(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】リニアモータモジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 41/02 20060101AFI20240327BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02K41/02 C
H02K41/03 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522510
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2022132549
(87)【国際公開番号】W WO2023179060
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210293281.9
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523131368
【氏名又は名称】亜竜智能装備集団股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】陳 伝周
(72)【発明者】
【氏名】優 瑞
(72)【発明者】
【氏名】王 勇
(72)【発明者】
【氏名】段 鳳娟
(72)【発明者】
【氏名】陳 凱
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB14
5H641GG03
5H641GG04
5H641HH02
5H641JA07
5H641JA09
(57)【要約】
本発明は、リニアモータモジュールを開示し、リニアモータモジュールは、取付台座と、取付台座に設けられた磁石取付座と、磁石取付座に設けられ、かつ配列構造の永久磁石アセンブリにより構成された固定子と、取付座に設けられたリニアガイドレールと、リニアガイドレールに取り付けられたスライダと、スライダに設けられた移動プレートと、移動プレートに設けられ、かつ固定子に対向して設けられたインダクタと、を含み、磁石取付座は、3つの取付面を有し、固定子は、3つ設けられ、かつそれぞれ3つの取付面に位置し、インダクタは、3つ設けられ、かつ3つの固定子と一対一に対応して設けられ、隣接する2つの固定子の間の夾角は、60度である。本発明のリニアモータモジュールは、構造設計が合理的であり、隣接する2つの固定子の間の夾角を60度にすることにより、各面からの、固定子とインダクタとの間の法線方向の吸引力が互いに補償され、法線方向の吸引力のベクトル和がゼロに近づくため、生成された法線方向の吸引力及びリニアガイドレールへの負荷及び摩擦損失が顕著に低下する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付台座と、取付台座に設けられた磁石取付座と、磁石取付座に設けられ、かつ配列構造の永久磁石アセンブリにより構成された固定子と、取付座に設けられたリニアガイドレールと、リニアガイドレールに取り付けられたスライダと、スライダに設けられた移動プレートと、移動プレートに設けられ、かつ固定子に対向して設けられたインダクタと、を含むリニアモータモジュールであって、
磁石取付座は、3つの取付面を有し、固定子は、3つ設けられ、かつそれぞれ3つの取付面に位置し、インダクタは、3つ設けられ、かつ3つの固定子と一対一に対応して設けられ、隣接する2つの固定子の間の夾角は、60度である、
ことを特徴とするリニアモータモジュール。
【請求項2】
磁石取付座は、逆台形状又は逆三角形状又はU字状に設けられ、取付台座に磁石取付座に接続された支持台が設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータモジュール。
【請求項3】
磁石取付座は、内部が中空であるように設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載のリニアモータモジュール。
【請求項4】
インダクタは、鉄芯と、m相の同心巻線と、を含み、mは、2以上の整数である、
ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータモジュール。
【請求項5】
インダクタは、鉄芯と、m相の同心巻線と、を含み、mは、2以上の整数である、
ことを特徴とする請求項2に記載のリニアモータモジュール。
【請求項6】
インダクタは、鉄芯と、m相の同心巻線と、を含み、mは、2以上の整数である、
ことを特徴とする請求項3に記載のリニアモータモジュール。
【請求項7】
移動プレートにエンコーダが設けられ、取付座にエンコーダに対向して設けられた磁気スケールが設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のリニアモータモジュール。
【請求項8】
移動プレートに支持カバープレートが設けられ、移動プレートと支持カバープレートとの間に収容空間が形成され、収容空間内に保護カバープレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載のリニアモータモジュール。
【請求項9】
配列構造の永久磁石アセンブリは、複数のセグメントプレートにより構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモジュールの技術分野に関し、より具体的には、リニアモータモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
オートメーション業界では、多くのリニアモジュールがあることが知られている。従来のリニアモジュールは、回転モータ、ガイドレール、ボールネジ及びナットカップリング又はナットホルダにより構成される。その動作原理は、ボールネジ及びナットカップリングによりモータの回転運動を移動プラットフォームの直線運動に変換し、モータがボールネジを回転させるとき、ナットホルダがネジにスライドし、ガイドレールに沿って直線運動することである。従来のリニアモジュールは、インテリジェント製造、産業用ロボット、精密工作機械、機械産業、インテリジェントオートメーション、バイオテクノロジーなどのインテリジェント製造分野に広く適用されており、優れた性能を有するが、精度が相対的に低く、ボールネジが高価で、加工難度が大きく、ボールネジの長さを制限するとともに、高速運転に困難をもたらすという欠点もある。
【0003】
リニアモータで直接駆動すれば、減速機、スクリュー、ベルト、ラックアンドピニオンなどの伝動チェーンの中間部分を省略し、システムの伝動精度及び応答速度を向上させる。リニアモータと一体化されたリニアモジュールは、リニアモータモジュールと呼ばれる。現在、オートメーション業界では、多数のリニアモータモジュールが使用されている。従来のリニアモータモジュールは、永久磁石配列固定子と、移動器に取り付けられ、ガイドレールに沿ってスライドするリニアインダクタと、を含む。その動作原理は、リニアモータインダクタの磁界が固定子の永久磁石と相互作用し、リニアモータインダクタの直線運動を実現し、かつ直接駆動することにより移動プラットフォームをガイドレールに沿ってスライドさせるため、伝動する必要がないことである。産業機器へのリニアモータの適用は、主に工作機械の利便性が際立つ。近年、数値制御工作機械でのリニアモータの適用は、国際的に特に人気が高まっている。その原因は、従来の工作機械がスクリューにより駆動され、スクリュー自体が駆動源であるためであるが、長さの制限、機械的隙間、摩擦後の精度などの欠点がある。リニアモータは、超高精度を実現でき、速度がスクリューの10倍以上である。しかしながら、依然としていくつかの明らかな欠点がある。例えば、精度が高いため、永久磁石を鋼製取付板に取り付けにくく、かつ法線方向の吸引力が高いため、リニア軸受の耐用年数を低下させ、信頼度変化が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、装置全体の運動精度に影響を与えることなく、法線方向の吸引力を減少させ、リニアモータモジュールの重量を軽減し、信頼度変化を小さくし、高い牽引力を得ることができるリニアモータモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
リニアモータモジュールは、取付台座と、取付台座に設けられた磁石取付座と、磁石取付座に設けられ、かつ配列構造の永久磁石アセンブリにより構成された固定子と、取付座に設けられたリニアガイドレールと、リニアガイドレールに取り付けられたスライダと、スライダに設けられた移動プレートと、移動プレートに設けられ、かつ固定子に対向して設けられたインダクタと、を含み、磁石取付座は、3つの取付面を有し、固定子は、3つ設けられ、かつそれぞれ3つの取付面に位置し、インダクタは、3つ設けられ、かつ3つの固定子と一対一に対応して設けられ、隣接する2つの固定子の間の夾角は、60度である。
【0007】
好ましくは、磁石取付座は、逆台形状又は逆三角形状又はU字状に設けられ、取付台座に磁石取付座に接続された支持台が設けられる。
【0008】
好ましくは、磁石取付座は、内部が中空であるように設けられる。
【0009】
好ましくは、インダクタは、鉄芯と、m相の同心巻線と、を含み、mは、2以上の整数である。
【0010】
好ましくは、移動プレートにエンコーダが設けられ、取付座にエンコーダに対向して設けられた磁気スケールが設けられる。
【0011】
好ましくは、移動プレートに支持カバープレートが設けられ、移動プレートと支持カバープレートとの間に収容空間が形成され、収容空間内に保護カバープレートが設けられる。
【0012】
好ましくは、配列構造の永久磁石アセンブリは、複数のセグメントプレートにより構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0014】
本発明のリニアモータモジュールは、構造設計が合理的であり、隣接する2つの固定子の間の夾角を60度にすることにより、各面からの、固定子とインダクタとの間の法線方向の吸引力が互いに補償され、法線方向の吸引力のベクトル和がゼロに近づくため、生成された法線方向の吸引力及びリニアガイドレールへの負荷及び摩擦損失が顕著に低下する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の具体的な実施例の概略構造
図1である。
【
図2】本発明の具体的な実施例の概略構造
図2である。
【
図3】本発明の1つの具体的な実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全的に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行わない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0017】
図1~4に示すように、リニアモータモジュールは、取付台座1と、取付台座1に設けられた磁石取付座2と、磁石取付座2に設けられ、かつ配列構造の永久磁石アセンブリにより構成された固定子3と、取付座に設けられたリニアガイドレール11と、リニアガイドレール11に取り付けられたスライダ12と、スライダ12に設けられた移動プレート4と、移動プレート4に設けられ、かつ固定子3に対向して設けられたインダクタ5と、を含み、磁石取付座2は、3つの取付面を有し、固定子3は、3つ設けられ、かつそれぞれ3つの取付面に位置し、インダクタ5は、3つ設けられ、かつ3つの固定子3と一対一に対応して設けられ、隣接する2つの固定子3の間の夾角は、60度であり、インダクタ5は、鉄芯と、m相の同心巻線と、を含み、mは、2以上の整数であり、磁石取付座2は、逆台形状又は逆三角形状又はU字状に設けられ、取付台座1に磁石取付座2に接続された支持台13が設けられる。
【0018】
上記技術的解決手段を用いることにより、隣接する2つの固定子3の間の夾角が60度であり、1つの具体的な実施例として、即ち磁石取付座2の3つの取付面の間の夾角が60度であり、かつ各面におけるインダクタ5は、いずれも固定子3に対応して設けられる。このようにして、各面からの、固定子3とインダクタ5との間の法線方向の吸引力が互いに補償され、法線方向の吸引力のベクトル和がゼロに近づくため、生成された法線方向の吸引力及びリニアガイドレール11への負荷及び摩擦損失が顕著に低下する。3つの面の法線方向の吸引力は、インダクタ5が固定子3に向かう力であり、力の概略図から分かるように、3つの面の法線方向の吸引力の2つずつの間の夾角は、120度であるため、3つの面の法線方向の吸引力は、互いに相殺することができ、力の概略図は力を分析するために一般的に使用されている方法であり、ここでは説明を省略する。また、磁石取付座2がU字状の設置を用いる場合、3つの取付面は、それぞれ2つの側面及びU字状の底面である。
【0019】
改良された具体的な実施形態として、磁石取付座2は、内部が中空であるように設けられ、配列構造の永久磁石アセンブリは、複数のセグメントプレートにより構成される。
【0020】
上記技術的解決手段を用いることにより、磁石取付座2を中空に設けて、その重量を軽減し、かつ磁石取付座2が十分な側面厚さを有することにより、配列構造の永久磁石アセンブリに接続された磁束の鋼飽和を回避する。
【0021】
改良された具体的な実施形態として、移動プレート4にエンコーダが設けられ、取付座にエンコーダに対向して設けられた磁気スケール14が設けられる。
【0022】
上記技術的解決手段を用いることにより、このように設けて、エンコーダが移動プレート4に伴って移動するとき、磁気スケール14と協働してスライダ12の位置を読み取ることができる。
【0023】
改良された具体的な実施形態として、移動プレート4に支持カバープレート6が設けられ、移動プレート4と支持カバープレート6との間に収容空間が形成され、収容空間内に保護カバープレート7が設けられる。
【0024】
上記技術的解決手段を用いることにより、保護カバープレート7の設置によって、配列構造の永久磁石アセンブリ、即ち固定子3を塵埃の影響から効果的に保護し、一定の保護の役割を果たすことができる。
【0025】
以上の内容は、本発明の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば本発明に開示された技術的範囲内で、本発明の技術的解決手段及びその発明思想に基づいて行われる同等置換又は変更は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0026】
1 取付台座
11 リニアガイドレール
12 スライダ
13 支持台
14 磁気スケール
2 磁石取付座
3 固定子
4 移動プレート
5 インダクタ
6 支持カバープレート
7 保護カバープレート
【国際調査報告】