(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】不斉補助剤を使用してレボテルブタリンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 213/00 20060101AFI20240327BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240327BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240327BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240327BHJP
C07C 215/60 20060101ALI20240327BHJP
C07C 313/06 20060101ALI20240327BHJP
B01J 27/22 20060101ALI20240327BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
C07C213/00
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P11/06
A61K31/137
C07C215/60
C07C313/06
B01J27/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558989
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2021090369
(87)【国際公開番号】W WO2022226812
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523364737
【氏名又は名称】蘇州弘森薬業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】陸 紅彬
(72)【発明者】
【氏名】樊 超
(72)【発明者】
【氏名】楊 穎棟
【テーマコード(参考)】
4C206
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA04
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZC41
4G169AA02
4G169BB15A
4G169BB15B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169CB02
4G169CB70
4G169DA05
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC41
4H006AC83
4H006BA25
4H006BA55
4H006BB14
4H006BB25
4H006BC10
4H006BC11
4H006BE20
4H006BE23
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BN30
4H006BU32
4H006TA01
4H039CA60
4H039CB20
(57)【要約】
【課題】 不斉補助剤を使用してレボテルブタリンを調製する方法を提供すること。
【解決手段】 不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法であって、S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミドを原料とし、順次2-ブロモ-2-メチルプロパン、3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノンと反応させ、化合物5を得る;化合物5を第四級アンモニウム塩触媒下で、還元反応させて化合物6を得る;化合物6からtert-ブチルスルフィニル保護を取り除いて化合物7が得られ、パラジウム触媒と塩酸の存在下で、化合物7をアルコール溶剤で水素化分解させ、レボテルブタリンを得る。該方法は簡単で信頼性が高く、調製のコストが安価で、キラル生成物のeeは99.9%に達する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム触媒と塩酸の存在で、下記化合物7:
【化1】
を、アルコール溶剤で水素化分解し、
下記のL-テルブタリン:
【化2】
を得る
ことを特徴とする不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項2】
S-B-tert-ブチルスルフィンアミドを原料とし、順次2-ブロモ-2-メチルプロパン、3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノンと反応させ、下記化合物5:
【化3】
を得て、
化合物5は第四級アンモニウム塩水素化で、還元反応させて下記化合物6:
【化4】
を得て、
化合物6のtはrt-ブチルスルフィニル保護を取り除いて化合物7を得る
請求項1に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調整する方法。
【請求項3】
tert-ブチルスルフィンアミドを有機溶剤に溶解させ、アルカリを加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパンを滴下し、0~60℃で2~5時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノンを加え、引き続き30~80℃で2~8時間反応させて、化合物5を得る
請求項2に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを生成する方法。
【請求項4】
化合物5を溶剤に溶解させ、第四級アンモニウム塩を加え、その後0~10℃で水素化ホウ素ナトリウムを加え、還元反応させて化合物6を得る
請求項2に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項5】
化合物6をアルコール溶剤中に溶解させ、濃塩酸を加え、0~60℃で2~5時間反応させ、化合物7を得る
請求項2に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項6】
パラジウム触媒が無機パラジウム触媒であり、
アルコール溶剤が低分子アルコールである
請求項1に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項7】
パラジウム触媒がパラジウム炭素触媒であり、
アルコール溶剤がメタノールである
請求項6に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項8】
化合物7をアルコール溶剤に溶解させ、パラジウム触媒を加え、塩酸を滴下し、常圧水素で1~3時間水素化分解し、生成物のL-テルブタリンを得る
請求項1に記載の不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法。
【請求項9】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミドのL-テルブタリンの調製における使用。
【請求項10】
下記の構造式:
【化5】
を有するL-テルブタリンに用いられる
ことを特徴とする化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬技術分野に属し、具体的にはL-テルブタリンのキラル調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テルブタリンは速効性で効果の短い副腎受容体アゴニストであり、β2受容体を選択的に活性化することができ、気管支の平滑筋を弛緩させ、内因性けいれん物質の放出を抑制して内因性伝達物質および粘膜繊毛を抑制することで活発化によって引き起こされる水腫を解消する(非特許文献1:Kyeong H.K., Hyun J.K., Seon-Pyo H., Sang D.S. , Arch. Pharm. Res. 2000, 23:441-445)。臨床的には主に気管支喘息 、喘息型気管支炎、肺気腫および慢性閉塞性肺部疾患時の気管支痙攣の治療などに用いられる。テルブタリンは節位第二級アルコールのキラル中心を有するが、現在臨床で使用されているのはすべてラセミ体である。研究によると、テルブタリンの左旋体は薬効を発揮する有効成分(非特許文献2:J. Med. Chem., 1972, 15, 1182-1183)であり、右旋体は無効であるだけでなく、さらに毒性の副作用を有するため、L-テルブタリンの調製方法を研究し、このような左旋体を再び上市することは、重要な臨床的応用の価値を有し、例えばCN110156614ではレボ(-)テルブタリンと市販のラセミ体を比較すると、抗喘息の薬効が二倍向上し、喘息関連疾患に新たな好ましい治療方法を提供することが開示されている。
【0003】
開示されたL-テルブタリンの調製方法は主に以下のようなものがある:1、分解法。酒石酸または酒石酸誘導体を使用してラセミ化したテルブタリンを分解するのは最も簡単で直観的なL-テルブタリンを調製する方法である(特許文献1-2:CN1273966A, CN201810147612. 1)。しかしながらこのような方法は往々にして需要複数回結晶化しなければ満足する鏡像体純度が得られず、プロセス全体の操作が複雑で、収率が低く、かつ少なくとも半分の生成物が廃棄され、現在提唱されている環境にやさしい化学という原則に合致しない。
【0004】
2.酵素法。酵素還元方法はプロキラルケトンによってキラル第二級アルコールを調製する一般的な方法であるが、最適な酵素触媒を選別する必要があり、且つしばしば還元効率が低いなどの欠陥が存在する(非特許文献3:Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 84, (2012), 83 - 88)。
【0005】
3、ボランをキラル触媒(Corey-Bakshi-Shibata触媒または類似物)の作用でプロキラルケトンを還元することには、ボランの毒性および後処理が困難であるという欠陥が存在し、工業化された生産を実現することが困難である。
【0006】
4、キラルルテニウム触媒の転移水素化法によってクロロアセトフェノンの非対象還元を実現し、合成L-テルブタリンの重要な中間体(非特許文献4:Chem. Pharm. Bull. 65, (2017), 389-395)を得る。このような方法は高価な貴金属を使用し、且つ生成物のeeは91%しかなく、要件を満たすことができない。
【0007】
従来技術には様々な欠陥が存在するため、新たに操作が簡単で、高効率で、低コストな方法でL-テルブタリンを調製する方法を研究開発することは重要な意義を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国1273966A
【特許文献2】中国201810147612
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kyeong H.K., Hyun J.K., Seon-Pyo H., Sang D.S. , Arch. Pharm. Res. 2000, 23:441-445
【非特許文献2】J. Med. Chem., 1972, 15, 1182-1183
【非特許文献3】Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, 84, (2012), 83 - 88
【非特許文献4】Chem. Pharm. Bull. 65, (2017), 389-395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的はL-テルブタリンを調製する方法を提供することである;本方法は簡単で信頼性が高く、調製されたコストが安価で、キラル生成物のeeは99.9%に達する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の技術的解決手段は以下のとおりである:不斉補助剤を使用してL-テルブタリンを調製する方法であって、パラジウム触媒と塩酸の存在において、化合物7をアルコール溶剤で水素化分解し、L-テルブタリンを得る;ここで、化合物7の化学構造式は以下のとおりである。
【0012】
【化1】
L-テルブタリンの化学構造式は以下のとおりである:
【0013】
【0014】
前記技術的解決手段において、パラジウム触媒はパラジウム炭素触媒である;アルコール溶剤は低分子アルコールであり、好ましくはメタノールである。具体的には、化合物7をメタノールに溶解させ、パラジウム炭素触媒を加え、塩酸を滴下し、常圧水素で1~3時間水素化分解し、濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液を減圧蒸留し、残った個体を結晶化し、生成物の塩酸L-テルブタリン8を得る。
【0015】
本発明では、S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミドを原料とし、順次2-ブロモ-2-メチルプロパン、3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノンと反応させ、化合物5を得る;化合物5は第四級アンモニウム塩触媒下で、還元反応させて化合物6を得る;化合物6はtert-ブチルスルフィニルを除去して保護し、中間体7を得る。具体的なステップおよび化合物の構造式は以下のとおりである:(1)tert-ブチルスルフィンアミド置換アセトフェノン中間体(化合物5)を調製する。tert-ブチルスルフィンアミド1
を有機溶剤に溶解させ、アルカリを加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパンを滴下し、0~60℃で2~5時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4を加え、引き続き30~80℃で2~8時間反応させる;反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する;前記有機溶剤はアセトニトリル、THF、DMF、アセトン、トルエンまたは酢酸エチルであり、好ましくはアセトニトリル、THFおよびDMFであり、より好ましくはアセトニトリルである;前記アルカリは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウムまたはカリウムtert-ブトキシドであり、好ましくは炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムであり、より好ましくは炭酸カリウムである;反応は以下に示すとおりである。
【0016】
【化3】
(2)キラルtert-ブチルスルフィンアミドの制御かでケトンはキラルアルコール(化合物6)に還元される。化合物5を溶剤に溶解させ、第四級アンモニウム塩を加え、その後0~10℃で1~2時間以内に数回に分けて水素化ホウ素ナトリウムを加え、完了したら引き続き1時間撹拌し、さらに塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、抽出し、乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体にエタノールを用いて結晶化させ、化合物6を得る;前記有機溶剤はTHF、エタノール、メタノール、イソプロパノールの一種または複数であり、好ましくはTHFおよびイソプロパノールの混合溶剤である;前記の第四級アンモニウム塩はテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチル塩化アンモニウム、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミドまたはトリエチルベンジルアンモニウムブロミドであり、好ましくはテトラブチルアンモニウムブロミドおよびテトラブチル塩化アンモニウムであり、より好ましくはテトラブチルアンモニウムブロミド;反応は以下に示すとおりである。
【0017】
【0018】
(3)tert-ブチルスルフィニル保護を取り除いて中間体(化合物7)を得る。化合物6をメタノールに溶解させ、濃塩酸を加え、0~60℃で2~5時間反応させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液を加え、有機溶剤で抽出し、乾燥させ、減圧蒸留し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。反応は以下に示すとおりである。
【0019】
【0020】
(4)ベンジル保護を除去して目標生成物のL-テルブタリンを得る。化合物7をメタノールに溶解させ、パラジウム炭素触媒を加え、塩酸を滴下し、常圧水素で1~3時間水素化分解し、濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液を減圧蒸留し、残った個体を結晶化し、R-塩酸テルブタリン8を得る。反応は以下に示すとおりである。
【0021】
【発明の効果】
【0022】
前記技術的解決手段を運用するため、本発明は従来技術に比べて以下の利点を有する:本発明は初めて商品化された安価なキラル源のtert-ブチルスルフィンアミドを補欠分子団として使用することでケトンの非対象還元を制御し、少量の非エナンチオマーを容易に結晶化によって除去し、生成物のeeは99.9%に達する;プロセス全体の操作が非常に簡単で、使用する試薬がいずれも安価で入手しやすく、毒がなく、工業生産に非常に適する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は実施例1で調製されるR-テルブタリンの塩酸塩の核磁気水素スペクトルである。
【
図2】
図2は実施例1で調製されるR-テルブタリンの塩酸塩の核磁気炭素スペクトルである。
【
図3】
図3は実施例1で調製されるR-テルブタリンの塩酸塩の質量スペクトルである。
【
図4】
図4は実施例1で調製されるR-テルブタリンの塩酸塩の液体クロマトグラムである。
【
図5】
図5は従来のラセミ化テルブタリン(弘森薬業)の液体クロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の具体的な調製方法と試験方法は一般的な方法であり、例えば一般的な液体クロマトグラム(HPLC+キラルカラム)によって純度とee値を試験する。以下、実施例を組み合わせて本発明をより詳細に説明する。
【0025】
本発明の調製方法は以下のように示される。
【0026】
【0027】
実施例1。
【0028】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミド1 (14.8g、110mmol)をアセトニトリル(300mL)に溶解させ、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパン(17.8g、130mmol)を滴下し、さらに50℃に加熱して4時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4 (41.1g、100mmol)を加え、その後60℃で6時間させる。反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する。
【0029】
前記で得られた化合物5をTHF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)を加え、反応系を0℃に冷却し、その後1.5時間以内に三回に分けて水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を均一に加え、転化が完了したら引き続き0℃で1時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出液を会わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体をエタノール(90mL)で結晶化させ、化合物6の白色固体37.1gを得て、2段階の収率は71%である。
【0030】
化合物6 (26.1g、50mmol)をメタノール(150mL)に溶解させ、濃塩酸(12.5mL, 37.5wt%) を加え、50℃で反応3時間させ、反応終了後、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80mL)を加え、酢酸エチルで三回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。
【0031】
上記で得られた化合物7をメタノール(200mL)に溶解させ、10wt%のパラジウム炭素触媒(2.0g)を加え、2 mol/Lの塩化水素メタノール溶液(25mL)を滴下し、その後常圧水素で2時間水素化分解し、その後濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液に一般的な減圧蒸留を行って溶剤を除去し、残りの固体をテトラヒドロフラン(100mL)で結晶化させ、R-テルブタリンの塩酸塩8を計11.7g得て、二段階の収率は85%であり、純度は99.7%であり、 eeは99.9%であり、旋光度[a ] D20 = -39.2 (c =1.0 in MeOH)である。
【0032】
実施例2。
【0033】
実施例1に基づき、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を炭酸ナトリウム(130mmol)に変更し、残りは変更せず、R-テルブタリンの塩酸塩8を得て、純度は99.6%、 eeは99.7%である。
【0034】
実施例1に基づき、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)をテトラブチル塩化アンモニウム(10mmol)に変更し、残りは変更せず、R-テルブタリンの塩酸塩8を得て、純度は99.5%、eeは99.1%である。
【0035】
実施例1に基づき、イソプロパノール(200mL)をエタノール(200mL)に変更し、残りは変更せず、R-テルブタリンの塩酸塩8を得て、純度は99.1%、eeは99.2%である。
【0036】
比較例1。
【0037】
実施例1に基づき、テトラブチルアンモニウムブロミドを省き、残りは変更せず、化合物6を得る二段階の収率は55%であり、さらにR-テルブタリンの塩酸塩8を得て、 eeは95.2%である。
【0038】
実施例1に基づき、THF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤をイソプロパノール(400mL)に変更し、残りは変更せず、化合物6を得る二段階の収率は60%であり、さらにR-テルブタリンの塩酸塩8を調製し、eeは98.8%である。
【0039】
実施例1に基づき、水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を水素化ホウ素カリウム(80mmol)に変更し、残りは変更せず、化合物6を得る二段階の収率は59%であり、さらにR-テルブタリンの塩酸塩8を調製し、eeは98.3%である。
【0040】
実施例3。
【0041】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミド1 (14.8g、110mmol)をアセトニトリル(300mL)に溶解させ、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパン(17.8g、130mmol)を滴下し、さらに40℃に加熱して3時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4 (41.1g、100mmol)を加え、その後60℃で6時間反応させる。反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する。
【0042】
前記で得られた化合物5をTHF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)を加え、反応系を0℃に冷却し、その後1.5時間以内に三回に分けて水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を均一に加え、添加が完了したら引き続き0℃で1時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体をエタノール(90mL)で結晶化させ、白色の固体化合物6を得る。
【0043】
化合物6 (26.1g、50mmol)をメタノール(150mL)に溶解させ、濃塩酸(12.5mL, 37.5wt%)を加え、50℃で3時間反応させ、反応終了後、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80mL)を加え、酢酸エチルで三回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。
【0044】
上記で得られた化合物7をメタノール(200mL)に溶解させ、10wt%のパラジウム炭素触媒(2.0g)を加え、2 mol/Lの塩化水素メタノール溶液(25mL)を滴下し、その後常圧水素で2時間水素化分解し、その後濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液に一般的な減圧蒸留を行って溶剤を除去し、残りの固体をテトラヒドロフラン(100mL)で結晶化させ、R-テルブタリンの塩酸塩8を得る。
【0045】
実施例4。
【0046】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミド1 (14.8g、110mmol)をアセトニトリル(300mL)に溶解させ、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパン(17.8g、130mmol)を滴下し、さらに50℃に加熱して4時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4 (41.1g、100mmol)を加え、その後60℃で6時間させる。反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する。
【0047】
前記得られた化合物5をTHF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)を加え、反応系を5℃に冷却し、その後1時間内に二回に分けて水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を均一に加え、添加が完了したら0℃で1時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体をエタノール(90mL)で結晶化させ、白色の固体化合物6を得る。
【0048】
化合物6 (26.1g、50mmol)をメタノール(150mL)に溶解させ、濃塩酸(12.5mL,37.5wt%)を加え、50℃で3時間反応させ、反応終了後、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80mL)を加え、酢酸エチルで三回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。
【0049】
上記で得られた化合物7をメタノール(200mL)に溶解させ、10wt%のパラジウム炭素触媒(2.0 g)を加え、2 mol/Lの塩化水素メタノール溶液(25mL)滴下し、その後常圧水素で水素化分解2.5時間,その後濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液に一般的な減圧蒸留を行って溶剤を除去し、残りの固体をテトラヒドロフラン(100mL)結晶化させ、R-テルブタリンの塩酸塩8を得る。
【0050】
実施例5。
【0051】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミド1 (14.8g、110mmol)をアセトニトリル(300mL)に溶解させ、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパン(17.8g、130mmol)を滴下し、さらに50℃に加熱して4時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4 (41.1g、100mmol)を加え、その後60℃で6時間させる。反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する。
【0052】
前記得られた化合物5をTHF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)を加え、反応系を0℃に冷却し、その後1.5時間以内に三回に分けて水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を均一に加え、転化が完了したら引き続き0℃で1時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体をエタノール(90mL)で結晶化させ、白色の固体化合物6を得る。
【0053】
化合物6を(26.1g、50mmol)メタノール(150mL)に溶解させ、濃塩酸(12.5mL, 37. 5wt%)を加え、 50℃で4時間反応させ、反応終了後、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80mL)を加え、酢酸エチルで三回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。
【0054】
上記で得られた化合物7をメタノール(200mL)に溶解させ、10wt%のパラジウム炭素触媒(2.0 g)を加え、2 mol/Lの塩化水素メタノール溶液(25mL),その後常圧水素で2時間水素化分解し、その後濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液に一般的な減圧蒸留を行って溶剤を除去し、残りの固体をテトラヒドロフラン(100mL)結晶化させ、R-テルブタリンの塩酸塩8を得る。
【0055】
実施例6。
【0056】
S-(-)-tert-ブチルスルフィンアミド1 (14.8g、110mmol)をアセトニトリル(300mL)に溶解させ、炭酸カリウム(18.0g、130mmol)を加え、その後2-ブロモ-2-メチルプロパン(17.8g、130mmol)を滴下し、さらに50℃に加熱して4時間反応させ、その後3,5-ジベンジルオキシブロモアセトフェノン4(41.1g、100mmol)を加え、その後60℃で6時間反応させる。反応終了後、濾過して固体物質を除去し、その後減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物5を得て、直接次の反応に使用する。
【0057】
前記得られた化合物5をTHF (200mL)およびイソプロパノール(200mL)の混合溶剤中に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.22g、10mmol)を加え、反応系を0℃に冷却し、その後1.5時間以内に三回に分けて水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、80mmol)を均一に加え、転化が完了したら引き続き0℃で1時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出し、抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留し、残りの固体をエタノール(90mL)で結晶化させ、白色の固体化合物6を得る。
【0058】
化合物6 (26.1g、50mmol)をメタノール(150mL)に溶解させ、濃塩酸(12.5mL,37.5wt%)を加え、50℃で3時間反応させ、反応終了後、減圧蒸留して溶剤を除去し、残留物に炭酸水素ナトリウム飽和溶液(80mL)を加え、酢酸エチルで三回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを乾燥させ、減圧蒸留して溶剤を除去し、化合物7を得て、直接次の反応に使用する。
【0059】
上記で得られた化合物7をメタノール(200mL)に溶解させ、10wt%のパラジウム炭素触媒(2.0 g)を加え、2 mol/Lの塩化水素メタノール溶液(25mL)滴下し、その後常圧水素で水素化分解2.5時間,その後濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液に一般的な減圧蒸留を行って溶剤を除去し、残りの固体をテトラヒドロフラン(100mL)結晶化させ、R-テルブタリンの塩酸塩8を得る。
【0060】
本発明が提供する方法は安価で入手しやすいキラルtert-ブチルスルフィンアミドを不斉補助剤として、ケトン非対象還元に必要なキラル第二級アルコールを制御し、不斉補助剤は簡単な酸性条件下で除去できる。
【国際調査報告】