(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】荷重可変型転がり軸受及び荷重可変型転がり軸受用の転動体
(51)【国際特許分類】
F16C 19/50 20060101AFI20240326BHJP
F16C 33/32 20060101ALI20240326BHJP
F16C 33/58 20060101ALI20240326BHJP
F16C 33/36 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16C19/50
F16C33/32
F16C33/58
F16C33/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564043
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 KR2021005161
(87)【国際公開番号】W WO2022225086
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523392578
【氏名又は名称】リ,ヨン クン
(71)【出願人】
【識別番号】523392589
【氏名又は名称】シン,ヒョン ウィ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨン クン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョン ウィ
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA04
3J701AA13
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701BA06
3J701BA53
3J701BA54
3J701BA55
3J701FA31
3J701GA11
(57)【要約】
本発明は、内周面に凹状に外輪軌道111が形成されたリング状の外輪110と、外周面に凹状に内輪軌道121が形成されたリング状の内輪120と、前記外輪軌道111と内輪軌道121との間に円周方向に沿って並べられた複数の転動体130と、を備え、前記転動体130は、円筒状の転動体可変接触部133と、転動体可変接触部133の両側に配備され、凸状の球面に形成された転動体球面部131と、を備え、前記外輪軌道111は、断面が凹んだ円弧状に形成された外輪軌道球面接触部111-1と、前記外輪軌道球面接触部111-1の軸方向に隣り合って位置する円筒状の外輪軌道可変接触部111-3と、を備え、前記内輪軌道121は、断面が凹んだ円弧状に形成された内輪軌道球面接触部121-1と、前記内輪軌道球面接触部121-1の軸方向に隣り合って位置する円筒状の内輪軌道可変接触部121-3と、を備え、前記転動体球面部131は、外輪軌道球面接触部111-1と内輪軌道球面接触部121-1との間に位置し、転動体可変接触部133は、外輪軌道可変接触部111-3と内輪軌道可変接触部121-3との間に位置する、荷重可変型転がり軸受100及び荷重可変型転がり軸受用の転動体130に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に凹状に外輪軌道(111)が形成されたリング状の外輪(110)と、
外周面に凹状に内輪軌道(121)が形成されたリング状の内輪(120)と、
前記外輪軌道(111)と内輪軌道(121)との間に円周方向に沿って並べられた複数の転動体(130)と、
を備え、
前記転動体(130)は、
円筒状の転動体可変接触部(133)と、
転動体可変接触部(133)の両側に配備され、凸状の球面に形成された転動体球面部(131)と、
を備え、
前記外輪軌道(111)は、断面が凹んだ円弧状に形成された外輪軌道球面接触部(111-1)と、前記外輪軌道球面接触部(111-1)の軸方向に隣り合って位置する円筒状の外輪軌道可変接触部(111-3)と、を備え、
前記内輪軌道(121)は、断面が凹んだ円弧状に形成された内輪軌道球面接触部(121-1)と、前記内輪軌道球面接触部(121-1)の軸方向に隣り合って位置する円筒状の内輪軌道可変接触部(121-3)と、を備え、
前記転動体球面部(131)は、外輪軌道球面接触部(111-1)と内輪軌道球面接触部(121-1)との間に位置し、転動体可変接触部(133)は、外輪軌道可変接触部(111-3)と内輪軌道可変接触部(121-3)との間に位置することを特徴とする、荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項2】
前記外輪軌道球面接触部(111-1)は、軸方向に離間して2つ配備され、前記内輪軌道球面接触部(121-1)は、軸方向に離間して2つ配備され、
前記外輪軌道可変接触部(111-3)は、外輪軌道球面接触部(111-1)の間に位置し、
前記内輪軌道可変接触部(121-3)は、内輪軌道球面接触部(121-1)の間に位置して、前記外輪軌道可変接触部(111-3)の半径方向の内側に離間し、
前記外輪軌道球面接触部(111-1)と内輪軌道球面接触部(121-1)とは、対角線の方向に互いに向かい合うことを特徴とする、請求項1に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項3】
組み立てられるときに前記転動体可変接触部(133)が両側の外輪軌道可変接触部(111-3)と内輪軌道可変接触部(121-3)に接触する前に、前記転動体球面部(131)が両側の外輪軌道球面接触部(111-1)と内輪軌道球面接触部(121-1)に接触することを特徴とする、請求項1または2に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項4】
軸受が組み立てられれば、前記転動体球面部(131)は、両側の外輪軌道球面接触部(111-1)と内輪軌道球面接触部(121-1)に接触し、前記転動体可変接触部(133)は、両側の外輪軌道可変接触部(111-3)及び内輪軌道可変接触部(121-3)と離間することを特徴とする、請求項1または2に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項5】
前記外輪軌道可変接触部(111-3)と内輪軌道可変接触部(121-3)は、軸方向に中心部が突出したクラウニング状に形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項6】
前記転動体可変接触部(133)は、その長手方向の中心部が突出したクラウニング状に形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項7】
前記外輪軌道球面接触部(111-1)と外輪軌道可変接触部(111-3)との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた外輪アンダーカット部(111-5)が形成され、前記内輪軌道球面接触部(121-1)と内輪軌道可変接触部(121-3)との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた内輪アンダーカット部(121-5)が形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の荷重可変型転がり軸受(100)。
【請求項8】
荷重可変型転がり軸受用の転動体において、
円筒状の転動体可変接触部(133)と、
転動体可変接触部(133)の両側に配備され、凸状の球面に形成された転動体球面部(131)と、
を備え、
前記転動体球面部(131)は、転動体可変接触部(133)につながる部分から直径が縮径する形状に球面をなして配備されることを特徴とする、荷重可変型転がり軸受用の転動体(130)。
【請求項9】
真球度が3μm以下である球面に製造され、円筒状の転動体可変接触部(133)は、球体の一部が切り欠かれた円筒状に形成されて両側の転動体球面部(131)の曲げ率の中心は互いに一致することを特徴とする、請求項8に記載の荷重可変型転がり軸受用の転動体(130)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重可変型転がり軸受及び荷重可変型転がり軸受用の転動体に関し、より詳細には、軸受に加えられる外力により軸受の定格容量が可変となる荷重可変型転がり軸受及び荷重可変型転がり軸受用の転動体に関する。
【背景技術】
【0002】
玉軸受とは、軸受の駆動のために内輪と外輪との間に玉(ボール)を転動体として用いる軸受のことをいい、通常の玉軸受には、転動体である玉同士の円周方向の間隔を保持するリテーナー(別名:ケージ)が装着されることになる。
【0003】
図1は、従来の技術の玉軸受1の一部分を切開した斜視図である。
図1を参照すると、従来の玉軸受1は、転動体である玉30と接触して駆動されるように内周側に外輪軌道11が形成されたリング状の外輪10と、玉30と接触して駆動されるように外周側に内輪軌道21が形成されたリング状の内輪20と、前記外輪10と内輪20との間に位置して外輪軌道11と内輪軌道21のとの間において転動される複数の玉30と、前記玉30同士の円周方向の間隔を保持するように外輪10と内輪20との間に配設されるリテーナー40と、からなる。
【0004】
外部から作用する荷重に対する玉軸受などのような転がり軸受の支持能である定格容量(静定格荷重、動定格荷重)は、転動体の数、転動体の大きさ(玉の直径、ころ軸受である場合にはころの直径)などに応じて異なってくる。
【0005】
図1に示す形状を呈する玉軸受は、転動体である玉が球状であって、大韓民国特許公開第10-2009-0041103号公報に公知となっている円すいころ軸受(テーパーローラーベアリング)のようなころ軸受に比べて、転動体の接触面積が小さいため、接触抵抗が小さいことから、回転トルクが低いという長所があるものの、軸受に作用する荷重に対する支持能はころ軸受に比べて小さい。
【0006】
したがって、従来の自動車用変速機などには、大韓民国特許公開第10-2009-0041103号公報に公知となっている円すいころ軸受が用いられていたが、最近、自動車に対して高い燃費が求められ、地球温暖化などの環境イシューが取り上げられることに伴い、回転トルクの低い玉軸受が採択されている。変速機のように軸受に加えられる荷重が可変となる場合、大きな荷重に合わせて軸受が設計されなければならないため、作動に比べて余計に大きなサイズの軸受が設置されるという問題があった。
【0007】
例えば、変速機は、低段(例えば、1段~3段)において軸受に作用する荷重が大きく、高段(5段以上)において軸受に作用する荷重が非常に小さいという特徴があり、運用比率からみると、低段において10%未満であり、主として高段において90%以上運用される。
【0008】
変速機に設置される軸受は運用率が10%未満であるが、荷重の大きな低段に合わせて設計されなければならないため、90%以上運用される高段において余計に定格容量の大きな軸受が用いられている。また、高段において用いられるには、軸受の重さや回転トルクも大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2009-0041103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来の技術が抱えている問題を解決するために案出されたものであって、可変荷重の環境下で外力に応じて軸受の定格容量が可変となる荷重可変型転がり軸受及び荷重可変型転がり軸受用の転動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的のために本発明は、内周面に凹状に外輪軌道が形成されたリング状の外輪と、外周面に凹状に内輪軌道が形成されたリング状の内輪と、前記外輪軌道と内輪軌道との間に円周方向に沿って並べられた複数の転動体と、を備え、前記転動体は、円筒状の転動体可変接触部と、転動体可変接触部の両側に配備され、凸状の球面に形成された転動体球面部と、を備え、前記外輪軌道は、断面が凹んだ円弧状に形成された外輪軌道球面接触部と、前記外輪軌道球面接触部の軸方向に隣り合って位置する円筒状の外輪軌道可変接触部と、を備え、前記内輪軌道は、断面が凹んだ円弧状に形成された内輪軌道球面接触部と、前記内輪軌道球面接触部の軸方向に隣り合って位置する円筒状の内輪軌道可変接触部と、を備え、前記転動体球面部は、外輪軌道球面接触部と内輪軌道球面接触部との間に位置し、転動体可変接触部は、外輪軌道可変接触部と内輪軌道可変接触部との間に位置することを特徴とする。
【0012】
上記において、外輪軌道球面接触部は、軸方向に離間して2つ配備され、前記内輪軌道球面接触部は、軸方向に離間して2つ配備され、前記外輪軌道可変接触部は、外輪軌道球面接触部との間に位置し、前記内輪軌道可変接触部は、内輪軌道球面接触部との間に位置して、前記外輪軌道可変接触部の半径方向の内側に離間し、前記外輪軌道球面接触部と内輪軌道球面接触部は、対角線方向に互いに向かい合うことを特徴とする。
【0013】
上記において、軸受が組み立てられるとき、前記転動体可変接触部が両側の外輪軌道可変接触部と内輪軌道可変接触部に接触する前に、前記転動体球面部が両側の外輪軌道球面接触部と内輪軌道球面接触部に接触することを特徴とする。
【0014】
上記において、軸受が組み立てられれば、前記転動体球面部は、両側の外輪軌道球面接触部と内輪軌道球面接触部に接触し、前記転動体可変接触部は、両側の外輪軌道可変接触部及び内輪軌道可変接触部と離間していることを特徴とする。
【0015】
上記において、外輪軌道可変接触部と内輪軌道可変接触部は、軸方向に中心部が突出したクラウニング状に形成されたことを特徴とする。
【0016】
上記において、転動体可変接触部は、その長手方向の中心部が突出したクラウニング状に形成されたことを特徴とする。
【0017】
上記において、外輪軌道球面接触部と外輪軌道可変接触部との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた外輪アンダーカット部が形成され、前記内輪軌道球面接触部と内輪軌道可変接触部との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた内輪アンダーカット部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記において、外輪軌道球面接触部と外輪軌道可変接触部との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた外輪アンダーカット部が形成され、前記内輪軌道球面接触部と内輪軌道可変接触部との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた内輪アンダーカット部が形成されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来の技術による玉軸受を示す一部切開斜視図である。
【
図2】本発明に係る荷重可変型転がり軸受の半断面図である。
【
図5】本発明に係る荷重可変型転がり軸受に配備される転動体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付図面に基づいて、本発明に係る荷重可変型転がり軸受及び荷重可変型転がり軸受用の転動体について詳しく説明する。
【0021】
図2は、本発明に係る荷重可変型転がり軸受の半断面図であり、
図3は、
図2の“A”部を拡大して示すものであり、
図4は、
図2の“B”部を拡大して示すものであり、
図5は、本発明に係る荷重可変型転がり軸受に配備される転動体を示す断面図である。
【0022】
以下の説明において、
図2の横方向を軸方向として説明する。
図2の縦方向が半径方向である。
【0023】
図2に示すように、本発明に係る荷重可変型転がり軸受100は、内周面に凹状に外輪軌道111が形成されたリング状の外輪110と、外周面に凹状に内輪軌道121が形成されたリング状の内輪120と、前記外輪軌道111と内輪軌道121との間に円周方向に沿って並べられた複数の転動体130と、を備える。図面符号140は、転動体130の円周方向の間隔を保持するケージを示すものである。本発明に係る荷重可変型転がり軸受100は、ケージ140をさらに備えていてもよい。前記ケージ140は、リング状を呈し、かつ、円周方向に沿って離間して転動体130が収容される複数のポケットが形成される。
図2には示されていないが、内輪120と外輪110との間に、かつ、軸方向の両側に形成された開口部には、シール(密封)のためのシール(Seal)(図示せず)が備えられていてもよい。
【0024】
前記転動体130は、円筒状の転動体可変接触部133と、転動体可変接触部133の長手方向(
図5の横方向)の両側に配備され、凸状の球面に形成された転動体球面部131と、を備える。
【0025】
図5に示すように、前記転動体130は、球体から一部が切り欠かれた円筒状に形成される。転動体可変接触部133の直径Hは、球面である転動体球面部131の曲げ率半径に2を乗算した値(2×R)の80%~95%の範囲に形成されてもよい。前記転動体130に転動体可変接触部133が形成されることにより、球体である転動体に比べて、必要に応じて、さらに多くの数(例えば、1つまたは2つ)の転動体130が軸受に組み付けられることが可能になる。
【0026】
前記転動体可変接触部133は、円筒状に形成され、外向きに突出したクラウニング(Crowning)状に形成されてもよい。クラウニング(Crowning)の具体的な形状は、従来の公知の技術であるため、これについての説明は省略する。
【0027】
前記転動体球面部131は、転動体可変接触部133につながる部分から直径が縮径する形状に球面をなして配備される。
【0028】
前記転動体130は、真球度が3μm以下である球体に製造し、球体の両側をチャッキング(Chucking)し、回転させながら、中間部分を研削して円筒状の転動体可変接触部133を形成してもよいし、あるいは、ラバー砥石(回転駆動用)と研削砥石(研削加工用)との間に球体を通させて円筒状の転動体可変接触部133を形成してもよい。
【0029】
前記円筒状の転動体可変接触部133は、球体の一部が切り欠かれた円筒状に形成されて両側の転動体球面部131の曲げ率の中心は互いに一致する。
【0030】
前記外輪軌道111は、外輪軌道球面接触部111-1と、外輪軌道可変接触部111-3と、を備える。前記外輪軌道球面接触部111-1は、円周方向に沿って延び、断面は、
図2に示すように、凹状の円弧状に形成される。
【0031】
前記外輪軌道可変接触部111-3は、外輪軌道球面接触部111-1と軸方向に隣り合って外輪軌道111の凹状の底面を形成する。前記外輪軌道球面接触部111-1は、軸方向に離間して2つ配備され、前記外輪軌道可変接触部111-3は、外輪軌道球面接触部111-1の間に位置して外輪軌道111の底面を形成する。
【0032】
前記外輪軌道可変接触部111-3は、円筒状に形成される。前記外輪軌道可変接触部111-3は、凸状のクラウニング状に形成されてもよい。前記外輪軌道可変接触部111-3がクラウニング状に形成されることにより、軸受に外力が作用して外輪軌道可変接触部111-3と転動体可変接触部133に接触するときに中心部から接触して接触応力の集中が防がれることが可能になる。
【0033】
前記外輪軌道球面接触部111-1の
図2に示す断面円弧の曲げ率半径は、転動体球面部131の曲げ率半径Rよりも大きくなるように形成される。前記外輪軌道球面接触部111-1の曲げ率半径は、転動体球面部131の曲げ率半径の102~200%の範囲に形成される。
【0034】
軸受が軸とハウジング(図示せず)に組み立てられれば(軸受が組み立てられて内輪または外輪が軸またはハウジングに締まり嵌合すれば)、
図2に示すように、前記外輪軌道球面接触部111-1の円弧の中間個所において転動体球面部131が外輪軌道球面接触部111-1に接触する(
図2の図面符号P1)。外輪軌道可変接触部111-3を挟んで、軸方向の両側において外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131とが接触する。
【0035】
軸方向の両側において外輪軌道球面接触部111-1及び転動体球面部131が接し、外輪軌道球面接触部111-1の間に位置する外輪軌道可変接触部111-3は、転動体可変接触部133とは微小な間隔Do(例えば、100μm)だけ離間する。
【0036】
外輪軌道球面接触部111-1の曲げ率半径が転動体球面部131の曲げ率半径よりも大きいため、外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131のとの間隔は、両側において大きくなる
【0037】
前記外輪軌道球面接触部111-1と外輪軌道可変接触部111-3との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた外輪アンダーカット部111-5が形成される。前記外輪アンダーカット部111-5が形成されることにより、転動体130との干渉が防がれ、外輪軌道球面接触部111-1と外輪軌道可変接触部111-3のスーパーフィニッシュ(超仕上げ)(Super Finishing)加工が円滑に行われる。
【0038】
図3における図面符号Goは、外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131との間隔を示すものである。軸受が組み立てられれば、外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131は、軸方向に外輪軌道球面接触部111-1の円弧の中間個所P1において接し、中間個所から遠ざかることにつれて、離間した間隔Goが次第に増加する。
【0039】
前記内輪軌道121は、内輪軌道球面接触部121-1と、内輪軌道可変接触部121-3と、を備える。前記内輪軌道球面接触部121-1は、円周方向に沿って延び、断面は、
図2に示すように、凹状の円弧状に形成される。
【0040】
前記内輪軌道可変接触部121-3は、内輪軌道球面接触部121-1に軸方向に隣り合って内輪軌道121の凹状の底面を形成する。前記内輪軌道球面接触部121-1は、軸方向に離間して2つ配備され、前記内輪軌道可変接触部121-3は、内輪軌道球面接触部121-1の間に位置して内輪軌道121の底面を形成する。
【0041】
前記内輪軌道可変接触部121-3は、外輪軌道可変接触部111-3と向かい合い、外輪軌道可変接触部111-3から半径方向の内向きに離間する。
【0042】
前記内輪軌道球面接触部121-1は、外輪軌道球面接触部111-1と対角線の方向に互いに向かい合う。
【0043】
前記内輪軌道可変接触部121-3は、円筒状に形成される。前記内輪軌道可変接触部121-3の断面は、軸方向の中心部が凸状のクラウニング状に形成されてもよい。前記内輪軌道可変接触部121-3がクラウニング状に形成されることにより、内輪軌道可変接触部121-3と転動体可変接触部133に接触するときに中心部から接触して接触応力の集中が防がれることが可能になる。
【0044】
前記内輪軌道球面接触部121-1の
図2に示す断面円弧の曲げ率半径は、転動体球面部131の曲げ率半径よりも大きくなるように形成される。前記内輪軌道球面接触部121-1の曲げ率半径は、転動体球面部131の曲げ率半径の102~200%の範囲に形成される。軸受が組み立てられれば、
図2に示すように、前記内輪軌道球面接触部121-1の円弧の中間個所において転動体球面部131が内輪軌道球面接触部121-1に接触する(
図2の図面符号P2)。内輪軌道可変接触部121-3を挟んで、軸方向の両側において内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131とが接触する。
【0045】
軸方向の両側において内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131とが接し、内輪軌道球面接触部121-1の間に位置する内輪軌道可変接触部121-3は、前記転動体可変接触部133と微小な間隔Di(例えば、100μm)だけ離間する。内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131との間隔は、両側において大きくなるように形成される。
【0046】
前記内輪軌道球面接触部121-1と内輪軌道可変接触部121-3との間には、凹状を呈し、かつ、円周方向に沿って延びた内輪アンダーカット部121-5が形成される。前記内輪アンダーカット部121-5が形成されることにより、転動体130との干渉が防がれ、内輪軌道球面接触部121-1と内輪軌道可変接触部121-3のスーパーフィニッシュ(超仕上げ)(Super Finishing)加工が円滑に行われる。
【0047】
図4における図面符号Giは、内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131との間隔を示すものである。軸受が組み立てられれば、内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131とは内輪軌道球面接触部121-1円弧の中間個所P2において接し、中心地点から遠ざかるにつれて離間した間隔Giが次第に増加する。
【0048】
前記外輪軌道球面接触部111-1は、軸方向に離間して2つ配備され、前記内輪軌道球面接触部121-1は、軸方向に離間して2つ配備される。前記外輪軌道可変接触部111-3は、外輪軌道球面接触部111-1の間に位置し、前記内輪軌道可変接触部121-3は、内輪軌道球面接触部121-1の間に位置して、前記外輪軌道可変接触部111-3の半径方向の内側に離間して、前記外輪軌道球面接触部111-1と内輪軌道球面接触部121-1とは対角線の方向に互いに向かい合う。
【0049】
作動に際して軸受に荷重が作用すると、例えば、内輪120に嵌入した軸(図示せず)に半径方向の荷重が作用すると、一部の転動体130が外輪110に押し付けられて内輪軌道可変接触部121-3と転動体可変接触部133との間隔Diと、外輪軌道可変接触部111-3と転動体可変接触部133との間隔Doが減少し、荷重の増加につれて内輪軌道可変接触部121-3と転動体可変接触部133とが接し、外輪軌道可変接触部111-3と転動体可変接触部133とが接することになる。
【0050】
軸受に大きな荷重が作用するとき、軸受の内輪120は、内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131とが接し、これに加えて、内輪軌道可変接触部121-3と転動体可変接触部133とが接しながら駆動され、外輪110は、外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131とが接し、これに加えて、外輪軌道可変接触部111-3と転動体可変接触部133とが接しながら作動することになり、その結果、定格荷重が大きくなるという効果が奏される。
【0051】
例えば、変速機において、軸受に大きな荷重が作用しない高段において、内輪120は、内輪軌道可変接触部121-3が転動体可変接触部133と接触せず、かつ、内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131とが接触した状態で、そして、外輪110は、外輪軌道可変接触部111-3が転動体可変接触部133と接触せず、かつ、外輪軌道球面接触部111-1と転動体球面部131とが接触した状態で回転して、4点接触状態P1、P2に回転する。
【0052】
軸受に大きな荷重が作用する低段において、内輪120は、内輪軌道可変接触部121-3が転動体可変接触部133に接し、内輪軌道球面接触部121-1もまた転動体球面部131が接触した状態で、そして、外輪110は、外輪軌道可変接触部111-3が転動体可変接触部133に接し、外輪軌道球面接触部111-1もまた転動体球面部131が接触した状態で回転する。したがって、変速機の低段運転のように大きな荷重が作用する場合、荷重支持能が増大され、高段運転のように荷重が小さな状態では、4点接触回転するため、半径方向の内外側の転動体可変接触部133と接触して回転する場合に比べて回転トルクは減少して、余計なトルクの増加や大きな軸受の使用に伴う効率(燃費など)の減少が防がれることが可能になる。可変荷重の環境下で、高荷重に対して定格容量が大きくなるので、軸受の大きさ(転動体の大きさなど)を大きくしないつつも、大きな荷重を支持することができる。
【0053】
前記内輪軌道球面接触部121-1と転動体球面部131との間の隙間Diや、外輪軌道可変接触部111-3と転動体可変接触部133との間隔Doは、軸受に作用する可変となる荷重の大きさに応じて設定されて製造される。
【0054】
本発明の説明のための
図2には、単列が示されているが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、本発明には、2列以上の複列も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、初期のトルクは大きくなく、負荷容量を増加させることができる。
【国際調査報告】