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特表2024-514652創傷療法および治療のためのインテリジェント使い捨て装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】創傷療法および治療のためのインテリジェント使い捨て装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563186
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022060459
(87)【国際公開番号】W WO2022223643
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2105665.0
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.FIREWIRE
3.THUNDERBOLT
4.Linux
5.WINDOWS
6.VXWORKS
7.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレイリー、デイヴィッド、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハートウェル、エドワード、ヤーベリー
(72)【発明者】
【氏名】ハント、アラン、ケネス、フレイザー、グルージョン
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー、クリストファー、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】キンタナール、フェリックス、クラレンス
(72)【発明者】
【氏名】ストラチャン、カースティ、マーガレット
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267JJ09
4C267JJ12
4C267JJ14
(57)【要約】
本開示は、陰圧創傷療法装置およびシステム、ならびに創傷準備のための液体ジェット創傷清拭装置およびシステムなどの、創傷治療装置およびシステムにおけるインテリジェント使い捨て品の使用を対象とする。インテリジェント使い捨て品は、装置またはシステムのライフサイクル全体を管理するために、データを収集、維持、および格納することができる。インテリジェント使い捨て品は、制御回路または処理回路、トランシーバー、メモリー、および電源を含み得る。トランシーバーは、電話またはタブレットなどのコンピューティング装置と無線通信するように構成され得る。運用統計、規制情報、および過去の使用情報など、任意のさまざまなデータが、インテリジェント使い捨て品によって格納され得る。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧創傷療法のためのキャニスターであって、
陰圧創傷療法の提供中に創傷から吸引された流体を貯蔵するための内部容積を画定するハウジングと、
前記ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれた電子回路であって、
前記キャニスターの一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーと、
コンピューティング装置と無線通信するように構成されるトランシーバーと、
前記メモリーおよび前記トランシーバーに接続される処理回路であって、処理回路が、前記データを前記メモリーに格納し、前記トランシーバーに、前記コンピューティング装置からの要求に応答して、前記メモリーに格納された前記データの少なくとも一部を提供させるように構成される、処理回路とを含む、電子回路とを含む、キャニスター。
【請求項2】
前記メモリーが、前記コンピューティング装置のファームウェアまたはソフトウェアを更新するためのコードを格納するようにさらに構成され、前記コンピューティング装置が、前記ハウジングを取り外し可能に支持するように構成される陰圧創傷療法装置を含む、請求項1に記載のキャニスター。
【請求項3】
前記メモリーが、前記陰圧創傷療法装置に対する表示を格納して、ファームウェアまたはソフトウェアが前記コードで更新されるべきと決定するようにさらに構成される、請求項2に記載のキャニスター。
【請求項4】
前記表示が、前記メモリーに格納され、前記処理回路によって実行されるように構成されるソフトウェアのファームウェアのバージョンを含む、請求項3に記載のキャニスター。
【請求項5】
トランシーバーが、近距離無線通信(NFC)を使用して前記コンピューティング装置と通信するように構成され、前記コンピューティング装置が、前記ハウジングを取り外し可能に支持するように構成される陰圧創傷療法装置を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項6】
前記データが、前記キャニスターが陰圧創傷療法に使用される前に、前記メモリーに格納されたキャニスター容量を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項7】
前記データが、陰圧創傷療法の提供中に決定され、陰圧創傷療法の提供中に前記メモリーに格納される、キャニスター配向またはキャニスター充填状態を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項8】
前記キャニスター配向が、陰圧創傷療法の提供中に決定される反転された配向を含み、前記反転された配向を前記メモリーに格納することが、前記キャニスターが陰圧創傷療法のさらなる提供に使用されることを防止する、請求項7に記載のキャニスター。
【請求項9】
前記電子回路が、前記メモリー、前記トランシーバー、または前記処理回路のうちの少なくとも一つに電力を供給するように構成される電源をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項10】
前記電源が、コンデンサーまたはバッテリーのうちの一つまたは複数を含む、請求項9に記載のキャニスター。
【請求項11】
前記データが、読み取り専用データとして格納された製造日を含み、前記製造日が、前記キャニスターの貯蔵寿命を超えていないという決定を容易にする、請求項1~10のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項12】
前記データが、前記キャニスターが満杯であるという表示を含み、前記表示が、前記創傷から吸引される流体のレベルが、ある継続時間にわたって閾値レベルに達したという決定に応答して格納される、請求項1~11のいずれか一項に記載のキャニスター。
【請求項13】
前記キャニスターと、請求項1~12のいずれか一項に記載の陰圧創傷療法装置とを含むキット。
【請求項14】
創傷清拭システム用のハンドピースであって、
コンソールに結合され、液体ジェットを創傷に塗布するように構成されるハウジングと、
前記ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれた電子回路であって、
前記ハンドピースの一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーと、
前記コンソールと通信するように構成されるトランシーバーと、
前記メモリーおよびトランシーバーに接続される処理回路であって、前記処理回路が、前記データを前記メモリーに格納し、前記トランシーバーに、前記コンソールからの要求に応答して、前記メモリーに格納された前記データのうちの少なくともいくつかを提供させるように構成される、処理回路とを含む、電子回路と、
前記ハンドピースが滅菌性を失ったという表示を提供するように構成される機構とを含む、ハンドピース。
【請求項15】
前記機構が、ある継続時間の間、前記大気に曝露されるのに応答して非導電性になるように構成される材料を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のハンドピース。
【請求項16】
前記機構が、ある継続時間の間、前記大気に曝露されるのに応答して光学特性を変化させるように構成される材料に結合されるフォトダイオードを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のハンドピース。
【請求項17】
前記データが、前記ハンドピースが提供可能な液圧値または範囲を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のハンドピース。
【請求項18】
前記液圧値または範囲に関連する前記データが、前記創傷を清拭するための前記ハンドピースの使用前にメモリーに格納される、請求項17に記載のハンドピース。
【請求項19】
前記コンソールが、前記液圧値または範囲外の液圧をユーザーに警告するように構成される、請求項17または18に記載のハンドピース。
【請求項20】
創傷治療または監視システムで使用するための使い捨て装置であって、
基板またはハウジングと、
前記基板または前記ハウジングによって少なくとも部分的に支持される電子回路であって、
前記使い捨て装置の一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーと、
コンピューティング装置と無線通信するように構成されるトランシーバーと、
前記メモリーおよび前記トランシーバーに接続される処理回路であって、処理回路が、前記データを前記メモリーに格納し、前記トランシーバーに、前記コンピューティング装置からの要求に応答して、前記メモリーに格納された前記データの少なくとも一部を提供させるように構成される、処理回路とを含む、電子回路とを含む、装置。
【請求項21】
前記使い捨て装置が滅菌性を失ったという表示を提供するように構成される機構をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項22】
前記機構が、第一の継続時間の間、前記大気に曝露されるのに応答して非導電性になるように構成される材料、または第二の継続時間の間、前記大気に曝露されるのに応答して光学特性を変化させるように構成される材料に結合されるフォトダイオードを含む、請求項21に記載の使い捨て装置。
【請求項23】
前記トランシーバーが、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)を使用して、前記コンピューティング装置と通信するように構成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項24】
前記データの少なくとも一部が、前記装置が創傷治療または監視に使用される前に、前記メモリーに格納される、請求項1~23のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項25】
前記データの少なくとも一部が、前記装置が創傷治療または監視に使用されることに応答して、前記メモリーに格納される、請求項1~24のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項26】
前記データが、前記使い捨て装置が創傷治療または監視のために使用されたかどうかの表示を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項27】
前記電子回路が、前記メモリー、前記トランシーバー、または前記処理回路のうちの少なくとも一つに電力を供給するように構成される電源をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項28】
前記電源がコンデンサーまたはバッテリーのうちの一つまたは複数を含む、請求項27に記載の使い捨て装置。
【請求項29】
前記使い捨て装置が、センサー統合型基板、振動療法を提供するように構成される創傷包帯、または陰圧源を支持する創傷包帯を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の使い捨て装置。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の使い捨て装置を使用する方法であって、
前記使い捨て装置のメモリーに格納されたデータをコンピューティング装置に転送することと、
前記コンピューティング装置上に前記データを表示することとを含む、方法。
【請求項31】
前記データの少なくとも一部が、前記使い捨て装置が創傷治療または監視に使用される前に、前記メモリーに格納される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記データの少なくとも一部が、前記使い捨て装置が創傷治療または監視に使用されることに応答して、前記メモリーに格納される、請求項30~31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、例えば、陰圧創傷療法または液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムによる、創傷の治療のための装置、システム、および方法を有する、インテリジェント使い捨て品または消耗品の付属品の使用に関する。
【0002】
関連技術の説明
陰圧創傷療法または液体ジェット創傷清拭および創傷床準備装置およびシステムに関連して使用される従来の消耗品または使い捨て付属品は、知性を欠く。これらの従来の使い捨て品は、装置およびシステムと接続およびインターフェイス接続されるときに機能する。しかしながら、使い捨て品の一つまたは複数の特性に関する情報は記録されず、その後、療法または治療の提供を調整するために使用されない。
【発明の概要】
【0003】
陰圧創傷療法のためのキャニスターは、陰圧創傷療法の提供中に創傷から吸引された流体を貯蔵するための内部容積を画定するハウジングを含み得る。キャニスターは、ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれた電子回路を含み得る。電子回路は、キャニスターの一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーを含み得る。電子回路は、コンピューティング装置と無線通信するように構成されるトランシーバーを含み得る。電子回路は、メモリーおよびトランシーバーに接続される処理回路を含み得る。処理回路は、データをメモリーに格納し、トランシーバーに、コンピューティング装置からの要求に応答して、メモリーに格納されたデータの少なくとも一部を提供させるように構成され得る。
【0004】
前述の段落のいずれかの陰圧キャニスターおよび/または本明細書に開示されるキャニスターのいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。メモリーは、ハウジングを取り外し可能に支持するように構成される陰圧創傷療法装置であり得る、コンピューティング装置のファームウェアまたはソフトウェアを更新するためのコードを格納するように構成され得る。メモリーは、陰圧創傷療法装置に対する表示を格納して、ファームウェアまたはソフトウェアをコードで更新する必要があると決定するよう構成され得る。表示は、メモリーに格納され、処理回路によって実行されるように構成されるソフトウェアのファームウェアのバージョンを含み得る。トランシーバーは、近距離無線通信(NFC)などの無線通信プロトコルを使用して、コンピューティング装置と通信するように構成され得る。コンピューティング装置は、ハウジングを取り外し可能に支持するように構成される陰圧創傷療法装置であり得る。データは、キャニスターが陰圧創傷療法に使用される前に、メモリーに格納されたキャニスター容量を含み得る。データは、キャニスターをリサイクルするための指示を含み得る。データは、キャニスターの寿命に達するという表示を含み得る。データは、陰圧を患者に提供するために使用されるキャニスターの表示を含み得る。データは、陰圧創傷療法の提供中に決定され、陰圧創傷療法の提供中にメモリーに格納される、キャニスター配向またはキャニスター充填状態を含み得る。キャニスター配向は、陰圧創傷療法の提供中に決定される反転された配向を含み得る。反転された配向をメモリーに格納することが、キャニスターが陰圧創傷療法のさらなる提供に使用されるのを防止し得る。電子回路は、メモリー、トランシーバー、または処理回路のうちの少なくとも一つに電力を供給するように構成される電源を含み得る。電源は、コンデンサーまたはバッテリーのうちの一つまたは複数を含み得る。データは、読み取り専用データとして格納された製造日を含むことができる。製造日は、キャニスターの貯蔵寿命を超えていないという判定を容易にすることができる。データは、キャニスターが満杯であるという表示を含み得る。表示は、創傷から吸引された流体のレベルが、ある継続時間にわたって閾値レベルに達したという決定に応答して格納され得る。
【0005】
創傷清拭システム用のハンドピースは、コンソールに結合され、液体ジェットを創傷に塗布するように構成されるハウジングを含み得る。ハンドピースは、ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれた電子回路を含み得る。電子回路は、ハンドピースの一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーを含み得る。電子回路は、コンソールと通信するように構成されるトランシーバーを含み得る。電子回路は、メモリーおよびトランシーバーに接続される処理回路を含み得る。処理回路は、データをメモリーに格納し、トランシーバーに、コンソールからの要求に応答してメモリーに格納されたデータの少なくとも一部を提供させるように構成され得る。ハンドピースは、ハンドピースが滅菌性を失ったという表示を提供するように構成される機構を含み得る。
【0006】
前述の段落のいずれかのハンドピースおよび/または本明細書に開示されるハンドピースのいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。機構は、大気に継続時間の間、曝露されることに応答して非導電性になるように構成される材料を含み得る。機構は、大気に継続時間の間、曝露されるのに応答して光学特性を変化させるように構成される材料に結合されるフォトダイオードを含み得る。データは、ハンドピースが提供できる液圧値または範囲を含み得る。液圧値または範囲に関連するデータは、創傷を清拭するためのハンドピースの使用前にメモリーに格納され得る。コンソールは、液圧値または範囲外の液圧をユーザーに警告するように構成され得る。データは、ハンドピースをリサイクルするための説明書を含み得る。データは、ハンドピースの寿命に達するという表示を含み得る。データは、患者の創傷を清拭するために使用されるハンドピースの表示を含み得る。
【0007】
創傷治療または監視システムで使用するための使い捨て装置は、基板またはハウジングを含み得る。装置は、基板またはハウジングによって少なくとも部分的に支持される電子回路を含み得る。電子回路は、使い捨て装置の一つまたは複数のパラメーターに関連するデータを格納するように構成されるメモリーを含み得る。電子回路は、コンピューティング装置と無線通信するように構成されるトランシーバーを含み得る。電子回路は、メモリーおよびトランシーバーに接続される処理回路を含み得る。処理回路は、データをメモリーに格納し、トランシーバーに、コンピューティング装置からの要求に応答して、メモリーに格納されたデータの少なくとも一部を提供させるように構成され得る。
【0008】
前述の段落のいずれかの使い捨て装置および/または本明細書に開示される使い捨て装置のいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含むことができる。使い捨て装置は、使い捨て装置が滅菌性を失ったという表示を提供するように構成される機構を含み得る。機構は、第一の継続時間の間、大気に曝露されることに応答して非導電性になるように構成される材料、または第二の継続時間の間、大気に曝露されることに応答して光学特性を変化させるように構成される材料に結合されるフォトダイオードを含み得る。トランシーバーは、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)などの無線通信プロトコルを使用して、コンピューティング装置と通信するように構成され得る。データの少なくとも一部は、装置が創傷治療または監視に使用される前に、メモリーに格納され得る。データの少なくとも一部は、装置が創傷治療または監視に使用されることに応答して、メモリーに格納され得る。データは、使い捨て装置が創傷治療または監視に使用されたかどうかの表示を含み得る。データは、装置をリサイクルするための指示を含み得る。データは、装置の寿命に達するという表示を含み得る。電子回路は、メモリー、トランシーバー、または処理回路のうちの少なくとも一つに電力を供給するように構成される電源を含み得る。電源は、コンデンサーまたはバッテリーのうちの一つまたは複数とすることができる。使い捨て装置は、センサー統合型基板、振動療法を提供するように構成される創傷包帯、または陰圧源を支持する創傷包帯とすることができる。
【0009】
前述の段落のいずれかの使い捨て装置および/または本明細書に開示される使い捨て装置のいずれかを使用する方法は、使い捨て装置のメモリーに格納されたデータをコンピューティング装置に転送することと、コンピューティング装置上にデータを表示することと、を含み得る。
【0010】
上記の段落の方法および/または本明細書に開示される方法のいずれかは、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。データの少なくとも一部は、使い捨て装置が創傷治療または監視に使用される前に、メモリーに格納され得る。データの少なくとも一部は、使い捨て装置が創傷治療または監視に使用されることに応答して、メモリーに格納され得る。
【0011】
本明細書において、前述の段落のいずれかのキャニスター、創傷清拭システム、または使い捨て装置、および/または本明細書に開示されるデバイス、キャニスター、装置、またはシステムのいずれかを使用および/または操作する方法が開示される。
【0012】
本明細書には、前述の段落のいずれかのキャニスターおよび/または本明細書に開示されるキャニスターのいずれか、および陰圧創傷療法装置を含むキットが開示される。
【0013】
先行段落のいずれかの陰圧創傷療法装置のキャニスター、および/または本明細書に開示されるデバイス、装置、もしくはシステムのいずれかと、一つまたは複数の創傷包帯と、を含むキットについて開示する。
【0014】
本明細書に開示される装置の実施形態のいずれか、および本明細書に開示される陰圧創傷療法の実施形態のいずれかを含むが、これらに限定されない、本出願に開示される配列もしくは実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれかは、新しい配列および実施形態を形成するために、本明細書に開示される配列もしくは実施形態のいずれかの任意の他の特徴、構成要素、または詳細と相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、陰圧創傷療法システムを示す。
図1B図1Bは、別の陰圧創傷療法システムを示す。
図2A図2Aは、装置のポンプアセンブリーから引き離されたキャニスターを示す、陰圧創傷療法装置およびキャニスターの等角図である。
図2B図2Bは、図2Aに示される陰圧創傷療法装置の背面図である。
図2C図2Cは、ユーザーインターフェイスを示す、図2Aに示される陰圧創傷療法装置の頂部表面を示す。
図3図3は、陰圧創傷療法装置の制御システムの概略図を示す。
図4A図4Aは、電子部品を支持する基板の斜視図を示す。
図4B図4Bは、電子部品を支持する穿孔された基板の斜視図および上面図を示す。
図4C図4Cは、電子部品を支持する穿孔された基板の斜視図および上面図を示す。
図5図5は、液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムを示す。
図6A図6Aは、液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムのコンソールを示す。
図6B図6Bは、液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムのコンソールを示す。
図7図7は、インテリジェント使い捨て品の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概要
創傷療法または治療システムで使用するためのインテリジェントまたはスマート使い捨て品は、有利には、システムのより効果的かつ効率的な動作を容易にする状態データを格納することができる。状態データは、スマート使い捨て品のメモリーに格納することができ、システムの別の構成要素によってアクセスすることができる。状態データは、スマート使い捨て品またはシステムのライフサイクル、例えば、スマート使い捨て品またはシステムのセットアップ、動作の調整、または廃棄を管理するために使用され得る。本明細書に記載されるように、創傷療法または治療を改善することができる。
【0017】
スマート使い捨て品は、陰圧創傷療法装置、創傷清拭装置、ウェアラブル装置、健康装置、療法アプリケーター、放射線アプリケーター、測定アセンブリー装置、移植可能装置、または半移植可能装置を含むがこれらに限定されない、さまざまな用途に使用され得る。スマート使い捨て品は、接続、起動、および識別されるときに、装置およびシステムの一体型の部分とすることができる。スマート使い捨て品は、無線周波数識別(RFID)、近距離無線プロトコル(近距離無線通信(NFC)など)、赤外線(IrDAなど)、振動などの有線または無線通信プロトコルを介して状態データを通信することができる。
【0018】
一般に、スマート使い捨て品は、使い捨て品が療法または創傷治療の提供に使用される前または後に、状態データへのアクセスを可能にすることができる。状態データには、例えば、使い捨て品の使用者、内容、場所、時期、および使用方法が含まれ得る。状態データを使用して、療法、事前設定されたアラームおよびアラートを調整し、あらかじめ測定されるデータ(例えば、部品温度、電気絶縁、動作温度など)で基本的な安全性を制御し、基準または補償として使用されるデータを測定し、無線周波数(RF)アンテナパラメーターを測定し、RF無線電力および感度の個々のデータを測定し、またはインピーダンス、静電容量、インダクターンス、または温度を測定することができる。状態データは、最大圧力レベル、真空源レベル、または漏れレベルなどの事前較正パラメーターを含み得る。スマート使い捨て品は、貯蔵寿命状態、製造時間、場所または製造国、出荷条件、保管場所、使用期間などを追跡することができる。
【0019】
状態データを使用して、システムレベルの規制挙動を調整することができる。例えば、療法パラメーター、安全性および電磁適合性(EMC)の偏差、廃棄物管理規制データ、生物学的危険規制データ、ならびに場所およびプライバシー規制のうちの一つまたは複数を調整することができる。状態データには、障害、アラームおよびアラート、誤用、極端な操作使用、ならびに保証の中断または故障に関連するデータなど、システムレベルの機能使用データを含めることができる。状態データには、使い捨て品が使用される表示を含めることができ、これは、承認された滅菌プロセスの後に再利用も可能にしながら、単一患者使用を確保および実施するために使用できる。状態データは、スマート使い捨て品または創傷療法もしくは治療システムのうちの一つまたは複数の使用のための指示または廃棄のための指示を含み得る。
【0020】
スマート使い捨て品は、一つまたは複数のプロセッサー、メモリー、センサー、または通信インターフェイスを含み得る。スマート使い捨て品は、遠隔で電力供給されてもよく、または電源を有し得る。スマート使い捨て品の実施形態は、付属品として機能し得る。スマート使い捨て品は、他の装置、システム、トラッカー、ビーコン、メッシュネットワーク、ロケータ、廃棄物処理装置、ソフトウェアアプリケーション、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(PC)などと通信可能であり得る。使い捨て品への、および使い捨て品からの通信は、有線およびコネクターを介して、無線で、音響的に、光学的に、流体的に、機械的振動、圧力変動などを使用して確立され得る。スマート使い捨て品の組み込みは、使い捨て品のライフサイクルを完全に制御することができる効果的な一体型システムを作り出すことができる。状態データを格納するスマート使い捨て品の使用は、ラベル、クイック応答(QR)コード、バーコード、またはこれに類するものが除去または損傷され得るため、それらの使用よりも有利であり得る。
【0021】
創傷の治療および監視
本明細書に開示される実施形態は、スマート使い捨て品、ならびにスマート使い捨て品とインターフェイスする治療または監視するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施例は、流体流路を介して、創傷包帯で覆われた創傷に陰圧を提供するように構成される陰圧源を含む陰圧創傷療法システムに関する。いくつかの実施例は、創傷を準備するために使用される創傷清拭システムに関する。いくつかの実施例は、センサー統合型創傷包帯に関する。いくつかの実施例は、振動療法(超音波など)を提供することができる創傷包帯に関する。いくつかの実施例は、国際特許公開第WO2020/187641号に記載されるものなどの陰圧源を支持する創傷包帯に関し、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0022】
本明細書全体を通して、創傷についての言及がなされる。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の病状または不完全状態、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含する。従って、創傷は、流体が生成されるか、またはされ得ない、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0023】
本明細書に開示される装置、システムおよび方法の実施形態は、局所陰圧(「TNP」)または減圧療法システムとともに使用され得る。簡単に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させること、血流および顆粒組織形成を促進させること、または過剰な滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態の閉鎖および治癒を支援し、細菌負荷(ひいては、感染リスク)を減少させ得る。さらに、この療法により、創傷の障害を少なくし、より迅速な治癒につなげることができる。TNP療法システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。TNP療法は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つことができる。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲大気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低くなる)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高くなる)。一部の事例では、局所的な周囲大気圧は、基準点として使用され、そのような局所的な大気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0025】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、洗滌、超音波、加熱もしくは冷却、神経刺激、またはこれに類するものなどの減圧療法に加えて、またはその代わりに、他のタイプの治療で使用され得る。一部の事例では、開示されたシステムおよび方法は、追加の療法の適用なしに創傷監視に使用することができる。本明細書に開示のシステムおよび方法は、圧縮包帯、減圧包帯、またはこれに類するものを含む、包帯とともに使用され得る。
【0026】
医師、看護師、またはこれに類するものなどの医療提供者は、例えば、圧力レベルまたは適用時間を指定するTNP処方を提供することができる。しかしながら、治癒過程は患者ごとに異なり、処方は、臨床医または医療提供者が処方を考案する際に予想しなかった方法で治癒過程に影響を与え得る。医療提供者は、創傷が治癒する(または治癒しない)際に、処方を調整しようとし得るが、こうしたプロセスは、時間がかかり、かつ反復的であり得るさまざまな予約を必要とし得る。本明細書に開示される実施形態は、TNP処方を効率的に調整し、効果的なTNP療法を送達するシステム、装置、または方法を提供する。
【0027】
スマート使い捨て品での陰圧創傷療法
本明細書に記載される創傷療法システムまたは装置の任意の実施形態は、本明細書に記載される利益のいずれかを提供するために、スマート使い捨て品で構成され得る。
【0028】
図1Aは、陰圧創傷治療システム100′(減圧または陰圧創傷療法システム、TNPシステム、または創傷治療システムとも呼ばれる)を概略的に示す。本明細書に開示される任意の実装例では、要求されないが、陰圧創傷治療システム100′は、創傷104(空洞であり得る)の上または内側に設置される創傷充填材102を含み得る。創傷104は、創傷カバー106が創傷104と流体連通し得るように、ドレープであり得る創傷カバー106によってシールされ得る。創傷カバー106と組み合わされた創傷充填材102は、創傷包帯と称され得る。管または導管108′(本明細書では、可撓性吸引アダプターまたは流体コネクターとも称される)を使用して、創傷カバー106を、減圧または陰圧を供給するように構成される創傷療法装置110′(全体として、または部分的に「ポンプアセンブリー」と称される場合もある)と接続することができる。導管108′は、単一ルーメン菅であっても、多重ルーメン菅であり得る。図1Bを参照すると、コネクター134を使用して、導管または管142を導管108′に取り外し可能かつ選択的に結合することができる。
【0029】
本明細書に開示されるシステムのいずれかにおいて、創傷療法装置は、キャニスターレスであってもよく、例えば、および限定されるものではないが、創傷滲出液は、創傷包帯の中に収集されるか、または別の場所で収集するために導管を介して移される。しかしながら、本明細書に開示される創傷療法装置のいずれかは、キャニスターを含み得るか、またはキャニスターを支持し得る。
【0030】
さらに、本明細書で開示される創傷療法システムのいずれかでは、創傷療法装置のいずれかは、創傷包帯に装着され得るか、もしくは創傷包帯によって支持され得、または創傷包帯に隣接し得る。創傷充填材102は、親水性または疎水性の発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグなどのような、任意の好適なタイプであり得る。創傷充填材102は、創傷充填材102が創傷104の空洞を実質的に充填するように、創傷104に適合可能であり得る。創傷カバー106は、創傷104の上に実質的に流体不透過性シールを提供し得る。創傷カバー106は、頂部側および底部側を有し得る。底部側は、例えば、創傷104の周りの皮膚とシールすることによって、創傷104と接着剤で(または任意の他の好適な方法で)シールすることができる。導管108′または本明細書で開示される任意の他の導管は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意の他の適切な材料から形成され得る。
【0031】
創傷カバー106は、導管108′の端を受けるように構成されるポート(図示せず)を有し得る。一部の事例では、導管108′は、別のやり方では、創傷104内に所望のレベルの減圧を維持するように、減圧を創傷104に供給するために創傷カバー106を通って、または創傷カバー106の下を通過し得る。導管108′は、創傷療法装置110′によって提供される減圧を創傷104に供給するように、創傷療法装置110′と創傷カバー106との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路または通路を提供するように構成される任意の好適な物品であり得る。提供される圧力は、図7に示すように、スマート使い捨て品1000などのスマート使い捨て品によって状態データとして格納され得る。
【0032】
創傷カバー106および創傷充填材102は、単一の物品または一体型の単一ユニットとして提供され得る。一部の事例では、創傷充填材は提供されず、創傷カバー自体が、創傷包帯とみなされ得る。次いで、創傷包帯は、導管108′を介して、創傷療法装置110′の陰圧源に接続され得る。一部の事例では、要求されないが、創傷療法装置110′は、小型化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来の陰圧源(またはポンプ)を使用することもできる。
【0033】
創傷カバー106は、治療されることになる創傷部位の上に位置し得る。創傷カバー106は、創傷の上に、実質的にシールされた空洞または筐体を形成することができる。創傷カバー106は、余剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有し得、かつ創傷滲出液を安全に吸収するために内部に含有された超吸収性材料を有し得る。一部の事例では、本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創に特に適し得る。
【0034】
創傷療法装置110′は、滲出液キャニスターの使用の有無に関わらず動作させることができる。一部の事例では、示されるように、創傷療法装置110′は、滲出液キャニスターを含み得る。一部の事例では、導管108′を創傷療法装置110′から迅速かつ容易に取り外すことができるように創傷療法装置110′および導管108′を構成することにより、必要に応じて、創傷包帯またはポンプを変更するプロセスを容易にするか、または改善することができる。本明細書で開示されるポンプアセンブリーのいずれかは、導管108′とポンプとの間の任意の適切な接続を有し得る。滲出液キャニスターが創傷療法装置110′(または本明細書に開示される他の創傷療法装置のいずれか)とともに使用される場合、図7に示すように、スマート使い捨て品1000などのスマート使い捨て品として構成され得る。
【0035】
創傷療法装置110′は、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの陰圧を送達し得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧と相対的であり、つまり、-200mmHgが、実際的には約560mmHgであり得ることに留意されたい。一部の事例では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替的に、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超の圧力範囲を使用することができる。また、一部の事例では、-75mmHgを下回る圧力範囲も使用され得る。あるいは、およそ-100mmHg、またはさらには-150mmHg超の圧力範囲が、創傷療法装置110′によって供給され得る。
【0036】
以下でより詳細に記載されるように、陰圧創傷治療システム100′は、別個のまたは遠隔コンピューティング装置334に対する接続332を提供するように構成され得る。接続332は、有線または無線(Bluetooth、Bluetooth低エネルギー(BLE)、NFC、WiFi、またはセルラーなど)であり得る。遠隔コンピューティング装置334は、スマートフォン、タブレット、ラップトップもしくは別のスタンドアローン型のコンピューター、サーバー(クラウドサーバーなど)、別のポンプ装置などであり得る。遠隔コンピューティング装置334は、本明細書に開示される任意の創傷療法または治療システムに組み込まれ、本明細書に記載されるようにスマート使い捨て品と通信するように構成され得る。
【0037】
図1Bは、別の陰圧創傷治療システム100を示す。陰圧創傷治療システム100は、図1Bに示され、かつ/または本明細書に記載される陰圧創傷治療システム100の構成要素、特徴、またはその他の詳細のいずれかと組み合わせて、またはこれらの代わりに、図1Aに示される陰圧創傷治療システム100′または図4に示される陰圧創傷治療システム400を含むが、これらに限定されない、本明細書に開示される他の陰圧創傷治療システムのいずれかの構成要素、特徴、またはその他の詳細のいずれかを有し得る。陰圧創傷治療システム100は、創傷104をシールし得る、創傷104の上に創傷カバー106を有し得る。単一ルーメン菅または多重ルーメン菅などの導管108を使用して、創傷カバー106を、減圧または陰圧を供給するように構成される創傷療法装置110(全体として、または部分的に「ポンプアセンブリー」と称される場合もある)と接続することができる。創傷カバー106は、創傷104と流体連通し得る。
【0038】
図1Bを参照すると、導管108は、近位端部および遠位端部(遠位端部は近位端部よりも創傷104に近い)を有し得るブリッジ部分130と、可撓性吸引アダプター(または導管)108を形成する、ブリッジ部分130の遠位端にあるアプリケーター132と、を有し得る。図1Bに示される導管108のブリッジ部分130の長さに沿って延在しチャネルのうちの少なくとも一つに接続するように、コネクター134がブリッジ部分130の近位端に配置され得る。キャップ140を、導管108の一部分と連結することができ、一部の事例では、示されるように、コネクター134に取り付けることができる。キャップ140は、流体がブリッジ部分130の近位端から漏れ出るのを防止する際に有用な場合がある。導管108は、Smith&Nephewが製造したSoft Portであり得る。上述のように、陰圧創傷治療システム100は、導管108を通って創傷104に陰圧を供給することができる装置110などの陰圧源を含み得る。要求されないが、キャニスターまたは装置110はまた、創傷滲出液、および創傷から取り外され得る他の流体を貯蔵するための他の容器を含み得る。
【0039】
装置110は、導管または管142を介してコネクター134に接続され得る。使用時、アプリケーター132は、好適に準備された創傷または創傷104の上に置かれたカバー106内に形成される開口の上に設置され得る。その後、創傷療法装置110が管142を介してコネクター134に接続される状態で、創傷療法装置110を稼働させて、創傷に陰圧を供給することができる。陰圧の印加は、創傷の所望のレベルの治癒が達成されるまで印加され得る。
【0040】
ブリッジ部分130は、下部チャネル材料または層が中間層と底部層との間に位置付けられる状態で、上部層と中間層との間に位置付けられる上部チャネル材料または層を含み得る。上部層、中間層、および下部層は、近位端と遠位端との間に延在する細長い部分を有し得、かつ流体不浸透性の材料、例えば、ポリウレタンなどのポリマーを含み得る。当然のことながら、上部層、中間層、および下部層は各々、半浸透性の材料を含む異なる材料から構築され得ることが理解されよう。一部の事例では、上部層、中間層、および下部層のうちの一つまたは複数は、少なくとも部分的に透明であり得る。いくつかの実例では、上部層および下部層は、上部層および下部層の長さの大部分にわたって湾曲していても、丸みを帯びていても、外向きに凸状であり得る。
【0041】
上部チャネル層および下部チャネル層は、ブリッジ130の近位端から遠位端まで延在する細長い層であってもよく、かつ各々が、好ましくは、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含む多孔質材料を含み得る。一部の事例では、上部チャネル層および下部チャネル層のうちの一つまたは複数は、例えば、編まれたもしくは織られたスペーサー布帛(編まれたポリエステル3D織物、Baltex 7970.RTM.、もしくはGehring 879.RTM.など)、または不織布材料、あるいはテリー織りもしくはループパイル材料から構成され得る。繊維は必ずしも織られるわけではなく、フェルトおよびフ係止繊維材料(Flotex.RTM.などの材料を含む)を含み得る。選択される材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または排出された空気を創傷部位へ伝達するように置かれ、かつまた、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗をチャネル層に与え得る。一つの実施例では、上部チャネル層は、ポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含み得、下部チャネル層は、布帛を含み得る。別の実施例では、上部チャネル層は、任意選択であり、システムは、代わりに、開いた上部チャネルを含み得る。上部チャネル層は、湾曲しているか、丸みを帯びているか、または上向きに凸状である上部表面と、実質的に平坦な下部表面と、有し得、下部チャネル層は、湾曲しているか、丸みを帯びているか、または下向きに凸状である下部表面と、実質的に平坦な上部表面と、を有し得る。
【0042】
ブリッジ130の任意の構成要素の布帛または材料は、三次元(3D)構造を有し得、一つまたは複数のタイプの繊維は、繊維が全三次元方向に延在する構造を形成する。かかる布帛は、一部の事例では、ウィッキング、流体輸送、または陰圧の伝達を助ける場合がある。一部の事例では、チャネルの布帛または材料は、互いの上に積み重なった、または層状にされた材料のいくつかの層を含み得、これは、一部の事例では、陰圧の印加下で、チャネルが崩壊するのを防止する際に有用な場合がある。導管108のいくつかの実装に使用される材料は、適合可能かつ柔軟性であってもよく、これは、一部の事例では、褥瘡および患者の皮膚に押し付けられた創傷治療システムによって生じ得る他の合併症を回避するのに役立ち得る。
【0043】
上部層、中間層、および下部層の遠位端、ならびにチャネル層は、(創傷部位の上に設置される)該層の遠位端で拡張され得、「涙滴」または他の拡張形状を形成し得る。少なくとも上部層、中間層、および下部層の遠位端、ならびにチャネル層はまた、少なくとも一つの貫通開口を含み得る。この開口は、創傷滲出液を抜くため、および創傷に陰圧を印加するためだけでなく、これらの開口が、これらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るため、装置の製造中にも有用な場合がある。
【0044】
いくつかの実装では、制御されたガスリーク部146(ガスリーク部、空気リーク部、または制御された空気リーク部と称される場合もある)は、ブリッジ部分130の上、例えば、ブリッジ部分130の近位端に配置され得る。この空気リーク部146は、空気リーク部146がブリッジ部分130の上部チャネルと流体連通するように、ブリッジ部分130の上部層を通って延在する開口部またはチャネルを含み得る。導管108への吸引の印加時に、ガス(空気など)が、ガスリーク部146を通って入り、ブリッジ部分130の上部チャネルに沿って、ブリッジ部分130の近位端からブリッジ部分の遠位端まで移動し得る。次いで、上部層、中間層、および下部層の遠位端を通して、開口を通過させることによって、ガスをブリッジ部分130の下部チャネル内に吸引することができる。空気リーク部146によって提供される流量(または流量範囲)などの空気リーク部146に関連するデータは、図7に示すように、スマート使い捨て品1000などのスマート使い捨て品によって格納される状態データの一部であり得る。
【0045】
空気リーク部146は、フィルターを含み得る。好ましくは、空気リーク部146は、創傷滲出液または他の流体が空気リーク部146またはフィルターと接触し、空気リーク部146またはフィルターを閉塞または妨害する可能性を最小化するように、ブリッジ部分130の近位端に位置する。いくつかの実例では、フィルターは、微生物および細菌を排除することができ、45μmより大きい粒子を濾過することができ得る、微多孔膜であり得る。好ましくは、フィルターは、1.0μmよりも大きい粒子、より好ましくは、0.2μmよりも大きい粒子を排除することができる。有利には、いくつかの実装は、例えば、水、シャンプーなどの一般的な家庭用液体、および他の界面活性剤に対して、少なくとも部分的に化学的に耐性のあるフィルターを提供し得る。一部の事例では、吸引アダプターへの真空の再印加またはフィルターの露出した外側部分の拭き取りは、フィルターを閉塞する任意の異物を一掃するのに十分であり得る。フィルターは、アクリル、ポリエーテルスルホン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの好適に耐性のあるポリマーから構成され得、かつ油性または疎水性であり得る。一部の事例では、ガスリーク部146は、追加の陰圧が導管108に印加されるときに、認め得るほどに増加しない比較的一定のガス流を供給し得る。ガスリーク部146を通るガス流が、追加の陰圧が印加されるときに増加する、陰圧創傷治療システム100の実例では、好ましくは、この増加したガス流は、最小化され、それに印加される陰圧に比例して増加しないことになる。本明細書に開示される陰圧創傷治療システムの任意の実装例で使用され得る、そのようなブリッジ、導管、空気リーク部、およびその他の構成要素、特徴、ならびに詳細のさらなる説明は、本明細書に完全に記載されるかのように全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,801,685号に見出される。
【0046】
本明細書に開示される創傷療法装置(装置110または110′など)のいずれかは、連続的または断続的な陰圧療法を提供し得る。連続的な療法は、0mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下で送達され得る。断続的な療法は、低い陰圧設定点と高い陰圧設定点(設定点と称される場合もある)との間で送達され得る。低い設定点は、0mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、または-180mmHgより下に設定され得る。高い設定点は、-25mmHgより上、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-125mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下に設定できる。断続的治療中、低い設定点での陰圧を第一の時間期間にわたって送達することができ、また第一の時間期間の終了時には、高い設定点での陰圧を第二の時間期間にわたって送達することができる。第二の時間期間の終了時には、低い設定点での陰圧を送達することができる。第一および第二の時間期間は、同じ値または異なる値とすることができる。
【0047】
動作時、創傷充填材102は、創傷104の空洞内に挿入され得、創傷カバー106は、創傷104をシールするように設置され得る。創傷療法装置110′は、創傷カバー106に陰圧を提供することができ、これは、創傷充填材102を介して創傷104に伝達され得る。流体(創傷滲出液など)は、導管108を通って引き出され、キャニスター内に貯蔵され得る。一部の事例では、流体は、創傷充填材102または一つまたは複数の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0048】
本出願のポンプアセンブリーおよびシステムとともに利用され得る創傷包帯としては、Smith&Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico Dressingが挙げられ得る。本出願のポンプアセンブリーおよびシステムとともに使用され得る陰圧創傷療法システムの創傷包帯、ならびにその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2012/0116334号、同第2011/0213287号、同第2011/0282309号、同第2012/0136325号、米国特許第9,084,845号、および国際特許第PCT/EP2020/078376号において見出され、これらの文献の各々が、本明細書に完全に記載されるかのように全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の事例では、他の好適な創傷包帯が利用され得る。
【0049】
図2A図2B、および図2Cは、陰圧創傷療法装置110’を示す。示されるように、ポンプアセンブリー160およびキャニスター162を接続し、それによって、創傷療法装置110’を形成することができる。図2Cを参照すると、ポンプアセンブリー160は、ディスプレイ172を有するインターフェイスパネル170、一つまたは複数のインジケーター174、または例えば、療法の開始および一時停止ボタン180もしくはアラーム/警告ミュートボタン182を含むが、これらに限定されない、一つまたは複数の制御もしくはボタンを含み得る。インターフェイスパネル170は、ポンプアセンブリー160またはインターフェイスパネル170の任意の機能を制御するために使用され得る、一つまたは複数の入力制御またはボタン184(三つが示される)を有し得る。例えば、および限定されるものではないが、ボタン184のうちの一つまたは複数を使用して、ポンプアセンブリー160をオンもしくはオフにすること、療法を開始もしくは一時停止すること、ポンプアセンブリー160を動作させ、動作を監視すること、ディスプレイ172上に表示されたメニュー内をスクロールすること、またはその他の機能を制御もしくは実施することができる。一部の事例では、コマンドボタン184は、プログラム可能であってもよく、かつ触覚性で柔らかいゴムから作製され得る。
【0050】
さらに、インターフェイスパネル170は、一つまたは複数のボタン184のうちのどれが稼働中であるかを示すことができる視覚インジケーター186を有し得る。インターフェイスパネル170はまた、さまざまなボタン(例えば、ボタン184)またはディスプレイ172の機能を選択的に係止または係止解除するように構成され得る、係止/係止解除制御またはボタン188を有し得る。例えば、療法設定の調整は、係止/係止解除制御188を介して係止/係止解除され得る。係止/係止解除ボタン188が係止状態にある場合、さまざまなその他のボタンのうちの一つまたは複数またはディスプレイを押下することにより、ポンプアセンブリー160が、装置の任意の表示機能または性能機能を変更させることはない。このように、インターフェイスパネル170は、さまざまなボタンまたはディスプレイが偶発的にぶつけられること、または触れられることから保護されることになる。インターフェイスパネル170は、ポンプアセンブリー160の上部分の上、例えば、および限定されるものではないが、ポンプアセンブリー160の上向き面上に位置し得る。
【0051】
LCDスクリーンなどのスクリーンであり得るディスプレイ172は、インターフェイスパネル170の中央部分に装着され得る。ディスプレイ172は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ172は、指示ビデオなどの視聴覚(AV)コンテンツの再生をサポートし、ポンプアセンブリー160の動作を構成、制御、および監視するためのいくつかのスクリーンまたはグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)をレンダリングすることができる。
【0052】
一つまたは複数のインジケーター174は、照明(LEDなど)であってもよく、アラーム状態およびまたはポンプの状態の視覚的表示を提供するように構成され得る。例えば、および限定されるものではないが、一つまたは複数のインジケーター174は、ポンプアセンブリー160、または導管108もしくは創傷カバー106を含むが、これに限定されない、陰圧創傷治療システム100のその他の構成要素の状態の視覚的表示を提供するように構成され得る(通常の動作、低バッテリー、漏れ、キャニスターが満杯、遮断、過圧などの表示を提供するなど)。視覚的、聴覚的、触覚的インジケーターなどのような任意の一つまたは複数の好適なインジケーターを、さらにまたは代替的に使用することができる。
【0053】
図2Bは、図2Aに示される創傷療法装置110’の背面または後方図を示す。示されるように、ポンプアセンブリー160は、音声を生成するためのスピーカ192を含み得る。例えば、および限定されるものではないが、スピーカ192は、療法送達の偏り、療法送達の不遵守、または任意の他の同様のもしくは好適な病状、あるいはこれらの組み合わせに応答して、音響アラームを発生させ得る。アラームまたはアラートのいずれかは、スマート使い捨て品によって格納される状態データの一部であり得る。スピーカ192は、ディスプレイ172上に表示され得る一つまたは複数の指示ビデオに付随する音響を提供することができる。
【0054】
ポンプアセンブリー160は、抗菌フィルターなどの、ポンプアセンブリー160の一つまたは複数のフィルターへの容易なアクセス(ポンプアセンブリーのケーシング上のアクセスドアなど)を提供するように構成され得る。これにより、ユーザー(医療提供者または患者など)は、かかるフィルターに対するより容易なアクセス、検査、または交換を行うことができる。ポンプアセンブリー160はまた、ポンプアセンブリー160に電力を提供するため、または内部電源(バッテリーなど)を充電および再充電するための電力ジャック(またはソケット)196を含み得る。ポンプアセンブリー160のいくつかの実装例は、一つまたは複数のバッテリーなどの、使い捨てまたは再生可能な電源を含むことができ、その結果、電力ジャックは必要ない。ポンプアセンブリー160は、ポンプアセンブリー160の把持を容易にするために、内部に形成される凹部198を有し得る。
【0055】
キャニスター162は、創傷104から吸い出された流体を保持し得る。例えば、キャニスター162は、800mL(もしくはおよそ800mL)の容量、または300mL以下の容量~1000mL以上の容量、またはこの範囲内の任意の容量レベルを有し得る。キャニスター162は、流体流路を形成するために、導管108’に接続するための管類を含み得る。キャニスター162は、キャニスター162が流体で充填される場合などに、別のキャニスターと交換することができる。図2Aを参照すると、創傷療法装置110’は、キャニスター162と流体連通するキャニスター入口管200(本明細書では、包帯ポートコネクターとも称される)を含み得る。例えば、限定されるものではないが、キャニスター入口管200を使用して、導管108’と接続することができる。
【0056】
キャニスター162は、ポンプアセンブリー160に対して選択的に連結可能および取り外し可能であり得る。図2Aを参照すると、一部の事例では、キャニスターリリースボタン202が、キャニスター162をポンプアセンブリー160から選択的に解放するように構成され得る。図2Bを参照すると、キャニスター162は、ユーザーに示すため、およびキャニスター162内に貯蔵された流体または滲出液の量を示すための、一つまたは複数の充填線または目盛り204を有し得る。
【0057】
キャニスター162は、スマート使い捨て品1000などのスマート使い捨て品として構成され得る。例えば、キャニスター162は、メモリーおよび処理能力を有する電子機器を含み得る。電子機器は、キャニスターハウジング内に部分的または完全に位置付けられ得る。電子機器は、コインセルバッテリーまたは一つまたは複数のコンデンサーなどの電源によって電力供給され得る。一部の事例では、NFC、RFID、または他の無線充電プロトコルを介してなど、外部電力を提供することができる。キャニスター162は、キャニスター162がポンプアセンブリー160に接続された後に、システムレベルの起動および停止を容易にすることができる。本明細書に記載されるように、キャニスター162は、状態データを格納することができる。状態データは、キャニスター162の識別子(一意であり得る)、タイプ、または容量(350mLまたは700mLのキャニスターなど)を含み得る。このデータは、ポンプアセンブリー160によって使用されて、陰圧創傷療法の提供を調整することができる。
【0058】
一部の実例では、陰圧設定点を確立するための継続時間は、キャニスターの容量(またはサイズ)に基づき調整され得る。より大きなキャニスターについては、(例えば、速度またはポンプモーターを増加させることによって)流量を増加させて、キャニスターからガスをより速く吸引し、陰圧設定点を確立することができる。充電または性能のうちの一つまたは複数は、キャニスター容量に基づき調整され得る。例えば、ユーザーは、より大きいキャニスターが、ユーザーがより長い時間歩行可能になることを期待し得る。装置は、電源をより速く充電すること、または一つまたは複数の省電力技術(ディスプレイのターンなど)を実行することのうちの一つまたは複数によって応答することができる。アラームまたはアラートの遅延および挙動は、キャニスター容量に基づき変化し得る。例えば、キャニスター充填または全閾値は、検出されたキャニスター容量に応答して調整され得る。別の実施例として、装置は、より小さなキャニスターで垂直な配向で、およびより大きなキャニスターで水平な配向で(またはその逆で)動作し得る。アラームまたはアラートは、療法の提供中の装置の位置に基づき調整することができる。陰圧とともに洗滌が提供され得る場合、提供される注入流体の量または体積は、キャニスターの容量に基づき調整され得る。例えば、流体のより小さな容積には、より小さなキャニスターが提供され得る。
【0059】
表示は、キャニスターの容量を検出するのに応答して、ユーザーに提供され得る。例えば、歩行可能な患者は、より大きなキャニスターによる可動性の制限を認識することができる。別の実施例として、ユーザーが移動し得るときに、より大きなキャニスターがより良い選択肢であるという表示が提供され得る。キャリアバッグ、ストラップ、ベッドクラム、IVポール、または輸送ケースなどの適切な付属品のセットの表示は、検出されたキャニスター容量に基づき提供され得る。こうした付属品のいずれかはまた、スマート付属品であり得る。
【0060】
状態データを使用して、製造中に実施される一つまたは複数の試験を調整することができる。例えば、より大きなキャニスターの検出は、より大きなキャニスターの追加重量を考慮するために、落下(または衝撃)試験に対する一つまたは複数の閾値の調整を引き起こす可能性がある。より重いシステムの場合、落下(または衝撃)要件の保証または受けいれは、より小さなキャニスターを有するシステムの場合よりも繊細であり得る。
【0061】
状態データには、製造または試験中に検出された真空レベルが含まれ得る。このデータは、例えば、キャニスター162が無傷である(亀裂または損傷がないなど)ことを検証するために、療法の提供中にポンプアセンブリーによって使用され得る。こうした検証は、療法の提供中の一つまたは複数の圧力センサーによる圧力測定値を、状態データの一部として格納される真空レベルと比較することによって行うことができる。
【0062】
状態データは、キャニスター162が療法中に使用されたという表示を含み得る。これは、キャニスターが、(例えば、洗浄および滅菌されずに)異なる患者に療法を提供するために使用されないことを確実にすることを容易にすることができる。キャニスターが使用されたという表示は、例えば、キャニスター162のポンプアセンブリー160への接続、またはポンプアセンブリー160の起動を検出して陰圧を提供することに応答して、キャニスター162のメモリーに格納され得る。状態データは、キャニスター162が傾斜または逆さまにされたという表示を含み得る(キャニスターのフィルターを損ない、陰圧創傷療法の提供にキャニスター1620を使用不可能にし得る)。キャニスター162が傾斜または逆さまにされたという表示は、例えば、ポンプアセンブリー160およびキャニスターの配向変化を検出するのに応答して、キャニスター162のメモリーに格納され得る。こうした検出は、ポンプアセンブリー160の一つまたは複数の動きセンサー(加速度計またはジャイロスコープなど)を使用して実施され得る。
【0063】
状態データは、キャニスター162が、その動作寿命を示す特定の時間期間の間、使用された結果として寿命に達したという表示を含み得る。例えば、ポンプアセンブリー160は、キャニスター162に提供される陰圧創傷療法の累積期間を追跡することができる。累積期間が特定の時間期間に達したことを検出することに応答して、キャニスターの寿命に達したという表示を、キャニスターの状態データの一部として記憶することができる。別の実施例として、タイムスタンプ(本明細書に記載される)は、寿命末期の検出に使用され得る。状態データには、場所、病院、使用または誤用状態、環境使用、キャニスターの曝露(遠隔または歩行可能など)、輸送使用などが含まれ得る。
【0064】
ポンプアセンブリー160は、キャニスター162から状態データを取得することができる。取り出しは、ポンプアセンブリー160の一つまたは複数のコントローラーによって、またはその制御下で実施され得る。状態データは、陰圧創傷療法を開始する前に取得され得る。ポンプアセンブリー160は、「陰圧創傷療法装置用通信システムおよび通信方法」と題される、同時係属中の国際特許出願第____________号(代理人整理番号SMNPH.654WO)、および「陰圧創傷療法装置用キャニスター状態判定」と題される、同時係属中の国際出願第____________号(代理人整理番号SMNPH.672WO)(それぞれが、参照により全体が組み込まれる)に記載の任意のアプローチを使って、状態データを取得することができ、を参照されたい。例えば、ポンプアセンブリー160は、近距離無線プロトコル(NFCなど)を使用して状態データを取得することができる。ポンプアセンブリー160は、状態データに応答して療法を調整することができる。例えば、ポンプアセンブリー160は、状態データが、キャニスター162がすでに使用中であったか、または傾斜していたか、もしくは逆さまであったことを示す決定に応答して、療法の提供を許容し得ない。使用または誤用データを使用して、本明細書に開示されるキャニスター162またはスマート使い捨て品のいずれかに対する苦情、保証、またはコストを管理または解決することができる。
【0065】
創傷療法装置110は、創傷療法装置110を持ち上げるか、または運ぶために使用することができる、ハンドル208を有し得る。ハンドル208は、ポンプアセンブリー160と連結することができ、およびハンドルを、創傷療法装置110またはポンプアセンブリー160を持ち上げるか、もしくは運ぶために上向きに回転させること、またはハンドルが使用されていないときに、よりコンパクトな位置に下部輪郭へと回転させることができるように、創傷療法装置110に対して回転可能であり得る。一部の事例では、ハンドル208は、固定位置でポンプアセンブリー160と連結され得る。ハンドル208は、ポンプアセンブリー160の上部分と連結され得るか、または創傷療法装置110から取り外し可能であり得る。
【0066】
図3は、創傷療法装置110′または110など、本明細書に記載の創傷療法装置のいずれかに用いられ得る制御システム300の概略図を示す。電気部品は、ユーザー入力を受けいれること、ユーザーに出力を提供すること、圧力源を動作させること、接続を提供することなどを行うように動作し得る。第一のプロセッサー(メインコントローラー310など)が、ユーザー活動を担当することができ、第二のプロセッサー(ポンプコントローラー370)が、ポンプ390などの別の装置を制御することを担当することができる。
【0067】
入力/出力(I/O)モジュール320を使用して、ポンプ390、一つまたは複数のセンサー(例えば、流体流路の一つまたは複数の場所で圧力を監視するように構成される一つまたは複数の圧力センサー325)などのような、別の構成要素もしくは装置への入力および/または出力を制御することができる。例えば、I/Oモジュールは、シリアル(例えば、I2C)、パラレル、ハイブリッドポートおよびこれに類するものなどの一つまたは複数のポートを介して一つまたは複数のセンサーからデータを受信し得る。圧力センサーのいずれかが、創傷療法装置またはキャニスターの一部であり得る。一部の事例では、圧力センサー325のいずれかが、創傷に、または創傷の近くに(例えば、包帯または包帯を創傷療法装置に接続する導管内に)位置付けられるなど、創傷療法装置に対して遠隔にあり得る。かかる実装例では、遠隔の圧力センサーのいずれかが、有線接続を介してI/Oモジュールと通信し得るか、または無線接続を介して一つまたは複数のトランシーバー340と通信し得る。
【0068】
メインコントローラー310は、一つまたは複数のUSBポート、SDポート、コンパクトディスク(CD)ドライブ、DVDドライブ、FireWireポート、Thunderboltポート、PCI Expressポートなどのような、一つまたは複数の拡張モジュール360との間でデータを受信および提供することができる。メインコントローラー310は、他のコントローラーまたはプロセッサーとともに、メインコントローラー310の内部または外部にあり得るメモリー350(一つまたは複数のメモリーモジュールなど)にデータを格納することができる。RAM、ROM、磁気メモリー、ソリッドステートメモリー、磁気抵抗ランダムアクセスメモリー(MRAM)などのような、揮発性または不揮発性メモリーを含む任意の好適なタイプのメモリーを使用することができる。
【0069】
メインコントローラー310は、低電力プロセッサーまたは特定用途向けプロセッサーなどの汎用コントローラーであり得る。メインコントローラー310は、制御システム300の電子アーキテクチャー内で「中央」プロセッサーとして構成され得、かつメインコントローラー310は、ポンプコントローラー370、一つまたは複数の通信コントローラー330、および一つまたは複数の追加のプロセッサー380などの、その他のプロセッサーの活動を調和させることができる。メインコントローラー310は、Linux、Windows CE、VxWorksなどのような、好適なオペレーティングシステムを動かすことができる。
【0070】
ポンプコントローラー370は、陰圧または減圧を発生させ得るポンプ390の動作を制御することができる。ポンプ390は、ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、回転ポンプ、回転ベーンポンプ、スクロールポンプ、ねじポンプ、液封式ポンプ、圧電トランスデューサーによって動作するダイヤフラムポンプ、ボイスコイルポンプなどのような、好適なポンプであり得る。ポンプコントローラー370は、一つまたは複数の圧力センサー325から受信したデータを使用して、流体流路内の圧力を測定すること、流体流量を計算すること、およびポンプを制御することができる。ポンプコントローラー370は、所望のレベルの陰圧が創傷104内で達成されるように、ポンプアクチュエーター(モーターなど)を制御することができる。所望のレベルの陰圧は、圧力設定またはユーザーによって選択され得る。ポンプコントローラー370は、パルス幅変調(PWM)またはパルス制御を使用して、ポンプ(例えば、ポンプモーター)を制御することができる。ポンプを駆動するための制御信号は、0~100%のデューティサイクルPWM信号であり得る。ポンプコントローラー370は、流量計算を実施すること、およびアラームを検出することができる。ポンプコントローラー370は、メインコントローラー310に情報を通信することができる。ポンプコントローラー370は、低電力プロセッサーであり得る。
【0071】
一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、接続(有線または無線接続332など)を提供し得る。一つまたは複数の通信コントローラー330は、データを送信および受信するために一つまたは複数のトランシーバー340を利用することができる。一つまたは複数のトランシーバー340は、一つまたは複数のアンテナ、光学センサー、光学トランスミッター、振動モーターもしくは振動変換器、振動センサー、音響センサー、超音波センサーなどを含み得る。一つまたは複数のトランシーバー340のいずれが、通信コントローラーとして機能し得る。そのような場合には、一つまたは複数の通信コントローラー330を省略することができる。一つまたは複数のトランシーバー340のいずれを、無線通信を容易にする一つまたは複数のアンテナに接続することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330は、以下のタイプの接続のうちの一つまたは複数を提供し得る。グローバル位置決めシステム(GPS)、セルラー接続(例えば、2G、3G、LTE、4G、5Gなど)、NFC、Bluetooth(もしくはBLE)接続、無線周波数識別(RFID)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、WiFi接続、インターネット接続、光学接続(例えば、赤外線、QRコードなどのバーコードなどを使用する)、音響接続、超音波接続など。接続は、ポンプアセンブリーの場所追跡、アセット追跡、コンプライアンス監視、遠隔選択、ログ、アラーム、および他の動作データのアップロード、ならびに療法設定の調整、ソフトウェアまたはファームウェアのアップグレード、ペアリングなどのような、さまざまな活動のために使用され得る。
【0072】
一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、デュアルGPS/セルラー機能を提供し得る。セルラー機能は、例えば、3G、4G、または5G機能であり得る。一つまたは複数の通信コントローラー330は、メインコントローラー310に情報を通信することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、内部メモリーを含み得るか、またはメモリー350を利用することができる。一つまたは複数の通信コントローラー330のいずれかが、低電力プロセッサーであり得る。
【0073】
制御システム300は、GPSデータ、療法データ、装置データ、およびイベントデータなどのデータを格納することができる。このデータは、例えば、メモリー350に格納することができる。このデータには、一つまたは複数のセンサーによって収集された患者データが含まれ得る。制御システム300は、療法および他の動作データを追跡およびログ記録することができる。こうしたデータは、例えば、メモリー350に格納され得る。
【0074】
一つまたは複数の通信コントローラー330によって提供される接続を使用して、制御システム300は、装置334などの、遠隔コンピューティング装置に、制御システム300によって記憶、維持、または追跡されたデータのいずれかをアップロードすることができる。制御システム300は、療法の選択、ならびにパラメーター、ファームウェアおよびソフトウェアのパッチおよびアップグレードなどのさまざまな動作データを(例えば、装置334への接続を介して)ダウンロードすることもできる。一つまたは複数のユーザーインターフェイス(一つまたは複数のディスプレイなど)を制御するためのプロセッサーなどの、一つまたは複数の追加のプロセッサー380を利用することができる。一部の事例では、制御システム300の例示または記載される構成要素のいずれかを、制御システム300が使用される、創傷監視または治療システムの一実施形態に応じて省略することができる。
【0075】
本明細書に記載される陰圧創傷療法装置のうちのいずれかは、米国特許第9,737,649号または米国特許公開WO2017/0216501号に開示される一つまたは複数の特徴を含んでもよく、その各々は参照によりその全体が組み込まれる。
【0076】
スマート使い捨て品でのセンサー統合型創傷包帯
一つまたは複数のセンサーを含む、いくつかの電子部品を組み込む創傷包帯は、創傷の特性を監視するために利用され得る。創傷からデータを収集および分析することが、創傷が治癒曲線上にあるか否かを決定すること、適切な療法を選択すること、創傷が治癒したか否かを決定することなどに対する有用な洞察を提供し得る。本明細書に開示されるセンサー統合型創傷包帯のいずれも、スマート使い捨て品として構成され得る。
【0077】
いくつかの実施態様では、いくつかのセンサー技術が、創傷包帯、または創傷包帯装置全体の一部を形成する一つまたは複数の構成要素で使用され得る。例えば、図4A、4B、4Cに示されるように、一つまたは複数のセンサーが基板上または基板内(そのような基板は、「センサー一体型基板」と称され得る)に組み込まれ得る。基板は、四角形を有するように示されるが、基板が、長方形、円形、楕円形などの他の形状を有し得ることが理解されるであろう。一部の事例では、一つまたは複数のセンサーを支持する基板は、創傷の上または中に直接的または間接的に設置される個々の材料層として提供され得る。センサー一体型基板は、より大きい創傷包帯装置の一部であり得る。一部の事例では、センサー一体型基板は、単一のユニット包帯の一部である。追加的または代替的に、センサー一体型基板は、創傷の上または中に直接的または間接的に設置され、次いで、ガーゼ、発泡体、または他の創傷包装材料、超吸収層、ドレープ、Smith&Nephewによって製造されたPicoまたはAllevyn Life包帯などの完全一体型包帯などのうちの一つまたは複数を含み得る、二次創傷包帯によって覆われ得る。
【0078】
センサー一体型基板は、創傷と接触して設置され得、流体が、創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど引き起こさずに、基板を通過することを可能にし得る。基板は、創傷に適合するか、または創傷を覆うために、可撓性、弾性、伸張性、もしくは伸縮性、または実質的に可撓性、弾性、伸張性、もしくは伸縮性であり得る。例えば、基板は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ならびにさまざまなフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマー材料のうち一つまたは複数などの伸縮性または実質的に伸縮性の材料、または別の適切な材料から作製され得る。
【0079】
一部の事例では、基板は、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性ポリマー、ならびにさまざまなフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマーなどで形成され得る、一つまたは複数の可撓性回路基板を含み得る。一つまたは複数のセンサーは、二層可撓性回路基板に組み込まれ得る。いくつかのシナリオでは、一つまたは複数の回路基板は、多層可撓性回路基板とすることができる。
【0080】
一部の事例では、センサー一体型基板は、湿潤または乾燥組織に接着する本明細書に記載の創傷接触層などの接着剤を組み込み得る。一部の場合に、一つまたは複数の可撓性回路基板を位置付けられ得る一つまたは複数のセンサーが、創傷包帯の任意の層に組み込まれ得る。例えば、創傷接触層は、創傷接触層の下部表面から突出し、創傷に直接接触する、一つまたは複数のセンサーを可能にする、切り抜き部またはスリットを有し得る。いくつかの状況では、一つまたは複数のセンサーは、例えば、吸収層などの創傷包帯のその他の構成要素に組み込まれるか、またはその中に封入され得る。
【0081】
図4Aに示されるように、センサー一体型基板500Aは、複数の電子部品と、構成要素のうちの少なくともいくつかを相互接続する複数の電子接続と、を支持し得る。電子部品は、センサー、アンプ、コンデンサー、抵抗器、インダクター、コントローラー、プロセッサーなどの本明細書に説明される任意の電子部品のうちの一つまたは複数とすることができる。電子接続は、電子部品のうちの一つまたは複数を電気的に接続し得る。電子接続は、銅、導電性インク(銀インク、グラファイトインクなど)の使用などの、基板上に印刷されたトラックであり得る。電子接続のうちの少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性、または実質的に可撓性もしくは伸縮性とすることができる。
【0082】
複数の電子部品は、図4A、4B、4Cに示されるように、外側4×4グリッドおよび内側4×4グリッドで配置され得る、一つまたは複数のインピーダンスまたは伝導度センサー510を含み得る。センサー510は、パッドの任意のペアにわたる組織のインピーダンスまたは導電率を測定するように構成されるパッドとして例示される。二つ(またはそれ超)の励起パッド515が、示されるように配置されて、パッドにわたって励起信号を提供し、この信号は、組織によって伝導され、これに応答して、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスが、パッド510にわたって測定され得る。一つまたは複数のアンプ520などの電気部品が、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスを測定するために使用され得る。インピーダンスまたはコンダクタンスの測定値は、生きている組織および死んだ組織を識別し、治癒の進捗を監視するためなどに使用され得る。内側および外側グリッド内のパッド510の配置は、創傷のインピーダンスまたはコンダクタンス、創傷の外周、または創傷を囲む組織もしくはエリアを測定するために使用され得る。インピーダンスまたは導電率を測定するための追加のアプローチは、「組織インピーダンスを測定するシステムおよび方法」と題する、国際特許公開第WO2020/187643号に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。
【0083】
基板500Aは、スマート使い捨て品として構成され、状態データを格納することができる。インピーダンスセンサー510のうちの一つまたは複数などの、基板500Aの一つまたは複数の構成要素のインピーダンスまたはコンダクタンスは、状態データの一部として基板500Aのメモリーに測定および格納され得る。これは、基板500Aの製造または較正中に実施され得る。使用時に、状態データの一部として格納されるインピーダンスまたはコンダクタンスを使用して、創傷または組織のインピーダンスまたはコンダクタンスを正確に測定することができる。例えば、状態データによって提供されるインピーダンスまたはコンダクタンスは、創傷または組織のインピーダンスまたはコンダクタンスを決定するときに考慮に入れられ得る(またはそうでなければ無視され得る)。
【0084】
複数の電子部品は、創傷または周囲組織の温度を測定するように構成される一つまたは複数の温度センサー530を含み得る。例えば、九つの温度センサーが、基板500Aの外周の周囲に配置された。一つまたは複数の温度センサーは、一つまたは複数の熱電対またはサーモスタットを含み得る。一つまたは複数の温度センサーは、較正され得、一つまたは複数のセンサーから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。一部の事例では、周囲空気温度を測定する周囲センサーが、環境温度シフトと関連付けられる問題を排除することを支援するために使用され得る。
【0085】
複数の電子部品は、一つまたは複数の光学センサー550を含み得る。一つまたは複数の光学センサー550は、創傷の外観を測定するか、または創傷を撮像するように構成され得る。一部の事例では、光を放射する光源または照明源、および創傷によって反射された光を検出する光センサーまたは検出器が、一つまたは複数の光学センサーとして使用される。光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、例えば、一つまたは複数の白色LED、赤色、緑色、青色(RGB)LED、紫外線(UV)LEDなどである。光センサーは、色を検出するように構成されるRGBセンサー、赤外線(IR)色センサー、UVセンサーなどのうちの一つまたは複数とすることができる。一部の事例では、光源および検出器の両方は、皮膚に押し付けられることになり、それにより、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈することになる。いくつかのシナリオでは、一つまたは複数の光学センサーは、電荷結合素子(CCD)、CMOS画像センサーなどの、撮像装置を含み得る。
【0086】
一部の事例では、超高輝度LED、RGBセンサー、およびポリエステル光学フィルターが、組織色分化を通して測定するために、一つまたは複数の光学センサーの部品として使用され得る。例えば、表面の色が反射光から測定され得るため、色は、所与の幾何学的形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、皮膚と接触しているLEDから拡散した散光などからの色感知を含み得る。一部の事例では、LEDは、組織を通して拡散した光を検出するために、近位のRGBセンサーと使用され得る。光学センサーは、拡散した内部光または表面反射光を用いて撮像し得る。
【0087】
状態データは、基板500Aによって支持される任意のセンサーの較正データ(閾値など)を含み得る。例えば、光学センサーの感度、色、または電力を、状態データに含めることができる。別の実施例として、インピーダンスセンサーのインピーダンスまたはコンダクタンスは、状態データに含まれ得る。さらに別の実施例として、温度センサーの温度閾値は、状態データに含めることができる。さらに別の実施例として、絶対圧力または湿度閾値を状態データに含めることができる。こうした状態データは、異なる基板500A間の任意の変動を補償するために使用され得る。
【0088】
較正データを使用して、使用中の創傷または組織の正確な測定値を得ることができる。本明細書に記載されるように、状態データは、患者に使用された基板500の表示を含み得る。こうした表示に応答して、医療提供者に通知を提供することができる。これは、(例えば、洗浄および滅菌されず)基板500Aが異なる患者で併用されないことを確実にすることを容易にすることができる。
【0089】
状態データは、基板500Aの能力に関連するデータを含み得る。例えば、特定の基板は温度センサーのみを含んでもよい。このデータを使用して、データの収集または療法の提供のうちの一つまたは複数を調節することができる。データ収集または療法処方の検証を実施することができる。例えば、創傷インピーダンスの収集が処方の一部であると仮定するが、基板の状態データは、基板がインピーダンスセンサーを含まないことを示す。このような場合、表示(アラームなど)を生成することができる。こうした検証は、本明細書に記載されるスマート使い捨て品のいずれかに対して実施され得る。
【0090】
本明細書に記載されるように、状態データは、基板500Aの寿命に達したという表示を含み得る。状態データは、基板500A(または本明細書に記載の任意の他のスマート使い捨て品)が単一の患者のみに使用されることを確保および強制することを容易にすることができる。例えば、スマート使い捨て品が療法または監視装置(ポンプアセンブリー160または制御モジュールなど)に接続される場合、装置は、そのリアルタイムクロックをスマート使い捨て品のメモリーに格納することができる。スマート使い捨て品のメモリーに格納された任意の将来のパラメーターは、リアルタイムクロックを有するタイムスタンプを含み得る。タイムスタンプにミスマッチがある場合(例えば、リアルタイムクロックが特定の継続時間の経過を示さない)、異なる療法または監視装置(およびおそらくは異なる患者)でスマート使い捨て品を使用する試みがあるという決定を行うことができる。異なる患者へのそのような試みの使用を防止することができる。タイムスタンプは定期的に書き込むことができる。タイムスタンプは、療法または監視装置からのスマート使い捨て品の切断に応答して記述され得る。タイムスタンプを使用して、スマート使い捨て品の寿命に達したと判定することができる。
【0091】
複数の電子部品のうちの一つまたは複数は、制御モジュールによって制御され得る。制御モジュールは、一つまたは複数のセンサーによって取得された一つまたは複数の測定値を受信および処理し得る。外部制御モジュールは、コネクター540を介して複数の電子部品のうちの少なくともいくつかに接続され得る。一部の事例では、コネクター540は、図4Bに示されるように導電性トラック部分の端に位置付けられるか、または図4Aまたは図4Cに示されるように端から離れた位置で導電性トラック部分に取り付けられ得る(例えば、接着剤でトラック部分の上部に取り付けられる)。制御モジュールは、一つまたは複数のコントローラーもしくはマイクロプロセッサー、メモリーなどを含み得る。一部の事例では、一つまたは複数のコントローラーは、基板上に位置付けられ得、コネクター540は、使用されない。一部の事例では、データおよびコマンドは、基板上に位置付けられるトランシーバーによるなど、無線で通信され得、コネクター540は、使用されない。
【0092】
一部の事例では、一つまたは複数のpHセンサー、圧力センサー、灌流センサーなどの、追加的または代替的なセンサーが、基板上に位置付けられてもよい。
【0093】
一部の事例では、基板は、図4Bおよび図4Cに示されるように穿孔され得る。複数の穿孔560が、基板500B内に形成され得、流体が基板を通過することを可能にする。陰圧創傷療法の適用と併せて、穿孔された基板を使用することが有利であり得るが、その間、減圧が、包帯によって覆われた創傷に適用され、創傷から流体(創傷滲出液など)の除去を引き起こす。穿孔560は、図4Bおよび図4Cに示されるように、複数の電子部品および接続の周囲に形成され得る。穿孔560は、スリットまたは孔として形成され得る。一部の事例では、穿孔560は、流体が基板を通過することを可能にしつつ、組織の内成長を防止することを助けるために十分に小さくてもよい。
【0094】
一部の事例では、本明細書に説明される創傷包帯または創傷包帯構成要素のいずれかは、陰圧創傷療法装置も含むキットの一部であり得る。センサー一体型基板、二次包帯、または陰圧創傷療法装置などのキットの一つまたは複数の構成要素は、滅菌され得る。
【0095】
本明細書に開示される実施形態のいずれも、「センサー使用可能創傷監視および療法装置」と題された国際特許公開第WO2017/195038号、「センサー使用可能陰圧創傷療法包帯の構成要素ストレス軽減」と題された国際特許公開第WO2018/189265号、「センサー一体型包帯およびシステム」と題された国際特許公開番号WO2020/157103、「インピーダンス測定用のスキューイングパッド」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/069886号、「センサー使用可能創傷療法包帯およびシステムのためのセンサー位置決めおよび光学感知」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/075815、および「センサー使用可能陰圧創傷療法用包帯の生体適合性カプセル化と構成要素のストレス軽減」と題された国際特許出願第PCT/EP2018/069883(これらのそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる)、に記載される実施形態のいずれかと併用することができる。
【0096】
スマート使い捨て品での創傷清拭
創傷清拭システムを使用して、創傷治癒を促進することができる。Smith&Nephew Versajet Hydrosurgeryシステムなどの創傷清拭システムは、創傷清拭のために高圧水または他の液体を利用することができる。一部の事例では、創傷清拭システムは、創傷清拭および創傷床準備のために高圧生理食塩水水ジェットを使用することができる。図5を参照すると、液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムは、ポンプハンドル806の入口804から延びる二つの生理食塩水チューブ800、802を含むことができる。ポンプはピストンポンプとすることができる。ハンドピース(またはハンドピースまたはハンドセット)812は、ポンプハンドル806の入口814から延在し得る。ハンドピース812は、流体の液体ジェットからの液体圧力で創傷を治療するように構成され得る。例えば、加圧液体ジェット(または流れ)が、ハンドピース812から放出され得る。生理食塩水チューブ800は、生理食塩水バッグ808に接続するスパイク807で終端することができる。生理食塩水チューブ802は、大気に開放されていてもよいし、第二の生理食塩水バッグに接続するスパイクを含んでもよい。図5のシステムでは、システム内にエアロックがある場合、開位置にあるクランプ811により開放チューブ802から空気を排出することができる。図6Aおよび6Bを参照すると、液体ジェット創傷清拭および創傷床準備システムのコンソール950は、例えば電力レベル、処置実行時間、患者外/手術室モード、およびサービスリマインダーの、装置状態情報を表示するためのディスプレイ952(LCDスクリーンなど)を含む。コンソール950は、ポンプ956(ピストンポンプであり得る)を受容するためのインターフェイス954と、ハンドピース(ハンドピース812など)に取り付けられたタグ962を識別することができるリーダー958およびアンテナ960と、を含み得る。識別は、RFIDまたは近距離無線(NFCなど)を使用して実施することができ、その場合、タグ962はRFIDまたはNFCタグとすることができる。本明細書に記載されるように、識別は、赤外線(IrDAなど)、振動などを使用して実施され得る。
【0097】
ハンドピース812は、スマート使い捨て品として構成され、状態データを格納することができる。こうしたハンドピース812は、コンソール950に接続されるときに、システムレベルの起動および停止を容易にすることができる。状態データは、ハンドピース812の液体ジェットの正確な圧力を含み得る。こうした圧力は、使用中により正確な圧力を提供するため、または患者の安全性を確保するために、較正に使用され得る。例えば、状態データが、ハンドピースの圧力がコンソール950と互換性がないことを示す場合、創傷清拭を無効化することができる。これにより、不適切な圧力による液体ジェット創傷清拭の使用を防止することができる。本明細書に記載されるように、状態データは、患者に使用されたハンドピース812の表示を含み得る。こうした表示に応答して、コンソール950は、創傷清拭を無効化し得る。これにより、ハンドピース812が、(例えば、洗浄および滅菌されないで)異なる患者に創傷清拭を提供するために使用されないことを確実にすることを容易にすることができる。本明細書に記載されるように、ハンドピース812の寿命の終了を監視および検出することができる。
【0098】
コンソールは、状態データの一部として、ハンドピースでのシステム障害、適切な処置前の時間を測定することによるプライミング問題、セットアップの期間、処置中の温度、場所、手の振動レベル(ユーザーの関連する安全性であり得る)、処置期間、故障または断続、圧力減衰、ハンドピースのタイプに対する圧力設定の確認、雑音音響値、流れ、排気流、誤用データなどのうちの一つまたは複数を格納することができる。
【0099】
一部の事例では、ハンドピース812が創傷を治療するために使用されるときに、確実に滅菌されることが重要であり得る。ハンドピース812は、滅菌パッケージ内に位置付けられてもよく、従って、包装中に滅菌されたままである。しかしながら、ハンドピース812が包装から取り出されたとき、包装の開封後のある期間(または持続時間)の間、包装の外側の環境(大気など)に曝露された後に滅菌性を失う可能性がある。例えば、ある期間とは、室温で約15分(またはそれ未満もしくはそれを超える)とすることができる。スマート使い捨て品として、ハンドピース812は、ある期間を監視し、滅菌表示の喪失を提供する一つまたは複数の機構を実装することができる。一つのこうした機構は、化学物質ベースのトリガーとすることができる。例えば、ハンドピース812は、空気に曝露されたときに(酸化または湿度に曝露された一つまたは複数の結果として)その状態を変化させる反応性要素または材料を含み得る。一部の事例では、部屋の酸素含有量は典型的に湿度または温度ほど変化しないため、酸化が好ましい。
【0100】
反応性材料は、アルミニウムまたは鉄などの導電性であり得る。反応性材料が空気に曝露されると、酸化される(または湿度に曝露される)結果としてその導電率を失う可能性がある。ある期間の満了に応答して、反応性材料は非導電性になり得る(例えば、導電性鉄は非導電性鉄錆になり得る)。反応性材料は、材料の導電性から非導電性への遷移の結果としてその状態を変化させる(例えば、開回路になる)電子回路の一部とすることができる。一部の事例では、酸化(または湿度)は、導電性経路の機械的破壊を引き起こすことができる。例えば、導電性ワイヤ、膜、またはこれに類するものが、破損し得る。電子回路の状態のこうした変化は、コンソール950によって検出され得る。結果として、非滅菌ハンドピース812の接続(開回路など)は、コンソールによって検出され得、治療は無効化され得、任意の表示がユーザーに提供され得る。
【0101】
いくつかの実装では、別のこうした機構は、酵素ベースのトリガーであり得る。例えば、電子回路は、環境に曝露されるのに応答して一つまたは複数の特性(透明度、色など)を変化させる材料で被覆(またはそうでなければ結合)された一つまたは複数のフォトダイオードを含み得る。材料は、環境に曝露されるときに硬化された結果として、一つまたは複数の特性を変化させることができる。例えば、材料はシリコーンであり得る。ある期間の満了(前段落に記載されるある期間と同じであっても異なっていてもよい)に応答して、材料は、フォトダイオードに電子回路の状態の変化につながる光を検出(または検出を停止)させる一つまたは複数の特性を変更することができる。材料は、一つまたは複数のダイオードの色または偏光フィルターとすることができる。結果として、非滅菌ハンドピース812の接続(開回路または閉回路など)は、コンソールによって検出され得、治療は無効化され得、任意の表示がユーザーに提供され得る。
【0102】
滅菌の喪失の検出は、ハンドピース812に関連して説明されるが、本明細書に開示されるアプローチは、任意のセンサー統合型基板(500Aまたは500Bなど)、キャニスター、または本明細書に記載される他のスマート使い捨て品に適用され得る。
【0103】
スマート使い捨て品の構造
図7は、スマート使い捨て品1000の概略図を示す。スマート使い捨て品1000は、処理回路1002(一つまたは複数のコントローラーなど)、有線または無線通信用のトランシーバー1004、一つまたは複数のメモリー1006、および電源1008を含み得る。メモリー1006は、EPROMまたはフラッシュメモリーなどの不揮発性または持続性メモリーであり得る。状態データは、メモリー1006に格納され得る。トランシーバーは、NFC、RFID、Bluetooth、WiFi、またはこれに類するものを使用した無線通信を容易にすることができる。トランシーバー1004と外部コンピューティング装置(本明細書に記載の任意のこうした装置を含む医療または診断装置など)との間の通信は、双方向であり得る。制御回路1002は、メモリー1006およびトランシーバー1004に接続され、メモリー1006にデータを格納し、トランシーバー1004に状態データを外部コンピューティング装置に提供するように構成され得る。外部コンピューティング装置は、創傷療法もしくは治療装置、または別のコンピューティング装置(電話、タブレット、PCなど)であり得る。
【0104】
電源1008は、制御回路1002、トランシーバー1004、およびメモリー1006に電力を供給するように構成される。電源1008は、一つまたは複数のコンデンサーまたはバッテリー(コインセルバッテリーなど)を含み得る。電源1008は、スマート使い捨て品との通信が短く、かつまれであるため、大容量電源が必要とされ得ないため、小さくてもよい。一部の事例では、スマート使い捨て品1000は、外部電源によって電力供給されてもよく、電源1008は省略され得る。例えば、外部電力は、NFCまたはRFIDを介して提供され得る(スマート使い捨て品1000が受動的タグである場合など)。
【0105】
スマート使い捨て品1000は、ハウジングを含み得る。例えば、キャニスター(キャニスター162など)の場合、ハウジングは、創傷から吸引された流体を貯蔵することができる。処理回路1002、トランシーバー1004、一つまたは複数のメモリー1006、または電源1008のうちの一つまたは複数は、ハウジングによって部分的または完全に囲まれてもよく、またはハウジング内に位置付けられてもよい。
【0106】
外部コンピューティング装置は、状態データを格納、修正、および取得することができる。本明細書に記載されるように、状態データは、スマート使い捨て品1000をリサイクルする方法に関する指示、分解指示、使用説明書、スマート使い捨て品の過去の使用の表示、規制情報、または法的情報を含み得るが、これらに限定されない。指示をリサイクルすることが、廃棄物の低減を容易にすることができる。例えば、リサイクル指示は、スマート使い捨て品1000が寿命に達したという決定に応答して、自動的に(または要求に応じて)提供され得る。コンピューティング装置への情報の転送は、任意の従来のラベル(テキストラベル、バーコードラベル、QRコードラベルなど)を補完または置き換えることができる。これは、従来のラベルが損傷または破壊され得るため、有利である。外部コンピューティング装置は、状態データの少なくとも一部をユーザーに通信することができる。例えば、指示を表示することができる。
【0107】
スマート使い捨て品1000は、状態データを一つまたは複数のメモリー1006に書き込むことを容易にすることができる。状態データは、外部コンピューティング装置によって通信され(無線または有線通信プロトコルを介してなど)、一つまたは複数のメモリーに格納され得る。
【0108】
一例として、製造中、データは一つまたは複数のメモリー1006に書き込むことができる。キャニスターについては、例えば、データは、キャニスターの製造日およびロットコードのうちの一つまたは複数を表すコード化された値を含み得る。装置識別データ(シリアル番号など)をデータに含めることができる。製造データは、書き込まれた後に永久的な書き込みロックで設定することができる。陰圧創傷療法装置に取り付けられたとき、こうした製造データは、現在の日付から読み取られ、かつ現在の日付と比較され得る。キャニスターが指示された貯蔵寿命を過ぎていないことを確実にするために、チェックを実施することができる。キャニスターの貯蔵寿命を超えた場合、陰圧創傷療法装置は、ユーザーに期限切れのキャニスターを警告すること、または期限切れのキャニスターで操作することを拒否することのうちの一つまたは複数を含み得る、表示を生成し得る。製造データ(または本明細書に記載される任意の他のデータ)は、陰圧創傷療法装置によってだけでなく、通信プロトコルを実装する別の外部コンピューティング装置によって読み取られてもよい。
【0109】
一部の事例では、スマート使い捨て品1000の識別は、一つまたは複数のメモリー1006に格納されたデータに加えて、またはその代わりに、静電容量のインピーダンス(抵抗器またはコンデンサーなど)として表され得る。
【0110】
キャニスターの実施例を続けると、療法の提供中に、陰圧創傷療法装置は、療法性能を示すデータを(例えば、符号化された値の形式で)書き込むことができる。こうしたデータは、陰圧設定点、他の療法設定、アラーム、またはアラート、使用中の流体流量(例えば、一時間などの、継続時間にわたる流量を示すことができる)、使用中の漏れ速度(例えば、一時間などの、継続時間にわたる漏れ速度を示すことができる)、自己試験結果(最後の一つ、最後の二つ、または最後の三つなどの最後の自己試験のサブセットを含むことができる)、動きデータなどのうちの一つまたは複数を含み得る。アラームまたはアラートの一つまたは複数のパラメーターは、キャニスター満杯検出、漏れ検出、またはこれに類するものの一つまたは複数のパラメーターなど、一つまたは複数のメモリー1006に格納され得る。これにより、異なるサイズ、体積、またはこれに類するもののキャニスターを用いた治療のシームレスな提供を容易にすることができる。自己試験結果には、漏れ速度、流量、流量に対する電力要件などが含まれ得る。動きデータは、加速閾値(落下または別の衝撃を示し得る)に対する任意の突然の加速の検出、反転、振動など、スマート使い捨て品または装置に関連するデータを含み得る。ハンドピース(ハンドピース812など)について、書き込まれたデータは、モーター電流、速度データ、圧力データなどを含み得る。スマート使い捨て品に書き込まれたデータは、誤用、療法または治療失敗などの決定を容易にすることができる。
【0111】
また、陰圧創傷療法装置は、キャニスターが満杯であったか、または満杯になる前に取り外されたかを示すデータを書き込むことができる。こうしたデータは、療法を継続するためにキャニスターを陰圧創傷療法装置と再接続することが許容されるかどうかを決定するために重要であり得るため、書き込みロックで書き込むことができる。例えば、療法を継続するためにキャニスターを再接続することが、満杯であると検出されたキャニスターでは許容され得ない。
【0112】
さらに、キャニスターが満杯であることを示すデータは、キャニスターが特定の期間の適切なパーセンテージの間満杯になったことを検出することに応答して記述され得る。これにより、偽陽性を防止することができる。こうしたデータは、書き込みロックで書き込むことができる。
【0113】
さらに、陰圧創傷療法装置は、療法の開始に応答して、滅菌の喪失(生物学的危険など)を示すデータを書き込むことができる。このデータは、異なる患者用の非滅菌キャニスターの使用を防止するために使用され得る。
【0114】
さらに、陰圧創傷療法装置は、一つまたは複数のメモリー1006の書き込みロック領域を識別することができる。例えば、装置は、ランダムコードを一つまたは複数のメモリーエリア(または一部の事例では、各メモリーエリア)に書き込んで、値をリードバックしようとし得る。これは、キャニスターが装置に接続されることに応答して実施され得る。
【0115】
一部の実施では、スマート使い捨て品1000は、無線通信のために一つまたは複数のアンテナを利用することができる。冗長性を達成するために、単一のアンテナ(トランシーバー1004からなど)または複数のアンテナ(および複数のトランシーバー1004)への複数の導電経路が存在し得る。複数のアンテナは、異なる周波数(または周波数帯)を利用して、干渉を回避または最小化することができる。例えば、本明細書に記載されるように、NFCプロトコルを無線通信に使用することができる。伝送は、13.56MHzの周波数およびEPC Gen2プロトコル周波数865~868MHz(または902~928MHz)で達成され得る。こうしたスマート使い捨て品1000との通信は、複数のリーダー(各々が特定の周波数または周波数帯をサポートする)、複数の周波数リーダー、または複数の通信回路を有する単一のリーダー(回転、振動などできる)を使用して達成することができる。
【0116】
一部の事例では、スマート使い捨て品1000は、スマート使い捨て品1000が使用される医療または診断装置上のファームウェアまたはソフトウェアを更新するために利用され得る。例えば、ファームウェアまたはソフトウェアパッチ(またはコード)は、スマート使い捨て品1000の一つまたは複数のメモリー1006に格納され得る。これは、製造中に実施され得る。現場では、装置がスマート使い捨て品1000に接続すると、装置はパッチを取得およびインストールできる。装置は、使い捨て品1000で動作するために必要な装置のファームウェア(またはソフトウェア)バージョンを示す一つまたは複数のメモリー1006に格納された情報を読み取るのに応答して、パッチを取得およびインストールすることができる。装置上で実行されるファームウェア(またはソフトウェア)の現在のバージョンが、必要なファームウェア(またはソフトウェア)バージョンを示す情報と一致しない場合、装置は、パッチを取得およびインストールする。別の実施例として、装置は、装置のファームウェア(またはソフトウェア)バージョンがスマート使い捨て品のファームウェア(またはソフトウェア)バージョンまたはスマート使い捨て品のバージョンよりも早い(例えば、低い)という判定に応答して、パッチを取得およびインストールする。パッチは、スマート使い捨て品1000または装置(陰圧設定点、アラート、最後の自己試験値など)のファームウェア(またはソフトウェア)アップグレードまたは較正データに関連するデータのうちの一つまたは複数を含み得る。有利なことに、装置のファームウェア(またはソフトウェア)更新は、インターネットまたは別のネットワークへの接続をサポートしない装置が遠隔更新を完了しても効率的に実施され得る。装置のローカル更新を実施する必要性、または更新のために装置を輸送する必要性を回避することができる。
【0117】
スマート使い捨て品1000の一つまたは複数のメモリー1006に格納されたデータは、装置(ディスプレイ172など)の一つまたは複数のユーザーインターフェイスを介して表示(または別様にユーザーに通信)され得る。例えば、ファームウェア(またはソフトウェア)パッチをインストールする必要性に関連するメッセージを表示することができる。表示されたデータには、新製品またはその他のマーケティング情報に関する情報を含めることができる。
【0118】
患者データを含むことができる、一つまたは複数のメモリー1006に格納されたデータは、暗号化することができる。キャニスターについて、患者データは、キャニスター満杯表示(患者が健康ではないことを示すことができる)、キャニスターを交換するための時間期間、アラームまでの時間、システムの構成(Y接続を使用した複数の創傷への療法の提供など)、キャニスター内に貯蔵された滲出液のパラメーターなどを含み得る。ハンドピース(ハンドピース812など)については、こうした患者データは、圧力、治療時間などを含み得る。イベントログは、一つまたは複数のメモリー1006に格納することができる。暗号化されたデータを復号化するために、キーが必要とされ得る。格納されたデータを使用して、コンプライアンス、治療後の市場監視などを決定することができる。
【0119】
スマート使い捨て品は、コンピューティング装置(療法または監視装置であり得る)によってアクセスされ得る状態データを格納し得る。結果として、スマート使い捨て品のライフサイクル全体(製造から廃棄まで)を効果的かつ効率的に管理することができる。患者の安全性および医療処置の完全性を改善することができる。苦情(規制上の苦情を含む)は効率的に解決することができ、治療または監視の処方書の遵守が改善され得る。
【0120】
他の変形例
スマート使い捨て品の特定の実施例の任意の一つまたは複数の特徴を、スマート使い捨て品の他の実施例のいずれかとともに使用することができる。
【0121】
いくつかの実施形態は、陰圧創傷療法を記載するが、本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、スタンドアローンで、またはTNP療法に加えて、使用可能な他のタイプの療法に適用され得る。本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、任意の医療機器、特に任意の創傷治療または創傷ケア装置に拡張され得る。例えば、本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、超音波療法、酸素療法、神経刺激、マイクロ波療法、活性剤、抗生物質、抗微生物剤、創傷清拭またはこれに類するもののうちの一つまたは複数を提供する装置とともに使用され得る。こうした装置は、さらにTNP療法を提供することができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、医療機器に限定されず、任意の電子装置によって利用され得る。
【0122】
本明細書に記載されるデータの任意の送信は、安全に実施され得る。例えば、暗号化、httpsプロトコル、安全なVPN接続、エラーチェック、送達の確認、またはこれに類するもののうちの一つまたは複数を利用することができる。
【0123】
本明細書に提供される閾値、限界値、期間などのいかなる値も、絶対的な値であることを意図するものではなく、従って、およその値であり得る。加えて、本明細書で提供される任意の閾値、制限、期間などは、自動的にまたはユーザーによって、固定されるかまたは変えられ得る。さらに、本明細書で使用される場合、基準値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、基準値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の基準値を超えることは、基準値以上であることを包含することができる。加えて、本明細書で使用される場合、基準値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、基準値に関連した、下回る、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。
【0124】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示される特徴の全て、および/またはそのように開示される任意の方法もしくはプロセスのステップ全ては、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0125】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、さまざまな省略、置換、および変更がなされ得る。いくつかの実施形態では、図示および/または開示されたプロセスにおいて実施される実際の工程は、図に示された工程とは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちのある特定の工程が除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップおよび/またはステップの順序は、図で示したものとは異なり得る。実施形態によっては、上述した工程のうちのある特定の工程が除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図に示されるか、または本明細書に開示されるさまざまな構成要素が、プロセッサー、コントローラー、ASIC、FPGA、および/または専用ハードウェア上の、ソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装され得る。ソフトウェアまたはファームウェアは、非一時的コンピューター可読メモリーに格納される指示を含み得る。指示は、プロセッサー、コントローラー、ASIC、FPGA、または専用ハードウェアによって実行することができる。コントローラー、プロセッサー、ASIC、FPGAおよび類似のものなど、ハードウェアコンポーネントは論理回路を含むことができる。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、その全ては本開示の範囲内に収まる。
【0126】
本明細書で図示され、説明されるユーザーインターフェイス画面には、追加の構成要素および/または代替の構成要素が含まれ得る。これらの構成要素には、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダー、チェックボックス、コンボボックス、状態バー、ダイアローグボックス、ウィンドウなどが含まれ得る。ユーザーインターフェイス画面には、追加の情報、および/または代替の情報が含まれ得る。構成要素は、任意の好適な順番に配置され、グループ化され、標示され得る。
【0127】
「し得る(can)」、「し得る(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、および/または状態を含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。従って、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、および/もしくは状態が一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは状態が特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、作者入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「含む」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、いくつか、または全てを意味することになる。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用される一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0128】
特に明記されない限り、「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」という語句などの結合言語は、項目、用語などが、X、Y、またはZ、またはそれらの組み合わせのいずれかであり得ることを一般的に伝達するために使用される文脈で理解されるべきである。従って、こうした結合言語は、特定の実施形態がXのうちの少なくとも一つ、Yのうちの少なくとも一つ、およびZのうちの少なくとも一つが各々存在する必要があることを暗示することを一般的に意図するものではない。
【0129】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の実施例として、特定の実施形態では、「一般に平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度、5度、3度、1度、または0.1度逸脱する値、量、または特性を指す。
【0130】
別段の明示的な記載がない限り、「a」または「an」などの記事は、一般的に、一つまたは複数の記載項目を含むと解釈されるべきである。従って、「ように構成される装置」などの語句は、一つまたは複数の列挙された装置を含むことが意図される。こうした一つまたは複数の列挙された装置はまた、述べられた列挙を行うように集合的に構成され得る。
【0131】
本開示には、一定の実施形態、例、および適用例が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態および/または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるはずである。従って、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】