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特表2024-514753平板圧延品の製造方法およびプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】平板圧延品の製造方法およびプラント
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/22 20060101AFI20240327BHJP
   B21B 1/08 20060101ALI20240327BHJP
   B21B 27/02 20060101ALI20240327BHJP
   B21B 37/40 20060101ALI20240327BHJP
   B21B 37/32 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B21B1/22 Z
B21B1/08 Z
B21B27/02 A
B21B37/40 A
B21B37/32 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023554923
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 IT2022050038
(87)【国際公開番号】W WO2022190149
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021000005663
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ベネデッティ ジャンピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ボビグ パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ブルフォーネ マッテオ レミー
【テーマコード(参考)】
4E002
4E016
4E124
【Fターム(参考)】
4E002AA04
4E002AA08
4E002AD01
4E002AD05
4E002BA01
4E002BB13
4E002BB16
4E002BB20
4E002BC10
4E002BD02
4E002BD03
4E002BD06
4E016AA03
4E016CA08
4E016CA09
4E016CA10
4E016DA07
4E016DA08
4E016DA19
4E124AA03
4E124AA07
4E124AA08
4E124DD01
4E124DD05
4E124EE01
4E124EE13
4E124FF01
(57)【要約】
本発明は、多重クラウンの横方向プロフィールを有し、後に長手方向により少ない幅の複数のストリップに分割されるストリップ(S)を得るための平板圧延品を製造するため方法およびプラントに関し、前記方法は、所定の幅を有するストリップ(S)を得るために、粗加工スタンド(14a,14b,14c)およびワークロール(24a,24b)をそれぞれ備える複数の仕上げスタンド(16a,16b,16c,16d,16e)を含む圧延機で行われる圧延ステップを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重ポジティブクラウンの横方向プロフィールを有するストリップ(S)を得るための平板圧延品の製造方法であって、
前記製造方法は、所定の幅を有するストリップ(S)を提供するように、ワークロール(24a,24b)をそれぞれ備える複数の仕上げスタンド(16a,16b,16c,16d,16e)を含む圧延機(12)で行われる圧延ステップを有し、
少なくとも最後の仕上げスタンド(16e)の前記ワークロール(24a,24b)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有し、
前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールにおけるネガティブクラウン(NC)の数は、前記圧延されるストリップ(S)がのちに長手方向に分割される部分の数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とが交互に配置されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ワークロール(24a,24b)は、軸方向移動を有するように構成され、
前記軸方向移動は、前記ストリップ(S)の位置に対する前記ワークロール(24a,24b)のクラウン(NC)の位置、そして前記ストリップ(S)における前記クラウン(PC)の範囲を修正するために行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ネガティブクラウン(NC)および前記ワークロール(24a,24b)における前記正の曲率を有する前記接続セグメント(50)の各幅は、互いに実質的に等しい、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記最後の3つの仕上げスタンド(16a,16b,16c,16d,16e)は、同じ直径および同じプロフィールを有する前記ワークロール(24a,24b)を備え、
多重ネガティブクラウンを有する前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールは、前記最後の3つの仕上げスタンドに適用される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ワークロール(24a,24b)の成形プロフィールの曲線の方程式は以下の通りである:
【数1】
ここで、D(y)は、上部ワークロールの直径であり、D(y)は、下部ワークロールの直径であり、Dは、ワークロールの公称径であり、αは、前記ワークロール間のギャップの曲線の修正可能な形状の角度であり、bは、ワークロールのバレル長であり、Cは、正弦曲線の振幅であり、δは、前記ワークロールの成形された曲線の一次変位の値であり、δは、第一位置からの相対移動の値であり、aは、第一係数であり、aは、第二係数であり、
前記パラメータαおよびCを決めることにより、前記ストリップ(S)が分割される部分の数に関連する前記多重クラウンプロフィールが決定される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ワークロール(24a,24b)のメカニカルクラウンの傾向に追従するように前記サーマルクラウンを制御するために、前記ネガティブクラウン(NC)に対応した最小の冷却強度と、前記正の曲率を有する前記接続セグメント(50)に対応した最大の冷却強度とを有する、前記ワークロール(24a,24b)に対する差異化冷却を提供する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
二重クラウンプロフィールの場合、前記ワークロール(24a,24b)の中心ゾーンの周辺に最小の冷却強度と、前記圧延されたストリップ(S)の2つの半分の中央部分に対応して動作する前記ワークロール(24a,24b)のゾーンで最大の冷却強度とを有する、差異化冷却を提供する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
多重ポジティブクラウンの横方向プロフィールを有するストリップ(S)を得るために、平板圧延品を製造するプラントであって、
前記プラントは、ワークロール(24a,24b)を有する仕上げスタンド(16a~16e)を備える少なくとも一つのユニット(15)を有し、
圧延終了の時に、および次のステップで、長手方向に複数の部分に分割されるストリップ(S)を得るために、前記仕上げユニット(15)の少なくとも最後の仕上げスタンド(16e)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有する前記ワークロール(24a,24b)を有し、
前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールにおけるネガティブクラウン(NC)の数は、前記圧延されるストリップ(S)がのちに長手方向に分割される部分の数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とが交互に配置されることを特徴とするプラント。
【請求項9】
前記仕上げユニット(15)の少なくとも最後の3つのスタンド(16a~16e)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有するワークロール(24a,24b)を備える、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
少なくとも前記ワークロール(24a,24b)は、軸方向移動を有するように構成され、
前記軸方向移動の大きさおよび方向は、前記ストリップ(S)に得られる所望のプロフィールに関連付けられる、請求項8または請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
エンドレスモード、セミアンドレスモード、およびコイルツーコイルのいずれか一つのモードおよび/またはその他のモードで動作するように構成される、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項12】
前記ワークロール(24a,24b)の成形された多重ネガティブクラウンのプロフィールの関数として調整可能な冷却強度を有し、前記ワークロール(24a,24b)を冷却する差異化システム(30)を備える、請求項8から請求項11のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項13】
前記冷却システム(30)は、前記ワークロール(24a,24b)の幅方向に独立し、差異化した冷却ゾーンを画定するように、それぞれ一定のピッチで2列または3列に互いに隣接して配置され、互いに独立したグループごとにフィードパイプに接続されたデリバリノズル(32)を有する冷却ランプ(33)を備え、
前記各パイプ(31)は、対応するノズル(32)の流量を調整する比例弁を備える、請求項12に記載のプラント。
【請求項14】
ストリップ(S)のための圧延プラント(10)の仕上げスタンドのワークロールであって、前記ワークロールは、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有し、
前記ワークロールの前記プロフィールに示されるネガティブクラウン(NC)の数は、製造された前記ストリップ(S)が長手方向に分割される部分の予定数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とは、交互に配置される、ワークロール。
【請求項15】
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する前記接続セグメント(50)との各幅は、互いに実質的に等しい、請求項14に記載のワークロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップのような平板圧延品の製造方法および対応する製造プラントに関する。特に、本発明は、ストリップが後で長手方向の部分に分割される場合であっても、多重クラウンを有する最終的な横方向プロフィールを有し、ストリップのプロフィールおよび平面性に関して最適な幾何学的特徴を有するストリップを得る方法およびプラントに関する。
【0002】
本発明は、あらゆるタイプの鉄系材料または非鉄系材料のストリップを製造するために、熱間および冷間両方の圧延プロセスに適用することができる。
【背景技術】
【0003】
圧延プラントは、通常、第1の粗加工スタンドと第2の仕上げスタンドとに区分されるマルチスタンド圧延機を備えることが知られている。粗加工スタンドと仕上げスタンドとの間に温度回復システムが存在する場合がある。
【0004】
圧延機は、薄いスラブを製造する連続鋳造機、いわゆる「薄スラブ鋳造機」と一列に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0005】
これらのプラントは、実質的に連続的な圧延プロセス、いわゆる「エンドレス」プロセス向けに設計および構成することができ、鋳造製品は、連続鋳造機と直接係合し、連続鋳造機の下流に位置する圧延機内で圧延される。
【0006】
このプロセスは、鋳造スラブを切断して複数のコイルを形成するセミエンドレスタイプ、またはスラブの切断ごとに一度に1つのコイルを製造するコイルツーコイルタイプであってもよい。
【0007】
このタイプのプラントで得られるストリップの幅は、通常、圧延材料の用途に応じて600mmから2500mmまでの範囲内に変化できることが知られている。
【0008】
しかし、市場の要求を満たすために、圧延ロールのバレルよりも狭い幅のコイルを製造するニーズが常にあり、その結果、プラントの生産性の低下をもたらす。
【0009】
たとえば、最大幅2000mmまでのストリップを製造でき、かつ、幅800または1000mmのスラブを鋳造できる圧延プラントでストリップ幅800または1000mmを得たい場合、プラントの生産性は実質的に半分になり、避けるべき欠点である。
【0010】
したがって、例えば特開昭58-68405号公報や特開昭57-175003号公報の例によれば、標準幅、例えば1600mmのストリップを加工し、次にそれを圧延機に沿ってスタンド間スペースで長手方向に切断することにより、例えば、のちに対応するそれぞれのコイルに巻き付ける幅800mmの2つのハーフストリップを得ることが知られている。
【0011】
この解決策は、生産性を維持するという点では効果的であるが、いくつかの欠点がある。一つ目の欠点は、2つのハーフストリップのクラウニング(crowning)またはクラウン(crown)に関するものである。以下では、以降に説明するように、「クラウニング」または「クラウン」という用語を同じ意味で区別なく使用する。
【0012】
熱間圧延プロセスから出た製品の寸法品質は、圧延されたストリップの幅に沿う厚さの分布の制御に焦点を当てている。圧延品の幅方向の厚さの形状をプロフィールと呼ぶ。圧延品のプロフィールを評価するために分析される主なパラメータはクラウンである。クラウンは、圧延品の中心の厚さとエッジの平均厚さとの差を表す。
【0013】
一般に、エッジよりも中央部が厚い圧延品を得ることが好ましい。したがって、図2aに示すように、断面で見ると、中心線に対して対称な凸レンズ形状になることを想定する。
【0014】
可能な変更によると、平面性に欠陥が生じたり、生産サイクルの後続のステップの実行が困難になったりするため、かつ、プロフィールを下流プロセスで変更することができないため、熱間圧延中に正確なプロフィールを生成することは非常に重要である。
【0015】
逆に、圧延品の平面性は理論平面に追随する能力として定義され、そして、非平面性は理論平面と圧延品との差である。
【0016】
圧延中、圧延ロールによってストリップの全幅にわたって所定のクラウンが与えられるが、このように適合させたストリップを後で半分ずつに分割すると、図2bに示すように、各ハーフストリップが対称的なクラウンを有さないことになる。実際、ハーフストリップのプロフィールは、両側のエッジにおいて、異なる厚さを有する台形状(くさび形)である。
【0017】
しかしながら、この非対称のプロフィールは、その後のハーフストリップの処理にはあまり適さないため、下流での処理が不安定になり、ドリフトや巻き取りの困難などが生じる可能性がある。したがって、それぞれ通常のプロフィールを備えた2つの仕上げたハーフストリップを得るために、特開昭58-68405号公報では、追加のスタンドで、カットエッジをテーパ状にすることによってプロフィールの対称性を回復するよう追加の圧延ステップの実行を提案している。
【0018】
さらに、特開昭58-68405号公報では、スタンド間スペースで長手方向の切断を行うことに問題点が存在し、特に薄い厚さを扱う場合、高速度が伴うため、2つのハーフストリップを制御することがさらに問題点が存在する。
【0019】
特開昭58-68405号公報に記載の解決策では、単一の圧延スタンド内で、エッジで生じるヘルツ圧力のみでハーフストリップのプロフィールがほぼ対称に戻されるため、実際には、2つのハーフストリップのクラウンを制御することを許容しない。
【0020】
英国特許出願公開第2114034号明細書は、中央部が狭くなり、かつ、対応する両方の側方部にそれぞれ中央クラウンを有するストリップを得るように、二重中央隆起クラウンを有するワークロールを用いて、熱間圧延され酸洗されたストリップを冷間仕上げおよび/または曲げ伸ばすプロセスを記載している。しかしながら、この形状のワークロールで得られたストリップにおいて、中央狭窄ゾーンの幅が非常に限られており、実質的に対称的な2つのハーフストリップを得るには、剪断手段における極めて精密な位置決めが必要である。
【0021】
特開昭51-094453号公報には、中央の狭窄部と、狭窄部の両側の2つの丸いゾーンとを有するストリップを形成するための圧延方法が記載されている。使用されるワークロールは、実質的に正確な狭窄部を定義できるように、2つの凹部と実質的に尖った中央突出ゾーンとを有する。この場合にも、ストリップを同じ形状の2つの部分に正確に分割するために、剪断手段における精密な位置決めが必要である。
【0022】
したがって、圧延されたストリップをその後、巻く前、巻いている間、あるいは巻いた後でも長手方向に2つのハーフストリップに分割しなければならない場合、従来技術ではクラウンの精密制御に関する解決策はないことを理解できる。
【0023】
上記のような従来の解決策は、所望のクラウン特性および対称性を有する2つのハーフストリップが得られることを保証しないだけでなく、必要に応じてクラウンプロフィールを動的に変更または適応させることさえもできない。
【0024】
これに関連して、近年、平板製品、特に熱間圧延ストリップに対する市場の要件が、冶金品質および寸法品質の両方の点でますます厳しくなっていることに留意すべきである。
【0025】
さらに、プラントメーカーおよび鉄鋼メーカーは、熱間圧延品の機械的特性とその後の加工性を改善しないにしても維持しながら、変換コストを削減することを常に追求している。
【0026】
以下の点は、熱間圧延ストリップの寸法品質の重要性と相関している:
一部の製品の製造において、冷間圧延ストリップを熱間圧延ストリップに段階的に置き換えること。
熱間圧延されたストリップを完成品に変換する製造プロセスの簡素化。
厚さ、プロフィール、平面性の面での幾何学的特性を改善する。実際、幾何学的条件が改善されると、最終製品の品質が向上するだけでなく、下流プロセスの信頼性および自動化も向上する。
【0027】
上記の点は、例えば次のような「極端な」幾何学的特性の要件につながる:
・製品の種類に応じて、ストリップのクラウン目標値は、70μmから10μmまでの範囲内で変化できる。一部の製品(特に薄肉および極薄の厚さ)では、クラウンは、ストリップの公称厚さの1.0~1.2%以内に収まらなければならない。言い換えれば、厚さ1.0mmのストリップに対し、10μmのクラウンが必要である。
・ストリップの厚さおよび幅に応じて、12および30 I-Units未満のストリップの平面性。
・ストリップのエッジ(エッジドロップ)での厚さの低下の減少。
【0028】
したがって、薄肉および極薄厚さの熱間圧延ストリップを供給する生産プロセスにおいて、エンドレスまたはセミエンドレスモード、およびコイルツーコイルモードの両方で、圧延スタンドは、生産ミックス全体において、ストリップのプロフィールおよび平面性を制御する充分な能力を備える必要がある。
【0029】
したがって、成形された形状、すなわち、数学的関数によって記述される輪郭またはプロフィールを有するワークロールを用いて、対向する方向にロールの軸方向シフトを行うことにより、ロールギャップの形状を変更することができる。
【0030】
クラウンに関しては、圧延ロールの加熱が熱間圧延および冷間圧延の両方で直面する基本的な問題の1つであることも考慮しなければならない。圧延されるストリップのワークロールに対する直接接触により、熱流、ロール自体に対する熱伝達、そしてロールに対する加熱が決まる。これらは、ロール自体の寸法(直径)およびプロフィールの両方の変動を伴う。
【0031】
上記加熱を、ロールを構成する材料の特性に適合する値に制限し、かつ、ロール表面の進行性の劣化を許容値内に抑えるために、冷却システムを使用することが不可欠である。
【0032】
熱間圧延で一般的に採用される解決策は、いくつかのランプ(ramp)に取り付けられた一連のノズルよりワークロールを外側から冷却することである。熱間帯材圧延機用の従来の4段圧延スタンドでは、通常、出口ゾーンに2台、入口ゾーンに2台の計4台の冷却装置が使用される。各冷却装置は、1つ以上の冷却ランプから構成される。被圧延材からロールに伝わる熱が表層からロール内部に浸透し、ロール内部に溜まった熱が取り出しにくくなるのを防ぐためには、ロールと出口ゾーン内におけるロールギャップからの冷却水との熱交換を高めることが好ましい。これにより、流量が増加し、場合によっては熱交換効率も向上する。
【0033】
ロールに伝わる熱によりサーマルクラウンが生成される。ロール内において、熱が中央ゾーンから、ストリップの接触による影響を受けないより冷たい両側に流れるため、軸流が発生する。この結果は差別的な膨張であり、一般的に、この差別的な膨張により、中央ゾーンでは放物線状のロールプロフィールを生成する一方、ストリップのエッジ部では膨張が急激に減少し、そして中央ゾーンよりも低い値に留まる。
【0034】
ロールの「サーマルプロフィール」の変動は、圧延プロセス、特に厚さ、プロフィール、および平面性の制御に明らかに影響する。したがって、持続時間を最適化し、熱疲労やストリップとロールとの間の摩擦によって引き起こされる表面摩耗を軽減するように、ロールの温度が平均して50~80℃(ロールのジャケットを構成する材料に拠る)の範囲内の値に達する必要があるにもかかわらず、ロールを冷却するシステムの役割は、サーマルプロフィールの変動による外乱を最小限に抑えることである。
【0035】
これらの課題は、従来のプロセスによる熱間圧延の場合にはすでに相当となっており、特に、従来のコイルツーコイルプロセスでは2~3分であったのに対し、ストリップ仕上げ圧延機での圧延が中断することなく最大10時間続く可能性があるエンドレス生産プロセスにおいて、さらに深刻になる。
【0036】
ワークロールのサーマルクラウンは、ロールの軸に沿った温度分布に依存している。この分布は、圧延中に連続的に変化し、ロールの加工プロフィールの変化に応じてサーマルクラウンの増加および減少の両方を引き起こす。この現象は、圧延されるストリップのプロフィールと平面性との制御に乱れを引き起こす:
・ロールが冷えているとき、例えば、ロール交換後や長い生産停止後などの際、サーマルクラウンが徐々に増加し、安定値に達するには5~10個のコイルが必要となる。
・圧延中に安定した条件に達すると、あるコイルと次のコイルとの間の待機時間中にサーマルクラウンが減少し、新しいコイルの圧延開始から比較的短時間でサーマルクラウンの平均値に戻る。
【0037】
上記すべてを考慮すると、本発明の一つの目的は、各断面のプロフィール、平面性および厚さに関して最適な品質を有する2個、3個、4個、そしてより多いストリップを得るような方式で、のちに長手方向に分割される完成した薄いストリップ、さらには極薄のストリップを製造するための方法と対応するプラントとを提供することである。
【0038】
本発明の目的は、最大幅に等しい幅のストリップが製造される場合でも、前記最大幅よりも小さい幅のストリップが製造される場合でも、圧延機の生産性を不変に維持することである。
【0039】
出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらおよびその他の目的および利点を得るように、本発明を発案し、テストし、具体化した。
【発明の概要】
【0040】
本発明は、独立請求項に記載され、かつ、特徴付けられている。従属請求項は、主要な発明のアイデアの変形例を説明するか、実施形態を定義する。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、スラブは、金型の幅、ラインの寸法、そして必要な生産性など、プラント自体の設計パラメータによって定義される幅で鋳造され、最終的に必要な厚さを得るために熱間ストリップ圧延機に送られる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、熱間圧延されたストリップは、より薄い厚さを得るために冷間圧延機内でさらに圧延される。
【0043】
これらの両方の実施形態において、圧延機のスタンドのワークロールは、ストリップをのちに分割する必要がある長手方向における各部分の数に相関するポジティブクラウンの数を有する横断プロフィールをストリップに付与するように構成される。
【0044】
以降の説明には、次の用語を使用する:
・「ポジティブ」クラウンは、図2aに示す例のように、中央が厚くなる、対称的な凸レンズ形状のプロフィールを示す。
・「ネガティブ」クラウンは、両凹面の対称プロフィールを示し、上述の凸レンズ形状のプロフィールと嵌合または相補的で、エッジ部よりも中央の方が薄くなっている。
【0045】
本発明によれば、その目的は、圧延ストリップ上に2つ以上のポジティブクラウンを、2つ以上の対応するネガティブクラウンを有する形状のプロフィールを備えるワークロールを使用し、形成することである。
【0046】
本発明のその他の態様によれば、ワークロールは、ネガティブクラウンと正の曲率を有するアーチ形状に形成された接続セグメントとが交互に配置された形状のプロフィールを備えている。
【0047】
対応して、得られる圧延ストリップも、交互に配置されたポジティブクラウンと負の曲率を有する弓形形状に形成された中間部分とをそれぞれ備えている。
【0048】
以下の説明では、「正の曲率」という表現は、中央が厚く、側方部の厚さが薄い凸状のプロフィールを意味し、「負の曲率」という表現は、側方部よりも中央が薄い凹状のプロフィールを意味する。
【0049】
したがって、本発明は、完成したストリップが圧延機にフィードされる初期製品の幅で使用される場合には、単一のネガティブクラウンを備えたワークロールを使用する方法を提供している。一方、圧延されたストリップをのちに長手方向に2つ、3つ、4つ、あるいは一般にストリップの一定数の長手部分に分割する必要がある場合には、二重、三重、四重、あるいは任意の数の多重ネガティブクラウンを有するワークロールが使用される。
【0050】
ストリップの長手方向における分割は、最後のスタンドからの出口と、ストリップの各部分の個々のコイルが形成されるそれぞれの対応する巻線ユニットとの間の位置で、ヘッドからテールまでストリップの全長に沿って行うことができる。あるいは、単一コイルに巻く直前のストリップのヘッドとテールとの部分を除いて、全長に沿って発生することもできる。さらに、コイルを巻線ユニットから除去した後、たとえばコイル自身の目的地で行うこともできる。
【0051】
本発明によれば、圧延機の少なくとも最後のスタンド、例えば仕上げ圧延機の最後のスタンド、または仕上げ圧延機の最後の2つまたは3つのスタンドは、ストリップとの接触面がのちに長手方向の切断で得られるストリップの各部分に相関し、依存するプロフィールを有するワークロールを備える。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、ワークロールは、製造された圧延ストリップがのちに長手方向に分割される部分の数と相関する数の多重ネガティブクラウンプロフィールを有する。
【0053】
言い換えれば、ワークロールのプロフィールは、ストリップが長手方向に2つのハーフストリップに分割される場合は二重ネガティブクラウン(ダブルクラウン)を有し、ストリップが長手方向に3つの部分に分割される場合は三重ネガティブクラウン(トリプルクラウン)を有し、以下の場合いついても同様である。
【0054】
一貫して、二重ネガティブクラウンの場合は、正の曲率を有する接続セグメントが1つだけあり、三重ネガティブクラウンの場合は、正の曲率を有する接続セグメントが2つあり、以下の場合についても同様である。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、ワークロールのプロフィールにおいて、ネガティブクラウンと正の曲率を有する接続セグメントとは、互いに実質的に互いに等しい幅を有する。言い換えれば、ネガティブクラウンの幅は接続セグメントの幅と実質的に等しいので、ストリップ上では、対応するポジティブクラウン部分の間に、ポジティブクラウン部分のクラウンの幅および高さに相関する幅および深さを有する負の曲率の中間部が画定される。
【0056】
これにより、長手方向の切断手段を位置決めするためのより大きな操作スペースを確保でき、さらに、長手方向の中心線からの最小の偏差を無視できる。
【0057】
ワークロールのプロフィールは、反対称三角関数と3次多項式関数からなる曲線で定義できることが文献から知られている。
【0058】
プロフィールの曲線の方程式は次のとおり示す。
【数1】
ここで、D(y)は、上部ワークロールの直径である。D(y)は、下部ワークロールの直径である。Dは、ワークロールの公称径である。αは、ワークロール間のギャップの曲線の修正可能な形状の角度である。bは、ワークロールのバレル長である。Cは、正弦曲線の振幅である。δは、ワークロールの成形された曲線の一次変位の値である。δは、第一位置からの相対移動の値である。aは、第一係数である。aは、第二係数である。特に、振幅Cは、単一クラウンの幅を指す。
【0059】
クラウンの値は、ワークロールの軸方向の移動(シフト)の値δを変更することによって修正できる。また、上記の数式におけるパラメータαおよびCを変更することによって、ロール間のギャップのクラウン関数は、一群の異なる曲線を決める。
【0060】
言い換えれば、ワークロールの軸方向の移動動作は、ストリップの位置に対するワークロールのネガティブクラウンの位置を修正するために実行され、それによってストリップ上のクラウンの範囲を動的に修正し、すなわち、ストリップのプロフィールの山および谷を強調または平坦化することができる。
【0061】
したがって、本発明によれば、上記数式におけるパラメータαおよびCに適切な値を割り当てることによって、製造されたストリップが2つのハーフストリップに分割される場合、「二重クラウン」のプロフィールを得ることができる。さらに、ストリップが長手方向にいくつかの部分に分割される場合には、三重または四重クラウンのような一般的な多重クラウンのプロフィールを得ることができる。
【0062】
上述のように、特にストリップの厚さが薄い場合、ストリップに二重(または三重、あるいは四重、…)クラウンを付与する操作は、仕上げ圧延機の最後のスタンド、たとえば最後または最後の2つまたは3つのスタンドで行われる。
【0063】
5つ、6つ、または7つの仕上げスタンドを備えた仕上げ圧延機において、最後の3つのスタンドは通常同じ直径および同じプロフィールのワークロールを有することに留意すべきである。したがって、本発明によれば、仕上げ圧延機の最後の3つのスタンドで多重クラウンを形成することが便利である。
【0064】
したがって、本発明は、多重クラウンを有する完成ストリップを製造することを提供し、その後、各ストリップ部分が個別に圧延されたかのように独自のクラウンを有する複数の別個のストリップ部分を得る方法で長手方向に分割される。
【0065】
このように、ストリップの各部分は、厚さ、プロフィール、および平坦度の面で望ましい幾何学的および寸法的特性を得られる適切なクラウンを有する。
【0066】
本発明によれば、多重クラウンをより正確に制御するために、ワークロールの機械的クラウンに加えて、後述する冷却方法を用いてこれらのワークロールのサーマルクラウンに対しても介入が実行される。
【0067】
本発明によれば、二重クラウン圧延の場合、ワークロールの中央ゾーンの周囲で最小の冷却効率を有することが有利である。その結果、ストリップが分割される予定のこのゾーンにおけるサーマルクラウンが増大する。一方、ストリップの半分の中央ゾーンにおいて、サーマルクラウンは減少するように、ストリップにおける2つの半分の中央部に対応して最大の冷却効率を有する。言い換えれば、ワークロールのサーマルクラウンは、メカニカルクラウンの傾向に追従し向上させるように制御される。三重、四重などその他の数のクラウンの場合、ワークロールの冷却は、同様の方法で調整され、ストリップが分割される予定の部分における冷却が少なくなり、それぞれのマルチストリップの中央ゾーンにおける冷却が多くなる。
【0068】
基本的に、冷却システムの制御は、プロセスの状態に関する一連の情報(ストリップの温度、圧延力、厚さの減少、圧延速度など)を時間間隔で処理するオンラインモデルを通じて実現し、サーマルプロフィールを決定する。
【0069】
本発明によれば、幅方向の冷却効率を変更できるため、二重または一般的に多重クラウン圧延キャンペーンにおいて、のちに分割される予定のストリップの各部のプロフィール/平坦度に対する制御キャパシティーを最大化するように、最適なサーマルクラウンを定義することが可能になる。
【0070】
ここで、添付の下記図面を参照して非限定的な例として与えられたいくつかの特定の実施形態を参照して、本発明の特徴を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明による製造方法が適用される熱間圧延プラントのレイアウトの一例を示す図である。
図2図2aおよび図2bは、1つのストリップの断面と、従来技術によるストリップの長手方向の切断によって得られた2つのハーフストリップの断面とをそれぞれ示す。
図3図3aおよび図3bは、1つのストリップの断面と、本発明の一実施形態によるストリップの長手方向の切断によって得られた2つのハーフストリップの断面とをそれぞれ示す。
図4】2000mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトなしの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図5】2000mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトありの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図6】2000mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、ワークロールのシフト量およびワークロールのクラウンの関係を示す。
図7】2000mm幅のストリップに三重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトなしの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図8】2000mm幅のストリップに三重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトありの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図9】2000mm幅のストリップに三重クラウンのプロフィールを適用する場合、ワークロールのシフト量およびワークロールのクラウンの関係を示す。
図10】2000mm幅のストリップに四重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトなしの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図11】2000mm幅のストリップに四重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトありの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図12】2000mm幅のストリップに四重クラウンのプロフィールを適用する場合、ワークロールのシフト量およびワークロールのクラウンの関係を示す。
図13】1600mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトなしの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図14】1600mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、軸方向シフトありの条件でワークロールのプロフィールおよび対応するストリップのプロフィールを示す。
図15】1600mm幅のストリップに二重クラウンのプロフィールを適用する場合、ワークロールのシフト量およびワークロールのクラウンの関係を示す。
図16】二重クラウンに加工される場合、ストリップの幅に関する関数として角度αの変化トレンドの図である。
図17】本発明による製造方法で使用されるワークロールの差異化冷却システムの一実施形態を示す図である。
図18】ワークロールに対する冷却システムのノズルの位置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1を参照すると、ストリップSを製造するための共圧延プラント10において、薄スラブを鋳造するための機械11が熱間ストリップ圧延機12にフィードする例が示されている。
【0073】
ここで示された例は、決して本発明の適用可能性を限定するものとして考慮されるべきではないことに留意されたい。その理由は、ここで示された概念は、多くの他の種類のプラント、例えば、異なる数のスタンドを備える、圧延機から分離された鋳造機を有する、スラブが別の場所で製造される、および圧延終了時に所定の公称幅を有する金属ストリップを長手方向にいくつかの部分に分割して、より小さい幅を有するストリップ部分を得る必要があるすべての場合のいずれかに適用できるからである。
【0074】
図示の実施形態は鋳造機と同じ製造ラインに併設された熱間圧延機を示しているが、本発明は、熱間処理の前工程で得られたストリップを圧延する冷間圧延機にも適用できる。
【0075】
熱間圧延プロセスの場合、前述したように、開始時の半仕上げ製品は、同じプラントでインライン鋳造できるスラブで表され(図1の実施形態で開示されているように)、あるいはオフラインまたは別のプラントで生産される。
【0076】
冷間圧延プロセスの場合、開始時の半仕上げ製品は、熱間圧延機で予め製造された圧延ストリップのコイルによって表される。
【0077】
本発明によれば、冷間圧延において、単一クラウンを有し、予め熱間圧延されたストリップに多重クラウンを形成できるようにするため、ストリップの厚さは少なくとも2.5mmであることが好ましい。この値未満の場合、冷間圧延されるストリップが単一クラウンプロフィールを有さず、冷間圧延の終了時に得られる最終クラウンの数がすでに有することが好ましい。この場合、冷間プロセスにおいて、前の熱間圧延プロセスで既にストリップに付与された多重クラウンプロフィールに従うように圧延ロールが成形される。
【0078】
さらに、本発明は、鋼などの鉄系ストリップ製品とアルミニウムなどの非鉄系ストリップ製品の両方の製造に適用できる。
【0079】
図1に示す具体的な例では、圧延機12は、この場合3つのスタンド14a、14bおよび14cを含む粗加工ユニット13(または粗加工機と称する)と、この場合5つのスタンド16a、16b、16c、16dおよび16eを含む仕上げユニット15(または仕上げ圧延機と称する)とを備える。
【0080】
粗加工ユニット13と仕上げユニット15との間には、粗加工ユニット13からの出口のスラブを正しい圧延温度に戻す温度回復システム、例えば誘導炉20がある。
【0081】
鋳造機11と粗加工ユニット13との間には、少なくとも2~5枚のスラブを収容するのに十分な長さを有するトンネル炉17がある。このトンネル炉17により、公知の方法で、事故またはワークロールの交換計画により、たとえ一時的であっても圧延機が中断された場合、バッファとして機能することと、セミエンドレスモードで運転することとの両方を許容する。
【0082】
トンネル炉17の上流には、プラント10がコイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードで動作するときに、スラブを所定のサイズに切断する第1の振り子剪断機18がある。
【0083】
仕上げ圧延機15の下流には、冷却ユニット22と、エンドレスまたはセミエンドレス圧延の場合に介入して、2つのダウンコイラー21またはリールのうちの1つに掴まれたストリップを分離する第2のフライングシャー19とがある。
【0084】
本発明の一態様によれば、鋳造スラブの幅の約数、またはいずれの場合も鋳造スラブの幅よりも小さい幅を有するストリップの部分が得られるように、得られたストリップは、続いて長手方向に分割される(スリッティング)。
【0085】
このように、プラント自体に提供される最大幅に近い幅を有するスラブおよびストリップに対して、常に作業できるようなプラントの全体の生産性をどんな場合でも制限することなく、単一の圧延ストリップからより狭い幅のストリップを得ることができる。
【0086】
仕上げ圧延ストリップの幅に対する分割は、圧延機の出口において、インラインで直接行うことができ、あるいは、コイルの取り外しに続くステップで、たとえばストリップが使用される別の目的プラントで行うこともできる。
【0087】
第一のケースでは、仕上げ圧延機15の下流において、たとえば2つの部分に分割することについて、次の項目が考えられる:
【0088】
2つ異なるハーフストリップS1、S2をそれぞれ対応するリール21に巻き付けて、ストリップSのヘッド部からテール部までの全長に沿って分割する。この方法により、2つの別個のコイルが得られる。
【0089】
単一リールへのヘッド部の挿入および最後のテールエンドターンの巻き取りを容易にするために、ストリップSのヘッド部およびテール部を除くストリップSの全長に沿って分割する。この方法により、単一のコイルがほぼ全長にわたって2つの部分に分割される。
【0090】
この目的のために、ストリップSを同じまたは異なる幅を有する2つ以上のストリップ部分S1、S2に長手方向に分離する専用の切断装置を設けることができる。有利なことに、これらの装置は、需要に従って、生産ラインに挿入したり、生産ラインから取り出したりすることができる。
【0091】
本発明によれば、ストリップSが分割される幅の部分の数に従って、ストリップが分割される各部分における正確なクラウンを決めるように、最後の仕上げスタンド16a~16eの少なくともいくつかのワークロール24a,24bのプロフィールを作成する方法を提供する。
【0092】
一例として、例えば、図3aおよび図3bは、圧延機12の下流側におけるストリップSの断面と、ストリップSを中心線に沿って長手方向に切断して得られる2つのハーフストリップS1、S2の断面とをそれぞれ示す。この例では、ストリップSは、中心線Mを通る対称面に関して実質的に対称である「二重ポジティブクラウン」PCを有する一方、2つのハーフストリップS1、S2はそれぞれ、独自の単一ポジティブクラウンPCを有する。
【0093】
図に見られるように、ストリップSは、2つのポジティブクラウンPCゾーンの間を接続する中間部40を有し、中間部40は、負の曲率を有し、ポジティブクラウンPCゾーンの幅および高さにそれぞれ一致する幅および深さを有する。
【0094】
したがって、ストリップが幅方向に2つのハーフストリップに分割される場合、ワークロール24a,24bのプロフィールは、下流で得られたあるいは下流で得られることが可能なハーフストリップごとに1つずつ、二重ネガティブクラウンNCとして示される。ストリップが3つ、4つ、またはそれ以上に分割されている場合も同様である。
【0095】
特に、ワークロール24a,24bのそれぞれは、多重ネガティブクラウンを有し、ネガティブクラウンNCの数は、ストリップSが分割される予定の部分の数に対応している。
【0096】
有利なことに、ネガティブクラウンNCは、正の曲率を有する接続セグメント50と交互に配置される。
【0097】
好ましいことは、図4図5図7図8図10図11、および図13図14の横座標の上下に示された曲線を比較し観察できるように、ネガティブクラウンNCと正の曲率を有する接続セグメント50とは、対応する幅および深さ/高さが互いに実質的に等しいである。
【0098】
各ワークロール24a,24bのプロフィールは、反対称三角関数と3次多項式関数からなる曲線で定義することができる。
【0099】
プロフィールの曲線の方程式は次のように示す。
【数2】
ここで、D(y)は、上部ワークロール24aの直径である。D(y)は、下部ワークロール24bの直径である。Dは、ワークロールの公称径である。αは、ロール間のギャップの曲線の修正可能な形状の角度である。bは、ワークロールのバレル長である。Cは、正弦曲線の振幅である。δは、ロールの成形された曲線の一次変位の値である。δは、第一位置からの相対移動の値である。aは、第一係数である。aは、第二係数である。
【0100】
本発明によれば、上記の方程式におけるパラメータαおよびCに適切な値を割り当てることによって、製造されたストリップが2つのハーフストリップに分割される場合、「二重クラウン」プロフィールを得ることが可能になる。さらに、ストリップが長手方向に複数の部分に分割される場合、三重、四重、そして一般的な多重クラウンプロフィールを得ることも可能になる。
【0101】
図6図9図12、および図15に示すように、ワークロール24a,24bのプロフィール(メカニカルクラウン)が決定されると、ストリップ上のクラウンの範囲は、ワークロール24a,24bの軸方向の動き(シフト)の値δを変えることによって修正することができる。
【0102】
これは、ワークロール24a,24bのプロフィールにおける特有の一致性のおかけで可能になった。
【0103】
図4図6に示される例を参照すると、のちに長手方向に2つの1000mmのハーフストリップに分割されるように、鋳造スラブの幅に対応する2000mmの幅を有するストリップSは、2450mmに等しいバレル長を有するワークロール24a,24bによって二重クラウンに圧延される。図3bに示すように、これらの図は、ストリップが同じ幅の2つのハーフストリップに分割される場合を表しているが、ストリップの2つの部分が異なる幅を持つ可能性を排除するものではないことを理解されたい。
【0104】
一例として、最後の仕上げスタンド16e(ただし、最後の2つ、3つ、またはそれ以上である可能性がある)は、図4aおよび図5aに示すように、上部ワークロール24aおよび下部ワークロール24bと、上部サポートロール25aおよび下部サポートロール25bとを備える。
【0105】
図4b~図4cおよび図5b~図5cは、2つの異なる動作条件における上部ワークロール24aおよび下部ワークロール24bのプロフィールをそれぞれ示す。
【0106】
図4bおよび図4cには、軸方向シフトなしの条件で、バレルの全長にわたる上部ワークロール24aのプロフィールおよびバレルの全長にわたる下部ワークロール24bのプロフィールがそれぞれ線L(T)および線L(B)によって示される。
【0107】
図5bおよび図5cにおいて、破線で示される線L(T)および線L(B)は、バレルの全長にわたるワークロール24a,24bのプロフィールを示し、一方、実線で示される線L(Tu)およびL(Bu)は、図5aにおける矢印F1および矢印F2で示される軸方向シフトありの条件で、ストリップSに作用するワークロールのプロフィールにおける有用な部分を示す。
【0108】
最終的に、図5dは、プロフィールL(Tu)およびプロフィールL(Bu)の合計としてストリップSの結果プロフィールP(S)を示す。垂直端線は、ストリップの側方エッジを示し、同時に中央垂直線26は、ストリップSがのちに分割される中心点を示す。
【0109】
グラフより観察できるように、ワークロール24a,24bのプロフィール、およびストリップの結果プロフィールP(S)は、明らかに2つのこぶとそれに対応する2つの谷とを備え、この特定の例では、ストリップSが分割される2つのハーフストリップの結果プロフィールに所望のクラウンを形成する「二重クラウン形状」NCを有する。
【0110】
特に、ワークロール24a,24b上におけるクラウンは「ネガティブ」、すなわち凹形状を有するが、圧延されたストリップS上における「ポジティブ」クラウン、すなわち凸形状を有するクラウンが得られる。
【0111】
同様に、ワークロール24a,24b上におけるネガティブクラウンNCの間の接続セグメント50は、正の曲率を有する一方、圧延されたストリップS上で得られた対応する中間部40は、ストリップSが分割される中央垂直線26に対応する負の曲率を有する。
【0112】
図5d、図8d、図11d、および図14dにおける横軸の上下の曲線を比較することによっても観察できるように、ポジティブクラウンPCおよびストリップS上で負の曲率を有する中間部40は、互いに実質的に等しい幅および深さ/高さをそれぞれ有する。
【0113】
このように、ストリップSは、自身の中心線に対応して、長手方向に分割されることが可能であり、2つのハーフストリップのクラウンを「完全に」対称にするために小さな中央バンドを除去することも可能になる。
【0114】
単一の「こぶ」のクラウンの範囲は、ワークロール24a,24bの軸方向のシフトに関する関数であることを考慮すべきである。
【0115】
これは、プロフィールの調整が静的ではなく動的タイプにすることが可能であり、かつ、ワークロール24a,24bのシフトの程度がワークロール24a,24bの動作条件に関連して変化することの利点である。
【0116】
さらに、最後の圧延スタンドにおけるストリップSの断面の均一性を維持するために、ワークロール24a,24bの同じプロフィールをいくつかのスタンドに適用し、異なるシフトフィールドで動作させることができる。これは、ストリップS自体の平面性を損なわないためである。
【0117】
図6のグラフは、ストリップSに直接作用するそれぞれのロールの表面部分を変化させるために、2つのワークロール24a,24bのシフト、すなわち軸方向の変位に作用することによってストリップSのクラウンをどのように修正できるかを示している。
【0118】
ワークロール24a,24bの軸方向のシフトのおかげで、ストリップSのプロフィールの山および谷を強調または平坦化することが可能であり、これはSストリップのクラウンを増加または減少させることを意味する。
【0119】
ワークロール24a,24bのシフトは対称的であり、すなわち、ロールは中心線Mに関して反対方向に等しい値だけ平行移動される。
【0120】
図5a~図5dのグラフにおいて、50mmに等しいシフトが考慮された。
【0121】
図7および図8は、ストリップSを縦方向に3つの部分に分割する必要がある場合を表している。この場合、3つの部分のそれぞれは、ストリップSの幅の1/3に等しい幅を有する。
【0122】
図7aおよび図8aは、トリプルネガティブクラウンのプロフィールを有するそれぞれの上部ワークロール24aおよび下部ワークロール24bを示す。
【0123】
この場合も、図7bおよび図7cは、往復非シフト条件におけるワークロール24a,24bのバレル全長におけるプロフィールを表す。図8bおよび図8cは、ワークロール24a,24bを50mm往復させた状態での有効作業部分L(Bu)、L(Tu)を表す。
【0124】
図8dにおける符号26は、製造されたストリップSより3つの部分を取得できる2つのセクションを表す。
【0125】
図8dから見られるように、この場合、セクション26に対応し、ストリップSが分割される(3つの)部分のそれぞれの中心線に対して実質的に対称である三重ポジティブクラウンPCを有する結果プロフィールを決めるために、三重こぶを有するストリップのプロフィールが得られるように、ワークロール24a,24bのプロフィールがどのようにネガティブクラウンNCに形成されるかが分かる。
【0126】
図9は、図7bおよび図7cに示すような形状に形成されるワークロール24a,24bを軸方向にシフトさせることによって得られるクラウンの制御範囲を対応して示している。
【0127】
最後に、上述の場合と実質的に同等の方法で、図10から図11は、製造されたストリップSを4つの部分に分割する必要がある場合を考慮する。この特定の場合では、すべての部分が実質的に等しい幅を有する。
【0128】
ワークロール24a,24bのプロフィールがどのように四重ネガティブクラウンに形成されるかを指摘したいが、図10には、この点が非シフト条件で表されている。図11には、実線で示す上部ワークロール24a(図11b)および下部ワークロール24b(図11c)にそれぞれ対応する有効プロフィールL(Tu)およびL(Bu)を有する2つのワークロール24a,24bのシフト状態を表す。この場合、2つのワークロール24a,24bは80mmでシフトされる。
【0129】
ストリップSの結果プロフィール(図11d)は、実質的に対称位置に4つのこぶまたはポジティブクラウンPCを有する。このため、セクション26という手段による長手方向における4つの部分への分離の後、各部分は、予め確立された正確なクラウンを有する。
【0130】
上述の各ケース同様、例えば図12に示す例のように、軸方向のシフトを用いることにより、クラウンの制御を行うことができる。
【0131】
図13図15を参照すると、ワークロールのバレル長が2450mmである同じ圧延機で
ストリップSが製造され、前記ストリップSは、鋳造スラブの幅に対応する1600mmの幅を有し、常に二重クラウンで圧延されることにより、その後長手方向に800mmの2つのハーフストリップに分割される例が示される。
【0132】
図13bおよび図13cに示す例において、ワークロール24a,24bは、圧延される予定のストリップの幅が上述の例よりも小さいため、直線状のエッジセグメント(成形されていない)を有する二重ネガティブクラウンを備えた成形プロフィールを有する。
【0133】
図13bおよび図13cは、往復非シフト条件でワークロール24a,24bの全体的なプロフィールを示し、図14bおよび図14cは、2つのワークロール24a,24bのシフト条件での全体的なプロフィールを示す。上部ワークロール24a(図14b)および下部ワークロール24b(図14c)のそれぞれに対応する有効プロフィールL(Tu)およびL(Bu)は、実線で表す。この場合、ワークロール24a,24bは、50mmでシフトされている。
【0134】
ストリップSの結果プロフィール(図14d)は、実質的に対称位置に2つのこぶまたはポジティブクラウンを有することにより、セクション26という手段による長手方向に2つの部分に分離された後、各部分が要求される品質的要件に従って予め確立された正しいクラウンを有する。
【0135】
上述のケース同様、図15の例に示すように、軸方向のシフトを使用することにより、クラウンの制御を実現できる。
【0136】
上述したように、ストリップに二重(または三重、または四重、…)クラウンを付与する操作は、特に厚みが薄い場合、仕上げ圧延機15の最後のスタンド、例えば最後のスタンド、または最後の2つもしくは3つのスタンドで実行される。
【0137】
図16は、角度αの振幅が、圧延されたストリップSの全幅の関数としてどのように変化するかを示している。例えば、二重クラウンPCを有するストリップSの場合、幅値が800~2000mmの間を含む場合である。
【0138】
上述のように、多重クラウン圧延は、ワークロールの幅上における冷却効率に対する厳格な管理を要求することにより、中心から周辺まで選択的に変化させることができる。
【0139】
本発明によれば、単なる一例として図17に示されるように、冷却システム30は、ワークロール24a,24bの全幅にわたって配置されたそれぞれのメインフィードパイプ31およびデリバリノズル32を備え、冷却流体をデリバリする一つ以上のランプ33を備える。
【0140】
デリバリノズル32は、一定のピッチで2列または3列に互いに隣接して配置され、ロールの幅方向に独立した差異化した冷却ゾーンを画定するように、互いに独立したグループごとにパイプ31に接続されている。図17に示す例では、ランプは、11個の独立した冷却ゾーンに分割されている。
【0141】
各フィードパイプ31には、対応するノズル32のグループへの流量を調整するための独自の比例弁が装備されている。
【0142】
このように、ノズル32のグループを個別に管理することが可能となり、したがって、ワークロール24a,24bの対応する表面ゾーンの冷却を変化させることが可能となる。
【0143】
本発明によれば、ストリップの所定の幅から開始して得られる幅の部分にも基づいて、各デリバリランプ33を複数、例えば7~17の間の独立したゾーンに分割することができる。したがって、特にストリップの2つの半分、または3つ、4つ、およびストリップSが後で分割されるそれ以上の部分の冷却を個別に制御するために、ワークロール24a,24bの軸に沿って冷却効率の適切な変化を定義することが可能になる。
【0144】
例えば、二重クラウン加工の場合、ワークロール24a,24bの中央ゾーンの周囲で最小の冷却効率を有し、このゾーンでサーマルクラウンが増加する一方、ストリップの2つの半分の中央部分に対応して動作するロールのゾーンで最大の冷却効率を有し、このゾーンでサーマルクラウンが減少することが有利である。このように、サーマルクラウンは、メカニカルクラウンの傾向に追従するように制御できる。
【0145】
例えば、最大幅2000mmのストリップを製造するためのワークロール24a,24bでは、各ゾーンの幅は約130mmから約220mmまで変化し得る。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図18に参照して説明される例では、冷却システム30は、多重クラウン仕上げスタンド16a~16eのそれぞれに対して、上部ワークロール24aおよび下部ワークロール24bへの入口および出口において、ペアで配置された4つの冷却ランプ33を備えることができる。
【0147】
冷却ランプ33には、ワークロール24a,24bへの冷却液の入射角を変更するために、それぞれのワークロール24a,24bに対して冷却ランプ33を近づけたり遠ざけたりするように移動させたり、冷却ランプ33を回転させたりするように構成された駆動装置34を設けることが有利である。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、ストリップSは、圧延機12の下流のプロセスで長手方向に切断され、その後、全体が多重クラウンプロフィールを有するコイルに巻かれることができる。
【0149】
いくつかの変形例によれば、ストリップSは、多重クラウン形状を有する初期ヘッドセグメントに巻かれ、その後、リール21の上流に位置するカッティングディスクが駆動されて、巻き取り中にストリップSを長手方向に分割することができる。この場合、長手方向の切断は最終テール端の手前で中断することができるため、このテール端は多重クラウンのプロフィールを備えたヘッドとして完全なまま残る。
【0150】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明したプラントおよび方法に対して部品の修正および/または追加を行うことができる点は明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重ポジティブクラウンの横方向プロフィールを有するストリップ(S)を得るための平板圧延品の製造方法であって、
前記製造方法は、所定の幅を有するストリップ(S)を提供するように、ワークロール(24a,24b)をそれぞれ備える複数の仕上げスタンド(16a,16b,16c,16d,16e)を含む圧延機(12)で行われる圧延ステップを有し、
少なくとも最後の仕上げスタンド(16e)の前記ワークロール(24a,24b)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有し、
前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールにおけるネガティブクラン(NC)の数は、前記圧延されるストリップ(S)がのちに長手方向に分割される部分の数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とが交互に配置され、
前記ワークロール(24a,24b)は、軸方向移動を有するように構成され、前記軸方向移動は、前記ストリップ(S)の位置に対する前記ワークロール(24a,24b)のクラウン(NC)の位置、そして前記ストリップ(S)における前記クラウン(PC)の範囲を修正するために行われることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ネガティブクラウン(NC)および前記ワークロール(24a,24b)における前記正の曲率を有する前記接続セグメント(50)の各幅は、互いに実質的に等しい、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記最後の3つの仕上げスタンド(16a,16b,16c,16d,16e)は、同じ直径および同じプロフィールを有する前記ワークロール(24a,24b)を備え、
多重ネガティブクラウンを有する前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールは、前記最後の3つの仕上げスタンドに適用される、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ワークロール(24a,24b)の成形プロフィールの曲線の方程式は以下の通りである:
【数1】
ここで、D(y)は、上部ワークロールの直径であり、D(y)は、下部ワークロールの直径であり、Dは、ワークロールの公称径であり、αは、前記ワークロール間のギャップの曲線の修正可能な形状の角度であり、bは、ワークロールのバレル長であり、Cは、正弦曲線の振幅であり、δは、前記ワークロールの成形された曲線の一次変位の値であり、δは、第一位置からの相対移動の値であり、a1は、第一係数であり、a3は、第二係数であり、
前記パラメータαおよびCを決めることにより、前記ストリップ(S)が分割される部分の数に関連する前記多重クラウンプロフィールが決定される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ワークロール(24a,24b)のメカニカルクラウンの傾向に追従するように前記サーマルクラウンを制御するために、前記ネガティブクラウン(NC)に対応した最小の冷却強度と、前記正の曲率を有する前記接続セグメント(50)に対応した最大の冷却強度とを有する、前記ワークロール(24a,24b)に対する差異化冷却を提供する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
二重クラウンプロフィールの場合、前記ワークロール(24a,24b)の中心ゾーンの周辺に最小の冷却強度と、前記圧延されたストリップ(S)の2つの半分の中央部分に対応して動作する前記ワークロール(24a,24b)のゾーンで最大の冷却強度とを有する、差異化冷却を提供する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
多重ポジティブクラウンの横方向プロフィールを有するストリップ(S)を得るために、平板圧延品を製造するプラントであって、
前記プラントは、ワークロール(24a,24b)を有する仕上げスタンド(16a~16e)を備える少なくとも一つのユニット(15)を有し、
圧延終了の時に、および次のステップで、長手方向に複数の部分に分割されるストリップ(S)を得るために、前記仕上げユニット(15)の少なくとも最後の仕上げスタンド(16e)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有する前記ワークロール(24a,24b)を有し、
前記ワークロール(24a,24b)の前記プロフィールにおけるネガティブクラウン(NC)の数は、前記圧延されるストリップ(S)がのちに長手方向に分割される部分の数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とが交互に配置され、
少なくとも前記ワークロール(24a,24b)は、軸方向移動を有するように構成され、前記軸方向移動の大きさおよび方向は、前記ストリップ(S)に得られる所望のプロフィールに関連付けられることを特徴とするプラント。
【請求項8】
前記仕上げユニット(15)の少なくとも最後の3つのスタンド(16a~16e)は、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有するワークロール(24a,24b)を備える、請求項7に記載のプラント。
【請求項9】
エンドレスモード、セミアンドレスモード、およびコイルツーコイルのいずれか一つのモードおよび/またはその他のモードで動作するように構成される、請求項7または請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
前記ワークロール(24a,24b)の成形された多重ネガティブクラウンのプロフィールの関数として調整可能な冷却強度を有し、前記ワークロール(24a,24b)を冷却する差異化システム(30)を備える、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項11】
前記冷却システム(30)は、前記ワークロール(24a,24b)の幅方向に独立し、差異化した冷却ゾーンを画定するように、それぞれ一定のピッチで2列または3列に互いに隣接して配置され、互いに独立したグループごとにフィードに接続されたデリバリノズル(32)を有する冷却ランプ(33)を備え、
前記各パイプ(31)は、対応するノズル(32)の流量を調整する比例弁を備える、請求項10に記載のプラント。
【請求項12】
ストリップ(S)のための圧延プラント(10)の仕上げスタンドのワークロールであって、前記ワークロールは、多重ネガティブクラウンのプロフィールを有し、
前記ワークロールの前記プロフィールに示されるネガティブクラウン(NC)の数は、製造された前記ストリップ(S)が長手方向に分割される部分の予定数に関連付けられ、
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する接続セグメント(50)とは、交互に配置され、
前記ワークロール(24a,24b)は、軸方向移動を有するように構成され、前記軸方向移動の大きさおよび方向は、前記ストリップ(S)に得られる所望のプロフィールに関連付けられる、ワークロール。
【請求項13】
前記ネガティブクラウン(NC)と正の曲率を有する前記接続セグメント(50)とは、互いに対応する等しい幅を有する、請求項12に記載のワークロール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
クラウンの値は、ワークロールの軸方向の移動(シフト)の値δ 変更することによって変更することもできる。また、上記の数式におけるパラメータαおよびCを変更することによって、ロール間のギャップのクラウン関数は、一群の異なる曲線を決める。
【国際調査報告】