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特表2024-514655中空繊維膜をバンドリングするためのデバイス及び方法
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  • 特表-中空繊維膜をバンドリングするためのデバイス及び方法 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】中空繊維膜をバンドリングするためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20240326BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61M1/18 500
B01D63/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563225
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022060603
(87)【国際公開番号】W WO2022223721
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021110264.2
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ガスタウアー パウル
(72)【発明者】
【氏名】クーゲルマン フランツ
(72)【発明者】
【氏名】パウル ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ルフィング アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ファイト トビアス
【テーマコード(参考)】
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077CC06
4C077LL05
4D006HA01
4D006JA25C
4D006JB02
(57)【要約】
本発明は、中空繊維膜で構成される中空繊維膜バンドルを生成するためのデバイス及び方法に関連し、特許請求するデバイスでは、中空繊維膜の束が、下側半管状シェルに受け入れられ、相補的な上側半管状シェルによって互いにバンドリングされて中空繊維バンドルを形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空繊維膜をバンドリングするための装置(100)であって、
2つの側縁(103a,103b)と中空繊維膜のアレイを受け入れるための凹状湾曲面(105)を備える内側(104)とを有する下側チューブ半分シェル(102)を備える下側部品(101)と、
前記下側チューブ半分シェル(101)と相補的であり、かつ2つの側縁(122a,122b)と凹状湾曲面(124)を備える内側(123)とを有する上側チューブ半分シェル(121)を備える上側部品(120)と、
を備え、
下側部品(101)及び/又は上側部品(120)が、装置(100)内で互いに対して可動に配置され、装置(100)が、該下側部品(101)及び該上側部品(120)が第1の位置に位置決めされ、前記下側チューブ半分シェル(102)が該第1の位置で中空繊維膜のアレイを受け入れることができるように構成され、
前記下側部品(101)及び上側部品(120)は、前記下側チューブ半分シェル(101)及び前記上側チューブ半分シェル(121)がキャビティ(130)を取り囲み、該キャビティ(130)に存在する中空繊維膜のアレイをバンドリングすることができる第2の位置に位置決めされる、
ことを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記下側チューブ半分シェル(102)の前記凹状湾曲面(105)は、実質的に円筒形状のセグメントを描き、
前記上側チューブ半分シェル(121)の前記凹状湾曲面(124)は、実質的に円筒形状のセグメントを描き、そのために
前記下側及び前記上側チューブ半分シェル(102,121)の前記凹状湾曲面(105,124)は、前記下側部品(101)及び前記上側部品(120)の第2の位置で実質的に円筒形のキャビティ(130)を取り囲む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下側チューブ半分シェル(102)は、該下側チューブ半分シェル(102)の前記側縁(103a,103b)の領域で前記上側チューブ半分シェル(121)に対して過大サイズであり、又は
前記上側チューブ半分シェル(121)は、該上側チューブ半分シェル(121)の前記側縁(122a,122b)の領域で前記下側チューブ半分シェル(102)に対して過大サイズであり、
前記装置が、
下側部品(101)及び上側部品(120)の前記第2の位置で、前記上側チューブ半分シェル(121)が、前記下側チューブ半分シェル(102)と係合する、
ように構成され、又は
前記下側部品(101)及び前記上側部品(102)の前記第2の位置では、前記下側チューブ半分シェル(102)は、前記上側チューブ半分シェル(121)と係合する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記上側チューブ半分シェル(121)及び/又は前記下側チューブ半分シェル(102)の前記側縁(122a,122b,103a,103b)は、面取りされることを特徴とする請求項1から請求項3の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項5】
前記下側及び/又は前記上側チューブ半分シェル(102,121)の前記凹状湾曲面(105,124)は、複数の穿孔(108)を備え、前記装置が、前記穿孔を通して前記下側及び/又は前記上側チューブ半分シェル(102,121)の前記内側(104)の上に空気を流すように構成されることを特徴とする請求項1から請求項4の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項6】
前記下側及び/又は上側チューブ半分シェル(102,121)内の前記穿孔の少なくとも一部、好ましくは全ての穿孔(108)が、好ましい方向に位置合わせされ、特に、前記円筒形キャビティの中心軸線に対する10°から80°、又は20°から70°、又は30°から60°の一致する角度で当接することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記下側及び/又は上側チューブ半分シェル(102,121)の前記凹状湾曲面(105,124)にコーティングが設けられることを特徴とする請求項1から請求項6の少なくとも1項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記上側部品(101)及び前記下側部品(120)の前記第2の位置で前記中空繊維膜バンドルを予め決められた寸法の長さに切断するための少なくとも1つの可動切断デバイスを備えることを特徴とする請求項1から請求項7の少なくとも1項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記装置(100)が、前記下側部品(101)に対して及び/又は前記上側部品(120)に対して前記装置(100)に可動に配置されたハウジングチューブ(170)のための受け入れ区域(160)を備え、前記装置が、更に、上側部品及び下側部品の前記第2の位置で、ハウジングチューブ(170)を前記受け入れ区域(160)の位置を通じて表側で前記下側(102)及び上側チューブ半分シェル(121)に隣接して配置することができるように構成されることを特徴とする請求項1から請求項8の少なくとも1項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記装置が、前記中空繊維膜バンドルを前記上側(121)及び下側チューブ半分シェル(102)によって形成された前記キャビティからエンド・ツー・エンドで配置されたハウジングチューブ(170)の中に挿入するための手段(150)を備えることを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
請求項1から請求項10の少なくとも1項に記載の装置(100)と、下側及び上側チューブ半分シェル(102,121)から該装置内に形成されたキャビティ(130)に配置された中空繊維膜バンドルとを備える配置であって、
前記中空繊維バンドル又は前記装置のいずれも、エンベロープフィルムを備えない、
ことを特徴とする配置。
【請求項12】
ハウジングチューブ(170)を更に備える請求項11に記載の配置であって、
前記キャビティ(130)に位置付けられた前記中空繊維バンドルの直径が、該ハウジングチューブ(170)の直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%小さい、
ことを特徴とする配置。
【請求項13】
前記1つのハウジングチューブが、その端部側で前記下側(102)及び上側チューブ半分シェル(121)に隣接して配置され、テーパ付き中間部分を有する請求項12に記載の配置であって、
前記キャビティ(130)に位置付けられた前記中空繊維バンドルの前記直径は、前記下側(102)及び上側チューブ半分シェル(121)にその端部側で隣接して配置された前記ハウジングチューブ(170)の端部の直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%小さい、
ことを特徴とする配置。
【請求項14】
中空繊維膜をバンドリングする方法であって、
請求項1から請求項10の少なくとも1項に記載の装置を与える段階と、
前記中空繊維膜のアレイを前記装置の前記上側部品(120)及び前記下側部品(101)の前記第1の位置で前記下側チューブ半分シェル(102)に置く段階と、
前記下側及び上側チューブ半分シェル(102,121)によって形成されたキャビティ(130)内で前記中空繊維膜のアレイが中空繊維膜バンドルにバンドリングされるように前記上側(120)及び下側(101)部品を前記第2の位置まで相対的に移動する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記中空繊維膜バンドルは、切断デバイスを用いて前記上側部品及び前記下側部品(101,120)の前記第2の位置で予め決められた長さ寸法まで伸ばされ、
特に、前記切断デバイスは、ある長さに切断中に前記中空繊維膜の前記端部を溶融して該中空繊維膜の管腔を閉じる高温切断ツールである、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
チューブ(170)が、下側及び上側チューブ半分シェル(102,121)によって形成された前記キャビティ(130)に隣接して位置決めされ、前記中空繊維膜バンドルは、該隣接チューブ(170)の中に押し込まれることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記下側及び/又は前記上側チューブ半分シェル(102,121)の前記内側(104,123)は、前記複数の穿孔を通して空気が流されることを特徴とする請求項14から請求項16の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項18】
前記中空繊維膜のアレイは、エンベロープフィルムに包まれないことを特徴とする請求項14から請求項17の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項19】
中空繊維膜フィルタの製造での請求項1から請求項10の少なくとも1項に記載の装置又は請求項11に記載の配置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空繊維膜をバンドリングするための装置及び配置とこの装置を使用して中空繊維膜をバンドリングする方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
中空繊維膜フィルタは、液体の浄化に使用される。特に、中空繊維膜フィルタは、水の浄化及び除染のための医療技術に及び体外血液処置での腎臓障害患者の治療に透析装置又は血液フィルタとして使用される。中空繊維膜フィルタは、一般的に、円筒形ハウジングと、ハウジング内の端部でキャスティングゾーン内のキャスティング化合物と共にキャスティングされ、かつハウジングに密封的に接続されたそこに配置された複数の中空繊維膜とで構成される。そのような中空繊維膜フィルタは、多くの場合に、それらが、2つの液体の向流過程で作動され、従って、特に効率的な質量移送が中空繊維膜の膜壁を通じて起こることができ、かつ液体のうちの一方の望ましい浄化が起こるように設計されることは公知である。この目的のために、中空繊維膜フィルタは、中空繊維膜の管腔が、第1の液体がそれを通って流れる第1の流れ空間を形成し、中空繊維膜フィルタのハウジング内の中空繊維膜間の隙間が、第2の液体がそれを通って流れることができる第2の流れ空間を形成するように設計される。入口又は出口チャンバが、中空繊維膜フィルタの末端部に設けられ、入口又は出口チャンバは、第1及び第2の流体が中空繊維膜フィルタのそれぞれの流れ空間に流入及び流出することを可能にする流体入口を含む。
【0003】
そのような中空繊維膜フィルタの製造には、最初に中空繊維膜の製造が先行する。中空繊維膜は、紡糸工程で製造される。主として使用される工程では、溶媒を有するポリマー溶液とそこに溶解されたポリマー、例えば、ポリスルホン及びポリビニルピロリドンとで構成された紡糸塊が与えられる。紡糸塊は、環状間隙ダイを通して押し出され、紡糸フィラメントを形成し、これは、析出浴に導入されて析出され、中空繊維膜を形成する。得られる中空繊維膜は、更に水洗浴及び乾燥ゾーンに通され、かつリール上に集められて中空繊維膜のアレイを形成する。中空繊維膜フィルタの製造に関して、コイルに巻かれた中空繊維膜のリールは、バンドリングされて予め決められた長さに切断される。典型的には、バンドルは、中空繊維膜のアレイの周りに置かれたエンベロープフィルムを使用して作られる。中空繊維膜は、それにより、フィルムのエンベロープ内で圧縮され、すなわち、更に別の製造工程で中空繊維膜バンドルとして使用することができる。エンベロープフィルムは、ポリエチレン又はPTFEフィルムのようなポリマーフィルム、又は低摩擦被覆フィルム、特に、PTFE又はポリオレフィン被覆特殊フィルムである。このカバーフィルムは、折り畳み技術及び/又は溶接工程によって中空繊維膜の周りに置かれて固定される。この工程では、中空繊維膜バンドルは、自動的に円筒形状を取る。
【0004】
更に別の段階では、フィルムに包まれた中空繊維膜バンドルは、中空繊維膜フィルタの円筒形ハウジングの中に挿入される。エンベロープ箔は、次に、再度ハウジングから引き出され、一方で同時に中空繊維膜は、エンベロープ箔の引張に対する適切なツールによって定位置に保持され、中空繊維膜フィルタのハウジング内に留まる。通常は、エンベロープ箔に包まれた中空繊維膜バンドルの外径は、円筒形ハウジングの内径よりも小さい。中空繊維膜バンドルが包装箔によって圧縮されることが特に重要である。中空繊維膜バンドルは、このように補剛され、すなわち、円筒形ハウジングの中に挿入することができる。エンベロープ箔が円筒形ハウジングから引き出されるので、中空繊維膜バンドルは、円筒形ハウジングの内径に適合する。
【0005】
中空繊維膜の端部が溶融によって又は予備キャスティングを適用することによって閉じられる更に別の段階が製造工程中に続く。中空繊維膜は、次に、その端部領域で円筒形ハウジング内にキャスティングされ、かつハウジング内に固定される。埋め込み物が硬化された後に、中空繊維膜の管腔は、端部で埋め込み化合物を通して切断することによって再度露出される。更に別の段階では、流体接続部を有する末端キャップが、第1及び第2の流れチャンバと入口又は出口チャンバとが形成されるように円筒形ハウジング上に置かれる。その後に、このようにして生成された中空繊維膜フィルタは滅菌され、更に別の工程段階、例えば、漏出検査を受ける。
【0006】
DE 20 2017 104 293 U1は、取りわけ、中空繊維膜バンドルを中空繊維透析装置のハウジングの中に挿入するための装置と、中空繊維膜の端部を密封するための装置とを備える中空繊維膜フィルタを製造するための装置を説明しており、中空繊維膜バンドルをハウジングの中に挿入するための装置は、把持器と圧力機構を備え、中空繊維膜の端部を密封するための装置は、電磁波のソースを備える。
【0007】
EP 3 600 630 B1は、磁気的密封可能エンベロープフィルムを使用する中空繊維膜バンドルの生成を説明している。
【0008】
WO 2018/178124 A1は、中空繊維膜バンドルを生成するための巻き取りホイールを説明している。巻き取りホイールは、複数の装置を有し、各々は、エンベロープフィルムと複数の中空繊維膜とを受け入れるための半円筒形トラフを有する下側部品と、下側部品に取り付けられてヒンジによって可動に支持されたフラップとを有し、フラップは、半円筒形トラフに向う方向に円筒セグメント形状を有する。中空繊維膜は、フラップを閉じることによってカバーフィルムに包まれ、それぞれの装置の間で切断されて、それぞれの長さに切断された中空繊維膜バンドルを形成する。
【0009】
中空繊維膜をバンドリングするための従来技術に説明された方法の欠点は、エンベロープフィルムの使用である。自動化された製造工程では、エンベロープフィルムの使用は、機械側で精巧な機器の使用を必要とし、又はある一定の工程段階が手動で実行されることを要求する。更に、大規模な工程での特殊な被覆エンベロープフィルムの使用は、有意な原価要素も表すものである。これに加えて、エンベロープフィルムの使用は、中空繊維膜をフィルムに包む段階又はエンベロープフィルムを密封する段階のような個々の工程段階の具備を必要とし、これは、工程技術の観点で中空繊維膜フィルタをバンドリングして製造する工程を複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】DE 20 2017 104 293 U1
【特許文献2】EP 3 600 630 B1
【特許文献3】WO 2018/178124 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底にある課題は、従って、中空繊維膜の最適化されたバンドリングによって工程技術及びコスト低減の観点から中空繊維膜フィルタの製造を更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、この課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。請求項2から11の特徴は、好ましい実施形態を説明するものである。
【0013】
第2の態様では、この課題は、請求項12の特徴を有する配置によって解決される。請求項13及び14の特徴は、好ましい実施形態を説明するものである。
【0014】
第3の態様では、この課題は、第1の態様の特徴を有する装置を使用する請求項15の特徴を有する方法によって解決される。請求項16から19の特徴は、好ましい実施形態を説明するものである。
【0015】
第4の態様では、所与の課題は、中空繊維膜フィルタの製造での請求項1から11の特徴による装置又は請求項12から14の特徴による配置の使用によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の態様では、本発明は、2つの側縁と中空繊維膜のアレイを受け入れるための凹状湾曲面を備える内側とを有する下側チューブ半分シェルを備える下側部品と、下側チューブ半分シェルと相補的であり、2つの側縁と凹状湾曲面を備える内側とを有する上側チューブ半分シェルを備える上側部品とを備える中空繊維膜をバンドリングするための装置に関するものであり、下側部品及び上側部品のうちの少なくとも一方は、装置内で互いに対して可動に配置され、装置は、下側部品及び上側部品が第1の位置に位置決めされ、それにより第1の位置で下側チューブ半分シェルが中空繊維膜のアレイを受け入れることができ、そして下側部品及び上側部品が、下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルがキャビティを取り囲み、キャビティに存在する中空繊維膜のアレイを一緒にバンドリングすることができるような第2の位置に位置決めされるように構成される、
【0017】
装置は、下側部品及び上側部品の第2の位置で中空繊維膜のアレイが下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティを通してバンドリングされ、中空繊維膜のアレイとして更に別の工程段階に給送することができるという利点を有する。特に、中空繊維膜バンドルを発生させるのに必要な圧縮が下側及び上側チューブ半分シェルを通して既に生じているのでカバーフィルムの使用を省略することができる。従って、中空繊維膜フィルタの製造では、他に中空繊維膜バンドルの周囲にエンベロープフィルムを巻き付けて密封するために設けなければならなかったであろうと考えられる機械側の機器が不要になる。
【0018】
この関連では、用語「下側部品及び上側部品」は、本発明による装置の機能での相互作用する2つの構成要素を表している。好ましい実施形態では、下側部品と上側部品は、下側部品が地球の重心により近くなるように配置することができる。しかし、これに代えて、下側部品及び上側部品は、例えば、下側部品と上側部品が等しく地球の重心に近いように又は下側部品が上側部品よりも地球の重心から遠くなるように装置内で互いに対して異なる位置にある場合がある。
【0019】
本出願の関連では、用語「チューブ半分シェル」は、チューブの長手方向切断によって形成されたチューブセグメントを描く半分シェルを指す。チューブ半分シェルは、長手方向を横断する断面では円形セグメントに近似する輪郭を有することができる。チューブ半分シェルの「半分」という用語は、チューブ半分シェルがチューブの厳密に半分のセグメント形状を有することを必ずしも意味しない。特に、下側チューブ半分シェルは、チューブの半分超を表すチューブセグメントとすることができ、又は上側チューブ半分シェルは、チューブの半分超を表すチューブセグメントとすることができる。チューブ半分シェルは、凹状湾曲面を有する。本出願の関連では、「凹面」という用語は、その面上の任意的に選択可能な点間の直線がチューブ半分シェルの外側に完全に延びる面を意味すると理解されるものとする。特に、下側チューブ半分シェルと上側チューブ半分シェルは、互いに相補的に生成される。ここでの「相補的」は、下側部品及び上側部品が第2の位置にある場合に下側チューブ半分シェルと上側チューブ半分シェルがチューブキャビティを形成し、このチューブキャビティが中空繊維膜のアレイを集めてそれらを圧縮された状態に置く役割を果たすことを意味する。ここでの「圧縮された」という用語は、中空繊維膜のアレイが力の印加によって圧縮されてある空間寸法にバンドリングされ、こうして生成されたバンドルが復元力を発現することを意味する。
【0020】
第1の位置では、上側部品と下側部品は互いに離隔しており、すなわち、チューブ半分シェルの内側はアクセス可能であり、例えば、中空繊維膜のアレイを下側チューブ半分シェルに挿入することができる。本明細書に説明する装置は、例えば、中空繊維膜が巻かれたリールの一部とすることができ、この場合に、巻き取り工程で中空繊維膜のアレイを下側チューブ半分シェルに挿入する。これに代えて、中空繊維膜のアレイは、中空繊維膜の1又は2以上のストランドの形態で本明細書に記載の装置に挿入することができる。本明細書に使用する「ストランド」という用語は、互いに一様な好ましい方向に向けた複数の中空繊維膜を指す。この関連での「中空繊維膜のアレイ」という用語は、例えば、1又は2以上のコイル状ストランドから構成される複数の中空繊維膜を指す。特に、「アレイ」という用語は、バンドルに組み合わされる中空繊維膜の数も指す。
【0021】
第2の位置では、下側部品と上側部品を相対的に位置決めして下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルがキャビティを取り囲むようにする。特に、第2の位置では、下側部品と上側部品は互いに係合することができる。この関連での「係合した」という用語は、下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルがキャビティを取り囲むように下側部品と上側部品が互いに隣接していることを意味する。一実施形態では、この係合は、上側部品が能動的に接続する上側部品のための受け入れ区域を下側部品が有することによって達成することができる。装置内で下側部品と上側部品が互いに対して相対的に移動することにより、上側部品が下側部品の受け入れ区域に挿入され、キャビティが下部チューブ半分シェル及び上部チューブ半分シェルで取り囲まれる。代替実施形態では、この係合は、下側部品が能動的に接続する下側部品のための受け入れ区域を上側部品が有することによっても達成することができる。装置内で下側部品と上側部品を互いに対して相対的に移動することにより、下側部品が上側部品の受け入れ区域に挿入され、キャビティが下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルで取り囲まれる。
【0022】
一実施形態では、装置は、下側チューブ半分シェルの凹状湾曲面が実質的に円筒形状のセグメントを表し、上側チューブ半分シェルの凹状湾曲面が実質的に円筒形状のセグメントを表し、それにより下側及び上側チューブ半分シェルの凹状湾曲面が下側部品及び上側部品の第2の位置で実質的に円筒形のキャビティを取り囲むことを特徴とする
【0023】
下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルによって形成された円筒形キャビティを通じて、キャビティ内に封入された中空繊維膜バンドルは、円筒形状を取り、すなわち、円筒形ハウジングを有する中空繊維膜フィルタを構築するために有利に使用することができる。
【0024】
更に別の実施形態では、装置は、下側チューブ半分シェルの側縁の領域で下側チューブ半分シェルが上側チューブ半分シェルに対して過大に形成されること又は上側チューブ半分シェルの側縁の領域で上側チューブ半分シェルが下側チューブ半分シェルに対して過大に形成されることを特徴とし、装置は、下側部品及び上側部品の第2の位置では、上側チューブ半分シェルが下側チューブ半分シェルと係合するように又は下側部品及び上側部品の第2の位置で下側チューブ半分シェルが上側チューブ半分シェルと係合するように構成される。
【0025】
説明した実施形態では、上側部品及び下側部品の第2の位置では、一方のチューブ半分シェルが他方のチューブ半分シェルの過大の区域に係合することができることが達成される。このようにして、上側チューブ半分シェルと下側チューブ半分シェルの間の封入キャビティ内で中空繊維膜のアレイを更に圧縮することが可能である。この関連での「圧縮する」という用語は、中空繊維膜バンドルをキャビティ内で更に圧縮することができることを意味する。
【0026】
更に別の実施形態では、装置は、上側チューブ半分シェル及び/又は下側チューブ半分シェルの側縁が面取りされることを特徴とする。特に、面取り面は、それぞれのチューブ半分シェルの側縁に隣接する面に近い中空繊維膜を剥がし、これらの膜を意図された圧密化直径内の領域の中に実質的に変位させる。その結果として上側チューブ半分シェルと下側チューブ半分シェルの間に中空繊維膜バンドルのより大きい圧密化が達成される。例えば、上側チューブ半分シェルの側縁の面取り面は、下側チューブ半分シェルの側縁に隣接する下側チューブ半分シェルの面に当接した中空繊維膜を意図された圧密化直径の範囲内で下側半分シェルの中に変位させる。
【0027】
別の実施形態では、装置は、下側チューブ半分シェル及び/又は上側チューブ半分シェルの凹状湾曲面が複数の穿孔を含むことを特徴とし、穿孔を通して下側チューブ半分シェル及び/又は上側チューブ半分シェルの内部に空気を流す又は排出するように構成される。
【0028】
穿孔は、装置の下側部品及び/又は上側部品に設けられた通気ダクトから延びることができる。一実施形態では、下側部品は、通気流路に接続された少なくとも2つのガスポートを有する。ガスポート、通気流路、及び複数の穿孔を通して、空気流れをそれぞれのチューブ半分シェルの内側に供給し、それにより、中空繊維膜のバンドリングと中空繊維膜バンドルの更に別の加工とを支援することができる。特に、供給された空気流れは、中空繊維膜バンドルと下側及び/又は上側チューブ半分シェルの面の間にエアクッションを形成し、これらのチューブ半分シェルの面での中空繊維膜の摩擦を低減する。空気流れは、上側及び下側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティの中から中空繊維膜バンドルを誘導することを容易にするので、中空繊維膜への損傷のおそれが低下する。
【0029】
更に別の実施形態では、装置は、下側及び/又は上側チューブ半分シェル内の穿孔の少なくとも一部、好ましくは穿孔の全てが好ましい方向に位置合わせし、特に円筒形キャビティの中心軸線に対して10°から80°、又は20°から70°、又は30°から60°という一致する角度で隣接することを特徴とする。
【0030】
好ましい方向に位置合わせした穿孔の配置では、流入空気の流れ方向は、下側及び/又は上側チューブ半分シェルの内側に生成される。特に、チューブ半分シェルの内側での空気流れの方向は、中空繊維膜バンドルを下側及び上側チューブ半分シェルのキャビティの中から空気流れの流れ方向に誘導することを容易にする。
【0031】
更に別の実施形態では、装置は、下側及び/又は上側チューブ半分シェルの凹状湾曲面にコーティングが設けられることを特徴とする。その結果、コーティングは、湾曲面とその上に当接する中空繊維膜の間の摩擦を低減する。特に、これらのコーティングは、例えば、低摩擦係数のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)又は他のフッ素化ポリマーのようなプラスチックコーティングとすることができる。これに代えて、湾曲面は、ポリオレフィンで被覆することができる。別の代替実施形態では、湾曲面を低摩擦セラミックコーティング又はDLC(ダイヤモンド状炭素)コーティングで被覆することができる。
【0032】
更に別の実施形態では、装置は、上側部品及び下側部品の第2の位置で中空繊維膜バンドルを予め決められた寸法の長さに切断するために少なくとも1つの可動切断デバイスを備えることを特徴とする。有利なことに、少なくとも2つの切断デバイスを装置内に可動に配置することができる。この場合に、装置は、下側部品及び上側部品の第2の位置では、下側及び上側チューブ半分シェルのキャビティから突出する中空繊維膜が切断されるように構成される。それにより、中空繊維膜バンドルは、中空繊維膜フィルタのハウジングの中に挿入することを意図された長さになる。切断デバイスは、ブレードのような機械式切断ツールを含む場合がある。
【0033】
これに代えて、切断デバイスは、熱切断ツール、すなわち、特にホットワイヤ、ホットブレード、又はレーザ光線を使用して溶融させることで中空繊維膜の端部を切り離す切断ツールを備える場合がある。好ましくは、中空繊維膜の端部の溶融は、中空繊維膜の管腔が閉じるように行われる。これは、中空繊維膜フィルタの製造工程で予備成形の工程段階を省けるという利点がある。同時に、中空繊維膜バンドルは、端部領域での中空繊維膜の溶融によって機械的に安定化する。すなわち、中空繊維膜フィルタの更に別の製造工程では、中空繊維膜バンドルをより安全に取り扱うことができる。
【0034】
更に別の実施形態では、装置は、ハウジングチューブのための受け入れユニットを有することを特徴とし、この受け入れユニットは、下側部品及び/又は上側部品に対して装置内で可動に配置され、装置は、更に、上側部品及び下側部品の第2の位置で受け入れユニットの位置を介して表側で下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルに隣接してハウジングチューブを配置することができるように構成される。ここでは、上側部品及び/又は下側部品に対する受け入れユニットの相対移動が決定的に重要であり、すなわち、受け入れユニットが静止するように構成され、相対移動が上側及び/又は下側シェルを通して行われるように規定することができる。従って、中空繊維膜バンドルは、下側チューブ半分シェル及び上側チューブ半分シェルのキャビティからその後に配置されるハウジングチューブに直接挿入することができる。その後に配置されるハウジングチューブは、中空繊維膜フィルタの円筒形ハウジングであることが好ましい。更に別の実施形態では、装置は、中空繊維膜バンドルをキャビティから端部で接続されたハウジングチューブの中に挿入するための手段を備えることを特徴とする。好ましくは、隣接するハウジングチューブへの中空繊維膜バンドルの挿入は、下側及び上側チューブ半分シェルを備えるキャビティからその後に配置されるハウジングチューブの中に中空繊維膜バンドルを変位させることができる可動エジェクタによって行われる。
【0035】
好ましくは、第2の位置での下側及び上側チューブ半分シェルのキャビティの直径は、ハウジングチューブの直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%小さい。直径が小さいことに起因して、中空繊維膜バンドルのハウジングチューブ内への摺動が特に簡素化される。特定の実施形態では、ハウジングチューブは、テーパ付き中心部分を有する。これは、ハウジングチューブの中心部分の内径がハウジングチューブの端部の内径よりも小さい直径を有することを意味する。好ましくは、ハウジングチューブのそのような実施形態では、その内径は端部から中心部分に向けて小さくなる。そのようなハウジングチューブ又は中空繊維膜フィルタハウジングは、「テーパ付き設計」又は「テーパ付き中心チューブ」という用語で識別される。この場合に、上側部品及び下側部品の第2の位置では、表側で下側及び上側チューブ半分シェルに隣接して配置されるハウジングチューブの端部は、第2の位置での下側及び上側チューブ半分シェルのキャビティの直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%大きい直径を有するように規定される。
【0036】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による装置と、この装置内で下側及び上側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティ内に位置する中空繊維膜バンドルとを含む配置に関する。これに関して中空繊維バンドルも装置もエンベロープフィルムを含まない。一実施形態では、この配置は、更に、上側及び下側部品の第2の位置で下側及び上側チューブ半分シェルとのエンド・ツー・エンド関係に配置されたハウジングチューブを含み、キャビティ内に配置された中空繊維バンドルの直径は、ハウジングチューブの直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%小さい。別の実施形態では、配置は、テーパ付き中心部分を有するハウジングチューブを更に含み、キャビティ内に位置する中空繊維バンドルの直径は、上側部品及び下側部品の第2の位置で下側及び上側チューブ半分シェルとのエンド・ツー・エンドで位置付けられたハウジングチューブの端部の直径よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%小さい。
【0037】
第3の態様では、本発明は、以下の段階を備える中空繊維膜をバンドリングする方法に関する:本発明の第1の態様に関する実施形態の少なくとも1つによる装置を与える段階、この装置の上側及び下側部品の第1の位置で中空繊維膜のアレイを下側チューブ半分シェルに配置する段階、下側及び上側チューブ半分シェルから形成されたキャビティ内で中空繊維膜のアレイを中空繊維膜バンドルにバンドリングするように上側及び下側部品を第2の位置に相対的に移動する段階。好ましくは、中空繊維膜バンドルもこの工程で圧縮される。本発明による工程に従って中空繊維膜のバンドリングは、エンベロープフィルムを使用せずに行われる。その場合に、キャビティに存在する中空繊維膜バンドルは、中空繊維膜フィルタの製造に更に使用することができる寸法に既に圧縮されていることが好ましい。一実施形態では、中空繊維膜バンドルは、60%を超える、特に64%を超える、更には特に66%を超える充填密度に圧縮される。本出願の関連での「充填密度」は、下側及び上側チューブ半分シェルにより形成されたキャビティでの中空繊維膜が占める割合であると理解される。充填密度は、下側及び上側チューブ半分シェルにより形成されたキャビティの断面積に対する中空繊維膜の総断面積の割合から計算される。
【0038】
更に別の実施形態では、本方法は、上側部品及び下側部品の第2の位置で切断デバイスを使用して中空繊維膜バンドルを予め決められた寸法の長さにすることを特徴とする。更に別の実施形態では、本方法は、更に、切断デバイスが、長さに切断する間に中空繊維膜の端部を溶融して中空繊維膜の管腔を密封する熱切断ツールであることを特徴とする。このようにして、中空繊維膜バンドルの長さは、中空繊維膜フィルタの更に別の製造に必要な寸法に調節される。
【0039】
別の実施形態では、本方法は、下側及び上側チューブ半分シェルによって形成されるキャビティに隣接して円筒形ハウジングチューブを位置決めし、隣接する円筒形ハウジングチューブ内に中空繊維膜バンドルを摺動させる段階を特徴とする。中空繊維膜バンドルは、キャビティに押し込まれたエジェクタによってキャビティから押し出され、それにより、隣接するハウジングチューブに向けて中空繊維膜バンドルを変位させる。ハウジングチューブは特に円筒チューブであり、特に中空繊維膜フィルタの円筒形ハウジングである。好ましくは、下側及び上側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティ内の中空繊維バンドルは、ハウジングチューブに挿入される中空繊維バンドルよりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%だけ大きく圧縮されるように規定される。より強力な圧縮に起因して、中空繊維膜バンドルのハウジングチューブへの挿入は特に簡素化される。ハウジングチューブがテーパ付き中心部分を有する場合に、下側及び上側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティ内の中空繊維バンドルは、装置の上側部品及び下側部品の第2の位置で端面での下側及び上側チューブ半分シェルに隣接して配置されるハウジングチューブの端部での中空繊維バンドルよりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも7%だけ大きく圧縮されるように規定される。
【0040】
更に別の実施形態では、本方法は、空気が複数の穿孔を通って下側及び/又は上側チューブ半分シェルの内側に対して流れることを特徴とする。内側に対して空気を流すことにより、下側及び/又は上側チューブ半分シェルの面とチューブ半分シェルの面に当接している中空繊維膜との間にエアクッションが形成される。好ましくは、穿孔の少なくとも一部又はその全てを優先的な方向に向けてチューブ半分シェルの内側に対する空気の流れが優先的な流れ方向を取るようにする。それにより、中空繊維膜バンドルを装置から押し出す工程が特に容易にされる。すなわち、中空繊維膜バンドルの押出しは、流入する空気の優先的な流れ方向に生じる。
【0041】
第4の態様では、本発明は、中空繊維膜フィルタを製造するための本発明の第1又は第2の態様に関する少なくとも1つの実施形態による装置又は配置の使用に関する。
【0042】
図面に基づく本発明の詳細説明
図1aは、下側部品101及び上側部品120の断面の概略図を示している。図示の断面は、下側部品及び上側部品の長手方向を横断する。図1aには装置の構成要素が下側部品及び上側部品である装置の更に別の詳細を示さない。図1aは、下側部品及び上側部品を第1の位置に示し、この場合に、下側部品と上側部品は離隔する。図示しているのは、上側部品が下側部品の上に配置された図解である。しかし、第1の位置での下側及び上側部品の他の配置も可能である。これに代えて、第1の位置で上側部品を下側部品に隣接して配置することができる。図1aに示す実施形態では、下側チューブ半分シェル102を断面図に示している。下側チューブ半分シェルの断面は、側縁103a及び103bの間で円形セグメント形状であり、図1aの概略断面図でのみ可視である。下側チューブ半分シェルは、中空繊維膜のアレイを受け入れるように設計された内側104を有するが、中空繊維膜のアレイは図1aに示していない。更に、ガスポート106a及び106bが下側部品101上に見えており、これを通してガス流れ、特に空気流れを下側部品101の内部にある通気ダクト(図1aには示されない)に導入し、通気ダクトから除去することができる。下側チューブ半分シェルの凹状湾曲面は、図1aでは105に指定している。それは、図1aの断面図で円のセグメントとして見えるに過ぎない。図示の実施形態では、下側部品101は、上側部品120を受け入れるための受け入れ区域107を更に含む。
【0043】
上側部品120は、下側チューブ半分シェル101に対して相補的な上側チューブ半分シェル121を含む。図示の実施形態では、上側チューブ半分シェルの断面は、一セクションでは円形セグメント形状である。上側チューブ半分シェルの凹状湾曲面は、図1aでは124に指定している。側縁122a及び122bは、図1aの断面図で概略的に見えるに過ぎない。側縁の面取り面は、127a及び127bと名付けてある。同じく図示しているのは、それによって上側部品が装置内に保持される保持要素126aと、それによってガス、特に空気を上側部品120の内部の通気ダクトに導入してそこから排出し、穿孔(図1aには示されない)を通して上側チューブセクションの内側123に流すことができるガス接続部125aである。
【0044】
図1bは、第1の位置にある下側部品101及び上側部品120の斜視側面視野の概略図を示している。図1aに関して更に示しているのは、上側部品120を装置内に保持するのに使用される第2の保持部材126b、上側セクション上の第2のガスポート125b及び下側セクション上の第3のガスポート106c、及び下側チューブ半分シェル102の面105にある穿孔108である。
【0045】
図2aは、装置の下側部品101及び上側部品120を概略図に示し、ここでは下側部品と上側部品が第2の位置で互いに係合する。図1aの図解と比べて、この断面図では、形成されたキャビティ130が実質的に円形として示されているので、キャビティ自体は実質的に円筒形である。図1aの図解とは逆に、上側部品120は、下側部品の受け入れ区域107に位置付けられる。図示の実施形態では、下側チューブ半分シェル102は、上側チューブ半分シェル120に比べてその側縁103a及び103bが側縁122a及び122bよりも大きく形成される。従って、上側部品が下降すると、上側チューブ半分シェルの側縁122a及び122bは、面取り面127a及び127bと共に下側チューブ半分シェル101の内側104まで入り込むことができる。図2aにより、その結果、側縁122a及び122bは、下側チューブ半分シェル102の面105に対して位置する。下側チューブ半分シェル102の面105に対して位置する中空繊維膜(図2aには示されない)は、面取り面124a及び124bを通して拭き取られる。上側部品を下降させることにより、キャビティ130内の中空繊維膜のアレイが圧縮される。これに代えて、側縁122a及び122bと下側チューブ半分シェル102の面105との間に中空繊維膜直径1個分未満の最小間隙が存在することができる。
【0046】
図2bは、図2aに対応する第2の位置での下側部品及び上側部品の側面図を示している。
【0047】
図3は、下側部品101と上側部品120とが互いに係合する第2の位置にある下側部品101及び上側部品120を有する装置100の図解を断面図に示している。断面図では、下側チューブ半分シェル102の面105の穿孔108を模式的に示している。図3は、保持要素126a及び126bを通して上側部品120を第1の位置から第2の位置に移動するための昇降装置140を示している。更に模式的に示しているのは、エジェクタ150であり、これは、図3に対応する実施形態に従って移動可能である。更に図3に示すのは、円筒形ハウジングチューブ170を受け入れる受け入れユニット160である。受け入れユニットは可動部品であり、これを使用してハウジングチューブ、特に円筒形ハウジングチューブを表側で下側及び上側チューブ半分シェルに隣接する図示の第2の位置に配置することができる。
【0048】
実施例
図1aから3に示す実施形態を参照して本発明による中空繊維膜のアレイのバンドリングを説明する。最初に、中空繊維膜のアレイを下側部品101及び上側部品120の第1の位置で下側チューブ半分シェル102内に導入する。従って、下側及び上側チューブ半分シェル(102,121)の半径は、所定数の中空繊維膜を中空繊維膜バンドルにバンドリングすることができるように寸法決めされる。血液透析に一般的に使用される中空繊維膜が使用される。この膜は、外径が261μmである。使用する中空繊維膜はテクスチャ付きであり、すなわち、振幅0.41mm及び波長7.5mmを有する従来技術で公知の波状構造を有する。中空繊維膜フィルタの製造では、これらの中空繊維膜8448個を本発明による装置の下側部品の下側チューブ半分シェルに挿入する。チューブ半分シェルの凹状湾曲面の直径は29mmである。
【0049】
次の段階では、上側チューブ半分シェル121及び下側チューブ半分シェル102が、ここで説明する実施例に応じて実質的に円筒形であるキャビティ130を取り囲むまで上側部品120を装置100内で下側部品の受け入れ区域107に向けて変位させる。下側部品101の受け入れ区域107内への上側部品の変位は、キャビティ130内の中空繊維膜のアレイが直径約29mmの円筒形バンドルを形成するまで行われる。この圧縮状態では、中空繊維膜バンドルの充填密度は68.4%である。この関連では、充填密度は、実質的に円筒形のキャビティ130の断面積に対する中空繊維膜8448個の全断面積の合計の比率として理解される。その後に、中空繊維膜バンドルは、中空繊維膜フィルタを構築するために切断ツールを使用して予め決められた長さに切断される。
【0050】
更に別の段階では、下側及び上側チューブ半分シェル102、121の内側104、123にそれぞれガスポート125a/b、106a-cを通して空気が供給される。受け入れユニット160を介して、円筒形ハウジングチューブを上側及び下側チューブ半分シェルによって形成されたキャビティ130の開口側180aの面に隣接して位置決めする。対向する開口側180bにはエジェクタ150を位置決めする。チューブ半分シェルに対して長手方向に可動なエジェクタ150が作動し、中空繊維膜バンドルをキャビティ130から隣接する円筒形ハウジングチューブ160の中に押し出す。好ましい実施形態では、円筒形ハウジングチューブは、中空繊維膜フィルタのハウジングである。これに代えて、中空繊維膜バンドルが挿入される別のハウジングチューブを使用して、中空繊維膜バンドルを装置から一度に一片ずつ取り出せるようにすることができる。
【0051】
従って、円筒形ハウジングチューブは、内半径が31mmの中空繊維膜フィルタのハウジングとすることができる。その場合に、円筒チューブ内の中空繊維膜バンドルの充填密度は59.9%である。
【0052】
これに代えて、薄肉金属チューブを使用することができ、中空繊維膜バンドルをキャビティ130から薄肉金属チューブに挿入することができる。この場合に、薄肉金属チューブは、内半径が15mm、外半径が15.4mmである。このようにして、中空繊維膜バンドルを最初に薄肉金属チューブに挿入することができる。中空繊維膜フィルタの更に別の製造では、内半径が15.5mmの中空繊維膜フィルタのハウジングにこの薄肉金属チューブを挿入する。次に、金属チューブを中空繊維膜フィルタのハウジングから引き抜き、中空繊維膜バンドルは、それに対して保持され、そして中空繊維膜フィルタのハウジングに留まる。
【0053】
中空繊維膜バンドルが挿入されたハウジングは、次に、中空繊維膜フィルタ生成の更に別の工程に給送される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】