在し、互いに周方向に間隔を置いて配置された複数の二次管腔を含む。
【0015】
別の例(「例10」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記インプラント可能なデバイスは、前記ステント部材の少なくとも一部を取り囲むように配置された拘束部材レシーバをさらに含む。
【0016】
別の例(「例11」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記管状部材は前記第一の端部にスカラップを含む。
【0017】
別の例(「例12」)によれば、先行の例のいずれかに加えて、前記二次管腔は、前記主要管腔の軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に延在する二次管腔軸に沿って延在する。
【0018】
別の例(「例13」)によれば、インプラント可能なデバイスは、第一の端部及び第二の端部を有する管状部材、ここで、前記管状部材は、前記管状部材の第一の端部に第一の開口部及び前記管状部材の第二の端部に第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記前記管状部材は、それぞれ二次管腔を画定する複数のカラムを含み、前記複数のカラムの各カラムは、互いに周方向に間隔を置いて配置され、各二次管腔は、前記第一の端部と前記第二の端部との間の位置で前記管状部材を通して画定されるアパチャを有し、そして前記前記管状部材の第二の端部に近接するカラム開口部を有し、各カラムは流体圧下で崩潰するように動作可能である;及び前記管状部材を支持するステント部材を含む。
【0019】
別の例(「例14」)によれば、デリバリーシステムは、本体及び側枝を含むインプラント可能なデバイス、ここで、前記本体は、管状部材と、前記管状部材を支持するステント部材とを含み、前記管状部材は、第一の開口部及び第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、前記管状部材を通して画定されたアパチャを有し、そして前記管状部材の第二の開口部の近位にある近位開口部を有する二次管腔を形成し、;第一の端部及び第二の端部を有する長尺部材、ここで、前記インプラント可能なデバイスの前記本体は、前記長尺部材の前記第一の端部に配置され、前記長尺部材は、前記長尺部材の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って延在するデリバリー管腔を画定し、そしてそれを通して側枝がデリバリーされるように動作可能であり;カテーテルオリーブ、ここで、前記インプラント可能なデバイスの前記本体が前記カテーテルオリーブの前方先端と前記長尺部材の前記第二の端部との間に長手方向に配置されるように、前記長尺部材の第一の端部に配置され;前記本体の周りに配置されそして前記本体をデリバリー構成に拘束する拘束部材;及び前記本体のステントの周りに配置された二次拘束部材、ここで、前記二次拘束部材は前記本体を部分的に拘束された構成に拘束するように動作可能である、を含む。
【0020】
別の例(「例15」)によれば、例14に加えて、前記デリバリーシステムは、前記長尺部材のデリバリー管腔から、前記近位開口部からアパチャを通って管状部材の二次管腔を通して延在し、そして前記カテーテルオリーブに結合されるガイド部材をさらに含む。
【0021】
別の例(「例16」)によれば、例15に加えて、前記デリバリーシステムは、前記ガイド部材に結合され、前記ガイド部材に沿って前進するように動作可能な交換カテーテルをさらに含む。
【0022】
別の例(「例17」)によれば、例16に加えて、前記デリバリーシステムは、前記交換カテーテルを通してデリバリーされるように動作可能な第一のガイドワイヤ;前記第一のガイドワイヤ上を前進するように動作可能な湾曲したカテーテル;及び前記第一のガイドワイヤよりも剛性である第二のガイドワイヤ、ここで、前記第二のガイドワイヤは前記湾曲したカテーテルを通して前進するように動作可能であり、側枝は前記第二のガイドワイヤに沿って標的部位まで前進するように動作可能である、をさらに含む。
【0023】
別の例(「例18」)によれば、デリバリーシステムは、本体及び側枝を含むインプラント可能なデバイス、ここで、前記本体は、管状部材と、前記管状部材を支持するステント部材とを含み、前記管状部材は、第一の開口部及び第二の開口部を有する主要管腔を形成し、前記管状部材は、二次管腔を画定し、前記管状部材を通して画定されたアパチャを有しそして前記管状部材の第二の開口部の近位にカラム開口部を有するカラムを含み;、第一の端部及び第二の端部を有する長尺部材、ここで、前記インプラント可能なデバイスの前記本体は前記長尺部材の前記第一の端部の近位に配置され、前記長尺部材は、側枝がデリバリーされるように動作可能な管腔を画定し;カテーテルオリーブ、ここで、前記インプラント可能なデバイスの本体が前記カテーテルオリーブの前方先端と前記長尺部材の第二の端部との間に長手方向に配置されるように前記長尺部材の前記第一の端部に配置され;前記本体の周りに配置され、前記本体をデリバリー構成に拘束する拘束部材;及び長尺部材の管腔から、前記近位開口部から前記アパチャを通して前記管状部材の前記二次管腔を通って延在し、前記カテーテルオリーブに結合されるガイド部材、を含む。
【0024】
別の例(「例19」)によれば、前記デリバリーシステムは、前記本体のステントの周囲に配置された二次拘束部材をさらに含み、前記二次拘束部材は、前記本体を部分的に拘束された構成に拘束するように動作可能である。
【0025】
別の例(「例20」)によれば、例19に加えて、前記本体のステント部材は複数のステントリングを含み、前記二次拘束部材は複数のワイヤを含み、前記複数のワイヤのうちの1つのワイヤは、前記複数のステントリングのうちの対応するステントリングに対応する。
【0026】
別の例(「例21」)によれば、主血管及び側枝血管を含む標的部位にインプラント可能なデバイスをデリバリーする方法であって、インプラント可能なデバイスの本体を標的部位の主血管まで前進させること、ここで、前記本体は、長尺部材の第一の端部に近接する前記長尺部材の周りで拘束部材によって拘束され、前記本体は、第一の端部及び第二の端部を有する管状部材を含み、前記管状部材は、前記管状部材の前記第一の端部にある第一の開口部と、前記管状部材の前記第二の端部にある第二の開口部とを有する主管腔を形成し、前記管状部材は、前記管状部材の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って延在する二次管腔をそれぞれ画定する複数のカラムを有し、前記管状部材の前記第一の端部と前記第二の端部との間の位置に前記管状部材を通して画定された複数のアパチャをそれぞれ有し、各二次管腔は前記管状部材の第二の端部の近位にカラム開口部を有し、前記管状部材は前記管状部材の前記第一の端部にスカラップを含み、前記本体は、前記管状部材を支持し、デリバリー構成及び展開構成で構成されるように動作可能なステント部材を含み;前記管状部材の前記スカラップを側枝血管に近接して配置すること;前記本体がデリバリー構成から拡張構成に拡張するように動作可能となるように、前記本体を前記拘束部材から解放すること;交換カテーテルを側枝血管に向かって前進させること、ここで、前記交換カテーテルは、前記長尺部材から延在するガイド部材に沿って、近位開口部から前記管状部材の複数の二次管腔のうちの1つを通って、複数のアパチャのうちの第一の端部のアパチャを通って前進し、そして前記長尺部材の第一の端部でカテーテルオリーブに解放可能に結合される;前記第一のガイドワイヤが前記二次管腔の前記第一の端部のアパチャを超えて延在するように、前記交換カテーテルを通して第一のガイドワイヤを導入すること;前記交換カテーテルを前記第一のガイドワイヤの周囲からリトラクトすること;側枝がデリバリーされる複数のアパチャのうちの標的アパチャを選択すること、ここで、前記標的アパチャに又は前記標的アパチャを通って配置された前記第一のガイドワイヤをリトラクトすることを含み;前記第一のガイドワイヤを第二のより硬いガイドワイヤと交換すること;前記第二のガイドワイヤを介して側枝を側枝血管まで前進させること;及び前記側枝を前記側枝血管で展開すること、を含む。
【0027】
上述の例は単なる実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は別の方法で狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0029】
【
図1】
図1は、幾つかの実施形態による、本体と、該本体を通って延在する複数の側枝とを有するインプラント可能なデバイスの側面図を示す。
【0030】
【
図2A】
図2Aは、幾つかの実施形態による、ポータル及び複数のアパチャを含むインプラント可能なデバイスの本体の斜視図を示す。
【0031】
【
図2B】
図2Bは、幾つかの実施形態による、本体の第二の端部に位置するポータルの開口部を示す
図2Aの本体の端面図を示す。
【0032】
【
図2C】
図2Cは、幾つかの実施形態による、湾曲部分と実質的に直線部分とを有するアパチャを有する本体の斜視図を示す。
【0033】
【
図3】
図3は、幾つかの実施形態による、長尺部材、カテーテルオリーブ、ガイド部材、拘束部材及びデリバリーハンドルを含む、インプラント可能なデバイスのためのデリバリーシステムの側面図を示し、インプラント可能なデバイスは長尺部材の周囲に配置される。
【0034】
【
図4】
図4A及び4Bは、幾つかの実施形態による、インプラント可能なデバイスを制御可能に拘束するように動作可能な拘束部材を含むインプラント可能なデバイスの斜視図を示す。
【0035】
【
図5】
図5A~
図5Cは、幾つかの実施形態による、カテーテルオリーブまで延在しているガイド部材の側面図を示す。
【0036】
【
図6】
図6は、幾つかの実施形態による、インプラント可能なデバイスを通って延在している例示的なガイド部材の斜視図を示す。
【0037】
【
図7】
図7は、幾つかの実施形態による交換カテーテルの断面図を示す。
【0038】
【
図8】
図8は、幾つかの実施形態による、インプラント可能なデバイスのポータル内の長尺部材から延在する
図7の交換カテーテルの側面図を示す。
【0039】
【
図9】
図9は、幾つかの実施形態による、インプラント可能なデバイスのためのデリバリーハンドルの側面図を示す。
【0040】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、複数のデリバリー管腔を含む長尺部材の端面図を示す。
【0041】
【
図11】
図11A~11Cは、幾つかの実施形態による、腹部大動脈動脈内に配置された本体、腎動脈内に配置された複数の側枝、及び、腸骨動脈内に配置された複数の肢を有するインプラント可能なデバイスの側面図を示す。
【0042】
【
図12】
図12は、幾つかの実施形態による、本体の一部を通って延在する側枝を示すインプラント可能なデバイスの斜視図である。
【0043】
【
図13-27】
図13~
図27は、幾つかの実施形態による、インプラント可能なデバイスを標的血管にそして側枝を側枝血管にデリバリーするためのデリバリー方法を示す。
【0044】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解する。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示のさまざまな態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0046】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値、及び記載された測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。例えば、このような逸脱は、測定誤差又は性能を最適化するために行われた微調整に起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さい差の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語、及び同様の用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0047】
様々な実施形態の説明
本開示の様々な態様は、インプラント可能なデバイスを含む装置、システム及び方法を対象とする。インプラント可能なデバイスは、1つ以上の流体通路を支持するために患者内に配置されうる。インプラント可能なデバイスは、流体通路(例えば、動脈、静脈、CSF通路など)の主要部分に配置され、患者内の側枝通路内に延在する側枝を含むことができる。特定の例において、インプラント可能なデバイスは、血管系内に配置されるグラフト又はステントグラフトであることができる。装置、システム及び方法は、循環機能、特に側枝(例えば、腎臓などの重要な器官につながる)の機能を改善又は支援するのに使用することができる。1つの例において、患者は腹部大動脈瘤(「AAA」)を患っている可能性がある。AAAは腎動脈付近で発生し、及び/又は、腎動脈内に広がる可能性がある。インプラント可能なデバイスは、主要動脈及び腎動脈などの1つ以上の側枝動脈の灌流を維持しながら、動脈瘤の拡大及び破裂を防止するのを支援するために使用されうる。
【0048】
図1は、本体12と、本体12を通って延在する複数の側枝14とを有するインプラント可能なデバイス10の1つの例の側面図を示す。インプラント可能なデバイス10はまた、本体12から延在する側枝14を含む。側枝14は、本体から分離されている(すなわち、側枝14は、本体12と統合されていない)。側枝14は本体12とは別個の構造であるため、側枝14は本体12に結合されてインプラント可能なデバイスを形成する。例えば、本体12を腹部大動脈内に展開し、側枝14を腎動脈内に展開して腹部大動脈内に位置する本体12内に延在させることができる。
【0049】
図2Aに示されるように、幾つかの実施形態において、インプラント可能なデバイス10の本体12は管状部材20及びステント部材40を含む。図示されるように、管状部材20は第一の端部22及び第二の端部24を有する。管状部材20は、管状部材20の第一の端部22に第一の開口部23を有し、第二の端部24に第二の開口部25を有する主要管腔26を形成する。管状部材20は、主要管腔26内に配置されたカラム28を含み、二次管腔30を形成する(
図2Bを参照されたい)。管状部材20は、管状部材20の第一の端部22と第二の端部24との間の長手方向位置で二次管腔30内へのアパチャ32を画定する。カラム28は、管状部材20の第二の端部24の近位にカラム開口部34(
図2Bを参照されたい)を画定する。ステント部材40は、インプラント可能なデバイスがデリバリー構成及び展開構成に構成されるように、又は、デリバリー構成から展開構成に移行するように動作可能であるように、管状部材20を支持する。
【0050】
幾つかの実施形態において、管状部材20は、主要管腔26を画定する第一のグラフト部材41と、前記第一のグラフト部材41に結合された第二のグラフト部材42とを含み、第一のグラフト部材41と第二のグラフト部材42との間に二次管腔30を画定するカラム28を形成する。例えば、第一のグラフト部材41は、主要管腔26を画定するために管の形状に形成されたグラフト材料を含む。また、第二のグラフト部材42は、必要に応じて、第一のグラフト部材に結合されたグラフト材料(例えば、ボンディング、接着剤又は別の方法での結合による)を含み、二次管腔30を形成する。第一のグラフト部材及び第二のグラフト部材41、42のグラフト材料は、所望に応じて、同じ材料であってもよいし、又は異なる材料であってもよい。幾つかの材料は他の材料に比べて特定の利点を提供する可能性があるが、様々な適切なグラフト材料を実装することができ、一般に、本明細書で論じる材料を含む任意の適切なグラフト材料を実装することができる。
【0051】
幾つかの実施形態において、二次管腔30は、本体12の長手方向の長さに沿って少なくとも部分的に延在している。カラム28の二次管腔30は、二次管腔30の近位開口部で主要管腔26内に開口する。幾つかの実施形態において、カラム28は、カラム開口部34が管状部材20の第二の開口部25に位置し、又はそれと同一平面上に位置するように、管状部材20の第二の端部24まで延在している。他の実施形態において、カラム28は、カラム開口部34が管状部材20の第二の開口部25から長手方向に間隔をあけて配置されるように、管状部材20の第二の端部24に向かって延在している。複数のカラム28を含む実施形態において、カラム開口部34は管状部材20を横切って同一の長手方向の長さで配置され、又は、別の言い方をすれば、管状部材20に沿って同じ長手方向位置にあることができ、又は、管状部材20の長さに沿って2つ以上の長手方向に間隔を開けた位置で互い違いに配置されうる。
【0052】
幾つかの実施形態において、カラム28、したがって二次管腔30は崩潰可能である。例えば、カラム28はステント部材によって支持されていなくてもよいが、支持された崩潰可能な実施形態も考えられる。支持体の欠如、又は適切に構成された支持体の欠如により、カラム28が潰れて(半径方向に潰れて)、アパチャ32をシールし、アパチャ32を通る流体(例えば、血液)の漏れ又は他の通過を制限することが可能になることができる。幾つかの実施形態において、流体によって加えられる圧力(例えば、流体圧、流体圧力勾配及び/又は運動中の流体によって加えられる圧力)は、カラムが管状部材20に密着又はシールして、二次管腔30、結果としてアパチャ32を通る流れを制限するように、カラム28を崩潰させる。
【0053】
図2Aに示されるように、カラム28は、管状部材20の第一の端部22の近くで、又は、図示されていない幾つかの実施形態において、第一の端部22でシール又は閉鎖されうる。従って、二次管腔30は、例えば、カラム28が開存しているときに、第一の端部及び第二の端部22、24の間の管状部材20の外表面と主要管腔26との間に流体連通を提供するように動作可能である。幾つかの実施形態において、管状部材20は、管状部材20の第一の端部近くにシールされていない(すなわち、開口部を含む)カラム28を含むことができる。そのような実施形態において、デリバリーカテーテルなどの長尺部材は、カラム28を通して配置されうる。
図2Bを参照すると、本体12の端面図は示されており、カラム開口部34は本体12の第二の端部24に近接して配置されている。幾つかの実施形態において、カラム28は本体12の第二の端部24まで延在している。図示されているように、二次管腔30は主要管腔26内に含まれることができる。
【0054】
再び
図2Aを参照すると、本体12はステント部材40を含む。ステント部材40は、以下に説明するように、任意の適切な材料から形成することができる。ステント部材40は、管状部材20を支持するように動作可能である。ステント部材40は、デリバリー構成に圧縮されることができ、展開時などに拡張構成に拡張されることができる。ステント部材40は、自己拡張型ステント又はバルーン拡張型ステントであることができる。図示されるように、ステント部材40は複数のステントリング44を含む。各ステントリング44は、管状部材20の長さに沿った長手方向位置で管状部材20を周方向に支持する。例えば、各ステントリング44は、隣接するステントリング44から長手方向に間隔を置いて配置される。ステントリング44は、それぞれ、第一の端部22に向かう第一の頂部46aと、第二の端部24に向かう第二の頂部46bとを有する頂部46を含むことができる。ステント部材40の様々な他の構成が本明細書で考えられ、限定するわけではないが、らせん状ステント(波形らせん状ステント、ダイヤモンドパターンステントなどを含む)が挙げられる。
【0055】
図2Aに示されるように、管状部材20は、本体12の長手方向の長さに沿って間隔をあけて配置された複数のアパチャ32を含む。アパチャ32は、少なくとも1つのステントリングが長手方向に隣接する2つのアパチャ32の間に位置するように配置されうる。例えば、カラム28は、アパチャ32が本体12に沿って長手方向に間隔をあけて配置されるように、管状部材20を通したアパチャ32を含むことができる。アパチャはすべて、カラム28の二次管腔30と流体連通している。アパチャ32は、本体12沿った様々な長手方向の長さでの二次分岐のためのアクセスポイントを提供する。
【0056】
図2Cを参照すると、アパチャ32は、円形プロファイル、丸い縁部及び実質的に平坦な縁部を有するプロファイル、卵形プロファイルなどを含む様々な形状及びサイズで形成されうる。様々な形状及びサイズは、アパチャ32における本体12からの様々な側枝14、及び、側枝14の出口の角度などの構成に適合するように実装されうる。図示されていない幾つかの実施形態において、アパチャ32は、カラム28の長手方向の長さに沿って不規則な間隔で配置されうる。さらに、図示されていない幾つかの実施形態において、アパチャ32はカラム28内で周方向に間隔を置いて配置されうる。例えば、アパチャ32は周方向及び/又は長手方向に互い違いに配置されうる。
【0057】
幾つかの実施形態において、本体12は複数のカラム28を含むことができる。例えば、本体12は、2つの側枝14を患者の解剖学的構造の側枝管腔内に展開するために、周方向に互いに離間した2つのカラム28を含むことができる。さらに、本体12は、患者の解剖学的構造の各側枝管腔に関連付けられた複数のカラム28を含むことができる。例えば、本体12が腹部大動脈で展開され、側枝14が腎動脈に展開されるならば、各患者は、腎動脈が大動脈に入る周方向の様々な位置を有することができる。
【0058】
各側枝14が展開される複数のカラム28を有することにより、外科医は、インプラント可能なデバイス10が展開されるときに血管にねじれを加えることなく、患者の本来の解剖学的構造に最もよく適合する適切なカラム28を選択することができる。したがって、1つの例において、本体12は、管状部材20の一方の周方向側に3つのカラム28を含み、管状部材20の反対側の周方向側にさらに3つのカラム28を含むことができる。各カラム28は、管状部材20の周囲において、隣接するカラムから周方向に間隔を置いて配置される。1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上のカラム28を含む、任意の数のカラム28及びカラム28の間隔を実装できることが考えられ、管状部材20の周囲で等しい間隔又は変化している間隔で配置されうる。特定の間隔は、患者のサンプル母集団における特定の実装について側枝の平均周方向間隔を調査して、カラム28の間隔を決定することにより決定されうるものとさらに考えられる。カラム20の周方向に間隔を開けることにより、側枝14を側枝血管内に適切に配置するための位置を増加させて、患者の解剖学的構造内で本体12をクロッキングすることができる。本明細書で使用されるときに、「クロッキング」という用語は、対象の周囲の所望の位置で特徴部を位置決めする能力を指す。1つ以上のカラム28をクロッキングするこの能力は、例えば処置が透視法を介して行われているときに、視覚化とともに使用するのにさらに有利であることができる。これにより、視覚化技術によって表示される2次元平面とそのような視覚化に関連する視差を処理するときに、幾つかのエントリポイントが提供されることにより、配置が簡素化される。幾つかの実施形態において、カラム28は、本体12の周囲に不規則な間隔(例えば、カラム28間の不均一な間隔)で配置されてもよい。図示しない幾つかの実施形態において、カラム28は、本体12の長手方向軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に延在している。例えば、二次管腔30は、主要管腔26の軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に(例えば、本体12の周りでらせん状に)延在する二次管腔軸に沿って延在する。
【0059】
再び
図2Aを参照すると、本体12は、ステント部材40の少なくとも一部を取り囲むように配置された拘束部材レシーバ50を含むことができる。例えば、複数のステントリング44を含む実施形態において、対応する拘束部材レシーバ50は各ステントリング44の周りに配置される。拘束部材レシーバ50は、グラフト材料、繊維等を含む様々な材料から形成されうる。拘束部材レシーバ50は、後述するように、ステントリング44を部分的に拘束する又は崩潰するためにリトラクトさせることができる拘束部材を受け入れるように動作可能である。
【0060】
幾つかの実施形態において、管状部材20は、第一の端部22にスカラップ52を含むことができる。スカラップ52は、人工器官側枝が展開される必要がない側枝管腔を含む管腔内への管状部材20の配置を容易にする。例えば、インプラント可能なデバイス10が腹部大動脈内に配置され、上腸間膜動脈がその中に側枝14を展開する必要がないときに、スカラップ52は、上腸間膜動脈を通る血液灌流を遮断又は制限することなく、上腸間膜動脈への入口の上に配置されうる(
図11A~11Cを参照されたい)。スカラップ52は、直線縁プロファイル、湾曲プロファイル及びそれらの組み合わせを含む様々な形状を含むことができる。
【0061】
ここで
図3を参照すると、インプラント可能なデバイス10をデリバリー及び展開するためのデリバリーシステム100が提供される。デリバリーシステム100及びインプラント可能なデバイス10は、腹部大動脈などの特定のインプラント処置部位を参照して説明することができるが、デリバリーシステム100及びインプラント可能なデバイス10は、様々な部位及び様々なシステムに実装されうることが理解される。さらに、デリバリーシステム100は、本明細書に記載されていない他のインプラント可能なデバイスとともに実装することもでき、したがって、本明細書に開示され、さもなければ考察される特定の実施形態での使用に限定されないことが理解される。しかしながら、例示の目的で、デリバリーシステム100は、本明細書で論じられるインプラント可能なデバイス10に関して論じられる。
【0062】
デリバリーシステム100は、分岐管腔へのインプラント可能なデバイス10の配置を容易にし、展開後のインプラント可能なデバイス10の本体12の少なくとも部分的な崩潰及び再拡張、及び、側枝管腔に側枝14をインプラント処置するための側枝14での本体12の開窓を可能にするように動作可能である。
【0063】
デリバリーシステム100には、長尺部材110(例えば、デリバリーカテーテル)、カテーテルオリーブ130、拘束部材150、二次拘束部材170及びガイド部材190が設けられている。デリバリーシステムはまた、デリバリーシステム100及びその様々な構成要素を動作させ、制御し、その他の方法で操作するためのデリバリーハンドル200を含む。
【0064】
長尺部材は第一の端部112及び第二の端部114を含み、インプラント可能なデバイス10の本体12は長尺部材110の第一の端部112に配置される。
図10を参照すると、長尺部材110は、長尺部材110の長手方向の長さの少なくとも一部に沿って延在し、側枝14がデリバリーされるように動作可能なデリバリー管腔116を画定する。デリバリー管腔116は、側枝14及びデリバリー構成要素を適切に収容するようなサイズに作られている。例えば、デリバリー管腔116のサイズは約8Frであってもよい。 他の実施形態において、デリバリー管腔は約4Fr~約12Frである。インプラント可能なデバイス10が2つの側枝14を含む実施形態において、長尺部材は、それぞれの側枝14について2つのデリバリー管腔116を含むことができる。任意の数のデリバリー管腔116は、展開されるそれぞれの数の側枝14に対して実装されうる。
図3に示されるように、長尺部材110は、長尺部材の第一の端部112から間隔を置いて配置された開口部118を含むことができる。開口部118は、本体が長尺部材110の周りに配置されるときに、本体12の主要管腔26内に配置されるか、又は、本体12の第二の端部24から間隔を開けている(
図3に示されるように)。これにより、側枝14を本体12とともに配置及びインプラント処置するためのカラム28及び/又はアパチャ32へのアクセスが可能になる。長尺部材110は、拘束部材管腔120をさらに含むことができる。拘束部材管腔120は、拘束構成から本体12を解放するように拘束部材150の制御を可能にするように動作可能である。長尺部材は、ロックワイヤ管腔122及び二次拘束部材管腔124をさらに含むことができる。ロックワイヤ及び拘束ワイヤは、それぞれの管腔122、124を通って延在することができる。図示されていない幾つかの実施形態において、側枝14は、独立したカテーテル内でデリバリーされうる(図示されない)。
【0065】
カテーテルオリーブ130は、インプラント可能なデバイス10の本体12がカテーテルオリーブ130と長尺部材110の第二の端部114との間に長手方向に配置されるように、長尺部材110の第一の端部112に配置される。カテーテルオリーブ130の実施形態が図面に示されているが、あらゆるカテーテルオリーブ130が本開示の範囲内で実施されうることは本開示の範囲内である。カテーテルオリーブ130は、デリバリーシステム100を患者内に非外傷的に前進させ、必要に応じて周囲の解剖学的構造を拡張するように実装されうる。例えば、カテーテルオリーブは、最初に患者の解剖学的構造を通って前進する前方先端を含むことができる。
図5A~5Cを参照すると、カテーテルオリーブ130はガイド部材保持器132を含むことができる。ガイド部材220については、以下でより詳細に説明する。しかしながら、ガイド部材保持器132は、ガイド部材220が通過する通路を含むことができる(
図5Aを参照されたい)。この実施形態において、ガイド部材220は、カテーテルオリーブ130を通過し、反対側に位置する別のカラム28のアパチャ32を通って戻るように延在することができる。ガイド部材保持器132は、ガイド部材220が結合されるロックワイヤ230を解放可能に保持するように動作可能であることができる(
図5Bを参照されたい)。ロックワイヤ230は、ロックワイヤ管腔122を介して制御されうる。ガイド部材保持器は、例えば摩擦嵌め又は他の結合を介して、ガイド部材220の端部を受け取り、解放可能に保持するように動作可能であることができる(
図5Cを参照されたい)。カテーテルオリーブ130の様々な実施形態は、特にガイド部材220を結合するために実装されうる(例えば、ガイド部材保持器132)。このような実施形態としては、2019年8月13日に出願されたChungらによる米国特許第2020/0046534号明細書で論じられているものが挙げられ、その内容を参照により明示的に本明細書に組み込む。
【0066】
拘束部材150は、本体12の周りに配置され、本体をデリバリー構成に拘束する。任意の数の拘束部材150を実装することができ、デバイスの拡張を可能にするために選択的に解放又は作動できるニット、管状又は任意の他の解放可能な構造を含むことができる。このような構造としては、1998年6月15日にArmstrongに付与された米国特許第6,224,627号明細書及び2010年7月13日にBruunに付与された米国特許第7,753,945号明細書で論じられている構造が挙げられ、その内容全体を参照により本明細書に明示的に取り込む。拘束部材150は除去され、本体12は、拡張構成に拡張し(例えば、自己拡張性)又は拡張される(例えば、バルーン拡張可能)ように動作可能である。拘束部材150は、拘束部材管腔120を通って延在する展開ライン(図示せず)を介して本体12から制御(例えば、解放)されうる。
【0067】
二次拘束部材170は、本体12のステント部材40の周りに配置される。複数のステントリング44を含む実施形態において、デリバリーシステム100は、各ステントリング44に対応する複数の二次拘束部材170を含むことができる。
図4A及び
図4Bを参照すると、二次拘束部材170は、本体12を部分的に拘束された構成に拘束するように動作可能である。例えば、拘束部材150が本体12から取り外され、本体が拡張構成に拡張された後に、二次拘束部材170に張力をかけて、本体を部分的に拘束された構成に少なくとも部分的に崩潰させることができる。二次拘束部材170は、本体12の拘束部材レシーバ50内に配置される。2017年8月7日に出願されたLehnhardtらによる米国特許出願公開第2018/0036011号明細書に論じられるものを含む、拘束部材レシーバ50の様々な実施形態を実装することができ、この出願の内容の全体を参照により本明細書に明示的に組み込む。拘束部材レシーバ50は、二次拘束部材170を対応するステントリング44の周りに配置し、展開後に各ステントリング44が部分的に崩潰することを可能にする。二次拘束部材170は、二次拘束部材管腔124を通って延在する(
図10を参照されたい)。幾つかの実施形態において、例えば
図4Bに示されるように、二次拘束部材170は、本体12の長手方向長さの様々な部分を独立して制御できるようにする2つのゾーンに分割することができる。このように、管状部材20の拘束部材の第一のゾーン172に対応する第一の部分が適切に配置されると、正確な配置を維持するために解放されることができ、一方、第二のゾーン174は側枝14の配置を容易にするために部分的に拘束された配向を保持する。画定されるゾーンの数には、1つのゾーン、2つのゾーン又は2つを超えるゾーンが含まれることができる。
【0068】
幾つかの実施形態において、二次拘束部材170は管状部材20を通過することができる。取り外された後に管状部材を通る漏れを制限するために、二次拘束部材170はカラム28内の管状部材20を通過することができる(
図2A及び2Bを参照されたい)。二次拘束部材170は長尺部材110によって支持されているため、長尺部材110はまた、カラム28内に配置することができる。長尺部材110及び二次拘束部材170が取り外されると、カラム28は崩潰し、二次拘束部材170により形成されうる漏れ箇所をシールする。長尺部材110は、各ステントリング44及び拘束部材レシーバ50の位置に対応するように、長尺部材110に沿って長手方向に間隔を置いて配置された二次拘束部材管腔124からの複数の出口を含むことができる。二次拘束部材170は、本体12の制御された収縮及び拡張を容易にするようにデリバリーハンドル200に結合される。
【0069】
二次拘束部材170は、本体12を再配置するために管状部材20を血管壁から引き離すために実装されることができ、インプラント可能なデバイス10の配置及びデリバリーがまだ行われている間に、又は、血管内の本体12の視覚化(例えば、蛍光透視法による)のために、側枝血管を通る灌流を可能にすることができる。例えば、本体12は、デリバリー構成に対応する第一の直径と展開構成に対応する第二の直径を有することができ、第二の直径は第一の構成よりも大きい。二次拘束部材170が本体12を拘束するように作動すると、本体は、第二の直径より小さく、第一の直径より大きく、部分的に拘束された構成に対応する中間直径を含むことができる。
【0070】
図5A~6を参照すると、本体12を通ってカテーテルオリーブ130まで延在するガイド部材220が示されている。ガイド部材220は、患者に挿入する前に、本体12のアパチャ32を通して予めカニューレ挿入される。
図6は、簡略化のために、ガイド部材220で開窓したカラム28のうちの1つのアパチャ32のみを示している。各カラム28は、そのカラム28に関連するアパチャ32の1つにカニューレ挿入する対応するガイド部材220を含むことが理解される。
図6に示されるように、ガイド部材220は、本体12の第一の端部22に最も近いアパチャに予めカニューレ挿入されている。カラム28のアパチャ32に予めカニューレ挿入することにより、側枝14のデリバリーのためにカラム28にさらに容易にアクセスできるようになり、そして、カラム28内への残りのアパチャ32のカニューレ挿入が容易になる。ガイド部材220は、それが関連付けられているカラム28を識別するための様々な表示を含むことができる。例えば、ガイド部材220は、色、材料、マーキング、テクスチャーなどを変えることによって表示されうる。
【0071】
図7を参照すると、交換カテーテル240の断面図が示されている。交換カテーテル240は、第一の端部244に開口部を有する交換カテーテル240を通って延在する中央管腔242を含む。第一の端部244は、管腔(例えば、カラム28の二次管腔30)への挿入及び/又はその拡張を容易にするために、楔形などのテーパ型プロファイルを含むことができる。交換カテーテルは周囲管腔246をさらに画定する。周囲管腔246は、第一の端部244で交換カテーテル240に沿って延在する。周囲管腔246は、交換カテーテル240の第一の端部244にある第一の開口部248と、交換カテーテル240の端部の間の位置で第一の端部244から間隔を開けて配置された第二の開口部250とを含む。第二の開口部250は、交換カテーテルの外周に沿った外面で(すなわち、長手方向の端部ではない)交換カテーテル240から出る。周囲管腔246は、ガイド部材220を収容するように動作可能である。したがって、ガイド部材220は、交換カテーテル240を所望の位置にガイドするように動作する。
【0072】
より具体的に、
図8は、長尺部材110から本体12内に前進している交換カテーテル240を示す。幾つかの実施形態において、
図8に示されるように、交換カテーテル240は、長尺部材110の端部で長尺部材110から出るか、又は、他の実施形態において、長尺部材110は、長尺部材110の側壁を通って配置され、長尺部材110の長手方向端部の間の位置で長尺部材110から出る開口部118を含む(
図3を参照されたい)。ガイド部材220は、カラム28の二次管腔30内に延在し、本体12の第一の端部22に最も近くに位置するアパチャ32を通って延在しているのが示されている。ガイド部材220は、交換カテーテル240がレールに沿って周囲管腔246を介して並進移動するレールとして機能する。周囲管腔246は、第一の端部244のテーパ化部分の先端で交換カテーテルから出ているため、交換カテーテル240は、本体12の二次管腔30内に滑り込み、カラム28を拡張するように動作可能である。交換カテーテル240は、図示されているように、シールされた端部でカラムの端部に前進されるように動作可能である。交換カテーテル240は、以下に説明するように、デリバリーシステム100の他の様々な構成要素を前進させるための中央管腔242を含む。
【0073】
図9はデリバリーハンドル200を示す。デリバリーハンドル200は、気密シールする第一のポート202と、気密シールする第二のポート204と、拘束ワイヤ170を制御するための少なくとも1つのノブ206とを含む。第一のポート202は、そこを通って延在するガイド部材220を本体12の一方の側面上の各カラム28に対して含むことができ、第二のポート204は、そこを通って延在するガイド部材220を本体12の別の側面上の各カラム28に対して含むことができる。交換カテーテル240は、ガイド部材220上に装填され、その後、それぞれのポート202、204に挿入されうる。側枝はまた、それぞれのポート202、204を介して挿入され、標的部位に前進されうる。また、本体12は、デリバリーハンドル200を介して前進され、展開されうる。例えば、拘束部材150は、第二のノブ208を介して解放されうる。デリバリーハンドルは、デリバリーシステム100の様々な構成要素がデリバリーされ、操作されうる主要アクセスポート210を含むことができる。
【0074】
図11A~11Cは、本体12の様々な実施形態を示す。
図11Aは、第二のインプラント可能なデバイス300内に少なくとも部分的に展開できる本体12を示す。第二のインプラント可能なデバイス300は、例えば腸骨動脈内に展開するための分岐型デバイスを含むことができる。
図11Bは、本体の第二の端部24にテーパ化プロファイルを有する本体12を示す。第二のインプラント可能なデバイス300は、本体12の一部、例えばテーパ化部分内に展開されうる。
図11Cは、第二の端部24に分岐部分を含む本体12を示している。第二の端部24の分岐部分は、例えば腸骨動脈などの分岐した解剖学的構造内にインプラント処置するための第二のデバイス300とともに実装されうる。様々なインプラント可能なデバイス10、300のデリバリー順序は、いずれの方向でも、例えば、腹部大動脈内で上から下へ、又は下から上へ順次に行うことができる。腹部大動脈にインプラント処置する場合、デリバリー方法全体が大腿動脈を介して実行できることが理解される。しかしながら、様々な構成要素などは第二の入口点からデリバリーされうる。
【0075】
図12は、アパチャ32を通って展開され、カラム28を通ってカラム開口部34(
図2Bを参照されたい)の外に延在する2つの側枝14を含む本体12の図である。側枝14の長さは、側枝が側枝血管内に所定の距離延在し、側枝14がカラム開口部34を通って外に延在するように選択することができる。側枝開口部をカラム開口部34を通して延在させることにより、カラム28は開存状態を維持し、カラム開口部でシールしないため、側枝14を通した灌流が可能になる。幾つかの実施形態において、本体12は、主要管腔26内で管状部材20に結合された内部ステント(図示せず)を含むことができる。内部ステントはカラム28に結合されることができる。内部ステントは、カラム28を開存構成に維持するように動作可能な圧縮構成に拘束されうる。内部ステントが解放されて拡張されると、カラム28は潰れてシールされ、流体がそこを通って流れることができない。側枝14が内部に配置されたカラムにおいて、側枝は内部ステントが解放されたときにカラムの開通性を維持する。
【0076】
次に
図13~27を参照すると、インプラント可能なデバイスの例示的なデリバリー方法が示されている。
図13~27は、例示的な腹部大動脈にデリバリー及び展開されるインプラント可能なデバイスの例を図示し、それを参照して論じられるが、この方法は腹部大動脈に限定されることが理解される。手順の特定の工程で特定の特徴を強調表示するために、幾つかの図において特定の特徴部がより詳細に示されており、一方、その他の特徴部は理解を容易にするために図を簡略化するために非表示にする場合があることに留意されたい。しかしながら、図に明示的に示されていない場合でも、特定の工程で様々な特徴部の組み合わせが存在する場合がある。本明細書に示し説明する方法は、単一のアクセスサイトから実行することができる。
【0077】
図13は、標的部位(例えば、腹部大動脈)まで前進しているインプラント可能なデバイス10の本体12を示す。本体12は、第一の端部112において長尺部材110の周囲に配置される。本体12は、拘束部材150によりデリバリー構成に拘束される。
【0078】
図14は、拘束部材150から解放され、拡張構成に拡張された本体12を示す。
図15は、本体12を部分的に拘束するように作動される二次拘束部材170を示す。これにより、本体12の位置を標的部位で微調整することができる。
【0079】
図16は、カラム28の二次管腔30へのアクセスを提供する、本体12に沿って長手方向に間隔をあけて配置されたアパチャ32を含むカラム28を含む本体12を示す。ガイド部材220は、本体12の第二の開口部25内に延在し、カラム開口部34に入り、カラム28を通って、本体12の第一の端部22に最も近いアパチャ32から出て、ガイド部材220が保持されるカテーテルオリーブ130まで延在している。
【0080】
図17は、交換カテーテル240をカラム28内に前進させるためのガイド又はレールとして機能するガイド部材220を示す。図示されるように、ガイド部材220は、交換カテーテル240の周囲管腔246内に配置される(
図7及び8を参照されたい)。
図18は、交換カテーテル240がカラム28のシール端に配置され、第一のガイドワイヤ270が交換カテーテル240の中央管腔242(
図7を参照されたい)を通して前進しているところを示している。第一のガイドワイヤ270は湾曲先端を有する順応性ガイドワイヤであることができる。
図19を参照すると、交換カテーテル240が次いで取り外される。幾つかの実施形態において、湾曲したカテーテル272を第一のガイドワイヤ270の上に挿入することができる。湾曲したカテーテル272及び第一のガイドワイヤ270は、ガイド部材220と係合していない。湾曲したカテーテル272及び第一のガイドワイヤ270は、湾曲した先端が半径方向外側位置に向かって湾曲するように配向されている。
図20は、本体12の第一の端部22から軸方向に引き離される湾曲したカテーテル272及び第一のガイドワイヤ270を示す。医師は、側枝血管にアクセスするための適切なアパチャ32を選択する。湾曲したカテーテル272は、軸方向にリトラクトされるときに、アパチャ32を超えて移動する。しかしながら、本体12の第一の端部22に向かって前方に前進させると、湾曲したカテーテル272及び第一のガイドワイヤ270はアパチャ32と係合する。アパチャ32が係合されると、湾曲したカテーテル272のさらなる前進は、アパチャ32を通して湾曲したカテーテル272を前進させることになる(
図21を参照されたい)。次いで、湾曲したカテーテル272を側枝血管内に前進させる。湾曲したカテーテル272が適切に配置されると、第一のガイドワイヤ270をリトラクトさせ、第二のガイドワイヤ274を前進させることができる。第二のガイドワイヤ274は、第一のガイドワイヤ270に比べてより硬くすることができる。次いで、第二のガイドワイヤ274がアパチャ32を通して側枝管腔(
図22を参照されたい)内に保持されている間に、湾曲したカテーテル272を除去する。ガイド部材220がこれらの図のすべてには示されていないが、ガイド部材220は、必要に応じて再度開始するか又は工程を繰り返すために、方法全体を通じて保持されうることが理解される。
【0081】
さらに
図22を参照すると、側枝14は、第二のガイドワイヤ274に沿って標的部位まで前進される。
図23~
図26は、第二の側枝血管に第二の側枝14を配置するための同様の手順を提供する。
【0082】
図27は、本体12とともに展開された側枝14の1つを示す。側枝14が所定の位置に配置されると、個別に又は各側枝14で、側枝を展開することができる。側枝14は、拘束部材から解放されて自己拡張することができ、又は拡張されることができる(例えば、バルーン拡張)。側枝14が展開されると、本体12を最終的に解放することができ(例えば、二次拘束部材170を解放し、デリバリーシステム100及びその構成要素を除去することができる)。
【0083】
この手順は、新たな手順で、又は再介入として実施できることが理解される。どちらの手順でも方法はほぼ同じである。前述したように、インプラント可能なデバイス10は、分岐デバイスなどの他の解剖学的構造に係合するための様々な他のインプラント可能な構成要素とともに実装されうる(
図11A~11Cに見られるように)。
【0084】
既知の血管グラフト材料及びステントグラフト材料を含むグラフト部材に対して、様々な材料セットが実装されうる。ポリマー、生分解性天然材料は特定の用途に使用できる。また、グラフト部材を形成するために、押出成形、コーティング、ラッピング、それらの組み合わせなどを含む様々な製造技術を実施することができる。
【0085】
本明細書で説明するグラフト構成要素のための生体適合性材料を使用することができる。特定の例において、グラフトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。幾つかの例において、グラフトは、限定するわけではないが、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート又は別の生体適合性ポリマー、又はそれらの組み合わせなどから形成されうる。幾つかの例において、生体再吸収性又は生体吸収性材料、例えば生体再吸収性又は生体吸収性ポリマーを使用することができる。幾つかの例において、グラフトは、ダクロン、ポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース布帛、ポリウレタン又は他の織布、不織布又はフィルムエラストマーを含むことができる。
【0086】
適切な合成ポリマーの例としては、限定するわけではないが、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー性有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、 それらの混合物、ブレンド及びコポリマーが挙げられ、それらはグラフト部材として適している。1つの実施形態において、グラフトは、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、及びKEVLAR(登録商標)などのポリアラミド、共重合ヘキサフルオロプロピレンを含む又は含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(TEFLON(登録商標)又はGORE-TEX(登録商標))などのポリフルオロカーボン及び多孔質又は非孔質ポリウレタンのクラスから作製される。別の実施形態において、グラフトは延伸フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフルオロポリマーのクラスとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)とのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー及びそのTFEとのコポリマー、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。ePTFEは人工血管に広く使用されているため、特に好ましい。別の実施形態において、グラフトは、上に挙げた材料の組み合わせを含む。別の実施形態において、グラフトは体液に対して実質的に不透過性である。実質的に不透過性のグラフトは、体液に対して実質的に不透過性である材料から作製することができ、あるいは、体液に対して実質的に不透過性となるように(例えば、上述した、又は当該技術分野で知られている異なる種類の材料を層状にすることによって)処理又は製造された透過性材料から構築することができる。1つの実施形態において、本体及び側枝部材は、上述のように、上記の材料の任意の組み合わせから作られる。別の実施形態において、本体及び枝部材は、上述のように、ePTFEを含む。
【0087】
上述のように、ステントは、グラフト本体に沿ってほぼ同軸に配置された一連のリングの形態で提供されうる。幾つかの実施形態において、記載されているように、拘束されているとき及び/又は拘束されていないときにほぼ筒形であり、複数のらせんターンを有するらせん状に配置された波形を含むことができる。波形は、好ましくは、互いに「同位相」になるように整列される。より具体的には、波形は、対向する第一の方向及び第二の方向に頂点を含む。波形が同位相であるときに、隣接するらせんターンは、隣接するらせんターンの頂点が隣接するらせんターンの対応する波形のそれぞれの頂点に向けて変位できるように整列される。1つの実施形態において、波形は正弦波形状を有する。別の実施形態において、波形はU字形である。別の実施形態では、波形はV字形である。別の実施形態において、波形は卵形である。
【0088】
様々な実施形態において、ステントは、インプラント可能なメディカルデバイスの製造に使用される、一般に知られた材料(又は材料の組み合わせ)を含む様々な生体適合性材料から製造することができる。典型的な材料としては、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン合金(「コバルト-クロム」)、L605などの他のコバルト合金、タンタル、ニチノール又はその他の生体適合性金属が挙げられる。1つの実施形態において、本明細書に記載の任意のステントグラフトは、バルーン拡張可能なステントグラフトである。別の実施形態において、本明細書に記載の任意のステントグラフトは自己拡張型ステントグラフトである。別の実施形態において、ステントはワイヤ巻きステントである。別の実施形態において、ワイヤ巻きステントは、波状、又は頂点の繰り返しの波状パターンを含む。
【0089】
ワイヤ巻きステントは、合理的に高強度の材料、例えば、応力がかかったときの塑性変形に耐性のある材料から構築することができる。1つの実施形態において、ステント部材は、以下に説明するように、らせんターンと波形を同時に形成できるように、ピンが配置されたマンドレルの周りでらせん状に巻かれたワイヤを含む。他の構造も使用されうる。例えば、平らな素材から適切な形状を形成し、適切な形状に形成したシリンダ又はある長さのチューブに巻いたり、又は、材料シートをレーザ切断したりすることができる。別の実施形態において、前記ステントは超弾性合金から作られる。ニチノールなどの超弾性合金をステントに使用する様々な開示が存在する。
【0090】
様々な金属、ニチノールなどの超弾性合金などの様々な材料は、これらのステントでの使用に適している。材料の主な要件は、非常に薄いシート又は小さな直径のワイヤに成形された場合でも、適切な弾力性があることである。高いバネ性を生み出すために物理的、化学的又はその他の方法で処理された様々なステンレス鋼は、コバルトクロム合金(例えば、ELGILOY(登録商標))、白金/タングステン合金、特に一般に「ニチノール」として知られているニッケルチタン合金などの他の金属合金と同様に適している。
【0091】
ニチノールは、その「超弾性」又は「擬似弾性」形状回復特性、すなわち、有意な量の曲げ及びたわみに耐えながらも永久変形することなく元の形状に戻る能力のため、特に好ましい。これらの金属は、特定の温度でオーステナイト結晶構造から応力誘起マルテンサイト構造に変態し、応力が解放されるとオーステナイト形状に弾性的に戻る能力を特徴とする。これらの交互の結晶構造により、合金に超弾性特性が与えられる。
【0092】
他の適切なステント材料としては、特定のポリマー材料、特にサーモトロピック液晶ポリマー(「LCP」)などのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。これらのポリマーは、いわゆる「液晶状態」で存在できる高分子量材料であり、材料は液体の幾つかの特性(流動可能である)を持ちながら、結晶の長距離分子秩序を保持している。「サーモトロピック」という用語は、温度調整によって形成されるLCPのクラスを指す。LCPは、p,p'-ジヒドロキシ-多核芳香族又はジカルボキシ-多核芳香族化合物などのモノマーから調製されうる。LCPは容易に形成され、室温で必要なインターポリマーの引力を保持し、折り畳み可能なステントとして必要とされる高強度プラスチック加工品として機能する。これらは、後述する金属又は合金の繊維などの繊維で増強又は充填するときに特に適している。繊維は直線である必要はなく、複合材料の物理的なねじれ強化能力を高める波形などの何らかの予備成形を有していてもよいことに留意されたい。
【0093】
様々な生物活性剤のいずれも、前述のもののいずれかとともに実装されうる。例えば、デバイス10の任意の1つ以上(その一部を含む)は生物活性剤を含むことができる。生物活性剤は、デバイス10がインプラント処置された後に生物活性剤を制御放出するために、前述の特徴の1つ以上にコーティングすることができる。このような生物活性剤として、限定するわけではないが、ヘパリンなどの血栓形成剤を挙げることができる。生物活性剤としては、また、限定するわけではないが、天然物を含む抗増殖剤/抗有糸分裂剤などの薬剤、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピディポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミスラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自分自身のアスパラギンを合成する能力がない細胞を奪うL-アスパラギナーゼ);G(GP) IIb/IIIa 阻害剤及びビトロネクチン受容体アンタゴニストなどの抗血小板薬;抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及びその類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネートブスルファン、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼンダカルバジニン(DTIC);葉酸類似体(メトトレキサートなど)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})などの抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗薬;白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(例えば、エストロゲン);抗凝固剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩及び他のトロンビン阻害剤);抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル及びチカグレロル);血管拡張薬(例えば、ヘパリン、アスピリン);線維素溶解薬(例えば、プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシシマブ、抗移行剤(antimigratory agent)、抗分泌剤(例えば、ブレベルジン);抗炎症剤、例えば、副腎皮質ステロイド(例えば、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン及びデキサメタゾン)、非ステロイド剤(例えば、アスピリンなどのサリチル酸誘導体);パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン);インドール及びインデン酢酸(例えば、インドメタシン、スリンダク及びエトダラク)、ヘテロアリール酢酸(例えば、トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(例えば、メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(例えば、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(例えば、オーラノフィン、オーロチオグルコース及びチオリンゴ酸金ナトリウム);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン及びミコフェノール酸モフェチル);血管新生剤(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF))、線維芽細胞増殖因子(FGF);アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせ;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤;レチノイド;サイクリン/CDK阻害剤;HMG補酵素還元酵素阻害剤(スタチン);及びプロテアーゼ阻害剤を挙げることができる。
【0094】
本発明の多くの特徴及び利点は、本発明の構造及び機能の詳細とともに、好ましい実施形態及び代替実施形態を含む、前述の説明で述べられている。本開示は、例示のみを目的としており、網羅的であることを意図したものではない。特に、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的な意味により示される全範囲まで、本発明の原理の範囲内で、部品の構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び配置に関して、種々の変更を加えることができることは、当業者に明らかであろう。これらの様々な変更は、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない範囲で、特許請求の範囲に包含されることが意図される。上記及び以下に請求される実施形態を対象とすることに加えて、本発明は、上記及び以下に請求される特徴の異なる組み合わせを有する実施形態をさらに対象とする。
【0095】
本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることは、当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】