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特表2024-514736多面フィルタを備える高効率UV-C電球
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】多面フィルタを備える高効率UV-C電球
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240327BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61L2/10
H01J65/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545775
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021047210
(87)【国際公開番号】W WO2022164482
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/160,230
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523066211
【氏名又は名称】ルーメンラブズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,ケビン・シー
(72)【発明者】
【氏名】シー,ミン
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK28
(57)【要約】
エキシマ電球と、少なくとも2つのフィルタと、を有する遠UV-Cエキシマ電球組立体。エキシマ電球が少なくとも2つの波長の光の経路を放射する。少なくとも2つのフィルタが、ヒト組織にとって有害である光のすべての波長を除去する。少なくとも2つのフィルタの各々が、エキシマ電球によって生成される光の経路に対して垂直に配置され得る。少なくとも2つのフィルタが単一の湾曲したフィルタまたは円筒形フィルタであってもよい。組立体が、同様に湾曲していてもよい鏡をさらに有することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠UV-Cを実質的に含む複数の波長で光のビームを生成するエキシマ電球と、
少なくとも2つのフィルタであって、前記少なくとも2つのフィルタが前記エキシマ電球の外部にあって分離しており、前記少なくとも2つのフィルタがヒト組織にとって有害である光の波長のすべてを除去する、少なくとも2つのフィルタと、
を備え、
前記少なくとも2つのフィルタの各々が、前記少なくとも2つのフィルタに当たる前記エキシマ電球によって生成される光のビームの経路に対して垂直に方向付けられ、それにより、遠UV-C光のビームが前記少なくとも2つのフィルタの各々を通過する、遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項2】
前記少なくとも2つのフィルタが3つのフィルタである、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項3】
前記少なくとも2つのフィルタが4つのフィルタである、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項4】
前記エキシマ電球の外部にある鏡をさらに有する、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項5】
前記鏡が湾曲している、請求項4に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項6】
前記エキシマ電球が外部表面を有し、前記鏡が前記エキシマ電球の前記外部表面にめっきされる、請求項4に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項7】
遠UV-C波長の光を放射するエキシマ電球と、
前記エキシマ電球の外部にあって分離している湾曲フィルタであって、選択された遠UV-C波長の光が前記湾曲フィルタを通過し、前記湾曲フィルタがヒト組織にとって有害である光の波長のすべてを除去する、湾曲フィルタと、
を備え、
前記湾曲フィルタが、前記選択した遠UV-C波長の光が前記湾曲フィルタを垂直に通過することになるように、前記エキシマ電球を基準として配置される、遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項8】
前記湾曲フィルタが、前記エキシマ電球を囲む円筒形である、請求項7に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項9】
前記湾曲フィルタが半円筒形である、請求項7に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項10】
前記エキシマ電球の外部にある鏡をさらに有する、請求項9に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項11】
前記鏡が湾曲している、請求項10に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項12】
前記エキシマ電球が外部表面を有し、前記鏡が前記エキシマ電球の前記外部表面にめっきされる、請求項10に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項13】
前記少なくとも2つのフィルタの各々を通過する遠UV-C光の前記ビームの前記波長が234nmより短い、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項14】
前記少なくとも2つのフィルタの各々を通過する遠UV-C光の前記ビームが結合する、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項15】
前記少なくとも2つのフィルタが、前記少なくとも2つのフィルタに当たる角度のずれた光のビームを最小にするのに十分な距離で、クリプトン-塩化物エキシマ電球から分離している、請求項1に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【請求項16】
前記湾曲フィルタを垂直に通過する前記選択された遠UV-C波長の光が、234nmより短い、請求項7に記載の遠UV-Cエキシマ電球組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明のシステムは、具体的にはC帯域の波長(UV-C)の紫外線光殺菌の分野にある。このような殺菌は、現在、病院の手術室、火傷病棟、および高度の殺菌を必要とする同様の領域で使用される。これらの既存の使用との主要な違いは、本発明のシステムが人および生体組織の存在下で安全に使用されることである。
【背景技術】
【0002】
[0002]UV-Cは微小病原菌を殺すのに最も効果的な波長のうちの1つであると認識される。最近になってようやく、この帯域内の波長のうちの一部の波長が病原菌を殺すのに十分な長さであり、また、角質層(壊死した皮膚層)を貫通して、下にある生体細胞に害を与えることができないほど短いことが発見された。生体細胞は、殺すことが望まれる小さい病原菌より何倍も大きい。UV-Cは100nmから280nmであり、ヒトの組織に対する曝露において安全であると一般にみなされる波長は200nmから230nmである。UV-Cは、特に200nm未満の波長で、望ましくないオゾンを生成する。
【0003】
[0003]複数の研究により、現在人間に対して提唱されるような200nmから230nmの遠UV-C(Far UV-C)の量の20倍を超える量を、無毛マウスが悪影響なしで、1日8時間受けることができることが示されている。これらの研究は日本の大学および米国のコロンビア大学で実施されている。これらの研究は最大60週間まで延ばされ、それでも悪影響はない。最近、99.9%の病原菌を殺すのに必要である曝露の250倍で日本のヒトに対しても試験が行われた。被験者は、悪影響、日焼けをまったく示さなかった。
【0004】
[0004]殺菌波長のUV光を生成することができる複数のテクノロジが存在する。ガス放電ランプは長い歴史をもち、使用されるガスによっては、病原菌を殺すことができる。低圧水銀は254nmを生成し、数十年にわたって標準となっている。低圧水銀は、基本的に、UV光を可視光に変換する蛍光体を内部に有さない蛍光である。LEDはUV-AスペクトルおよびUV-Bスペクトルが最近商業化されているが、LEDは非常に非効率である。UV-Cスペクトルのより長い波長もいくつか存在する。日本の研究プロジェクトが、最近、UV-Cスペクトルのより安全なパートである200nm前半のLEDを作ったが、これは非常に非効率であり、すぐに商業化できるほどには実用的ではない。
【0005】
[0005]複数の会社が、ウシオ社(Ushio)の12WのCare222および他にはイーデン・パーク社(Eden Park)のフラット型エキシマランプ(Flat Excimer Lamps)などの、222nmを発光する遠UV-Cエキシマ器具(遠UV-C excimer fixture)を作っている。ウシオ社の器具は、電球によって生成されるすべての望ましくないスペクトルを遮断する、電球から分離した平坦なフェイスプレートフィルタを有する(このスペクトルは約237nmを超えるすべての波長である)。イーデン・パーク社のデバイスは現時点では取り付けられるフィルタを有さず、したがって、230nmから少なくとも380nmの危険な波長においてそのエネルギーの25%を放射する。
【0006】
[0006]これらのフィルタが定位置にない場合、これらの光が生体組織にとって安全ではないスペクトルを放射することになる。保守管理の作業者が電球を交換しようとする場合、作業者は有害な光に曝されることになる。ガラスフィルタが破損しているかまたはその品質が劣化している場合、使用者が危険な状況に置かれることになる。
【0007】
[0007]最後に、使用される材料も重要である。遠UV-Cはプラスチックおよび多くのガラスを貫通することができず、大きな損失なしでまたはダウンライト(下方照明)の不具合なしで遠UV-C光を放射するのに石英ガラスのみが使用され得る。空気中の酸素および水分でも、非常に遠くから空気中を伝えられる場合の遠UV-Cを吸収するかまたは遮断する。これらのフィルタに関する1つの追加の科学的詳細は、これらのフィルタがフィルタ平面に対してほぼ垂直である被フィルタリング(filtered)光のみを許容することである。光がフィルタに対して垂直方向からより遠くなると、減衰が増大する。垂直方向から35度では通過する光の5%未満がフィルタリングされ、これは、これらの平坦なフィルタが被フィルタリング光の細いビームしか形成することができないことを意味する。
【0008】
[0008]そのエリアの一部分を過度に曝露することなくまたは他にはヒトに害を与えることなく遠UV-Cを用いて大きいエリアを殺菌するためには、非常に効率的な広角フィルタおよび器具が必要となる。広角フィルタおよび器具は非効率的な細いビームを用いる器具とは異なり、殺菌する光を一様に分散させるのを可能にすることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]いかなる状況下においても存在する人に害を与えることなく病原菌を殺すことに上手く対処する広角UV殺菌光が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]本発明のデバイスは、連続的な公共の場所で使用され得るヒューマンセーフUV-C殺菌電球を提供する。本電球は非常に広範囲の分散パターンを有し、既存の遠UV-C器具より効率的となる。本電球はあらゆる状況において安全であり、効率的であり、手頃に利用可能であり、それ自体を監視することができ、状態を通知することができる。
【0011】
[0011]コロンビア大学の研究が、200nm~230nmに合うように調整された通過フィルタが病原菌を殺し、ヒトを傷つけないということを示しているが、本発明のデバイスは、234nmより長い波長のすべてのスペクトルを遮断する統合帯域通過フィルタと共に任意のマルチスペクトル遠UV-C光源を使用する。フィルタリングのこの小さい変化が、200~230nmのバージョンの場合よりも使用可能な放射光を2.5倍にし、230~234nmの範囲の放射物はほぼ存在しない。ウシオ社(Ushio)は237nmからのフィルタリングを行う製品を有するが、これは非常に有害である放射線を通過させるのを許容するというリスクを有する。理想的には、フィルタ材料が、石英ガラスで作られた電球の外被の上に直接に付着される。これは、装着中または保守管理中の取り扱い時でもすべての有害な光を遮断する。フィルタ材料は、理想的には、約0.0001の深さでカットオフフィルタ234~400nmを構成するように2~3μmで堆積する非常に純粋な酸化ハフニウムである。この本発明の電球は1つの多面フィルタではなく複数のフィルタを有する。
【0012】
[0012]遠UV-C電球はすべての方向に光を放射するが、電球が電球の後方側から外へと移動する光の大部分を反射するための鏡を有する場合であっても、この光の大部分は200nm~230nmのフィルタを通るときに吸収される。鏡による損失(mirror loss)およびほぼ垂直である角度から外れる光は、生成された光のごく一部のみしかフィルタを通して放射されないことを定める。本発明のデバイスは複数のフィルタを使用し、各フィルタが、電球から一定の距離で、電球から出現する光の方向に対して垂直となるように配置される。より多くのフィルタが使用されると、および、フィルタと電球との間の距離が大きくなると、システムの全体効率が向上し、フィルタから出力される光がより一様になる。フィルタの数が無限個に増えると、円筒形形状を形成しているように見える。円筒形は電球を中心に置く理想的なフィルタ形状であり、放射されるすべての光が所与の位置においてフィルタに対して垂直となる。このスキームは単一の平坦なフィルタより何倍も効率的となる。
【0013】
[0013]本発明のデバイスのフィルタは電球の石英外被の上に直接に製造され得る。これが、電球を替えることおよび電球を保守管理することを含めてあらゆる状態において使用者をUV被爆から保護する。
【0014】
[0014]すべての用途が本発明のデバイスの全方向の光を必要とするわけではなく、光を180度未満で放射することが有利となる可能性もある。本発明のデバイスは、後方側に反射器を有して前方側に弓形状のフィルタを有する電球を有することもでき、ここでは、弧面が常に、電球から出現する光の角度に対して垂直である。
【0015】
[0015]本発明の安全電球は、照明器具から通常の可視光が出現するような環境で使用されるが、本発明の電球は単一の器具内にある従来の光源と組み合わされ得る。器具のUV-C部分から放射される不都合な可視色がいくらかでも存在する場合、可視光のスペクトルが、器具から出現する色の混合または色の平均を正規化するように変更および混合され得る。この種類の器具は、理想的には、「金属製容器」であり、この種類の器具は天井内の円形孔の中に装着される。
【0016】
[0016]本発明の安全遠UV-Cシステムは典型的な照明(ライト)バルブとしてパッケージ化され得る。電流安定器または電源が基部内に嵌め込まれ得、電球が、LEDまたはコンパクトな蛍光電球のように全方向に照明することができ、従来の照明器も含むことができる。
【0017】
[0017]上記は本明細書で開示される本発明のより重要な特徴を大まかに概説するものであり、その結果として、以下の詳細な説明がより明瞭に理解され得るようになり、また、当技術分野に対しての本発明者の貢献がより良好に認識され得るようになる。本発明は、その用途において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示される構成の細部または構成要素の配置構成のみに限定されない。むしろ、本発明は他の実施形態も可能であり、本明細書で具体的に列挙されない種々の他の手法で実施および実行され得る。加えて、以下の開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれ得るようなすべての代替形態、修正形態、および均等物に適用されることを意図される。さらに、本明細書で採用される用語および専門用語は説明を目的としており、本明細書により具体的に本発明を限定することがない限り、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018]単一フィルタ電球(従来技術)を示す単純化された図である。
図2】[0019]反射器を備える単一フィルタ電球を示す単純化された図である。
図3】[0020]2つのフィルタを備える本発明のデバイスを示す側面図である。
図4】[0021]3つのフィルタを備える本発明のデバイスを示す側面図である。
図5】[0022]4つのフィルタを備える本発明のデバイスを示す側面図である。
図6】[0023]円筒形フィルタを備える本発明のデバイスを示す側面図である。
図7】[0024]弓形フィルタを備える本発明のデバイスを示す側面図である。
図8】[0025]球形フィルタを備える本発明のデバイスを示す図である。
図9】[0026]リアクタ(reactor)内で作製されている円筒形フィルタを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0028]添付図面に示されて以下の説明で詳説される非限定の実施形態を参照しながら、本明細書の実施形態ならびに多様な特徴およびその有利な細部がより完全に説明される。本明細書の実施形態を不必要に不明瞭しないようにするために、よく知られている構成要素およびプロセスならびに製造技術の説明は省略される。本明細書で使用される実施例は、単に、本明細書の発明を実施することができる手法の理解を促進すること、およびさらには、本明細書の実施形態を当業者が実施するのを可能にすること、を意図される。したがって、実施例は、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0020】
[0029]本発明を詳細に説明する前に、本発明が、その用途において、本明細書に示される構成および本明細書で説明されるステップの細部のみに限定されないことを理解することが重要である。本発明は他の実施形態も可能であり、種々の手法で実施または実行され得る。本明細書で採用される用語および専門用語は説明を目的としており、限定することを目的としないということが理解されよう。
【0021】
[0030]ここで、複数の図を通じて同様の参照符号により同じ部分を示している図面を参照すると、図1に、(現存技術の)フィルタリングされる遠UV-C電球とフィルタとの組み合わせ100の典型的な図が示される。電球の外被102が、励磁されるとすべての方向にUV-C光を生成するエキシマガス104を収容する。示される電球102は曲面状であって円筒形であるが、多くの異なる一般的な形状も存在し、いくつか例を挙げると、いくつかの電球は、2つの平行な側面(前面および後面)および2つの曲面状の側面を有するように平坦化されたチューブあり、いくつかの電球は、長方形断面を有するチューブである。フィルタ106に対してほぼ垂直な線として生成された光110が電球102からフィルタ106を通過し、狭いビーム角(ピークの50%)を形成し、フィールド角108(ピークの10%)が70度未満である。フィルタ106に対しての垂直方向から35度より大きい生成された有効光(useful light)は活用されない。その理由は、フィルタ106がそのすべてを吸収するからである。被フィルタリング遠UV-C光を生成するこの方法は非常に非効率的である。
【0022】
[0031]図2は、後方側の鏡202を備える、被フィルタリング遠UV-C電球およびフィルタの図を示す。この被フィルタリング遠UV-Cは、図1に示されるものよりほぼ70%高く効率的である安全な遠UV-C光を生成する方法である。鏡202は、元の垂直方向の光304に加えて、後方側から出現する電球102によって生成された光206のための有用な経路を追加し、電球102を通るようにはね返し、前方から外に出す。鏡202には約10%の損失が存在し、さらに、各壁において電球の石英外被の各層を介しての約10%の損失が存在し、合計で30%の損失が存在する。鏡202は効率的なものとなるように空間的に処理されたアルミニウムであり、大部分の鏡または鏡面がUV-Cの大部分を吸収する。
【0023】
[0032]図3は、2つのフィルタを使用する多面フィルタ300を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの側断面図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、電球の放射される光312、314の角度に対して垂直となるように各々が角度を付けられた2つのフィルタ302、304が存在することである。各フィルタ302、304を通るように放射された光が別個にビームを有し、フィールド306、308が、図1図2の上の単一フィルタの実施例で見られるものと同様に角度を付けられる。フィルタが理想的には不透明エポキシ310を使用して一体に接続され、それによりフィルタを機械的に接続し、フィルタの間での光漏れを阻止する。この本発明のデバイスは、理想的には、上の実施例に70%追加するために、電球102の後方側に湾曲鏡316を有する。鏡316は別個の部品として示されるが、効率を上げるためにおよびコストを低減するために電球の外被102にめっきされてもよい。2つのフィルタ302、304の各々が、別個に、図1図2の上の単一フィルタの実施例と同じルーメン出力を有することになり、その結果、このジオメトリは単一フィルタのバージョンの2倍の合計の遠UV-C出力を有することになる。ビーム角およびフィールド角が2倍になると、従来と同じ電力および電球を使用して供給される遠UV-Cの合計出力が2倍になる。
【0024】
[0033]図4は、3つのフィルタを使用する多面フィルタ400を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの側断面図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、電球の放射される光408、410、412の角度に対して垂直となるように各々が角度を付けられた3つのフィルタ414、416、418が存在することである。各フィルタ414、416、418を通るように放射された光が別個にビームを有し、フィールド402、404、406が、図1図2の上の単一フィルタの実施例で見られるものと同様に角度を付けられる。フィルタが理想的には不透明エポキシ310を使用して一体に接続され、それによりフィルタを機械的に接続し、フィルタの間での光漏れを阻止する。この本発明のデバイスは、理想的には、上の実施例に70%追加するために、電球102の後方側に湾曲鏡316を有する。鏡316は別個の部品として示されるが、効率を上げるためにおよびコストを低減するために電球の外被102にめっきされてもよい。3つのフィルタ414、416、418の各々が、別個に、図1図2の上の単一フィルタの実施例と同じ遠UV-C出力を有することになり、その結果、このジオメトリは単一フィルタのバージョンの3倍の合計の遠UV-C出力を有することになる。ビーム角およびフィールド角が3倍になると、従来と同じ電力および電球を使用して供給される合計のルーメンが3倍になる。
【0025】
[0034]図5は、4つのフィルタを使用する多面フィルタ500を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの側断面図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、電球の放射される光518、520、522、524の角度に対して垂直となるように各々が角度を付けられた4つのフィルタ502、504、506、508が存在することである。各フィルタ502、504、506、508を通るように放射された光が別個にビームを有し、フィールド510、512、514、516が、図1図2の上の単一フィルタの実施例で見られるものと同様に角度を付けられる。フィルタが理想的には不透明エポキシ310を使用して一体に接続され、それによりフィルタを機械的に接続し、フィルタの間での光漏れを阻止する。この本発明のデバイスは、理想的には、上の実施例に70%追加するために、電球102の後方側に湾曲鏡316を有する。鏡316は別個の部品として示されるが、効率を上げるためにおよびコストを低減するために電球の外被102にめっきされてもよい。4つのフィルタ502、504、506、508の各々が、別個に、図1図2の上の単一フィルタの実施例と同じ遠UV-C出力を有することになり、その結果、このジオメトリは単一フィルタのバージョンの4倍の合計の遠UV-C出力を有することになる。ビーム角およびフィールド角が4倍になると、従来と同じ電力および電球を使用して供給される遠UV-C出力が4倍になる。さらに重要なことには、ビーム510、512、514、516が互いに重なり始め、結果として一体に融合する。これが、細いビームの単一フィルタ器具からの光の性質を、広範囲のビーム、および、非常に効率的である光の比較的一様であるビーム、へと根本的に変化させる。
【0026】
[0035]図6は、1つの円筒形フィルタを使用する多面フィルタ600を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの側断面図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、円筒形フィルタ602がエポキシ接合部を用いない無限個の平坦なフィルタとして機能し、光604、606、608が電球102のコア104から放射され、いずれの角度も常に円筒形フィルタ602を垂直に通過することになる。フィルタ602に対して正確に垂直ではないために遮断される生成される光が実質的にはないため、光学的に密閉しなければならない円筒形の端部を除いて損失が存在しない。この本発明のデバイスは、同じ電力を使用して、単一平坦フィルタ器具の少なくとも10倍の遠UV-Cを提供することができる。理想的には、フィルタ602は、最大限のコスト節約のために、電球の外側表面102に直接にめっきされ得る。
【0027】
[0036]図7は、半円筒形フィルタを使用する多面フィルタ700を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの側断面図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、半円筒形フィルタ702がエポキシ接合部を用いない無限個の平坦なフィルタとして機能し、光704、706が電球102のコア104から放射され、いずれの角度も常に半円筒形フィルタ702を垂直に通過することになる。本発明の電球およびフィルタの組み合わせ700はさらに、光出力をさらに約70%上げるという鏡316の利益を有する。この鏡316は電球102の後方側で湾曲して半円筒形状になっている。理想的には、鏡316が電球102の後方側にめっきされる。理想的には、フィルタ702が電球102の前方側にめっきされ得る。フィルタ702に対して正確に垂直ではないために遮断される生成される光が実質的にはないため、光学的に密閉しなければならない半円筒形フィルタの端部を除いて損失が存在しない。
【0028】
[0037]図8は、球形フィルタを使用する多面フィルタ700を備える遠UV-C電球である本発明のデバイスの図を示す。電球の外被102は図1および図2の既に示された実施例と同じである。大きな違いは、球形フィルタ802が、最も効率的な遠UV-C電球およびフィルタの組み合わせのために、すべての三次元方向において無限個の平坦なフィルタとして機能することである。フィルタの面に対してほぼ垂直である角度で光が生成されることになる。電球102のための入口ポイント804でのみ損失が起こる。
【0029】
[0038]図9は、フィルタ製造リアクタおよび円筒形フィルタ900の単純化された断面図を示す。リアクタ900の蓋902が、エアシール916および電動レイジースーザン(motorized lazy-Susan)のようなフィルタ912のための回転作業プラットフォーム918を支持する。リアクタ900の下側シェル904がハフニウムワイヤ906をイオン化するガン908を保持し、ハフニウムワイヤ906が低速で供給されて、フィルタ基板を含めたすべてのものに付着する擬似プラズマ状態910でチャンバの内部を曇らせ、フィルタ基板において冷却される。この事例では石英シリンダ912である基板にフィルタをめっきするとき、ハフニウム906が供給されるときの時間および量により特定の層の厚さが決定される。この厚さが、層が遮断することができるかまたは通過させることができる光の波長を決定する。機械的手段により長軸を中心として既知の速度でガラスシリンダ912を非常に低速で回転させることが、層厚さの式の追加の変数となる。回転914は、シリンダ912の全体にわたって、比較的一様であるハフニウム910の層を可能にする。シリンダ912は電球102であってもよく、ここでは、電球102の外側表面にハフニウム910がめっきされ、さらにフィルタ912となる。理想的な遠UV-Cフィルタでは約100個の層が必要である。簡潔さのため、上記の説明は、電圧、温度、真空、ガス、時間、圧力、または、フィルタリアクタを適切に動作させるために必要である監視設備に言及しないが、これらの要素は当業者にはよく知られている。関連性のある、独自の発明性のある要素のみを考察してきた。
【0030】
[0039]「含む(including)」、「備える(comprising)」、「からなる(consisting)」という用語およびこれらの文法的変化形が、1つまたは複数の、構成要素、特徴、ステップ、または完全体、あるいはそのグループの追加を排除しないこと、ならびに、これらの用語が、構成要素、特徴、ステップ、または完全体を明示するものとして解釈されることが理解されよう。
【0031】
[0040]本明細書または特許請求の範囲が「追加の」構成要素に言及する場合、これは追加の要素が2つ以上存在することを排除しない。
【0032】
[0041]特許請求の範囲または明細書が「a(element)」または「an(element)」に言及する場合、このような言及はこの要素が1つのみ存在するというものとして解釈されないということが理解されよう。
【0033】
[0042]明細書が、構成要素(component),特徴(feature),構造(structure),または、性質(characteristic)が、含まれ「てもよい(may)」,「るかもしれない(might)」,「ることができる(can)」,または「るであろう(could)」と記述する場合、この特定の構成要素、特徴、構造、または性質が含まれることが必要であるわけではないということが理解されよう。
【0034】
[0043]実施形態を説明するのに適用可能である場合に状態図、流れ図、またはその両方が使用され得るが、本発明はこれらの図および対応する記述のみに限定されない。例えば、流れは各々の示されるボックスまたは状態を介して移る必要はなく、また、示されて説明される順序と厳密に同じ順序で移る必要もない。
【0035】
[0044]本発明の方法は、選択されるステップまたはタスクを、手動で、自動で、またはその組み合わせで、実施または完了することによって実装され得る。
【0036】
[0045]「方法」という用語は、限定しないが、本発明の属する技術分野の当業者によって知られている手法、手段、技術、および手順、または、当業者により、既知の手法、手段、技術、および手順から容易に開発される手法、手段、技術、および手順を含む所与のタスクを達成するために、手法、手段、技術、および手順を示すことができる。
【0037】
[0046]数字の前に置かれる「少なくとも」という用語は、本明細書では、その数字で始まる範囲(定義される変化量に応じた上限値を有し、または上限値を有さない範囲であってよい)の始点を示すのに使用され得る。例えば、「少なくとも1」は、1、または2以上を意味する。数字の前に置かれる「最大」という用語は、本明細書では、その数字で終了する範囲(その下限値として1または0を有する範囲であってよいか、あるいは、定義される変化量に応じた下限値を有さない範囲であってよい)の終点を示すのに使用され得る。例えば、「最大4」は、4、または4未満を意味し、「最大40%」は、40%、または40%未満を意味する。近似の用語(例えば、「about」、「substantially」、「approximately」など)は、特に明記しない限り、関連の技術分野で使用されるそれらの通常のおよび通例の意味に従って解釈されるべきである。関連の技術分野において、具体的な定義、ならびに、通常のおよび通例の使用法が存在しない場合、これらの用語は、基準値の±10%であると解釈されるべきである。
【0038】
[0047]本文献で、「(第1の数)から(第2の数)まで」または「(第1の数)~(第2の数)」として範囲が与えられる場合、これは、第1の数である下限値と、第2の数である上限値と、を有する範囲を意味する。例えば、25から100までは、25である下限値と、100である上限値とを有する範囲を意味するものとして解釈されるべきである。加えて、範囲が与えられる場合、特に明記しない限り、この範囲内のすべての可能な部分的範囲または間隔も具体的に意図されることに留意されたい。例えば、本明細書で25から100までの範囲を示す場合、この範囲は、26~100、27~100など、25~99、25~98などの部分的範囲、さらには、記載される範囲内にある下限値と上限値との任意の他の可能な組み合わせ(例えば、33~47、60~97、41~45、28~96など)を含むことも意図される。単に例示を目的として本段落では整数の範囲値が使用されており、特に明記しない限り、デシマル値および小数値(例えば、46.7~91.3)も可能である部分的範囲の端点として意図されると理解すべきであることに留意されたい。
【0039】
[0048]本明細書で2つ以上の所定のステップを含む方法を参照する場合、これらの所定のステップは任意の順序でまたは同時に実行され得(文脈によりその可能性が排除される場合を除く)、この方法は、所定のステップのうちの任意のステップの前に、所定のステップの2つのステップの間に、あるいは、所定のステップのすべてのステップの後で、実行される1つまたは複数の他のステップをさらに含むことができる(文脈によりその可能性が排除される場合を除く)ということに留意されたい。
【0040】
[0049]したがって、本発明は、目的を実行して、上述の目標および利点さらにはそれに含まれる固有の事項を達成するように、良好に適合する。本開示では現在好適である実施形態を説明してきたが、当業者には多数の変更形態および修正形態が明らかになる。このような変更形態および修正形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】