(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】水素圧縮アセンブリ、水素製造プラント、及び圧縮方法
(51)【国際特許分類】
F04B 41/06 20060101AFI20240327BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240327BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240327BHJP
【FI】
F04B41/06
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558202
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022025169
(87)【国際公開番号】W WO2022228721
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000010460
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンジョーリ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルテラーメ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】グリマルディ,アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】グリエルモ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】バッサーニ,シモーネ
【テーマコード(参考)】
3H076
4K021
【Fターム(参考)】
3H076AA04
3H076AA16
3H076AA38
3H076BB21
3H076BB43
3H076BB50
3H076CC07
3H076CC15
3H076CC31
4K021AA01
4K021BA02
(57)【要約】
【解決手段】 ガス圧縮アセンブリ及び水素製造プラントが開示される。ガス圧縮アセンブリは、水素の圧力を増加させるための圧力ステージを有する。圧縮アセンブリは、少なくとも1つのバレル圧縮機と少なくとも1つの往復圧縮機と、を有する。水素を圧縮する方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素などのガスの圧力を増加させるためのガス圧縮アセンブリであって、
少なくとも1つのバレル圧縮機を有する少なくとも1つの圧縮ユニットと、
前記少なくとも1つの圧縮ユニットの下流に接続された少なくとも1つの往復圧縮機と、を備える、ガス圧縮アセンブリ。
【請求項2】
前記圧力ステージは、
少なくとも1つの圧縮ユニットを有する低圧サブステージと、
少なくとも1つの往復圧縮機を含む最終圧力サブステージと、を含む、請求項1に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項3】
前記圧縮ユニットは、
第1のバレル圧縮機と、
前記第1のバレル圧縮機に接続された前記第1のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第1のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第1のギアボックスと、
第2のバレル圧縮機と、
前記第2のバレル圧縮機に接続された前記第2のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第2のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第2のギアボックスと、
前記第1のバレル圧縮機及び前記第2のバレル圧縮機を動作させるために、前記第1のギアボックス及び前記第2のギアボックスに動作可能に接続された駆動電動モータと、を含む、請求項2に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項4】
前記圧縮ユニットの前記駆動電動モータは、可変速度電動モータ又は固定速度電動モータである、請求項3に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項5】
前記往復圧縮機は、
フレームと、
前記フレーム内に収容されたクランクシャフトと、
複数のクロスヘッドガイドと、
複数のピストンロッドであって、それぞれのピストンロッドはクロスヘッドガイド内に収容されており、それぞれのピストンロッドは、往復運動で作動されるように前記クランクシャフトに接続されている、複数のピストンロッドと、
複数のピストンシリンダアセンブリであって、それぞれのピストンシリンダアセンブリはピストンロッドに接続されており、前記ピストンシリンダアセンブリのそれぞれは、前記クランクシャフトから前記往復運動を受け取るように、前記関連するピストンロッドによって作動される、複数のピストンシリンダアセンブリと、
それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置された吸引弁であって、圧縮されるガスが入力圧力で前記ピストンシリンダアセンブリ内に吸引される、吸引弁と、
それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置された吐出弁であって、前記ピストンシリンダアセンブリ内に圧縮された前記ガスを前記入力圧力より高い出力圧力で吐出する、吐出弁と、
前記クランクシャフトに接続された電動モータと、を含む、請求項4に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項6】
前記低圧サブステージは、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記第1の圧縮ユニットに接続された第1の凝縮器と、
中間冷却によって温度を低下させ、最終的に水素の湿潤部分を凝縮させる第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の下流に接続され、前記第1の熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在する第2の凝縮器と、
前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第2の熱交換器と、を含む、請求項1に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項7】
前記最終圧力サブステージは、前記低圧サブステージの前記第2の熱交換器と前記往復圧縮機との間に直列に接続された第3の凝縮器及び第4の凝縮器を含み、前記第3の凝縮器及び前記第4の凝縮器は、前記水素ガスの前記湿潤を低減することができる、請求項1に記載のガス圧縮アセンブリ。
【請求項8】
水素製造プラントであって、
水素を製造するように構成された水素製造ステージと、
前記水素製造ステージに接続された、前記水素製造ステージによって製造された前記水素の圧力を上昇させるための圧縮アセンブリであって、前記圧縮アセンブリは、
少なくとも1つのバレル圧縮機を有する少なくとも1つの圧縮ユニットと、
前記少なくとも1つの圧縮ユニットの下流に接続された少なくとも1つの往復圧縮機と、を含む、圧縮アセンブリと、を備える、水素製造プラント。
【請求項9】
前記圧縮アセンブリは、
少なくとも1つの圧縮ユニットを有する低圧サブステージと、
少なくとも1つの往復圧縮機を含む最終圧力サブステージと、を含む、請求項8に記載の水素製造プラント。
【請求項10】
前記圧縮ユニットは、
第1のバレル圧縮機と、
前記第1のバレル圧縮機に接続された前記第1のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第1のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第1のギアボックスと、
第2のバレル圧縮機と、
前記第2のバレル圧縮機に接続された前記第2のバレル圧縮機の駆動シャフトと、
前記第2のバレル圧縮機の前記駆動シャフトに接続された第2のギアボックスと、
前記第1のバレル圧縮機及び前記第2のバレル圧縮機を動作させるために、前記第1のギアボックス及び前記第2のギアボックスに動作可能に接続された駆動電動モータと、を含む、請求項9に記載の水素製造プラント。
【請求項11】
前記圧縮ユニットの前記駆動電動モータは、可変速度電動モータ又は固定速度電動モータである、請求項10に記載の水素製造プラント。
【請求項12】
前記往復圧縮機は、
フレームと、
前記フレーム内に収容されたクランクシャフトと、
複数のクロスヘッドガイドと、
複数のピストンロッドであって、それぞれのピストンロッドはクロスヘッドガイド内に収容されており、それぞれのピストンロッドは、往復運動で作動されるように前記クランクシャフトに接続されている、複数のピストンロッドと、
複数のピストンシリンダアセンブリであって、それぞれのピストンシリンダアセンブリはピストンロッドに接続されており、前記ピストンシリンダアセンブリのそれぞれは、前記クランクシャフトから前記往復運動を受け取るように、前記関連するピストンロッドによって作動される、複数のピストンシリンダアセンブリと、
それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置された吸引弁であって、圧縮されるガスが入力圧力で前記ピストンシリンダアセンブリ内に吸引される、吸引弁と、
それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置された吐出弁であって、前記ピストンシリンダアセンブリ内に圧縮された前記ガスを前記入力圧力より高い出力圧力で吐出する、吐出弁と、
前記クランクシャフトに接続された電動モータと、を含む、請求項8に記載の水素製造プラント。
【請求項13】
前記低圧サブステージは、
第1の圧縮ユニット及び第2の圧縮ユニットと、
前記第1の圧縮ユニットの入力として接続され、受け取られた前記ガスの湿潤成分の部分を凝縮するための、第1の凝縮器と、
温度を低下させ、前記水素の前記湿潤部分を凝縮させるための第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の下流に接続され、前記第1の熱交換器と前記第2の圧縮ユニットとの間に介在する第2の凝縮器と、
前記第2の圧縮ユニットの下流に接続された第2の熱交換器と、を含む、請求項9に記載の水素製造プラント。
【請求項14】
前記最終圧力サブステージは、前記低圧サブステージの前記第2の熱交換器と前記往復圧縮機との間に直列に接続された第3の凝縮器及び第4の凝縮器を含み、前記第3の凝縮器及び第4の凝縮器は、前記水素ガスの前記湿潤を低減することができる、請求項13に記載の水素製造プラント。
【請求項15】
前記水素製造ステージは、水の電気分解に基づく、請求項8に記載の水素製造プラント。
【請求項16】
水素ガスを圧縮する方法であって、
水素ガスを得るステップと、
少なくとも1つの遠心圧縮機によって前記水素を圧縮するステップと、
少なくとも1つの往復圧縮機によって前記水素を圧縮するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
水素を得る前記ステップは、電気分解によって実行される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素圧縮アセンブリ、及び水素圧縮アセンブリを含む高圧水素を製造するためのプラントに関し、水素圧縮アセンブリは、アンモニアを製造するためなどのいくつかの産業プロセスにおいて、又は異なる技術分野において使用され得る異なる種類のガスタービンなどのタービン及びエンジンのための燃料源として使用され得る。
【0002】
以下では、説明は水素の圧縮に言及するが、圧縮アセンブリは任意の他の種類のガスを圧縮するためにも使用され得るので、この説明がこの特定の使用に限定されると考えるべきでないことは明らかである。
【背景技術】
【0003】
水素は、いくつかの産業用途のために製造される。例えば、水素の最も重要な産業用途のうちの1つ(唯一のものではない)は、アンモニアの製造であり、アンモニアは、様々な産業分野で通常使用される周知の化学製品である。例えば、アンモニアは、異なる種類の作物の畑の肥料として使用されるために製造される。加えて、アンモニアはまた、原油精製部門において、特に水素のためのキャリアとして、すなわち水素の輸送のために主に使用される。
【0004】
現在、水素は主にいわゆる水蒸気改質法で製造されている。この製造法によれば、メタンは最初に圧縮される。周知のように、メタンは、その分子量が非常に高い(約18)ので、容易に圧縮され得るガスである。続いて、炭素から水素を分離するステップ(いわゆる改質ステップ)が行われて、30バール~70バールの圧力で水素(H2)が得られ、次いでアンモニアを得るために、この水素が窒素と混合される。30バール~70バールの圧力で、水素は、貯蔵容器内で、並びに/又は短距離及び長距離パイプラインを介して容易に輸送され得る。
【0005】
周知のように、水素は非常に小さく軽い分子である。したがって、パイプラインを通して水素を輸送するのは厄介である。一般に、このガスの効率的な輸送を達成するために、30バール~70バールの上述した程度の圧力であることが必要である。
【0006】
上述の水素製造技術は、効果的であるが、いくつかの技術的問題を有する。主な問題の1つは、環境に優しくないことである。実際には、メタンを燃焼させなければならず、その結果、二酸化炭素(CO2)が製造され、いわゆる「グレー水素」を得ることになる。「グリーン水素」、すなわち、メタンの燃焼を回避し、二酸化炭素を大気中に拡散させることによって得られる水素を製造するための最近の産業上の関心は、市場において急速に成長している。
【0007】
加えて、メタンを燃焼及び処理するためのプラントは、伝統的に、非常に高い設置面積並びに運用コストを有する。
【0008】
また、ガスの圧力を増加させるための圧縮機が知られている。特に、中程度の質量流量を圧縮するのに適しており、中程度の圧力比を達成することを可能にする遠心圧縮機の分野には、遠心圧縮機と比較した場合に、より低い質量流量を圧縮することができるが、より高い圧力比を実行する往復圧縮機がある。往復圧縮機は一般に、遠心圧縮機と比較して、設置面積が大きく、平均保全間隔(mean time between maintenance、MTBM)が短い。最後に、他の解決策と比較して常に高い質量流量を圧縮することができるが、低い圧力比を実行する軸流圧縮機が利用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改良された圧縮アセンブリ及び方法、並びに水素を製造するためのプラントが、当技術分野において歓迎されるであろう。より一般的には、メタン又は任意の他の燃料を燃焼させることなくグリーン水素を製造することができるプラントを提供することが望ましい。
【0010】
一態様において、本明細書に開示される主題は、製造された水素の圧力を増加させるための新規で産業上有用な水素圧縮アセンブリ、及び圧縮水素を製造するための圧縮アセンブリを備えた製造プラントに関する。圧縮アセンブリは、バレル圧縮機を装備した圧縮ユニットと、圧縮ユニットの下流に接続された往復圧縮機と、を含む。
【0011】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、関連するギアボックスを有する1つ以上のバレル圧縮機と、バレル圧縮機を動作させるために関連する必要なギアボックスに接続された駆動電動モータと、を有する圧縮ユニットに関する。
【0012】
別の態様では、可変速度又は固定速度の電動モータを有する圧縮ユニットが本明細書で開示される。
【0013】
別の態様では、本明細書で開示されるのは、往復運動によって動作する複数のピストンシリンダアセンブリを備えた往復圧縮機であって、それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置され、圧縮されるガスが入力圧力でピストンシリンダアセンブリ内に吸引される吸引弁と、それぞれのピストンシリンダアセンブリ内に設置され、ピストンシリンダアセンブリ内に圧縮されたガスが入力圧力より高い出力圧力で吐出される吐出弁と、が装備された、往復圧縮機を有する圧縮ユニットである。往復圧縮機は、典型的に、圧縮機クランクシャフトに直接結合された電動モータによって駆動される。
【0014】
本開示の更なる態様は、水素ガスを得るステップと、少なくとも1つの遠心圧縮機によって水素を圧縮するステップと、次いで、往復圧縮機によって水素を圧縮するステップと、を含む、水素ガスを圧縮する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、第1の実施形態による水素を製造及び圧縮するためのプラントの概略図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のプラントの水素の圧力を増加させるためのバレル圧縮機ステージを示す。
【
図3】
図3は、
図1のプラントの水素の圧力を増加させるための往復圧縮機を示す。
【
図4】
図4は、本開示による、水素ガスを圧縮する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
水素は、アンモニアの製造などの多くの産業用途で使用される。電気分解は、メタンを燃焼させることなく、したがって、電力が再生可能エネルギーシステムによって供給されるときに二酸化炭素を大気中に分散させることなく、水素を製造するための方法である。しかしながら、水素は非常に軽い分子であるため、産業用に使用するためには、電気分解によって得られる水素の圧力を増加させなければならない。一態様によれば、本開示の本主題は、圧縮機の異なるレイアウト、すなわち遠心圧縮機及び往復圧縮機を組み合わせて、ガスの高い圧縮率及びプラントの低減された設置面積を達成する圧縮システム又はアセンブリを対象とする。
【0017】
ここで図面を参照すると、
図1は、第1の実施形態による水素製造プラント1の概略図を示す。
【0018】
特に、水素製造プラント1は、参照番号2で一般的に示される水素製造ステージと、以下でより良く説明されるように、水素の圧力を30バール~70バールの圧力に上昇させるための圧縮アセンブリ3と、を備える。
【0019】
水素製造ステージ2は、水の電気分解に基づく。これは、電気を使用して水を分解すること(電気分解)による水素の周知の製造に基づく。これは、水に電流を流して、水を水素と酸素に分解することを伴う。再生可能なエネルギーを使用して電流が生成される場合、電気分解は実質的に汚染又は毒性副産物をもたらさない。
【0020】
水素製造ステージ2によって製造された水素は周囲圧力にあるので、水素が製造された状態で輸送することは困難である。そのような水素は、加圧され、輸送に適した特別な容器に貯蔵されるか、又はパイプラインを通して所定の目的地(貯蔵容器、水素タービン、燃料補給ステーションなど)に輸送するために加圧されなければならない。したがって、水素製造ステージ2の下流に圧縮アセンブリ3が接続されて、製造された水素の圧力を上昇させ、上述の30バール~70バールの圧力に到達させる。
【0021】
より具体的には、圧縮アセンブリ3は、考慮される実施形態では、理想的には2つのサブステージ、つまり、プラントの設計要件に従って、問題の実施形態において水素圧力を周囲圧力から約5バール~7バールに上昇させるための低圧サブステージ4と、この水素圧力を最大約30バール~70バール以上に上昇させるための最終圧力サブステージ5と、に分割される。
【0022】
より具体的には、
図1の概略図を更に参照すると、低圧サブステージ4は、圧縮ユニット41を(概略的に)含み、圧縮ユニット41は、直列に配置された2つのバレル圧縮機411及び412をそれぞれ有する。
【0023】
より具体的には、
図1の概略図を更に参照すると、低圧サブステージ4は、水素製造ステージ2の電気分解から生じる水素の湿潤成分の部分を凝縮するための、水素製造ステージ2に接続された第1の凝縮器43を(概略的に)含む。
【0024】
低圧サブステージ4はまた、第1の凝縮器43の下流に接続された第1の圧縮ユニット41を含む。
図2を参照すると、低圧サブステージ4の第1の圧縮ユニット41のレイアウトが示されている。第1の圧縮ユニット41は、第1のバレル圧縮機411と、第1のバレル圧縮機411の駆動シャフト414に接続された第1のギアボックス413と、第2のバレル圧縮機412と、第2のバレル圧縮機412の駆動シャフト416に接続された第2のギアボックス415と、第1のギアボックス413及び第2のギアボックス415に動作可能に接続されてバレル圧縮機411及び412を動作させる駆動電動モータ417と、を含む。それぞれのギアボックス413及び416のギア比は、要求される圧縮性能に応じて設定される。
【0025】
また、エピサイクリック又はプラネタリーギアボックス、ウォームギアボックス、ヘリカルギアボックス、ベベルギアボックスなど、任意の種類のギアボックスが実装され得る。
【0026】
好適なギアボックス比は、所望の圧縮比に応じて決定され得る。また、圧縮アセンブリ3の全体的な圧縮比は、特定の設計上の必要性に従ってそれぞれの圧縮ステージを通して分散される。
【0027】
駆動電動モータ417は、入口ガス流量に応じて低圧サブステージ4の圧縮比をより良く適合させるように、可変速度電動モータである。
【0028】
他の実施形態では、駆動電動モータ417は、固定速度を有し得、したがって、システムの全体的なコストを節約する。
【0029】
また、第1のバレル圧縮機411には、遠心圧縮機に入る空気流及び圧力を調整するために、入口案内翼(Inlet Guide Vane、IGV)(図示せず)が装備されてもよい。
【0030】
低圧サブステージ4はまた、水素の中間冷却によって温度を低下させ、場合によっては水素の湿潤を凝縮させるための第1の熱交換器44と、第1の熱交換器44の下流に接続された第2の凝縮器45と、第2の凝縮器45に接続された第2の圧縮ユニット42と、を含む。本実施形態における第2の圧縮ユニット42は、可能な圧縮比を除いて、第1の圧縮ユニット41と等しい。
【0031】
最後に、低圧サブステージ4は、第2の圧縮ユニット42の下流に接続された第2の熱交換器46を含む。
【0032】
最終圧力サブステージ5は、ガス混合物から凝縮物を取り出すために、低圧サブステージ4の第2の熱交換器46に直列に接続された第3の凝縮器52及び第4の凝縮器53を含む。
【0033】
また、最終圧力サブステージ5は、本実施形態では、水素の圧力を30~70バールまで上昇させるとともにそれを冷却するための往復圧縮機51を含む。
【0034】
往復圧縮機51は、
図4に示されている。往復圧縮機51は、クランクシャフト512が収容されるフレーム511(図に概略的に示される)と、問題のケースでは4つであるクロスヘッドガイド513と、を含む。それぞれのクロスヘッドガイド513には、ピストンロッド514が収容され、往復運動で作動されるようにクランクシャフト512に接続されている。
【0035】
他の実施形態では、必要性及び達成されるべき性能に応じて、異なる数のクロスヘッドガイド512(及びピストンロッド514)が予見され得る。
【0036】
また、往復圧縮機51は、それぞれのクロスヘッドガイド512のためのピストンシリンダアセンブリ515を含み、ピストンシリンダアセンブリ515のピストンは、クランクシャフト512から往復運動を受け取るために、関連するピストンロッド514によって作動される。往復圧縮機51は、それぞれのピストンシリンダアセンブリ515内に設置されている、圧縮されるガス、すなわち問題の実施形態では水素が入力圧力で関連するピストンシリンダアセンブリ515内に吸引される吸引弁514と、ピストンシリンダアセンブリ515内で圧縮されたガスが入力圧力より高い出力圧力で吐出される吐出弁516と、を含む。
【0037】
最後に、往復圧縮機51は、クランクシャフト512に接続されてクランクシャフトを動作させる電動モータ518を含み、ピストンシリンダ515の作動及び水素の圧縮を可能にする。
【0038】
グリーン水素製造プラント1は以下のように動作する。
【0039】
水素製造ステージ2が水素電気分解を生成するとき、ガスは周囲温度であり、湿潤している。次いで、水素は、低圧サブステージ4の第1の凝縮器43に入り、凝縮され、次いで、電動モータ417並びにギアボックス413及び415によって適切に駆動される第1のバレル圧縮機411及び第2のバレル圧縮機412を手段として、第1の圧縮ユニット41によって圧縮される。
【0040】
次いで、圧縮されたガスは、第1の熱交換器44によって冷却され、凝縮器45によって処理された後、第2の圧縮ユニット42によって更に圧縮される。第2の圧縮ユニット42は、上述したように、構造的及び機能的に第1の圧縮ユニット41と同様である。次いで、更に圧縮されたガスは、第2の熱交換器46を通過してから、最終圧力サブステージ5の第3の凝縮器52及び第4の凝縮器53に到達して、電動モータ518によって駆動される往復圧縮機51によって更に圧縮される。往復圧縮機51は、前述のように、クランクシャフト512を駆動してピストンシリンダアセンブリ515を動作させ、吸引弁516及び吐出弁517を通して水素を圧縮する。次いで、水素圧は、最大30バール~70バールに上昇される。
【0041】
この時点で、高圧水素は、輸送される準備、及び場合によってはアンモニアを生成するか又は任意の他の使用のための準備が整っている。
【0042】
図4を参照すると、水素製造プラント1によって実行される、水素ガス又は任意の他のガスを圧縮する方法6が示されている。方法6は、水素ガスを得るステップ61を含み、これは、高圧グリーン水素を製造するために、水素製造ステージ2による電気分解によって実行される。
【0043】
次いで、方法6は、圧縮ユニット41、42などの少なくとも1つの遠心圧縮機によって水素又は任意の他のガスを圧縮するステップ62を含む。
【0044】
最後に、水素ガスを製造する方法6は、少なくとも1つの往復圧縮機61によって水素を圧縮するステップ63を更に含む。
【0045】
開示された解決策の利点は、水素製造プラントの可用性及び信頼性を高めることが可能であることである。
【0046】
別の利点は、このレイアウトで実現される水素製造プラントが、従来技術の水素製造プラントと比較した場合に、設置面積が低減されることである。
【0047】
本開示による圧縮レイアウトの追加の利点は、最終圧力サブステージにおける一体型ギア式遠心圧縮機の適用が、圧縮プロセスの終了時の体積流量が低いため、この系列に良好に適合することである。
【0048】
本開示の更なる利点は、往復圧縮機による標準的な解決策に対して、H2圧縮のためのコンパクトな解決策を提供することである。更に、平均保全間隔(MTBM)が劇的に増加し、運転費用(operating expenditures、OPEX)の削減が達成される。
【0049】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、往復動実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0050】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0051】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
Barzano & Zanardo Roma S.p.A.
【国際調査報告】