(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】パッケージ筐体の製造方法及びパッケージチップの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20240327BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01L23/02 B
H01L21/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519343
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2022102669
(87)【国際公開番号】W WO2023178874
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210283093.8
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523109471
【氏名又は名称】湖北江城芯片中▲試▼服▲務▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUBEI YANGTZE PILOT-LINE SERVICES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#3, Building 3, No.227 Guanggu Rd (No.1), East Lake High-tech Development Zone, Wuhan, Hubei 430000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】王▲逸▼群
(72)【発明者】
【氏名】汪松
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼天建
(57)【要約】
本開示の実施例は、パッケージ筐体の製造方法及びパッケージチップの製造方法を開示し、前記パッケージ筐体の製造方法は、対向する第1表面及び第2表面を有する基板を提供することと、前記基板の前記第1表面に開孔部を形成することであって、前記開孔部の底部は前記基板内に位置する、ことと、前記開孔部が形成された前記基板の前記第1表面をキャリアに接合することであって、前記キャリアは前記開孔部を覆う、ことと、前記第1表面を前記キャリアに接合した後、前記基板の前記第2表面に溝を形成することであって、前記基板に垂直な方向において、前記溝は前記開孔部と連通する、ことと、前記溝が形成された前記基板の前記第2表面をキャリア層に固定することと、前記第2表面を前記キャリア層に固定した後、前記キャリアを除去することと、前記キャリアを除去した後、前記キャリア層を除去することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ筐体の製造方法であって、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板を提供することと、
前記基板の前記第1表面に開孔部を形成することであって、前記開孔部の底部は前記基板内に位置する、ことと、
前記開孔部が形成された前記基板の前記第1表面をキャリアに接合することであって、前記キャリアは前記開孔部を覆う、ことと、
前記第1表面を前記キャリアに接合した後、前記基板の前記第2表面に溝を形成することであって、前記基板に垂直な方向において、前記溝は前記開孔部と連通する、ことと、
前記溝が形成された前記基板の前記第2表面をキャリア層に固定することと、
前記第2表面を前記キャリア層に固定した後、前記キャリアを除去することと、
前記キャリアを除去した後、前記キャリア層を除去することと、を含む、パッケージ筐体の製造方法。
【請求項2】
前記開孔部を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記第1表面を覆う誘電体層を形成することを更に含み、前記誘電体層には、電気接続構造が埋め込まれ、
前記開孔部は、連通された第1サブホール及び第2サブホールを含み、前記基板の前記第1表面に開孔部を形成することは、
前記開孔部の所定の形成位置で、前記基板が露出するまで、前記誘電体層に対して第1エッチングを行い、前記第1サブホールを形成することと、
前記第1サブホールの底部に対して第2エッチングを行い、前記基板の厚さの一部を貫通して、前記第2サブホールを形成することと、を含み、前記第2サブホールの底部は、前記基板内に位置する、
請求項1に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項3】
前記第2サブホールを形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記第1サブホールの内壁を覆うバリア層を形成することを更に含み、
前記第2エッチングを行うことは、
前記第1サブホールの底部の前記バリア層及び前記基板に対して前記第2エッチングを行い、前記第1サブホールの底部の前記バリア層及び前記基板の厚さの一部を貫通して、前記第2サブホールを形成することを含む、
請求項2に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項4】
前記開孔部が形成された前記基板の前記第1表面をキャリアに接合することは、
前記開孔部を形成した後、前記誘電体層及び前記キャリアのうちの少なくとも1つの表面に接着層を形成し、前記接着層を介して前記誘電体層と前記キャリアとを接合することを含む、
請求項2に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項5】
前記接着層を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記開孔部内に充填物を形成することを更に含み、前記充填物は、少なくとも前記開孔部の開口を塞ぐ、
請求項4に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項6】
前記充填物の構成材料は、前記接着層の構成材料と同じである、
請求項5に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項7】
前記キャリアを除去した後、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記接着層及び前記開孔部内の前記充填物を除去することを更に含む、
請求項5に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項8】
前記溝が形成された前記基板の前記第2表面をキャリア層に固定することは、前記溝が形成された前記基板の前記第2表面を前記キャリア層に貼り付けて、前記第2表面とキャリア層とを固定することを含み、
前記キャリアを除去した後、前記キャリア層を除去することは、前記接着層及び前記開孔部内の前記充填物を除去した後、前記キャリア層を除去することを含む、
請求項7に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項9】
前記溝を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記基板の前記第2表面を薄くすることを更に含み、薄くされた前記基板の厚さは、前記開孔部の深さより大きい、
請求項1に記載のパッケージ筐体の製造方法。
【請求項10】
パッケージチップの製造方法であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載のパッケージ筐体の製造方法によって製造されたパッケージ筐体を提供することと、
半導体チップを提供することと、
前記半導体チップを前記パッケージ筐体に固定し、前記半導体チップを前記溝内に設けることと、を含み、前記開孔部は、前記半導体チップの少なくとも一部の領域を露出させる、パッケージチップの製造方法。
【請求項11】
前記半導体チップの片面には、パッドが設けられ、前記パッドは、前記開孔部から露出され、前記パッケージチップの製造方法は、
導電性材料で前記開孔部を充填して、前記パッドに結合された導電性プラグを形成することを更に含む、
請求項10に記載のパッケージチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2022年03月22日に中国特許局に提出された、出願番号が202210283093.8であり、発明の名称が「パッケージ筐体の製造方法及びパッケージチップの製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、半導体パッケージの技術分野に関し、特に、パッケージ筐体の製造方法及びパッケージチップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体チップのパッケージングプロセスとは、ウェーハから切り出された1つ又は複数の半導体チップを、物理的損傷や腐食などを防止するためのパッケージ筐体に封入、固定するプロセスであり、これにより、半導体チップが外部環境に直接接触することを回避し、半導体チップの損傷や故障を防ぐように半導体チップを載置、支持する。
【0004】
集積回路では、様々な半導体チップやその他の電子部品を集積して電子システムを構成することができる。電子システム機能の多元化、複雑化に対する要望が徐々に高まると同時に、電子システムの体積、消費電力、重量の更なる減少が求められ、電子集積技術の急速な展開が促進されている。異なる半導体チップによっては、機能が異なり、プロセスノード、ウエハーサイズ、半導体チップサイズも大きく異なる。これらの異なるサイズ、異なる材料、異なるプロセス、異なる機能の半導体チップのパッケージングと集積をどのように実現するか、及びパッケージング筐体の製造過程の歩留まりをどのように高めるかが、解決されるべき緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これを鑑みて、本開示の実施例は、パッケージ筐体の製造方法及びパッケージチップの製造方法を提供する。
【0006】
本開示の実施例の第1態様によれば、パッケージ筐体の製造方法を提供し、前記方法は、
対向する第1表面及び第2表面を有する基板を提供することと、
前記基板の前記第1表面に開孔部を形成することであって、前記開孔部の底部は、前記基板内に位置する、ことと、
前記開孔部が形成された前記基板の前記第1表面をキャリアに接合することであって、前記キャリアは、前記開孔部を覆う、ことと、
前記第1表面を前記キャリアに接合した後、前記基板の前記第2表面に溝を形成することであって、前記基板に垂直な方向において、前記溝は、前記開孔部と連通する、ことと、
前記溝が形成された前記基板の前記第2表面をキャリア層に固定することと、
前記第2表面を前記キャリア層に固定した後、前記キャリアを除去することと、
前記キャリアを除去した後、前記キャリア層を除去することと、を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記開孔部を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記第1表面を覆う誘電体層を形成することを更に含み、前記誘電体層には、電気接続構造が埋め込まれ、
前記開孔部は、連通された第1サブホール及び第2サブホールを含み、前記基板の前記第1表面に開孔部を形成することは、
前記開孔部の所定の形成位置で、前記基板が露出するまで、前記誘電体層に対して第1エッチングを行い、前記第1サブホールを形成することと、
前記第1サブホールの底部に対して第2エッチングを行い、前記基板の厚さの一部を貫通して、前記第2サブホールを形成することと、を含み、前記第2サブホールの底部は、前記基板内に位置する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第2サブホールを形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記第1サブホールの内壁を覆うバリア層を形成することを更に含み、
前記第2エッチングを行うことは、
前記第1サブホールの底部の前記バリア層及び前記基板に対して前記第2エッチングを行い、前記第1サブホールの底部の前記バリア層及び前記基板の厚さの一部を貫通して、前記第2サブホールを形成することを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記開孔部が形成された前記基板の前記第1表面をキャリアに接合することは、
前記開孔部を形成した後、前記誘電体層及び/又は前記キャリアの表面に接着層を形成し、前記接着層を介して前記誘電体層と前記キャリアとを接合することを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記接着層を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記開孔部内に充填物を形成することを更に含み、前記充填物は、少なくとも前記開孔部の開口を塞ぐ。
【0011】
いくつかの実施例では、前記充填物の構成材料は、前記接着層の構成材料と同じである。
【0012】
いくつかの実施例では、前記キャリアを除去した後、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記接着層及び前記開孔部内の前記充填物を除去することを更に含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記溝が形成された前記基板の前記第2表面をキャリア層に固定することは、前記溝が形成された前記基板の前記第2表面を前記キャリア層に貼り付けて、前記第2表面とキャリア層とを固定することを含み、
前記キャリアを除去した後、前記キャリア層を除去することは、前記接着層及び前記開孔部内の前記充填物を除去した後、前記キャリア層を除去することを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記溝を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
前記基板の前記第2表面を薄くすることを更に含み、薄くされた前記基板の厚さは、前記開孔部の深さより大きい。
【0015】
本開示の実施例の第2態様によれば、パッケージチップの製造方法を提供し、前記方法は、
前記パッケージ筐体の製造方法によって製造されたパッケージ筐体を提供することと、
半導体チップを提供することと、
前記半導体チップを前記パッケージ筐体に固定し、前記半導体チップを前記溝内に設けることと、を含み、前記開孔部は、前記半導体チップの少なくとも一部の領域を露出させる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記半導体チップの片面には、パッドが設けられ、前記パッドは、前記開孔部から露出され、前記パッケージチップの製造方法は、
導電性材料で前記開孔部を充填して、前記パッドに結合された導電性プラグを形成することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1a】一例示的な実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図1である。
【
図1b】一例示的な実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図2である。
【
図1c】一例示的な実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図3である。
【
図1d】一例示的な実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図4である。
【
図2】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法のフローチャートである。
【
図3a】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図1である。
【
図3b】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図2である。
【
図3c】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図3である。
【
図3d】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図4である。
【
図3e】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図5である。
【
図3f】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図6である。
【
図3g】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図7である。
【
図3h】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図8である。
【
図4a】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図9である。
【
図4b】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図10である。
【
図4c】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図11である。
【
図4d】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図12である。
【
図4e】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図13である。
【
図4f】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図14である。
【
図4g】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図15である。
【
図4h】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図16である。
【
図4i】本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略
図17である。
【
図5a】本開示の実施例によるパッケージチップの製造方法の概略
図1である。
【
図5b】本開示の実施例によるパッケージチップの製造方法の概略
図2である。
【
図5c】本開示の実施例によるパッケージチップの製造方法の概略
図3である。
【
図5d】本開示の実施例によるパッケージチップの製造方法の概略
図4である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
下記において、図面及び具体的な実施例を参照して、本開示の技術的方案を更に詳しく説明する。
【0019】
本開示の実施例では、「第1」、「第2」などの用語は、特定の順番又は前後順番を限定するものではなく、類似する対象を区別するものである。
【0020】
本開示の実施例では、「AがBと接触している」という用語は、AがBと直接接触している状況、又はAとBとの間に他の部品が介在し、AがBと間接的に接触している状況を含む。
【0021】
本開示の実施例では、「層」という用語は、厚みを有する領域を含む材料の部分を指す。層は、下方又は上方の構造の全体にわたって延在され得、又は下方又は上方の構造の範囲よりも小さい範囲を有され得る。また、層は、連続構造の厚みよりも薄い厚みを有する均質又は不均質の連続構造の領域であり得る。例えば、層は、連続構造の頂面と底面の間に位置され得、又は層は、連続構造の頂面と底面の任意の水平面の間に配置され得る。層は、水平、垂直、及び/又は傾斜面に沿って延在され得る。また、層は、複数のサブ層を含み得る。
【0022】
理解可能なこととして、本開示における「…上に」、「…の上方に」、及び「…の上部に」の意味は、可能な限り広い意味で解釈されるべきであり、「…上に」の意味が、何かの「上にあり」且つ介在する特徴又は層(即ち、直接何かの上にある)がないことを意味するだけでなく、何かの「上にあり」且つ介在する特徴又は層があることも意味する。
【0023】
説明すべきこととして、本明細書は実施形態に従って説明するが、実施形態ごとに1つの独立した技術的解決策を含むわけではなく、明細書のこのような説明は、明確にするためにのみであり、当業者は明細書を全体として扱うべきであり、様々な実施形態における技術的解決策を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態を形成することもできる。
【0024】
図1a~
図1dは、一例示的な実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略図である。
図1a~
図1dを参照すると、当該パッケージ筐体の製造方法は、ステップ1~ステップ4を含む。
【0025】
ステップ1において、
図1aを参照すると、対向する第1の面及び第1の面を有する第1基板110aを提供し、第1基板110aの第2の面を第1キャリア120aに接合し、第1キャリア120aが露出するまで、第1基板110aの第1の面に、第1基板110aを貫通する溝111を形成する。
【0026】
ステップ2において、
図1bを参照すると、対向する第3の面及び第4の面を有する第2基板110bを提供し、第2基板110bの第4の面を第2キャリア120bに接合し、第2キャリア120bが露出するまで、第2基板110bの第3の面に、第2基板110bを貫通する開孔部112を形成し、開孔部112の直径は、溝111の直径より小さい。
【0027】
ステップ3において、
図1cを参照すると、第1基板110aの第1の面と第2基板110bの第3の面とを接合し、第1基板110a及び第2基板110bに垂直な方向において、溝111は、開孔部112と連通する。
【0028】
ステップ4において、
図1dを参照すると、第1基板110aと第2基板110bとを接合した後、第1キャリア120a及び第2キャリア120bを除去する。
【0029】
図1a及び
図1bに示すように、第1基板110a内には、3つの溝111が形成され、第2基板110b内には、3つの開孔部112が形成されるが、これは本実施例を説明するための例としてのみ使用される。この実施例は、溝111の数及び開孔部112の数については限定しない。
【0030】
図1c及び
図1dを参照すると、第1基板110a内の溝111は、第2基板110b内の開孔部112と接合により連通する。溝111の直径は、開孔部112の直径より大きく、1つの溝111が1つの開孔部112と対応して連通してもよく、1つの溝111が複数の開孔部112と対応して連通してもよい。
【0031】
例示的に、溝111及び開孔部112を形成するプロセスは、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0032】
図1dを参照すると、第1キャリア120a及び第2キャリア120bを除去した後の構造は、半導体チップパッケージング用の半導体チップのパッケージ筐体として使用され得る。いくつかの実施例では、半導体チップを第1基板110a内の溝111内に固定し、第2基板110bの開孔部112内に、導電性プラグを形成して、半導体チップと結合し、外部集積回路との電気信号相互接続のために、半導体チップの電気信号を引き出す。
【0033】
引き続き
図1aを参照すると、溝111をエッチングして形成する過程では、第1キャリア120aをエッチングしなくてもよい。第1キャリア120aは、ドライエッチング装置内でウェーハを載置するためのキャリア台(静電チャック(ESC:electrostatic chuck)又は真空チャックなど)を保護するために使用できるため、第1基板110aがキャビティによって貫通された後、エッチング剤がキャビティを介してキャリア台に接触することを回避し、キャリア台の損傷を軽減する。
【0034】
パッケージ筐体の製造過程では、第1基板110aが異なるデバイス間で移動されるとき、真空吸着装置(真空チャックなど)を使用して第1基板110aを搬送する必要がある。化学機械研磨及び砥石研磨の工程を行う場合にも、真空吸着装置を使用して第1基板110aを吸着固定する必要がある。第1キャリア120aがない場合、真空吸着装置は、溝111が形成された第1基板110aに直接接触するため、溝111は、第1基板110aと真空吸着装置との間の真空環境を破壊し、吸着動作を行うことができなくなり、第1基板110aを搬送することができず、第1基板110aを固定して後続の化学機械研磨及び砥石研磨の工程を行うことができず、更に、吸着失敗により第1基板110aが断片化され、装置に危害を及ぼす可能性がある。
【0035】
理解可能なこととして、複数の溝111の存在により、第1基板110aの機械的強度が低下し、第1基板110aを直接吸着又は把持すると、第1基板110aの断片化のリスクが高くなる。したがって、第1キャリア120aを第1基板110aに接合し、第1キャリア120aを吸着又は把持することにより、第1基板110aの吸着又は把持を完了し、第1基板110aの断片化のリスクを低下させ、更に破片による装置への損傷を軽減することができる。第2キャリア120bの役割は、第1キャリア120aの役割と類似しており、ここでは繰り返して説明しない。
【0036】
図1cを参照すると、第1基板110aと第2基板110bとの接合中に、溝111と開孔部112との連通を確保するために、溝111と開孔部112とを位置合わせする必要があり、溝111と開孔部112の数が増える場合、接合時の位置合わせが難しくなり、溝111が開孔部112と連通できなくなり、パッケージ筐体の製造歩留まりが低下する。
【0037】
図1c及び
図1dを参照すると、接合の方法によって第1キャリア120a及び第2キャリア120bを除去して、パッケージ筐体100を形成するとき、第1基板110aと第2基板110bとの接合が失敗し、第1基板110aと第2基板110bとが分離する場合がある。また、半導体チップの使用中に、
図1dに示すパッケージ筐体100は、高温又は外力の押し出し中に、第1基板110aが第2基板110bと剥離されるリスクがあり、半導体チップの故障リスクが高くなる。
【0038】
図2は、本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法のフローチャートであり、
図3a~
図3hは、本開示の実施例によるパッケージ筐体の製造方法の概略図である。
図2、
図3a~
図3hを参照すると、パッケージ筐体の製造方法は、ステップS100~ステップS700を含む。
【0039】
ステップS100において、
図3aを参照すると、対向する第1表面及び第2表面を有する基板210を提供する。
【0040】
ステップS200において、
図3bを参照すると、基板210の第1表面に開孔部211を形成し、開孔部211の底部は、基板210内に位置する。
【0041】
ステップS300において、
図3c及び
図3dを参照すると、開孔部211が形成された基板210の第1表面をキャリア220に接合し、キャリア220は、開孔部211を覆う。
【0042】
ステップS400において、
図3eを参照すると、第1表面をキャリア220に接合した後、基板210の第2表面に溝212を形成し、基板210に垂直な方向において、溝212は、開孔部211と連通する。
【0043】
ステップS500において、
図3fを参照すると、溝212が形成された基板210の第2表面をキャリア層231に固定する。
【0044】
ステップS600において、
図3gを参照すると、第2表面をキャリア層231に固定した後、キャリア220を除去する。
【0045】
ステップS700において、
図3hを参照すると、キャリア220を除去した後、キャリア層231を除去する。
【0046】
例示的に、基板210の構成材料は、単体半導体材料(シリコン、ゲルマニウムなど)、III-V族化合物半導体材料、II-VI族化合物半導体材料、有機半導体材料、又は当業者に知られている他の半導体材料を含み得る。基板210の構成材料は、酸化ケイ素材料、酸化アルミニウム(サファイア)又はセラミック材料も含まれ得る。
【0047】
例示的に、基板210に垂直なz方向において、第1表面は、基板210の上面であり得、第2表面は、第1表面に対向する基板210の下面であり得、以下では繰り返して説明しない。
【0048】
例示的に、開孔部211及び溝212の形成プロセスは、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0049】
例示的に、キャリア220は、半導体ウェーハを含み得、キャリア220の構成材料は、基板210と同じであってもよく異なってもよい。
【0050】
具体的には、
図3bを参照すると、z方向において、基板210の第1表面に対してエッチングプロセスを実行して開孔部211を形成するとき、開孔部211は、部分的な厚さの基板210のみを貫通し、即ち、開孔部211の深さは、基板210の厚さより小さく、開孔部211は、基板210内に位置するブラインドホールである。
【0051】
図3cを参照すると、開孔部211が形成された基板210の第1表面をキャリア220に接合する接合プロセスは、直接接合又は他の接合媒体による接合を含み得る。
【0052】
いくつかの実施例では、直接接合は、熱圧着を含み得る。具体的には、比較的に高い温度で、基板210とキャリア220の接合面との間に圧力を加えて、溶融した接合面を接触させ、冷却したら接合が完了する。基板210とキャリア220の構成材料は同じである(例えば、基板210及びキャリア220の両方がシリコン材料であるか、又は、基板210及びキャリア220が金属材料である)か、又は基板210とキャリア220の構成材料は、適合性があり(例えば、基板210がシリコン材料であり、キャリア220が酸化ケイ素材料である)、直接接合プロセスに適用され得る。
【0053】
いくつかの実施例では、
図3dを参照すると、基板210とキャリア220は、接合プロセス中に直接接触せず、基板210とキャリア220との間に他の接合媒体を形成して接合を行う。例えば、基板210の表面及び/又はキャリア220の表面に接着剤を塗布して接着層251を形成し、接着剤によって基板210とキャリア220とを接合する。理解可能なこととして、接合するとき、塗布された接着剤は、キャリア220に面する基板210の表面に位置し、及び/又は、接合するとき、塗布された接着剤は、基板210に面するキャリア220の表面に位置する。接着剤を塗布して接着層251を形成するとき、接着剤を利用して、開孔部211を充填し、開孔部211を支持し、接合中に開孔部211が変形する確率を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。
【0054】
強調すべきこととして、
図3cを参照すると、キャリア220は、開孔部211が形成された基板210の第1表面を覆い、キャリア220は、開孔部211の開口を封止するために、開孔部211の開口を完全に覆うことにより、基板210の第2表面に開孔部211と連通する溝212を形成しやすくなり、真空吸着失敗による基板210の断片化の確率を低減し、パッケージ基板の製造歩留まりを向上させる。
【0055】
図3c及び
図3dを参照すると、ステップS300を実行した後、z方向において、キャリア220は、基板210の上に位置する。
図3eを参照すると、ステップS400を実行する前に、基板210がキャリア220の上に位置するように、接合後のキャリア220及び基板210を反転してフリップチップ方式で付着する必要がある。したがって、基板210の第2表面は、エッチング剤に露出され、溝212を形成することができる。ステップS400を実行するとき、エッチングプロセスを実行して溝212を形成することができる。キャリア220は、エッチング装置のキャリア台と接触するため、開孔部211を有する基板210の第1表面がキャリア台に接触することによる損傷を回避する。また、基板210の第2表面は、キャリア220によって保護されるので、基板210の搬送中に、搬送装置に直接接触せず、基板210の第2表面の損傷を軽減する。
【0056】
引き続き
図3eを参照すると、溝212が開孔部211と連通した後、エッチング剤は、開孔部211に沿ってキャリア220の表面に到達し、キャリア220の存在は、エッチング剤によるキャリア台への損傷を軽減するだけでなく、回避することもできる。
【0057】
さらに、溝212が開孔部211と連通した後、z方向において、溝212は開孔部211とともに、基板210を貫通する1つの貫通キャビティを形成し、キャリア220は、当該貫通キャビティ内の開孔部211を有する側(即ち、開孔部211が形成された基板210の第1表面)を封止することができ、基板210が真空吸着把持動作を行うとき、貫通キャビティは、真空吸着を破壊せず、このようにして、真空吸着方式で把持することができ、把持失敗による破片のリスクを低下させ、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。例えば、基板210に対して真空吸着を行うとき、真空チャックは、キャリア220を吸着して把持し、基板210も一緒に搬送又は反転動作を行うことができる。
【0058】
強調すべきこととして、本実施例に示す1つの溝212と1つの開孔部211は単なる例であり、より多くの溝212及びより多くの開孔部211を形成することができる。
【0059】
また、形成された1つの溝212は、少なくとも1つの開孔部211と連通することができ、連通された開孔部211の数は、特に限定されない。理解可能なこととして、いくつかの実施例では、形成された1つの溝212は、2つの開孔部211、3つの開孔部211又はより多くの開孔部211と連通することができる。同じ溝212と連通する開孔部211の数は、後に当該溝に埋め込まれるチップに応じて設ける必要がある導電性プラグの数と正の相関にある。
【0060】
いくつかの実施例では、
図3e~
図3hを参照すると、z方向において、1つの溝212は、少なくとも2つの開孔部211と連通して、スリーブの貫通キャビティを形成することができる。
【0061】
いくつかの実施例では、z方向に垂直な平面内では、溝212のサイズは、開孔部211のサイズより大きい。具体的には、いくつかの例では、
図3e~
図3hを参照すると、z方向に垂直な投影面において、開孔部211の投影は、溝212の投影範囲内に収まる。別のいくつかの例では、溝212及び開孔部211の形状は、円柱を含み得、溝212の直径は、開孔部211の直径より大きい。このようにして、溝212を形成するとき、溝212と開孔部211との位置合わせの難しさを低減することができ、溝212が開孔部211と連通できない現象を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、
図3c~
図3eを参照すると、z方向に垂直な投影面において、キャリア220の投影面積は、基板210の投影面積より大きいか等しく、即ち、z方向において、キャリア220は、開孔部211が形成された基板210の第1表面を完全に覆うことができる。このようにして、キャリア220は、開孔部211が形成された基板210の第1表面をより良好に保護及び封止し、基板210の真空吸着により有利であり、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。
【0063】
図3fを参照すると、基板210の第2表面とキャリア層231との固定方式は、貼り付け、真空吸着、又は静電吸着を含み得る。
【0064】
いくつかの例では、キャリア層231は、粘着性を有するフィルムを含み得、当該フィルムの他方の面は、他の装置と貼り付けることもできる。ステップS700を実行するとき、当該フィルムを基板210からはがして、
図3hに示すようなパッケージ筐体200を形成することができる。
【0065】
いくつかの例では、キャリア層231は、真空吸着素子又は静電吸着素子も含み得る。ステップS700を実行するとき、キャリア層231と基板210を脱着して、キャリア層231と基板210を分離させることができる。
【0066】
本開示の実施例では、キャリア層231を採用して基板210を固定し、ウェーハ接合プロセスの回数を減らし、製造コストを削減することができる。さらに、ウェーハ接合の固定プロセスに比べて、本開示の実施例におけるキャリア層231の除去はより容易であり、溝212が形成された基板210の第2表面を保護すると同時に、ステップS700を実行するのに有利であり、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させる。
【0067】
図3fを参照すると、ステップS500を実行した後、キャリア層231は、キャリア220の上に位置する。
図3gを参照すると、ステップS600を実行するとき、キャリア層231の一方の面は、手動又は他の装置によって吸着及び固定することができ、その後、キャリア層の他方の面の基板210を反転して、キャリア220がキャリア層231の上に位置するようにし、キャリア220の除去を容易にすることができる。熱剥離の方法を採用して、キャリア220と基板210とを分離させることができる。
【0068】
いくつかの実施例では、キャリア220が基板210と剥離された後、キャリア220は、洗浄及び研磨された後、引き続きリサイクルされ得る。
【0069】
いくつかの実施例では、
図3hのパッケージ筐体200は、半導体チップのパッケージングに使用され得、溝212及び開孔部211のサイズは小さく、ミクロン級、更にはナノ級も含み得る。
【0070】
いくつかの実施例では、半導体チップは、溝212内に設けられ、パッケージ筐体200に固定され、半導体チップは、開孔部211から露出される。半導体チップは、光電チップを含んでもよく、感光素子を含んでもよく、開孔部211は、光信号の伝送のための光路として使用され得る。別のいくつかの実施例では、開孔部211内に導電性プラグを形成することができ、導電性プラグを形成して、半導体チップと結合し、外部集積回路との電気信号相互接続のために、半導体チップの電気信号を引き出す。
【0071】
本開示の実施例では、基板の第1表面に開孔部を形成した後、基板の第1表面をキャリアに接合し、キャリアは、開孔部を覆う。キャリアが開孔部を覆うため、キャリアによって基板を真空吸着することができ、更に、基板の第2表面に、開孔部と連通する溝の形成が容易になり、真空吸着失敗による基板の断片化の確率を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。また、キャリアと開孔部が形成された基板の第1表面が接合した後、基板の搬送及び溝の形成などの製造過程において、キャリアが装置に直接接触し、基板の第1表面の損傷を軽減する。
【0072】
本開示の実施例では、1つの基板の上に互に連通(基板に垂直な方向に連通)する溝及び開孔部を設ける。異なる基板の上に溝及び開孔部をそれぞれ形成し、接合プロセスにより2つの基板を1つに接合する製造方法に比べて、本開示の実施例は、基板の接合回数を減らし、溝及び開孔部の接合時の位置合わせプロセスを省略し、パッケージ筐体が使用中における、基板の剥離によるパッケージ筐体クラック故障のリスクを低下させ、パッケージ筐体の歩留まりを向上させる。
【0073】
いくつかの実施例では、ステップS200を実行する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
図4aに示すように、第1表面を覆う誘電体層241を形成することを更に含み、誘電体層241には電気接続構造242が埋め込まれている。
【0074】
図4b及び
図4cに示すように、開孔部211は、連通する第1サブホール211a及び第2サブホール211bを含み、基板210の第1表面に開孔部211を形成することは、
図4bに示すように、開孔部211の所定の形成位置で、基板210が露出するまで、誘電体層241に対して第1エッチングを行い、第1サブホール211aを形成することと、
図4cに示すように、第1サブホール211aの底部に対して第2エッチングを行い、部分的な厚さの基板210を貫通して、第2サブホール211bを形成することと、を含み、第2サブホール211bの底部は、基板210内に位置する。
【0075】
強調すべきこととして、
図4cに示す第1サブホール211aと第2サブホール211bとの間の破線は、本実施例の第1サブホール211aと第2サブホール211bとをより直感的に区別するための領域である。パッケージ筐体の実際の製造過程では、この破線は存在しない。
【0076】
例示的に、誘電体層241の構成材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素などの絶縁材料を含むが、これらに限定されない。
【0077】
例示的に、誘電体層241の形成プロセスは、低温化学気相成長プロセス、低圧化学気相成長、急速熱化学気相成長プロセス、原子層堆積プロセス、又はプラズマ強化化学気相成長など、当技術分野で知られている任意のプロセスを含み得る。
【0078】
例示的に、第1エッチング及び第2エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチング、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0079】
例示的に、電気接続構造242は、導電性パッド、導電線、配線層、又はこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。電気接続構造242の構成材料は、銅、タングステン、アルミニウム、金、チタン、ニッケルなどを含むが、これらに限定されない。本開示は、1つ又は複数の導電性パッド、1つの配線層、又は複数の積み重ねられた配線層など、電気接続構造242の数については限定しない。
【0080】
図4aを参照すると、電気接続構造242は、誘電体層241内に形成され、誘電体層241は、電気接続構造242を取り囲んで電気接続構造242を支持し、電気接続構造242の損傷を軽減し、電気接続構造242間に電気絶縁を形成して短絡現象を低減することもできる。
【0081】
電気接続構造242のサイズは小さく、ミクロン級、更にはナノ級も含み得、半導体チップとの結合に使用でき、又は他の半導体構造(又は半導体デバイス)との結合に使用することができる。
【0082】
いくつかの実施例では、電気接続構造242は、パッケージ筐体のリード構造として使用でき、半導体チップパッケージ中に、半導体チップと結合し、外部集積回路との電気信号相互接続のために、半導体チップの電気信号を引き出すことができる。別のいくつかの実施例では、電気接続構造242は、他の電子部品と結合して、パッケージ筐体により多くの機能を集積することもできる。
【0083】
いくつかの実施例では、ステップS100における基板210は、ウェーハであり得、電気接続構造242は、当該ウェーハの上に予め形成され得、電気接続構造242は、複数のパッド、複数の導電線などが互に結合された導電性構造を含み得る。強調すべきこととして、ステップS200を実行するとき、開孔部211は、これらの導電性構造を貫通、破壊しない。例えば、導電性構造間のギャップに開孔部211が形成される。
【0084】
別のいくつかの実施例では、基板210は、半導体構造を含むウェーハ(半導体構造は本実施例の図面に図示せず)を含み得、半導体構造は、CMOS回路、メモリデバイス、光電子デバイス、又は通信デバイスを含み得る。電気接続構造242は、ウェーハの上に形成され、半導体構造と結合され、製造完了されたパッケージ筐体により多くの機能を集積することもできる。
【0085】
図4b及び
図4cを参照すると、z方向において、誘電体層241と基板210の厚さは大きく、誘電体層241を貫通し、部分的な厚さの基板210を貫通する開孔部211を一回のエッチングで形成することは非常に難しく、開孔部211全体の形状を良好に確保するのに不利である。本開示の実施例では、2回のエッチングで開孔部211を形成することにより、エッチングプロセスの難しさを低減することができ、エッチングプロセスウィンドウの拡大に有利である。
【0086】
いくつかの実施例では、誘電体層241及び基板210の構成材料は異なり、一回のエッチングで異なる材料にホールを形成することは難しく、開孔部211の形状を良好に制御することは難しい。
【0087】
例えば、誘電体層241は、酸化ケイ素であり、基板210はシリコンである。第1エッチングの実行中に、酸化ケイ素のエッチング速度は、シリコンのエッチング速度より大きいか、又は第1エッチングは、シリコンを実質的にエッチングしない。第2エッチングの実行中に、シリコンのエッチング速度は、酸化ケイ素のエッチング速度より大きいか、又は第2エッチングは、酸化ケイ素を実質的にエッチングしない。
【0088】
本開示の実施例では、異なる材料の材料層、即ち、第1サブホール211a及び第2サブホール211bを段階的にエッチングすることにより、サブホールの形状を制御して、最終的に開孔部211の品質を改善し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させるのに有利であり、エッチングプロセスウィンドウの拡大に有利である。
【0089】
いくつかの実施例では、
図4dを参照すると、第2サブホール211bを形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
第1サブホール211aの内壁を覆うバリア層243を形成することを更に含み、
第2エッチングを行うことは、
第1サブホール211aの底部のバリア層243及び基板210に対して第2エッチングを行い、第1サブホール211aの底部のバリア層243及び部分的な厚さの基板210を貫通して、第2サブホール211bを形成することを含む。
【0090】
例示的に、バリア層243の構成材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は酸化アルミニウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0091】
第2エッチングの実行中に、バリア層243のエッチング速度は、基板210のエッチング速度より小さいか、又は第2エッチングは、バリア層243を実質的にエッチングしない。バリア層243は、第2エッチングによる第1サブホール211aの側壁のエッチングを低減し、第1サブホール211aの形状を良好に確保するのに有利であり、最終的に開孔部211の品質を改善し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。
【0092】
いくつかの実施例では、
図4eを参照すると、ステップS300は、
開孔部211を形成した後、誘電体層241及び/又はキャリア220の表面に接着層251を形成し、接着層251を介して誘電体層241とキャリア220とを接合することを含む。
【0093】
接着層251の構成材料は、接着剤、感光性接着剤(UV接着剤又はUV硬化接着剤とも呼ばれる)、又は粘着性樹脂などを含むが、これらに限定されない。
【0094】
本実施例の基板210の上の誘電体層241とキャリア220との間は、接着層251を介して接合され、例えば、誘電体層241及び/又はキャリア220の表面に接着剤を塗布し、接着剤を介して基板210とキャリア220とを接合する。
【0095】
いくつかの実施例では、接着層251は、開孔部211を充填しなくてもよい。例えば、キャリア220の表面に接着剤を塗布し、次に、接着剤が塗布されたキャリア220の表面を、誘電体層241を有する基板210の表面に接合し、接着剤は、開孔部211を充填しない。
【0096】
別のいくつかの実施例では、接着層251を形成するとき、接着層251は、開孔部211を充填してもよい。例えば、開孔部211が形成された誘電体層241の表面に接着剤を塗布し、接着剤は、同時に開孔部211を充填することができる。
【0097】
基板210の誘電体層241をキャリア220に直接熱圧着するプロセスに比べて、接着層251は、比較的低温の環境で接合することができ、高温による基板210への損傷を軽減でき、製造コストの削減に有利である。また、ステップS600の実行中に、接着層251を加熱することにより、接着層251は減少又は粘度を失うようになり、それにより、基板210とキャリア220とを分離させ、キャリア220を除去するときの基板210への損傷を軽減し、製造の難しさを低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させる。
【0098】
いくつかの実施例では、
図4fを参照すると、接着層251を形成する前に、前記パッケージ筐体の製造方法は、
開孔部211内に充填物252を形成することを更に含み、充填物252は、少なくとも開孔部211の開口を塞ぐ。
【0099】
充填物252の構成材料は、接着剤、感光性接着剤、底部反射防止コーティング、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は金属材料などを含むが、これらに限定されない。
【0100】
例示的に、充填物252の形成プロセスは、低温化学気相成長プロセス、低圧化学気相成長、急速熱化学気相成長プロセス、原子層堆積プロセス、プラズマ強化化学気相成長、又はスピンコートプロセスなど、当技術分野で知られている任意のプロセスを含み得る。
【0101】
図4cを参照すると、本実施例は、開孔部211の数については限定しない。理解可能なこととして、基板210の第1表面に形成される開孔部211の数が多いほど、基板210の第1表面の残りの面積は少なくなり、基板210の第1表面がキャリア220に接合できる面積も小さくなり、接合強度が低下する。本実施例では、開孔部211内に充填物252を形成し、充填物252は、開孔部211の開口のみを塞いでもよく、開孔部211全体を充填してもよい。又は、充填物252は、開孔部211の開口を塞ぎ、開孔部211の中央又は底部の充填物252には、エアギャップが存在してもよい。充填物252は、開孔部211の開口を塞ぎ、基板210の第1表面とキャリア220との接合面積を増やし、接合強度を向上させることができ、開孔部211を支持及び保護し、開孔部211の変形欠陥の発生を低減することもできる。
【0102】
いくつかの実施例では、充填物252の構成材料は、接着層251の構成材料と同じである。
【0103】
具体的には、充填物252及び接着層251の構成材料は、接着剤、感光性接着剤(UV接着剤又はUV硬化接着剤とも呼ばれる)、又は粘着性樹脂などを含み得る。例えば、開孔部211を形成した後、基板210の第1表面に接着剤を塗布して開孔部211を充填し、接着剤は、少なくとも開孔部211の開口を塞ぐ。その後、基板210の第1表面に接着剤を塗布し続け、基板210の第1表面を覆う接着層251を形成してから、基板210の第1表面とキャリア220とを接合する。このようにして、他の材料を堆積して充填物252を形成するステップを減らし、製造コストを削減することができる。
【0104】
理解可能なこととして、誘電体層241及び/又はキャリア220の表面にのみ接着剤を塗布して接着層251を形成することに比べて、本実施例では、開孔部211に接着剤を充填し、開孔部211を支持して、接合中に開孔部211が変形する確率を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。
【0105】
いくつかの実施例では、開孔部211に金属を充填して充填物252を形成することができ、他の充填物252に比べて、金属充填物252は、機械的強度が高く、開孔部211への支持を向上させ、開孔部211の変形確率を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させる。また、ウェットエッチング及び洗浄プロセスを実行して金属充填物252を除去するとき、金属充填物252は、エッチング剤と反応して金属イオンを生成し、エッチング剤に溶解するため、金属充填物252の除去効果はより良くなり、金属充填物252の残留物を減らし、歩留まりを向上させる。
【0106】
いくつかの実施例では、
図4g及び
図4hを参照すると、キャリア220を除去した後、前記パッケージ筐体の製造方法は、
接着層251及び開孔部211内の充填物252を除去することを更に含む。
【0107】
接着層251及び開孔部211内の充填物252を除去する方法は、ドライエッチング、ウェットエッチング、洗浄又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの実施例では、接着層251及び/又は充填物252に接着剤、感光性接着剤が含まれる場合、加熱又は紫外線照射後に、ウェットエッチング、洗浄によって接着層251及び開孔部211内の充填物252を除去することができる。
【0109】
いくつかの実施例では、
図4gを参照すると、ステップS500は、溝212が形成された基板210の第2表面をキャリア層231に貼り付けて、第2表面とキャリア層231とを固定することを含み、
図4h及び
図4iを参照すると、ステップS700は、接着層251及び開孔部211内の充填物252を除去した後、キャリア層231を除去することを含む。
【0110】
キャリア層231は、粘着性を有する1つのキャリアフィルム又はキャリアプレートであり得、キャリアフィルム又はキャリアプレートの片面と、基板210の第2表面とを貼り付けて第2表面を固定し、基板210の反転を実現する。理解可能なこととして、キャリアフィルム又はキャリアプレートは、膜リング232を設けることができ、膜リング232によって基板210の反転及びキャリアフィルム又はキャリアプレートの除去を実現することができる。
【0111】
接合又は溶接などの固定方式に比べて、本実施例における貼り付け固定方式は、プロセスが簡単であり、溝212が形成された基板210の第2表面への損傷を軽減し、パッケージ筐体の歩留まりを向上させる。
【0112】
いくつかの実施例では、キャリアフィルム又はキャリアプレートの両面は粘着性を有し、一方の面は、基板210の第2表面に貼り付けられ、他方の面は、プロセスデバイスに貼り付けられる。
【0113】
いくつかの実施例では、溝212を形成する前に、前記パッケージ筐体製造方法は、
基板210の第2表面を薄くすることを更に含み、薄くされた基板210の厚さは、開孔部211の深さより大きい。
【0114】
例示的に、薄くプロセスは、ドライエッチング、ウェットエッチング、化学機械研磨、ホイール研磨、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0115】
図3h及び
図4iを参照すると、z方向において、パッケージ筐体の基板210の厚さは、150ミクロン~300ミクロンを含み、一定の厚さを有するため、より良好な機械的特性を維持すると同時に、基板210を厚過ぎないようにし、集積回路の集積密度を低下させることはない。
【0116】
基板210の厚さが厚い場合、例えば、基板210がシリコンウェーハである場合、厚さは、約775ミクロンであり、基板210を薄くする必要がある。本実施例では、ステップS400を実行する前に、基板210の厚さが150ミクロン~300ミクロンに達するように、基板210の第2表面を薄くする。
【0117】
図3eを参照すると、基板210の第2表面を薄くした後、溝212を形成するエッチング量を低減し、エッチングの難しさを低下させることができる。強調すべきこととして、基板210の第2表面を薄くした後、残りの基板210の第2表面は、開孔部211を露出しない。
【0118】
図5a~
図5dは、本開示の実施例によるパッケージチップの製造方法の概略図である。
図5aを参照すると、前記方法は、
パッケージ筐体200を提供することと、
半導体チップ260を提供することと、
半導体チップ260をパッケージ筐体200に固定し、半導体チップ260を溝212内に設けることと、を含み、開孔部211は、半導体チップ260の少なくとも一部の領域を露出させる。
【0119】
例示的に、半導体チップ260は、デジタル回路チップ、アナログ回路チップ、無線周波数/マイクロ波回路チップ、微小電気機械システム(MEMS)チップ、フォトニックチップ、受動回路チップなどを含むが、これらに限定されない。
【0120】
例示的に、微小電気機械システム(MEMS)チップは、MEMS加速度計、MEMSマイクロフォン、マイクロモータ、マイクロポンプ、マイクロバイブレータ、MEMS圧力センサ、MEMSジャイロスコープ、MEMS湿度センサ、及びそれらの統合製品などのチップを含む。
【0121】
半導体チップ260は、パッケージ筐体200の溝212内に固定することができ、固定の方式は、接合、接着、溶接などのプロセスを含み得る。
【0122】
微小電気機械システムチップは、マイクロ回路及びマイクロ機械を含み得、マイクロ機械は、電気信号を変位、速度、振動、音波などの物理信号に変換でき、これらの物理信号を電気信号に変換することもできる、機械的に可動な構造を備えたマイクロ電子デバイスを含み得る。したがって、微小電気機械システムチップをパッケージするとき、微小電気機械システムチップにかかる外圧を極力低減し、微小電気機械システムチップ内のマイクロ機械のために密閉された可動空間を提供する。
【0123】
図5aを参照すると、
図3hに示すパッケージ筐体200を採用して、半導体チップ260をパッケージングする。半導体チップ260は、溝212内に固定され、半導体チップ260の厚さは、溝212の深さより小さくてもよい。半導体チップ260とパッケージ筐体200との固定が完了した後、パッケージカバー280もパッケージ筐体200に固定することができる。
【0124】
本実施例における溝212は、パッケージング完了後に、半導体チップ260のために1つの密閉されたキャビティを提供することができ、微小電気機械システムチップの可動部品のために可動空間を提供することができる。理解可能なこととして、可動空間を必要としない他の半導体チップ260については、半導体チップ260がパッケージ基板210に固定された後、絶縁材料で溝212を充填して、半導体チップ260を覆う絶縁層を形成することができる。
【0125】
いくつかの実施例では、引き続き
図5aを参照すると、半導体チップ260は、光電チップを含んでもよく、感光素子を含んでもよい。開孔部211は、光信号を伝送するための光路として使用され得、半導体チップと光信号とを相互接続する。別のいくつかの実施例では、開孔部211は、xoz平面に垂直な方向に沿って延在する複数のスリット構造を含み得、複数の開孔部211は、基板210の第1表面を複数のラスタに分割することができ、開孔部211は、光信号を伝送しながら、異なる強度及び異なるモードの光信号に対する異なる半導体チップ260の要件を満たすように、光信号を透過光回折又は反射光回折によって調整することもできる。
【0126】
いくつかの実施例では、
図5b~
図5dを参照すると、半導体チップ260の片面には、パッド261が設けられ、パッド261は、開孔部211から露出され、前記パッケージチップの製造方法は、
導電性材料で開孔部211を充填して、パッド261に結合された導電性プラグ271を形成することを更に含む。
【0127】
例示的に、導電性プラグ271及びパッド261の形成プロセスは、物理的堆積、化学的堆積、メッキなどを含むが、これらに限定されない。導電性プラグ271及びパッド261の構成材料は、銅、タングステン、アルミニウム、金、チタン、ニッケルなどの導電性材料を含むが、これらに限定されない。導電性プラグ271は、パッド261に結合されて、外部集積回路との電気信号相互接続のために、半導体チップ260の電気信号を引き出す。
【0128】
いくつかの実施例では、
図5cを参照すると、半導体チップ260の高さが大きい場合、溝を有するパッケージカバー280を使用してキャビティを形成することができる。
【0129】
いくつかの実施例では、
図5dを参照すると、
図4iに示すパッケージ筐体200を採用して半導体チップ260をパッケージし、導電性プラグ271は、導電性構造272を介して電気接続構造242と結合され得、外部集積回路との電気信号相互接続のために、電気接続構造242は、半導体チップ260の電気信号を引き出すことができる。導電性構造272は、柱状又はストリップ状のコンタクトプラグを含み得る。
【0130】
本開示の実施例における溝212、開孔部211、パッド261、導電性プラグ271、電気接続構造242、及び導電性構造272のサイズは、高集積半導体チップのパッケージを満たし、それによって外部集積回路の集積を向上させるために、ミクロン級、更にはナノ級も含み得る。
【0131】
本実施例のパッケージ筐体は、半導体チップをパッケージングするとき、半導体チップのためにキャビティを提供することができ、半導体チップを支持及び保護しながら、可動部品を有する半導体チップ(微小電気機械システムチップなど)のために可動空間を提供することもでき、また、異なる半導体チップのために、光信号又は電気信号の相互接続を提供することもでき、様々な半導体チップのパッケージに有利であり、半導体チップの機能を良好に維持するのに有利である。
【0132】
本開示の実施例では、基板の第1表面に開孔部を形成した後、基板の第1表面をキャリアに接合し、キャリアは、開孔部を覆う。キャリアが開孔部を覆うため、キャリアによって基板を真空吸着することができ、更に、基板の第2表面に、開孔部と連通する溝を形成しやすくなり、真空吸着失敗による基板の断片化の確率を低減し、パッケージ筐体の製造歩留まりを向上させることができる。また、キャリアが開孔部が形成された基板の第1表面に接合された後、基板の搬送及び溝の形成などの製造過程において、キャリアが装置に直接接触し、基板の第1表面の損傷を軽減する。
【0133】
上記の内容は、本開示の実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されない。本開示で開示された技術的範囲内で、当業者が容易に想到し得る変形又は置換はすべて、本開示の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】