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特表2024-514686医療装置のための閉塞材料、そのシステム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】医療装置のための閉塞材料、そのシステム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240326BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564184
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2022053611
(87)【国際公開番号】W WO2022224125
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/177,052
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/716,073
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509031165
【氏名又は名称】コヒーレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COHEREX MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イ・スン・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】リー・アナベル
(72)【発明者】
【氏名】ディッター・トム
(72)【発明者】
【氏名】テイラー・ウィリアム・ジェイ・ゼット
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン・ロバート・エス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD54
4C160DD65
(57)【要約】
心臓の左心耳を閉塞するための閉塞材料を形成するための医療装置、システム、及び方法が提供される。一実施形態では、閉塞材料は、医療装置のフレームワークの外側に結合するようにサイズ決定された単体のシームレスなモノリシック構造体として延在する発泡体部分を含む。別の実施形態では、閉塞材料はポリマー積層体を含み得る。このようなポリマー積層体は、発泡体部分の外側に接着され得る。更に、ポリマー積層体を形成するための様々な実施形態が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の左心耳を閉塞するための医療装置であって、
軸を画定するハブに結合された閉塞器フレームセグメントを含むフレームワークであって、前記フレームワークの前記閉塞器フレームセグメントが、前記軸に対して前記ハブから半径方向外側にかつ遠位方向に延在している、フレームワークと、
発泡体部分を含む閉塞器部材であって、前記発泡体部分が、近位発泡体端と遠位発泡体端との間に延在する内側発泡体表面及び外側発泡体表面を画定するカップ状形状を有する単体のシームレスなモノリシック構造体を有し、前記発泡体部分が、前記フレームワークの外側表面に対応するようにサイズ決定されかつ構成され、前記発泡体部分が、前記近位発泡体端が前記ハブに隣接して位置決め可能であり、前記遠位発泡体端が前記閉塞器フレームセグメントの遠位端に隣接して位置決め可能であるように、前記フレームワークの前記閉塞器フレームセグメントの外側表面に接して位置決め可能である、閉塞器部材と、を備える、医療装置。
【請求項2】
前記近位発泡体端が前記発泡体部分の開口部を画定するように、前記発泡体部分が前記発泡体部分に前記開口部を画定するように延在している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記発泡体部分が、実質的に一定の厚さで延在している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記発泡体部分が、前記フレームワークの一部分に縫い付けられるように構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記閉塞器部材が、前記発泡体部分の前記外側表面に接着して取り付けられたポリマー材料を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記発泡体部分が、足場構造体を有して延在する生分解性材料を含み、前記足場構造体が、内部に組織の内部成長を誘導するようにサイズ決定されかつ構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
ポリマー積層体を形成する方法であって、
ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして積層ポリマーフィルム構造体を形成することであって、前記積層ポリマーフィルム構造体が上部表面を画定する、形成することと、
別個の上方型構造体の各々が独立して負荷を受けるように構成されるように、前記上方型構造体で前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に圧力を加えることと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させることと、を含む、方法。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記上部表面が階段状のプロファイルで延在するように前記ポリマーフィルムを積層することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記圧力を加えることが、互いに摺動運動で相互接続された型構造体を用いて圧力を加えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記圧力を加えることが、前記別個の上方型構造体で前記積層ポリマーフィルム構造体に圧力を加えて、前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に実質的に一定の圧力を提供することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力を加えることが、前記上部表面が階段状のプロファイルで延在するように、前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に圧力を加えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ポリマー積層体を形成する方法であって、
ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして、積層ポリマーフィルム構造体、前記積層ポリマーフィルム構造体を形成することと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の上に可撓性金属箔を位置決めすることと、
前記可撓性金属箔の上方表面に等方圧を加えることと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させることと、を含む、方法。
【請求項13】
前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が階段状のプロファイルを画定するように前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が平坦構造で延在するように前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、ベース部材の上に前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記積層ポリマーフィルム構造体を、上方プレートと下方プレートとの間に封止することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記可撓性金属箔が上にある状態で前記積層ポリマーフィルム構造体が等方圧下に置かれることができるように、前記積層ポリマーフィルム構造体を上方プレートと下方プレートとの間に位置決めすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記加えることが、前記積層ポリマーフィルム構造体が上方プレートと下方プレートとの間にある状態で前記上方プレートと前記下方プレートとの間にガス加圧システムから加圧ガスを供給することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記上昇させることに続いて、前記積層ポリマーフィルム構造体を硬化させて前記ポリマー積層体を形成することを可能にすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記上昇させることに続いて、前記積層ポリマーフィルムから前記可撓性金属箔を除去して、前記ポリマー積層体を露出させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月20日に出願された米国仮特許出願第63/177,052号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、組織の開口部又は心耳の閉塞に関し、より具体的には、例えば左心耳を含むそのような開口部及び心耳を閉塞するか、さもなければ構造的に変更するための装置、システム及び方法のための閉塞材料の構造的特徴に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓の上方の室である心房の各々には、心耳が付いている。例えば、左心耳は、全てのヒトの心臓の一形体である。そのような心耳の生理学的機能は完全には理解されていないが、心臓が正常に拍動している間、充填槽としての機能を果たすことは確かである。心耳は、典型的には、心房から突出して心房の外側部分を覆っている。心耳は、互いに実質的に異なる。例えば、ある心耳が先細の突起として構成され得る一方で、別の心耳は、内側に凹んだ靴下状の孔として構成され得る。心耳の内側表面は、通常、1つ又は複数の葉(lobe)とともにその表面を横断する心筋組織の索で肉柱化される。
【0004】
心臓が正常に機能している間は、血液が心耳を通って送り出されるが、心耳は不活性であるように見える。換言すれば、心臓が正常に機能している間、心耳は、それらを通って送り出される血液に顕著な影響を及ぼしているようには見えない。しかしながら、心房細動の場合、心房が不整脈になると、心耳の内側で血液が鬱血して血栓症を引き起こす可能性がある。とりわけ、これが左心耳に起こった場合に、脳卒中の危険性をもたらし得、不整脈事象後に正常洞調律が回復すると、血栓が心臓から送り出されて頭蓋の循環系に入り得るためである。
【0005】
歴史的に、心房細動によって引き起こされる危険性を低減するために、時には心耳に外科的な修正が施されてきた。近年では、左心耳に経皮的に送達され得る装置が導入されている。これらの装置の基本機能は、埋め込み物で心耳内の容積を排除することにより、心耳内の血液が、安全に血栓を形成し、その後、心臓組織内に徐々に取り込まれるのを可能にすることである。このプロセスでは、装置の面を覆う内皮の成長と相まって、心耳が位置する表面を滑らかな内皮化状態にしておくことが可能である。経皮的に埋め込まれる装置は、左心耳に関連する問題に対処する手段として、外科的処置と比較して侵襲性が低い。
【0006】
しかしながら、左心耳の心門のサイズ及び容積のばらつきが大きいことから、現在の埋め込み可能な装置の多くは、そのようなばらつきに対応することができない構造を含み、結果として、多くの左心耳の解剖学的構造には不適切な装置になっている。更に、そのような埋め込み可能な装置は、そこに係留された後に左心耳内で調整することができるので、典型的にはその機能性が制限されている。更に、現在の多くの閉塞器タイプの装置に関する別の潜在的な問題は、閉塞材料の厚さの意図しないばらつきなど、そのフレームワークに取り付けられる閉塞材料のばらつきに関するものである。例えば、閉塞器タイプの装置の閉塞材料は、シート材料から形成されることが多い。シート材料から三次元形状を形成すること及びシート材料をフレームワークに効果的に取り付けることを含む手作業によるプロセスは、面倒であり、手作業の複雑なプロセスによりずれが生じ、典型的に、その後に形成される三次元形状を効果的に維持するためにシート材料を重ねる必要がある。
【0007】
いくつかの閉塞器タイプの装置の閉塞材料の別の問題は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene、「ePTFE」)積層体を形成するプロセスに関連するものである。ePTFE積層体のこのような形成には、典型的に、複数の層のePTFEフィルムを積層することが必要であり、積層された層は圧縮力下に置かれ、熱処理を受けてePTFE積層体を形成する。しかしながら、多くの場合、ePTFE積層体の所定の長さに沿って異なる厚さを有することが望まれ、その結果、所望のePTFE積層体に到達するために、ePTFEフィルムの層を異なる厚さを有する多少複雑な構造体を形成する必要がある。ePTFEフィルムの積層された層に圧縮力を加えるとき、積層された層の異なる厚さにより、ePTFE層のいくつかの部分がePTFE層の他の部分と同じ圧縮力又は圧力を受けなくなる場合があり、また積層されたePTFE層の表面にわたって加えられる温度にムラが生じる場合がある。このようなばらつきは、形成されたePTFE積層体の構造特性及び最終的な性能のムラをもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、閉塞材料においてより一定の特性を提供することが有益であろう。上で説明したように、このような一定の特性は、解剖学的に広い多様性を呈する開口部を医師がより一定に閉塞する能力を高め、閉塞材料自体の有効性を高めるだけである。
【0009】
様々な特徴及び利益は、後述する様々な実施形態の説明を読むことで、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、組織開口部を閉塞するために採用される閉塞材料を形成する様々な装置、システム及び方法に関連する。一実施形態では、心臓の左心耳を閉塞するための医療装置が提供される。医療装置には、フレームワーク及び閉塞器部材が含まれる。フレームワークは、軸を画定するハブに結合された閉塞器フレームセグメントを含み、フレームワークの閉塞器フレームセグメントが、軸に対してハブから半径方向外側にかつ遠位方向に延在している。閉塞器部材は発泡体部分を含み、発泡体部分は、近位発泡体端と遠位発泡体端との間に延在する内側発泡体表面及び外側発泡体表面を画定するカップ状形状を有する単体のシームレスなモノリシック構造体を有する。発泡体部分は、近位発泡体端がハブに隣接して位置決め可能であり、遠位発泡体端が閉塞器フレームセグメントの遠位端に隣接して位置決め可能であるように、発泡体部分がフレームワークの閉塞器フレームセグメントの外側表面に接して位置決め可能であるように、フレームワークの外側表面に対応するようにサイズ決定されかつ構成されている。
【0011】
別の実施形態では、近位発泡体端が発泡体部分の開口部を画定するように、発泡体部分が発泡体部分に開口部を画定するように延在している。別の実施形態では、発泡体部分は、実質的に一定の厚さで延在している。なお更に別の実施形態では、発泡体部分は、フレームワークの一部分に縫い付けられるように構成されている。
【0012】
別の実施形態では、閉塞器部材は、発泡体部分の外側表面に接着して取り付けられたポリマー材料を含む。別の実施形態では、発泡体部分は、足場構造体を有して延在する生分解性材料を含み、足場構造体は、内部に組織の内部成長を誘導するようにサイズ決定されかつ構成されている。なお別の実施形態では、フレームワークは、第1の端部と第2の端部との間に延在するアンカーフレームセグメントを含み、第1の端部は閉塞器フレームセグメントに枢動可能に結合され、第2の端部は二次ハブに結合され、二次ハブはハブに対してかつ軸に沿って移動可能である。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー積層体を形成する方法が提供される。一実施形態では、方法は、ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして積層ポリマーフィルム構造体を形成するステップであって、積層ポリマーフィルム構造体が上部表面を画定する、形成するステップと、別個の上方型構造体の各々が独立して負荷を受けるように構成されるように、上方型構造体で積層ポリマーフィルム構造体の上部表面に圧力を加えるステップと、積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させるステップと、を含む。
【0014】
別の実施形態では、位置決めするステップは、上部表面が階段状のプロファイルで延在するようにポリマーフィルムを積層することを含む。別の実施形態では、加えるステップは、互いに摺動運動で相互に接続された型構造体を用いて圧力を加えることを含む。なお別の実施形態では、加えるステップは、別個の上方型構造体で積層ポリマーフィルム構造体に圧力を加えて、積層ポリマーフィルム構造体の上部表面に実質的に一定の圧力を提供することを含む。なお更に別の実施形態では、加えるステップは、上部表面が階段状のプロファイルで延在するように、積層ポリマーフィルム構造体の上部表面に圧力を加えることを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー積層体を形成する方法が提供される。一実施形態では、方法は、ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして、積層ポリマーフィルム構造体、積層ポリマーフィルム構造体を形成するステップと、積層ポリマーフィルム構造体の上に可撓性金属箔を位置決めするステップと、可撓性金属箔の上方表面に等方圧を加えることと、積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させることと、を含む。
【0016】
別の実施形態では、ポリマーフィルムを位置決めするステップは、積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が階段状のプロファイルを画定するようにポリマーフィルムを位置決めすることを含む。なお更に別の実施形態では、ポリマーフィルムを位置決めするステップは、積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が平坦構造で延在するようにポリマーフィルムを位置決めすることを含む。別の実施形態では、ポリマーフィルムを位置決めするステップは、ベース部材の上にポリマーフィルムを位置決めすることを含む。
【0017】
別の実施形態では、方法は、積層ポリマーフィルム構造体を、上方プレートと下方プレートとの間に封止するステップを更に含む。別の実施形態では、方法は、可撓性金属箔が上にある状態で積層ポリマーフィルム構造体が等方圧下に置かれることができるように、積層ポリマーフィルム構造体を上方プレートと下方プレートとの間に位置決めするステップを更に含む。別の実施形態では、加えるステップは、積層ポリマーフィルム構造体が上方プレートと下方プレートとの間にある状態で上方プレートと下方プレートとの間にガス加圧システムから加圧ガスを供給することを含む。なお更に別の実施形態では、上昇させるステップに続いて、方法は、積層ポリマーフィルム構造体を硬化させてポリマー積層体を形成することを更に含む。別の実施形態では、上昇させるステップに続いて、方法は、積層ポリマーフィルムから可撓性金属箔を除去して、ポリマー積層体を露出させることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の前述及び他の利益は、以下の詳細説明を読み、図面を参照することにより明らかになるであろう。
図1】本発明の一実施形態による、送達システムに結合された医療装置を描写する、医療装置システムの斜視背面図である。
図2】本発明の別の実施形態による、送達システムのハンドルのアンカーアクチュエータで後退させられた医療装置のアンカー部分を描写する、医療装置システムの斜視背面図である。
図3】本発明の別の実施形態による、医療装置システムのシース内に少なくとも部分的に収縮された医療装置を描写する、医療装置システムの斜視図である。
図4】本発明の別の実施形態による、フレーム、発泡体部分、及び積層体部分を描写する、医療装置の構成要素のいくつかの分解図である。
図5】本発明の別の実施形態による、図4の医療装置の発泡体部分を形成するための型構成要素の断面概略図である。
図6】本発明の別の実施形態による、型構成要素内に形成された発泡体部分を描写する、型構成要素の断面概略図である。
図7】本発明の別の実施形態による、互いに分離された型構成要素及び発泡体部分を描写する、型構成要素の断面概略図である。
図8】本発明の別の実施形態による、発泡体部分の断面概略図である。
図9】本発明の別の実施形態による、医療装置のフレーム上に位置決めされたePTFE積層体が接着された発泡体部分を描写する、医療装置の断面図である。
図10】本発明の別の実施形態による、フレームへの発泡体部分の縫い付けを描写する、医療装置の断面図である。
図11】本発明の別の実施形態による、医療装置の発泡体部分の上に位置決めされたポリマー積層体を描写する、医療装置の断面側面図である。
図12】本発明の別の実施形態による、ポリマー積層体を形成するための型アセンブリの斜視図である。
図13A】本発明の別の実施形態による、ポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図13B】本発明の別の実施形態による、上方型が第1の部分と第2の部分を有することを描写する、上方型と下方型との間に位置決めされたポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図13C】本発明の別の実施形態による、その上に別個の負荷がかかると第1の部分に対して移動可能である第2の部分を描写する、上方型と下方型が係合したポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図14A】本発明の別の実施形態によるポリマーフィルムスタックの別のタイプの概略側面図である。
図14B】本発明の別の実施形態による、上方型が第1の部分、第2の部分及び第3の部分を有することを描写する、上方型と下方型との間に位置決めされたポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図14C】本発明の別の実施形態による、その上に別個の負荷がかかると第1の部分に対して移動可能である第2の部分及び第3の部分を描写する、上方型と下方型が係合したポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図15A】本発明の別の実施形態による、第1の部分と第2の部分を有する上方型を描写する、上方型と下方型との間に位置決めされたポリマーフィルムスタックの別の」実施形態の概略側面図である。
図15B】本発明の別の実施形態による、ポリマースタックの一部分を置き換える第2の部分を描写する、上方型と下方型が係合したポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図16A】本発明によるポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図16B】本発明の別の実施形態による、ベースプレートと可撓性金属箔との間に位置決めされたポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図16C】本発明の別の実施形態による、加圧ガス負荷下のポリマースタックを描写する、ベースプレート及び可撓性フォイルと係合したポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図17A】本発明によるポリマーフィルムスタックの別の実施形態の概略側面図である。
図17B】本発明の別の実施形態による、ベースプレートと可撓性金属箔との間に位置決めされたポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図17C】本発明の別の実施形態による、加圧ガス負荷下のポリマースタックを描写する、ベースプレート及び可撓性フォイルと係合したポリマーフィルムスタックの概略側面図である。
図18】ポリマー積層体を形成するための複数のポリマーフィルムを描写する、スタックアセンブリの別の実施形態の概略分解側面図である。
図19】本発明の別の実施形態による、互いに横方向に配向された隣接するポリマーフィルムを描写する、スタックアセンブリの概略上面図である。
図20】本発明の別の実施形態による、加圧アセンブリに関連付けられたスタックアセンブリの分解概略図である。
図21】本発明の別の実施形態による、ガス加圧源に結合された加圧アセンブリの概略図である。
図22】本発明の別の実施形態による、炉内に位置決めされた加圧アセンブリの概略図である。
図23】本発明の別の実施形態による、スタックアセンブリの他の構成要素から形成され分離されたポリマー積層体を描写する、スタックアセンブリの概略図である。
図24】本発明の別の実施形態によるポリマー積層体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図4を参照すると、送達システム12に取り外し可能に結合された医療装置10が提供される。医療装置10及び送達システム12は、例えば、心臓(図示せず)内の左心耳などの開口部又は空洞を経皮的に閉鎖及び修正するための介入的な処置において用いられ得る、一緒になって医療装置送達システム14として参照され得る。医療装置10は、閉塞器部分16及びアンカー部分18を画定するように延在し得る。閉塞器部分16及びアンカー部分18は、閉塞器フレーム22及びアンカーフレーム24の対応するフレーム構成要素を画定するフレーム構造体20を画定することができる。閉塞器部分16には、組織成長部材26を含む閉塞器フレーム22、又は閉塞器フレーム22に取り付けられた閉塞材料が含まれ得る。組織成長部材26の閉塞材料は、閉塞材料の材料内及び材料に沿った組織の内部成長を強化及び促進するようにサイズ決定されかつ構成され得る。更に、組織成長部材26は、発泡体材料28及びポリマー積層体30のような1つ又は2つ以上のポリマー材料から形成され得る。発泡体材料28は、本明細書では発泡体部分とも呼ばれ、ポリウレタン発泡体、シリコン発泡体、或いは網状又は非網状の他の好適な発泡体材料であり得る。本明細書において積層体部分とも呼ばれるポリマー積層体30は、ePTFEの複数の層が積層体の所定の長さに沿って様々な厚さを画定するように延在し得るようにePTFE(「延伸ポリテトラフルオロエチレン」)の複数の層の加圧熱結合プロセスによって形成される。本発明によれば、このような発泡体材料28及びポリマー積層体30について更に詳述する。
【0020】
図4及び図9を参照すると、説明したように、本明細書ではフレームワークとも呼ばれるフレーム構造体20は、閉塞器フレーム22及びアンカーフレーム24を画定するように延在する。閉塞器フレーム22は一次ハブ32に直接結合され得、アンカーフレーム24は二次ハブ34又はアンカーハブに直接結合され得る。一次ハブ32及び二次ハブ34は、一次ハブ32及び二次ハブ34が軸36を画定するように軸方向に整列され得る。閉塞器フレーム22は、近位端38と遠位端40の間の閉塞器フレームセグメントとともに延在し得る。閉塞器フレーム22は、閉塞器フレーム22が軸36に対して半径方向外側に、かつ閉塞器フレーム22の一次ハブ32から遠位端40まで遠位方向に延在するように、閉塞器フレーム22の近位端38で一次ハブ32に結合され得る。アンカーフレーム24は、第1の端部42と第2の端部44との間に延在することができ、アンカーフレーム24の第1の端部42は閉塞器フレーム22の遠位端40に枢動可能に結合され、アンカーフレーム24の第2の端部44は、二次ハブ34に結合される。この構成により、アンカーフレーム24は、二次ハブ34を軸36に沿ってそれぞれ遠位方向及び近位方向に移動させることによって、展開位置(図1)と後退位置(図2)との間で移動可能又は枢動可能となり、アンカー部分18が左心耳内の組織に固定された後に医療装置10の位置を調整する際に医師を支援することができる。アンカーフレーム24と閉塞器フレーム22との間のそのような枢動可能な結合は、アンカーフレーム24の第1の端部42と閉塞器フレーム22の遠位端40との間の複数のヒンジ/アイレット構成とともに採用され得る。
【0021】
図1図4を参照すると、説明したように、医療装置10は、送達システム12で血管系を通って送達され得る。送達システム12には、プッシャカテーテル46とハンドル48が含まれ得、ハンドル48はカテーテル46の近位部分に統合されている。ハンドル48は、アンカーフレーム24が展開位置(図1)と後退位置(図2)との間で枢動できるように、軸36に沿って二次ハブ34を操作し移動させるためのアンカーアクチュエータ50などの様々な機能構成要素を含んでもよい。送達システム12は、医療装置10を左心耳に送達するための送達シース52を含み、それとともに採用され得る。送達シース52は、心臓の左心耳に隣接して位置決めされるように送達可能なシース遠位端54を有する既知の介入技術を使用して脈管構造内に位置決めされ得る。医療装置10が送達シース52の内腔を通ってシース遠位端54まで前進させられると(医療装置10は、シース遠位端54に隣接して破線で部分的に示される収縮位置にある(図3参照))、医療装置10は、送達シース52から少なくとも部分的に展開され得る。すなわち、その後、医療装置10の閉塞器部分16がシースの遠位端54から展開され得るように、送達シース52を手動で近位方向に移動させて(及び/又はプッシャカテーテル46を遠位方向に前進させて)もよい。このような閉塞器部分16は、閉塞器部分16がシース遠位端54から露出するため、直ちに自己膨張する場合がある。この段階では、医療装置10は部分的に展開された状態にあり、その後、アンカー部分18を展開することによって医療装置10は完全に展開された状態に移動され得る。例えば、閉塞器部分16が最初に展開されると、アンカー部分18は後退位置にあり、ハンドル48のアンカーアクチュエータ50は近位位置にあり得る(図2に描画されるように)。医師が、閉塞器部分16が左心耳に隣接する適切かつ所望の位置にあると判定すると、アンカー部分18は、矢印56(図1参照)によって示されるように、アンカーアクチュエータ50を遠位位置に移動させることによって、後退位置から展開位置に枢動され得る。アンカー部分18が展開位置に移動すると、アンカー部分18の歯58(図4)が組織に係合して、医療装置10を左心耳内に固定することができる。医師が、医療装置10が左心耳内の最適な固定位置にないと判定した場合、アンカー部分18は、矢印60(図2参照)によって示されるように、アンカーアクチュエータ50を遠位位置から近位位置に移動させることによって枢動されて後退位置に戻り得る。したがって、アンカーアクチュエータ50は、アンカー部分18が展開位置と後退位置との間で枢動するように、アンカー部分18を後退位置と展開位置との間で移動させるために近位及び遠位に手動で移動され得る。このようにして、医療装置10のアンカー部分18は、医師が最適な位置を得るか、又は医療装置10から送達システム12を解放する前にその位置に満足するまで、医師によって必要に応じて左心耳における組織から固定及び係合解除され得る。同様の医療装置送達システムは、2017年2月21日に出願され、現在は米国特許第10,631,969号として発行され、「MEDICAL DEVICE FOR MODIFICATION OF LEFT ATRIAL APPENDAGE AND RELATED SYSTEMS AND METHODS」という名称の米国特許出願第15/438,650号に開示され、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
ここで図4を参照すると、医療装置10の構成要素、すなわち、医療装置10のフレームワーク20、発泡体部分28、及び積層体部分30が分解された形態で示されている。発泡体部分28及び/又は積層体部分30は、本明細書では組織成長部材26として参照することもできる。発泡体部分28は、積層体部分が発泡体部分28の外側に及びその上に位置決めされ、固定され得るように、フレームワーク20と積層体部分30との間に位置決めされ得る。同様に、発泡体部分28を位置決めし、フレームワーク20の外側に取り付けられ得る。
【0023】
図4及び図8を参照すると、発泡体部分28は、発泡体部分28内に画定された近位開口部62を有するカップ形状で延在することができ、発泡体部分28は壁64を有して延在して壁64の内部表面66及び外部表面68を画定する。一実施形態では、外側表面68は積層体部分30によって覆われ得る。更に、発泡体部分28の内部表面66は、発泡体部分28を閉塞器フレーム22に取り付けることができるように、閉塞器フレーム22の外側70又は近位側部に接して位置決めされるようにサイズ決定されかつ構成され得る。発泡体部分28は、単体のシームレスなモノリシック構造体として延在することができる。換言すれば、発泡体部分28は、シート材料から形成され、その後、三次元形状を形成するように操作されるものではない。むしろ、発泡体部分28は、元々は、ほぼカップ形状の構造で延在するように、単体のシームレスなモノリシック構造体の三次元形状として成形され得る。このようなカップ形状の構造体では、発泡体部分28は、壁64が発泡体近位端74から壁64の発泡体遠位端76まで半径方向外側かつ遠位に延在できるように、発泡体部分軸72を画定することができる。発泡体近位端74は、発泡体部分28に画定される近位開口部62を画定することができる。発泡体部分28に画定されるこのような近位開口部62は、フレームワーク20の一次ハブ32の周囲に嵌合してそれに対応するようにサイズ決定されかつ構成され得る。更に、壁64は、壁厚78で延在することができる。壁厚78は、壁64の近位端74と遠位端76との間で実質的に均一であってもよい。別の実施形態では、壁64の所定の部分に沿って、壁64は、壁64の他の部分よりも厚くてもよい。発泡体部分28は、注型成形又は成形技術、更には三次元印刷、若しくは元々、発泡体部分を単一のシームレスなモノリシック構造体である三次元のカップ状の形状に形成するためのエンボス加工技術などの他の好適な技術を採用することによって、単体のシームレスなモノリシック構造体で形成することができる。
【0024】
次に、図5図8を参照して、最初は単体のシームレスなモノリシック構造体として形成される三次元カップ構造体として発泡体部分28を形成する方法の一実施形態を説明する。例えば、図5及び図6に関して、発泡体材料28は、型80内で成形され得、型80は、第1の型部材82及び第2の型部材84を有する。第1及び第2の型部材82、84は、第1の型部材82と第2の型部材84との間及び型80内に間隙86を画定するように延在している。間隙86は、前述したように、発泡体部分28に対応するようにサイズ決定することができる。更に、型80は入力チャネル(図示せず)を画定することができる。入力チャネルは、例えば加熱され得る液体発泡体材料で間隙86を充填するのを容易にするようにサイズ決定されかつ構成され得る。当業者には知られているように、液状の予備発泡体材料で間隙86を充填すると、予備発泡体材料は所定の期間をかけて硬化し、その後固化することができる。
【0025】
図6図7、及び図8を参照すると、発泡体材料28が硬化すると、発泡体部分を第1及び第2の型部材82、84から取り外すことができるように、第1及び第2の型部材82、84を分離して発泡体部分28を露出させ得る。このようにして、発泡体部分28は、最初に、前述した単体のシームレスなモノリシック構造体であり得る三次元のカップ形状の構造体として成形され得る。このような発泡体部分28は、発泡体部分28の壁64に沿って意図された既知の厚さ78で延在することができる。したがって、例えば、上述したように、成形又は注型成形によって最初に三次元カップ形状として形成される発泡体部分28は、発泡体部分28の厚さ78と比較して、より一定であるように形成された発泡体部分28(及び医療装置10のフレームワーク20(図4)に対応する意図された発泡体寸法)を提供することができ、並びに、シート材料から発泡体部分を形成する必要がないことにより、シート材料の重なりを排除し、発泡体部分28内の意図しない間隙や穴を排除することができる。
【0026】
前述したように、発泡体部分28は、ポリウレタン発泡体若しくはシリコン発泡体、又は網状又は非網状の他の好適な発泡体材料であり得る。更に、発泡体部分28は、足場として機能することができ、当技術分野で知られているように、生分解性又は生体吸収性の材料から形成することができる。このような足場タイプの生分解性又は生体吸収性材料は、その中での組織の内部成長を促進することができ、その結果、一定期間をかけて組織の内部成長が足場構造体に置き換わる可能性がある。換言すれば、組織が足場構造体内に成長し、足場構造体を通って成長した後、足場構造体は組織内に吸収され得る。別の実施形態では、発泡体部分28は、発泡体材料中の細孔が所定のサイズで形成され得るように、単体のシームレスなモノリシック構造体として形成され得る。例えば、発泡体部分28の細孔は、発泡体部分内での細胞の成長を促進又は禁止するために、30ミクロン~500ミクロンの範囲内にサイズ決定することができる。別の実施形態では、発泡体部分28の細孔は、厚さを通して徐々にサイズが増加し、細胞成長のための多様な環境を作り出すことができる。別の実施形態では、発泡体部分28は、親水性コーティングで処理されるか、又は心エコー検査撮像下での視認性を高めるために他の埋め込み材料を呈することができる。別の実施形態では、発泡体部分28は、発泡体部分28の厚さにわたる孔サイズの変化を伴う、又は伴わない独立型バリアであってもよい。いくつかの実施形態では、発泡体部分28は、送達シース52を通した医療装置10の送達中に送達シース52の内腔内で埋め込み物の摩擦を低減することを容易にするために、体積を低減するための大きな切り欠き(図示せず)を含んでもよい(図3を参照)。このようにして、最初に単体のシームレスなモノリシック構造体として発泡体を形成すると、より良好な所定の一定の構造特性を有する発泡体部分の形成が容易になり得る。
【0027】
ここで図9及び図10を参照すると、発泡体部分28は医療装置10のフレームワーク20に取り付けられ得る。一実施形態では、発泡体部分28の近位端74(図8)がフレームワーク20の支柱とフレームワーク20の一次ハブ32の部分との間に押し込まれるように、発泡体部分28をフレームワーク上に位置決めすることができる。更に、発泡体部分28は、フレームワーク20の閉塞器フレーム22の外側70又は外側表面上に実質的に延在し、少なくとも部分的にフレームワーク20のアンカーフレーム24を露出又は露出したままにし得る。発泡体部分28が閉塞器フレーム22の外側70上に適切に位置決めされると、発泡体部分28は、縫い付けプロセスによってフレームワーク20の閉塞器フレーム22に固定又は取り付けられ得る。例えば、縫い付けプロセスは、図9に描写するように、発泡体部分28を閉塞器フレーム22の遠位部分及び近位部分に縫い付けることができるように、発泡体部分28を閉塞器フレーム22に縫い付けるためにフィラメント88及び針90を採用することを含むことができる。このようなフィラメント88は、発泡体部分28が手作業で、又は当技術分野で知られている他の好適な自動化プロセスによってフレームワーク20に取り付けられ得るように、縫合糸又は医療グレードの糸などであり得る。この構成により、発泡体部分28は、閉塞器フレーム22の近位端38と遠位端40との間で閉塞器フレーム22の外側表面70を覆うことができる。
【0028】
ここで図4及び図11を参照すると、発泡体部分28が、例えば前述の縫い付けプロセスによってフレームワーク20に取り付けられると、発泡体部分28は、ポリマー積層体30を受け入れるために準備され得る。このような準備には、ポリマー積層体30の積層体内側表面92及び/又は発泡体部分28の外側表面68の上に接着剤(図示せず)を塗布することを含み得る。接着剤が十分に塗布されると、次に、図11に描写するように、ポリマー積層体30を発泡体部分28の外側表面68の上にそれに接して直接位置決めすることができる。描写されているように、ポリマー積層体30が発泡体部分28に接着されると、ポリマー積層体30が発泡体部分28を越えて延在し、ポリマー積層体30のフード部分94を画定するように、ポリマー積層体30は、発泡体部分28の遠位端76よりも更に遠位方向に延在することができる。ポリマー積層体のフード部分94は、アンカーフレーム24と閉塞器フレーム22との間の枢動を容易にするヒンジ96の上にフード部分94が延在するように、アンカーフレーム24の一部の上に部分的に延在し得る。
【0029】
ここで図12及び図13A図13Cを参照すると、ポリマー積層体30(図4)を形成するためのプロセスの一実施形態が提供される。このようなプロセスは、型98及びポリマーフィルムスタック100で実装され得る。型98は、軸125を画定することができ、その中にポリマーフィルムスタック100を保持するようにサイズ決定されかつ構成され得る。型98は、上方及び下方型部分102、104を含んでもよく、上方型部分102は、型98内でのポリマーフィルムスタック100の位置決めを容易にするために、下方型部分104に対して取り外し可能である。下方型部分102は、下方周辺部分106とともに延在することができるが、そのような下方周辺部分106は、図13A図13Cの概略図には描写されていない場合がある。上方型部分102は、第1の部品108及び第2の部品110などの複数の部分を含み得る。第1の部品108は、第2の部品110に対して軸125に沿って独立して移動可能であり得る。同様に、第2の部品110は、第1の部品108に対して軸125に沿って独立して移動可能であり得る。一実施形態では、第1の部品108は、円筒形状又はディスク形状で延在し得、第1の部品108が軸125に対して軸方向に整列し得るように、第2の部品110内に画定された空間内に位置決めされ得る。第2の部品110はまた、第2の部品110が軸125に対して軸方向に整列され得るように、内部に画定された空間を有する円筒構造体又はディスク構造体であり得る。この構成により、軸125が第1の部品108を通って軸方向に延在するように、第1の部品108を第2の部品110に対して中心に位置決めすることができる。
【0030】
一実施形態では、ポリマーフィルムスタック100は、第1の層112及び第2の層114などの複数の層を含み得る。第2の層114は、第1の層112の上に、又はその上に積層されてもよい。更に、単一の第1及び第2の層112、114としてのみ描写されているが、第1及び第2の層112、114の各々は、複数のポリマーフィルム層を含むことができる。別の実施形態では、第1の層112及び第2の層114の一方又は両方が単一のポリマーフィルム層であってもよい。更に、そのようなポリマーフィルム層は、様々な型部分に対して比例してはるかに薄いが、図面に描写された比率は概略的なものであり、概念的に簡略化された図を提供するものである。このようなポリマーフィルム層は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(「ePTFE」)であってもよい。ポリマーフィルムスタック100は、第1の上部表面116及び第2の上部表面118を有する階段状のプロファイルを画定することができ、第1の上部表面116は第1の層112に対応し、第2の上部表面118は第2の層114に対応する。図13Bに描写するように、第2の上部表面118の直径又は長さなどの第2の上部表面118のサイズ決定寸法は、上方型部分102の第1の部品108の第1の底部表面120のサイズ決定に対応し得る。同様に、第1の上部表面116のサイズ決定は、上方型部分102の第2の部品110の第2の底部表面122のサイズ決定に対応することができる。ポリマーフィルムスタック100は、軸125がポリマーフィルムスタック100の第1及び第2の層112、114のそれぞれの第1及び第2の上部表面116、118に対して直交又は横方向に延在し得るように、型98内に位置決めされ得る。
【0031】
ポリマーフィルムスタック100が型98内に位置決めされると、矢印124で示すように、第1の負荷が第1の部品108にかかり得るように、矢印126で示されるa、第2の負荷が上方型部分102の第2の部品110にかかり得るように、ポリマーフィルムスタック100は押し付け又は圧縮され得る。このような第1及び第2の負荷124、126は、軸125に沿って延在する方向又は軸125と実質的に平行に延在する方向に型98上に配置され得る。上方型部分102の第1及び第2の部品108、110にそのような負荷がかかるため、第2の部品110は、第1の部品108に対して距離128だけ変位され、その結果、第2の部品110の第2の底部表面122がポリマーフィルムスタック100の第1の層112の第1の上部表面116を押し付け、一方、第1の部品108の第1の底部表面120は、ポリマーフィルムスタック100の第2の層114の第2の上部表面118を押し付ける。第2の部品110が第1の部品108に対して変位する距離128は、第1の層112と第2の層114との間の階段状の高さに対応し得る。この構成により、上方型部分102の第1の部品112に対して変位可能又は可動である第2の部品110は、ポリマーフィルムスタック100の階段状のプロファイルを画定する第1及び第2の上部表面116、118の両方に対する圧力の提供を容易にする。第1及び第2の負荷124、126が、変位可能な第1及び/又は第2の部品108、110を有するポリマーフィルムスタック100に対してかかる間、型98及びポリマーフィルムスタック100は、ポリマーフィルムスタック100からのポリマー積層体30(図4)の形成を容易にするために、所定の期間にわたって所定の温度に加熱され得る。
【0032】
ここで図14A図14Cを参照すると、ポリマー積層体30(図4)を形成するための型130の別の実施形態が提供される。この実施形態では、ポリマーフィルムスタック132が延在して、第1の層134、第2の層136、及び第3の層138を有する階段状のプロファイルを画定する。前の実施形態と同様に、第1、第2、及び第3の層134、136、138の各々は、内部に複数のポリマーフィルム層を画定することができる。ポリマーフィルムスタック132は、型130の間及びその内部に位置決めされるようにサイズ決定されかつ構成され得る。型130は、軸145を画定し、上方型部分140及び下方型部分142を含むことができ、軸145は型130を通って軸方向に延在する。ポリマーフィルムスタック132は、下方型部分142の上に位置決めされ得る。前の実施形態と同様に、上方型部分140は、上方型部分140が軸145に沿って移動可能であるように、ポリマーフィルムスタック132及び下方型部分142に対して移動可能であってもよい。例えば、上方型部分140は、第1の型部品144、第2の型部品146、及び第3の型部品148を画定するように延在することができる。第1、第2、及び第3の型部品144、146、148の各々は、軸145と平行な方向に独立して移動可能であり、ポリマーフィルムスタック132の上部表面に対して加圧力又は圧力を提供するように係合可能であり得る。前の実施形態と同様に、第1の型部品144は円筒構造体であってもよく、第2及び第3の型部品146、148は円筒形のスリーブタイプの構造体であってもよい。更に、第1、第2、及び第3の型部品144、146、148の各々は、ポリマースタック132の上部表面と係合するようにサイズ決定されかつ構成されている底部表面150を画定するように延在することができる。一実施形態では、第1の型部品144は、矢印152で示すように、第1の負荷下に置かれる底部表面150とともに延在し、ポリマーフィルムスタック132の第3の層の上部154表面と係合することができる。同様に、第2の型部品146は、矢印156で示すように、第2の負荷下に置かれる底部表面150まで延在し、ポリマーフィルムスタック132の第2の層の上部表面158と係合することができる。第3の型部品148は、矢印160で示すように、第3の負荷下に置かれる底部表面150まで延在し、ポリマーフィルムスタック132の第1の層の上部表面162と係合することができる。第1、第2、及び第3の負荷152、156、160の各々は、型部品はポリマーフィルムスタック132の対応する上部表面に係合するために必要に応じて変位可能であるように、それぞれの型部品を独立してかつ別個に移動させてポリマーフィルムスタック132に係合するように、互いに独立していてもよい。更に、そのような負荷は、型130内に画定された軸145に平行な方向に上方型部分140にかかる可能性がある。第1、第2、及び第3の負荷152、156、160のそのような負荷化は、当業者には知られているように、空気圧又は油圧作動によって採用することができる。ポリマーフィルムスタック132に圧力を与えるための適切な負荷を提供すると、及びポリマーフィルムスタック132が適切に加熱されると、ポリマーフィルムスタック132はポリマー積層体30(図4)に形成され、型130から取り外され得る。このように、多部品型は、ポリマーフィルムスタックの異なる部分に負荷を提供するように構成することができ、ポリマーフィルムスタック132に加えられる圧力をより適切な制御を提供して、より構造的に健全なポリマー積層体を形成することができる。
【0033】
別の実施形態では、ポリマーフィルムスタック132の異なる層の厚さに不規則性がある場合、第1、第2、及び第3の型部品144、146、148などの異なる型部品は、その中に位置決めされたそれぞれの第1、第2、及び第3のセンサ155、157、159を含み得ることが企画される。このようなセンサは、ポリマーフィルムスタック132の様々な部分に加えられる圧力が一定になるように、層の厚さの変化及び/又はポリマーフィルムスタック132の異なる層にかかる圧力を感知するように構成され、ポリマーフィルムスタック132の異なる層にかかる負荷を制御するコントローラと関連付けられ得る。前述したように、負荷は、異なる層に加えられる圧力を制御し、あらゆる層に適用される圧力を制御するために、及びポリマーフィルムスタック132の潜在的な不規則性に対応するために、第1、第2及び第3の型部品144、146、148、又は場合に応じて追加の型部品に独立して加えることができる。
【0034】
ここで図15A及び図15Bを参照すると、ポリマー積層体を形成するための型164の別の実施形態が提供される。この実施形態では、ポリマーフィルムスタック166は、階段状のプロファイル及び前の実施形態で描写した異なる配向を有する複数の層で延在することができる。更に、前の実施形態と同様に、型164は軸175を画定することができ、上方型部分168及び下方型部分170を含むことができる。下方型部分170は、ポリマーフィルムスタック166の階段状のプロファイルに少なくとも部分的に対応し得る階段状の型プロファイルを有する空洞を伴って延在し得る。前の実施形態と同様に、上方型部分168は、互いに独立して移動可能な複数の部品を含み得る。例えば、上方型部分168は、第1の部品172及び第2の部品174を含み得る。第1の部品172は、ポリマーフィルムスタック166の上部表面178の第1の部分176に力をかけるために、矢印180で示されるように移動可能であってもよく、又は第1の負荷を受けてもよい。第2の部品174は、矢印182で示すように移動可能であるか、又は第2の負荷を受けて、第2の部品174が上方型部分の第1の部品172に対して下方に移動して変位するようにポリマーフィルムスタック166の上部表面178の第2の部分184に力がかかり得る。図15Aに描写するように、第2の部品174は、第1の部品172に対して距離186だけ変位して、空隙188を閉じることができる。更に、第2の部品174が距離186だけ変位すると、ポリマーフィルム層のうちの1つの部分も変位し、上方型部分168と下方型部分170との間に空隙がなくなる可能性がある。なお更に、第1及び第2の負荷180、182は、第2の部品174の変位が軸175に平行な方向に、かつそれに沿って移動可能となり得るように、上方型部分168の第1及び第2の部品172、174に、型164の軸175に平行な方向に加えられ得る。このようにして、ポリマーフィルムスタック166内のポリマーフィルムは、ポリマーフィルムスタックの温度を上昇させると、形成されたポリマー積層体の直径又は長さ全体にわたって構造特性がより一定になることができるように、第1及び第2の負荷180、182によって圧縮され又は圧力がかかり得る。
【0035】
ここで図16A図16Cを参照すると、ポリマー積層体30(図4)を形成するためのプロセスの別の実施形態がここで説明される。例えば、前の実施形態と同様に、図16Aに描写するように、ポリマーフィルムスタック190を準備することができる。このようなポリマーフィルムスタック190は、剛性プレート192上に形成され、位置決めされ得る。ポリマーフィルムスタック190は、第1のポリマーフィルム層194及び第2のポリマーフィルム層196を含み得る。第1及び第2のポリマーフィルム層194、196の各々は、内部に複数のフィルム層を含み得る。この実施形態では、ポリマーフィルムスタック190が剛性プレート192上に準備されると、可撓性金属箔198がポリマーフィルムスタック190を覆うようにポリマーフィルムスタック190上に位置決めされ得る。剛性プレート192は、軸195がポリマーフィルムスタック190及び金属箔198の各々を通って延在するように、かつポリマーフィルムスタック190及び金属箔198の層が軸195がポリマーフィルムスタック190及び金属箔198の上向き表面に対して直交して延在するように配向され得るように、軸195を画定し得る。この時点で、剛性プレート192と金属箔198との間に位置決めされたポリマーフィルムスタック190は、矢印200で示されるように、等方圧加圧プロセス又はガス圧下に置かれる密閉空間内に位置決めされ得る。金属箔198の上部表面197に加えられる等方圧加圧プレス又は等方圧負荷200の効果は、等方圧負荷200が、事実上、ポリマーフィルムスタック190の層を押し付けるために上部表面197に加えられる無限数の負荷点を有することを除いて、前の実施形態の加えられた力と同様であり得る。本明細書で更に議論及び説明するように、等方圧加圧又はガス圧プロセスの後又はプロセス中に、ポリマーフィルムスタック190を加熱してポリマー積層体を形成することができる。
【0036】
ここで図17A図17Cを参照すると、ポリマー積層体30(図4)を形成するプロセスの別の実施形態が提供される。この実施形態は、この実施形態において、プロセスが少なくとも3つのポリマーフィルム層を有するポリマーフィルムスタック202を採用し得ることを除いて、前の実施形態と実質的に同様である。ポリマーフィルムスタックは、第1の層204、第2の層206、及び第3の層208を含むことができる。第1、第2、及び第3の層204、206、208の各々は、複数の層を含み得る。ポリマーフィルムスタック202は、金属箔212がポリマーフィルムスタック202の上に重なるように、剛性プレート210の上に位置決めされ得る。更に、剛性プレート210は、軸215がポリマーフィルムスタック202及び金属箔212の上向きの表面に対して直交して延在するように、軸215を画定することができる。前の実施形態と同様に、ポリマーフィルムスタック202が剛性プレート210と金属箔212との間に位置決めされると、構成要素は、矢印214で示すように、等方圧負荷又はガス圧下に置かれる密閉空間内に位置決めされ得、更に本明細書で説明するようにポリマーフィルムスタック202の加熱を受けて各層を一緒に熱結合させてポリマー積層体を形成し得る。
【0037】
更に、一実施形態では、ポリマーフィルムスタック202は、ポリマーフィルムスタック202の長さ216又は直径に沿って様々な厚さで集合的に延在し得る。例えば、図17Aに描写するように、階段状のプロファイルを呈するようにポリマーフィルム層のうちの1つの一方のエッジ218がポリマーフィルム層の別のもう一方のエッジ220に対してオフセットされることにより、ポリマーフィルムスタック202の様々な厚さが形成され得る。このような階段状のプロファイルでは、様々な厚さは、第1の厚さ222、第2の厚さ224、及び/又は第3の厚さ226、若しくはそれ以上を含むことができる。階段状のプロファイルを有するポリマーフィルムスタック202の場合、ポリマーフィルムスタック内に呈される第3の厚さ226は、第3の層208がポリマーフィルムスタック202内の中央に位置することができるように、第1及び第2の厚さ222、224より大きくてもよい。更に、第2の厚さ224は、第1の厚さ222より大きくてもよい。このようにして、ポリマーフィルムスタック202のプロファイルは、ポリマーフィルムスタック202の長さ216又は直径に沿って様々な厚さを呈するように、その部分に沿って階段状であってもよい。更に、別の実施形態では、金属箔212は、ポリマーフィルムスタックの上に重なってもよく、図17Cに描写するように、等方圧負荷214を受けると、金属箔212は、概して、金属箔212の可撓性の特性によりポリマーフィルムスタック202のプロファイルに従うように適合し得る。
【0038】
ここで図18図24を参照すると、ポリマー積層体30(図4)を形成するための更なる説明が提供される。図18図24に描写されている構成要素は、図が概念的な概略図を描写しているため、そのような構成要素の実際のサイズに比例していないことに留意されたい。図18及び図19に関して、前の実施形態と同様に、ポリマーフィルムスタック230は、剛性プレート232と可撓性金属箔234との間に位置決めされ得る。構成要素のこの構成は、スタックアセンブリ236と呼ばれる場合がある。スタックアセンブリ236は、軸235がスタックアセンブリ236内の構成要素を通って中心に延在することができるように、軸235を画定することができる。ポリマーフィルムスタック230は、第1の層238及び第2の層240などのポリマーフィルムの複数の層を含み得る。更に、ポリマーフィルムスタック230は、特定の形状に準備され、図16A及び図17Aに示されるようなポリマーフィルムスタック230において様々な厚さを呈するように互いに積み重ねられ得る。このようにして、ポリマーフィルムスタック230は、硬性プレート232と可撓性金属箔234との間に準備され、位置決めされる、様々な複雑な幾何学的形状又は複雑な側面プロファイルを呈することができる。更に、ポリマーフィルムスタック230の第1及び第2の層238、240の各々は、軸235がポリマーフィルムスタック230の層のシート構造体によって画定される平面に対して直交又は実質的に直交して延在するように、各々平面を画定することができるシート構造体として延在し得、シート構造体はポリマーフィルムスタック230及びスタックアセンブリ236内で配向される。金属箔234は、金属材料234がポリマーフィルムスタック230に付着しないように、ポリマーフィルムスタック230から容易に除去可能であるようにサイズ決定されかつ構成された薄い可撓性金属材料であってもよい。更に、金属箔234は、シート構造体として延在してもよく、ポリマーフィルムスタック230の層と同様の配向でスタックアセンブリ236内に配向されてもよい。
【0039】
一実施形態では、ポリマーフィルムスタックのポリマーフィルムは、例えば約35ミクロンの厚さを画定するように延在することができる。金属箔234はまた、例えば約35ミクロンの厚さで延在してもよい。剛性プレートは、約1/16インチ~約1/8インチの厚さを含み得、約1~2インチ以上の直径を有する円形の上方表面を伴って延在し得る。金属箔は、ポリマーフィルムスタック230の適切な部分を覆うようにサイズ決定することができ、ポリマーフィルムは、所定のポリマーフィルムスタック230を形成するために、互いに対して所定のサイズ及び配向で延在することができる。更に、金属箔は、ステンレス鋼又はアルミニウムなどの任意の好適な金属材料であってもよい。剛性プレートは、ステンレス鋼などの金属材料、又は他の任意の好適な金属材料で形成することができる。
【0040】
図19を参照すると、スタックアセンブリ236の上面図から描写されるように、ポリマーフィルムの第1の層238及び第2の層240の配向は、隣接して位置決めされたポリマーフィルムに対して横方向であってもよい。このような横方向の関係は、各ポリマーフィルムの最大引張強度の方向に基づくか、又はその方向に関連することができる。前に述べたように、ポリマーフィルムは、ePTFE材料であり得る。当業者には知られているように、所与のePTFEフィルムの引張強度は、一方向及びその一方向に対して横方向の任意の方向で最も強いが、引張強度はその一方向よりも小さい場合がある。したがって、ポリマーフィルムスタック230は、隣接して重なり合う、又は下にあるポリマーフィルムが、引張強度の最大方向に対して互いに横方向に配向されるように準備され得る。このようにして、ポリマーフィルムスタック230の集合強度特性は、ポリマーフィルムスタック230の様々な層の所定の位置決め及び配向に基づいて強化され得る。
【0041】
図20及び図21を参照すると、スタックアセンブリ236が準備されると、スタックアセンブリ236は、様々な固定具構成要素242と組み立てられ得る。例えば、固定具構成要素242は、下方プレート244、上方プレート246、固定具バルブ248、及びホースアダプタ250を含むことができる。下方プレート244及び上方プレート246は、それらの間でスタックアセンブリ236を封止するようにサイズ決定されかつ構成され得る。下方プレート244及び/又は上方プレート246は、スタックアセンブリ236を内部に保持するようにサイズ決定されかつ構成された輪郭形状で示される空洞252を含むことができる。空洞252内に位置決めするための準備された状態にあるスタックアセンブリ236は、剛性プレート232と金属箔234との間に位置決めされ、それらに直接係合するポリマーフィルムスタック230を含むことができる。固定具バルブ248及びホースアダプタ250は、加圧ガスをガス加圧システム254から下方プレート244と上方プレート246との間の空洞252に送達するために上方プレート246に結合するようにサイズ決定されかつ構成され得る。下方プレート244及び上方プレート246は、下方プレート244及び上方プレート246が結合される際に封止部として機能するOリング256を含むこともできる。下方プレート244と上方プレート246のそのような結合は、クランプ(図示せず)などで実装することができる。更に、加圧システム254は、空洞252によって画定される空間を最大約2.5PSIまで加圧するようにサイズ決定されかつ構成され得る。更に、固定具バルブ248、下方及び上方プレート244、246、並びにOリング256などの固定具構成要素は、高温に耐えることができる構造的特徴を呈することができる。
【0042】
ここで図20図21、及び図22を参照すると、スタックアセンブリ236が下方及び上方プレート244、246内に密閉及び封止されると、下方プレート244と上方プレート246との間のスタックアセンブリ236は、図16C及び図17Cに関して描写及び説明したのと同様の等方圧加圧プロセス又は等方圧を受けてもよい。例えば、下方プレート244と上方プレート246との間に画定された空洞252は、ガス加圧システム254で、約1.25PSIなどの所定の圧力まで加圧することができる。空洞252内の空間を加圧すると、次にスタックアセンブリ236は等方圧下にある。次に、加圧システム254は、下方プレート244と上方プレート246との間に画定された空洞252がその加圧状態を維持するように、固定具バルブ248から切り離されてもよい。次に、下方プレート244と上方プレート246との間で加圧されたスタックアセンブリ236を炉258内に位置決めすることができる。温度が上昇すると、下方プレート244と上方プレート246との間に画定される空洞252内の圧力も増加する可能性がある。例えば、炉258内に配置される前の、積層アセンブリ236の初期温度は、ほぼ室温(約297ケルビン)であってもよい。加圧アセンブリが炉258内で高温(約600ケルビンまで)を受けると、下方プレート244と上方プレート246との間の空洞252内の積層アセンブリ236に加えられる等方圧は、約2.5PSIまで増加する可能性がある。例えば、図16C及び図17Cを参照すると、スタックアセンブリ236へのガスの加圧を介して圧力が加えられるため、上部表面に加えられる等方圧は、上部表面262の全ての部分に沿って等しい。更に、そのような圧力が、炉258内の温度を上昇させることに組み合わせて加えられ、ポリマーフィルムスタック230内のポリマーフィルムは、上部表面にわたって加えられる圧力の一定性により、構造的に一定の方式で互いに熱結合され、それによってポリマー積層体を形成することができる。
【0043】
図22図23、及び図24に関して、スタックアセンブリ236が所定の期間にわたって所定の温度に加熱されると、アセンブリ内のポリマーフィルムスタック230(図20)はポリマー積層体260に形成され得る。次いで、スタックアセンブリ236を炉258から取り出し、所定の期間冷却するために放置することができる。このような冷却時間により、ポリマー積層体260が適切に硬化することが可能になる。スタックアセンブリ236が十分に冷えたら、スタックアセンブリ236を保持する空洞252を減圧することができる。次に、アセンブリを分解して、下方プレート244及び上方プレート246から取り外すことができる。次いで、可撓性金属箔234をポリマー積層体260から除去することができる。ポリマー積層体260はまた、剛性プレート232から除去されてもよい。この時点で、ポリマー積層体260は、図4に描写されるようなカップ状の形状、又は他の必要な若しくは適切な形状に形成される更なる処理のために準備され得る。この構成では、スタックアセンブリ236の上部表面262(図20)にわたって加えられる等方圧が一定であるため、積層体の物理的特性は、ポリマー積層体260の直径又は長さ全体にわたって一定であってもよい。
【0044】
本発明には様々な修正及び代替的形態が考えられ得るが、特定の実施形態が図面に例として示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図したものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、一実施形態の任意の部分と、別の実施形態、本発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正、均等物、及び代替物を組み合わせることを含む。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 心臓の左心耳を閉塞するための医療装置であって、
軸を画定するハブに結合された閉塞器フレームセグメントを含むフレームワークであって、前記フレームワークの前記閉塞器フレームセグメントが、前記軸に対して前記ハブから半径方向外側にかつ遠位方向に延在している、フレームワークと、
発泡体部分を含む閉塞器部材であって、前記発泡体部分が、近位発泡体端と遠位発泡体端との間に延在する内側発泡体表面及び外側発泡体表面を画定するカップ状形状を有する単体のシームレスなモノリシック構造体を有し、前記発泡体部分が、前記フレームワークの外側表面に対応するようにサイズ決定されかつ構成され、前記発泡体部分が、前記近位発泡体端が前記ハブに隣接して位置決め可能であり、前記遠位発泡体端が前記閉塞器フレームセグメントの遠位端に隣接して位置決め可能であるように、前記フレームワークの前記閉塞器フレームセグメントの外側表面に接して位置決め可能である、閉塞器部材と、を備える、医療装置。
(2) 前記近位発泡体端が前記発泡体部分の開口部を画定するように、前記発泡体部分が前記発泡体部分に前記開口部を画定するように延在している、実施態様1に記載の医療装置。
(3) 前記発泡体部分が、実質的に一定の厚さで延在している、実施態様1に記載の医療装置。
(4) 前記発泡体部分が、前記フレームワークの一部分に縫い付けられるように構成されている、実施態様1に記載の医療装置。
(5) 前記閉塞器部材が、前記発泡体部分の前記外側表面に接着して取り付けられたポリマー材料を含む、実施態様1に記載の医療装置。
【0046】
(6) 前記発泡体部分が、足場構造体を有して延在する生分解性材料を含み、前記足場構造体が、内部に組織の内部成長を誘導するようにサイズ決定されかつ構成されている、実施態様1に記載の医療装置。
(7) ポリマー積層体を形成する方法であって、
ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして積層ポリマーフィルム構造体を形成することであって、前記積層ポリマーフィルム構造体が上部表面を画定する、形成することと、
別個の上方型構造体の各々が独立して負荷を受けるように構成されるように、前記上方型構造体で前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に圧力を加えることと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させることと、を含む、方法。
(8) 前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記上部表面が階段状のプロファイルで延在するように前記ポリマーフィルムを積層することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記圧力を加えることが、互いに摺動運動で相互接続された型構造体を用いて圧力を加えることを含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記圧力を加えることが、前記別個の上方型構造体で前記積層ポリマーフィルム構造体に圧力を加えて、前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に実質的に一定の圧力を提供することを含む、実施態様7に記載の方法。
【0047】
(11) 前記圧力を加えることが、前記上部表面が階段状のプロファイルで延在するように、前記積層ポリマーフィルム構造体の前記上部表面に圧力を加えることを含む、実施態様7に記載の方法。
(12) ポリマー積層体を形成する方法であって、
ポリマーフィルムを互いの上に位置決めして、積層ポリマーフィルム構造体、前記積層ポリマーフィルム構造体を形成することと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の上に可撓性金属箔を位置決めすることと、
前記可撓性金属箔の上方表面に等方圧(isostatic pressure)を加えることと、
前記積層ポリマーフィルム構造体の温度を上昇させることと、を含む、方法。
(13) 前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が階段状のプロファイルを画定するように前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、前記積層ポリマーフィルム構造体の上部表面が平坦構造で延在するように前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記ポリマーフィルムを位置決めすることが、ベース部材の上に前記ポリマーフィルムを位置決めすることを含む、実施態様12に記載の方法。
【0048】
(16) 前記積層ポリマーフィルム構造体を、上方プレートと下方プレートとの間に封止することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記可撓性金属箔が上にある状態で前記積層ポリマーフィルム構造体が等方圧下に置かれることができるように、前記積層ポリマーフィルム構造体を上方プレートと下方プレートとの間に位置決めすることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記加えることが、前記積層ポリマーフィルム構造体が上方プレートと下方プレートとの間にある状態で前記上方プレートと前記下方プレートとの間にガス加圧システムから加圧ガスを供給することを含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記上昇させることに続いて、前記積層ポリマーフィルム構造体を硬化させて前記ポリマー積層体を形成することを可能にすることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記上昇させることに続いて、前記積層ポリマーフィルムから前記可撓性金属箔を除去して、前記ポリマー積層体を露出させることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】