(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】非動物ベースのホールカット食品
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20240326BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240326BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240326BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240326BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20240326BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20240326BHJP
A23L 17/40 20160101ALI20240326BHJP
A23J 3/24 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23J3/14
A23J3/16
A23L13/00 Z
A23L13/60 B
A23L17/00 Z
A23L17/40 Z
A23J3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563922
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022025620
(87)【国際公開番号】W WO2022226106
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514009867
【氏名又は名称】インポッシブル フーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ブーレ-オデ,マクシム
(72)【発明者】
【氏名】ハタエヴィチ, ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】リー,シン
(72)【発明者】
【氏名】ナザリ-ナスラバード,ベザット
(72)【発明者】
【氏名】ゴイズエタ,イネス レサノ
(72)【発明者】
【氏名】ソロマティン,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フイ
(72)【発明者】
【氏名】コーン,エリシア
(72)【発明者】
【氏名】グレスウェル,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】プルショタマン,ソウミャ
(72)【発明者】
【氏名】ワイソング,ケルシー
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AC09
4B042AC10
4B042AD36
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK13
4B042AP18
4B042AP30
(57)【要約】
動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品が記載される。実施形態では、食品は、整列した繊維の群を含み得、繊維は、約500μm以下の平均繊維直径を有し、繊維は、非動物ベースのタンパク質を含む。食品はまた、整列した繊維の群の少なくとも一部の間の間隙空間に少なくとも1つの結合剤を含み得る。追加の実施形態では、食品は、三次元多孔質構造を有する1つ以上の膜を有する足場を含み得、足場は、1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含む。これらの食品はまた、足場内の1つ以上の細孔を充填するゲル化剤を含み得、ゲル化剤は、水、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質、及び少なくとも1つの非動物ベースの多糖類を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品であって、
整列した繊維の群であって、前記繊維が約500μm以下の平均繊維直径を有し、前記繊維が非動物ベースのタンパク質を含む、整列した繊維の群と、
前記整列した繊維の群の少なくとも一部の間の間隙空間内の少なくとも1つの結合剤と、を含む、非動物ベースの食品。
【請求項2】
前記整列した繊維の群が、動物の筋肉における筋線維と同様の配向で配置されている、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記食品が、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質及び少なくとも1つの多糖類を含む追加の繊維の群を含み、前記追加の繊維の群が、動物の筋肉内の結合組織を模倣するように前記食品中に配置されている、請求項1に記載の食品。
【請求項4】
前記少なくとも1つの多糖類が、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロースからなる群から選択される、請求項3に記載の食品。
【請求項5】
前記食品が、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質及び少なくとも1つの非動物ベースの脂質を含む追加の構造の群を含み、前記追加の構造の群が、動物の筋肉内の脂肪組織を模倣するように前記食品内に配置されている、請求項1に記載の食品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非動物ベースの脂質が、ヒマワリ油及びヤシ油からなる群から選択される、請求項5に記載の食品。
【請求項7】
前記繊維の群内の前記非動物ベースのタンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を含む、請求項1に記載の食品。
【請求項8】
少なくとも1つの鉄含有タンパク質を更に含む、請求項1に記載の食品。
【請求項9】
動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品であって、
三次元多孔質構造を有する1つ以上の膜を有する足場であって、前記足場が1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含む、足場と、
前記足場内の1つ以上の細孔を充填するゲル化剤であって、前記ゲル化剤が、水、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質、及び少なくとも1つの非動物ベースの多糖類を含む、ゲル化剤と、を含む、非動物ベースの食品。
【請求項10】
前記足場の前記1つ以上の膜が、第1の方向に整列した第1の膜の群と、前記第1の膜の群と連結する第2の架橋膜の群とを含む、請求項9に記載の食品。
【請求項11】
前記足場内の前記1つ以上の非動物ベースのタンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を含む、請求項9に記載の食品。
【請求項12】
前記ゲル化剤中の前記少なくとも1つの非動物ベースの多糖類が、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロースからなる群から選択される少なくとも1つの多糖類を含む、請求項9に記載の食品。
【請求項13】
前記ゲル化剤が、酵素的架橋剤、乳化剤、鉄含有タンパク質、及び非動物ベースの脂質からなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物を更に含む、請求項9に記載の食品。
【請求項14】
前記非動物ベースの食品が、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、及び甲殻類からなる群から選択される動物由来のホールカット肉を模倣する、請求項9に記載の食品。
【請求項15】
動物由来の肉の調理されたホールカットを模倣する調理された非動物ベースの食品を作製する方法であって、
生の食品を調理器具に提供することであって、前記生の食品が、繊維又は膜足場を含む1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含み、前記繊維又は前記膜足場が、実質的に整列した長手方向によって特徴付けられる、提供することと、
前記調理器具を用いて前記生の食品を加熱して前記調理された食品を作製することであって、前記調理された食品が、前記生の食品と比較して約10体積%以上の体積減少によって特徴付けられる、加熱することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記生の食品は、前記調理された食品を作製するために、前記生の食品が加熱されるときに溶解する追加の繊維又は膜を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生の食品が、約145°F以上の内部温度に加熱されて前記調理された食品を作製する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記調理された食品が、前記生の食品の噛み応えよりも大きい噛み応えによって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記調理された食品が、前記繊維又は前記膜足場の前記長手方向に沿った剪断力より大きいか又は約2倍である、前記繊維又は前記膜足場の前記長手方向を横切る剪断力によって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記調理された非動物ベースの食品が、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、及び甲殻類からなる群から選択される動物由来の肉のホールカットを模倣する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月20日に出願された米国仮出願第63/177,153号の非仮出願であり、それに対する優先権の利益を請求し、その内容全体は、全ての目的において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、非動物ベースの食品に関する。より具体的には、本技術は、動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品に関する。
【背景技術】
【0003】
生活水準が世界中で改善されるにつれて、動物ベースの食品の他のカテゴリーの中でも、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、及び甲殻類などの動物ベースの食品に対する需要が対応して増加している。残念ながら、動物ベースの食品に対する需要のこの増加は、多くの環境的及び倫理的課題を生み出してきた。これらの課題としては、とりわけ、動物の排泄物及び温室効果ガスによる汚染の増加、動物を飼育するための農地及び緑地の更なる併合、湖及び海の乱獲、並びに動物の過密状態が挙げられる。これらの課題によっても、消費者の需要は減少しておらず、動物ベースの肉製品の生産の更なる増加は、魅力的な非動物ベースの代替物なしには不可避であるように思われる。
【0004】
したがって、動物ベースの肉製品を食べる経験をより厳密に模倣する、より良い非動物ベースの食品が必要とされている。これら及び他のニーズを、本技術によって対処するものである。
【発明の概要】
【0005】
本技術は、動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品を含む。食品は、約500μm以下の平均繊維直径を有し得る整列した繊維の群を含み得る。繊維は、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質を含み得る。食品はまた、整列した繊維の群の少なくとも一部の間の間隙空間に少なくとも1つの結合剤を含み得る。
【0006】
追加の実施形態では、整列した繊維の群は、動物の筋肉における筋線維と同様の配向で配列され得る。更なる実施形態では、食品は、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質及び少なくとも1つの多糖類を含む追加の繊維の群を含み得、追加の繊維の群は、動物の筋肉内の結合組織を模倣するように食品中に配置され得る。なおも更なる実施形態では、多糖類は、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロースから選択され得る。更に追加の実施形態では、追加の構造の群は、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質及び少なくとも1つの非動物ベースの脂質を含み、追加の構造の群は、動物の筋肉内の脂肪組織を模倣するように食品中に配置され得る。実施形態では、非動物ベースの脂質は、ヒマワリ油及びヤシ油からなる群から選択され得る。他の実施形態では、食品の繊維中の非動物ベースのタンパク質は、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質から選択され得る。更に他の実施形態では、食品は、少なくとも1つの鉄含有タンパク質を更に含み得る。
【0007】
本技術は、動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品の追加の実施形態を更に含む。これらの食品は、三次元多孔質構造を有する1つ以上の膜を有する足場を含み得、足場は、1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含む。食品はまた、足場の1つ以上の孔を充填するゲル化剤を含み得る。ゲル化剤は、水、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質、及び少なくとも1つの非動物ベースの多糖類を含み得る。更なる実施形態では、ゲル化剤は、水及び少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質又は少なくとも1つの非動物ベースの多糖類を含み得る。
【0008】
追加の実施形態では、足場は、第1の方向に整列した第1の膜の群と、第1の膜の群と連結する第2の架橋膜の群とを含み得る。更なる実施形態では、足場中の1つ以上の非動物ベースのタンパク質は、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質から選択される少なくとも1つのタンパク質を含み得る。なおも更なる実施形態では、ゲル化剤中の少なくとも1つの非動物ベースの多糖類は、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロースから選択される少なくとも1つの多糖類を含み得る。更に追加の実施形態では、ゲル化剤は、酵素架橋剤、乳化剤、鉄含有タンパク質、及び非動物ベースの脂質から選択される少なくとも1つの追加の化合物を更に含み得る。他の実施形態では、非動物ベースの食品は、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、及び甲殻類から選択される動物由来の肉のホールカットを模倣し得る。
【0009】
本技術はまた、動物由来の肉の調理されたホールカットを模倣する調理された非動物ベースの食品を作製する方法を含む。本方法は、生の食品を調理器具に提供することを含み得、生の食品は、繊維又は膜足場であり得る1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含む。繊維又は膜足場は、実質的に整列した長手方向によって特徴付けられ得る。本方法はまた、調理器具を用いて生の食品を加熱して調理された食品を作製することを含み得る。調理された食品は、生の食品と比較して約10体積%以上の体積減少によって特徴付けられ得る。
【0010】
追加の実施形態では、生の食品は、生の食品が加熱されるときに溶解して食品を作製するための追加の繊維又は膜を更に含み得る。更なる実施形態では、生の食品は、約145°F以上の内部温度に加熱されて調理された食品を作製し得る。なおも更なる実施形態では、調理された食品は、生の食品の噛み応えよりも大きい噛み応えによって特徴付けられ得る。更に追加の実施形態では、調理された食品は、繊維又は膜足場の長手方向に沿った剪断力より大きいか又は約2倍である、繊維又は膜足場の長手方向を横切る剪断力によって特徴付けられ得る。他の実施形態では、調理された非動物ベースの食品は、牛肉、豚肉、ラム肉、鶏肉、魚、及び甲殻類から選択される動物由来のホールカット肉を模倣する。
【0011】
本技術は、伝統的な動物ベースの肉製品及び動物ベースの肉製品のための従来の野菜代用品を超える、多くの利益を提供する。本発明の非動物ベースの食品は、家畜、家禽、魚、又は甲殻類を動物ベースの肉製品に養殖及び加工することと関連する環境的及び倫理的問題を生じさせずに、動物肉のホールカットを模倣する。例えば、本発明の食品に組み込まれる非動物ベースのタンパク質及び他の成分は、持続可能かつ倫理的な農業慣行によって栽培される農作物から作製され得る。加えて、本技術は、動物ベースの肉製品のホールカットにおける品質とほぼ同一である、味、風味、芳香、匂い、色、テクスチャ、噛み応え、及び口当たりなどの1つ以上の感覚刺激特性によって特徴付けられ得る、非動物ベースの食品を提供する。本技術のこれら及び他の実施形態は、その利点及び特徴の多くとともに、以下の本文及び添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
開示される技術の性質及び利点の更なる理解は、本明細書及び図面の残りの部分を参照することによって実現され得る。
【
図1】動物ベースの肉の単純化された概略図を示す。
【
図2】実施形態による繊維含有非動物ベースの食品の写真を示す。
【
図3A】実施形態による足場含有非動物ベースの食品の写真を示す。
【
図3B】追加の実施形態による足場含有非動物ベースの食品の写真を示す。
【
図4】実施形態による非動物ベースの食品のための繊維を作製するためのシステムの簡略図を示す。
【
図5】実施形態による非動物ベースの食品のための食品足場を作製するためのシステムの簡略図を示す。
【
図6A】実施形態による繊維含有非動物ベースの基材の写真を示す。
【
図6B】実施形態による赤肉を模倣した非動物ベースの食品の写真を示す。
【
図7A】実施形態による非動物ベースの足場の写真を示す。
【
図7B】実施形態による赤肉を模倣した非動物ベースの食品の写真を示す。
【
図8A】実施形態による円形繊維を含む非動物ベースの食品のSEM画像を示す。
【
図8B】実施形態による円形繊維を含む非動物ベースの食品の別のSEM画像を示す。
【
図9A】実施形態によるリボン状繊維を含む非動物ベースの食品のSEM画像を示す。
【
図9B】実施形態によるリボン状繊維を含む非動物ベースの食品の別のSEM画像を示す。
【
図10A】実施形態による食品足場を含む非動物ベースの食品のSEM画像を示す。
【
図10B】追加の実施形態による食品足場を含む非動物ベースの食品の別のSEM画像を示す。
【
図11A】実施形態による不規則な表面繊維を含む非動物ベースの食品のSEM画像を示す。
【
図11B】実施形態による相互連結ウェブを有する不規則な表面繊維を含む非動物ベースの食品の別のSEM画像を示す。
【0013】
図面のいくつかは概略図として含まれている。図面は例示を目的としたものであり、特に縮尺通りであると述べられていない限り、縮尺通りであると考えられるべきではないことを理解されたい。加えて、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較して全ての態様又は情報を含むわけではない場合があり、例示目的で誇張された材料を含む場合がある。
【0014】
添付の図面において、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。更に、同じタイプの様々な構成要素は、類似の構成要素を区別する文字を参照ラベルの後に続けることによって区別され得る。第1の参照ラベルだけが本明細書で使用される場合、文字にかかわらず、その説明を同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のうちのいずれか1つに適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本技術は、動物由来の肉のホールカットの感覚刺激特性を模倣する非動物ベースの食品を包含する。動物肉のホールカットの官能特性を再現することは、非動物ベースの成分では困難であることが証明されている。通常柔らかい均一なテクスチャを有するひき肉とは対照的に、多くの肉のホールカットは、非動物ベースの食品において再現することがより困難である複雑で不均一なテクスチャを有する。例えば、ステーキのような牛肉のホールカットは、分離がステーキ中の筋繊維の粒の方向に生じるかどうかに依存して、異なる剪断力で分離する。別の例では、魚のホールカットは、引張力が1つの方向に加えられたときにばらばらになり得るが、引張力が別の方向に加えられたときに弾性的に伸張する。
【0016】
非動物ベースの食品中においてこれらの筋繊維粒を再現することは、非動物ベースの材料中の筋繊維のサイズ及び配置を模倣するという課題を含め、多くの理由で困難である。動物の筋繊維は、植物及び真菌などのほとんどの非動物に見られる繊維と同じサイズ及び配置を有しておらず、したがって、非動物ベースの食品の味を単に動物肉により似せることによって動物肉を模倣することは不可能である。更に、動物の肉における筋繊維は、しばしば、結合組織及び脂肪組織を含む追加の種類の組織と一体化されている。動物ベースの肉を模倣しようとする非動物ベースの食品は、模倣された筋線維をこれらの追加の組織の模倣されたバージョンと一体化するという追加の課題に直面する。
【0017】
非動物ベースの類似物を、動物ベースの肉のホールカットに調理する場合、追加の課題が生じる。動物ベースの肉のホールカットにおける筋繊維及び他のタイプの組織の配置、サイズ、及び材料は、非動物ベースの食品において再現することが困難な、調理された肉に特徴付けられるテクスチャ、咀嚼性、及び口当たりを付与する。例えば、多くの非動物ベースの果物及び野菜は、調理されたときに柔らかくなり、柔らかいテクスチャを発達させる傾向がある一方で、多くの動物ベースの肉は、調理されたときに固くなり、咀嚼性の増加を発達させる傾向がある。したがって、動物肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品を開発するためには、非動物ベースの食品が調理されるときに、調理された食品のテクスチャ、噛み応え、口当たり、及び他の官能特性を再現することを更に必要とする。
【0018】
本技術は、動物ベースの肉のホールカットを模倣しようとする非動物ベースの食品を用いて、これら及び他の課題に対処する。本技術の実施形態は、動物ベースの肉における筋繊維を模倣するサイズ及び配列を有する繊維の1つ以上の群を含む非動物ベースの食品を含む。更なる実施形態では、非動物ベースの食品は、結合組織及び脂肪組織などの動物ベースの肉における追加の種類の組織を模倣する1つ以上の追加のタイプの繊維又は他の構造を含み得る。繊維と追加の結合剤及び風味成分との組み合わせは、本発明の非動物ベースの食品において、動物ベースの肉のホールカットを模倣する。本技術の実施形態はまた、動物ベースの肉における筋肉組織の配置を模倣する三次元多孔質構造を形成する非動物ベースの成分から作製された膜の足場を含む非動物ベースの食品を含む。非動物ベースの足場は、動物ベースの製品のホールカットの感覚刺激特性を模倣する非動物ベースの食品を一緒に形成する追加の成分を注入され得る。
【0019】
本技術はまた、動物由来の肉の調理されたホールカットを模倣する調理された非動物ベースの食品を作製する方法の実施形態を含む。これらの方法は、動物肉のホールカットの調理特性に類似した調理特性によって特徴付けられる非動物ベースの食品に対する消費者の要望に対処するものである。これは、調理によってもたらされる動物ベースの肉の変化を模倣する、調理される非動物ベースの食品の生の形態の変化を含む。動物ベースの肉のホールカットを模倣する本発明の非動物ベースの食品のこれら及び他の特徴を、図面を用いて以下で更に説明する。
【0020】
図1は、本発明の非動物ベースの食品の実施形態が模倣する動物ベースの肉のホールカット100内の選択された要素を示す。ホールカット100は、他のタイプの組織の中でも、筋繊維組織102、結合組織104、及び脂肪組織106を含む。筋肉組織は、群として配置され得る筋線維110と呼ばれる個々の筋線維によって特徴付けられる骨格筋組織を含み得る。筋線維110は、約20μm以上かつ約200μm以下の範囲を含み得る平均断面直径によって特徴付けられ得る。繊維の平均長さは、それらの直径を大きく超えてもよく、約1mm以上、又はそれ以上の範囲を含み得る。ホールカット100に示される実施形態では、筋線維110の群は、実質的に平行な整列で一緒に配置され、筋周囲結合組織112の層によって取り囲まれて、繊維束114を形成する。繊維束114中の筋線維110の数は、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、約50以上、約100以上、約250以上、約500以上、約1000以上、約1500以上、約2000以上、約5000以上、約10000以上、約15000以上、約18000以上、約20000以上、又はそれ以上であり得る。繊維束114の断面直径は、約500μm以上、約1000μm以上、約2500μm以上、約5000μm以上、約7500μm以上、約10000μm以上、又はそれ以上であり得る。ホールカット100に示される実施形態では、繊維束114のような繊維束の群は、結合組織116の別の層とともに更に束ねられて、繊維束120を形成し得る。一緒に束ねられた束の数は、約2以上、約3以上、約4以上、約5以上、約10以上、約25以上、約50以上、約100以上、約250以上、約500以上、約750以上、約1000以上、又はそれ以上であり得る。一実施形態では、筋線維組織102は、約70~80重量%の水、約15~25重量%のタンパク質、約5~10重量%の脂肪、約0.5~5重量%の炭水化物、及び約0~5重量%の他の成分を含み得る。これらの他の成分には、有機酸、硫黄化合物、アミノ酸及びヌクレオチドなどの窒素化合物、並びにミネラルなどの無機物質が含まれ得る。
【0021】
動物ベースの肉のホールカット100は、筋繊維組織102と一体化された結合組織104を更に含み得る。結合組織104は、ホールカット100全体における筋線維110及び繊維束114などの他の組織を束ねて一緒に保持することができる。結合組織の例としては、他のタイプの結合組織繊維の中でも、コラーゲン繊維及びエラスチン繊維が挙げられる。これらの結合組織繊維は、約1μm以上、約20μm以下の範囲を含み得る平均断面直径によって特徴付けられ得る。動物肉が調理されるとき、結合組織の少なくとも一部が加水溶解して、調理された肉中の繊維の整列を再構成することができる。追加の実施形態では、断裂を架橋する個々の繊維は結合組織を模倣することができ、一方、繊維の束は除脂肪組織を模倣することができる。
【0022】
動物ベースの肉のホールカット100はまた、筋繊維組織102と一体化された脂肪組織106を含み得る。脂肪組織106は、結合組織104の膜によって脂質の構造化リザーバ内に配置され得る1つ以上の脂肪細胞118を含み得る。個々の脂肪細胞118は、約20μm以上及び約500μm以下の範囲を含み得る平均直径によって特徴付けられ得る。動物肉が調理されると、脂肪細胞118の少なくとも一部は液化及び加水溶解して、調理された肉の中に脂肪及び油を放出することができる。実施形態では、脂肪組織106の収縮、融解、若しくは溶解、及び/又はホールカット100からの蒸発若しくは漏出による水分損失は、開始生肉と比較して、調理された肉の体積を減少させ得る。調理されたホールカット100の体積収縮は、約1体積%以上、約5体積%以上、約10体積%以上、約15体積%以上、約20体積%以上、又はそれ以上であり得る。
【0023】
図2及び
図3A~
図3Bは、
図1において上述したような動物ベースの肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品の実施形態を示す。
図2において示される実施形態は、動物ベースの肉のホールカットの構造を模倣するための繊維を含む非動物ベースの食品200に関するものである。
図3A~
図3Bにおいて示される実施形態は、動物ベースの肉のホールカットの構造を模倣するために膜足場及びゲル化剤を使用する非動物ベースの食品300及び350に関するものである。これらの実施形態などにおいて、食品ベースの成分は、筋肉組織、結合組織、及び脂肪組織のうちの1つ以上を、動物ベースの肉におけるそれらの組織の組織化に近似する様式で模倣する。これらの実施形態などにおいて、非動物ベースの食品は、動物ベースの肉のホールカットの感覚刺激特性を模倣する。実施形態では、非動物ベースの食品のこれらの感覚刺激特性は、他の感覚刺激特性の中でもとりわけ、外観、形状、質感、芳香、匂い、色、口当たり、密度、こく、風味、塩味、硬度、凝集性、脆さ、歯ごたえ、弾力性(springiness)、ゴム質(gumminess)、粘度、弾力性(elasticity)、付着性、柔らかさ(softness)、堅さ、砕けやすさ、クランチ性、脆さ、柔らかさ(tenderness)、靭性、粉質、ペースト質、可塑性、弾力性(elasticity)、ゴム質(rubberiness)、粘着性(stickiness)、粘着性(tackiness)、粘着性(gooeyness)、ざらつき、粒状性、粗さ、繊維質、筋質、多孔質、結晶性、乾燥、湿り気、湿潤性、水っぽさ、血生臭さ(bloodiness)、油性、脂質、及び油っぽさなどの1つ以上の感覚刺激品質及び特徴を含み得る。
【0024】
図2は、本技術の実施形態による、動物由来の肉のホールカットを模倣する非動物ベースの食品200の実施形態を示す。非動物ベースの食品200は、製品200の第1の端部から第1の端部の反対側の第2の端部に延在する一群の整列した繊維202を含む。実施形態では、非動物ベースの食品の整列した繊維は、約10mm以上、約20mm以上、約30mm以上、約40mm以上、約50mm以上、約60mm以上、約70mm以上、約80mm以上、約90mm以上、約100mm以上、約125mm以上、約150mm以上、約175mm以上、約200mm以上、約225mm以上、約250mm以上、約275mm以上、約300mm以上、又はそれ以上の平均長さによって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、整列した繊維は、巻き付いて非動物ベースの食品を形成する1つ以上の連続繊維を含み得る。実施形態では、1つ以上の連続繊維は、約100mm以上、約250mm以上、約500mm以上、約750mm以上、約1000mm以上、又はそれ以上の繊維長を特徴とし得る。
【0025】
整列した繊維202は、
図2に示される実施形態では、約100μmの平均繊維直径を有する。追加の実施形態では、整列した繊維は、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約50μm以上、約60μm以上、約70μm以上、約80μm以上、約90μm以上、約100μm以上、約150μm以上、約200μm以上、約250μm以上、約300μm以上、約350μm以上、約400μm以上、約450μm以上、又はそれ以上の平均直径を特徴とし得る。一方、整列した繊維は、動物の骨格筋における筋線維の平均繊維直径を有意に超えない平均繊維直径によって特徴付けられ得る。更なる実施形態では、非動物ベースの食品中の整列した繊維は、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約175μm以下、約150μm以下、約140μm以下、約130μm以下、約120μm以下、約110μm以下、約100μm以下、又はそれ未満の平均繊維直径によって特徴付けられ得る。
【0026】
実施形態では、整列した繊維202における個々の繊維は、ほぼ均一な断面直径を有してもよく、又は2つ以上の直径の分布を有してもよい。追加の実施形態では、個々の繊維は、約1μm以上、約10μm以上、約50μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約500μm以上、約1000μm以上、約2500μm以上、約5000μm以上、約7500μm以上、約10,000μm以上、又はそれ以上の半値全幅(full-width-half-maximum、FWHM)を有する多峰性分布を有し得る。追加の実施形態では、断面繊維直径の多峰性分布は、動物ベースの肉における筋線維の同じサイズ分布を模倣し得る。
【0027】
整列した繊維202は、1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含み得る。実施形態では、非動物ベースのタンパク質は、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質のうちの1つ以上を含み得る。追加の実施形態では、非動物ベースのタンパクは、リボソームタンパク、翻訳伸長因子、ヘキソキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、フルクトースビスリン酸アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホグリセレートムターゼ、エノラーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(rubisco)、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシレートオキシゲナーゼアクチバーゼ(rubiscoアクチバーゼ)、他の酵素、アクチン、アルブミン、アベニン、コングリシニン、コンビシリン、クルシフェリン、ヂヒドリン、エクステンシン、グリアジン、グロブリン、グルテリン、グルテン、グルテニン、グリシニン、糖タンパク質、ホルデイン、カフィリン、レグミン、ナピン、パタチン、ファゼオリン、植物性脂肪輸送タンパク、プロラミン、プロテイノプラスト、セカリン、トリチセアエ(triticeae)グルテン、ビシリン、ゼイン、種子貯蔵タンパク、オレオシン、caloleosins、ステロエオシン、他の油体タンパク、栄養貯蔵タンパクA、栄養貯蔵タンパクB、及び植物、種子、藻類、細菌、又は真菌から選択される1つ以上のタンパクを含み得る。更なる実施形態では、非動物ベースのタンパク質は、非動物源(例えば、植物、種子、藻類、細菌、又は真菌)からのタンパク質の抽出中に除去されない非動物ベースの成分を更に含み得る。これらの追加成分としては、他の非除去成分の中でも、デンプン、糖、可溶性又は不溶性繊維、フィトステロイド、ステロール(例えば、フィトステロール、エルゴステロール)、カロテノイド、クロロフィル、葉緑体、核酸、油、脂肪、及びセルロースを挙げることができる。なおも更なる実施形態では、整列した繊維202に組み込まれる非動物ベースのタンパク質は、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約99重量%以上、又はそれ以上の乾燥重量百分率のタンパク質によって特徴付けられ得る。
【0028】
実施形態では、整列した繊維202は、1つ以上の多糖類を更に含み得る。これらの多糖類の例としては、他の多糖類の中でも、アルギネート、コンニャク、カードラン、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、及びペクチンが挙げられる。追加の例としては、他の多糖類の中でも、フェクラ、アロールート、コーンスターチ、カタクリデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、加工食用デンプン、マルトデキストリン、サゴ、タピオカ、アルギニン、グアーガム、キサンタンゴム、フルセララン、寒天、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アカシアゴム、食物繊維(例えば、可溶性繊維、不溶性繊維)、及びアミロペクチンが挙げられる。更なる実施形態では、整列した繊維202は、約20重量%以下、約18重量%以下、約15重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満である重量百分率の1つ以上の多糖類を含み得る。
【0029】
図2に示す実施形態では、整列した繊維202は、中実の丸い断面形状を有し、丸い形状は、円形及び楕円形の断面形状の一方又は両方を含むことができる。追加の実施形態(図示せず)では、整列した繊維は、他の断面形状の中でも、三角形形状、多葉形形状、中空形状、凹形状を有し得る。更に追加の実施形態では、整列した繊維は、切断された食品全体における1つ以上の感覚刺激特性を強調又はブレンドするために、2つ以上の形状の繊維を含み得る。整列した繊維202の中実の丸い形状は、繊維間の摩擦の量が低減され、繊維が互いに擦れるときに生成され得る繊維のほつれ及び破断がより少ないことによって特徴付けられ得る。これらの整列した繊維202から作られたホールカットは、製品の形状、質感、及び他の機械的特性のより大きい保持によって特徴付けられ得る。マルチローバル形状の繊維を含む実施形態では、ホールカットは、加熱及び圧縮されたときの汁のより大きい放出によって特徴付けられ得る。中空形状の繊維を含む実施形態では、ホールカットは、繊維が剪断されたときの汁の放出の増加によって特徴付けられ得る。三角形の繊維を含む実施形態では、ホールカットは、増加した光沢及びより明るい色によって特徴付けられ得る。凹形状の繊維を含む実施形態では、ホールカットは、増加した色の濃さ及び食品における不均一性の外観の減少によって特徴付けられ得る。
【0030】
実施形態では、整列した繊維は、より大きい別個の繊維束として群形成され得る。これらの繊維束は、とりわけ、牛肉、豚肉、ラム肉、及び鶏肉などの多くのタイプの動物ベースの肉の多くのタイプの繊維性筋繊維組織に見られる繊維束を模倣することができる。更なる実施形態では、繊維束は、約5以上の繊維、約10以上の繊維、約15以上の繊維、約20以上の繊維、約25以上の繊維、約30以上の繊維、約40以上の繊維、約50以上の繊維、約100以上の繊維、約200以上の繊維、約300以上の繊維、約400以上の繊維、約500以上の繊維、約1000以上の繊維、約5000以上の繊維、約10,000以上の繊維、約15,000以上の繊維、又はそれ以上の束における個々の繊維の平均繊維数によって特徴付けられ得る。なおも更なる実施形態では、繊維束は、約500μm以上、約1000μm以上、約2000μm以上、約3000μm以上、約4000μm以上、約5000μm以上、約6000μm以上、約7000μm以上、約8000μm以上、約9000μm以上、約10,000μm以上、又はそれ以上の平均断面直径を特徴とし得る。繊維束の断面直径を使用して、食品の官能特性を操作することができる。例えば、繊維束の増加した断面直径は、切断された食品製品全体により大きい粒径を与えることができ、また、製品に増加した剪断強度を与えることができる。繊維束の減少した断面直径は、食品により多くの柔らかさ又は均質な感覚刺激特性を与え得る。
【0031】
追加の実施形態では、繊維束は、単一方向に整列されてもよく、又は2つ以上の方向に整列されてもよい。なおも更なる実施形態では、繊維束は、約10°以上、約20°以上、約30°以上、約40°以上、約50°以上、約60°以上、約70°以上、約80°以上の範囲の半値全幅(FWHM)を有する配列の多峰性分布を有し得る。繊維束がほぼ均一に整列しているホールカットの実施形態では、ホールカットの異方性が高く、繊維束の長軸に対して垂直に剪断されたときに、カットに粒子の明確な断面外観を与える。繊維束の整列において広い分布が存在するホールカットの追加の実施形態では、カットは、動物ベースの肉における筋繊維組織の外観を呈し得る。
【0032】
食品200はまた、整列した繊維202を一緒に保持し、クロスグレイン相互連結性を提供する結合剤を含み得る。実施形態では、結合剤マトリックスは、整列した繊維202の間の間隙空間の少なくとも一部を占め得る。更なる実施形態では、結合剤は、タンパク質又は多糖などの1つ以上の主要栄養素を含み得る。なおも更なる実施形態では、結合剤は、トランスグルタミナーゼ酵素、リシルオキシダーゼ酵素、又はアミンオキシダーゼ酵素などの1つ以上の酵素タンパク質架橋剤を含み得る。更に追加の実施形態では、結合剤は、ゲル、エマルジョン、水性コロイド、フィルム、ウェブ、部分的に融合された繊維、又は懸濁液を含み得る。他の実施形態では、結合剤は、不連続な様式(例えば、スポット結合)で、整列した繊維202に適用され得る。更に他の実施形態では、結合剤は、整列した繊維202に連続的に適用され得る。食品200中の結合剤の量は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満であり得る。
【0033】
追加の実施形態では、食品200は、結合組織及び脂肪組織などの動物ベースの肉に見られる追加の種類の組織を模倣する1つ以上の追加のタイプの繊維を含み得る。結合組織を模倣する追加の繊維の実施形態は、タンパク質と多糖との組み合わせから作製され得る。実施形態では、繊維のタンパク質成分は、他の種類の非動物ベースのタンパク質の中でも、ダイズタンパク質及びエンドウマメタンパク質などの1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含み得る。更なる実施形態では、繊維の多糖成分は、他の非動物ベースの多糖類の中でも、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロースなどの1つ以上の非動物ベースの多糖類を含み得る。なおも更なる実施形態では、アルキルセルロースは、他のアルキルセルロースの中でも、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースなどの1つ以上のアルキルセルロースを含み得る。なおも更なる実施形態では、繊維中のタンパク質の重量百分率は、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約99重量%以上、又はそれ以上であり得る。更に追加の実施形態では、繊維中の多糖類の重量百分率は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満であり得る。
【0034】
実施形態では、結合組織を模倣する追加の繊維は、動物ベースの肉に見られる他のタイプの結合組織繊維の中でも、コラーゲン繊維及び/又はエラスチン繊維を模倣する1つ以上のタイプの繊維を含み得る。更なる実施形態では、結合組織を模倣する繊維は、約100μm以下、約50μm以下、約40μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約15μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、又はそれ未満の平均断面繊維直径を有し得る。他の実施形態では、繊維は、動物ベースの肉のホールカットにおける結合組織繊維の配置と同様に食品200内に配置され得る。
【0035】
更なる実施形態では、食品200は、整列した繊維200の群を繊維束に包む模倣された結合組織を含み得る。この模倣された結合組織は、動物ベースの肉において筋繊維の群を包み込んで繊維束を形成する筋周囲組織を模倣する。模倣された筋周囲結合組織の実施形態は、動物ベースの肉における他の繊維状形態の結合組織(例えば、コラーゲン繊維及びエラスチン繊維)を模倣する上述の追加の繊維のようなタンパク質及び多糖類を含み得る。追加の実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、プロラミンファミリーのタンパク質からの1つ以上のタンパク質を含むことができる。なおも更なる実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、ゼイン(トウモロコシに見出される)、ホルデイン(オオムギに見出される)、グリアジン(コムギに見出される)、セカリン(ライムギに見出される)、カフィリン(ソルガムに見出される)、及びアベニン(カラスムギに見出される)のうちの1つ以上を含み得る。また更なる実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、貯蔵タンパク質、動物由来又は組換えコラーゲン、及びエクステンシン(例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などの細胞壁に豊富なヒドロキシプロリンリッチ糖タンパク質)のうちの1つ以上を含み得る。
【0036】
実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、シース状繊維束内に整列した繊維202の群を保持する中空管形状を有し得る。他の実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下、約50μm以下、約40μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約2μm以下、約1μm以下、又はそれ未満の壁厚を有し得る。更に他の実施形態では、模倣された筋周囲結合組織は、整列した繊維202の群を保持する内径が、約500μm以上、約1000μm以上、約2000μm以上、約3000μm以上、約4000μm以上、約5000μm以上、約6000μm以上、約7000μm以上、約8000μm以上、約9000μm以上、約10,000μm以上、又はそれ以上であり得る。更に追加の実施形態では、食品200は、繊維束のうちの2つ以上の群をより大きい繊維束に包む模擬結合組織を含み得る。実施形態では、このより大きい模擬結合組織片は、2つ以上の繊維束を保持することができる中空管形状を有することができる。更なる実施形態では、シース様結合組織のこの大きい片は、約2本以上の繊維束、約3本以上の繊維束、約5本以上の繊維束、約7本以上の繊維束、約10本以上の繊維束、約12本以上の繊維束、約15本以上の繊維束、約20本以上の繊維束、又はそれ以上の繊維束を保持し得る。
【0037】
更なる実施形態では、食品200は、動物ベースの肉における脂肪組織を模倣する追加の構造(例えば、繊維、小球、斑点、脂肪キャップなど)を含み得る。実施形態では、これらの構造体は、タンパク質及び脂質(例えば、脂肪又は油)の組み合わせから作製され得る。実施形態では、構造体のタンパク質成分は、他の種類の非動物ベースのタンパク質の中でも、ダイズタンパク質及びエンドウマメタンパク質などの1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含み得る。更なる実施形態では、構造体の脂質成分は、他の非動物ベースの脂質の中でも、ヒマワリ油及びヤシ油などの1つ以上の非動物ベースの脂質(例えば、植物系油)を含み得る。また更なる実施形態では、構造体の脂肪成分は、アボカド油、ババス油、キャノーラ油、ひまし油、トウモロコシ油、綿種油、アマニ油、ブドウ種子油、麻油、オリーブオイル、ヤシ油、パーム核油、落花生油、カボチャの種油、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、コムギ胚芽油、扁桃油、ブナナッツ油、ブラジルナッツ油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ペカン油、マツナッツ油、ピスタチオ油、クルミ油、カカオバター、マンゴーバター、シアバター、藻類油、細菌、藻類、古細菌若しくは真菌又は遺伝子操作細菌、藻類、古細菌若しくは真菌によって産生される油、グリセロリン脂質、糖脂質、グリコシルグリセリド、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、スフィンゴ脂質、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、共役オレイン酸、又は、オレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のエステル、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のグリセロールエステル、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のジグリセリド誘導体、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のトリグリセリド誘導体、から選択される少なくとも1つの非動物ベースの脂質を含み得る。なおも更なる実施形態では、構造体中の脂質の重量百分率は、約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、又はそれ以上であり得る。更に追加の実施形態では、構造体中のタンパク質の重量百分率は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満であり得る。
【0038】
実施形態では、脂肪組織を模倣する追加の構造は、動物ベースの肉に見られる脂肪小球を模倣する1つ以上の小球を含み得る。更なる実施形態では、1つ以上の小球は、それらの最も広い点において、約50μm以上、約75μm以上、約100μm以上、約125μm以上、約150μm以上、約175μm以上、約200μm以上、又はそれ以上の平均断面直径を有し得る。他の実施形態では、構造は、動物ベースの肉のホールカット中の筋肉内脂肪球の配置と同様に食品200中に配置され得る。
【0039】
更なる実施形態では、脂肪組織を模倣する追加の構造は、動物ベースの肉の筋内、筋肉間、及び皮下領域における脂肪球の分布の差を模倣するために、食品200内で不均一な分布を有し得る。実施形態では、筋肉間領域又は皮下領域は、動物ベースの肉のホールカットにおける筋肉組織の1つ以上の断片を取り囲む濃縮脂肪組織の領域を模倣し得る。動物ベースの肉の筋肉間又は皮下領域における濃縮脂肪を模倣する食品200の領域における追加の構造は、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、又はそれ以上である領域の重量百分率を有し得る。筋肉間領域を模倣する食品200内のこれらの領域の残りの構成要素は、模倣された筋肉組織(例えば、整列した繊維202)及び模倣された結合組織(例えば、結合組織を模倣する追加の分岐繊維)を含み得る。更なる実施形態では、食品200はまた、動物ベースの肉の筋肉内領域を模倣する追加の脂肪構造を含有する領域を含み得る。食品200のこれらの模倣された筋内領域は、模倣された筋肉間領域に見出されるよりも低い重量百分率の脂肪構造によって特徴付けられ得る。実施形態では、食品200の模倣された筋肉内領域は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満である追加の脂肪構造の重量百分率によって特徴付けられ得る。なおも更なる実施形態では、追加の脂肪構造は、筋肉内領域を模倣する食品200の領域に均一に又は不均一に分布され得る。更に追加の実施形態では、追加の脂肪構造の不均一な分布は、動物ベースの肉における脂肪霜降り又は脂肪キャップを模倣し得る。
【0040】
実施形態では、食品200は、重量百分率の整列した繊維202、結合組織を模倣する追加の繊維及び構造、並びに動物ベースの肉のタイプにおける筋肉、結合組織、及び脂肪組織の重量百分率を模倣する脂肪組織を模倣する追加の構造を含み得る。赤身牛肉を模倣した食品200の実施形態では、筋肉組織を模倣した整列した繊維202の重量百分率は、約80重量%以上、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、又はそれ以上であり得る。また、これらの実施形態では、脂肪組織を模倣する追加の構造の重量百分率は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又はそれ未満であり得る。
【0041】
図3A~
図3Bは、非動物ベースの食品300及び350の追加の実施形態を示す。これらの実施形態では、食品300及び350は、足場に多孔質構造を与える1つ以上の三次元的に整列された膜又はカラムを有する足場を含む。実施形態では、足場は、動物ベースの肉における除脂肪組織(例えば、筋肉組織)又は結合組織を模倣する。更なる実施形態では、足場は、第1の方向における一軸整列によって特徴付けられる第1の膜の群と、第1の膜の群の整列とは異なる1つ以上の方向に整列した第2の膜の群とを含み得る。追加の実施形態では、足場は、一緒に架橋され得る二軸配向の膜の群を含み得る。実施形態では、膜の群の第1の部分は、1つの方向に整列され、膜の群の第2の部分は、第1の方向とは異なる第2の架橋方向に整列され、細胞構造をもたらす。更なる実施形態では、膜の二軸配向群の2つの部分は、互いに実質的に垂直に配向され得る。また更なる実施形態では、足場内の膜は、約1000μm以下、約750μm以下、約500μm以下、約250μm以下、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約25μm以下、約10μm以下、又はそれ未満の厚さを有し得る。なおも更なる実施形態では、足場中の膜は、約50μm以上、約100μm以上、約150μm以上、約200μm以上、約250μm以上、約500μm以上、約750μm以上、約1000μm以上、又はそれ以上の長さを有し得る。
【0042】
追加の実施形態では、足場中の膜は、他の種類の非動物ベースのタンパク質の中でもとりわけ、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、インゲンマメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質などの1つ以上の非動物ベースのタンパク質を含み得る。追加の実施形態では、非動物ベースのタンパクは、リボソームタンパク、翻訳伸長因子、ヘキソキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、フルクトースビスリン酸アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホグリセレートムターゼ、エノラーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(rubisco)、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシレートオキシゲナーゼアクチバーゼ(rubiscoアクチバーゼ)、他の酵素、アクチン、アルブミン、アベニン、コングリシニン、コンビシリン、クルシフェリン、ヂヒドリン、エクステンシン、グリアジン、グロブリン、グルテリン、グルテン、グルテニン、グリシニン、糖タンパク質、ホルデイン、カフィリン、レグミン、ナピン、パタチン、ファゼオリン、植物性脂肪輸送タンパク、プロラミン、プロテイノプラスト、セカリン、トリチセアエ(triticeae)グルテン、ビシリン、ゼイン、種子貯蔵タンパク、オレオシン、caloleosins、ステロエオシン、他の油体タンパク、栄養貯蔵タンパクA、栄養貯蔵タンパクB、及び植物、種子、藻類、細菌、又は真菌から選択される1つ以上のタンパクを含み得る。更なる実施形態では、足場の膜中のタンパク質の重量百分率は、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、又はそれ以上であり得る。
【0043】
なおも更なる実施形態では、足場中の膜は、他の非動物ベースの多糖類の中でも、アルギネート、コンニャク、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)などの1つ以上の非動物ベースの多糖類を含み得る。更なる実施形態では、足場の膜中の多糖の重量百分率は、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、又はそれ未満であり得る。
【0044】
更なる実施形態では、足場含有非動物ベースの食品300は、足場中の細孔の少なくとも一部を充填するゲル化剤を更に含み得る。追加の実施形態では、ゲル化剤は、水、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質、及び少なくとも1つの非動物ベースの多糖類を含み得る。更なる実施形態では、少なくとも1つの非動物ベースのタンパク質は、他の非動物ベースのタンパク質の中でも、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、ジャガイモタンパク質、セイタンタンパク質、レンズマメタンパク質、マメタンパク質、アマランスタンパク質、及びキノアタンパク質から選択される1つ以上のタンパク質を含み得る。追加の実施形態では、ゲル化剤中のタンパク質は、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。なおも更なる実施形態では、少なくとも1つの非動物ベースの多糖類は、他の非動物ベースの多糖類の中でも、アルギネート、コンニャク、カードラン、ジェラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、及びアルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)から選択される少なくとも1つの多糖類を含み得る。追加の例としては、他の多糖類の中でも、フェクラ、アロールート、コーンスターチ、カタクリデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、加工食用デンプン、マルトデキストリン、サゴ、タピオカ、アルギニン、グアーガム、キサンタンゴム、フルセララン、寒天、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アカシアゴム、食物繊維(例えば、可溶性繊維、不溶性繊維)、及びアミロペクチンが挙げられる。追加の実施形態では、ゲル化剤中の多糖類は、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。他の実施形態では、ゲル化剤は、少なくとも1つの非動物ベースの脂質を更に含み得る。実施形態では、非動物ベースの脂質は、他の非動物ベースの脂質の中でも、ヒマワリ油及びヤシ油から選択される非動物ベースの脂質を含み得る。更なる実施形態では、非動物ベースの脂質は、アボカド油、ババス油、キャノーラ油、ひまし油、トウモロコシ油、綿種油、アマニ油、ブドウ種子油、麻油、オリーブオイル、ヤシ油、パーム核油、落花生油、カボチャの種油、ナタネ油、米糠油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、コムギ胚芽油、扁桃油、ブナナッツ油、ブラジルナッツ油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ペカン油、マツナッツ油、ピスタチオ油、クルミ油、カカオバター、マンゴーバター、シアバター、藻類油、細菌、藻類、古細菌若しくは真菌又は遺伝子操作細菌、藻類、古細菌若しくは真菌によって産生される油、グリセロリン脂質、糖脂質、グリコシルグリセリド、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、スフィンゴ脂質、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、共役オレイン酸、又は、オレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のエステル、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のグリセロールエステル、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のジグリセリド誘導体、又はオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、18:2共役リノール酸、若しくは共役オレイン酸のトリグリセリド誘導体、から選択され得る。追加の実施形態では、ゲル化剤中の脂質は、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。
【0045】
なおも更なる実施形態では、ゲル化剤は、酵素架橋剤及び乳化剤などの1つ以上の追加の成分を含み得る。実施形態では、酵素架橋剤は、トランスグルタミナーゼ酵素、リシルオキシダーゼ酵素、及びアミンオキシダーゼ酵素のうちの1つ以上を含み得る。他の実施形態では、ゲル化剤中の酵素架橋剤は、約2重量%以下の重量百分率を有し得る。更に他の実施形態では、乳化剤は、タンパク質、モノグリセリド、ジグリセリド、及びポリソルベート(例えば、ポリソルベート20)から選択される1つ以上の乳化剤を含み得る。また更なる実施形態では、ゲル化剤中の乳化剤は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。
【0046】
更に追加の実施形態では、ゲル化剤は、1つ以上の増粘剤を含み得る。実施形態では、増粘剤は、フェクラ、アロールート、コーンスターチ、カタクリデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、加工食用デンプン、マルトデキストリン、サゴ、タピオカ、アルギニン、グアーガム、イナゴマメゴム、キサンタンゴム、コラーゲン、卵白、フルセララン、ゼラチン、寒天、カラギーナン、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、アカシアゴム、コンニャク、デンプン、ペクチン、アミロペクチン、又は豆果、穀粒、堅果、他の種子、葉、藻類、細菌、真菌に由来するタンパク質のうちの1つ以上を含み得、ゲル化剤を増粘するために単独で又は組み合わせて使用することができる。更なる実施形態では、ゲル化剤中の増粘剤は、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。
【0047】
実施形態では、ゲル化剤は、足場中の細孔の少なくとも一部を充填した後に、粘度増加を受け得る。更なる実施形態では、足場に供給されるゲル化剤は、室温(例えば、23℃)において約1000cP以下、約500cP以下、約250cP以下、約100cP以下、約50cP以下、約25cP以下、約10cP以下、約5cP以下、約1cP以下、又はそれ未満の粘度によって特徴付けられ得る。また更なる実施形態では、十分に増粘された状態のゲル化剤は、約10,000cP以上、約25,000cP以上、約50,000cP以上、約100,000cP以上、約250,000cP以上、約500,000cP以上、約1,000,000cP以上、又はそれ以上の室温粘度を有し得る。
【0048】
食品300の追加の実施形態では、食品中の足場は、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、又はそれ未満の重量百分率を有し得る。なおも更なる実施形態では、食品300中のゲル化剤は、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、又はそれ以上の重量百分率を有し得る。
【0049】
本技術の実施形態では、上述の非動物ベースの食品は、牛肉(畜牛)、豚肉(ブタ)、ラム肉(ヒツジ)、家禽肉(例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、ホロホロ鳥、スクアブ)、魚、及び甲殻類からの動物ベースの肉を模倣し得る。追加の実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、1種類以上の飼育動物又は家畜からの動物ベースの肉を模倣し得る。なおも更なる実施形態では、非動物ベースの食品は、他の種類の狩猟動物の中でも、ウサギ、シカ、バイソン、水牛、イノシシ、ヘビ、フザン、ウズラ、クマ、ヘラジカ、ハト、ドーブ、ライチョウ、キツネ、野生ブタ、ヤギ、カンガルー、エミュー、ワニ、クロコダイル、カメ、イノシシ、マーモット、ポッサム、パートリッジ、リス、アライグマ、クジラ、アザラシ、ダチョウ、モルモット、げっ歯類、及びハタネズミなどの狩猟動物(野生又は家畜を問わず)に由来する食肉を模倣し得る。他の実施形態では、非動物ベースの食品は、海産食品の種類の中でもとりわけ、魚(例えば、白魚、油魚、硬骨魚)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、ザリガニ、シュリンプ、エビ)、軟体動物(例えば、ハマグリ、カキ、イガイ、ホタテガイ、アワビ)、頭足類(例えば、イカ、タコ、イカ)、ウニ、尾索類、クラゲ、及びウナギなどの海産食品からの肉を模倣し得る。更に他の実施形態では、非動物ベースの食品は、昆虫又は他の節足動物由来の肉を模倣し得る。実施形態では、非動物ベースの食品は、骨格筋に由来する動物肉のホールカットを模倣する。追加の実施形態では、非動物ベースの食品は、他の器官の中でも、腎臓、心臓、肝臓、胆嚢、腸、胃、骨髄、脳、胸腺、肺、舌などの器官からの動物の肉を模倣し得る。更に追加の実施形態では、非動物ベースの食品は、プライマルカット、サブプライマルカット、セカンダリーカット、リテールカット、ステーキ、フィレ、胸、腹、腿、脚、ロイン、テンダーロイン、リブ、肩、チョップ、又はジャーキーを模倣し得る。更に追加の実施形態では、非動物ベースの食品は、骨なし及び/又は皮なしの動物ベースの肉を模倣してもよい。
【0050】
更なる実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、それらの組成又は特徴が動物ベースの肉のホールカットのものをより厳密に模倣するようなレベルの1つ以上の栄養素又は他の成分を含み得る。実施形態では、食品は、約50重量%以上、約55重量%以上、約60重量%以上、約65重量%以上、約70重量%以上、約75重量%以上、約80重量%以上、又はそれ以上の水分レベルを有し得る。他の実施形態では、食品は、約50重量%以下、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、又はそれ未満の水分レベルを有し得る。更に他の実施形態では、食品は、脱水、乾燥、又は保存処理され得る。追加の実施形態では、食品は、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、又はそれ以上の重量百分率のタンパク質を有し得る。更に追加の実施形態では、食品は、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満の重量百分率の炭水化物を有し得る。なおも更なる実施形態では、食品は、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満の脂質の重量百分率を有し得る。追加の実施形態では、本発明の非動物ベースの食品中の水、タンパク質、炭水化物、及び/又は脂質の重量百分率は、それらが模倣している動物系肉に見られる重量百分率の50%、40%、30%、20%、又は10%以内であり得る。
【0051】
非動物ベースの食品が、牛肉、豚肉、ラム肉、ヤギ肉、又は別の種類の赤色若しくはピンク色の動物系肉を模倣する更なる実施形態では、食品は、1つ以上の鉄含有タンパク質を更に含み得る。実施形態では、鉄含有タンパクは、他の鉄含有タンパクの中でも、アンドログロビン、カタラーゼ、クロロクルオリン、シアノブロビン、シトクロム、サイトグロビン、エリトロクルオリン、フラボヘモグロビン、Glb3、グロビンE、グロビンX、グロビンY、グロビン結合センサ、グアニル酸シクラーゼ、Hell’s GateグロビンI、HbN、HbO、ヘモグロビン、レグヘモグロビン、ミオグロビン、ニューログロビン、非シンバイオティクスヘモグロビン、オキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ、プロトグロビン、切断型2/2グロビン、細菌ヘモグロビン、繊毛虫ミオグロビン、及びヘムエリトリンから選択される1つ以上のタンパクを含み得る。いくつかの実施形態では、鉄含有タンパクは、植物性、藻類、細菌、真菌、繊毛虫、又は遺伝子操作された生物などの非動物性供給源に由来する。他の実施形態では、鉄含有タンパク質は、組換えタンパク質である。追加の実施形態では、鉄含有タンパク質は、ヘム含有タンパク質又はシロヘム含有タンパク質である。更に追加の実施形態では、鉄含有タンパク質はグロビンである。なおも追加の実施形態では、鉄含有タンパク質は、酸素結合タンパク質又は酸素輸送タンパク質である。更なる実施形態では、鉄含有タンパク質は、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、又はそれ未満である食品中の重量百分率を占め得る。更なる実施形態では、鉄含有タンパク質は、約0.001重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.15重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、又はそれ以上である食品中の重量百分率を占め得る。
【0052】
更なる実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、他の金属イオン又はミネラル、有機酸(例えば、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、葉酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸)、遊離アミノ酸(例えば、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、セレノシステイン、シトルリン、オルニチン、β-アラニン、ホモセリン、非タンパク質構成アミノ酸、アミノ酸誘導体)、ペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド)、糖(例えば、単糖類、二糖類、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、リボース、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、ヌクレオチド結合糖、糖蜜)、糖アルコール(例えば、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、水素化デンプン加水溶解物)、ヌクレオチド(例えば、イノシン、イノシン一リン酸(inosine monophosphate、IMP)、グアノシン、グアノシン一リン酸(guanosine monophosphate、GMP)、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate、AMP))、プロビタミン、ビタミン(例えば、A、B、C、D、E、K)、抗酸化剤、抗菌剤、保存剤、加水溶解物(例えば、植物タンパク質加水溶解物、ダイズタンパク質加水溶解物、酵母タンパク質加水溶解物、藻類タンパク質加水溶解物)、酵母抽出物、代謝産物、天然香料、天然色素、食物繊維(例えば、可溶性繊維、不溶性繊維)、乳化剤、安定剤、増粘剤、及び硫黄化合物(例えば、システイン、アセチルシステイン、シスチン、タウリン、チアミン、メチオニン、グルタチオン、アリイン、ビオチン)のうちの1つ以上を含み得る。追加の実施形態では、本発明の非動物ベースの食品中のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、他の金属イオン又はミネラル、有機酸、遊離アミノ酸、ペプチド、糖、糖アルコール、ヌクレオチド、プロビタミン、ビタミン、抗酸化剤、代謝産物、天然香料、天然色素、及び/又は硫黄化合物の濃度は、それらが模倣している動物系肉に見られる濃度の約50%、約40%、約30%、約20%、又は約10%以内であり得る。
【0053】
なおも更なる実施形態では、非動物ベースの食品の例は、以下の特徴を有し得る。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
伝統的な動物ベースの肉製品及び動物ベースの肉製品のための従来の野菜代用品による本技術の別の利点は、食物アレルギー又は他の病気の原因となり得る1つ以上の成分の排除である。実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、他の成分の中でも、グルテン(例えば、コムギグルテン)、コムギ由来アレルゲン、ピーナッツ由来アレルゲン、木の実由来アレルゲン、乳由来アレルゲン、卵由来アレルゲン、甲殻類由来アレルゲン、魚由来アレルゲン、ダイズ由来アレルゲン、ゴマ由来アレルゲン、カラメル色素、人工色素、人工香味料、人工甘味料、高フルクトースコーンシロップ、糖アルコール、コレステロール、トランス脂肪、硬化油、亜硝酸塩、及び硝酸塩から選択される1つ以上の成分を含まなくてもよい。更なる実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、動物源由来の鉄含有タンパク質を含まなくてもよい。なおも更なる実施形態では、本発明の非動物ベースの食品は、動物性製品を含まなくてもよい。
【0058】
本技術の実施形態は、動物由来の肉の調理されたホールカットを模倣する調理された非動物ベースの食品を作製する方法を更に包含する。本方法は、生の食品を調理器具に提供することを含み得る。生の食品は、非動物ベースの食品であり得る。実施形態では、未加工食品は、上記のもののような繊維含有非動物ベースの食品又は膜足場含有非動物ベースの食品を含み得る。追加の実施形態では、調理器具は、他の種類の調理器具の中でも、従来のオーブン、対流式オーブン、電子レンジ、レンジ台、ホットプレート、フライヤー、空気フライヤー、圧力調理器、スロークッカー、水浴、蒸し器、又はグリルであり得る。
【0059】
本方法は、調理器具を用いて生の食品を加熱して調理された食品を作製することを更に含み得る。実施形態では、調理された食品は、生の食品と比較して、約10体積%以上の体積の減少によって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、調理された食品は、約12.5体積%以上、約15体積%以上、約17.5体積%以上、約20体積%以上、約25体積%以上、約30体積%以上、又はそれ以上の体積減少を特徴とし得る。更に追加の実施形態では、食物の体積の減少は、少なくとも部分的に、調理された食品からの水蒸気の放出によって引き起こされ得る。更なる実施形態では、生の食品は、約145°F以上、約150°F以上、約155°F以上、約160°F以上、約165°F以上、約170°F以上、約175°F以上、約180°F以上、約185°F以上、約190°F以上、約195°F以上、約200°F以上、又はそれ以上の温度に加熱され得る。
【0060】
実施形態では、生の食品を調理温度に加熱することは、食品に1つ以上の物理的及び化学的変化を引き起こし得る。追加の実施形態では、加熱は、生の食品中の1つ以上のタイプの繊維又は膜を溶融又は溶解させ得る。更なる実施形態では、繊維又は膜を溶融又は溶解することは、調理された食品を特徴付ける液体及び気体のうちの少なくとも1つを食品から放出し得る。他の実施形態では、調理された食品の体積の減少は、溶融若しくは溶解した繊維又は膜から放出された液体及び気体によって少なくとも部分的に引き起こされ得る。
【0061】
更なる実施形態では、生の食品を加熱することは、食品中の脂質濃度を再分配し得る。実施形態では、生の食品中のより多くの脂質が、食品の調理された表面に向かって移動し得る。更なる実施形態では、調理された食品の1つ以上の表面層中の脂質の重量百分率は、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上、約50重量%以上、又はそれ以上に増加し得る。調理された食品の表面層における疎水性脂質の重量百分率の増加は、食品が製品内部に水分を保持して、他の感覚刺激特性の中でもとりわけジューシーな外観及び口当たりを与えるのを助け得る。
【0062】
実施形態では、調理された食品を製造するために生の食品を加熱することは、他の感覚刺激特性の中でも、色、匂い、噛み応え、及び剪断特性のうちの1つ以上を含む、食品の感覚刺激特性における様々な追加の変化をもたらし得る。赤身肉を模倣した本発明の非動物ベースの食品を含む追加の実施形態では、生の食品は、調理中に褐色に徐々に移行する赤色を有し得る。鶏肉又は豚肉などのささみを模倣した本発明の非動物ベースの食品を含む更なる実施形態では、生の食品は、調理中に白色又は茶色がかった色に徐々に移行するピンク色を有し得る。他の実施形態では、色の移行は、生の食品の調理進行を示すために使用され得、所望の仕上がり状態を生成するために調理時間及び温度を試験するために更に使用され得る。
【0063】
追加の実施形態では、生の食品の加熱は、食品が調理されていることを示す臭気物質の放出を引き起こし得る。更なる実施形態では、食品によって放出される臭気物質は、他の動物ベースの肉の中でも、牛肉、豚肉、ベーコン、鶏肉、ラム肉、魚、貝、及びシチメンチョウの肉などの、動物ベースの肉の調理を示すものとしてヒトによって認識可能な臭気物質を含み得る。また更なる実施形態では、臭気物質は、他の化合物の中でも特に、脂肪、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオチド、有機酸、硫黄化合物、及び糖などの生の食品中の1つ以上の化合物から生成され得る。いくつかの実施形態では、これらの化合物は、温度の上昇に起因して生の食品から無傷で放出される。追加の実施形態では、これらの化合物は、温度の上昇に起因して食品中で化学変換又は反応を受け、化学変換又は反応した化合物が食品から放出される。更に他の実施形態では、生の食品は、鉄含有タンパク(例えば、ヘムタンパク)を含み得、加熱中に食品から放出される1つ以上の臭気物質は、ミオグロビン及びレグヘモグロビンなどの少なくとも1つの鉄含有タンパクによって触媒され得る。これらの実施形態では、調理された食品の特徴的な香味及び芳香の少なくとも一部は、ヘムタンパク質などの鉄含有タンパク質によって触媒される化学反応によって、生の食品の加熱中に生成される。
【0064】
更なる実施形態では、加熱は、生の食品製品と比較して食物の噛み応えを増加させ得る。追加の実施形態では、咀嚼性は、食品を咀嚼するのに必要な力の量として測定され得る。赤身肉などの多くの動物ベースの食品のホールカットに関して、肉を調理することは、その咀嚼性を増加させ、消費者は、本物の肉を模倣する非動物ベースの食品において同じ移行を期待する。本発明の非動物ベースの食品の実施形態では、生の食品を加熱して調理された食品を製造することは、生の食品と比較して、調理された食品の噛み応えを、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、又はそれ以上増加させ得る。
【0065】
なおも更なる実施形態では、加熱は、生の食品と比較して調理された食品の剪断特性を変化させ得る。追加の実施形態では、剪断特性は、食品を切断するのに必要な切断力を含み得る。多くの動物ベースの食品のホールカットについて、肉を調理することは、肉を切断するために必要とされる剪断力を増加させ、消費者は、動物ベースの肉を模倣する非動物ベースの食品において同じ移行を期待する。本発明の非動物ベースの食品の実施形態では、生の食品を加熱して調理された食品を製造することは、生の食品と比較して、調理された食品の剪断力を、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、又はそれ以上増加させ得る。
【0066】
本技術の実施形態は、非動物ベースの食品を製造する方法及びシステムを更に包含する。実施形態では、本方法は、食品に組み込まれる非動物ベースの食物繊維を作製することを含み得る。追加の実施形態では、非動物ベースの食物繊維を作製する方法は、繊維が作製される原材料を提供するなどの操作を含み得る。他の実施形態では、本方法は、原材料を新生繊維に形成することを含み得る。更に他の実施形態では、本方法は、新生繊維を硬化繊維に硬化することを含み得る。また更なる実施形態では、本方法は、硬化された繊維を中和して中和繊維にすることを含み得る。追加の実施形態では、本方法は、中和された繊維を洗浄及び乾燥して、乾燥繊維を形成することを含み得る。また更なる実施形態では、方法は、乾燥繊維を着色すること、風味を付けること、及びオイリングすることを含み得る。他の実施形態では、本方法は、繊維を包装すること、又は繊維を繊維含有食品に直接組み込むことを含み得る。
【0067】
図4は、本技術の実施形態による繊維含有非動物ベースの食品に含まれる繊維を作製するためのシステム400の簡略図を示す。システム400は、繊維を形成するための原材料の供給源402を含む。実施形態では、原材料は、高剪断下で超音波処理、脱気、均質化、及び/又は混合され得る。他の実施形態では、材料の供給源402は、材料を圧力下で繊維形成ダイユニット405に供給するポンプ403に結合され得る。更なる実施形態では、繊維形成ダイユニット405は、材料を1つ以上の発生期繊維407に形成する少なくとも1つの紡糸口金406を含み得る。
【0068】
実施形態では、発生期繊維407は、紡糸口金406によるそれらの形成に続いて、第1の凝固浴408と接触し得る。追加の実施形態では、水性の凝固浴408は、水に溶解した1つ以上の塩、塩基、及び/又は酸を含み得、発生期繊維407中の材料を凝固させてそれらを凝固繊維に変換する。更に追加の実施形態では、凝固浴408は、pHシフト、塩析、及び/又は熱を使用して、新生繊維407中の材料を変性、沈殿、及び/又は凝固させ、それらを凝固繊維に変換し得る。更なる実施形態では、凝固浴408は、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、約1以下、又はそれ未満のpHによって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、凝固浴は、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約7.5重量%以上、約10重量%以上、約12.5重量%以上、約15重量%以上、約17.5重量%以上、約20重量%以上、又はそれ以上の塩濃度によって特徴付けられ得る。他の実施形態では、発生期繊維407を凝固浴408と接触させることは、紡糸口金406から出現する発生期繊維407と比較して、繊維中の材料のpHを低下させ得る。
【0069】
追加の実施形態では、凝固した繊維は、繊維形成ダイユニット405から硬化ユニット410に引っ張られ得、そこで凝固した繊維は、硬化浴412と接触して硬化繊維を形成する。実施形態では、硬化浴412は、第1の凝固浴408のpHに匹敵するか又はそれより高いpHによって特徴付けられ得る。他の実施形態では、硬化浴412は加熱され得る。追加の実施形態では、硬化浴412は、約30℃、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、約55℃以上、約60℃以上、約65℃以上、約70℃以上、約75℃以上、約80℃以上、約85℃以上、約90℃以上、約95℃以上又はそれ以上の温度によって特徴付けられ得る。
【0070】
更なる実施形態では、硬化ユニット410から出てくる硬化繊維は、中和ユニット414に引っ張られ得、そこで繊維は中和浴416と接触させられる。なおも更なる実施形態では、中和浴416は、約5~約9、約6~約8、又は約6~約7のpHによって特徴付けられ得る。更なる実施形態では、中和浴416は、浴中の緩衝能力を維持するために1つ以上のリン酸塩化合物を含み得る。また更なる実施形態では、中和浴416は、約0.02M以上、約0.05M以上、約0.075M以上、約0.1M以上、約0.125M以上、約0.15M以上、約0.175M以上、約0.2M以上、又はそれ以上のリン酸塩化合物濃度によって特徴付けられ得る。追加の実施形態では、中和浴416は、約30℃、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、約55℃以上、約60℃以上、約65℃以上、約70℃以上、約75℃以上、約80℃以上、約85℃以上、約90℃以上、約95℃以上又はそれ以上の温度によって特徴付けられ得る。
【0071】
他の実施形態では、硬化及び中和された繊維は、1つ以上の洗浄ユニット418を通して引っ張られ得、繊維は、以前の処理動作から残留塩及び/又は化合物を抽出する洗浄浴420と接触させられる。更に他の実施形態では、凝固した繊維は、1つ以上の洗浄ユニット418を通して凝固浴408から直接引き出され得る。他の実施形態では、洗浄槽420で使用される水は、濾過された水道水であり得る。
【0072】
更に他の実施形態では、洗浄された繊維は、繊維の水分含有量を低減する乾燥ユニット422に移送され得る。実施形態では、洗浄された繊維は、繊維中の水の一部をリングアウトするために延伸され、繊維から追加の水分を蒸発させる乾燥ドラム424に移送され得る。他の実施形態では、延伸操作は、約0.02N/mm以上、約0.05N/mm以上、約0.1N/mm以上、約0.15N/mm以上、約0.2N/mm以上、又はそれ以上の引張応力を繊維にかけ得る。更なる実施形態では、繊維の延伸は、繊維長を約10%以上、約20%以上、又はそれ以上増加させ得る。追加の実施形態では、乾燥ユニット422は、低湿度環境において繊維の温度を上昇させる乾燥ドラム424を含み得る。追加の実施形態では、乾燥ドラム424は、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上、約110℃以上、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、又はそれ以上の温度によって特徴付けられ得る。なおも更なる実施形態では、繊維を乾燥ドラム424上で延伸及び圧搾して、繊維から追加の水分をリングアウトし得る。他の実施形態では、乾燥ユニット422における乾燥操作は、繊維中の水分含有量を、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約15%以上、又はそれ以上減少させ得る。更に他の実施形態では、乾燥繊維は、約70重量%以下、約65重量%以下、又はそれ未満の水分含有量によって特徴付けられ得る。
【0073】
更に他の実施形態では、乾燥繊維は、着色/風味付けユニット426を通して引っ張られることによって、及び/又はオイリングユニット428と接触させられることによって、着色、風味付け、及び/又はオイリングされ得る。実施形態では、着色/風味付けユニット426は、繊維が浴に接触するときに繊維に色及び風味の一方又は両方を提供する1つ以上の着色/風味付け浴427を含み得る。追加の実施形態では、着色され、風味付けされ、及び/又はオイリングされた繊維は、結合剤を使用して互いに結合され、繊維含有非動物ベースの食品に組み込まれ得る。なおも更なる実施形態では、着色、風味付け、及び/又はオイリングされた繊維は、繊維含有非動物ベースの食品に後で組み込むために包装され得る。
【0074】
他の実施形態では、繊維は、0.2~0.9MPaの引張強度を有する。更に他の実施形態では、繊維は、20~100%、40~90%、又は30~75%の破断点伸び率(%)を有する。追加の実施形態では、繊維は、0.005~0.025、0.01~0.02、又は0.012~0.016cN/texのテナシティを有する。実施形態では、繊維は、60~150texの線密度を有する。
【0075】
本技術の追加の実施形態では、本方法は、食品に組み込まれる非動物ベースの食品足場を作製することを含み得る。更なる実施形態では、非動物ベースの食品足場を作製する方法は、食品足場が作製される原材料を提供することなどの操作を含み得る。他の実施形態では、本方法は、原料の水溶液又はスラリーを鋳型に注入することを含み得る。更に他の実施形態では、本方法は、鋳型内の原材料を冷却又は凍結することを含み得る。更に追加の実施形態では、本方法は、成形された材料から水の少なくとも一部を除去するために、凍結した鋳型を凍結乾燥することを含み得る。なおも更なる実施形態では、本方法は、凍結乾燥された成形材料を蒸気処理することを含み得る。他の実施形態では、本方法は、蒸気処理された成形材料を浸漬溶液中に浸漬することを含み得る。更に他の実施形態では、本方法は、浸漬された成形材料を硬化させて食品足場を形成することを含み得る。更なる実施形態では、本方法は、非動物ベースの食品を形成するための食品足場上の仕上げ作業と、食品を包装することとを含み得る。
【0076】
図5は、本技術の実施形態による非動物ベースの食品のいくつかに含まれる食品足場を作製するためのシステム500の簡略図を示す。システム500は、食品足場を形成するための原材料の供給部502を含む。実施形態では、供給物502は、水に加えて食品足場に組み込まれる非動物ベースのタンパク質、炭水化物、及び脂質を含み得る。更なる実施形態では、供給物502は、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約25μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約1μm以下、約0.1μm以下、又はそれ未満のD50粒径によって特徴付けられるタンパク質粒子を含み得る。他の実施形態では、原材料は、高剪断下で超音波処理、脱気、均質化、及び/又は混合され得る。更なる実施形態では、原材料の水溶液、混合物、又はスラリーは、足場に形状を提供する型504に注がれ得る。他の実施形態では、型は、ホールカット肉製品の形状、テクスチャ、及び他の特性を模倣するように成形され得る。更により多くの特徴において、鋳型は、氷結晶の他の特徴の中でも特に、特定の氷結晶配向、形状、及びサイズを有する原材料を凍結させる鋳型内の異方性熱流を可能にするように成形され得る。
【0077】
実施形態では、原材料を含む金型504は、成形された原材料を約0℃以下、約-5℃以下、約-10℃以下、約-15℃以下、約-20℃以下、約-40℃以下、約-60℃以下、約-80℃以下、約-196℃以下、又はそれ未満の温度に冷却する冷却ユニット506内に配置され得る。更なる実施形態では、成形された原材料は、材料中の水が凍結するまで冷却ユニット506内に配置され得る。他の実施形態では、凍結は方向性であり、例えば鋳型の片側からである。
【0078】
追加の実施形態では、成形された凍結原材料は、成形された材料を凍結乾燥するために凍結乾燥ユニット508内に配置され得る。更なる実施形態では、成形材料の凍結乾燥は、材料から水の少なくとも一部を除去して、凍結乾燥成形材料を形成する。他の実施形態では、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、又はそれ以上の水が材料から除去される。
【0079】
更なる実施形態では、凍結乾燥成形材料を蒸気処理ユニット510内に配置して、凍結乾燥成形材料を蒸気処理し得る。蒸気処理操作は、浸漬溶液の取り込みのために成形材料中に間隙空間を残しながら、いくらかの水を成形材料中に戻す。追加の実施形態では、蒸気処理は減圧下で行うことができる。更に追加の実施形態では、蒸気処理は、原料の成分、例えば、非動物ベースのタンパク質の変性又はゲル化温度以上の温度で行うことができる。なおも更なる実施形態では、成形材料は、蒸気処理ユニット510内に配置された後、約3重量%以上、約5重量%以上、約8重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、又はそれ以上の水分含有量によって特徴付けられ得る。
【0080】
他の実施形態では、浸漬溶液512が、蒸気処理された成形材料に添加され得る。実施形態では、浸漬溶液は、非動物ベースの食品に組み込まれる追加の材料、例えば、ゲル化剤、鉄含有タンパク質、及び/又は香味剤の水溶液、混合物、又はスラリーを含み得る。更なる実施形態では、浸漬溶液は、蒸気成形材料に組み込まれて、足場含有食品514の未固化形態を形成する。他の実施形態では、浸漬溶液は真空下で組み込まれる。更に他の実施形態では、未硬化製品を硬化させて足場含有食品516を形成し得る。実施形態では、硬化操作は、未硬化製品を加熱し、インキュベートし、噴霧し、注入し、又は浸漬して硬化製品を形成することを含み得る。更なる実施形態では、硬化操作は、足場含有食品516における酵素架橋、化学架橋、及び/又は熱架橋を含み得る。追加の実施形態では、足場含有食品516は、最終加工及び包装を受け得る。
【0081】
実験例
図6Aは、本発明の繊維含有非動物ベースの食品の一実施形態を作製するために使用された非動物系繊維基材の写真を示す。繊維基材は、水及び非動物ベース(すなわち、植物ベース)タンパク質を含むタンパク質スラリーから作製した。タンパク質スラリーを繊維に紡糸し、これを繊維基材に配置した。
【0082】
図6Bは、フィレミグノン(filet mignon)に切断されている生のテンダーロインのホールカットを模倣する非動物ベースの繊維含有食品の写真を示す。食品は、
図6Aに示される繊維基材と、香料、鉄含有タンパク質、及びフィレミグノンを模倣するための脂質を含む追加の成分とを組み合わせて作製された。
【0083】
図7Aは、本発明の繊維含有非動物ベースの食品の別の実施形態を作製するために使用した非動物ベースの足場の写真を示す。足場は、ダイズタンパク質及び多糖類の凍結整列混合物から作製した。
【0084】
図7Bは、赤肉のホールカットを模倣した非動物ベースの足場含有食品の写真を示す。
図7Aに示される非動物ベースの足場に、香味剤及び非動物ベースの脂質を含むゲル化剤を注入した。最終食品は、22重量%の非動物ベースのタンパク質、7重量%の脂肪、及び70重量%の水を含んでいた。
【0085】
図6B及び
図7Bに示される食品は、それらが模倣しようと試みた動物ベースの肉と好都合に比較された。それらは、動物ベースの肉の良好な模倣物である非動物ベースの食品を作ることができることを実証する。それらはまた、動物ベースの肉に関連する環境的及び倫理的問題を有さない非動物ベースの食品成分から作製されるという更なる利点を有する。
【0086】
図8A及び
図8Bは、非動物ベースの食品の実質的に丸い形状の繊維に切断された断面の異なる倍率での走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像を示す。示された実施形態では、繊維は、約16重量%のタンパク質及び3重量%のグルテンを含む。
図8Aは690倍の倍率での繊維の断面切断を示し、
図8Bは3000倍の倍率での繊維の断面切断を示す。
図8A及び
図8Bは、繊維の断面が実質的に円形であり、約30μmの平均繊維直径、約1000繊維/mm
2以上の平均断面繊維密度、及び約5対1の平均アスペクト比を有することを示す。
【0087】
図9A及び
図9Bは、非動物ベースの食品の実質的に平面の形状の繊維に切断された断面の異なる倍率での走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。示された実施形態では、繊維は、約16重量%のタンパク質及び3重量%のグルテンを含む。
図9Aは690倍の倍率での繊維の断面切断を示し、
図9Bは3000倍の倍率での繊維の断面切断を示す。
図9A及び
図9Bは、繊維の断面が、約50μmの平均長軸及び約15μmの平均短軸を有する実質的にリボン形状であることを示す。リボン状繊維は、約500繊維/mm
2以上の平均断面繊維密度、及び約6対1の平均アスペクト比を有する。
【0088】
図10A及び
図10Bは、食品足場を含む非動物ベースの食品における断面切断の約1100倍の倍率での走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図10A及び
図10Bは、いくつかの架橋シートを含む食品足場の断面を示す。
【0089】
図11A及び
図11Bは、非動物ベースの食品の不規則な形状の繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図11Aは、200倍の倍率で繊維の群を示す。繊維は、実質的に平行な配列及び約150μmの平均繊維直径を有する。
図11Bは、水蒸気(すなわち、蒸気処理)に約45分間曝露された後の繊維を示す。繊維を蒸気処理することにより、隣接する繊維間のより大きい相互連結性が生じた。蒸気処理された繊維における増加した相互連結性は、非動物ベースの食品の靭性を増加させ、柔らかさを減少させた。
【0090】
前述の明細書では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が述べられてきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細の一部なしで、又は追加の詳細を用いて実施され得ることが当業者には明らかであろう。
【0091】
いくつかの実施形態を開示してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構成、及び均等物が使用され得ることが当業者によって認識されるであろう。加えて、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、多数の周知のプロセス及び要素は記載されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0092】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段に示さない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在する値も、下限の小さな割合まで具体的に開示されていると理解される。示された範囲における任意の示された値又は示されない介在する値と、その示された範囲における任意の他の示された又は介在する値との間の、いかなる小さな範囲も、包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれても除外されてもよく、上限及び下限のどちらか一方若しくは両方がより小さな範囲に含まれるか、又はどちらも含まれない各範囲もまた、述べられた範囲における任意の特に除外された限度を条件として、本技術内に包含される。述べられた範囲が一方又は両方の限度を含む場合、それらのいずれか又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0093】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別段に指示しない限り、複数の参照物を含む。よって、例えば、「繊維」への言及は、複数のそのような繊維を含み、「非動物ベースのタンパク質」への言及は、当業者に知られている1つ以上の非動物ベースのタンパク質及びそれらの均等物への言及を含む。
【0094】
また、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「含む(include)」、及び「含む(including)」という語は、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、述べられた特徴、整数、構成要素、又は動作の存在を指定することを意図しているが、1つ以上の他の特徴、整数、構成要素、動作、行為、又は群の存在又は追加を排除するものではない。
【国際調査報告】