IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トカマク エナジー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図1
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図2
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図3
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図4A
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図4B
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図5A
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図5B
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図5C
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図6
  • 特表-複合金属構造体の積層造形 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】複合金属構造体の積層造形
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20240326BHJP
   B22F 10/14 20210101ALI20240326BHJP
   B22F 10/16 20210101ALI20240326BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240326BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240326BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20240326BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240326BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20240326BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240326BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/14
B22F10/16
B33Y10/00
B29C64/153
B29C64/165
B33Y40/20
B29C64/379
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023563261
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022059477
(87)【国際公開番号】W WO2022218867
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】2105385.5
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2022/054990
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512317995
【氏名又は名称】トカマク エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】モリソン、 アラスディア
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WW37
4K018AA06
4K018AA19
4K018AA21
4K018AA40
4K018BA03
4K018BA09
4K018BA20
(57)【要約】
第1の材料と第2の材料とを含む中間層の製造方法。第1の構造体(302)は、積層造形技術を用いて第1の表面上に第1の材料から形成される。第1の構造体は、第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で第1の表面に面している、少なくとも1つの表面を含む。第2の構造体(303)は、第1の構造体の第1の表面とは反対の側で第2の構造体が第1の構造体に適合するように、第2の材料から形成される。第1の構造体と第2の構造体は共に中間層を形成し、第1の構造体と第2の構造体は、第1の構造体と第2の構造体とを分離するには第1の構造体又は第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料と第2の材料とを含む中間層の製造方法であって、
第1の表面301を提供することと、
積層造形技術を用いて前記第1の表面上に前記第1の材料から第1の構造体302を形成することと、
前記第2の材料から第2の構造体303を形成し、前記第2の構造体が前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側で前記第1の構造体に適合するようにすることと
を含み、
前記第1の構造体は、前記第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で前記第1の表面に面している少なくとも1つの表面を含み、
前記第1の構造体と前記第2の構造体は共に中間層を形成し、前記第1の構造体と前記第2の構造体は、前記第1の構造体と前記第2の構造体を分離するには前記第1の構造体又は前記第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる、方法。
【請求項2】
前記積層造形技術は、粉体層技術であって、
前記第1の表面上に前記第1の材料の粉体の層を提供することと、
前記粉体の層の一部を結合して前記第1の構造体の一部を形成することと、
焼結した粉体の上に粉体の更なる層を提供することと、
粉体の更なる層を結合するステップと粉体の更なる層を提供するステップとを繰り返して前記第1の構造体を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉体の層の一部を結合するステップは、レーザー又は電子ビームを用いて粉体に熱を与えることによって前記粉体の層の一部を溶融又は焼結することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉体の層の一部を結合するステップは、
前記粉体の層の一部に結合剤を塗布すること、又は
前記粉体の層の一部に存在する結合剤を選択的に硬化させること
を含み、
前記積層造形技術はさらに、すべての更なる層を結合するステップと更なる層を提供するステップの完了後に前記粉体の層の一部を焼結して前記第1の構造体を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料は、前記第2の材料よりも高い融点を有し、前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を液体として提供することと、前記第2の材料を前記第1の構造体上に流すことと、前記第2の材料を凝固させることとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を粉体として提供することと、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に前記粉体を充填することと、前記粉体を焼結することとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を固体として提供することと、前記第2の材料が前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側の形状に適合するのに十分な圧力で、前記第2の材料を前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に押し付けることとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の構造体を形成する前に、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に前記第2の材料の層を塗布することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の材料の層は、
前記第2の材料の箔の前記表面への貼り付け、
物理蒸着、又は
化学蒸着
のうちの1つによって塗布される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の構造体は、前記第1の構造体と同じ積層造形技術によって、前記第1の構造体の形成中に形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な少なくとも1つの方向に繰り返される周期的な構造体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な断面を有し、前記第1の構造体の前記断面は、前記第1の表面から前記中間層の厚さを通して単調に減少するように変化する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の構造体の前記断面を、前記中間層を通る深さに関連付ける関数は、
一次関数、
シグモイド関数、
多項式関数、又は
三乗関数
のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の構造体は、それぞれの平均熱膨張係数(aCTE)が前記中間層の厚さの1/4にわたる、前記第1の材料と前記第2の材料の体積分率によって重み付けされた、前記第1の材料と前記第2の材料の平均熱膨張係数であるように定義される、第1のaCTE、第2のaCTE、第3のaCTE及び第4のaCTEを有し、
前記第1のaCTEは、前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面から定められ、
前記第2のaCTEは、前記中間層の厚さの中間点から前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面に向かって定められ、前記第1のaCTEよりも小さく、
前記第3のaCTEは、前記中間層の中間点から前記第1の表面に向かって定められ、前記第2のaCTEよりも小さく、
前記第4のaCTEは、前記第1の表面から定められ、前記第3のaCTEよりも小さく、
前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差は前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差よりも大きく、前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差よりも大きく、又は
前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は、前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差と前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差の両方よりも大きく、
各aCTEは、式
【数4】
によって前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率に関連付けられ、kは前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率であり、CTE1は前記第1の材料の熱膨張係数であり、CTE2は前記第2の材料の熱膨張係数である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の構造体は、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面によって囲まれた点の軌跡、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の一定距離内の点の軌跡、又は
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の可変距離内の点の軌跡であって、前記可変距離は前記中間層内の位置によって決まる関数によって定義されるもの
のうちの1つの形状を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとを接合するための中間層であって、前記中間層は、
第1の表面及び第2の表面と、
第1の材料から形成され、前記第1の表面から延在する第1の構造体であって、前記第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で前記第1の表面に面している少なくとも1つの表面を有する第1の構造体と、
第2の材料から形成された第2の構造体であって、前記第2の表面まで延在し、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側で前記第1の構造体に適合する第2の構造体と
を含み、
前記第1の構造体と前記第2の構造体は共に中間層を形成し、前記第1の構造体と前記第2の構造体は、前記第1の構造体と前記第2の構造体を分離するには前記第1の構造体又は前記第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる、中間層。
【請求項17】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な少なくとも1つの方向に繰り返される周期的な構造体である、請求項16に記載の中間層。
【請求項18】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な断面を有し、前記第1の構造体の前記断面は、前記第1の表面から前記中間層の厚さを通して単調に減少するように変化する、請求項16又は17に記載の中間層。
【請求項19】
前記第1の構造体の前記断面を、前記中間層を通る深さに関連付ける関数は、
一次関数、
シグモイド関数、
多項式関数、又は
三乗関数
うちの1つである、請求項18に記載の中間層。
【請求項20】
前記第1の構造体は、それぞれの平均熱膨張係数(aCTE)が前記中間層の厚さの1/4にわたる、前記第1の材料と前記第2の材料の体積分率によって重み付けされた、前記第1の材料と前記第2の材料の平均熱膨張係数であるように定義される、第1のaCTE、第2のaCTE、第3のaCTE及び第4のaCTEを有し、
前記第1のaCTEは、前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面から定められ、
前記第2のaCTEは、前記中間層の厚さの中間点から前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面に向かって定められ、前記第1のaCTEよりも小さく、
前記第3のaCTEは、前記中間層の中間点から前記第1の表面に向かって定められ、前記第2のaCTEよりも小さく、
前記第4のaCTEは、前記第1の表面から定められ、前記第3のaCTEよりも小さく、
前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差は前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差よりも大きく、前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差よりも大きく、又は
前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は、前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差と前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差の両方よりも大きく、
各aCTEは、式
【数4】
によって前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率に関連付けられ、kは前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率であり、CTE1は前記第1の材料の熱膨張係数であり、CTE2は前記第2の材料の熱膨張係数である、請求項18に記載の中間層。
【請求項21】
前記第1の構造体は、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面によって囲まれた点の軌跡、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の一定距離内の点の軌跡、又は
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の可変距離内の点の軌跡であって、前記可変距離は前記中間層内の位置によって決まる関数によって定義されるもの
のうちの1つの形状を有する、請求項16から20のいずれか一項に記載の中間層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる熱膨張係数(CTE)の材料を接合するための中間層に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイバータは、トカマクの動作中にプラズマからの廃棄物及び電力の取り出しを可能にするトカマクプラズマ容器内の装置である。廃棄物は、磁気的に閉じ込められたプラズマ中心部から粒子が拡散すると自然に発生する。プラズマを閉じ込めるために、トカマクは磁場を利用する。しかしながら、粒子はゆっくりとランダムに拡散し、最終的にはイオンの高流束に耐えるように構成されたダイバータ表面の1つに衝突する。
【0003】
図1は、ダイバータの1つの可能な構成を示す、トカマクプラズマチャンバの断面図を示す。ダイバータ表面101は、プラズマチャンバ100の上部と下部にある。プラズマチャンバの第一壁(すなわちプラズマに面するコンポーネント)は、チャンバの内壁102を含み、また、各ダイバータ表面に近接して配置された、プラズマをダイバータに向けるためのバッフル103と、プラズマチャンバ内部のフィールドコイルを覆うカバー104とを含む。
【0004】
ダイバータの表面層が経験する高い熱流束と浸食は、これらの条件に耐え得る材料を必要とする。一般的な選択は、融点が1850℃を超える高融点金属、例えばチタン又はバナジウム、より好ましくは2000℃を超える高融点金属、例えばモリブデン又はタングステンである。しかしながら、高融点金属は一般に脆いため、圧力下で冷却材を含むダイバータの冷却要素は通常、銅などのより丈夫な代替材料(以下「熱伝導性材料」)から作られる。
【0005】
これにより問題が生じる。熱伝導性材料の熱膨張係数は高融点金属の熱膨張係数とは大きく異なり、それらの接合部に著しい熱流束及び温度変化がある。これは、ダイバータの一般的な故障モードがこの接合部での応力による損傷であることを意味する。
【0006】
熱伝導性材料と高融点金属との接合部での応力は、中間層(高融点金属の熱膨張係数と熱伝導性材料の熱膨張係数の中間の熱膨張係数を有する材料の層)を設けることで軽減することができる。中間層は、高融点金属と熱伝導性材料の両方を含む複合材料であることができ、熱膨張係数及び他の材料の機械的特性及び熱的特性のより緩やかな変化を提供するために、各材料の割合が中間層を通して直線的に変化するように段階的に変化させることができる。
【0007】
図2は、例示的な既知の中間層のグレーディングプロファイルを示す。各中間層201は、高熱膨張材料202を低熱膨張材料203に接合する。トカマク用のダイバータの例では、高熱膨張材料は銅であることができ、低熱膨張材料はタングステンであることができる。中間層の深さ「d」は、高熱膨張材料から低熱膨張材料までの中間層を横切る距離である。本開示内では、深さdは、高熱膨張材料202と中間層201との間の遷移部がd=0であり、低熱膨張材料203と中間層201との間の遷移部がd=1であるように、任意の単位で測定される。このdの定義に基づく記載は適切な数学的手法によって距離dを測定するあらゆる他のスケールに変換することができ、この定義は中間層の厚さを特定の単位の1つに制限するものではないことが理解されるであろう。
【0008】
「線形」中間層210は、中間層を横切る距離に対して直線的に減少する熱膨張係数を有する。これは連続的な減少として示されているが、例えば、異なる領域で高熱膨張層と低熱膨張層の比率が異なる積層複合材の結果である可能性があり、グラフにプロットされた値は、小さな距離にわたる有効なバルク熱膨張係数である。
【0009】
「階段状」中間層220は、中間層を横切る距離と共に階段状に減少し、各ステップ間で直線的に減少する熱膨張係数を有する。
【0010】
これらのそれぞれは、各材料の薄膜の積層又は粉体グレーディングによって効果的に実現することができる。しかしながら、積層は、中間層を介して中間層に平行な層を接合することになり、接合される材料によっては破損しやすい可能性がある。粉体グレーディングは、階段状の中間層において、異なるグレーディングの層の間の界面で同様の破損を受ける可能性がある。
【0011】
上記はトカマク用のダイバータとの関連で書かれているが、このような中間層は、温度変化が生じる異なる熱膨張係数を有する2つの材料を接合する必要がある他の状況でも有用である。熱伝導性材料に接合された高融点金属の具体的事例は、トカマクなどのプラズマチャンバの「第一壁」(すなわちプラズマ対向面)、及びロケット排気などの高熱流束と高浸食が予想される他の用途にも関連する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、第1の材料と第2の材料とを含む中間層の製造方法が提供される。第1の構造体302は、積層造形技術を用いて第1の表面上に第1の材料から形成される。第1の構造体は、第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で第1の表面に面している、少なくとも1つの表面を含む。第2の構造体303は、第1の構造体の第1の表面とは反対の側で第2の構造体が第1の構造体に適合するように、第2の材料から形成される。第1の構造体と第2の構造体は共に中間層を形成し、第1の構造体と第2の構造体は、第1の構造体と第2の構造体とを分離するには第1の構造体又は第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる。
【0013】
第2の態様によれば、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとを接合するための中間層が提供される。中間層は、第1の表面及び第2の表面と、第1の構造体及び第2の構造体とを含む。第1の構造体は、第1の材料から形成され、第1の表面から延びる。第1の構造体は、第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で第1の表面に面している、少なくとも1つの表面を有する。第2の構造体は、第2の材料から形成される。第2の構造体は、第2の表面まで延び、第1の構造体の第1の表面とは反対の側で第1の構造体に適合する。第1の構造体と第2の構造体は共に中間層を形成し、第1の構造体と第2の構造体は、第1の構造体と第2の構造体とを分離するには第1の構造体又は第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる。
【0014】
更なる実施形態は、請求項2以降に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】トカマクプラズマチャンバの断面図である。
図2】例示的な既知の中間層のグレーディングプロファイルを示す。
図3】中間層の製造のステップを示す。
図4図4A及び図4Bは、例示的な中間層の構造体の断面図である。
図5図5Aから図5Cは、様々なTPMSベースの構成による中間層の「第1の構造体」を示す。
図6】2つの提案された中間層のグレーディングプロファイルを示す。
図7図6のグレーディングプロファイルを抽象化したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
複合中間層を製造するための構造を図3に示す。ステップ310において、中間層が形成される表面301を提供する。これは、中間層によって接合される表面の1つであってもよく(すなわち、中間層を所定の位置に製造する場合)、中間層の初期層であってもよく、又は製造に使用され、その後除去される「印刷層」又は同様の表面であってもよい。ステップ320において、第1の材料(例えばタングステン)から形成される第1の構造体302を、積層造形プロセス(例えば「3D印刷」又は後述の他の好適なプロセス)によって表面301に製造する。ステップ330において、第2の材料(例えば銅)をその第1の構造体302に(例えば、鋳造、粉末焼結、又は後述する他の方法によって)充填し、第1の構造体と共に完成した中間層を形成する第2の構造体303を形成する。第1の構造体は中間層の第1の面(すなわち図の下面)まで延在し、第2の構造体は中間層の第2の面(すなわち上面)まで延在する。
【0017】
初期構造体を形成するための積層造形の使用はいくつかの利点を提供する。第一に、積層造形プロセスは多くの場合、第2の材料との結合を改善するやや粗い表面を提供する。第二に、積層造形の使用は複雑な形状を小規模で形成することを可能にする。この潜在的な複雑さは、中間層の所定の面積に対して2つの材料間の界面のより大きな表面積を可能にし、2つの材料間に機械的なキーイングを提供する追加の機構を可能にする。さらに、このような構造体は、「構造的なグレーディング」で、すなわち、結果として生じる層が深さと各材料の割合との所定の関係を有するような第1の構造体の構成で容易に設計することができる。
【0018】
機械的キーイングは、それらの間の結合が完全に破壊された場合でも、第1の構造体と第2の構造体を、それらの一方又は両方を変形させることなく引き離すことができないような機構を含むことによって提供される。例えば、これは、いくつかの例示的なオーバーハング構造体401、402、403を示す図4Aに示すように、第1の構造体に「張り出し(オーバーハング)」を有することによって実現し得る。この図では、各オーバーハング構造体は、第1の構造体の表面が中間層の第1の面に向かって(すなわち、中間層の第1の材料が取り付けられるコンポーネント、又は最初の構築面に向かって)下を向く部分410を有する。これは、あらゆる概ね下向きの表面、すなわち、第1の材料のバルクに対して90度より小さい角度、より好ましくは45度より小さい角度、より好ましくは30度より小さい角度、より好ましくは10度より小さい角度の、より好ましくは真下向きの表面であり得る。下向きの表面は、表面への接平面が第1の材料のバルクに対してそのような角度を有する曲面の一部であり得る。いくつかの例では、これは、図4Bに示すような貫通孔を有する第1の構造体、例えば構造体404、405を含み、第2の構造体(形成後)が貫通孔420を通ってループし、一方又は両方の構造体を破壊することなく2つの構造体を分離することが不可能であるようにすることができる。例405に示すように、これは、貫通孔の一方の表面が表面301、すなわち印刷層又は中間層が取り付けられる表面である場合を含む。
【0019】
第1の表面が中間層の平面内の面積に比べて大きい表面積を有することは有利である。大きな表面積は、第1の構造体と第2の材料との間の全体的な接合強度を改善し、中間層を横切る亀裂の伝播を抑制する。
【0020】
第1の構造体の設計を簡略化するために、それは中間層の平面を横切ってタイル状に配置されたいくつかのより小さなユニットとして設計することができ、その後、得られたタイル状のものが印刷されて第1の構造体を形成する。第1の構造体は、例えばタイルが同一であり、周期的にタイル状に配置されることができる周期的な構造体であってもよく、又は、例えば中間層の異なる部分に異なるタイプの構造を提供する非周期的な構造体であってもよい。例えば、第1の構造体は、1つの領域が付加的な構造安定性のために改善されたキーイング機構を有し、別の領域が中間層全体にわたる予想熱負荷の違いを考慮に入れるために異なる構造グレーディングプロファイルを有するように構成することができる。
【0021】
第1の構造体を設計するために使用できる特に有用な表面のクラスの1つは、三重周期最小表面(TMPS)であり、TMPSは、局所的にそれらの面積を最小化し、空間を3次元で周期的にタイル化する数学的表面のクラスである。使用されるTPMSに応じて、無限に薄い数学的理想値から、表面を埋めること(例えば、露出した端をキャップしてキャップされた表面の内部を埋めること)によって、又は非ゼロの厚さで表面を拡張することによって、印刷される実用的な構造体に変換することができる(例えば、構造体が表面の距離t以内の点の軌跡であるように、tは中間層内の位置の関数であることができ、かつ/又は1つの平面での測定に限定され得る)。
【0022】
注目すべき3つのTMPSは、ジャイロイド、シュワルツD表面、及びシュワルツP表面であり、以下の式で定義され、図5Aから図5Cに示される。
【数1】
各図は、中間層を製造するために使用される表面の一部を示す。ジャイロイド及びシュワルツP表面の場合、これは中間層への深さに応じた厚さで表面を拡張することを含み、シュワルツD表面の場合、これは上記のように表面をキャップして充填することを含む。いずれの場合も、表面の位置は、第1の材料が中間層の下部を満たすように選択される。ジャイロイド及びシュワルツP表面は、貫通穴の存在により、シュワルツD表面と比較して改善された機械的キーイングを提供し(すなわち、構造体を分離するには変形だけではなく、実際に構造体を破壊する必要がある)、さらに、それらの構造により、例えば、前に定義されたように距離tを変更することによって、中間層を通る様々な深さでの厚さをより簡単に構成することが可能になる。いずれの場合も、中間層の境界内のTPMSの領域は、垂直方向には(すなわち、中間層の厚さの方向では)最大1周期であり、水平方向には多くの周期にわたって延在する。TMPSの各セル(すなわち、繰り返し構造の単位)のサイズは、それを定義する関数に適切なスケーリングを適用することによって調整することができる。
【0023】
第1の構造体は、例えば中間層の面積の割合として、中間層を通るそれぞれの深さに特定の断面を有するように構成することができる。このようにして、中間層に必要なグレーディングを構造体的に実現することができる。例えば、図2に示す線形グレーディング210を実現するために、第1の構造体は、第1の構造体の断面が、深さd=0における中間層の面積の100%から深さd=1における中間層の面積の0%まで直線的に変化するように構成することができる。中間層への所定の深さにおける平均熱膨張係数は、その深さにおける各材料の断面で重み付けされた各材料の熱膨張係数の平均であるため、第1の材料の断面のこの直線的な変化は、必要に応じて中間層を通る熱膨張係数の直線的な変化をもたらす。積層造形によって複雑な構造体を作ることの容易性により、広範囲の所望のグレーディングプロファイルを得ることが可能になる。
【0024】
図6は、代替的な中間層グレーディングのための2つの提案を示す。各中間層601は、高熱膨張材料202を低熱膨張材料203に接合する。第1の例示的な中間層は、シグモイド関数、すなわち材料層202、203のそれぞれで傾きがゼロになる傾向があり、正確に1つの変曲点を有する関数、に従う「S字状(シグモイド)」中間層610である。中間層と各材料との接合部におけるこの低い傾きにより、熱膨張が発生したときにこれらの領域が低い応力しか有さず、代わりに応力は材料結合がより強くなる可能性が高い中間層の中央領域にあることが確実になる。
【0025】
第2の例示的な中間層620は、関数の傾きが低熱膨張材料に向かって単調にゼロに近づくような関数、すなわち、関数が低熱膨張材料に向かって移動するにつれて、傾きの大きさが常に一定であるか又は減少するような関数に従う。この結果、熱膨張係数の最も急峻な変化が高熱膨張材料に隣接しており、これにより、高熱膨張材料及びその界面の中間層は一般に低熱膨張材料及び対応する界面の中間層よりも延性及び柔軟性が高く、したがって破壊なしでより高い応力に適応することができるため、好ましい性能が提供される。
【0026】
第2の例示的な中間層の関数の一例は、
【数2】
の形式の多項式関数であり、ここで、αは熱膨張係数(CTE)(複合材料の場合、小さな厚さで平均化されたもの)であり、dは中間層を通る深さ(すなわち、接合される材料の一方からの距離)であり、akは数値係数である。係数akの選択により、結果として得られる関数の傾きが少なくとも中間層の範囲(前に定義したように、0<d<1)内で単調にゼロに近づくようにプロファイルを決定することができる。例えば、中間層は二乗関数(n=2)又は三乗関数(n=3)に従うことができる。
【0027】
図6に示す例示的な中間層は理想化されたものであるが、これらの構造に近似しているものでも、単純な線形中間層又は階段状中間層よりもかなり良い結果をもたらす。以下の説明において、中間層のある領域の「平均CTE」は、その領域における材料の体積分率で重み付けされた、中間層における各材料のCTEの加重平均を意味する。
【0028】
図2の線形中間層と階段状中間層の違いと同様に、図6を参照して説明した中間層関数と同等の階段状中間層を形成することができる。以下の説明では、その厚さに沿ってN個のステップに分割され、各ステップが中間層の厚さの1/Nを占め、Nは少なくとも4である(階段状中間層を区別できるようにするため)中間層を考える。各ステップの平均CTEは、接合される材料のCTEの間の値を有し、各ステップの平均CTEは、(高CTEを有する材料に接続されている)高熱伝導率表面から(低CTEを有する材料に接続されている)低熱膨張表面までの中間層を横切って減少する。
【0029】
S字状中間層への近似では、中間層の端に近い(すなわち、高熱膨張表面又は低熱膨張表面に近い)隣接するステップの平均CTEの差は、中間層の中間点に向かう隣接するステップの平均CTEの差よりも小さくなる。
【0030】
第2の例示的な中間層への近似では、隣接するステップの平均CTEの差は、それらのステップが高熱膨張表面に近いほど大きくなる。
【0031】
上記は、別個のステップで構成された中間層に関して説明されているが、中間層の他の構成にも適用される。第1の例として、図6に示す関数に完全に従う中間層も、正確な関数と階段状中間層との間の様々な中間近似と同様に、中間層の厚さに沿って定められたN個の領域の平均CTEのこのような変化を有する。
【0032】
中間層関数610及び620に対するこの近似を示す、N=4の具体的事例を図7に示す。中間層は、d=0からd=1/4、d=1/4からd=1/2、d=1/2からd=3/4、及びd=3/4からd=1の4つのセクションに分割される。各セクションの平均値は、各中間層について示されている(中間層関数610については高CTEから低CTEまで711、712、713、714、中間層関数620については高CTEから低CTEまで721、722、723、724)。図からわかるように、これらの平均値の差には上記の関係がある。
【0033】
N=4の事例は、所望の改善を示すために線形中間層と十分に異なるあらゆる中間層に対しても成り立つ。上述の滑らかな関数により近い近似に従う中間層では利点が増加するが、これは中間層の構造要件(例えば、キーイング機構に十分な強度を提供すること)と製造の実用性とのトレードオフになる(例えば、理想的なグレーディング関数はゼロになる傾向があるため、例えば中間層面積の5%、2%、又は1%の最小断面積が必要となる場合がある。そうでなければ結果として得られる構造は達成できないからである)。
【0034】
上記で平均CTEについて説明しているが、これは第1の材料で構成される領域内の中間層の割合に対して線形的に関連していることに留意すべきである。具体的には、
【数3】
ここで、kは第1の材料の体積分率であり、CTE1は第1の材料の熱膨張係数であり、CTE2は第2の材料の熱膨張係数である。したがって、中間層の異なる領域におけるaCTE間のいかなる関係も、その領域における第1の材料の体積分率に(したがって、その領域における第1の材料の平均断面に)同様に適用される。特に、第1の材料が低熱膨張材料である場合、各領域における平均断面積は、第1の表面からの距離と共に減少し、平均断面積の差の関係は、上で定義したaCTEの差の関係と同じになる。
【0035】
第1の構造体を形成するための好適な積層造形方法には、粉体層システム、粉体供給システム及びワイヤ供給システムが含まれる。
【0036】
粉体層システムでは、第1の材料の粉体を作業領域全体にわたって平らにならすことによって粉体層を形成する。エネルギー源(例えばレーザー又は電子ビーム)を使用して、粉体を溶融又は焼結によって各層に必要な形状に結合する。その後、粉体の更なる層を表面全体に平らにならし、このプロセスを繰り返して層ごとに構造体を構築する。
【0037】
代わりに、エネルギー源を用いて粉体をその場で焼結するのではなく、金属結合剤噴射として知られる技術で、結合剤(例えば樹脂)を各層における粉体の必要な領域に塗布することができる。これは「未焼結」部品を形成し、部品はその後、(必要に応じて)結合剤を硬化させ、余分な粉体を除去し、結合した粉体を焼結することによって最終構造に加工することができる。結合剤は、焼結のステップが結合剤の除去もするように選択することができる。すなわち、結合剤が溶けてなくなったり、燃え尽きたりするか、又は例えば化学的に結合剤を除去する追加のステップを含むことができる。焼結構造体への追加の金属の浸透などの更なる後処理ステップを含むことができる。
【0038】
さらに別の代替案として、粉体は、粉体と硬化性結合剤の混合物として提供することができ、結合剤は、樹脂ベースの3D印刷と同等の方法で、各層における必要な領域で選択的に硬化させることができる。この方法は、「金属リソグラフィー」又は「リソグラフィーベースの金属製造」として知られている。このような選択的な硬化は、例えばディスプレイスクリーン又はレーザーを使用して、光重合性樹脂を適切な波長の光に選択的に露光することによって行うことができる。「未焼結」構造体が構築されると、それは上記の金属結合剤噴射技術と同様に処理される。
【0039】
粉体供給システムでは、第1の材料の粉体がノズルを通して構築面に供給され、熱源(例えばレーザー又は電子ビーム)を使用して、塗布されたままの粉体を溶融及び焼結する。次に、ノズルと熱源を構造体に対して移動させ(これにや、ノズルが静止したままで、構造体が移動することが含まれ得る)、プロセスを繰り返して所望の構造体を構築する。
【0040】
ワイヤ供給システムは、原料が粉体ではなく第1の材料のワイヤであることを除いて、粉体供給システムに似ている。ワイヤをワークピースに接触させ、ワイヤの端を(例えば、レーザー又は電子ビームによって)溶かして材料の小さなドットを堆積させ、ワイヤを構造体に対して移動させながらこのプロセスを繰り返す。
【0041】
同様のシステムは、第1の材料を溶融噴射として又は何らかの他の好適な形態で供給することができる。
【0042】
積層造形は、前述した望ましい機械的キーイング及び大きな表面積の特徴を有する中間層のための第1の構造体を形成するための最も有望な技術であるが、中間層を形成するために第2の構造体が設けられるときに、第1の構造体と第2の構造体を分離するには第1の構造体又は第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように第1の構造体及び第2の構造体が形作られるように、鋳造などの他の適切な技術を使用することもできる。
【0043】
第2の材料は、任意の好適な方法によって第1の構造体に充填することができる。例には、鋳造、第2の材料を粉体として提供し、その後焼結すること、第2の材料を固体として提供し、圧力及び熱を加えることによって第1の構造体に強制的に適合させること、又は第1の構造体と同じ積層造形プロセスで第2の構造体を設けることが含まれる。
【0044】
鋳造には、第2の材料を液体として提供することが含まれ、第2の材料はその後、第1の構造体によって残された空間を満たし、適所で凝固することができる。鋳造は、鋳造中の第1の構造体への損傷を避けるために、第2の材料の融点が第1の材料の融点よりも低い場合に適している。
【0045】
第2の材料を粉体として提供する場合、これは同様に、第1の構造体によって残された空間を満たすように作られ、その後、任意の好適な技術、例えば、熱間等方圧加圧(HIP)、冷間等方圧加圧、真空焼結、一軸ホットプレス、真空一軸ホットプレス、又は電場支援焼結技術(FAST)プレスによって第2の構造体を形成するように焼結することができる。
【0046】
第2の材料を固体として提供する場合、これは、圧力と熱を加えることによって強制的に第2の構造体に適合させること、すなわち、第2の材料が第1の構造体に適合して第2の構造体を形成するように、第2の材料の塑性変形を引き起こすことができる。これは、第2の材料が実質的に変化しない第1の構造体の周囲で変形するように、第2の材料が第1の材料よりも変形しやすい場合に特に適している。
【0047】
上記の技術のいずれかを用いて、例えば箔の貼り付け、プラズマ溶射、化学蒸着、又は他の好適な技術によって、最初に第1の構造体の上面に第2の材料の薄い層を設けることによって接合を改善することができる。
【0048】
第2の構造体はまた、第1の構造体と同じ積層造形技術内で提供することができる。粉体層技術の場合、これは、層の特定の領域が第1の材料の粉体を含み、層の他の領域が第2の材料の粉体を含むように各粉体層を提供することによって行うことができ、これにより、粉体層が(溶解、焼結、又は結合剤の塗布によるか否かにかかわらず)結合されるときに第1の構造体及び第2の構造体が一緒に形成される。粉体及びワイヤ供給技術の場合、これは、第1の材料と第2の材料のそれぞれに対して別々の供給を提供するか又は積層造形プロセス中に2つの材料を切り替えることができる単一の供給を提供することによって行うことができる。
【0049】
また、上記の技術のいずれかを用いて、中間層が中間層上に又はその逆にその場で接合される、コンポーネントを形成する方法でそれらを行うことができる。例えば、第2の材料を鋳造するか又は粉体として提供する場合、これは、中間層を超える部分が所望のコンポーネントを形成するように鋳型内で行うことができる。第2の材料を固体として提供し、圧力によって強制的に適合させる場合、この固体は、中間層が対象とするコンポーネントであり得る。第2の材料を積層造形によって構築する場合、積層造形はまた、所望のコンポーネントを形成することができる。
【0050】
このような中間層の特定の使用例の1つは、高い熱流束を受けることが予想されるコンポーネントに冷却装置、例えば、ヒートシンク及び熱交換器を取り付ける場合である。このような例では、中間層は一般に、冷却装置の高熱膨張材料(例えば銅)を、高い熱流束を受けるコンポーネントの低熱膨張材料(例えばタングステン又は他の耐火金属)に接続する。このようなコンポーネントの特定の例は、背景で説明したように、トカマクプラズマチャンバのダイバータである。
【0051】
中間層のための例示的な材料は、第1の材料と第2の材料の両方が金属である場合、例えば、第1の材料が高融点金属又はその合金であり、第2の材料が銅又はその合金である場合を含む。高融点金属は、1850°Cを超える融点を有する元素金属であり、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、レニウム及びチタンを含む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料と第2の材料とを含む中間層の製造方法であって、
第1の表面301を提供することと、
積層造形技術を用いて前記第1の表面上に前記第1の材料から第1の構造体302を形成することと、
前記第1の構造体の形成に続いて、前記第2の材料から第2の構造体303を形成し、前記第2の構造体が前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側で前記第1の構造体に適合し、第2の表面まで延在するようにすることと
を含み、
前記第1の構造体は、前記第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で前記第1の表面に面している少なくとも1つの表面を含み、
前記第1の構造体と前記第2の構造体は共に中間層を形成し、前記第1の構造体と前記第2の構造体は、前記第1の構造体と前記第2の構造体を分離するには前記第1の構造体又は前記第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られる、方法。
【請求項2】
前記積層造形技術は、粉体層技術であって、
前記第1の表面上に前記第1の材料の粉体の層を提供することと、
前記粉体の層の一部を結合して前記第1の構造体の一部を形成することと、
焼結した粉体の上に粉体の更なる層を提供することと、
粉体の更なる層を結合するステップと粉体の更なる層を提供するステップとを繰り返して前記第1の構造体を形成することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉体の層の一部を結合するステップは、レーザー又は電子ビームを用いて粉体に熱を与えることによって前記粉体の層の一部を溶融又は焼結することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉体の層の一部を結合するステップは、
前記粉体の層の一部に結合剤を塗布すること、又は
前記結合するステップの前に前記粉体の層の一部に結合剤が存在する場合に、前記結合剤を選択的に硬化させること
のうちの1つを含み、
前記積層造形技術はさらに、すべての更なる層を結合するステップと更なる層を提供するステップの完了後に前記粉体の層の一部を焼結して前記第1の構造体を形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料は、前記第2の材料よりも高い融点を有し、前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を液体として提供することと、前記第2の材料を前記第1の構造体上に流すことと、前記第2の材料を凝固させることとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を粉体として提供することと、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に前記粉体を充填することと、前記粉体を焼結することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の構造体を形成するステップは、前記第2の材料を固体として提供することと、前記第2の材料が前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側の形状に適合するのに十分な圧力で、前記第2の材料を前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に押し付けることとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の層を形成するステップは、前記第2の構造体の残りの部分を形成する前に、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側に前記第2の材料の層を塗布することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の材料の層は、
前記第2の材料の箔の前記表面への貼り付け、
物理蒸着、又は
化学蒸着
のうちの1つによって塗布される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な少なくとも1つの方向に繰り返される周期的な構造体である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な断面を有し、前記第1の構造体の前記断面は、前記第1の表面から前記中間層の厚さを通して単調に減少するように変化する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の構造体の前記断面を、前記中間層を通る深さに関連付ける関数は、
一次関数、
シグモイド関数、
多項式関数、又は
三乗関数
のうちの1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の構造体は、それぞれの平均熱膨張係数(aCTE)が前記中間層の厚さの1/4にわたる、前記第1の材料と前記第2の材料の体積分率によって重み付けされた、前記第1の材料と前記第2の材料の平均熱膨張係数であるように定義される、第1のaCTE、第2のaCTE、第3のaCTE及び第4のaCTEを有し、
前記第1のaCTEは、前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面から定められ、
前記第2のaCTEは、前記中間層の厚さの中間点から前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面に向かって定められ、前記第1のaCTEよりも小さく、
前記第3のaCTEは、前記中間層の中間点から前記第1の表面に向かって定められ、前記第2のaCTEよりも小さく、
前記第4のaCTEは、前記第1の表面から定められ、前記第3のaCTEよりも小さく、
前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差は前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差よりも大きく、前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差よりも大きく、又は
前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は、前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差と前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差の両方よりも大きく、
各aCTEは、式
【数4】
によって前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率に関連付けられ、kは前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率であり、CTE1は前記第1の材料の熱膨張係数であり、CTE2は前記第2の材料の熱膨張係数である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の構造体は、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面によって囲まれた点の軌跡、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の一定距離内の点の軌跡、又は
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の可変距離内の点の軌跡であって、前記可変距離は前記中間層内の位置によって決まる関数によって定義されるもの
のうちの1つの形状を有する、請求項に記載の方法。
【請求項15】
第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとを接合するための中間層であって、前記中間層は、
第1の表面及び第2の表面と、
第1の材料から形成され、前記第1の表面から延在する第1の構造体であって、前記第1の表面と接触しておらず、90度より小さい角度で前記第1の表面に面している少なくとも1つの表面を有する第1の構造体と、
第2の材料から形成された第2の構造体であって、前記第2の表面まで延在し、前記第1の構造体の前記第1の表面とは反対の側で前記第1の構造体に適合する第2の構造体と
を含み、
前記第1の構造体と前記第2の構造体は共に中間層を形成し、前記第1の構造体と前記第2の構造体は、前記第1の構造体と前記第2の構造体を分離するには前記第1の構造体又は前記第2の構造体の一方又は両方を変形する必要があるように形作られ
前記中間層は請求項1に記載の方法によって形成される、中間層。
【請求項16】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な少なくとも1つの方向に繰り返される周期的な構造体である、請求項15に記載の中間層。
【請求項17】
前記第1の構造体は、前記第1の表面に平行な断面を有し、前記第1の構造体の前記断面は、前記第1の表面から前記中間層の厚さを通して単調に減少するように変化する、請求項15に記載の中間層。
【請求項18】
前記第1の構造体の前記断面を、前記中間層を通る深さに関連付ける関数は、
一次関数、
シグモイド関数、
多項式関数、又は
三乗関数
うちの1つである、請求項17に記載の中間層。
【請求項19】
前記第1の構造体は、それぞれの平均熱膨張係数(aCTE)が前記中間層の厚さの1/4にわたる、前記第1の材料と前記第2の材料の体積分率によって重み付けされた、前記第1の材料と前記第2の材料の平均熱膨張係数であるように定義される、第1のaCTE、第2のaCTE、第3のaCTE及び第4のaCTEを有し、
前記第1のaCTEは、前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面から定められ、
前記第2のaCTEは、前記中間層の厚さの中間点から前記第1の表面の反対側の前記中間層の表面に向かって定められ、前記第1のaCTEよりも小さく、
前記第3のaCTEは、前記中間層の中間点から前記第1の表面に向かって定められ、前記第2のaCTEよりも小さく、
前記第4のaCTEは、前記第1の表面から定められ、前記第3のaCTEよりも小さく、
前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差は前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差よりも大きく、前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差よりも大きく、又は
前記第2のaCTEと前記第3のaCTEとの差は、前記第1のaCTEと前記第2のaCTEとの差と前記第3のaCTEと前記第4のaCTEとの差の両方よりも大きく、
各aCTEは、式
【数4】
によって前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率に関連付けられ、kは前記中間層内の前記第1の構造体の体積分率であり、CTE1は前記第1の材料の熱膨張係数であり、CTE2は前記第2の材料の熱膨張係数である、請求項17に記載の中間層。
【請求項20】
前記第1の構造体は、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面によって囲まれた点の軌跡、
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の一定距離内の点の軌跡、又は
前記中間層の境界内の三重周期最小表面の可変距離内の点の軌跡であって、前記可変距離は前記中間層内の位置によって決まる関数によって定義されるもの
のうちの1つの形状を有する、請求項15に記載の中間層。
【国際調査報告】