(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】改良された電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/30 20210101AFI20240326BHJP
【FI】
H01M50/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564631
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2021053256
(87)【国際公開番号】W WO2022224012
(87)【国際公開日】2022-10-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】シャオフォン ラン
(72)【発明者】
【氏名】レイ チョン
【テーマコード(参考)】
5H012
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA03
5H012AA07
5H012BB01
5H012DD01
5H012EE01
5H012GG01
5H012JJ10
(57)【要約】
ハウジングの開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜を含む電池が提供される。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、75%~100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.5を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を含むハウジング、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された正電極、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された負電極、
前記正電極と前記負電極との間に配置された電解質、及び、
前記ハウジングの前記開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記電解質は、前記電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(CO
2)、水素(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、そして、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は75%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.5を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜である、請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記少なくとも1つの緻密化フルオロポリマー膜はPTFEを含む、請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はコポリマーを含む、請求項1~3のいずれか1項記載の電池。
【請求項5】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.55を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、請求項1~4のいずれか1項記載の電池。
【請求項6】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.0を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、請求項1~5のいずれか1項記載の電池。
【請求項7】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.8g/cm
3~2.4g/cm
3の密度を有する、請求項1~6のいずれか1項記載の電池。
【請求項8】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は焼結されている、請求項1~7のいずれか1項記載の電池。
【請求項9】
前記電池は二次電池である、請求項1~8のいずれか1項記載の電池。
【請求項10】
前記二次電池はリチウムイオン電池である、請求項9記載の電池。
【請求項11】
前記電池は、前記ハウジングの前記開口部を覆う複合材ベントを含み、前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と少なくとも1つの追加の膜とを含み、前記少なくとも1つの追加の膜は前記ハウジングと前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜との間に配置される、請求項1~10のいずれか1項記載の電池。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加の膜は多孔質フルオロポリマーを含む、請求項11記載の電池。
【請求項13】
前記多孔質フルオロポリマーは延伸PTFEである、請求項12記載の電池。
【請求項14】
前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と前記少なくとも1つの追加の膜との間に位置する中間層を含む、請求項11~13のいずれか1項記載の電池。
【請求項15】
前記中間層は、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)から選ばれるペルフルオロポリマーを含む、請求項14記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、電池用の改良されたベント又はカバー及びそれを含む電池に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
リチウムイオン電池などの電池は、自動車及び携帯電話を含む幅広い電子デバイスに電力を供給するために使用されている。過去数十年にわたって電池の性能は大幅に向上したが、電池性能の幾つかの面(例えば、電池寿命、電池出力など)の改良が依然として必要とされている。
【0003】
例えば、動作中にガスを発生する電解質を含む電池は、そのガスによって電池ハウジング内の圧力が上昇し、チェックしないと電池ハウジング内での破裂につながる可能性がある。しかしながら、電解質から生成されるガスを放出するために当該技術分野で典型的に使用されるベント又はカバーは、水蒸気を電池ハウジングに侵入させることを可能にし、それによって電池の性能及び寿命に悪影響を与える可能性がある。
【0004】
したがって、電池の改良が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
要旨
第一の態様によれば、
開口部を含むハウジング、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された正電極、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された負電極、
前記正電極と前記負電極との間に配置された電解質、及び、
前記ハウジングの前記開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記電解質は、前記電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、そして、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は75%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.5を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有する、電池が提供される。
【0006】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は多孔質であることができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は微孔質であることができる。
【0007】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は少なくとも1つの緻密化膨張ポリオレフィン膜であることができる。
【0008】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はポリエチレンを含むことができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマーは少なくとも1つの緻密化膨張ポリエチレン膜であることができる。
【0009】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はポリプロピレンを含むことができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマーは少なくとも1つの緻密化膨張ポリプロピレン膜であることができる。
【0010】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は緻密化膨張フルオロポリマーを含むことができる。
【0011】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はコポリマーを含むことができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、PTFE、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、フッ化ビニリデン(VDF)又はクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を含む群のうちの2つ以上を含むコポリマーを含むことができる。例えば、コポリマーは、PTFEとPEVE、PTFEとVDF、又はPTFEとCTFEのコポリマーであることができる。したがって、コポリマーはPTFEのコポリマーであることができる。
【0012】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はポリマーブレンドを含むことができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、例えば、PTFEとフッ素化エチレンプロピレン(FEP)とのポリマーブレンドを含むことができる。
【0013】
少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜が緻密化膨張フルオロポリマー膜である実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。したがって、少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜は、少なくとも1つの緻密化延伸PTFE膜又は少なくとも1つの緻密化延伸PTFEコポリマー膜であることができる。
【0014】
誤解を避けるために言うと、用語「緻密化膨張ポリマー膜」は、溶融温度未満で膨張(膨張、エキスパンデッド、延伸又は発泡)させられ、膨張後に緻密化されたポリマー膜を指す。したがって、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜の密度は、緻密化されていない対応する膨張ポリマー膜の密度よりも大きいことが理解されるであろう。溶融温度未満で膨張させ、次いで緻密化したポリマー膜は、膨張させたが緻密化していない同じ材料の対応するポリマー膜よりも低い多孔度を有することができることは、当業者に理解されるであろう。緻密化工程は、膨張ポリマー膜の細孔の一部を閉じることができる。したがって、膨張ポリマー膜の緻密化の程度によって、その膜を通過するガスの透過性を制御し、必要な用途に合わせて調整できる可能性がある。
【0015】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.8g/m3~2.4g/m3の密度を有することができる。
【0016】
例えば、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜がフルオロポリマーを含む実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.8g/cm3~2.4g/cm3の密度を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.8g/cm3~2.3g/m3の密度を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.9g/cm3~2.3g/m3の密度を有することができる。
【0017】
驚くべきことに、ハウジングの開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜を設けることにより、CO2透過性と水蒸気透過性との間の高い選択性が提供されることが見出された。
【0018】
したがって、第一の態様の電池は、電池の動作中に発生するガスが少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜を通って電池ハウジングから逃げることを可能にし、電池ハウジングへの水蒸気の侵入を防ぐように構成されている。
【0019】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.55を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.75を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.0を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.25を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.5を超えるCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約0.5~約1.8のCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約0.55~約1.8のCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約0.75~約1.8のCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約1.0~約1.8のCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約1.25~約1.8のCO2透過率/水蒸気透過率の比を有することができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約80%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約85%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約90%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約95%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約96%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約97%~約100%の結晶化度を有することができる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、約99%~約100%の結晶化度を有することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、焼結緻密化膨張ポリマー膜であることができる。
【0023】
電池は二次電池であることができる。二次電池は、リチウムイオン電池であることができる。
【0024】
正電極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リチウム鉄リン酸塩(「LFP」)、リチウムコバルト酸化物(「LCO」)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれることができる。
【0025】
負電極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金又はそれらの任意の組み合わせから選ばれることができる。
【0026】
幾つかの実施形態において、電池は少なくとも1つのセパレータを含むことができる。少なくとも1つのセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つの材料を含むことができる。
【0027】
電解質は電解液であることができ、電解液は少なくとも1つの溶媒及び少なくとも1つの電解質塩を含むことができる。電解液の少なくとも1つの溶媒は、少なくとも1つの有機溶媒を含むことができる。電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はそれらの混合物から選択されうる。
【0028】
電解質は、少なくとも1つの添加剤を含むことができ、少なくとも1つの添加剤は、電池の動作中にCO2、H2、CO、CH4又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つのガスを放出するように構成されうる。少なくとも1つの添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)を含む群から選択されうる。
【0029】
電解質は、少なくとも1つのセパレータ内に含浸されうる。
【0030】
電池は、ハウジングの開口部を覆う複合材ベントを含むことができ、複合材ベントは、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜を含むことができる。複合材ベントは、少なくとも1つの追加の膜を含むことができる。少なくとも1つの追加の膜は、ハウジングと少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜との間に配置されうる。
【0031】
少なくとも1つの追加の膜は多孔質フルオロポリマーを含むことができる。
【0032】
多孔質フルオロポリマーは延伸PTFEであることができる。
【0033】
少なくとも1つの追加の膜は、少なくとも1つの追加の膜の第一の側でハウジングに接着されうる。少なくとも1つの追加の膜は、少なくとも1つの追加の膜の第二の側で少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜に接着されうる。したがって、複合材ベントは、少なくとも1つの追加の膜を介してハウジングに接着されうる。
【0034】
複合材ベントは、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と少なくとも1つの追加の膜との間に位置する中間層を含むことができる。したがって、複合材ベントは、少なくとも1つの追加の膜を介してハウジングに接着されることができ、少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、中間層を介して少なくとも1つの追加の膜に接着されることができる。
【0035】
中間層は、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)から選ばれるペルフルオロポリマーを含むことができる。
【0036】
複合材ベントの各層又は膜を互いに取り付ける方法としては、限定するわけではないが、ラミネート化、熱接着、レーザ溶接又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
幾つかの実施形態において、複合材ベントの少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、第一の密度を有することができる。複合材ベントの少なくとも1つの追加の膜は第二の密度を有することができる。幾つかの実施形態において、第一の密度及び第二の密度は同じであることができる。幾つかの実施形態において、第一の密度及び第二の密度は異なることができる。幾つかの実施形態において、第二の密度は第一の密度より小さくてよい。幾つかの実施形態において、第二の密度は第一の密度より大きくてよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、ハウジングは剛性であることができる。したがって、ハウジングは、変形、それによってハウジングの形状が変化することに抵抗するように構成されうる。あるいは、ハウジングは可撓性であることができる。したがって、ハウジングは、少なくとも部分的に変形し、それによってハウジングの形状を変化させるように構成されうる。例えば、ハウジングはパウチ型ハウジングであることができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、ハウジングは、金属、金属合金又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)又はそれらの合金のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは少なくとも1つのプラスチックを含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハウジングは少なくとも1つの開口部を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は少なくとも1つの断面形状を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は円形断面を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は矩形断面を有する。
【0041】
幾つかの実施形態において、電池は複数のハウジングを含むことができる。幾つかの実施形態において、複数のハウジングは、少なくとも第二のハウジング内に配置された少なくとも第一のハウジングを含むことができる。
【0042】
第二の態様において、緻密化膨張ポリマー膜、多孔質フルオロポリマー層及び中間層を含む複合材ベントが提供される。
【0043】
複合材ベントは、第一の態様の電池での使用に適することができる。
【0044】
第一の態様の緻密化膨張ポリマー膜の特徴は、第二の態様の緻密化膨張ポリマー膜の特徴であることができる。
【0045】
第一の態様の少なくとも1つの追加の層の特徴は、第二の態様の多孔質フルオロポリマー層の特徴であることができる。
【0046】
第一の態様の中間層の特徴は、第二の態様の中間層の特徴であることができる。
【0047】
多孔質フルオロポリマー層は、ハウジングに接着されるように構成されうる。理論に制限されるものではないが、多孔質フルオロポリマー層の細孔により、接着剤が複合材ベントに容易に含浸し、ハウジングへのよりしっかりした又はより強固な接着が可能となる。
【0048】
中間層は、緻密化膨張ポリマー膜を多孔質フルオロポリマー層により容易に固定又は接着するように構成されうる。
【0049】
複合材ベントは、第二の多孔質フルオロポリマー層及び第二の中間層を含むことができる。したがって、緻密化膨張ポリマー膜は、緻密化膨張ポリマー膜の第一の側で第一の中間層に接続され、緻密化膨張ポリマー膜の第二の側で第二の中間層に接続されうる。第一の多孔質フルオロポリマー層を第一の中間層上に設けることができる。第二の多孔質フルオロポリマー層を第二の中間層上に設けることができる。
【0050】
複合材ベントの各層又は膜を互いに取り付ける方法としては、限定するわけではないが、ラミネート化、熱接着、レーザ溶接又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図面の簡単な説明
本開示の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載される。ここで特に図面を詳細に参照すると、示された実施形態は例示的であり、本開示の実施形態の例示的な議論を目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面を伴う説明により、本開示の実施形態がどのように実施されうるかが当業者に明らかになる。
【0052】
【
図1】
図1は、本開示による電池の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、本開示による電池の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、本開示による電池の実施形態を示す。
【0053】
【
図4】
図4は、CO
2透過率を測定するために使用される例示の試験装置を示す。
【0054】
【
図5】
図5は、水蒸気透過率を測定するために使用される例示的な試験装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態の製造及び使用については以下で詳細に論じるが、本発明は、多種多様な特定の状況で具体化できる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。本明細書で論じられる特定の実施形態は、本発明を製造及び使用するための特定の方法を単に例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に規定する。本明細書で規定される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単一物のみを指すことを意図したものではなく、説明のために特定の例が使用される一般的なクラスを含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を記載するために使用されるが、特許請求の範囲に概説される場合を除き、その使用は本発明を限定するものではない。
【0057】
本明細書で参照されるすべての先行特許、刊行物及び試験方法は、その全体が参照により組み込まれる。
【0058】
本明細書で使用されるときに、「ハウジング」という用語は、電池の構成要素を囲むケーシングとして規定される。
【0059】
本明細書で使用されるときに、「電解質」は、負電極と正電極との間で荷電粒子を運ぶように構成された任意の媒体として規定される。電解質は、限定するわけではないが、溶液、酸、塩基、ゲル、高分子電解質、セラミックなど又はそれらの任意の組み合わせを含む様々な形態をとることができる。
【0060】
本明細書で使用されるときに、「結晶化度」は、材料の長距離構造秩序の度合いとして規定される。
【0061】
結晶化度はパーセント単位で測定される。結晶化度が0%の固体は完全に非晶質であり、一方、結晶化度が100%の固体は完全に結晶質である。本明細書に記載される膜の結晶化度は、X線回折(「XRD」)を使用して測定される。幾つかの非限定的な実施形態による本明細書に記載される特定の膜の結晶化度は、Satokawaら「プラスチックコース-フッ素ポリマー(Plastic Course-Fluoropolymer)」、日刊工業新聞第3版、第18頁、(1978)に記載の手順に基づいて計算することもでき、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0062】
本明細書で使用されるときに、二酸化炭素(CO2)透過率は、JIS K7126-1規格(ASTM D1434と同等)に規定される「差圧」法を使用し、本明細書の実施例セクションに記載される手順及び試験設備を使用して測定される。CO2透過率の単位はcm3・cm/(cm2・s・cmHg)である。
【0063】
本明細書で使用されるときに、水蒸気透過率は、本明細書の実施例セクションに記載される「Lyssy」法を使用して測定される。水蒸気透過率の単位はcm3・cm/(cm2・s・cmHg)である。
【0064】
本明細書で使用されるときに、「CO2透過率/水蒸気透過率の比」は、CO2透過率を水蒸気透過率で割ることによって計算される。CO2透過率/水蒸気透過率の比には単位がない(すなわち、無次元である)。
【0065】
本明細書で使用されるときに、「二次電池」は再充電可能な電池である。
【0066】
本明細書で使用されるときに、「含浸された」とは、第一の物質の少なくとも一部が第二の物質の少なくとも一部を満たすことを意味する。1つの非限定的な例において、液体は多孔質固体の細孔に含浸すると言える。第一の物質は、第二の物質を「部分的に含浸」又は「完全に含浸」することができる。第一の物質が第二の物質を完全に満たさないときに、第一の物質は「第二の物質」を「部分的に含浸」する(すなわち、より多くの第一の物質を第二の物質に含浸させることができる)。第一の物質が第二の物質を完全に満たすときに、第一の物質は「第二の物質」を「完全に含浸」し、その結果、それより多くの第一の物質は第二の物質に含浸できない。
【0067】
本明細書で使用されるときに、「電池の動作」としては、電池の充電、電池の放電又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用されるときに、「リチウムイオン電池」という用語は、電池の動作中にリチウムイオンが負電極と正電極との間を移動するように構成されている任意の電池である。リチウムイオン電池の例としては、限定するわけではないが、リチウムイオンポリマー (LiPo)電池、リチウム硫黄(Li-S)電池及び薄膜リチウム電池などが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用されるときに、「に等しい延伸量」は、ポリマー膜に関して使用されるときに、拡張前のポリマー膜の長さと比較した、延伸又は拡張されたポリマー膜の長さのパーセンテージを指す。
【0070】
本開示による電池の非限定的な一例を
図1に示す。部分分解図である
図1の例示的な実施形態に示されるように、電池100は、ハウジング103の内部に配置された正電極101及び負電極102を含む。幾つかの実施形態において、ハウジング103は、圧力ベントの形態をとりうる開口部104を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部104を覆う。幾つかの実施形態において、セパレータ105は正電極101と負電極102との間に配置される。セパレータ105は電解質(図示せず)が含浸されうる。
【0071】
本開示による電池の別の非限定的な例は
図2に示されている。これも部分分解図である
図2の例示的な実施形態に示されるように、電池200は、筒形ハウジング203内の配置された正電極201及び負電極202を含む。幾つかの実施形態において、筒形ハウジング203は、ガス放出ベントの形態をとることができる開口部204を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部204を覆う。幾つかの実施形態において、複数のセパレータ205は正電極201と負電極202との間に配置される。複数のセパレータ205は、電解質(図示せず)が含浸されうる。
【0072】
本開示による電池のさらに別の非限定的な例は
図3に示されている。これも部分分解図である
図3の例示的な実施形態に示されているように、電池300はハウジング303内に配置される正電極301(カソードホイルの形態)及び負電極302(アノードホイルの形態)を含む。幾つかの実施形態において、ハウジング303は開口部(図示せず)を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部(図示せず)を覆う。幾つかの実施形態において、セパレータ305は、正電極301と負電極302との間に配置される。セパレータ305は、電解質(図示せず)が含浸されうる。
【実施例】
【0073】
例
本開示による例示的な非限定的な膜サンプルを、本明細書に記載のように試験した。結果を以下の表1に示す。表1は、以下の番号を付けた各サンプル(すなわち、各サンプル膜1~5及び比較サンプル膜1~2)についての、結晶化度、CO2透過率、水蒸気透過率、及びCO2/水蒸気透過率比の試験結果を示す。
結晶化度は、以下に説明するように、X線回折(「XRD」)を使用して測定した。
CO2透過率及び水蒸気透過率は、以下に示す手順を使用して測定した。
【0074】
【0075】
例1:サンプルフィルム1の作製のための手順
PTFE樹脂を潤滑剤(Isopar K、Exxon、Houston、TX)と0.268g/gの濃度で混ぜ、続いてブレンドし、筒形ペレットに圧縮し、22℃の温度で24時間熱調整した。次いで、筒形ペレットを、矩形ダイを通して182の圧延比で厚さ0.610mmのテープに押出した。次いで、得られたテープを乾燥して、潤滑剤を除去した。
【0076】
次いで、乾燥したPTFEテープを、線速度約8%/秒、ドラム温度315℃、延伸量276%で、加熱ドラム間でy方向(すなわち、機械方向又は長手方向)に延伸した。次いで、テープを、線速度約33%/秒、温度約300℃、及び伸長量599%でx方向(すなわち、横方向)に延伸した。得られた生成物は、密度約0.22g/cm3の未焼結延伸PTFE膜であった。
【0077】
得られた未焼結延伸PTFE膜を、米国特許第5,374,473号明細書及び同第7,521,010B2号明細書の教示に基づいて、370℃の温度及び250psiの圧力で圧縮し、緻密化した。得られた物品は、焼結され、緻密化された厚さ約0.026mmのePTFEフィルムである。
【0078】
例2:サンプルフィルム2の作製手順
PTFE樹脂を潤滑剤(Isopar K、Exxon、Houston、TX)と0.167g/gの濃度で混ぜ、続いてブレンドし、筒形ペレットに圧縮し、70℃の温度で24時間熱調整した。次いで、筒形のペレットを、矩形ダイを通して圧延比88で厚さ0.711mmのテープに押出した。次いで、得られたテープを乾燥して、潤滑剤を除去した。
【0079】
次いで、乾燥したPTFEテープを、線速度約46%/秒、ドラム温度315℃、及び延伸量1,032%で、加熱ドラム間でy方向に延伸した。次いで、テープを、線速度約56%/秒、温度約300℃、及び伸長量2,863%でx方向に延伸した。得られた生成物は、密度約0.20g/cm3の未焼結延伸PTFE膜であった。
【0080】
得られた未焼結延伸PTFE膜を、米国特許第5,374,473号明細書及び同第7,521,010B2号明細書の教示に基づいて、370℃の温度及び250psiの圧力で圧縮し、緻密化した。得られた物品は、焼結され、緻密化された厚さ約0.023mmのePTFEフィルムである。
【0081】
例3:サンプルフィルム3の作製手順
PTFE樹脂を潤滑剤(Isopar K、Exxon、Houston、TX)と0.184g/gの濃度で混ぜ、続いてブレンドし、筒形ペレットに圧縮し、49℃の温度で24時間熱調整した。次いで、筒形のペレットを、矩形ダイを通して圧延比182で厚さ0.635mmのテープに押出した。次いで、得られたテープを乾燥して、潤滑剤を除去した。
【0082】
次いで、乾燥したPTFEテープを、線速度約51.5%/秒、ドラム温度320℃、及び延伸量319%で、加熱ドラム間でy方向に延伸した。次いで、テープを、線速度約42.2%/秒、温度約320℃、及び伸長量879%でx方向に延伸した。得られた生成物は、密度約0.12g/cm3の未焼結延伸PTFE膜であった。
【0083】
得られた未焼結延伸PTFE膜を、米国特許第5,374,473号明細書及び第7,521,010B2号明細書の教示に基づいて、370℃の温度及び250psiの圧力で緻密化した。次いで、得られた緻密化ePTFEフィルムをパンタグラフ機に置き、材料を約370℃の空気温度に84秒間さらすことによりPTFEの結晶溶融温度よりも高い温度に加熱した。サンプルを、まだ加熱されている間に、伸長量514%及び平均工学的ひずみ速度8%/秒でx方向に延伸した。得られた物品は、焼結され、緻密化された厚さ約0.005mmのePTFEフィルムである。
【0084】
例4:サンプルフィルム4の作製手順
PTFE樹脂を潤滑剤(Isopar K、Exxon、Houston、TX)と0.184g/gの濃度で混ぜ、続いてブレンドし、筒形ペレットに圧縮し、49℃の温度で24時間熱調整した。次いで、筒形のペレットを、矩形ダイを通して圧延比182で厚さ0.686mmのテープに押出した。次いで、得られたテープを乾燥して、潤滑剤を除去した。
【0085】
次いで、乾燥したPTFEテープを、線速度約98%/秒、ドラム温度320℃、及び延伸量718%で、加熱ドラム間でy方向に延伸した。次いで、テープを、線速度約50%/秒、温度約320℃、及び伸長量629%でx方向に延伸した。得られた生成物は、密度約0.14g/cm3の未焼結延伸PTFE膜であった。
【0086】
得られた未焼結延伸PTFE膜を、米国特許第5,374,473号明細書及び第7,521,010B2号明細書の教示に基づいて、370℃の温度及び250psiの圧力で緻密化した。次いで、得られた緻密化ePTFEフィルムをパンタグラフ機に置き、材料を約370℃の空気温度に180秒間さらすことによりPTFEの結晶溶融温度よりも高い温度に加熱した。次に、サンプルを、まだ加熱されている間に、伸張量308%及び平均工学的ひずみ速度8%/秒でx方向に延伸した。得られた物品は、焼結され、緻密化された厚さ約0.006mmのePTFEフィルムである。
【0087】
例5:サンプルフィルム5の作製手順
PTFE樹脂を潤滑剤(Isopar K、Exxon、Houston、TX)と0.268g/gの濃度で混ぜ、続いてブレンドし、筒形ペレットに圧縮し、22℃の温度で24時間熱調整した。次いで、筒形のペレットを、矩形ダイを通して182の圧延比で厚さ0.610mmのテープに押出した。次いで、得られたテープを乾燥して、潤滑剤を除去した。
【0088】
次いで、乾燥したPTFEテープを、線速度約8%/秒、ドラム温度315℃、及び延伸量276%で、加熱ドラム間でy方向に延伸した。次いで、テープを、線速度約33%/秒、温度約300℃、及び伸長量599%でx方向に延伸した。得られた生成物は、密度約0.22g/cm3の未焼結延伸PTFE膜であった。
【0089】
得られた未焼結延伸PTFE膜を、米国特許第5,374,473号明細書及び同第7,521,010B2号明細書の教示に基づいて、370℃の温度及び250psiの圧力で圧縮し、緻密化した。得られた物品は、焼結され、緻密化された厚さ約0.026mmのePTFEフィルムである。次いで、このフィルムをパンタグラフ機内で390℃で20分間さらにアニールした。
【0090】
比較例1
比較例1は、日東製PTFEフィルム「NITOFLON NO.900UL」であり、平均厚み170μmである。
【0091】
比較例2
比較例2は、平均厚さ250μmのダニキン製「NEOFLON(登録商標)PFAフィルム AF-0250」として入手可能である。
【0092】
結晶化度の測定
実験を、40kVの管電圧と200mAの電流でCuKa源を動作させるRigaku SmartLab XRDで行った。ブラッグ・ブレンターノ光学系、5°ソーラースリット、1/2自動可変入射スリット(ビーム高さ)、及び5mm長さ制限スリット(ビーム幅)を使用してビームをコリメートした。ビームを約2x3cmのサンプルに向け、サンプルの端の周りにカプトンテープを使用して無反射シリコンホルダーに固定した。
【0093】
受光光学系側では、散乱X線がNi金属Kβフィルタ、5度のソーラースリット及び 20mmの受光スリットを通過した。散乱強度を、1Dモードで動作する「D/teX Ultra 250」検出器を使用して収集した。サンプルを、5~35度の2θの範囲で0.05°刻みで、10°/分の速度でスキャンした。
【0094】
得られた散乱強度を、約5~35°の2θの散乱角(2θ)の関数としてプロットした。この散乱プロファイルを、18°及び16.5°の2つのピークを持つPearson7 及びガウス関数を使用して、結晶散乱ピークと非結晶散乱ピークにデコンボリューションした。18°のピークは結晶質ピークであり、16.5°のピークは非晶質のピークである。結晶化度は、Satokawaら著「プラスチック講座-フッ素樹脂(Plastics course-Fluoropolymer)」日刊工業新聞第3版、第18頁(1978年)により下式を用いて求めた。式中、Icは結晶相のピーク面積、Iaは非晶相のピーク面積である。
【0095】
【0096】
CO2透過率の測定
一般に、CO2透過率は、本明細書に記載の市販の測定装置などの市販の測定装置によって測定することができる。CO2透過率の測定に使用できる方法の2つの非限定的な例として、差圧法及び等圧法がある。
【0097】
ここで、材料のCO
2透過率の測定は、日本工業規格JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過率の求め方-その1:差圧法、ASTM D1434に相当)に準拠して行った。具体的には、材料のガス透過性を試験するために使用される機器は、GTR Techのガス透過性アナライザGTRシリーズ(eq. GTR-11MJGG)であった。試験設備を
図4に示す。使用した浸透剤は供給圧力1.0kgf/cm
2のCO
2、試験温度は30℃であった。
【0098】
試験サンプルを約5cm×5cmに切断し、試験セルにロードした。浸透領域は直径4.4cm、表面積15.2cm2のディスクであった。サンプルを機器の拡散セルに固定し、望ましい圧力に調整した。CO2ガス透過率は、cm3/(m2・24h・atm)で測定器によって報告された。各サンプルのCO2ガス透過係数は、CO2ガス透過率に試験サンプルの厚さを乗じて計算した。結果をcm3・cm/(cm2・s・cmHg)の単位で報告した。
【0099】
水蒸気透過率の測定
一般に、水蒸気透過率は市販の測定器で測定することができる。使用できる1つの非限定的な方法は等圧法である。
【0100】
ここで、材料の水蒸気透過率の測定は、日本工業規格JIS K7129-A(プラスチック-フィルム及びシート-水蒸気透過率の測定法、ASTM F1249に相当)に準拠して行った。具体的には、材料の水蒸気透過性を試験するために使用された機器は、イリノイ州のSystech社の水蒸気透過分析装置Lyssy L80-4000であった。試験設備を
図5に示した。試験サンプルを約10cmx10cmに切断し、浸透領域が直径約8cm、表面積50cm
2のディスクであるサンプルカードに保持した。事前調整された試験片を、2つのチャンバ間にシールされたバリアを形成するように試験セルに取り付ける。下部チャンバは相対湿度が100%で、水蒸気圧は55.3mmHgであった。上部チャンバは相対湿度が約10%であった。試験温度は40℃であった。
【0101】
水蒸気透過率、又は水蒸気透過度は、装置によってg/(m2・日)で報告した。各サンプルの水蒸気透過係数は、水蒸気透過率に試験サンプルの厚さを乗じることによって計算した。結果をcm3・cm/(cm2・s・cmHg)の単位で報告した。
【0102】
したがって、例フィルム1~5は、比較例1~2と比較して、CO2透過率/水蒸気透過率の比率の明らかな改善を示している。したがって、例1~5のフィルム又は膜を含む電池は、水蒸気の侵入を防止しながら電池の使用中に発生するあらゆるガスを電池ハウジングから容易にベントすることができるため、より安定である。
【0103】
以上、本発明の承認された実施形態について説明したが、本発明から逸脱することなく、他の実施形態に対して、部品の形状、設計、構造及び配置における多くの様々な変化及び変更を行うことができることは容易に明らかであり、このようなすべての変化及び変更は、添付の特許請求の範囲で規定されるとおりの本発明の一部としての実施形態として考えることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
以上、本発明の承認された実施形態について説明したが、本発明から逸脱することなく、他の実施形態に対して、部品の形状、設計、構造及び配置における多くの様々な変化及び変更を行うことができることは容易に明らかであり、このようなすべての変化及び変更は、添付の特許請求の範囲で規定されるとおりの本発明の一部としての実施形態として考えることが理解される。
(態様)
(態様1)
開口部を含むハウジング、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された正電極、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された負電極、
前記正電極と前記負電極との間に配置された電解質、及び、
前記ハウジングの前記開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記電解質は、前記電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(CO
2
)、水素(H
2
)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4
)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、そして、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は75%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.5を超えるCO
2
透過率/水蒸気透過率の比を有する、電池。
(態様2)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜である、態様1記載の電池。
(態様3)
前記少なくとも1つの緻密化フルオロポリマー膜はPTFEを含む、態様2記載の電池。
(態様4)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はコポリマーを含む、態様1~3のいずれか1項記載の電池。
(態様5)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.55を超えるCO
2
透過率/水蒸気透過率の比を有する、態様1~4のいずれか1項記載の電池。
(態様6)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.0を超えるCO
2
透過率/水蒸気透過率の比を有する、態様1~5のいずれか1項記載の電池。
(態様7)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.8g/cm
3
~2.4g/cm
3
の密度を有する、態様1~6のいずれか1項記載の電池。
(態様8)
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は焼結されている、態様1~7のいずれか1項記載の電池。
(態様9)
前記電池は二次電池である、態様1~8のいずれか1項記載の電池。
(態様10)
前記二次電池はリチウムイオン電池である、態様9記載の電池。
(態様11)
前記電池は、前記ハウジングの前記開口部を覆う複合材ベントを含み、前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と少なくとも1つの追加の膜とを含み、前記少なくとも1つの追加の膜は前記ハウジングと前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜との間に配置される、態様1~10のいずれか1項記載の電池。
(態様12)
前記少なくとも1つの追加の膜は多孔質フルオロポリマーを含む、態様11記載の電池。
(態様13)
前記多孔質フルオロポリマーは延伸PTFEである、態様12記載の電池。
(態様14)
前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と前記少なくとも1つの追加の膜との間に位置する中間層を含む、態様11~13のいずれか1項記載の電池。
(態様15)
前記中間層は、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)から選ばれるペルフルオロポリマーを含む、態様14記載の電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を含むハウジング、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された正電極、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された負電極、
前記正電極と前記負電極との間に配置された電解質、及び、
前記ハウジングの前記開口部を覆う少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記電解質は、前記電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(CO
2)、水素(H
2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、そして、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は75%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.5を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜であ
り、場合により、前記少なくとも1つの緻密化膨張フルオロポリマー膜はPTFEを含む、請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜はコポリマーを含む、請求項1~
2のいずれか1項記載の電池。
【請求項4】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.55を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、請求項1~
3のいずれか1項記載の電池。
【請求項5】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、1.0を超えるCO
2透過率/水蒸気透過率の比を有する、請求項1~
4のいずれか1項記載の電池。
【請求項6】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は、0.8g/cm
3~2.4g/cm
3の密度を有する、請求項1~
5のいずれか1項記載の電池。
【請求項7】
前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜は焼結されている、請求項1~
6のいずれか1項記載の電池。
【請求項8】
前記電池は二次電池であ
り、場合により、前記二次電池はリチウムイオン電池である、請求項1~
7のいずれか1項記載の電池。
【請求項9】
前記電池は、前記ハウジングの前記開口部を覆う複合材ベントを含み、前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と少なくとも1つの追加の膜とを含み、前記少なくとも1つの追加の膜は前記ハウジングと前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜との間に配置される、請求項1~
8のいずれか1項記載の電池。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加の膜は多孔質フルオロポリマーを含
み、場合により、前記多孔質フルオロポリマーは延伸PTFEである、請求項
9記載の電池。
【請求項11】
前記複合材ベントは、前記少なくとも1つの緻密化膨張ポリマー膜と前記少なくとも1つの追加の膜との間に位置する中間層を含む、請求項
9~
10のいずれか1項記載の電池。
【請求項12】
前記中間層は、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)から選ばれるペルフルオロポリマーを含む、請求項
11記載の電池。
【国際調査報告】